(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】ベーンモータ
(51)【国際特許分類】
F01C 1/344 20060101AFI20230227BHJP
F03G 7/00 20060101ALI20230227BHJP
F01C 21/08 20060101ALI20230227BHJP
F01C 21/10 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
F01C1/344
F03G7/00 B
F01C21/08
F01C21/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537444
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 KR2020007092
(87)【国際公開番号】W WO2021125462
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0171084
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522240966
【氏名又は名称】イーエックスディーエル カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110434
【氏名又は名称】佐藤 勝
(72)【発明者】
【氏名】チェ ウォンソク
(57)【要約】
圧力流体が投入されて排出される入口及び出口を有するケーシングと、ケーシング内で圧力流体の圧力を受けてケーシングに据置された回転軸を中心に回転するようになされたロータを備え、ロータは、回転軸と一致する中心軸を有する全体的に円柱形態の本体と、本体の側面に形成された溝に設けられ、回転位相に応じて溝から突出する幅が変化するベーンを有し、ケーシング内にロータを収容し、ケーシングの入口を通じて投入された圧力流体がケーシングの出口を通じて排出されるまで圧力流体を内部に保有しつつ、ベーン端部がその内壁面に接触するようになされ、ケーシング内における回転中心位置は、回転軸と離間しているが、ロータが回転するときにともに回転できるようになされたシリンダ状内筒を備えることを特徴とするベーンモータが開示される。
本発明によれば、既存のベーンモータではロータ回転時にベーン端部がケーシングの内側面と摩擦を引き起こし、ケーシングの内側面とベーンがすべて摩耗して交換、修理の頻度が高かったが、これを構造的に変えて耐久性及びメンテナンス費用を節約することができ、摩擦によって消耗したエネルギーが減って回転力発生に用いることができるので、ベーンモータのエネルギー切換効率を高めることができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力流体が投入されて排出される入口及び出口を有するケーシングと、
前記ケーシング内で圧力流体の圧力を受けてケーシングに据置された回転軸を中心に回転するようになされたロータを備え、
前記ロータは、前記回転軸と一致する中心軸を有する全体的に円柱形態のロータ本体と、前記ロータ本体の側面に形成された溝に設けられ、回転位相に応じて前記溝から突出する幅が変化するベーンを有するベーンモータにおいて、
前記ケーシング内に前記ロータを収容し、前記ケーシングの入口を通じて投入された圧力流体が前記ケーシングの出口を通じて排出されるまで圧力流体を内部に保有しつつ、前記ベーン端部が内壁面に接触するようになされ、前記ケーシング内における仮想の回転中心軸位置は、前記回転軸と平行でありながら離間しているが、前記ロータが回転するときにともに回転できるようになされたシリンダ状内筒を備えることを特徴とするベーンモータ。
【請求項2】
前記ケーシング内における前記内筒の仮想の回転中心軸と前記ロータの回転軸は、一定の位置を維持し、前記内筒が前記ケーシング内で回転するときに前記内筒の外側面と前記ケーシングの内壁面との間の摩擦を減らすように転動手段がさらに備えられることを特徴とする請求項1に記載のベーンモータ。
【請求項3】
前記ケーシングは、前記内筒よりも大径のシリンダ状外筒の両端を全体的に円板形態の閉鎖板で閉じるようになされたものであり、
前記閉鎖板の少なくとも1つは、前記ロータの回転軸が回転動力を外部に伝達するために引き出すことができるように据置穴を備え、前記据置穴には前記回転軸と前記閉鎖板の摩擦を減らすためのベアリングが介在され、
