(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】基板をナノ構造化するための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20230227BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539684
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(85)【翻訳文提出日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2020088007
(87)【国際公開番号】W WO2021136794
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(71)【出願人】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】516065504
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ グルノーブル アルプ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュバリエ, ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】ツェルスマン, マルク
(72)【発明者】
【氏名】ナヴァロ, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ポンド-ラナ, グエナエル
【テーマコード(参考)】
5F146
【Fターム(参考)】
5F146AA28
(57)【要約】
本発明は、異なる寸法のナノ構造を有するナノ構造化基板の準備のために、基板(10)をナノ構造化するための方法に関し、本方法は、ナノリソグラフィマスクのパターンを形成するように、架橋結合ポリマー層(TC)、およびナノ構造化ブロックコポリマーのブロックのうちの1つを除去するステップを含み、上記方法は、ナノ構造化ブロックコポリマーの少なくとも2つのブロックの平行ナノドメイン(21、22)がナノリソグラフィマスクのパターンを形成するように、ならびにエッチング後に異なる寸法およびナノ構造のナノリソグラフィマスクパターン(M1、M2、M3)を異なる寸法のナノ構造化基板内に生成するように、ブロックのうちの1つの除去は、ナノ構造化ブロックコポリマーのブロックのうちの1つのナノドメイン(21、22)の一部分のみ、特に上記ブロックの垂直ナノドメイン(Z1)のみの除去であることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる寸法のナノ構造を有するナノ構造化基板の準備のために、基板(10)をナノ構造化するための方法であって、前記方法は、
基板(10)の上にガイド表面(11)を生成するステップと、
前記ガイド表面(11)の上に未組立てブロックコポリマー層(20)を堆積させるステップであって、前記未組立てブロックコポリマー層(20)が、組み立て後、ナノドメイン(21、22)の形態にあるナノ構造化ブロックコポリマーを形成することができる、未組立てブロックコポリマー層(20)を堆積させるステップと、
前記未組立てブロックコポリマー層(20)の上に架橋結合ポリマー層(TC)を形成するステップと、
前記未組立てブロックコポリマー層(20)の組立て温度(Tass)に対応する温度でアニーリングするステップと、
ナノリソグラフィマスクのパターンを形成するように、前記架橋結合ポリマー層(TC)、および前記ナノ構造化ブロックコポリマーのブロックのうちの1つを除去するステップと、
前記ナノリソグラフィマスクを用いて前記基板(10)をエッチングするステップとを含み、前記方法は、
前記ガイド表面(11)は、前記未組立てブロックコポリマー層(20)に対して中性および非中性の領域を有し、前記ガイド表面の前記中性または非中性領域のうちの少なくとも1つは、第1の寸法を有すること、
前記架橋結合ポリマー層(TC)は、前記未組立てブロックコポリマー層(20)に対して中性の領域(TC1)および非中性の領域(TC2)を有し、前記架橋結合ポリマー層(TC)の前記非中性領域(TC2)のうちの少なくとも1つは、第2の寸法を有すること、
前記ブロックのうちの1つの前記除去は、前記ナノ構造化ブロックコポリマーの少なくとも2つのブロックの平行ナノドメイン(21、22)が前記ナノリソグラフィマスクのパターンを形成するように、前記ナノ構造化ブロックコポリマーの前記ブロックのうちの1つの前記ナノドメイン(21、22)の一部のみ、特に前記ブロックの垂直ナノドメイン(Z1)のみの除去であること、ならびに、
前記第1および第2の寸法は、エッチング後に異なる寸法およびナノ構造のナノリソグラフィマスクパターン(M1、M2、M3)を異なる寸法のナノ構造化基板内に生成するように、異なることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記非架橋結合ブロックコポリマー層(20)は、少なくとも10nmに等しい厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記架橋結合ポリマー層(TC)は、前記中性領域とは異なる寸法の少なくとも1つの非中性領域を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
基板(10)の上にガイド表面(11)を生成する前記ステップは、ケモエピタキシまたはグラフォエピタキシを実施することを伴うことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ガイド表面(11)は、厚さを増大したガイド樹脂を有すること、および増大した前記厚さは、前記ブロックコポリマーの前記ブロックのうちの1つと同様のエッチング特性を有することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
増大した前記厚さを形成する前記ガイド樹脂は、前記ブロックコポリマー(20)に対して非中性であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
増大した前記厚さを形成する前記ガイド樹脂は、前記ブロックコポリマー(20)に対して中性であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ガイド樹脂のエッチングは、ポジティブモードで実行されることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ガイド樹脂のエッチングは、ネガティブモードで実行されることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記架橋結合ポリマー層の前記中性領域の下に位置する前記ブロックコポリマーの領域は、界面に垂直に配向されるナノドメインを有し、前記ナノドメインの寸法は、前記非中性領域の前記第1の寸法に対応することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記架橋結合ポリマー層の前記非中性領域の下に位置する前記ブロックコポリマーの領域は、界面に平行に配向されるナノドメインを有し、前記ナノドメインの寸法は、前記非中性領域の前記第1の寸法に対応することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ブロックコポリマーは、少なくとも1つのブロックを含み、ケイ素、ゲルマニウム、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、またはアルミニウムなどのヘテロ原子が、前記ブロックを構成する(コ)モノマーのすべてまたは一部に存在することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記架橋結合ポリマー層(TC)は、相互に異なる寸法を有する少なくとも2つの非中性網状領域を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記未組立てブロックコポリマー層(20)の上に架橋結合ポリマー層(TC)を形成する前記ステップは、
前記未組立てブロックコポリマー層(20)の上にプレポリマー組成物の第1の層(pre-TC)を堆積させるサブステップと、
局所的架橋結合ポリマー層(TC1)を生成するように、前記第1のプレポリマー組成物層内の分子鎖を局所的に架橋結合することにより反応させるサブステップと、
非架橋結合領域を除去するために前記局所的架橋結合ポリマー層(TC1)を洗い流すサブステップと、
少なくとも前記未組立てブロックコポリマー層(20)の上に第2のプレポリマー組成物層(TC2)を堆積させるサブステップと、
局所的架橋結合ポリマー層(TC)を生成するように、前記第2のプレポリマー組成物層(TC2)内の分子鎖を局所的に架橋結合することにより反応させるサブステップとを含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記未組立てブロックコポリマー層(20)の上に架橋結合ポリマー層(TC)を形成する前記ステップは、
