(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】強化フラデッドバッテリーの成層化を低減するために構成されたバッテリーセパレータ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/489 20210101AFI20230227BHJP
H01M 50/44 20210101ALI20230227BHJP
H01M 50/454 20210101ALI20230227BHJP
H01M 50/463 20210101ALI20230227BHJP
H01M 50/457 20210101ALI20230227BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20230227BHJP
H01M 50/437 20210101ALI20230227BHJP
H01M 10/06 20060101ALI20230227BHJP
H01M 50/406 20210101ALI20230227BHJP
【FI】
H01M50/489
H01M50/44
H01M50/454
H01M50/463 A
H01M50/457
H01M50/414
H01M50/437
H01M10/06 Z
H01M50/406
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538950
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(85)【翻訳文提出日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 US2020067263
(87)【国際公開番号】W WO2021138292
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521448592
【氏名又は名称】マイクロポーラス、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリルマイヤー、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ミハラ、デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
【Fターム(参考)】
5H021BB17
5H021CC02
5H021CC04
5H021CC09
5H021EE02
5H021EE21
5H021EE27
5H021HH03
5H021HH04
5H021HH09
5H028AA03
5H028EE04
5H028EE06
5H028HH05
(57)【要約】
強化フラデッドバッテリーの成層化を低減するように構成されたバッテリーセパレータ。強化フラデッドバッテリー用のバッテリーセパレータは、成層化を最小限に抑えるように構成されている。バッテリーセパレータは、微多孔膜と吸収性マットで構成されている。吸収性マットは、15cmを超える3時間の吸上高さを含む。ここで、バッテリーセパレータの吸収性マットは、強化フラデッドバッテリーの成層化を最小限に抑えるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化フラデッドバッテリー用のバッテリーセパレータであって、
微多孔膜と、
15cmを超える3時間の吸上高さを含む吸収性マットと
を備える、バッテリーセパレータ。
【請求項2】
前記吸収性マットは、前記強化フラデッドバッテリーの成層化を最小限に抑えるように構成されている、請求項1に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項3】
前記吸収性マットは、
前記吸収性マットの前記3時間の吸上高さが25cmを超えるか、または、
前記吸収性マットの前記3時間の吸上高さが35cmを超え、
前記吸収性マットの材料吸上高さは、2分で少なくとも50mmである、請求項1に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項4】
前記吸収性マットの吸上高さは、1分間で少なくとも50mmであり、ここで、
前記吸収性マットのBrunauer-Emmett-Teller(「BET」)が0.9m
2/グラムの場合、前記吸収性マットの材料吸上高さは、
1分で64mm、
2分で89mm、
5分で125mm、および、
30分で257mmであり、
前記吸収性マットのBETが1.3m
2/グラムの場合、前記吸収性マットの材料吸上高さは、
1分で55mm、
2分で74mm、
5分で112mm、および、
30分で236mmであり、
前記吸収性マットのBrunauer-Emmett-Teller(「BET」)が0.9m
2/グラムの場合、前記吸収性マットの材料吸上高さは、
7分で10cm、
2時間で32cm、および、
3時間で39cmであり、または、
吸収性マットのBETが1.3m
2/グラムの場合、吸収性マットの材料の吸上高さは、
9分で10cm、
2時間で30cm、および、
3時間で37cmである、請求項3に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項5】
前記吸収性マットは、1.0mm未満の厚さを有する、請求項1に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項6】
前記吸収性マットの厚さは0.5mm未満である、請求項5に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項7】
前記吸収性マットは、マイクロファイバーを含み、前記吸収性マットの少なくとも10%が、1マイクロメートル未満の直径を有するファイバーであり、前記吸収性マットの前記マイクロファイバーは、ガラスマイクロファイバー、ポリマーマイクロファイバー、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項8】
前記吸収性マットの前記マイクロファイバーは、ガラスマイクロファイバー、ポリマーマイクロファイバー、またはそれらの前記組み合わせからなる、請求項7に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項9】
前記微多孔膜は、主に平坦であり、前記微多孔膜は一次リブを有さない、請求項1に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項10】
前記主に平坦な微多孔膜は、
ミニリブであって、前記微多孔膜の片側または両側にあり、前記ミニリブの高さは、0.1mm、0.3mm、またはそれらの組み合わせである、前記ミニリブ、
前記微多孔膜の片側または両側にエンボス加工され、100グリットのサンドペーパーに似ているテクスチャ、または、
それらの組み合わせ
を含む、請求項9に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項11】
前記吸収性マットは、前記微多孔膜の両側にある、請求項1に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項12】
