(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】膜を堆積するための方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20230227BHJP
C23C 16/30 20060101ALI20230227BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20230227BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/30
H01L21/316 X
H01L21/318 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539260
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 US2020066553
(87)【国際公開番号】W WO2021133774
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】ハリピン チャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】シンチエン レイ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ピー.スペンス
(72)【発明者】
【氏名】マンチャオ シアオ
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド マーティン パールステイン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー アール.マクドナルド
(72)【発明者】
【氏名】マドゥカー ビー.ラオ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA09
4K030AA13
4K030AA14
4K030AA16
4K030BA29
4K030BA38
4K030BA40
4K030BA42
4K030BA44
4K030CA04
4K030CA12
4K030FA04
4K030HA01
4K030JA05
4K030JA09
4K030JA10
4K030KA30
4K030LA15
5F058BC02
5F058BC03
5F058BC08
5F058BC09
5F058BE10
5F058BF02
5F058BF22
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
5F058BJ06
(57)【要約】
基材の表面特徴内に膜を堆積するための原子層堆積方法が開示される。方法は、表面特徴を有する基材を反応器中に配置する工程を含んでよい。有機不動態化剤を反応器中に導入することができ、有機不動態化剤は、表面特徴における露出したヒドロキシルラジカルの一部と反応することができる。続いて、未反応の有機不動態化剤をパージすることができ、次いで前駆体を導入することができる。前駆体は、有機不動態化剤と相互作用しなかった、残りの露出したヒドロキシルラジカルと反応することができる。続いて、未反応の前駆体をパージして、酸素源又は窒素源を反応器中に導入して、表面特徴内に膜を形成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面特徴内に膜を堆積するための原子層堆積方法であって、
a)表面特徴を有する基材を反応器中に配置する工程であって、前記表面特徴が露出したヒドロキシルラジカルを有する工程;
b)周囲温度~約700℃の範囲の1つ又は複数の温度に前記反応器を加熱して、任意選択で、前記反応器を100torr以下の圧力に維持する工程;
c)アセタール、ケタール、オルトエステル及びオルトカーボネートからなる群から選択される少なくとも1つの有機不動態化剤を前記反応器中に導入して、前記表面特徴の前記露出したヒドロキシル基の一部と反応させる工程;
d)不活性ガスを使用して、未反応の有機不動態化剤を前記反応器からパージする工程;
e)少なくとも1つの有機アミノ基を有する前駆体ガスを導入して、前記表面特徴の任意の未反応のヒドロキシル基と反応させる工程;
f)不活性ガスを使用して、未反応の前駆体を前記反応器からパージする工程;
g)酸素源又は窒素源を前記反応器中に導入する工程;並びに
h)不活性ガスを用いて、未反応の酸素源又は窒素源と、任意の副生成物とをパージする工程
を含み、工程c)~h)が、前記表面特徴が完全に充填されるまで繰り返される、方法。
【請求項2】
前記有機不動態化剤が、以下の式:
I.R
1R
2C(OR
3)
2の式を有するアセタール又はケタール、
II.R
1C(OR
3)
3の式を有するオルトエステル、及び
III.C(OR
3)
4の式を有するオルトカーボネート
(式中、R
1が、水素、C
1~C
10直鎖又は分岐鎖アルキル、酸素又は窒素を含有するC
3~C
10直鎖又は分岐鎖アルキル、C
3~C
10直鎖又は分岐鎖環状アルキル、C
2~C
10アルケニル、C
2~C
10アルキニル及びC
3~C
10芳香族炭化水素からなる群から選択され、R
2及びR
3が、C
1~C
10直鎖又は分岐鎖アルキル、酸素又は窒素を含有するC
3~C
10直鎖又は分岐鎖アルキル、C
3~C
10直鎖又は分岐鎖環状アルキル、C
2~C
10アルケニル、C
2~C
10アルキニル及びC
3~C
10芳香族炭化水素からなる群から独立に選択される)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機不動態化剤が、テトラメチルオルトカーボネート、テトラエチルオルトカーボネート、テトラ-n-プロピルオルトカーボネート、トリメチルオルトアセテート、トリエチルオルトアセテート、1,1,1-トリエトキシペンタン、1,1,1-トリエトキシヘプタン、トリエチルオルトベンゾエート、2,2-ジエトキシプロパン、1,1-ジエトキシ-1-フェニルエタン、4,4-ジエトキシヘプタン、4,4-ジエトキシノナン、トリメチルオルトホルメート、トリメチルオルトホルメート及びトリ-n-プロピルオルトホルメートからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機不動態化剤が、トリエチルオルトアセテートを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記前駆体が、有機アミノシラン、有機アミノジシラン、有機アミノトリシリルアミン、有機アミノシロキサン、有機アミノシクロシロキサン、及び有機アミノチタン、有機アミノハフニウム、有機アミノジルコニウム、有機アミノタンタル、有機アミノタングステン、有機アミノモリブデン、有機アミノアルミニウム、アルキルアルミニウム、及び金属アルコキシドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酸素源が、酸素、酸素プラズマ、水蒸気プラズマ、水と有機アミンとの混合物、過酸化水素、亜酸化窒素、オゾン、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記窒素源が、アンモニア、ヒドラジン、メチルヒドラジン、1,1-ジメチルヒドラジン、N