プレポリマー組成物層を堆積させるサブステップであって、前記プレポリマー組成物層は、一方では、そのポリマー鎖内に複数の官能モノマーおよび少なくとも1つの架橋結合可能な官能基を、ならびに他方では、2つの化学的に異なる架橋剤を含み、各剤は、それに特有の刺激に応答して前記プレポリマーの架橋結合を開始させることができる、プレポリマー組成物層を堆積させるサブステップと、
異なる一次架橋結合領域(TC1)および二次架橋結合領域(TC2)が、下層のブロックコポリマーの前記ブロックに対して反対の親和性を有する架橋結合ポリマー層を獲得するために、第1の刺激にさらされる前記一次領域内での第1の架橋剤の連続作用、および次いで第2の刺激にさらされる前記二次領域内での第2の架橋剤の連続作用によって前記プレポリマーの分子鎖の架橋結合反応を引き起こすために、2つの架橋剤を連続して刺激することによって前記層の前記一次領域(TC1)および前記二次領域(TC2)内で2つの連続した架橋結合動作を実行するサブステップとを含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DSA(「Directed Self-Assembly」の英語の略称)ナノリソグラフィとも呼ばれる、有向自己組立ての分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、異なる寸法のナノ構造を有する基板のナノ構造化のための異なる周期のパターンを含むナノリソグラフィマスクとして使用するためのブロックコポリマー膜を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
1960年代以降、ブロックコポリマー(BCP)は、新材料の開発のための研究の非常に広範な分野になっている。目的とする用途のため、ブロックの化学的性質およびそれらのアーキテクチャによって、それらの特性を調節および制御することが可能である。特定の高分子パラメータ(Mn、Ip、f、χ、N)については、ブロックコポリマーは、自己組立てすることおよび構造体を形成することができ、その特徴的な寸法(10~100nm)が、今日、マイクロエレクトロニクスおよび微小電気機械システム(MEMS)の分野における主な課題となっている。
【0004】
有向自己組立てすなわちDSA(「Directed Self-Assembly」の英語の略称)ナノリソグラフィの分野における用途の特定の文脈において、組立て温度でナノ構造化することができるブロックコポリマーは、ナノリソグラフィマスクとして使用される。ブロックコポリマーは、一旦ナノ構造化されると、従来のリソグラフィ技術で達成するのは困難である20nm未満であり得る周期性で、ナノリソグラフィマスクを作成するための、それぞれにパターンを形成する円筒、ラメラ、球体、またはジャイロイドさえも、獲得されることを可能にする。この周期性は、基板上の異なる空間的に隔てられた構造体のために同一の特性(電気伝導性、熱放散など)を獲得するため、すべてが同じ寸法を有するナノ構造を作成することを望むときに非常に良好である。
【0005】
しかしながら、既存のナノリソグラフィマスクは、通常、それらの表面全体にわたって単一の繰り返しパターンを有する。しかしながら、特定の用途では、周期が変動するパターンを有するマスクを生産して、それらを下層の基板へ転写することは興味深いことであり得る。特に、マイクロエレクトロニクスにおけるいくつかの用途では、目標は、最小限の欠陥、10nm未満から約100nmの範囲に及ぶパターンの寸法、およびドライエッチングにより下層の基板へ転送可能であることを示しながら、作成されるパターンが異なる周期を有するブロックコポリマー膜を生産することである。
【0006】
故に、異なる周期の構造体を生産すること、異なる周期のいくつかのブロックコポリマーを有すること、それらを分配すること、各々を別個に組み立てること、それらをエッチングすることなどを望むとき、費用をかなり増加させ、ならびに故に方法の全般的な生産性、および故に構造化技術に関するその魅力を非常に大きく低減することが提案されている。
【0007】
したがって、ブロックコポリマー組立て体において欠陥を全く生成することなく、単一のブロックコポリマー膜内に異なる周期のパターンを生産することができることが望ましい。この最後の点は、達成するのに特に慎重を要する。実際、より多くのブロックコポリマーがその平衡の自然周期から逸脱することを強いられるほど、欠陥構造体を生成する傾向は高くなり、応力は、このとき、自然配向のドメインの圧縮または拡張に等しい。
【0008】
文献に存在する種々のブロックコポリマー系が、多重周期性のこの問題を解決することができている。例えば:
-Yutaka Nagataら、Macromolecules、2005、38、24、10220-10225の例に説明されるようなマルチブロックコポリマーは、最終組立て体のドメイン内にループを形成するためにポリマー鎖の特性に起因して変動周期を有することができる。しかしながら、これらは、問題となっている個々のブロックの寸法に応じた、「個別の」周期である。ブロックの数がブロックコポリマー内で増加すると、自己組織化動態は遅くなり、故に、合理的な時間内での欠陥のない構造体の可能性を制限するということにも留意されたい。
-異なる構造体を有するブロックコポリマー、例えば、マルチブロック星形状コポリマー。しかしながら、これらのブロックコポリマーは、上に説明されるマルチブロックコポリマーと同じ欠点を有し、それらの合成は非常に慎重を要する。
-ブロックコポリマーと異なる添加物(ブロックコポリマー、ホモポリマー、小分子…)との混合物は、最終寸法が必ずしも個別ではないことから、興味深い手法であるように思われる。
【0009】
ブロックコポリマー(BCP)の有向自己組立てナノリソグラフィの文脈において、平坦な、つまり脱ぬれのないブロックコポリマー膜は、垂直ナノドメインが求められるが、それは、これらのナノドメインを下層の基板へ転写して、マイクロエレクトロニクス用途に有用な寸法的に制御されたパターンを作成することができるようにするためである。これらの問題を解決するため、本出願者は、特許出願FR3 074 180およびFR3 074 179において、下層のブロックコポリマーのブロックに対して中性の親和性を有する「トップコート」TC膜の架橋結合が、トップコートを架橋結合することによって課される機械応力のおかげで、平坦なトップコートおよびブロックコポリマー膜が獲得されることを可能にすることを示した。このため、例えば、光発生酸(PAG)、光発生塩基(PBG)、またはラジカル発生剤などの架橋活性剤が、トップコート材料内に組み込まれ、例えば、UV照射または電子ビームまたは熱処理による、活性剤の適切な刺激により、トップコート膜が架橋結合されることを可能にする。
【0010】
これらの文書はさらに、トップコート膜のそのような架橋結合が、さらには、
図1内のZ1に参照される、架橋結合され、下層のブロックコポリマーブロックに対して中性である領域、および非架橋結合領域Z2を有するトップコートの局所的な架橋結合を得るために、リソグラフィマスクを通じて、局所的な様式で実行され得るということを説明する。そのような局所的な架橋結合は、トップコートTC1の架橋結合された中性領域Z1の下に位置する下層のブロックコポリマー20内に特定の領域を作成することが意図され、そこではナノドメインは、組立て温度でのアニーリング後に基板表面に垂直に配向される。しかしながら、この場合、ナノドメインが基板表面に垂直に配向されるBCPの特定の領域を作成するために実践される方法は、実施することが困難である。実際、リソグラフィステップの後、トップコートTC1のいくつかの領域Z1を局所的に架橋結合させると、トップコート材料TC1の非照射のおよび故に非架橋の結合領域Z2を除去すること、および次いで、これらに、第1のTC1と反対の親和性の第2のトップコートTC2(すなわち、第1のTC1が中性である場合、第2のTC2は非中性である、およびその逆も然り)を補充すること、およびこれらの同じ領域内の下層のブロックコポリマー膜20の平坦性を得るために、この第2のトップコートTC2を架橋結合することが必要である。逆に、第2のトップコートTC2が、使用されて、その後、下層のBCP膜の平坦性を確実にするために架橋結合されることがない場合、ブロックコポリマーは、これらの領域から自由に脱ぬれすることができ、これは、低減された厚さの第1のトップコート1TC1が使用されるとき、典型的には、TC1の厚さが下層のBCPの厚さの2倍よりも小さいときに問題となり得る。加えて、第1のエッチングG1が、第2の架橋結合されたトップコート層を除去するために必要とされ、および次いで、第2のエッチングG2が、残留トップコート層をエッチングするために必要とされ、最後に、第3のエッチングが、結果として生じるパターンを下層の基板へ転写するために必要とされる。
【0011】
