(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】電荷フィルタ装置およびその応用
(51)【国際特許分類】
H01J 49/42 20060101AFI20230227BHJP
H01J 49/02 20060101ALI20230227BHJP
H01J 49/06 20060101ALI20230227BHJP
H01J 49/00 20060101ALI20230227BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20230227BHJP
G01N 27/622 20210101ALI20230227BHJP
【FI】
H01J49/42 150
H01J49/02 500
H01J49/06 100
H01J49/42 700
H01J49/00 450
H01J49/00 360
H01J49/00 310
G01N27/62 E
G01N27/622
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537360
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 US2020065300
(87)【国際公開番号】W WO2021126971
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520477485
【氏名又は名称】ザ・トラスティーズ・オブ・インディアナ・ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ジャロルド,マーティン・エフ
(72)【発明者】
【氏名】クレマー,デヴィッド・イー
【テーマコード(参考)】
2G041
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041CA02
2G041EA05
2G041GA08
2G041GA29
2G041HA03
2G041KA03
(57)【要約】
電荷フィルタ器具は、フィールドフリードリフト領域と、軸方向にドリフトするイオンが通過するドリフト領域における複数の電荷検出シリンダーと、それぞれが少なくとも1つの電荷検出シリンダーに結合され、通過するイオンのうちの1つまたは複数のイオンの電荷に対応する電荷検出信号を生成するように構成された複数の電荷増幅器と、ドリフト領域の出口端に結合された単一入口および単一出口電荷偏向器または単一入口-複数出口電荷駆動デバイスと、電荷検出信号に基づいてドリフト領域を通って軸方向にドリフトするイオンの電荷の大きさまたは電荷状態を決定する手段と、所定の電荷の大きさまたは電荷状態を有するイオンのみを、単一出口、または複数出口のうちの所定の出口を通過させるように電荷偏向器または電荷駆動デバイスを制御する手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口端と、前記入口端の反対側の出口端とを有し、前記入口端が、前記入口端からドリフト領域を通って前記出口端へ軸方向にドリフトするイオンを受け取るために、イオン源に結合されるように構成される、電気的フィールドフリードリフト領域と、
前記ドリフト領域を通って軸方向にドリフトするイオンが通過する前記ドリフト領域に配置される、離れて配置された複数の電荷検出シリンダーと、
それぞれが前記複数の電荷検出シリンダーの少なくとも1つに結合され、それぞれが前記複数の電荷検出シリンダーのうちのそれぞれの少なくとも1つを通過するイオンのうちの1つまたは複数のイオンの電荷の大きさに対応する電荷検出信号を生成するように構成された複数の電荷増幅器と、
単一入口および単一出口を有する電荷偏向器と、単一入口および複数出口を有し、前記ドリフト領域の前記出口端に結合された電荷駆動デバイスとの一方と、
前記複数の電荷増幅器の少なくともいくつかによって生成された前記電荷検出信号に基づいて、前記ドリフト領域を通って軸方向にドリフトするイオンの電荷の大きさまたは電荷状態を決定する手段と、
所定の電荷の大きさまたは電荷状態を有するイオンのみを前記単一出口と、前記複数出口のうちの所定の出口とのうちの対応する出口を通過させるために、前記電荷偏向器と前記電荷駆動デバイスとの前記一方を制御する手段と
を備える電荷フィルタ器具。
【請求項2】
前記電荷偏向器と前記電荷駆動デバイスとの前記一方は前記電荷偏向器を備える、請求項1に記載の電荷フィルタ器具。
【請求項3】
前記電荷偏向器の前記単一出口に結合された入口を有する少なくとも1つのイオン測定器具をさらに備え、前記少なくとも1つのイオン測定器具は、前記電荷偏向器の前記単一出口を出るイオンの少なくとも1つの分子的特徴を測定するように構成された、請求項2に記載の電荷フィルタ器具。
【請求項4】
前記電荷偏向器の前記単一出口と前記少なくとも1つのイオン測定器具の前記入口との間に配置されたイオントラップであって、前記イオントラップは、前記電荷偏向器の前記単一出口を出るイオンをそこに捕捉するように構成された、イオントラップと、
前記イオントラップで捕捉されたイオンを前記少なくとも1つのイオン測定器具の前記イオン入口へ選択的に解放するように前記イオントラップを制御する手段と
をさらに備える、請求項3に記載の電荷フィルタ器具。
【請求項5】
生成された前記イオンが前記ドリフト領域を通って前記ドリフト領域の前記イオン出口端に向かって軸方向にドリフトするように、サンプルからイオンを生成して、生成された前記イオンを前記ドリフト領域の前記入口へ供給するように構成されたイオン発生器を備えるイオン源をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項6】
前記イオン源が、少なくとも1つの分子的特徴にしたがって生成された前記イオンを分離するための少なくとも1つの器具をさらに備える、請求項5に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項7】
前記イオン源は、通過するイオンを解離するように構成された少なくとも1つの解離段をさらに備える、請求項5または請求項6に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項8】
前記イオン源は、そこにイオンを捕捉し、捕捉されたイオンを選択的にそこから解放するように構成された少なくとも1つのイオントラップをさらに備える、請求項5から7のいずれか1項に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項9】
前記電荷偏向器および前記電荷駆動デバイスの前記一方は前記電荷駆動デバイスを備え、
前記電荷駆動デバイスを制御する手段は、第1の所定の電荷の大きさまたは電荷状態を有するイオンのみを前記複数出口のうちの第1の出口を通過させ、前記第1の所定の電荷の大きさまたは電荷状態とは異なる第2の所定の電荷の大きさまたは電荷状態を有するイオンのみを前記複数出口のうちの第2の出口を通過させるように前記電荷駆動デバイスを制御する手段である、
請求項1に記載の電荷フィルタ器具。
【請求項10】
前記電荷フィルタ器具は、前記電荷駆動デバイスのうちの前記複数出口の前記第1の出口に結合された入口を有する少なくとも第1のイオン測定器具をさらに備え、前記少なくとも第1のイオン測定器具は、前記電荷駆動デバイスの前記複数出口のうちの前記第1の出口を出たイオンの少なくとも1つの分子的特徴を測定するように構成され、
前記電荷フィルタ器具は、前記電荷駆動デバイスの前記複数出口のうちの前記第2の出口に結合された入口を有する少なくとも第2のイオン測定器具をさらに備え、前記少なくとも第2のイオン測定器具は、前記電荷駆動デバイスの前記複数出口のうちの前記第2の出口を出たイオンの少なくとも1つの分子的特徴を測定するように構成される、
請求項9に記載の電荷フィルタ器具。
【請求項11】
前記電荷フィルタ器具は、前記電荷駆動デバイスの前記複数出口のうちの前記第1の出口と、前記第1のイオン測定器具の前記入口との間に配置された第1のイオントラップをさらに備え、前記第1のイオントラップは、前記電荷駆動デバイスの前記複数出口のうちの前記第1の出口を出たイオンをその中に捕捉するように構成され、
前記電荷フィルタ器具は、前記イオントラップで捕捉されたイオンを前記第1のイオン測定器具の前記イオン入口へ選択的に解放するように前記第1のイオントラップを制御する手段と
をさらに備える、請求項10に記載の電荷フィルタ器具。
【請求項12】
前記電荷フィルタ器具は、前記電荷駆動デバイスの前記複数出口のうちの前記第2の出口と、前記第2のイオン測定器具の前記入口との間に配置された第2のイオントラップをさらに備え、前記第2のイオントラップは、前記電荷駆動デバイスの前記複数出口のうちの前記第2の出口を出たイオンをその中に捕捉するように構成され、
前記電荷フィルタ器具は、前記イオントラップで捕捉されたイオンを前記第2のイオン測定器具の前記イオン入口へ選択的に解放するように前記第2のイオントラップを制御する手段と
をさらに備える、請求項10または請求項11に記載の電荷フィルタ器具。
【請求項13】
生成された前記イオンが前記ドリフト領域を通って前記ドリフト領域の前記イオン出口端に向かって軸方向にドリフトするように、サンプルからイオンを生成して、生成された前記イオンを前記ドリフト領域の前記入口へ供給するように構成されたイオン発生器を備えるイオン源をさらに備える、請求項9から12のいずれか1項に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項14】
前記イオン源が、少なくとも1つの分子的特徴にしたがって生成された前記イオンを分離するための少なくとも1つの器具をさらに備える、請求項13に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項15】
前記イオン源は、通過するイオンを解離するように構成された少なくとも1つの解離段をさらに備える、請求項13または請求項14に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項16】
前記イオン源は、そこにイオンを捕捉し、捕捉されたイオンを選択的にそこから解放するように構成された少なくとも1つのイオントラップをさらに備える、請求項13から15のいずれか1項に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項17】
前記イオンフィルタ器具は、前記電荷駆動デバイスの前記複数出口のうちの前記第1の出口に結合された入口と出口とを有する第1のイオントラップをさらに備え、前記第1のイオントラップは、前記電荷駆動デバイスの前記複数出口のうちの前記第1の出口を出たイオンをそこに捕捉するように構成され、
前記イオンフィルタ器具は、前記電荷駆動デバイスの前記複数出口のうちの前記第2の出口に結合された入口と出口とを有する第2のイオントラップをさらに備え、前記第2のイオントラップは、前記電荷駆動デバイスの前記複数出口のうちの前記第2の出口を出たイオンをそこに捕捉するように構成され、
前記イオンフィルタ器具は、入口を有し、その前記入口を入ったイオンの少なくとも1つの分子的特徴を測定するように構成された少なくとも1つのイオン測定器具と、
前記第1のイオントラップの前記出口に結合された第1の入口と、前記第2のイオントラップの前記出口に結合された第2の入口と、前記少なくとも1つのイオン測定器具の前記入口に結合された出口とを有するイオン駆動回路と、
(i)そこに捕捉されたイオンを前記イオン駆動回路の前記第1のイオン入口および前記イオン駆動回路へ選択的に解放し、前記第1のイオントラップの前記出口を出たイオンを前記少なくとも1つのイオン測定器具の前記入口へ選択的に通過させる前記第1のイオントラップと、(ii)そこに捕捉されたイオンを前記イオン駆動回路の前記第2のイオン入口および前記イオン駆動回路へ選択的に解放し、前記第2のイオントラップの前記出口を出たイオンを前記少なくとも1つのイオン測定器具の前記入口へ選択的に通過させる前記第2のイオントラップと、を制御する手段と、
をさらに備える、請求項9に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項18】
生成された前記イオンが前記ドリフト領域を通って前記ドリフト領域の前記イオン出口端に向かって軸方向にドリフトするように、サンプルからイオンを生成して、生成された前記イオンを前記ドリフト領域の前記入口へ供給するように構成されたイオン発生器を備えるイオン源をさらに備える、請求項17に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項19】
前記イオン源が、少なくとも1つの分子的特徴にしたがって生成された前記イオンを分離するための少なくとも1つの器具をさらに備える、請求項18に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項20】
前記イオン源は、通過するイオンを解離するように構成された少なくとも1つの解離段をさらに備える、請求項18または請求項19に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項21】
前記イオン源は、そこにイオンを捕捉し、捕捉されたイオンを選択的にそこから解放するように構成された少なくとも1つのイオントラップをさらに備える、請求項18から20のいずれか1項に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項22】
前記電気的フィールドフリードリフト領域は第1の電気的フィールドフリードリフト領域であり、前記複数の電荷検出シリンダーは第1の複数の電荷検出シリンダーであり、前記複数の電荷増幅器は第1の複数の電荷増幅器であり、電荷偏向器および電荷駆動デバイスの前記一方は第1の電荷偏向器および第1の電荷駆動デバイスの一方であり、電荷の大きさまたは電荷状態を決定する前記手段は電荷の大きさまたは電荷状態を決定する第1の手段であり、制御する前記手段は、制御する第1の手段であり、
前記第1の電気的フィールドフリードリフト領域、前記第1の複数の電荷検出シリンダー、前記第1の複数の電荷増幅器、前記第1の電荷偏向器および前記第1の電荷駆動デバイスの前記一方、電荷の大きさまたは電荷状態を決定する前記第1の手段、および制御する前記第1の手段を備える前記イオンフィルタ器具は、第1の電荷フィルタ器具であり、
前記イオンフィルタ器具は、
前記第1の電荷フィルタ器具と同一の第2のイオンフィルタ器具と、
前記単一出口と、前記第1の電荷偏向器および前記第1の電荷駆動デバイスの対応する一方の前記複数出口のうちの前記所定の出口との前記一方と、前記第2のイオンフィルタ器具の第2の電気的フィールドフリードリフト領域の第2の入口との間に配置された少なくとも1つのイオン処理段と、をさらに備える、
請求項1に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項23】
前記少なくとも1つのイオン処理段は、(i)少なくとも1つの分子的特徴にしたがってイオンを時間的に分離するための少なくとも1つの器具と、(ii)所定の分子的特徴を有する、または分子的特徴の所定の範囲内に分子的特徴を有するイオンのみを通過させるように構成された少なくとも1つのイオンフィルタと、(iii)そこに選択的にイオンを捕捉し、そこから選択的にイオンを解放するように構成された少なくとも1つのイオントラップと、(iv)そこを通過するイオンを解離させるように構成された少なくとも1つの解離段とのうちの少なくとも1つを備える、
請求項22に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項24】
生成された前記イオンが前記ドリフト領域を通って前記ドリフト領域の前記イオン出口端に向かって軸方向にドリフトするように、サンプルからイオンを生成して、生成された前記イオンを前記ドリフト領域の前記入口へ供給するように構成されたイオン発生器を備えるイオン源をさらに備える、請求項22または請求項23に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項25】
前記イオン源が、少なくとも1つの分子的特徴にしたがって生成された前記イオンを分離するための少なくとも1つの器具をさらに備える、請求項24に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項26】
前記イオン源は、通過するイオンを解離するように構成された少なくとも1つの解離段をさらに備える、請求項24または請求項25に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項27】
前記イオン源は、そこにイオンを捕捉し、捕捉されたイオンを選択的にそこから解放するように構成された少なくとも1つのイオントラップをさらに備える、請求項24から26のいずれか1項に記載のイオンフィルタ器具。
【請求項28】
入口端と、前記入口端の反対側の出口端とを有し、前記入口端が、前記入口端からドリフト領域を通って前記出口端へ軸方向にドリフトするイオンを受け取るために、イオン源に結合されるように構成される、電気的フィールドフリードリフト領域と、
前記ドリフト領域を通って軸方向にドリフトするイオンが通過する前記ドリフト領域に配置される、離れて配置された複数の電荷検出シリンダーと、
それぞれが前記複数の電荷検出シリンダーの少なくとも1つに結合され、それぞれが前記複数の電荷検出シリンダーのうちのそれぞれの少なくとも1つを通過するイオンのうちの1つまたは複数のイオンの電荷の大きさに対応する電荷検出信号を生成するように構成された複数の電荷増幅器と、
単一入口および単一出口を有する電荷偏向器と、単一入口および複数出口を有し、前記ドリフト領域の前記出口端に結合された電荷駆動デバイスとの一方と、
