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特表2023-508951溶融燃料型反応炉および溶融燃料型反応炉のためのオリフィスリングプレート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】溶融燃料型反応炉および溶融燃料型反応炉のためのオリフィスリングプレート
(51)【国際特許分類】
   G21C 1/22 20060101AFI20230227BHJP
   G21C 5/00 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
G21C1/22
G21C5/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538954
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 US2020066599
(87)【国際公開番号】W WO2021133797
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】62/953,065
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/981,374
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513313945
【氏名又は名称】テラパワー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ワードル,ケント イー.
(57)【要約】
溶融燃料型反応炉は、縦軸を有する実質的に直円筒形状を有する炉心を含む。少なくとも1つの入口は、燃料塩を前記炉心に流入させるように構成される。少なくとも1つの出口は、燃料塩を前記炉心から流出させるように構成され、前記入口および前記出口は、前記炉心に対して燃料塩の流動ループを少なくとも部分的に規定する。オリフィスリングプレートは、前記炉心内に配置され、前記少なくとも1つの入口に近接して配置される。当該オリフィスリングプレートは、前記少なくとも1つの入口から前記炉心に入る燃料塩の流れを調整するように構成されている。当該オリフィスリングプレートは、前記縦軸を中心に円周方向に延在し、前記縦軸に沿った方向に規定された高さを有する。当該オリフィスリングプレートは、そこを通る燃料塩の流れを可能にするように構成された複数の開口を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部反射体、下部反射体、および少なくとも1つの側部反射体によって少なくとも部分的に規定される炉心であって、当該炉心は実質的に直円筒形状であり、当該炉心は縦軸および内径を有する、前記炉心と、
燃料塩を前記炉心に流入させるように構成された少なくとも1つの入口と、
燃料塩を前記炉心から流出させるように構成された少なくとも1つの出口であって、前記少なくとも1つの入口および前記少なくとも1つの出口は、前記炉心に対して燃料塩の流動ループを少なくとも部分的に規定する、前記少なくとも1つの出口と、
前記炉心内に配置され、前記少なくとも1つの入口に近接して配置されたオリフィスリングプレートであって、当該オリフィスリングプレートは前記少なくとも1つの入口から前記炉心に入る燃料塩の流れを調整するように構成され、当該オリフィスリングプレートは前記縦軸を中心に円周方向に延在し、前記縦軸に沿った方向に規定された高さを有し、当該オリフィスリングプレートは燃料塩の流れが通過可能な複数の開口を含む、前記オリフィスリングプレートと、を備える溶融燃料型反応炉。
【請求項2】
前記オリフィスリングプレートは、前記炉心の内径と整列した内面を有する、請求項1に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項3】
前記少なくとも1つの入口は、第1の入口および第2の入口を含み、
前記第1の入口と前記第2の入口とが流体連通するように、前記オリフィスリングプレートの上流にギャップが形成される、請求項1または2に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項4】
前記少なくとも1つの入口は、前記縦軸方向に規定された高さを有し、前記オリフィスリングプレートの高さは、前記少なくとも1つの入口の高さにほぼ等しい、請求項1から3のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項5】
前記炉心と前記少なくとも1つの入口との間にエッジが画定され、当該エッジは少なくとも部分的に丸みを帯びている、請求項1から4のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項6】
前記少なくとも1つの入口は、前記縦軸方向に規定された高さを有し、
前記エッジの半径は、前記少なくとも1つの入口の高さの約3分の1である、請求項5に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項7】
前記オリフィスリングプレートは、上端および下端を有し、当該上端は、前記複数の開口が前記オリフィスリングプレートの上端からずれるように中実部を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項8】
前記オリフィスリングプレートは、上端および下端を有し、前記複数の開口のうちの1つ以上の開口は、当該下端に部分的に規定される、請求項1から7のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項9】
前記下端は、前記下部反射体からずれている、請求項8に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項10】
前記少なくとも1つの入口は、前記上部反射体に隣接している、請求項1から9のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項11】
上部反射体と、
下部反射体と、
前記上部反射体と前記下部反射体との間に延在する少なくとも1つの半径方向反射体と、
前記上部反射体、前記下部反射体、および前記少なくとも1つの半径方向反射体によって少なくとも部分的に規定される炉心であって、当該炉心は、前記少なくとも1つの半径方向反射体に実質的に平行な縦軸を規定する、前記炉心と、
前記下部反射体に隣接し、前記縦軸を中心に円周方向に間隔を置いて配置された複数の半径方向入口と、
前記上部反射体に隣接し、前記縦軸を中心に円周方向に間隔を置いて配置された複数の半径方向出口であって、前記複数の半径方向入口および前記複数の半径方向出口に対して、燃料塩の流動ループが前記炉心を通って規定される、前記複数の半径方向出口と、
前記炉心内に配置され、前記複数の半径方向入口に近接して配置されたオリフィスリングプレートであって、当該オリフィスリングプレートは、複数の半径方向開口を含み、前記複数の半径方向入口から出る燃料塩の流れは、前記オリフィスリングプレートの上方を流れ、前記複数の半径方向開口を通り、かつ前記オリフィスリングプレートの下方を流れ、前記炉心に入る、前記オリフィスリングプレートと、を備える溶融燃料型反応炉。
【請求項12】
前記オリフィスリングプレートは、前記炉心の内径よりも大きい外径を有する、請求項11に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項13】
前記オリフィスリングプレートと前記複数の半径方向入口との間に半径方向ギャップが形成される、請求項11または12に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項14】
前記少なくとも1つの半径方向反射体は、前記複数の半径方向入口と前記炉心との間の前記流動ループの境界を規定する下部コーナを含み、当該下部コーナは曲面を有する、請求項11から13のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項15】
前記オリフィスリングプレートの高さは、前記複数の半径方向入口の高さにほぼ等しい、請求項11から14のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項16】