ブロックコポリマーのブロックに対して反対の親和性の2つのトップコートTC1およびTC2の堆積および架橋結合は、界面に垂直に配向されるパターンを有する領域および界面に平行に配向されるパターンを有する領域が同じブロックコポリマー膜内に作成されることを可能にする。2つのトップコート層TC1およびTC2内の非中性および中性の架橋結合領域の寸法を変化させることにより、下層のブロックコポリマー内で、変化する寸法の平行および垂直パターンを画定することが可能である。しかしながら、そのような方法は、多くのステップを伴い、実施するのに時間および費用がかかることになる。
【0012】
本出願者は、したがって、この方法を簡略化し、特にマイクロエレクトロニクスの分野における用途のため、異なる周期のパターンを含むブロックコポリマー膜の製造を可能にするためのソリューションを探し求め、半導体または集積回路の生産のためのマスクの幅広い選択を提供する。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、故に、先行技術の欠点のうちの少なくとも1つを克服することである。本発明は、特に、基板のナノ構造化のためのナノリソグラフィマスクとして使用するためのブロックコポリマー膜を生産するための単純かつ効果的な方法を提供することを目指し、上記ブロックコポリマーは、単一の周期でナノ構造化することができ、上記方法は、欠陥を生成することなく、上記ブロックコポリマー膜内で、異なる周期のパターンが生産されることを可能にする。
【0014】
このため、本方法は、異なる寸法のナノ構造を有するナノ構造化基板の準備のために、基板をナノ構造化するための方法に関し、上記方法は、
基板の上にガイド表面を生成するステップと、
ガイド表面の上に未組立てブロックコポリマー層を堆積させるステップであって、上記未組立てブロックコポリマー層が、組み立て後、ナノドメインの形態にあるナノ構造化ブロックコポリマーを形成することができる、ステップと、
未組立てブロックコポリマー層の上に架橋結合ポリマー層を形成するステップと、
未組立てブロックコポリマー層の組立て温度に対応する温度でアニーリングするステップと、
ナノリソグラフィマスクのパターンを形成するように、架橋結合ポリマー層、およびナノ構造化ブロックコポリマーのブロックのうちの1つを除去するステップと、
上記ナノリソグラフィマスクを用いて基板をエッチングするステップと
を含み、
上記方法は、
上記ガイド表面は、未組立てブロックコポリマー層に対して中性および非中性の領域を有し、ガイド表面の上記中性または非中性領域のうちの少なくとも1つは、第1の寸法を有すること
上記架橋結合ポリマー層は、未組立てブロックコポリマー層に対して中性および非中性の領域を有し、架橋結合ポリマー層の上記非中性領域のうちの少なくとも1つは、第2の寸法を有すること、
ブロックのうちの1つの上記除去は、ナノ構造化ブロックコポリマーの少なくとも2つのブロックの平行ナノドメインがナノリソグラフィマスクのパターンを形成するように、ナノ構造化ブロックコポリマーのブロックのうちの1つのナノドメインの一部のみ、特に上記ブロックの垂直ナノドメインのみの除去であること、ならびに
上記第1および第2の寸法は、エッチング後に異なる寸法およびナノ構造のナノリソグラフィマスクパターンを異なる寸法のナノ構造化基板内に生成するように、異なること
を特徴とする。
【0015】
本発明による方法は、ブロックコポリマーの自然周期とは関係なく、異なる寸法がナノリソグラフィマスク内に作成されることを可能にする。加えて、本プロセスは、非中性領域に形成される、基板に平行のブロックのスタックが、リソグラフィ樹脂として使用されること、およびこれらのパターンがブロックコポリマーのものと同時に基板に転写されることを可能にする。
【0016】
有利には、本方法はまた、ナノリソグラフィマスク内のこのように説明される形状および寸法が自由自在に変化されることを可能にする。故に、基板の同じ領域で取り扱われる同じパターンのために異なる寸法を乗じることが可能である。
【0017】
加えて、ガイド表面の非中性領域および/または架橋結合ポリマー層の非中性領域は、したがって、本明細書内の本発明の文脈において、特に関心の対象である。非中性領域からのこれらの領域は、ブロックコポリマーの2つのブロックからなる。
【0018】
本方法の他の最適な特徴によると、本方法は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を、単独で、または組合わせで含み得る:
非架橋結合ブロックコポリマー層は、少なくとも10nmに等しい厚さを有する;
架橋結合ポリマー層は、中性領域とは異なる寸法の少なくとも1つの非中性領域を有する;
基板の上へのガイド表面の生成は、ケモエピタキシまたはグラフォエピタキシを実施することを伴う;
ガイド表面は、厚さを増大したガイド樹脂を有し、増大した厚さは、ブロックコポリマーのブロックのうちの1つと同様のエッチング特性を有する;
増大した厚さを形成するガイド樹脂は、ブロックコポリマーに対して非中性である;
増大した厚さを形成するガイド樹脂は、ブロックコポリマーに対して中性である;
ガイド樹脂のエッチングは、ポジティブモードで実行される;
ガイド樹脂のエッチングは、ネガティブモードで実行される;
架橋結合ポリマー層の中性領域の下に位置するブロックコポリマーの領域は、界面に垂直に配向されるナノドメインを有し、ナノドメインの寸法は、非中性領域の第1の寸法に対応する;
架橋結合ポリマー層の非中性領域の下に位置するブロックコポリマーの領域は、界面に平行に配向されるナノドメインを有し、ナノドメインの寸法は、非中性領域の第1の寸法に対応する;
ブロックコポリマーは、少なくとも1つのブロックを含み、ケイ素、ゲルマニウム、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、またはアルミニウムなどのヘテロ原子が、上記ブロックを構成する(コ)モノマーのすべてまたは一部に存在する;
架橋結合ポリマー層は、相互に異なる寸法を有する少なくとも2つの非中性網状領域を含む;
未組立てブロックコポリマー層の上に架橋結合ポリマー層を形成するステップは、
未組立てブロックコポリマー層の上にプレポリマー組成物の第1の層を堆積させるサブステップと、
局所的架橋結合ポリマー層を生成するように、上記第1のプレポリマー組成物層内の分子鎖を局所的に架橋結合することにより反応させるサブステップと、
非架橋結合領域を除去するために局所的架橋結合ポリマー層を洗い流すサブステップと、
少なくとも未組立てブロックコポリマー層の上に第2のプレポリマー組成物層を堆積させるサブステップと、
架橋結合ポリマー層を生成するように、上記プレポリマー組成物第2の層内の分子鎖を局所的に架橋結合することにより反応させるサブステップと
を含む;
未組立てブロックコポリマー層の上に架橋結合ポリマー層を形成するステップは、
プレポリマー組成物層を堆積させるサブステップであって、プレポリマー組成物層は、一方では、そのポリマー鎖内に複数の官能モノマーおよび少なくとも1つの架橋結合可能な官能基を、ならびに他方では、2つの化学的に異なる架橋剤を含み、各剤は、それに特有の刺激に応答して上記プレポリマーの架橋結合を開始させることができる、サブステップと、
異なる一次架橋結合領域および二次架橋結合領域が、下層のブロックコポリマーのブロックに対して反対の親和性を有する架橋結合ポリマー層を獲得するために、第1の刺激にさらされる一次領域内での第1の架橋剤の連続作用および第2の刺激にさらされる二次領域内での第2の架橋剤の連続作用によって上記プレポリマーの分子鎖の架橋結合反応を引き起こすために、2つの架橋剤を連続して刺激することによって上記層の一次および二次領域内で2つの連続した架橋結合動作を実行するサブステップとを含む。
【0019】
本発明の他の利点および特徴は、添付の図を参照して、例証的および非限定的な例として与えられる以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】先行技術による、基板をナノ構造化するための方法を表す図である。
【
図2】本発明の1つの実施形態による、基板をナノ構造化するための方法を表す図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態による、基板をナノ構造化するための方法を表す図である。
【
図4】本発明の1つの実施形態による、基板をナノ構造化するための方法を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明において、「ポリマー」とは、コポリマー(統計的、グラジエント、ブロック、交互タイプの)、またはホモポリマーのいずれかを意味する。
【0022】
使用される用語「プレポリマー」は、その後の重合または架橋結合に参加すること、および故に、いくつかのモノマー単位を最終高分子の少なくとも1つの鎖に組み込むことを可能にする反応基を有する、少なくとも1つのモノマーおよび/またはダイマーおよび/またはオリゴマーおよび/またはポリマーを指す。
【0023】
「プレポリマーのポリマー鎖」とは、複数のモノマー単位の組立ての主鎖を意味し、他のあまり重要ではない鎖は、ポリマー主鎖の枝と見なされる。
【0024】
使用される用語「モノマー」は、重合することができる分子を指す。
【0025】
