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特表2023-509093高調波的に広げられた線形範囲を有する磁気抵抗センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】高調波的に広げられた線形範囲を有する磁気抵抗センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/09 20060101AFI20230227BHJP
   G01D 5/16 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
G01R33/09
G01D5/16 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542111
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 CN2021070518
(87)【国際公開番号】W WO2021139695
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】202010028130.1
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514116947
【氏名又は名称】江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MULTIDIMENSION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building D & E, No.2 Guangdong Road,Zhangjiagang Free Trade Zone,Zhangjiagang,Jiangsu,215634 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディーク、ジェイムズ ゲーザ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、チーミン
【テーマコード(参考)】
2F077
2G017
【Fターム(参考)】
2F077AA12
2F077PP14
2F077TT11
2G017AA02
2G017AA10
2G017AD55
2G017AD65
2G017BA09
(57)【要約】
高調波的に広げられた線形範囲を有する磁気抵抗センサは、基板(100)、およびマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームを備える。感知ブリッジのプッシュ・アーム(91)は、N個のタイプのプッシュ磁気抵抗感知ユニット(94)を備える。プル・アーム(92)は、N個のタイプのプル磁気抵抗感知ユニットを備える。各磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、R0i,MR,Hsi,±αpiおよびaを含む。プッシュ磁気抵抗感知ユニット(94)および対応するプル磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの標準的な磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータとは異なる。少なくとも1つのセットの重要な特性パラメータ[(R0j,MR,Hsj,±αpj),a]がある。プッシュ磁気抵抗感知ユニットおよびプル磁気抵抗感知ユニットを特徴付けるR-H特性パラメータの線形部分および非線形高調波的部分は、重ね合わされ、それによりマルチプル・プッシュ・プッシュ磁気抵抗感知ブリッジの線形範囲は、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの線形範囲よりも大きい。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高調波的に広げられた線形範囲を有する磁気抵抗センサであって、
基板と、
該基板上に配置され、プッシュ・アームおよびプル・アームを備えたマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームであって、該プッシュ・アームはN個のタイプのプッシュ磁気抵抗感知ユニットを備え、該プル・アームはN個のタイプのプル磁気抵抗感知ユニットを備え、Nは1よりも大きい整数である、マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームと、を備えており、
各磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、ゼロ磁場抵抗R0、磁気抵抗変化率MR、自由層飽和磁場Hsi、ピン止め層磁気モーメントの方向角±αpi、および直列並列係数aを備え、該プッシュ磁気抵抗感知ユニットは、該ピン止め層磁気モーメントの該方向角+αpiを有し、該プル磁気抵抗感知ユニットは、該ピン止め層磁気モーメントの該方向角-αpiを有し、iは1からNまでの整数であり、該プッシュ磁気抵抗感知ユニットおよび対応するプル磁気抵抗感知ユニットの該重要な特性パラメータは、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの標準的な磁気抵抗感知ユニットの該重要な特性パラメータとは異なり、
少なくとも1つのセットの重要な特性パラメータ[(R0,MR,Hsj,±αpj),a]があり、jは1以上およびN以下の整数であり、該プッシュ磁気抵抗感知ユニットおよび該対応するプル磁気抵抗感知ユニットを特徴付けるR-H特性パラメータの線形部分および非線形高調波的部分は、重ね合わされ、それによってマルチプル・プッシュ・プッシュ磁気抵抗感知ブリッジの線形範囲は、該標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの線形範囲よりも大きく、該標準的な磁気抵抗感知ユニットの該重要な特性パラメータは、[(R0,MR,Hss,±αps),a]、±αps=90°、a=1である、磁気抵抗センサ。