2プラズマ、アンモニアプラズマ、水素/窒素プラズマ及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記表面特徴が、少なくとも2:1以上の深さ:幅のアスペクト比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アスペクト比が少なくとも4:1である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記表面特徴が100nm以下の幅を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記表面特徴がビアである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記表面特徴がトレンチである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記表面特徴がビア及びトレンチである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程c)~h)を行った後のそれぞれの時点で製造された膜が、前記表面特徴の頂部に向かってよりも、前記表面特徴の底部に向かって、より厚い、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
特許についての本出願は、2019年12月27日に提出された米国仮特許出願62/954053号に対する優先権を主張する。
【0002】
一般に、本開示は膜を堆積するための方法に関するものであり、より具体的には、基材の表面特徴中に膜を堆積するための原子層堆積方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
原子層堆積は、基材に薄膜を堆積するために利用される化学プロセスである。多くの例において、原子層堆積プロセスを受ける基材は、それに形成される以下の高アスペクト比の表面特徴:ポア、トレンチ、シャロートレンチアイソレーション、ビア、リエントラント特徴又は類似のもの、のうち1つ又は複数を備える。一般に、これらの高アスペクトの特徴は、開口部、頂部領域及び底部領域を備え、それに形成される膜は低いポロシティであるべきである。
【0004】
従来の原子層堆積において、ギャップ充填の間に膜の成長が起こるにつれて、表面特徴の開口部は狭くなる。最終的には、開口部の狭小化は、頂部領域及び底部領域の両方を含む表面特徴の下部への反応体の移動を妨げる。この制約は、表面特徴内部のさらなる膜の成長を妨げ、それによって、所望のポロシティよりも大きいポロシティで、表面特徴内に形成された膜をもたらす。
【0005】
米国特許出願公開第2019/0203354号明細書は、化学抑制を使用する原子層堆積において、金属酸化物膜のコンフォーマル性の調節のための方法及びシステムを開示している。金属酸化物の堆積のための抑制前駆体は、ジケトンなどのキレート剤を含む場合がある。
【0006】
米国特許第10199212号及び10043656号明細書は、酸化ケイ素又は窒化ケイ素材料に対して選択的に、ケイ素含有又は金属含有誘電体材料を、ケイ素又は金属表面に選択的に堆積するための方法及び装置を教示している。ブロッキング剤としてアセチルクロリドが使用される。
【0007】
したがって、本開示は、上記の1つ若しくは複数の問題、及び/又は公知の原子層堆積方法に関連する他の問題を克服することを目的としている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の1つの態様によれば、基材の表面特徴内に膜を堆積するための原子層堆積方法が開示される。方法は、表面特徴を有する基材を反応器中に配置する工程であって、表面特徴が露出したヒドロキシルラジカルを含む工程を含んでよい。反応器は、周囲温度~約700℃の範囲の1つ又は複数の温度に加熱されてよく、任意選択で、100torr以下の圧力に維持されてよい。続いて、有機不動態化剤を反応器中に導入することができ、有機不動態化剤は、表面特徴の露出したヒドロキシル基の一部と反応することができる。
【0009】
次いで、反応器は、不活性ガスを使用して、未反応の有機不動態化剤をパージすることができ、続いて、少なくとも1つの有機アミノ基を有する前駆体ガスを導入して表面特徴の未反応のヒドロキシル基と反応させることができる。これに次いで、不活性ガスを反応器に導入して未反応の前駆体をパージすることができ、次いで、酸素源又は窒素源を導入して、表面特徴内に膜を形成することができる。最後に、不活性ガスを用いて、未反応の酸素源又は窒素源と任意の副生成物とを反応器からパージすることができる。有機不動態化剤を表面特徴に導入する工程から、不活性ガスを用いて未反応の酸素源又は窒素源と副生成物とを反応器からパージする工程までの工程は、表面特徴が完全に充填されるまで繰り返すことができる。
【0010】
一般に、有機不動態化剤は、アセタール、ケタール、オルトエステル及びオルトカーボネートから選択することができる。より具体的には、有機不動態化剤は、以下の式:
I.R1R2C(OR3)2の式を有するアセタール又はケタール、
II.R1C(OR3)3の式を有するオルトエステル、及び
III.C(OR3)4の式を有するオルトカーボネート
(式中、R1が、水素、C1~C10直鎖又は分岐鎖アルキル、酸素又は窒素を含有するC3~C10直鎖又は分岐鎖アルキル、C3~C10直鎖又は分岐鎖環状アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル及びC3~C10芳香族炭化水素からなる群から選択され、R2及びR3が、C1~C10直鎖又は分岐鎖アルキル、酸素又は窒素を含有するC3~C10直鎖又は分岐鎖アルキル、C3~C10直鎖又は分岐鎖環状アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル及びC3~C10芳香族炭化水素からなる群から独立に選択される)からなる群から選択される。
