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  • 特表-ポジ型感光性樹脂組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】ポジ型感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/023 20060101AFI20230227BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20230227BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230227BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20230227BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20230227BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20230227BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
G03F7/023
G03F7/004 501
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
C08G73/10
G09F9/30 348A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540847
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(85)【翻訳文提出日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 KR2020019343
(87)【国際公開番号】W WO2021137599
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0179822
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0185639
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515068085
【氏名又は名称】ドンジン セミケム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DONGJIN SEMICHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】ユン ヒョクミン
(72)【発明者】
【氏名】ヨ タイフン
(72)【発明者】
【氏名】イ ギソン
(72)【発明者】
【氏名】キム ボンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム ドンミョン
【テーマコード(参考)】
2H225
3K107
4J043
5C094
【Fターム(参考)】
2H225AC00
2H225AC73
2H225AC79
2H225AF04P
2H225AF05P
2H225AM10P
2H225AM74P
2H225AM77P
2H225AM90P
2H225AM93P
2H225AM99P
2H225AN38P
2H225AN54P
2H225AN68P
2H225BA02P
2H225CA24
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2H225CC03
2H225CC21
3K107AA01
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3K107DD89
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3K107FF18
4J043PA04
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5C094AA43
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5C094DA09
5C094DA15
5C094FB01
5C094FB15
5C094JA01
(57)【要約】
ポジ型感光性樹脂組成物及びこれを用いた製造方法が開示される。ポジ型感光性樹脂組成物は、i)化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体5~95重量%、ii)化学式2で表される構造単位を有するポリイミド前駆体5~95重量%、及びiii)化学式3で表される構造単位を有するポリイミド前駆体0~20重量%を含む高分子樹脂;前記高分子樹脂100重量部に対して5~50重量部のキノンジアジド化合物;並びに前記高分子樹脂100重量部に対して100~2,000重量部の溶剤;を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)下記化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体5~95重量%、ii)下記化学式2で表される構造単位を有するポリイミド前駆体5~95重量%、及びiii)下記化学式3で表される構造単位を有するポリイミド前駆体0~20重量%を含む高分子樹脂;
前記高分子樹脂100重量部に対して5~50重量部のキノンジアジド化合物;
並びに前記高分子樹脂100重量部に対して100~2,000重量部の溶剤;を含む、ポジ型感光性樹脂組成物。
[化学式1]
[化学式2]
[化学式3]
(前記化学式1~3中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数5~30の有機基であり、前記有機基における水素は水酸基(OH)、メチル又はフッ素で置換可能であり、メチレン基は酸素又は窒素で置換可能であり、Rはエポキシから誘導された置換基である。)
【請求項2】
前記Rは、下記化学式4で表される置換基である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[化学式4]
(前記化学式4中、Rは炭素数1~12の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基であり、前記アルキル基の水素は1~3つのフッ素、水酸基で置換可能であり、前記アルキル基のメチレン基はアルケニル基、酸素、窒素、エステル(COO)又はカルボニル(C=O)で置換可能である。)
【請求項3】
前記Rは、エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキセン、3,4-(エポキシシクロヘキセン)メチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート修飾イプシロン-カプロラクトンよりなる群から選択される化合物から誘導されたものである、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体、前記化学式2で表される構造単位を有するポリイミド前駆体、及び前記化学式3で表される構造単位を有するポリイミド前駆体の重量平均分子量は、それぞれ3,500~20,000である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記高分子樹脂は、化学式2で表される構造単位を有するポリイミドを50~95重量%含む、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記キノンジアジド化合物は、下記化学式4-1~化学式4-3で表される化合物よりなる群から選択されるフェノール化合物とナフトキノンジアジドスルホン酸ハロゲン化合物とを反応させて得られるものである、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[化学式4-1]
[化学式4-2]
[化学式4-3]
(前記化学式4-1~4-3中、R31~R36は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数2~4のアルケニル基であり、R37及びR38は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン又は炭素数1~4のアルキル基であり、R39は、水素又は炭素数1~4のアルキル基である。)
【請求項7】
前記溶剤は、ガンマブチロラクトン(GBL)、N-メチルピロリドン(NMP)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルラクテート(EL)、メチル-3-メトキシプロピオネート(MMP)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるものである、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記ポジ型感光性樹脂組成物は、熱架橋剤、熱酸発生剤、UV吸収剤及びこれらの混合物よりなる群から選択される添加剤をさらに含むものである、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記熱架橋剤は、下記化学式5で表される官能基を含むものである、請求項8に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[化学式5]
(前記化学式5中、Aは下記化学式aであり、下記化学式a中、nは1~6の整数であり、Raは炭素数1~3のアルキルである。)
[化学式a]
【請求項10】
前記熱架橋剤は、下記化学式5-1~5-4で表される化合物よりなる群から選択されるものである、請求項8に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[化学式5-1]
[化学式5-2]
[化学式5-3]
[化学式5-4]
(前記化学式5-1~化学式5-4中、Aは下記化学式aであり、下記化学式a中、nは1~6の整数であり、Raは炭素数1~3のアルキルである。)
[化学式a]
【請求項11】
前記熱架橋剤は、高分子樹脂100重量部に対して10~50重量部含まれる、請求項8に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項12】
基板上に駆動回路、平坦化層、第1電極、絶縁層、発光層及び第2電極を含み、前記平坦化層及び絶縁層のうちの少なくとも一つが請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物から形成されたものである、ディスプレイ素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物に係り、より詳細には、ディスプレイ機器に用いられるポジ型感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の市場では、様々な理由で、ディスプレイ機器の中でもOLED(Organic Light Emitting Diodes)、特にAMOLED(Active matrix OLED)が脚光を浴びている。
【0003】
通常、OLED素子は、有機絶縁膜を含み、前記有機絶縁膜の形成には、一般に、ポリイミド感光性樹脂組成物が用いられている。従来のポリイミド感光性樹脂組成物に用いられるポリイミド前駆体のうち、ポリアミックエステルはアルキルで置換される技術が適用されたが、アルキルで置換されたポリアミックエステルは、溶解度の調節が難しく、感度が低いため、これに対する改善策が切実に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、溶解度の調節が容易であり、感度を著しく改善したポジ型感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、i)下記化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体5~95重量%、ii)下記化学式2で表される構造単位を有するポリイミド前駆体5~95重量%、及びiii)下記化学式3で表される構造単位を有するポリイミド前駆体0~20重量%を含む高分子樹脂;前記高分子樹脂100重量部に対して5~50重量部のキノンジアジド化合物;並びに前記高分子樹脂100重量部に対して100~2,000重量部の溶剤;を含む、ポジ型感光性樹脂組成物を提供する。
[化学式1]