非吸収性ガラスマットをさらに備え、前記微多孔膜および前記吸収性マットは、前記非吸収性ガラスマットによって分離され、前記非吸収性ガラスマットにラミネートされている、請求項1に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項13】
前記強化フラデッドバッテリーは、始動停止動作下で成層化する傾向がある遊離酸を有する自動車用フラデッド鉛蓄電池であり、前記自動車用フラデッド鉛蓄電池は密封されておらず、前記自動車用フラデッド鉛蓄電池は、製造後に水を追加できるように構成されている、請求項1に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項14】
前記吸収性マットは、濡れたときに膨潤して、厚さを増加させる能力を備えて構成されている、請求項1に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項15】
強化フラデッドバッテリー用のバッテリーセパレータであって、
一次リブを含まない主に平坦な微多孔膜であって、前記主に平坦な微多孔膜は、
前記主に平坦な微多孔膜の片側または両側にあるミニリブを含み、前記ミニリブの高さは、0.1mm、0.3mm、またはそれらの組み合わせである、前記主に平坦な微多孔膜と、
15cmを超える3時間の吸上高さを有する吸収性マットであって、前記吸収性マットは、1マイクロメートル未満の直径を有するマイクロファイバーを少なくとも10%含み、前記吸収性マットの前記マイクロファイバーは、ガラスマイクロファイバーおよびポリマーマイクロファイバーの組み合わせを含み、前記吸収性マットの厚さは1.0mm未満である、前記吸収性マットと
を備え、
前記吸収性マットは、前記強化フラデッドバッテリーの層成化を最小限に抑えるように構成されている、バッテリーセパレータ。
【請求項16】
非吸収性ガラスマットをさらに備え、前記微多孔膜および前記吸収性マットは、前記非吸収性ガラスマットによって分離され、前記非吸収性ガラスマットにラミネートされており、
前記吸収性マットは、前記微多孔膜の両側にある、請求項15に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項17】
前記強化フラデッドバッテリーは、始動停止動作下で成層化する傾向がある遊離酸を有する自動車用フラデッド鉛蓄電池であり、前記自動車用フラデッド鉛蓄電池は密封されておらず、前記自動車用フラデッド鉛蓄電池は、製造後に水を追加できるように構成されており、
前記吸収性マットの材料吸上高さは、2分間で少なくとも50mmである、請求項15に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項18】
前記吸収性マットの前記3時間の吸上高さは、25cmを超えているか、または、
前記吸収性マットの前記3時間の吸上高さは、35cmを超えており、
前記吸収性マットの材料吸上高さは、2分で少なくとも50mmである、請求項15に記載のバッテリーセパレータ。
【請求項19】
強化フラデッドバッテリーであって、
前記強化フラデッドバッテリー用に構成されたバッテリーセパレータであって、前記バッテリーセパレータは、
微多孔膜と、
15cmを超える3時間の吸上高さを含む吸収性マットと
を備え、
前記吸収性マットは、前記強化フラデッドバッテリーの成層化を最小限に抑えるように構成される、バッテリーセパレータを含む、強化フラデッドバッテリー。
【請求項20】
前記微多孔膜は、主に平坦であり、前記微多孔膜は一次リブを有さず、
前記主に平坦な微多孔膜は、ミニリブを含み、該ミニリブは、前記微多孔膜の片側または両側にあり、前記ミニリブの高さは、0.1mm、0.3mm、またはそれらの組み合わせであり、
前記吸収性マットは、1マイクロメートル未満の直径を有するファイバーを含み、前記吸収性マットは、前記マイクロファイバーを少なくとも10%含み、前記吸収性マットの前記マイクロファイバーは、ガラスマイクロファイバー、ポリマーマイクロファイバー、またはそれらの組み合わせを含み、
前記吸収性マットの厚さは1.0mm未満であり、
前記吸収性マットの材料吸上高さは、2分で少なくとも50mmであり、
前記吸収性マットは、前記強化フラデッドバッテリーの層成化を最小限に抑えるように構成されており、
前記バッテリーセパレータは、非吸収性ガラスマットをさらに備え、前記微多孔膜および前記吸収性マットは、前記非吸収性ガラスマットによって分離され、前記非吸収性ガラスマットにラミネートされており、
前記吸収性マットは、前記微多孔膜の両側にあり、
前記強化フラデッドバッテリーは、始動停止動作下で成層化する傾向がある遊離酸を有する自動車用フラデッド鉛蓄電池であり、前記自動車用フラデッド鉛蓄電池は密封されておらず、前記自動車用フラデッド鉛蓄電池は、製造後に水を追加できるように構成されている、請求項19に記載の強化フラデッドバッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化フラデッドバッテリーにおける成層化を最小化または排除するバッテリーセパレータまたはセパレータシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池は、1世紀以上にわたって普及している、低コストの充電式エネルギー貯蔵装置である。エネルギー対体積比が低いにもかかわらず、鉛蓄電池は高いサージ電流を提供できるため、スターターモーター、自動車、フォークリフト、無停電電源装置などに魅力的である。鉛蓄電池の2つの主なタイプは、フラデッドバッテリー(「密閉されていない」)と、バルブ調整式鉛蓄電池(VRLA)バッテリー(「密閉されている」)である。「強化」フラデッドバッテリーは、「アイドル-始動-停止」技術を使用する自動車で使用する場合のように、改良された、より堅牢なフラデッド鉛蓄電池である。この技術では、オルタネータが電流の生成を停止したときに、バッテリーが自動車の電気システムを維持するための電力を供給する必要がある。この技術の他の市場には、自動車の再生破壊および産業用オポチュニティチャージング(フォークリフトなど)が含まれる。このような要求のために、この技術には、急速充電と強化サイクリング機能を備えたバッテリーが必要である。現在、「始動-停止」車両はAGM(吸収ガラスマット)とEFB(強化フラデッドバッテリー)を使用しており、どちらもサイクル寿命の延長と高速充電機能をサポートしている。
【0003】