前記電荷偏向器および前記電荷駆動デバイスの前記一方に動作可能に結合された少なくとも1つの電圧出力を有する少なくとも1つの電圧源と、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が格納された少なくとも1つのメモリであって、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに、
(a)イオンが前記フィールドフリードリフト領域を通ってその前記出口端に向かって軸方向にドリフトする時に前記複数の電荷増幅器のうちの少なくともいくつかによって生成された前記電荷検出信号を監視させ、
(b)監視された前記電荷検出信号に基づいて前記フィールドフリードリフト領域を通って軸方向にドリフトするイオンの電荷の大きさまたは電荷状態を決定させ、
(c)前記電荷偏向器と前記電荷駆動デバイスとの前記少なくとも一方に、所定の電荷の大きさまたは電荷状態を有するイオンのみを前記単一出口と、前記複数出口の所定の出口との対応する出口を通過させるために、前記少なくとも1つの電圧源の前記少なくとも1つの電圧出力を制御させる、少なくとも1つのメモリと
を備えるイオンフィルタ器具。
【請求項29】
前記少なくとも1つのメモリに格納された前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに、
その立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジによって定義される、監視された前記電荷検出信号のエッジイベントを監視することによって、さらに監視された前記電荷検出信号の隣り合ったエッジイベント間の信号の大きさを監視することによって、前記複数の電荷増幅器によって生成された前記電荷検出信号を監視させ、
前記フィールドフリードリフト領域を通って軸方向にドリフトする前記イオンの少なくともいくつかのそれぞれの電荷の大きさまたは電荷状態を、
(i)前記電荷検出シリンダーうちのそれぞれの対応する電荷検出シリンダーへ前記イオンが入ったことと、そこから前記イオンが出たこととを識別するために、前記複数の電荷増幅器のそれぞれの連続する電荷増幅器によって生成された前記電荷検出信号の前記エッジイベントを処理し、
(ii)前記電荷検出シリンダーのうちの対応する電荷検出シリンダーに対する前記イオンのそれぞれ連続する入出との間で、前記イオンの電荷の大きさまたは電荷状態を決定するために、前記電荷増幅器のうちの前記対応する電荷増幅器によって生成された前記電荷検出信号の信号の大きさを処理し、
(iii)前記電荷検出信号のうちの前記対応する電荷検出信号に基づいて前記イオンの電荷の大きさまたは電荷状態のそれぞれの連続した決定結果によって、前記イオンの電荷の大きさまたは電荷状態の前記決定結果を更新する
ことによって決定させる、
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令をさらに含む、請求項28に記載の電荷フィルタ器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2019年12月18日に出願された米国仮特許出願第62/949,555号に対してその利点および優先権を主張するものであり、その開示は、全体として参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、一般に、粒子電荷を測定し、それらの電荷に基づいてその粒子を選択的に濾過するように構成された器具に関し、さらに、そのような器具が実装され得る粒子測定デバイスまたはシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]スペクトロメトリー装置は、物質の1つまたは複数の分子的特徴を測定することによって、その物質の化学成分の識別を図る。いくつかのそのような器具は溶液における物質を分析するように構成され、その他は、気相の物質の荷電粒子を分析するように構成される。荷電粒子測定器具が粒子電荷を測定する機能、またはその電荷に基づいて粒子を処理する機能が欠落しているため、そのような多くの荷電粒子測定器具によって生成された分子情報は限定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本開示は、添付の特許請求の範囲に記載の1つまたは複数の特徴、および/または以下の特徴およびその組み合わせのうちの1つまたは複数を含む。一態様において、電荷フィルタ器具は、入口端と、入口端の反対側の出口端とを有し、入口端が、入口端からドリフト領域を通って出口端へ軸方向にドリフトするイオンを受け取るために、イオン源に結合されるように構成される、電気的フィールドフリードリフト領域と、ドリフト領域を通って軸方向にドリフトするイオンが通過するドリフト領域に配置される、離れて配置された複数の電荷検出シリンダーと、それぞれが複数の電荷検出シリンダーの少なくとも1つに結合され、それぞれが複数の電荷検出シリンダーのうちのそれぞれの少なくとも1つを通過するイオンのうちの1つまたは複数のイオンの電荷の大きさに対応する電荷検出信号を生成するように構成された複数の電荷増幅器と、単入口単出口を有する電荷偏向器と、単入口複数出口を有し、ドリフト領域の出口端に結合された電荷駆動デバイスとの一方と、複数の電荷増幅器の少なくともいくつかによって生成された電荷検出信号に基づいて、ドリフト領域を通って軸方向にドリフトするイオンの電荷の大きさまたは電荷状態を決定する手段と、所定の電荷の大きさまたは電荷状態を有するイオンのみを単出口と、複数出口のうちの所定の出口とのうちの対応する出口を通過させるために、電荷偏向器と電荷駆動デバイスとの一方を制御する手段とを備え得る。
【0005】
[0005]他の態様において、イオンフィルタ器具は、入口端と、入口端の反対側の出口端とを有し、入口端が、入口端からドリフト領域を通って出口端へ軸方向にドリフトするイオンを受け取るために、イオン源に結合されるように構成される、電気的フィールドフリードリフト領域と、ドリフト領域を通って軸方向にドリフトするイオンが通過するドリフト領域に配置される、離れて配置された複数の電荷検出シリンダーと、それぞれが複数の電荷検出シリンダーの少なくとも1つに結合され、それぞれが複数の電荷検出シリンダーのうちのそれぞれの少なくとも1つを通過するイオンのうちの1つまたは複数のイオンの電荷の大きさに対応する電荷検出信号を生成するように構成された複数の電荷増幅器と、単入口単出口を有する電荷偏向器と、単入口複数出口を有し、ドリフト領域の出口端に結合された電荷駆動デバイスとの一方と、電荷偏向器および電荷駆動デバイスの一方に動作可能に結合された少なくとも1つの電圧出力を有する少なくとも1つの電圧源と、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が格納された少なくとも1つのメモリであって、命令は、少なくとも1つのプロセッサに、(a)イオンがフィールドフリードリフト領域を通ってその出口端に向かって軸方向にドリフトする時に複数の電荷増幅器のうちの少なくともいくつかによって生成された電荷検出信号を監視させ、(b)監視された電荷検出信号に基づいてフィールドフリードリフト領域を通って軸方向にドリフトするイオンの電荷の大きさまたは電荷状態を決定させ、(c)電荷偏向器と電荷駆動デバイスとの少なくとも一方に、所定の電荷の大きさまたは電荷状態を有するイオンのみを単出口と、複数出口の所定の出口との対応する出口を通過させるために、少なくとも1つの電圧源の少なくとも1つの電圧出力を制御させる、少なくとも1つのメモリとを備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】所定の電荷を有するイオンを選択的に通過させることによって、または異なるそれぞれのイオン移動経路に沿って異なる所定の電荷を有するイオンを選択的に駆動することによって、イオン電荷に応じてイオンを濾過するように構成された電荷フィルタ装置の簡略図である。
【
図2A】
図2Aは、フィールドフリードリフト領域において軸方向に配置された3つの電荷検出シリンダーを備える
図1の電荷フィルタ装置の説明的な例の一部の簡略図であり、荷電粒子Pが時刻T1に第1の電荷検出シリンダーに入り、時刻T2>T1に第1の電荷検出シリンダーを出る例を示す。
【
図2B】
図2Bは、
図2Aに類似した簡略図であり、例示的な荷電粒子Pが時刻T3>T2に第2の電荷検出シリンダーに入り、時刻T4>T3に第2の電荷検出シリンダーを出る例を示す。
【
図2C】
図2Cは、
図2Aおよび
図2Bに類似した簡略図であり、例示的な荷電粒子Pが時刻T5>T4に第3の電荷検出シリンダーに入り、時刻T6>T5に第3の電荷検出シリンダーを出る例を示す。
【
図2D】
図2Dは、
図2A~
図2Cに類似した簡略図であり、例示的な荷電粒子Pが時刻T7>T6に電荷フィルタ装置の電荷偏向または電荷駆動領域に入る例を示す。
【
図3】時間に対する電荷の大きさのプロットであり、
図2A~
図2Dに図示するように、例示的な荷電粒子Pがそれぞれの第1、第2、および第3の電荷検出シリンダーを通過する時の電荷増幅器CA1~CA3の例示的な出力を示す。
【
図4A】
図2A~
図2Dに図示される例示的な電荷フィルタ装置の簡略図であり、わずかに異なる質量電荷比の2つの例示的な荷電粒子P1およびP2がフィールドフリードリフト領域に沿って移動し、図示されている一方の荷電粒子P1が時刻T1に第1の電荷検出シリンダーに入り、他方の荷電粒子P2がP1に遅れている状態を示す。
【
図4B】
図4Aに類似した簡略図であり、時刻T2>T1でのフィールドフリードリフト領域における2つの例示的な荷電粒子P1およびP2のそれぞれの位置を示す。
【
図4C】
図4Aおよび
図4Bに類似した簡略図であり、時刻T3>T2でのフィールドフリードリフト領域における2つの例示的な荷電粒子P1およびP2のそれぞれの位置を示す。
【
図4D】
図4A~
図4Cに類似した簡略図であり、時刻T4>T3でのフィールドフリードリフト領域における2つの例示的な荷電粒子P1およびP2のそれぞれの位置を示す。
【
図4E】
図4A~
図4Dに類似した簡略図であり、時刻T5>T4でのフィールドフリードリフト領域における2つの例示的な荷電粒子P1およびP2のそれぞれの位置を示す。
【
図4F】
図4A~
図4Eに類似した簡略図であり、時刻T6>T5でのフィールドフリードリフト領域における2つの例示的な荷電粒子P1およびP2のそれぞれの位置を示す。
【
図4G】
図4A~
図4Fに類似した簡略図であり、時刻T7>T6でのフィールドフリードリフト領域における2つの例示的な荷電粒子P1およびP2のそれぞれの位置を示す。
【
図4H】
図4A~
図4Gに類似した簡略図であり、時刻T8>T9でのフィールドフリードリフト領域における2つの例示的な荷電粒子P1およびP2のそれぞれの位置を示す。
【
図4I】
図4A~
図4Hに類似した簡略図であり、時刻T9>T8でのフィールドフリードリフト領域における2つの例示的な荷電粒子P1およびP2のそれぞれの位置を示す。
【
図4J】
図4A~
図4Iに類似した簡略図であり、時刻T10>T9でのフィールドフリードリフト領域における2つの例示的な荷電粒子P1およびP2のそれぞれの位置を示す。
【
図4K】
図4A~
図4Jに類似した簡略図であり、時刻T11>T10でのフィールドフリードリフト領域における2つの例示的な荷電粒子P1およびP2のそれぞれの位置を示す。
【
図4L】
図4A~
図4Kに類似した簡略図であり、フィールドフリードリフト領域における荷電粒子P2の位置を示し、荷電粒子P1が時刻T12>T11に電荷フィルタ装置の電荷偏向または電荷駆動領域に入るのを示す。
【
図4M】
図4A~
図4Lに類似した簡略図であり、時刻T13>T12でのフィールドフリードリフト領域における荷電粒子P2の位置を示す。
【
図4N】
図4A~
図4Mに類似した簡略図であり、荷電粒子P2が時刻T14>T13に電荷フィルタ装置の電荷偏向または電荷駆動領域に入るのを示す。
【
図5】時間に対する電荷の大きさのプロットであり、
図4A~
図4Eに図示するように、2つの例示的な荷電粒子P1およびP2が、時間ウィンドウT1~T5中に第1の電荷検出シリンダーを通過する時の電荷増幅器CA1の例示的な出力を示す。
【
図6】時間に対する電荷の大きさのプロットであり、
図4D~
図4Iに図示するように、2つの例示的な荷電粒子P1およびP2が、時間ウィンドウT4~T9中に第2の電荷検出シリンダーを通過する時の電荷増幅器CA2の例示的な出力を示す。
【
図7】時間に対する電荷の大きさのプロットであり、
図4H~
図4Mに図示するように、2つの例示的な荷電粒子P1およびP2が、時間ウィンドウT8~T13中に第3の電荷検出シリンダーを通過する時の電荷増幅器CA3の例示的な出力を示す。
【
図8】制御可能な電荷偏向器の実施形態の形態で示された
図1の電荷フィルタ装置の電荷偏向または駆動領域の簡略図である。
【
図9A】
図9Aは、制御可能な電荷偏向器の他の実施形態の形態で示された
図1の電荷フィルタ装置の電荷偏向または駆動領域の簡略図である。
【
図10A】
図10Aは、制御可能な単入口複数出口電荷駆動構造の実施形態の形態で示された
図1の電荷フィルタ装置の電荷偏向または駆動領域の簡略図である。
【
図11】制御可能な単入口複数出口電荷駆動構造の他の実施形態の形態で示された
図1の電荷フィルタ装置の電荷偏向または駆動領域の簡略図である。
【
図12】
図1の電荷フィルタ装置を含む粒子測定器具の実施形態の簡略図であり、電荷偏向または駆動領域は、電荷偏向器の形態で実施され、イオン源領域とイオン測定段との間に介在されている。
【
図13】
図1の電荷フィルタ装置を含む粒子測定器具の他の実施形態の簡略図であり、電荷偏向または駆動領域は、単入口複数出口電荷駆動デバイスの形態で実施され、イオン源領域と複数のイオン測定段のそれぞれとの間に介在されている。
【
図14】
図1の電荷フィルタ装置を含む粒子測定器具のさらに他の実施形態の簡略図であり、電荷偏向または駆動領域は、複数の単入口複数出口イオン駆動デバイスを含むイオン駆動構造の形態で実施され、イオン源領域と単一のイオン測定段との間に介在されている。
【
図15】
図12~
図14の荷電粒子測定器具のいずれかとともに実施され得るイオン源領域の実施形態の簡略図である。
【
図16】
図12~
図14の荷電粒子測定装置のいずれかとともに実装され得るイオン測定段の実施形態の簡略図である。
【
図17】
図1の電荷フィルタ装置の2つの直列の実施例を含む粒子測定器具のさらに他の実施形態の簡略図であり、イオン処理領域がその間に配置され、組み合わされた荷電フィルタ装置は、イオン源領域とイオン測定段との間に介在されている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0041]本開示の原理の理解を促す目的のため、添付図面に示された多くの例示的な実施形態を以下で参照し、それを説明するために、特定の表現が使用される。
【0008】
[0042]本開示は、ドリフト領域を通って移動する荷電粒子の電荷または電荷状態を決定し、その荷電粒子のうちの所定の電荷値または電荷状態を有する荷電粒子を選択的に通過させることによって、または異なるそれぞれの移動経路に沿って異なる所定の電荷値または電荷状態を有する荷電粒子を選択的に駆動することによって、電荷値または電荷状態に応じて荷電粒子を濾過するための装置および技法に関する。本文書の目的のため、「荷電粒子」および「イオン」という用語は、入れ替え可能に使用されてもよく、両方の用語は、正味の正電荷または負電荷を有する粒子を指すことが意図される。
【0009】
[0043]ここで
図1を参照すると、所定の電荷を有するイオンを選択的に通過させることによって、または異なるそれぞれのイオン移動経路に沿って異なる所定の電荷を有するイオンを選択的に駆動することによって、イオン電荷に応じてイオンを濾過するように構成された電荷フィルタ器具10の図が示される。図示された実施形態では、電荷フィルタ器具10は、一方の端部にイオン入口A1、およびその反対の端部にイオン出口A2を有するドリフト領域12を含む。
図1に図示された実施形態では、ドリフト領域12は、細長いドリフト管12A内に画定された線形のドリフト領域である。ドリフト領域12は、入口A1と出口A2との間に長さDRLを有し、長手方向軸20が、それぞれ、ドリフト領域12の中央を通って、さらに入口A1および出口A2のそれぞれの中央を通って延在する。ドリフト領域12が線形のドリフト領域の形態で
図1に図示されているが、ドリフト領域12は、代替の実施形態では、全体として、または部分的に非線形でもよいことを理解されるであろう。非限定的な一例として、ドリフト領域12は、従来のイオン入口(すなわち導入口)およびイオン出口(すなわち導出口)構造を含む円形のドリフト領域の形で提供されてもよい。当業者は、少なくとも部分的に非線形のドリフト領域の他の例に想到し、そのような代替の構成は、本開示の範囲内に存在することが意図されることが理解されるであろう。
【0010】
[0044]電荷偏向または駆動領域14は、ドリフト領域12の出口端に結合され、または他のやり方で配置される。図示された実施形態では、電荷偏向または駆動領域14は、ドリフト領域12のイオン出口A2によって画定される、またはそれと隣り合って配置されるイオン入口A3と、イオン出口A4とを有する。いくつかの実施形態では、電荷偏向または駆動領域14は、イオンを選択的に通過させるため、またはイオンの通過を選択的に防ぐために制御可能な電荷偏向器の形態で実施されてもよく、その非限定的な例示的実施形態は、
図8~
図9Bに示され、以下で詳述される。他の実施形態では、電荷偏向または駆動領域14は、それぞれが単入口に入ったイオンを複数出口のうちの1つまたは複数を通って選択的に駆動するように制御可能である1つまたは複数の単入口複数出口電荷駆動器具または構造の形態で実施されてもよく、そのいくつかの非限定的な例示的実施形態は、
図10A~
図11に図示され、以下で詳述される。
【0011】
