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特表2023-508912ロボットマニピュレータの仮想力センサの較正
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  • 特表-ロボットマニピュレータの仮想力センサの較正 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】ロボットマニピュレータの仮想力センサの較正
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20230227BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537895
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2020086423
(87)【国際公開番号】W WO2021122749
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】102019134665.7
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521181769
【氏名又は名称】フランカ エーミカ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】FRANKA EMIKA GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】スペニンガー、アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707KS35
3C707KW05
3C707KX10
3C707LV19
(57)【要約】
本発明は、ロボットマニピュレータ(1)の仮想力センサを較正する方法に関し、以下のステップは、複数のポーズで実施される:
- ロボットマニピュレータ(1)に外部レンチを適用(S1)、
- 外部レンチの推定値を確認(S2)、
- 外部レンチの決定された推定値と所定の外部レンチの差に基づいて、それぞれのコスト関数を確認(S3)、
- それぞれのコスト関数を最小化することにより、各校正関数を確認(S4)、
- それぞれの較正関数を、それぞれの較正関数が決定されたそれぞれのポーズにそれぞれの較正関数を割り当てた状態で、全較正関数のデータセットに保存する(S5)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットマニピュレータ(1)の仮想力センサを較正するための方法であって、前記仮想力センサは、前記ロボットマニピュレータ(1)の関節にあるトルクセンサ(3)で決定されたトルクに基づいて、前記ロボットマニピュレータ(1)に作用する外部レンチを決定するために使用され、前記ロボットマニピュレータ(1)は複数のポーズで移動または手動で誘導され、それぞれのポーズで以下のステップ:
- 前記ロボットマニピュレータ(1)に対して、それぞれ所定の外部レンチを適用し(S1)、
- 現在のポーズに適用されるヤコビアン行列の転置の逆数または擬似逆数に基づき、かつ外部トルクベクトルに基づき、前記外部レンチのそれぞれの推定値を確認し(S2)、ここで、前記外部トルクベクトルは、前記ロボットマニピュレータ(1)の前記関節に設けられた前記トルクセンサ(3)により決定されたトルクと、前記ロボットマニピュレータ(1)に作用する予想トルクを基に決定され、
- 前記外部レンチの決定された推定値と前記所定の外部レンチとの差のノルムに基づいて、または外部レンチの決定された推定値のノルムと前記所定の外部レンチのノルムとの差に基づいて、それぞれのコスト関数を確認し(S3)、
- それぞれのコスト関数を最小化することによって、それぞれの較正関数を確認し(S4)、前記較正関数は、その後の動作中に現在決定されている外部レンチを調整するために使用され、および、
- それぞれの前記較正関数を、それぞれの前記較正関数が決定されたそれぞれポーズにそれぞれの前記較正関数が割り当てられた状態で、全較正関数のデータセットに保存する(S5)、
が実行される、方法。
【請求項2】
前記ロボットマニピュレータ(1)のタスクが指定され、前記タスクが分析され、タスクが実行されるときに通過すべき作業点が特定され、作業点のそれぞれ1つと前記ロボットマニピュレータ(1)の基準点とがそれぞれのポーズで互いに一致するように、前記ロボットマニピュレータ(1)のそれぞれのポーズが選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロボットマニピュレータ(1)は冗長ロボットマニピュレータであり、前記外部レンチの推定値は、前記ロボットマニピュレータ(1)のそれぞれのポーズに対する現在のヤコビアン行列の転置の疑似逆数を用いて確認される、請求項1~請求項2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記ロボットマニピュレータ(1)の複数のポーズの少なくともサブセットについて