(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】電気機械式制動システム
(51)【国際特許分類】
B60T 17/18 20060101AFI20230227BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20230227BHJP
B60T 13/74 20060101ALI20230227BHJP
F16D 55/00 20060101ALI20230227BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
B60T17/18
H02J7/34 B
B60T13/74 G
F16D55/00 B
H02J7/00 302C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538128
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2020085257
(87)【国際公開番号】W WO2021122214
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】201911331551.5
(32)【優先日】2019-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522087992
【氏名又は名称】ハルデックス・ヴィーアイイー・(シャンハイ)・エレクトロメカニカル・ブレイク・システム・カンパニー・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522089387
【氏名又は名称】ハルデックス・ブレイク・プロダクツ・アクチエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン・アンデシュ
(72)【発明者】
【氏名】リンドクヴィスト・アンデシュ
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
3J058
5G503
【Fターム(参考)】
3D048BB03
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5G503AA04
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5G503BB03
5G503CA10
5G503DA04
5G503DA05
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】制動システムの冗長な電力供給を改良し、車両の電気機械式制動システムの信頼性を向上する。
【解決手段】本発明は、車両の制動技術に関し、特に、冗長電源を有する電気機械式制動(EMB)システムに関する。本発明の電気機械式制動システムは、再充電電源(21)と、車両の車軸(241、242)に対応する少なくとも2つの制御モジュール(221、222)とを備える。制御モジュール(221、222)は、運転要求に応じて、対応する車軸(241、242)の両端に配置された電気制動装置(231、232、233、234)に電力を供給する電力供給部(251、252)を備える。電力供給ユニット(251、252)は、再充電電源(21)によって充電される。少なくとも1つの制御モジュール(221、222)の電力供給ユニット(21)は、冗長性を持って構成されている。本発明は、電源ネットワークの一部の故障に起因する車両の制動能力低下の問題を解決し、制動システムの電源ネットワークの冗長性を向上させ、それにより、電気機械式制動システムの信頼性を向上するだろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車軸(241、242、243)に対応する少なくとも2つの制御モジュール(221、222、223)と、再充電電源(21)とを備える、電気機械式制動システムであって、
各制御モジュール(221、222、223)は、動作要求に応じて、対応する車軸(241、242、243)の両端に配置された電気制動装置(231、232、233、234、235、236)に電力を供給する電力供給ユニット(251、252、253)を備え、電力供給ユニット(251、252、253)は、再充電電源(21)によって充電される電気機械式制動システムにおいて、
制御モジュール(221、222、223)の少なくとも1つの電力供給ユニット(251、252、253)は、冗長性を持って構成されていることを特徴とする、電気機械式制動システム。
【請求項2】
前記冗長性を有する前記電力供給ユニット(251、252、253)が、少なくとも2つの副電力供給ユニット(2511、2512、2521、2522、2531、2532)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の電気機械式制動システム。
【請求項3】
各副電力供給ユニット(2511、2512、2521、2522、2531、2532)は、対応する車軸(241、242、243)の両端に配置された電気制動装置(231、232、233、234、235、236)を電気的に接続していて、ここにおいて、
複数の前記副電力供給ユニット(2511、2512、2521、2522、2531、2532)の中の2つが、対応する車軸(241)の各端部に配置された各電気制動装置(231、232、233、234、235、236)に冗長的に電力を供給するか、あるいは
各副電力供給ユニット(2511、2512)が、対応する車軸(241)の両端に配置された電気制動装置(231、232)に同時に電力を供給することを特徴とする、請求項2に記載の電気機械式制動システム。
【請求項4】
前記電気制動装置(231、232)は、少なくとも2組の巻き部(64、65)と、駆動モジュールとの少なくとも一方を備える制動モータを備えて、
各副電力供給ユニット(2511、2512)は、一組の巻線(64、65)と駆動モジュールとの少なくとも一方に電力を供給することを特徴とする、請求項2又は3に記載の電気機械式制動システム。
【請求項5】
電気制動装置(231、232)が、少なくとも2組の巻線と駆動モジュールとの少なくとも一方を備える、電磁的に操作される制動力保持装置を備え、ここにおいて、
各副電力供給ユニット(2511、2512)は、一組の巻線と駆動モジュールとの少なくとも一方に電力を供給することを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の電気機械式制動システム。
【請求項6】
前記制動力保持装置は、電磁制動とソレノイドとの少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項5に記載の電気機械式制動システム。
【請求項7】
各副電力供給ユニット(2511、2512、2521、2522、2531、2532)は、対応する車軸(241、242、243)の一端に配置された電気制動装置(231、232、233、234、235、236)を電気的に接続して電力を供給することを特徴とする、請求項2に記載の電気機械式制動システム。
【請求項8】
前記制御モジュール(221、222、223)が、前記電力供給ユニット(251、252、253)に対応するエネルギー管理部(31、32、33、41、42、43)をさらに備えて、ここにおいて、