【0011】
例示的な実施態様において、有機不動態化剤は、テトラメチルオルトカーボネート、テトラエチルオルトカーボネート、テトラ-n-プロピルオルトカーボネート、トリメチルオルトアセテート、トリエチルオルトアセテート、1,1,1-トリエトキシペンタン、1,1,1-トリエトキシヘプタン、トリエチルオルトベンゾエート、2,2-ジエトキシプロパン、1,1-ジエトキシ-1-フェニルエタン、4,4-ジエトキシヘプタン、4,4-ジエトキシノナン、トリメチルオルトホルメート、トリメチルオルトホルメート及びトリ-n-プロピルオルトホルメートからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である。
【0012】
前駆体は、有機アミノシラン、有機アミノジシラン、有機アミノトリシリルアミン、有機アミノシロキサン、有機アミノシクロシロキサン、有機アミノチタン、有機アミノハフニウム、有機アミノジルコニウム、有機アミノタンタル、有機アミノタングステン、有機アミノモリブデン、有機アミノアルミニウム、アルキルアルミニウム、及び金属アルコキシドからなる群から選択することができる。さらに、酸素源は、酸素、酸素プラズマ、水蒸気プラズマ、水と有機アミンとの混合物、過酸化水素、亜酸化窒素、オゾン、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。窒素源は、アンモニア、ヒドラジン、メチルヒドラジン、1,1-ジメチルヒドラジン、N2プラズマ、アンモニアプラズマ、水素/窒素プラズマ及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0013】
本開示の表面特徴は、少なくとも2:1以上、又はさらには少なくとも4:1の深さ:幅のアスペクト比を有してよい。幾つかの例において、表面特徴は、100nm以下の幅を有し、ビアであってよく、トレンチであってよく、又はビア及びトレンチの組み合わせであってよい。
【0014】
ある実施態様において、有機不動態化剤を表面特徴に導入する工程から、不活性ガスを用いて未反応の酸素源又は窒素源と副生成物とを反応器からパージする工程までの工程を行った後のそれぞれの時点で製造された膜の厚さは、表面特徴の頂部に向かってよりも、表面特徴の底部に向かって、より厚い。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
原子層堆積(ALD)プロセス、又は以下に限定するものではないがサイクル性化学気相堆積などのALDに類似のプロセスで、ケイ素又は金属酸化物含有膜で、ビア又はトレンチなどの表面特徴を充填することに関する組成物及びプロセスが本明細書において説明される。例示的な実施態様によれば、非ケイ素含有不動態化剤は、基材表面特徴上の露出したヒドロキシル基と反応して、表面特徴上に「占有された」反応サイトをもたらす。次いで、反応サイトの占有は、有機アミノシランの、占有された反応サイトとの反応を妨げ、したがって、表面特徴の特定の領域における膜の成長を妨げる。不動態化剤の投与を制御して、表面特徴のより低い領域への不動態化剤の拡散を限定する。したがって、上部基材表面及び表面特徴の上部は、トレンチ構造の底部よりも不動態化され、このことは、次いで、上部基材表面及び表面特徴の上部付近におけるより小さい膜の成長と、基材特徴の底部付近におけるより大きい膜の成長とをもたらす。上部基材表面及び表面特徴の上部付近における膜の成長を制限するこの方法は、表面特徴内の下部空間に通じて、このような空間を目的の膜で完全に充填するように、前駆体及び酸素源についての開口部を維持する。
【0016】
従来のALDコンフォーマル膜成長方法などの、膜の成長の間に不動態化剤が使用されないとき、ギャップ充填の間に膜の成長が起こるにつれて、表面特徴の開口部は狭くなる。最後には、この狭小化は、表面特徴の下部に通じることを妨げ、次いで、トレンチ内部のさらなる膜の成長を妨げ、表面特徴内のポロシティを引き起こす。同様の欠陥の現象は、不動態化剤がトレンチの底部に拡散するときにも観察され、トレンチを充填する間にコンフォーマル性の膜の成長をもたらす。
【0017】
例示的な実施態様によって説明される1つの方法は、
a)1つ又は複数の基材であって、表面にヒドロキシル基を有し、高アスペクト比の表面特徴を有する1つ又は複数の基材を反応器中に配置する工程;
b)周囲温度~約700℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱して、任意選択で、反応器を100torr以下の圧力に維持する工程;
c)少なくとも1つの有機不動態化剤を反応器中に導入して、特徴の頂部表面領域上のヒドロキシル基と反応させる工程;
d)不活性ガスを使用して、未反応の有機不動態化剤をパージする工程;
e)少なくとも1つの有機アミノ基を有する堆積前駆体の蒸気を導入して、未反応のヒドロキシル基と反応させる工程;
f)不活性ガスを使用して、未反応の前駆体をパージする工程;
g)酸素源前駆体を導入する工程;及び
h)不活性ガスを用いてパージする工程
を含み、工程c)~h)は、特徴が完全に充填されるまで繰り返される。
【0018】
例示的な実施態様によって説明される別の方法は、
a)適したトポグラフィを有するケイ素基材を堆積チャンバー中に導入する工程;
b)周囲温度~約700℃の範囲の1つ又は複数の温度に反応器を加熱して、任意選択で、反応器を100torr以下の圧力に維持する工程;
c)少なくとも1つの有機不動態化剤を反応器中に導入して、特徴の頂部表面領域上のヒドロキシル基と反応させる工程;
d)不活性ガスを使用して、未反応の有機不動態化剤をパージする工程;
e)少なくとも1つの有機アミノ又はハロゲノ基を有する堆積前駆体の蒸気を導入して、非不動態化表面と反応させる工程;
f)不活性ガスを使用して、未反応の前駆体をパージする工程;
g)窒素源前駆体を導入する工程;及び
h)不活性ガスを用いてパージする工程
を含む。
【0019】
本発明において説明される有機不動態化剤は、以下の式:
IV.R1R2C(OR3)2の式を有するアセタール又はケタール、
V.R1C(OR3)3の式を有するオルトエステル、及び
VI.C(OR3)4の式を有するオルトカーボネート
