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特表2023-508828イットリウム/ランタン族金属前駆体化合物、それを含む膜形成用組成物、及びそれを利用したイットリウム/ランタン族金属含有膜の形成方法
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  • 特表-イットリウム/ランタン族金属前駆体化合物、それを含む膜形成用組成物、及びそれを利用したイットリウム/ランタン族金属含有膜の形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】イットリウム/ランタン族金属前駆体化合物、それを含む膜形成用組成物、及びそれを利用したイットリウム/ランタン族金属含有膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 17/00 20060101AFI20230227BHJP
   C07C 257/14 20060101ALI20230227BHJP
   C07F 5/00 20060101ALN20230227BHJP
【FI】
C07F17/00 CSP
C07C257/14
C07F5/00 D
C07F5/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526471
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 KR2020019058
(87)【国際公開番号】W WO2021133080
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】10-2019-0176737
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514183215
【氏名又は名称】ユーピー ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 渓
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【弁理士】
【氏名又は名称】網盛 俊
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジン シック
(72)【発明者】
【氏名】パク,ミョン‐ホ
(72)【発明者】
【氏名】マ,ドン ファン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ユン ギョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジュン ファン
【テーマコード(参考)】
4H006
4H048
4H050
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB82
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB80
4H048VA70
4H048VB10
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB80
(57)【要約】
本願は、イットリウム/ランタン族金属前駆体化合物、前記イットリウム/ランタン族金属前駆体化合物を含むイットリウム/ランタン族金属含有膜蒸着用前駆体組成物及び前記前駆体組成物を利用したイットリウム/ランタン族金属含有膜の蒸着方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Iで表される、イットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物:
[化学式I]
(RCp)M[(CHCH-N-C(CHCH)=N-CH(CH];
前記化学式Iにおいて、
Mは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuより選択されるものであり、
は、n-プロピル基(Pr)又はiso-プロピル基(Pr)であり、
前記Cpは、シクロペンタジエニル基である。
【請求項2】
前記イットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物は、常温で液体である、請求項1に記載のイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物。
【請求項3】
前記イットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物は、下記より選択されるものである、請求項1に記載のイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物。
PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)La(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ce(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pr(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Nd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Sm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Eu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Dy(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ho(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Er(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Yb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Lu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)La(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ce(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pr(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Nd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Sm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Eu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Dy(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ho(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Er(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Yb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、及び(PrCp)Lu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のうち何れか一項によるイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物を1つ以上含む、イットリウム又はランタン族金属含有膜形成用前駆体組成物。
【請求項5】
前記イットリウム又はランタン族金属含有膜形成用前駆体組成物は、下記より選択される1つ以上のイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物を含む、請求項4に記載のイットリウム又はランタン族金属含有膜形成用前駆体組成物。
PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)La(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ce(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pr(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Nd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Sm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Eu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Dy(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ho(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Er(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Yb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Lu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)La(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ce(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pr(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Nd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Sm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Eu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Dy(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ho(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Er(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Yb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、及び(PrCp)Lu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)