[化学式2]

[化学式3]
【0006】
前記化学式1~3中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数5~30の有機基であり、前記有機基における水素は水酸基(OH)、メチル又はフッ素で置換可能であり、メチレン基は酸素又は窒素で置換可能であり、Rはエポキシから誘導された置換基である。
【0007】
また、本発明は、基板上に駆動回路、平坦化層、第1電極、絶縁層、発光層及び第2電極を含み、前記平坦化層及び絶縁層のうちの少なくとも一つは前記ポジ型感光性樹脂組成物から形成されたものである、ディスプレイ素子を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、溶解度の調節が容易であるため、OLEDなどのディスプレイ素子のパターン形成の際に感度、耐化学性、接着力等を向上させ、スカム(scum)、クラック(crack)の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例によるパターンが形成されたITO(Indium Tin oxide)基板上にパターン(Pattern)膜を形成し、EL(Electroluminescent Lighting)が蒸着されたことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本明細書において、「*」は、同一又は異なる原子、又は化学式に連結される部分を意味する。
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、高分子樹脂、キノンジアジド化合物及び溶剤を含む。
【0011】
本発明に用いられる高分子樹脂は、重合されてポリイミド膜を形成する役割を果たすものであって、下記化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体5~95重量%、具体的には10~90重量%であり、下記化学式2で表される構造単位を有するポリイミド5~95重量%、具体的には50~90重量%であり、下記化学式3で表される構造単位を有するポリイミド前駆体0~20重量%、具体的には0~15重量%を含むことができる。
[化学式1]

[化学式2]