(式中、R1が、水素、C1~C10直鎖又は分岐鎖アルキル、酸素又は窒素を含有するC3~C10直鎖又は分岐鎖アルキル、C3~C10直鎖又は分岐鎖環状アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル及びC3~C10芳香族炭化水素からなる群から選択され、R2及びR3が、C1~C10直鎖又は分岐鎖アルキル、酸素又は窒素を含有するC3~C10直鎖又は分岐鎖アルキル、C3~C10直鎖又は分岐鎖環状アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル及びC3~C10芳香族炭化水素からなる群から独立に選択される)からなる群から選択される。
【0020】
上で説明される1つ又は複数の実施態様において、酸素源は、酸素、酸素プラズマ、水蒸気プラズマ、水と有機アミンとの混合物、過酸化水素、亜酸化窒素、オゾン、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0021】
上で説明される実施態様のうち1つ又は複数において、窒素源は、以下に限定するものではないが、アンモニア、ヒドラジン、メチルヒドラジン、1,1-ジメチルヒドラジン、N2プラズマ、アンモニアプラズマ、水素/窒素プラズマ及びそれらの組み合わせを含む。
【0022】
理論によって拘束されるものではないが、工程c)において、チャンバー圧力、有機不動態化剤のパルス時間若しくは蒸気の流動、又は式I~IIIのR1~3基のサイズを厳密に制御して有機不動態化剤を導入し、特徴の頂部表面領域上のヒドロキシ基と主に反応させて、工程e)において、少なくとも1つの有機アミノ基を有する堆積前駆体を特徴の底部上の未反応のヒドロキシルと反応させて、ケイ素又は金属含有フラグメントを固定する、と考えられる。工程g)が、有機不動態下層を酸化して取り去って特徴の頂部表面領域上のヒドロキシルを再生成し、一方で特徴の底部上にケイ素又は金属酸化物含有膜が形成されるため、結果として、ケイ素又は金属酸化物含有膜の完全な堆積を達成することができる。
【0023】
本明細書において説明されるプロセスにおいて利用することができる幾つかの例示的な有機不動態化剤を以下の表1に示す。
表1:例示的な不動態化剤
【表1】
【0024】
少なくとも1つの有機アミノ又はハロゲノ基を有する、酸化ケイ素、窒化ケイ素、金属窒化物又は金属酸化物のための堆積前駆体は、有機アミノシラン、有機アミノジシラン、有機アミノトリシリルアミン、有機アミノシロキサン、有機アミノシクロシロキサン、有機アミノチタン、有機アミノハフニウム、有機アミノジルコニウム、有機アミノタンタル、有機アミノタングステン、有機アミノモリブデン、有機アミノアルミニウム、アルキルアルミニウム、金属アルコキシド、並びに酸化ケイ素、炭素ドープされた酸化ケイ素及び金属酸化物を堆積するために利用することができる任意の他のケイ素又は金属含有前駆体、からなる群から選択することができる。
【0025】
有機アミノシランの例は、以下に限定するものではないが、ジ-イソ-プロピルアミノシラン、ジ-sec-ブチルアミノシラン、ビス(ジエチルアミノ)シラン、ビス(ジメチルアミノ)シラン、ビス(エチルメチルアミノ)シラン、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン、ジ-イソ-プロピルアミノメチルシラン、ジ-sec-ブチルアミノメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、イソ-プロピルアミノトリメチルシラン、tert-ブチルアミノトリメチルシラン、イソ-ブチルアミノトリメチルシラン、シクロヘキシルアミノトリメチルシラン、ピロリジノトリメチルシラン、2-メチルピロリジノトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリジノトリメチルシラン、ピペリジノトリメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノトリメチルシラン、1-メチルピペラジノトリメチルシラン、ピロリルトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリルトリメチルシラン及びイミダゾリルトリメチルシランを含む。
【0026】
有機アミノジシランの例は、以下に限定するものではないが、ジ-イソ-プロピルアミノジシラン及びジ-sec-ブチルアミノジシランを含む。
【0027】
有機アミノトリシリルアミンの例は、以下に限定するものではないが、ジ-イソ-プロピルアミノトリシリルアミン、ジエチルアミノトリシリルアミン、イソ-プロピルアミノトリシリルアミン及びシクロヘキシルメチルアミノトリシリルアミンを含む。
【0028】
有機アミノシロキサンの例は、以下に限定するものではないが、1-ジメチルアミノ-ペンタメチルジシロキサン、1-ジエチルアミノ-ペンタメチルジシロキサン、1-エチルメチルアミノ-ペンタメチルジシロキサン、1,3-ビス(ジメチルアミノ)テトラメチルジシロキサン、1-ジメチルアミノ-ヘプタメチルトリシロキサン及び1,5-ビス(ジメチルアミノ)ヘキサメチルトリシロキサンを含む。
【0029】
有機アミノシクロシロキサンの例は、以下に限定するものではないが、2-ジメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン及び2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンを含む。
【0030】
有機アミノチタンの例は、以下に限定するものではないが、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン及びテトラキス(エチルメチルアミノ)チタンを含む。
【0031】
