(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】抗血栓性カバーを備える左心耳閉鎖装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20230227BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537471
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-07-28
(86)【国際出願番号】 US2020065721
(87)【国際公開番号】W WO2021127252
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】カンガス、スティーブン エル.
(72)【発明者】
【氏名】コペスキー、エドワード
(72)【発明者】
【氏名】チェン、イェン-レーン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD55
4C160DD65
4C160MM33
(57)【要約】
医療装置並びに医療装置を作製及び使用するための方法が開示される。例示的な医療装置は、左心耳装置を含み得る。左心耳装置は、第1の形態と拡張形態との間でシフトするように構成された拡張可能な骨組を含み得る。布メッシュは、拡張可能な骨組の少なくとも一部分に沿って配置され得る。抗血栓形成コーティングは、布メッシュに沿って配置され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の形態と拡張形態との間でシフトするように構成された拡張可能な骨組と、
前記拡張可能な骨組の少なくとも一部分に沿って配置された布メッシュと、
前記布メッシュに沿って設けられた抗血栓形成コーティング
を備える左心耳装置。
【請求項2】
前記布メッシュは、複数のフィラメントを含む、請求項1に記載の左心耳装置。
【請求項3】
前記複数のフィラメントは、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項2に記載の左心耳装置。
【請求項4】
前記複数のフィラメントは、ポリエステルを含む、請求項2に記載の左心耳装置。
【請求項5】
前記抗血栓形成コーティングは、前記複数のフィラメントの少なくともいくつかを包み込む、請求項2~4のいずれか一項に記載の左心耳装置。
【請求項6】
前記抗血栓形成コーティングは、前記複数のフィラメントのそれぞれを個別にコーティングする、請求項2~5のいずれか一項に記載の左心耳装置。
【請求項7】
前記複数のフィラメントは、不織形態として配置される、請求項2~6のいずれか一項に記載の左心耳装置。
【請求項8】
前記複数のフィラメントは、繊維束に配置される、請求項2~7のいずれか一項に記載の左心耳装置。
【請求項9】
前記抗血栓形成コーティングは、前記繊維束の内部領域に移動する、請求項8に記載の左心耳装置。
【請求項10】
前記抗血栓形成コーティングは、フルオロポリマーを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の左心耳装置。
【請求項11】
前記抗血栓形成コーティングは、ポリビニリデンフルオライドを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の左心耳装置。
【請求項12】
前記抗血栓形成コーティングは、ポリビニリデンフルオライドコポリマーを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の左心耳装置。
【請求項13】
前記抗血栓形成コーティングは、ポリ(ビニリデンフルオライド-co-ヘキサフルオロプロピレン)を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の左心耳装置。
【請求項14】
前記抗血栓形成コーティングは、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の左心耳装置。
【請求項15】
左心耳装置であって、
拡張可能な骨組構造を備え、該拡張可能な骨組構造は、送達形態と展開形態との間でシフトするように構成され、
前記拡張可能な骨組構造は、前記展開形態であるとき、左心耳に係合するように構成されており、
前記拡張可能な骨組構造の少なくとも一部分に沿って配置された布を備え、該布は、1つ以上の編まれた繊維束を含み、
前記1つ以上の編まれた繊維束のそれぞれは、複数のフィラメントを含み、
前記複数のフィラメントのそれぞれに沿って設けられた抗血栓形成コーティングを備える、左心耳装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療装置及び医療装置を製造するための方法に関する。より詳細には、本開示は、左心耳に隣接して展開されるものなどの閉塞装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多様な体内医療装置が医療用、例えば脈管内で用いるために開発されている。これらの装置のいくつかは、ガイドワイヤ、カテーテルなどを含む。これらの装置は、様々な異なる製造方法のいずれか1つによって製造され、且つ様々な方法のいずれか1つに従って使用され得る。公知の医療装置及び方法のそれぞれは、いくつかの利点及び不都合な点を有する。代替的な医療装置並びに医療装置を製造及び使用するための代替的な方法が継続的に必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、医療装置の設計、材料、製造方法及び使用の代替形態を提供する。左心耳装置が開示される。左心耳装置は、第1の形態と拡張形態との間でシフトするように構成された拡張可能な骨組と、拡張可能な骨組の少なくとも一部分に沿って配置された布メッシュと、布メッシュに沿って設けられた抗血栓形成コーティングを備える。