[化学式3]
【0012】
前記化学式1~3中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数5~30の有機基、具体的には炭素数5~20の有機基であり得る。前記有機基における水素は水酸基(OH)、メチル又はフッ素で置換可能であり、メチレン基は酸素又は窒素で置換可能である。前記Rは、エポキシから誘導された置換基であり、具体的には下記化学式4で表される置換基であり得る。
[化学式4]
【0013】
前記化学式4中、Rは炭素数1~12の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基であり、前記アルキル基の水素は1~3つのフッ素、水酸基で置換可能であり、メチレン基はアルケニル基、酸素、窒素、エステル(COO)又はカルボニル(C=O)で置換可能である。
【0014】
前記化学式4で表される置換基として、Rは、具体的には、エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(Epoxycyclohexylmethyl methacrylate、ECMMA)、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキセン(1,2-Epoxy-4-vinylcyclohexane)、3,4-(エポキシシクロヘキセン)メチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(3,4-(Epoxycyclohexane)methyl-3’,4’-epoxycyclohexylcarboxylate)、及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート修飾イプシロン-カプロラクトン(3,4-Epoxycyclohexylmethyl-3’,4’-epoxycyclohexanecarboxylate modified epsilon-caprolactone)よりなる群から選択される化合物から誘導された化合物が適している。特に、前記1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキセン(1,2-Epoxy-4-vinylcyclohexane)のようにシクロヘキシル末端置換基としてアルキル、アルキン構造がある場合、カルボキシレート(carobxylate)に比べて熱的安定性が良いため、OLED用絶縁膜として使用できるが、これに限定されるものではない。
【0015】
前記高分子樹脂は、前記芳香族ジアンヒドリドとジアミンの構造成分を重合させて製造され、例えば、芳香族ジアンヒドリドとジアミンの構造成分は、1:0.6~1:1.4のモル比で重合される。前記芳香族ジアンヒドリドとジアミンの構造成分のモル比から外れると、樹脂の分子量が3,000以下となって機械的、熱的特性が弱化する。
【0016】
前記芳香族ジアンヒドリドの構造成分は、例えば、下記化学式R-1~R-7で表される化合物の中から1種以上選択することができ、これは、前記高分子樹脂において、Rの構造が下記芳香族ジアンヒドリドによって誘導された構造であることが分かる。
[化学式R-1]

[化学式R-2]

[化学式R-3]

[化学式R-4]

[化学式R-5]

[化学式R-6]

[化学式R-7]
【0017】
前記ジアミンの構造成分は、例えば、下記化学式R-1~R-10で表される化合物の中から1種以上選択することができ、好ましくは芳香族ジアミンを使用することができる。前記高分子樹脂において、Rの構造が、下記ジアミンによって誘導された構造であることが分かる。
[化学式R-1]

[化学式R-2]

[化学式R-3]

[化学式R-4]

[化学式R-5]

[化学式R-6]

[化学式R-7]

[化学式R-8]

[化学式R-9]