前記オリフィスリングプレートを横切る燃料塩の流れの圧力降下は、約5~10%の間である、請求項11から15のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【請求項17】
溶融燃料型反応炉のためのオリフィスリングプレートであって、当該溶融燃料型反応炉は縦軸を有する実質的に直円筒形状である炉心を有し、当該オリフィスリングプレートは、
軸方向軸の周りに円周方向に延在する環状板体であって、当該環状板体は前記軸方向軸に実質的に平行な方向に延在する第1端部と反対側の第2端部とを含み、当該環状板体は前記炉心内かつ前記縦軸と整列された前記軸方向軸内に配置される、環状板体と、
前記環状板体内に画定され、前記軸方向軸の周りに円周方向に間隔を置いて配置された複数の半径方向開口と、を備える、溶融燃料型反応炉のためのオリフィスリングプレート。
【請求項18】
前記複数の半径方向開口は、前記環状板体の前記第1端部からずれている、請求項17に記載のオリフィスリングプレート。
【請求項19】
前記複数の半径方向開口は、前記環状板体内に完全に規定される少なくとも1つの第1半径方向開口列と、前記環状板体内に部分的に規定される第2半径方向開口列とを含み、当該第2半径方向開口列は、前記環状板体の前記第2端部に配置される、請求項18に記載のオリフィスリングプレート。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第1半径方向開口列および第2半径方向開口列は、互いに円周方向にずれている、請求項19に記載のオリフィスリングプレート。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔序論〕
本願はPCT国際特許出願として2020年12月22日に出願されており、「MOLTEN FUEL REACTORS AND ORIFICE RING PLATES FOR MOLTEN FUEL REACTORS」という名称の2020年2月25日に出願された米国仮出願第62/981,374号、および「LOW POWER、FAST SPECTRUM MOLTEN CHLORIDE REACTOR」という名称の2019年12月23日に出願された米国仮出願第62/953,065号の優先権および利益を主張するものであり、それらの全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔序論〕
原子核反応炉にて溶融燃料を利用して出力を生成することは、固体型燃料の場合に比べて著しい利点を提供する。例えば、溶融燃料型反応炉は、一般に、固体型燃料の反応炉に比べて高い平均炉心出力密度を提供すると同時に、固体型燃料製品(fabrication)のコストが比較的高い故に、燃料コストが低減される。
【0003】
溶融型フッ化燃料塩は、原子核反応炉での使用に適しており、四フッ化ウラン(UF)を用いるとともに、トリウムのフッ化塩を用いて開発されている(developed)。溶融型フッ化塩の反応炉は、平均温度が600℃と860℃との間で運転される。ウランその他の核分裂性元素の燃料塩であって、二元、三元、および四元の塩化物の燃料塩は、共通の譲渡人の米国特許出願第14/981,512号、発明の名称「溶融核燃料塩並びに関連のシステムおよび方法」に記載されており、該米国特許出願は、この引用により本願に記載加入される。PuCl、UCl、UClF、UCl、UCl、およびUClFの1つ以上を含む塩化燃料塩に加えて、本願は、37Clの量が変更された燃料塩、UBr、UBr等の臭化燃料塩、塩化トリウム(例、ThCl)の燃料塩、並びに、溶融燃料型反応炉にて上記燃料塩を用いるための方法およびシステムをさらに開示している。塩化物塩の反応炉における平均運転温度は、300℃と800℃との間が予想されるが、例えば1000℃よりもさらに高くてもよい。
【0004】
〔溶融燃料型反応炉および溶融燃料型反応炉のためのオリフィスリングプレート〕
溶融燃料型反応炉および溶融燃料型反応炉のためのオリフィスリングプレートについて本明細書に記載する。オリフィスリングプレートは、炉心の低出力領域内に配置され、燃料塩を炉心に流入させる入口チャネルに近接して配置される。オリフィスリングプレートは、燃料塩の流れに実質的に直交して方向付けられ、アクティブ炉心領域に入る燃料塩の流れをバランスさせて分散するように構成されている。炉心内の燃料塩流動を調整することにより、燃料塩流動の安定性が高まる。これにより、反応炉の温度均一性および性能が改善する。オリフィスリングプレートは、直円筒形状の炉心と同軸である。オリフィスリングプレートは、燃料塩を炉心の側面に沿って導き、方位角方向の流れの分散を生じさせるように燃料塩をプレートに通して導き、炉心内の中心線で生じる再循環を低減または防止するために燃料塩をプレートの下方に流すことを可能にするように構成される。
【0005】
本明細書に記載された溶融燃料型反応炉およびオリフィスリングプレートを特徴づける他の様々な利点および特徴は、以下の詳しい記載を読み、関連する図面を見れば明らかとなるであろう。追加の特徴は、以下の記載で示されるとともに、その一部は記載から明らかであろうし、あるいは本技術を実践することにより知りうる。本技術の利点および特徴は、明細書および請求項ならびに添付された図面の構造により実現し、達成することができるであろう。
【0006】
上記の序文および以下の詳細な説明は例示的かつ説明的なものであり、請求項に記載した発明をさらに説明するためのものであることを理解されたい。
【0007】
〔図面の簡単な説明〕
以下の図面は、本願の一部をなすものであり、記載される技術を説明するものであって、本技術の範囲をいかなるかたちでも限定することを意図するものではない。本技術の範囲は添付の請求項に基づくものとする。
【0008】
図1は、溶融燃料反応炉の基本構成のいくつかをブロック図の形態で示す図である。
【0009】
図2は、考え得る物理的実施形態に係る炉心システムの斜視断面図である。
【0010】
図3は、図2に示す炉心システムの燃料塩流動ループの斜視図である。
【0011】
図4は、図3に示す例示的なオリフィスリングプレートおよび燃料塩流動ループの入口チャネルの拡大部分斜視図である。
【0012】
図5は、図4に示すオリフィスリングプレートの拡大部分斜視図である。
【0013】
図6は、図4に示す燃料塩流動ループの燃料塩流動ベクトルプロットである。
【0014】
図7は、図3に示す燃料塩流動ループの燃料塩流動ベクトルおよび温度プロットである。
【0015】
図8は、他のオリフィスリングプレートと、他の燃料塩流動ループの入口チャネルとの部分斜視図である。
【0016】
図9は、他のオリフィスリングプレートと、他の燃料塩流動ループの入口チャネルとの部分斜視図である。
【0017】
図10は、考え得る他の物理的実施形態に係る炉心システムの立面図である。
【0018】
図11は、図10に示す炉心システムの燃料塩流動ループの部分斜視図である。
【0019】
〔詳細な説明〕
本開示では、溶融燃料型反応炉および溶融燃料型反応炉のオリフィスリングプレートについて記載する。オリフィスリングプレートは、炉心の低出力領域内に配置され、燃料塩を炉心に流入させる入口チャネルに近接して配置される。オリフィスリングプレートは、燃料塩の流れに実質的に直交して方向付けられ、活性炉心領域に入る燃料塩の流れをバランスさせて分散するように構成されている。炉心内の燃料塩流動を調整することにより、燃料塩流動の安定性が高まる。これにより、反応炉の温度均一性および性能が改善する。
【0020】
態様において、オリフィスリングプレートは、直円筒形状の炉心と同軸である。オリフィスリングプレートは、炉心を画定する側部反射体に沿って燃料塩を導き、反射体再循環を低減または防止するためにディフレクタベーンを作用させる上端固体部を有する。プレート内には、燃料塩がプレートを通って流れることを可能にし、かつ、炉心内の方位角方向の流れの分散を提供する1つまたは複数の開口が形成されている。また、プレートは、反応炉の炉心内の中心線再循環を低減または防止し、入口チャンネルから燃料塩を排出するのを補助するために、燃料塩がプレートの下方に流れることを可能にするように構成される。態様において、オリフィスリングプレートの高さは、入口チャネルの高さにほぼ等しい。しかしながら、入口チャネルと炉心との間の境界を形成する側部反射体の内側下コーナは、燃料塩がオリフィスリングプレートの上方に流れることができるように湾曲している。態様において、湾曲したコーナの半径は、入口チャネルの高さの約3分の1である。さらに、オリフィスリングプレートは、複数の入口チャネル間の燃料塩流動がプレートの上流でバランスさせるように、入口チャネルから離間されている。