有機アミノハフニウムの例は、以下に限定するものではないが、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(TDMAH)、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム(TDEAH)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(TEMAH)、シクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(CpHf(NMe2)3)、メチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(MeCpHf(NMe2)3)、エチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(EtCpHf(NMe2)3)、シクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(CpHf(NMeEt)3)、メチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(MeCpHf(NMeEt)3)、エチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(EtCpHf(NMeEt)3)、シクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(CpHf(NEt2)3)、メチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(MeCpHf(NEt2)3)、エチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(EtCpHf(NEt2)3)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム(Cp2Hf(NMe2)2)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((MeCp)2Hf(NMe2)2)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((EtCp)2Hf(NMe2)2)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム(Cp2Hf(NMeEt)2)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((MeCp)2Hf(NMeEt)2)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((EtCp)2Hf(NMeEt)2)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((Cp2Hf(NEt2)2)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((MeCp)2Hf(NEt2)3)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((EtCp)2Hf(NEt2)2)、(N-メチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ]ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム、(N-エチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ]ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム、(N-メチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ]ビス(ジエチルアミノ)ハフニウム、(N-エチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ]ビス(ジエチルアミノ)ハフニウム、(N-メチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ]ビス(エチルメチルアミノ)ハフニウム、(N-エチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ]及びビス(エチルメチルアミノ)ハフニウムを含む。
【0032】
有機アミノジルコニウムの例は、以下に限定するものではないが、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(TDMAZ)、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム(TDEAZ)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(TEMAZ)、シクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(CpZr(NMe2)3)、メチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(MeCpZr(NMe2)3)、エチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(EtCpZr(NMe2)3)、シクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(CpZr(NMeEt)3)、メチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(MeCpZr(NMeEt)3)、エチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(EtCpZr(NMeEt)3)、シクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(CpHf(NEt2)3)、メチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(MeCpZr(NEt2)3)、エチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(EtCpZr(NEt2)3)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(Cp2Zr(NMe2)2)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((MeCp)2Zr(NMe2)2)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((EtCp)2Zr(NMe2)2)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(Cp2Zr(NMeEt)2)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((MeCp)2Zr(NMeEt)2)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((EtCp)2Zr(NMeEt)2)