(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】腫瘍を予防又は治療するための薬物の調製における抗CD47抗体と抗CD20抗体の組み合わせの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230227BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230227BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230227BHJP
C07K 16/30 20060101ALN20230227BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230227BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61P43/00 121
A61P35/00
C07K16/30 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542078
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(85)【翻訳文提出日】2022-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2021070493
(87)【国際公開番号】W WO2021139687
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】202010023504.0
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519274183
【氏名又は名称】イノベント バイオロジクス(スーチョウ)カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100227592
【氏名又は名称】孔 詩麒
(72)【発明者】
【氏名】ピンリャン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ウー ミン
(72)【発明者】
【氏名】ウー ウェイウェイ
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4H045AA11
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、腫瘍及び/又は癌を予防及び/又は治療するための薬物の調製における、完全ヒト抗CD47モノクローナル抗体である抗CD47抗体又はその抗原結合断片と抗CD20抗体の組み合わせの応用を開示する。また、本発明は、抗腫瘍薬物組成及びその応用を更に開示する。本発明により提供される抗CD47抗体又はその抗原結合断片と抗CD20抗体の併用は優れた抗腫瘍有効性を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍及び/又は癌を予防及び/又は治療するための薬物の調製における抗CD47抗体又はその抗原結合断片と抗CD20抗体の組み合わせの使用であって、
前記抗CD47抗体は完全ヒト抗CD47モノクローナル抗体であり、
前記完全ヒト抗CD47モノクローナル抗体は重鎖可変領域VHと軽鎖可変領域VLとを含み、前記VHは、配列番号3又は配列番号11に示されるアミノ酸配列である相補性決定領域HCDR1と、配列番号4に示されるアミノ酸配列である相補性決定領域HCDR2と、配列番号5又は配列番号12に示されるアミノ酸配列である相補性決定領域HCDR3とを含み、前記VLは、配列番号6に示されるアミノ酸配列である相補性決定領域LCDR1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列である相補性決定領域LCDR2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列である相補性決定領域LCDR3とを含む、
使用。
【請求項2】
前記重鎖可変領域VHは配列番号9に示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%、95%、98%又は99%の同一性を有する配列を含み、前記軽鎖可変領域VLは配列番号10に示される配列又はそれと少なくとも90%、95%、98%又は99%の同一性を有する配列を含み、
好ましくは、前記重鎖可変領域VHのアミノ酸配列は配列番号9に示され、前記軽鎖可変領域VLのアミノ酸配列は配列番号10に示されている、ことを特徴とする、
請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記完全ヒト抗CD47モノクローナル抗体は重鎖と軽鎖を含み、前記重鎖は配列番号1に示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%、95%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖は配列番号2に示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%、95%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
好ましくは、前記重鎖は配列番号1に示されるアミノ酸配列を有し、前記軽鎖は配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記抗CD20抗体は抗CD20モノクローナル抗体であり、
好ましくは、前記抗CD20モノクローナル抗体は、オビヌツズマブ(obinutuzumab)、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、オファツムマブ(ofatumumab)、トシツモマブ(tositumomab)、オクレリズマブ(ocrelizumab)又はリツキシマブ(rituximab)であり、
好ましくは、前記抗CD20モノクローナル抗体はリツキシマブである、ことを特徴とする、
請求項1~3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
有効量の請求項1~4のいずれか1項に記載の抗CD47抗体又はその抗原結合断片及び抗CD20抗体を含む、単回薬物用量ユニット。
【請求項6】
有効量の請求項1~4のいずれか1項に記載の抗CD47抗体又はその抗原結合断片と抗CD20抗体の組み合わせ及び薬学的に許容可能な担体を含む、薬物組成物。
【請求項7】
有効量の請求項1~4のいずれか1項に記載の抗CD47抗体又はその抗原結合断片と抗CD20抗体の組み合わせ、請求項5に記載の単回薬物用量ユニット又は請求項6に記載の薬物組成物を含み、
好ましくは、同じ包装には、
-前記抗CD47抗体を含む非経口投与用の薬物組成物を含有する第1容器と、
-前記抗CD20抗体を含む非経口投与用の薬物組成物を含有する第2容器と、を含む、
薬物キット。
【請求項8】
