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特表2023-508910液体試料の分析のための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】液体試料の分析のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20230227BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20230227BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20230227BHJP
   G01N 33/72 20060101ALI20230227BHJP
   G01N 33/82 20060101ALI20230227BHJP
   G01N 33/92 20060101ALI20230227BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
G01N33/483 C
G01N33/68
G01N33/72 A
G01N33/82
G01N33/92
G01N21/27 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022537790
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2020087510
(87)【国際公開番号】W WO2021136715
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】PA201901565
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】522241871
【氏名又は名称】クライフ エーピーエス
【氏名又は名称原語表記】QLIFE APS
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワーソー,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ファインディング,エッベ
(72)【発明者】
【氏名】エルキャア,ロバート
【テーマコード(参考)】
2G043
2G045
2G059
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043BA17
2G043CA04
2G043DA02
2G043DA08
2G043EA01
2G043EA13
2G043FA03
2G043KA02
2G043NA01
2G043NA11
2G045AA25
2G045CA25
2G045DA35
2G045DA36
2G045DA48
2G045DA57
2G059AA01
2G059BB13
2G059CC16
2G059DD13
2G059EE01
2G059EE07
2G059EE12
2G059GG02
2G059HH02
2G059HH03
2G059KK02
2G059MM01
(57)【要約】
本発明は、液体試料中の分析物の存在又は非存在を定量的に検出するための方法及び装置に関する。本発明は分析物検出アセンブリを備え、当該分析物検出アセンブリは、電磁放射線源と、電磁放射線を検出するための手段と、検出液を収容する容器であって、電磁放射線が検出液を通って線源から検出手段に放射されるように線源と検出手段との間に配置される容器とを具備する。検出液の内容物の混合が、検出アセンブリ(の全体)を円運動又は楕円運動で振り動かすことにより(そのような振動に適合した手段を使用して)行われ、それによって、前記線源及び手段に対する容器の位置決め(位置取り)が、液体試料中の分析物の量の測定の間中、一定である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の分析物の量を測定する方法であって、当該方法は、以下のステップを含む、即ち、
a.検出アセンブリを準備するステップであり、当該検出アセンブリが、
(i) 電磁放射線源と、
(ii) 電磁放射線を検出する手段と、
(iii) 試料非含有液体を収容する容器であって、前記線源から印加された電磁放射線が前記容器を通って前記線源から前記検出手段に放射され得るように、又は代替的に、前記線源から印加された電磁放射線の結果として前記容器内の前記液体から前記検出手段に電磁放射線が放射され得るように、前記電磁放射線源と前記電磁放射線を検出する手段との間に配置される、容器と、
を備える、ステップと、
b.前記容器内の試料非含有液体に試料を添加するステップと、
c.オプションとして、1種以上の試薬を添加するステップと、
d.時点Tでの電磁放射線の測定を実施するステップと、
e.オプションとして、1種以上の試薬を添加するステップと、
f.時点Tでの電磁放射線の測定を実施するステップと、
g.オプションとして、電磁放射線の1回以上の更なる試料測定を実施するステップと、
を含んでおり、
ステップb~dは任意の順序で実施することができる、方法において、
当該方法は、前記容器内の試料及び液体が、前記検出アセンブリを振り動かすことにより実行される少なくとも1回の混合ステップ(m)に供されて、従って、前記線源及び前記手段に対する前記容器の位置取りが、前記混合ステップの間、一定であることを特徴とする、方法。
【請求項2】
混合ステップ(m)は、ステップbの後に続いて、且つステップdの前に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
混合ステップ(m)は、ステップdの後に続いて、且つステップfの前に実施される、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
混合ステップ(m)は、ステップfの後に続いて実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記試料は50μl未満からなる液体試料である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記混合ステップ(m)における混合は、前記検出アセンブリを、少なくとも1000rpmの速度の円運動又は楕円運動で振り動かすことにより行われる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記試料は血液試料である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記分析物は、フェニルアラニン、hs-CRP、HbA1c、ビタミンD、d-ダイマー又は血中脂質を含む群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置であって、
当該装置は、
a.検出アセンブリであって、
(i) 電磁放射線源と、
(ii) 電磁放射線を検出するための手段と、
(iii) 試料非含有液体を収容する容器、又は、試料非含有液体を収容する容器を受け入れるための手段と、
を具備してなる、検出アセンブリと、
b.前記検出アセンブリの円運動又は楕円運動での振れ動きをもたらすための手段と、
を備えてなる、装置。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実施するためのパーツキットであって、
A)試料非含有液体を収容する容器と、
B)装置と、
を備えており、
前記装置(B)は、
a.検出アセンブリであって、
i.電磁放射線源と、
ii.電磁放射線を検出するための手段と、
iii.試料非含有液体を収容する容器を受け入れるための手段と、
を含む、検出アセンブリと、
b.前記検出アセンブリの円運動又は楕円運動での振れ動きをもたらすための手段と、
を含んでなる、
ことを特徴とする、パーツキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された感度、精度及び総アッセイ時間で液体試料中の分析物(analyte,分析対象物)の存在又は非存在を定量的に検出するための方法及び装置に関する。特に、本発明は、血液試料中のバイオマーカーの存在又は非存在を定量的に検出する方法及び装置に関する。更に、本発明は、改善された感度、精度及び総アッセイ時間で液体試料中のウイルス検体、特にcovid-19の存在又は非存在を検出するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体液試料中のマーカー又はバイオマーカーなどの特定の分析物の存在又は非存在を監視すること、特に血液試料中の特定の分析物の存在又は非存在を監視することによって、多くの疾患を監視することができる。
【0003】
そのような疾患マーカーを監視する場合、分析に使用される装置及び方法の感度、精度及び総アッセイ時間(total assay time:TAT)は常に重要な課題である。
【0004】
血液などの液体を分析するためのポイントオブケア装置及び方法では、50μlを超える試料サイズを使用することは実際には許容されない。多くの場合、試料サイズは、1~2滴の血液中に存在する液体の量、すなわち約40μl又は20μl以下に限定される。そのような少量の試料で作業する場合、装置及び分析に使用される方法の感度、精度及びTATは非常に重要な課題となり、装置及び方法の感度、精度及び/又はTATを改善するための方策は常に困難を伴う。
【0005】
従来、例えば1滴の血液の分析など、少量の液体試料を分析する場合、様々な方法で感度、精度及びTATの改善が達成されてきた。
【0006】
いくつかの方法及び装置は、少量の試料を正確に計量することに関して改善を提供することに重点を置いており、それによって精度を高めることができる。近年では、新しいアプローチである体積吸収マイクロサンプリングにより、一定体積の全血を採取することが可能である。この技術は、少量の血液を高正確度かつ高精度に採取することを可能にする多孔質親水性の先端部を有するサンプラーの使用を含む。採取プロセスは通常、ヘマトクリット値にかかわらず約2~4秒かかる。乾燥後、試料を保存、輸送又は直接分析することができる。この技術は、その単純さ及び費用効果のために注目度が高まりつつある。この技術の目的は、一定体積の血液試料を提供することによって検査の信頼性を改善し、最小限の指示で自己サンプリングを容易にすることである。
