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特表2023-509020トロカールを介して脳へと挿入される位置合わせ付きの側視超音波(us)イメージャ
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  • 特表-トロカールを介して脳へと挿入される位置合わせ付きの側視超音波(us)イメージャ 図1
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  • 特表-トロカールを介して脳へと挿入される位置合わせ付きの側視超音波(us)イメージャ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】トロカールを介して脳へと挿入される位置合わせ付きの側視超音波(us)イメージャ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20230227BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539695
(86)(22)【出願日】2020-12-06
(85)【翻訳文提出日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 IB2020061564
(87)【国際公開番号】W WO2021137058
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】16/729,436
(32)【優先日】2019-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
【テーマコード(参考)】
4C160
4C601
【Fターム(参考)】
4C160FF45
4C601BB03
4C601DD11
4C601EE11
4C601FE03
4C601FF11
4C601GA20
4C601GA21
4C601JC21
4C601LL33
(57)【要約】
装置が、医療用プローブ及びトロカールを含む。医療用プローブは、患者の臓器へと挿入されるように構成された遠位端を含み、遠位端は、磁気位置センサ及び側視超音波イメージャを含む。トロカールは、プローブの挿入のためのチャネルを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
患者の臓器へと挿入されるように構成された遠位端を備える医療用プローブであって、前記遠位端は、磁気位置センサ及び側視超音波イメージャを備えている、医療用プローブと、
前記プローブの挿入のためのチャネルを有しているトロカールと
を備える装置。
【請求項2】
前記遠位端は、外科装置を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記遠位端は、前方視カメラを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
システムであって、
患者の臓器へと挿入されるように構成された遠位端を備える医療用プローブであって、前記遠位端は、磁気位置センサ及び側視超音波イメージャを備えている、医療用プローブと、
前記プローブの挿入のためのチャネルを有しているトロカールと、
プロセッサであって、
前記臓器の1つ以上の基準医療画像を受信し、
前記臓器内の前記磁気位置センサの推定位置を表す信号を受信し、前記信号に基づいて前記磁気位置センサの位置を推定し、
前記側視超音波イメージャから超音波信号を受信して、それぞれの超音波画像を生成し、
前記推定位置に基づいて、前記超音波画像を前記基準医療画像と位置合わせし、
前記位置合わせされた画像をユーザに提示する
ように構成されたプロセッサと
を備えるシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記位置合わせされた画像に基づいて、前記遠位端を前進させるための前記臓器内の経路を提示するように更に構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記位置合わせされた画像に基づいて前記基準医療画像を修正するように更に構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記超音波画像と前記基準画像との間の検出された不一致をユーザに警告するように更に構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
患者の臓器へと挿入されるように構成された遠位端を備える医療用プローブであって、前記遠位端は、磁気位置センサ及び側視超音波イメージャを備えている、医療用プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、侵襲的医療用プローブに関し、具体的には、患者身体内の医療用プローブを追跡するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の臓器を医用画像による誘導にて調べるための技術が、特許文献においてすでに提案されている。例えば、米国特許第10,117,564号が、手術及び/又は診断の分野における設備及び手順を記載し、より具体的には、脳に関係し、且つ/又は脳に近接する外科及び/又は診断処置(例えば、頭蓋の処置及び/又は手術)を行うための器具、アセンブリ、及び方法を記載している。開示されたアセンブリは、一般に、ハンドル部材と、超音波トランスデューサを含む細長いプローブとを含む。アセンブリを、Kワイヤ/ガイドワイヤ、管状部材(例えば、EVDカテーテル及び/又は脳室ドレイン)、内視鏡/カメラ、並びにキュレット、プローブ、ナイフ、吸引装置、はさみ、焼灼ユニット、鉗子、把持装置、などの補助的アイテムと組み合わせて使用することができる。医学的診断及び外科用の好都合な器具、アセンブリ、及び方法が、幅広く様々な臨床用途及び処置(例えば、頭蓋内並びに/或いは脳に関連又は近接する処置、脊髄外科手術、整形外科用途、低侵襲外科処置、など)において使用するために提供される。