前記閉鎖板と前記内筒の長手方向の両端、前記閉鎖板と前記ロータ本体及び前記ベーンの両端は、滑りは可能で圧力流体は漏れにくい微細隙間を有するように設けられ、
前記閉鎖板の少なくとも1つ又は両方すべてに圧力流体の入口及び出口が設けられ、前記入口と前記出口は、前記回転軸方向から見る側面図上で見るとき、前記内筒の内側で且つ前記ロータ本体の外側である空間に設けられ、前記内筒がなす円の円柱方向に長く円弧状からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のベーンモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーンモータに関し、より詳細には、空圧を通じて回転力を発生させることができるベーンモータにおいて出力効率を高めることができる構成に関する。
【背景技術】
【0002】
ベーンモータは、流体圧力を回転動力に変える機械装置の1つである。
図1は、既存のベーンモータの一例を示す。
【0003】
ここで、ケーシング211内に回転するロータが設けられ、ケーシング211の一部には、圧力を作用させる流体が流入される流体入口253と、流体が放出される流体出口255がある。流体入口253に圧力流体を流入させると、流体圧力は、ロータの外側に延び、その延びる長さが可変するベーン235に作用するようになる。したがって、ベーン235は、圧力方向に移動しつつロータ全体がケーシング211内で回転するようになる。ベーン235に圧力を伝達した流体は、ケースの流体出口255に到達すると、圧力の低い流体出口255を通じて放出される。
【0004】
すなわち、流体入口から入った圧力流体が圧力の低い流体出口と接触すると、流体出口から抜け出ながら、その過程でベーン235に圧力を与えてロータを回転するようにする。
【0005】
このとき、ベーン235は、ロータ本体231に結合され、ベーン235の本体231から突出する長さは可変されてもよい。このため、ベーン235は、ロータ本体231の溝231aに挿入され、溝231a内で溝の長手方向に移動してもよい。ケーシング211の内壁面とロータ本体231の回転軸233は、ケーシングの内壁面の位置によってその間隔が異なるので、間隔の広いところでは、ベーン235の大部分が本体231の溝231aから抜け出てベーン235の突出長さが増加し、間隔の狭いところでは、ベーンの大部分は本体の溝に挿入された状態となってベーンの突出長さが減少するようになる。
【0006】
ベーン235が本体231の溝231aに円滑に出し入れされるために、溝の底部にはベーンとの間にバネのような弾性体を含んでもよい。または、ロータの回転遠心力によってベーンは溝から抜け出ることがあるので、別途バネは設けなくてもよい。
【0007】
ロータ本体231と内壁面との間の間隔が狭くなる区間では、ロータ本体231が回転するときに、ベーン235の端部は内壁面と接触しつつ溝231aに挿入されるようにする圧力を受けるようになる。
【0008】
ところが、既存のベーンモータでは、ベーン235の端部とケーシング211の内壁面との間の隙間が大きすぎると流体がこの隙間から抜け出て圧力の損失をもたらし、隙間が小さすぎるとベーンとケーシングの内壁面との間の摩擦が激しく流体圧力によるエネルギーが摩擦で相当部分が損失し、ベーンと内壁面の摩耗によって交換及びメンテナンス費用が増加する問題がある。このような問題は、互いにトレードオフ(trade off)関係にあり、既存のベーンモータで完全に解決することができない問題なので、多様な材質を有して多様なサイズを有する個々のベーンモータの種類において、実験的に最も効率が優れ、耐久性のある適切な隙間の大きさを把握しなければならない。
【0009】
また、流体圧力によるロータの回転力を大きくするためには、ベーンに及ぶ流体の力の総量を増やさなければならず、この力は単位面積当たり作用する力である圧力に、この圧力が作用する面積を掛けた値なので、ロータが回転するときにベーンと流体が触れる面積を増やす必要がある。
【0010】
しかし、ベーンが溝から遠くに出すぎると完全に逸脱したり、ベーンがケーシングの内壁面で摩擦する途中で振動やその他の不安定な状態になるおそれがあるので、ロータに安定的に結合を維持する限度内で流体との接続面積を増やす設計形態をなすことが重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】大韓民国 登録特許10-1116511:ライナが構成されたエアベーンモータ