、前記冗長ロボットマニピュレータ(1)は、複数のポーズにわたってそのヌル空間で移動され、前記複数のポーズのそれぞれについて別々の較正関数が決定されて保存される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記それぞれのコスト関数は、勾配ベースの手法で最小化される、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記それぞれのコスト関数は、遺伝的または進化的な手法によって最小化される、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ロボットマニピュレータ(1)への前記所定の外部レンチの適用は、所定の質量を有する負荷を前記ロボットマニピュレータ(1)に吊り下げることによって行われる、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ロボットマニピュレータ(1)への前記所定の外部レンチの適用は、前記ロボットマニピュレータ(1)の機械ばねを、前記機械ばねが予め張られて前記ロボットマニピュレータ(1)に力を及ぼすように支持体に接続することによって行われる、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ロボットマニピュレータ(1)への前記所定の外部レンチの適用は、前記ロボットマニピュレータ(1)の慣性質量による所定の加速度が前記ロボットマニピュレータ(1)上で起こるように、前記ロボットマニピュレータ(1)を移動させることによって行われる、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ロボットアーム(12)と制御ユニット(14)を有するロボットシステム(10)であって、前記制御ユニット(14)は、前記ロボットアーム(12)上に仮想力センサを実装するように設計され、前記仮想力センサは、ロボットマニピュレータ(1)に作用する外部レンチを確認するために使用され、外部レンチは、前記ロボットアーム(12)の関節におけるトルクセンサ(13)によって決定されたトルクに基づいて、前記ロボットアーム(12)に作用する予想トルクに基づいて、およびそれぞれのポーズ依存の現在のヤコビアン行列の転置の逆数または疑似逆数に基づいて確認され、前記制御ユニット(14)は、現在決定された外部レンチにポーズ依存較正を適用し、前記ロボットアーム(12)のそれぞれの現在のポーズに関連する所定の較正関数を選択することによって、または前記較正関数の少なくとも2つから補間を生成することによって、すべての較正関数の請求項1から9までのいずれかによる方法に従って生成されたデータセットから較正を生成するよう設計され、較正関数の少なくとも2つの所定のもののそれぞれのポーズが前記ロボットアーム(12)のそれぞれの現在のポーズに最も近い、ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットマニピュレータの仮想力センサを較正する方法と、この較正を適用するためのロボットアームおよび制御ユニットを備えたロボットシステムに関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の目的は、ロボットマニピュレータまたはロボットアームにおける仮想力センサーの実行を改善することである。
【0003】
本発明は、独立請求項の特徴から生じるものである。有利な開発および構成は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明の第1の態様は、ロボットマニピュレータの仮想力センサを較正するための方法であって、仮想力センサは、ロボットマニピュレータの関節にあるトルクセンサで決定されたトルクに基づいて、ロボットマニピュレータに作用する外部レンチを決定するために使用され、ロボットマニピュレータは複数のポーズで移動または手動で誘導され、それぞれのポーズで以下のステップ:
- ロボットマニピュレータに対して、それぞれ所定の外部レンチを適用し、
- 現在のポーズに適用されるヤコビアン行列の転置の逆数または擬似逆数に基づき、かつ外部トルクベクトルに基づき、外部レンチのそれぞれの推定値を確認し、ここで、外部トルクベクトルは、ロボットマニピュレータの関節に設けられたトルクセンサにより決定されたトルクを基づき、ロボットマニピュレータに作用する予想トルクを基に決定され、
- 外部レンチの決定された推定値と所定の外部レンチとの差のノルムに基づいて、または外部レンチの決定された推定値のノルムと所定の外部レンチのノルムとの差に基づいて、それぞれのコスト関数を確認し、
- それぞれのコスト関数を最小化することによって、それぞれの較正関数を確認し、較正関数は、その後の動作中に現在決定されている外部レンチを調整するために使用され、および、
- それぞれの較正関数を、それぞれの較正関数が決定されたそれぞれポーズにそれぞれの較正関数が割り当てられた状態で、全較正関数のデータセットに保存される、が実行すされる。
【0005】