【0007】
他の方法は、特定の試料の成分と検出手段(フルオロフォア(蛍光プローブ)、透過率、吸光度など)とを正確に組み合わせることで感度及び精度を高めることができる改善された方法及び装置を提供することに重点を置いている。
【0008】
他の方法は、分析に使用される試料材料(試料物質)の品質を(例えば、試料の望ましくない成分を除去することによって)改善することに重点を置いている。しかしながら、液体試料中に存在する特定の分析物の正確な分析には、特に家庭におけるポイントオブケア用途のための方法及び装置に関して、当技術分野において遍在的な問題(よくある課題)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】(国際調査報告を参照)
【発明の概要】
【0010】
従って、本発明の1つの目的は、50μL未満を含む液体試料などの液体試料中の1つ以上の分析物の存在又は非存在を定量的に検出することの可能な光学測定に基づく既存の装置及び方法の感度、精度及びTATを改善することである。
【0011】
光学ベースの方法は、電磁放射線源が容器(例えば、キュベット(cuvette))内に存在する液体試料を照射し、その後、容器(例えばキュベット)内の試料による電磁放射線の吸収及び/又は放射が監視される光学測定システムに依存する方法として理解されるべきである。
【0012】
更に、COVID-19パンデミックの出現以来、試験室外の非専門家が実施することができる迅速な核酸ベースの検査の必要性が生じている。そのような検査は、パンデミックSARS-CoV-2ウイルスの封じ込めを助け、都市や国家の更なるロックダウンを防ぐことができる。
【0013】
従って、本発明の別の目的は、試料中のCOVID-19感染因子の存在又は非存在の高感度、高精度かつ迅速な核酸ベースの検査を提供することである。
【0014】
一般に、検出装置内の容器(例えばキュベット)内に存在する試料による照射の透過量及び/又は吸収量を光学測定システムが監視する方法は、当技術分野で周知である。従来、その間に特定の試薬が試料試薬混合物に導入される一連の測定(ブランク測定を含む)が行われている。試料及び/又は試薬の各導入後、物質は、様々な技術によって、多くの場合には、物質を入れた容器の振動(oscillation,振り動かすこと)、つまりボルテックスすること(vortexing)によって完全に混合される。
【0015】
[発明の概略説明]
本発明は、50μL未満を含む液体試料などの液体試料中の1つ以上の分析物の存在又は非存在を光学測定に基づいて定量的に検出することの可能な改善された方法及び装置に関する。
【0016】
本発明による一般的なアッセイ手順の重要な改良は、試料及びアッセイ試薬を容器(検出装置の「検出アセンブリ」の一部)に受け入れた後、液体を受け入れるための手段(容器)のみの従来の振動とは対照的に、光学測定システム全体、すなわち光学測定システムと試料を入れた容器とを含む検出アセンブリが、振動運動(oscillating motions)に供される(つまり「ボルテックスされる(vortexed)」)ことである。換言すれば、アッセイカプセル/キュベット並びに放射線源及び検出器を含む光学システム全体が、検出液の成分を混合するための振動運動を行っている。これにより、アッセイの精度及び正確度が有意に改善されることが分かった。この改良は、以下の実施例で使用されるEgoo装置光学ユニットで具現化される。本発明の技術的利点は、以下の実施例から明らかになる。
【0017】
従って、1つの非常に好ましい態様において、本発明は、試料中の分析物の量を測定する方法であって、当該方法は(以下のステップを含む)、
a.検出アセンブリを提供するステップであって、検出アセンブリは、
i.電磁放射線源と、
ii.電磁放射線を検出するための手段と、
iii.試料非含有液体を収容する容器であって、線源から印加された電磁放射線が容器を通って線源から検出手段に放射され得るように、又は代替的に、線源から印加された電磁放射線の結果として容器内の液体から検出手段に電磁放射線が放射され得るように、電磁放射線源と電磁放射線を検出するための手段との間に位置決めされている、容器と、
を含む、ステップと、
b.容器内の試料非含有液体に試料を添加するステップと、
c.任意に1つ以上の試薬を添加するステップと、
d.時点Tで電磁放射線の測定を実施するステップと、
e.任意に1つ以上の試薬を添加するステップと、
f.時点Tで電磁放射線の測定を実施するステップと、
g.任意に、電磁放射線の1つ以上の更なる試料測定を実施するステップと、
を含み、
ステップb~dは任意の順序で実施することができる、
という方法において、
当該方法は、容器内の試料及び液体が、検出アセンブリを振動させる(振り動かす)ことによって実行される少なくとも1つの混合ステップ(m)に供されることにより、前記線源及び前記手段に対する容器の位置決め(位置取り)が混合ステップの間、一定であることを特徴とする、方法に関する。
【0018】
[定義]
【0019】
「精度(Precision)」
分析手順の精度は、所定の条件下での均質試料の多重サンプリングから得られた一連の測定値間の一致の近さ(散乱の程度)を表す。精度は、1)併行精度、2)室内再現精度、及び3)室間再現精度の3つのレベルで考慮することができる。併行精度は、短い時間間隔にわたる同じ動作条件下での精度を表す。併行精度はアッセイ内精度とも呼ばれる。室内再現精度は、異なる日、異なる分析者、異なる機器などの試験室内の変動を表す。室間再現精度は、試験室間(通常は方法の標準化を目的として行われる共同試験)の精度を表す。精度は、均質で信頼できる(フルスケールの)試料を使用して調査されるべきである。しかし、フルスケールの試料を得ることができない場合、パイロットスケール又はベンチトップスケールの試料又は試料溶液を使用して調査することができる。分析手順の精度は、通常、一連の測定の分散、標準偏差又は変動係数として表される。
【0020】
「正確度(Accuracy)」
正確度は、統計的かたよりの尺度である系統的誤差を説明するものであり、これらの誤差は結果と「真の」値との間の差を引き起こす。最も簡単に言えば、同じ量の反復測定からのデータ点のセットを考えると、値が互いに近い場合、セットは高精度であると言うことができ、その平均が測定されている量の真の値に近い場合、セットは高正確度であると言うことができる。正確度の概念と精度の概念とは互いに独立しているため、特定のデータセットは、高正確度又は高精度のいずれか一方であるか、高正確度かつ高精度の両方であるか、あるいは高正確度でも高精度でもないと言うことができる。
【0021】
「光学的検出方法」
本明細書に記載の発明による試料中の分析物の存在を検出するために、任意の光学的検出方法を最終的に使用することができる。これらには、分光分析法及び分光光度分析法が含まれる。分光光度計の使用は、物理学、材料科学、化学、生化学、及び分子生物学などの様々な科学分野に及ぶ。
【0022】
分光法及び分光光度法は、従来、試料によって吸収/放射される光の波長の関数としての材料(分析物)の吸収、反射及び/又は透過特性の定量的測定に使用されている。これらの技術の使用は当技術分野で周知である。
【0023】
吸収分光法は、試料との相互作用に起因する、周波数又は波長の関数としての放射線の吸収を測定する分光技術を指す。試料は、放射場からエネルギー、すなわち光子を吸収する。吸収の強度は周波数の関数として変化し、この変化は吸収スペクトルである。吸収分光法は、電磁スペクトルにわたって実施される。
【0024】
一般に分光光度法と呼ばれる吸収分光法は、所与の波長で試料によって吸収された光の量を測定することに基づく分析技術である。特に電磁スペクトルの可視部分及びUV部分における分光光度法は、化学及び生命科学において最も多目的かつ広範に使用されている技術の1つである。吸収分光法は、試料中の特定の物質の存在を判定し、多くの場合、存在する物質の量を定量するための分析化学ツールとして使用される。赤外可視分光法及び紫外可視分光法は、分析用途において特に一般的である。吸収分光法は、分子物理学及び原子物理学、天体分光学及びリモートセンシングの研究でも使用されている。
【0025】
吸収スペクトルを測定するための広範な実験アプローチがある。最も一般的な構成は、生成された放射線ビームを試料に向け、試料を通過する放射線の強度を検出することである。透過エネルギーを使用して吸収を計算することができる。線源、試料配置及び検出技術は、周波数範囲及び実験の目的に応じて大きく異なる。
【0026】
蛍光分光法は、蛍光特性に基づいて溶液中の分析物の濃度を測定するための迅速、単純かつ安価な方法である。蛍光分光法は、分析される化合物(分析物)の種類が既知である比較的単純な分析に使用することができ、例えば、定量分析を実行して試料中の分析物の濃度を測定するために使用することができる。蛍光は、主に溶液中の化合物を測定するために使用される。
【0027】
蛍光分光法では、電磁ビームがキュベット内の溶液を通過し、試料中の分析物がビームからエネルギーを吸収する。このエネルギーは、異なる波長の電磁ビーム(光)として放射される。試料によって吸収及び放射される光の量は、試料中の分析物の存在に比例する。蛍光分光法では、励起スペクトル(分析物が吸収する光)及び/又は発光スペクトル(励起された分析物によって放射される光)の両方を測定することができる。分析物の濃度は、発光の強度に正比例する。
【0028】
濁度測定は、その中に懸濁された粒子の散乱効果による透過光の強度の損失を測定するプロセスである。光は、既知の波長の光を作り出すフィルタを通過し、次いで、アッセイ溶液を収容しているキュベットを通過する。光電検出器が、キュベットを通過した光を集光する。次いで、吸収された光の量の測定が行われる。
【0029】
免疫比濁法は、臨床化学の広範な診断分野における重要なツールである。これは、古典的な臨床化学法では検出できないタンパク質を測定するために使用される。免疫比濁法は、古典的な抗原抗体反応を使用する。抗原抗体複合体は、光度計によって光学的に検出され得る粒子である。より詳細には、液体試料を緩衝液に添加し、ラテックスに結合した分析物に対するモノクローナル抗体の懸濁液と混合する。分析物はラテックス結合抗体に結合し、凝集する。粒径の増加によって引き起こされる光散乱は、分析物濃度の尺度として使用される。光散乱の量は、試料中の分析物の濃度に比例する。
【0030】