使用される用語「重合」は、モノマーまたはモノマーの混合物を所定のアーキテクチャ(ブロック、グラジエント、統計的…)のポリマーへと変換する方法を指す。
【0026】
「コポリマー」とは、いくつかの異なるモノマー単位を組み合わせたポリマーを意味する。
【0027】
「統計的コポリマー」とは、鎖に沿ったモノマー単位の分布が、例えば、Bernoullian(ゼロ次マルコフ)または一次もしくは二次マルコフタイプの統計法則に従うコポリマーを意味する。反復単位が鎖に沿ってランダムに分布されるとき、ポリマーは、Bernoulli法によって形成されたものであり、ランダムコポリマーと呼ばれる。用語ランダムコポリマーは、しばしば、コポリマーの合成中に有効であった統計的プロセスが分からないときにさえ使用される。
【0028】
「グラジエントコポリマー」とは、モノマー単位の分布が鎖に沿って徐々に変化するコポリマーを意味する。
【0029】
「交互コポリマー」とは、鎖に沿って交互に分布される少なくとも2つのモノマーエンティティを含むコポリマーを意味する。
【0030】
「ブロックコポリマー」とは、別個のポリマー種の各々の1つまたは複数の途切れのない配列を含むポリマーを意味し、このポリマー配列は、互いとは化学的に異なり、化学(共有、イオン、水素、または配位)結合により互いに結合される。これらのポリマー配列は、ポリマーブロックとも称される。これらのブロックは、相分離パラメータ(Flory-Huggins相互作用パラメータ)を有し、その結果として、各ブロックの重合の度合いが臨界値よりも大きい場合、それらは、互いと混和せず、ナノドメインへと分かれる。
【0031】
上で述べた用語「混和性」は、2つ以上の化合物が、均質または「疑似均質」相を形成するために、つまり、短いまたは長い距離にわたって明白な結晶性または近結晶性の対称なしに、完全に混合する能力を指す。混合物の混和性は、混合物のガラス遷移温度(Tg)の合計が、単独で取られた個々の化合物のTgの合計よりも厳密に低いときに決定され得る。
【0032】
説明において、「自己組立て」、「自己組織化」、または「ナノ構造化」は、アニーリング温度とも呼ばれる組立て温度でのブロックコポリマーの相分離の周知の現象を説明するために等しく使用される。
【0033】
「中性」または「疑似中性」表面とは、全体としてブロックコポリマーのブロックのいずれとも優先的な親和性を有さない表面を意味する。故にそれは、表面上へのブロックコポリマーのブロックの公平または「疑似公平」分布を可能にする。基板の表面の中性化は、そのような「中性」または「疑似中性」表面が獲得されることを可能にする。
【0034】
「非中性」表面は、全体としてブロックコポリマーのブロックのうちの1つと優先的な親和性を有する表面を意味する。それは、ブロックコポリマーのナノドメインが平行または非垂直様式で配向されることを可能にする。
【0035】
所与の材料「x」の表面エネルギー(γxで示される)は、その体積内の材料のエネルギーと比較して、材料の表面における余剰エネルギーと定義される。材料が液体形態にあるとき、その表面エネルギーは、その表面張力に等しい。
【0036】
所与の材料およびブロックコポリマーの所与のブロックの表面エネルギー、またはより正確には界面張力について語るとき、これらは、所与の温度で、より正確にはブロックコポリマーの自己組織化を可能にする温度で、比較される。
【0037】
ブロックコポリマーの「下方界面」とは、上記ブロックコポリマーが堆積される下層の層または基板と接触している界面を意味する。この下方界面は、従来の技術によって中性化され、つまりそれは、全体としてブロックコポリマーのブロックのうちの1つといかなる優先的な親和性も有さないということに留意されたい。
【0038】
ブロックコポリマーの「上方界面」または「上方表面」とは、上記ブロックコポリマーの表面に適用される、トップコートと呼ばれTCと示される、最上層と接触している界面を意味する。トップコートTC上方層は、好ましくは、ブロックコポリマーのブロックのうちの1つとの優先的な親和性を有する領域、およびブロックコポリマーのブロックのうちの1つとの優先的な親和性を有さない領域の両方を有することができ、その結果として、ブロックコポリマーのナノドメインが、組み立てられたブロックコポリマーに面する領域に従う組立てアニーリングの時に、界面にそれぞれ平行および垂直に配向され得るということに留意されたい。
【0039】
「(コ)ポリマーに直交する溶剤」とは、上記(コ)ポリマーを攻撃するまたは溶解させることができない溶剤を意味する。
【0040】
「液体ポリマー」または「粘性ポリマー」とは、ガラス遷移温度よりも高い温度では、そのゴム状態に起因して、その分子鎖に与えられる自由に動く可能性の結果として増大した変形能力を有するポリマーを意味する。脱ぬれの起源における流体力学的現象は、材料が固体状態にない、つまりその分子鎖の取るに足りない可動性に起因して非変形可能でない限り、現れる。
【0041】
「不連続膜」とは、厚さが、1つまたは複数の領域の収縮に起因して一定ではなく、穴の開いている膜を意味する。
【0042】
ナノリソグラフィマスク内の「パターン」とは、交互の凹んだ形状および突出形状の連続を含む膜の領域を意味し、上記領域は、所望の幾何学的形状を有し、凹んだ形状および突出形状は、ラメラ、円筒、球体、またはジャイロイドであってもよい。
【0043】
「寸法」または「D」とは、本発明の意義の範囲内で、長さ、幅、深さ、高さ、厚さ、直径を意味する。
【0044】
「等価の」または「同一の」または「同じ寸法の」とは、本発明の意義の範囲内で、20%未満、好ましくは10%未満の、2つの測定値間または測定値と所望の値との間の変動を意味する。「非等価」または「異なる」とは、10%超、好ましくは20%超の、測定値と所望もしくは所定の値との間または2つの測定値間の差を意味する。
【0045】
本発明の残りの部分において、「架橋結合ポリマー層」とは、異なる材料の1つまたは複数の層からなり、ブロックコポリマーの上方表面に堆積され、下層のブロックコポリマーのブロックに対して中性および非中性(アフィン)の領域を交互に有する層を意味する。
【0046】
「増大した厚さ」とは、本発明の意義の範囲内で、ガイド表面内のガイド樹脂の厚さの余剰を意味し、厚さは、好ましくは、ガイド表面の2つの界面の間の距離によって測定され、増大した厚さは、ガイド表面の2つの界面の間の距離よりも大きい距離を有する。
【0047】
本発明者は、異なる寸法Dが、欠陥を生成することなく、ブロックコポリマーの自然周期とは関係なく、ナノリソグラフィマスク内に作成されることを可能にする、有向自己組立てによるエレクトロニクスの分野に専念した新規の方法を開発した。加えて、本発明者によって開発された方法は、異なる寸法のナノ構造を用いて基板をナノ構造化するために、ナノリソグラフィマスクにおける形状および寸法が自由自在に変化されることを可能にする。
【0048】
本発明は、基板10の上にガイド表面11を生成すること、および次いで、未組立てブロックコポリマー層20をガイド表面11の上に堆積させることを含む、
図2、
図3、および
図4に示されるような方法に関する。未組立てブロックコポリマーのいかなる脱ぬれも防ぐために、本方法は、未組立てブロックコポリマー層の上に架橋結合ポリマー層TCを形成することを含む。このように作成されたスタックは、ブロックの形態にあるナノ構造化ブロックコポリマーを形成するために、未組立てブロックコポリマーの組立て温度Tassで熱的にアニーリングされ、ブロックは、架橋結合ポリマー層TCの中性領域に面する垂直様式Z1または架橋結合ポリマー層TCの非中性領域に面する平行様式Z2で配向されるナノドメイン21、22の形態でナノ構造化される。架橋結合ポリマー層TCは、ナノリソグラフィマスクのパターンを形成するように、ナノ構造化ブロックのうちの1つと一緒に、好ましくはエッチングによって、実質的に除去される。次いで、マスクは、基板をエッチングし、異なる寸法のナノ構造を有するナノ構造化基板を獲得するために使用される。
【0049】
このため、基板表面は、中性化または疑似中性化される。基板10は、好ましくは固体であり、目的とされる用途に応じて、任意の性質のもの(酸化物、金属、半導体、ポリマー…)である。好ましくは、しかしながら網羅的ではないが、基板を構成する材料は、例えば、ケイ素(Si)、酸化ケイ素(SixOy)、窒化ケイ素(Si3N4)、オキシ窒化ケイ素(SixNyOz)、酸化アルミニウム(AlxOy)、チタン窒素酸化物(TixOyNz)、酸化ハフニウム(HfxOy)、金属、SoC(「Spin on Carbon(スピンオンカーボン)」の略称)もしくはBARC(「bottom anti-reflectant coating(底部反射防止コーティング)」の略称)タイプの有機層、またはポリジメチルシロキサン(PDMS)製の可撓性基板から選択され得る。
【0050】
表面の中性化または疑似中性化を可能にするために、基板10は、パターンを有する場合とそうでない場合とがあり、上記パターンは、ブロックコポリマーBCPの第1の層20を堆積させるステップの前に、任意の性質の1つのリソグラフィステップまたは一連のリソグラフィステップによって予め描かれる。上記パターンは、基板の上にガイド表面を獲得するために、いわゆるケモエピタキシ技術(