[0045]電圧源VS1は、K個の信号経路を介して電荷偏向または駆動領域14に電気的に接続され、ここでKは、任意の正の整数でもよい。いくつかの実施形態では、電圧源VS1は、単一の電圧源の形態で実施されてもよく、他の実施形態では、電圧源VS1は、任意の数の個別の電圧源を含み得る。いくつかの実施形態では、電圧源VS1は、選択可能な大きさの1つまたは複数の時不変(すなわちDC)電圧を生成して供給するように構成または制御され得る。代替的または追加的に、電圧源VS1は、1つまたは複数の切り換え可能な時不変の電圧、すなわち1つまたは複数の切り換え可能なDC電圧を生成して供給するように構成または制御され得る。代替的または追加的に、電圧源VS1は、選択可能な形状、デューティーサイクル、最大振幅および/または周波数の1つまたは複数の時変信号を生成して供給するように構成されてもよく、または制御可能でもよい。後者の実施形態の特定の一例として、決して限定的と考えられるべきではないが、電圧源VS1は、1つまたは複数の正弦波(または他の形状の)電圧の形態で1つまたは複数の時変電圧を生成して供給するように構成されてもよく、または制御可能でもよい。
【0012】
[0046]電圧源VS1は、J個の信号経路によって、従来のプロセッサ24に電気的に接続されているものとして例示的に示され、ここでJは任意の正の整数でもよい。プロセッサ24は、例示的に従来のものであり、単一の処理回路または複数の処理回路を備え得る。プロセッサ24は、例示的に、命令が格納されたメモリ26を備える、またはメモリ26と結合されており、命令は、プロセッサ24によって実行されると、プロセッサ24に、電荷偏向または駆動領域14の動作を選択的に制御するために1つまたは複数の出力電圧を生成するように、電圧源VS1を制御させる。いくつかの実施形態では、プロセッサ24は、1つまたは複数の従来のマイクロプロセッサまたはコントローラの形態で実施してもよく、そのような実施形態において、メモリ26は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ実行可能命令または命令セットの形態で命令を格納する1つまたは複数の従来のメモリユニットの形態で実施されてもよい。他の実施形態では、プロセッサ24は、代替的または追加的に、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または同様のサーキットリーの形態で実施されてもよく、そのような実施形態において、メモリ26は、内部で命令がプログラムされ格納されているFPGA中に、および/またはその外部に含まれたプログラマブル論理ブロックの形態で実施されてもよい。さらに他の実施形態では、プロセッサ24および/またはメモリ26は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)の形態で実施されてもよい。当業者は、プロセッサ24および/またはメモリ26が実施され得る他の形態を認識し、そのような実施の他の形態は、本開示によって企図され、本開示の範囲内に存在することが意図されることが理解されるであろう。いくつかの代替の実施形態では、電圧源VS1は、1つまたは複数の不変および/または時変出力電圧を選択的に生成するようにそれ自体がプログラム可能でもよい。
【0013】
[0047]電荷検出器アレイ16は、例示的に、ドリフト領域12の内部に配置される、またはドリフト領域12と一体化されている。
図1に図示する実施形態では、電荷検出器アレイ16は、例示的に、複数のN個の離れて配置された直列の電荷検出シリンダー16
1~16
Nを含み、ここでNは、2より大きい任意の正の整数である。決して限定的とは考えられるべきでない例示的の一実施形態では、Nはおよそ100でもよいが、他の実施形態では、Nは100未満、または100よりも大きくてもよい。いずれの場合でも、電荷検出シリンダー16
1~16
Nは、それぞれ、イオンがそれぞれのシリンダーを通過できるようにするために全体にわたってボアを画定し、例示された実施形態では、電荷検出シリンダー16
1~16
Nは、ドリフト領域12の中央の長手方向軸20がそれぞれの中央を通るように、端と端を付けて配置される。例示された実施形態では、それぞれの電荷検出シリンダー16
1~16
Nは、イオン入口端とイオン出口端との間の長さCDLを画定するが、代替の実施形態では、電荷検出シリンダー16
1~16
Nのうちの1つまたは複数は、CDLより長い長さ、または短い長さを有してもよい。最短のCDLは、例示的に、物理的に認識可能で、そこを通過する1つまたは複数のイオンへの電気的に検出可能な信号応答を生成するものである。理論上はCDLの上限は存在しないが、利用可能な空間および器具の動作条件などの実践上で考慮しなければならない事柄は、特定の用途において最長の有用なCDLを通常制限する。
【0014】
[0048]図示された実施形態では、複数の接地リング182~18N-1のそれぞれは、電荷検出シリンダー161~16Nのうちのそれぞれの隣り合った対の間に画定された空間内に配置され、もう1つ他の接地リング181は、第1の電荷検出シリンダー161のイオン入口に隣り合って配置され、さらにもう1つ他の接地リング18Nは、最後の電荷検出シリンダー16Nのイオン出口に隣り合って配置される。それぞれの接地リング181~18Nは、例示的に、貫通したリング開口RAを画定し、それを長手方向軸20が中心を通り、ここで、RAは、例示的に、電荷検出シリンダー161~16Nの内径以下である。図示された実施形態では、電荷検出シリンダー161~16Nは、空間長SLだけ、互いから軸方向に離れている。図示された実施形態では、電荷検出シリンダー161~16Nのイオン入口と、接地リング181~18N-1の対応するそれぞれの接地リングとの間の距離が、互いにほぼ等しく、電荷検出シリンダー161~16Nのイオン出口と、接地リング182~18Nの対応するそれぞれの接地リングとの間の距離が互いにほぼ等しく、電荷検出シリンダー161~16Nのイオン入口と、接地リング181~18N-1の対応するそれぞれとの間の距離が電荷検出シリンダー161~16Nのイオン出口と、接地リング182~18Nの対応するそれぞれの接地リングとの間の距離にほぼ等しくなるように、接地リング181~18Nのそれぞれが配置される。いくつかの実施形態では、接地リング181~18Nのうちの1つまたは複数は省略されてもよい。
【0015】
[0049]例示的な一実施形態では、ドリフト管12Aが、例示的に地電位(
図1に図示)または他の基準電位に結合され、その内部に複数の電荷検出シリンダー16
1~16
Nが適切に装着された導電性シリンダーの形態で提供される。1つまたは複数の接地リング18
1~18
Nを含む上記の実施形態では、そのような1つまたは複数の接地リングが導電性シリンダーの内面に電気的および機械的に結合されてもよく、または、導電性シリンダーおよび1つまたは複数の接地リング18
1~18
Nが単体の構造を有するように導電性シリンダーと一体的に形成されてもよい。他の例示的な実施形態では、ドリフト管12Aは、相互接続された一連の交互の導電性または電気絶縁スペーサーと、内部に複数の電荷検出シリンダー16
1~16
Nが適切に装着され得る複数の接地リング18
1~18
Nのそれぞれとで形成されてもよい。さらに他の例示的な実施形態では、ドリフト管12Aは、離れて配置された複数の平行な導電性ストリップが取り付けられた、または離れて配置された複数の平行な導電性ストリップが、たとえば従来の金属元型堆積技法を使用するなどの従来の手法で形成された、たとえば可撓性の回路基板などの可撓性または半可撓性の電気絶縁材料のシートの形態で提供されてもよい。この実施形態では、細長いシリンダーを形成するために、可撓性または半可撓性シートのそれぞれの反対側の端部が接合された時に、離れて配置された複数の平行な導電性ストリップが、複数の電荷検出シリンダーと、1つまたは複数の接地リング18
1~18
Nとを形成するように、導電性ストリップが例示的に配向される。当業者は、ドリフト管12Aおよび/または電荷検出シリンダー16
1~16
Nおよび/または1つまたは複数の接地リング18
1~18
N(それらを含む実施形態において)が提供され得る他の形態を認識し、そのような他の形態は本開示の範囲内に存在することが意図されることが理解されるであろう。
【0016】
[0050]図示された実施形態では、各電荷検出シリンダー161~16Nは、N個の電荷増幅器CA1~CANの対応する電荷増幅器の信号入力に電気的に接続され、各電荷増幅器CA1~CANの信号出力は、プロセッサ24に電気的に接続される。代替の実施形態では、電荷増幅器のうちの任意の電荷増幅器、いくつか、または全ては、複数の電荷検出シリンダーに電気的に接続されてもよく、そのような実施形態では、それに応じて、電荷増幅器の数は、電荷検出シリンダーの数よりも少ない。イオン入口A1に入った荷電粒子がドリフト領域12を通ってイオン出口A2に向かって、さらにそこを通過して軸方向に移動する時、そのような荷電粒子のそれぞれは、複数の電荷検出シリンダー161~16Nを順次通過する。それぞれのそのような荷電粒子が電荷検出シリンダー161~16Nを通過した時、電荷検出シリンダー161~16N上でそれによって誘起された電荷は、その粒子の電荷の大きさに比例した大きさを有する。電荷増幅器CA1~CANは、それぞれ例示的には従来のものであり、その出力で対応する電荷検出信号を生成するために、さらに電荷検出信号をプロセッサ24へ供給するために、電荷検出器161~16Nのそれぞれの電荷検出器上で荷電粒子によって誘起された電荷に反応する。電荷増幅器CA1~CANによって生成された電荷検出信号の大きさは、任意の時点において、(i)電荷検出シリンダー161~16Nの対応するそれぞれを通過する単一の荷電粒子の場合、その単一の荷電粒子の電荷の大きさ、または(ii)電荷検出シリンダー161~16Nの対応するそれぞれを同時に通過する複数の荷電粒子の場合、それらの複数の荷電粒子の結合された電荷の大きさ、と比例する。プロセッサ24は、次に、電荷増幅器CA1~CANのそれぞれによって生成された電荷検出信号を受信およびデジタル化し、プロセッサ24に結合された、または他のやり方でプロセッサ24によってアクセス可能であるメモリ26または1つまたは複数の他のメモリユニットにデジタル化された電荷検出信号を格納するように、例示的に動作可能である。
【0017】
[0051]プロセッサ24は、さらに例示的に、P個の信号経路を介して1つまたは複数の周辺デバイス28(PD)へ結合され、ここでPは、任意の正の整数でもよい。1つまたは複数の周辺デバイス28は、信号入力をプロセッサ24へ供給するための1つまたは複数のデバイス、および/またはプロセッサ24が信号出力を供給する1つまたは複数のデバイスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、周辺デバイス28は、従来のディスプレイモニタ、プリンタ、および/または他の出力デバイスのうちの少なくとも1つを含み、そのような実施形態では、メモリ26には、プロセッサ24によって実行された時に、プロセッサ24に、格納されたデジタル化電荷検出信号の解析を表示および/または記録するように1つまたは複数の上記出力周辺デバイス28を制御させる命令が格納されている。
【0018】
[0052]
図1に例として図示されるように、ドリフト管12Aのイオン入口端、すなわちイオン入口A1が配置された端部は、例示的に、イオン源30のイオン出口端、すなわちイオン出口A5が配置されたイオン源30の端部に結合されるように構成される。イオン源30が電荷フィルタ器具10と結合された実施形態では、第2の電圧源VS2は、例示的に、H個の信号経路を介してイオン源30に接続され、ここでHは任意の正の整数でもよく、第2の電圧源VS2は、さらにG個の信号経路を介してプロセッサ24に接続され、ここでGは任意の正の整数でもよい。VS2が、イオン源30の1つまたは複数の態様を選択的に制御するために、たとえば不変などの任意の数の時不変出力電圧および/または時変出力電圧を生成するように構成または制御され得るように、VS2は、例示的に、VS1に関して上述した形態のいずれかを有してもよい。
【0019】
[0053]
図15に関して以下で詳述するように、イオン源30は、例示的に、サンプルからイオンを生成するための任意の従来のデバイスまたは装置を含み、1つまたは複数の分子的特徴にしたがってイオンを分離、収集、および/または濾過するため、ならびに/もしくはイオンを解離、たとえば断片化させるための1つまたは複数のデバイスおよび/または器具をさらに含んでもよい。例示的な一例として、決して限定的と考えられるべきでないが、イオン源30は、従来のエレクトロスプレーイオン化源、マトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)源、またはサンプルからイオンを発生させるように構成された他の従来のイオン発生器を含み得る。イオンが発生されるサンプルは、任意の生物由来材料または他の材料でもよい。
【0020】
[0054]電荷フィルタ器具10のドリフト領域12は、イオン源30からドリフト管12Aの入口A1に初期速度で入るイオンは、ほぼ不変速度でイオン出口A2に向かい、そこをドリフトするようなフィールドフリードリフト領域(すなわち非電界)である。この点に関して、イオン源30は、初期速度でドリフト管12Aへイオンを通過させる原動力を通常提供する。その原動力は、任意の一形態またはいくつかの異なる形態の任意の組み合わせにおいて例示的に提供されてもよく、その例は、1つまたは複数のイオン加速電界、1つまたは複数の磁界、外部環境とイオン源30との間の圧力差および/またはイオン源30とドリフト管12Aとの間の圧力差、および同様のものを含み得るが、これに限定されない。いずれかの場合でも、荷電粒子がフィールドフリードリフト領域12を通ってドリフトすると、荷電粒子は、質量電荷比にしたがって時間において分離し、より低い質量電荷比を有する荷電粒子は、より高い質量電荷比を有する荷電粒子よりも速くイオン出口A2に到達する。
【0021】
[0055]
図4A~
図7に図示された例に関して以下で詳述するように、メモリ26は、プロセッサ24に、ドリフト領域12の長さに沿って分離した時の荷電粒子の電荷の大きさおよび/または電荷状態を決定するために、電荷増幅器CA1~CANのうちの少なくともいくつかによって生成された電荷検出信号を処理させる、プロセッサ24によって実行可能な命令を例示的に格納し、それによって、各荷電粒子の電荷の大きさおよび/または電荷状態が、ドリフト管12Aのイオン出口A2を通過する前に既知となる。いくつかの実施形態では、メモリ26は、電荷偏向または駆動領域14に、選択された電荷の大きさを有する荷電粒子のみ、または電荷の大きさ選択された範囲内の電荷の大きさを有する荷電粒子のみを選択的に通過させるように、または選択された電荷状態を有する荷電粒子のみを通過させるように、プロセッサ24に電圧源VS1を制御させる、プロセッサ24によって実行可能な命令をさらに例示的に格納する。他の実施形態では、メモリ26は、電荷偏向または駆動領域14に、異なる電荷の大きさを有する荷電粒子、または電荷の大きさの異なる範囲内に電荷を有する荷電粒子を、異なるイオン移動経路に沿って選択的に駆動させ、または異なるイオン移動経路に沿って異なる電荷状態を有する荷電粒子を選択的に駆動させるように、プロセッサ24に電圧源VS1を制御させる、プロセッサ24によって実行可能な命令をさらに例示的に格納する。いくつかの実施形態では、ドリフト領域12を通って移動する荷電粒子の速度を決定することが望ましい場合があり、それによって電荷偏向または駆動領域14を通って荷電粒子を選択的に通過させる、または駆動するように電圧源VS1を制御する際に、電荷偏向または駆動領域14内の荷電粒子の将来的な位置が正確に推定されることが可能である。
【0022】
[0056]
図1に例として図示されるように、イオン偏向または駆動領域14のイオン出口端、すなわちイオン出口A4が配置される端部は、例示的に、イオン格納、駆動および/または測定段32のイオン入口端、すなわちイオン入口A6が配置されたイオン格納、駆動および/または測定段32のイオン入力端の端部に結合されるように構成される。イオン格納、駆動および/または測定段32が電荷フィルタ器具10と結合された実施形態では、第3の電圧源VS3は、例示的に、M個の信号経路を介してイオン格納、駆動および/または測定段32に接続され、ここでMは任意の正の整数であってもよく、第3の電圧源VS3は、L個の信号経路を介してプロセッサ24にさらに接続され、ここでLは任意の正の整数でもよい。VS3が、イオン格納、駆動および/または測定段32の1つまたは複数の態様を選択的に制御するために、たとえば不変などの任意の数の時不変出力電圧および/または時変出力電圧を生成するように構成または制御され得るように、VS3は、例示的に、VS1に関して上述した形態のいずれかを有してもよい。
【0023】
[0057]
図12~14および
図16に図示された適用例に関して以下で詳述するように、イオン格納、駆動および/または測定段32は、イオン格納、イオン測定、その測定後または測定前のイオン処理、および/または1つまたは複数のデバイス間のイオン駆動のため任意の従来のデバイスまたは装置を備え得る。1つまたは複数のイオン測定器具、デバイス、装置、または段は、例示的に、Q個の信号経路を介してプロセッサ24に接続され、ここでQは任意の正の整数でもよい。
【0024】
[0058]上記で簡単に説明したように、メモリ26は、例示的に、プロセッサ24に、ドリフト領域12を通って移動する荷電粒子のそれぞれの電荷の大きさおよび/または電荷状態を決定させ、その後、それらの電荷の大きさまたは電荷状態に基づいて、電荷偏向または駆動領域14を通して荷電粒子を選択的に通過させる、または駆動するように電圧源VS1を制御させる、プロセッサ24によって実行可能な命令を含む。いくつかの実施形態では、たとえば、イオン源30が複数のイオンを生成して、たとえばドリフト管12Aのイオン入口A1に同時に供給するように構成された場合、