【0004】
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、布メッシュは、複数のフィラメントを含む。
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、複数のフィラメントは、ポリエチレンテレフタレートを含む。
【0005】
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、複数のフィラメントは、ポリエステルを含む。
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、抗血栓形成コーティングは、複数のフィラメントの少なくともいくつかを包み込む。
【0006】
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、抗血栓形成コーティングは、複数のフィラメントのそれぞれを個別にコーティングする。
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、複数のフィラメントは、不織形態として配置される。
【0007】
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、複数のフィラメントは、繊維束に配置される。
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、抗血栓形成コーティングは、繊維束の内部領域に移動する。
【0008】
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、抗血栓形成コーティングは、フルオロポリマーを含む。
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、抗血栓形成コーティングは、ポリビニリデンフルオライドを含む。
【0009】
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、抗血栓形成コーティングは、ポリビニリデンフルオライドコポリマーを含む。
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、抗血栓形成コーティングは、ポリ(ビニリデンフルオライド-co-ヘキサフルオロプロピレン)を含む。
【0010】
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、抗血栓形成コーティングは、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]を含む。
左心耳装置が開示される。左心耳装置は、送達形態と展開形態との間でシフトするように構成された拡張可能な骨組構造を備え、該骨組構造は、展開形態であるとき左心耳に係合するように構成され、該左心耳装置は拡張可能な骨組構造の少なくとも一部分に沿って配置された布を備え、該布は1つ以上の編まれた繊維束を含み、1つ以上の編まれた繊維束のそれぞれは、複数のフィラメントを含み、該左心耳装置は複数のフィラメントのそれぞれに沿って設けられた抗血栓形成コーティングを備える。
【0011】
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、抗血栓形成コーティングは、複数のフィラメントのそれぞれを包み込む。
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、抗血栓形成コーティングは、フルオロポリマーを含む。
【0012】
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、抗血栓形成コーティングは、ポリ(ビニリデンフルオライド-co-ヘキサフルオロプロピレン)を含む。
閉塞医療装置が開示される。閉塞医療装置は、送達形態と拡張形態との間でシフトするように構成された拡張可能な骨組を備え、該拡張可能な骨組は左心耳に隣接して埋め込まれるように構成され、該閉塞医療装置は拡張可能な骨組の少なくとも一部分に沿って配置された布メッシュを備え、該布メッシュは、あるパターンに配置された1つ以上の繊維束を含み、1つ以上の繊維束のそれぞれは、複数のフィラメントを含み、該閉塞医療装置は複数のフィラメントのそれぞれに沿って設けられた抗血栓形成コーティングを備え、1つ以上の繊維束の少なくとも1つは、内部領域を含み、抗血栓形成コーティングのセクションは、内部領域に沿って配置される。
【0013】
上記の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、抗血栓形成コーティングは、複数のフィラメントのそれぞれを包み込む。
左心耳装置が開示される。左心耳装置は、第1の形態と拡張形態との間でシフトするように構成された拡張可能な骨組と、拡張可能な骨組の少なくとも一部分に沿って配置された布メッシュと、布メッシュに沿い且つ拡張可能な骨組に沿って設けられた抗血栓形成コーティングとを備える。