「光学的検出方法を実施する際の一般的な手順」
従来、光学的検出方法は、液体試料を容器(例えば、「キュベット」)に直接導入すること及び、試料の存在によって生成される光学信号の変化を測定することに依存している。通常、容器には、試料の導入前に試料非含有液体を入れる。反応液は、試料中の分析物と相互作用して分析物の存在下で信号を生成することのできる特定の試薬を含有してもよい。あるいは、そのような試薬は、試料の導入後に添加される。容器は、例えば、特定の方法では、容器内に液体が到達すると可溶化され得るフルオロフォア(蛍光プローブ)を含んでもよい。
【0031】
バックグラウンド基準を提供するためにサンプルブランク測定を実行することができる。バックグラウンド測定は、検出液中の分析物以外の成分によって生成された信号である非特異的信号(「ノイズ」)、並びに信号に対するシステム(例えば、容器)の影響について試料測定値を補正するために行われる。非特異的信号は、例えば、濾過された血漿/血清の質に影響を及ぼす血液の溶血によって生成される可能性がある。従って、一般化された方法は、時点Tにおいて第1の液体を通る1つ以上の波長の電磁放射線の透過及び/又は放射を測定することによってサンプルブランク測定を実施するステップを含む。
【0032】
この点において、T測定は、試料の導入前に実施されるか、又は代替的に、試料からの放射線の透過/放射の定量的変化をもたらす試薬の導入前(又は直後)に実施され、試料中のバックグラウンドによって生成された信号を提供する。ブランク測定の精度を高めるために、繰り返し測定を行ってもよい。
【0033】
導入された試料/試薬は、検出液を通る1つ以上の波長の電磁放射線の透過又は放射を変化させ、変化の程度は、導入された試料中の分析物の存在の程度を反映する。換言すれば、試料/試薬の導入は、検出可能な放射線ベースの信号の変化をもたらし、変化は、(例えば、既知の濃度の試料に内部標準を使用することで測定される)試料の存在量に定量的に比例する。
【0034】
試料を試薬に導入した後、高正確度かつ高精度の試料測定値を生成するために、生成された検出液の成分を完全に混合しなければならない。
【0035】
従来の試験室構成では、本方法を実行する人は、分析前に試料成分を検出液中に正確に注入すると同時に検出液の成分を適切に混合するために、キュベット内の検出液を繰り返し空にして再充填する計量装置(例えばピペット)を使用することが多い。
【0036】
自動化されたシステムにおいて、計量装置から検出液に液体を繰り返し吸引し放射することによって計量装置を繰り返し空にして再装填することには問題があることが判明している。ポイントオブケア装置及び方法では、そのような装置及び方法は、一般に、外部環境への曝露を最小限に抑えるために自動化された閉鎖区画で動作するため、試料を第1の検出液に導入する手段において検出液を繰り返し導入及び再充填することは、不可能ではないにしても困難であることが多い。
【0037】
代わりに、従来の自動化されたシステムでは、計量装置が試料を検出液中に注入し、検出液は次いで、実際の試料測定の実行前に、容器(キュベット)を円運動で急速振動させる、すなわち、検出液を収容しているキュベットをボルテックスすることによって混合される。
【0038】
混合後、試料分析物測定が、従来の方法で、時点Tにおいて検出液を通る1つ以上の波長の電磁放射線の透過及び/又は放射を測定することによって行われる。測定の精度を高めるために、繰り返し測定を行ってもよい。従って、時点Tは、試料を導入して検出液を混合した後に行われる1つ以上の測定を反映する。
【0039】
[発明の詳細な開示]
本発明に至る実験の間に、上述の一般的なアプローチは、所望されるよりも感度、正確度及び精度が低いことが判明した。
【0040】
驚くべきことに、本発明の発明者らは、検出液を収容している容器を振動させるだけでなく、電磁放射線源、電磁放射線を検出するための手段、及び検出液を収容している容器を含む検出アセンブリ全体を振動させる(振り動かす)ことにより検出液の内容物を混合することで、従来の手法を感度及び精度に関して大幅に改善できることを見出した。
【0041】
感度及び精度が向上する理由は明らかではない。しかしながら、従来の自動分析では、試料成分は、分析前に、アセンブリ装置内又はアセンブリ装置外で、検出液を収容しているキュベットをボルテックスすることによって混合される。この手順の結果として、キュベットは、ブランク測定においても試料測定においても、線源及び検出手段に対して正確に同じ位置に位置決め(位置取り)されない。
【0042】
驚くべきことに、いずれの測定においても、キュベットの位置決めを正確に同じ位置に固定することにより、測定の感度及び精度が著しく改善された。
【0043】
容器材料のわずかな差及び不純物が、従来の測定の感度及び精度を損なうこれらの相違を生じさせる可能性があると推測される。
【0044】
驚くべきことに、本発明によれば、検出アセンブリ全体をボルテックスすることによって、電磁放射線源及び電磁放射線を検出するための手段を容器及び試料と同じ動きに供することによって、サンプルブランク測定及び試料測定の両方において容器(キュベット)を正確に同じ位置に位置決め(位置取り)することができた。
【0045】
これにより、電磁放射線源及び電磁放射線を検出するための手段に対する容器の位置決めは、時点Tでのブランク測定から時点Tでの試料測定までの方法ステップの間中、一定である。
【0046】
更に、容器の取り扱いが少ないため、液体試料を収容している容器の外面の潜在的な汚染が最小限に抑えられる。従って、本発明の方法は、家庭におけるポイントオブケア (point-of-care)の用途に非常に適している。
【0047】
従って、好適な一態様において、本発明は、液体試料中の分析物の量を測定する方法であって、当該方法は(以下のステップを含む)、
a.検出アセンブリを提供するステップであって、検出アセンブリは、
i.電磁放射線源と、
ii.電磁放射線を検出するための手段と、
iii.試料非含有液体を収容する容器であって、線源から印加された電磁放射線が容器を通って線源から検出手段に放射され得るように、又は代替的に、線源から印加された電磁放射線の結果として容器内の液体から検出手段に電磁放射線が放射され得るように、電磁放射線源と電磁放射線を検出するための手段との間に位置決めされている、容器と、
を含む、ステップと、
b.容器内の試料非含有液体に試料を添加するステップと、
c.任意に1つ以上の試薬を添加するステップと、
d.時点Tで電磁放射線の測定を実施するステップと、
e.任意に1つ以上の試薬を添加するステップと、
f.時点Tで電磁放射線の測定を実施するステップと、
g.任意に、電磁放射線の1つ以上の更なる試料測定を実施するステップと、
を含み、
ステップb~dは任意の順序で実施することができる、
方法において、
当該方法は、容器内の試料及び液体が、検出アセンブリを振動させる(振り動かす)ことによって実行される少なくとも1つの混合ステップ(m)に供されることにより、電磁放射線源及び電磁放射線を検出するための手段に対する容器の位置決めが混合ステップの間、一定であることを特徴とする、方法に関する。
【0048】
分析物検出アセンブリは、容器を受け入れるための手段を備える(これらの手段及び容器は、電磁放射線が線源から容器及び液体を通って検出手段に放射されるように、線源と検出手段との間に位置決めされている)。
【0049】
一実施形態では、ステップbの後、かつステップdの前に混合ステップ(m)が実施される。
【0050】
一実施形態では、ステップdの後、かつステップfの前に混合ステップ(m)が実施される。
【0051】
好適な一実施形態では、ステップfに続いて混合ステップ(m)が実施される。
【0052】
本発明はまた、上述の方法を実行するための装置を備え、当該装置は、
a.検出アセンブリであって、
i.電磁放射線源と、
ii.電磁放射線を検出するための手段と、
iii.試料非含有液体を収容する容器、又は試料非含有液体を収容する容器を受け入れるための手段と、
を含む、検出アセンブリと、
b.検出アセンブリの円運動又は楕円運動での振動(振り動き)を提供するための手段と、
を備える。
【0053】
当業者は、検出アセンブリの円運動又は楕円運動での振動(振り動き)を提供するための手段を提供する方法を知っていることに留意されたい。そのような手段は、基本的に、検出アセンブリの全ての部分が提供された運動に供されるように、検出アセンブリの部分を互いに締結することと組み合わせた特定の物質の振動運動を提供するための従来の手段である。
【0054】
本発明はまた、上述の方法を実施するためのパーツキットを更に備え、このパーツキットは、
A)試料非含有液体を収容する容器と、
B)装置であって、
a.検出アセンブリであって、
i.電磁放射線源と、
ii.電磁放射線を検出するための手段と、
iii.試料非含有液体を含む容器を受け入れるための手段と、
を含む、検出アセンブリと、
b.検出アセンブリの円運動又は楕円運動での振動を提供するための手段と、
を含む、装置と、
を備える。
【0055】
好ましくは、容器A)はまた、計量された量の試料を収集するためのフィルタ材料を備えた区画(コンパートメント)をも含む。
【0056】
好ましくは、容器A)はまた、特定の分析物との特定の反応を実行するための1つ以上の試薬を含む区画(コンパートメント)をも含む。
【0057】
一態様では、本発明は、本発明による方法を実行することの可能な装置に関する。一実施形態では、本発明は、以下でより詳細に説明するEgoo装置に関する。
【0058】
「Egoo装置」:
Egoo装置は、本発明を実施することの可能なマイクロオプト電気機械装置である。Egoo装置全体は、ヒト血液又は別の適切な検出液中のバイオマーカーを測定するための光学ユニットとEgooカプセルとからなる。使い捨てアッセイカプセルが、アッセイを実施するための全てのアッセイ試薬を含む。アッセイカプセルがEgoo装置に挿入された後に、アッセイが自動的に実行される。
【0059】
本質的に、Egoo装置は、アッセイキュベットが光源と検出器との間に配置され得るように配置された光源と検出器とからなる検出アセンブリからなる。Egoo装置は、Egooカプセルがアセンブリに追加されると検出アセンブリ全体をボルテックスするための手段を更に備える。Egoo装置には、アッセイキュベットを含むカプセルと、液体試料をその上に添加することができるフィルタ材料を含む別個のチャンバとが付属している。