図1に例として図示されるように、ドリフト管12Aのイオン入口A1と第1の接地リング18
1(または第1の接地リング18
1が省略されている実施形態における第1の電荷検出シリンダー16
1のイオン入口端)との間に長さPRLのアレイ前空間12Bを含むようにドリフト管12Aを構成することが望ましい場合がある。これによって、ドリフト領域12を通って軸方向に移動している荷電粒子は、電荷検出器アレイ16を用いて電荷測定を実行前に、(フィールドフリー領域12における質量電荷比に応じた)何らかの量の時間における軸方向分離が行われることを可能として、それにより、電荷増幅器CA1~CANの最初の1つまたは複数の電荷増幅器によって生成された電荷検出信号の品質および有用性を高め得る。アレイ前空間12Bの長さPRLは、用途に基づいて例示的に選択されてもよく、いくつかの実施形態では、アレイ前空間12Bは、全体的に省略され得る。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、
図1に例としてさらに図示されるように、最後の接地リング18
N(または最後の接地リング18
Nが省略されている実施形態における最後の電荷検出シリンダー16
Nのイオン出口端)との間に長さPOLのアレイ後空間12Cを含むようにドリフト管12Aを構成することが望ましい場合がある。そのようないくつかの実施形態では、アレイ後空間12Cの長さPOLの一部または全部は、電荷偏向または駆動アレイ14の前端、すなわちイオン入口A3と隣り合って提供され得る。いずれの場合でも、アレイ後空間12Cを含む実施形態のアレイ後空間12Cは、最後の電荷検出シリンダー16
Nを通過後にドリフト管12Aのイオン出口A2を出る電荷粒子間に何らかの時間量を提供し、それにより、決定および制御のタイミングならびに/もしくは電荷偏向または駆動領域14の切り換え速度要件を緩和し得る。アレイ後空間12Cの長さPOLは、例示的に、用途に応じて選択されてもよく、いくつかの実施形態では、アレイ後空間12Cは、その全体として省略されてもよい。
【0025】
[0059]ここで
図2A~
図2Dを参照すると、ドリフト管12Aのイオン入口A1と電荷偏向または駆動領域14との間に軸方向に配置された3つの電荷検出シリンダー16
1~16
3を含む、
図1の電荷フィルタ器具10の簡略化された例が示される。この簡略化された器具10を用いて、
図2A~
図2Dは、時間に応じて、3つの電荷検出シリンダー16
1~16
3のそれぞれを連続してドリフトする単一の電荷粒子Pを図示し、
図3は、荷電粒子が通過する時に3つのそれぞれ電荷増幅器CA1~CA3によって生成される例示的な電荷検出信号を図示する。
図2Aおよび
図3に図示するように、荷電粒子Pは時刻T1に第1の電荷検出シリンダー16
1に入り、その後の時刻T2に電荷検出シリンダー16
1を出る一方、電荷検出シリンダー16
1の内部では、荷電粒子は、電荷検出シリンダー16
1上で大きさC1の電荷を誘起する。いくつかの実施形態では、時刻T1は、前の時刻T0においてイオン源30で制御されたイオン生成または加速イベントに関連した時刻でもよい。代替の実施形態では、CA1によって生成された出力信号は、イオン生成または加速イベント後に監視されてもよく、T1は、単純に、たとえばイオン生成または加速イベント後に第1の電荷検出シリンダー16
1に入った時にCA1によって生成された電荷検出信号出力の立ち上がりエッジによって第1の(この例では唯一の)粒子Pが検出された時刻でもよい。いずれの場合でも、
図2Bに図示するように、時刻T3>T2で、第1の電荷検出シリンダー16
1を出た荷電粒子Pは、次に第2の電荷検出シリンダー16
2に入り、荷電粒子Pは、その後、後続の時刻T4で電荷検出シリンダー16
2から出る。
図3に図示するように、電荷検出シリンダー16
2内では、荷電粒子は、電荷検出シリンダー16
2上で大きさC2の電荷を誘起する。
図2Cに図示するように、時刻T5>T4で、第2の電荷検出シリンダー16
2を出た荷電粒子Pは、次に第3および最後の電荷検出シリンダー16
3に入り、荷電粒子Pは、その後、後続の時刻T6で電荷検出シリンダー16
3から出る。
図3に図示するように、電荷検出シリンダー16
3内では、荷電粒子は、電荷検出シリンダー16
3上で大きさC1の電荷を誘起する。
【0026】
[0060]
図2A~
図2Cに例として図示されるように、荷電粒子Pが電荷検出シリンダー16
1~16
3を通って連続して移動すると、プロセッサ24は、例示的に、メモリ26に格納された対応する命令の実行にしたがって、電荷増幅器CA1~CA3によって生成された電荷検出信号に基づいて荷電粒子Pの大きさおよび/または電荷状態を決定するように動作可能である。一実施形態では、プロセッサ24は、第1の電荷増幅器CA1によって生成された電荷検出信号に基づいて上記の決定を行い、その後、荷電粒子がそれぞれの電荷検出シリンダー16
1および16
2を通過した後に残りの電荷増幅器CA2およびCA3によって生成された電荷検出信号に基づいて、電荷の決定を連続して更新するように動作可能である。いくつかの実施形態では、プロセッサ24は、メモリ26に格納された対応する命令の実行にしたがって、第1の電荷増幅器CA1によって生成された電荷検出信号に基づいて、荷電粒子Pの速度を同様に決定し、その後、荷電粒子がそれぞれの電荷検出シリンダー16
1および16
2を通過した後に残りの電荷増幅器CA2およびCA3によって生成された電荷検出信号に基づいて、速度の決定を更新するようにさらに動作可能である。
【0027】
[0061]この例示的なモデルを使用して、プロセッサ24は、例示的に、たとえばCA1の立ち下がりエッジに示されるように、粒子Pが第1の電荷検出シリンダー161を出た後の粒子Pの電荷CHの初期の大きさを、時刻T1におけるCA1の立ち上がりエッジと時刻T2におけるCA1の立ち下がりエッジとの間で電荷増幅器CA1によって生成された大きさCH=C1として決定するように動作可能である。いくつかの実施形態では、プロセッサ24は、さらに、荷電粒子の初期速度をVelP=CDL/(T2-T1)として決定するように動作可能である。時刻T4でCA2の立ち下がりエッジの検出後、プロセッサ24は、時刻T3のCA2の立ち上がりエッジと、時刻T4のCA2の立ち下がりエッジとの間で電荷増幅器CA2によって生成された大きさC2に基づいて、粒子Pの電荷の更新済みの大きさを、CH=(CH+C2)として決定するように動作可能である。いくつかの実施形態では、プロセッサ24は、荷電粒子の更新済みの速度をVelP=VelP+CDL/(T4-T3)として決定するようにさらに動作可能である。時刻T6でCA3の立ち下がりエッジ検出後、プロセッサ24は、時刻T5のCA3の立ち上がりエッジと、時刻T6のCA3の立ち下がりエッジとの間で電荷増幅器CA3によって生成された大きさC1に基づいて、粒子Pの電荷の最後の更新済みの大きさを、CH=CH+C3として決定するように動作可能である。いくつかの実施形態では、プロセッサ24は、荷電粒子の更新済みの速度をVelP=VelP+(CDL/(T6-T5))として決定するようにさらに動作可能である。イオンが電荷検出器の全てを通って移動した後、平均電荷は、CH=CH/Nから計算され、ここでNは測定回数(この場合、3回)であり、平均速度はVelP=VelP/Nから計算される。
【0028】
[0062]T6の直後の時点で、プロセッサ24は、電荷増幅器CA1~CA3によって生成された電荷検出信号の平均に基づいて、粒子Pの電荷の大きさCHと、いくつかの実施形態では、速度VelPとを決定する。いくつかの実施形態では、プロセッサ24は、たとえば素電荷定数e(たとえば、1.602716634×10-19クーロン)によってCHを除算することによって電荷の大きさを電荷状態に変換するように動作可能でもよく、または電荷の大きさではなく電荷状態値として初期電荷値および更新済み電荷値を算出するように動作可能でもよい。いずれの場合でも、決定された電荷の大きさまたは電荷状態CHが所定または目標の電荷の大きさまたは電荷状態値と等しい、または所定の範囲内にある場合、プロセッサ24は、1つまたは複数の電圧値を電荷偏向または駆動領域14へ印加するように電圧源VS1を制御し、それによって電荷偏向または駆動領域14に、荷電粒子Pを通過させるように動作可能である。それ以外の場合、プロセッサ24は、1つまたは複数の電圧値を電荷偏向または駆動領域14に印加するように電圧源VS2を制御し、それによって電荷偏向または駆動領域14に、荷電粒子Pの通過を防がせる、または領域14から離れる方向に荷電粒子Pを駆動させるように動作可能である。電荷偏向または駆動領域14のいくつかの実施形態では、電圧源VS1のそのような制御は、時刻T7>T6で荷電粒子Pが領域14に入る前に発生する必要があり、他の実施形態では、電圧源VS1のそのような制御は、荷電粒子Pが領域14に入った後で、荷電粒子Pが領域14を出る前に発生してもよい。いずれの場合でも、プロセッサ24がVelPを決定する実施形態では、領域14を通る荷電粒子Pの通過、通過の防止、または駆動をするための電圧源VS1の制御のタイミングを決定する目的で、領域14に入る荷電粒子P、その内部の荷電粒子P、および/またはそこを通って移動する荷電粒子Pの将来的な位置を推定するために、決定された速度VelPは、ドリフト領域12および/または電荷偏向または駆動領域14の寸法情報とともに使用され得る。代替の実施形態では、プロセッサ24は、領域14に近づいている荷電粒子の決定された速度VelPのみに、電圧源VS1の制御のタイミングを基づかせてもよい。
【0029】
[0063]当業者は、電荷増幅器CA1~CANによって生成された電荷検出信号のうちの1つまたは複数に基づいて荷電粒子Pの大きさおよび/または電荷状態および/または速度を決定するための他の技法、ならびに/もしくは領域14を通る荷電粒子Pの通過、通過の防止、または駆動をするための電圧源VS1の制御のタイミングを決定するための他の技法を認識するであろう。そのような他の技法は、本開示の範囲内に存在することが意図されることを理解されるであろう。
【0030】
[0064]ここで
図4A~
図4Nを参照すると、ドリフト管12Aのイオン入口A1と電荷偏向または駆動領域14との間に軸方向に配置された3つの電荷検出シリンダー16
1~16
3を含む、
図1の電荷フィルタ器具10の他の簡略化された例が示される。この簡略化された器具10を用いて、
図4A~
図4Nは、時間に応じて、3つの電荷検出シリンダー16
1~16
3のそれぞれを通って連続してドリフトする2つの荷電粒子P1、P2を図示し、ここで、P1はP2よりもわずかに低い質量電荷比を有する。
図5は、荷電粒子が通過する時に第1の電荷増幅器CA1によって生成される例示的な電荷検出信号を図示し、
図6および
図7は、第2の電荷増幅器CA2および第3の電荷増幅器CA3それぞれによって生成される例示的な電荷検出信号を図示する。
図4A~
図4Eに図示するように、荷電粒子P1およびP2は、それぞれの時刻T1およびT2に第1の電荷検出シリンダー16
1に入り、ここでT2>T1である。時刻T3>T2に、荷電粒子P1は電荷検出シリンダー16
1を出て、時刻T5>T3に、荷電粒子P2は電荷検出シリンダー16
1を出る。
図5に図示するように、T1とT2の間で粒子P1のみが電荷検出シリンダー16
1内を移動し、荷電粒子P1は、電荷検出シリンダー16
1上で大きさC1の電荷を誘起する。荷電粒子P1およびP2の両方が電荷検出シリンダー16
1を通って移動しているT2とT3の間で、荷電粒子P1およびP2はともに電荷検出シリンダー16
1上で大きさC2>C1の電荷を誘起し、荷電粒子P2のみが電荷検出シリンダー16
1を通って移動するT3とT5の間で、荷電粒子P2は、電荷検出シリンダー16
1上でC3<C1の電荷を誘起する。
【0031】
[0065]複数の荷電粒子がドリフト領域12を通って軸方向に、したがってそれぞれ連続した電荷検出シリンダー16
1~16
Nを通って軸方向にドリフトする場合、電荷増幅器CA1~CANのうちの連続した電荷増幅器によって生成された電荷検出信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのプロセッサ24による検出に基づいてイオン電荷および速度を追跡するために、
図2A~
図3に関して上述されたプロセスと類似したプロセスが使用されてもよい。特に、メモリ26に格納された命令は、例示的に、電荷増幅器CA1~CANによって生成された電荷検出信号を監視し、単一の荷電粒子が電荷検出シリンダー16
1~16
Nの対応する電荷検出シリンダーに入った時の電荷検出信号の各立ち上がりエッジを数え、単一の荷電粒子がそれぞれの電荷検出シリンダー16
1~16
Nを出た時の電荷検出信号のそれぞれの立ち下がりエッジを数え、荷電粒子のうちの単一の荷電粒子および組み合わせの大きさとして電荷検出信号の様々な大きさを記録し、電荷検出信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジに基づいて複数の荷電粒子のそれぞれの速度を記録する、プロセッサ24によって実行可能な命令を含んでもよい。
【0032】
[0066]CA1によって生成された電荷検出信号を使用して、たとえば、第1の立ち上がりエッジが、第1の立ち上がりエッジと次の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジとの間の電荷検出信号の大きさと等しい電荷の大きさを有する第1の荷電粒子として数えられる。次のエッジイベントが立ち下がりエッジの場合、第1の荷電粒子の速度は、電荷検出シリンダー161の長さCDLと、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの時間差との比率に等しい。その代わりに、次のエッジイベントが他の立ち上がりエッジの場合、第2の立ち上がりエッジが、第2の立ち上がりエッジと次の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジとの間の電荷検出信号の大きさと等しい合成の電荷の大きさを有する第2の荷電粒子として数えられる。このプロセスは、各立ち上がりエッジで継続される。第1の立ち下がりエッジを検出すると、これは第1の荷電粒子が電荷検出シリンダー161を出たとして数えられ、第1の荷電粒子の速度は、電荷検出シリンダー161の長さCDLと、第1の立ち上がりエッジと第1の立ち下がりエッジとの時間差との比率に等しく、第1の立ち下がりエッジ後にCA1によって生成された電荷検出信号の大きさは、電荷検出シリンダー161に残っている荷電粒子の合成の電荷の大きさである。このプロセスは、CA1によって生成された電荷検出信号の最後の立ち下がりエッジまで続き、同一のプロセスが、残りの電荷増幅器CA1~CANのそれぞれによって生成された電荷検出信号に関して実行される。
【0033】
[0067]再度
図5を参照すると、上述したプロセスを実行するプロセッサ24は、T1とT2との間の第1の荷電粒子P1の電荷CH
P1がC1であり、T2とT3との間の荷電粒子P1およびP2の合成の電荷CH
P1P2がC2であり、T3とT5との間の第2の荷電粒子P2の電荷CH
P2がC3であることを決定するように動作可能である。電荷検出シリンダー16
1を通過する荷電粒子の速度が上述したプロセスの一部としてプロセッサ24によって決定される実施形態において、プロセッサ24は、第1の荷電粒子P1の速度をVel
P1=CDL/(T3-T1)として決定し、第2の荷電粒子P2の速度をVel
P2=CDL/(T5-T2)として決定するように動作可能である。いくつかの実施形態では、プロセッサ24は、CH
P1およびCH
P2が、測定された関係CH
P1+CH
P2=C2をさらに満足するように、CH
P1およびCH
P2を修正するように動作可能でもよい。代替の実施形態では、下流の電荷増幅器CA2~CANのうちの1つまたは複数もしくは全部によって生成された電荷検出信号の処理後に、CH
P1およびCH
P2の上記の修正は、電荷の大きさの値CH
P1およびCH
P2に織り込まれる。
【0034】
[0068]
図4D~
図4Iに図示するように、荷電粒子P1およびP2は、それぞれ時刻T4およびT6に第2の電荷検出シリンダー16
2に入り、ここでT6>T4>T3である。時刻T7>T6に、荷電粒子P1は電荷検出シリンダー16
2を出て、時刻T9>T7に、荷電粒子P2は電荷検出シリンダー16
2を出る。
図6に図示するように、T4とT6の間で粒子P1のみが電荷検出シリンダー16
2内を移動し、荷電粒子P1は、電荷検出シリンダー16
2上で大きさC4の電荷を誘起する。荷電粒子P1およびP2の両方が電荷検出シリンダー16
2を通って移動しているT6とT7の間で、荷電粒子P1およびP2はともに電荷検出シリンダー16
2上で大きさC5>C4の電荷を誘起し、荷電粒子P2のみが電荷検出シリンダー16
2を通って移動するT7とT9の間で、荷電粒子P2は、電荷検出シリンダー16
2上でC6<C4の電荷を誘起する。この場合も、上述したプロセスを使用して、プロセッサ24は、第1の荷電粒子P1の電荷CH
P1をCH
P1=CH
P1+C4として更新し、第2の荷電粒子P2の電荷CH
P2をCH
P2=CH
P2+C6として更新し、T6とT7との間の荷電粒子P1およびP2の結合された電荷CH
P1P2がC5であると決定するように動作可能である。電荷検出シリンダー16
2を通過する荷電粒子の速度が上述したプロセスの一部としてプロセッサ24によって決定される実施形態において、プロセッサ24は、第1の荷電粒子P1の速度をVel
P1=Vel
P1+CDL/(T7-T4)として更新し、第2の荷電粒子P2の速度をVel
P2=Vel
P2+CDL/(T9-T6)として更新するように動作可能である。いくつかの実施形態では、プロセッサ24は、CH
P1およびCH
P2が、測定された関係CH
P1+CH
P2=C5をさらに満足するように、CH