エネルギー管理部(31、32、33、41、42、43)は、対応する電力供給ユニット(251、252、253)の充放電を管理するように構成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気機械式制動システム。
【請求項9】
エネルギー管理ユニット(31、32、33)が、再充電電源(21)及び対応する電力供給ユニット(251、252)に電気的に接続されている充電制御部(311、321、331)を備え、ここにおいて、
充電制御部(311、321、331)は、対応する電力供給ユニット(251、252)のエネルギーレベルに応じて、充電用電源(21)を制御して、対応する電力供給ユニット(251、252)を充電することを特徴とする、請求項8に記載の電気機械式制動システム。
【請求項10】
エネルギー管理ユニット(31、32、33)は、対応する電気制動装置(231、232、233、234)と対応する電力供給ユニット(251、252)とに電気的に接続された電源スイッチ(312、322、332)を備え、ここにおいて、
電力供給スイッチ(312、322、332)は、動作要求に応じて、対応する電力供給ユニット(251、252)を制御して、対応する電気制動装置(231、232、233、234)に電力を供給することを特徴とする、請求項8に記載の電気機械式制動システム。
【請求項11】
前記車両の重量がかかる車軸(241)に対応する前記制御モジュール(221)の前記電力供給ユニット(251)が、冗長性を持って構成されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の電気機械式制動システム。
【請求項12】
前記電力供給ユニット(251、252、253)が、容量性電源と電池との少なくとも一方を備えることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の電気機械式制動システム。
【請求項13】
前記複数の制御モジュール(221、222、223)は、互いに電気的に接続されていて、ここにおいて、
前記複数の制御モジュール(221、222、223)の前記電力供給ユニット(251、252、253)が互いに冗長であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の電気機械式制動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制動技術に関し、特に、冗長電源を有する電気機械式制動(EMB)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機械式制動(EMB)システムは、構造が簡単で応答が速く、環境に優しい車両制動システムであり、制動技術の将来の開発方向の1つである。
【0003】
図1を参照すると、
図1は、従来の電気機械式制動システムの概略図を示す。
図1に示すように、エネルギー伝達媒体として気体又は液体を使用する従来の制動システムとは異なり、電気機械式制動システムの制動エネルギーは、電池11又は車両の発電機から供給され、そのエネルギーは電圧変換後に2つのウルトラキャパシタモジュール121、122に充電され、2つのウルトラキャパシタモジュール121、122は、制動力を生成すべくそれぞれ対応する電気制動装置131から132に十分なエネルギーを短時間で出力する。
【0004】
具体的には、電気機械式制動システムの電気制動装置131、132は、ウルトラキャパシタモジュール121、122によって電力供給されて制動力を生成する制動モータと、制動モータによって駆動される機械伝達機構とを備えてよい。電気制動装置131、132は、運転者が制動ペダルを踏むか、又は非人間操作(例えば、自律緊急制動システム(AEBS)、横滑り防止装置(ESC)、アンチロック制動システム(ABS)、自動運転システムなど)によって制動要求が発生すると、制動モータを回転させるように制御できるようになっていて、それによって制動要求に応答して制動パッドを制動ディスクに向かって又は制動ディスクから離れるように押すように機械伝達機構を駆動する。
【0005】
しかしながら、上述した従来の電気機械式制動システムを備えた車両の負荷が不均衡である場合、例えば、車軸141が車両の主な負荷を負担する場合、ウルトラキャパシタモジュール121が故障して対応する電気制動装置131に電力を供給できないと、電気制動装置131は制動力を発生させるのに十分なエネルギーを得られない。相対的に小さな負荷を支承する車軸142に対応する電気制動装置132でしか車両を制動できない。このとき、車軸142の両端の車輪が発生する摩擦力は車軸142の負荷のみに限られるため、車両の制動性能に深刻な影響を与えるおそれがある。
【0006】
以上のように、従来技術の欠点を克服するために、制動システムの電力供給ネットワークの冗長性を改善し、電力供給ネットワークのいくつかの部分の故障によって起きる車両の制動能力低下の問題を解決し、それによって電気機械式制動システムの信頼性を改善する車両制動技術が、当技術分野において急ぎ求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、
従来技術の欠点を克服することと、
制動システムの電力供給ネットワークの冗長性を改善する冗長電力供給を有する電気機械式制動システムを提供することと、
電力供給ネットワークのいくつかの部品の故障によって起こる車両の制動能力低下の問題を解決し、それによって電気機械式制動システムの信頼性を向上させることと
の少なくともいずれかである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、本発明の課題は、独立請求項の特徴によって解決される。本発明によるさらなる好ましい実施形態は、従属請求項に見られる。
【0009】
一観点又はそれより多い観点の概要が、これらの観点の基本的理解を提供すべく、以下提示される。概要は、企図される観点の全ての広範な概要ではなく、全ての観点において鍵となる要部又は決定的な要素の特定を意図するものではない。概要の唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、簡略化された形式で1つ又はそれより多い観点のいくつかの概念を提示することである。
【0010】
本発明に係る電気機械システムは、再充電電源と、車両の車軸に対応する少なくとも2つの制御モジュールとを備え、各制御モジュールは、動作要求に応じて対応する車軸の両端に配置された電気制動装置に電力を供給する電力供給部を備え、電力供給部は、再充電電源によって充電され、少なくとも1つの制御モジュールの電力供給部は、冗長性を備えて構成される。冗長電力供給構造として電力供給部を構成することによって、冗長電力供給を、対応する電気制動装置に提供できるようになり、それによって、電力供給ネットワークの一部が故障したときに車両の制動性能を維持する。
【0011】
本発明において提供される電気機械式制動システムによれば、好ましくは、冗長性を有する電力供給ユニットは、少なくとも2つの副電力供給ユニットを備えてもよく、2つの副電力供給ユニットは、対応する電気制動装置に電力を冗長的に供給してもよく、それにより、副電力供給ユニットのうちの1つが故障しても、電力を対応する電気制動装置に依然として供給して、車両の制動性能を維持できる。