【0014】
いくつかの実施形態の上述の概要は、本開示の開示される各実施形態又は全ての実装形態を説明するものではない。図及び下記の詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0015】
本開示は、添付図面と関連して以下の詳細な説明を考慮することでより詳細に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、様々な修正形態及び代替的な形態を受け入れるが、その詳細は、図面に例として示され、詳細に説明される。しかしながら、本発明を説明する特定の実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。むしろ、本開示の趣旨及び範囲に入る全ての修正形態、均等物及び代替形態を網羅することが意図される。
【0018】
以下の定義される用語に関して、これらの定義は、異なる定義が特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所で与えられない限り適用される。
本明細書では、全ての数値は、明白に示されているか否かに関わらず、用語「約」で修飾されると考えられる。用語「約」は、一般的に、当業者が、列挙した値と均等である(例えば、同じ機能又は結果を有する)とみなす範囲の数字を指す。多くの場合、用語「約」は、最も近い有効桁に丸められる数字を含み得る。
【0019】
端点による数値範囲の列挙は、その範囲内にある全ての数字を含む(例えば1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、内容が明白に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲では、用語「又は」は、一般的に、内容が明白に別段の指示をしない限り、「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0020】
本明細書において、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明の実施形態が1つ以上の特定の特徴、構造及び/又は特性を含み得ることを示すことに留意されたい。しかしながら、そのような記述は、必ずしも全ての実施形態が特定の特徴、構造及び/又は特性を含むことを意味しない。さらに、特定の特徴、構造及び/又は特性が1つの実施形態に関連して説明されるとき、そのような特徴、構造及び/又は特性は、特段の明白な記載がない限り、明白に説明されているか否かに関わらず、他の実施形態に関連しても使用され得ることが理解されるべきである。
【0021】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図面では、異なる図面において同様の要素に同じ符号が付されている。必ずしも縮尺通りではない図面は、説明に役立つ実施形態を示し、本発明の範囲を限定するものではない。
【0022】
左心耳(LAA:left atrial appendage)は、ポーチ状に延びる部位として左心房に接続する小さい嚢である。心房細動を患っている患者では、左心耳が左心房と一緒に適切に収縮しない可能性があり、淀んだ血液がその内部に溜まることになり、それにより左心耳内での望ましくない血栓の形成に至り得る。左心耳内で形成される血栓は、この領域から逃げて血流中に入ることがある。血管を通して移動する血栓は、最終的に下流で小血管を塞ぎ、それにより脳卒中の一因となり得る。臨床研究では、心房細動のある患者の凝血塊の大部分は、左心耳で見つかることが示されている。治療として、左心耳内に位置決めされ、且つ左心耳口を閉鎖するために展開される血栓溶解物質医療装置が開発されている。時間が経つにつれて、左心耳口に広がる1つ又は複数の露出表面が組織で覆われるようになり(内皮化と呼ばれるプロセス)、循環系から左心耳を効果的に取り除き、且つ左心耳から血流に入り得る血栓の数を減少させるか又はなくす。左心耳内での血栓形成の発生を減少させ、且つ血栓が左心耳内から血流に入ることを防ごうとする取り組みにおいて、心臓及び/又は循環系から左心耳を閉鎖し、それにより血栓溶解物質が左心耳から血流に入ることに起因する脳卒中のリスクを低下させる医療装置及び/又は閉塞インプラントを開発することが望ましい場合がある。左心耳(又は他の同様の開口)を封止する例示的な医療装置及び/又は閉塞インプラントが本明細書で開示される。
【0023】
図1は、左心耳50内に位置決めされた例示的な閉塞インプラント10(例えば、左心耳医療装置)を示す。
図1は、閉塞インプラント送達システム20を経由して、身体管腔を通して閉塞インプラント10が挿入されて前進され得ることをさらに示す。場合により、閉塞インプラント送達システム20は、様々な心臓の室及び管腔(例えば、下大静脈、上大静脈、右心房など)を経由して左心房の方に向かって、左心耳50に隣接する位置まで案内される送達カテーテル24を含み得る。
【0024】