ロボットマニピュレータのポーズは、特に、ロボットマニピュレータのエンドエフェクタ(存在する場合)を含む全ての部材の位置と向きの全体を示す。ポーズに関する完全な情報がわかっていれば、ロボットマニピュレータは、特にその関節のすべての駆動装置によって、固有の「姿勢」に移動させることができる。
【0006】
外部レンチは、環境からロボットマニピュレータに作用する力および/またはトルク、あるいはその逆を示し、外部レンチは一般に、力に関する3成分とトルクに関する3成分から成る。所定の外部レンチは、ロボットマニピュレータのすべてのポーズで同じである、すなわち一定であることが望ましい。代替的に、異なるレンチは、好ましくは、少なくとも2つのポーズのために提供され、これは有利には、一定のレンチで少なくとも部分的に特異的に動作するそれらのポーズも考慮に入れ、すなわち、部材を接続するロボットマニピュレータの関節の少なくともいくつかにおいて、レンチの外力は、関節にトルクを生じることなく最も近接部材に向かって関節を介して線形に伝達される。このような特異姿勢の例としては、ロボットマニピュレータのすべての部材が共通の直線上に配置され、外部レンチがその共通の直線の方向からロボットマニピュレータの基部に1つだけ力ベクトルを持つ場合である。
【0007】
この外部レンチがロボットマニピュレータにかかると、仮想力センサによってこの外部レンチの推定値が確認される。これは、特に関節に配置されたトルクセンサの助けを借りて行われるが、必ずしも関節だけに限定されるものではない。関節上のトルクセンサは、従来技術で知られている様々なトルクセンサから選択することができる。特に、トルクセンサは、例えばそれぞれのトルクセンサのスポークにおける柔軟な弾性材料の伸張が検出される機械的トルクセンサであり、これは材料定数の知識から適用されたトルクを推測することが可能である。さらに、特に電動モータの電流強度を測定し、そこから関節のトルクを推定することが可能である。このようにして検出された関節のそれぞれのトルクは、通常、多数の原因に基づいている。ロボットマニピュレータの動きの場合、トルクの最初の部分は、運動学的な力およびトルク、特にコリオリ加速度および遠心加速度から生じる。また、測定されたトルクの一部は、ロボットマニピュレータの動きとは無関係に重力の影響によるものである。
【0008】
関節のトルクはトルクセンサによる測定で直接または間接的に検出されるが、これらは重力や運動学的に生じる力やトルクの影響により予想されるトルクにつながる。すなわち、現在の移動速度、ロボットマニピュレータの現在の加速度、およびロボットマニピュレータの質量分布と現在のポーズ(重力の影響)により、これらのトルクは、理論的には、ロボットマニピュレータのトルクセンサにおいて、予想されるトルクとして決定され、それぞれのトルクセンサにおける測定トルクから差し引くことができる。これは、外部トルクを提供する運動量オブザーバで行うことが望ましい。
【0009】
このようにして求めた外部トルクから、現在の基準点を持つ所定の外部レンチの推定値を導き出すためには、ヤコビアン行列の転置の(擬似)逆数が必要となる。特に、ロボットマニピュレータが冗長マニピュレータである場合、すなわち、部材を接続する関節の少なくとも2つが相互に冗長な自由度を有する場合には、(逆数そのものではなく)疑似逆数が必要とされる。冗長ロボットマニピュレータでは、特に、ロボットマニピュレータの部材を、ロボットマニピュレータのエンドエフェクタの向きおよび/または位置が変化することなく動かすことが可能である。
【0010】
ヤコビアン行列は基本的に、関節の角速度と任意の点、特にロボットマニピュレータの遠位端における並進・回転速度を結びつけるものである。しかし、原理的には、実際に速度を考慮するかどうかは関係なく、関節でのトルクと任意の特定点での力・トルクの関係にもヤコビアン行列を用いることができる。
【0011】
【0012】
【0013】
所定の外部レンチの大きさが既知のものも適用されるため、定義上、所定の外部レンチの方向と大きさは既知である。以上の計算により、外部レンチが適用されるロボットマニピュレータの各個別ポーズにおける外部レンチの推定値も知ることができる。そして、決定された外部レンチの推定値と所定の外部レンチの差のノルム、または決定された外部レンチの推定値と所定の外部レンチのノルムの差に基づいて、それぞれのコスト関数が確認される。
【0014】
【0015】
【0016】
第一のケースは、好ましくは、外部レンチにおける力および/またはトルクの複数の成分の一般的な場合に用いられるが、第二のケースは、単一の成分を考慮する場合、特に、所定の外部レンチが常に同じ方向である場合、すなわち、所定の質量を有する外部負荷を吊り下げる場合に特に適している。
【0017】
【0018】
外部レンチの推定値を確認するステップ、それぞれのコスト関数を確認しそれを最小化することによってそれぞれの較正関数を確認するステップ、およびそれぞれの較正関数を保存するステップは、好ましくは演算ユニットによって実行される。演算ユニットは、特にロボットマニピュレータに接続されている。特に好ましくは、演算ユニットは、ロボットマニピュレータ自体、特にロボットマニピュレータの台座または基部に配置される。
【0019】