【0021】
本明細書で用いる「軸方向(axial)」および「縦方向(longitudinal)」という用語は、炉心およびオリフィスリングプレートの中心線に対して実質的に平行に延びる方向および方向付けを指す。更に、「半径方向(radial)」および「半径方向に(radially)」という用語は、炉心およびオリフィスリングプレートの中心線に対して実質的に垂直に延びる方向および方向付けを指す。加えて、本明細書で使用する「円周方向(circumferential)」および「円周方向に(circumferentially)」という用語は、炉心およびオリフィスリングプレートの中心線を中心に円弧状に延びる方向および方向付けを指す。
【0022】
本開示では、溶融燃料型原子核反応炉の種々の構成および構成要素が説明される。本願のために、塩化物燃料を使用する溶融燃料型反応炉の実施例が説明されるであろう。しかしながら、現在知られており、或いは将来開発される任意の種類の燃料塩が使用されてもよく、また、本願に記載の技術は、使用される燃料の種類に関係なく同様に適用可能であってもよいことが理解されるであろう。使用される燃料の例としては、U、Pu、Th、または任意の他のアクチニドのうちの1つ以上を有する塩が挙げられる。なお、反応炉内の燃料の運転温度の最低値および最高値は、使用される上記燃料塩に依存して、上記反応炉の全体にわたって上記塩を液相に維持するように変化してもよい。最低温度は300℃~350℃程度の低さでよく、最高温度は、1400℃程度またはそれ以上の高さでよい。
【0023】
図1は、溶融燃料型反応炉100の基本構成の幾つかをブロック図の形態で示している。一般に、溶融燃料型反応炉100は、炉心102を含み、炉心102は、運転温度にて液体である核分裂性燃料塩104を含む。核分裂性燃料塩は、低エネルギーの熱中性子または高エネルギーの中性子に曝されると核分裂することができる任意の核種の塩を含む。さらに、本開示のために、核分裂性物質は、任意の核分裂性核種の物質、任意の親物質、またはこれらの物質の組合せを含む。燃料塩104は、炉心102を完全に満たしていてもよいし、満たしていなくてもよい。図示の実施例では、炉心102において燃料塩104のレベルの上方に任意の上部空間106を有している。炉心102のサイズは、上記燃料を、継続的な臨界状態に達成しかつ維持するために使用される具体的な燃料塩104の特性および種類に基づいて選択されてもよい。上記継続的な臨界状態の間、上記燃料における中性子の継続的な生成により発生する熱により、炉心102にある上記溶融燃料の温度が上昇する。反応炉100の性能は、炉心102の周囲に1または複数の反射体108を設けて、中性子を上記炉心内に反射することによって改善される。図示するように、反応炉100は、上部反射体110と、下部反射体112と、少なくとも1つの半径方向側部反射体114とを含んでもよい。また、反射体108は、炉心102から半径方向外側に配置された部品を遮蔽してもよい。上記溶融型燃料塩104は、炉心102と、炉心102の外側に配置された1または複数の一次熱交換器118との間にて流動ループ116中で循環される。上記循環は1または複数のポンプ120を用いて実行されてもよい。
【0024】
上記一次熱交換器118は、溶融型燃料塩104から、一次冷却材ループ124を介して循環する一次冷却材122への熱伝達を行う。一実施例において、上記一次冷却材は、別の塩(NaCl-MgClなど)、鉛または別の液体金属であってもよい。また、利用可能な他の冷却材としては、Na、NaK、Na混合物、臨界超過のCO、液体鉛、および鉛ビスマス共晶混合物が挙げられる。上記実施例において、半径方向側部反射体114は、図1に示すように、上部反射体110と下部反射体112との間に延在し、各一次熱交換器118および炉心102の間にある。例えば、一態様において、炉心102は、直径が2メートル(m)であり、高さが3m以上の略直円筒形状であり、方向軸126に沿って直立している。その結果、上記円筒の平坦な端部は、頂部(上部)および底部(下部)のそれぞれに存在し、上部反射体110および下部反射体112に隣接している。半径方向側部反射体114は、縦軸126に実質的に平行であり、炉心102の内径128を少なくとも部分的に画定する。
【0025】
炉心102全体は、複数の反射体108によって囲まれており、反射体108の間には、燃料塩104の炉心102内(例えば入口チャネル130)および炉心102外(例えば出口チャネル132)への半径方向流路が設けられている。一態様において、8個の側部反射体114および一次熱交換器118が炉心102の周囲および縦軸126の周囲に円周方向に間隔を置いて配置される。各一次熱交換器118には、燃料塩104の循環を駆動して燃料ループ116を生成するためのポンプ120が設けられている。代替的な実施例において、必要または所望に応じて、様々な個数の側部反射体114および一次熱交換器118が使用されてもよい。例えば、2個、3個、4個、5個、6個、8個、12個、および16個の反射体および一次熱交換器を有する実施例が予想される。また、いくつかの実施例において、燃料塩104の循環が自然に駆動されてもよい(例えば、燃料ループ内の温度差によって生成される密度差を介した燃料の循環)。この構成は、燃料塩ポンプ120の必要性を取り除くことができる。さらに、図1において入口チャネル130は下部反射体112に隣接して図示しているが、必要または所望に応じて、燃料ループ116を反転させてもよく、入口チャネル130を上部反射体110に隣接させてもよいことが理解されるであろう。
【0026】
図1に示す実施形態において、通常(電力生成)運転では、燃料塩104は炉心102から一次熱交換器118を通ってポンプで送られ、冷却された燃料塩104は炉心102に戻される。一次熱交換器118からの加熱された一次冷却材122は、例えば、熱的パワー、電気的パワー、または機械的パワーのような、或る形態のパワーの生成のためにパワー生成システム134に送られる。炉心102、一次熱交換器118、ポンプ120、溶融燃料循環用配管(例えば、チェックバルブ、遮断バルブ、フランジ、ドレインタンクなど、図示していないその他の補助部品を含む)、および、上記溶融燃料が運転中に循環し或いは接触するその他の任意の部品は、燃料ループ116と称されることができる。同様に、一次冷却材ループ124は、一次冷却材が循環する部品を含み、一次熱交換器118と、一次冷却材循環用配管(例えば、冷却材用ポンプ136、チェックバルブ、遮断バルブ、隔離バルブ、フランジ、ドレインタンクなど、図示していないその他の補助部品を含む)とを含む。
【0027】
溶融燃料型反応炉の塩に対向する部品は、腐食から保護するために形成および/または被覆されてもよい。その他の保護オプションとしては、保護用コーティング(protective coatings)、非密着ライナ(loose fitting liners)、または、圧入ライナ(press-fit liners)が挙げられる。燃料の選択によって少なくとも部分的に決定されるだろう動作状態に基づいて、316ステンレス、HT-9、モリブデン合金、ジルコニウム合金(例えば、ZIRCALOY(登録商標))、SiC、グラファイト、ニオブ合金、ニッケルまたはそれらの合金(例えば、HASTELLOY(登録商標))、または高温フェライト、マルテンサイト、ステンレス鋼などの任意の好適な耐高温かつ耐食鋼が使用され得るが、これらに限定されない。
【0028】
さらに、溶融燃料型反応炉100は、少なくとも1つの格納容器138を含み、該格納容器138は、燃料ループ116を含み、上記燃料ループの部品の1つからのリークがあった場合に溶融型燃料塩104の放出を阻止するためのものである。格納容器138は多くの場合、2つの部品、すなわち下部容器部分140と上部キャップ部分142とから作られている。上記下部容器部分140は、いかなる種類の貫通部も有さない、単一の頂部開放容器である。上記上部キャップ部分142は、容器ヘッドと称され、容器部分140の頂部を覆う。反応炉100への全てのアクセスポイントは、頂部から容器ヘッド142を通る。
【0029】