図2および
図3)、またはいわゆるグラフォエピタキシ技術(
図4)、またはこれらの2つの技術の組合わせによって、上記ブロックコポリマーBCPの組織化をガイドすることが意図される。
【0051】
ガイド表面は、未組立てブロックコポリマー層に対して中性および非中性の領域を有する。加えて、ガイド表面の上記中性または非中性領域のうちの少なくとも1つは、第1の寸法を有する。
【0052】
図4に示される1つの実施形態によると、ガイド表面は、ガイド樹脂を使用したグラフォエピタキシ技術を実施することを伴う。この実施形態によると、ガイド樹脂は、増大した厚さを有する。増大した厚さは、好ましくは、ブロックコポリマーのブロックのうちの1つと同様のエッチング特性を有する。加えて、ガイド樹脂のエッチングは、ポジティブまたはネガティブモードで実行され得る。ネガティブモードT1aでは、ガイド樹脂の露出した領域のみが基板に転写される。逆に、ポジティブモードT1bでは、ガイド樹脂の露出していない領域のみが基板に転写される。言い換えると、ネガティブモードでは、ガイド樹脂は、エッチング中、組立てブロックコポリマーの除去される(エッチングされる)少なくとも1つのブロックとして働く。故に、ガイド樹脂は、上記ブロックと一緒にエッチングされる。ポジティブモードでは、ガイド樹脂は、エッチング中、組立てブロックコポリマーの除去されない(エッチングされない)ブロックとして働く。故に、これは、ガイド樹脂をエッチングに耐性のあるものにする。
【0053】
加えて、ガイド樹脂は、ブロックコポリマーに対して中性であり得、ブロックコポリマーが組み立てられた後、その下方界面へのそのナノドメインの垂直配向を結果としてもたらす。
【0054】
しかしながら、ガイド樹脂はまた、ブロックコポリマーに対して非中性であり得、ブロックコポリマーが組み立てられた後、その下方界面へのそのナノドメインの平行配向を結果としてもたらす。
【0055】
特定の例は、上に堆積されるブロックコポリマーBCP20のものと同じモノマーの思慮深く選択された割合を有する統計的コポリマーの層をグラフトすることにある。統計的コポリマーの層は、ブロックコポリマーBCP20のための基板の初期の親和性の均衡がとられることを可能にする。グラフト反応は、例えば、任意の熱、光化学、または酸化還元手段によって獲得され得る。
【0056】
このガイド表面11は、有利には、ブロックコポリマー、好ましくは、ブロックコポリマーのナノドメインが、特に、同等の領域を獲得するようにブロックコポリマーを組み立てるとき、ガイドされることを可能にする。
【0057】
これはまた、ブロックコポリマーの周期が制約されるときに誘発される欠陥が低減されることを可能にする。
【0058】
故に、ガイド表面11は、同じブロックコポリマー、特に非中性領域、のための異なる寸法のパターンの作成に参加して、可変寸法を可能にする。
【0059】
ガイド表面11が基板10の上に生成されたとき、本方法は、
図2、
図3、および
図4に示されるように、未組立てブロックコポリマー層20をガイド表面上に堆積させることを含む。
【0060】
この未組立てブロックコポリマーに関して、ブロックコポリマーBCPは、「n」個のブロックを含み、nは、2以上の任意の整数である。ブロックコポリマーBCPは、より詳細には、以下の一般式によって規定される:
A-b-B-b-C-b-D-b-…-b-Z
式中、A、B、C、D、…、Zは、純粋な化学エンティティ、つまり各ブロックが、一緒に重合される同一の化学的性質のモノマーのセットであるか、または、全体としてもしくは部分的に、ブロックもしくは統計的もしくはランダムもしくはグラジエントもしくは交互コポリマーの形態にある、一緒に共重合されるコモノマーのセットのいずれかを表す同数のブロック「i」…「j」である。
【0061】
したがって、ナノ構造化されるべきブロックコポリマーBCPのブロック「i」…「j」の各々は、おそらくは、全体としてまたは部分的に、i=ai-co-bi-co-…-co-ziとして書かれ得、i≠…≠jである。
【0062】
各エンティティai…ziの体積分率は、ブロックコポリマーBCPのブロックi…jの各々において、モノマー単位で1~99%の範囲に及び得る。
【0063】
ブロックi…jの各々の体積分率は、ブロックコポリマーBCPの5~95%の範囲に及び得る。
【0064】
体積分率は、ブロックの体積に対するエンティティの体積、またはブロックコポリマーの体積に対するブロックの体積と定義される。
【0065】
コポリマーのブロックの各エンティティの体積分率、またはブロックコポリマーの各ブロックの体積分率は、以下に説明されるように測定される。エンティティのうちの少なくとも1つ、またはブロックコポリマーである場合はブロックのうちの1つが、いくつかのコモノマーを含むコポリマー内では、プロトンNMRによって、コポリマー全体における各モノマーのモル分率を測定し、次いで、各モノマー単位のモル質量を使用した質量分率へと戻ることが可能である。ブロックの各エンティティの質量分率、またはコポリマーの各ブロックの質量分率を獲得するには、エンティティまたはブロックの構成コモノマーの質量分率を加算するので十分である。各エンティティまたはブロックの体積分率は、次いで、各エンティティまたはブロックの質量分率およびエンティティまたはブロックを形成するポリマーの密度から決定され得る。しかしながら、モノマーが共重合されるポリマーの密度を獲得するのは常に可能なわけではない。この場合、エンティティまたはブロックの体積分率は、その質量分率、およびエンティティまたはブロックの質量大多数を表す化合物の密度から決定される。
【0066】
ブロックコポリマーBCPの分子量は、1000~500,000g.mol-1の範囲に及び得る。ブロックコポリマーBCPは、任意のタイプのアーキテクチャ:線形、星形(3または多アーム)、グラフト、樹枝状、櫛形を有し得る。
【0067】
ブロックコポリマーのブロックi、…jの各々は、γi…γjで示される表面エネルギーを有し、これは、ブロックに特有であり、その化学成分、つまりそれを構成するモノマーまたはコモノマーの化学的性質の関数である。同様に、基板を構成する材料は各々、独自の表面エネルギー値を有する。
【0068】
ブロックコポリマーのブロックi、…jの各々はまた、それが、例えば、ガス、液体、固体表面、または別のポリマー相であり得る所与の材料「x」と相互作用するとき、χixで示される、Flory-Hugginsタイプの相互作用パラメータ、および、「γix」で示される界面エネルギーを有し、γix=γi-(γxcosθix)であり、式中、θixは、材料iとxとの間の非ゼロ接触角度であり、材料xが材料iの上に滴下を形成している。故に、ブロックコポリマーの2つのブロックiとjとの間の相互作用パラメータは、χijで示される。
【0069】
文書Jiaら、Journal of Macromolecular Science、B、2011、50、1042に説明されるように、所与の材料iの、γiとHildebrandの溶解性パラメータδiとの間には関係性がある。実際、2つの所与の材料iとxとの間のFlory Huggins相互作用パラメータは、材料に特有の表面エネルギーγiおよびγxに間接的に関連しているため、材料の界面に現れる物理的現象について説明するために、表面エネルギーに関して、または相互作用パラメータに関して語ることができる。
【0070】
材料の表面エネルギーおよび所与のブロックコポリマーBCPの表面エネルギーに言及するとき、それは、表面エネルギーが所与の温度で比較されること、およびこの温度はBCPが自己組織化することができる温度(または温度範囲の少なくとも一部)であることが示唆される。
【0071】
このブロックコポリマー層は、スピン塗布または「スピン塗布」などの従来の技術によって堆積される。加えて、この層は、少なくとも10nmの厚さを有し得る。
【0072】
ブロックコポリマーは、後続のアニーリングステップにおいて、それが組立て温度でナノ構造化することができるように、必ず液体/粘性状態で堆積される。
【0073】
優先的に、しかしながら本発明を限定することなく、使用されるブロックコポリマーは、少なくとも1つのブロックを有し、ケイ素、ゲルマニウム、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、またはアルミニウムなどのヘテロ原子が、上記ブロックを構成する(コ)モノマーのすべてまたは一部に存在する。
【0074】
優先的に、しかしながら本発明を限定することなく、使用されるブロックコポリマーは、「高χ」(高いFlory-Hugginsパラメータを有する)であると言え、つまりそれは、Y.Zhao、E.SivaniahおよびT.Hashimoto、Macromolecules、2008、41(24)、9948-9951頁(Determination of the Flory-Huggins parameter between styrene(“S”) and MMA(“M”)によって規定されるように、考慮中の組立て温度で、いわゆる「PS-b-PMMA」系のパラメータよりも大きいパラメータを有さなければならない。
χSM=0.0282+(4.46/T))
【0075】