【0060】
従って、Egoo装置は、経験の浅いユーザによるポイントオブケア使用のために設計されたパーツキットである。
【0061】
パーツキットは、測定装置と、試料材料を受け入れるためのカプセルとを備える。
【0062】
「Egoo光学ユニット」:
Egoo光学ユニットは、電磁放射線源と、電磁放射線を検出するための手段と、液体を収容する容器(「キュベット」)を受け入れるための手段とを含む検出アセンブリを含む従来の光学測定システムを備え、これらの手段及び容器は、電磁放射線が線源から液体を通って検出手段に放射されるように、線源と検出手段との間に位置決めされている。試料液体を含む容器を受け取った後、装置は、液体を含む容器のみの振動が行われる従来の装置及び方法とは対照的に、光学測定システム(検出アセンブリ)全体を振動運動(「ボルテックスすること」)に供することが可能である。
【0063】
検出アセンブリの内側に配置された光学システムは、一般に2つの光路からなる。以下の実施例1~3では、光源としてLED570nm、吸光度信号をする測定検出器としてフォトダイオード1を使用し、光路1の透過率を570nmで測定した。以下の実施例1~3では、光路2において、光源はLED390であり、フォトダイオード1は蛍光信号を測定するための検出器である。PKU測定は光路2を使用して行われ、ヘモグロビンは、光路1を使用して測定された。
【0064】
実施例4では、光源としてLED460nmを使用し、検出器としてフォトダイオード1を使用して、光路1の透過率を460nm/530nmで測定し、蛍光信号を530nmで測定した(Cybr-green)。
【0065】
「Egooカプセル」
Egooカプセルは、主キュベット(反応チャンバと呼ばれることもある)及び別個の区画(コンパートメント)を含む。より正確には、Egooカプセルは、試料注入区画R1、流体チャンバR2、R3及び主キュベットR4からなる。Egoo装置は、関連するアッセイに応じて、R1、R2及び/又はR3の構成成分を主キュベット(R4)に添加することができる。
【0066】
更に、カプセルはプランジャ/シールブレーカを含み、プランジャ/シールブレーカは、各区画からの試薬又は物質が、液体不透過性シールの破壊後に主キュベット内の液体と流体連通することができ、及び/又はシールを通じてキュベット内に注入されることによって主キュベットに入ることができるように作動させることができる。
【0067】
「試料中のCOVID-19の測定」
ポイントオブケアCOVID-19検査に対する需要の急速な増加に応えて、本発明者らはまた、驚くべきことに、周知のSIBA増幅技術(PLoS One.2014 Nov 24;9(11):e112656.doi:10.1371/journal.pone.0112656.eCollection 2014)を使用して、試料からの事前の核酸抽出を実行する必要なく、Egoo装置で患者からのスワップ(swap)試料からCOVID-19を直接迅速に検出できることを見出した。
【0068】
周知の「鎖侵入ベースの増幅」(Strand Invasion Based Amplification:SIBA)などの等温核酸増幅技術は、熱サイクル又は精巧な試験室用機器を必要としないという点で、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を超える大きな利点を提供する。
【0069】
SIBA技術は、二本鎖標的核酸への侵入オリゴヌクレオチド(invasion oligonucleotide:IO)のリコンビナーゼ依存的挿入に依存する。IO挿入部位の周辺の二重鎖領域は解離し、それによって標的特異的プライマーが結合することを可能にする。次いで、ポリメラーゼがプライマーを標的核酸上に伸長させ、標的の指数関数的増幅をもたらす。プライマーはリコンビナーゼの基質ではないため、IOの非存在下では標的鋳型を伸長させることができない。IOに29-O-メチルRNAを含めることにより、IOが伸長可能でなく、標的鋳型の伸長に関与しないことが保証される。プライマーダイマー又はミスプライミングは指数関数的に増幅することができないので、これらの特徴は、本技術を非特異的増幅に対して耐性とすることができる。その結果、SIBAは非常に特異的であり、複雑なプローブ又は精巧な試験室用機器を使用せずに単一分子感度で密接に関連した種を区別することができる。
【0070】
本発明に至る調査の間に、驚くべきことに、SIBA増幅技術を使用してコロナウイルス(COVID-19)感染について検査した患者からのスワップ試料の適用は、試料からの核酸の抽出を必要としないことが見出された。従って、従来のスワップ試料(約1mlの緩衝液に溶解した患者からのスワップを含有する試料)を効率的に検査することができ、SIBA増幅技術はCOVID-19感染症を有する患者を積極的に判定するのに有効であった。しかし、プロトコルは有意な数の偽陽性検査結果を与えることが分かった。驚くべきことに、この問題は、(様々な)緩衝液でスワップ試料を希釈することで、真の陽性試料を特定する際の有効性に悪影響を及ぼすことなく解決された。従って、驚くべきことに、試料を適切な緩衝液で希釈することによって、偽陽性検査結果を最小限とするか又は回避することが可能であることが見出された。具体的には、スワップ試料を総最終体積が2mlとなるように希釈すると、偽陽性が最小限に抑えられることが分かった。試料を緩衝液/スワップの最終体積が5mlとなるように希釈することによって、より良好な結果が得られた。しかしながら、非特異的反応(偽陽性)を完全に回避するためには、試料を最終体積が10ml/スワップなど、5ml/スワップ超となるように希釈することが必要であった。従って、10倍体積の緩衝液(体積/体積)で希釈したスワップ試料(1~2mlの緩衝液で希釈したスワップヘッドからなる標準スワップ試料)は、偽陰性試料の増加を引き起こすことなく、偽陽性結果を回避することが分かった。従って、実際には、スワップ試料(約1mlの試料材料)は、偽陽性をほぼ完全に回避するためには、Egoo装置内の反応混合物に添加される前に10mlの緩衝液で希釈されるべきである。しかしながら、偽陽性の数を最小限に抑えるためには、希釈度をより低くすれば十分であり得る。
【0071】
従って、別の一態様では、本発明は、試料中のCOVID-19の存在を検出する方法であって、当該方法は(以下のステップを含む)、
a.患者からスワップ試料を提供するステップと、
b.少なくとも2ml、好ましくは少なくとも3ml、より好ましくは少なくとも4ml、更により好ましくは少なくとも5ml、更により好ましくは少なくとも6ml、更により好ましくは少なくとも7ml、更により好ましくは少なくとも8ml、更により好ましくは少なくとも9ml、更により好ましくは少なくとも10mlの体積の希釈緩衝液にスワップ試料を希釈するステップと、
c.希釈された試料のサブサンプルを、SIBA増幅を行うのに適した反応混合物に曝露するステップと、
d.試料及び反応混合物を、適用されるSIBA増幅に適した反応温度に曝露するステップと、
e.反応生成物の存在又は非存在を検出するステップであって、反応生成物の存在は試料中のCOVID-19の存在の検出として解釈され、非存在はCOVID-19の非存在の検出として解釈される、ステップと、
f.任意的に、試料中のCOVID-19の存在が検出された試料を、陽性検出を検証するための融解曲線分析に供するステップと、
を含む、方法に関する。
【0072】
好ましくは、希釈緩衝液は、以下に列挙される界面活性剤などのマイルドな界面活性剤を含有する緩衝液である。好ましくは、希釈緩衝液は、以下の実施例に記載されるSIBA緩衝液などのSIBA増幅に適した緩衝液である。
【0073】
実施例で使用したSIBA緩衝液は、以下の試薬からなる:33.17mlのヌクレアーゼ非含有水、3.2mlの1M 酢酸マグネシウム、0.8mlの酢酸トリス、pH8、2.67mlの30% Brij-58、0.12mlの10% ASB-14、及び0.04mlの100% Proclin300(合計40ml)を含み、
緩衝液中の最終濃度は、80mM 酢酸マグネシウム、20mM 酢酸トリス、pH8、2% Brij-14、0.03% ASB-14、及び0.1% Proclinとなる。
【0074】
アッセイで検出されたCOVID-19アンプリコンは以下の配列を有していた:
GAACTTTAAGTCAGTTCTTTATTATCAAAACAATGTTTTTATGTCTGAAGCAAAATGTTGGACTGAGACTG
【0075】
鎖侵入プローブは以下の配列を有していた:
CCCCCCCCCCCCCCTTTATTATCAAAACAATGTTTTTATGTCTGAAGCAAAATGTT
【0076】
2つのプライマー標的は以下の配列を有していた:
GAACTTTAAGTCAGTTCTT (プライマー1)
TGTTGGACTGAGACTG (プライマー2)
【0077】
本発明の他の好ましい実施形態は、後述の実施例4から明らかである。
【0078】
[本発明の好ましい実施形態]
【0079】
「試料材料(試料物質)」
好ましくは、液体試料は、40μl未満の液体からなる試料である。そのような試料サイズは、自動化された方法及び装置に関連する。より好ましくは、液体試料は、20μl未満の液体からなる試料である。そのような試料サイズは、ポイントオブケア装置及び方法に関連する。
【0080】
非常に好ましい一実施形態では、分析される試料は血液試料である。好ましい一実施形態では、血液試料は全血である。別の好ましい一実施形態では、血液試料は血漿試料である。
【0081】
「混合」
上記の方法において、検出液の内容物の混合は、検出液イオンを少なくとも1000rpmの速度で円運動又は楕円運動で急速に振動させる(振り動かす)ことによって行われることが非常に好ましい。好ましくは、混合は、円運動又は楕円運動で検出液を急速に(1000rpm~4000rpm)振動させる(振り動かす)こと(即ち、ボルテックスすること)によって行われる。
【0082】
「電磁放射線源」
検出アセンブリは、電磁放射線源を備え、電磁放射線源は、電磁放射線を放射する手段として定義される。関連する電磁放射線は、原則として、いかなる適切な波長のものであってもよい。しかしながら、300nm~900nmの波長の電磁放射線が好ましい。
【0083】
「電磁放射線検出手段」