広義に言えば、本開示は、図1に関して説明される反応炉100の性能を改善する複数の変更および複数の部品構成を記載している。例えば、燃料ループ116内の燃料塩104の流れは、入口チャネル130から炉心102に入るとき、急激に(例えば、約90°)旋回して炉心102を通って上向きに流れる。燃料塩104の流れの方向のこの変化、および炉心領域の直径と比較した流入チャネルの相対的断面は、溶融燃料型反応炉100の性能を低下させるジェット状の再循環流渦および流れ挙動の形成を誘発し得る。これらの再循環渦は、加熱される渦の中間部内に比較的静止した流れをもたらし、燃料塩は、浮力によって炉心を通って移動し、不安定な流れ、および場合によっては燃料ループ116内の反応度不安定性を誘発し得る。直円筒形状かつ高流量の炉心に関して、これらの渦は、側部反射体114の内壁に沿って形成され、入口チャネル130を有する下コーナに近接し得る。
【0030】
いくつかの公知の反応炉の構成において、燃料ループのシャープなコーナを低減するように、炉心および入口チャネルの形状および寸法が変更される。例えば、炉心は、変更された入口チャネルを有する砂時計型の形状をとり得る。しかしながら、これらの炉心は炉心の体積を増大させ、その結果、より多くの燃料塩を必要とする。他の公知の反応炉の構成において、例えば(縦軸に関連して)水平板が炉心にわたって配置される。しかしながら、この板はアクティブ炉心の近くに配置され、大量の中性子を吸収し、それによって必要な燃料塩の量も増加する。従って、以下にさらに説明される流量調整器が、炉心102内に配置され、炉心の低出力領域内に入口チャネル130に近接して配置される。流量調整器は、流れが反射体108の下エッジの内側のコーナを回るとき、ジェット状の挙動または際立った再循環を伴わずに、アクティブ炉心に入る燃料塩の流れが十分に分散することを確実にする。本明細書に記載される実施例において、流量調整器は、流れを最適化するように設計されたオリフィスリングプレートである。したがって、流量調整器は、燃料塩104が炉心を通って流れるとき燃料塩104の熱分散を最適化するように設計されたオリフィスリングプレートである。追加的または代替的な実施例において、流動調整器は、指向性バッフル(directional baffles)、管束(tube bundles)、ハニカム、多孔質材料などの代替形態をとってもよい。また、流量調整器は運転に必要な燃料塩の体積が増加しないように、反応炉の幾何学的形状の影響を低減する。
【0031】
図1に記載された溶融燃料型反応炉100は、多くの様々な形態をとり得ることを理解されたい。例えば、反応炉100は、上述のように電力を生成するために使用される溶融塩化物高速反応炉であってもよい。他の例では、反応炉100は、電力を生成せず、熱のみを生成する反応炉であってもよい。この反応炉は、必要または所望に応じて、燃料塩104を研究するために利用され得る。
【0032】
図2は、考え得る物理的実施形態に係る炉心システム200の斜視断面図である。この実施例において、炉心システム200は中央アクティブ炉心204を通って4つの個々の流路206に流入するように燃料塩を循環させるために、単一の溶融塩ポンプアセンブリ202を含む。これらは、燃料塩の流動ループ208を規定する。流動ループ208については、図3においてさらに詳細に記載する。ポンプアセンブリ202は、ポンプモータ210と、ポンプフランジ212と、ポンプ羽根車(pump impeller)214とを含む。羽根車214の回転は、燃料塩の流れを、炉心204を通って上方に、そして流路206内を下方に、そして反応炉容器216の内面に沿って駆動する。代替の実施例において、必要または所望に応じて、流れの方向は逆にすることができる。反応炉容器216は、反応炉容器216から熱を伝達するのを補助するために、外面上にフィン218を含み得る。このように、本実施例において、一次冷却材ループは設けられず、炉心システム200から電力は生成されない。
【0033】
反応炉容器216内では、1つ以上の反射体がアクティブ炉心204を囲んでいる。この実施例において、下部反射体220は炉心204の底面側に配置され、1つ以上の側部反射体222が炉心204の側面を囲んでいる。また、容器ヘッド224は、炉心204の頂部側で反射体として作用する。他の実施例において、上部反射体は容器ヘッド224に隣接して配置されてもよい。また、炉心システム200は、独立して回転する1つ以上の制御ドラム226を含む。本実施例において、中性子吸収体228で作られた部分面を有する反射体材料の円筒である4個の制御ドラム226がある。側部反射体222は、制御ドラム226がアクティブ炉心204に隣接して反応炉容器216内に挿入され得るように、各制御ドラム226のための受け入れスペースを画定する。制御ドラム226は反射体222内で独立して回転し、その結果、中性子吸収体228はアクティブ炉心204に近づくか、または遠ざかる。これは、反射されて炉心204内に戻る中性子の量を制御する。したがって、これは、核分裂に利用可能な中性子の量を制御する。吸収体228が炉心204に近接して回転すると、中性子は反射されるのではなく吸収され、反応炉の反応度は低下する。必要または所望に応じて、制御ドラム226の回転により、反応炉を臨界、未臨界、または超臨界の状態に維持してもよい。
【0034】
また、オリフィスリングプレート230は、アクティブ炉心204内に配置され、下部反射体220に隣接して、流路206からの燃料塩の入口流れに近接して配置される。オリフィスリングプレート230はアクティブ炉心204に入る燃料塩の流れを調整するように構成されており、これにより、よりアクティブ炉心下部領域の内側の燃料塩流れの再循環が低減または排除される。オリフィスリングプレート230については、以下でさらに詳細に説明する。
【0035】
図3は、(図2に示す)炉心システム200の燃料塩流動ループ208の斜視図である。図4は、例示的なオリフィスリングプレート230および燃料塩流動ループ208の入口チャネル232の拡大部分斜視図である。図5は、オリフィスリングプレート230の拡大部分斜視図である。図3~5を同時に参照して、燃料塩流動ループ208およびオリフィスリングプレート230を詳細に説明するために、図2から炉心システムの構成要素が除去されている。流動ループ208は燃料塩で満たされており、流れ方向は矢印234で示されている。流動ループ208は、実質的に直円筒形状であるアクティブ炉心204と、(図2に示す)側部反射体222の周囲に形成される流路206とによって画定される。
【0036】
本実施例において、4つの流路206はアクティブ炉心204の周囲に円周方向に間隔を置いて配置される。4つの流路206は、燃料塩をアクティブ炉心204の下部に流入させるように構成された半径方向に延びる入口チャネル232と、燃料塩をアクティブ炉心204の上部から流出させるように構成された半径方向に延びる出口チャネル236とを含んでいる。入口チャネル232および出口チャネル236はそれぞれ、アクティブ炉心204に実質的に平行な軸方向チャネル237と流体連通して結合されているが、1つまたは複数の反射体(図示せず)によって炉心から分離されている。図3に示すように、4つの流路206の各々は別個であり、互いに離間している。必要または所望に応じて、任意の他の数の別個の流路を利用してもよいことを理解されたい。いくつかの実施例において、各々の流路206の一部(例えば、入口チャネル、出口チャネル、および/または軸方向チャネル)は、燃料塩の流れがアクティブ炉心204に入る前にバランスされるように、互いに流体連通して結合されてもよい。さらに、一態様において、燃料塩流動ループ208は、燃料塩流動が炉心に入る前にバランスされるように、アクティブ炉心204の周りに約360°延びる単一の流路を含んでもよい。出口チャンネル236の上流には、(図2に示す)ポンプアセンブリ202から来る燃料塩の流れを調整するように、誘導ベーン238が設けられている。
【0037】
いくつかの実施例において、燃料塩の流れを制御するように構成された流れ規制装置240が1つまたは複数の流路206内に配置されてもよい。図3に示すように、流れ規制装置240は、アクティブ炉心204と反応炉容器との間の4つの燃料塩流路206のうちの1つの頂部に配置される。1つの流れ規制装置240のみが示されているが、代替実施例においては、他のいくつか、または他のすべての流路206はそのような装置を備えていてもよい。流れ規制装置240はバルブ、仕切バルブ、仕切ゲート(sluice gate)、ピンチバルブなどを含んでもよく、チャネル206における燃料塩の流量を減少させることができる。また、膨張容積242が、ポンプアセンブリ202内の少なくとも一部の燃料塩のために提供される。膨張容積242により、反応炉運転中に加熱された燃料塩が膨張して上記容器に入ることができる。必要または所望に応じて、容器242は、不活性ガスで充填してもよく、膨張容器242内のガスの圧力を制御してガスを清浄化するためにカバーガス管理システム(図示せず)を有してもよい。
