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特表2023-508927シリコーンアクリラートハイブリッド組成物を調製する方法及びそれにより形成されたハイブリッド組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】シリコーンアクリラートハイブリッド組成物を調製する方法及びそれにより形成されたハイブリッド組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 283/12 20060101AFI20230227BHJP
   C08G 77/442 20060101ALN20230227BHJP
【FI】
C08F283/12
C08G77/442
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538139
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 US2020066827
(87)【国際公開番号】W WO2021138191
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/955,544
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】511124183
【氏名又は名称】ノースウェスタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アーン、トンチャン
(72)【発明者】
【氏名】ビービ、ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】マンゴールド、シェーン
(72)【発明者】
【氏名】シャル、ケン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ムーチョウ
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァローリ、アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ヘイル、タイラー
【テーマコード(参考)】
4J026
4J246
【Fターム(参考)】
4J026AB44
4J026BA27
4J026BB01
4J026DB05
4J026DB36
4J026FA09
4J026GA06
4J246AA03
4J246AA11
4J246AB15
4J246BA02X
4J246BB021
4J246BB02X
4J246BB141
4J246BB142
4J246BB14X
4J246CA01U
4J246CA01X
4J246CA24X
4J246CA34U
4J246CA34X
4J246CA65U
4J246CA65X
4J246EA05
4J246FA221
4J246FA572
4J246FC161
4J246GB23
4J246GC01
4J246GC23
4J246HA11
4J246HA32
(57)【要約】

シリコーンアクリラートハイブリッド組成物を調製する方法が提供される。この方法は、(i)シリコーン物品、及び/又は(ii)シリコーン組成物、の存在下でアクリラート組成物に照射し、アクリラート組成物を重合してシリコーンアクリラートハイブリッド組成物を得ること、を含む。アクリラート組成物は、アクリラート化合物及び開始剤を含む。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンアクリラートハイブリッド組成物を調製する方法であって、前記方法が、
(i)シリコーン物品、及び/又は(ii)シリコーン組成物の存在下でアクリラート組成物に照射し、前記アクリラート組成物を重合して前記シリコーンアクリラートハイブリッド組成物を得ることを含み、
前記アクリラート組成物が、
一般式(A):
【化1】
[式中、各Rが、H及び置換又は非置換ヒドロカルビル基から独立して選択され、RがH、又は1~10個の炭素原子を有する置換若しくは非置換ヒドロカルビル基であり、nが1以上の整数であり、RがR、アミン基、アルキル基、ヒドロキシル基若しくはアミノ基で置換されたアルキル基、又は1~4を超える価数nを有する部分から選択される]を有するアクリラート化合物、並びに開始剤を含む、方法。
【請求項2】
前記アクリラート組成物が、前記シリコーン物品の存在下で照射され、前記アクリラート組成物が前記シリコーン物品全体に分散されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アクリラート組成物が、前記シリコーン物品の存在下で照射され、(i)前記方法が、前記シリコーン物品を調製することを更に含み、(ii)前記シリコーン物品が付加型硬化性シリコーン組成物又は縮合型硬化性シリコーン組成物から形成され、又は(iii)(i)及び(ii)の両方を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記シリコーン物品が、ヒドロシリル化硬化性組成物から形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコーン物品が、縮合型硬化性組成物から形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記アクリラート組成物が、前記シリコーン組成物の存在下で照射される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコーン組成物が、照射硬化性シリコーン組成物として更に定義され、前記アクリラート組成物に照射することもまた前記シリコーン組成物を硬化させる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シリコーン組成物が、少なくとも1つのケイ素結合照射硬化性基、任意選択的には少なくとも2つのケイ素結合照射硬化性基を含むオルガノポリシロキサンを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上の前記ケイ素結合照射硬化性基が、アクリロイルオキシアルキル基、置換アクリロイルオキシアルキル基、アルケニルエーテル基、アルケニル基、アクリラート官能基、エポキシ官能基、アルキニル基、チオール置換有機基、水素化ケイ素基、及びエポキシ置換有機基から独立して選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(i)前記アクリラート組成物が、一般式(A)の前記アクリラート化合物とは異なる多官能性アクリラート化合物を更に含み、(ii)前記アクリラート組成物が、アクリル酸を更に含み、(iii)Rがアルコキシ基であり、(iv)各RがHであり、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記照射工程が、任意の溶媒が存在しない状態で実施される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記シリコーンアクリラートハイブリッド組成物がシリコーン物品及びアクリラートポリマーを含み、(i)前記シリコーン物品及び前記アクリラートポリマーが物理的に少なくとも部分的に混ぜられ、(ii)前記シリコーン物品及び前記アクリラートポリマーが、互いに化学結合されており、又は(iii)(i)及び(ii)の両方を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法に従って形成された、シリコーンアクリラートハイブリッド組成物。
【請求項14】
基板上に配置されている請求項13に記載のシリコーンアクリラートハイブリッド組成物を含む、複合物品。
【請求項15】
前記基板が電子デバイスを含む、請求項14に記載の複合物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月31日に出願された米国仮特許出願第62/955,544号に対する優先権及びその利益全てを主張するものであり、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用する。
【0002】
本開示は概して、シリコーンアクリラートハイブリッド組成物を調製する方法、及びこの方法により形成されたシリコーンアクリラートハイブリッド組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
照射硬化性シリコーン組成物は、その迅速な周囲の硬化、柔軟性及び安定性から、コンフォーマルコーティング及び接着剤などの広範な用途及び無数の業界で使用されている。ただし、シリコーンは一般的に、アクリル、ウレタン、エポキシ及びオレフィン、並びに芳香族ポリマーなどのいくつかの他の材料よりも、機械的強度、靱性及び耐摩耗性が低い。補完的な恩典を実現するために、このような他の材料とシリコーンとを組み合わせてハイブリッド硬化性組成物を形成しようとする試みは、ポリマーの不適合性により多くの場合制限されており、これが原因で、機械的特性は不十分となり、光透過性が低くなってしまう。
【発明の概要】
【0004】
シリコーンアクリラートハイブリッド組成物を調製する方法が提供される。この方法に従って形成されたシリコーンアクリラートハイブリッド組成物もまた、提供される。
【0005】
この方法は、(i)シリコーン物品、及び/又は(ii)シリコーン組成物、の存在下でアクリラート組成物に照射し、アクリラート組成物を重合してシリコーンアクリラートハイブリッド組成物を得ること、を含む。アクリラート組成物は、アクリラート化合物及び開始剤を含む。アクリラート化合物は、一般式(A):
【化1】
を有する。
【0006】
式(A)では、各RはH及び置換又は非置換ヒドロカルビル基から独立して選択され、Rは、H又は1~10個の炭素原子を有する置換若しくは非置換ヒドロカルビル基であり、nは、1以上の整数であり、Rは、R、アミン基、アルキル基、ヒドロキシル基若しくはアミノ基で置換されたアルキル基、又は1~4を超える価数nを有する部分、から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下にて、シリコーンアクリラートハイブリッド組成物を調製する方法は、単に「方法」と称されてもよい。同様に、以下にて、この方法に従って形成されたシリコーンアクリラートハイブリッド組成物は、単に「ハイブリッド組成物」と称されてもよい。用語「ハイブリッド組成物」は、以下に説明されるように、ハイブリッド組成物が硬化された固体であり得るため、ハイブリッド組成物が液体又は未硬化形態であることを意味すると解釈又は説明されるべきではない。
【0008】
第1の一般的な実施形態では、アクリラート組成物は、シリコーン物品の存在下で照射される。この第1の一般的な実施形態では、シリコーン物品は、アクリラート組成物の照射前に一般的には形成される。したがって、シリコーン物品は「前形態」と称されてもよい。シリコーン物品は代替的には、この方法で部分的に硬化されてもよく、アクリラート組成物に照射している間及び/又はこの照射後に更に硬化されてもよい。例えば、熱をシリコーン物品に加えて更なる硬化を作用させつつ、アクリラート組成物が照射され得る。すなわち、この方法は二重硬化法であり得る。
【0009】
これらの実施形態では、シリコーン物品は、アクリラート組成物の照射前に実質的に又は完全に硬化される。シリコーン物品は技術分野で理解されている種々の硬化機構により形成され得るが、特定の硬化機構に限定されない。シリコーン物品の例示的な硬化機構が以下に更に説明され、これは付加型硬化性シリコーン組成物及び縮合型硬化性シリコーン組成物を含むがこれらに限定されない。同様に、以下に説明されるように、シリコーン物品は、シリコーン物品を調製するために利用されるシリコーン組成物により選択かつ特徴付けられ得る。例えば、シリコーン物品は、ゴム、エラストマー、樹脂製のものであり得る。
【0010】
この第1の一般的な実施形態では、アクリラート組成物は、その場でポリマー(又は「アクリラートポリマー」)を形成するため、光開始剤及びシリコーン物品の存在下での照射により重合する。シリコーン物品、アクリラート組成物、及び光開始剤は以下により詳細に説明される。アクリラートポリマーはシリコーン物品と共に、ハイブリッド組成物をもたらす。
【0011】
第2の一般的な実施形態では、アクリラート組成物は、シリコーン組成物の存在下で照射される。シリコーン組成物は、硬化、重合、及び/又は架橋してシリコーン物品を形成し、アクリラート組成物は、照射及び光開始剤により重合してポリマーを形成する。以下に更に説明されるある特定の実施形態では、照射はまた、シリコーン組成物の硬化を開始させる。
【0012】
シリコーン物品及び/又はポリマーは、第1の一般的な実施形態と第2の一般的な実施形態のどちらかのシリコーン物品及び/又はポリマーと同一であってもよく、これらと異なっていてもよい。ただし、第2の一般的な実施形態では、シリコーン物品及びアクリラートポリマーは、同時に、かつ互いの存在下で一般的には形成する。したがって、第2の一般的な実施形態では、ポリマー形成は同時重合、又は「ワンポット」重合と称されてもよい。ある特定の実施形態では、組成物(すなわち、シリコーン又はアクリラート組成物)のうち少なくとも1つの硬化は、他の硬化(又は重合)前に開始されてもよい。加えて、シリコーン及びアクリラート組成物は、例えば、熱と照射とを組み合わせるなど、異なる方法によって同時に硬化されてもよい。
【0013】
第3の一般的な実施形態では、アクリラート組成物は、シリコーン物品及びシリコーン組成物の存在下で照射される。この第3の一般的な実施形態は、第1の一般的な実施形態及び第2の一般的な実施形態の態様を含む。
【0014】
ある特定の実施形態では、シリコーン組成物中に存在する官能基に応じて、i)シリコーン物品及び/又はシリコーン組成物、並びにii)アクリラート組成物は、互いに少なくとも部分的に反応し得る。例えば、シリコーン物品及びアクリラートポリマーは、ハイブリッド組成物中で互いに化学的に結合され得る。他の実施形態では、i)シリコーン物品及び/又はシリコーン組成物、並びにii)アクリラート組成物は、互いに反応しない(又はこれらに対して不活性である)。したがって、ハイブリッド組成物では、シリコーン物品及びアクリラートポリマーは、互いに化学的に結合されてもよく、及び/又は互いに物理的に混ぜられていてもよい。