分析物検出アセンブリは、電磁放射線検出手段を備え、電磁放射線検出手段は、電磁放射線を検出する(すなわち、吸収し、電気エネルギーに変換する)手段として定義される。検出対象の関連する電磁放射線は、原則として、いかなる適切な波長のものであってもよい。しかしながら、検出対象の電磁放射線は、線源及び/又は試料によって放射される電磁放射線として適切でなければならない。
【0084】
「分析物(Analyte, 分析対象物)」
一般に、本発明の方法及び装置は、臨床化学、癌診断及び全ての他の関連する診断分野内の全ての血液バイオマーカーを測定するために使用することができる。
【0085】
しかしながら、本発明の方法及び装置は、好ましくは、以下の血液マーカー(分析物)、すなわち、フェニルアラニン(フェニルケトン尿症患者)、CRP、hs-CRP、脂質パネル(炎症及び心血管系血管疾患バイオマーカー)、脂質プロファイル(総コレステロール、HDL及びトリグリセリド)、HbA1c(糖尿病バイオマーカー)、ALAT(肝臓バイオマーカー)、ビタミンD及びD-ダイマーのうちのの1つ以上の検出に使用される。
【0086】
本発明の好ましい一実施形態では、反応液は、HbA1検出のためのフルオロフォア・エオシン-ホウ酸などの、試料中に存在する分析物に結合する物質を含む。
【実施例
【0087】
以下の実施例の目的は、記載された発明(本願に開示の発明)を使用してアッセイ精度、%CV(標準偏差/平均×100)を記述し比較することである。
【0088】
[実施例1.PKU測定]
フェニルケトン尿症(phenylketonuria:PKU)は、肝フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(phenylalanine hydroxylase:PAH)活性の欠損によって引き起こされる常染色体劣性遺伝性障害である。コーカサス人集団では、50人に約1人がキャリアであり、10,000人に1人がPKUに罹患している。PAH欠損のため、フェニルアラニンはアミノ酸チロシンに変換されない。これにより、脳を含む身体の全ての部分、血液及び尿中に過剰量のPHE及び毒性代謝産物が蓄積する。これらの過剰は、様々な程度の精神遅滞をもたらす化学的不均衡を引き起こす。過去10年間に、いくつかの販売業者は、家庭でのPHEレベルを測定するための最良の方法、すなわち糖尿病患者の家庭での血糖測定に匹敵しなければならない方法を特定するための様々なアッセイ方法を試験した。残念なことに、フェニルアラニン分子は、グルコース(mM)と比較して500~1000倍低い濃度(μM)で血液中に存在する。これまでのところ、家庭ベースの方法を見出すためのあらゆる試みは、アッセイの感度、アッセイの精度、アッセイの安定性、アッセイの比較及びアッセイの複雑さなどのアッセイ関連パラメータに苦慮している。本発明は、上記のアッセイ関連の課題を克服することに成功した。
【0089】
記載された発明を使用して、そのようなPHEアッセイを、最先端の試験室ベースの機器と比較して同一の又は更に良好な分析性能を有する小型のEgoo POC装置によって、ユーザの家庭内で行うことが可能である。
【0090】
「PHEアッセイの原理」
フェニルアラニンアッセイは、蛍光ニンヒドリンアッセイ法を利用する。アッセイ手順は、McCaman and Robin,Lab Clin.Med 59,page 885-890 in 1962によって最初に公開された蛍光測定アッセイ手順の改良である。アッセイは、血液中のPHEの定量的測定を意図した化学的方法に基づく。
【0091】
「本発明によるPHEアッセイ手順の概要」
正確な体積の毛細管血液(15μl)を、指から、15mlの試料を収容することの可能な毛細管チャネルを含む血液計量移送ピペットに移送した。血液計量移送ピペットを、Egooカプセルのカプセル入口に挿入し、そこで膜材料(Whatman-903)と接触させた。計量移送ピペットが膜材料と物理的に接触すると、血液はピペット内の毛細管チャネルから膜材料内に受動的に流れた。乾燥期間の後、試料を含む膜を主キュベットに注入し、そこで抽出溶液(R1)の使用及びEgoo装置内部のキュベットを含む検出アセンブリの振動(ボルテックス)運動によって、アミノ酸フェニルアラニン(及び他の全てのアミノ酸)を膜から抽出した。次に、R2試薬を主キュベットに注入し、本発明に従って混合した。48°C(45~80°C)でインキュベートした後、PHEはニンヒドリンと蛍光化合物を形成した。蛍光測定応答及び特異性は、ジペプチドL-ロイシル-L-アラニンの存在によって大幅に増強された。反応中のpHは、特異性を最大にするために5.8+/-0.1のコハク酸緩衝液によって厳密に制御された。ニンヒドリン反応後、R3溶液を主キュベットに注入することにより、最適な蛍光検出のためにpHを、
>8.0(8.0超え)に調整した。蛍光分子を450nmで測定し、励起波長は390nmであった。
【0092】
PHEアッセイ試薬:
R1:膜を含む試料注入器
R2:水中70mM ニンヒドリン
R3:0.3M NaHPO、0.05M NaOH、pH=11.5.
R4:70% エタノール、0.2M コハク酸緩衝液 pH 4.9、0.4% NaCl、10mM L-ロイシル-L-アラニン。
【0093】
PKU手順:
1.15μlの全血を血液計量移送ピペットに加えた。
2.計量移送ピペットを、Egoo PHEカプセルの入口に挿入した。
3.計量移送ピペットがR1内のWhatman903膜材料と物理的に接触すると、血液は膜材料内に受動的に流れた。血液移送の後、計量移送ピペットを廃棄した。
4.Whatman-903膜に血液を移した後、フィルタを3時間乾燥させた。
5.乾燥後、R1からの血液膜を主キュベットに注入し、ここで、振動(ボルテックス)運動と組み合わされた抽出溶液R4は、抽出溶液R4中にPHE分子(及び他のアミノ酸)を抽出(放出)させた。
6.R2試薬を主キュベットに注入し、蛍光アッセイを開始した。
7.時点Tまでの蛍光を測定することによるサンプルブランク測定を行った。
8.アッセイ混合物を48°Cで30~90分間インキュベートした。
9.R3試薬を主キュベットに注入し、蛍光増強のためにPHを>8.0に調整した。
10.次に、Tで蛍光測定を行い、結果をT/Tで算出した。
11.最後に、検量線を使用してPHE濃度を計算し、生の蛍光データを最終PHE濃度に変換した。
【0094】
結果
以下の分析性能特性試験を行った:
精度
- 室内精度試験(室内変動性)
- 室間精度試験(室間変動性)
【0095】
約50μM及び500μMのフェニルアラニンを含有する血液試料(血液試料1及び血液試料2)をアッセイした。
【0096】
室内精度。 1回の一連のPHE測定において、1人の操作者が1つの装置で経験する変動。
【0097】
【表1】
【0098】
室間精度試験。 室間精度は、試験室間、試験日間、異なる装置間、及び異なる操作者間の変動である。結果を以下の表2に示す。
【0099】
【表2】
【0100】
考察
この実施例の目的は、周知の蛍光ベースのPHEアッセイを本発明と融合させる可能性を探求することである。結果は、本発明による方法が優れた性能を発揮することを示した。
【0101】
[実施例2.ヘモグロビンアッセイ]
「ヘモグロビンアッセイの原理」
ヘモグロビンは、日常的な診断パラメータである。
【0102】
本発明のこの実施形態では、シアン化物非含有ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulphate:SLS)を使用する周知のSLSヘモグロビン検出方法を使用する。試薬は、試料中の赤血球及び白血球を溶解する。化学反応は、グロビンを変化させ、次いでヘム基を酸化することによって始まる。その後、SLSの親水性基はヘム基に結合し、安定な着色錯体(SLS-HGB)を形成することができ、これを、測光法を使用して分析する。
【0103】
Egoo装置では、LED(570nm)は、混合物を通過する時にSLS-HGB錯体によって吸収される単色光を送出する。吸光度は、フォトセンサによって測定され、試料のヘモグロビン濃度に比例する。
【0104】
「Hbアッセイ手順の概要」
正確な体積の毛細管血液(15μl)を指先から血液計量移送ピペットに移送した。血液計量移送ピペットをカプセル入口に挿入し、試料を受動移送によってフィルタ材料に移送した。フィルタ材料を含む試料を主キュベットに注入/挿入し、検出アセンブリのボルテックス運動を使用して血液を膜から即座に抽出した。HbはここでSLS-HGB複合体を形成し、R1試薬との2分間のインキュベーション後に570nmで測定することができた。
【0105】
ヘモグロビンアッセイ試薬
R4:市販のSLSヘモグロビン検出試薬(Sysmex)。
【0106】
血液を計量し、アッセイカプセルに添加した後、全てのアッセイステップをEgoo装置によって行った:
1.指穿刺からの15μlの全血を血液計量移送ピペットに加えた。
2.計量移送ピペットをEgoo Hbカプセルの入口に挿入し、そこで計量移送ピペットを膜材料と物理的に接触させた。血液移送の後、計量移送ピペットを廃棄した。
3.時点Tまでの吸光度を測定することによるサンプルブランク測定を行った。
4.R1上の膜に血液を移した後、血液を主キュベットに注入し、検出アセンブリの振動(ボルテックス)運動を使用して血液をR4試薬と混合した。
5.2分後のTで吸光度測定を行い、結果をT/Tで算出した。
6.最後に、較正曲線を使用してHb濃度を計算し、生の吸光度データを最終Hb濃度に変換した。
【0107】
分析性能特性
室内精度。室内精度は、単一の一連のヘモグロビン測定において単一の装置で単一の操作者が経験する変動性である。
【0108】
結果
結果を以下の表3に示す。ヘモグロビンアッセイのための室内精度試験。
10回のHbアッセイを2つのHb濃度で行った。
Egooで合計2×10=80回のHbアッセイを実行した。
【0109】
【表3】
【0110】
考察:
実施例2の目的は、周知の吸光度ベースのHbアッセイを本発明と融合させる可能性を探求することである。
【0111】
[実施例3]
この実施例の目的は、アッセイキュベット、光源及び検出器を含む検出アセンブリをボルテックスすることによって試薬/試料混合が行われる本発明を使用した精度(%CV)を、検出アセンブリの外部でアッセイキュベットをボルテックスすることによって試薬/試料混合が行われる同様の方法と比較することである。
【0112】