本発明による方法は、未組立てブロックコポリマー層20が堆積された後、架橋結合ポリマー層TCを未組立てブロックコポリマー層20の上に形成することを含む。この層は、架橋結合コポリマー層内で、下層のブロックコポリマーのブロックに対して交互に中性および非中性である隣接する領域を規定するために、1つまたは複数の局所的な架橋結合反応にさらされる。加えて、架橋結合ポリマー層の上記非中性領域のうちの少なくとも1つは、第2の寸法を有する。
【0076】
組立て温度で下層のブロックコポリマー20をアニーリングする後続ステップは、次いで、ブロックコポリマーがナノ構造化されること、ならびに中性の親和性領域に面する界面において垂直様式Z1で配向されるナノドメイン21、22を含むナノ構造化ブロック、および非中性領域に面する界面において平行様式Z2で配向されるナノドメイン21、22を含むナノ構造化ブロックが獲得されることを可能にする。
【0077】
架橋結合ポリマー層、および架橋結合ポリマー層の中性領域に面するブロックコポリマーのブロックのうちの1つ、つまりナノドメインが界面において垂直様式Z1で配向されるブロックコポリマーのブロックは、次いで、エッチングにより除去される。ブロックのうちの1つの除去は、ナノ構造化ブロックコポリマーの少なくとも2つのブロックの平行ナノドメインがナノリソグラフィマスクのパターンを形成するように、ナノ構造化ブロックコポリマーのブロックのうちの1つのナノドメインの一部のみ、特に上記ブロックの垂直ナノドメインのみの除去である。言い換えると、界面に垂直様式で配向される、架橋結合ポリマー層の中性領域に面するナノ構造化ブロックコポリマーのブロックのナノドメイン22のうちの少なくとも1つが、エッチングにより除去される。故に、本方法によると、ナノリソグラフィマスクのパターンを形成することが意図されるパターンM1、M2、M3のみが保持される。さらには、またかなり有利には、パターンM1、M2、およびM3は、同じ寸法を有さない。
【0078】
様々なエッチングステップは、好ましくは、プラズマエッチングにより実行される。それらはまた、除去されるべき層の各々の成分に従ってガス化学を調節することによって、同じエッチングフレーム内で、プラズマエッチングにより連続的に実行され得る。例えば、プラズマの構成ガスの化学的性質は、ブロックコポリマーBCPの1つのブロックのために特定の選択性が存在しないように、除去されるべき材料に従って調節されなければならない。
【0079】
故に、ガイド表面11の中性または非中性領域に見合わない架橋結合ポリマー層内のパターンを作成することにより、本方法は、未組立てブロックコポリマー層がナノ構造化された後、異なる寸法のナノ構造(パターン)を有する基板をナノ構造化するために使用され得る異なる寸法の領域が作成されることを可能にする。
【0080】
本発明によると、
図2に示される第1の実施形態は、架橋結合ポリマー層を未組立てブロックコポリマー層の上に形成するために実施され得る。
【0081】
このため、ブロックコポリマー膜BCP20を堆積させるステップの後、
図2ではpre-TC30と示される第1のプレポリマー層は、ブロックコポリマーBCP20の表面に堆積される。このプレポリマー層は、従来の堆積技術、例えば、スピン塗布または「スピン塗布」によって、ブロックコポリマー20上に堆積され、液体/粘性状態にある。
【0082】
このプレポリマー組成物層は、溶液内に1つもしくは複数のモノマーおよび/またはダイマーおよび/またはオリゴマーおよび/またはポリマーを含む。好ましくは、プレポリマー組成物は、基板上にすでに存在するブロックコポリマー層20に直交する溶剤内で調剤され、少なくとも以下を含む:
全体的または部分的に同一の化学的性質の、1つのモノマー、ダイマー、オリゴマー、もしくはポリマー化学エンティティ、またはこれらの様々なエンティティの任意の混合物、および刺激の効果の下、架橋結合反応の進展を確実にすることができる少なくとも1つの架橋結合可能な官能基、ならびに
ラジカル発生剤、酸、および/または塩基など、刺激の効果の下、架橋結合反応を開始させることができる、架橋剤とも呼ばれる1つまたは複数の化学エンティティ。
【0083】
プレポリマー層の溶剤は、堆積ステップ(例えば、スピン塗布による)中にプレポリマー層の溶剤内でのこのポリマーのいかなる再溶解も回避するために、下層の層のポリマー系に完全に「直交」するように選択される。各々の層内の溶剤は、したがって、基板上にすでに堆積されたポリマー材料の化学的性質にかなり依存することになる。故に、すでに堆積されたポリマーが、その溶剤が低極性および/または低プロトン性溶剤から選択されるため、低極性/プロトン性である場合、プレポリマー層は、可溶化され、やや極性および/またはプロトン性の溶剤からの第1のポリマー層上に堆積され得る。逆に、すでに堆積されたポリマーがやや極性/プロトン性である場合、プレポリマー層の溶剤は、低極性および/または低プロトン性溶剤から選択され得る。
【0084】
プレポリマー組成物は、1つの実施形態異形においては、溶剤なしに使用され得る。
【0085】
プレポリマー層は、次いで、
図2ではTC1で参照される第1の領域に局所化された第1の刺激にさらされ、上記刺激は、光放射、イオン衝撃、熱刺激、プラズマ、または電気化学プロセスから選択される。次いでこの刺激は、上記刺激にさらされる上記第1の領域TC1における第1の架橋剤の作用により、プレポリマーの分子鎖の架橋結合反応を引き起こす。このとき獲得される第1の架橋結合領域は、ブロックコポリマーのブロックに対して第1の親和性を呈する。
【0086】
好ましくは、刺激は、電気化学的性質のものであり、電子ビームまたは光放射により適用され、さらにより好ましくは、それは光放射である。
【0087】
特に有利な実施形態において、pre-TCプレポリマー層の構成要素の架橋結合反応は、紫外線から赤外線に及ぶ波長内での放射などの光放射に層を露出することによって活性化される。好ましくは、照射波長は、10nm~1500nmであり、より好ましくは、それは、100nm~500nmである。1つの特定の実施形態において、層を光放射に露出するための光源は、レーザデバイスであり得る。そのような場合、レーザの波長は、好ましくは、以下の波長のうちの1つを中心とする:436nm、405nm、365nm、248nm、193nm、172nm、157nm、または126nm。そのような架橋結合反応は、周囲温度または適温、好ましくは150℃以下、より好ましくは110℃以下で実施されるという利点を有する。それはまた、約数秒から約数分、好ましくは2分未満と、非常に高速である。好ましくは、プレポリマー層の構成化合物は、架橋結合前、それらが光源への露出から保護される限り、溶液内で安定している。故に、それらは、不透明の容器に格納される。そのようなプレポリマー層が下層の層の上に堆積されるとき、溶液内で安定している成分は、実に短い期間(典型的には2分未満)にわたって層の架橋結合を可能にする光放射にさらされる。故に、プレポリマー層は、放射にさらされる領域TC1においては、脱ぬれする時間がない。さらには、反応が伝搬すると、露出された領域において、鎖のサイズが増加し、これは、プレポリマー層が「液体/液体」構成にあるとき界面における可溶化および相互拡散問題を制限する。
【0088】
プレポリマー層の放射による架橋結合の反応は、反応種の拡散を促進するように、および故に、架橋結合網の剛性を増加させるように、下層のコポリマー層20のガラス遷移温度よりもはるかに低い適温で起こり得る。
【0089】
本発明の1つの異形によると、プレポリマー層の光照射は、合計反応時間を最適化するために所望の温度、好ましくは110℃未満にされたスタック上で直接実施される。
【0090】
この光-架橋ステップは、リソグラフィマスクを通じて実行され得る。1つの実施形態異形において、リソグラフィマスクを使用する必要なしに、プレポリマー層の局所照射を実行するために、例えばレーザタイプの局所光源を使用することも可能である。
【0091】
好ましくは、局所的架橋結合ポリマー層TC1を洗い流すステップは、非架橋結合領域を除去し、局所的架橋結合ポリマー層TC1内に凹んだ領域を形成するように実行される。このため、層スタックは、ブロックコポリマーBCPに直交する溶剤内で洗い流される(
図2では「R」で示されるステップ)。
【0092】
局所的架橋結合ポリマー層は、次いで、ブロックコポリマーの組立て温度を下回る温度で露光後ベーク(「Post Exposure Bake」のアングロサクソン略称PEBで示される)にさらされ得る。そのようなアニーリングは、このとき、露光中に放出される酸または塩基の拡散を可能にする。典型的には、局所的架橋結合ポリマー層のPEBは、約3分の期間にわたって約90℃の温度で実行される。この層は、任意選択的に、アンモニウムトリフラートなどの熱潜在性架橋剤を含み得る。
【0093】
局所的架橋結合ポリマー層の洗い流しおよびアニーリングの後、本方法は、第2のプレポリマー層TC2を堆積させることを含み得る。この層は、次いで、一方では、局所的架橋結合ポリマー層TC1の以前に架橋結合された領域上に、および他方では、局所的架橋結合ポリマー層によって被覆されず、局所的架橋結合ポリマー層TC1の凹んだ領域に対応するブロックコポリマーの表面上に堆積される。