【請求項6】
前記イットリウム又はランタン族金属含有膜は、イットリウム又はランタン族金属膜、イットリウム又はランタン族金属含有酸化膜、イットリウム又はランタン族金属含有窒化膜、又はイットリウム又はランタン族金属含有炭化膜である、請求項4に記載のイットリウム又はランタン族金属含有膜形成用前駆体組成物。
【請求項7】
アンモニア、窒素、ヒドラジン、及びジメチルヒドラジンより選択される1つ以上の窒素源をさらに含む、請求項4に記載のイットリウム又はランタン族金属含有膜形成用前駆体組成物。
【請求項8】
水蒸気、酸素、及びオゾンより選択される1つ以上の酸素源をさらに含む、請求項4に記載のイットリウム又はランタン族金属含有膜形成用前駆体組成物。
【請求項9】
請求項4乃至請求項8のうち何れか一項による膜形成用前駆体組成物を利用してイットリウム又はランタン族金属含有膜を形成することを含む、イットリウム又はランタン族金属含有膜の形成方法。
【請求項10】
前記イットリウム又はランタン族金属含有膜は、化学気相蒸着法又は原子層蒸着法により蒸着される、請求項9に記載のイットリウム又はランタン族金属含有膜の形成方法。
【請求項11】
前記イットリウム又はランタン族金属含有膜の厚さは、1nm~10μmである、請求項9に記載のイットリウム又はランタン族金属含有膜の形成方法。
【請求項12】
前記イットリウム又はランタン族金属含有膜は、100℃~500℃の温度範囲で形成される、請求項9に記載のイットリウム又はランタン族金属含有膜の形成方法。
【請求項13】
前記イットリウム又はランタン族金属含有膜は、縦横比が1~100で、幅が10nm~1μmの凹凸を含む基材上に形成される、請求項9に記載のイットリウム又はランタン族金属含有膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、イットリウム/ランタン族金属前駆体化合物、上記イットリウム/ランタン族金属前駆体化合物を含むイットリウム/ランタン族金属含有膜蒸着用前駆体組成物及び上記前駆体組成物を利用したイットリウム/ランタン族金属含有膜の蒸着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イットリウム含有酸化膜又はランタン族金属含有酸化膜は、広いバンドギャップ(wide bandgap、5.6ev)、低い漏れ電流(low leakage current)、高い破壊電圧(high breakdown voltage)、良い熱的安定性(good thermal stability)などの様々な特性により、半導体素子において電界効果トランジスタのゲート誘電物質として検討されている。また、半導体メモリ素子のうちDRAMのゲート絶縁膜、キャパシタ高誘電膜(high-k dielectric layer)などにイットリウム含有酸化膜又はランタン族金属含有酸化膜が研究されており、不揮発性抵抗スイッチメモリ素子の金属-絶縁膜-金属(Metal-Insulator-Metal、MIM)構造の絶縁膜として研究されている。
【0003】
現在まで知られているイットリウム又はランタン族金属前駆体化合物は、殆どが蒸気圧が低く、固体であるか、粘性が非常に高い液体であるため、半導体素子を大量に生産する工程においてイットリウム又はランタン族金属を含む酸化膜を化学蒸着法(CVD)又は原子層蒸着法(ALD)で形成する際に前駆体として使用するのに不利である。
【0004】
次世代半導体素子の製造に必要なイットリウム又はランタン族金属含有膜を原子層蒸着法で形成するには、既存に知られているイットリウム前駆体化合物又はランタン族金属前駆体化合物よりも粘性が低いか、蒸気圧の高い前駆体化合物が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10-2012-0017069号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は、新規なイットリウム又はランタン族金属前駆体化合物、上記金属前駆体化合物を含む膜蒸着用前駆体組成物、及び上記前駆体組成物を利用してイットリウム又はランタン族金属含有膜の形成方法を提供するのにその目的がある。
【0007】
特に、既存に知られているものよりも粘度の低い前駆体化合物とそれを含む膜蒸着用前駆体組成物、及び上記前駆体組成物を利用する膜形成方法を提供するのにその目的がある。
【0008】
しかし、本願が解決しようとする課題は、上記に言及した課題に限定されるものではなく、言及されていない他の課題は、以下の記載から当業者にとって明確に理解できるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の第1の側面は、下記化学式Iで表される、イットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物を提供する:
[化学式I]
(RCp)M[(CHCH-N-C(CHCH)=N-CH(CH];
当該化学式Iにおいて、
Mは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuより選択されるものであり、
は、n-プロピル基(Pr)又はiso-プロピル基(Pr)であり、
当該Cpは、シクロペンタジエニル基である。
【0010】
本願の第2の側面は、本願の第1の側面に係るイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物を含む、イットリウム又はランタン族金属含有膜形成用前駆体組成物を提供する。
【0011】
本願の第3の側面は、本願の第2の側面に係るイットリウム又はランタン族金属含有膜形成用前駆体組成物を利用してイットリウム又はランタン族金属含有膜を形成することを含む、イットリウム又はランタン族金属含有膜の形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本願の具現例に係る新規なイットリウム化合物又はランタン族金属含有前駆体化合物は、従来に知られていない新規な化合物である。本願の具現例に係る新規なイットリウム化合物又はランタン族金属含有前駆体化合物は、常温で液体であり、熱的に安定している。
【0013】
本願の具現例に係る新規なイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物は、従来公知のイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物に比べて粘度が低く、ALD又はCVD前駆体の液体移送装置に使用するように低粘度液体(溶媒)を混ぜて粘度を下げる際、低粘度液体(溶媒)を少なく混ぜても必要な粘度の混合物を製造することができるため、ALD又はCVD工程によるイットリウム又はランタン族金属含有膜の形成に適合である。
【0014】
本願の具現例に係る新規なイットリウム化合物又はランタン族金属含有前駆体化合物は、熱安定性が高く、気相蒸着の前駆体として使用可能であり、例えば、原子層蒸着法(ALD)又は化学気相蒸着法(CVD)の前駆体として使用することでイットリウム又はランタン族金属含有膜を形成することができる。
【0015】
本願の具現例に係るイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物を含む組成物及び上記前駆体組成物を利用してイットリウム又はランタン族金属含有膜を形成する方法は、商業的な半導体素子の製造に適用されることができる。特に、DRAM半導体素子を製造するためには、溝の幅が約10nm~約1μm、又は約100nm又は約50nmよりも狭く、縦横比が約1~約50、約10以上、約20以上、約30以上、又はそれよりも深くより狭い溝のある基材に高誘電物質を約1nm~約10μmの厚さで形成する必要があり、本願のイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物及びそれを含む前駆体組成物によれば、上記のような基材に商業的に求められる厚さのイットリウム又はランタン族金属含有膜を形成することができる。また、本願の具現例に係るイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物及びそれを含む前駆体組成物を利用して、縦横比が約1以上で、幅が約1μm以下の微細な凹凸(溝)が表面にある基材において、上記微細な凹凸(溝)の最も深い所の表面及び上記微細な凹凸(溝)の上部表面を含む上記微細な凹凸(溝)の表面を含み、上記基材の全体表面上に数nm~数十nm厚さのイットリウム又はランタン族金属含有膜を均一な厚さで形成できるという優れた効果を有する。