P1およびCH
P2を修正するように動作可能でもよい。代替の実施形態では、下流の電荷増幅器CA3~CANのうちの1つまたは複数もしくは全部によって生成された電荷検出信号の処理後に、CH
P1およびCH
P2の上記の修正は、電荷の大きさの値CH
P1およびCH
P2に織り込まれる。
【0035】
[0069]
図4H~
図4Mに図示するように、荷電粒子P1およびP2は、それぞれ時刻T8およびT10に第3の電荷検出シリンダー16
3に入り、ここでT10>T8>T7である。時刻T11>T10に、荷電粒子P1は電荷検出シリンダー16
3を出て、時刻T13>T11に、荷電粒子P2は電荷検出シリンダー16
3を出る。時刻T12で、第2の荷電粒子P2が依然として第3の電荷検出シリンダー16
3の内部にあるようにT11<T12<T13の場合、第1の荷電粒子P1は、
図4Lに図示するように、電荷偏向または駆動領域14に入り、時刻T14>T13で、第2の荷電粒子P2は電荷偏向または駆動領域14に入る。
図7に図示するように、T8とT10の間で粒子P1のみが電荷検出シリンダー16
3内を移動し、荷電粒子P1は、電荷検出シリンダー16
3上で大きさC7の電荷を誘起する。荷電粒子P1およびP2の両方が電荷検出シリンダー16
3を通って移動しているT10とT11の間で、荷電粒子P1およびP2はともに電荷検出シリンダー16
3上で大きさC8>C7の電荷を誘起し、荷電粒子P2のみが電荷検出シリンダー16
3を通って移動するT11とT13の間で、荷電粒子P2は、電荷検出シリンダー16
3上でC9<C7の電荷を誘起する。
【0036】
[0070]この場合も上述したプロセスを使用して、プロセッサ24は、T11とT12との間の第1の荷電粒子P1の電荷CH
P1をCH
P1=CH
P1+C7として更新するように動作可能である。電荷検出シリンダー16
3を通過する荷電粒子の速度が上述したプロセスの一部としてプロセッサ24によって決定される実施形態において、プロセッサ24は、第1の荷電粒子P1の速度をVel
P1=Vel
P1+CDL/(T11-T8)として更新するようにT11とT12との間でさらに動作可能である。
図4A~
図4Nに図示された例において電荷検出シリンダー16
3が最後の電荷検出シリンダーであるため、T11とT12との間の時刻におけるCH
P1の値は、第1の荷電粒子P1の電荷の大きさの最後の測定値であり、それを含む実施形態では、T11とT12との間の時刻の値Vel
P1は、第1の荷電粒子P1の速度の最後の測定値である。平均電荷はCH
P1=CH
P1/Nから計算され、ここでNは測定回数(この場合、3回)であり、平均速度はVel
P1=Vel
P1/Nから計算される。第1の荷電粒子P1が電荷偏向または駆動領域14に入る前に、プロセッサ24は、CH
P1を1つまたは複数の目標とする電荷の大きさ値と比較し、または第1の荷電粒子P1(CS
P1=CH
P1/e)の電荷状態CS
P1を計算してCS
P1を1つまたは複数の目標電荷状態と比較し、その後、CH
P1またはCS
P1を1つまたは複数の目標とする電荷の大きさもしくは目標電荷状態との比較の結果に基づいて、第1の荷電粒子P1を通過させる/遮断する、または領域14の複数の異なる経路のうちの1つに沿って第1の荷電粒子P1を駆動するように、T12以降でT14前に、電圧源VS1を制御するように動作可能である。粒子速度が計算される実施形態では、プロセッサ24による電圧源VS1の上記の制御のタイミングは、荷電粒子P1の速度Vel
P1および/または、電荷偏向または駆動領域14に関する、および/またはその内部の電荷フィルタ器具10のVel
P1および寸法情報に基づく荷電粒子P1の推定される将来的な位置に基づいてもよく、または少なくとも考慮に入れてもよい。
【0037】
[0071]プロセッサ24は、その後、第2の荷電粒子P2の電荷CH
P2をCH
P2=CH
P2+C9として更新するようにT13とT14との間で動作可能である。いくつかの実施形態では、プロセッサ24は、電荷増幅器CA3によって生成された測定結果CH
P1+CH
P2=C8を満たすためにCH
P2を修正するように、T13とT14との間でさらに動作可能でもよい。電荷検出シリンダー16
3を通過する荷電粒子の速度が上述したプロセスの一部としてプロセッサ24によって決定される実施形態において、プロセッサ24は、第2の荷電粒子P2の速度をVel
P2=Vel
P2+CDL/(T13-T10)として更新するようにT13とT14との間でさらに動作可能である。この場合も、
図4A~
図4Nに図示された例において電荷検出シリンダー16
3が最後の電荷検出シリンダーであるため、T13とT14との間の時刻におけるCH
P2の値は、第2の荷電粒子P2の電荷の大きさの最後の測定値であり、それを含む実施形態では、T13とT14との間の時刻の値Vel
P2は、第2の荷電粒子P2の速度の最後の測定値である。平均電荷はCH
P2=CH
P2/Nから計算され、ここでNは測定回数(この場合、3回)であり、平均速度はVel
P2=Vel
P2/Nから計算される。T12で第1の荷電粒子P1が電荷偏向または駆動領域14に入った後、さらに、いくつかの実施形態では、電荷偏向または駆動領域14に、第1の荷電粒子P1を通過させる/遮断する、または駆動させるために、プロセッサ24による電圧源VS1の制御後、いずれの場合でも、第2の荷電粒子P2が電荷偏向または駆動領域14に入る前に、プロセッサ24は、CH
P2を1つまたは複数の目標とする電荷の大きさ値と比較し、または第2の荷電粒子P2(CS
P2=CH
P2/e)の電荷状態CS
P2を計算してCS
P2を1つまたは複数の目標電荷状態と比較し、その後、CH
P2またはCS
P2を1つまたは複数の目標とする電荷の大きさまたは目標電荷状態との比較の結果に基づいて、第2の荷電粒子P2を通過させる/遮断する、または領域14の複数の異なる経路のうちの1つに沿って第2の荷電粒子P2を駆動するように、T14以降に、電圧源VS1を制御するように動作可能である。粒子速度が計算される実施形態では、プロセッサ24による電圧源VS1の上記の制御のタイミングは、荷電粒子P2の速度Vel
P2および/または、電荷偏向または駆動領域14に関する、および/またはその内部の電荷フィルタ器具10のVel
P2および寸法情報に基づく荷電粒子P2の推定される将来的な位置に基づいてもよく、または少なくとも考慮に入れてもよい。
【0038】
[0072]
図2A~
図7に図示された例は、電荷フィルタ器具10の動作を説明する目的でのみ提供され、決して限定的であることが意図されないことが理解されるであろう。当業者は、上述したプロセスまたはその変形が、電荷の大きさ、電荷状態、および/または速度の決定、さらに、たとえば数百、数千、またはそれ以上などの多くの荷電粒子の通過/遮断および/または駆動の決定に直接適用され得ることを理解するであろう。代替的に、当業者は、電荷増幅器CA1~CANによって生成された電荷検出信号のうちの1つまたは複数に基づいて複数の荷電粒子の大きさおよび/または電荷状態および/または速度を決定するための他の技法、ならびに/もしくは領域14を通る荷電粒子Pの通過、通過の防止、または駆動をするための電圧源VS1の制御のタイミングを決定するための他の技法を認識し、そのような他の技法は、本開示の範囲内に存在することが意図されることを理解されたい。たとえば、いくつかの実施形態では、電荷増幅器CA1~CANによって生成された電荷検出信号は、差別化され得る。イオンが電荷検出シリンダーに入る度に、正極に向かうパルスが結果として得られ、イオンが電荷検出シリンダーを出る度に負極に向かうイオンが結果として得られる。電荷増幅器CA1~CANの出力信号の立ち上がり時間および立ち下がり時間(たとえば
図3、
図5、
図6、および
図7参照)が差別化のために時定数よりも大幅に短い場合、電荷はピークの高さによって与えられる。一方、立ち上がり時間および立ち下がり時間が差別化のために時定数よりも大幅に長い場合、電荷はピーク領域によって与えられる。特定のイオンと関連した正極に向かうパルスおよび負極に向かうパルスの振幅は、同一でなければならず、これは、正極に向かうパルスおよび負極に向かうパルスを対にする識別子を提供し、それによって速度と平均電荷が決定され得る。この代替のデータ分析技法は、たとえば、ドリフト管16Aを通ってドリフトするイオンの数が多い場合に有益であり得る。
【0039】
[0073]
図1に図示した電荷フィルタ器具10において、粒子電荷値および/または粒子速度を決定するために、電荷検出信号の全てが使用されなくてもよいことをさらに理解されるであろう。荷電粒子が塊となってイオン源30を出るいくつかの実施形態では、たとえば、最初の1つまたはいくつかの電荷増幅器によって生成された電荷検出信号は、プロセッサ24によって無視されてもよい。代替的または追加的に、ドリフト管12Aは、そのような塊となった粒子が複数の電荷検出シリンダー16
1~16
Nの1つめを通過する前にドリフト領域12の軸方向に分離するのを少なくとも開始できる任意の所望の長さを有するアレイ前空間12Bを含むように構成され得る。他の例として、プロセッサ24は、荷電粒子が最後の電荷検出シリンダー16
Nに到達する前、または荷電粒子が最後のいくつかの電荷検出シリンダー16
N-Y~16
Nに到達する前に電荷値および/または粒子速度の決定を終了するように構成またはプログラムされてもよく、ここでYはNより小さい任意の正の整数でもよい。代替的または追加的に、ドリフト管12Aは、粒子電荷値および/または速度の決定後に電圧源VS1の制御のためのタイミング要件を緩和するために、任意の所望の長さのアレイ後空間12Cを含むように構成され得る。さらに他の例として、プロセッサ24は、いくつかの実施形態では、電荷値のみを決定する、すなわち粒子速度値を決定しないように、さらに電圧源VS1の制御を電荷値の決定結果にのみ、さらに、いくつかの実施形態では、電荷フィルタ器具10の寸法情報にのみ基づくように構成またはプログラムされ得る。
【0040】
[0074]上記で簡単に述べたように、電荷偏向および駆動領域14は、すなわち電圧源VS1を、イオンの電荷の大きさまたは電荷状態に基づいてイオンを通過させる、遮断する、または駆動するように制御することによって制御可能である。この点において、特定の電荷の大きさのイオン、特定の電荷状態のイオン、電荷の大きさの所定範囲内の電荷を有するイオン、または1つまたは複数の特定の整数の電荷状態の所定範囲内の計算された電荷状態を有するイオンは、分析されてもよく、および/または1つまたは複数の分子的特徴の分析のために収集されてもよい。そのようなイオンの全ては、電荷増幅器CA1~CANによって生成された電荷測定情報の結果として既知の共通の電荷の大きさまたは電荷状態を有するため、そのようなイオンの既知のイオンの電荷の大きさおよび/または電荷状態は、以前は従来の器具では決定可能でなかった分子的特徴情報を決定するために、そのような下流の分析に使用され得る。たとえば、電荷フィルタ器具10が、たとえば、上述したように、a+1電荷状態を有するイオンのみを通過させるように制御される非限定的な一適用例において、そのような電荷情報は、イオン質量電荷比を測定する従来の質量分析計または質量分析器を使用して粒子質量値を直接決定するために使用可能である。電荷フィルタ器具10が、たとえば、上述したように、a+1電荷状態を有するイオンのみ通過させるように制御される他の非限定的な適用例として、そのような電荷情報は、粒子電荷に応じてイオンモビリティを測定する従来のイオンモビリティ分析計を使用して粒子モビリティ値を直接決定するために使用可能である。さらに他の非限定的な例として、電荷フィルタ器具10は、たとえば上述したように、それぞれがたとえば+1、+2、+3などの異なる電荷の大きさまたは異なる状態を有するイオンの異なるセットを駆動および分析、または分析のために収集するように構成および制御され得る。上記の各セットの既知の電荷の大きさまたは電荷状態は、その後、たとえば粒子質量、粒子モビリティなど、そのセットの1つまたは複数の分子的特徴を決定するために、1つまたは複数の分子分析段とともに使用され得る。
【0041】
[0075]ここで
図8を参照すると、
図1、
図2A~
図2D、および
図4A~
図4Nに図示された電荷フィルタ器具の電荷偏向または駆動領域14の実施形態が示される。図示された実施形態では、電荷偏向または駆動領域14は、イオンを選択的に通過させる、またはその通過を遮断するように構成され制御可能な単一入口-単一出口電荷偏向器14Aの形態で実施される。電荷偏向器14Aは、それぞれが、例示的に板、格子、または他の導電性材料の形態で、単一イオン入口A3と単一イオン出口A4との間に全体的にチャネル64を画定するために互いに離れて配置されたそれぞれが長さDLを有する一対の導電性部材60、62を備える。図示された実施形態では、部材60、62は、チャネル64が正方形または矩形のチャネルとなるように平板状部品として図示される。代替の実施形態では、導電性部材60、62は、限定なく、他の形状で実施されてもよい。いずれの場合でも、電圧源VS1の第1の電圧出力V1は、導電性部材62に電気的に接続され、電圧源VS1の第2の電圧出力V2は導電性部材60に電気的に接続される。一実施形態では、電圧V1およびV2は、切り換え可能なDC電圧でもよく、または電圧V1、V2の一方がたとえば地電位または他の基準電位などの基準電位に設定されてもよく、他方の電圧V1、V2が切り換え可能なDC電圧でもよい。代替の実施形態では、電圧V1および/または電圧V2は、時変電圧でもよい。
【0042】
[0076]いずれの場合でも、電荷偏向器14Aは、例示的に、
図8に例として図示されるように荷電粒子Pを部材60、62へ迂回させて加速するのに十分な大きさの電界Eを生成するように電圧V1および/またはV2を制御することによって、入口A3に入る荷電粒子Pを部材60、62の一方または他方へ偏向するように動作可能である。逆に、電荷偏向器14Aは、例示的に、電界Eが部材60、62間で構築されない限り、または電界Eが部材60、62間で構築されるが荷電粒子Pを部材60、62の一方または他方に偏向するのには大きさが十分でない限り、
図8で破線表現で図示されるように、入口A3に入った荷電粒子Pを出口A4に向かって、さらにそこを通って通過させるように動作可能である。決して限定的と考えられるべきでない説明上の一例において、荷電粒子Pが陽電荷を有する場合、荷電粒子Pをチャネル64を通過させるV1=V2=0ボルト(地電位)、および荷電粒子Pを導電性部材62に向かって、さらにその中へ偏向するV1=0ボルト、V2=+Zボルトを有し、ここで、Zは、荷電粒子Pが出口A4に到達することにより荷電粒子Pの電荷偏向器14Aの通過を遮断する前に、部材62の表面上に荷電粒子Pを導いて加速するのに十分な大きさを有する部材60、62間に電界Eを構築するように選択される。代替の実施形態では、V1およびV2の役割は逆にされ得ることを理解されるであろう。他の代替の実施形態において、電界Eは、1つまたは複数の時変電圧V1、V2によって構築される時変電界でもよい。
【0043】
[0077]ここで
図9Aおよび
図9Bを参照すると、
図1、
図2A~
図2D、および
図4A~
図4Nに図示された電荷フィルタ器具の電荷偏向または駆動領域14の他の実施形態が示される。
図9Aおよび
図9Bに図示された実施形態では、電荷偏向または駆動領域14は、イオンを選択的に通過させる、またはその通過を遮断するように構成され制御可能な他の単一入口-単一出口電荷偏向器14Bの形態で実施される。電荷偏向器14Bは、例示的に、それぞれが長さRLを有し単一イオン入口A3と単一イオン出口A4との間に全体にわたってチャネル78を画定するように互いに半径方向に離れて配置された4本の細長い導電性ロッド70、72、74、76を含む四重極フィルタの形態で提供される。図示された実施形態では、ロッド70~76は、全体的に円形の断面形状を有する円筒形ロッドとして図示されるが、代替の実施形態では、ロッド70~76は、円形以外の断面形状を有してもよい。いずれかの場合でも、電圧源VS1の第1の電圧出力V1は、導電性ロッド70、72に電気的に接続され、電圧源VS1の第2の電圧出力V2は導電性ロッド74、76に電気的に接続され、ここで、ロッド70はロッド72に半径方向に対向して配置され、ロッド74はロッド76に半径方向に対向して配置される。一実施形態では、電圧V1およびV2は、互いに180度位相がずれた、たとえばRF電圧などの時変電圧を含んでもよく、ロッド対70、72と74、76との間にDC電圧をさらに含んでもよい。いくつかの代替の実施形態では、V1およびV2は、たとえばRF電圧などの時変電圧のみを含んでもよく、他の代替の実施形態では、V1およびV2は、DC電圧のみを含んでもよい。
【0044】
[0078]いずれかの場合でも、電荷偏向器14Bは、例示的に、荷電粒子Pをロッド70~76の1つに偏向することによって荷電粒子Pによる電荷偏向器14Bの通過を遮断するのに十分な大きさを有するロッド70~76間に非共鳴電界Eを生成するために、従来の手法で電圧V1および/またはV2を制御することによって、ロッド70~76の1つに入口A3に入った荷電粒子Pを偏向するように動作可能である。逆に、電荷偏向器14Bは、例示的に、荷電粒子Pをチャネル78に閉じ込めることによって、入口A3に入った荷電粒子Pがチャネル78を軸方向に通過してイオン出口A4から出ることができるようにする、ロッド70~76間に共鳴電界Eを生成するために、従来の手法で電圧V1および/またはV2を制御することによって、入口A3に入った荷電粒子Pが出口A4に向かって通過させてそこを出るように動作可能である。いくつかの代替の実施形態では、電荷偏向器14Bは、たとえば時変電圧(すなわち非DC電圧)のみを供給するようにV1およびV2を制御することによって、閾値質量電荷比を上回る質量電荷比を有するイオンのみを通過させる1つまたは複数の他の電荷偏向または駆動コンポーネントと組み合わせて使用され得る。
【0045】
[0079]ここで