【0012】
本発明において提供される電気機械式制動システムによれば、好ましくは、各副電力供給ユニットは、対応する車軸の両端に配置された電気制動装置を電気的に接続し、前記2つの副電力供給ユニットは、対応する車軸の各端に配置された各電気制動装置に電力を冗長的に供給し、又は各副電力供給ユニットは、対応する車軸の両端に配置された電気制動装置に電力を同時に供給してもよい。
【0013】
本発明において提供される電気機械式制動システムによれば、選択的に、電気制動装置は、少なくとも2組の巻線と駆動モジュールとの少なくとも一方を備える制動モータを備えてもよく、前記副電力供給ユニットのそれぞれは、1組の前記巻線と前記駆動モジュールとの少なくとも一方に電力を供給してもよい。上記の構成を持つことで、電気制動装置は冗長な駆動回路を備え得ることになる。
【0014】
本発明において提供される電気機械式制動システムによれば、選択的に、前記電気制動装置が、少なくとも2組の巻線と駆動モジュールとの少なくとも一方を備える電磁作動式制動力保持装置を備えてもよく、各前記副電力供給ユニットは、1組の前記巻線と前記駆動モジュールとの少なくとも一方に電力を供給してもよい。上記の構成を持つことで、制動力保持装置は冗長な駆動回路を備え得ることになる。
【0015】
本発明において提供される電気機械式制動システムによれば、好ましくは、制動力保持装置は、電磁制動とソレノイドとの少なくとも一方を備えてもよい。
【0016】
本発明において提供される電気機械式制動システムによれば、選択的に、各副電力供給ユニットは、対応する車軸の一端に配置された電気制動装置に電気的に接続され、それに電力を供給する。
【0017】
本発明で提供される電気機械式制動システムによれば、選択的に、前記制御モジュールは、前記電力供給ユニットに対応するエネルギー管理ユニットをさらに備え、前記エネルギー管理ユニットは、対応する電力供給ユニットの充放電を管理するように構成され、前記電気機械式制動システムは、前記エネルギー管理ユニットによって、各電力供給ユニットの現在のエネルギーレベルに基づいて、各電力供給ユニットを充電するように前記再充電電源を制御することと、対応する電気制動装置に電力を供給することとの少なくとも一方を行うように各電力供給ユニットを制御する。
【0018】
本発明において提供される電気機械式制動システムによれば、好ましくは、エネルギー管理ユニットは、再充電電源及び対応する電力供給ユニットに電気的に接続された充電制御部を備えてもよく、充電制御部は、対応する電力供給ユニットのエネルギーレベルに応じて、対応する電力供給ユニットを充電するように再充電電源を制御してもよく、エネルギーレベルは、電力供給ユニットの電圧値を含むが、これに限定されない。
【0019】
本発明において提供される電気機械式制動システムによれば、選択的に、エネルギー管理ユニットは、対応する電気制動装置及び対応する電力供給ユニットに電気的に接続された電源スイッチを備えてもよく、電源スイッチは、動作要求に応答して、対応する電力供給ユニットを制御して、対応する電気制動装置に電力を供給してもよい。
【0020】
本発明で提供される電気機械式制動システムによれば、選択的に、車両の車体重量を支持する車軸に対応する制御モジュールの電力供給ユニットを冗長電力供給ユニットとして構成してもよく、車両の車体重量がかかる車軸の電力供給ユニットを冗長電力供給ユニットとして構成することにより、冗長電力供給ユニットに対応する車軸には常に少なくとも車体重量がかかり、これにより、両端の車輪が常に一定量の摩擦を生成することを保証し、これにより、電源ネットワークの一部が故障したときに冗長電源を介して電気制動装置の制動性能を保証する。
【0021】
本発明において提供される電気機械式制動システムによれば、選択的に、電力供給ユニットは、容量性電源と電池との少なくとも一方を備えてよい。
【0022】
本発明で提供される電気機械式制動システムによれば、複数の制御モジュールが電気的に接続され、複数の制御モジュールの電力供給ユニットが互いに冗長である。複数の制御モジュールが電気的に接続される構造を採用することにより、制御モジュールのうちの1つに停電が発生した場合、電気機械式制動システムは、他の正常に動作する制御モジュールの電力供給ユニットをバックアップ電源として使用することにより、故障した制御モジュールに電力を供給するか、あるいは故障した制御モジュールの内部回路を介して故障した制御モジュールに対応する電気制動装置に直接電力を供給可能であり、それにより、故障した制御モジュールに対応する電気制動装置が依然として制動力を生成できることを保証する。
【0023】
本発明の有利な発展形態は、特許請求の範囲、明細書及び図面から得られる。
【0024】
本明細書の冒頭で述べた特徴及び複数の特徴の組合せの有利点は、例として役立てるのであって、本発明による実施形態は、これらの有利点を必須とせずに、代替的に又は累積的に使用してよい。
【0025】
請求項に含まれる参照符号は、当該請求項によって保護される事項の範囲を制限するものではない。参照符号の機能はただ、当該請求項の理解をわかりやすくするだけのものである。
【0026】
以下の図面と併せて本発明の実施形態の詳細な説明を読むと、本発明の上記の特徴及び利点をより良く理解できるだろう。それら図面において、様々な構成要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことがあり、同様の関連する特性又は特徴を有する構成要素は同じ又は同様の参照番号を持つことがある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、従来の電気機械式制動システムの概略図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一観点による電気機械式制動システムの概略構造図を示す。
【
図3A】
図3Aは、本発明の一実施形態による制御モジュールの概略構造図を示す。
【
図3B】
図3Bは、本発明の別の実施形態による制御モジュールの概略構造図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態による電気機械式制動システムの概略構造図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態による電気機械式制動システムの概略構造図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態による冗長性を有する電力供給ユニットの概略構造図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態による制動モータの概略構造図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の(複数)実施形態は、以下の詳細な説明において説明され、本発明の他の利点及び効果は、本開示から当業者に容易に明らかになるであろう。本発明の説明は、好ましい実施形態に関連して説明されるが、これは本発明を限定するものではなく、逆に、本発明は、本発明の実施形態において可能な他の代替形態又は修正形態を包含するように、実施形態に関連して説明される。本発明の完全な理解を提供するために、以下の説明には多くの具体的な詳細が含まれていて、本発明はこれらの詳細がなくても実施してよく、また、本発明を混乱させたり不明瞭にしたりすることを避けるために、いくつかの具体的な詳細は説明においては省略されている。