本開示は、既存の強化フラデッドバッテリーセパレータに追加の構成要素を提供するように設計することができる。バッテリーセパレータは、鉛蓄電池セル内で正極を負極から分離または分割する。セパレータは、正極と負極が互いに接触することによって生じる短絡を防ぎながら、可能な限り最小の抵抗でイオンの交換を可能にする。フラデッドバッテリーセパレータは、多孔質マトリックスから作製することができ、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ミネラル粘土、または当業者に知られている他のものなどの多孔質無機充填剤を組み込むことができる。フラデッドバッテリーセパレータはまた、特に望ましい活性を提供する他の材料の中でも、水分損失軽減物質、抗酸化物質、およびゴムラテックスなどの特定の添加剤を組み込むことができる。セパレータの大部分は、架橋された天然および/または合成ゴムや、ポリエステル、ポリスルホン、およびポリオレフィン(通常、分子量が300K~12MMの間)などの様々な分子量の有機ポリマーから構成することができる。フラデッドバッテリーセパレータを製造するために使用される他の材料には、典型的にはポリエステルおよび/またはガラスファイバーから製造されるウェットレイドおよびドライレイド不織布が含まれる。場合によっては、不織布セパレータは耐酸化性を高めるためにフェノール化合物でコーティングされる。このようなセパレータの多くは、セパレータの正極板に面する側に取り付けられたオープンポア構造のスクリムの形態のガラスまたはポリエステルで構成されたラミネートを備えている。ラミネートまたはスクリムは、正極の酸化電位からゴムまたはポリマーの酸化を防ぎ、それによってセパレータの寿命を延ばす。
【0004】
EFBバッテリーとしても知られる強化フラデッドバッテリーは、標準のウェットフラデッド技術の強化版である。これらのタイプのバッテリーは、標準のフラデッドバッテリーまたはAGM VRLAバッテリーと混同されるべきではない。EFB技術の主な利点は、充電の受け入れが改善され、(通常、停止始動用途の)充電状態を下げて動作するときのサイクル耐久性が向上することである。概算として、EFBバッテリーは、標準のフラデッド製品からの30000回の始動と比較して、最大85000回のエンジン始動を提供できる。
【0005】
EFBバッテリーは、パフォーマンス、耐久性、およびコストの観点から、AGMバッテリーの下段の選択肢として導入された。EFB技術は、プレート製造プロセスに多孔質炭素添加剤を添加することにより、既存のフラデッド技術の改善に依存している。AGMバッテリーは、ウェットフラデッドバッテリーには見られない独自の設計機能を備えているというメリットがある。これらには、ガラスマットセパレータ、組換え蓋技術、およびサイクル寿命の改善を促進するためのより高いパック圧力が含まれる。AGMバッテリーは、以下の技術:始動停止、回生ブレーキ、パッシブブーストのうちの1つまたは複数を含むより高い仕様の車両の要求を満たすのにより適している。
【0006】
始動/停止用途に使用される強化フラデッドバッテリーなどの部分充電状態で使用されるバッテリーは、充電不足により成層化するため、寿命が短くなる傾向がある。例として、明らかにそれに限定されないが、成層化の開示された問題はまた、フラデッドディープサイクルバッテリーおよび/またはフラデッドディープサイクルトラクションバッテリーの問題であり得る。フラデッドディープサイクルバッテリーは、太陽エネルギー用途で使用できる(これらのバッテリーは、太陽の不確実性のため、ガス発生を引き起こすのに十分な過充電になることはめったにないため、層状になり、寿命が短くなる傾向がある)。フラデッドディープサイクルトラクションバッテリー(つまり、リフトトラック用)は、通常、「オポチュニティチャージング」を受ける。そのため、これらのバッテリーはまた、一度に十分な充電が行われないため、ガス発生が最小限に抑えられ、酸が層状になる。
【0007】
一般的に、成層化に関連する故障は、セルの底部で濃縮している成層化されたバッテリーの電解質が、正極板と負極板の両方に損傷を与える場合に発生する。セルの底部にある高濃度の「重い」酸濃度は、正極のグリッド腐食を増加させ、負極板上に硫酸鉛の高密度で不活性な領域を生成する。このようなバッテリーの故障では、負極板の底部にある重硫酸塩の負極活物質(NAM)の密なゾーンが、業界で「タイドライン」と呼ばれ得るものによって、上部近くの健全なNAMから分離される。成層化されていないセルには、目に見えるタイドラインがない。重度の成層化を伴うセルのプレート全体の不均等な電荷は、CCA(コールドクランキングアンプ)を低下させ、エンジンの始動が遅くなる。成層化は、通常、バッテリーが低充電(80%未満)で動作する場合、完全に充電されない場合、および/または放電が浅い場合に発生する。オルタネータが常に飽和電荷を印加できるとは限らないため、電力を奪う付属品を使用した車の短距離運転は、成層化に寄与する。大型高級車は特に成層化する傾向がある。バッテリーを数日間休ませるか、またはバッテリーを振って酸の乱流を発生させることは、問題を解決するのに役立つ。しかしながら、成層化は常に回避できるとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、鉛蓄電池技術、特に強化フラデッド鉛蓄電池技術では、常に改善の必要性または要望がある。エネルギー貯蔵バッテリーおよび始動停止車両の強化フラデッドバッテリーのエネルギー需要の増大に伴い、鉛蓄電池技術の継続的な改善が必要である。本開示は、鉛蓄電池、特に成層化の問題が低減された強化フラデッド鉛蓄電池を提供する必要性を認識している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、成層化を低減するように構成された新しいおよび/または改良されたフラデッドバッテリーセパレータおよび強化フラデッドバッテリーを提供することによって、上記の問題または必要性の少なくとも特定の側面に対処するように設計することができる。
【0010】
したがって、一態様では、本発明は、強化フラデッドバッテリーの成層化を低減するように構成されたバッテリーセパレータを包含する。強化フラデッドバッテリー用のバッテリーセパレータは、成層化を最小限に抑えるように構成されている。バッテリーセパレータは、微多孔膜と吸収性マットで構成され得る。
【0011】
開示されたバッテリーセパレータの1つの構成は、吸収性マットが、強化フラデッドバッテリーの成層化を最小限に抑えるように構成され得ることとすることができる。
【0012】
開示されたバッテリーセパレータの別の一構成は、吸収性マットが15cmを超える3時間の吸上高さを含むこととすることができる。選択された実施形態では、吸収性マットは、25cmを超える3時間の吸上高さを含むことができる。選択された好ましいと思われる実施形態では、吸収性マットは、35cmを超える3時間の吸上高さを含むことができる。選択された実施形態では、吸収性マットは、2分で少なくとも50mmの吸上高さを有し得る。開示されたバッテリーセパレータの選択された実施形態では、吸収性マットの材料吸上高さは、1分で少なくとも50mmとすることができる。一例として、明らかにそれに限定されないが、開示されたバッテリーセパレータの吸収性マットが0.9m2/グラムのBrunauer-Emmett-Teller(「BET」)を有し得る場合、吸収性マットは、1分で64mm、2分で89mm、5分で125mm、30分で257mmの材料吸上高さを有し得る。別の一例として、明らかにそれに限定されないが、開示されたバッテリーセパレータの吸収性マットが1.3m2/グラムのBETを有し得る場合、吸収性マットは、1分で55mm、2分で74mm、5分で112mm、30分で236mmの材料吸上高さを有し得る。別の一例として、明らかにそれに限定されないが、開示されたバッテリーセパレータの吸収性マットが0.9m2/グラムのBETを有し得る場合、吸収性マットは、7分間で10cm、2時間で32cm、3時間で39cmの材料吸上高さを有し得る。別の一例として、明らかにそれに限定されないが、開示されたバッテリーセパレータの吸収性マットが1.3m2/グラムのBETを有し得る場合、吸収性マットは、9分で10cm、2時間で30cm、3時間で37cmの材料吸上高さを有し得る。