【0015】
アクリラート組成物に照射することでアクリラート組成物を重合し、これによってハイブリッド組成物が得られる。「ハイブリッド」とは、ハイブリッド組成物が2つ(以上)の異なる出発物質の組合せから形成されることを一般には意味する。種々の実施形態では、ハイブリッド組成物は、シリコーン物品及びアクリラートポリマーを含み、これらから本質的になり、又はこれらからなる。ある特定の実施形態では、ハイブリッド組成物は、シリコーン及びアクリラート組成物の同時反応生成物を含み、これらから本質的になり、又はこれらからなる。ハイブリッド組成物はまた、シリコーン有機エラストマーと称されてもよい。
【0016】
多くの実施形態では、ハイブリッド組成物は、相互侵入高分子ネットワーク(interpenetrating polymer network、IPN)又は半相互侵入ネットワークとして分類され得る。例えば、種々の実施形態では、ハイブリッド組成物は、シリコーン物品及びアクリラートポリマーを含む。これらの実施形態では、シリコーン物品及びアクリラートポリマーは、少なくとも部分的に物理的に混ぜられる。
【0017】
技術分野で理解されるように、IPNは、ポリマースケールでは少なくとも部分的に混ぜられるが、一般的には互いに共有結合されていない、例えば第1の成分ネットワーク及び第2の成分ネットワークなど、2つ以上のネットワークを含む高分子ネットワークである。一般に、化学結合が破壊されない限り、高分子ネットワークは分離され得ない。2つ以上の成分ネットワークは、連結され、かつ互いに引き離されることができないが、任意の化学結合により互いに結合されていないような方法で絡み合っていることが想定され得る。
【0018】
逆に、予め形成された2つ以上の高分子ネットワークの混合物は、IPNではない。具体的には、2つ以上のポリマーを単に混合すること、それ以外の場合にはこれらを混合することではIPNは生成されない。更には、シリコーン物品及びアクリラートポリマーがハイブリッド組成物中で互いに化学結合しないようにシリコーン組成物及びアクリラート組成物が互いに反応する場合には、ハイブリッド組成物は2つの別々のネットワークを含まないがハイブリッドネットワークを1つ含むため、ハイブリッド組成物はIPNではない。
【0019】
ある特定の実施形態では、ハイブリッド組成物は、半相互侵入高分子ネットワーク(semi-interpenetrating polymer network、SIPN)として分類され得る。技術分野で理解されるように、SIPNは、1つ以上のネットワークと、直鎖又は分枝鎖高分子のうち少なくともいくつかによるネットワークのうち少なくとも1つの分子スケールでの侵入により特徴付けられる1つ以上の直鎖又は分枝鎖ポリマーと、を含むポリマーである。SIPNは、構成成分である1つ以上の直鎖又は分枝鎖ポリマーが、原則として、化学結合を破壊することなく構成成分である1つ以上の高分子ネットワークから分離され得ることから、IPNとは区別される。
【0020】
IPNと同様、SIPNは連続SIPNとして分類されてもよい。これらのSIPNは、1つ以上のネットワークをもたらす反応が完了した後に直鎖成分又は分枝鎖成分が形成される場合、又はその逆の場合に一般的には存在する。したがって、IPN及びSIPNを調製するためには、異なる成分が同時に又は連続して形成されてもよいことが理解されよう。
【0021】
上記のように、シリコーン物品は、技術分野の種々の硬化機構により形成され得る。種々の実施形態では、シリコーン組成物は、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物、縮合型硬化性シリコーン組成物、フリーラジカル硬化性シリコーン組成物、(例えば、フリーラジカル、カチオン性、又はヒドロシリル化による)照射硬化性シリコーン組成物、開環反応硬化性シリコーン組成物、チオール-エン硬化性シリコーン組成物、水素化ケイ素-シラノール反応硬化性シリコーン組成物、エポキシ硬化性シリコーン組成物及びそれらの組合せからなる群から選択される。シリコーン物品は、これらの組成物のうち1つ以上から形成され得る。
【0022】
第1の一般的な実施形態では、シリコーン物品は、アクリラート組成物の照射前に一般的には形成される。特定の実施形態では、シリコーン物品は、アクリラート組成物の照射前にヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物又は縮合型硬化性シリコーン組成物から一般的には形成される。
【0023】
第2の一般的な実施形態では、アクリラート組成物は、シリコーン組成物の存在下で一般的には照射される。特定の実施形態では、アクリラート組成物は、照射硬化性シリコーン組成物の存在下で照射される。このようにして、この両方の組成物は、他の組成物の存在下で重合し、互いに少なくとも部分的に反応し、ハイブリッド組成物を形成し得る。
【0024】
種々の実施形態では、シリコーン組成物は、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を含む、又はヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物である。シリコーン物品は、こうした組成物から形成され得る。
【0025】
ある特定の実施形態では、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、(A)1分子あたり、平均して少なくとも2つのケイ素結合エチレン性不飽和基又はケイ素水素原子を有するオルガノポリシロキサンと、(B)オルガノポリシロキサン(A)中のケイ素結合エチレン性不飽和基又はケイ素結合水素原子と反応することができる、ケイ素結合水素原子又はケイ素結合エチレン性不飽和基を1分子当たり平均して少なくとも2つ有する有機ケイ素化合物と、(C)ヒドロシリル化触媒と、を含む。オルガノポリシロキサン(A)がエチレン性不飽和基を含むとき、有機ケイ素化合物(B)は1分子当たり少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含み、オルガノポリシロキサン(A)がケイ素結合水素原子を含むとき、有機ケイ素化合物(B)は1分子当たり少なくとも2個のケイ素結合エチレン性不飽和基を含む。有機ケイ素化合物(B)は、クロスリンカー又は架橋剤と称されてもよい。ある特定の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A)及び/又は有機ケイ素化合物(B)は、3つ以上のヒドロシリル化反応性官能基(例えば、1分子あたり例えば平均して3つ、4つ、5つ、6つ以上のヒドロシリル化反応性官能基など、1分子あたりのケイ素結合エチレン性不飽和基及び/又はケイ素結合水素原子)を独立して含んでもよい。このような実施形態では、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、オルガノポリシロキサン(A)の1分子あたりのヒドロシリル化反応性官能基の数及び/又はタイプを、有機ケイ素化合物(B)の1分子あたりのヒドロシリル化反応性官能基の数及び/又はタイプと異なるように、ヒドロシリル化を介して鎖延長可能であり、かつ架橋可能であるように配合されてもよい。例えば、これらの実施形態では、オルガノポリシロキサン(A)が1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合エチレン性不飽和基を含む場合、有機ケイ素化合物(B)は1分子あたり少なくとも3つのケイ素結合水素原子を含んでいてもよく、オルガノポリシロキサン(A)が少なくとも2つのケイ素結合水素原子を含む場合、有機ケイ素化合物(B)は1分子あたり少なくとも3つのケイ素結合エチレン性不飽和基を含んでいてもよい。したがって、オルガノポリシロキサン(A)の1分子あたりのヒドロシリル化反応性官能基と有機ケイ素化合物(B)の1分子あたりのヒドロシリル化反応性官能基との比は、1:1に等しい、それよりも小さい、又は大きく、例えば、1:5~5:1、1:4~4:1、1:3~3:1、1:2~2:1、2:3~3:2、3:4~4:3であってもよい。
【0026】
オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)は、独立して直鎖、部分的に分枝鎖、分枝鎖、環状又は樹脂性(網目状)であってもよい。特に、オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)は、M単位、D単位、T単位、及びQ単位の任意の組合せを含み得る。記号M、D、T、及びQは、オルガノポリシロキサンの構造単位の官能基を表す。Mは、1官能性単位R SiO1/2を表す。Dは、2官能性単位R SiO2/2を表す。Tは、3官能性単位RSiO3/2を表す。Qは、4官能性単位SiO4/2を表す。これらの単位の一般構造式を以下に示す。
【化2】
これらの構造/式では、各Rは、例えば芳香族基、脂肪族基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基、又はヒドロキシル基、アルコキシ基、又は水素原子のような他の部分といった任意の炭化水素基であってもよい。
【0027】
特定のオルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)は、シリコーン物品又はハイブリッド組成物の望ましい特性に基づき選択されてもよい。シリコーン組成物の成分を選択することで、当業者はある範囲の望ましい特性を達成することが可能となる。
【0028】
例えば、ある特定の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)のうちの1つは、M単位及び/又はD単位と組み合わせた状態でT単位及び/又はQ単位を典型的に含む、シリコーン樹脂を含む。オルガノポリシロキサン(A)及び/又は有機ケイ素化合物(B)がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であってもよい。一般に、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物が樹脂を含む場合、得られるシリコーン物品又はハイブリッド組成物の剛性は増加する。
【0029】
多くの実施形態では、オルガノポリシロキサン(A)及び/又は有機ケイ素化合物(B)は繰り返しD単位をそれぞれ含み、オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)は、独立して選択された重合度を有し得る。これらの実施形態では、オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)の両方は、オルガノポリシロキサンである。このようなオルガノポリシロキサンは実質的に直鎖であるが、T単位及び/又はQ単位に起因するいくらかの分枝鎖を含んでもよい。あるいは、このようなオルガノポリシロキサンは直鎖である。これらの実施形態では、得られるシリコーン物品及び/又はハイブリッド組成物はエラストマー性である。
【0030】
オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)のケイ素結合エチレン性不飽和基及びケイ素結合水素原子は、それぞれ、独立してペンダント、末端、又は両方の位置に存在し得る。
【0031】
ある特定の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A)は、一般式:
【化3】
[式中、各Rは独立して選択されるヒドロカルビル基であり、これは置換又は非置換であってもよく、各RはR及びエチレン性不飽和基から独立して選択され、ただし、Rのうち少なくとも2つはエチレン性不飽和基であり、かつw、x、y、及びzは、w+x+y+z=1となるモル分率である]を有する。技術分野で理解されるように、直鎖オルガノポリシロキサンでは、下付き文字y及びzは概して0であるのに対し、樹脂では、下付き文字y及び/又はzは0より大きい。w、x、y、及びzに関し、以下、種々の代替実施形態で説明される。これらの実施形態では、下付き文字wは、0~0.9999、0~0.999、0~0.99、0~0.9、0.9~0.999、0.9~0.99、0.8~0.99、又は0.6~0.99の値を有してもよい。下付き文字xは、0~0.9、0~0.45、又は0~0.25の値を典型的には有する。下付き文字yは、0~0.99、0.25~0.8、又は0.5~0.8の値を典型的には有する。下付き文字zは、0~0.99、0~0.85、0.85~0.95、0.6~0.85、0.4~0.65、0.2~0.5、0.1~0.45、0~0.25、又は0~0.15の値を典型的には有する。
【0032】
ある特定の実施形態では、各Rは、C~C10ヒドロカルビル基であり、これは置換又は非置換であってもよく、ヒドロカルビル基内に酸素、窒素、硫黄などのへテロ原子を含んでもよい。Rに好適なヒドロカルビル基は、独立して直鎖、分枝鎖、環状、又はそれらの組合せであってもよい。環状ヒドロカルビル基は、アリール基、及び飽和又は非共役環状基を包含する。環状ヒドロカルビル基は、独立して、単環式又は多環式であってもよい。直鎖及び分枝鎖ヒドロカルビル基は独立して、飽和又は不飽和であってもよい。直鎖及び環状ヒドロカルビル基の組合せの一例は、アラルキル基である。ヒドロカルビル基の全般的な例としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロカーボン基等、並びに誘導体、変形体、及びそれらの組合せが挙げられる。好適なアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘキサデシル、オクタデシル、並びに6~18個の炭素原子を有する分岐飽和炭化水素基が挙げられる。好適な非共役環状基の例としては、シクロブチル基、シクロヘキシル基、及びシシロヘプチル基が挙げられる。好適なアリール基の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、及びジメチルフェニルが挙げられる。好適なアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、及びシクロヘキセニル基が挙げられる。好適な一価ハロゲン化炭化水素基(即ち、ハロ炭素基)の例としては、ハロゲン化アルキル基、アリール基、及びそれらの組合せが挙げられる。ハロゲン化アルキル基の例としては、1つ以上の水素原子が、F又はClなどのハロゲン原子で置換された、上述のアルキル基が挙げられる。ハロゲン化アルキル基の具体例としては、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル、クロロメチル、クロロプロピル、2-ジクロロシクロプロピル、及び2,3-ジクロロシクロペンチル基、並びにそれらの誘導体が挙げられる。ハロゲン化アリール基の例としては、1つ以上の水素原子が、F又はClなどのハロゲン原子で置換された、上述のアリール基が挙げられる。ハロゲン化アリール基の具体例としては、クロロベンジル基及びフルオロベンジル基が挙げられる。