腫瘍及び/又は癌を予防及び/又は治療するための薬物の調製における、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗CD47抗体又はその抗原結合断片と抗CD20抗体の組み合わせ、請求項5に記載の単回薬物用量ユニット、請求項6に記載の薬物組成物又は請求項7に記載の薬物キットの使用であって、
好ましくは、前記腫瘍及び/又は癌は血液腫瘍、より好ましくはリンパ腫、更に好ましくはCD20陽性非ホジキンリンパ腫である、
使用。
【請求項9】
腫瘍及び/又は癌を予防及び/又は治療する抗CD20抗体の治療効果を強化する製品の調製における抗CD47抗体の使用であって、
好ましくは、前記抗CD47抗体は請求項1~3のいずれか1項に記載の抗CD47抗体であり、
好ましくは、前記抗CD20抗体は請求項4に記載の抗CD20抗体であり、
好ましくは、前記腫瘍は血液腫瘍、より好ましくはリンパ腫、更に好ましくはCD20陽性非ホジキンリンパ腫である、
使用。
【請求項10】
有効量の請求項1~4のいずれか1項に記載の抗CD47抗体又はその抗原結合断片と抗CD20抗体の組み合わせ、請求項5に記載の単回薬物用量ユニット、請求項6に記載の薬物組成物又は請求項7に記載の薬物キットを個体に投与するステップを含む、腫瘍及び/又は癌を予防及び/又は治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオテクノロジー分野に属し、抗腫瘍薬物組成及びその使用に関し、特に腫瘍及び/又は癌を予防及び/又は治療するための薬物の調製における、抗CD47抗体又はその抗原結合断片と抗CD20抗体とを含む組み合わせの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リツキシマブは、ヒトCD20分子を標的とするモノクローナル抗体であり、ADCC、CDCなどの作用を介してCD20陽性腫瘍細胞を除去することができ、現在、非ホジキンリンパ腫の第一選択治療として使用されている。リツキシマブは非ホジキンリンパ腫の治療として優れた効果があるが、既存のデータによって、患者体内のFcR多型、CD20標的の喪失などの原因により、患者のリツキシマブに対する薬物耐性が生じ、再発難治性が示されることが分かっている。
【0003】
表面抗原分類47(CD47)はインテグリン関連タンパク質(IAP)とも呼ばれ、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーである。幾つかの研究によれば、ほとんどの腫瘍細胞及び組織はCD47を高発現させた。現在、複数の抗CD47抗体が様々な腫瘍及び/又は癌の治療用として開発されたことが報告されている。
【0004】
forty-seven社には、抗CD47抗体とリツキシマブの併用投与計画及び製品があるが、腫瘍形成メカニズムの複雑さ、異なる抗CD47抗体薬物とリツキシマブの相互作用の予測不可能性などの要因を考えると、既知の併用投与計画と比べてより優れた効果(単回薬物用量を減らし、治療中の有害事象(AE)の発生率及び/又は重症度を改善し、及び/又は相乗的に作用するなど)をもたらすことができる実行可能な併用投与計画及び製品の開発は、依然として医薬分野における大きなチャレンジである。
【0005】
これらを鑑み、より優れた抗腫瘍有効性を示すことができる改善された抗腫瘍薬物組成を開発することは依然として必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、従来技術よりも優れた腫瘍及び/又は癌を予防及び/又は治療するための薬物の調製における抗CD47抗体と抗CD20抗体の組み合わせの使用を提供することである。
【0007】
一態様では、本発明は、腫瘍及び/又は癌を予防及び/又は治療するための薬物の調製における、完全ヒト抗CD47モノクローナル抗体である抗CD47抗体又はその抗原結合断片と抗CD20抗体の組み合わせの使用を提供する。
【0008】
前記完全ヒト抗CD47モノクローナル抗体は重鎖可変領域VHと軽鎖可変領域VLを含み、前記VHは、配列番号3又は配列番号11に示されるアミノ酸配列である相補性決定領域HCDR1と、配列番号4に示されるアミノ酸配列である相補性決定領域HCDR2と、配列番号5又は配列番号12に示されるアミノ酸配列である相補性決定領域HCDR3とを含み、前記VLは、配列番号6に示されるアミノ酸配列である相補性決定領域LCDR1と、配列番号7に示されるアミノ酸配列である相補性決定領域LCDR2と、配列番号8に示されるアミノ酸配列である相補性決定領域LCDR3とを含む。
【0009】
幾つかの実施形態において、上記使用では、前記完全ヒト抗CD47モノクローナル抗体の重鎖可変領域VHは配列番号9に示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%、95%、98%又は99%の同一性を有する配列を含み、前記軽鎖可変領域は配列番号10に示される配列又はそれと少なくとも90%、95%、98%又は99%の同一性を有する配列を含む。
【0010】
好ましくは、前記重鎖可変領域VHのアミノ酸配列は配列番号9に示され、前記軽鎖可変領域VLのアミノ酸配列は配列番号10に示されている。
【0011】
幾つかの実施形態において、上記のいずれか1つに記載の使用では、前記完全ヒト抗CD47モノクローナル抗体は重鎖と軽鎖を含み、前記重鎖は配列番号1に示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%、95%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖は配列番号2に示されるアミノ酸配列又はそれと少なくとも90%、95%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0012】
好ましくは、前記重鎖は配列番号1に示されるアミノ酸配列を有し、前記軽鎖は配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記完全ヒト抗CD47モノクローナル抗体は特許公開番号WO2019042285A1に開示される抗CD47モノクローナル抗体である。本願の目的のために、当該PCT出願の内容の全ては、ここで参照として本明細書に組み込まれる。そのうち、前記抗CD47抗体は、好ましくはWO2019042285A1に開示される抗CD47抗体ADI-26630である。本明細書において、使用される当該抗CD47抗体の配列に対して番号を付け直した。
【0014】
幾つかの実施形態において、上記のいずれか1つに記載の使用では、前記抗CD20抗体は、オビヌツズマブ(obinutuzumab)、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、オファツムマブ(ofatumumab)、トシツモマブ(tositumomab)、オクレリズマブ(ocrelizumab)又はリツキシマブ(rituximab)など、抗CD20モノクローナル抗体である。
【0015】
幾つかの実施形態において、上記のいずれか1つに記載の使用では、前記抗CD20モノクローナル抗体はリツキシマブである。
【0016】