【0016】
特に、約280℃、約300℃、又はそれ以上の温度でも均一な厚さの高誘電物質膜を形成する必要があるため、高い温度においても非常に狭く深い溝のある基材に原子層蒸着法(ALD)で均一な厚さの膜を形成できる前駆体組成物が求められる。よって、上記要件を満たす熱安定性の非常に高いイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物が必要である。そこで、本願の具現例に係る上記イットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物は、上記求められる特性を満たす前駆体として有用に使用されることができる。
【0017】
本願の具現例に係るイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物は、広い温度範囲において供給周期当たりの膜成長(growth per cycle、GPC)が一定であるので、温度変化によってGPCが一定でない従来のイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物よりも、ALD工程によって微細で且つ均一な厚さの調節が必要なイットリウム又はランタン族金属含有膜を蒸着するのに有利である。
【0018】
本願の具現例に係るイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物は、前駆体の供給時間とは関係なくGPCが一定であるので、前駆体の供給時間によってGPCが一定でない従来のイットリウム前駆体よりも、基材上に縦横比が大きく幅の狭い凹凸(溝)構造が存在しても一定の厚さの膜を形成するのに有利である。
【0019】
本願の具現例に係る上記イットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物は、ALD、CVDなどに使用される前駆体として使用され、半導体のような次世代デバイスの製造に求められる性能、例えば、向上した熱安定性、高い揮発性及び/又は増加した蒸着速度などを提供することができるので、イットリウム又はランタン族金属含有膜又は薄膜の形成に有用に使用されることができる。
【0020】
本願の具現例に係る上記イットリウム化合物又はランタン族金属含有化合物は、触媒などのような様々な分野に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本願の実施例1、実施例2及び比較例2に係る前駆体化合物のオクタン混合割合に応じた粘度を示すグラフである。
図2】本願の実施例1及び実施例3に係る前駆体化合物の基材温度に応じたALD気体の供給周期当たりの膜成長を示すグラフである。
図3】本願の実施例1及び実施例3に係る前駆体化合物の前駆体の供給時間に応じたALD気体の供給周期当たりの膜成長を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本願の具現例及び実施例を詳しく説明する。ところが、本願は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する具現例及び実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0023】
本願の明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。
【0024】
本願の明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0025】
本願の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0026】
本明細書において使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される場合、その数値で、又はその数値に近接した意味として使用され、本願の理解を助けるために正確あるいは絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0027】
本願の明細書全体において使用される程度の用語「~(する)ステップ」又は「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味するものではない。
【0028】
本願の明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ(たち)」の用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであり、上記構成要素からなる群より選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0029】
本願の明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A又はB、あるいはA及びB」を意味する。
【0030】
本願の明細書全体において、「アルキル」又は「アルキル基」という用語は、1~12個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~8個の炭素原子、又は1~5個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基、及びこれらの全ての可能な異性質体を含む。例えば、上記アルキル又はアルキル基は、メチル基(Me)、エチル基(Et)、n-プロピル基(Pr)、iso-プロピル基(isoPr)、n-ブチル基(Bu)、iso-ブチル基(isoBu)、tert-ブチル基(tert-Bu、Bu)、sec-ブチル基(sec-Bu、secBu)、n-ペンチル基(Pe)、iso-ペンチル基(isoPe)、sec-ペンチル基(secPe)、tert-ペンチル基(Pe)、neo-ペンチル基(neoPe)、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、iso-ヘキシル基、ヘプチル基、4,4-ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、及びこれらの異性質体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0031】
本願の明細書全体において、「イットリウム又はランタン族金属元素」という用語は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuを含んでいても良い。
【0032】
本願の明細書全体において、「Cp」という用語は、-Cで表され、「シクロペンタジエニル(cyclopentadienyl)基」の略語を意味する。
【0033】
本願の明細書全体において、「膜」という用語は、「膜又は薄膜」を意味する。
【0034】
以下では、本願の具現例を詳しく説明するが、本願がこれに限定されるものではない。
【0035】
本願の第1の側面は、下記化学式Iで表される、イットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物を提供する:
[化学式I]
(RCp)M[(CHCH-N-C(CHCH)=N-CH(CH];
上記化学式Iにおいて、
Mは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuより選択されるものであり、
は、n-プロピル基(Pr)又はiso-プロピル基(Pr)であり、
上記Cpは、シクロペンタジエニル基である。
【0036】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属元素含有前駆体化合物は、下記より選択されるものであっても良いが、これに限定されるものではない:
PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)La(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ce(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pr(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Nd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Sm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Eu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Dy(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ho(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Er(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Yb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Lu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)La(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ce(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pr(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Nd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Sm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Eu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Dy(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ho(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Er(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Yb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、及び(PrCp)Lu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)。