【0029】
本発明の説明において、「設置」、「接続」及び「接続される」という用語は、他に明示的に記載及び定義されない限り、広義に理解されるべきである。例えば、「設置」、「接続」及び「接続される」という用語は、固定接続、取り外し可能接続又は一体接続のいずれかである場合がある。それら用語は、機械的接続又は電気的接続のどちらかである場合がある。それら用語は、直接接続、中間媒体を介した間接接続又は2つの構成要素間の内部接続のいずれかである場合がある。本発明において上記の用語の特定の意味は、特定の場合において、当業者に理解可能である。
【0030】
従来技術の欠点を克服するために、本発明は、冗長電源を有する電気機械式制動(EMB)システムを提供し、それは、制動システムの電源ネットワークの冗長性を改善し、電源ネットワークのいくつかの部品の故障によって引き起こされる車両の制動能力低下の問題を解決し、それによって電気機械式制動システムの信頼性を改善する。
【0031】
図2を参照すると、
図2は、本発明の一観点による電気機械式制動システムの概略構造図を示す。
【0032】
図2に示すように、車両は、2つの車軸241、242を備えてよい。各車軸241、242の両端にそれぞれ車輪271から274が設けられてよい。各車輪271から274に対応して電気制動装置231から234が設けられて構成されてよい。電気制動装置231から234は、制動力を発生させる制動モータと、制動モータによって駆動される機械伝達機構とを備えてよい。電気制動装置231から234は、受信した動作要求に応じて対応する動作を行うように構成されてよい。
【0033】
したがって、この実施形態に従って提供される電気機械式制動システムは、再充電電源21と、車軸241、242に対応する2つの制御モジュール221、222とを備えてよい。
制御モジュール221は、動作要求に応答して、対応する車軸241の両端に設けられた電気制動装置231、232に電力を供給する電力供給ユニット251を備えてもよい。
制御モジュール222は、動作要求に応答して、対応する車軸242の両端に設けられた電気制動装置233、234に電力を供給する電力供給ユニット252を備えてもよい。
電力供給ユニット251、252は、容量性電源及び電池を備えるが、これらに限定されない。そして電力供給ユニット251、252は、再充電電源21によって充電される。
再充電電源21には、車両電池、出力電池、車両発電機、ハブ発電機があるが、これらに限定されない。再充電電源21の出力電圧は、12V又は24Vがあり得る。制御モジュール221を例として説明すると、例示的な一実施形態において、電力供給ユニット251を備える制御モジュール221は、独立して実装(パッケージ化)された装置として車両に設置されてもよい。しかしながら、当業者であれば、電気的に接続された電力供給ユニット251及び制御モジュール221が、非独立の実装方式で車両の異なる位置に設置されてもよいことを理解するだろう。
電力供給ユニット251及び制御モジュール221の実装方法及び設置位置は、車軸241の両端の電気制動装置231、232に電力を供給できる限り、車両の実際のレイアウトに従って調整されてもよい。
【0034】
一実施形態では、動作要求は、制動ペダル261を介して運転者によって入力された制動要求であってもよい。制御モジュール221の電力供給ユニット251は、2つの冗長副電力供給ユニット2511、2512を備えて冗長性を持って構成されてもよい。2つの副電力供給ユニット2511、2512と電力供給ユニット252は、ウルトラキャパシタユニット、例えば、出力電圧が48Vであってもよいグラフェンベースのウルトラキャパシタユニットからなるモジュールであってもよい。
【0035】
ウルトラキャパシタは容量性電源であり、主に電気二重層キャパシタ及びレドックス準容量電荷に依存して電気エネルギーを蓄積する。電気制動装置231から234の直流電源としてウルトラキャパシタを採用することにより、短時間で確実な高出力を実現できるだろう。
【0036】
具体的には、電力供給部251の副電力供給部2511は、上述した制動要求を受信すると、車軸241の右車輪271の電気制動装置231に電力を供給してもよい。
電源供給部251の副電源供給部2512は、車軸241の左側車輪272の電気制動装置232に電源を供給してよい。
電源供給部252は、車軸242の左右の車輪273、274の電気制動装置233、234に同時に電源を供給してもよい。
車両の車輪271から274に設けられた電気制動装置231から234は、電力供給ユニット251、252によって提供されたエネルギーを使用して制動モータを制御して回転させるようにしてよく、それによって機械的伝達機構を駆動して制動パッドを制動ディスクに向かって又は制動ディスクから離れるように押して、必要な制動力を生成する。
車軸242の制御モジュール222に対応する電力供給ユニット252もまた、冗長性を持って構成されてもよいことが理解されるだろう。
【0037】
電力供給ユニット251と電力供給ユニット252との少なくとも一方を、2つの冗長な副電力供給ユニットを備える冗長な電力供給構造として構成することにより、いずれかの副電力供給ユニットの電力損失による車両の制動性能低下の問題を解決可能である。上述の電力損失の問題には、制御モジュールの故障と、充電モジュールの故障と、ウルトラキャパシタの漏れと、電力接続線の断線と、他の理由とによって起こるかもしれないしれない、ウルトラキャパシタの低すぎる電圧及び不十分なエネルギー貯蔵があるが、これらに限定されない。
【0038】
具体的には、電力供給ユニット251の副電力供給ユニット2511において電力損失が発生した場合、電力供給ユニット251の副電力供給ユニット2512は、車軸241の左車輪272の電気制動装置232に依然として電力を供給可能であり、それによって、車軸241の左車輪272の電気制動装置232が十分な制動力を発生させるエネルギーを得られることを保証する。
対して、電力供給ユニット251の副電力供給ユニット2512において電力損失が発生した場合、電力供給ユニット251の副電力供給ユニット2511は、車軸241の右車輪271の電気制動装置231に依然として電力を供給可能であり、それによって、主荷重を支承する車軸241の右車輪271の電気制動装置231が十分な制動力を生成するエネルギーを得られることを保証する。
電力供給ユニット252において電力損失が発生した場合、電力供給ユニット251の2つの副電力供給ユニット251から212は、車軸241の左右の車輪271から227の電気制動装置231、232に依然として電力を供給可能であり、それによって、車軸241の左右の車輪271から227の電気制動装置231、232が十分な制動力を生成するエネルギーを得られることを保証する。
【0039】
一実施形態では、車軸241は車両の前車軸であってもよく、車両が前輪駆動車又はトラクターである場合、車両の重量は主に前車軸によって支持される。それゆえ、車両の荷重状態に関わらず、冗長性を有する電力供給ユニット251を備えた前車軸には常に少なくとも車両の本体重量がかかっていて、それにより、両端の車輪271、272が常に一定量の摩擦を生成可能なことを保証する。
【0040】