蛍光色素エオシンY(励起370nm及び発光550nm)を含む液体50μlを流体チャンバR2に添加した。色素ブロモフェノールブルー(最大吸光度570nm)を含む液体50μlを流体チャンバR3に添加した。300μlのリン酸塩溶液からなる液体を主キュベットR4に添加した。カプセルをEgoo装置に挿入した。Egoo測定手順を以下に説明する。
【0113】
Egoo測定手順1(本発明による手順):
1.カプセルをEgoo装置に挿入した。
2.主キュベット(リン酸緩衝液)からのブランク信号を測定した。
3.R2溶液を主キュベットに注入し、本発明によるボルテックス運動(5秒、1500rpm)によって混合し、続いて蛍光信号及び吸光度信号(信号1及び信号2)を測定した。
4.R3溶液を主キュベットに注入し、本発明によるボルテックス運動(5秒、1500rpm)によって混合し、続いて蛍光信号及び吸光度信号(信号3及び信号4)を測定した。
5.カプセルをEgoo装置から取り出して廃棄した。
6.この手順を20個のカプセルを用いて20回繰り返した(n=20)。
【0114】
手順2(試薬の全ての混合ステップがEgoo装置の外部で行われ、全ての測定ステップがEgoo装置の内部で行われる参照手順)
【0115】
蛍光色素エオシンY(励起370nm及び発光550nm)からなる液体50μlを流体チャンバR2に添加した。色素ブロモフェノールブルー(最大吸光度570nm)からなる液体50μlを流体チャンバR3に添加した。300μlのリン酸塩溶液からなる液体を主キュベットR4に添加した。カプセルを、後述する手順に従って、Egoo測定器に挿入した。
【0116】
Egoo手順2:
1.カプセルをEgoo装置に挿入した。
2.主キュベット(リン酸緩衝液)からのブランク信号を測定した。
3.R2溶液を主キュベットに注入した。
4.カプセルをEgoo装置から取り出し、手動混合ステップを、ボルテックス混合(5秒、1500rpm)を用いて行った。
5.カプセルを再びEgoo装置に挿入し、続いて蛍光信号及び吸光度信号を測定した。
6.R3溶液を主キュベットに注入した。
7.カプセルをEgoo装置から取り出し、手動混合ステップを、ボルテックス混合(5秒、1500rpm)を用いて行った。
8.カプセルを再びEgoo装置に挿入し、続いて蛍光信号及び吸光度信号を測定した。
9.カプセルをEgoo装置から取り出して廃棄した。
10.この手順を20個のカプセルを用いて20回繰り返した(n=20)。
【0117】
アッセイ試薬:
R2:エオシンY 0.5w/v溶液、Sigma Aldrich試薬2853、
ロット 01838
R3:ブロモフェノールブルー溶液、Sigma Aldrich試薬313744、
ロット MKCD9662
R4:標準的なリン酸緩衝液、Ph7.4
【0118】
【表4】
【0119】
考察:
この実施例の目的は、本発明を使用した精度(%CV)を、本発明を使用していない同様の方法と比較することである。
【0120】
上記の表4から分かるように、本発明を使用した蛍光信号及び吸光度信号の精度は有意に改善される。この精度改善の主な理由は、おそらく、本発明に記載されるように混合及び測定ステップが実施される時の主キュベット(分析ユニット)と光学システムとの間のより良好な位置合わせに関係している。
【0121】
[実施例4.Egoo装置における逆転写鎖侵入ベースの増幅を用いたSARS-CoV-2の検出]
【0122】
本実施例では、等温逆転写鎖侵入ベースの増幅(RT-SIBA)を用いたSARS-CoV-2の無抽出検出にEgooモニタリングシステムを使用した。
【0123】
SARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイを、核酸抽出なしで粗中咽頭スワブ(swab)及び鼻咽頭スワブ(swab)で直接実施し、30分以内に検出可能な反応がもたらされた。
【0124】
試料を適用した後、EgooカプセルシステムがEgoo装置内で自動的に密封され、分子等温増幅に最適な閉鎖系が得られるため、Egoo装置及びカプセルはこのタイプの分析に理想的である。以下から分かるように、Egoo装置は、分析感度がSARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイについて反応当たり25ウイルスRNAコピーであり、また臨床的感度及び特異性がそれぞれ93%及び100%であり、PCR装置に匹敵する感度及び特異性を示した。
【0125】
「試料調製」
口腔咽頭又は鼻咽頭スワブ(swab)をフロックスワブ(Jiangsu Hanheng Medical Technology,Copan)で採取し、1mlのSIBA溶解/反応緩衝液、1mlのPBS、1~4mlの生理食塩水、1mlのUTM(Copan)、1mlのVTM(NEST Biotechnology)又は1mlのVTM(Mole Bioscience)に直接溶解した。PBS、生理食塩水、UTM又はVTMに溶解した試料を、SIBA溶解/反応緩衝液(80mM 酢酸マグネシウム、20mM 酢酸トリス(pH 8)、2% Brij-58、0.03% ASB-14、0.1% Proclin300)で10倍希釈してから、SARS-CoV-2 RT-SIBAマスターミックス(Qlife)に適用した。鼻咽頭スワブからのウイルスRNAも、SARS-CoV-2 RT-PCRアッセイで分析する前に、QiaAmpウイルスRNAキット(Qiagen)を製造者の説明書に従って使用して精製した。
【0126】
「SARS-CoV-2 RT-SIBA」
SARS-CoV-2 RT-SIBAマスターミックス(Qlife)は、製造業者(Aidian)の指示に従って混合される3つの試薬を混合することからなる。RT-SIBA Mix A(組換え及び増幅のための酵素を含有する反応混合物)、Mix B(補助因子を含有する反応混合物)及びオリゴミックス(プライマー及び侵入プローブを含有する反応混合物)を氷上で解凍し、ボルテックスによって混合する。マスターミックス試薬の詳細は、製造業者(Aidian)に連絡することによって、又は例えば、「Hoser MJ,Mansukoski HK,Morrical SW,Eboigbodin KE.Strand Invasion Based Amplification(SIBAH):A Novel Isothermal DNA Amplification Technology Demonstrating High Specificity and Sensitivity for a Single Molecule of Target Analyte.PLOS ONE|DOI:10.1371/journal.pone.0112656 November 24,2014」又は「Eboigbodin K,Filen S,Ojalehto T,Brummer M,Elf S,Pousi K,Hoser M.Reverse transcription strand invasion based amplification(RT-SIBA):a method for rapid detection of influenza A and B.Appl Microbiol Biotechnol(2016)100:5559-5567DOI 10.1007/s00253-016-7491-y」を参照することで確認できる。オリゴミックス中のプライマー及び侵入プローブは、本明細書に記載の通りであった。
【0127】
場合によっては、Mix Aは沈殿物を形成することができ、これを37~41°Cに加熱し、続いてボルテックスすることによって除去することができる。PCR装置で行われる参照反応のために、マスターミックスを、反応あたり7μlのMix A、7μlのMix B及び3.5μlのオリゴミックスを混合することによって調製した。マスターミックス(17.5μl)をPCRチューブに添加し、2、5μlの試料(SIBA溶解/反応緩衝液で10倍希釈)をマスターミックスに添加した。RT-SIBA反応を、MX3005P(Strategene)又はCFX96(BioRAD)のいずれかを使用し、PCR装置を44°Cに設定して実施し、30分間毎分蛍光測定値を記録し、続いて融解曲線分析:44°C~95°Cを行った。Egoo装置で行われる反応では、140μlの既製のマスターミックスを入れたEgooカプセル(Qlife)を、20μlの試料(SIBA溶解/反応緩衝液で10倍希釈)を適用した後にEgoo装置に装填した。反応が始まる前に、ピストン機構がカプセルをプランジャで密封すると、EgooカプセルがEgoo装置内で閉じた。プランジャがカプセルを密封すると、Egoo装置はカプセルを44°Cに30分間加熱した。反応の間、カプセル内の試薬を5分毎に3秒間振盪(1000rpm)することによって混合した。蛍光測定値を毎分3回記録した。
【0128】
「SARS-CoV-2 RT-PCR(参考)」
Charite Berlin製のE遺伝子アッセイを、Luna(登録商標)Universal Probe One-Step RT-qPCR Kit(NEB)と共に使用した。簡単に説明すると、12.5μlのLuna Universal One-Step Reaction Mix、1.25μlのLuna WarmStart(登録商標)RT Enzyme Mix、0.5μlのE_Sarbeco_F1(20μM)、0.5μlのE_Sarbeco_R2(20μM)、0.25μlのE_Sarbeco_P1(20μM)、7.5μlのヌクレアーゼ非含有水及び2.5μlの試料(精製RNA又はSIBA溶解/反応緩衝液で10倍希釈された試料)を混合し、以下のプログラムで実行した。
55°Cで10分間、95°Cで3分間、95°Cで15秒間と58°Cで30秒間とを45サイクル。
RT-PCR反応は、MX 3005 P(Strategene)、CFX 96(BioRAD)又はAriaMx(Agilent)のいずれかを用いて行った。
【0129】
「ウイルス培養」