【0037】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属元素含有前駆体化合物は、(PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、又は(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)であっても良い。
【0038】
本願の第2の側面は、本願の第1の側面に係るイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物を1つ以上含む、イットリウム又はランタン族金属含有膜形成用前駆体組成物を提供する。
【0039】
本願の第1の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面について説明した内容は、本願の第2の側面においてその説明が省略されているとしても同様に適用され得る。
【0040】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属含有膜形成用前駆体組成物は、下記より選択される1つ以上のイットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物を含んでいても良いが、これに限定されるものではない:
PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)La(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ce(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pr(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Nd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Sm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Eu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Dy(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ho(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Er(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Yb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Lu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)La(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ce(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pr(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Nd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Pm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Sm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Eu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Dy(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Ho(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Er(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Tm(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Yb(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、及び(PrCp)Lu(Pr-N-C(Et)=N-Pr)。
【0041】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属元素含有前駆体化合物は、(PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、(PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、又は(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)であっても良い。
【0042】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属含有膜は、イットリウム又はランタン族金属膜、イットリウム又はランタン族金属含有酸化膜、イットリウム又はランタン族金属含有窒化膜、又はイットリウム又はランタン族金属炭化膜であっても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属含有膜は、イットリウム又はランタン族金属含有酸化膜であっても良い。
【0043】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属含有膜形成用前駆体組成物は、アンモニア、窒素、ヒドラジン、及びジメチルヒドラジンより選択される1つ以上の窒素源をさらに含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0044】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属含有膜形成用前駆体組成物は、水蒸気、酸素、及びオゾンより選択される1つ以上の酸素源をさらに含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0045】
本願の第3の側面は、本願の第2の側面に係るイットリウム又はランタン族金属含有膜形成用前駆体組成物を利用してイットリウム又はランタン族金属含有膜を形成することを含む、イットリウム又はランタン族金属含有膜の形成方法を提供する。
【0046】
本願の第1の側面及び第2の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面及び第2の側面について説明した内容は、本願の第3の側面においてその説明が省略されているとしても同様に適用され得る。
【0047】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属含有膜は、イットリウム又はランタン族金属膜、イットリウム又はランタン族金属含有酸化膜、イットリウム又はランタン族金属含有窒化膜、又はイットリウム又はランタン族金属含有炭化膜であっても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属含有膜は、イットリウム又はランタン族金属含有酸化膜であっても良い。
【0048】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属含有膜は、化学気相蒸着法(CVD)又は原子層蒸着法(ALD)により蒸着されても良いが、これに限定されるものではない。上記イットリウム又はランタン族金属含有膜は、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD)又は原子層蒸着法(ALD)により蒸着されても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属含有膜は、原子層蒸着法により蒸着されても良い。
【0049】
また、上記化学気相蒸着法又は原子層蒸着法は、本技術分野において公知の蒸着装置、蒸着条件、及び/又は追加反応気体などを利用して行われても良いが、これに限定されるものではない。ここで、原子層蒸着法を利用してイットリウム又はランタン族金属含有酸化膜を蒸着すれば、蒸着時の工程温度を調整することができ、薄膜の厚さ及び組成を正確に制御することができるため、複雑な形状の基板においても優れた被覆性を有する薄膜を蒸着し、その薄膜の厚さ均一度及び物性を向上させることができる。