別の実施形態では、車軸242の制御モジュール222に対応する電力供給ユニット252もまた、冗長性を伴って構成され、それにより、制動システムの制動性能は、車両の重量分布と、荷重状態と、荷重分布にかかわらず保証できる。
【0041】
当業者は、制動要求が本発明における動作要求の一実施形態であり、主に本発明の概念を明確に示し、公衆の実施に便利な特定の解決策を提供するために使用されているのであって、本発明の保護範囲を限定するものではないことを理解するだろう。
【0042】
選択的に、他の実施形態では、動作要求は、電気制動装置231から234に他の動作を実行するように求める要求をさらに含んでもよい。
他の動作には、電気制動装置231から234を起動することと、電気制動装置231から234を自己検査することと、電気制動装置231から234を較正することと、電気制動装置231から234を待機位置に駆動することなどの動作があるが、これらに限定されない。
電気制動装置231から234が上述の他の動作を実行する要求に応答して、車両の車軸241、242のそれぞれの端部に設けられた電気制動装置231から234は、対応する動作を実行すべく、対応する制御モジュール221、222の電力供給ユニット251、252によって供給されるエネルギーを使用してよい。
【0043】
当業者は、高電圧(48V)ウルトラキャパシタなどの容量性電源を使用して電気制動装置231から234に電力を供給するという提案が、本発明の好ましい1実施形態にすぎず、主に電気制動装置231から234の制動力出力の向上に使用されることも、理解するだろう。
【0044】
選択的に、他の実施例において、車軸242は低電圧(24V)電池によって電力が供給されてもよい。即ち、車両の後車軸242に対応する制御モジュール222の電力供給ユニット252は電池であってもよい。
電池は、車両の充電電池21によって充電されてもよい。
【0045】
本発明の一実施形態では、電気機械式制動システムの制御モジュール221は、電力供給ユニット251に対応するエネルギー管理ユニット31、32を備えてよい。
エネルギー管理ユニット31、32は、電力供給ユニット251の充電及び放電を管理するように構成されてもよい。
【0046】
図3Aを参照すると、
図3Aは、本発明の一実施形態による制御モジュールの概略構造図を示す。
【0047】
図3Aに示すように、制御モジュール221は、エネルギー管理ユニット31、32を備えてよく、エネルギー管理ユニット31は、電力供給ユニット251の副電力供給ユニット2511に対応し、副電力供給ユニット2511の充放電を管理するように構成されてもよい。
エネルギー管理ユニット32は、電力供給ユニット251の副電力供給ユニット2512に対応して、副電力供給ユニット2512の充電及び放電を管理すべく構成されてもよい。
【0048】
エネルギー管理ユニット31は、充電制御部311及び電源スイッチ312を備えてもよい。
充電制御部311は、車両の再充電電源21及び対応する副電力供給ユニット2511に電気的に接続され、副電力供給ユニット2511のエネルギーレベルに応じて副電力供給ユニット2511を充電するように再充電電源21を制御するように構成される。
電源スイッチ312は、車両の前車軸241の右車輪271の電気制動装置231と副電力供給ユニット2511とに電気的に接続され、動作要求に応じて副電力供給ユニット2511を制御して対応する電気制動装置231に電力を供給するように構成される。
【0049】
したがって、エネルギー管理ユニット32は、充電制御部321及び電源スイッチ322を備えてよい。
充電制御部321は、車両の再充電電源21及び対応する副電力供給ユニット2512に電気的に接続され、副電力供給ユニット2512のエネルギーレベルに応じて副電力供給ユニット2512を充電するように再充電電源21を制御するように構成される。
電源スイッチ322は、車両の前車軸241の左車輪272の電気制動装置232と副電力供給ユニット2512とに電気的に接続され、動作要求に応じて副電力供給ユニット2512が対応する電気制動装置232に電力を供給するように制御するように構成されている。
【0050】
具体的には、エネルギー管理ユニット31、32の充電制御部311、321は、対応する副電力供給ユニット2511、2512の電圧値をリアルタイムで監視してよく、それによって電力供給ユニット251のエネルギーレベルを監視する。
副電力供給ユニット2511、2512のいずれか1つの電圧値が予め設定された電圧しきい値より低いことに応答して、対応する充電制御部311、321は、低電力副電力供給ユニット2511、2512を充電するように車両の再充電電源21を制御してよく、それによって、車両制動で消費されるエネルギーを適時補充する。
【0051】
充電制御部311、321を設けることによって、電気機械式制動システムは、副電力供給ユニット2511、2512それぞれの現在のエネルギーレベルに応じて副電力供給ユニット2511、2512それぞれを充電するように再充電電源21を個別に制御してよい。
そのため、充電制御部311、321は、副電力供給ユニット2511、2512の正常な電力供給を保証するという前提の下で、副電力供給ユニット2511、2512の繰り返し充電を可能な限り低減し、それによって、副電力供給ユニット2511、2512の寿命を延ばす。
【0052】
選択的に、一実施形態では、エネルギー管理ユニット31、32の電源スイッチ312、322は、待機状態を維持してよい。
電源スイッチ312、322は、上述の動作要求を受信したことに応答して、対応する副電力供給ユニット2511、2512を制御して、対応する電気制動装置231、232に電力を供給してよく、これにより、対応する電気制動装置231、232は、対応する動作の実行に十分なエネルギーを得られる。
【0053】
電源スイッチ312、322を設けることによって、電気機械式制動システムは、受信した動作要求に応じて、対応する電気制動装置231、232に電力を供給するように各副電力供給ユニット2511、2512を個別に制御してよく、これにより、対応する電気制動装置231、232は、対応する動作の実行に十分なエネルギーを得られる。
【0054】
当業者は、冗長電力供給ユニット251を持つ制御モジュール221用のエネルギー管理ユニット31、32を構成する提案は、本発明の1つの実施形態に過ぎず、主に、本発明の概念を明確に示し、公衆の実施に便利な特定の解決策を提供するために使用されているのであって、本発明の保護範囲を限定するものではないことを理解するだろう。
【0055】
図3Bを参照すると、
図3Bは、本発明の別の実施形態による制御モジュールの概略構造図を示す。
【0056】
図3Bに示すように、別の実施形態では、電気機械式制動システムの制御モジュール222は、エネルギー管理ユニット33をさらに備えてもよい。エネルギー管理ユニット33は、電力供給ユニット252に対応し、電力供給ユニット252の充電及び放電を管理すべく構成されてもよい。
【0057】
具体的には、エネルギー管理ユニット33は、充電制御部331及び電源スイッチ332を備えてもよい。
充電制御部331は、車両の再充電電源21及び対応する電力供給ユニット252に電気的に接続され、電力供給ユニット252のエネルギーレベルに応じて電力供給ユニット252を充電するように再充電電源21を制御するように構成される。