別の態様では、本発明は、有効量の上記のいずれか1つに記載の抗CD47抗体又はその抗原結合断片及び抗CD20抗体を含む単回薬物用量ユニットを更に提供する。
【0017】
別の態様では、本発明は、有効量の上記のいずれか1つに記載の抗CD47抗体又はその抗原結合断片と抗CD20抗体の組み合わせ及び薬学的に許容可能な担体を含む薬物組成物を更に提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、上記薬物組成物を含む薬物キットを更に提供する。
【0019】
好ましくは、前記薬物キットは単回薬物用量ユニット形式である。
【0020】
幾つかの実施形態において、上記薬物キットの同じ包装には、
-上記のいずれか1つに記載の抗CD47抗体を含む非経口投与用の薬物組成物を含有する第1容器と、
-上記のいずれか1つに記載の抗CD20抗体を含む非経口投与用の薬物組成物を含有する第2容器と、を含む。
【0021】
別の態様では、本発明は、腫瘍及び/又は癌を予防及び/又は治療するための薬物の調製における上記のいずれか1つに記載の薬物組成、単回薬物用量ユニット又は薬物キットの使用を更に提供する。前記腫瘍及び/又は癌は、好ましくは血液腫瘍、より好ましくはリンパ腫、更に好ましくはCD20陽性非ホジキンリンパ腫である。
【0022】
別の態様では、本発明は、腫瘍及び/又は癌を予防及び/又は治療するための薬物の調製における上記のいずれか1つに記載の組成物の使用を更に提供する。前記腫瘍及び/又は癌は、好ましくは血液腫瘍、より好ましくはリンパ腫、更に好ましくはCD20陽性非ホジキンリンパ腫である。
【0023】
別の態様では、本発明は、腫瘍及び/又は癌を予防及び/又は治療する抗CD20抗体の治療効果を強化する製品の調製における抗CD47抗体の使用を更に提供する。前記腫瘍及び/又は癌は、好ましくは血液腫瘍、より好ましくはリンパ腫、更に好ましくはCD20陽性非ホジキンリンパ腫である。
【0024】
別の態様では、本発明は、有効量の上記のいずれか1つに記載の抗CD47抗体又はその抗原結合断片と抗CD20抗体の組み合わせ、上記のいずれか1つに記載の単回薬物用量ユニット、上記のいずれか1つに記載の薬物組成物又は上記のいずれか1つに記載の薬物キットを個体に投与するステップを含む、腫瘍及び/又は癌を予防及び/又は治療する方法を更に提供する。
【0025】
本発明に関与する抗CD47抗体は、全く新しい完全ヒト抗CD47モノクローナル抗体であり、単独投与の場合でも、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブとの併用投与の場合でも、forty-seven社のHu5F9抗体よりも優れた抗腫瘍有効性が示されており、特に当該完全ヒト抗CD47モノクローナル抗体とリツキシマブの併用投与によって得られた抗腫瘍有効性は、Hu5F9抗体とリツキシマブの併用投与によって得られた抗腫瘍効果よりも有意に優れている。
【0026】
本発明は、本発明の抗CD47抗体を併用することによって、マクロファージ媒介性食作用を増加させるのに役立ち、更にリツキシマブの有効性を高めることができ、従来技術の抗CD47抗体とリツキシマブの組み合わせと比べ、より優れた抗腫瘍有効性が示され、患者体内のFcR多型、CD20標的の喪失などの原因により、患者のリツキシマブに対する薬物耐性が生じることを効果的に解決するという問題において、優れた応用の見通しがある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】低用量群の担癌マウスの腫瘍体積変化である。
【
図4】高用量群の担癌マウスの腫瘍体積変化である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の詳細
定義
「及び/又は」という用語は、選択可能オプションのうちのいずれか1項又は選択可能オプションのいずれか2項又は複数項の組み合わせを指すと理解すべきである。
【0029】
「包含する」又は「含む」という用語は、前記要素、整数又はステップを含むが、任意の他の要素、整数又はステップを排除しないことを意味する。本明細書において、「包含する」又は「含む」という用語を用いる場合、特記しない限り、前記要素、整数又はステップからなる場合も含まれる。例えば、ある具体的な配列を「包含する」抗体可変領域が言及される場合、当該配列からなる抗体可変領域を含むことも意図する。
【0030】
本明細書において、「抗体」という用語は、少なくとも軽鎖又は重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドを指し、前記免疫グロブリン可変領域は、抗原を特異的に認識して結合する。当該用語は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単鎖抗体又は多重鎖抗体、単特異性又は多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、完全ヒト化抗体又はキメラ抗体又はヒト化抗体、全長抗体及び抗体断片などの様々な抗体構造を含むが、これらに限定されず、所望の抗原結合活性を示せばよい。
【0031】
抗体の「抗原結合断片」(本明細書では、「抗体断片」及び「抗原結合部分」と互換的に使用される)という用語は、完全な抗体でない分子を指し、完全な抗体における当該完全な抗体に結合される抗原に結合するための部分を包含する。当業者には理解されるように、抗体の抗原結合部分は、通常、「相補性決定領域」又は「CDR」に由来するアミノ酸残基を包含する。抗原結合断片は、組換えDNA技術、又は酵素もしくは化学的手段により完全な抗体を切断することによって調製することができる。抗原結合断片は、Fab、scFab、Fab’、F(ab’)2、Fab’-SH、Fv、単鎖Fv、二重鎖抗体(diabody)、三重鎖抗体(triabody)、四重鎖抗体(tetrabody)、ミニ抗体(minibody)、単一ドメイン抗体(sdAb)を含むが、これらに限定されない。抗体断片のより詳細な説明については、基礎免疫学(Fundamental Immunology),edited by W.E.Paul,Raven Press,N.Y.(1993)、邵栄光 et al.(編集),抗体薬物研究及び応用,人民衛生出版社(2013)、Hollinger et al.,PNAS USA 90:6444-6448(1993)、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。
【0032】
「予防」という用語は、疾患又は病症又はその症状の発症又は発症頻度に対する阻害又は遅延を含み、一般的には、病症又は症状の発症前、特にリスクのある個体の病症又は症状の発症前の薬物投与を指す。
【0033】
本明細書で使用される「治療」という用語は、疾患の臨床的又は診断的症状の緩和又は解消によって証明される対象における癌の進行の遅延、停止又は逆転を指す。治療には、例えば、症状の重症度、症状の数又は再発頻度の減少、例えば、腫瘍増殖の阻害、腫瘍増殖の停止又は既存腫瘍の退縮が含まれてよい。
【0034】
本明細書で使用される「単回薬物用量ユニット」という用語は、投与計画の時刻に、注射液、錠剤及び凍結乾燥粉末などを含む、患者に投与する単回薬物剤形を表す。