ロボットマニピュレータのトルクセンサをそれぞれ較正するのではなく、ロボットマニピュレータにかかる予想トルクを考慮した仮想力センサとしての関数において、全てのトルクセンサをポーズ依存的に較正することにより、ロボットマニピュレータの質量分布の不確実性、トルクセンサの特異性、およびその他の影響が全て考慮されるというのが本発明の有利な効果である。すべての較正関数のデータセットにより、ロボットマニピュレータの仮想力センサに対して、ロボットマニピュレータの特定のポーズに対する個別の較正を適用することが可能である。
【0020】
有利な実施形態によれば、所定の外部レンチは、ロボットマニピュレータの遠位端でロボットマニピュレータに適用される。エンドエフェクタは、ロボットマニピュレータの遠位端に配置されることが好ましい。ロボットマニピュレータの接触力は、予期せぬ衝突は別として、典型的には、エンドエフェクタとロボットマニピュレータの環境からの物体との間で行われるので、この実施形態は、有利にはこの事実を考慮に入れ、特に、ロボットマニピュレータの遠位端におけるエンドエフェクタとロボットマニピュレータの環境の間のレンチに関して行われる較正を行うようにする。
【0021】
ロボットマニピュレータの多数のポーズは、好ましくは、地面固定座標系に対するロボットマニピュレータの基準点の位置の等距離グリッドによって定義され、それによって、有利には、ロボットマニピュレータの基準点の少なくともほぼ全ての可能な位置(場合によっては、冗長ロボットマニピュレータのためにグリッドポイント当たりいくつかのポーズを有する)が考慮されるが、また、非常に多数のグリッドポイントが考慮されなければならない。
【0022】
したがって、さらなる有利な実施形態によれば、ロボットマニピュレータのタスクが指定され、タスクが分析され、タスクが実行されるときに通過すべき作業点が特定され、作業点の1つとロボットマニピュレータの基準点とがそれぞれのポーズにおいて一致するように、ロボットマニピュレータのそれぞれのポーズが選択される。ロボットマニピュレータの基準点は、特に、ロボットマニピュレータの遠位端の基準点であり、特に、エンドエフェクタに正確に配置される。基準点は、特にロボットマニピュレータに身体固定的に接続され、特にロボットマニピュレータの表面上の場所に接続され、すなわちロボットマニピュレータが移動しても、この選択された場所に対して相対的に移動することはない。この実施形態では、有利には、ロボットマニピュレータによって実行されるタスクに特別に合わせた較正が行われ、グリッドポイントの数が大幅に削減される。
【0023】
さらなる有利な実施形態によれば、ロボットマニピュレータは冗長ロボットマニピュレータであり、外部レンチの推定値は、ロボットマニピュレータのそれぞれのポーズに対する現在のヤコビアン行列の転置の擬似逆数を使用して決定される。冗長ロボットマニピュレータは、互いに冗長な自由度を持つ。これは特に、ロボットマニピュレータの部材が、所定の部材、特にロボットマニピュレータのエンドエフェクタの向き、および/または所定の基準点、特にロボットマニピュレータの遠位端の位置を変えずに動くことができることを意味する。
【0024】
さらなる有利な実施形態によれば、少なくともロボットマニピュレータの複数のポーズのサブセットについて、冗長ロボットマニピュレータは、複数のポーズにわたってそのヌル空間で移動され、複数のポーズの各々について別々の較正関数が決定及び保存される。ロボットマニピュレータのヌル空間におけるポーズの変化による外部レンチの推定値における不正確さの変化も、本実施形態によって有利に考慮される。
【0025】
【0026】
【0027】
さらなる有利な実施形態によれば、所定の外部レンチは、所定の質量を有する負荷をロボットマニピュレータに取り付けることによって、ロボットマニピュレータに適用される。重力が一定で既知の場合、所定の質量の負荷をかけることで、外部レンチが地球固定座標系に対して常に同じ方向に、常に同じ強さで作用することが非常に確実に保証される。
【0028】
さらなる有利な実施形態によれば、所定の外部レンチは、ロボットマニピュレータの機械バネを、機械バネが予め張られてロボットマニピュレータに力を及ぼすように支持体に接続することによって、ロボットマニピュレータに適用される。機械的支持体は、好ましくは、第2のマニピュレータ、好ましくは第2のマニピュレータのエンドエフェクタに配置される。バネを用いることで、有利には、バネをバネの特定の直線範囲に引き伸ばすことで、外部レンチの力成分を任意の値に連続的に指定することができる。
【0029】
さらなる有利な実施形態によれば、ロボットマニピュレータ上の所定の外部レンチの適用は、ロボットマニピュレータを動かすことによって行われるので、ロボットマニピュレータの慣性質量によってロボットマニピュレータ上に所定の加速度が発生する。この具体的な実施形態によれば、ロボットマニピュレータの動きによるトルクは、これらのトルクを正確に検出し、そこから外部レンチの推定値を決定する必要があるため、予想トルクの中に考慮されない。有利なことに、本実施形態によれば、ロボットマニピュレータ自体によって実施可能な動きが仮想力センサの較正に使用されるので、ロボットマニピュレータ上に追加の質量を有する負荷も、バネへの接続も、他の外力および/またはトルクの適用も不要である。