電源スイッチ332は、車両の後車軸242の左右の車輪273、274の2つの電気制動装置233、234と電力供給ユニット252とを電気的に接続し、動作要求に応じて電力供給ユニット252を制御して2つの対応する電気制動装置233、234に電力を供給すべく構成されている。
【0058】
エネルギー管理部33の充電制御部331は、該当電源供給モジュール252の電圧値をリアルタイムで監視することによって、電源供給部252のエネルギーレベルを監視してよい。
エネルギー管理部33の電源スイッチ332は、待機状態を維持してもよい。
電源モジュール252の電圧値が予め設定された電圧しきい値より低いことに応答して、対応する充電制御部331は、低電力電力供給ユニット252を充電すべく車両の再充電電源21を制御してもよい。
動作要求の受信に応答して、電源スイッチ332は、2つの対応する電気制動装置233、234が、対応する動作の実行に十分なエネルギーを得られるように、2つの対応する電気制動装置233、234に電力を供給すべく、対応する電力供給ユニット252を制御してもよい。
【0059】
当業者は、2つの制御モジュール221、222を備える電気機械式制動システムが本発明の一実施形態にすぎず、主に本発明の概念を明確に示し、公衆の実施に便利な特定の解決策を提供するために使用されているのであって、本発明の保護範囲を限定するものではないことを理解するだろう。
【0060】
図4を参照すると、
図4は、本発明の一実施形態による電気機械式制動システムの概略構造図を示す。
【0061】
図4に示すように、本発明の一実施形態では、車両は、3つの車軸241から243を備えてよい。
各車軸241から243は、両端に車輪271から276を備えてよい。
各車輪271から276は、対応する電気制動装置231から236を備えてよい。
各電気制動装置231から236は、制動力を発生する制動モータと、制動モータによって駆動される機械式伝達機構とを備えてよい。
電気制動装置231から236は、受信した動作要求に従って対応する動作を実行すべく構成されてよい。
【0062】
それらに対応して、この実施形態に従って提供される電気機械式制動システムは、再充電電源21と、車軸241から243に対応する3つの制御モジュール221から223とを備えてよい。
制御モジュール221は、動作要求に応答して、対応する車軸241の両端に設けられた電気制動装置231、232に電力を供給する電力供給ユニット251を備えてよい。
制御モジュール222は、動作要求に応答して、対応する車軸242の両端に設けられた電気制動装置233、234に電力を供給する電力供給ユニット252を備えてよい。
制御モジュール223は、動作要求に応答して、対応する車軸243の両端に設けられた電気制動装置235、236に電力を供給する電力供給ユニット253を備えてよい。
電力供給ユニット251から253は、車両の再充電電源21によって充電される容量性電源及び電池を備えるが、これらに限定されない。
再充電電源21は、車両電池、電力電池、車両発電機、及びホイールハブ発電機を備えるが、これらに限定されない。
充電用電源21の出力電圧は、12V又は24Vでよい。
【0063】
一実施形態において、動作要求は、制動ペダル261を介して運転者によって入力される制動要求であってもよい。
制御モジュール221から223の電力供給ユニット251から253が全て、冗長性を持って構成されてもよく、それぞれ、2つの冗長副電力供給ユニット2511から2512と、2521から2522と、2531から2532とを備える。
副電力供給ユニット2511から2512と、2521から2522と、2531から2532は全て、出力電圧が48Vでよい、グラフェンベースのウルトラキャパシタユニットなどのウルトラキャパシタユニットから構成される、モジュールであってよい。
【0064】
具体的には、電力供給ユニット251の副電力供給ユニット2511は、上述した制動要求を受信すると、車軸241の右車輪271の電気制動装置231に電力を供給してよい。
電源供給部251の副電源供給部2512は、車軸241の左側車輪272の電気制動装置232に電源を供給してよい。
電力供給ユニット252の副電力供給ユニット2521は、車軸242の右車輪273の電気制動装置233に電源を供給してよい。
電源供給部252の副電源供給部2522は、車軸242の左側車輪274の電気制動装置234に電源を供給してよい。
電源供給部253の副電源供給部2531は、車軸243の右側車輪275の電気制動装置235に電源を供給してよい。
電源供給部253の副電源供給部2532は、車軸243の左側車輪276の電気制動装置236に電源を供給してよい。
車両の車輪271から276上に設けられた電気制動装置231から236は、制動モータを制御して回転させるべく電力供給ユニット251から253によって提供されたエネルギーを使用可能であり、それによって、機械的伝達機構を駆動して、制動パッドを制動ディスクに向かって又は制動ディスクから離れるように押して、必要な制動力を生成する。
【0065】
車両の全ての車軸241から443の電力供給ユニット251から253を、それぞれ2つの冗長副電力供給ユニットを備える冗長な電源構造として構成することによって、全ての電気制動装置が冗長な電源を備えてよく、車両の重量配分、負荷状態、及び負荷配分にかかわらず、制動システムの制動性能を保証できる。
【0066】
具体的には、電力供給ユニット251の副電力供給ユニット2511において電力損失が発生した場合、電力供給ユニット251の副電力供給ユニット2512は、車軸241の左車輪272の電気制動装置232に依然として電力を供給可能であり、それによって、前車軸241の左車輪272の電気制動装置232が十分な制動力を発生させるためのエネルギーを得られることを保証する。
対して、電力供給ユニット251の副電力供給ユニット2512において電力損失が発生した場合、電力供給ユニット251の副電力供給ユニット2511は、車軸241の右車輪271の電気制動装置231に電力を依然として供給可能であり、それによって、前車軸241の右車輪271の電気制動装置231が十分な制動力を発生させるエネルギーを得られることを保証する。
同様に、同じ構成を持つ電力供給ユニット252及び253の場合については、ここでは繰り返さない。
【0067】
選択的に、本発明の一実施形態では、電気機械式制動システムの制御モジュール221から223は、電力供給ユニット251から253にそれぞれ対応するエネルギー管理ユニット41から43を備えてよい。
エネルギー管理ユニット41から43は、電力供給ユニット251から253の充電及び放電を管理するように構成されていてよい。
【0068】
図4に示すように、エネルギー管理ユニット41は、電力供給ユニット251の2つの副電力供給ユニット2511から2512に対応してもよく、副電力供給ユニット2511から2512の充電及び放電を管理するように構成されてもよい。
具体的には、エネルギー管理ユニット41は、充電制御部及び電源スイッチを備えてよい。
充電制御部は、車両の再充電電源21及び2つの対応する副電力供給ユニット2511から2512に電気的に接続され、副電力供給ユニット2511から2512のエネルギーレベルに応じて、副電力供給ユニット2511から2512をそれぞれ充電するように再充電電源21を制御するように構成される。