【0038】
オリフィスリングプレート230は、アクティブ炉心204内に配置され、入口チャネル232に近接している。オリフィスリングプレート230はアクティブ炉心204の縦軸244を中心に円周方向に延在し、上端246と下端248とを含む。本明細書で予想されるように、オリフィスリングプレート230は円形または実質的に円形であってもよい。それによって、リングプレート230は、共に結合されるときリング状の形状を形成する複数の直線部から形成される。オリフィスリングプレート230がアクティブ炉心204内にあるとき、オリフィスリングプレート230の軸方向の軸は、アクティブ炉心204の縦軸244と整列し、その結果、炉心204とプレート230とが同軸となる。上端246および下端248は、オリフィスリングプレート230がアクティブ炉心204の縦軸244と実質的に平行になるように、縦軸244に沿った方向に延在する。上端246および下端248は、オリフィスリングプレート230の高さHを規定する。オリフィスリングプレート230はプレートを通る燃料塩の流れを可能にするように構成された複数の第1の開口250を有し、開口250の数が多いほど、より多くの燃料塩がプレートを通って流れることを可能にする。上記実施例において、第1の開口250は、オリフィスリングプレート230の周囲に円周方向に間隔を置いて配置され、縦軸244に対して半径方向に延在される。一態様において、開口250は、約4°毎に間隔を置いて配置される。第1の開口250は実質的に円形の形状であるが、開口の形状は、オリフィスリングプレート230が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の他の形状(例えば、楕円形、長方形など)を有し得ることが理解される。
【0039】
上記実施例において、オリフィスリングプレート230は、入口チャネル232の下流にあり、アクティブ炉心204に対して入口チャネル232を少なくとも部分的に覆う。一態様において、オリフィスリングプレート230の下端248は、(図2に示す)下部反射体220に隣接している。他の態様において、下端248と下部反射体220との間にギャップが形成されるように、オリフィスリングプレート230の下端248は、下部反射体220の上方にずれており(オフセットされており)持ち上げられてもよい。また、オリフィスリングプレート230は、半径方向内面252と、反対側の半径方向外面254とを有する。半径方向外面254は、入口チャネル232に対向する。半径方向内面252は、反射体によって形成されたアクティブ炉心204の内側円周方向周囲(境界)256と軸方向に整列される。すなわち、半径方向内面252は、炉心204の内径260にほぼ等しい直径258を有する。炉心204の内径260は、少なくとも部分的に(図2に示す)側部反射体222によって形成される。オリフィスリングプレート230は厚さTを有するので、半径方向外面254の直径は、炉心204の内径260よりも大きい。
【0040】
入口チャネル232および出口チャネル236は、アクティブ炉心204の縦軸244に対して半径方向に延在する。しかしながら、入口チャネル232は、アクティブ炉心204の円周方向周囲256から半径方向にオフセット262だけずれている。このように、半径方向の上流ギャップ264が、入口チャネル232とオリフィスリングプレート230の半径方向外面254との間に形成される。ギャップ264は、入口チャネル232の各々がオリフィスリングプレート230の上流で互いに流体連通することを可能にし、アクティブ炉心204の周囲256の周りの流量分散を増加させる。(各入口チャネルの流れ速度が異なり得るため、)アクティブ炉心204に入る前に、入口チャネル232の各々からの燃料塩の流れをバランスさせることにより、炉心204内の流れの不均衡が低減または防止される。
【0041】
入口チャネル232は、アクティブ炉心204において周囲266を有する。周囲266は、高さHと幅Wとを有する。上記実施例において、オリフィスリングプレート230の高さHは、入口チャネル232の高さHとほぼ等しい。オリフィスリングプレート230のこの寸法および形状は、概して、入口チャネル232を完全に覆うものだが、入口チャネル232とアクティブ炉心204との交差エッジ268は丸く、半径270を有する。上記実施例において、側部反射体222は、入口チャネル232とアクティブ炉心204との間の流動ループ208の境界を画定する。このように、側部反射体222は、丸みを帯びた表面を有し、かつ半径270に対応する(図2に示す)下部内側コーナ272を有する。一態様において、入口チャネル232のアスペクト比(例えば、幅と高さとの比率)は、少なくとも部分的に、半径270を規定する。例えば、アスペクト比が約1である入口チャネルの幾何学的形状の場合、半径270は、入口チャネル232の高さHの約3分の1であり得る。図4に示される実施例において、入口チャネル232は比較的狭い(例えば、高さHよりも大きい幅W)ため、エッジ268の丸み半径が増加するように、半径270は高さHの3分の1よりも大きくなる。
【0042】
運転中および流動ループ208内を燃料塩が流れる間、オリフィスリングプレート230の位置は、入口チャネル232から出た燃料塩がプレート230の上方を流れ、第1の開口250を介してプレート230を通って流れ、そしてプレート230の下方を流れ、アクティブ炉心204に入ることを可能にする。第1の開口250は、中実部274が形成されるように、オリフィスリングプレート230の上端246からずれている。中実部274は、燃料塩の少なくとも一部をオリフィスリングプレート230の上方に流すように誘導し、固体部分274が大きいほど、より多くの流れがプレート230の上方に導かれる。さらに、下端248は、プレート230内に部分的に画定され、燃料塩がプレートの下部より下方を流れることを可能にするように構成された複数の第2の開口276を有する。一実施例において、第2の開口276は、オリフィスリングプレート230の周囲に円周方向に間隔を置いて配置され、縦軸244に対して半径方向に延在される。第2の開口276は、形状が実質的に半円形であるが、開口の形状は、オリフィスリングプレート230が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の他の形状(例えば、楕円形、長方形など)を有し得ることが理解される。
【0043】
一実施例において、第1の開口250は、プレート230の高さHに沿って位置決めされた中心線を有する開口の列を形成する。第1の開口250は同様の寸法および形状を有し、等しく円周方向に間隔を置いて配置される。また、第2の開口276は、プレート230の高さHに沿って位置決めされた中心線を有する開口の列を形成する。第2の開口276の列は、それらが軸方向に重ならないように第1の開口250の列からずらされている。第2の開口276は同様の寸法および形状を有し、等しく円周方向に間隔を置いて配置される。第1の開口250の列は第2の開口276の列から円周方向にずらされ、その結果、第1の開口250は第2の開口276の間に位置決めされ、その逆も同様である。他の実施例において、必要または所望に応じて、開口250、276は異なる寸法および/または形状を有してもよい。また、開口250、276は、必要に応じて、オリフィスリングプレート230の円周方向および/または軸方向のいずれかに、異なる寸法(例えば、円形の開口の場合は直径)を有してもよい。その結果、対象となる目標条件に対する所望の流量分散補正を提供することができる。
【0044】
図6は、図4に示す燃料塩流動ループ208の燃料塩流動ベクトルプロットである。図7は、図3に示す燃料塩流動ループ208の燃料塩流動ベクトルおよび温度プロットである。図6および図7を同時に参照するが、特定の部品は上述しており、必ずしもそれ以上は説明しない。燃料塩モデリングから、オリフィスリングプレート230により、アクティブ炉心204に入るときに燃料塩の流れをバランスさせて分散させることができ、その結果、反応炉性能を向上させることができる。例えば、流れの一部は、アクティブ炉心204の内側周囲256に沿った流れの再循環を低減または防止するために、入口チャネル232から上方に導かれる。流れの一部は、方位角方向に流れを分散するために、オリフィスリングプレート230を通って流れる。また、流れの一部は、アクティブ炉心204の中心線に近接した再循環を低減または防止するために、オリフィスリングプレート230の下方に流される。