【0033】
で表されるエチレン性不飽和基は、オルガノポリシロキサン(A)内部では同一又は異なったものであってよいが、これはアルケニル基及びアルキニル基から典型的には選択される。「アルケニル」は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する非環状、分枝状又は非分枝状の一価炭化水素基を意味する。その具体例としては、ビニル基、アリル基、及びヘキセニル基が挙げられる。「アルキニル」は、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する非環状、分枝鎖又は非分枝鎖の一価炭化水素基を意味する。その具体例としては、エチニル、プロピニル、及びブチニル基が挙げられる。エチレン性不飽和基の様々な例としては、CH=CH-、CH=CHCH-、CH=CH(CH-、CH=CH(CH-、CH=C(CH)CH-、HC=C(CH)-、HC=C(CH)-、HC=C(CH)CH-、HC=CHCHCH-、HC=CHCHCHCH-、HC≡C-、HC≡CCH-、HC≡CCH(CH)-、HC≡CC(CH-、及びHC≡CC(CHCH-が挙げられる。典型的には、Rがエチレン性不飽和基である場合、エチレン性不飽和はRの末端にある。技術分野で理解されるように、エチレン性不飽和は脂肪族不飽和と称されてもよい。
【0034】
これらの実施形態では、有機ケイ素化合物(B)は、オルガノハイドロジェンシラン、オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンシロキサン、又はそれらの組合せとして更に定義され得る。有機ケイ素化合物(B)の構造は、直鎖、部分的に分枝鎖、分枝鎖、環状、又は樹脂性(網目状)であってもよい。非環状ポリシラン及びポリシロキサンでは、ケイ素結合水素原子は、末端、ペンダント、又は末端及びペンダントの両方の位置に位置され得る。シクロシラン及びシクロシロキサンは、典型的には、3~12個のケイ素原子、3~10個のケイ素原子、又は3~4個のケイ素原子を典型的には有する。オルガノハイドロジェンシランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランであり得る。
【0035】
ヒドロシリル化触媒(C)は、オルガノポリシロキサン(A)と有機ケイ素化合物(B)との間の反応を促進する、少なくとも1つのヒドロシリル化触媒を含む。ヒドロシリル化触媒は限定されず、ヒドロシリル化反応を触媒するための任意の既知のヒドロシリル化反応触媒であってもよい。異なるヒドロシリル化反応触媒の組合せを使用してもよい。
【0036】
特定の実施形態では、ヒドロシリル化触媒(C)は、第VIII族~第XI族の遷移金属を含む。第VIII族~第XI族遷移金属には、最新のIUPAC命名法を参照する。第VIII族遷移金属は、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、及びハシウム(Hs)であり、第IX族遷移金属は、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、及びイリジウム(Ir)であり、第X族遷移金属は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)であり、第XI族遷移金属は、銅(Cu)、銀(Ag)、及び金(Au)である。これらの組合せ、これらの錯体(例えば、有機金属錯体)、及びこのような金属の他の形態を、ヒドロシリル化触媒(C)として利用してもよい。
【0037】
ヒドロシリル化触媒(C)に好適な触媒の更なる例としては、レニウム(Re)、モリブデン(Mo)、第IV族遷移金属(すなわち、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及び/又はハフニウム(Hf))、ランタニド、アクチニド、並びに第I族及び第II族金属錯体(例えば、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、ストロンチウム(Sr)などを含むもの)が挙げられる。これらの組合せ、これらの錯体(例えば、有機金属錯体)、及びこのような金属の他の形態を、ヒドロシリル化触媒(C)として利用してもよい。
【0038】
ヒドロシリル化触媒(C)は、任意の好適な形態であってもよい。例えば、ヒドロシリル化触媒(C)は固体であってもよく、その例としては、白金系触媒、パラジウム系触媒、及び同様の貴金属系触媒、並びにニッケル系触媒もまた挙げられる。その具体例としては、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、コバルト、及び同様の元素、並びにまた白金-パラジウム、ニッケル-銅-クロム、ニッケル-銅-亜鉛、ニッケル-タングステン、ニッケル-モリブデン、及び複数の金属の組合せを含む同様の触媒が挙げられる。固体触媒の更なる例としては、Cu-Cr、Cu-Zn、Cu-Si、Cu-Fe-AI、Cu-Zn-Ti、及び同様の銅含有触媒などが挙げられる。
【0039】
ヒドロシリル化触媒(C)は、固体担体中又は固体担体上に存在してもよい。担体の例としては、活性炭、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、ゼオライト、及びその他の無機粉末/粒子(例えば硫酸ナトリウム)などが挙げられる。ヒドロシリル化触媒(C)はまた、例えば、ヒドロシリル化触媒(C)を可溶性にする溶媒、あるいは、単にヒドロシリル化触媒(C)を担持しているが可溶化させないビヒクル中に配置されてもよい。このようなビヒクルは、技術分野において既知である。
【0040】
特定の実施形態では、ヒドロシリル化触媒(C)は白金を含む。これらの実施形態では、ヒドロシリル化触媒(C)は、例えば、白金(黒色)、白金化合物(塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、白金ビス(エチルアセトアセタート)、白金ビス(アセチルアセトナート)、塩化白金)、及びこのような化合物とオレフィン又はオルガノポリシロキサンとの錯体、並びにマトリックス又はコアシェル型化合物内にマイクロカプセル化された白金化合物により例示される。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒及びその調製方法はまた、米国特許第4,766,176号及び同第5,017,654号に例示されるように、技術分野において既知であり、これらは、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
ヒドロシリル化触媒(C)として使用するのに好適なオルガノポリシロキサンと白金との錯体としては、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと白金との錯体が挙げられる。これらの錯体は、樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化されていてもよい。あるいは、ヒドロシリル化触媒(C)は、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと白金との錯体を含んでもよい。ヒドロシリル化触媒(C)は、塩化白金酸と、ジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族不飽和有機ケイ素化合物、又はアルケン-白金-シリル錯体とを反応させることを含む方法によって調製されてもよい。アルケン-白金-シリル錯体は、例えば、0.015モルの(COD)PtClを、0.045モルのCOD及び0.0612モルのHMeSiClと混合することによって調製され得る。
【0042】
ヒドロシリル化触媒(C)はまた、又は代替的には、照射及び/又は熱による硬化を開始し得る、光活性化可能なヒドロシリル化反応触媒であってもよい。光活性化可能ヒドロシリル化反応触媒は、特に、150~800ナノメートル(nm)の波長を有する放射線に曝露すると、ヒドロシリル化反応を触媒することができる、任意のヒドロシリル化反応触媒であってもよい。ヒドロシリル化触媒(C)は光活性化可能である場合、シリコーン組成物は、アクリラート組成物と共に照射及び/又は熱によりその場で硬化され得る。ヒドロシリル化触媒(C)は光活性化可能である場合、シリコーン組成物及びアクリラート組成物は、典型的には互いに反応せず、互いの存在下で別々に硬化してハイブリッド組成物を得る。
【0043】
ヒドロシリル化触媒(C)に好適である光活性化可能なヒドロシリル化反応触媒の具体例としては、白金(II)ビス(2,4-ペンタンジオアート)、白金(II)ビス(2,4-ヘキサンジオアート)、白金(II)ビス(2,4-ヘプタンジオアート)、白金(II)ビス(1-フェニル-1,3-ブタンジオアート、白金(II)ビス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオアート)、白金(II)ビス(1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオアート)などの白金(II)β-ジケトナート錯体、(Cp)トリメチル白金、(Cp)エチルジメチル白金、(Cp)トリエチル白金、(クロロ-Cp)トリメチル白金、及び(トリメチルシリル-Cp)トリメチル白金[式中、Cpがシクロペンタジエニルを表す]など、(η-シクロペンタジエニル)トリアルキル白金錯体、[Pt[CNNNOCH、Pt[p-CN-CNNNOC11、Pt[p-HCOCNNNOC11、Pt[p-CH(CH-CNNNOCH、1,5-シクロオクタジエンPt[p-CN-CNNNOC11、1,5-シクロオクタジエンPt[p-CHO-CNNNOCH、[(CP]Rh[p-CN-CNNNOC11]、及びPd[p-CH(CH-CNNNOCH[式中、xは1、3、5、11、又は17である]等のトリアゼンオキシド-遷移金属錯体、η-1,5-シクロオクタジエニル)ジフェニル白金、η-1,3,5,7-シクロオクタテトラエニル)ジフェニル白金、(η-2,5-ノルボラジエニル)ジフェニル白金、(η-1,5-シクロオクタジエニル)ビス-(4-ジメチルアミノフェニル)白金、(η-1,5-シクロオクタジエニル)ビス-(4-アセチルフェニル)白金、及び(η-1,5-シクロオクタジエニル)ビス-(4-トリフルオロメチルフェニル)白金などの(η-ジオレフィン)(σ-アリール)白金錯体が挙げられるが、それらに限定されない。典型的には、光活性化可能ヒドロシリル化反応触媒は、Pt(II)β-ジケトナート錯体であり、より典型的には、触媒は、白金(II)ビス(2,4-ペンタンジアエート)である。
【0044】
ヒドロシリル化触媒(C)は、触媒量、すなわち望ましい条件での硬化を促進するのに十分な量又は分量で組成物中に存在する。ヒドロシリル化反応触媒は、単一ヒドロシリル化反応触媒、又は2種以上の異なるヒドロシリル化反応触媒を含む混合物とすることができる。
【0045】
ヒドロシリル化触媒(C)の濃度は、オルガノポリシロキサン(A)と有機ケイ素化合物(B)との間の付加反応を触媒するのに十分なものである。特定の実施形態では、ヒドロシリル化触媒(C)の濃度は、オルガノポリシロキサン(A)と有機ケイ素化合物(B)とを組み合わせた重量に基づき、0.1~1000ppmの白金族金属、0.5~100ppmの白金族金属、又は1~25ppmの白金族金属を提供するのに十分な濃度である。
【0046】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は2部の組成物であってもよく、オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)は別の部中に存在する。これらの実施形態において、ヒドロシリル化触媒(C)は、オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)の片方又は両方と共に存在していてもよい。あるいは更に、ヒドロシリル化触媒(C)は、オルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)と別個のものであり、第3の部の中にあってもよく、それによると、ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物は3部の組成物である。
【0047】
特定の実施形態では、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、以下の一般式のオルガノポリシロキサン(A)を含み、特定の実施形態では、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、一般式:
【化4】
[式中、nは、成分(A)の平均分子量が100~50,000、1,000~25,000、5,000~15,000、7,500~12,500、又は9,000~11,000g/molであるような整数である]のオルガノポリシロキサン(A)を含む。
【0048】
これら又は他の特定の実施形態では、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、以下の一般式の有機ケイ素化合物(B)を含み、これらの、又は他の特定の実施形態では、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、一般式:
【化5】
[式中、mは、成分(B)の水素化合物のmol%が、5~50、10~45、15~40、20~35、又は25~35であるような整数であり、式中、nは、成分(B)の平均分子量が10~10,000、50~7,500、100~5,000、500~2,500、1,000~2,500、又は1,500~2,000g/molであるような整数である]の有機ケイ素化合物を含む。
【0049】
これら又は他の特定の実施形態では、ヒドロシリル化触媒(C)は、Karstedt触媒を含む、又はKarstedt触媒である。ヒドロシリル化触媒(C)の例示的な量は、上記のとおりである。
【0050】
このようなヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の硬化条件は様々であってもよい。例えば、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、照射及び/又は熱に曝露されると硬化し得る。当業者は、ヒドロシリル化触媒(C)の選択が、固化及び硬化のための技術にどのように影響を及ぼすかを理解している。特に、光活性化可能なヒドロシリル化触媒は、典型的には、照射による硬化が望まれる場合に利用される。
【0051】
オルガノポリシロキサン(A)と有機ケイ素化合物(B)とを、1:1~1:3、1:1~1:2、1:1~1:1.5、1:1~1:1.4、1:1~1:1.3、1:1~1:1.2、又は1:1~1:1.1のモル比で典型的には反応させる。ただし、当業者は例えば、利用されている特定の成分、シリコーン組成物の望ましい特性などの観点から、利用されている特定の比を選択するであろう。
【0052】
オルガノポリシロキサン(A)と有機ケイ素化合物(B)とを、技術分野で理解される技術を使用して混合、それ以外の場合には組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、反応は、高温で実施される。高い温度は、利用されている特定の成分に応じて選択及び制御されてもよい。したがって、高温は、選択される反応条件及びパラメータ、並びに本明細書の説明を考慮して、当業者によって容易に選択されるであろう。高い温度は、典型的には例えば30~150℃、40~135℃、50~115℃、60~100℃、又は70~85℃など、周囲温度よりも高い温度~180℃である。
【0053】
種々の実施形態では、シリコーン組成物は、縮合型硬化性シリコーン組成物を含む、又は縮合型硬化性シリコーン組成物である。シリコーン物品は、こうした組成物から形成され得る。
【0054】
ある特定の実施形態では、縮合型硬化性シリコーン組成物は、(A’)1分子あたり、平均して少なくとも2つのケイ素結合ヒドロキシル基又は加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンと、(B’)1分子あたり、平均して少なくとも2つのケイ素結合水素原子、ヒドロキシル基、又は加水分解性基を有する有機ケイ素化合物と、(C’)縮合触媒と、を含む。本方法又はその任意の個々の工程中、任意のパラメータ又は条件を選択的に制御することができるが、周囲条件の相対湿度及び含水量を選択的に制御し、縮合硬化性シリコーン組成物の硬化速度に更に影響を及ぼすことができる。
【0055】
オルガノポリシロキサン(A’)及び有機ケイ素化合物(B’)は、独立して直鎖、部分的に分枝鎖、分枝鎖、環状又は樹脂性(網目状)であってもよい。特に、オルガノポリシロキサン(A’)及び有機ケイ素化合物(B’)は、上に開示されるオルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)と同様に、M単位、D単位、T単位、及びQ単位の任意の組合せを含んでもよい。
【0056】
特定のオルガノポリシロキサン(A’)及び有機ケイ素化合物(B’)は、シリコーン物品又はハイブリッド組成物の望ましい特性に基づき選択されてもよい。例えば、ある特定の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’)及び有機ケイ素化合物(B’)のうちの1つは、M単位及び/又はD単位と組み合わせた状態でT単位及び/又はQ単位を典型的に含む、シリコーン樹脂を含む。オルガノポリシロキサン(A’)及び/又は有機ケイ素化合物(B’)がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であってよい。一般に、縮合型硬化性シリコーン組成物が樹脂を含む場合、得られるシリコーン物品又はハイブリッド組成物の剛性は増加する。
【0057】
あるいは、他の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’)及び/又は有機ケイ素化合物(B’)は、繰り返しD単位を含むオルガノポリシロキサンである。このようなオルガノポリシロキサンは実質的に直鎖であるが、T単位及び/又はQ単位に起因するいく分かの分枝鎖を含むことがある。あるいは、このようなオルガノポリシロキサンは直鎖である。これらの実施形態では、得られるシリコーン物品及び/又はハイブリッド組成物はエラストマー性である。
【0058】
オルガノポリシロキサン(A’)及び有機ケイ素化合物(B’)のケイ素結合ヒドロキシル基及びケイ素結合水素原子、ヒドロキシル基、又は加水分解性基はそれぞれ、独立してペンダント、末端、又は両方の位置に存在し得る。
【0059】
技術分野で理解されるように、ケイ素結合ヒドロキシル基は、ケイ素結合加水分解性基を加水分解することで得られる。これらのケイ素結合ヒドロキシル基が縮合し、シロキサン結合を、副生成物としての水と共に形成し得る。
【0060】
オルガノポリシロキサン(A’)に好適な加水分解性基の例としては、以下のケイ素結合基、すなわち、H、ハライド基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、カルボキシ基、アルキルイミノオキシ基、アルケニルオキシ基、又はN-アルキルアミド基が挙げられる。アルキルアミノ基は、環状アミノ基であってもよい。
【0061】
特定の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’)は、一般式:
【化6】
[式中、各Rは上に定義されており、各Rは、R、及びヒドロキシル基、加水分解性基、又はこれらの組合せから独立して選択され、ただし、Rのうちの少なくとも2つはヒドロキシル基、加水分解性基、又はそれらの組合せであり、w’、x’、y’、及びz’は、w’+x’+y’+z’=1となるモル分率である]を有する。技術分野で理解されるように、直鎖オルガノポリシロキサンでは、下付き文字y’及びz’は概して0であるのに対し、樹脂では、下付き文字y’及び/又はz’は0より大きい。w’、x’、y’、及びz’に関し、以下、種々の代替実施形態で説明される。これらの実施形態では、下付き文字w’は、0~0.9999、0~0.999、0~0.99、0~0.9、0.9~0.999、0.9~0.99、0.8~0.99、又は0.6~0.99の値を有してもよい。下付き文字x’は、0~0.9、0~0.45、又は0~0.25の値を典型的には有する。下付き文字y’は、0~0.99、0.25~0.8、又は0.5~0.8の値を典型的には有する。下付き文字z’は、0~0.99、0~0.85、0.85~0.95、0.6~0.85、0.4~0.65、0.2~0.5、0.1~0.45、0~0.25、又は0~0.15の値を典型的には有する。
【0062】
上記のように、縮合型硬化性シリコーン組成物は、有機ケイ素化合物(B’)を更に含む。有機ケイ素化合物(B’)は、直鎖、部分的に分枝鎖、分枝鎖、環状、又は樹脂性(網目状)であってもよい。ある特定の実施形態では、有機ケイ素化合物(B’)は、式R SiX4-q[式中、Rは上に定義されており、Xは加水分解性基であり、qは0又は1である]を有する。
【0063】
有機ケイ素化合物(B’)の具体例としては、CHSi(OCH、CHSi(OCHCH、CHSi(OCHCHCH、CHSi[O(CHCH、CHCHSi(OCHCH,CSi(OCH、CCHSi(OCH,CSi(OCHCH、CH=CHSi(OCH、CH=CHCHSi(OCH、CFCHCHSi(OCH、CHSi(OCHCHOCH、CFCHCHSi(OCHCHOCH、CH=CHSi(OCHCHOCH、CH=CHCHSi(OCHCHOCH、CSi(OCHCHOCH、Si(OCH4、Si(OC、及びSi(OC、オルガノアセトキシシラン[CHSi(OCOCH、CHCHSi(OCOCH、及びCH=CHSi(OCOCH等]、オルガノイミノオキシシラン[CHSi[O-N=C(CH)CHCH、Si[O-N=C(CH)CHCH、及びCH=CHSi[O-N=C(CH)CHCH等]、オルガノアセトアミドシラン[CHSi[NHC(=O)CH、及びCSi[NHC(=O)CH等]、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及び3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリラート及びメタクリラートシラン、CHSi[NH(C)]及びCHSi(NHC11などのアミノシラン、並びにオルガノアミノオキシシランが挙げられる。
【0064】
有機ケイ素化合物(B’)は、各々上記のとおり、単一のシラン、又は2つ以上の異なるシランの混合物であり得る。また、3官能性及び4官能性シランを調製する方法は、技術分野において公知であり、これらのシランのうちの多くのものが市販されている。
【0065】
縮合硬化性シリコーン組成物中の有機ケイ素化合物(B’)の濃度は、オルガノポリシロキサン(A’)を硬化(架橋)させるのに十分なものである。利用される有機ケイ素化合物(B’)の具体的な量は所望の硬化度に依存する。これは、オルガノポリシロキサン(A)中のケイ素結合ヒドロキシ基のモル数に対する有機ケイ素化合物(B’)中のケイ素結合加水分解性基のモル数の比が増加するにつれ、一般的には増加する。有機ケイ素化合物(B’)の最適の量は、通常の実験によって容易に求めることができる。
【0066】
縮合触媒(C’)は、典型的にはケイ素結合ヒドロキシ基(シラノール基)の縮合を促進してSi-O-Si結合を形成するために使用される、任意の縮合触媒であってもよい。縮合触媒の例としては、アミン、金属(例えば、鉛、スズ、亜鉛、鉄、チタン、ジルコニウム)と有機配位子(例えば、カルボキシル、ヒドロカルビル、アルコキシルなど)との錯体が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、縮合触媒(C’)は、スズジラウラート、スズジオクトアート、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、及びテトラブチルスズなどの、スズ(II)及びスズ(IV)化合物、並びにチタンテトラブトキシドなどのチタン化合物から選択され得る。これら又は他の実施形態では、縮合触媒(C’)は、亜鉛系、鉄系、及びジルコニウム系触媒から選択されてもよい。
【0067】
縮合触媒(C’)の濃度は、縮合型硬化性シリコーン組成物中のオルガノポリシロキサン(A’)の総重量に基づき、典型的には0.1~10重量%、代替的に0.5~5重量%、又は1~3重量%である。
【0068】
縮合型硬化性シリコーン組成物が縮合触媒(C’)を含む場合、縮合型硬化性シリコーン組成物は、典型的には2部の組成物であり、オルガノポリシロキサン(A’)及び縮合触媒(C’)は、別の部中に存在する。この実施形態において、有機ケイ素化合物(B’)は、典型的には縮合触媒(C’)と共に存在する。あるいは更に、縮合硬化性シリコーン組成物は3部の組成物であってもよく、オルガノポリシロキサン(A’)、有機ケイ素化合物(B’)、及び縮合触媒(C’)が、別個の部の中にある。
【0069】
そのような縮合硬化性シリコーン組成物の硬化条件は、変動させてもよい。例えば、縮合型硬化性シリコーン組成物は、周囲条件、湿潤雰囲気、及び/又は熱に曝露されると硬化され得る。
【0070】
種々の実施形態では、シリコーン組成物は、照射硬化性シリコーン組成物を含み、又は照射硬化性シリコーン組成物であり、これはまた、フリーラジカル硬化性シリコーン組成物と称されてもよい。シリコーン物品は、こうした組成物から形成され得る。
【0071】
第2の一般的な実施形態の下でそれらを含むある特定の実施形態では、アクリラート組成物は、シリコーン組成物の存在下で照射される。これらの実施形態では、アクリラート組成物に照射することでまた、シリコーン組成物を同時に硬化させる。
【0072】
ある特定の実施形態では、照射硬化性シリコーン組成物は、(A’’)平均して少なくとも2つのケイ素結合照射硬化性基を有するオルガノポリシロキサンと、(C’’)フリーラジカル開始剤と、を含む。他の実施形態では、照射硬化性シリコーン組成物は、(A’’)少なくとも1つのケイ素結合照射硬化性基を有するオルガノポリシロキサンと、(B’’)架橋剤と、(C’’)フリーラジカル開始剤と、を含む。
【0073】
オルガノポリシロキサン(A’’)は、直鎖、部分的に分枝鎖、分枝鎖、環状、又は樹脂性(網目状)であってもよい。特に、オルガノポリシロキサン(A’’)は、上に開示されるオルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)と同様に、M単位、D単位、T単位、及びQ単位の任意の組合せを含んでもよい。
【0074】
特定のオルガノポリシロキサン(A’’)は、シリコーン物品又はハイブリッド組成物の望ましい特性に基づき選択されてもよい。例えば、シリコーン物品にとってエラストマー、ゲル、樹脂などの形態であることは望ましい場合があり、シリコーン組成物の成分を選択することで、当業者はある範囲の望ましい特性を達成することが可能となる。
【0075】
ある特定の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’’)は、M単位及び/又はD単位と組み合わせた状態でT単位及び/又はQ単位を典型的に含む、シリコーン樹脂を含む。オルガノポリシロキサン(A’’)がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であってもよい。一般に、照射硬化性シリコーン組成物が樹脂を含む場合、得られるシリコーン物品又はハイブリッド組成物の剛性は増加する。
【0076】
あるいは、他の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’’)は、繰り返しD単位を含む。このようなオルガノポリシロキサンは実質的に直鎖であるが、T単位及び/又はQ単位に起因するいくらかの分枝鎖を含んでもよい。あるいは、このようなオルガノポリシロキサンは直鎖である。これらの実施形態では、シリコーン物品及び/又は得られるハイブリッド組成物はエラストマー性である。