送達システム20は、ハブ22を含み得る。ハブ22は、送達カテーテル24の遠位端領域を、左心耳50に隣接する位置に向けるように臨床医によって操作され得る。場合により、閉塞インプラント送達システム20は、芯線18を含み得る。さらに、閉塞インプラント10の近位端領域11は、芯線18の遠位端部に解放可能に付着、接合、結合、係合又は他の方法で接続するように構成され得る。場合により、閉塞インプラント10の近位端領域11は、それに結合されたネジ付きインサートを含み得る。場合により、ネジ付きインサートは、芯線18の遠位端部に配置されたネジ付き部材と結合するか、それに接合するか、それとかみ合うか又は他の方法でそれに係合するように構成及び/又は適合され得る。芯線18の遠位端部に閉塞インプラント10の近位端部を解放可能に結合及び/又は係合するための他の構造も考えられる。
【0025】
図1は、送達カテーテル24(上述)を経由して、左心耳50に隣接して位置決めされた閉塞インプラント10をさらに示す。いくつかの例では、閉塞インプラント10は、第1の、すなわち潰れた形態と、第2の、すなわち拡張形態との間でシフトするように構成され得ることが認識され得る。例えば、場合により、閉塞インプラント10は、閉塞インプラント送達システム20を経由する送達中に潰れた形態であり得、それにより、閉塞インプラント10は、閉塞インプラント送達システム20から展開されると拡張形態に拡張する。
【0026】
加えて、
図1は、閉塞インプラント10が拡張可能な骨組すなわち骨組構造12を含み得ることを示す。拡張可能な骨組構造12は、コンプライアントであり得るため、拡張形態において、左心耳50の外側壁の形状及び/又は幾何学的配置に概ね合致及び/又は封止係合する。いくつかの実施形態では、閉塞インプラント10は、左心耳50の周囲組織及び/又は外側壁によって決定されるような、最大限の拘束されない範囲を下回るか、又は異なるサイズ、範囲若しくは形状まで拡張し得る。さらに、拡張可能な骨組構造12の要素は、拡張可能な骨組構造12及び/又は閉塞インプラント10の可撓性を高めるように作られ得、それにより、その周囲にある組織を、強制的に、拡張可能な骨組構造12及び/又は閉塞インプラント10に合致させるのではなく、拡張可能な骨組構造12及び/又は閉塞インプラント10がその組織に合致できるようにすることが認識され得る。さらに、場合により、左心耳内での閉塞インプラント10の封止性を高めるために、様々な特徴、構成要素及び/又は形態を含む閉塞インプラント10を設計することが望ましい場合がある。
【0027】
図1は、拡張可能な骨組構造12の遠位端領域13が、拡張可能な骨組構造12の近位端領域11と比べて左心耳50内のより遠くに延び得ることを示す。拡張可能な骨組構造12が左心耳50内に前進されるとき、遠位端領域13は、左心耳50を画定する組織と係合し得ることが認識され得る。換言すると、いくつかの例では、遠位端領域13は、左心耳50に入るため、拡張可能な骨組構造12の「先頭」領域であるとみなされ得る。しかしながら、これは、限定を意図するものではない。むしろ、いくつかの例では、近位端領域11は、左心耳50に入るため、拡張可能な骨組構造12の「先頭」領域であるとみなされ得る。
【0028】
図2は、例示的な閉塞インプラント10を示す。閉塞インプラント10は、拡張可能な骨組構造12を含み得る。拡張可能な骨組構造12は、近位端領域11及び遠位端領域13を含み得る。
図2は、拡張可能な骨組構造12は、近位から遠位方向に延びる1つ以上の突出部17を含み得ることをさらに示す。場合により(
図2示すものなど)、複数の突出部17は、拡張可能な骨組構造12の長手方向軸線52の周りの外周に延び得る。換言すると、いくつかの例では、突出部17は、拡張可能な骨組構造12の長手方向軸線52の周りの外周に延びる「王冠」の先端に類似し得る。上述の説明(及び
図2に示す図)では、複数の突出部17を示すが、閉塞インプラント10は、拡張可能な骨組構造12に沿って様々な配置構成に配置された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個又はそれを上回る個々の突出部17を含み得ることが考えられる。
【0029】
加えて、
図2は、拡張可能な骨組構造12の近位端領域11が、拡張可能な骨組構造12の長手方向軸線52の周りの外周に延びる複数の支持部材19を含み得ることを示す。
図2は、複数の支持部材19が1つ以上の湾曲部分を含み得ることを示し、それらの湾曲部分は、拡張可能な骨組構造12内に遠位側に延びる「凹部」21を画定するような形状にされている。
図2に示すように、凹部21は、長手方向軸線52の周りの外周に延び得る。さらに、
図2は、複数の支持部材19のそれぞれが、中央ハブ23に取り付けられる第1の端部25を含み得ることを示す。中央ハブ23は、拡張可能な骨組構造12の長手方向軸線52に沿って位置合わせされ得ることが認識され得る。下記で詳細に説明するように、
図2は、ハブ23が、複数の支持部材19によって画定された凹部21内に存在するように位置決めされ得ることを示す。
【0030】
閉塞インプラント10は、拡張可能な骨組構造12の少なくとも一部分上に配置されるか、その上方に配置されるか、その周りに配置されるか、又はそれに被さる閉塞部材14も含み得る。場合により、閉塞部材14は、拡張可能な骨組構造12の外面(すなわち外に向く面)の少なくとも一部分上に配置されるか、その上方に配置されるか、その周りに配置されるか、又はそれに被さり得る。