[化学式R-10]
【0018】
前記化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体において、前記化学式1で表される構造単位の含有量は、組成物の現像速度を増加させることができる限り、特に制限されず、例えば、全繰り返し単位の個数に対して0.1~100モル%、具体的には5~100モル%であり得る。
【0019】
前記化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体において、Rは、エポキシから誘導された置換基を使用することにより、ポリアミックエステルのRに水酸基(OH)が置換された物質が作られる。前記水酸基(OH)で置換されたポリアミックエステル構造を含む化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体を感光性樹脂組成物として使用する場合、従来の水酸基がない感光性樹脂組成物に比べて感度が速くなる。これは、一例として、OLED基板にポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、ソフト-ベークで溶媒を揮発させた後、光照射すると、キノンジアジド物質が疎水性から親水性へと変わるが、このとき、前記化学式1で表される構造単位に水酸基(OH)がある場合、現像速度をさらに速くして感度を向上させる。
【0020】
前記化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、3,000~20,000であり、具体的には3,500~10,000であり得る。前記ポリイミド前駆体の分子量が低すぎると、樹脂組成物硬化後の機械的、熱的特性がOLEDに適さないという問題があり、分子量が大きすぎると、樹脂組成物加工過程で積算光量の必要量、すなわち感度が遅すぎるため、OLED生産コストが高くなるという問題がある。
【0021】
前記化学式2で表される構造単位を有するポリイミドは、感度を制御することができる。化学式2の構造において、Rにヒドロキシ基が置換されていると感度を素早く制御可能であり、フッ素を置換すると遅くなるという特徴を持つ。前記化学式2で表される構造単位において、R及びRは、上述した内容と同じである。
【0022】
前記化学式2で表される構造単位を有するポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、4,000~20,000であり、具体的には3,500~10,000であり得る。前記ポリイミドの分子量が低すぎると、樹脂組成物硬化後の機械的、熱的特性がOLEDに適さないという問題があり、分子量が大きすぎると、樹脂組成物加工過程で積算光量の必要量、すなわち感度が遅すぎてOLED生産コストが高まるという問題がある。
【0023】
前記化学式3で表される構造単位を有するポリイミド前駆体は、カルボキシル基を含むポリアミック酸構造であって、前記化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体と同様に水酸基(OH)がある場合、現像速度をさらに速くして感度を向上させることができる。ただし、前記樹脂高分子組成物において、化学式3で表される構造単位を20重量%以上使用すると、露光部と非露光部との現像差、すなわちコントラスト比が小さいため、感光剤の機能を失う。前記化学式3で表される構造単位において、R及びRは、上述した内容と同じである。
【0024】
前記化学式3で表される構造単位を有するポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、3,000~20,000であり、具体的には3,500~10,000であり得る。前記ポリイミド前駆体の分子量が低すぎると、樹脂組成物硬化後の機械的、熱的特性がOLEDに適さないという問題があり、分子量が大きすぎると、樹脂組成物加工過程で積算光量の必要量、すなわち感度が遅すぎるため、OLED生産コストが高まるという問題がある。
【0025】
前記化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体の含有量は、全体高分子において、5~95重量%、具体的には10~90重量%であり、前記化学式2で表される構造単位を有するポリイミド前駆体の含有量は、5~95重量%、具体的には50~90重量%であり、前記化学式3で表される構造単位を有するポリイミド前駆体の含有量は、0~20重量%、具体的には0~15重量%であり得る。
【0026】