【0077】
オルガノポリシロキサン(A’’)のケイ素結合照射硬化性基は、ペンダント、末端、又は両方の位置に存在し得る。ケイ素結合照射硬化性基は、例えば、二重結合及び/又は三重結合の形態のエチレン性不飽和を含み得る。ケイ素結合照射硬化性基の例示的な例としては、ケイ素結合アルケニル基及びケイ素結合アルキニル基が挙げられる。照射硬化性基は、直接、又は例えばアルキレン基、エーテル、エステル、アミド、若しくは別の基などの架橋基を通じて間接的にケイ素に結合し得る。
【0078】
特定の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’’)は、一般式:
【化7】
[式中、各Rは上に定義されており、各Rは、R及び照射硬化性基から独立して選択され、ただし、Rのうちの少なくとも2つは照射硬化性基であり、w’’、x’’、y’’、及びz’’は、w’’+x’’+y’’+z’’=1となるモル分率である]を有する。技術分野で理解されるように、直鎖オルガノポリシロキサンでは、下付き文字y’’及びz’’は概して0であるのに対し、樹脂では、下付き文字y’’及び/又はz’’は0より大きい。w’’、x’’、y’’、及びz’’に関し、以下、種々の代替実施形態で説明される。これらの実施形態では、下付き文字w’’は、0~0.9999、0~0.999、0~0.99、0~0.9、0.9~0.999、0.9~0.99、0.8~0.99、又は0.6~0.99の値を有してもよい。下付き文字x’’は、0~0.9、0~0.45、又は0~0.25の値を典型的には有する。下付き文字y’’は、0~0.99、0.25~0.8、又は0.5~0.8の値を典型的には有する。下付き文字z’’は、0~0.99、0~0.85、0.85~0.95、0.6~0.85、0.4~0.65、0.2~0.5、0.1~0.45、0~0.25、又は0~0.15の値を典型的には有する。
【0079】
で表される照射硬化性基は、互いに同じ又は異なっていてもよい。種々の実施形態では、1つ以上の成分(A’’)のケイ素結合照射硬化性基は、アクリロイルオキシアルキル基、置換アクリロイルオキシアルキル基、アルケニルエーテル基、アルケニル基、アクリラート官能基、エポキシ官能基、アルキニル基、チオール置換有機基、水素化ケイ素基、及びエポキシ置換有機基から独立して選択される。こうした基の組合せもまた利用可能である。一般に、アクリロイルオキシアルキル基は、メタクリラートなどのアルキルアクリラート基を含み得る。
【0080】
照射硬化性シリコーン組成物は、(i)1分子あたり少なくとも1つのケイ素結合エチレン性不飽和基を有する少なくとも1つの有機ケイ素化合物、(ii)1分子あたり少なくとも1つの脂肪族炭素-炭素二重結合を有する、少なくとも1つの有機化合物、(iii)1分子あたり少なくとも1つのケイ素結合アクリロイル基を有する、少なくとも1つの有機ケイ素化合物、(iv)1分子あたり少なくとも1つのアクリロイル基を有する、少なくとも1つの有機化合物、又は(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を含む混合物、から選択される不飽和化合物を更に含み得る。不飽和化合物は、直鎖、分枝鎖、又は環状構造を有し得る。不飽和化合物は、上記のもののいずれかなど、エチレン性不飽和基以外の照射硬化性基を含んでもよい。
【0081】
有機ケイ素化合物は、オルガノシラン又はオルガノシロキサンであってよい。オルガノシランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランであり得る。同様に、オルガノシロキサンは、ジシロキサン、トリシロキサン、又はポリシロキサンであってよい。シクロシラン及びシクロシロキサンは、典型的には、3~12個のケイ素原子、3~10個のケイ素原子、又は3~4個のケイ素原子を典型的には有する。非環状ポリシラン及びポリシロキサンでは、1つ以上のケイ素結合エチレン性不飽和基は、末端、ペンダント、又は末端及びペンダントの両方の位置に位置し得る。
【0082】
オルガノシランの具体例としては、下記の式:
ViSi、PhSiVi、MeSiVi、PhMeSiVi、PhSiVi、及びPhSi(CHCH=CH
[式中、Meはメチル、Phはフェニル、Viはビニルである。]を有するシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
オルガノシロキサンの具体例としては、下記の式:
PhSi(OSiMeVi)、Si(OSiMeVi)、MeSi(OSiMeVi)、及びPhSi(OSiMeVi)
[式中、Meはメチル、Viはビニル、Phはフェニルである。]を有するシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
有機化合物は、1分子あたり少なくとも1つの脂肪族炭素-炭素二重結合を含む任意の有機化合物であり得るが、その化合物は、オルガノポリシロキサン(A’’)の硬化を妨げないものとする。有機化合物は、アルケン、ジエン、トリエン、又はポリエンであり得る。更に、非環状有機化合物において、炭素-炭素二重結合は、末端、側枝、又は末端とペンダントとの両方の位置に位置し得る。
【0085】
有機化合物は、脂肪族炭素-炭素二重結合以外の、1つ以上の官能基を含んでいてもよい。好適な官能基の例としては、-O-、>C=O、-CHO、-CO-、-C≡N、-NO、>C=C<、-C≡-、-F、-Cl、-Br、及び-Iが挙げられるが、これらに限定されない。照射硬化性シリコーン組成物に使用するための特定の不飽和有機化合物の適合性は、日常的な実験により容易に決定され得る。
【0086】
脂肪族炭素-炭素二重結合を含む有機化合物の例としては、1,4-ジビニルベンゼン、1,3-ヘキサジエニルベンゼン、及び1,2-ジエテニルシクロブタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
不飽和化合物は、各々が上記のとおりの、単一の不飽和化合物であっても、2つ以上の異なる不飽和化合物を含む混合物であってもよい。例えば、不飽和化合物は、単一のオルガノシラン、2つの異なるオルガノシランの混合物、単一のオルガノシロキサン、2つの異なるオルガノシロキサンの混合物、オルガノシランとオルガノシロキサンとの混合物、単一の有機化合物、2つの異なる有機化合物の混合物、オルガノシランと有機化合物との混合物、又はオルガノシロキサンと有機化合物との混合物であってよい。
【0088】
上記のように、他の実施形態では、照射硬化性シリコーン組成物は、少なくとも1つ、任意選択的には少なくとも2つのケイ素結合照射硬化性基(A’’)を有するオルガノポリシロキサンと、架橋剤(B’’)と、フリーラジカル開始剤(C’’)と、を含む。架橋剤(B’’)は、上記不飽和化合物と同じ、又は異なり得る。種々の実施形態では、架橋剤(B’’)は、オルガノポリシロキサン(A’’)の1つ以上のケイ素結合照射硬化性基と反応する、少なくとも2つの官能基を有するアクリラートを含む。架橋剤(B’’)の例としては、多官能性アクリラートが挙げられる。好適な多官能性アクリラートの具体例は、アクリラート組成物の実施形態に関して以下に説明される。
【0089】
特定の実施形態では、照射硬化性シリコーン組成物は、一般式:
【化8】
のオルガノポリシロキサン(A’’)を含み、nは、成分(A’’)の平均分子量が100~50,000、1,000~25,000、5,000~15,000、7,500~12,500、又は9,000~11,000g/molであるような整数である。
【0090】
フリーラジカル開始剤(C’’)は、フリーラジカルを生成する化合物であり、オルガノポリシロキサン(A’’)の重合を開始するために利用される。典型的には、フリーラジカル開始剤(C’’)は、照射、熱により、及び/又は還元剤による還元により引き起こされる解離により、フリーラジカルを生じる。
【0091】
種々の実施形態では、フリーラジカル開始剤(C’’)は、架橋反応を促進するのに有効である、任意の既知のフリーラジカル光開始剤から選択される。好適な光開始剤の例としては、ベンゾフェノン、アセトナフトン、アセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、3-ヒドロキシプロピルフェニルケトン、3-ヒドロキシプロピル-p-イソプロピルフェニルケトン、ジエトキシキサントン、クロロ-チオキサントン、アゾビスイソブチルニトリル、N-メチル-ジエタノールアミンベンゾフェノン-4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0092】
種々の実施形態では、フリーラジカル開始剤(C’’)は、アゾ化合物又は有機過酸化物化合物である、又はこれらを含む。好適なアゾ化合物としては、アゾベンゼン、アゾベンゼン-p-スルホン酸、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、及びこれらの組合せが挙げられる。好適な有機過酸化物化合物としては、ジアルキルパーオキシド、ジアリールパーオキシド、ジアシルパーオキシド、アルキルヒドロパーオキシド、及びアリールヒドロパーオキシドが挙げられる。あるいは、有機過酸化物は、ベンゾイルパーオキシド;ジベンゾイルパーオキシド;4-モノクロロベンゾイルパーオキシド;ジクミルパーオキシド;tert-ブチルパーオキシベンゾアート;tert-ブチルクミルパーオキシド;tert-ブチルオキシド2,5-ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン;2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド;ジ-tert-ブチルパーオキシ-ジイソプロピルベンゼン;1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン-3,2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン;クミル-tert-ブチルパーオキシド;又はこれらのうちの2つ以上の組合せ;によって例示することができる。
【0093】
フリーラジカル開始剤(C’’)は、単一の化合物又は2つ以上の異なる開始剤を含む混合物であり得る。フリーラジカル開始剤(C’’)の濃度は、オルガノポリシロキサン(A’’)の重量に基づき、典型的には0.1~5重量%、又は0.2~2重量%である。照射硬化性シリコーン組成物は2部の組成物であってもよく、オルガノポリシロキサン(A’’)及びフリーラジカル開始剤(C’’)は別の部中に存在する。
【0094】
種々の実施形態では、シリコーン組成物は、開環反応硬化性を含む、又は開環反応硬化性である。シリコーン物品は、こうした組成物から形成され得る。
【0095】
ある特定の実施形態では、開環反応硬化性シリコーン組成物は、(A’’’)1分子あたり、平均して少なくとも2つのエポキシ置換基を有するオルガノポリシロキサンと、(C’’’)硬化剤と、を含む。ただし、開環反応硬化性シリコーン組成物は、エポキシ官能性オルガノポリシロキサンに特に限定されない。開環反応硬化性シリコーン組成物の他の例としては、シラシクロブタン及び/又はベンゾシクロブテンを含むものが挙げられる。
【0096】
オルガノポリシロキサン(A’’’)は、直鎖、部分的に分枝鎖、分枝鎖、環状、又は樹脂性(網目状)であってもよい。特に、オルガノポリシロキサン(A’’’)は、上に開示されるオルガノポリシロキサン(A)及び有機ケイ素化合物(B)と同様に、M単位、D単位、T単位、及びQ単位の任意の組合せを含んでもよい。
【0097】
特定のオルガノポリシロキサン(A’’’)は、シリコーン物品又はハイブリッド組成物の望ましい特性に基づき選択されてもよい。例えば、シリコーン物品にとってエラストマー、ゲル、樹脂などの形態であることは望ましい場合があり、シリコーン組成物の成分を選択することで、当業者はある範囲の望ましい特性を達成することが可能となる。
【0098】
ある特定の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’’’)は、M単位及び/又はD単位と組み合わせた状態でT単位及び/又はQ単位を典型的に含む、シリコーン樹脂を含む。オルガノポリシロキサン(A’’’)がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であってもよい。一般に、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物が樹脂を含む場合、得られるシリコーン物品又はハイブリッド組成物の剛性は増加する。
【0099】
あるいは、他の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’’’)は、繰り返しD単位を含む。このようなオルガノポリシロキサンは実質的に直鎖であるが、T単位及び/又はQ単位に起因するいく分かの分枝鎖を含むことがある。あるいは、このようなオルガノポリシロキサンは直鎖である。これらの実施形態では、得られるシリコーン物品及び/又はハイブリッド組成物はエラストマー性である。
【0100】
オルガノポリシロキサン(A’’’)のエポキシ置換基は、ペンダント、末端、又は両方の位置に存在し得る。「エポキシ置換された基」は、概して酸素原子が炭素鎖又は環系の2個の隣接する炭素原子に直接結合した、1価の有機基、すなわちエポキシ置換基である。エポキシ置換有機基の例としては、2,3-エポキシプロピル基、3,4-エポキシブチル基、4,5-エポキシペンチル基、2-グリシドキシエチル基、3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、2-(3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシル)-2-メチルエチル基、2-(2,3-エポキシシクロペンチル)エチル基、及び3-(2,3-エポキシシクロペンチル)プロピル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
特定の実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’’’)は、一般式:
【化9】