【0013】
開示されたバッテリーセパレータの別の一構成は、吸収性マットが、濡れたときに膨潤するように構成された厚さを有し得ることとすることができる。選択された実施形態では、吸収性マットの厚さは、1.0mm未満とすることができる。他の選択された実施形態では、吸収性マットの厚さは、0.5mm未満とすることができる。
【0014】
開示されたバッテリーセパレータの別の一構成は、吸収性マットがマイクロファイバーから作られ得ることとすることができる。マイクロファイバーは、1マイクロメートル未満の直径を有するファイバーとすることができる。選択された実施形態では、吸収性マットの少なくとも10%は、1マイクロメートル未満の直径を有するマイクロファイバーとすることができる。他の選択された実施形態では、吸収性マットのマイクロファイバーは、ガラスマイクロファイバーを含むことができる。吸収性マットの選択された実施形態では、吸収性マットのマイクロファイバーは、ガラスマイクロファイバーのみからなる。他の選択された実施形態では、吸収性マットのマイクロファイバーは、ポリマーマイクロファイバーを含むことができる。吸収性マットの選択された実施形態では、吸収性マットのマイクロファイバーは、ポリマーマイクロファイバーのみからなる。好ましいと思われる一実施形態では、吸収性マットのマイクロファイバーは、ガラスマイクロファイバーとポリマーマイクロファイバーの組み合わせを含むことができる。吸収性マットの選択された最も好ましいと思われる実施形態では、吸収性マットのマイクロファイバーは、ガラスマイクロファイバーとポリマーマイクロファイバーの組み合わせのみからなる。
【0015】
開示されたバッテリーセパレータの別の一構成は、微多孔膜が主に平坦であり得ることとすることができる。主に平坦な微多孔膜には、一次リブがない場合がある。選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜は、ミニリブを有し得る。主に平坦な微多孔膜のミニリブは、高さを有し得る。選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜のミニリブの高さは、0.1mmとすることができる。他の選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜のミニリブの高さは、0.3mmとすることができる。他の選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜のミニリブの高さは、0.1mmと0.3mmの組み合わせを含むことができる。他の選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜は、エンボス加工されたテクスチャを有し得る。主に平坦な微多孔膜のエンボス加工されたテクスチャは、微多孔膜の片側または両側にあり得る。選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜のエンボス加工されたテクスチャは、100グリットのサンドペーパーに類似し得る。
【0016】
開示されたバッテリーセパレータの選択された実施形態では、吸収性マットは、微多孔膜の両側にあり得る。
【0017】
開示されたバッテリーセパレータの他の選択された実施形態では、非吸収性ガラスマットが含まれ得る。非吸収性ガラスマットは、非吸収性ガラスマット(Johns Manville B-10など)によって分離され、それによってラミネートされ得る。
【0018】
開示されたバッテリーセパレータの選択された実施形態では、フラデッドまたはEFBバッテリーは、始動-停止動作下で成層化する傾向がある遊離酸を有する自動車用フラデッド鉛蓄電池とすることができる。自動車用フラデッド鉛蓄電池は密閉されておらず、自動車用フラデッド鉛蓄電池は、製造後に水を追加できるように構成されている。
【0019】
開示されたバッテリーセパレータの1つの構成は、吸収性マットが、濡れたときに膨潤し、したがってその厚さを増加させる能力を有し得ることとすることができる。
【0020】
別の一態様では、本開示は、本明細書に示されるおよび/または記載される様々な実施形態および/または実施形態の組み合わせのいずれかにおいて、強化フラデッドバッテリー用のバッテリーセパレータを包含する。
【0021】
別の一態様では、本開示は、本明細書に示されるおよび/または記載される様々な実施形態および/または実施形態の組み合わせのいずれかにおいて開示されるバッテリーセパレータを含む強化フラデッドバッテリーを包含する。したがって、強化フラデッドバッテリーは、強化フラデッドバッテリー用に構成された開示されたバッテリーセパレータを含むことができる。開示された強化フラデッドバッテリーで使用されるバッテリーセパレータは、成層化を最小限に抑えるように構成することができる。開示された強化フラデッドバッテリーで使用されるバッテリーセパレータは、微多孔膜および吸収性マットから構成することができる。吸収性マットは、濡れたときに膨潤し、したがってその厚さを増加させる能力を有し得る。ここで、バッテリーセパレータの吸収性マットは、開示された強化フラデッドバッテリーの成層化を最小限に抑えるように構成することができる。
【0022】
開示されたバッテリーセパレータを備えた開示された強化フラデッドバッテリーの1つの構成は、吸収性マットが、濡れたときに膨潤するように構成された厚さを有し得ることとすることができる。選択された実施形態では、吸収性マットの厚さは、1.0mm未満とすることができる。他の選択された実施形態では、吸収性マットの厚さは、0.5mm未満とすることができる。
【0023】
開示されたバッテリーセパレータを備えた開示された強化フラデッドバッテリーの別の構成は、吸収性マットがマイクロファイバーから作製され得ることとすることができる。マイクロファイバーは、1マイクロメートル未満の直径を有するファイバーとすることができる。選択された実施形態では、吸収性マットの少なくとも10%は、1マイクロメートル未満の直径を有するマイクロファイバーとすることができる。他の選択された実施形態では、吸収性マットのマイクロファイバーは、ガラスマイクロファイバーを含むことができる。吸収性マットの選択された実施形態では、吸収性マットのマイクロファイバーは、ガラスマイクロファイバーのみからなる。他の選択された実施形態では、吸収性マットのマイクロファイバーは、ポリマーマイクロファイバーを含むことができる。吸収性マットの選択された実施形態では、吸収性マットのマイクロファイバーは、ポリマーマイクロファイバーのみからなる。好ましいと思われる一実施形態では、吸収性マットのマイクロファイバーは、ガラスマイクロファイバーとポリマーマイクロファイバーの組み合わせを含むことができる。吸収性マットの選択された最も好ましいと思われる実施形態では、吸収性マットのマイクロファイバーは、ガラスマイクロファイバーとポリマーマイクロファイバーの組み合わせのみからなる。
【0024】