前記高分子樹脂は、化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体、及び化学式2で表される構造単位を有するポリイミドを主成分として含み、前記化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体、又は化学式2で表される構造単位を有するポリイミドを、全体高分子樹脂に対して5重量%未満で含む場合には、フォトレジストのスカム(scum)、クラック(crack)が発生しやすいか、或いは耐化学性低下などのフォトレジストのコーティング特性が低下し、95重量%超過で含む場合には、感度が増加し、クラックが発生するという問題がある。
【0027】
前記高分子樹脂は、主成分として、化学式2で表される構造単位を有するポリイミドを主成分として含み、例えば全体高分子樹脂に対して50~95重量%、詳細には60~95重量%などの含有量で化学式2の構造を含むことができ、耐化学性などのコーティング特性やクラック防止などの効果を示すことができる。
【0028】
前記キノンジアジド化合物は、光照射前後、疎水性から親水性へと光反応する感光性物質であり、感光性樹脂組成物を形成するための必須の化合物である。特に感度を制御するのにさらに有用である。前記キノンジアジド化合物は、フェノール化合物とナフトキノンジアジドスルホン酸ハロゲン化合物とを反応させて得られたものであって、前記フェノール化合物は、下記化学式4-1~化学式4-3で表される化合物を含む。
[化学式4-1]

[化学式4-2]

[化学式4-3]
【0029】
前記化学式4-1~4-3中、R31~R36は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルケニル基であり、R37及びR38は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン又は炭素数1~4のアルキル基であり、R39は、水素又は炭素数1~4のアルキル基である。
【0030】
前記キノンジアジド化合物の含有量は、高分子樹脂100重量部に対して、5~50重量部、具体的には10~40重量部であり得る。前記キノンジアジド化合物が少なく含まれる場合には、感度が高くなりすぎ、過剰に含まれる場合には、スカム(scum)、クラック(crack)が容易に発生したり、耐化学性低下などのフォトレジストのコーティング特性が低下したりする。
【0031】
前記溶剤は、高分子樹脂及びキノンジアジド化合物の粘度が高すぎると、基板に塗布する際に、ムラ及び塗布厚さの散布に影響を及ぼす。このようなムラ及び塗布厚さの散布を低減するために、前記高分子樹脂及びキノンジアジド化合物に溶剤を混合して適切な粘度を維持しなければならない。前記溶剤は、沸点が230℃以下であることが有用であり、前記高分子樹脂及びキノンジアジド化合物に対する溶解度に優れなければならない。前記溶剤としては、特に、ガンマブチロラクトン(GBL)、N-メチルピロリドン(NMP)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、エチルラクテート(EL)、メチル-3-メトキシプロピオネート(MMP)及びこれらの混合物などを使用することができる。例えば、ガンマブチロラクトン(GBL):メチル-3-メトキシプロピオネート(MMP):プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)=24:20:56のモル比で混合して使用することができる。
【0032】
前記溶剤の含有量は、高分子樹脂100重量部に対して、100~2,000重量部、具体的には250~1,500重量部であり得る。前記溶剤が少なく含まれる場合には、樹脂組成物が長期間保管されながら固形物析出が発生するおそれがあるという問題があり、前記溶剤が過剰に含まれる場合には、樹脂組成物で絶縁膜を形成する過程でコーティングの際に適切な厚さを作ることができないという問題がある。
【0033】
前記化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体、化学式2で表される構造単位を有するポリイミド、及び化学式3で表される構造単位を有するポリイミド前駆体を含む高分子樹脂、キノンジアジド化合物並びに溶剤を含むポジ型感光性樹脂組成物を基板に塗布することにより、基板内の金属膜間の絶縁特性を維持することができるが、前記絶縁膜の特徴を補完するために、熱架橋剤、熱酸発生剤、UV吸収剤、熱塩基発生剤などの添加剤を単独又は複数で追加することができる。
【0034】
前記熱架橋剤は、高分子樹脂との架橋反応を行い、感光性樹脂組成物の耐化学性を向上させる役割を果たす。前記熱架橋剤は、下記化学式aを含むフェノール化合物であり、具体的には、下記化学式5で表される官能基を含むことができる。
[化学式a]