[式中、各Rは上に定義されており、各Rは、R及びエポキシ置換基から独立して選択され、ただし、Rのうちの少なくとも2つはエポキシ置換基であり、w’’’、x’’’、y’’’、及びz’’’は、w’’’+x’’’+y’’’+z’’’=1となるモル分率である]を有する。技術分野で理解されるように、直鎖オルガノポリシロキサンでは、下付き文字y’’’及びz’’’は概して0であるのに対し、樹脂では、下付き文字y’’’及び/又はz’’’は0より大きい。w’’’、x’’’、y’’’、及びz’’’に関し、様々な代替実施形態について以下に記載する。これらの実施形態では、下付き文字w’’’は、0~0.9999、0~0.999、0~0.99、0~0.9、0.9~0.999、0.9~0.99、0.8~0.99、又は0.6~0.99の値を有してもよい。下付き文字x’’’は、0~0.9、0~0.45、又は0~0.25の値を典型的には有する。下付き文字y’’’は、0~0.99、0.25~0.8、又は0.5~0.8の値を典型的には有する。下付き文字z’’’は、0~0.99、0~0.85、0.85~0.95、0.6~0.85、0.4~0.65、0.2~0.5、0.1~0.45、0~0.25、又は0~0.15の値を典型的には有する。
【0102】
硬化剤(C’’’)は、オルガノポリシロキサン(A’’’)を硬化するのに好適な任意の硬化剤であり得る。その目的に好適な硬化剤(C’’’)の例としては、フェノール化合物、カルボン酸化合物、酸無水物、アミン化合物、アルコキシ基含有化合物、ヒドロキシル基含有化合物、又はそれらの混合物若しくはそれらの部分的反応生成物が挙げられる。より具体的には、硬化剤(C’’’)の例としては、3級アミン化合物(イミダゾール等)、4級アミン化合物、リン化合物(ホスフィン等)、アルミニウム化合物(有機アルミニウム化合物等)、及びジルコニウム化合物(有機ジルコニウム化合物等)が挙げられる。更には、硬化剤若しくは硬化触媒のいずれか、又は硬化剤と硬化触媒との組合せは、硬化剤(C’’’)として使用され得る。硬化剤(C’’’)はまた、光酸又は光酸発生化合物であってもよい。
【0103】
硬化剤(C’’’)のオルガノポリシロキサン(A’’’)に対する比は、限定されない。ある特定の実施形態では、この比は、100重量部のオルガノポリシロキサン(A’’’)あたりの硬化剤(C’’’)の0.1~500重量部である。
【0104】
種々の実施形態では、シリコーン組成物は、チオール-エン硬化性シリコーン組成物を含む、又はチオール-エン硬化性シリコーン組成物である。シリコーン物品は、こうした組成物から形成され得る。
【0105】
ある特定の実施形態では、チオール-エン硬化性シリコーン組成物は、(A)1分子あたり、平均して少なくとも2つのケイ素結合エチレン性不飽和基又はケイ素結合メルカプト-アルキル基を有するオルガノポリシロキサンと、(B’’’)オルガノポリシロキサン(A’’’)中のケイ素結合エチレン性不飽和基又はケイ素結合メルカプト-アルキル基と反応可能である、1分子あたり、平均して少なくとも2つのケイ素結合水素原子又はケイ素結合エチレン性不飽和基を有する有機ケイ素化合物と、(C’’’’)触媒と;(D’’’’)2つ以上のメルカプト基を含有する任意の有機化合物と、を含むチオール-エン硬化性シリコーン組成物を含む。オルガノポリシロキサン(A’’’’)がケイ素結合エチレン性不飽和基を含む場合、有機ケイ素化合物(B’’’’)及び/又は有機化合物(D’’’’)は、ケイ素に結合した、及び/又は有機化合物中に、1分子あたり少なくとも2つのメルカプト基を含み、オルガノポリシロキサン(A’’’’)がケイ素結合メルカプト基を含む場合、有機ケイ素化合物(B’’’’)は1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合エチレン性不飽和基を含む。有機ケイ素化合物(B’’’’)及び/又は有機化合物(D’’’’)は、クロスリンカー又は架橋剤と称されてもよい。
【0106】
触媒(C’’’’)は、オルガノポリシロキサン(A’’’’)と有機ケイ素化合物(B’’’’)及び/又は有機化合物(D’’’’)との間の反応を触媒するのに好適な任意の触媒であり得る。典型的には、触媒(C’’’’)は、i)フリーラジカル触媒、ii)求核試薬、及びiii)i)及びii)の組合せから選択される。触媒(C’’’’)として使用するのに好適なフリーラジカル触媒としては、光活性フリーラジカル触媒、熱活性フリーラジカル触媒、室温フリーラジカル触媒、例えばレドックス触媒及びアルキルボラン触媒、並びにこれらの組合せが挙げられる。触媒(C’’’’)として使用するのに好適な求核試薬としては、アミン、ホスフィン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0107】
種々の実施形態では、シリコーン組成物は、水素化ケイ素-シラノール反応硬化性シリコーン組成物を含む、又は水素化ケイ素-シラノール反応硬化性シリコーン組成物である。シリコーン物品は、こうした組成物から形成され得る。
【0108】
ある特定の実施形態では、水素化ケイ素-シラノール反応硬化性シリコーン組成物は、(A’’’’’)1分子あたり、平均して少なくとも2つのケイ素結合水素原子又は1分子あたり、少なくとも2つのケイ素結合ヒドロキシル基を有するオルガノポリシロキサンと、(B’’’’’)オルガノポリシロキサン(A’’’’’)中のケイ素結合水素原子又はケイ素結合ヒドロキシル基と反応することができる、1分子当たり平均して少なくとも2個のケイ素結合ヒドロキシル基又は少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物と、(C’’’’’)触媒と、(D’’’’’)任意の活性水素含有化合物と、を含む水素化ケイ素-シラノール反応硬化性シリコーン組成物を含む。オルガノポリシロキサン(A’’’’’)がケイ素結合水素原子を含む場合、有機ケイ素化合物(B’’’’’)及び/又は有機化合物(D’’’’’)は、ケイ素に結合した、及び/又は活性水素含有化合物中に、1分子あたり少なくとも2つのヒドロキシル基を含み、オルガノポリシロキサン(A’’’’’)がケイ素結合ヒドロキシル基を含む場合、有機ケイ素化合物(B’’’’’)は1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を含む。有機ケイ素化合物(B’’’’’)及び/又は有機化合物(D’’’’’)は、クロスリンカー又は架橋剤と称されてもよい。
【0109】
典型的には、触媒(C’’’’’)は、i)第X族金属含有触媒、例えば白金、ii)塩基、例えば金属水酸化物、アミン、又はホスフィン、及びiii)これらの組合せから選択される。
【0110】
上記のように、アクリラート組成物は一般式(A):
【化10】
を有するアクリラート化合物、を含む。
【0111】
式(A)では、各RはH及び置換又は非置換ヒドロカルビル基から独立して選択され、Rは、H又は1~10個の炭素原子を有する置換若しくは非置換ヒドロカルビル基であり、nは、1以上の整数であり、Rは、R、アミン基、アルキル基、ヒドロキシル基若しくはアミノ基で置換されたアルキル基、又は1~4を超える価数nを有する部分、から選択される。
【0112】
ある特定の実施形態では、各Rは1~10個、1~8個、1~6個、1~4個、1個又は2個、又は1個の炭素原子を有する、独立して選択された置換又は非置換ヒドロカルビル基である。他の実施形態では、少なくとも1個のRは、置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、他のRはHである。更に他の実施形態では、各RはHである。
【0113】
ある特定の実施形態では、RはHである。他の実施形態では、Rは、1~10個の炭素原子を有する置換又は非置換ヒドロカルビル基である。アクリラート化合物のRに好適な置換又は非置換ヒドロカルビル基の例は、シリコーン組成物のRに関して、上記のものと同様である。種々の実施形態では、Rは、例えばメチル基などのアルキル基である。
【0114】
は、Rと同じであっても異なっていてもよい。Rに好適なアルキル基は、Rついての上記のものを含む。Rのアルキル基は、任意選択的には、例えばヒドロキシル基又はアミノ基で置換され得る。ある特定の実施形態では、Rは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、又はブトキシ基などのアルコキシ基である。他の実施形態では、Rはアミン基である。加えて更には、Rは、例えばケイ素原子など、1よりも大きい価数を有する部分であり得る。Rが1よりも大きい価数を有する部分である場合、アクリラート化合物は、例えば2官能性アクリラート、3官能性アクリラート、又は4官能性アクリラートなど、多官能性アクリラートである。
【0115】
種々の実施形態では、下付き文字nは1である。他の実施形態では、nは1よりも大きい。ある特定の実施形態では、nは1~4であり、1~2であり、又は1である。1よりも大きい価数のnを有する部分は、例えば炭素原子などの1つ以上の原子を含むことができ、プレポリマー又はオリゴマーであってもよい。
【0116】
したがって、アクリラート化合物は、単官能性又は多官能性であり得る。好適な多官能性アクリラートの例は、Sartomer、Arkema及びMiwonから市販されている。特定の実施形態では、アクリラート組成物は、少なくとも1つの単官能性アクリラート、少なくとも1つの多官能性アクリラート(すなわち、2つ以上の官能基を有する)、又はそれらの組合せを含む。
【0117】
種々の実施形態では、アクリラート組成物のアクリラート化合物は、アクリラート、アクリルアミド、アミノ置換アクリラート、ヒドロキシ置換アクリラート、及びそれらの組合せから選択される。ある特定の実施形態では、アクリラート組成物はアクリル酸を更に含む。いくつかの実施形態において、洗剤組成物は、水を実質的にから完全に含まない。他の実施形態では、アクリラート組成物はアクリル酸を実質的に全く含まない。
【0118】
アクリラート化合物としての使用に好適な化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n-プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、n-ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、sec-ブチル(メタ)アクリラート、イソプロピルアクリラート、n-ブチルアクリラート、イソブチルアクリラート、sec-ブチルアクリラート、及びtert-ブチルアクリラートが一般的には挙げられる。ある特定の実施形態では、アクリラート化合物は、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、及びn-ブチル(メタ)アクリラートから選択される。いくつかの実施形態では、アクリラート化合物は、メチルアクリラート、エチルアクリラート、及びn-ブチルアクリラートから選択される。特定の実施形態では、アクリラート化合物はメチル(メタ)アクリラート(MMA)である。
【0119】
アクリラート化合物としての使用に好適な化合物の更なる具体例としては、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリラート、2-ヒドロキシエチルアクリラート、メタクリルアミド、N,N’-ジメチルアミノアクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、t-オクチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N-ビス-(ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N,N-ビス-(ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N,N-ビス-(ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、及びN,N-ビス-(ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノプロピルメタクリラート、ジメチルアミノエチルアクリラート、並びにジメチルアミノプロピルアクリラートなどのアミノ置換アクリラート及びメタクリラート、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート、並びにヒドロキシプロピルアクリラートなどのヒドロキシアルキルアクリラート及びメタクリラート、が挙げられる。2つ以上の化合物の組合せもまた、アクリラート化合物として使用されてもよい。
【0120】
アクリラート化合物は、例えば、未希釈(すなわち、溶媒、担体ビヒクル、希釈剤などが存在しない)などの任意の形態で利用されてもよく、又は溶媒若しくは分散剤などの担体ビヒクル中に配置されてもよい。担体ビヒクルは、存在する場合、有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;など;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、メタノール、エタノールなどのアルコール)、シリコーン流体、水性溶媒(例えば、水)、又はそれらの組合せを含んでもよい、又はそれらであってもよい。
【0121】
ある特定の実施形態では、アクリラート組成物は担体ビヒクルを含まない、又は実質的に含まない。いくつかのそのような実施形態では、アクリラート組成物は、存在する他の成分と反応性がある水及び担体ビヒクル/揮発性物質を含まない、又は実質的には含まない。例えば、ある特定の実施形態では、方法は、アクリラート組成物から、揮発性物質及び/又は溶媒(例えば、水、例えばアルコール、エーテルなどの有機溶媒)を除去することを含んでもよい。アクリラート組成物を除去するための技術は技術分野で理解されており、蒸留、加熱、減圧/真空の印加、溶媒との共沸、モレキュラーシーブの使用など、及びそれらの組合せを含んでもよい。
【0122】
開始剤は、フリーラジカルを生成する化合物であり、アクリラート組成物の重合を開始するために利用される。ある特定の実施形態では、開始剤は、シリコーン組成物の重合を開始するためにも利用される。典型的には、開始剤は、照射、熱により、及び/又は還元剤での還元により引き起こされる解離により、フリーラジカルを生じる。
【0123】