図2は、閉塞部材14が、拡張可能な骨組構造12の長手方向範囲に沿って部分的にのみ延び得ることをさらに示す。しかしながら、これは、限定を意図するものではない。むしろ、閉塞部材14は、拡張可能な骨組構造12の長手方向範囲に沿って任意の程度まで(例えば、拡張可能な骨組構造12の長手方向全体に広がって)延び得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、閉塞部材14は、血液及び/又は他の流体、例えば水に対して浸透性又は不浸透性であり得る。いくつかの実施形態では、閉塞部材14は、織布/織材料若しくはメッシュ、不織布/不織材料若しくはメッシュ、編組、及び/又は編みの材料、繊維、シート状材料、布、メッシュ、布メッシュ、高分子膜、金属若しくは高分子メッシュ、多孔質フィルタ状材料、カバー並びに/或いは他の好適な構造物を含み得る。いくつかの実施形態では、閉塞部材14は、血栓(すなわち凝血塊など)が閉塞部材14を通して左心耳から血流に移ることを防止し得る。いくつかの実施形態では、閉塞部材14は、埋め込み後の内皮化を促し得、それにより患者の循環系から左心耳を効果的に取り除く。閉塞部材14の材料のいくつかの好適であるが、非限定的な例を下記で説明する。
【0032】
図2は、拡張可能な骨組構造12が、拡張可能な骨組構造12の周辺に配置された複数の固定部材16を含み得ることをさらに示す。複数の固定部材16は、拡張可能な骨組構造12から半径方向外向きに延び得る。いくつかの実施形態では、
図2に示すように、複数の固定部材16の少なくともいくつかは、それぞれ本体部分及びそれから周囲に突出するチップ部分を有し得、且つ/又は含み得る。拡張可能な骨組構造12及び/又は複数の固定部材16の材料のいくつかの好適であるが、非限定定な例を下記に説明する。
【0033】
いくつかの例では、拡張可能な骨組構造12及び複数の固定部材16は、一体的に形成され得、且つ/又はユニタリー部材から切断され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組構造12及び複数の固定部材16は、一体的に形成され、且つ/又はユニタリーのチューブ状部材から切断され、それに続いて拡張形態における所望の形状に形成及び/又はヒートセットされ得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組構造12及び複数の固定部材16は、一体的に形成され、且つ/又はユニタリーな平らな部材から切断され、その後、チューブ状構造に丸められるか又は形成され、それに続いて拡張形態における所望の形状に形成及び/又はヒートセットされ得る。拡張可能な骨組構造12を作製及び/又は形成するいくつかの例示的な手段及び/又は方法は、レーザ切断、機械加工、打抜き、スタンピング、放電加工機械加工(EDM:electro discharge machining)、化学的溶解などを含む。他の手段及び/又は方法も考えられる。
【0034】
図2に示すように、拡張可能な骨組構造12に沿って配置された複数の固定部材16は、2列の固定部材16を含み得る。しかしながら、これは、限定を意図するものではない。むしろ、拡張可能な骨組構造12は、単一列の固定部材16を含み得る。他の例では、拡張可能な骨組構造12は、3列以上の固定部材16を含み得る。例えば、場合により、拡張可能な骨組構造12は、1、2、3、4つ又はそれを上回る列の固定部材16を含み得る。
【0035】
図2は、ユニタリー部材から形成され得る拡張可能な骨組構造12を示すが、これは、限定を意図するものではない。むしろ、拡張可能な骨組構造12は、様々な製造技術によって形成され得る様々な異なる形態を含み得ることが考えられる。
【0036】
上記で示したように、閉塞部材14は、織布/織材料若しくはメッシュ、不織布/不織材料若しくはメッシュ、編組及び/又は編みの材料、繊維、シート状材料、布、メッシュ、布メッシュ、高分子膜、金属若しくは高分子メッシュ、多孔質フィルタ状材料、カバー並びに/或いは他の好適な構造物を含み得る。閉塞部材14は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ナイロン、アクリル樹脂材料及び/若しくはポリオレフィンなど、これらの組み合わせ並びに/又は本明細書で開示される他の材料などの好適な材料から形成され得る。他の例では、閉塞材料は、ニッケル-チタン合金、ステンレス鋼、チタン、本明細書で開示される他の材料及び/又はこれらの組み合わせなどから形成された金網を含み得る。閉塞部材14の一部分を
図3に示す。ここで、閉塞部材14は、繊維束54と呼ばれ得るフィラメント又は繊維の1つ以上の束を含み得ることが分かる。繊維束54のサイズ/直径は、約10~500μm、若しくは約20~200μm、若しくは約50~150μmの範囲又は約100μmであり得る。これらは、単なる例である。他の数も考えられる。繊維束54のそれぞれは、好適な数の個々のフィラメント56を含み得る。例えば、繊維束54のそれぞれは、2~100フィラメント56、又は約5~50フィラメント、又は約5~30フィラメント、又は約10~25フィラメント、又は約15~20フィラメントを含み得る。これらは、単なる例である。他の数も考えられる。場合により、個々のフィラメント56のサイズ/直径は、約1~100μm、若しくは約2~25μm、若しくは約2~20μm、若しくは約5~15μmの範囲又は約10μmであり得る。これらは、単なる例である。他の数も考えられる。1つ以上の繊維束54は、閉塞部材14の布メッシュ構造を形成するように配置され得る。これは、編組、編み、織り、エレクトロスピニング又は他の方法で繊維束54を所望の配置構成又はパターンに配置することを含み得る。
【0037】