【特許文献2】大韓民国 登録特許10-1874583:ベーンモータ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前述の既存のベーンモータの限界点を克服し、既存に比べて効率性の高い構成を有するベーンモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するための本発明は、
圧力流体が投入されて排出される入口及び出口を有するケーシングと、
ケーシング内で圧力流体の圧力を受けてケーシングに据置された回転軸を中心に回転するようになされたロータを備え、
ロータは、回転軸と一致する中心軸を有する全体的に円柱形態の本体と、本体の側面に形成された溝に設けられ、回転位相に応じて溝から突出する幅が変化するベーンを有するベーンモータにおいて、
ケーシング内にロータを収容し、ケーシングの入口を通じて投入された圧力流体がケーシングの出口を通じて排出されるまで圧力流体を内部に保有しつつ、ベーン端部がその内壁面に接触するようになされ、ケーシング内における回転中心位置は、回転軸と離間しているが、ロータが回転するときにともに回転できるようになされたシリンダ状内筒を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明において、ケーシング内におけるシリンダの回転中心とロータの回転軸は、一定の位置を維持し、シリンダがケーシング内で回転するときにシリンダの外側壁面とケーシングの内壁面との間の摩擦を減らすように転動手段をさらに備えてもよい。
【0015】
本発明において、ケーシングは、内筒よりも大径のシリンダ状外筒の両端を全体的に円板形態の閉鎖板で閉じるようになされてもよい。
【0016】
このとき、閉鎖板の少なくとも1つは、ロータの回転軸が回転動力を伝達するために引き出すことができるようになされ、回転軸と閉鎖板の摩擦を減らすためのベアリングが介在されてもよい。
【0017】
本発明において、閉鎖板と内筒の長手方向(回転軸方向)の両端、閉鎖板とロータ本体及びベーンの両端は、滑りは可能で圧力流体は漏れにくい微細隙間を有するように設けられてもよい。
【0018】
閉鎖板の少なくとも1つ又は両方すべてに圧力流体の入口及び出口が設けられてもよい。このような場合、入口及び出口は、回転軸方向から見るとき シリンダ状内筒の内側空間でありながら同時にロータ本体の外側である空間に少なくともその一部が通じるように設けられ、円柱方向に長く円弧状(arch shape)からなってもよい。
【0019】
本発明において、特に入口及び出口がシリンダ状内筒の内側でありながら同時にロータ本体の外側である空間に通じるように設けられるとき、好ましくは、回転軸方向から見るとき、ロータ本体とベーンを結合させる溝の入口において,圧力流体の入口に通じるように,回転方向基準で後側にはベーンをさらに露出するように拡張部を有してもよい。
【0020】
このとき、拡張部は、ロータの長手方向の両端部分にすべて形成されてもよく、長手方向から見るとき、特に円弧状の入口は、該拡張部が円弧状入口の開始部分から重なるように形成されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、既存のベーンモータではロータ回転時にベーン端部がケーシングの内側面と摩擦を引き起こし、ケーシングの内側面とベーンがすべて摩耗して交換、修理の頻度が高かったが、これを構造的に変えて耐久性及びメンテナンス費用を節約することができ、摩擦によって消耗したエネルギーが減って回転力発生に用いることができるので、ベーンモータのエネルギー切換効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1は、既存のベーンモータ構成を示す斜視図、
図2は、本発明のベーンモータの一実施例を示す外観斜視図、
図3は、本発明のベーンモータの一実施例を示す分解斜視図、
図4は、
図3におけるロータ及び内筒を組み立てた状態を示すベーンモータの斜視図、
図5は、
図4のロータ及び内筒を組み立てた部分を側面から見た側面図、
図6は、
図5に閉鎖板をさらに結合して閉鎖板の流体入、出口とロータ及び内筒の相対的位置関係を示す透視的側面図、