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((Cp2Zr(NEt2)2)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((MeCp)2Zr(NEt2)3)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((EtCp)2Zr(NEt2)2)、(N-メチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ]ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム、(N-エチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ]ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム、(N-メチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ]ビス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、(N-エチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ]ビス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、(N-メチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ]ビス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム及び(N-エチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ]ビス(エチルメチルアミノ)ジルコニウムを含む。
【0033】
有機アミノタンタルの例は、以下に限定するものではないが、(tert-ブチルイミノ)トリス(ジメチルアミノ)タンタル、(tert-ブチルイミノ)トリス(ジエチルアミノ)タンタル及び(tert-ブチルイミノ)トリス(エチルメチルアミノ)タンタルを含む。
【0034】
有機アミノタングステンの例は、以下に限定するものではないが、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)タングステン及びビス(tert-ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)タングステンを含む。
【0035】
有機アミノモリブデンの例は、以下に限定するものではないが、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)モリブデン、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)モリブデン及びビス(tert-ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)モリブデンを含む。
【0036】
有機アミノアルミニウムの例は、以下に限定するものではないが、トリス(ジメチルアミノ)アルミニウム、トリス(ジエチルアミノ)アルミニウム及びトリス(エチルメチルアミノ)アルミニウムを含む。
【0037】
アルキルアルミニウムの例は、以下に限定するものではないが、トリメチルアルミニウム及びトリエチルアルミニウムを含む。
【0038】
金属酸化物の例は、以下に限定するものではないが、チタンイソプロポキシド、チタンメトキシド、チタンエトキシド及びアルミニウムイソプロポキシドを含む。
【0039】
ハロゲノシランの例は、トリクロロシラン、ジクロロシラン、モノクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、N-メチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロジシラザン、シリコンテトラクロリド、1-クロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1-ブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1,3-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3-トリクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3-トリブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3,3-テトラブロモ-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジクロロ-1,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ブロモ-1,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,1,3,3,5,5,5-オクタクロロ-1,3,5-トリシラペンタン、1,1,3,3,5,5-ヘキサクロロ-1,5-ジメチル-1,3,5-トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5-ヘキサクロロ-3,3-ジメチル-1,3,5-トリシラペンタン、1,1,3,5,5-ペンタクロロ-1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリシラペンタン、1,1,1,5,5,5-ヘキサクロロ-1,3,5-トリシラペンタン、1,1,5,5-テトラクロロ-1,3,5-トリシラペンタン、1-ヨード-1,3-ジシラシクロブタン、1,1-ジヨード-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジヨード-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3-トリヨード-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,3,3-テトラヨード-1,3-ジシラシクロブタン、1,3-ジヨード-1,3-ジメチル-1,3-ジシラシクロブタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサクロロ-1,4-ジシラブタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサクロロ-2-メチル-1,4-ジシラブタン、2,2,5,5,5-ペンタクロロ-2,5-ジシラペンタン、2,2,5,5,5-ペンタクロロ-3-メチル-2,5-ジシラペンタン、2,2,5,5-テトラクロロ-2,5-ジシラヘキサン、2,2,5,5-テトラクロロ-3-メチル-2,5-ジシラヘキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサクロロ-1,5-ジシラペンタン、2,2,6,6-テトラクロロ-3-メチル-2,6-ジシラヘプタン、1,1,4,4-テトラクロロ-1,4-ジシラペンタン、1,1,4,4-テトラクロロ-2-メチル-1,4-ジシラペンタン、1,1,4,4,4-ペンタクロロ-1,4-ジシラブタン、1,1,4,4,4-ペンタクロロ-2-メチル-1,4-ジシラブタン、1,4,4,4-テトラクロロ-1,4-ジシラブタン、1,4,4,4-テトラクロロ-2-メチル-1,4-ジシラブタン、1,4,4-トリクロロ-1,4-ジシラペンタン、1,4,4-トリクロロ-2-メチル-1,4-ジシラペンタン、1,1,5,5,5-ペンタクロロ-1,5-ジシラペンタン、1,1,5,5,5-ペンタクロロ-2-メチル-1,5-ジシラペンタン、1,1,5,5-テトラクロロ-1,5-ジシラヘキサン、1,1,5,5-テトラクロロ-2-メチル-1,5-ジシラヘキサン、1,5,5,5-テトラクロロ-1,5-ジシラペンタン、1,5,5,5-テトラクロロ-2-メチル-1,5-ジシラペンタン、1,5,5-トリクロロ-1,5-ジシラヘキサン、1,5,5-トリクロロ-2-メチル-2,6-ジシラヘキサン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-1,3-ジシラプロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-メチル-1,3-ジシラプロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2,2-ジメチル-1,3-ジシラプロパン及び1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2-エチル-1,3-ジシラプロパンを含む。
【0040】
基材は表面特徴を備える。本明細書において使用されるとき、用語「表面特徴」又は「特徴」は、以下:ポア、トレンチ、シャロートレンチアイソレーション(STI)、ビア、リエントラント特徴又は類似のもの、のうち1つ又は複数を備える基材又は部分的に製造された基材を意味する。1つの特定の実施態様において、表面特徴は、100μm以下の幅、1μm以下の幅、0.5μm以下の幅又は50nm以下の幅を有する。この実施態様又は他の実施態様において、表面特徴の(深さ:幅の)アスペクト比は、存在する場合には、2:1以上、3:1以上、4:1以上、10:1以上、20:1以上又は40:1以上である。高アスペクト比とは、100nm以下の幅で2:1以上、好ましくは100nm以下の幅で3:1以上、最も好ましくは100nm以下の幅で4:1以上をいう。トレンチ材料は、Si、SiO2、SiNx、炭素ドープされた酸化ケイ素又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0041】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「直鎖アルキル」は、1~10、3~10又は1~6個の炭素原子を有する直鎖の官能基を意味する。上の式において、及び本明細書を通じて、用語「分岐鎖アルキル」は、3~10又は1~6個の炭素原子を有する直鎖の官能基を意味する。例示的な直鎖アルキル基は、以下に限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基を含む。例示的な分岐鎖アルキル基は、以下に限定するものではないが、イソ-プロピル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソ-ペンチル、tert-ペンチル、イソ-ヘキシル及びネオ-ヘキシルを含む。特定の実施態様において、アルキル基は、それに結合された1つ又は複数の官能基、例えば、以下に限定するものではないが、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基若しくはそれらの組み合わせ、を有してよい。他の実施態様において、アルキル基は、それに結合された1つ又は複数の官能基を有しない。アルキル基は、飽和であるか、又は代わりに不飽和であってよい。
【0042】
上記のように、本明細書において説明される方法を使用して、基材の少なくとも一部の上に、ビア及び/又はトレンチを備える表面特徴内に酸化ケイ素又は金属酸化物を堆積することができる。適した基材の例は、以下に限定するものではないが、ケイ素、SiO2、窒化チタン、窒化タングステン、窒化タンタル、窒化バナジウム、金属、例えばゲルマニウム、銅、チタン、タングステン、コバルト、ルテニウム、白金、パラジウム、アルミニウム、及びそれらの組み合わせを含む。
【0043】
膜は、種々の続く処理工程、例えば化学機械平坦化(CMP)及び異方性エッチングプロセスと両立可能である。
【0044】
堆積された膜は、以下に限定するものではないが、コンピュータチップ、光学デバイス、磁気情報ストレージ、支持材料又は基材に対するコーティング、マイクロ電気機械システム(MEMS)、ナノ電気機械システム、薄膜トランジスタ(TFT)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、IGZO及び液晶ディスプレイ(LCD)を含む用途を有する。
【実施例】
【0045】
例1:トレンチ構造に対する酸化ケイ素膜の成長の阻害
FLR設計を使用して、300mmのプラズマ強化原子層堆積(PEALD)ツールにおいて、膜の堆積を行った。反応器は、専用の圧力制御を有する外側及び内側チャンバーからなるものであった。Arを外側チャンバーに流して圧力を維持し、一方で堆積のために全ての反応性化学物質を内側チャンバーに流した。プロセス及びその条件を表2に示す。
表2:酸化ケイ素の成長を阻害するプロセス及び条件
【表2】
【0046】
上で概説されたプロセスの工程c~hは、所望の厚さに到達するまで繰り返すことができる。
【0047】