[化学式5]

前記化学式5中、Aは前記化学式aであり、前記化学式a中、nは1~6の整数であり、Raは炭素数1~3のアルキルである。
【0035】
前記熱架橋剤は、前記化学式5で表される官能基が1~4個結合された構造を含むことが好ましく、さらに具体的には、下記化学式5-1~化学式5-4で表される化合物を含むことができる。
[化学式5-1]

[化学式5-2]

[化学式5-3]

[化学式5-4]

前記化学式5-1~5-4中のAは、前述したのと同様である。
【0036】
前記熱架橋剤は、ポリイミド高分子100重量部に対して、10~50重量部、具体的には10~30重量部を使用することができる。前記熱架橋剤を少なく使用すると、耐化学性の効果がなく、前記熱架橋剤を過剰に使用すると、感光性樹脂組成物を基板にコーティングし、ソフトベーク後に現像する場合、膜減少が激しくて高分子樹脂を一定高さ以上にすることができない。
【0037】
前記熱酸発生剤は、一定温度以上で酸を発生させる役割を果たすもので、前記熱架橋剤と高分子樹脂との架橋反応を促進させる。前記熱酸発生剤の含有量は、ポリイミド高分子100重量部に対して0.5~10重量部が適当であり、前記熱酸発生剤を少なく使用する場合には、効果がなく、前記熱酸発生剤を過剰に使用する場合には、スカム(scum)が発生する。
【0038】
本発明による感光性樹脂組成物は、基板に適用して絶縁膜として使用する際に、長期間外光に露出すると劣化する現象を防止するために、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などのUV吸収剤をさらに追加することができる。前記UV吸収剤は、例えば、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-フェノール(2-(2H-benzotriazole-2-yl)-phenol)などを使用することができる。前記UV吸収剤の含有量は、高分子樹脂100重量部に対して0.01~2.0重量部が適当であり、前記UV吸収剤を少なく使用すると、効果がなく、前記UV吸収剤を過剰に使用すると、耐熱性が減少する。
【0039】
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物で形成された絶縁膜の製造方法を提供する。前記絶縁膜は、OLED等のディスプレイ素子に使用でき、優れた高感度パターン現像性、パターン形成の際にスカム(scum)及びクラック(crack)の発生を抑制し、耐化学性、接着力などを向上させるという効果を持つ。
【0040】
前記絶縁膜の製造方法は、基板に前記ポジ型感光性樹脂組成物を塗布した後に乾燥させるステップと、前記感光性樹脂組成物が塗布された基板を露光及び現像した後、硬化させてポリイミド膜を形成するステップとを、含む。前記感光性樹脂組成物を塗布する方法は、従来の公知の方法で制限なく使用することができ、例えば、スピンコーティング(spin coating)、ディップコーティング(dip coating)、ロールコーティング(roll coating)、スクリーンコーティング(screen coating)、スプレーコーティング(spray coating)、スクリーン印刷(screen printing)などの方法を用いることができる。前記現像液は、従来の公知のものを制限なく使用することができ、例えば、アルカリ水溶液を使用することができる。本発明の絶縁膜の厚さは、目的に応じて変わり、1.0~15μmであることが好ましいが、これに限定されない。
【0041】
また、本発明は、基板上に駆動回路、平坦化層、第1電極、絶縁層、発光層及び第2電極を含み、前記平坦化層及び絶縁層のうちの少なくとも一つが前記ポジ型感光性樹脂組成物で形成された、ディスプレイ装置を提供する。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。ところが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
【0042】
[合成例1]ポリイミド前駆体の合成(化学式1)
1000mLのフラスコにガンマブチロラクトン(GBL、313g)を入れ、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(bis-APAF、71.8g、0.196モル)と1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA、0.99g、0.04モル)を50℃で溶解させた。ここに3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA、46.5g、0.15モル)を入れ、70℃で25時間攪拌した後、フタル酸無水物(14.8g、0.1モル)を入れて2時間反応させた。その後、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DFA、17.8g、0.15モル)を追加して70℃で4時間攪拌した後、反応終了することにより、ポリイミド前駆体を合成した。
【0043】
[合成例2]ポリイミド前駆体の合成(化学式1)
1000mLのフラスコにガンマブチロラクトン(GBL、309g)を入れ、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(bis-APAF、68.1g、0.1860モル)、4,4’-オキシジアニリン(2.0g、0.01モル)と1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA、0.99g、0.04モル)を50℃で溶解させた。ここに3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA、47.8g、0.154モル)を入れ、70℃で25時間攪拌した後、フタル酸無水物(13.63g、0.092モル)を入れて2時間反応させた。その後、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DFA、18.3g0.154モル)を追加して70℃で4時間攪拌した後、反応終了することにより、ポリイミド前駆体を合成した。
【0044】
[合成例3]ポリイミド前駆体の合成(化学式1)
1000mLのフラスコにガンマブチロラクトン(GBL、329g)を入れ、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(bis-APAF、71.8g、0.196モル)と1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA、0.99g、0.04モル)を50℃で溶解させた。ここに3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA、32.3g、0.104モル)と4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA、22.2g、0.05モル)を入れ、70℃で25時間撹拌した後、フタル酸無水物(13.6g、0.092モル)を入れて2時間反応させた。その後、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DFA、18.3g、0.154モル)を追加して70℃で4時間攪拌した後、反応終了することにより、ポリイミド前駆体を合成した。
【0045】
[合成例4]ポリイミド前駆体の合成(化学式1)
ジメチルホルムアミドジメチルアセタールの代わりに、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(37.25g、0.3モル)とトリエチルアミン(0.81g、0.008モル)を入れた以外は、前記合成例1と同様にして、ポリイミド前駆体を合成したが、48時間攪拌した後、反応終了することにより、ポリイミド前駆体を合成した。
【0046】
[合成例5]ポリイミド前駆体の合成(化学式1)
ジメチルホルムアミドジメチルアセタールの代わりに、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(38.25g、0.308モル)とトリエチルアミン(0.81g、0.008モル)を入れた以外は、前記合成例2と同様にして、ポリイミド高分子を合成したが、48時間攪拌した後、反応終了することにより、ポリイミド前駆体を合成した。
【0047】
[合成例6]ポリイミド前駆体の合成(化学式1)
ジメチルホルムアミドジメチルアセタールの代わりに、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(38.25g、0.308モル)とトリエチルアミン(0.81g、0.008モル)を入れた以外は、前記合成例3と同様にして、ポリイミド前駆体を合成したが、48時間攪拌した後、反応終了することにより、ポリイミド前駆体を合成した。