場合により、フィラメント56は、表面処理され得る。例えば、フィラメントは、プラズマ処理、レーザエッチングなどを施され得る。これは、例えば、フィラメント56にナノ構造体を与えることにより、抗血栓形成コーティング58(
図4)の接着性を高め、且つ/又は表面の疎水性を高め得(抗血栓形成性を高め得る)、それにより比較的薄い抗血栓形成コーティング58をコーティングする場合に超疎水性表面をもたらし得る。
【0038】
上記で示したように、閉塞部材14は、血栓(すなわち凝血塊など)が閉塞部材14を通して左心耳から血流に移ることを防止し得る。場合により、血栓は、例えば、閉塞部材14の心房面に沿って形成し得る。閉塞部材14に沿った血栓の形成を減少させるために、抗血栓形成コーティング58は、
図4に示すように、閉塞部材14に沿って配置され得る。抗血栓形成コーティング58は、好適な材料、例えばフルオロポリマー、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライドコポリマー、ポリ(ビニリデンフルオライド-co-ヘキサフルオロプロピレン)、フッ素機能性ホスファゼンポリマー、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレンコポリマー及び/又はこれらの組み合わせなどを含み得る。
【0039】
抗血栓形成コーティング58は、好適な方法、例えば浸漬被覆又は吹き付け塗装などを使用して閉塞部材14に塗布され得る。これは、好適な溶媒中に抗血栓形成コーティング58のためのポリマー/材料を溶解して希薄溶液(例えば、0.05%~2%の固形分)を形成して、閉塞部材14に抗血栓形成コーティング58を塗布すること(例えば、浸漬、吹き付けなどによって)を含み得る。閉塞部材14の構造のため、抗血栓形成コーティング58は、布メッシュの全体を効率的にコーティングし得る。例えば、抗血栓形成コーティング58は、閉塞部材14の全体にわたって吸い上がり得る(例えば、毛管作用に起因して)。それを行っているとき、抗血栓形成コーティングは、
図5に示すように、繊維束54のフィラメント56のそれぞれを被覆し、取り囲み、且つ/又は他の方法で包み込み得る。抗血栓形成コーティング58は、閉塞部材14に沿って実質的に均一であり得る。抗血栓形成コーティング58が浸漬被覆プロセスによって塗布されるとき、重力によって不均一な塗り厚を生じることが予想される。しかしながら、驚くべきことに、閉塞部材14の構造は、フィラメント56に沿って吸い上がり且つ適所に保持される抗血栓形成コーティング58を生じる。そのため、抗血栓形成コーティング58が浸漬被覆によって塗布される場合でも、実質的に均一な塗り厚が達成され得る。さらに、抗血栓形成コーティング58は、繊維束54間にそれらを通して浸透し得る。その際、抗血栓形成コーティング58は、繊維束54の内部領域に到達し得る。例えば、
図6は、抗血栓形成コーティング58’を含む内部フィラメント56’を備える繊維束54を示す。
【0040】
場合により、抗血栓形成コーティング58は、閉塞部材14に沿ってのみ配置される。そのような場合、拡張可能な骨組構造12には、抗血栓形成コーティング58が実質的になくてもよい。例えば、抗血栓形成コーティング58は、閉塞部材14が拡張可能な骨組構造12に固定される前に閉塞部材14に塗布され得る。しかしながら、これは、限定を意図するものではない。場合により、抗血栓形成コーティング58は、拡張可能な骨組構造12の複数の部分又は全てに沿って配置され得る。そのため、拡張可能な骨組構造12は、抗血栓形成コーティング58を含み得る。場合により、拡張可能な骨組構造12は、表面処理(例えば、プラズマ処理及び/又はレーザエッチなど)を施され得る。これは、抗血栓形成コーティング58の接着性及び/又は表面の疎水性を高め得る(これは、抗血栓形成性を高め得る)。
【0041】
フィラメント56への抗血栓形成コーティング58の所望のコーティング/接着性のため、抗血栓形成コーティング58の完全性は、比較的高い場合がある。抗血栓形成コーティング58のいずれかの部分が機能不全となる(例えば、装填及び/又は繰り返しの展開に起因して、例えば繊維束54/フィラメント56から分離及び/又は離層される)場合、機能不全は、抗血栓形成コーティング58全体ではなく、個々のフィラメント56に沿ったところに限定され得る。このため、抗血栓形成コーティング58の一部が閉塞部材14から破れる場合でも、閉塞部材14の大部分は、その抗血栓性を維持し得る。
【0042】
複数の個々のフィラメント56から形成された繊維束54を用いる閉塞部材14の構造は、(例えば、「モノフィラメント」設計と比べて)抗血栓形成コーティング58の吸い上がる毛管作用を高め得る。例えば、繊維束(例えば、フィラメント56に起因する)の表面積の増大により、抗血栓形成コーティング58がフィラメント56をコーティングし、浸透し、且つ取り囲む/包み込むことができるようにし得る。結果として生じる抗血栓形成コーティング58は、比較的薄い(例えば、約20~200nm程度)ことができるが、本質的にフィラメント56のそれぞれを実質的にその全体において覆う/取り囲む/包み込む。抗血栓形成コーティング58は、比較的薄いため、抗血栓形成コーティング58自体は、閉塞部材14の機械的性質にほとんど又は全く影響を及ぼさない場合がある。
【0043】
閉塞インプラント10に使用され得る材料は、一般に医療装置に関連付けられるものを含み得る。例えば、閉塞インプラント10及び/又は他の構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例を下記で説明する)、金属-ポリマー複合材、セラミックス、これらの組み合わせなど、又は他の好適な材料から作製され得る。好適なポリマーのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン(DuPont)から入手可能なデルリン(DELRIN)(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチックス(DSM Engineering Plastics)から入手可能なアーニテル(ARNITEL)(登録商標))、エーテル若しくはエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又は他のポリエステルエラストマー、例えばデュポン(DuPont)から入手可能なハイトレル(HYTREL)(登録商標))、ポリアミド(例えば、バイエル(Bayer)から入手可能なデュレタン(DURETHAN)(登録商標)又はエルフ・アトケム(Elf Atochem)から入手可能なクリスタミド(CRISTAMID)(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば商品名ペバックス(PEBAX)(登録商標)で入手可能)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(MARLEX)(登録商標)高密度ポリエチレン、マーレックス(MARLEX)(登録商標)低密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン(例えばレクセル(REXELL)(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、ケブラー(KEVLAR)(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(例えばEMSアメリカン・グリロン(EMS American Grilon)から入手可能なグリルアミド(GRILAMID)(登録商標))、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリビニリデンクロライド(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS 50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の好適な材料又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材などを含み得る。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマー(LCP)とブレンドされ得る。例えば、混合物は、LCPを約6パーセントまで含有し得る。
【0044】
好適な金属及び金属合金のいくつかの例は、ステンレス鋼、例えば304V、304L及び316LVのステンレス鋼;軟鋼;ニッケル-チタン合金、例えば線形弾性及び/又は超弾性のニチノール及び/又は;他のニッケル合金、例えばニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:N06625、例えばインコネル(INCONEL)(登録商標)625、UNS:N06022、例えばハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C-22(登録商標)、UNS:N10276、例えばハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C276(登録商標)、他のハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、UNS:N04400、例えばモネル(MONEL)(登録商標)400、ニッケルバック(NICKELVAC)(登録商標)400、ニコロス(NICORROS)(登録商標)400など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30035、例えばMP35-N(登録商標)など)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、UNS:N10665、例えばハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)アロイB2(ALLOY B2)(登録商標))、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステン若しくはタングステン合金など;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30003、例えばエルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)など);白金富化ステンレス鋼;チタン;これらの組み合わせなど;又は任意の他の好適な材料を含む。
【0045】