FilmtekTM3000反射及び透過分光器を使用して、堆積した膜の厚さ及び屈折率を測定し、一方で走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、膜の品質を調査した。
【0048】
堆積前駆体としてジ-sec-ブチルアミノシラン(DSBAS)を、酸素源としてO2プラズマを、有機不動態化剤としてトリエチルオルトアセテート(TEOA)を使用し、表2に記載する工程を利用して、酸化ケイ素のブランケット膜を堆積した。TEOA浸漬時間を、0s(TEOA不動態化剤なし)~60sで変化させた。サセプタの温度を300℃に設定した。
【0049】
TEOA浸漬を使用しなかった(0s)とき、サイクル毎の成長(GPC)は1.18Å/サイクルであり、一方でより長いTEOA浸漬時間は、酸化ケイ素膜の成長を0.16Å/サイクルまで阻害した。
【0050】
0.5sのTEOA浸漬時間を使用した酸化ケイ素膜の成長を、10:1のアスペクト比及び150nmの開口部を有するトレンチ構造に対して行った。TEOA暴露時間を、準浸潤モードにおいて選択して、したがって、トレンチの頂部における不動態化剤の暴露は、トレンチの底部におけるそれよりも多かった。準浸潤モードはALD反応器のタイプに応じて変えることができ、所与のALD反応器についてこの例におけるものと類似の実験によって得るべきである。
【0051】
トレンチの異なる位置における、堆積した酸化ケイ素膜の厚さのTEM測定結果を表3に示す。
表3:10:1のアスペクト比のトレンチ構造に対して堆積したSiO
2膜の厚さ
【表3】
【0052】
頂部における膜の厚さは、底部におけるそれよりも薄く、このことは、TEOAがトレンチ構造の頂部部分における膜の堆積を妨げ、より短期間のTEOA暴露を使用したときに、完全なギャップ充填を可能とすることを示している。
【0053】
例2:トレンチ構造に対する、N
2プラズマを用いて堆積したSiNxの成長のブロック
FLR設計を使用して、300mmのPEALDツールにおいて、膜の堆積を行った。反応器は、専用の圧力制御を有する外側及び内側チャンバーからなるものであった。Arを外側チャンバーに流して圧力を維持し、一方で堆積のために全ての反応化学物質を内側チャンバーに流した。プロセス及びその条件を下で表4に示す。
表4:SiNxの成長をブロックするプロセス及び条件
【表4】
【0054】
このプロセスにおいて、工程3~9を、所望の厚さを得るまで繰り返すことができる。
【0055】
この例において、ケイ素前駆体としてジ-sec-ブチルアミノシラン(DSBAS)を使用した。有機ブロッカーとして、トリエチルオルトアセテート(TEOA)を、0~10秒の流で使用した。FilmtekTM3000反射及び透過機器を使用して、堆積した膜の厚さ及び屈折率を測定した。
【0056】
下の表5は、SiNx膜のGPCの減少におけるTEOAの効果を示している。表5は、それぞれのサイクルにおける10sのTEOA暴露の後に、膜の成長が0.06Å/サイクルに減少したことを示している。これは、TEOA不動態化を伴わない膜の成長よりも~45%低いGPCであり、不動態化プロセスの投与感受性を示している。
表5:TEOA暴露の後の、SiNx膜の成長についてのGPC
【表5】
【0057】
0.5sのTEOA浸漬時間を使用して、10:1のアスペクト比及び150nmの開口部を有するトレンチ構造に対して、窒化ケイ素(SiNx)膜の成長を調査した。TEOA暴露時間を、準浸潤モードにおいて選択した。したがって、トレンチの頂部における不動態化剤の暴露は、トレンチの底部におけるそれよりも多かった。
【0058】
トレンチの異なる位置における、堆積した窒化ケイ素膜の厚さのTEM測定結果を表6に示す。
表6:10:1のアスペクト比のトレンチ構造に対して堆積したSiN
x膜の厚さ
【表6】
【0059】
頂部における膜の厚さは、底部におけるそれよりも薄く、このことは、TEOAが、トレンチ構造の頂部部分における膜の堆積を妨げ、より短期間のTEOA暴露を使用したときに、完全なギャップ充填を可能とすることを示している。
【0060】
例3:不動態化剤を用いない、トレンチ構造に対する酸化ケイ素膜の成長
FLR設計を使用して、300mmのプラズマ強化原子層堆積(PEALD)ツールにおいて、膜の堆積を行った。反応器は、専用の圧力制御を有する外側及び内側チャンバーからなるものであった。Arを外側チャンバーに流して圧力を維持し、一方で堆積のために全ての反応性化学物質を内側チャンバーに流した。プロセス及びその条件を表7に示す。
表7:不動態化剤を用いない酸化ケイ素膜の成長のプロセス及び条件
【表7】
工程c~fを複数回繰り返して、ギャップを充填することができる。
【0061】
この例において、堆積前駆体としてジ-sec-ブチルアミノシラン(DSBAS)を、酸素源としてO2プラズマを使用し、上で表7に記載するプロセス及び条件を利用して、酸化ケイ素を堆積した。
【0062】
異なる位置における、堆積した酸化ケイ素膜のTEM測定結果を、下で表8に示す。
表8:10:1のアスペクト比のトレンチ構造に対して堆積したSiO
2膜の厚さ
【表8】
【0063】
上で表8において示すように、不動態化剤なしで堆積した膜は、コンフォーマルな膜の堆積を有する。
【0064】
例4:長期間の不動態化剤暴露を使用する、トレンチ構造内への膜の成長
この例におけるプロセス及び条件は、有機不動態化剤の浸漬時間を除いては、上の表2に概説するものと同じであった。堆積前駆体としてジ-sec-ブチルアミノシラン(DSBAS)を、酸素源としてO2プラズマを、有機不動態化剤としてトリエチルオルトアセテートを使用して、酸化ケイ素のブランケット膜を堆積した。TEOA浸漬時間を、5秒に選択した。
【0065】
トレンチの異なる位置における、堆積した膜の厚さのTEM測定結果を表9に示す。
表9:10:1のトレンチ構造に対して堆積した酸化ケイ素膜の厚さ
【表9】
【0066】
頂部の膜の厚さは底部に類似していて、このことはコンフォーマルな堆積を示している。このことは、不動態化剤のより長い暴露時間は、それがトレンチ内の表面と反応し、頂部と底部との両方が均一に反応するため、完全な充填のために適していない可能性があることを示唆している。
【0067】
上の説明は単に例示を意味していて、したがって本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書において説明される実施態様に変更をすることができる。したがって、これらの変更は、本開示の範囲内にあるものであり、添付の特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【国際調査報告】