【0045】
まず、図6に注目すると、ベクトルプロットは、オリフィスリングプレート230を通る燃料塩の流速を図示している。オリフィスリングプレート230は、方位角方向の流れ分散を提供するために、燃料塩が(例えば、開口250を介して)プレート230を通過することを可能にする。オリフィスリングプレート230は、流れの再循環を低減または防止するために、燃料塩がプレート230を越えて、反射体の壁の上方に進むことを可能にする。また、オリフィスリングプレート230は、中心線再循環を低減または防止し、入口チャネル232からの燃料塩を排出可能とするために、燃料塩がプレート230の下方に進むことを可能にする。一般に、燃料塩の最大流速は、オリフィスリングプレート230の上端を越えることによって保持される。モデル化した反応炉は、燃料塩の流速が低く、一般に1m/秒前後であると考えられる。流速が低いため、流れの再循環はあまり大きくなく、より多くの流れがオリフィスリングプレート230を通って導かれる。
【0046】
また、オリフィスリングプレート230の上流および下流の燃料塩流速は、実質的に維持される。上記実施例において、オリフィスリングプレート230を通しての圧力降下は約10キロパスカル(kPa)以下である。他の実施例において、圧力降下は約25kPa以下である。一般に、オリフィスリングプレート230を通しての圧力降下は、燃料塩流動ループ全体の圧力の約5~10%である。オリフィスリングプレート230を通しての圧力降下を低減することによって、流動ループ208内の燃料塩の流速が改善され、アクティブ炉心204の性能が向上する。また、オリフィスリングプレート230を通しての圧力降下を減少させることは、燃料塩の流れを誘導する(図2に示す)ポンプアセンブリ202の効率を増大させる。本明細書に記載のオリフィスリングプレート230は、プレート230が反応炉の性能を増大させることができるように、種々のパラメータ(例えば、高さ、開口の寸法、開口の間隔、中実部の寸法など)が調整される。
【0047】
ここで、図7に注目すると、ベクトルプロットは、流動ループ208全体を通る燃料塩の流速を図示している。オリフィスリングプレート230は、再循環流を減少または防止するため、燃料塩がループ208全体を通してその速度をより効率的に維持することを可能にする。例えば、炉心内に一様な圧力分布がなく、中心部に増加した流れ圧力がある場合、再循環が炉心の側面で誘発される。逆に、側面の流圧が増加すると、再循環が炉心の中心で誘発される。また、フローの再循環を減少または防止するため、アクティブ炉心204内の燃料塩の温度分布が改善される。従って、オリフィスリングプレート230は、溶融燃料型反応炉の性能を向上させる。
【0048】
図8は、他のオリフィスリングプレート300と、他の燃料塩流動ループ304の入口チャネル302との部分斜視図である。本実施例において、流動ループ304は、実質的に直円筒形状の炉心306を含み、入口チャネル302が底部に近接している。熱交換器(図示せず)を含み、炉心306から反射体(図示せず)の反対側にあるチャネル308に、入口チャネル302は接続される。本実施例における流動ループ304は、燃料塩を炉心306に流す8つの入口チャネル302を有する。入口チャネル302は、図2~7に関連して上述した入口チャネルほど厳密ではないアスペクト比(例えば、幅と高さとの比率)を有するが、燃料塩の流速は著しく高い(例えば、約7メートル/秒)。このように、入口チャネル302と炉心306との間のエッジ310は、入口チャネル302の高さの約3分の1である半径312を有する。
【0049】
本実施例において、オリフィスリングプレート300は、中実部が形成された上端314と、プレート300内に部分的に画定された複数の第2の開口318を有する下端316とを有する。しかしながら、本実施例において、プレート300の下端316は、縦方向のオフセット320だけ下部反射体(図示せず)の上方に上げられる。このオフセット320により、より多くの燃料塩がオリフィスリングプレート300の下を通過して、中心線再循環を回避し、より高い流速での排出を補助することができる。さらに、複数の第1の開口322は、プレート300内に完全に画定される。本実施例において、第1の開口322は、互いに円周方向にずらされた2つの列に形成される。2つの列の開口322を有することにより、より多くの燃料塩がプレート300を通過して、炉心306内の流量分散を提供することができる。
【0050】
一態様において、オリフィスリングプレート300の構成は、以下の通りであってもよい。プレート300の元の高さは、入口チャネル302の高さにほぼ等しくなるように設定され、4つの列の開口がプレート300内に寸法決めされる。このように、開口の直径は、入口チャネル302の高さに少なくとも部分的に基づいてもよい。そして、最上列の開口を除去して、上端314に中実部を形成する。本実施例において、燃料塩の流量がより大きいため、中実部は上述した実施例よりも大きい。その結果、再循環がより大きいので、より多くの流れが炉心304の側面より上方に導かれる。下端316において、開口318の半分を形成するプレートは切断され、これはオフセット320を形成し、プレート300の最終的な高さは入口チャネル302の高さよりも低い。オリフィスリングプレート300の下方の流量を増加させることによる、プレート300自体からの流れの再循環は、高い流速のために減少または防止される。中央にある複数の第1の開口322は、均一な寸法の2つの列の開口としてもよい。他の態様において、オリフィスリングプレート300は、下部から列を上に行くにつれて減少する大きさを有する複数の列の開口(例えば、下部列で最大開口および上部列で最小開口)を伴って形成されてもよい。いくつかの実施例において、オリフィスリングプレート300は、下部における持ち上げられたギャップ、および上部における開口のない列を含まなくてもよい。
【0051】
図9は、他のオリフィスリングプレート400と、他の燃料塩流動ループ404の入口チャネル402との部分斜視図である。本実施例において、流動ループ404は、実質的に直円筒形状の炉心406を含み、入口チャネル402が頂部に近接している。このように、本実施例において、上述した実施例と比較すると、流動ループ404は逆になる。すなわち、燃料塩は、炉心406を通って下方にポンプ圧送され、底部において炉心406へ流出し、頂部から流入する。
【0052】
図8で上述した実施例と同様に、熱交換器(図示せず)を含み、炉心406から反射体(図示せず)の反対側にあるチャネル408に、入口チャネル402は接続される。流動ループ404は、燃料塩を炉心406に流す8つの入口チャネル402を有する。入口チャネル402は、図2~7に関連して上述した入口チャネルほど厳密ではないアスペクト比(例えば、幅と高さとの比率)を有するが、燃料塩の流速は著しく高い(例えば、約7メートル/秒)。このように、入口チャネル402と炉心406との間のエッジ410は、入口チャネル402の高さの約3分の1である半径412を有する。
【0053】
本実施例において、流動ループ404は逆になっているので、オリフィスリングプレート400は、プレート400内に部分的に画定された複数の第2の開口416を有する上端414と、中実部が形成された下端418とを有する。プレート400の上端414は、縦方向のオフセット420だけ上部反射体(図示せず)の下方に下げられる。さらに、複数の第1の開口422は、プレート400内に完全に画定される。本実施例において、第1の開口422は、互いに円周方向にずらされた2つの列に形成される。この流動ループ404では、オリフィスリングプレート400が炉心406内の燃料塩流量分散を増加させ、上述のように再循環流を低減および/または防止する。さらに、オリフィスリングプレート400は、上方向の燃料塩加熱からの浮力を打ち消す。例えば、開口416、422の寸法および間隔は、図8に記載した実施例とは異なっていてもよい。さらに、部分中実部424は、開口416間のプレート400の上端414に形成されてもよい。いくつかの実施例において、部分中実部424は、上部反射体までずっと延びてもよい。一態様において、開口416、422の寸法を入口チャネル402の高さに関連付けたオリフィスリングプレート400の構成は、図8に関連して上述したプレート300と同様であってもよい。