開示されたバッテリーセパレータを備えた開示された強化フラデッドバッテリーの別の構成は、微多孔膜が主に平坦とすることができる。主に平坦な微多孔膜には、一次リブがない場合がある。選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜は、ミニリブを有し得る。主に平坦な微多孔膜のミニリブは、高さを有し得る。選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜のミニリブの高さは、0.1mmとすることができる。他の選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜のミニリブの高さは、0.3mmとすることができる。他の選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜のミニリブの高さは、0.1mmと0.3mmの組み合わせを含み得る。他の選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜は、エンボス加工されたテクスチャを有し得る。主に平坦な微多孔膜のエンボス加工されたテクスチャは、微多孔膜の片側または両側にあり得る。選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜のエンボス加工されたテクスチャは、100グリットのサンドペーパーに類似し得る。
【0025】
開示されたバッテリーセパレータを備えた開示された強化フラデッドバッテリーの選択された実施形態では、吸収性マットは、微多孔膜の両側にあってもよい。
【0026】
前述の例示的な概要、ならびに本開示の他の例示的な目的および/または利点、およびそれが達成される方法は、以下の詳細な説明および添付の図面内でさらに説明される。
【0027】
本開示は、添付の図面を参照して詳細な説明を読むことによってよりよく理解され、これらは必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、同様の符号は同様の構造を示し、全体を通して同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示の選択された実施形態に係る、成層化を低減するように構成された開示されたバッテリーセパレータを利用するための強化フラデッドバッテリーの内部構成要素を示す切り欠き部分を備えた強化フラデッドバッテリーを示す。
【
図2A】本開示の選択された実施形態に係る、上部(セパレータの正極板側)のミニリブまたはエンボス加工されたテクスチャ、吸収性マット、およびそれらの間に挟まれた非吸収性マットが、バッテリーセパレータの両側に取り付けられた、強化フラデッドバッテリー用のバッテリーセパレータの層状ロールを示す。
【
図2B】ミニリブを備えた本開示の選択された実施形態に係るバッテリーセパレータの断面を示す。
【
図2C】
図2Bからのバッテリーセパレータの断面の拡大詳細図を示す。
【
図3】
図2Aの強化フラデッドバッテリー用のバッテリーセパレータの層状ロールの側面図を示す。
【
図4】強化フラデッドバッテリーのサイクリング中の成層化を示す、本開示の選択された実施形態に係る強化フラデッドバッテリーの断面図を示す。
【
図5】強化フラデッドバッテリーのサイクリング中の成層化およびそれが電池寿命をどのように短縮するかを示す、本開示の選択された実施形態に係る強化フラデッドバッテリーの別の図を示す。
【
図6】本開示の選択された実施形態に係る成層化試験の表を示す。
【
図7】
図6に記載された成層化試験の手焼きセルの図を示す。
【
図8】
図6に記載された成層化試験の揺動テーブルの図を示す。
【
図9】本開示の選択された実施形態に係る成層化試験の表を示す。
【
図10】セパレータが従来型の垂直リブを含む、本開示の選択された実施形態に係る成層化試験からのデータの表を示す。
【
図11】セパレータが非従来型の垂直リブを含む、本開示の選択された実施形態に係る成層化試験からのデータの表を示す。
【
図12】セパレータがガラスマットおよびスクリムを含む、本開示の選択された実施形態に係る成層化試験からのデータの表を示す。
【
図13】セパレータがAGMスクリムまたはペースト紙を含む、本開示の選択された実施形態に係る成層化試験からのデータの表を示す。
【0029】
提示された図面は、例示のみを目的としており、したがって、主張された開示に不可欠であるとみなされる場合を除いて、示されている構造の正確な詳細のいずれかまたはすべてに本開示を限定することを望んでも意図してもいないことに留意すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、
図1~
図13を参照すると、本開示の例示的な実施形態を説明する際に、明確にするために特定の用語が使用される。しかしながら、本開示は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図せず、各々の特定の要素は、同様の機能を達成するために同様の方法で動作するすべての技術的均等物を含むことを理解すべきである。しかしながら、特許請求の範囲の実施形態は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。本明細書に記載の例は、非限定的な例であり、他の可能な例の中での単なる例に過ぎない。
【0031】
ここで
図1を参照すると、好ましいと思われる一実施形態では、本開示は、上記の欠点を克服し、鉛蓄電池10を提供することによってそのような装置または方法の認識された必要性を満たす。鉛蓄電池10は、
図1に示されるように、フラデッドまたは強化フラデッドバッテリー(「EFB」)60を含むがこれらに限定されない、任意のサイズまたはタイプの鉛蓄電池とすることができる。
図1に示されるように、フラデッドまたはEFBバッテリー60は、本明細書で一般的に知られ開示されているように、始動-停止動作下で成層化する傾向がある遊離酸を有する自動車用フラデッド鉛蓄電池とすることができる。自動車用フラデッド鉛蓄電池は密閉されていないか、または製造後に水を追加できる鉛蓄電池である(一方、バルブ調整式鉛蓄電池「VRLA」のような密閉型電池は密閉されており、製造後に水を追加できない)。図示されるように、電池10は、間にセパレータ14が挟まれた負極板(電極)12および正極板(電極)16を含む。これらの構成要素はまた、端子ポスト20、バルブアダプタおよびバルブ22、および電解質24を含む容器、ケース、またはハウジング18内に収容されている。正極板パックは、正極のセル接続28および負極32と共に示されている。負極板パック36は、負のセル接続34と共に示されている。電解質24をシールするための電解質密閉シールリング30が示されている。グリッドプレート38も示されている。特定のバッテリーが示されているが、本発明の添加剤は、例えば、フラデッドディープサイクルバッテリー、フラデッドディープサイクルトラクションバッテリー、AGMバッテリー、密閉型鉛蓄電池、フラデッド鉛蓄電池、ISS鉛蓄電池、バッテリーとコンデンサーの組み合わせユニット、他のバッテリータイプ、コンデンサー、アキュムレーターなどを含むがこれらに限定されない、多くの異なるタイプのバッテリーまたはデバイスで使用することができる。
【0032】
ここで、
図2~