【0030】
本発明のさらなる態様は、ロボットアームを備え、制御ユニットを有するロボットシステムに関し、制御ユニットは、ロボットアームに仮想力センサを実施するように設計され、仮想力センサは、ロボットマニピュレータに作用する外部レンチを決定するために用いられ、外部レンチは、ロボットアームの関節におけるトルクセンサによって決定されるトルクと、ロボットアームに作用する予想トルクと、それぞれのポーズ依存の現在のヤコビアン行列の転置の逆数または疑似逆数に基づき、制御ユニットは、現在決定されている外部レンチにポーズ依存較正を適用し、ロボットアームのそれぞれの現在のポーズに関連する特定の較正関数を選択することによって、方法によって生成されたすべての較正関数のデータセットから較正を生成し、または補間を生成することによって較正関数の少なくとも2つを生成するように設計され、ここで較正関数の少なくとも2つの決定されたもののそれぞれのポーズがロボットアームのそれぞれの現在のポーズに最も近い。
【0031】
提案されたロボットシステムの利点および好ましいさらなる実施形態は、提案された方法に関連して上記でなされた説明の類推的および類似の移転から生じるものである。
【0032】
さらなる利点、特徴、および詳細は、以下の説明から明らかになり、その中で、場合によっては図面を参照しながら、少なくとも1つの例示的な実施形態が詳細に説明される。同一、類似、および/または機能的に同一の部品には、同一の参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明の実施形態に係るロボットマニピュレータの仮想力センサの較正方法を示す。
図2図2は、図1による方法が実行されるロボットマニピュレータを示す。
図3図3は、本発明のさらなる例示的な実施形態による図1による較正の結果を使用するためのロボットシステムを示す。
【0034】
[図面の詳細な説明]
図中のイラストは模式的なものであり、縮尺どおりではない。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
図2は、そのようなロボットマニピュレータ1を、その構成部品、トルクセンサ3およびロボットマニピュレータ1の遠位端5とともに示す。ロボットマニピュレータ1の冗長自由度は、相互に平行な関節軸を持つ多数の関節によって象徴される。図1の下で説明したような方法が、このロボットマニピュレータ1上で行われる。図1の説明を参照されたい。
【0039】
図3は、ロボットアーム12を有し、制御ユニット14を備えたロボットシステム10を示す。ロボットシステム10は、図3において、図1のロボットマニピュレータ1とは異なるロボットアーム12で象徴的に示されている。これは、図1および図2の説明による較正が、ロボットシステム自体で行われることなく、さらなるロボットシステム10に移されることができることを示している。ロボットシステム10の制御ユニット14は、ロボットアーム12の基部に配置され、ロボットアーム12に仮想力センサを実行し、仮想力センサは、ロボットアーム12に現在作用する外部レンチを決定するために用いられ、外部レンチは、ロボットアーム12トルクの関節におけるトルクセンサ13によって決定されたトルクと、ロボットアーム12に作用する予想トルクと、それぞれのポーズ依存の現在のヤコビアン行列の転置の逆数または疑似逆数に基づいて決定される。また、制御ユニット14は、現在決定されている外部レンチに対して、ポーズ依存の較正関数を適用し、較正関数は、図1に関連する説明に従って生成された全ての第2の較正行列のデータセットから、ロボットアーム12のそれぞれの現在のポーズに関連付けられた、すなわち最も近い特定の較正関数を選択することによって、決定される。
【0040】
本発明は、好ましい例示的な実施形態によってさらに詳細に例示および説明されてきたが、本発明は、開示された例によって限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって他の変形形態をそこから導き出すことができる。したがって、考えられる変形形態が多数存在することは明らかである。例として言及された実施形態は、実際には例を表すだけであり、保護の範囲、可能な用途、または本発明の構成を制限するものとして決して解釈されるべきではないことも明らかである。むしろ、前述の記述および図の説明は、当業者が例示的な実施形態を実施することを可能にし、開示された本発明の概念を知っている当業者は、明細書のより広範な説明など、特許請求の範囲およびそれらの法的同等物によって定義される範囲から逸脱することなく、例えば、例示的な実施形態で引用される個々の要素の機能または配置に関して、様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
1:ロボットマニピュレータ
3:トルクセンサ
5:ロボットマニピュレータの遠位端
10:ロボットシステム
12:ロボットアーム
13:トルクセンサ
14:制御ユニット
S1:適用
S2:確認
S3:確認
S4:確認
S5:保存
図1
図2
図3
【国際調査報告】