それぞれ、電源スイッチが、車両の前車軸241の右車輪271の電気制動装置231と副電力供給ユニット2511とに電気的に接続され、車両の前車軸241の左車輪272の電気制動装置232と副電力供給ユニット2512とに電気的に接続される。
副電力供給ユニット2511から2512は、動作要求に応じて、対応する電気制動装置231から232に電力を供給するように制御される。
エネルギー管理ユニット42及び43が上述した構成を採用してもよく、ここでは詳細を再度書かない。
【0069】
エネルギー管理ユニット41から43の充電制御部は、対応する電力供給ユニット251から253の電圧値をリアルタイムで監視し、それによって電力供給ユニット251から253のエネルギーレベルを監視する。
エネルギー管理ユニット41から43の電源スイッチは待機状態を維持し、電力供給ユニット251から253のいずれかの電圧値が予め設定された電圧しきい値より低いことに応答して、対応する充電制御部は、車両の再充電電源21を制御して低電力電力供給ユニットを充電してよく、それにより、車両制動で消費されるエネルギーを適時に補充する。
動作要求の受信に応答して、電源スイッチは、2つの対応する電気制動装置231から236に電力を供給するべく、対応する電力供給ユニット251から253を制御してよく、これにより、対応する電気制動装置231から236は、対応する動作の実行に十分なエネルギーを得る。
【0070】
エネルギー管理ユニット41から43を設けることによって、電気機械式制動システムは、電力供給ユニット251から253の現在のエネルギーレベルに応じて電力供給ユニット251から253を充電すべく再充電電源21を制御してよい。そして、対応する電気制動装置231から233が対応する動作の実行に十分なエネルギーを得られるように、対応する電気制動装置231から233に電力を供給すべく電力供給ユニット251から253を制御してよい。
【0071】
選択的に、本発明の一実施形態では、
図4に示す電気機械式制動システムの3つの制御モジュール221から223は電気的に接続されてもよい。3つの制御モジュール221から223の電力供給ユニット251から253は相互に冗長である。
【0072】
3つの制御モジュール221から223の全てが正常に動作しているとき、動作要求の受信に応答して、制御モジュール221から223は、対応する電気制動装置231から236が対応する動作の実行に十分なエネルギーを得られるように、その電力供給ユニット251から253を介して対応する車軸241から243の端部における電気制動装置231から236に電力を供給してよい。
【0073】
3つの制御モジュール221から223のいずれか1つが故障した場合、制御モジュール221を例にとると、故障した制御モジュール221の電力供給ユニット251は、対応する車軸241の両端の電気制動装置231から232に電力を供給できないことがある。
このとき、故障した制御モジュール221に通信可能に接続された2つの制御モジュール222から223は、それらの電力供給ユニット252から253の動作状態を判断してよい。
制御モジュール222が正常に動作可能である状態に応答して、制御モジュール222は、電気制動装置231、232が対応する動作の実行に十分なエネルギーを得られるように、電力供給ユニット252によって車軸241の両端の電気制動装置231、232に電力を供給してよい。
【0074】
すなわち、3つの制御モジュール221から223を電気的に接続することによって、3つの制御モジュール221から223それぞれの電力供給ユニット251から253は、残りの2つのための冗長電源としての役割をしてもよい。
故障によりいずれかの制御モジュールが対応する電気制動装置に電力を供給できなくなると、正常に動作する残りの制御モジュールは、自身の電力供給ユニットをバックアップ電源として使用して、故障した制御モジュールに電力を供給するか、あるいは故障した制御モジュールの内部回路を介して故障した制御モジュールに対応する車軸の電気制動装置に直接電力を供給可能であり、それにより、電気機械式制動システムの信頼性をさらに向上する。
【0075】
2つの副電力供給ユニットから車軸の各端部に設けられた電気制動装置にそれぞれ電力を供給する提案は、本発明の実施形態にすぎず、主に本発明の概念を明確に示し、公衆の実施に便利な特定の解決策を提供するために使用されるが、本発明の保護範囲を限定するものではないことを当業者は理解するだろう。
【0076】
図5を参照すると、
図5は、本発明の一実施形態による電気機械式制動システムの概略構造図を示す。
【0077】
図4に示す実施形態とは異なり、電力供給ユニット251の各副電力供給ユニット2511から2512は、車軸241の両端に配置された電気制動装置231から232を電気的に接続している。
【0078】
冗長構成の一例は、電力供給ユニット251の副電力供給ユニット2511から2512が各電気制動装置231から232に冗長的に電力を供給する構成である。
具体的には、通常の使用状態では、電気制動装置231は副電力供給ユニット2511から電力が供給され、電気制動装置232は副電力供給ユニット2512から電力が供給される。
副電力供給ユニット2511から2512のいずれかが故障した場合には、他の副電力供給ユニットを切り替えて電気制動装置231、232に同時に電力を供給する。
制動性能を確保するために、2つの高電圧、例えば48Vの、副電力供給ユニット2511、2512を、この構成において使用してもよい。
【0079】
冗長構成の他の例は、副電力供給ユニット2511、2512それぞれが、両方の電気制動装置231、232に同時に電力を供給することである。
図6を参照すると、冗長性を持つ電力供給ユニットの概略構造図が示されている。
なお、簡潔な説明のため、冗長回路の一部と電気制動装置232は省略されている。
具体的には、電力供給ユニット251が電気制動装置231に冗長的に電力を供給する例を挙げると、正常動作状態では、副電力供給ユニット2511、2512は電気制動装置231に同時に電力を供給し、副電力供給ユニット2511が故障状態にある場合、副電力供給ユニット2512は冗長電流経路を利用して電気制動装置231のみに電力を供給し、その逆も同様である。
【0080】
冗長性の例示的な構成は、副電力供給ユニット2511、2512それぞれが、車軸241の両端に配置された電気制動装置231、232を電気的に接続することであり、ここでは電気制動装置231、232の各制動モータは、
図7に示すように2組の巻線を有する。
図7に示すように、制動モータは、固定子61と回転子62とを備えてもよい。固定子61は、周方向に均一に分布するコア63を備えてもよい。
コア63には、回転磁界の発生用に2組の電気的に絶縁された巻線64、65が巻かれていて、巻線64は1つの副電力供給ユニットによって電力供給され、巻線65は別の副電力供給ユニットによって電力供給されている。
回転子62は、円周方向に均一に分布された磁気コアを備える永久磁石で作られてもよい。
回転子62は、巻線64、65によって生成される回転磁界に応答して回転するようになっていてよい。
【0081】
2組の、互いに独立し電気的に絶縁されている巻線64、65を固定子61上に設けることによって、制動モータは、回転子62を駆動する複数の選択肢を持てる。
副電力供給ユニット2511が巻線64に電力を供給すると、車両の前車軸241の車輪端にある2つの電気制動装置231、232は、対応する制動モータの回転子62が巻線64の駆動下で回転するように回転子62を制御できる。