図7は、
図3のベーンモータの回転軸を含むロータ本体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、具体的な実施例を通じて本発明をより詳細に説明することにする。
【0024】
図2ないし
図7に図示された本発明のベーンモータの一実施例を参照すると、
まず、全体ベーンモータ1は、最外殻をなすケーシングと、シリンダ状内筒20と、内筒20内に位置するロータを備えてなる。
【0025】
ケーシングは、略シリンダ形態のケーシング本体11と、本体11の長手方向の両端を閉鎖する閉鎖板13、15を備え、それぞれの閉鎖板には、ロータに連結される回転軸33が据置又は通過する回転軸取付穴131、151と、外部の高圧流体が投入される円弧状流体入口135、155と、高圧流体が内部を経て排出される円弧状流体出口133、153が配置される。回転軸取付穴131、151には、ベアリング17が設けられ、回転軸33は、閉鎖板13、15と直接触れずにベアリング17によって回転時に摩擦を減らすことができる。
【0026】
ケーシング本体11の内部には、シリンダ状内筒20が設けられる。内筒20は、ケーシング本体11と実質的に同一の長さを有してケーシングの閉鎖板13、15の内側面と内筒の長手方向の両端が微細な隙間を介在しつつ接触してケーシング内で内筒20が回転すると、閉鎖板13、15の内側面に対して滑って摩擦を発生させることがある。内筒20は、設置時、ケーシング本体11の内壁凹部119に設けられた複数の転動手段19、ここでは転動台19bのローラ19a上に置かれる。転動台19bは、円柱形態又は軸形態でもよく、回転軸33と平行で且つ回転可能に設けられてケーシング本体11内で内筒20が回転すると、内筒20の外側面と接触したローラ19a及び転動台19bが回転して内筒20とのケーシング本体11の内側壁との間に内筒回転による滑り摩擦が発生しないようにする。
【0027】
内筒20内には回転軸33を有する円柱状ロータ本体31と、ロータ本体31の溝31aに結合されたベーン35を備えたロータが設けられる。ロータ本体31をなす円柱の長さもケーシング本体11の長さと実質的に同一で、ロータ回転時の閉鎖板13、15の内面と円柱状ロータ本体31の両端表面との間にも微細隙間を介在させた状態で接触しつつ滑り摩擦を発生させる。
【0028】
ロータ本体31とベーン35の結合形態は、既存のベーンモータの結合形態と同一でもよく、溝31a内におけるベーン35の動作も周知のことなので、これに対するさらに詳細な説明は省略することにする。
【0029】
ただし、ここでは既存のロータと異なり、ロータがケーシング本体11の内側面に直接接触するように設けられず、内筒20の内側面に直接接触するように設けられる点で差異を有する。
【0030】
ロータの回転軸は、内筒20の仮想の回転中心軸と平行でありながら一定の距離離間して設けられる。ケーシングの閉鎖板13、15には、このように設けられた回転軸33が貫通又は係止される穴151、131がある。穴の位置は、ケーシング本体11がなすシリンダの仮想の回転中心軸とも一定の距離離間されている。
【0031】
このような構成によって、ケーシング内におけるロータは、シリンダ状内筒20をケーシングの転動台19bがある一側に押し付けてケーシング本体をなすシリンダの仮想の回転中心軸とシリンダ状内筒20の仮想の回転中心軸も互いに一定の距離離間された状態になるようにする。ロータが内筒を押し付けつつ接触するところでロータ本体31と内筒20の内壁面との間の距離は最小となり、ベーン35は溝31a内に完全に入りロータ本体が内筒と触れるか、ベーンが本体から突出した幅が小さくなる。その反対側(回転軸を基準に反対側)では、ロータ本体31と内筒20の内壁面との間の距離が最大となり、ロータ本体31からベーン35が突出した幅が大きくなる。
【0032】
このような構成において、溝31aは、必要に応じて様々な形態で形成されてもよく、この溝に沿って外側及び内側に移動するベーン35は、円柱状ロータ本体31の側面から垂直又は一定の角度を有するように傾いた方向に突出してもよい。この実施例において、溝31aは、ロータ本体31の側面から長手方向に全体範囲にかけて形成され、回転軸33を中心とする放射方向と一定の角度を有してロータが回転する方向に若干傾いており、それによってベーン35も本体の側面から垂直方向基準に回転進行方向に若干傾くように突出している。