【0003】
別の例として、米国特許第7,258,668号が、顕微鏡下の手術のための超音波プローブを記載しており、プローブは、主に超音波プローブ本体と、細長い管状部材と、曲がったハンドル部材とで構成されている。超音波プローブ本体は、超音波観察装置に結合するコネクタから延びる柔軟で細長い管の遠位端に取り付けられたトランスデューサアセンブリを有し、その管に取り付けられたカプラを有する。トランスデューサアセンブリ及び管は、細長い管状部材を通過する。ハンドル部材は、管状部材の近位端に取り付けられ、カプラを自由に切り離すことができるようにハンドル部材に結合させるために使用される結合機構を含む。プローブは、いわゆるラジアル画像を生成するように、プローブの挿入方向に直交する平面をスキャンすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、医療用プローブとトロカールとを含む装置を提供する。医療用プローブは、患者の臓器へと挿入されるように構成された遠位端を含み、遠位端は、磁気位置センサ及び側視超音波イメージャを含む。トロカールは、プローブを挿入するためのチャネルを有する。
【0005】
いくつかの実施形態において、遠位端は、外科装置を更に含む。他の実施形態において、遠位端は、前方視カメラを更に含む。
【0006】
更に、本発明の別の実施形態によれば、医療用プローブと、トロカールと、プロセッサとを含むシステムが提供される。医療用プローブは、患者の臓器に挿入されるように構成された遠位端を含み、遠位端は、磁気位置センサ及び側面視超音波イメージャを含む。トロカールは、プローブを挿入するためのチャネルを有する。プロセッサは、(a)臓器の1つ以上の基準医療画像を受信し、(b)臓器内の磁気位置センサの推定位置を表す信号を受信し、信号に基づいて磁気位置センサの位置を推定し、(c)側視超音波イメージャから超音波信号を受信して、それぞれの超音波画像を生成し、(d)推定位置に基づいて、超音波画像を基準医療画像と位置合わせし、(e)位置合わせされた画像をユーザに提示するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、位置合わせされた画像に基づいて、遠位端を前進させるための臓器内の経路を提示するように更に構成される。
【0008】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、位置合わせされた画像に基づいて基準医療画像を修正するように更に構成される。
【0009】
一実施形態において、プロセッサは、超音波画像と基準画像との間の検出された不一致をユーザに警告するように更に構成される。
【0010】
更に、本発明の別の実施形態によれば、プローブの挿入のためのチャネルを有しているトロカールを使用して、磁気位置センサと側視超音波イメージャとを備える遠位端を備えている医療用プローブを患者の臓器へと挿入することを含む方法が提供される。臓器の基準医療画像が、プロセッサにおいて受信される。臓器内の磁気位置センサの推定位置を表す信号が受信され、信号に基づいて磁気位置センサの位置が推定される。超音波信号が、側視超音波イメージャから受信され、それぞれの超音波画像が生成される。推定位置に基づいて、超音波画像が基準医療画像と位置合わせされる。位置合わせされた画像が、ユーザに提示される。
【0011】
また更に、本発明の別の実施形態によれば、患者の臓器に挿入されるように構成された遠位端を含んでいる医療用プローブであって、遠位端は、磁気位置センサ及び側面視超音波イメージャを含んでいる、医療用プローブが提供される。
【0012】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態によるトロカールと、超音波イメージャを備えるガイドワイヤとを備える外科装置を使用する脳手術の概略的な絵画図である。
図2】本発明の一実施形態による図1の脳手術に適用される外科装置の概略的な絵画図である。
図3】本発明の一実施形態による図1のUSイメージャによって受信された超音波画像を基準医療画像と位置合わせするための方法及びアルゴリズムを概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概論
いくつかの医療処置は、外科装置などの医療用プローブを患者の臓器へと誘導するやり方を必要とする。例えば、脳の処置において、鼻を介して脳へと挿入されたプローブの遠位端をナビゲートすることが必要となる可能性がある。脳のそのような侵襲的処置において、例えば患部組織などの脳の要素の視認及び治療を医師にとって可能にするために、トロカールなどの外科用ツールを挿入し、前方視カメラを備えたガイドワイヤをトロカールを介して前進させることができる。しかしながら、カメラは、繊細な血管などのガイドワイヤの側方の脳要素を画像化することができない。