図3を参照すると、本開示は、強化フラデッドバッテリーまたはEFBバッテリー60のような鉛蓄電池10用のバッテリーセパレータ14を提供することにより、現在利用可能なバッテリーセパレータ技術の前述の制限を解決する。提供されるバッテリーセパレータ14は、EFBバッテリー60のように、電池10内部の電解質24の成層化を低減または最小限に抑えるように構成することができる。バッテリーセパレータ14は、100%AGMバッテリーおよびそれらのセパレータと比較して、より低コストの選択肢を提供し得る。また、EFBバッテリー60のように、電池10内部の電解質24の成層化を低減または最小限に抑えるように構成されたバッテリーセパレータ14は、AGMバッテリーおよびそれらのセパレータと比較して組み立てを容易にすることができる。
【0033】
一般的に、バッテリーセパレータ14は、微多孔膜40および吸収性マット42から構成することができる。吸収性マット42は、濡れたときに膨潤し、したがってその厚さ44を増加させる能力を有し得る。ここで、バッテリーセパレータ14の吸収性マット42は、強化フラデッドバッテリー60の成層化を最小限に抑えるように構成することができる。吸収性マットは、濡れたときに膨潤するように構成された厚さ44を有し得る。選択された実施形態では、吸収性マット42の厚さ44は、1.0mm未満とすることができる。他の選択された好ましいと思われる実施形態では、吸収性マット42の厚さ44は、0.5mm未満とすることができる。
【0034】
本明細書で定義される吸収性マット42は、電池10の内部の電解質24を吸収するように構成されたマットまたは材料とすることができる。吸収性マット42は、電池10の内部の電解質24を吸収するように構成された方法の任意の材料から作製することができる。バッテリーセパレータ14の1つの構成は、吸収性マット42が10cmを超える3時間の吸上高さを有し得ることとすることができる。選択された実施形態では、吸収性マット42は、15cmを超える3時間の吸上高さを含むことができる。選択された好ましいと思われる実施形態では、吸収性マット42は、25cmを超える3時間の吸上高さを含むことができる。しかしながら、選択された最も好ましいと思われる実施形態では、吸収性マット42は、35cmを超える3時間の吸上高さを含むことができる。選択された実施形態では、吸収性マット42は、2分で少なくとも50mmの吸上高さを有し得る。バッテリーセパレータ14の選択された好ましいと思われる実施形態では、吸収性マット42の材料吸上高さは、1分で少なくとも50mmとすることができる。一例として、明らかにそれに限定されないが、バッテリーセパレータ14の吸収性マット42が0.9m2/グラムのBrunauer-Emmett-Teller(「BET」)を有し得る場合、吸収性マット42は、1分で64mm、2分で89mm、5分で125mm、30分で257mmの材料吸上高さを有し得る。別の一例として、明らかにそれに限定されないが、バッテリーセパレータ14の吸収性マット42が1.3m2/グラムのBETを有し得る場合、吸収性マット42は、1分で55mm、2分で74mm、5分で112mm、30分で236mmの材料吸上高さを有し得る。別の一例として、明らかにそれに限定されないが、バッテリーセパレータ14の吸収性マット14が0.9m2/グラムのBETを有し得る場合、吸収性マット42は、7分で10cm、2時間で32cm、3時間で39cmの材料吸上高さを有し得る。別の一例として、明らかにそれに限定されないが、バッテリーセパレータ14の吸収性マット42が1.3m2/グラムのBETを有し得る場合、吸収性マット42は、9分で10cm、2時間で30cm、3時間で37cmの材料吸上高さを有し得る。BETは、Battery Council International(「BCI」)で使用される業界標準であり、固体表面への気体分子の物理吸着を説明することを目的とし、材料の比表面積を測定するための重要な分析手法のための基礎として役立つBrunauer-Emmett-Teller(BET)理論の略である。観察結果は、物理的吸着または物理吸着と呼ばれることがよくある。吸収性マット42の材料の吸上高さは、BCIテクニカルマニュアルのセクション11(BCIS-03A Rev.Dec15参照)に従って測定され、これは、バッテリーセパレータ14内の電解質24の吸上の程度を測定するための濡れおよび吸上を提供する。
【0035】
選択された実施形態では、吸収性マット42は、マイクロファイバー46から作製することができる。マイクロファイバー46は、1マイクロメートル未満の直径を有するファイバーとすることができる。選択された実施形態では、吸収性マット42の少なくとも10%は、1マイクロメートル未満の直径を有するマイクロファイバーとすることができる。マイクロファイバー46は、電解質24を吸収するために吸収性マット42の内部に構成された任意のマイクロファイバーとすることができる。選択された実施形態では、吸収性マット42のマイクロファイバー46は、ガラスマイクロファイバーを含むことができる。吸収性マット42の選択された実施形態では、吸収性マット42のマイクロファイバー46は、ガラスマイクロファイバーのみからなり得る。他の選択された実施形態では、吸収性マット42のマイクロファイバー46は、ポリマーマイクロファイバーを含むことができる。吸収性マット42の選択された実施形態では、吸収性マット42のマイクロファイバー46は、ポリマーマイクロファイバーのみからなり得る。好ましいと思われる一実施形態では、吸収性マット42のマイクロファイバー46は、ガラスマイクロファイバーとポリマーマイクロファイバーとの組み合わせを含むことができる。吸収性マットの選択された最も好ましいと思われる実施形態では、吸収性マット42のマイクロファイバー46は、ガラスマイクロファイバーとポリマーマイクロファイバーの組み合わせのみからなり得る。
【0036】
バッテリーセパレータ14は、強化フラデッドバッテリー用に構成されたセパレータの標準的なサイズ、形状、および/または構成を含むがこれらに限定されない鉛蓄電池の当技術分野で標準的なサイズ、形状、および/または構成を含むがこれらに限定されない、微多孔膜40および吸収性マット42の組み合わせを備えた、多くの異なるサイズ、形状、および/または構成で提供することができる。EFBバッテリー60における成層化を低減するように構成された開示されたバッテリーセパレータ14の1つの構成は、バッテリーセパレータ14の微多孔膜40が主に平坦であり得ることとすることができる。本明細書に開示されるように、主に平坦とは、微多孔膜が一次リブを有し得ないことを意味し得る。しかしながら、
図2Bおよび
図2Cに示されるように、選択された実施形態では、バッテリーセパレータ14の主に平坦な微多孔膜40は、ミニリブ48を有し得る。主に平坦な微多孔膜のミニリブ48は、高さ50を有し得る。選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜40のミニリブ48の高さ50は、0.1mmとすることができる。出願人は、
図2Bおよび