【0050】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属含有膜の厚さは、約1nm~約10μmであっても良く、その適用用途に応じて様々に応用されても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、イットリウム含有酸化膜の厚さは、約1nm~約10μmであっても良く、その適用用途に応じて様々に応用されても良いが、これに限定されるものではない。例えば、上記イットリウム又はランタン族金属含有膜の厚さは、約1nm~約10μm、約1nm~約5μm、約1nm~約1μm、約1nm~約900nm、約1nm~約800nm、約1nm~約700nm、約1nm~約600nm、約1nm~約500nm、約1nm~約400nm、約1nm~約300nm、約1nm~約200nm、約1nm~約100nm、約1nm~約50nm、約1nm~約30nm、約1nm~約20nm、約1nm~約10nm、約10nm~約10μm、約10nm~約5μm、約10nm~約1μm、約10nm~約900nm、約10nm~約800nm、約10nm~約700nm、約10nm~約600nm、約10nm~約500nm、約10nm~約400nm、約10nm~約300nm、約10nm~約200nm、約10nm~約100nm、約10nm~約50nm、約10nm~約30nm、約10nm~約20nm、約20nm~約10μm、約20nm~約5μm、約20nm~約1μm、約20nm~約900nm、約20nm~約800nm、約20nm~約700nm、約20nm~約600nm、約20nm~約500nm、約20nm~約400nm、約20nm~約300nm、約20nm~約200nm、約20nm~約100nm、約20nm~約50nm、約20nm~約30nm、約30nm~約10μm、約30nm~約5μm、約30nm~約1μm、約30nm~約900nm、約30nm~約800nm、約30nm~約700nm、約30nm~約600nm、約30nm~約500nm、約30nm~約400nm、約30nm~約300nm、約30nm~約200nm、約30nm~約100nm、約30nm~約50nm、約50nm~約10μm、約50nm~約5μm、約50nm~約1μm、約50nm~約900nm、約50nm~約800nm、約50nm~約700nm、約50nm~約600nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、約50nm~約100nm、約100nm~約10μm、約100nm~約5μm、約100nm~約1μm、約100nm~約900nm、約100nm~約800nm、約100nm~約700nm、約100nm~約600nm、約100nm~約500nm、約100nm~約400nm、約100nm~約300nm、約100nm~約200nm、約200nm~約10μm、約200nm~約5μm、約200nm~約1μm、約200nm~約900nm、約200nm~約800nm、約200nm~約700nm、約200nm~約600nm、約200nm~約500nm、約200nm~約400nm、約200nm~約300nm、約300nm~約10μm、約300nm~約5μm、約300nm~約1μm、約300nm~約900nm、約300nm~約800nm、約300nm~約700nm、約300nm~約600nm、約300nm~約500nm、約300nm~約400nm、約400nm~約10μm、約400nm~約5μm、約400nm~約1μm、約400nm~約900nm、約400nm~約800nm、約400nm~約700nm、約400nm~約600nm、約400nm~約500nm、約500nm~約10μm、約500nm~約5μm、約500nm~約1μm、約500nm~約900nm、約500nm~約800nm、約500nm~約700nm、約500nm~約600nm、約600nm~約10μm、約600nm~約5μm、約600nm~約1μm、約600nm~約900nm、約600nm~約800nm、約600nm~約700nm、約700nm~約10μm、約700nm~約5μm、約700nm~約1μm、約700nm~約900nm、約700nm~約800nm、約800nm~約10μm、約800nm~約5μm、約800nm~約1μm、約800nm~約900nm、約900nm~約10μm、約900nm~約5μm、約900nm~約1μm、約1μm~約10μm、約1μm~約5μm、又は約5μm~約10μmであっても良いが、これに限定されるものではない。
【0051】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属含有膜は、約100℃~約500℃の温度範囲で形成されても良いが、これに限定されるものではない。例えば、上記シリコン含有膜は、約100℃~約500℃、約100℃~約450℃、約100℃~約400℃、約100℃~約350℃、約100℃~約300℃、約100℃~約250℃、約100℃~約200℃、約100℃~約150℃、約150℃~約500℃、約150℃~約450℃、約150℃~約400℃、約150℃~約350℃、約150℃~約300℃、約150℃~約250℃、約150℃~約200℃、約200℃~約500℃、約200℃~約450℃、約200℃~約400℃、約200℃~約350℃、約200℃~約300℃、約200℃~約250℃、約250℃~約500℃、約250℃~約450℃、約250℃~約400℃、約250℃~約350℃、約250℃~約300℃、約300℃~約500℃、約300℃~約450℃、約300℃~約400℃、約300℃~約350℃、約350℃~約500℃、約350℃~約450℃、約350℃~約400℃、約400℃~約500℃、約400℃~約450℃、又は約450℃~約500℃の温度範囲で形成されても良いが、これに限定されるものではない。
【0052】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属含有膜は、縦横比が約1~約100で、幅が約10nm~約1μmの凹凸を含む基材上に形成されても良いが、これに限定されるものではない。例えば、上記縦横比は、約1~約100、約1~約80、約1~約60、約1~約50、約1~約40、約1~約30、約1~約20、約1~約10、約10~約100、約10~約80、約10~約60、約10~約50、約10~約40、約10~約30、約10~約20、約20~約100、約20~約80、約20~約60、約20~約50、約20~約40、約20~約30、約30~約100、約30~約80、約30~約60、約30~約50、約30~約40、約40~約100、約40~約80、約40~約60、約40~約50、約50~約80、約50~約60、約60~約100、約60~約80、又は約80~約100であっても良いが、これに限定されるものではない。また、例えば、上記幅は、約10nm~約1μm、約10nm~約900nm、約10nm~約800nm、約10nm~約700nm、約10nm~約600nm、約10nm~約500nm、約10nm~約400nm、約10nm~約300nm、約10nm~約200nm、約10nm~約100nm、約10nm~約90nm、約10nm~約80nm、約10nm~約70nm、約10nm~約60nm、約10nm~約50nm、約10nm~約40nm、約10nm~約30nm、約10nm~約20nm、約20nm~約1μm、約20nm~約900nm、約20nm~約800nm、約20nm~約700nm、約20nm~約600nm、約20nm~約500nm、約20nm~約400nm、約20nm~約300nm、約20nm~約200nm、約20nm~約100nm、約20nm~約90nm、約20nm~約80nm、約20nm~約70nm、約20nm~約60nm、約20nm~約50nm、約20nm~約40nm、約20nm~約30nm、約30nm~約1μm、約30nm~約900nm、約30nm~約800nm、約30nm~約700nm、約30nm~約600nm、約30nm~約500nm、約30nm~約400nm、約30nm~約300nm、約30nm~約200nm、約30nm~約100nm、約30nm~約90nm、約30nm~約80nm、約30nm~約70nm、約30nm~約60nm、約30nm~約50nm、約30nm~約40nm、約40nm~約1μm、約40nm~約900nm、約40nm~約800nm、約40nm~約700nm、約40nm~約600nm、約40nm~約500nm、約40nm~約400nm、約40nm~約300nm、約40nm~約200nm、約40nm~約100nm、約40nm~約90nm、約40nm~約80nm、約40nm~約70nm、約40nm~約60nm、約40nm~約50nm、約50nm~約1μm、約50nm~約900nm、約50nm~約800nm、約50nm~約700nm、約50nm~約600nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、約50nm~約100nm、約50nm~約90nm、約50nm~約80nm、約50nm~約70nm、約50nm~約60nm、約100nm~約1μm、約100nm~約900nm、約100nm~約800nm、約100nm~約700nm、約100nm~約600nm、約100nm~約500nm、約100nm~約400nm、約100nm~約300nm、約100nm~約200nm、約200nm~約1μm、約200nm~約900nm、約200nm~約800nm、約200nm~約700nm、約200nm~約600nm、約200nm~約500nm、約200nm~約400nm、約200nm~約300nm、約300nm~約1μm、約300nm~約900nm、約300nm~約800nm、約300nm~約700nm、約300nm~約600nm、約300nm~約500nm、約300nm~約400nm、約400nm~約1μm、約400nm~約900nm、約400nm~約800nm、約400nm~約700nm、約400nm~約600nm、約400nm~約500nm、約500nm~約1μm、約500nm~約900nm、約500nm~約800nm、約500nm~約700nm、約500nm~約600nm、約600nm~約1μm、約600nm~約900nm、約600nm~約800nm、約600nm~約700nm、約700nm~約1μm、約700nm~約900nm、約700nm~約800nm、約800nm~約1μm、約800nm~約900nm、又は約900nm~約1μmであっても良いが、これに限定されるものではない。