【0035】
「薬物組成」という用語は、非固定組み合わせ製品、又は、薬物キットなどの固定組み合わせ製品を指す。「非固定組み合わせ」という用語は、活性成分(例えば、(i)抗CD47抗体又はその抗原結合断片、及び、(ii)抗CD20抗体)が別々の実体として、同時に、特定の時間制限なしに、又は、同じ又は異なる時間間隔で、患者に連続して投与されることを意味する。そのうち、このような投与は、患者の体内において予防的または治療的に有效なレベルの前記2つの活性剤を提供する。幾つかの実施形態において、薬物組成で使用される抗CD47抗体分子と抗CD20抗体の2つの分子は、それらが単独で使用される場合のレベルを超えないレベルで投与される。「固定組み合わせ」という用語は、2つの活性剤が単一実体の形態で同時に患者に投与されることを意味する。好ましくは、各成分の併用が疾患又は病症の治療において、いずれかの成分を単独で使用する場合よりも、大きな効果を達成できるように、2つの活性剤の用量及び/又は時間間隔を選択する。各成分はそれぞれ、単独の製剤形態であってもよく、その製剤形態は同じであってもよく、異なってもよい。
【0036】
「投与」という用語は、当業者に知られている様々な方法及び送達システムのうちのいずれか1つを使用して本発明の薬物組成における各活性成分を個体に物理的に導入することを意味する。本発明の薬物組成における各活性成分の投与経路は、経口、静脈内(例えば、注入(点滴とも呼ばれる)又は注射)、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄、局所又は他の非経口投与経路を含む。本明細書で使用される「非経口投与」という語句は、胃腸及び局所投与以外の、通常静脈内の投与方式を指し、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊柱内、硬膜外及び胸骨内の注射及び注入、並びにインビボ電気穿孔を非制限的含む。対応的に、本発明の薬物組成における各活性成分は、カプセル剤、錠剤、注射剤(注入液又は注射液を含む)、シロップ、スプレー剤、トローチ剤、リポソーム又は坐剤などに調製できる。
【0037】
「用量」という用語は、治療効果を引き出す薬物の量である。特に断らない限り、用量は遊離形態の薬物の量に関連している。薬物が薬学的許容可能な塩の形態である場合、薬物の量は遊離形態の薬物の量に比例して増加する。例えば、用量は製品包装又は製品情報シートに記載されている。
【0038】
本発明の薬物組成は、1つ又は複数の従来の療法で治療されたが、その後再発又は転移した個体に投与することができる。
【0039】
本明細書で使用されるように、「モノクローナル抗体」という用語は、その調製方法ではなく、単一のアミノ酸からなる抗体分子を有する調製物を指す。モノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、例えば、ハイブリドーマ技術、組換え技術、ファージディスプレイ技術、CDRグラフトなどの合成技術、若しくは類似の技術、又は当該分野で既知の他の技術の組み合わせにより産生できる。
【0040】
本明細書で使用されるように、「結合」及び「特異的結合」という用語は、抗体又は抗原結合部分がインビトロアッセイ、好ましくは精製された野生型抗原を使用した生物光学干渉法(ForteBio)において抗原エピトープに結合することを指す。特定の実施形態において、抗体又は抗原結合部分が好ましくタンパク質及び/又は高分子の複雑な混合物中のその標的抗原を認識する場合、抗体又は抗原結合部分を特異的結合抗原と呼ぶ。
【0041】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体と抗原の結合に関与する抗体重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖と軽鎖の可変ドメインは、通常、類似の構造を有し、各ドメインは、4つの保存的なフレームワーク領域(FR)と3つの相補性決定領域とを含む。(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.91ページ(2007)が参照される)。単一のVHドメイン又はVLドメインでも、抗原結合特異性を付与することができる。なお、特定の抗原に結合する抗体に由来するVHドメイン又はVLドメインを利用して前記抗原に結合する抗体を分離することによって、相補的なVLドメイン又はVHドメインのライブラリーをそれぞれスクリーニングすることができる。例えば、Portolano et al.,J.Immunol.150:880-887(1993);Clarkson et al.,Nature 352:624-628(1991)が参照される。
【0042】
可変領域は通常、3つの相補性決定領域又はCDRとも呼ばれる超可変領域によって接続された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)と同じである一般的な構造を示している。各ペアの2本の鎖からのCDRは通常、フレームワーク領域によって整列(align)され、前記CDRにより、特異的エピトープに結合可能にする。2本の軽鎖と重鎖の可変領域は一般に、N-末端からC-末端まで、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4を含む。
【0043】
「相補性決定領域」又は「CDR領域」又は「CDR」又は「超可変領域」(本明細書では、超可変領域「HVR」と互換的に使用できる)は、配列が超可変であり、構造的に決定されたリング(「超可変リング」)を形成する及び/又は抗原接触残基(「抗原接触点」)を含む抗体可変ドメイン内の領域である。CDRは、主に抗原エピトープに結合する役割を果たす。重鎖と軽鎖のCDRは通常、CDR1、CDR2とCDR3と呼ばれ、N-末端から順に番号付けられる。抗体の重鎖可変ドメイン内に位置するCDRはHCDR1、HCDR2、HCDR3と呼ばれ、抗体の軽鎖可変ドメイン内に位置するCDRはLCDR1、LCDR2、LCDR3と呼ばれる。1つの特定の軽鎖可変領域又は重鎖可変領域のアミノ酸配列において、各CDRにおける正確なアミノ酸配列の境界は、多くの公知の抗体CDR割り当てシステムのいずれか1種又はその組合せにより正確に決定できる。前記割り当てシステムの例は、抗体の三次元構造とCDRリングのトポロジーに基づくChothia(Chothia et al.(1989)Nature 342:877-883,Al-Lazikani et al.,「Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins」,Journal of Molecular Biology,273,927-948(1997))、抗体配列可変性に基づくKabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,4th edition,U.S.Department of Health and Human Services,National Institutes of Health(1987))、AbM(University of Bath)、Contact(University College London)、国際的ImMunoGeneTics database(IMGT)(www.imgt.cines.fr/にて利用可能)、大量の結晶構造が利用されるアフィニティ伝播クラスタリング(affinity propagation clustering)に基づくNorth CDR定義を含む。