種々の実施形態では、開始剤は、架橋反応を促進するのに有効である、任意の既知のフリーラジカル光開始剤から選択される。好適な光開始剤の例としては、ベンゾフェノン、アセトナフトン、アセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、3-ヒドロキシプロピルフェニルケトン、3-ヒドロキシプロピル-p-イソプロピルフェニルケトン、ジエトキシキサントン、クロロ-チオキサントン、アゾビスイソブチルニトリル、N-メチル-ジエタノールアミンベンゾフェノン-4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0124】
種々の実施形態では、開始剤は、アゾ化合物又は有機過酸化物化合物を含む。好適なアゾ化合物としては、アゾベンゼン、アゾベンゼン-p-スルホン酸、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、及びこれらの組合せが挙げられる。好適な有機過酸化物化合物としては、ジアルキルパーオキシド、ジアリールパーオキシド、ジアシルパーオキシド、アルキルヒドロパーオキシド、及びアリールヒドロパーオキシドが挙げられる。あるいは、有機過酸化物は、ベンゾイルパーオキシド;ジベンゾイルパーオキシド;4-モノクロロベンゾイルパーオキシド;ジクミルパーオキシド;tert-ブチルパーオキシベンゾアート;tert-ブチルクミルパーオキシド;tert-ブチルオキシド2,5-ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン;2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド;ジ-tert-ブチルパーオキシ-ジイソプロピルベンゼン;1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン-3,2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン;クミル-tert-ブチルパーオキシド;又はこれらのうちの2つ以上の組合せ;によって例示することができる。
【0125】
開始剤は、単一の化合物又は2つ以上の異なる開始剤を含む混合物であり得る。開始剤の濃度は、アクリラート組成物の重量に基づき、典型的には0.1~5重量%、又は0.2~2重量%である。
【0126】
種々の実施形態では、シリコーン物品、シリコーン組成物、又はアクリラート組成物のうち少なくとも1つは、少なくとも1つの添加剤を含む、又は少なくとも1つの添加剤の存在下で形成される。添加剤は、技術分野で知られている従来の添加剤から選択され得る。好適な添加剤の例としては、反応(又は重合)開始剤、溶媒、充填剤、安定化剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
ある特定の実施形態では、アクリラート組成物は、重合禁止剤の存在下で照射される。重合禁止剤は限定されておらず、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤など、若しくはそれらの組合せを含んでもよく、又はそれらであってもよい。このような化合物は、技術分野において公知であり、一般に、例えば、それとの共有結合の形成を通じた遊離基の除去を介して、遊離基と相互作用して遊離基を不活性にすることができる化学化合物又は部分である、あるいはこれらのいずれかを含む。重合禁止剤はまた、重合遅延剤(すなわち、ラジカル重合の開始及び/又は成長の速度を低下させる化合物)を含んでもよく、又は重合遅延剤であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、重合禁止剤は酸素ガスを含み、又は酸素ガスである。一般に、重合禁止剤は、ある特定のアクリラート化合物及び/又はアクリルオキシ官能性有機ケイ素化合物のラジカル重合により形成され得る副生成物の形成を防止及び/又は抑制するために利用される。
【0128】
重合禁止剤は限定されるものではなく、フェノール化合物、キノン化合物若しくはヒドロキノン化合物、N-オキシル化合物、フェノチアジン化合物、ヒンダードアミン化合物、又はこれらの組合せを含み得る、又はこれらであり得る。重合禁止剤において、又は重合禁止剤としての使用に好適な他の化合物としては、フェノチアジン(PTZ)及び同様の構造を有する化合物、例えば、フェノキサジン、プロマジン、N,N’-ジメチルフェナジン、カルバゾール、N-エチルカルバゾール、N-ベンジルフェノチアジン、N-(1-フェニルエチル)フェノチアジン、例えば、N-ベンジルフェノチアジン及びN-(1-フェニルエチル)フェノチアジンなどのN-アルキル化フェノチアジン誘導体が挙げられる。他の好適な重合禁止剤としては例えば、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、又は2-フェニル-3-ブチン-2-オールなどのアルキンアルコール;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-インなどのエン-イン化合物;又は1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、若しくはベンゾトリアゾールが挙げられる。当然ながら、重合禁止剤は、任意の数の特定の化合物を含んでもよく、これらはそれぞれ独立して選択されてもよく、重合禁止剤の任意の他の化合物と同じであっても異なっていてもよい。
【0129】
利用される場合、重合禁止剤は、別個の成分として反応物に添加されてもよく、別の成分(例えば、照射前のアクリラート組成物)と組み合わせられてもよい。重合禁止剤は、例えば、選択される特定の重合禁止剤、利用される反応パラメータ、反応の規模(例えば、アクリラート組成物の総量)、反応の雰囲気、反応の温度及び/又は圧力などに応じて、当業者により選択される任意の量で利用されてもよい。ある特定の実施形態では、重合禁止剤は、アクリラート組成物の総量に基づき、50~2,000ppmの量で存在する。
【0130】
例示的な実施形態を以下で説明する。更なる実施形態は、以下の実施例を参照することで理解され得る。
【0131】
第1の一般的な実施形態の例では、予め形成(例えば、市販で提供される)又は調製することができるシリコーン物品を提供する。ある特定の実施形態では、方法はシリコーン物品を調製することを含む。例えば、シリコーン物品は、上記のシリコーン組成物のうち1つ以上から調製され得る。従来の形成方法は、当業者に理解されている。
【0132】
アクリラート組成物及び開始剤が提供される。これらの成分は、共に提供され得る、又は互いに分離可能である。種々の実施形態では、これらの成分が最初に組み合わせられ、溶液を形成する。溶液は均一又は不均一であり得る。
【0133】
シリコーン物品及び溶液(及び/又はそれらの別個の成分)は任意の順番で組み合わせられ得る。また、アクリラート組成物をシリコーン物品に注入して膨潤させ、膨潤シリコーン材料を形成する。アクリラート組成物は、一般的にはシリコーン物品全体に分散されている。
【0134】
シリコーン物品及びアクリラート組成物は、種々の量で組み合わせられ得る。種々の実施形態では、シリコーン物品及びアクリラート組成物は、1:10~10:1、1:9~9:1、1:8~8:1、1:7~7:1、1:6~6:1、1:5~5:1、1:4~4:1、1:3~3:1、1:2~2:1、又は1:1の質量比で組み合わせられる。
【0135】
シリコーン材料は、室温(例えば、23±2℃)又は高い温度で膨潤させることが可能である。膨潤は、安定した平衡状態に達するまで、ある期間にわたって起こり得る。この期間は様々であり得るが、1~120分、30~90分、45~75分、又は55~65分の範囲でもよい。
【0136】
膨潤シリコーン材料は、形成(for formed)され、かつ/又はその後、密閉され、任意選択的には不活性の環境内(例えば、窒素ガスでパージされた容器又は反応器内)にその後配置され得る。高い温度が利用された場合、容器又は反応器は、例えばジャケット、マントルヒータ、ホットプレート、コイルなどを介した任意の好適な方式で加熱されてもよい。
【0137】
追加のアクリラート組成物は、例えばガス流又は流体流れを介して導入されてもよい。かかる導入は、蒸発効果を回避又は防止するために有用であり得る。ある特定の実施形態では、容器又は反応器は加圧され、シリコーン物品の膨潤を促進し、かつ/又はある特定の成分の蒸発を低減若しくは防止することができる。
【0138】
続いて膨潤シリコーン材料は照射される。例えば、膨潤シリコーン材料は紫外照射に曝露され、アクリラート組成物を重合し、その場でアクリラートポリマーを形成する。例えば、硬化中の外皮形成を防止するため、予め過剰なアクリラート組成物を膨潤シリコーン物品から取り除くことができる。膨潤シリコーン材料のアクリラート組成物に照射及び重合することで、シリコーンアクリラートハイブリッド組成物を形成する。
【0139】
照射は、技術分野で理解される方法により実施され得る。種々の実施形態では、アクリラート組成物は紫外線(UV)光を照射することで照射(及びこれにより硬化)される。例えば、低圧、高圧、若しくは超高圧水銀ランプ、ハロゲン化金属ランプ、(パルス)キセノンランプ、又は無電極ランプは、UVランプとして有用である。照射線量は様々であり得る。ある特定の実施形態では、照射線量は5~約6,000mJ/cmの範囲内、又は約10~約4,000mJ/cmの範囲内にある。
【0140】
いくつかの実施形態では、成分の少なくとも1つは、担体ビヒクル又は溶媒を含む。他の実施形態では、照射は任意の担体ビヒクル又は溶媒が存在しない状態で実施される。例えば、担体ビヒクル又は溶媒はシリコーン物品、アクリラート組成物などと別個に組み合わせられない場合がある。これらの実施形態又は他の実施形態では、任意の担体ビヒクル又は溶媒中にはどの成分も配置されておらず、その結果、アクリラート組成物の重合中には担体ビヒクル又は溶媒が存在しない。
【0141】
任意選択的には、ハイブリッド組成物は真空、スイープガス、又はこの両者の組合せに曝露され、揮発性物質を除去することができる。例えば、アクリラート組成物がMMAを含む実施形態では、真空を印加して残留物質を除去することが可能である。
【0142】
第2の一般的な実施形態の例では、シリコーン組成物、アクリラート組成物、及び開始剤は、単一の液体溶液中で組み合わせられる。成分は、従来の技術を使用して組み合わせられ、例えば容器又は反応器内に保持され得る。
【0143】
多くの実施形態では、シリコーン組成物は、照射硬化性シリコーン組成物を含む、又は照射硬化性シリコーン組成物である。これらの実施形態では、照射硬化性シリコーン組成物は、少なくとも1つ、任意選択的には少なくとも2つのケイ素結合照射硬化性基(A’’)を有するオルガノポリシロキサンと、任意選択的には架橋剤(B’’)と、フリーラジカル開始剤(C’’)と、を含む。特定の実施形態では、照射硬化性シリコーン組成物は、少なくとも2つのケイ素結合照射硬化性基を有するオルガノポリシロキサン(A’’)と、フリーラジカル開始剤(C’’)と、を含む。そのような成分の例は、シリコーン組成物の説明と共に上で開示されているとおりである。他の実施形態では、シリコーン組成物は、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を含む、又はヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物である。
【0144】
シリコーン組成物及びアクリラート組成物は、種々の量で組み合わせられ得る。種々の実施形態では、シリコーン及びアクリラート組成物は、1:10~10:1、1:9~9:1、1:8~8:1、1:7~7:1、1:6~6:1、1:5~5:1、1:4~4:1、1:3~3:1、1:2~2:1、又は1:1の体積比で組み合わせられる。更なる実施形態では、オルガノポリシロキサン(A’’)及びアクリラート組成物は、1:10~10:1、1:9~9:1、1:8~8:1、1:7~7:1、1:6~6:1、1:5~5:1、1:4~4:1、1:3~3:1、1:2~2:1、又は1:1の体積比で組み合わせられる。シリコーン組成物とアクリラート組成物との比は、利用されるそれらの組成物、並びにハイブリッド組成物の望ましい特性及びそれらの最終使用用途に基づき選択される。ある特定の実施形態では、ハイブリッド組成物中に過剰なシリコーン物品を有することが望ましい場合があるが、一方で他の実施形態では、ハイブリッド組成物中に過剰なアクリラートポリマーを有することが望ましい場合がある。
【0145】
続いて、溶液は照射されてシリコーン及びアクリラート組成物を同時に重合させる。熱を印加するような他の硬化方法は、例えばシリコーン組成物がヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を含む場合など、シリコーン組成物が熱硬化性である場合には特に、照射と組み合わせて利用されてもよい。これにより、シリコーンアクリラートハイブリッド組成物が形成する。照射は上記のように実施され得る。任意選択的には、ハイブリッド組成物は真空に曝露され、揮発性物質を除去することができる。
【0146】
複合物品もまた提供される。複合物品は、シリコーンアクリラートハイブリッド組成物を含む。種々の実施形態では、複合物品は基板上に配置されたハイブリッド組成物を含む。ある特定の実施形態では、ハイブリッド組成物は、互いに同じであってもよく、又は互いに異なっていてもよい少なくとも2つの基板間に挟まれている。ハイブリッド組成物は基板上に直接形成されていてもよく、又は別に形成され、後で基材に塗布されてもよい。本開示は、特定の基板材料のタイプ又は幾何学的形状に限定されない。特定の実施形態では、少なくとも1つの基板は電子デバイス又はその部品にとって従来のものである。
【0147】
種々の実施形態では、基板は電子デバイスを含む。本開示は、特定の電子デバイスに限定されない。電子デバイスの具体例は、回路基板である。回路基板又は電子デバイスは限定されておらず、例えば自動車業界、制御モジュール、消費者向けアプリケーション及び電化製品、コンピュータ、携帯電話などで利用され得る。
【0148】
ある特定の実施形態では、ハイブリッド組成物はコンフォーマルコーティングとして利用される。いかなる特定の理論によっても拘束又は限定されるものではないが、ハイブリッド組成物は従来のコンフォーマルコーティングに対して優れた特性を提供する。例えば、ハイブリッド組成物のシリコーン面は、優れた光学的透明度(検査を容易にすることができる)を提供し、ハイブリッド組成物のアクリラート面は、剛性、靱性などの優れた機械的特性を提供する。