【0094】
下層のブロックコポリマーに対して中性である場合とそうでない場合とがある(しかしながら局所的架橋結合ポリマー層TC1に対して反対の親和性の)この第2のプレポリマー組成物層TC2は、次いで、ブロックコポリマーの組立て温度Tassでの後続のアニーリングステップ中、それがナノ構造化するとき、ブロックコポリマー20の脱ぬれ現象の発生を回避するために、例えば、光照射によって、電気化学的プロセス、プラズマ、イオン衝撃、または化学種によって、架橋結合される。第2のプレポリマー層TC2の架橋結合は、ブロックコポリマーのブロックに対して第2の親和性を有する架橋結合領域を獲得するように開始され、第2の親和性は、第1の親和性と反対である。
【0095】
故に、
図2の例に示されるように、第1の局所的架橋結合ポリマー層TC1は、例えば、下層のブロックコポリマー20のブロックのうちの1つのための優先した親和性を有さず、その結果として、ブロックコポリマーが組み立てられるとき、第1の架橋結合領域TC1の下に位置するナノドメインは、界面に対して垂直様式Z1で配向する一方、第2の架橋結合層TC2は、下層のブロックコポリマーのブロックのうちの1つに対して非中性の親和性を有し、その結果として、ブロックコポリマーが組み立てられるとき、第2の架橋結合領域TC2の下に位置するナノドメインは、界面に対して平行様式Z2で配向する。
【0096】
これらの2つの架橋結合層TC1およびTC2は、下層のブロックコポリマーに対して反対の親和性の、および非等価の寸法の、隣接する架橋結合領域を有する架橋結合ポリマー層TCが生成されることを可能にする。好ましくは、架橋結合ポリマー層TCは、中性領域とは異なる寸法の少なくとも1つの非中性領域を有する。代替的に、架橋結合ポリマー層は、異なる寸法の少なくとも2つの非中性領域を有し得る。
【0097】
一般に、連続した層の異なる堆積ステップは、ドクターブレード堆積、Langmuir-Blodgett堆積、化学蒸着堆積、物理蒸着堆積、原子薄膜堆積、またはスピン塗布堆積から選択される、マイクロエレクトロニクスに知られている任意の方法によって実行され得る。好ましくは、しかしながら限定なしに、堆積は、スピン塗布技術によってなされる。
【0098】
下層のブロックコポリマーBCPに対して交互に中性および非中性の架橋結合領域を含む架橋結合ポリマー層が獲得された後、下層のブロックコポリマー層BCP20における架橋結合ポリマー層の可溶化は、強力に制限されるか、または防がれることさえあり、脱ぬれ現象の発生は、遅延されるか、または防がれることさえある。
【0099】
1つの代替の実施形態によると、2つのプレポリマー層が架橋結合ポリマー層を形成するとき、一方または他方のプレポリマー層のみを構造化することが可能である。故に、反対の親和性の2つのプレポリマー層の場合、第1の親和性の第1のプレポリマー層は、架橋結合され、次いでアニーリングされ得る。上記プレポリマー層の非架橋結合領域は、次いで、第1の架橋結合プレポリマー層によって被覆されない下層のブロックコポリマーの領域を形成するように洗い流される。第1の層と反対の親和性の第2のプレポリマー層は、ブロックコポリマーの非被覆領域を被覆するように堆積される。次いで、アニーリングが実行され、ブロックコポリマーが組み立てられる。
【0100】
このようにして、同じ一連のパターンについて、異なるリソグラフィマスクが、最初に露出されたプレポリマー層の親和性に応じて使用され得る。
【0101】
次のステップは、ナノドメイン21、22へのブロックコポリマーの自己組立てを可能にするように、結果として生じるスタックを、ブロックコポリマーの組立て温度で、熱アニーリングに供することにある。
【0102】
組立て温度は、使用されるブロックコポリマーに依存する。一般に、それは、100℃よりも高く、およびさらにより好ましくは、それは、200℃よりも高いが、上記ブロックコポリマーの潜在的な劣化温度よりは低い。好ましくは、ブロックコポリマーの組立て温度Tassは、架橋結合およびリソグラフィ形態にあるポリマー層のガラス遷移温度Tgよりも低いか、または少なくとも、ポリマー層の材料が粘弾性流体として挙動する温度よりも低い。この温度は、ポリマー層材料のガラス遷移温度Tgを上回る、この粘弾性挙動に対応する温度範囲内にある。熱アニーリングは、ブロックコポリマーのナノ構造化を引き起こすために、好ましくは60分未満、およびより好ましくは5分未満の特定の期間にわたって実行される。ブロックコポリマーに対して架橋結合中性領域TC1の下に位置するナノドメイン21、22は、次いで、架橋結合ポリマー層との界面に対して垂直様式Z1で配向され、架橋結合非中性領域TC2の下に位置するナノドメイン21、22は、架橋結合ポリマー層との界面に対して平行様式Z2で配向される。
【0103】
故に、本方法のおかげで、相互に等価または非等価の寸法の中性および非中性領域を作成することが可能である。いくつかの非中性領域を作成することも可能であり、上記非中性領域の各々もまた、相互に等価または非等価の寸法のもの、および好ましくは相互に非等価の寸法のものである。非等価とは、本発明の意義内で、異なる寸法を意味する。故に、各中性または非中性領域は、長さ、深さ、または高さ、または幅など、独自の寸法を有し得る。好ましくは、架橋結合ポリマー層TCは、中性領域の寸法とは異なる寸法を有する少なくとも1つの非中性領域を有する。代替的に、架橋結合ポリマー層は、異なる寸法の少なくとも2つの非中性領域を有し得る。
【0104】
図2に示される実施形態において、基板をナノ構造化するためのパターンM1、M2、M3を形成するために選択されるブロックコポリマーの領域は、架橋結合ポリマー層の領域TC1の下および領域TC2の下に位置する領域である。
【0105】
図2に示される例において、架橋結合ポリマーの第1の層は、下層のブロックコポリマーのブロックのうちの1つに対して優先的な親和性を有さず、その結果として、この層により被覆されるコポリマーBCPの領域において、ナノドメイン21、22は、自然に、界面に対して垂直様式Z1で配向する。第1の層と反対の親和性の、架橋結合ポリマー層の第2の層は、下層のブロックコポリマーのブロックのうちの1つに対して中性親和性を有し、その結果として、この層により被覆されるコポリマーBCPの領域において、ナノドメイン21、22は、自然に、界面に対して平行様式Z2で配向する。この場合、自己組立て温度Tassでのアニーリングステップにおいて、ブロックコポリマーの架橋結合ポリマー層の第1の層の下に位置するナノドメイン21、22は、界面に対して垂直様式Z1で配向する一方、架橋結合ポリマー層の第2の層の下に位置するナノドメイン21、22は、界面に対して平行様式Z2で配向する。
【0106】
スタックをエッチングするステップG1の前、予備エッチングステップGaが、垂直様式Z1または平行様式Z2で配向されるナノ構造化ブロックコポリマーのナノドメイン21、22をむき出しにするように架橋結合ポリマー層を除去するために、好ましくはプラズマによって実行される。架橋結合ポリマー層を除去する1つのやり方は、例えば、He、Arなどのやや不活性であるガスとの混合物内の酸素優勢塩基など、例えば好適なガス化学を用いた、プラズマなどのドライエッチングを使用することにある。そのようなドライエッチングは、下層のブロックコポリマーBCP20が、例えば、そのブロックのうちの1つにケイ素を含み、これがその後エッチング停止層として作用する場合、達成するのがよりいっそう有利かつ容易である。
【0107】
次いで、スタックをエッチングするステップG1が実行され、界面に垂直に配向されるナノドメイン22のうちの少なくとも1つは、パターンM1を形成するように、除去され得る。この場合、パターンM1を形成するために残されたナノドメイン21は、エッチングに耐えることができなければならない。このため、ナノドメイン21に対応し、保持されることが意図されるブロックは、例えば、ケイ素を含み得、これが、その後エッチング停止層として作用する。
【0108】
代替的に、界面に垂直に配向されるナノドメイン21のうちの少なくとも1つは、パターンM1を形成するように、除去され得る。この場合、パターンM1を形成するために残されたナノドメイン22は、エッチングに耐えることができなければならない。このため、ナノドメイン22に対応し、保持されることが意図されるブロックは、例えば、ケイ素を含み得、これが、その後エッチング停止層として作用する。
【0109】
加えて、領域Z2は、保持され、これもまた、エッチングによって下層の基板へ転写されるパターンM2、M3を形成することが意図される。これらの領域の転写特性は異なっていてもよく、領域Z1は、1つのタイプの垂直ナノドメインのみを含む一方、領域Z2は、平行様式で配向されるナノドメイン21および22を含む。しかしながら、この欠点は、非常に小さく、領域Z1内のパターンから転写される深さにおけるいかなる差も補償するためにBCP膜の厚さを増大させることによって容易に回避され得る。加えて、ガイド表面およびより詳細にはガイド樹脂のエッチングは、ポジティブモードまたはネガティブモードのいずれかで実施され得る。
【0110】