【0054】
図10は、考え得る他の物理的実施形態に係る炉心システム500の立面図である。本実施例において、炉心システム500は、必要または所望に応じて、反応炉の設計および技術の効率的な試験および評価を可能にするように設計された反応炉である実証用反応炉(demonstration reactor)、または商業用反応炉(commercial reactor)であってもよい。実証用および商業用反応炉はいずれも熱を生成するが、商業用反応炉では運転中に生成する熱の散逸に使用可能な電力の生成が含まれ、一方、実証用反応炉では使用可能な電力を生成しても生成しなくてもよい。
【0055】
炉心システム500は、反応炉燃料塩504を収容する底部貫通部のない密閉容器502、燃料ポンプアセンブリ506、反射体508、熱交換器510、および制御要素(図示せず)を有するプール型反応炉である。溶融燃料塩504は、構成要素(例えば、反射体508、ポンプアセンブリ506、および熱交換器510)によって占められていない容器502、遮蔽要素、または燃料置換要素内のすべての空間に充填される。これは、アクティブ炉心512とポンプアセンブリ506および熱交換器510とを接続する燃料チャネル514と同様に、中央の「アクティブ」臨界炉心領域512を形成する。反応炉制御要素(図示せず)は、容器ヘッド516を通って入り、アクティブ炉心512を取り囲む半径方向反射体の領域内に配置される。複数の燃料回路は、燃料塩504を循環させるために並列に作動する。強制流動が喪失した場合には、炉心システム500は、燃料塩を容器502内に安全に保持し、ロバストな自然循環を介して崩壊熱(decay heat)を除去することができる。
【0056】
システム500の臨界「アクティブ炉心」領域512は、環状ドラフトチューブ520によって画定される開いた中央の円筒形状チャンバ518と、ドラフトチューブ520の外側(例えば、ドラフトチューブ520と反射体508との間)に画定されるダウンカマーダクト(downcomer duct)522とを含む。運転中、ポンプアセンブリ506は、燃料塩504をアクティブ炉心512から上方に、そして熱交換器510を通って駆動する。冷却剤流動524は、交換器ヘッド526を通って流され、アクティブ炉心512から熱を抽出する。燃料塩504は、熱交換器510の底部から流出し、ドラフトチューブ520と反射体508との間の環状ダウンカマーダクト522に流入し、アクティブ炉心512に再び入る。チャンバ518内で上方に流れる燃料塩504をダウンカマーダクト522内で下方に流れる燃料塩504から分離する、サブマージドラフトチューブ(submerged draft tube)520の底部の周りを、燃料塩504は遷移する。
【0057】
さらに、オリフィスリングプレート528は、アクティブ炉心512内に配置され、ダウンカマーダクト522とアクティブ炉心512のチャンバ518との間の燃料塩504の遷移部に近接している。オリフィスリングプレート528は、サブマージドラフトチューブ520の底部の周りを移動する燃料塩504の流れを調整するように構成されており、これにより、下部アクティブ炉心領域の内側の燃料塩再循環流が低減または排除される。オリフィスリングプレート528は、以下でさらに詳細に説明される。
【0058】
図11は、(図10に示す)炉心システム500の燃料塩流量ループ530の部分斜視図である。流動ループ530は燃料塩で満たされており、流れ方向は矢印532で示される。流動ループ530は、ドラフトチューブ520および反射体508によって少なくとも部分的に画定される。アクティブ炉心512において、燃料塩は、ダウンカマーダクト522からチャンバ518まで約180°回転する。オリフィスリングプレート528は、ドラフトチューブ520の下端に近接してアクティブ炉心512内に配置される。オリフィスリングプレート528は、プレートを通る燃料塩の流れを可能にするように構成された、列に配置される複数の開口534と、燃料塩の流れの少なくとも一部をオリフィスリングプレート528の上方に導く上端中実部536とを有する。さらに、オリフィスリングプレート528は、ドラフトチューブ520から内側にずれるように、ドラフトチューブ520の直径よりも小さい直径を有する。オリフィスリングプレート528の高さは、下部反射体508の上方のドラフトチューブ520の下端の高さにほぼ等しいか、それより小さい。オリフィスリングプレート528は、炉心の底部に結合され、炉心の底部から延びている。いくつかの実施例において、必要または所望に応じて、オリフィスリングプレート528の上端の一部がドラフトチューブ520によって支持されてもよい。
【0059】
オリフィスリングプレート528は、反応炉性能を向上させるように、チャンバ518に入るときに燃料塩の流れ532をバランスさせ、分散させることを可能にする。例えば、流れの一部は、ドラフトチューブ520の内面に沿って上方向に導かれ、ドラフトチューブ520に沿った流れの再循環を低減または防止する。流れの一部は、オリフィスリングプレート528を通って流れ、方位角方向に流れを分散する。さらに、流れの一部は、アクティブ炉心512の中心線に近接した再循環を低減または防止するために、オリフィスリングプレート528の下方に流される。開口534および上端中実部536の間隔、寸法、および構成は本明細書に記載されるように、燃料塩流れをバランスさせ、分散するように調整され得る。
【0060】
一般に、炉心内における増大した燃料塩流れのバランスおよび分散、ならびに流れの再循環の減少および/または防止は、上述したようなオリフィスリングプレートの設計によって可能となる。オリフィスリングプレートの1つ以上の設計パラメータ、例えば、リング内径、リング厚さ、開口直径、開口角度間隔等(これらに限定されない)は、オリフィスリングプレートを特有の炉心設計および燃料塩流速に合わせて調整するために修正されることを理解されたい。例えば、反射体壁面に沿って導かれる流量を調整するために、開口の寸法および間隔が調整され得る。また、中実部の寸法は、反射体壁に沿って導かれる流量を変化させることができる。部分的な開口の寸法および間隔および/または底部オフセットは、プレートの下方および炉心の中心線に導かれる流量を変化させることができる。また、開口の寸法および間隔は、炉心内の圧力降下と流れの分散を変化させる。例えば、大きな直径の開口は、小さな直径の開口よりも多くの流れがプレートを通ることを可能にする。開口の寸法は、入口チャネルに対する位置によって(例えば、入口チャネルに近いほど小さい直径であり、遠いほど大きな直径に)修正され、および/またはプレート上の位置によって(例えば、下部で小さな直径、上部で大きな直径に)修正され得る。オリフィスリングプレートの厚さは、プレートを通した圧力降下量を変化させることができる。
【0061】
添付の請求の範囲に関係なく、また、上述の実施例に加えて、さらなる実施例が下記の番号付けされた条項に開示される:
<1>
上部反射体、下部反射体、および少なくとも1つの側部反射体によって少なくとも部分的に規定される炉心であって、当該炉心は実質的に直円筒形状であり、当該炉心は縦軸および内径を有する、前記炉心と、
燃料塩を前記炉心に流入させるように構成された少なくとも1つの入口と、
燃料塩を前記炉心から流出させるように構成された少なくとも1つの出口であって、前記少なくとも1つの入口および前記少なくとも1つの出口は、前記炉心に対して燃料塩の流動ループを少なくとも部分的に規定する、前記少なくとも1つの出口と、
前記炉心内に配置され、前記少なくとも1つの入口に近接して配置されたオリフィスリングプレートであって、当該オリフィスリングプレートは前記少なくとも1つの入口から前記炉心に入る燃料塩の流れを調整するように構成され、当該オリフィスリングプレートは前記縦軸を中心に円周方向に延在し、前記縦軸に沿った方向に規定された高さを有し、当該オリフィスリングプレートはそこを通る燃料塩の流れを可能にするように構成された複数の開口を含む、前記オリフィスリングプレートと、を備える溶融燃料型反応炉。
【0062】
<2>
前記オリフィスリングプレートは、前記炉心の内径と整列した内面を有する、条項1に記載の溶融燃料型反応炉。
【0063】