【0053】
本願の一具現例に係るイットリウム又はランタン族金属前駆体化合物を含む組成物を使用する蒸着方法は、蒸着チャンバ内に位置した基材にイットリウム又はランタン族金属化合物を含む前駆体組成物を気体状態で供給することによりイットリウム又はランタン族金属含有酸化膜を形成することを含んでいるが、これに限定されるものではない。上記膜の蒸着方法は、本発明の技術分野において公知の方法、装置などを利用しても良く、必要に応じて、1つ以上の追加反応気体を共に利用して行われても良い。上記基材としては、シリコン半導体ウェハ、化合物半導体ウェハ、プラスチック基板(PI、PET、PES)を使用しても良いが、これに限定されるものではない。孔や溝のある基材を使用しても良く、表面積の広い多孔質の基材を使用しても良い。
【0054】
本願の一具現例に係るイットリウム又はランタン族金属含有酸化膜を蒸着する際、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD)又は原子層蒸着法(ALD)により行われることを含んでいても良いが、これに限定されるものではない。上記有機金属化学気相蒸着法(MOCVD)又は原子層蒸着法(ALD)は、本技術分野において公知の蒸着装置、蒸着条件、追加反応気体などを利用して行われても良い。
【0055】
本願の一具現例において、上記本発明のイットリウム又はランタン族金属含有酸化膜蒸着用前駆体組成物及び上記膜蒸着用前駆体組成物を利用してイットリウム又はランタン族金属含有酸化膜を形成することを含む蒸着方法において、上記膜蒸着用前駆体組成物に含まれる本発明のイットリウム又はランタン族金属前駆体化合物は、低い粘度及び高い熱安定性に起因し、原子層蒸着法又は化学気相蒸着法の前駆体として使用することでイットリウム又はランタン族金属含有酸化膜を形成することができ、特に、表面にパターン(溝)のある基材又は多孔性基材、プラスチック基材上にも約100℃~約500℃、又は約250℃~約350℃の温度範囲で数μm~数十nm厚さのイットリウム又はランタン族金属含有酸化膜を均一に形成することができ、縦横比が約1~約50、約1~約100、又はそれ以上で、幅が約1μm~10nm又はそれ以下まで微細なパターン(溝)の最も深い所の表面及び上記微細な凹凸(溝)の上部表面を含む上記微細な凹凸(溝)の表面を含み、上記基材の全体表面上に数μm~数nm以下の厚さのイットリウム又はランタン族金属含有酸化膜を均一に形成できるという優れた効果を有する。
【0056】
本願の一具現例に係るイットリウム又はランタン族金属前駆体化合物を利用した薄膜蒸着方法は、反応チャンバ内に基板を収容した後、搬送ガス又は希釈ガスを使用して上記イットリウム又はランタン族金属含有前駆体化合物を基板上に移送し、約100℃~約500℃、約150℃~約450℃、約200℃~約400℃、又は約250℃~約350℃の広い範囲の蒸着温度でイットリウム又はランタン族金属含有酸化膜を蒸着することが好ましい。
【0057】
本願の一具現例に係る上記イットリウム又はランタン族金属含有膜の蒸着温度が約250℃~約350℃であるのは、メモリ素子及びロジッグなどの非メモリ素子に適用可能な工程温度が広いため、様々な分野への適用可能性が高く、温度によってイットリウム又はランタン族金属含有酸化膜のフィルム特性が異なっているので、広い温度範囲で使用可能なイットリウム又はランタン族金属前駆体化合物が必要となり、約250℃~約350℃の蒸着温度範囲で蒸着が行われることが好ましい。
【0058】
本願の一具現例において、上記搬送ガス又は希釈ガスとしては、アルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)又は水素(H)の中から選択される1つ又はそれ以上の混合ガスを使用することが好ましい。
【0059】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属前駆体化合物を基板上に受け渡す方式としては、前駆体を搬送ガスを利用して強制的に気化させるバブリング(Bubbling)方式、及び容器を加熱して前駆体の蒸気圧を上げ、気体状態で供給するバイパス(Bypass)方式を含む様々な供給方式が適用可能であるが、蒸気圧が低い場合は、容器を加熱して気化させるBypass方式が使用されても良い。上記イットリウム又はランタン族金属前駆体化合物をバブラー容器又はVFC容器に入れ、約0.1~約10torrの蒸気圧、常温~約150℃の温度範囲で搬送ガスを利用してバブリング又は容器を加熱し、前駆体を気体状態で搬送してチャンバ内に供給する方式が使用されても良い。最も好ましくは、上記イットリウム又はランタン族金属前駆体化合物を、容器を加熱して気体状態で供給するBypass方式が使用されても良い。
【0060】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属前駆体化合物を気化させるために、アルゴン(Ar)又は窒素(N)ガスで搬送するか、熱エネルギー又はプラズマを利用するか、基板上にバイアスを印加することがさらに好ましい。
【0061】
本願の一具現例において、上記薄膜は、イットリウム又はランタン族金属以外に他の金属を含む複合酸化膜であっても良い。例えば、ハフニウム又はジルコニウムを含む下記組成の複合酸化膜であっても良いが、これに限定されるものではない:
Hf-Y-O、Zr-Y-O、Hf-Al-Y-O、Zr-Hf-Al-Y-O、Zr-Hf-Y-Si-O、Zr-Hf-Al-Y-Si-O、Hf-La-O、Zr-La-O、Hf-Al-La-O、Zr-Hf-Al-La-O、Zr-Hf-La-Si-O、Zr-Hf-Al-La-Si-O、Hf-Gd-O、Zr-Gd-O、Hf-Al-Gd-O、Zr-Hf-Al-Gd-O、Zr-Hf-Gd-Si-O、又はZr-Hf-Al-Gd-Si-O。
【0062】
本願の一具現例において、上記イットリウム又はランタン族金属含有酸化膜又は複合酸化膜を蒸着するために、反応ガスとして、水蒸気(HO)、酸素(O)、酸素プラズマ(O Plasma)、酸化窒素(NO、NO)、酸化窒素プラズマ(NO Plasma)、過酸化水素水(H)、及びオゾン(O)より選択される1つ又は2つ以上の混合物を使用することが好ましい。
【0063】
以下、本願について実施例を参照しながらより具体的に説明するが、下記実施例は本願の理解を助けるために例示するだけであり、本願の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0064】
[実施例]
<製造例1>N,N’-イソプロピルプロピオンイミドアミド(CHCHNC(CHCH)NHCH(CHの製造
500mLのシュレンクフラスコにオルトプロピオン酸トリエチル(triethyl ortho-propionate)152g(0.862mol)とイソプロピルアミン(isopropylamine)102g(1.725mol)を入れた後、酢酸(acetic acid)51.8g(0.862mol)を徐々に滴加し、20時間170℃以上で還流した。
【0065】
上記反応が完了した後、減圧下で溶媒を除去し、ジエチルエーテル(diethylether)と水酸化ナトリウム(NaOH)1.1eq水溶液で抽出し、減圧下で溶媒を除去し、減圧下で蒸留することで、無色の透明液体化合物97.6g(72%)が得られた。
【0066】
<実施例1>
ビス-n-プロピルシクロペンタジエニル-N,N’-イソプロピル-エチルアミジナートイットリウム[Cp(CHCHY[(CHCHNC(CHCH)NCH(CH]の製造
火炎乾燥した500mLのシュレンクフラスコにナトリウムアミド(sodium amide)を入れた後、室温を維持した。上記フラスコにTHF250mL及びn-プロピルシクロペンタジエン(n-propylcyclopentadiene)を徐々に滴加した後、20時間常温で撹拌することで、n-プロピルシクロペンタジエニルナトリウム(n-propyl-cyclopentadienyl sodium)を製造した。
【0067】
火炎乾燥した1Lのシュレンクフラスコにイットリウム(III)クロリド(yttrium(III)chloride)30g(0.154mol)とn-ヘキサン(n-hexane、C14)200mLを入れた後、室温を維持した。上記フラスコに合成されたn-プロピルシクロペンタジエニルナトリウム(n-propylcyclopentadienyl sodium)を徐々に滴加した後、反応溶液を20時間常温で撹拌させてブレンドしながらイットリウム(III)クロリド及びn-プロピルシクロペンタジエニルナトリウムを反応させることで、トリス(n-プロピルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)溶液を製造した。
【0068】
500mLのフラスコにn-ブチルリチウム(n-BuLi、23%)34.2g(0.123mol)とn-ヘキサン(n-hexane、C14)200mLを入れた後、上記製造例1で準備したN,N’-イソプロピルプロピオンイミドアミド[(CHCHNC(CHCH)NHCH(CH]19.2g(0.123mol)を徐々に滴加した後、反応溶液を3時間常温で撹拌させることで、リチウムアミジナート(lithium amidinate)を合成した。