次いで、複数のパターンM1、M2、M3が、異なる寸法を有しながら、作成され、互いから分離される不連続なブロックコポリマー膜が獲得される。加えて、架橋結合ポリマー層の中性領域の下に位置するブロックコポリマーの領域は、界面に垂直に配向されるナノドメインを有し、ナノドメインの寸法は、領域の第1の寸法に対応する。
【0111】
代替的に、架橋結合ポリマー層の非中性領域の下に位置するブロックコポリマーの領域は、界面に平行に配向されるナノドメインを有し、ナノドメインの寸法は、領域の第1の寸法に対応する。
【0112】
一旦パターンM1、M2、M3が獲得されると、ナノリソグラフィマスクを形成し、互いから分離される複数のパターンM1、M2、M3などを有し、下層の基板10へ転写されることが意図される不連続および多孔の膜が獲得される。
【0113】
好ましくは、この転写ステップは、少なくとも1つのナノドメイン22または21を除去するエッチングステップG1と同時に、またはこれに連続して、同じドライエッチングフレーム内で、プラズマエッチングによって実行され得る。例えば、フレームは、ICP(誘導結合プラズマ)リアクタまたはCCP(容量結合プラズマ)リアクタであり得る。
【0114】
故に、特定の原子構造を有する材料の連続的なスタックは、パターンが、基板が深くエッチングされることを可能にする非常に明確なガス化学を用いたプラズマエッチングによって、異なる層内に非常に選択的に転写されることを可能にする。基板、例えば、ケイ素は、ハロゲン化学(SF6、CH3F、CH2F2、CHF3、CF4、HBr、Cl2)を用いてプラズマエッチングされ得る。次いで、パターンが、T1aおよびT1bでエッチングされる基板に転写される。
【0115】
例として、ブロックコポリマーが、そのブロックのうちの1つにケイ素などのヘテロ原子を含み、ポリマー層が、全体的に有機またはハロ有機である場合、エッチングステップのためのプラズマガス化学は、HeまたはArなどの希釈ガスが追加され得る、O2/CF4、O2/CHF3、O2/CH2F2、O2/CH3F、O2/SF6、HBr/O2、またはHBr/Cl2/O2から選択されるような酸素フッ素化混合物であり得る。
【0116】
こうして作成されたパターンM1、M2、M3は、等価または非等価の寸法を有し、好ましくは、パターンM2、M3は、非等価の寸法を有する。パターンM1、M2、M3は、下層の基板の厚さへのエッチングによって転送されることが意図され、各パターンは、基板をナノ構造化することが意図されるナノ構造に対応する。
【0117】
故に、非中性領域は、新規リソグラフィ樹脂として使用され、下層の基板をナノ構造化するための新規寸法を提供し得る。
【0118】
本発明による方法は、パターンが、ガイド層のパターンに見合わない未組立てブロックコポリマー層内に、使用される架橋結合ポリマー層(中性または非中性)に応じて、ならびにその異なる架橋結合反応のおかげで、作成されることを可能にする。故に、BCPが組み立てられた後、領域Z1またはZ2に従う異なる寸法のブロックが、異なる寸法のナノ構造を有する基板をナノ構造化するために使用され得る。
【0119】
【0120】
この実施形態では、架橋結合ポリマー層は、一方では、そのポリマー鎖内に複数の官能モノマーおよび少なくとも1つの架橋結合可能な官能基を、ならびに他方では、2つの化学的に異なる架橋剤を含むプレポリマー組成物から形成され、各剤は、それに特有の刺激に応答して上記プレポリマーの架橋結合を開始させることができる。
【0121】
有利には、これは、架橋結合ポリマー層が構造化されることを可能にする。加えて、そのような層は、方法のステップの数が低減されること、および方法が簡略化されることも可能にする。実際、単一のプレポリマー組成物層が堆積され、後続の架橋結合ステップは、架橋結合を開始させることができる各剤の存在により最適化される。故に、もはや、第1の層を堆積させ、次いで上記第1の層を架橋結合し、次いで同じく架橋結合にさらされなければならない第2の層を再再堆積する必要がない。これは時間も節約する。
【0122】
この実施形態によると、2つの連続した架橋結合反応は、架橋結合ポリマー層を獲得するために、第1の刺激にさらされる一次領域TC1内での第1の架橋剤の連続作用、および次いで第2の刺激にさらされる二次領域TC2内での第2の架橋剤の連続作用によってプレポリマーの分子鎖の架橋結合反応を引き起こすために、2つの架橋剤を連続して刺激することによって上記プレポリマー層の一次領域TC1および二次領域TC2内で実行され、異なる隣接する架橋結合領域は、下層のブロックコポリマーのブロックのナノドメイン21、22に対して互いに反対の親和性を有する。
【0123】
一次領域TC1および二次領域TC2がポリマー層内で架橋結合されることを可能にする第1および第2の連続した刺激は、光放射、イオン衝撃、熱刺激、プラズマ、または電気化学的プロセスから選択され得る。
【0124】
2つの刺激は、異なるまたは同一の性質のものであり得る。しかしながら、それらが同じ性質のものである場合、各架橋剤の選択的活性化は、異なる刺激設定を選択することによって行われる。故に、例えば、2つの連続した刺激が、紫外線(UV)放射によって実行される場合、各架橋剤の活性化波長は異なる。同様に、2つの連続した刺激が熱的に実行される場合、各架橋剤の活性化温度は異なる。
【0125】
刺激が光放射によって実行されるとき、それは、一般的に、フォトリソグラフィマスクを通じたものである。しかしながら、レーザデバイスの使用は、例えば、特定の領域がマスクの必要性なしに局所的および正確に照射されることを可能にする。同様に、赤外線レーザデバイスを用いて、または原子間力顕微鏡の加熱先端などの機械手段により、特定の領域を熱的および局所的に刺激することが可能である。連続した刺激を実行するために使用される手段に応じて、したがって、各刺激は、マスクを通じて、またはそうでなく、実行され得る。
【0126】
加えて、第1の架橋剤は、ポリマー鎖の第1の架橋結合可能な官能基と反応することによって架橋結合を開始させることができる一方、第2の架橋剤は、第1の架橋結合可能な官能基と同一または異なる架橋結合可能な官能基と反応させることによって架橋結合を開始させることができる。
【0127】
加えて、2つの架橋剤のうちの1つは、プレポリマーのポリマー鎖の少なくとも1つの官能基とも反応することができる。
【0128】
加えて、架橋剤のいずれかまたは両方は、上記プレポリマーのポリマー鎖によって実行され得る。
【0129】
好ましくは、各架橋剤は、プレポリマー組成物内に、上記プレポリマー組成物の合計質量の30%以下の内容量で存在する。
【0130】
有利には、二重架橋結合のステップの後、獲得される架橋結合ポリマー層は、相互に等価の寸法のものである場合とそうでない場合とがある中性架橋結合領域TC1および非中性架橋結合領域TC2を含む。好ましくは、非中性網状領域は、相互に異なる寸法を有する。
【0131】
加えて、同じ架橋結合中性領域が、ブロックコポリマーの下層の領域内に、垂直様式Z1で配向されるナノドメインの形成を可能にすることが意図される。1つまたは複数の垂直に配向されたナノドメインおよび組み立てられたブロックコポリマーのブロックのうちの1つの除去後、結果として生じるパターンM1、M2、M3は、エッチングにより下層の基板へ転写することができる。加えて、非中性領域TC2もまた、ブロックコポリマーの下層の領域内に、平行様式Z2で配向されるナノドメインの形成を可能にすることが意図される。架橋結合ポリマー層の除去後にこれらの平行配向のナノドメインブロックによって獲得されるパターンM2、M3もまた、エッチングにより下層の基板へ転写されることが可能である。
【0132】
故に、本発明のおかげで、平行配向のナノドメインは、基板内のパターンの作成に参加する。加えて、作成されるパターンは、最低限の欠陥で異なる周期を有する。故に、ガイド表面および架橋結合ポリマー層のおかげで、BCP内に、その自然周期にかかわらず、異なる寸法を作成することが可能になる。したがって、本発明の主な関心事のうちの1つは、BCP(平行配向のナノドメイン)内に作成される非中性領域をそれ自体でリソグラフィ樹脂として使用し、および次いで、これらのパターンを同時に基板へ転写することである。したがって、これらの非中性領域は、最終パターンの一体部分である。加えて、したがって、同じパターンのために異なる寸法を乗じながら、BCP内に作成されるパターンを自由自在に変化させることが可能である。
【0133】
1つまたは複数の垂直配向Z2のナノドメイン21、22を除去して1つまたは複数のパターンを獲得するという選択は、本方法の最後に獲得されることになる構造体のタイプに依存する。
【0134】
第1の実施形態または第2の実施形態が使用されるにしろ、架橋結合ポリマー層は、好ましくは、下層の未組立てブロックコポリマー層に対して中性および非中性の領域を有する。架橋結合ポリマー層は、好ましくは、中性領域の寸法とは異なる寸法の少なくとも1つの非中性領域を有する。
【0135】
加えて、架橋結合ポリマー層の非中性領域のうちの少なくとも1つは、第2の寸法を有する。好ましくは、第1および第2の寸法は、エッチング後に異なる寸法およびナノ構造のナノリソグラフィマスクパターンを異なる寸法の基板内に生成するように、異なることを特徴とする。
【国際調査報告】