【0015】
以下で説明される本発明の実施形態は、(磁気追跡システムにおいて有効な)位置センサと側視超音波イメージャとを備えるガイドワイヤの遠位端を有するプローブを備える装置を提供する。本開示及び特許請求の範囲の文脈において、「側視」という用語は、その視野がプローブの長手軸に垂直な方向を含む超音波イメージャを指す。換言すると、側視超音波イメージャは、プローブの長手軸に対して90°の方向の組織の画像を取得する。しかしながら、この90°の方向は、必ずしもイメージャの視野の中心に位置する必要はない。
【0016】
位置センサは、イメージャによって生成される側視画像を、事前のCTスキャン又はMRIスキャンによってもたらされる基準画像などの脳の他の画像と相関させる(例えば、位置合わせする)ことを可能にする。装置は、プローブ挿入用のチャネルを有するトロカールを更に含む。
【0017】
プローブを備えるシステムであって、磁気位置追跡システムの位置センサがプローブの遠位端に組み合わせられているシステムが、本特許出願の譲受人に譲渡済みの2018年1月2日に出願された「Tracking a Rigid Tool in a Patient Body」という名称の米国特許出願第15/859,969号に記載されており、この先行の出願は、ここでの言及によって、その全体が本出願へとあたかも全部が記載されたかのように本明細書に組み込まれる。
【0018】
いくつかの実施形態において、(a)臓器の1つ以上の基準医療画像を受信し、(b)臓器内の磁気位置センサの推定位置を表す信号を受信して、センサのそれぞれの位置を推定し、(c)側視超音波イメージャから超音波信号を受信して、それぞれの超音波画像を生成し、(d)推定位置に基づいて、超音波画像を基準医療画像と位置合わせし、(e)位置合わせされた画像をユーザに提示するように構成されたシステムが提供される。
【0019】
開示される技術は、リアルタイムのUS画像を別の撮像態様からの基準医療画像と位置合わせすることを可能にすることによって、低侵襲の医療処置の安全性及び品質を向上させることができる。
【0020】
システムの説明
図1が、本発明の一実施形態によるトロカール38と、超音波イメージャ50を備えるガイドワイヤ39とを備える外科装置28を使用する脳手術の概略的な絵画図である。いくつかの実施形態において、外科装置28を備える脳診断及び治療システム20は、患者22の脳組織の感染を治療するなど、脳の処置を実行するように構成される。
【0021】
外科装置28は、トロカール38を介して脳へと挿入されるガイドワイヤ39を備える。ガイドワイヤ39は、磁気位置センサ48、側視超音波イメージャ50、及び前方視カメラ(図2に示されるカメラ)を備え、医師24によって脳組織にアクセスするために患者22の鼻26へと挿入される。この文脈において、「前方視」という用語は、ガイドワイヤ39の長手軸の方向がカメラの視野内に含まれることを意味する。
【0022】
外科装置28は、トロカール38の近位端に結合し、患者22の頭部41においてトロカール38を整列させ、次いでガイドワイヤ39を目標の脳組織へとナビゲートする医師24を手助けするように構成された手持ち式の近位端アセンブリ30を更に備える。
【0023】
システム20は、脳内のセンサ48の位置を追跡するように構成された磁気位置追跡システムを備える。磁気位置追跡システムは、フレーム46に固定された磁場発生器44を備える位置特定パッド40を備える。図1に示される例示的な構成では、パッド40は、5つの磁場発生器44を備えるが、代替的に、任意の他の好適な数の発生器44を備え得る。パッド40は、発生器44が頭部41の外部の固定された既知の位置に位置決めされるように、患者22の頭部41の下に配置された枕(図示せず)を更に備える。位置センサは、磁場発生器44によって生成された外部磁場の検知に応答して位置信号を生成することで、プロセッサ34によってセンサ48の位置を推定することを可能にする。
【0024】
この位置検出技術は、例えばBiosense Webster Inc.(カリフォルニア州Irvine)が製造するCARTO(商標)システムなど、様々な医療用途において実施されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に記載されており、これら先行の出願は、ここでの言及によって、その全体が本出願へとあたかも全部が記載されたかのように本明細書に組み込まれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、システム20は、コンソール33を備え、当該コンソールは、メモリ49と、頭部41の周囲の空間内の規定の作業容積内に磁場を生成するために、ケーブル37を介して好適な信号で磁場発生器44を駆動するよう構成された駆動回路42と、を備える。
【0026】
プロセッサ34は、典型的には、ケーブル32を介して位置センサ48、側視超音波イメージャ50、及び前方視カメラから信号を受信し、本明細書に記載のシステム20の他の構成要素を制御するための適切なフロントエンド及びインターフェース回路を備える汎用コンピュータである。
【0027】