【0044】
例えば、KabatとChothiaの番号付けを使用したCDR領域は、異なる定義範囲を有する。
【0045】
【0046】
本発明の抗体のCDRは、当該分野の任意の形態又はその組み合わせ及び人間による評価に従って境界を決定することができる。
【0047】
CDRは、参照CDR配列と同じKabat番号付け位置を有することに基づいて決定することもできる。
【0048】
特に断らない限り、本発明において、「CDR」又は「CDR配列」という用語は、上記のいずれかの方法で決定されるCDR配列を含む。
【0049】
特に断らない限り、本発明において、抗体可変領域における残基位置(重鎖可変領域残基と軽鎖可変領域残基を含む)を言及する場合、Kabat番号付けシステム(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))に基づいた番号付け位置を指す。
【0050】
一実施形態において、本発明の抗体のCDRの境界はKabat規則により決定され、例えば、下記表2に示される。
【0051】
一実施形態において、本発明の抗体のCDRの境界はKabat、AbM、Chothia及び経験などの統合的な要因を組み合わせることにより決定され、例えば、下記表2に示される:VL内の位置RASQGISRWLA(LCDR1)、位置AASSLQS(LCDR2)と位置QQTVSFPIT(LCDR3)、及び、VH内の位置GSISSYYWS(HCDR1)、位置YIYYSGSTNYNPSLKS(HCDR2)と位置ARGKTGSAA(HCDR3)である。
【0052】
ただし、異なる割り当てシステムに基づいて得られた同一抗体の可変領域のCDRの境界には、差異がある可能性があることを認識すべきである。即ち、異なる割り当てシステムで定義された同一抗体の可変領域のCDR配列には違いがある。従って、本発明で定義された具体的なCDR配列により抗体が限定される場合、前記抗体の範囲には、可変領域配列が前記具体的なCDR配列を含むが、異なる形態(例えば、異なる割り当てシステムのルール又は組合せ)が使用されることにより、かかるCDR境界が本発明で定義された具体的なCDR境界と異なるような抗体も含まれる。
【0053】
異なる特異性(即ち、異なる抗原に対する異なる結合部位)を有する抗体は、異なるCDRを有する。しかし、抗体と抗体との間にあるCDRが異なるにもかかわらず、CDR内の限られた数のアミノ酸位置のみが抗原との結合に直接参与する。Kabat、Chothia、AbM、Contact及びNorth方法のうちの少なくとも2種を用いて、最小重複領域を決定し、それによって抗原結合用の「最小結合単位」を提供することができる。最小結合単位は、CDRの1つのサブ部分であってもよい。当業者が明らかにしたように、抗体の構造とタンパク質のフォールディングによって、CDR配列の残り部分の残基を確定することができる。従って、本発明は、本願に提供される如何なるCDRの変異体も考慮する。例えば、1つのCDRの変異体において、最小結合単位のアミノ酸残基はそのまま保持することができ、Kabat又はChothiaに基づいて定義された残りのCDR残基は保守的なアミノ酸残基で置換されることができる。
【0054】
以下のとおりに配列間の配列同一性を計算する。
【0055】
2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列における同一性パーセンテージを決定するために、前記配列を最適な比較の目的でアラインメントする(例えば、最適な比較のために第1アミノ酸配列と第2アミノ酸配列又は核酸配列のいずれかもしくは両方にギャップを導入するか、又は比較の目的で非相同配列を捨ててもよい)。1つの好ましい実施形態において、比較の目的で、アラインメントされる配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%である。次に、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第1配列における位置が、第2配列における対応の位置での同一のアミノ酸残基又はヌクレオチドによって占有されている場合、前記分子はこの位置において同一である。
【0056】
数学的アルゴリズムを用いて、2つの配列間の配列比較及び同一性パーセンテージの計算を実現できる。1つの好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列間における同一性パーセンテージは、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムに統合されているNeedlema及びWunsch((1970)J.Mol.Biol.48:444-453)アルゴリズム(http://www.gcg.comにて取得可能)により、Blossum 62行列もしくはPAM250行列、ギャップ重み16、14、12、10、8、6もしくは4と長さ重み1、2、3、4、5もしくは6を用いて決定される。別の好ましい実施形態において、2つのヌクレオチド配列間における同一性パーセンテージは、GCGソフトウェアパッケージ内のGAPプログラム(http://www.gcg.comにて取得可能)により、NWSgapdna.CMP行列、ギャップ重み40、50、60、70もしくは80と長さ重み1、2、3、4、5もしくは6を用いて決定される。特に好ましいパラメータセット(特に断らない限り、1つのパラメータセットを使用すべきである)は、ギャップペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ4、フレームシフトギャップペナルティ5のBlossum 62スコアリング行列を採用する。
【0057】
更に、2つのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列間における同一性パーセンテージは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE.Meyers及びW.Millerアルゴリズム((1989)CABIOS,4:11-17)により、PAM120重み残基表、ギャップ長さペナルティ12、ギャップペナルティ4を用いて決定されることができる。
【0058】
有効量は、当業者である主治医により、例えば、哺乳類の生物種、その大きさ、年齢、一般健康状態、関連する特定の疾患、疾患の程度又は重症度、個体患者の応答、投与される特定の抗体、投与方式、投与製剤の生物学的利用能の特徴、選択される投与計画、及び任意の併用療法の適用などの複数種の要因を考慮して容易に決定されることができる。
【0059】