エプスタイン・バーウイルス(EBV)(B95-8)、パラインフルエンザウイルス1型(PIV-1)、アデノウイルス5型(Adv5)、呼吸器合胞体ウイルスA型(RSV-A)(2006)、インフルエンザA(H1N1)pdm(INFL A)(NY/02/07)、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB(INFL B)(Yamagata/16/88)、ライノウイルスA16、エンテロウイルス68型(EV-68)(2007)、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)(Peru2-2002)、コロナウイルスOC43、コロナウイルスNL63、コロナウイルス229E、SARS-COV-2(Italy-INMI1)(1.02×108 TCID50/mL)、Helvetica Health Careから購入したSARS-COV-2(USA-WA1/2020)(3.09×108 TCID50/ml)、SARS-COV-2(Hong Kong/VM2000i06i/2020)(1.15×107 TCID50/mL)を、中咽頭スワブバックグラウンドにスパイクして直接使用し、ウイルスを10倍希釈した。MERS(2019)、RSV(2019)、hMPV(2019)及びコロナウイルス(2019)のQCMDパネルを、MagNA Pure 96システム(Roche)並びにDNA and Viral NA Small Volume Kit(Roche)を用いて精製する。ヒト2019-nCoV分離株(026V-03883)(EVAg)をVero E6細胞中で培養し、上清のウイルス力価を1.6×105 TCID50/mlと決定した。更に、採取した上清を、MagNA Pure精製RNA及び中咽頭スワブからRNAにスパイクした合成SARS-CoV-2 RNA対照(Twist Bioscience)に基づく標準曲線を用いて1.2×107 RNAコピー/mlに定量した。定量はRT-PCR E遺伝子アッセイを用いて行った。
【0130】
「臨床試料」
RT-SIBAアッセイ及びRT-PCRアッセイを使用して、25人の陽性鼻咽頭スワブ(Central BioHyb(登録商標))、25人の陰性鼻咽頭スワブ(Central BioHyb(登録商標))、30人の陽性中咽頭スワブ(Qlife COVID-19サービスセンター)、及び30人の陰性中咽頭スワブ(Qlife COVID-19サービスセンター)をSARS-CoV-2について検査した。検査した各試料について患者インフォームドコンセントを得た。
【0131】
開発された等温SARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイは、SARS-CoV-2のRdRp遺伝子を標的とする。
【0132】
RT-SIBAアンプリコン:

GAACTTTAAGTCAGTTCTTTATTATCAAAACAATGTTTTTATGTCTGAAGCAAAATGTTGGACTGAGACTG

CCCCCCCCCCCCCCTTTATTATCAAAACAATGTTTTTATGTCTGAAGCAAAATGTT

GAACTTTAAGTCAGTTCTT

TGTTGGACTGAGACTG
【0133】
結果
GISAIDに提出された119,215個のウイルス配列からの全長配列のSilico分析は、世界中の全分離株の99.62%が上記のSARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイプライマー及びプローブによって検出されることを示した(世界中の452個の配列が一意でないランダムSNPを含有していた)。
【0134】
方法を単純化するために、SARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイは、マイルドな界面活性剤及びマグネシウムを含有するSIBA溶解/反応緩衝液を使用して、NA抽出なしで粗試料に直接使用されるように設計された。
【0135】
最初に、他のヒトコロナウイルス(hCoV-NL63、hCoV-229E及びhCoV-OC43)及び最も一般的なヒト呼吸器ウイルス、例えばインフルエンザA H1N1、インフルエンザB及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対するSARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイの分析特異性を確認した。異なるウイルスからの精製ウイルスNA又は不活化ウイルス培養物をSARS-CoV-2陰性中咽頭バックグラウンドにスパイクした。
【0136】
試料をSIBA溶解/反応緩衝液で10倍希釈した後、2つの異なるPCR装置(MX3005P又はCFX96)及び小型Egoo装置を使用してSARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイで分析した。精製NA又は全溶解ウイルス培養物(非精製RNA)のいずれについても、他の呼吸器ウイルスに対する交差反応性は検出されず、SARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイはSARS-CoV-2に100%特異的であった。
【0137】
その後、SARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイの分析感度を調べた。合成SARS-CoV-2 RNA及び不活化SARS-CoV-2ウイルス培養物を異なる濃度で陰性中咽頭スワブにスパイクし、SIBA溶解/反応緩衝液で10倍希釈した。PCR装置(Mx3005P)と5つの異なるEgoo装置との両方を使用して、異なる希釈液を試験した。
【0138】
SARS-CoV-2アッセイの分析感度
【0139】
【表5】
【0140】
SARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイの検出限界(limit of detection:LOD)は、合成RNAと全ウイルス培養物との両方を使用した場合、20~25RNAコピー/反応であることが分かる。PCR装置と試験した5つのEgoo装置との間でLODの差は観察されない。しかし、PCR装置の場合、PCRチューブに装填されるのはわずか2.5μlの試料であり、一方、Egooカプセルには20μlの試料が装填される。これは、PCR装置と比較して、Egoo装置の試料投入濃度が低いことに対応している。Egoo装置は、1.25ウイルスRNAコピー/μlという低濃度であっても検出することができた。
【0141】
SARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイは、SIBA溶解/反応緩衝液を使用して、NA抽出なしで粗試料に直接使用されるように設計されている。溶解を試料採取チューブで直接実施できるかどうかを試験するために、異なる濃度のSARS-CoV-2ウイルス培養物を陰性中咽頭スワブバックグラウンドにスパイクし、続いてサンプリングスワブ(n=16)に添加した。スパイクされたスワブを含むチューブにSIBA溶解/反応緩衝液(500μl)を直接添加し、チューブを振盪しながら室温で10分間インキュベートしてスワブからウイルスRNAを放出させた後、PCR装置を使用してSARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイで分析した。陰性対照として、SIBA溶解/反応緩衝液に直接溶解された陰性中咽頭スワブ(n=18)も分析した。4200ウイルスcpをスパイクし、79ウイルスcp/μlの濃度までSIBA溶解/反応緩衝液に溶解させたスワブは、SARS-CoV-2 RT-SIBA反応で容易に検出することができた。SARS-CoV-2陰性中咽頭スワブの分析は試料の39%(7/18)で陽性検出を示し、融解曲線の分析は56°C付近に第2の融解ピークを示したが、SARS-CoV-2陽性試料の正しい融解ピークは68°Cにあるべきである。SARS-CoV-2アッセイは、SYBR Green検出に基づいており、従って、試料中のゲノムバックグラウンドのために非標的増幅が起こり得る。融解曲線分析を行うことにより、PCR装置において非標的増幅を容易に検出することができる。しかしながら、Egoo装置では、融解曲線分析を実行することができない。従って、試料を2倍、5倍、10倍、20倍希釈すると非標的増幅が減少するかどうかを調べた。試料の希釈は、試料の10倍及び20倍の希釈が非標的融解ピークの形成を排除することを明確に示した。これを更に試験するために、128人の陰性中咽頭患者スワブ(1mlのPBSに溶解)をSIBA溶解/反応緩衝液で10倍希釈し、SARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイで分析した。10倍希釈した陰性中咽頭スワブの1/128(0.7%)のみが非標的増幅を示し、増幅曲線は非常に小さかった。これらの結果は、Egoo装置で分析する前に、試料をSIBA溶解/反応緩衝液で10倍希釈することが好ましいことを示している。非専門家向けの希釈手順の方法を単純化するために、試料をEgoo装置のSARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイで直接使用する場合、10mlのSIBA溶解/反応緩衝液を試料採取チューブに添加しなければならない。
【0142】
中咽頭スワブにおける非標的増幅を減少させるためには、試料は好ましくは10倍希釈されるべきであるので、本発明者らは、UTMやVTMなどの別のサンプリング媒体をEgoo監視システムと共に使用できるかどうかを調べたいと考えた。本発明者らは、PBS又は生理食塩水に溶解したSARS-CoV-2陽性中咽頭患者試料しか入手できなかったので、UTM(Copan)、VTM(NEST Biotechnology)、及びVTM(Mole Bioscience)(1:10)中のウイルス培養(Hong Kong/VM2000i06i/2020)又はSARS-CoV-2陽性中咽頭患者試料(元々は1mlのPBSに溶解)をスパイクすることによって、SARS-CoV-2陽性UTM及びVTM試料をシミュレートした。試料をSARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイで分析する前に、シミュレート対象のUTM及びVTM試料をSIBA溶解/反応緩衝液で更に10倍希釈した。SARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイは、UTM(Copan)、VTM(NEST Biotechnology)又はVTM(Mole Bioscience)の存在によって影響されず、陰性のままであったSARS-CoV-2陰性スワブを除いて、ウイルス培養物の全ての希釈物及び全ての患者試料が検出された。異なる培地間の有意差は観察されなかった。これらの結果は、SARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイが試料採取方法に依存せず、異なるVTM及びUTM培地で既に採取された試料をSARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイで使用できることを示している。