少なくともいくつかの実施形態では、閉塞インプラント10の複数の部分又は全てはまた、放射線不透過性材料をドープされ得るか、それで作製され得るか又はそうでなければそれを含み得る。放射線不透過性材料は、医療処置中、X線透視検査スクリーン上において又は別の撮像技術で比較的明るい画像を生じることができる材料であると理解される。この比較的明るい画像は、閉塞インプラント10のユーザがその位置を決定することを支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例は、限定されるものではないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が入っているポリマー材料などを含み得る。さらに、他の放射線不透過性マーカバンド及び/又はコイルも、閉塞インプラント10の設計に組み込まれて同じ結果を達成し得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI:Magnetic Resonance Imaging)の互換性が閉塞インプラント10に与えられる。例えば、閉塞インプラント10又はその複数の部分は、画像を実質的に歪ませたり、又は実質的なアーチファクト(例えば、画像内の間隙)を生じさせたりしない材料で作製され得る。いくつかの強磁性材料は、例えば、MRI画像にアーチファクトを生じさせ得るため、好適でない場合がある。閉塞インプラント10又はその複数の部分は、MRI機械が撮像できる材料からも作製され得る。これらの特性を示すいくつかの材料は、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30003、例えばエルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30035、例えばMP35-N(登録商標)など)、ニチノールなど、及び他のものを含む。
【実施例】
【0047】
本開示は、以下の実施例を参照することによってさらに明確にされ、実施例は、本質的に予言的であり、且ついくつかの実施形態を例示する役割を果たし、本開示を何ら限定するものではない。
【0048】
実施例1
35mmの閉塞インプラント10(例えば、拡張可能な骨組構造12及び閉塞部材14を含む)を90/10のアセトン/DMSO中のポリ(ビニリデンフルオライド-co-ヘキサフルオロプロピレン)の0.7%溶液で浸漬被覆した。閉塞インプラント10は、コーティングがフィラメント56間に浸透することができるように、20秒間コーティング溶液に存在することができた。閉塞インプラント10は、コーティング溶液から引き出されて、120℃で1時間乾燥された。塗布量(例えば、抗血栓形成コーティング58の)は、約2mgであり、これは、約50nmの塗り厚に対応した。
【0049】
抗血栓形成コーティング58は、例えば、比較的薄いことに起因して、簡単には可視化されなかった。そのため、可視色素がコーティング溶液に添加された。別々の試験では、閉塞部材14に使用された四角い布メッシュ材料がコーティング溶液(例えば、色素を含有するコーティング溶液)に浸漬された。約1mmの布メッシュのみがコーティング溶液と接触した。約2秒後、布メッシュは、溶液から取り出された。驚くべきことに、布メッシュの端部のコーティングは、強力な毛管作用により、メッシュの上部へと迅速に布メッシュを上方に移動し、且つ色素によって見ることができた。そのため、コーティング材料は、閉塞部材14のフィラメント56に迅速に浸透してそれを包み込むことが実証された。
【0050】
実施例2
35mmの閉塞インプラント10(例えば、拡張可能な骨組構造12及び閉塞部材14を含む)を、実施例1で説明したように、90/10のアセトン/DMSO中のポリ(ビニリデンフルオライド-co-ヘキサフルオロプロピレン)の0.7%溶液で浸漬被覆した。閉塞インプラントは、展開シースに装填され、その後、展開された。プロセスは、合計12回繰り返された。閉塞インプラント10は、コーティングの損傷を評価するために、SEMによって検査された。比較的少ないコーティングの損傷が観察され、いずれの損傷も、全体的に個々のフィラメントに孤立していた。
【0051】
実施例3
15ミリメートルのポリエチレンテレフタレートメッシュディスクをポリ(ビニリデンフルオライド-co-ヘキサフルオロプロピレン)の0.7%溶液又は1%のポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]溶液のいずれかで浸漬被覆し、その後、乾燥させた。コーティングされたディスクは、ヘパリン化されたウシ血を入れているカップ内に配置され、プロタミンを使用する約220秒間の活性凝固時間(ACT:activated clotting time)に調整された。カップは、37℃のオービタルシェーカインキュベータ上に配置され、且つ様々な時点で取り外された。メッシュ上に形成したいずれの凝塊も計量された。コーティングされたディスクは、非コーティング対照ディスクよりも凝塊が著しく少なかった(例えば、見た目及び/又は重量によって)ことが観察された。例えば、表1は、コーティングされていない対照メッシュと比べて、コーティングされたメッシュの凝塊重量が経時的に軽くなることが示されている。
【0052】
【表1】
本開示は、多くの点で説明にすぎないことが理解されるべきである。本開示の範囲から逸脱することなく、詳細、特に形状、サイズ及びステップの配置構成の点において変更形態がなされ得る。これは、適切である限り、例示的な1つの実施形態の特徴のいずれかの使用例が他の実施形態において使用されることを含み得る。本発明の範囲は、当然のことながら、添付の特許請求の範囲において表現される言語で定義される。
【国際調査報告】