【0048】
[合成例7]ポリイミドの合成(化学式2)
1000mLのフラスコにガンマブチロラクトン(GBL、294g)を入れ、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(bis-APAF、49.81g、0.136モル)と1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA、0.99g、0.04モル)を50℃で溶解させた。ここに3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA、62.0g、0.20モル)を入れ、50℃で4時間攪拌した後、3-アミノフェノール(13.1g、0.12モル)を入れて2時間反応させた。その後、トルエン60mLを入れて150℃で2時間、180℃で2時間攪拌して反応を終了することにより、ポリイミドを合成した。
【0049】
[合成例8]ポリイミドの合成(化学式2)
1000mLのフラスコにガンマブチロラクトン(GBL、313g)を入れ、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(bis-APAF、71.79g、0.196モル)と1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA、0.99g、0.04モル)を50℃で溶解させた。ここに3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA、46.5g、0.15モル)を入れ、50℃で4時間攪拌した後、フタル酸無水物(14.8g、0.10モル)を入れて2時間反応させた。その後、トルエン60mLを入れて150℃で2時間、180℃で2時間攪拌して反応を終了することにより、ポリイミドを合成した。
【0050】
[合成例9]ポリイミド前駆体の合成(化学式1)
1000mLのフラスコにガンマブチロラクトン(GBL、316g)を入れ、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(bis-APAF、71.8g、0.196モル)と1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA、0.99g、0.04モル)を50℃で溶解させた。ここに4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA、17.77g、0.04モル)、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物(18.5g、0.07モル)及び2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(17.7g、0.06モル)を入れ、70℃で25時間攪拌した後、フタル酸無水物(8.89g、0.06モル)を入れて2時間さらに反応させた。その後、反応器の温度を130℃に上げて30時間反応させた後、70℃に温度を下げた。ここに1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(29.8g、0.24モル)とトリエチルアミン(0.81g、0.008モル)を入れて70℃で48時間攪拌した後、反応を終了することにより、ポリイミド前駆体を合成した。
【0051】
[合成例10]ポリイミド前駆体の合成(化学式1)
1000mLのフラスコにガンマブチロラクトン(GBL、321g)を入れ、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(bis-APAF、71.8g、0.196モル)と1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA、0.99g、0.04モル)を50℃で溶解させた。ここに4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA、22.21g、0.05モル)、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物(13.21g、0.05モル)及び2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(20.6g、0.07モル)を入れ、70℃で25時間攪拌した後、フタル酸無水物(8.89g、0.06モル)を入れて2時間さらに反応させた。その後、反応器の温度を130℃に上げて30時間反応させた後、70℃に温度を下げた。ここに1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(19.9g、0.16モル)とトリエチルアミン(0.81g、0.008モル)を入れて70℃で48時間攪拌した後、反応を終了することにより、ポリイミド前駆体を合成した。
【0052】
[合成例11]ポリイミド前駆体の合成(化学式1)
1000mLのフラスコにガンマブチロラクトン(GBL、327g)を入れ、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(bis-APAF、71.79g、0.196モル)及び1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA、0.99g、0.04モル)を50℃で溶解させた。ここに4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA、22.21g、0.05モル)、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(14.7g、0.05モル)及び3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA、21.7g、0.07モル)を入れ、70℃で25時間撹拌した後、フタル酸無水物(8.89g、0.06モル)を入れて2時間さらに反応させた。その後、反応器の温度を130℃に上げて30時間反応させた後、70℃に温度を下げた。ここに1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(19.9g、0.16モル)とトリエチルアミン(0.81g、0.008モル)を入れ、70℃で48時間攪拌した後、反応を終了することにより、ポリイミド前駆体を合成した。
【0053】
[合成例12]ポリイミド前駆体の合成(化学式3)
1000mLのフラスコにガンマブチロラクトン(GBL、327g)を入れ、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(bis-APAF、71.79g、0.196モル)と1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA、0.99g、0.04モル)を50℃で溶解させた。ここに4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA、22.21g、0.05モル)、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(14.7g、0.05モル)及び3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA、21.7g、0.07モル)を入れ、70℃で25時間攪拌した後、フタル酸無水物(8.89g、0.06モル)を入れて2時間さらに反応させることにより、ポリアミック酸を合成した。
【0054】
[実施例1~26及び比較例1~11]感光性樹脂組成物の製造
合成例1~12で合成したポリイミドとポリイミド前駆体を下記表1に記載の比率で混合して感光性樹脂組成物を製造した。具体的には、前記合成例1~12で合成されたポリイミド及びポリイミド前駆体から固形分を確認した後、前記高分子樹脂100重量部に対して、キノンジアジド及び熱架橋剤の含有量を下記表1の比率で混合した。その後、GBL:MMP:PGME=24:20:56のモル比で混合された溶剤を用いて、全固形分が13%となるように感光性樹脂組成物を製造した。
【0055】
下記表1においてキノンジアジド化合物として用いられるTris-TPPAは、下記式4-1-1で表される化合物を使用し、Tris-THAPは、下記式4-2-1で表される化合物を使用した。また、化学式5-2又は5-3の構造を持つ熱架橋剤を使用する場合、それぞれ、Aは化学式aのnが1であり、Raはメチル基である熱架橋剤を使用した。
[化学式4-1-1]