【0143】
試料の直接溶解及び10倍希釈は、SARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイの臨床的感度を低下させる可能性がある。これを試験するために、E遺伝子を標的としたRT-PCRで以前に診断された、1mlのPBSに溶解した30人のSARS-CoV-2陽性中咽頭患者スワブ及び30人のSARS-CoV-2陰性中咽頭患者スワブ(Qlife COVID-19サービスセンター)で臨床的感度を試験した。1~4mlの生理食塩水に溶解し、Central BioHubから購入した、Hologic Panther SARS-CoV-2、FilmArray Respiratory panel 2及びPerkin Elmer SARS-CoV-2 SARS-CoV-2で以前に診断された追加の25人のSARS-CoV-2陽性鼻咽頭患者スワブ及び25人の陰性鼻咽頭患者スワブも分析した。採取した試料をSIBA溶解/反応緩衝液で10倍希釈し、Egoo装置で試験した。これらの結果は、PBS中の中咽頭スワブについて93%及び100%の臨床的感度及び特異性を示した。
【0144】
中咽頭患者試料及び鼻咽頭患者試料の臨床的感度及び特異性
【0145】
【表6】
【0146】
驚くべきことに、生理食塩水中の鼻咽頭スワブでは10/25(40%)しか検出されなかった(上記の表6)。鼻咽頭スワブは、Central BioHubから購入され、Central BioHubでは、試料は、外国から出荷される前に未知の日数の間-80度で保存されていた。従って、本発明者らは、試料中のSARS-CoV-2の存在を確認することにした。鼻咽頭スワブからのRNAを、QiaAmpウイルスRNAキット(Qiagen)を用いて精製し、次いで、E遺伝子アッセイ(14)を用いてSARS-CoV-2 RNAを分析した。RT-PCRで陽性と確認できた試料は11/25(44%)のみであり(表6)、これらの試料の1/11のみがSARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイで検出されなかった(表6)。これらの劣化した試料を計算から除外すると、鼻咽頭スワブ及び中咽頭スワブにおけるSARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイの総合的な感度及び特異度(特異性)は、それぞれ93%及び100%であった(表6)。
【0147】
考察
試験室外の非専門家によって行われる迅速な核酸ベースの検査は、COVID-19のパンデミックの封じ込めに役立ち得る。これまでのところ、非専門的使用のために開発され商業化されているのは、感度の低い抗原検査及び1つの核酸ベースの検査のみである(https://www.lucirahealth.com/)。ここで、本発明者らは、生化学的マーカーの家庭用モニタリングのために開発された、Egooモニタリングシステムと呼ばれる新しい非常に小型の装置を初めて提示する。Egooモニタリングシステムは、使用が簡単であり、個人宅、プライマリケア診療所、介護施設、大量輸送ハブ(空港又は駅)及び職場で専門の試験室スタッフを必要とせずに、使用することができる。
【0148】
方法を単純化するために、本発明者らは、マイルドな界面活性剤を含有する専用のSIBA溶解/反応緩衝液を使用する無抽出SARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイを開発した。COVID-19のパンデミックの間に、NA抽出は時間がかかるだけでなく、消耗品の不足に起因するボトルネックも引き起こすことが証明されている。従って、多くの試験室は、ウイルスの不活化及び溶解のために熱又は界面活性剤のいずれかを使用して粗試料を直接使用するなど、NA抽出の代替方法を探すことを強いられている。これは、ゴールドスタンダード精製方法とほぼ同等の感度及び特異性であることが証明されており、最適化後、本発明者らは、Egoo装置を使用して非専門家が使用することができるSARS-CoV-2 RT-SIBAアッセイのための単純化されたサンプリングワークフローを完成させた。
【0149】
単純化されたワークフローの1つの欠点は、試料をEgoo装置専用の緩衝液(SIBA溶解/反応緩衝液など)で希釈しなければならないことである。PCR装置でSARS-CoV-2アッセイを行う場合、アッセイの特異性を試験するために融解曲線分析を行うことができる。しかしながら、これはEgoo装置では不可能であり、従って、例えばより大きなサンプリング体積を採取チューブに添加することによって試料希釈を行わなければならない。大きなサンプリング体積は、アッセイの感度に影響を及ぼす可能性が非常に高く、またウイルス含有量が極めて少ない試料は、Egoo装置に適していない可能性がある。他の研究では、NA抽出なしでPBS、生理食塩水及びUTMに溶解させた鼻咽頭試料を直接使用すると、直接RT-PCRが阻害され、試料の希釈(又はRT-PCR反応への試料投入量の減少)は阻害効果を減少させることが示されている。従って、Egoo装置における分析前の試料の10倍希釈は、非標的増幅を排除するだけでなく、そうでなければSARS-CoV-2 RT-SIBA反応に影響を及ぼし得る阻害剤も排除し得る。
【0150】
Egoo装置は、試料を適用した後にEgoo装置内のプランジャで密封される特殊なカプセルを使用し、従ってアンプリコン汚染のリスクを排除する。核酸ベースの検査における増幅工程は極端であり、数十億コピーの目的の標的をもたらす。この増幅工程は、アンプリコン汚染及び偽陽性の検出を回避するための閉鎖系を必要とする。増幅後にチューブを開いてラテラルフロースティック上で使用することは、専門の試験室では可能であるが、周囲全体を汚染することなく現在の形態で試験室外で行うことは不可能である。ラテラルフロースティックの代替として、最近FDA認可を受けたLucira(商標)COVID-19 All-in-One使い捨て試験キット(https://www.lucirahealth.com/)がある。このオールインワン使い捨ては、増幅後にチューブを開く必要がない。Lurica使い捨て検査キットとは対照的に、Egoo装置は何回でも使用することができ、使用後にアッセイカプセルを交換するだけでよい。従って、Egoo装置は、他の呼吸器ウイルスの検査を含む多くのその後のアッセイに使用することができる。
【配列表】
2023508910000001.app
【手続補正書】
【提出日】2021-10-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の分析物の量を測定する方法であって、当該方法は、以下のステップを含む、即ち、
a.検出アセンブリを準備するステップであり、当該検出アセンブリが、
(i) 電磁放射線源と、
(ii) 電磁放射線を検出する手段と、
(iii) 試料非含有液体を収容する容器であって、前記線源から印加された電磁放射線が前記容器を通って前記線源から前記検出手段に放射され得るように、又は代替的に、前記線源から印加された電磁放射線の結果として前記容器内の前記液体から前記検出手段に電磁放射線が放射され得るように、前記電磁放射線源と前記電磁放射線を検出する手段との間に配置される、容器と、
を備える、ステップと、
b.前記容器内の試料非含有液体に試料を添加するステップと、
c.オプションとして、1種以上の試薬を添加するステップと、
d.時点Tでの電磁放射線の測定を実施するステップと、
e.オプションとして、1種以上の試薬を添加するステップと、
f.時点Tでの電磁放射線の測定を実施するステップと、
g.オプションとして、電磁放射線の1回以上の更なる試料測定を実施するステップと、
を含んでおり、
ステップb~dは任意の順序で実施することができる、方法において、
当該方法は、前記容器内の試料及び液体が、前記検出アセンブリをボルテックスすることにより実行される少なくとも1回の混合ステップ(m)に供されて、従って、前記線源及び前記手段に対する前記容器の位置取りが、前記混合ステップの間、一定であることを特徴とする、方法。
【請求項2】
混合ステップ(m)は、ステップbの後に続いて、且つステップdの前に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
混合ステップ(m)は、ステップdの後に続いて、且つステップfの前に実施される、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
混合ステップ(m)は、ステップfの後に続いて実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記試料は50μl未満からなる液体試料である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記混合ステップ(m)における混合は、前記検出アセンブリを、少なくとも1000rpmの速度の円運動又は楕円運動でボルテックスすることにより行われる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記試料は血液試料である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記分析物は、フェニルアラニン、hs-CRP、HbA1c、ビタミンD、d-ダイマー又は血中脂質を含む群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置であって、
当該装置は、
a.検出アセンブリであって、
(i) 電磁放射線源と、
(ii) 電磁放射線を検出するための手段と、
(iii) 試料非含有液体を収容する容器、又は、試料非含有液体を収容する容器を受け入れるための手段と、
を具備してなる、検出アセンブリと、
b.前記検出アセンブリをボルテックスするべく構成された手段と、
を備えてなる、装置。
【国際調査報告】