いくつかの実施形態において、プロセッサ34は、側視超音波イメージャ50によって生成された超音波画像をMRI画像などの医療画像と位置合わせするように構成される。プロセッサ34は、位置センサ48を使用して側視超音波イメージャ50の位置を推定することによってUS画像を位置合わせすることができる。プロセッサ34は、磁気位置追跡システムの座標系及び/又は基準医療画像の座標系において侵襲的US画像及び基準医療画像を位置合わせするように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態において、プロセッサ34は、頭部41の二次元(2D)スライスを描写する基準MRI画像などの1つ以上の解剖学的画像をインターフェース(図示せず)を介して受信するように構成される。プロセッサ34は、MRI画像から1つ以上のスライスを選択し、側視超音波イメージャ50によってリアルタイムで生成される侵襲的超音波画像と位置合わせすることによって、画像35などの合成画像を生成し、選択された合成画像をユーザディスプレイ36にて医師24へと表示するように構成される。図1の例において、合成画像35は、患者22の前脳組織の冠状断面図を示している。
【0029】
コンソール33は、コンソールの動作を制御するためのキーボード及びマウスなどの入力デバイスと、プロセッサ34から受信したデータ(例えば、画像)を表示し、且つ/又はユーザ(例えば、医師24)によって入力デバイスを使用して挿入された入力を表示するように構成されたユーザディスプレイ36とを更に備える。
【0030】
図1は、簡潔性及び明瞭性のために、本開示の技術に関する要素のみを示す。システム20は、典型的に、開示される技術には直接関連せず、したがって図1及び対応する説明から意図的に省略されている、追加のモジュール及び要素を備える。
【0031】
プロセッサ34は、システムによって使用される機能を実行するように、且つソフトウェアによって処理されるか、又は別様に使用されるデータをメモリ49に格納するようにプログラムされ得る。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でプロセッサにダウンロードされてもよく、又は光学的、磁気的、若しくは電子的メモリ媒体など、非一時的な有形媒体上に提供されてもよい。或いは、プロセッサ34の機能の一部又は全てが、専用又はプログラマブルデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。とくに、プロセッサ34は、図3に含まれる本明細書に開示される専用のアルゴリズムを実施し、これは、以下で更に説明されるように、プロセッサ34が本開示の工程を行うことを可能にする。
【0032】
トロカールを介して脳へと挿入される位置合わせ付きの側視USイメージャ
図2が、本発明の一実施形態による図1の脳手術に適用される外科装置28の概略的な絵画図である。見て取ることができるとおり、装置28は、ガイドワイヤ39のためのチャネル68を含むトロカール38を含む。側視USイメージャ50は、スライスセクション55の形態でUSエネルギーを送り出すが、一般に、イメージャ50は、複数のスライスを含む容積USデータを生成することができる。見て取ることができるとおり、スライス55は、カメラ60が向けられた長手方向57に垂直な平面内の面積をカバーする。ガイドワイヤ39の側方の解剖学的構造を、USによって画像化することができ、それらの存在の検出により、医師24に対してガイドワイヤ39を前進させるための経路を調整するように促すことができる。リアルタイムのUS画像を、US画像ではあまり視認できない詳細を含むMRI画像などの基準医療画像と位置合わせすることによって、医師は、本来であれば(すなわち、位置合わせがなければ)欠けてしまいかねない重要な情報を受け取ることができる。
【0033】
外科装置28の構成は、考え方を分かりやすくするための例として示されている。他の実施形態において、例えば、磁気信号に加え、或いは代えて、電気インピーダンス信号に基づくセンサなどの他の種類の位置センサを使用する構成など、任意の代替構成を使用することができる。
【0034】
図3が、本発明の一実施形態による図1の側視USイメージャ50によって受信された超音波画像を基準医療画像と位置合わせするための方法及びアルゴリズムを概略的に示すフローチャートである。このプロセスは、ガイドワイヤ挿入ステップ70において、医師24がトロカールインサートを通ってトロカール38を挿入し、ガイドワイヤ39を患者22の脳へと前進させるときに始まる。次に、医師24は、ガイドワイヤ位置追跡ステップ72において、ガイドワイヤ39の遠位端の脳内での位置を磁気的に追跡するためにシステム20を動作させる。
【0035】
US撮像ステップ74において、医師がガイドワイヤ39を前進させるときに、プロセッサ34は、側視USイメージャ50から受信されるエコー信号を使用して脳組織のUSスライスを生成する。
【0036】
画像位置合わせステップ76において、(センサ48を使用して)追跡されたUSイメージャ50の位置に基づいて、プロセッサ34は、リアルタイムで更新されるUS画像を、例えばMRIスキャンからのメモリ49に格納されたそれぞれの基準医療画像と位置合わせして、合成画像35を生成する。一実施形態において、プロセッサ34は、例えば、治療が脳組織を除去する場合に、位置合わせされた画像に基づいて基準医療画像を修正するように更に構成される。別の実施形態において、プロセッサは、例えば、基準画像の取得時からの腫瘍の成長に起因して、USイメージャによって検出された腫瘍のサイズがより大きくなるなど、超音波画像と基準画像との間の検出された不一致をユーザに警告するように更に構成される。