図10Aおよび
図10Bを参照すると、
図1、
図2A~
図2D、および
図4A~
図4Nに図示された電荷フィルタ器具の電荷偏向または駆動領域14のさらに他の実施形態が示される。
図10Aおよび
図10Bに図示された実施形態では、電荷偏向または駆動領域14は、入口A3に入ったイオンを、複数の異なるイオン出口のうちの1つを通って選択的に駆動するように構成され制御可能な単一入口-複数出口電荷駆動デバイス14Cの形態で実施される。電荷駆動デバイス14Cは、例示的に、その間にイオン駆動空間88を画定するために、互いから離れて配置された4つの細長い導電性弧状部材80、82、84、86を有する単一入口-3出口の四重極電荷駆動デバイスの形態で提供される。導電性弧状部材80、82、84、86のそれぞれは駆動空間88に対向する凸面を有し、部材80、82は空間88のいずれかの側で互いに対向して配置され、部材84、86も空間88のいずれかの側で互いに対向して配置される。弧状部材のそれぞれ隣り合った対は、その間にイオン入口または出口を画定する。たとえば、弧状部材80および84は、その間に駆動デバイス14Bのイオン入口A3を画定するために、互いから半径方向に離れて配置され、弧状部材82および86は、同様に、イオン入口A3に軸方向に対向した1つのイオン出口A4をその間に画定するために、互いに半径方向に離れて配置される。弧状部材80および86は、その間に1つの側部出口SA1を画定するために、互いから軸方向に離れて配置され、弧状部材82および84は、同様に、側部出口SA1に半径方向に対向したもう1つの側部出口SA2をその間に画定するために、互いに軸方向に離れて配置される。
【0046】
[0080]
図10Bに図示された実施形態では、電圧源VS1の第1の電圧出力V1は、導電性部材80および82に電気的に接続され、電圧源VS1の第2の電圧出力V2は導電性部材84および86に電気的に接続される。一実施形態では、電圧V1およびV2は、互いに180度位相がずれた、たとえばRF電圧などの時変電圧を含んでもよく、ロッド対80、82と84、86との間にDC電圧をさらに含んでもよい。いくつかの代替の実施形態では、V1およびV2は、たとえばRF電圧などの時変電圧のみを含んでもよく、他の代替の実施形態では、V1およびV2は、DC電圧のみを含んでもよい。説明上の一実施例では、電圧V1およびV2は切り換え可能なDC電圧であり、プロセッサ24は、例示的に、入口A3に入った荷電粒子Pを、
図10Bに破線で示すように、直線軸85に沿って、イオン出口A4を通って空間88を直接通過させるために、V1およびV2を同一の電圧、たとえば地電位または他の電位に制御するように動作可能である。代替的に、荷電粒子Pが陽電荷であると仮定すると、プロセッサ24は、V1を負電位に制御し、V2を逆の正電位に制御して、イオン入口A3に入った荷電粒子Pを弧状経路87Aに沿って駆動し、
図10Bにも図示するように側部出口SA1を通って電荷駆動デバイス14Bから出るように構成された空間88内で電界を生成するように、動作可能でもよい。さらに代替的に、この場合も、荷電粒子Pが陽電荷を有すると仮定すると、プロセッサ24は、V1を正電位に制御し、V2を逆の負電位に制御して、イオン入口A3に入った荷電粒子Pを弧状経路87Bに沿って駆動し、
図10Bにもさらに図示するように側部出口SA2を通って電荷駆動デバイス14Bから出るように構成された空間88内で電界を生成するように、動作可能でもよい。
【0047】
[0081]ここで
図11を参照すると、
図1、
図2A~
図2D、および
図4A~
図4Nに図示された電荷フィルタ器具の電荷偏向または駆動領域14のさらなる実施形態が示される。
図11に図示された実施形態では、電荷偏向または駆動領域14は、複数の異なるイオン出口のうちの1つを通って入口A3に入ったイオンを選択的に駆動するように構成され制御可能な他の単一入口-複数出口電荷駆動デバイス14Dの形態で実施される。電荷駆動デバイス14Dは、例示的に、逆の外側の主面90Bを有する1つの基板90の内側の主面90A上に形成された、ほぼ同一で離れて配置された4つの導電性パッドC1~C4のパターンと、逆の外側の主面92Bを有する他の1つの基板92の内側の主面92A上に形成された、ほぼ同一で離れて配置された4つの導電性パッドC1~C4の同一パターンとを含む。基板90、92の内側の面90A、92Aは、全体的に平行な関係で離れて配置され、基板90の導電性パッドC1~C4は、基板92の導電性パッドC1~C4のそれぞれの導電性パッド上に並置される。基板90、92の離れて配置された内側の主面90Aおよび92Aは、例示的に、幅D
Pを有するチャネルまたは空間94をその間に画定する。一実施形態では、チャネル94の幅D
Pがおよそ5cmであるが、他の実施形態では、距離D
Pは5cmより大きくても、小さくてもよい。
【0048】
[0082]対向するパッド対C1、C1およびC3、C3は、その間にイオン入口A3を画定し、対向するパッド対C2、C2およびC4、C4は、その間にイオン出口A4を画定する。対向するパッド対C1、C1およびC2、C2は、その間に側部出口SA1を画定し、対向するパッド対C3、C3およびC4、C4は、反対側の側部出口SA2を画定し、この全ては
図10Aおよび
図10Bに図示される実施形態に関して同様に説明される。基板90、92の縁部90C、92Cは、例示的に、互いに整列しており、縁部90D、92D、縁部90E、92E、および縁部90F、92Fも同様である。
【0049】
[0083]電圧源VS1の第1の電圧出力V1は、導電性パッド対C1、C1およびC4、C4に電気的に接続され、電圧源VS1の第2の電圧出力V2は導電性パッド対C2、C2およびC3、C3に電気的に接続される。一実施形態では、電圧V1およびV2は、パッド対C1、C1、C2、C2、C3、C3、およびC4、C4のうちの様々なパッド対の間にイオン駆動電界を選択的に構築するように制御可能な切り換え可能DC電圧でもよい。一実施例では、プロセッサ24は、例示的に、入口A3に入った荷電粒子Pを、
図11に図示するように、線形軸96に沿って、イオン出口A4を通って空間チャネル94を直接通過させるために、V1およびV2を同一の電圧、たとえば地電位または他の電位に制御するように動作可能である。代替的に、荷電粒子Pが陽電荷を有すると仮定すると、プロセッサ24は、V1を負電位に制御し、V2を逆の正電位に制御して、イオン入口A3に入った荷電粒子Pを弧状経路98Aに沿って駆動し、
図11にも図示するように側部出口SA1を通って電荷駆動デバイス14Bから出るように構成されたチャネル96内で電界を生成するように、動作可能でもよい。さらに代替的に、この場合も、荷電粒子Pが陽電荷を有すると仮定すると、プロセッサ24は、V1を正電位に制御し、V2を逆の負電位に制御して、イオン入口A3に入った荷電粒子Pを弧状経路に沿って駆動し、側部出口SA2を通って電荷駆動デバイス14Bから出るように構成されたチャネル94内で電界を生成するように、動作可能でもよい。
【0050】
[0084]ここで
図12を参照すると、
図1に図示され上述された電荷フィルタ器具10の実施形態10Aを含む粒子測定デバイス100の実施形態が示される。
図12に示す実施形態では、電荷フィルタ器具10Aは、イオン入口A1を有するドリフト領域12を含み、電荷検出器アレイ16は、上述したように、そのイオン入口A1とイオン出口A2との間のドリフト管12A内に軸方向に配置された複数の電荷検出シリンダー16
1~16
Nを含み、電荷偏向器の形態でドリフト管12の出口端に結合された電荷偏向または駆動領域14をさらに含む。電荷偏向器は、例示的に、
図8および
図9A~
図9Bにそれぞれ図示された電荷偏向器14A、14Bのいずれかとして実施されてもよく、または
図10A~
図10Bおよび
図11にそれぞれ図示された電荷駆動デバイス14C、14Dのいずれかとして実施されてもよい。後者の場合、電荷駆動デバイス、たとえば電荷駆動デバイス14Cまたは14Dは、例示的に、イオン入口A3に入ったイオンをイオン出口A4に向かって通過させる、または、たとえば側部出口SA1、SA2のいずれかを通ってイオン出口A4から離れる方向にイオンを駆動することによって、それらのイオンのイオン出口A4の通過を遮断する電荷偏向器として動作するように制御される。代替的または追加的に、
図12に図示される電荷偏向器は、任意の従来の構造および/または技法を使用して、イオン入口A3に入ったイオンをイオン出口A4に向かって選択的に通して通過させ、またはイオン入口A3に入ったイオンがイオン出口A4を通過するのを選択的に遮断するように、上述したように制御され得る、1つまたは複数の他の従来の電荷偏向器、電荷分流加減器、電荷駆動デバイス、または他のデバイスの形態で実施され得る。
【0051】
[0085]粒子測定デバイス100は、電荷フィルタ器具10Aのイオン入口端に動作可能に結合されたイオン源領域30をさらに含む。イオン源領域30は
図1を参照して上述された通りであり、例示的に、電圧源VS2に結合され、イオン源領域30の内部または外部に配置されたサンプルからイオンを生成するために、プロセッサ24によって生成された制御信号に応答するように構成された少なくとも1つのイオン発生器を含み、生成されたイオンを、イオン入口A1を通って電荷フィルタ器具10A中に加速または他のやり方で推進するための1つまたは複数の従来の構造および/またはデバイスをさらに含む。いくつかの実施形態では、たとえば、イオン源領域30は、イオン発生器から分離したまたはその一部であり、電圧源VS2に動作可能に結合する(
図1参照)少なくとも1つのイオン加速構造または領域を含み得る。この実施形態では、プロセッサ24は、例示的に、イオン加速構造を用いて、またはイオン加速領域内に選択的にイオン加速電界を構築するように電圧源VS2を制御するようにプログラムされてもよく、イオン加速構造またはイオン加速領域は、いずれの場合でも、生成されたイオンをイオン入口A1を通って電荷フィルタ器具10A中に加速するように配向される。サンプルがイオン源領域30内に含まれる他の例として、ドリフト領域12は、たとえば1つまたは複数の従来のポンプによって、イオン源領域30よりも低い圧力となるように加圧されてもよく、そのような実施形態では、イオン源領域30とドリフト領域12との間の圧力差が、生成されたイオンをイオン入口A1を介して電荷フィルタ器具10A中に推進し得る。サンプルがイオン源領域30外部に含まれるさらに他の例として、イオン源領域および/またはドリフト領域12は、たとえば1つまたは複数の従来のポンプによって、サンプルが配置された雰囲気圧または気圧よりも低い圧力となるように加圧されてもよく、そのような実施形態では、イオン源領域30の外部の雰囲気圧または気圧とイオン源領域および/またはドリフト領域12内のより低い圧力環境との間の圧力差が、生成されたイオンをイオン入口A1を介して電荷フィルタ器具10A中に推進し得る。さらに他の実施形態では、圧力差とイオン加速領域または構造との組み合わせは、生成されたイオンを電荷フィルタ器具10A中に加速する、または他のやり方で推進する原動力を提供するために使用され得る。
【0052】
[0086]いくつかの実施形態では、イオン源領域30は、1つまたは複数のイオン分離器具または段ならびに/もしくは1つまたは複数のイオン処理器具または段を任意の組み合わせで含み得る。イオン源領域30の様々な組成のいくつかの例を、
図15に関して以下で詳述する。
【0053】
[0087]粒子測定デバイス100は、
図1に図示され、簡単に上述されたように、電荷フィルタ器具10Aのイオン出口端に動作可能に結合されたイオン格納、駆動および/または測定段32をさらに備える。
図12に図示された実施形態では、イオン格納、駆動および/または測定段32は、例示的に、電圧源VS3に動作可能に結合された従来のイオントラップ102を備え(
図1参照)、電荷フィルタ器具10Aのイオン出口A4に結合されたイオン入口と、イオン測定段104のイオン入口に結合されたイオン出口とを有するイオン格納および測定段32Aの形態で実施される。いくつかの代替の実施形態では、イオントラップ102は、電荷フィルタ器具10Aのイオン出口A4がイオン測定段104のイオン入口に直接結合されるように省略されてもよい。イオン測定段104は、いずれの場合でも、例示的に、1つまたは複数の分子的特徴にしたがって時間的にイオンを分離するための1つまたは複数の従来の器具または段を備えてもよい。いくつかの実施形態では、イオン測定段104は、1つまたは複数のイオン分離器具または段と任意の組み合わせで1つまたは複数のイオン処理器具または段をさらに備えてもよい。イオン測定段104は、
図1に図示されるように電圧源VS3と動作可能に結合される。イオン測定段104の様々な組成のいくつかの例を、
図16に関して以下で詳述する。
【0054】
[0088]
図12に図示された実施形態では、イオンは、イオン源領域30によって電荷フィルタ器具10Aへ供給され、ここで、プロセッサ24は、いくつかの実施形態では、上述したように、イオンはドリフト領域12中をドリフトしながら分離するため、粒子電荷値および粒子速度を決定するように動作可能であり、上記でも説明したように、目標とする電荷の大きさを有し、選択された閾値または目標とする電荷の大きさの範囲内にある電荷の大きさを有し、目標電荷状態を有し、または選択された閾値または目標電荷状態の範囲内にある電荷状態を有する(本明細書では、個別および集合的に「目標電荷」と呼ぶ)イオンのみを通すように電圧源VS1をさらに制御するように動作可能である。荷電粒子測定デバイス100がイオントラップ102を備える一実施例では、プロセッサ24は、例示的に、たとえばメモリ26に格納された命令によって、目標電荷を有し、したがって電荷偏向器14A、B、C、Dを通ってイオントラップ102へ通過させるためにプロセッサ24によって選択されたイオンをイオントラップ102内に収集および格納するように電圧源VS3を制御するようにプログラムされる。プロセッサ24は、例示的に、任意の期間、イオントラップ102内にイオンを収集および格納するように電圧源VS3を制御するように構成される。イオントラップ102がそれ自体にイオンを収集および格納するように動作した後のある時点において、プロセッサ24は、収集されたイオンを、イオン測定段104のイオン入口に放出するように電圧源VS3を制御するように動作可能であり、プロセッサ24は、その後、全てが目標電荷を有するイオンの集合の1つまたは複数の分子的特徴を測定するイオン測定段104を構成する1つまたは複数のイオン測定器具の動作を制御するように、従来の手法で電圧源VS3を制御するように動作可能である。イオントラップ102を備えない代替の実施形態では、電荷フィルタ器具10Aを出た目標電荷を有するイオンは、イオン測定段104に直接供給され、プロセッサ24は、出たイオンの1つまたは複数の分子的特徴を測定するように電圧源VS3を制御するように動作可能である。いずれの場合でも、プロセッサ24は、従来の手法で、イオン測定段104によって生成されたイオン測定情報を収集、格納および分析するようにさらに動作可能である。
【0055】
[0089]決して限定的であると考えられるべきではない粒子測定器具100の一実施例では、イオン測定段は、従来の質量分析計または質量分析器であり、またはそれを備える。この実施例では、プロセッサ24は、例示的に、第1の目標電荷を有するイオンのみをイオントラップ102へ通過させるように電圧源VS1を制御し、その後、収集されたイオンを、質量分析計または質量分析器に供給するように電圧源VS3を制御し、収集されたイオンの質量電荷比測定結果を生成するために従来の手法で質量分析計または質量分析器を制御するように電圧源VS3をさらに制御するように動作可能である。収集されたイオンの電荷の大きさまたは電荷状態が同一であり、既知であるため、プロセッサ24は、質量電荷比測定結果と目標電荷値との単純な比率として収集されたイオンの質量を決定するようにさらに動作可能である。いくつかの実施形態では、イオントラップ102は省略されてもよく、プロセッサ24は、上記で説明したように、電荷フィルタ器具10Aの出口開口A4を出る時の電荷選択イオンの質量電荷比測定結果を生成するように質量分析計または質量分析器を制御するように電圧源VS3を制御するように動作可能でもよい。いずれの場合も、プロセッサ24は、目標電荷値の選択範囲に対して、上述したプロセスを1回または複数回繰り返す電荷走査モードでさらに動作可能でもよい。当業者は、イオン測定段104が1つまたは複数の分子的特徴を測定するように構成された他の従来のイオン測定器具または段でもよく、またはそれを備えてもよく、ならびに/もしくは、任意の従来の手法でイオンを処理するように構成された1つまたは複数のイオン処理器具または段を備えてもよいことを認識し、イオン測定段104のそのような実施が本開示の範囲内に存在することが意図されることが理解されるであろう。イオン測定段104に備えられ得る様々な測定器具および処理器具のいくつかの非限定的な例は、
図16に関して以下に説明される。
【0056】
[0090]ここで
図13を参照すると、
図1に図示され上述された電荷フィルタ器具10の実施形態10Bを含む他の粒子測定デバイス200の実施形態が示される。
図13に示す実施形態では、電荷フィルタ器具10Bは、イオン入口A1を有するドリフト領域12を含み、電荷検出器アレイ16は、上述したように、そのイオン入口A1とイオン出口A2との間のドリフト管12A内に軸方向に配置された複数の電荷検出シリンダー16
1~16
Nを含み、単一入口-複数出口電荷駆動デバイスの形態でドリフト管12Aの出口端に結合された電荷偏向または駆動領域14をさらに含む。図示された実施形態では、単一入口-複数出口電荷駆動デバイスは、
図10A~
図10Bおよび
図11にそれぞれ図示された電荷駆動デバイス14C、14Dのいずれかとして例示的に実施され得る、単一のイオン入口A3と、対向して配置されたイオン出口A4と、2つの対向側部出口SA1、SA2とを有する単一入口-3出口電荷駆動デバイスである。代替的に、単一入口-複数出口電荷駆動デバイスは、任意の従来の単一入口-複数出口荷電粒子駆動デバイスの形態を有し得る。