【0033】
ここで、ベーン35は、溝31aに若干の隙間を有するように設けられ、ロータが回転すると遠心力によって常に外側に突出しようとする傾向を有するが、内筒20の内壁面によって制限され、内筒の内壁面は、ロータが回転することによってベーン35に溝31a方向の力を作用させる。したがって、ベーンは、バネのような弾性体が溝に設けられなくてもロータが回転しつつ溝に沿って外側又は内側に移動することができる。
【0034】
このような構成のベーンモータにおける構成要素の作用又は動作を考察すると、まず、ベーンモータの入口には外側から高圧の流体を供給する供給器(未図示)が結合される。ここではベーンモータの長手方向の両方にある閉鎖板13、15すべてに流体入口135、155と流体出口133、153が形成されるので、高圧流体供給器は、中途にて分岐されて両方の入口のすべてに高圧流体を供給する。同様に、高圧流体回収器は、中途にて分岐されて両方の出口のすべてからモータで用いられた圧力の下がった流体を回収するようになる。
【0035】
円弧状流体入口135、155に高圧流体が供給されると、閉鎖板の円弧状流体入口を通過した高圧流体は、
図6で示すように、その位置でロータ本体31と内筒20の内壁面との間の空間に注入される。流体の圧力は、空間の境界面の一部をなすベーン35に作用するようになる。ベーンの後面に作用する圧力がその前面に作用する圧力よりも高いとベーンは前方に移動するが、ベーンが設けられたロータ全体は、回転軸33によって回転可能に固定されているので、平行移動はせずに回転移動のみを行うようになる。流体入口135、155の位置の後にロータと内筒との間の空間が拡大し、ベーン35も溝31aから最大に突出してベーンに作用する圧力も漸次に増加する。最大間隔位置の後には円弧状出口が始まるので、この出口を通じて流体が抜け出て流体圧力は減るようになる。
【0036】
このような作用において、本発明のロータは、従来のベーンモータのロータと特段の差異がなく圧力差を通じて回転するようになるが、ここではケーシングの代わりにシリンダ状内筒20が高圧流体が作用する空間を作る。そして、内筒は、固定されたものではないので、ロータが回転するときにベーン端部と接触したシリンダ状内筒にも摩擦によって回転力が伝達され、内筒もロータとほぼ同一の線速度で回転するようになる。
【0037】
このような内筒20の回転は、ケーシング本体11内でなされ、内筒とケーシング本体との間には転動台のような転動手段19が設けられ、内筒とケーシングとの間の滑りによる摩擦を減らすことができる。
【0038】
その結果として、ベーン35と内筒20の内壁面との間の滑りによる摩耗と摩擦熱によるエネルギー消耗は減り、エネルギー消耗が減りつつ圧力流体による回転力発生効率は増加するようになる。
【0039】
もちろんこの過程でもケーシングの閉鎖板13、15は停止しており、この閉鎖板と接触するシリンダ状内筒20とロータは回転するようになるので、内筒とロータ本体31及びベーン35の長手方向の両端部は、閉鎖板13、15と接触しつつ滑って摩擦熱を発生させてエネルギーを消耗するが、従来に比べて全体的に摩擦によるエネルギー消耗は減るようになる。もちろん、効率をさらに向上させるため、従来のように閉鎖板とロータ本体及びベーンの寸法管理と表面管理を行わなければならず、ケーシングの閉鎖板13、15と回転軸33との間のベアリング17にて摩擦を減らすようにしなければならない。
【0040】
以上、限定された実施例を通じて本発明を説明しているが、これは本発明の理解を促すために例示的に説明されたものに過ぎず、本願発明は、これらの特定の実施例に限定されない。
【0041】
したがって、当該発明が属する分野の通常の知識を有する者であれば、本発明を基に多様な変更や応用例を実施することができ、このような変形例や応用例は添付の特許請求の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0042】
11 ケーシング本体
13、15 閉鎖板
17 ベアリング
19 転動手段
19a ローラ
19b 転動台
20 内筒
31、231 ロータ本体
31a、231a 溝
31b 拡張部
33、233 回転軸
35、235 ベーン
119 内壁凹部
135、155、253 流体入口
133、153、255 流体出口
211 ケーシング
【国際調査報告】