[化学式4-2-1]
【0056】
【表1】


【0057】
[実験例]物理的特性の評価
前記表1に記載の比率で合成した比較例1~10及び実施例1~26の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する。その後、ガラス(glass)基板上にスピンコーターを用いて薄膜塗布した後、120℃にて2分間ホットプレート上で乾燥させて厚さ2.0μmの膜を形成した。前記製作した基板を用いて感度、スカム(scum)、クラック(crack)、耐化学性、接着力、OLED信頼性などのフォトレジストの物理的特性を測定した後、下記表2に結果値を記載した。
【0058】
1.感度の測定
前記製作された基板に所定のパターンマスク(pattern mask)を用いて広帯域(Broadband)での強度が20mW/cmの紫外線を5μmのコンタクトホール(Contact Hole)CD形成基準投与量(Dose)を調査した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量部の水溶液で23℃にて1分間現像し、超純水で1分間洗浄した。その後、オーブンの中で250℃にて60分間硬化させて、コンタクトホールCDが5μmのパターン膜を得た。感度は、40~150mJ/cmが適正な結果値である。
【0059】
2.スカム(scum)の測定
前記感度の測定時に形成されたパターンの内部をSEMで観察し、ライン&スペース(Line & Space)及びコンタクトホール(Contact Hole)に残渣が存在するかを確認した。現像残渣が存在する場合にはX、現像残渣がパターン境界部のみに存在する場合には△、現像残渣が存在しない場合にはOと表記した。
【0060】
3.クラック(Crack)の測定
前記製造された基板を目視検査し、顕微鏡100倍の倍率で観察して、クラック(Crack)が観察される場合にはX、クラック(Crack)がコーティング縁部分のみで観察される場合には△、クラック(Crack)が観察されない場合にはOと表記した。
【0061】
4.耐化学性の測定
前記製造された基板をメチルピロリドン(NMP)に60℃/120秒間浸漬し、浸漬前後の硬化膜の厚さ変化率を測定することにより、150Å未満の場合には◎、150Å以上300Å未満の場合にはO、300Å以上600Å未満の場合には△、600Å以上の場合にはXと表記した。
【0062】
5.接着力の測定
前記感度の測定時と同様の方法でパターン(Pattern)膜を形成するが、10μmの線幅及びスリット幅が1:1の場合を基準としてベーク温度による接着力を比較した。このとき、プリベーク90℃~100℃で接着力が確保される場合をO、プリベーク105℃~115℃で接着力が確保される場合を△、プリベーク120℃以上で接着力が確保されるか或いはそうでない場合をXと表記した。
【0063】
6.OLED信頼性の測定
前記感度の測定時と同様の方法でパターン(Pattern)膜を形成することができる。図1は、パターンが形成されたITO基板上にパターン(Pattern)膜を形成し、ELを蒸着することを示す図である。図1に示すように、上部にカソード電極としてAlを蒸着し、カプセル化(Encapsulation)工程を行う。85℃、85%RH基準、素子オン(On)状態で輝度が3%低下する時間(T97)を評価した。1000時間以上確保される場合にはO、1000時間未満の場合にはXと表記した。
【0064】
【表2】
【0065】
前記表2に示すように、比較例1~3は、前記化学式1で表される構造単位において、Rがアルキルである構造を含む合成例1~3を用いたポリイミド前駆体である。これに対し、実施例1~3は、化学式1で表される構造単位において、Rがエポキシ化合物から誘導された構造を含む合成例4~6を用いたポリイミド前駆体である。これらを比較したとき、実施例1~3で感度が10%程度改善され、スカム(scum)、クラック(crack)、耐化学性、接着力及びOLED信頼性の物性値が改善されたことが分かる。比較例4~7の場合のように、化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体、又は化学式2で表される構造単位を有するポリイミドのみで高分子樹脂を合成して使用するか、或いは前記化学式1で表される構造単位を有するポリイミド前駆体又は化学式2で表される構造単位を有するポリイミドを5重量%未満で含んで合成した高分子樹脂を使用する場合、前記実施例1~3に比べてスカム(scum)、クラック(crack)、耐化学性、接着力、OLED信頼性の物性値が良くないことが分かる。
【0066】
比較例8~11のように感光性物質であるキノンジアジドが高分子樹脂に対して5重量部未満で含まれる場合には、感度が非常に高くなることが分かる(比較例8、9)。一方、キノンジアジドが高分子樹脂に対して50重量部超過で含まれる場合には、感度は低くなり、前記実施例1~3と比較したとき、スカム(scum)、クラック(crack)、耐化学性、接着力、OLED信頼性の物性値が良くないことが分かる。
【0067】
前記実施例1~21の場合は、OLED基板に適用可能な感度及びスカム(scum)、クラック(crack)、耐化学性、接着力、OLED信頼性に相対的に優れることが分かり、特に、熱架橋剤を用いた実施例22~26の場合は、耐化学性に非常に優れることが分かる。
【符号の説明】
【0068】
1 ITO(Indium Tin oxide)
2 絶縁体(Insulator)
3 EL&Al(Electrolyminescent Lighting & Aluminum)
図1
【国際調査報告】