副電力供給ユニット2512が巻線65に電力を供給すると、車両の前車軸241の車輪端にある2つの電気制動装置231、232は、対応する制動モータの回転子62が巻線65の駆動下で回転するように回転子62を制御できる。
別の実現可能な駆動方法は、副電力供給ユニット2511及び2512が巻線64及び65に同時に電力を供給することである。
換言すると、2つの副電力供給ユニット2511、2512が両方とも正常に動作可能な場合、2組の電気絶縁巻線64、65は、2つの電気制動装置231、232の制動モータ回転子62に駆動トルクを同時に提供して制動力を生成できる。
【0082】
副電力供給ユニット2511において電力損失が発生した場合、副電力供給ユニット2512は、巻線65によって制動モータの同じ磁気回路において磁力を発生できて、電気制動装置231、232の制動モータ回転子62に駆動トルクを提供して制動力を発生させる。
【0083】
これに対応して、副電力供給ユニット2512において電力損失が発生したとき、副電力供給ユニット2511は、巻線64によって制動モータの同じ磁気回路において磁力を生成できて、電気制動装置231、232の制動モータ回転子62に駆動トルクを提供して制動力を生成する。
【0084】
当業者であれば、2つの巻線64、65構造の制動モータが本発明の実施形態にすぎず、主に本発明の概念を明確に示し、公衆の実施に便利な特定の解決策の提供に使用されているのであって、本発明の保護範囲を限定しないことを、理解するだろう。
【0085】
図5に例示的に示すように、電力供給ユニット251の構成は、電気制動装置231、232に冗長的に電力を供給するが、電力供給ユニット252、253は、電力供給ユニット251とは異なる冗長な電力供給構成を採用して、電気制動装置233から236に電力を供給する。
当業者は、電力供給ユニット252、253が電力供給ユニット251と同じ冗長構成を採用して、対応する電気制動装置233から236に電力を供給してもよいことを理解するであろうから、ここでは詳細を再度説明しない。
【0086】
別の実施形態では、本発明の概念に基づいて、電気制動装置231、232の制動モータの駆動モジュールも冗長的に設けられてもよい。
2つの冗長駆動モジュールは、それぞれ副電力供給ユニット2511、2512に電気的に接続されてもよく、それによって、対応する副電力供給ユニット2511、2512によって電力供給される。
代替として、冗長駆動モジュールは、完全に冗長な制動モータ駆動回路を提供すべく、制動モータの二重巻線64、65に対応するように構成されてもよい。
【0087】
具体的には、2つの副電力供給ユニット2511、2512が両方とも正常動作可能な場合、2組の駆動モジュールは、制動力を生成すべく、2つの電気制動装置231、232の制動モータ回転子62に駆動トルクを同時に提供してよい。
副電力供給ユニット2511において電力損失が発生した場合、副電力供給ユニット2512は、対応する駆動モジュールによって電気制動装置231、232の制動モータ回転子62に駆動トルクを提供して制動力を発生させてよい。
副電源供給部2512において電力損失が発生した場合、副電力供給ユニット2511は、制動力を発生すべく、対応する駆動モジュールによって電気制動装置231、232の制動モータ回転子62に駆動トルクを提供してよい。
【0088】
他の実施形態では、本発明の概念に基づいて、電気制動装置231、232の制動モータは、電力供給ユニット251が3つ又はそれより多い副電力供給ユニットを備えることに対応して、対応する個数の、巻線と駆動モジュールとの少なくとも一方を備えてもよい。
巻線と駆動モジュールとの少なくとも一方を持つ各セットは、対応する副電力供給ユニットによって電力供給されるように、副電力供給ユニットに電気的に接続されてもよい。
【0089】
選択的に、本発明の一実施形態では、電気制動装置は、電磁作動式制動力保持装置をさらに備えてよい。
電磁式制動力保持装置は、電磁制動と、永久磁石制動と、ソレノイドを備えてよく、そして、電気制動装置によって出力される制動力を保持するように構成されてもよい。例えば、パワーオフタイプの永久磁石制動を使用することによって、電気制動装置の伝達機構は、出力がないときに動かないようにされて、それによって、パーキング機能などのエネルギー節約制動力保持を達成できる。
各制動力保持装置は、2組の巻線を備えてもよく、上述した制動モータと同様に、制動力保持装置が冗長な電力供給を有するように、異なる副電力供給ユニットによって電力が供給される構成が採用される。
【0090】
本発明の実施形態において、制動ペダル261は、動作要求又は制動要求を生成する例示的な一実施形態にすぎない。
パーキングスイッチ、非人間操作システム又はモジュールも、動作要求又は制動要求の源として使用してよい。
図5に示されるように、制動ペダル261に加えて、パーキングスイッチ262及び非人間の操作システム又はモジュール263も、制御モジュール221から223に通信可能に接続される。
非人間の操作システム又はモジュール263は、車両のアンチロック制動システム(ABS)と、加速スリップ調整(ASR)システムと、自律緊急制動(AEB)システムと、無人運転システムのうちの1つ又はそれより多いシステムを備えるが、これらに限定されない。そして、非人間操作システム又はモジュール263は、車両の制御モジュール221から223又は他の制御部の制御命令に従って、対応する動作要求又は制動要求を自動的に生成してよい。
【0091】
本開示の先述の説明は、当業者に本開示の作製又は使用を可能にすべく提供される。
本開示に対する様々な修正は当業者には明らかであり、本明細書で定義される一般原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく他の変形形態に適用されてよい。
そのため、本開示は、本明細書で説明する例及び設計に限定されるものではなく、本明細書で開示する原理及び新規の特徴の最も広い範囲が与えられるべきである。
【符号の説明】
【0092】
11 電池
121 ウルトラキャパシタモジュール
122 ウルトラキャパシタモジュール
131 電気制動装置
132 電気制動装置
141 車軸
142 車軸
21 再充電電源
221 制御モジュール
222 制御モジュール
223 制御モジュール
231 電気制動装置
232 電気制動装置
233 電気制動装置
234 電気制動装置
235 電気制動装置
236 電気制動装置
241 車軸
242 車軸
243 車軸
251 電力供給ユニット
252 電力供給ユニット
253 電力供給ユニット
2511 副電力供給ユニット
2512 副電力供給ユニット
2521 副電力供給ユニット
2522 副電力供給ユニット
2531 副電力供給ユニット
2532 副電力供給ユニット
261 制動ペダル
262 パーキングスイッチ
263 非人間操作システム又はモジュールホイール
271 車輪
272 車輪
273 車輪
274 車輪
275 車輪
276 車輪
31 エネルギー管理ユニット
32 エネルギー管理ユニット
33 エネルギー管理ユニット
312 充電制御部
322 充電制御部
332 充電制御部
41 エネルギー管理ユニット
42 エネルギー管理ユニット
43 エネルギー管理ユニット
61 固定子
62 回転子
63 コア
64 巻線
65 巻線
【国際調査報告】