【0149】
技術分野で理解されるように、コンフォーマルコーティングを使用してプリント回路基板の輪郭に合わせ、基板の構成部品を保護することができる。このコーティングは、平均して25~250μm(マイクロメートル)など種々の厚さで塗布され得る。電子回路に塗布されるコンフォーマルコーティングは概して、水分、埃、化学物質及び極端な温度に対し、電子回路を保護する一助となる。
【0150】
これらの実施形態では、ハイブリッド組成物は、刷毛塗り、噴霧、分注、浸漬コーティングなどを含むいくつかの方法で塗布され得る。ある特定の実施形態では、ハイブリッド組成物は、コーティング塗布範囲検査での一助となる少なくとも1つの着色料(例えば、蛍光色素)を含む。
【0151】
他の実施形態では、ハイブリッド組成物は接着剤組成物として、又は接着剤組成物中に使用される。接着剤組成物は、いくつかの用途で利用されることができるが、本開示は特定の用途に制限するものではない。例えば、接着剤組成物は、ディスプレイ、カメラモジュール、画像センサの結合、ミニ/マイクロLED、スマートウォッチなどで利用されることが多い、光学的に透明な樹脂で利用されてもよい。
【0152】
本開示の実施形態を示す以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明を限定するものではない。実用的な実施例は、概して、上記の本発明の方法の、第1の一般的な実施形態及び第2の一般的な実施形態に該当する。実施例で使用されたある特定の成分を以下の表1に記載する。
【0153】
【表1】
【0154】
第1の一般的な方法
オルガノポリシロキサン1を有機ケイ素化合物と組み合わせて混合物を形成する。温度を上昇させ、ヒドロシリル化触媒を使用して混合物を硬化し、シリコーン物品とも称され得る最初のシリコーンネットワークを形成する。
【0155】
次に、MMAの溶液と1重量%の光開始剤を加える。シリコーン物品と溶液を組み合わせ、溶液をシリコーン物品に注入して膨潤させ、膨潤シリコーン材料を形成する。
【0156】
続いて、膨潤シリコーン材料を密閉した不活性環境内に配置し、紫外照射に曝露して(MMAから)PMMAをその場で重合する。これにより、シリコーンアクリラートハイブリッド組成物が形成する。
【0157】
例えば、形成した又は存在するシリコーン及びPMMAの量に応じ、ハイブリッド組成物は純粋なPDMS(例えば、弾性、ゴム状など)から、高いPMMA含有量(例えば、係数及び靱性が高く、例えば更に堅い)までの範囲の品質を有し得る。加えて、例えばわずかに青色の色合いを有しつつ、50%のPMMAの質量分率に対し、光透過性を合理的な程度に保持することができる。ASTM D1003-13に従って光透過性を測定することができる。
【0158】
比較例1:シリコーン物品の調製
シリコーン配合物を、1:1の質量比で、後で組み合わせるための2部(A部及びB部)混合物で最初に調製する。A部は、8.66グラム(g)のオルガノポリシロキサン1、1.34gの有機ケイ素化合物、及び0.01gの反応阻害剤からなる。B部は、10.00gのオルガノポリシロキサン1及び0.178gの希釈触媒からなる。希釈触媒は、5重量%溶液まで更に希釈されたp-キシレン中のヒドロシリル化触媒であり、1,000ppmのPt含有量を得る。
【0159】
各新規成分を加えた後、1分あたり2,500回転(rpm)でFlaktekスピードミキサにて各部を混合する。続いて、3.00gの各部を第3のスピードミキサのカップに加え、2,500rpmで1分間、共に直ちに混合する。続いて、この組み合わせた混合物5gを直径10センチメートル(cm)の円形ポリスチレンペトリ皿に移して十分広げた後に、75℃に設定したオーブンに2時間入れた。
【0160】
続いて試料をオーブンから取り出し、ピンセットを使用してペトリ皿から架橋したPDMSを取り出す。次に、得られる円状PDMSシートを、20×20ミリメートル(mm)の正方形の試料、又は場合によっては45×45mmの正方形の試料のいずれかへと、カミソリ刃で切断する。
【0161】
実施例1~4
前述の試料を使用し、以下の実施例1~4において異なるハイブリッド組成物を形成する。これらの実施例では、異なる量のPMMAをその場で形成し、PMMA及びシリコーン物品の異なる相互侵入高分子ネットワーク(IPN)を調製する。具体的には、比較例1で形成されたシリコーン物品の試料を、1重量%の光開始剤を含む、異なる体積/体積のMMA溶液と溶媒にそれぞれ浸漬させる。浸漬した試料のそれぞれを、安定した平衡状態に達するまで(少なくとも1時間)室温(RT)で膨潤させる。
【0162】
【表2】
【0163】
安定した平衡状態に達した後、浸漬した試料のそれぞれをピンセットで溶液から取り出し、過剰な溶液をキムワイプで試料表面から取り除き、試料を2枚のスライドガラス間に置き、共に固定する。試料からMMAが蒸発損失するのを最小限に抑えるため、迅速かつ効率的にこれを行う。
【0164】
続いて、「挟まれた」試料を石英ガラス製の頂部を備えた密閉チャンバ内に置く。MMAにバブリングで通した窒素ガスを5分間このチャンバに通して流動させ、その後紫外照射に曝露させる。375ナノメートル(nm)の紫外放射ランプ(LEDD1B)(Thorlabs Inc.製)を使用し、チャンバの石英頂部の上にこれを設置することで試料から10cmの距離に保持する。MMA飽和窒素ガスの連続流れに曝露させつつ、試料を紫外線ライトに1時間曝露する。
【0165】
硬化後、試料をチャンバから取り出し、注意してスライドガラスから外す。蒸発によるエッジ効果により、カミソリ刃を使用して試料の縁を試料から取り去る。続いて、得られる試料を室温で1時間、30水銀柱インチ(inHg)の真空に曝露し、残留MMAを除去する。
【0166】
第2の一般的な方法
オルガノポリシロキサン2、MMA、及び1重量%の光開始剤を単一の液体溶液中で組み合わせ、続いて紫外照射を使用して硬化させ、両方の成分を同時に重合させる。これにより、シリコーンアクリラートハイブリッド組成物が形成する。例えば、成分の量及び/又は種類に応じて、ハイブリッド組成物は不透明又は半透明の白色を有し得る。加えて、上記第1の一般的な方法で説明したような同様の範囲の機械的特性を達成可能である。
【0167】
比較例2:100%PDMSのエラストマーの調製
3.0ミリリットル(mL)のオルガノポリシロキサン2と0.03mLの光開始剤の原液を調製し、100%のPDMS試料を提供する。
【0168】
実施例5~9
異なる量のオルガノポリシロキサン2と異なる量のMMAを有する原液により、異なるIPN試料を調製する。ストック溶液も光開始剤を有する。原液もまた光開始剤を有する。
【0169】
【表3】
【0170】
試料のそれぞれを硬化させるため、予め混合した溶液を、間に厚さ1mmのテフロン製スペーサと共に固定した2枚のスライドガラス(1mm)で挟む。続いて、挟まれた試料を375nm波長の紫外放射ランプ下に配置し、1.7ミリワット(mW/cm)の強度で30分間硬化させる。硬化後、カミソリ刃を使用して厚さ1mmの試料を除去する。
【0171】
実施例の機械的特性評価手順
1mmの目標厚さを有する20×20mmの正方形試料を機械的特性評価に使用する。キャリパを使用して試料の幅及び厚さを測定し、続いて各試料について記録する。
【0172】
試料を、Electroforce力トランスデューサ(TA Instruments)を用いて引張荷重セットアップに装填する。平行クランプを使用し、ゲージ長さが約4mmの高さになるように正方形の試料を把持し、その後、試料が0.05ニュートン(N)の予荷重引張力になるように計器を調整する。続いて、予荷重手順によりオフセットされた位置に基づき、新しいゲージ長さを記録する。同一のプログラムを使用し、試料のそれぞれに2つの試験を実施する。
【0173】
具体的には、試料を最大2mmの最終変位まで10mm/分の変位速度で伸長し、その後、試料を30秒間保持する。この手順中に力及び変位の値を計器により記録し、.csvファイルとしてエクスポートする。予荷重試料の初期ゲージ長さ(約4mm)及び任意の所与の時点における現時点での変位に基づき、工学歪みを計算する。試料の最初に決定された厚さ及び幅からの力の読取り値及び初期断面積に基づき、工学応力を計算する。
【0174】
最初に上記試験を初期状態の試料で実施する。次に、試料(破断が発生していないと仮定)をクランプへと戻して配置し、予荷重手順後、荷重方向と垂直にノッチを導入する。使い捨ての鋼製カミソリ刃を使用してこれを行い、少なくとも2mmの長さで、試料高さに沿って中心に配置されるように裂け目を作製する。続いて同様の手順を使用して試料を再び伸長し、裂け目が広がり始めたときに試料の破断を観察する。
【0175】
この第2の試験から、荷重が減少し始める歪み値を見出すことで荷重対変位曲線により限界歪み値を得る(裂け目が広がり始め、破断が生じ始めることを示す)。第1の(ノッチなしの)試験から、応力対歪み曲線の初期勾配を使用してヤング率を計算する。最後に、使用される「純せん断」形状により以下の計算:
【数1】
[式中、J/m単位ではΓは破断エネルギーであり、2hはノッチ付き試験の初期ゲージ長さであり、εはノッチ付き試験による限界歪み値であり、σ(ε)はノッチなし試験による応力対歪み曲線である]が有効になると仮定することで、破断エネルギーを計算する。
【0176】
【表4】
【0177】
本明細書に説明及び例示されているように、本開示は、純シリコーンエラストマーに対して、弾性率及び破断靱性における実質的な増加(例えば、最大20倍超)を提供するハイブリッド組成物(例えば、シリコーン有機エラストマー材料)を製造する方法を提供する。いかなる特定の理論にも拘束又は限定されるものではないが、これらの有益な特性は、相分離の長さスケールを制限することで達成されると考えられる。これは高度の光透過性を提供するとも考えられる。加えて、ハイブリッド組成物は、マクロスケールの均一性を有するその他の非混和性ポリマーから構成される。
【0178】
したがって、本開示は、例えば、紫外線硬化性コンフォーマルコーティング及び接着剤などの用途で使用される従来のシリコーンエラストマーの制限された靱性が問題となる状況に対する溶液を提供する。例えば、高いガラス転移温度(Tg)ポリマーを特徴とする異なる材料の従来型のブレンド又は混合物は、硬さが増加する可能性があるが、典型的には破断靱性の減少(脆化)に見舞われ、典型的には大スケールの相分離による「2つの相の最も悪い」パフォーマンスをもたらす。
【0179】
本開示の方法は、紫外線硬化されることができ、シリコーンホスト材料中の有機ポリマーの非混和性により生じる大スケールの相分離に関連する不透明度を回避又は最小限に抑えつつ、大幅に破断靱性を向上することの恩典を提供する、強化シリコーン有機ハイブリッド材料を得るという問題を解決する。
【0180】
本発明は例示的な様式で記載されており、使用されている用語は、限定というよりむしろ説明の用語の性質であるように意図されることを理解されたい。明らかに、本発明の多くの修正及び変更が上記教示から可能である。本発明は、具体的に記載した方法のとおり以外の方法でも実施され得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンアクリラートハイブリッド組成物を調製する方法であって、前記方法が、
(i)シリコーン物品、及び/又は(ii)シリコーン組成物の存在下でアクリラート組成物に照射し、前記アクリラート組成物を重合して前記シリコーンアクリラートハイブリッド組成物を得ることを含み、
前記アクリラート組成物が、
一般式(A):
【化1】
[式中、各Rが、H及び置換又は非置換ヒドロカルビル基から独立して選択され、R1がH、又は1~10個の炭素原子を有する置換若しくは非置換ヒドロカルビル基であり、nが1以上の整数であり、R2がR1、アミン基、アルキル基、ヒドロキシル基若しくはアミノ基で置換されたアルキル基、又は1~4を超える価数nを有する部分から選択される]を有するアクリラート化合物、並びに
開始剤、を含む、方法。
【請求項2】
前記アクリラート組成物が、前記シリコーン物品の存在下で照射され、前記アクリラート組成物が前記シリコーン物品全体に分散されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アクリラート組成物が、前記シリコーン組成物の存在下で照射される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記シリコーン組成物が、照射硬化性シリコーン組成物として更に定義され、前記アクリラート組成物に照射することもまた前記シリコーン組成物を硬化させる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコーン組成物が、少なくとも1つのケイ素結合照射硬化性基、任意選択的には少なくとも2つのケイ素結合照射硬化性基を含むオルガノポリシロキサンを含み、1つ以上の前記ケイ素結合照射硬化性基が、アクリロイルオキシアルキル基、置換アクリロイルオキシアルキル基、アルケニルエーテル基、アルケニル基、アクリラート官能基、エポキシ官能基、アルキニル基、チオール置換有機基、水素化ケイ素基、及びエポキシ置換有機基から独立して選択される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
(i)前記アクリラート組成物が、一般式(A)の前記アクリラート化合物とは異なる多官能性アクリラート化合物を更に含み、(ii)前記アクリラート組成物が、アクリル酸を更に含み、(iii)R2がアルコキシ基であり、(iv)各RがHであり、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコーンアクリラートハイブリッド組成物がシリコーン物品及びアクリラートポリマーを含み、(i)前記シリコーン物品及び前記アクリラートポリマーが物理的に少なくとも部分的に混ぜられ、(ii)前記シリコーン物品及び前記アクリラートポリマーが、互いに化学結合されており、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法に従って形成された、シリコーンアクリラートハイブリッド組成物。
【請求項9】
基板上に配置されている請求項8に記載のシリコーンアクリラートハイブリッド組成物を含む、複合物品。
【請求項10】
前記基板が電子デバイスを含む、請求項9に記載の複合物品。

【国際調査報告】