上記のように、場合によっては、抗体及びその標的抗原の間の相互作用は標的の機能を妨害する可能性がある。投与に必要な量は、その特異的抗原に対する抗体の結合親和性に更に依存し、投与を受けた被験者における投与された抗体のクリアランス速度にも依存する。「個体」又は「被験者」は、哺乳動物を含む。哺乳動物は、家畜(例えば、ウシ、ヤギ、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長類動物(例えば、ヒト、サルなどの非ヒト霊長類動物)、ウサギ、及びげっ歯類動物(例えば、マウス、ラット)を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、個体又は被験者はヒトである。
【0060】
「抗CD47抗体」、「抗CD47」、「CD47抗体」又は「CD47に結合する抗体」という用語は、標的CD47における診断剤及び/又は治療剤として使用できるように、十分な親和性でCD47タンパク質又はその断片に結合する抗体を指す。
【0061】
本発明の抗CD47抗体の重鎖配列は、QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSISSYYWSWIRQPPGKGLEWIGYIYYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARGKTGSAAWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号1)である。
【0062】
本発明の抗CD47抗体の軽鎖配列は、
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISRWLAWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQTVSFPITFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号2)である。
【0063】
本発明の抗CD47抗体の重鎖と軽鎖CDRの配列は表2に示されている。本発明の抗CD47抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域の配列は表3に示されている。
【0064】
【0065】
【実施例】
【0066】
発明を実施するための形態
特に断らない限り、下記実施例で使用される実験方法は、いずれも従来の方法である。特に断らない限り、下記実施例で使用される材料、試薬などは、いずれも商業的に入手可能である。
【0067】
以下、具体的な実施例と組み合わせて本発明を更に説明する。以下の実施例は、本発明を説明するものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0068】
Rajiリンパ腫細胞はATCC製品であり、カタログ番号はCCL-86TMであり、バッチ番号は58770576である。
【0069】
Matrigelゲルは米国CORNING製品であり、カタログ番号は356231である。
【0070】
NOD-SCIDマウス(雌,35日齢~41日齢)は、北京維通利華実験動物技術有限公司から購入し、合格証明書番号は1100111911006865である。
h-IgGはEquitech-Bio製品であり、カタログ番号はSLH56であり、バッチ番号は160308-02である。
【0071】
実施例1.抗CD47抗体、Hu5F9抗体及びリツキシマブの製造及び精製
1、抗CD47抗体
本実施例における抗CD47抗体は、特許公開番号WO2019042285A1に開示される抗CD47モノクローナル抗体である。本願の目的のために、当該PCT出願の内容の全ては、ここで参照として本明細書に組み込まれる。そのうち、前記抗CD47抗体は、好ましくはWO2019042285A1に開示される抗CD47抗体ADI-26630である。本明細書において、使用される当該抗CD47抗体の配列に対して番号を付け直した。
【0072】
本発明の例示的な抗CD47抗体のCDR領域、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域、軽鎖と重鎖のアミノ酸配列は、本願の「配列表」に列挙されている。なお、上記の本発明の例示的な抗体のCDR領域、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の配列番号は表2と表3に示されている。
【0073】
酵母及びCHO-S細胞において、本発明の抗CD47抗体を発現して精製する。
【0074】
酵母における発現及び精製:
従来の方法(WO2009036379、WO2010105256、W02012009568)に従って、酵母ベースの抗体ディスプレイ(yeast-based antibody presentation)ライブラリー(Adimab)に基づき、各ライブラリーの多様性が1×109になるよう増幅させる。簡単に説明すると、最初の2回のスクリーニングにおいて、Miltenyi社のMACSシステムを利用して磁気活性化細胞選別を行う。まず、ライブラリーの酵母細胞(~1×1010細胞/ライブラリー)を、100nMのビオチンで標識されたCD47抗原(Acro Biosystems、カタログ番号CD7-H5227-1mg)を含有するFACS洗浄緩衝液(0.1%のウシ血清タンパク質を含有するリン酸塩緩衝液)に室温でそれぞれ15minインキュベートした。50mLの予め冷却されたFACS洗浄緩衝液で1回洗浄し、更に40mLの同じ洗浄緩衝液で細胞を再懸濁させ、500μlのストレプトマイシンビーズ(Miltenyi LS)を加えて4℃で15minインキュベートした。1000rpmで5min遠心分離して上清を捨てた後、5mLのFACS洗浄緩衝液で細胞を再懸濁させ、細胞溶液をMiltenyi LSカラムに加えた。試料をロードした後、FACS洗浄緩衝液でカラムを3回洗浄し、各回に3mLのFACS洗浄緩衝液を使用した。磁気領域からMiltenyi LSカラムを取り外し、5mLの成長培地で溶出し、溶出された酵母細胞を収集し、37℃で一晩成長させた。
【0075】
フローサイトメーターを利用して次回の選別を行った。具体的には、MACSシステムによってスクリーニングされた約1×108の酵母細胞をFACS緩衝液で3回洗浄し、室温で低濃度のビオチン(100-1nM)標識を含有するCD47抗原において培養した。培養液を捨て、FACS洗浄緩衝液で細胞を2回洗浄した後、細胞をLC-FITC(FITCによって標識されたヤギ抗ヒト免疫グロブリンのF(ab’)kappa鎖抗体、Southern Biotech)(1:100希釈)と混合し、SA-633(ストレプトアビジン-633、Molecular Probes)(1:500希釈)又はSA-PE(ストレプトアビジン-フィコエリスリン、Sigma)(1:50希釈)試薬と混合し、4℃で15min培養した。予め冷却されたFACS洗浄緩衝液で2回溶出し、0.4mLの緩衝液に再懸濁させ、フィルターを備える分離管に細胞を移した。FACS ARIA(BD Biosciences)で細胞を選別した。
【0076】