【0037】
最後に、合成画像35を使用して、医師24は、位置調整ステップ78において、ガイドワイヤ39を患部組織などの目標の脳組織へと情報豊富な様相で前進させる。医師24は、ディスプレイ36上に提供される合成画像35において、リアルタイムのUS情報を基準医療画像からの情報に加えて考慮することによって、そのようなやり方でガイドワイヤ39をナビゲートすることができる。次いで、プロセスは、新たなUS画像を取得して、更新された合成画像35を生成するために、ステップ74に一巡して戻る。一実施形態において、プロセッサ34は、位置合わせされた画像に基づいて、ディスプレイ36上に臓器において遠位端を前進させるための経路を提示するように更に構成される。
【0038】
図3に示されている例示的なフローチャートは、単に概念を分かりやすくする目的で選択されたものである。代替的な実施形態において、医師24は、処置の奏功を確認するために追加の監視ステップ(例えば、蛍光透視法)を使用するなど、追加のステップを実行してもよく、且つ/又は、例えば頭蓋内圧などの追加の臨床データを取得するために遠位端31に取り付けられた他のセンサを適用してもよい。
【0039】
本明細書に記載の実施形態は、主に脳の手順に対処しているが、本明細書に記載の方法及びシステムは、腹部又は胸部に位置する臓器などの他の臓器において医療装置を誘導する必要がある他の用途にも使用可能である。
【0040】
したがって、上述の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記に具体的に示し、且つ説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾する様式で定義される程度まで、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の不可欠な部分と見なすものとする。
【0041】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
患者の臓器へと挿入されるように構成された遠位端を備える医療用プローブであって、前記遠位端は、磁気位置センサ及び側視超音波イメージャを備えている、医療用プローブと、
前記プローブの挿入のためのチャネルを有しているトロカールと
を備える装置。
(2) 前記遠位端は、外科装置を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記遠位端は、前方視カメラを更に備える、実施態様1に記載の装置。
(4) システムであって、
患者の臓器へと挿入されるように構成された遠位端を備える医療用プローブであって、前記遠位端は、磁気位置センサ及び側視超音波イメージャを備えている、医療用プローブと、
前記プローブの挿入のためのチャネルを有しているトロカールと、
プロセッサであって、
前記臓器の1つ以上の基準医療画像を受信し、
前記臓器内の前記磁気位置センサの推定位置を表す信号を受信し、前記信号に基づいて前記磁気位置センサの位置を推定し、
前記側視超音波イメージャから超音波信号を受信して、それぞれの超音波画像を生成し、
前記推定位置に基づいて、前記超音波画像を前記基準医療画像と位置合わせし、
前記位置合わせされた画像をユーザに提示する
ように構成されたプロセッサと
を備えるシステム。
(5) 前記プロセッサは、前記位置合わせされた画像に基づいて、前記遠位端を前進させるための前記臓器内の経路を提示するように更に構成されている、実施態様4に記載のシステム。
【0042】
(6) 前記プロセッサは、前記位置合わせされた画像に基づいて前記基準医療画像を修正するように更に構成されている、実施態様4に記載のシステム。
(7) 前記プロセッサは、前記超音波画像と前記基準画像との間の検出された不一致をユーザに警告するように更に構成されている、実施態様4に記載のシステム。
(8) 方法であって、
プローブの挿入のためのチャネルを有しているトロカールを使用して、磁気位置センサと側視超音波イメージャとを含む遠位端を備えている医療用プローブを患者の臓器へと挿入することと、
プロセッサにおいて、
前記臓器の基準医療画像を受信し、
前記臓器内の前記磁気位置センサの推定位置を表す信号を受信し、前記信号に基づいて前記磁気位置センサの位置を推定し、
前記側視超音波イメージャから超音波信号を受信して、それぞれの超音波画像を生成し、
前記推定位置に基づいて、前記超音波画像を前記基準医療画像と位置合わせし、
前記位置合わせされた画像をユーザに提示することと、
を含む方法。
(9) 前記位置合わせされた画像に基づいて、前記遠位端を前進させるための前記臓器内の経路をユーザに提示すること
を含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記位置合わせされた画像に基づいて前記基準医療画像を修正すること
を含む、実施態様8に記載の方法。
【0043】
(11) 前記超音波画像と前記基準画像との間の検出された不一致をユーザに警告すること
を含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 患者の臓器へと挿入されるように構成された遠位端を備える医療用プローブであって、前記遠位端は、磁気位置センサ及び側視超音波イメージャを備えている、医療用プローブ。
図1
図2
図3
【国際調査報告】