【0057】
[0091]粒子測定デバイス200は、さらに例示的に、それぞれが単一入口-複数出口電荷駆動デバイス14C、14Dの対応するそれぞれのイオン出口A4、SA1、SA2と動作可能に結合された3つの個別のイオン格納および測定段32A
1、32A
2、32A
3の形態でイオン格納、駆動および/または測定段32を備える。
図13に図示する実施形態では、各段32A
1、32A
2、32A
3は
図12に図示され上述された段32Aと同一である。たとえば、各段32A
1、32A
2、32A
3は、対応するそれぞれのイオン測定段104
1、104
2、104
3と動作可能に結合されたそれぞれの従来のイオントラップ102
1、102
2、102
3を備える。いくつかの代替の実施形態では、段32A
1、32A
2、32A
3のうちの1つまたは複数は、段32A
1、32A
2、32A
3の残りと異なって構成され得る。いくつかの代替の実施形態では、電荷駆動デバイス14C、Dのそれぞれイオン出口がそれぞれのイオン測定段104
1、104
2、104
3のイオン入口に直接結合されるように、イオントラップ102
1、102
2、102
3のうちの1つまたは複数が省略されてもよい。イオン測定段104
1、104
2、104
3は、同様に、
図13に図示され上述されたイオン測定段104と同一である。
【0058】
[0092]粒子測定デバイス200は、電荷フィルタ器具10Bのイオン入口端に動作可能に結合されたイオン源領域30をさらに含む。イオン源領域30は、例示的に、
図1および
図12を参照して上述された通りである。
【0059】
[0093]粒子測定デバイス200の動作は、イオンがイオン源領域30によって電荷フィルタ器具10Bに供給される点で、
図12に図示され上述された粒子測定デバイス100と同様であり、ここで、プロセッサ24は、イオンがドリフト領域12中をドリフトしている間に分離するため、粒子電荷値と、いくつかの実施形態では粒子速度とを決定するために動作可能である。ただし、粒子測定デバイス100とは異なり、粒子測定デバイス200は、電荷偏向器の単一の出口を粒子が通過させることに限定されておらず、むしろ電荷駆動デバイス14C、14Dの3つの出口のいずれかを粒子が通過させるように構成される。単一入口-3出口電荷駆動デバイス14C、14Dの場合、プロセッサ24は、例示的に、上述したように、第1の目標電荷を有するイオンのみを出口A4を通過させ、第1の目標電荷とは異なる第2の目標電荷を有するイオンのみを第2の出口SA1を通過させ、第1および第2の目標電荷とは異なる第3の目標電荷を有するイオンのみを第3の出口SA2を通過させるように、電圧源VS1を制御するようにプログラムされる。
【0060】
[0094]荷電粒子測定デバイス200がイオントラップ102
1、102
2、102
3を備える一実施例では、プロセッサ24は、例示的に、たとえばメモリ26に格納された命令によって、第1の目標電荷を有する荷電粒子Pを、電荷駆動デバイス14C、14Dのイオン出口A4から、たとえば
図13に図示するイオン移動経路202
1に沿ってイオントラップ102
1へ駆動するように電圧源VS1を制御し、第1の目標電荷を有する荷電粒子をイオントラップ102
1内に収集および格納するように電圧源VS3を制御し、第2の目標電荷を有する荷電粒子Pを、電荷駆動デバイス14C、14Dのイオン出口SA2から、たとえば
図13に図示するイオン移動経路202
2に沿ってイオントラップ102
2へ駆動するように電圧源VS1を制御し、第2の目標電荷を有する荷電粒子をイオントラップ102
2内に収集および格納するように電圧源VS3を制御し、第3の目標電荷を有する荷電粒子Pを、電荷駆動デバイス14C、14Dのイオン出口SA1から、たとえば
図13に図示するイオン移動経路202
3に沿ってイオントラップ102
3へ駆動するように電圧源VS1を制御し、第3の目標電荷を有する荷電粒子をイオントラップ102
3内に収集および格納するように電圧源VS3を制御するようにプログラムされる。プロセッサ24は、その後、収集された荷電粒子を、イオントラップ102
1、102
2、102
3のいずれか、または全部からその分析のためにイオン測定段104
1、104
2、104
3の対応する段へ選択的に放出するように電圧源VS3を制御するように動作可能である。プロセッサ24は、従来の手法で、イオン測定段104
1、104
2、104
3によって生成されたイオン測定情報を収集、格納および分析するようにさらに動作可能である。それによって、粒子測定デバイス200は、
図12で図示され上述されたデバイス100と動作が同様であるが、3つの異なるイオン測定段104
1、104
2、104
3を用いて3つの異なる目標電荷を有するイオンを、収集および分析を同時に行い、または後で分析を行うように構成される。当業者は、
図13に図示された単一入口-複数出口電荷駆動デバイスが3つのイオン出口に限定されず、したがって2つまたは4つ以上のイオン出口を備えるように構成されてもよく、そのような実施形態で、粒子測定デバイス200はそれに応じてそれぞれ2つまたは4つ以上のイオン測定段104
1、104
2、104
3を備えてもよく、それらを備えている実施形態では、2つまたは4つ以上のイオントラップ102
1、102
2、102
3を備えてもよいことを認識するであろう。
【0061】
[0095]ここで
図14を参照すると、
図1に図示され上述された電荷フィルタ器具10の実施形態10Cを含むさらに他の粒子測定デバイス300の実施形態が示される。
図14に示す実施形態では、電荷フィルタ器具10Cは、イオン入口A1を有するドリフト領域12(部分的に
図14に図示)を含み、電荷検出器アレイ16は、
図1に図示し上述したように、そのイオン入口A1とイオン出口A2との間のドリフト管12A内に軸方向に配置された複数の電荷検出シリンダー16
1~16
Nを含む。電荷フィルタ器具10Cは、2つの直列の単一入口-複数出口電荷駆動デバイスと対応するドリフト管からなる回路を含む電荷駆動領域14の形態で、ドリフト管12Aの出口端に結合された電荷偏向または駆動領域14をさらに備える。図示された実施形態では、単一入口-複数出口電荷駆動デバイスは、両方とも、
図10A~
図10Bおよび
図11にそれぞれ図示された電荷駆動デバイス14C、14Dのいずれかとして例示的に実施され得る、単一のイオン入口A3と、対向して配置されたイオン出口A4と、2つの対向側部出口SA1、SA2とをそれぞれ有する単一入口-3出口電荷駆動デバイスである。したがって、電荷駆動領域14の一部を形成する2つの単一入口-3出口電荷駆動デバイスは、それぞれ14C1、D1および14C2、D2として
図14に図示される。代替的に、単一入口-複数出口電荷駆動デバイスは、任意の従来の単一入口-複数出口荷電粒子駆動デバイスの形態を有し得る。
【0062】
[0096]
図14に図示された実施形態では、第1の電荷駆動デバイス14C1、D1の入口A3は、ドリフト管12Aのイオン出口A2に結合され、電荷駆動デバイス14C1、D1のイオン出口A4は、直線状のドリフト管区分または部分302の一端に結合され、直線状のドリフト管区分または部分302の反対側の端部は、第2の電荷駆動デバイス14C2、D2のイオン入口A3に結合される。電荷駆動デバイス14C2、D2のイオン出口A4は、他の直線状ドリフト管区分または部分304の一端に結合され、直線状ドリフト管区分または部分304の反対側の端部は、電荷駆動領域14の第1のイオン出口IO1を画定する。第2の電荷駆動デバイス14C2、D2の側部イオン出口SA2は、弧状ドリフト管区分または部分306の一端に結合され、弧状ドリフト管区分または部分306の反対側の端部は、電荷駆動領域14の第2のイオン出口IO2を画定する。第2の電荷駆動デバイス14C2、D2の側部イオン出口SA1は、他の弧状ドリフト管区分または部分308の一端に結合され、弧状ドリフト管区分または部分308の反対側の端部は、電荷駆動領域14の第3のイオン出口IO3を画定する。第1の電荷駆動デバイス14C1、D1の側部イオン出口SA2は、さらに他の弧状ドリフト管区分または部分310の一端に結合され、弧状ドリフト管区分または部分310の反対側の端部は、電荷駆動領域14の第4のイオン出口IO4を画定し、第1の電荷駆動デバイス14C1、D1の側部イオン出口SA1は、さらに他の弧状ドリフト管区分または部分312の一端に結合され、弧状ドリフト管区分または部分312の反対側の端部は、電荷駆動領域14の第5のイオン出口IO5を画定する。図示された実施形態では、弧状ドリフト管区分または部分306、308、310および312は、例示的に、イオンドリフトの軸方向をおよそ90度再配向するドリフト経路に沿ってイオンを駆動するように構成される。電荷駆動デバイス14C1、D1および14C2、D2の入口A3に入って出口A4から出るイオンのドリフト方向と平行な方向に出口IO1~IO5を出るために、電荷駆動デバイス14C1、D1および14C2、D2の入口A3に入るイオンのドリフト方向に垂直な方向で電荷駆動デバイス14C1、D1および14C2、D2のそれぞれの側部出口SA1、SA2を出るイオンが、それによって弧状ドリフト管区分または部分306、308、310、312によって再配向される。代替の実施形態では、ドリフト管区分306、308、310および312のうちの1つまたは複数が、弧状以外でもよく、または弧状であるが、鋭角または鈍角によってイオンドリフトの方向を再配向するように構成され得る。
【0063】
[0097]粒子測定デバイス300は、さらに例示的に、それぞれドリフト管区分または部分304、306、308、310、312のうちの異なるそれぞれのドリフト管区分または部分の出口IO1~IO5に結合されたイオン入口を有し、それぞれが荷電粒子駆動回路32Cを介して単一のイオン測定段104の入口に結合された出口を有する、複数、たとえば5つの個別のイオントラップ102
1~102
5の形態でイオン格納、駆動および/または測定段32Bを備える。荷電粒子駆動回路32Cは、例示的に、イオントラップ102
1~102
5のそれぞれからイオン測定段104の入口に荷電粒子を選択的に駆動するようにともに制御可能なイオン駆動デバイスとして動作可能な、複数、たとえば5つの電荷駆動デバイスを備える。図示された実施形態では、複数のイオン駆動デバイスのそれぞれは、それぞれ
図10A~
図10Bおよび
図11に図示された電荷駆動デバイス14C、14Dのいずれかとして実施され、複数のイオン駆動デバイスのうちのいくつかは単一入口-単一出口イオン駆動デバイスとして動作するように制御され、複数のイオン駆動デバイスの残りは、2入口単一出口イオン駆動デバイスとして動作するように制御され、複数のイオン駆動デバイスのうちの1つは、3入口単一出口イオン駆動デバイスとして動作するように制御される。たとえば、イオン駆動デバイス14C3、D3のイオン入口A3
1は、イオントラップ102
1のイオン出口に結合され、イオン入口A3
1の反対側のイオン出口A4はイオン測定段104のイオン入口に結合され、イオン入口A3
1およびイオン出口A4と隣り合った反対側の側部入口A3
2およびA3
3は、2つのドリフト管区分または部分314および316のそれぞれの端部にそれぞれ結合される。他のイオン駆動デバイス14C4、D4のイオン入口A3
1はイオントラップ102
2のイオン出口に結合され、入口A3
1と隣り合った他のイオン入口A3
2は他のドリフト管区分または部分318の一端に結合され、イオン入口A3
2の反対側で入口A3
1と隣り合ったイオン出口SA1はドリフト管区分または部分314の反対側の端部に結合される。さらに他のイオン駆動デバイス14C5、D5のイオン入口A3
1はイオントラップ102
3のイオン出口に結合され、入口A3
1と隣り合った他のイオン入口A3
2はさらに他のドリフト管区分または部分320の一端に結合され、イオン入口A3
2の反対側でイオン入口A3
1と隣り合ったイオン出口SA2はドリフト管区分または部分316の反対側の端部に結合される。さらに他のイオン駆動デバイス14C6、D6のイオン入口A3はイオントラップ102
4のイオン出口に結合され、入口A3と隣り合ったイオン出口SA1はドリフト管区分または部分318の反対側の端部に結合される。さらなるイオン駆動デバイス14C7、D7のイオン入口A3はイオントラップ102
5のイオン出口に結合され、入口A3と隣り合ったイオン出口SA2はドリフト管区分または部分320の反対側の端部に結合される。
【0064】
[0098]粒子測定デバイス300は、
図13に図示され上述されたデバイス200と動作が同様であるが、5つの異なる目標電荷を有するイオンを同時に収集し、その後、単一のイオン測定段104を用いて5つの集合のうちのそれぞれを分析するように構成される。たとえば、イオンは、イオン源領域30によって電荷フィルタ器具10Cへ供給され、上述したようにドリフト領域12中をドリフトしながらイオンが分離するため、プロセッサ24は、粒子電荷値と、いくつかの実施形態では粒子速度とを決定するように動作可能である。プロセッサ24は、例示的に、5つの異なる目標電荷のそれぞれを有するイオンを電荷駆動デバイス14C1、D1および14C2、D2を介して駆動するように、上述したように、電圧源VS1を制御するようにプログラムされる。たとえば、ドリフト管12Aから電荷駆動デバイス14C1、D1のイオン入口A3へ通過し、第1の目標電荷を有するイオンが、プロセッサ24によって、電圧源VS1の制御により、電荷駆動デバイス14C1、D1の出口A4を通って電荷駆動デバイス14C2、D2のイオン入口A3へ配向され、プロセッサ24によって、電圧源VS1の制御により、電荷駆動デバイス14C2、D2の出口A4を通って第1のイオントラップ102
1へさらに配向され、プロセッサ24は、電圧源VS3の制御により、イオントラップ102
1内の上記のイオンを収集および格納するようにイオントラップ102
1を制御するようにさらに動作可能である。ドリフト管12Aから電荷駆動デバイス14C1、D1のイオン入口A3へ通過し、第2の目標電荷を有するイオンが、プロセッサ24によって、電圧源VS1の制御により、電荷駆動デバイス14C1、D1の出口A4を通って電荷駆動デバイス14C2、D2のイオン入口A3へ配向され、プロセッサ24によって、電圧源VS1の制御により、電荷駆動デバイス14C2,D2の出口SA2を通って第2のイオントラップ102
2へさらに配向され、プロセッサ24は、電圧源VS3の制御により、イオントラップ102
2内の上記のイオンを収集および格納するようにイオントラップ102
2を制御するようにさらに動作可能である。プロセッサ24は、ドリフト管12Aから電荷駆動デバイス14C1、D1のイオン入口A3へ通過し、第3、第4、および第5の目標電荷を有するイオンに関して、第3、第4および第5のイオントラップ102
3~102
5へそれぞれ上記イオンを駆動するために電圧源VS1を制御し、その後、イオントラップ102
3~102
5内の上記のイオンを収集および格納するように電圧源VS3を制御するように、同様に動作可能である。
【0065】
[0099]プロセッサ24は、その後、イオントラップ1021~1025から収集された荷電粒子を選択的に、さらに、いくつかの実施形態では、順次放出するように電圧源VS3を制御し、分析のために、荷電粒子をイオン測定段の入口に選択的に導くために荷電粒子駆動回路32Cを制御するように動作可能である。たとえば、イオントラップ1021で収集された荷電粒子を放出し、収集されたイオンをイオン測定段104に駆動または導くために、プロセッサ24は、イオントラップ1021に、格納されているイオンをそこからイオン駆動デバイス14C3、D3のイオン入口A31へ放出させるように電圧源VS3を制御し、イオン駆動デバイス14C3、D3に、イオン入口A31に入ったイオンを、そのイオン出口A4へ、さらにそこを通ってイオン測定段104のイオン入口へ通過させるように電圧源VS3を制御するように動作可能である。その後、プロセッサ24は、イオン測定段104に、入って来る荷電粒子の1つまたは複数の分子的特徴を測定させるように、従来の手法で電圧源VS3を制御するように動作可能である。イオントラップ1022で収集された荷電粒子を放出し、収集されたイオンをイオン測定段104に駆動または導くために、プロセッサ24は、イオントラップ1022に、格納されているイオンをそこからイオン駆動デバイス14C4、D4のイオン入口A31へ放出させるように電圧源VS3を制御し、イオン駆動デバイス14C4、D4に、イオン入口A31に入ったイオンを、そのイオン出口SA1へ、さらにそこを通ってドリフト管区分または部分314の一端へ通過させるように電圧源VS3を制御するように動作可能である。その後、プロセッサ24は、ドリフト管区分または部分314を通過した荷電粒子をイオン駆動デバイス14C3、D3の入口A32へ通過させるように電圧源VS3を制御し、さらにイオン駆動デバイス14C3、D3に、イオン入口A32に入ったイオンを、そのイオン出口A4へ、さらにそこを通って、イオン測定段104のイオン入口へ通過させるように電圧源VS3を制御するようにさらに動作可能である。その後、プロセッサ24は、イオン測定段104に、イオン測定段104のイオン入口に入って来る荷電粒子の1つまたは複数の分子的特徴を測定させるように、従来の手法で電圧源VS3を制御するように動作可能である。プロセッサ24は、同様の手法で、荷電粒子を残りのイオントラップ1023~1025から放出し、分析のために、放出されたイオンをイオン測定段104のイオン入口に選択的に導くように電圧源VS3を制御するように動作可能である。プロセッサ24が様々なイオントラップ1021~1025からイオンを放出するように電圧源VS3を制御しているが、プロセッサ24は、所定のそれぞれの目標電荷を有するイオンで1つまたは複数の空のイオントラップ1021~1025を満たすように電圧源VS1を制御するようにさらに動作可能でもよいことを理解されるであろう。いずれの場合でも、プロセッサ24は、従来の手法で、イオン測定段104によって生成された全てのイオン測定情報を収集、格納および分析するようにさらに動作可能である。