【0069】
上記製造されたトリス(n-プロピル-シクロペンタジエニル)イットリウム(III)に上記製造されたリチウムアミジナート(lithium amidinate)を徐々に滴加し、20時間還流した。
【0070】
上記反応が完了した後、減圧下で溶媒を除去し、減圧下で蒸留することで、下記化学式1で表される黄色の液体化合物47g(67%)が得られた。
【0071】
【化1】
H-NMR(400MHz、C、25℃):δ6.128、6.057(m、8H-NMR(400MHz、C、25℃):δ6.128、6.057(m、8H、C -(CHCH)、δ3.351(m、2H、(CHNC(CHCH)NC(CH)、δ2.532(t、4H、C-C CHCH)、δ1.979(q、2H、(CHCHNC(C CH)NCH(CH)、δ1.653(m、4H、C-CH CH)、δ1.001(d、12H、(C CHNC(CHCH)NCH(C )、δ0.969(t、6H、C-CHCH )、δ0.915(t、3H、(CHCHNC(CH )NCH(CH
【0072】
<実施例2>
ビス-n-プロピルシクロペンタジエニル-N,N’-イソプロピル-エチルアミジナートガドリニウム[Cp(CHCH]Gd[(CHCHNC(CHCH)NCH(CH]の製造
火炎乾燥した500mLのシュレンクフラスコにナトリウムアミド(sodium amide)を入れた後、室温を維持した。上記フラスコにTHF250mL及びn-プロピルシクロペンタジエン(n-propylcyclopentadiene)を徐々に滴加した後、20時間常温で撹拌することで、n-プロピルシクロペンタジエニルナトリウム(n-propyl-cyclopentadienyl sodium)を製造した。
【0073】
火炎乾燥した1Lのシュレンクフラスコにガドリニウム(III)クロリド(gadolinium(III)chloride)50g(0.190mol)とn-ヘキサン(n-hexane、C14)200mLを入れた後、室温を維持した。上記フラスコに合成されたn-プロピルシクロペンタジエニルナトリウム(n-propylcyclopentadienyl sodium)を徐々に滴加した後、反応溶液を20時間常温で撹拌することで、トリス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ガドリニウム(III)溶液を製造した。
【0074】
500mLのフラスコにn-ブチルリチウム(n-BuLi、23%)42.3g(0.152mol)とn-ヘキサン(n-hexane、C14)200mLを入れた後、上記製造例1で製造したN,N’-イソプロピルプロピオンイミドアミド[(CHCHNC(CHCH)NHCH(CH]23.7g(0.152mol)を徐々に滴加した後、反応溶液を3時間常温で撹拌させることで、リチウムアミジナート(lithium amidinate)を製造した。
【0075】
合成されたトリス(n-プロピル-シクロペンタジエニル)ガドリニウム(III)に上記合成されたリチウムアミジナート(lithium amidinate)を徐々に滴加し、20時間還流した。
【0076】
上記反応が完了した後、減圧下で溶媒を除去し、減圧下で蒸留することで、下記化学式2で表される黄色の液体化合物58.7g(59.5%)が得られた。
【0077】
【化2】
【0078】
<比較例1>
ビス-エチルシクロペンタジエニル-N,N’-イソプロピル-エチルアミジナートイットリウム(EtCp)Y[PrNC(Et)NPr]の製造
火炎乾燥した500mLのシュレンクフラスコにナトリウムアミド(sodium amide)を入れた後、室温を維持した。上記フラスコにTHF250mL及びエチルシクロペンタジエン(ethylcyclopentadiene)63.7g(0.676mol)を徐々に滴加した後、20時間常温で撹拌することで、エチルシクロペンタジエニルナトリウム(ethyl-cyclopentadienyl sodium)を製造した。
【0079】
火炎乾燥した1Lのシュレンクフラスコにイットリウム(III)クロリド(yttrium(III)chloride)40g(0.205mol)及びn-ヘキサン(n-hexane、C14)200mLを入れた後、室温を維持した。上記フラスコに合成されたエチルシクロペンタジエニルナトリウム(ethylcyclopentadienyl sodium)を徐々に滴加した後、反応溶液を20時間常温で撹拌させることで、トリス(エチルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)溶液を製造した。
【0080】
他の500mLのフラスコにn-ブチルリチウム(n-BuLi、23%)45.6g(0.164mol)とn-ヘキサン(n-hexane、C14)200mLを入れた後、上記製造例1で製造したN,N’-イソプロピルプロピオンイミドアミド[(CHCHNC(CHCH)NHCH(CH]25.6g(0.164mol)を徐々に滴加した後、反応溶液を3時間常温で撹拌させることで、リチウムアミジナート(lithium amidinate)溶液を準備した。上記リチウムアミジナート(lithium amidinate)溶液を1Lのシュレンクフラスコに準備したトリス(エチルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)溶液に徐々に滴加し、20時間還流した。
【0081】
上記反応が完了した後、減圧下で溶媒を除去し、減圧下で蒸留することで、下記化学式3で表される黄色の固体化合物52g(59%)が得られた。
【0082】
【化3】
融点(mp)36℃(760torr);
H-NMR(400MHz、C、25℃):δ6.107、6.057(m、8H、C -CHCH)、δ3.337(m、2H、(CHNC(CHCH)NC(CH)、δ2.552(q、4H、C-C CH)、δ1.969(q、2H、(CHCHNC(C CH)NCH(CH)、δ1.237(t、6H、C-CH )、δ0.988(d、12H、(C CHNC(CHCH)NCH(C )、δ0.896(t、3H、(CHCHNC(CH )NCH(CH
【0083】
比較例1のイットリウム前駆体化合物は、常温で固体であるため、実施例1のイットリウム前駆体化合物に比べて半導体の大量生産での使用には不利である。
【0084】
<実施例3>
ビス-イソプロピルシクロペンタジエニル-N,N’-イソプロピルエチルアミジナートイットリウム(PrCp)Y[PrNC(Et)NPr]の製造
火炎乾燥した500mLのシュレンクフラスコにナトリウムアミド(sodium amide)を入れた後、室温を維持した。上記フラスコにTHF250mL及びイソプロピルシクロペンタジエン(isopropylcyclopentadiene)を徐々に滴加した後、20時間常温で撹拌することで、イソプロピルシクロペンタジエニルナトリウム(isopropylcyclopentadienyl sodium)を製造した。
【0085】
火炎乾燥した1Lのシュレンクフラスコにイットリウム(III)クロリド(yttrium(III)chloride)30g(0.154mol)とn-ヘキサン(n-hexane、C14)200mLを入れた後、室温を維持した。上記フラスコに合成されたイソプロピルシクロペンタジエニルナトリウム(isopropylcyclopentadienyl sodium)を徐々に滴加した後、反応溶液を20時間常温で撹拌させてブレンドしながらイットリウム(III)クロリド及びイソプロピルシクロペンタジエニルナトリウムを反応させることで、トリス(イソプロピルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)溶液を製造した。
【0086】
500mLのフラスコにn-ブチルリチウム(n-BuLi、23%)34.2g(0.123mol)とn-ヘキサン(n-hexane、C14)200mLを入れた後、上記製造例1で合成したN,N’-イソプロピルプロピオンイミドアミド[(CHCHNC(CHCH)NHCH(CH]19.2g(0.123mol)を徐々に滴加した後、反応溶液を3時間常温で撹拌させることで、リチウムアミジナート(lithium amidinate)を合成した。
【0087】
合成されたトリス(イソプロピルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)に上記合成されたリチウムアミジナート(lithium amidinate)を徐々に滴加し、20時間還流した。
【0088】
上記反応が完了した後、減圧下で溶媒を除去し、減圧下で蒸留することで、下記化学式4で表される黄色の液体化合物47.7g(68%)が得られた。
【0089】
【化4】
H-NMR(400MHz、C、25℃):δ6.158、6.098(m、8H、C -CH(CH)、δ3.359(m、2H、(CHNC(CHCH)NC(CH)、δ2.960(m、2H、C-C(CH)、δ1.984(q、2H、(CHCHNC(C CH)NCH(CH)、δ1.293(d、12H、C-CH(C )、δ1.021(d、12H、(C CHNC(CHCH)NCH(C )、δ0.909(t、3H、(CHCHNC(CH )NCH(CH
【0090】
<実施例4>
ビス-イソプロピルシクロペンタジエニル-N,N’-イソプロピルエチルアミジナートガドリニウム(PrCp)Gd[PrNC(Et)NPr]の製造
火炎乾燥した500mLのシュレンクフラスコにナトリウムアミド(sodium amide)を入れた後、室温を維持した。上記フラスコにTHF250mL及びイソプロピルシクロペンタジエン(isopropylcyclopentadiene)を徐々に滴加した後、20時間常温で撹拌することで、イソプロピルシクロペンタジエニルナトリウム(isopropylcyclopentadienyl sodium)を製造した。