<3>
前記少なくとも1つの入口は、第1の入口および第2の入口を含み、
前記第1の入口と前記第2の入口とが流体連通するように、前記オリフィスリングプレートの上流にギャップが形成される、条項1または2に記載の溶融燃料型反応炉。
【0064】
<4>
前記少なくとも1つの入口は、前記縦軸方向に規定された高さを有し、前記オリフィスリングプレートの高さは、前記少なくとも1つの入口の高さにほぼ等しい、条項1から3のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【0065】
<5>
前記炉心と前記少なくとも1つの入口との間にエッジが画定され、当該エッジは少なくとも部分的に丸みを帯びている、条項1から4のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【0066】
<6>
前記少なくとも1つの入口は、前記縦軸方向に規定された高さを有し、
前記エッジの半径は、前記少なくとも1つの入口の高さの約3分の1である、条項5に記載の溶融燃料型反応炉。
【0067】
<7>
前記オリフィスリングプレートは、上端および下端を有し、当該上端は、前記複数の開口が前記オリフィスリングプレートの上端からずれるように中実部を有する、条項1から6のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【0068】
<8>
前記オリフィスリングプレートは、上端および下端を有し、前記複数の開口のうちの1つ以上の開口は、当該下端に部分的に規定される、条項1から7のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【0069】
<9>
前記下端は、前記下部反射体からずれている、条項8に記載の溶融燃料型反応炉。
【0070】
<10>
前記少なくとも1つの入口は、前記上部反射体に隣接している、条項1から9のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【0071】
<11>
上部反射体と、
下部反射体と、
前記上部反射体と前記下部反射体との間に延在する少なくとも1つの半径方向反射体と、
前記上部反射体、前記下部反射体、および前記少なくとも1つの半径方向反射体によって少なくとも部分的に規定される炉心であって、当該炉心は、前記少なくとも1つの半径方向反射体に実質的に平行な縦軸を規定する、前記炉心と、
前記下部反射体に隣接し、前記縦軸を中心に円周方向に間隔を置いて配置された複数の半径方向入口と、
前記上部反射体に隣接し、前記縦軸を中心に円周方向に間隔を置いて配置された複数の半径方向出口であって、前記複数の半径方向入口および前記複数の半径方向出口に対して、燃料塩の流動ループが前記炉心を通って規定される、前記複数の半径方向出口と、
前記炉心内に配置され、前記複数の半径方向入口に近接して配置されたオリフィスリングプレートであって、当該オリフィスリングプレートは、複数の半径方向開口を含み、前記複数の半径方向入口から出る燃料塩の流れは、前記オリフィスリングプレートの上方を流れ、前記複数の半径方向開口を通り、および前記オリフィスリングプレートの下方を流れ、前記炉心に入る、前記オリフィスリングプレートと、を備える溶融燃料型反応炉。
【0072】
<12>
前記オリフィスリングプレートは、前記炉心の内径よりも大きい外径を有する、条項11に記載の溶融燃料型反応炉。
【0073】
<13>
前記オリフィスリングプレートと前記複数の半径方向入口との間に半径方向ギャップが形成される、条項11または12に記載の溶融燃料型反応炉。
【0074】
<14>
前記少なくとも1つの半径方向反射体は、前記複数の半径方向入口と前記炉心との間の前記流動ループの境界を規定する下部コーナを含み、当該下部コーナは曲面を有する、条項11から13のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【0075】
<15>
前記オリフィスリングプレートの高さは、前記複数の半径方向入口の高さにほぼ等しい、条項11から14のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【0076】
<16>
前記オリフィスリングプレートを横切る燃料塩の流れの圧力降下は、約5~10%の間である、条項11から15のいずれか1項に記載の溶融燃料型反応炉。
【0077】
<17>
溶融燃料型反応炉のためのオリフィスリングプレートであって、当該溶融燃料型反応炉は縦軸を有する実質的に直円筒形状である炉心を有し、当該オリフィスリングプレートは、
軸方向軸の周りに円周方向に延在する円板体(環状板体)であって、当該円板体は前記軸方向軸に実質的に平行な方向に延在する第1端部と反対側の第2端部とを含み、当該円板体は前記炉心内および前記縦軸と整列された前記軸方向軸内に配置される、円板体と、
前記円板体内に画定され、前記軸方向軸の周りに円周方向に間隔を置いて配置された複数の半径方向開口と、を備える、溶融燃料型反応炉のためのオリフィスリングプレート。
【0078】
<18>
前記複数の半径方向開口は、前記円板体の前記第1端部からずれている、条項17に記載のオリフィスリングプレート。
【0079】
<19>
前記複数の半径方向開口は、前記円板体内に完全に規定される少なくとも1つの第1半径方向開口列と、前記円板体内に部分的に規定される第2半径方向開口列とを含み、当該第2半径方向開口列は、前記円板体の前記第2端部に配置される、条項18に記載のオリフィスリングプレート。
【0080】
<20>
前記少なくとも1つの第1半径方向開口列および第2半径方向開口列は、互いに円周方向にずれている、条項19に記載のオリフィスリングプレート。
【0081】
本開示は、本明細書に開示される特定の構造、プロセスステップ、または材料に限定されず、当業者によって認識されるように、それらの等価物に拡張されることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施例を説明するためだけに使用され、限定することを意図しないことも理解されたい。本明細書に使用される、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示唆しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。
【0082】
本明細書に記載されたシステムおよび方法は、記載された目的および利点、ならびにそれら固有の目的および利点を達成するように十分に適合されていることは明らかであろう。当業者は、本明細書内の方法およびシステムが多くの方法で実装されてもよく、したがって、前述の例示された実施例、および実施例によって限定されないことを認識するのであろう。この点に関して、本明細書に記載される様々な実施例における任意の個数の特徴は、1つの単一の実施例に組み合わされてもよく、本明細書に記載されるすべての特徴よりも少ないか、またはそれよりも多い特徴を有する代替の実施例が考えられる。
【0083】
本開示の目的のために様々な実施例を説明してきたが、本開示によって十分に意図される範囲内で様々な変更および修正を行ってもよい。当業者に容易に示唆され、本開示の精神に包含される多数の他の変更を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】溶融燃料反応炉の基本構成のいくつかをブロック図の形態で示す図である。
図2】考え得る物理的実施形態に係る炉心システムの斜視断面図である。
図3図2に示す炉心システムの燃料塩流動ループの斜視図である。
図4図3に示す例示的なオリフィスリングプレートおよび燃料塩流動ループの入口チャネルの拡大部分斜視図である。
図5図4に示すオリフィスリングプレートの拡大部分斜視図である。
図6図4に示す燃料塩流動ループの燃料塩流動ベクトルプロットである。
図7図3に示す燃料塩流動ループの燃料塩流動ベクトルおよび温度プロットである。
図8】他のオリフィスリングプレートと、他の燃料塩流動ループの入口チャネルとの部分斜視図である。
図9】他のオリフィスリングプレートと、他の燃料塩流動ループの入口チャネルとの部分斜視図である。
図10】考え得る他の物理的実施形態に係る炉心システムの立面図である。
図11図10に示す炉心システムの燃料塩流動ループの部分斜視図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】