図2Cが一定の比率で描かれていないことを述べる。好ましいと思われる実施形態では、ミニリブ48は、吸収性マット42の厚さ44よりもはるかに短くてもよい。また、ミニリブ48は、好ましくは、比例して狭く、互いに近接して配置されて、主に平坦な微多孔膜40上にそのようなミニリブ48を多数提供することができる。さらに、選択された実施形態では、微多孔膜40のバックウェブは、好ましくは、吸収性マット42と同じおおよその厚さとすることができる。例として、明らかにそれに限定されないが、好ましいと思われる実施形態では、吸収性マット42は、0.5mm未満または約0.5mm~1.0mmの間の厚さ42を有することができ、微多孔膜40は、約0.2mm~0.25mmの間の厚さを有することができ、ミニリブ48は、高さ0.1mm~0.3mmの間の高さ50と、幅0.1mm~0.3mmの間の同じおおよその幅を有することができる。他の選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜40のミニリブ48の高さ50は、0.3mmとすることができる。他の選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜40のミニリブ48の高さ50は、0.1mmと0.3mmの組み合わせを含むことができる。他の選択された実施形態では、
図2Aに最もよく示されるように、主に平坦な微多孔膜40は、エンボス加工されたテクスチャ52を有し得る。主に平坦な微多孔膜40のエンボス加工されたテクスチャ52は、微多孔膜40の片側または両側にあってもよい。選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜40のエンボス加工されたテクスチャ52は、100グリットのサンドペーパーなどに類似し得る。
【0037】
吸収性マット42は、微多孔膜40のいずれかの側に取り付けることができる。選択された実施形態では、吸収性マット42は、微多孔膜40の両側にあってもよい。しかしながら、これは最も高価な選択肢であり、最も好ましくない。理想的な費用便益の選択肢は、吸収性マット42をポリマーセパレータ40の正極板側にのみ配置することである。
【0038】
ここで、特に
図2Aおよび
図3を参照すると、バッテリーセパレータ14の吸収性マット42の他の選択された実施形態では、非吸収性ガラスマット54が含まれ得る。非吸収性ガラスマット54は、吸収性マット42によって分離され、吸収性マット42にラミネートすることができる。非吸収性ガラスマット54は、Johns Manville B-10(コロラド州デンバーのJohns Manville Corporationによって提供される)などを含むがこれらに限定されない、任意の非吸収性ガラスマットとすることができる。定義上、任意の多孔質不織布ガラスマットは吸収性であり得る(非吸収性は非多孔性を意味する)。Johns Manville B-10の例は、まだ吸収性があるが、吸上がはるかに低く、開示された好ましい吸収性マット42に対して成層化の減少がはるかに少ない。
【0039】
別の一態様では、本開示は、本明細書に示されるおよび/または記載される様々な実施形態および/または実施形態の組み合わせのいずれかにおいて、強化フラデッドバッテリー60用のバッテリーセパレータ14を包含する。
【0040】
別の一態様では、本開示は、本明細書に示されるおよび/または記載される様々な実施形態および/または実施形態の組み合わせのいずれかにおいて開示されるバッテリーセパレータ14を含む強化フラデッドバッテリー60を包含する。したがって、強化フラデッドバッテリー60は、強化フラデッドバッテリー60の成層化を低減または最小限に抑えるように構成された開示されたバッテリーセパレータ14を含むことができる。したがって、開示された強化フラデッドバッテリー60で使用されるバッテリーセパレータ14は、一般的に、微多孔膜40および吸収性マット42から構成することができる。上で論じたように、吸収性マット42は、濡れたときに膨潤し、したがってその厚さを増加させる能力を有し得る。ここで、EFBバッテリー60で使用されるバッテリーセパレータ14の吸収性マット42は、そのような強化フラデッドバッテリー60の成層化を最小限に抑えるように構成することができる。
【0041】
要約すると、バッテリーセパレータ14は、強化フラデッドバッテリー60の成層化を低減するように構成することができる。強化フラデッドバッテリー60用のバッテリーセパレータ14は、成層化を最小限に抑えるように構成することができる。バッテリーセパレータ14は、微多孔膜40および吸収性マット42から構成することができる。選択された実施形態では、吸収性マット42は、1マイクロメートル未満の直径を有する、少なくとも10%のファイバーがマイクロファイバーから構成することができる。選択された実施形態では、吸収性マット42は、1.0mm未満の厚さとすることができる。好ましいと思われる実施形態では、吸収性マット42は、0.5mm未満の厚さとすることができる。選択された実施形態では、吸収性マット42は、ガラスマイクロファイバー、ポリマーマイクロファイバー、またはガラスとポリマーマイクロファイバーの組み合わせから構成することができる。選択された実施形態では、微多孔膜40は平坦とすることができる(すなわち、フラデッドバッテリーセパレータに典型的な一次リブがない)。選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜40は、片側または両側に高さ50が0.1mmのミニリブ48を有し得る。他の選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜40は、片側または両側に高さ50が0.3mmのミニリブ48を有し得る。他の選択された実施形態では、主に平坦な微多孔膜40は、片側または両側にエンボス加工されたテクスチャ52を有し得る。一例として、明らかにそれに限定されないが、エンボス加工されたテクスチャ52は、100グリットのサンドペーパーなどに類似し得る。選択された実施形態では、吸収性マット42は、微多孔膜40の両側にあってもよい。選択された実施形態では、微多孔膜40および吸収性マット42は、非吸収性ガラスマット54(Johns Manville B-10など)によって分離され、それにラミネートされ得る。選択された実施形態では、吸収性マット42は、濡れたときに膨潤し、したがってその厚さを増加させる能力を有し得る。
【0042】
別の一態様では、本開示は、本明細書に示されるおよび/または記載される実施形態のいずれかにおいてバッテリーセパレータ14を作製する方法に向けられ得る。
【0043】
別の一態様では、本開示は、本明細書に示されるおよび/または記載される実施形態のいずれかにおいて、バッテリーセパレータ14を含む強化フラデッドバッテリー60に向けられ得る。
【0044】
さらに別の一態様では、本開示は、本明細書に示されるおよび/または記載される実施形態のいずれかにおいて、バッテリーセパレータ14を備えた強化フラデッドバッテリー60を作製する方法に向けられ得る。
【実施例】
【0045】
ここで、
図4~
図13を参照すると、強化フラデッドバッテリー60のような電池10の成層化を低減または最小限に抑える試験法およびその結果を含む、強化フラデッドバッテリー60のような電池10の成層化を低減または最小限に抑えるように構成されたバッテリーセパレータ14の例が示されている。
【0046】