【0091】
火炎乾燥した1Lのシュレンクフラスコにガドリニウム(III)クロリド(gadolinium(III)chloride)30g(0.114mol)とn-ヘキサン(n-hexane、C14)200mLを入れた後、室温を維持した。上記フラスコに合成されたイソプロピルシクロペンタジエニルナトリウム(isopropylcyclopentadienyl sodium)を徐々に滴加した後、反応溶液を20時間常温で撹拌させることで、トリス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ガドリニウム(III)溶液を製造した。
【0092】
500mLのフラスコにn-ブチルリチウム(n-BuLi、23%)25.4g(0.091mol)とn-ヘキサン(n-hexane、C14)200mLを入れた後、製造例1で合成したN,N’-イソプロピルプロピオンイミドアミド[(CHCHNC(CHCH)NHCH(CH]14.2g(0.091mol)を徐々に滴加した後、反応溶液を3時間常温で撹拌させることで、リチウムアミジナート(lithium amidinate)を合成した。
【0093】
合成されたトリス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ガドリニウム(III)に上記合成されたリチウムアミジナート(lithium amidinate)を徐々に滴加し、20時間還流した。
【0094】
上記反応が完了した後、減圧下で溶媒を除去し、減圧下で蒸留することで、下記化学式5で表される黄色の液体化合物36g(60.8%)が得られた。
【0095】
【化5】
【0096】
<比較例2>
ビス-イソプロピルシクロペンタジエニル-N,N’-イソプロピルメチルアミジナートイットリウム(PrCp)Y[PrNC(Me)NPr]の製造
エチルに代えてメチルが置換されたN,N’-イソプロピルメチルアミジンを使用したことを除いては実施例3と同一な合成方法でビス-イソプロピルシクロペンタジエニル-N,N’-イソプロピルメチルアミジナートイットリウム(PrCp)Y[PrNC(Me)NPr]を製造した。
【0097】
<実験例1>
前駆体化合物の粘度の比較
既存に知られている比較例2の(PrCp)Y(Pr-N-C(Me)=N-Pr)前駆体化合物と本発明の実施例1(PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)、実施例2(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)前駆体化合物の粘度を下記[表1]で比較した。N,N’-イソプロピル-メチルアミジナート(Pr-N-C(Me)=N-Pr)リガンドを含む前駆体化合物(PrCp)Y(Pr-N-C(Me)=N-Pr)(比較例2)は粘度が81cPに測定されたが、N,N’-イソプロピル-エチルアミジナート(Pr-N-C(Et)=N-Pr)リガンドを含む本発明の前駆体化合物である(PrCp)Y(Pr-N-C(Et)=N-Pr)(実施例1)の粘度が69cP、(PrCp)Gd(Pr-N-C(Et)=N-Pr)(実施例2)の粘度が68cPに測定された。
【0098】
【表1】
【0099】
ALD又はCVD前駆体が入れられた容器を加熱し気化させて使用する際、前駆体の蒸気圧が低く粘度が高い場合、前駆体が気体供給配管やバルブのDead Spaceに残留し得る。高温に加熱した瞬間気化器(flash evaporator)にALD又はCVD前駆体を液状で注入して瞬間的に気化させる場合、粘度が高ければ気化器の目詰まり(Clogging)現象が発生し易い。また、粘度が高過ぎる液体は液体を移送する液体定量ポンプに使用することができない。
【0100】
液体移送装置と瞬間気化器を使用するALD又はCVD装置において、液体を移送するポンプに使用できる液体の粘度を下げなければならない場合、例えば9cP以下に維持する必要があるとすれば、粘度の高い前駆体に粘度の低い液体(溶媒)を混ぜることで粘度を下げる必要がある。低粘度液体を入れ過ぎると、粘度を下げた混合物における前駆体の含量が相対的に低くなり、同じ体積の液体を気化させる際に前駆体の気体供給量が少なくなる。よって、粘度を調整する必要がある場合、低粘度液体を少なく混合する方が有利である。本願の実施例1及び実施例2に係る前駆体化合物は、既存に知られている比較例2の前駆体よりも粘度が低いため、ALD又はCVD前駆体として使用するのにより有利である。
【0101】
オクタンを低粘度液体(溶媒)に使用して混合物の粘度を8.5±0.5cPに調整するために必要なオクタンの混合割合を下記[表2]と図1に示した。表2と図1によれば、実施例1及び実施例2の前駆体化合物は、比較例2の前駆体化合物よりもオクタンを少なく混合しても、混合物の粘度を8.5±0.5cPに下げることができる。
【0102】
【表2】
【0103】
<実験例2>
イットリウム前駆体化合物の基材温度に応じた酸化膜蒸着特性
実施例1及び3の方法により製造されたイットリウム前駆体化合物を使用して原子蒸着法(ALD-Atomic Layer Deposition)工程を進行した。反応ガスとしては、酸素源であるOを使用した。先ず、硫酸(HSO)と過酸化水素水(H)とを4:1に混合したピラニア(piranha)溶液にシリコンウェハを10分間浸して取り出した後、薄いHF水溶液に約2分間浸してシリコン表面の酸化膜を除去してから原子層蒸着法(ALD)でイットリウム酸化物薄膜を製造した。
【0104】
基材温度に応じた蒸着特性を測定するために、300℃、310℃、320℃、340℃の温度に基材を加熱してALD工程を進行した。イットリウム前駆体化合物は、ステンレススチール材質の容器に入れ、150℃の温度に加熱して使用した。このとき、ALD反応器の工程圧力を1torrに維持した。アルゴン(Ar)ガスを300sccmの流速でイットリウム前駆体化合物が入れられたステンレススチール容器に通過させ、イットリウム前駆体化合物の気体をALD反応器に供給した。イットリウム前駆体供給3秒、パージ10秒、O供給10秒、パージ5秒のALD気体周期100回を繰り返し、各基材温度においてイットリウム酸化膜を蒸着した。酸化膜の厚さを測定することで得られたALD気体の供給周期当たりの膜成長(growth per cycle、GPC)を基材温度によって図2に示した。実施例1及び実施例3のイットリウム前駆体が全て、300℃~340℃の温度区間におけるGPCが約0.3Å/cycleと一定に示された。
【0105】
広い温度範囲でGPCが一定であれば、温度の変化にもかかわらず蒸着した膜の厚さが一定となり、半導体の製造においてALDを適用する際に有利である。半導体素子は微細化され続けており、ディーラム(DRAM)キャパシタの誘電膜の厚さが次第に薄くなり、広い温度範囲で厚さが一定な膜を形成する必要がある。よって、図2から確認されたように、本発明の実施例1及び実施例3のイットリウム前駆体は、広い温度範囲でGPCが一定であるので、温度変化に応じてGPCが一定でない従来のイットリウム前駆体よりも、ALD工程によって微細で且つ均一な厚さの調節が必要なイットリウム酸化物(Y)を蒸着するのに有利である。
【0106】
<実験例3>
イットリウム前駆体化合物における前駆体の供給時間による酸化膜蒸着特性
上記実験例2と同じ条件においてイットリウム酸化膜を製造するが、基材温度を300℃に固定し、ALD気体供給周期においてイットリウム前駆体の供給時間をそれぞれ3秒の代わりに1秒、5秒、7秒に変更したALD気体供給周期を100回繰り返してイットリウム酸化膜を蒸着し、膜厚を測定することで得られたGPCを図3に示した。理想的なALD条件では、前駆体の供給時間を増加させてもGPCが一定でなければならない。前駆体化合物が熱的に安定していない温度でALDを進行すれば、前駆体の供給時間を増加させる際に膜厚が増加する現象が現われる。
【0107】
図3において、実施例1及び実施例3のイットリウム前駆体の何れも、前駆体の供給時間3秒以上でGPCが一定であることが分かる。縦横比(Aspect Ratio)が非常に大きい(50以上)半導体ディーラム(DRAM)キャパシタに一定厚さの膜を形成するには、前駆体の供給時間が増加しても膜厚が増加しない前駆体が必要である。縦横比が大きく、実際の表面積が見掛表面積よりも大きい基材に十分な量の前駆体を供給するために前駆体の供給時間を長くする必要がある場合、前駆体の供給時間が増加する際に膜厚が増加する前駆体を使用すれば、縦横比が大きい溝の上部と下部の底に同じ厚さの膜を形成することができない。よって、図3で確認されたように、本発明の実施例1及び実施例3のイットリウム前駆体は、前駆体の供給時間を増加させても膜厚が増加しないので、前駆体の供給時間を増加させる際に膜厚が増加する従来のイットリウム前駆体よりも縦横比が大きい構造に一定厚さの膜を形成するのに有利であり、半導体ディーラムのキャパシタを形成するのに使用することができる。
【0108】
上述した本願の説明は例示のためのものであり、本願の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本願の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されても良く、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されても良い。
【0109】
本願の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本願の範囲に含まれると解釈されなければならない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】