30℃で、スクリーニングして得られた抗CD47抗体を発現する酵母細胞を振とうし48時間誘導することによって、抗CD47抗体を発現させた。誘導完了後、1300rpmで10min遠心分離して酵母細胞を除去し、上清液を得た。上清液における抗CD47抗体をProtein Aで精製し、pH2.0の酢酸溶液で溶出し、抗CD47抗体を得て、抗体純度が>95%であった。パパインで消化して、更にKappaSelect(GE生命医療集団)によって精製し対応するFab断片を得ることができる。
【0077】
CHO-S細胞における発現及び精製:
製造者の取扱説明書に従い、Freedom(登録商標)CHO-S(登録商標)キット(Invitrogen)を使用して抗体を発現するCHO-S細胞株を作製した。まず、抗体分子の重鎖と軽鎖のDNA配列を、重鎖が軽鎖の上流にあるように同一のpCHO1.0プラスミドに挿入した。その後構築したpCHO1.0プラスミドを、化学的トランスフェクション法及びエレクトロトトランスフェクション法によってCHO細胞株に移し、48時間トランスフェクションした後にForteBioを用いて抗体産生量を検出し、トランスフェクション効率を判定した。トランスフェクション後の細胞を2回加圧スクリーニングして抗体を高発現する細胞プール(pool)を得た。その後細胞プールを増幅し、抗体を大量に発現させ、細胞上清を収集し、抗体の純度が95%を上回るようにProtein Aで上清液を精製した。
【0078】
2、Hu5F9抗体
293HEK細胞における対照抗体Hu5F9の発現及び精製:
Hu5F9は、293HEK細胞において一過性発現されたヒトCD47抗体であり、その配列は米国特許US2015/0183874 A1に記載の抗体「5F9」の配列と同じである。
【0079】
293HEK細胞における抗体の一過性発現は、担体pTT5(Addgene社製品、カタログ番号52326)を使用した。まず、抗体の重鎖と軽鎖を単独のpTT5担体にクローニングした。抗体分子の重鎖と軽鎖を有するpTT5担体を、化学的トランスフェクション法を用いて293HEK細胞に移した。使用された化学的トランスフェクション試薬はPEI(Polysciencesから購入)であり、培養された293HEKを製造業者が提供する方法に従って一過性にトランスフェクトした。まず、超クリーンな作業台にプラスミドDNAとトランスフェクション試薬を準備し、F17培地(Gibco)(体積はトランスフェクション体積の1/5)を半分ずつ50mLの遠心管に入れ、半分を濾過したプラスミド(130μg/100mL)に加え、残りの半分を濾過したPEI(1g/L、Polysciences)(質量比(プラスミド:PEI)=1:3)に加え、5min均一に混合し、両方を20回穏やかに混合し、15~30min静置し、30minを超えないようにした。DNA/PEI混合物を293HEK細胞に穏やかに注入して混合し、細胞を、48時間ごとに新鮮な培地を流加して37℃、8%CO2の条件下で7日間培養した。7日後又は細胞活性≦60%となるまで連続培養した場合、13000rpmで20min遠心分離した。上清液を収集し、抗体の純度が95%を上回るようにProtein Aで上清液を精製した。
【0080】
Hu5F9重鎖配列:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYNMHWVRQAPGQRLEWMGTIYPGNDDTSYNQKFKDRVTITADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGGYRAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号13)。
【0081】
Hu5F9軽鎖配列:
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSIVYSNGNTYLGWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHVPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号14)。
【0082】
3、リツキシマブ
先発医薬品リツキシマブは、商品名がマブセラ(MabThera)であり、バイオジェン・アイデック社(Biogen)とロシュ・ファーマシューティカルズ社(RochePharmaceuticals)によって共同で製造される。IBI301は、信達生物製薬(蘇州)有限公司によって製造された先発医薬品リツキシマブのバイオシミラーである。本発明の後述の実施例では、リツキシマブとしてIBI301が使用される。
【0083】
IBI301の抗体調製方法は以下のとおりである。
【0084】
製造者の取扱説明書に従い、Freedom(登録商標)CHO-S(登録商標)キット(Invitrogen)を使用して抗体を発現するCHO-S細胞株を作製した。まず、抗体分子の重鎖と軽鎖のDNA配列を、重鎖が軽鎖の上流にあるように同一のpCHO1.0プラスミドに挿入した。その後構築されたpCHO1.0プラスミドを、化学的トランスフェクション法及び電気的トランスフェクション法によってCHO細胞株に移した。トランスフェクション後の細胞を2回加圧スクリーニングして抗体を高発現する細胞プール(pool)を得た。その後細胞プールを増幅し、抗体を大量に発現させ、細胞上清を収集し、抗体の純度が95%を上回るようにProtein Aで上清液を精製した。
【0085】
IBI301重鎖配列:QVQLQQPGAELVKPGASVKMSCKASGYTFTSYNMHWVKQTPGRGLEWIGAIYPGNGDTSYNQKFKGKATLTADKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARSTYYGGDWYFNVWGAGTTVTVSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKAEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号15)。
【0086】
IBI301軽鎖配列:
QIVLSQSPAILSASPGEKVTMTCRASSSVSYIHWFQQKPGSSPKPWIYATSNLASGVPVRFSGSGSGTSYSLTISRVEAEDAATYYCQQWTSNPPTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号16)。
【0087】
実施例2、Raji腫瘍細胞担癌マウスモデルの構築
細胞密度が10×106個/mLになるようにPBS(1×)でRajiリンパ腫細胞を分散させ、更にMatrigelゲルと体積比1:1で混合して、細胞濃度が5×106個/mLの細胞懸濁液を調製した。
【0088】
NOD-SCIDマウスの右背部を剃毛し、上記細胞懸濁液を1×106個細胞/0.2mL/マウスの用量で皮下注射により接種した。
【0089】
接種後7日目に、モデリングに成功した(腫瘍体積が44.30mm3~97.65mm3)77匹のマウスを選択し、ジグザグ配置で11群に分け、各群に7匹であった。各群の投与方法は次のとおりである。
【0090】
PBS群:10mL/kgの投与体積に従って、2日に1回、PBSを各マウスに腹腔内注射し、6回続けて投与した。
【0091】
h-IgG群:h-IgGを1.62mg/mLになるようにPBSで溶解し、10mL/kgの投与体積に従って、2日に1回、各マウスに腹腔内注射し、6回続けて投与した。