視覚的な一例として、低重力で低密度のビール(例えば、アメリカの「軽い」ビール)をより高重力で高密度のビール(例えば、インペリアルスタウト)の上に注意深く注ぐことは、成層化の良い視覚的な一例を提供する。各々のビールは異なる比重を有するので、強制的に混合されるまで別々の相にとどまる。同様の密度差は、サイクリング中に鉛蓄電池で作り出される。
図4に最もよく示されているように、再充電中、純硫酸(1.800SG)がプレートから出てきて、セル内の下部のSGの酸と接触するとすぐにセルの底部に落ちる。これは、
図4に示されるように、セル内に成層化を作り出す。
【0047】
図5に示すように、セルが強力なガスで完全に再充電されない場合、酸は層状のままであり、最終的にプレートを台無しにし、バッテリーの寿命を短くする。これは、バッテリーが部分充電状態で動作するため、始動停止用途の障害モードの1つである。
【0048】
したがって、本開示は、成層化を低減するために強化フラデッドバッテリーのセパレータを使用するかどうかを検討した。
【0049】
成層化を生成する試験が採用された。この試験では、9個のプレートセルを約40Ah C/20で手焼きした。次に、EU 50342-6に従って、17.5%CCT(連続サイクル試験)を使用してこれらのセルを試験し、これにより、概して80~100SG点の成層化が生成された。
図6に示される表を参照されたい。
【0050】
図7を参照すると、各々の手焼きされたセルは、カバーが取り外されたケースごとに3つのセルと、試験ごとに2つのケースを有していた。
【0051】
ここで
図8を参照すると、セルは、静置および揺動の2つのモードで「揺動テーブル」上で試験された。揺動は、±13度を提供した。
【0052】
図9に示すように、これらの試験の典型的な結果を示す。静置モードでは、0.087SGの成層化を生み出している。なお、SGは、セルの上部と底部で測定されたことに留意されたい。この試験で揺動すると、成層化が0.056SGに減少した。
【0053】
ここで
図10を参照すると、一連の従来の垂直リブセパレータのデータが示されている。揺動は常に層化の程度を低下させることが分かるが、どの例でもAGMベンチマークに近似することはない。なお、比較のために、AGMを有するセルを含むすべてのセルがフラデッドであることに留意されたい。
【0054】
ここで
図11を参照すると、3Dプリンターを使用して製造された7つの非常に非従来的なリブ設計の結果を示している。独特のリブパターンにもかかわらず、最終的な結果は重要ではなかったことに注意されたい。
【0055】
ここで
図12を参照すると、様々なガラスマットおよびスクリムが11リブセパレータ上で持ち上げられた別の試験シリーズが示されている。繰り返しになるが、わずかな変動のみで、ベンチマークに近いものはない。
【0056】
ここで
図13を参照すると、図示されている一連の試験は、AGMペースト紙を使用して得られたより印象的な結果のいくつかを示している。なお、AGMは、リブのないPEセパレータ材料のシートと組み合わせて使用した場合に最良の応答を示すことに留意されたい。また、SGMを正極と負極の両方に適用することは、正極板のみに適用するよりも大幅に優れているわけではないことに注意されたい。
【0057】
結論として、揺動は成層化の程度を下げるのに効果的であった。しかしながら、リブのピッチまたは間隔、および/またはリブのパターン/デザインは効果的ではなかった。ガラスマットとスクリムは、リブ付きセパレータにわずかに効果的であった。しかしながら、最良の結果は、リブのない(主に平坦な)セパレータに非常に効果的なガラスマットとスクリムの使用から得られた。
【0058】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連するリストされた項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる組み合わせを含む。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、単数形だけでなく複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合の「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」という用語は、述べられた構成、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の構成、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の追加の存在を排除するものではないことがさらに理解される。
【0059】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、関連技術および本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味では解釈されないことがさらに理解される。
【0060】
本発明を説明する際に、いくつかの熱増強が開示されていることが理解されるであろう。これらの各々には個別の利点があり、各々は、他の開示された技術のうちの1つまたは複数、または場合によってはすべてと組み合わせて使用することもできる。したがって、明確にするために、説明は、個々のステップのすべての可能な組み合わせを不必要な方法で繰り返すことを控える。それにもかかわらず、本明細書および請求項は、そのような組み合わせが完全に介入および特許請求の範囲内にあることを理解して読む必要がある。
【0061】
しかしながら、本発明が特定の詳細なしに実施することができることは当業者には明らかであろう。
【0062】
本開示は、本発明の例示と見なされるべきであり、本発明を、以下の図または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0063】
本発明は、好ましい実施形態を表す添付の図を参照することによって説明されない。
【0064】
本発明は、好ましい実施形態およびその特定の実施例を参照して本明細書に例示および説明されてきたが、他の実施形態および実施例が同様の機能を実行し、および/または同様の結果を達成し得ることは当業者には容易に明らかである。そのような均等な実施形態および実施例はすべて、本発明の趣旨および範囲を有し、それによって考えられ、以下の一般的な説明によって網羅されることが意図される。
【0065】
前述の説明は、例示的な実施形態を含む。このように例示的な実施形態を説明したので、当業者は、本開示内は単なる例であり、本開示の範囲内で様々な他の代替、適合、および修正を行うことができることに留意すべきである。方法のステップを特定の順序でリストまたは番号付けするだけでは、その方法のステップの順序にいかなる制限も構成しない。本開示が前述の説明および関連する図面に提示された教示の利益を有することに関係する当業者に、多くの修正および他の実施形態が思い浮かぶであろう。本明細書では特定の用語を使用することができるが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定の目的ではない。したがって、本開示は、本明細書に示される特定の実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【国際調査報告】