【0066】
[00100]当業者は、
図14に図示された例示的な実施形態300が5つの異なる目標電荷を有するイオンを同時に収集して、その後、単一のイオン測定段104を用いて5つの集合のそれぞれを分析するように構成されるが、
図14に図示した考え方は、目標電荷の5つのセットよりも多い、または少ない目標電荷を同時に収集するように構成されたデバイスに容易に拡大され得ることを認識するであろう。いずれかのそのような代替の実施形態は本開示によって企図されることが理解されるであろう。
図14に図示された例示的な実施形態300が5つのそれぞれに異なる電荷を有するイオンを収集する5つのイオントラップを備えるが、それぞれの目標電荷を有するイオンがイオン駆動回路32Cによって直接イオン測定段104へ駆動され得るように、そのイオントラップの1つまたは複数もしくは全部が省略される代替の実施形態が企図されることをさらに理解されるであろう。
【0067】
[00101]ここで
図15を参照すると、
図1、
図12~
図14に図示され、簡単に上述されたイオン源またはイオン源領域30の例示的な実施形態が示される。図示された実施形態では、イオン源またはイオン源領域30は、例示的に、電圧源VS2に結合されサンプルSからイオンを生成するためにプロセッサ24によって生成された制御信号に応答するように構成された少なくとも1つのイオン発生器36を備える。いくつかの実施形態では、サンプルSは、イオン源領域30内に配置され、他の実施形態では、
図15の破線表現で示されるように、イオン源Sがイオン源領域30の外側に配置される。一実施形態では、イオン発生器36は、荷電液滴の霧状ミストの形態でサンプルからイオンを生成するように構成された従来のエレクトロスプレーイオン化(ESI)源である。代替の実施形態では、イオン発生器36は、従来のマトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)源でもよく、またはそれを備えてもよい。ESIおよびMALDIが無数の従来のイオン発生器うちの2つの例を表すに過ぎず、イオン発生器36は、サンプルからイオンを生成するための上記のような従来のデバイスまたは装置でもよく、またはそれを含んでもよいことを理解されるであろう。
【0068】
[00102]イオン源またはイオン源領域30は、さらに例示的に、R個のイオン処理段IPS1~IPSRを備え、ここでRは任意の正の整数でもよい。そのようなイオン処理段IPS1~IPSRの例は、1つまたは複数の分子的特徴にしたがって荷電粒子を分離、収集、および/または濾過するための1つまたは複数のデバイスおよび/または器具、ならびに/もしくは荷電粒子を解離、たとえば断片化させるための1つまたは複数のデバイスおよび/または器具を、任意の順序および/または組み合わせで、備えてもよいが、それに限定されない。いくつかの実施形態では、イオン発生器36および/またはイオン処理段IPS1~IPSRのうちの少なくとも1つは、生成されたイオンを、イオン入口A1を通って、さらに電荷フィルタ器具10中に加速する、または他のやり方で推進するため1つまたは複数の従来の構造および/またはデバイスを備える。1つまたは複数の分子的特徴にしたがって荷電粒子を分離するための1つまたは複数のデバイスおよび/または器具の例は、1つまたは複数の質量分析計または質量分析器、1つまたは複数のイオンモビリティ分析計、磁気モーメントに基づいて荷電粒子を分離するための1つまたは複数の器具、磁気双極子モーメントに基づいて荷電粒子を分離するための1つまたは複数の器具、および同様のものを含むが、それに限定されない。質量分析計または質量分析器の例は、1つまたは複数の質量分析計または質量分析器を備えるイオン源30の実施形態では、飛行時間(TOF)質量分析計、リフレクトロン質量分析計、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)質量分析計、四重極質量分析計、トリプル四重極質量分析計、磁場形質量分析計、オービトラップ、または同様のものを含むが、それに限定されない。イオンモビリティ分析計の例は、1つまたは複数のイオンモビリティ分析計を備えるイオン源30の実施形態では、単管線形イオンモビリティ分析計、多重管線形イオンモビリティ分析計、円管イオンモビリティ分析計、または同様のものを含むが、それに限定されない。荷電粒子を収集するための1つまたは複数のデバイスおよび/または器具の例は、四重極イオントラップ、六重極イオントラップ、または同様のものを含むが、それに限定されない。荷電粒子を濾過するための1つまたは複数のデバイスおよび/または器具の例は、質量電荷比にしたがって荷電粒子を濾過するための1つまたは複数のデバイスまたは器具、粒子モビリティにしたがって荷電粒子を濾過するための1つまたは複数のデバイスまたは器具、および同様のものを含むが、それに限定されない。荷電粒子を解離するための1つまたは複数のデバイスおよび/または器具の例は、衝突誘起解離(CID)、表面誘起解離(SID)、電子捕獲解離(ECD)および/または光誘起解離(PID)、多光子解離(MPD)、または同様のものによって電荷粒子を解離するための1つまたは複数のデバイスまたは器具を含むが、それに限定されない。
【0069】
[00103]イオン処理段IPS1~IPSRは、任意の上記のような従来のイオン分離器具および/またはイオン処理器具のうちの1つまたは任意の組み合わせを任意の順序で含んでもよく、いくつかの実施形態は、任意の上記のような従来のイオン分離器具および/またはイオン処理器具のうちの複数の隣り合った器具または離れて配置された器具を含んでもよいことを理解されるであろう。非限定的な一例として、イオン処理段IPS1~IPSRは、イオン発生器の後に荷電粒子濾過デバイスまたは器具と、荷電粒子濾過デバイスまたは器具の後に解離デバイス、器具または段とを含む。この例では、プロセッサ24は、例示的に、荷電粒子濾過デバイスまたは器具に、閾値の質量電荷比を上回る、または下回る、または質量電荷比の所定の範囲内のイオンのみを通過させるように電圧源VS2を制御し、さらに、解離デバイス、器具または段を出た解離済み荷電粒子が電荷フィルタ器具10の入口A1に入るように、解離デバイス、器具または段に、荷電粒子濾過デバイスまたは器具を出た荷電粒子を解離、たとえば断片化させるように電圧源VS2を制御するようにプログラムされる。いくつかの実施形態では、第2の荷電粒子濾過デバイスまたは器具は、解離デバイス、器具または段と電荷フィルタ器具10の入口A1との間に配置されてもよく、プロセッサ24は、そのような実施形態において、第2の荷電粒子濾過デバイスまたは器具に、閾値の質量電荷比を上回る、または下回る、または質量電荷比の所定の範囲内の解離されたイオンのみを電荷フィルタ器具10の入口A1へ通過させるように電圧源VS2を制御するように動作可能でもよい。イオン源またはイオン源領域30内の1つまたは複数のイオン処理段IPS1~IPSRの他の実施例が当業者によって想到され得るが、そのような他の実施例の全てが本開示の範囲内に存在することが意図されることを理解されるであろう。
【0070】
[00104]ここで
図16を参照すると、
図1、
図12~
図14に図示され、簡単に上述されたイオン測定段104の例示的な実施形態が示される。図示された実施形態では、イオン測定段104は、例示的に、1つまたは複数のイオン測定器具IMI
1~IMI
Sを含み、ここでSは任意の正の整数でもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ24は、例示的に、イオン測定器具に、イオン測定器具に含まれた荷電粒子および/またはイオン測定器具を通過する荷電粒子の1つまたは複数の分子的特徴を測定させ、ならびに/もしくはイオン測定器具に含まれた荷電粒子および/またはイオン測定器具を通過する荷電粒子の1つまたは複数の分子的特徴を測定して、そこから情報を生成させるように、従来の手法で、たとえば電圧源VS3の制御によって、1つまたは複数のイオン測定器具IMI
1~IMI
Sのそれぞれを制御するようにプログラムされる。いずれの場合でも、1つまたは複数のイオン測定器具IMI
1~IMI
Sによって生成されたイオン測定情報は、例示的に、処理済みの分子的特徴情報を生成、格納、さらに、いくつかの実施形態では、表示するために、プロセッサ24によって処理される。他の実施形態では、電荷選択イオンは、他の方法による収集および分析のために、適切な表面に堆積されてもよく、またはマトリックスに堆積されてもよい。
【0071】
[00105]上記のようなイオン測定器具IMI1~IMISの例は、1つまたは複数の分子的特徴にしたがって時間において荷電粒子を分離するための1つまたは複数のデバイスおよび/または器具、1つまたは複数の分子的特徴にしたがって荷電粒子を濾過するための1つまたは複数のデバイスおよび/または器具、磁気モーメントに基づいて荷電粒子を分離するための1つまたは複数の器具、磁気双極子モーメントに基づいて荷電粒子を分離するための1つまたは複数の器具、および同等のものを、任意の順序および/または組み合わせで含み得るが、それに限定されない。1つまたは複数の分子的特徴にしたがって時間において荷電粒子を分離するための1つまたは複数のデバイスおよび/または器具の例は、1つまたは複数の質量分析計、1つまたは複数のイオンモビリティ分析計、および同様のものを含むが、それに限定されない。1つまたは複数の質量分析計の例は、1つまたは複数の質量分析計を備えるイオン測定段104の実施形態では、飛行時間(TOF)質量分析計、リフレクトロン質量分析計、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)質量分析計、四重極質量分析計、トリプル四重極質量分析計、磁場形質量分析計、オービトラップ、または同様のものを含むが、それに限定されない。1つまたは複数のイオンモビリティ分析計の例は、1つまたは複数のイオンモビリティ分析計を備えるイオン測定段104の実施形態では、単管線形イオンモビリティ分析計、多重管線形イオンモビリティ分析計、円管イオンモビリティ分析計、または同様のものを含むが、それに限定されない。荷電粒子を濾過するための1つまたは複数のデバイスおよび/または器具の例は、質量電荷比にしたがって荷電粒子を濾過するための1つまたは複数のデバイスまたは器具、粒子モビリティ、磁気モーメント、磁気双極子モーメント、および同様のものにしたがって荷電粒子を濾過するための1つまたは複数のデバイスまたは器具、および同様のものを含むが、それに限定されない。質量電荷比にしたがって荷電粒子を濾過するための1つまたは複数のデバイスまたは器具の例は、その1つまたは複数のデバイスまたは器具を備えるイオン測定段104の実施形態では、四重極質量分析器または四重極質量フィルタ、四重極イオントラップ質量分析器または質量フィルタ、磁場形質量分析器、飛行時間質量分析器、リフレクトロン質量分析器、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)質量分析器、オービトラップ、または同様のものを含むが、それに限定されない。粒子モビリティにしたがって荷電粒子を濾過するための1つまたは複数のデバイスまたは器具の例は、1つまたは複数のイオンモビリティ分析計を備えるイオン測定段104の実施形態では、単管線形イオンモビリティ分析計、多重管線形イオンモビリティ分析計、円管イオンモビリティ分析計、または同様のものを含むが、それに限定されない。イオン測定段104が、1つまたは複数の分子的特徴にしたがって荷電粒子を時間において分離するための任意の上記のような器具、および/または1つまたは複数の分子的特徴などにしたがって荷電粒子を濾過するための1つまたは複数のデバイスまたは器具のうちの1つまたは任意の組み合わせを任意の順序で備えてもよく、いくつかの実施形態が、任意の上記のような器具またはデバイスのうちの複数の隣り合った器具またはデバイス、または離れて配置された器具またはデバイスを備えてもよいことを理解されるであろう。
【0072】
[00106]ここで
図17を参照すると、イオン処理領域402によって分離された、2つの離れて配置された電荷フィルタ器具10
1、10
2を備えるさらに他の粒子測定デバイス400の実施形態が示される。図示された実施形態では、イオン源領域30は、上述したように、第1の電荷フィルタ器具10
1の入口端に結合され、第1の電荷フィルタ器具10
1の電荷偏向または駆動領域14のイオン出口端は、イオン処理領域402の入口に結合され、イオン処理領域402のイオン出口は第2の電荷フィルタ器具10
2の入口端に結合され、第2の電荷フィルタ器具10
2の電荷偏向または駆動領域14のイオン出口端は、さらに上記でも説明したように、イオン格納、駆動および/または測定段32の入口に結合される。電荷フィルタ器具10
1、10
2のそれぞれは、イオン入口A1を有するドリフト領域12を含み、電荷検出器アレイ16は、
図1に図示し上述したように、そのイオン入口A1とイオン出口A2との間のドリフト管12A内に軸方向に配置された複数の電荷検出シリンダー16
1~16
Nを含み、図示した形態および/または本明細書で説明した形態のいずれかで、ドリフト管12Aの出口端に結合された電荷偏向または駆動領域14をさらに含む。
【0073】
[00107]粒子測定デバイス400のイオン処理領域402は、例示的に、1つまたは複数のイオン処理段IS1~ISTを備え、ここでTは任意の正の整数でもよい。イオン処理段IS1~ISTのうちの1つまたは複数は、例示的に、たとえば、1つまたは複数の分子的特徴にしたがって(たとえばイオン質量電荷比、イオンモビリティ、磁気モーメント、磁気双極子モーメント、または同様のものにしたがって)イオンを分離するための1つまたは複数の従来の器具、および/またはイオンを収集および/または格納するための1つまたは複数の従来のイオン処理器具(たとえば1つまたは複数の四重極、六重極および/または他のイオントラップなど)、(たとえばイオン質量電荷比、イオンモビリティ、磁気モーメント、磁気双極子モーメント、および同様のものなどの1つまたは複数の分子的特徴にしたがって)イオンを濾過するための1つまたは複数の従来の器具またはデバイス、イオンを断片化、または他のやり方で解離するための1つまたは複数の器具、デバイスまたは段、および同様のものを含むが、それに限定されない。イオン処理段402は、任意の上記のような器具、デバイスまたは段のうちの1つまたは任意の組み合わせを任意の順序で含んでもよく、いくつかの実施形態は、任意の上記のような器具、デバイスまたは段のうちの複数の隣り合った器具、デバイスまたは段または離れて配置された器具、デバイスまたは段を含んでもよいことを理解されるであろう。上述された器具、デバイスまたは段の例示的な組み合わせのうちのいずれかは、イオン処理段402として、またはその一部として実施され得ることをさらに理解されるであろう。当業者は、図示されている、および/または本明細書で説明されているか否かにかかわらず、イオン処理段402に備えられ得る他の器具、デバイスおよび/または段とともに、イオン処理段402として、またはその一部として実施され得る器具、デバイス、または段の他の組み合わせを認識し、そのような他の器具、デバイスおよび/または段とともに、任意の器具、デバイスおよび/または段の任意の組み合わせが、本開示の範囲内に存在することが意図されることを理解されるであろう。
【0074】
[00108]本明細書で説明した粒子測定器具100、200、300、400のいずれかのイオン測定段104に渡された任意の個々の荷電粒子または荷電粒子の任意の集合、セットまたはグループの電荷の大きさおよび/または電荷状態が既知となるため、すなわち、上述したように、電荷フィルタ器具10の制御および動作の結果として、以前は従来のイオン測定器具から取得可能でなかった分子的特徴情報がここで容易に決定され得ることが理解されるであろう。非限定的な一例として、従来の質量分析計および質量分析器から取得可能な粒子質量電荷比値は、既知の電荷の大きさまたは電荷状態情報を使用して粒子質量値に容易に変換され得る。他の非限定的な例として、従来のイオンモビリティ分析計から取得可能な粒子モビリティ値は、既知の電荷の大きさまたは電荷状態情報を使用して粒子衝突断面積の値に容易に変換され得る。さらに非限定的な例として、荷電粒子の集合、グループまたはセットの電荷の大きさまたは電荷状態が既知の場合、従来の質量電荷比フィルタは、所定の質量または質量の範囲を有する粒子の通過のために選択する適切な質量フィルタとして動作され得る。当業者には、他の例が想到され、任意のそのような他の例は、本開示の範囲内に存在することが意図される。
【0075】
[00109]本開示は上述した図面および記載において図示および詳細に説明されたが、これらの開示は例示的で、特徴において限定的でないと考えられるべきであり、その例示的な実施形態が示され、説明されたに過ぎず、本開示の範囲内の全ての変更および変形は保護されることが望ましいと考えられる。たとえば、いくつかの構造は、荷電粒子を加速および/または駆動ならびに/もしくは他のやり方で荷電粒子に対して動作するように構成および配向される、明細書において1つまたは複数の電界を構築するように制御可能および/または構成可能であるとして、添付図面において図示され、本明細書で説明され、当業者は、荷電粒子の加速および/または駆動ならびに/もしくは荷電粒子に対する他の動作が、いくつかの場合において、代替的または追加的に、1つまたは複数の磁界によって実現され得ることを認識するであろう。したがって、本明細書に記載の電界のうちの1つまたは複数を、1つまたは複数の適切な磁界と置き換える、または向上させる任意の従来の構造および/または機構は、本開示の範囲内に存在することが意図されることが理解されるであろう。
【国際調査報告】