【0092】
Hu5F9-0.02mg/kg群:Hu5F9を0.002mg/mLになるようにPBSで溶解し、10mL/kgの投与体積に従って、2日に1回、各マウスに腹腔内注射し、6回続けて投与した。
【0093】
Hu5F9-0.1mg/kg群:Hu5F9を0.01mg/mLになるようにPBSで溶解し、10mL/kgの投与体積に従って、2日に1回、各マウスに腹腔内注射し、6回続けて投与した。
【0094】
抗CD47抗体-0.02mg/kg群:抗CD47抗体を0.002mg/mLになるようにPBSで溶解し、10mL/kgの投与体積に従って、2日に1回、各マウスに腹腔内注射し、6回続けて投与した。
【0095】
抗CD47抗体-0.1mg/kg群:抗CD47抗体を0.01mg/mLになるようにPBSで溶解し、10mL/kgの投与体積に従って、2日に1回、各マウスに腹腔内注射し、6回続けて投与した。
【0096】
リツキシマブ-1.5mg/kg群:リツキシマブを0.15mg/mLになるようにPBSで溶解し、10mL/kgの投与体積に従って、2日に1回、各マウスに腹腔内注射し、6回続けて投与した。
【0097】
Hu5F9+リツキシマブ-0.02mg/kg+1.5mg/kg群:Hu5F9とリツキシマブをPBSで溶解して、0.002mg/mLのHu5F9、0.15mg/mLのリツキシマブを含有する溶液を調製し、10mL/kgの投与体積に従って、2日に1回、各マウスに腹腔内注射し、6回続けて投与した。
【0098】
Hu5F9+リツキシマブ-0.1mg/kg+1.5mg/kg群:Hu5F9とリツキシマブをPBSで溶解して、0.01mg/mLのHu5F9、0.15mg/mLのリツキシマブを含有する溶液を調製し、10mL/kgの投与体積に従って、2日に1回、各マウスに腹腔内注射し、6回続けて投与した。
【0099】
抗CD47抗体+リツキシマブ-0.02mg/kg+1.5mg/kg群:抗CD47抗体とリツキシマブをPBSで溶解して、0.002mg/mLの抗CD47抗体、0.15mg/mLのリツキシマブを含有する溶液を調製し、10mL/kgの投与体積に従って、2日に1回、各マウスに腹腔内注射し、6回続けて投与した。
【0100】
抗CD47抗体+リツキシマブ-0.1mg/kg+1.5mg/kg群:抗CD47抗体とリツキシマブをPBSで溶解して、0.01mg/mLの抗CD47抗体、0.15mg/mLのリツキシマブを含有する溶液を調製し、10mL/kgの投与体積に従って、2日に1回、各マウスに腹腔内注射し、6回続けて投与した。
【0101】
各群のマウスの体重、腫瘍組織の最大長径(L)と最大短径(W)を週2回で、4週連続してモニタリングした。実験終了後、各群のマウスの相対腫瘍阻害率を計算した。
【0102】
腫瘍体積測定:
ノギスを用いて腫瘍の最大長径(L)と最大短径(W)を測定し、式V=L×W2/2により腫瘍体積を計算した。
【0103】
相対腫瘍阻害率の計算:
腫瘍阻害率TGI(%)=100%×(対照群に投与した後の腫瘍最終体積-投与群に投与した後の腫瘍最終体積)/(対照群に投与した後の腫瘍最終体積-対照群に投与する前の腫瘍体積)
【0104】
そのうち、対照群はh-IgG群である。
【0105】
各群の腫瘍阻害率は表4に示されている。
【0106】
【0107】
各群の担癌マウスの体重変化率は
図1に示されている。各群の担癌マウスの腫瘍体積に対する阻害は
図2に示されている。低用量群と高用量群の担癌マウスの腫瘍体積に対する阻害はそれぞれ
図3と
図4に示されている。
【0108】
表4から分かるように、6回投与後、PBS群とh-IgG群と比べ、抗CD47抗体-0.1mg/kg群、抗CD47抗体+リツキシマブ-0.02mg/kg+1.5mg/kg群及び抗CD47抗体+リツキシマブ-0.1mg/kg+1.5mg/kg群はRaji担癌マウスの腫瘍増殖に対して明らかな阻害作用を有し、腫瘍の体積がより小さく、抗CD47抗体+リツキシマブ-0.1mg/kg+1.5mg/kg群の有効性は抗CD47抗体+リツキシマブ-0.02mg/kg+1.5mg/kg群よりも優れ、この腫瘍有効性は抗CD47抗体に対して用量依存性があることが示されている。なお、抗CD47抗体+リツキシマブ-0.02mg/kg+1.5mg/kg群、抗CD47抗体+リツキシマブ-0.1mg/kg+1.5mg/kg群の腫瘍阻害率はHu5F9+リツキシマブ-0.02mg/kg+1.5mg/kg群、Hu5F9+リツキシマブ-0.1mg/kg+1.5mg/kg群よりもはるかに高い。
【0109】
h-IgG群と比べ、Hu5F9-0.02mg/kg群とリツキシマブ-1.5mg/kgは抗腫瘍有効性が示されていない。Hu5F9-0.1mg/kg群、抗CD47抗体-0.02mg/kg群、抗CD47抗体-0.1mg/kg群の腫瘍阻害率はそれぞれ20%、24%と52%である。Hu5F9+リツキシマブ-0.02mg/kg+1.5mg/kg群、Hu5F9+リツキシマブ-0.1mg/kg+1.5mg/kg群、抗CD47抗体+リツキシマブ-0.02mg/kg+1.5mg/kg群、抗CD47抗体+リツキシマブ-0.1mg/kg+1.5mg/kg群の腫瘍阻害率はそれぞれ33%、28%、56%と92%である。
【0110】
抗CD47抗体+リツキシマブ-0.02mg/kg+1.5mg/kg群のマウスの腫瘍阻害効果は、抗CD47抗体-0.02mg/kg、リツキシマブ-1.5mg/kgとHu5F9+リツキシマブ-0.02mg/kg+1.5mg/kg群よりも優れる。抗CD47抗体+リツキシマブ-0.1mg/kg+1.5mg/kg群のマウスの腫瘍阻害効果は、抗CD47抗体-0.1mg/kg、リツキシマブ-1.5mg/kgとHu5F9+リツキシマブ-0.1mg/kg+1.5mg/kg群よりも優れる。以上をまとめ、結果により、抗CD47抗体+リツキシマブの腫瘍阻害効果はいずれも、抗CD47抗体単剤群とリツキシマブ単剤群よりも優れ、併用効果が示され、且つ同じ用量下で、抗CD47抗体+リツキシマブ併用群の腫瘍阻害効果はHu5F9+リツキシマブ併用群よりも優れていることが示されている。抗CD47抗体-0.1mg/kg群では、1匹のマウスの腫瘍が完全に退縮し、Hu5F9+リツキシマブ-0.02mg/kg+1.5mg/kg群では、1匹のマウスの腫瘍が完全に退縮し、抗CD47抗体+リツキシマブ-0.1mg/kg+1.5mg/kg群では、4匹のマウスの腫瘍が完全に退縮し、非常に優れた腫瘍阻害効果が示されている。
【0111】
図1から分かるように、抗CD47抗体、リツキシマブ単剤又は併用投与は、前臨床マウスモデルで明らかな毒性及び副作用が見られず、マウスの体重は正常であり、低下しなかった。
【0112】
図2、
図3、
図4及び表4から分かるように、抗CD47抗体は一定の抗腫瘍有効性を有し、リツキシマブと併用することで、その抗腫瘍有効性を大幅に増加させ、2つの薬物の併用が相乗効果を有することが示されている。更に、同じ用量で、抗CD47抗体とリツキシマブの併用投与は、Hu5F9とリツキシマブの併用投与よりも、担癌マウスに対してより優れた腫瘍阻害効果が示されている。
【配列表】
【国際調査報告】