【請求項2】
前記プッシュ・アームを構成する前記N個のタイプのプッシュ磁気抵抗感知ユニットは、並列に接続され、前記プル・アームを構成する前記N個のタイプのプル磁気抵抗感知ユニットは、並列に接続され、
前記プッシュ・アームの抵抗Rpush、前記プル・アームの抵抗Rpull、および前記マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームの抵抗Rは、
【数1】
という関係を満たし、
(R0,MR,Hsi,+αpi)は、前記プッシュ磁気抵抗感知ユニットの4つの重要な特性パラメータに対応する抵抗値を特徴付け、R(R0,MR,Hsi,-αpi)は、前記プル磁気抵抗感知ユニットの4つの重要な特性パラメータに対応する抵抗値を特徴付ける、請求項1に記載の磁気抵抗センサ。
【請求項3】
前記プッシュ・アームを構成する前記N個のタイプのプッシュ磁気抵抗感知ユニットは、直列に接続され、前記プル・アームを構成する前記N個のタイプのプル磁気抵抗感知ユニットは、直列に接続され、
前記プッシュ・アームの抵抗Rpush、前記プル・アームの抵抗Rpull、および前記マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームの抵抗Rは、
【数2】
という関係を満たし、
(R0,MR,Hsi,+αpi)は、前記プッシュ磁気抵抗感知ユニットの4つの重要な特性パラメータに対応する抵抗値を特徴付け、R(R0,MR,Hsi,-αpi)は、前記プル磁気抵抗感知ユニットの4つの重要な特性パラメータに対応する抵抗値を特徴付ける、請求項1に記載の磁気抵抗センサ。
【請求項4】
前記プッシュ・アームを構成する前記N個のタイプのプッシュ磁気抵抗感知ユニットは、ハイブリッドの直列並列方式で接続され、前記プル・アームを構成する前記N個のタイプのプル磁気抵抗感知ユニットは、ハイブリッドの直列並列方式で接続され、
前記プッシュ・アームの抵抗Rpush、前記プル・アームの抵抗Rpull、および前記マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームの抵抗Rは、
【数3】
という関係を満たし、
(R0,MR,Hsi,+αpi)は、前記プッシュ磁気抵抗感知ユニットの4つの重要な特性パラメータに対応する抵抗値を特徴付け、R(R0,MR,Hsi,-αpi)は、前記プル磁気抵抗感知ユニットの4つの重要な特性パラメータに対応する抵抗値を特徴付け、mは1以上およびN以下の整数である、請求項1に記載の磁気抵抗センサ。
【請求項5】
前記基板上に配置された磁気抵抗シャント抵抗器Rshをさらに備え、該磁気抵抗シャント抵抗器Rshは、前記マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームに接続され、前記磁気抵抗シャント抵抗器Rshの前記重要な特性パラメータは、[(R0sh,MRsh,Hssh,±αpsh),ash]であり、
少なくとも1つのセットの重要な特性パラメータ{[(R0sh,MRsh,Hssh,±αpsh),ash]および[(R0,MR,Hsi,±αpi),a]}があり、それにより、前記磁気抵抗シャント抵抗器Rshの前記R-H特性パラメータは、前記マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームにおける前記プッシュ磁気抵抗感知ユニットおよび前記プル磁気抵抗感知ユニットの前記R-H特性パラメータと重ね合わされる、請求項1に記載の磁気抵抗センサ。
【請求項6】
前記マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームの前記磁気抵抗感知ユニットの前記ピン止め層磁気モーメントの前記方向角は、0°~360°の値域を有する、請求項1に記載の磁気抵抗センサ。
【請求項7】
前記マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームの前記磁気抵抗感知ユニットの前記ゼロ磁場抵抗は、1KΩ~1000MΩの値域を有する、請求項1に記載の磁気抵抗センサ。
【請求項8】
前記マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームの前記磁気抵抗感知ユニットの前記自由層飽和磁場は、1~100Oeの値域を有する、請求項1に記載の磁気抵抗センサ。
【請求項9】
前記マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームの線形範囲と前記標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの前記線形範囲の比は、1よりも大きいおよび2以下である、請求項1に記載の磁気抵抗センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、磁気センサ技術に関し、詳細には、高調波的に広げられた線形範囲を有する磁気抵抗センサに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗感知ユニットは、自由層、ピン止め層、および中間絶縁層を含む。実際の使用において、プッシュ・プル線形トンネル磁気抵抗センサは、プッシュ磁気抵抗感知ユニットおよびプル磁気抵抗感知ユニットを含み、感知ユニットの自由層磁気モーメントとピン止め層磁気モーメントとの間の角度差anglePL-angleFLは、それぞれ90°と-90°の間であり、anglePLは、ピン止め層磁気モーメントの方向角αであり、angleFLは、自由層磁気モーメントの方向角αである。
【0003】
プッシュ・プル線形トンネル磁気抵抗センサの抵抗Rと外部磁場Hとの間の関係は、線形範囲[-HL,HL]内で対称的である磁気抵抗感知ユニットのゼロ磁場抵抗R0、磁気抵抗変化率MR、および自由層飽和磁場Hsによって説明することができる。
【0004】
既存のプッシュ・プル線形トンネル磁気抵抗センサの線形範囲は狭い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、プッシュ・プル線形トンネル磁気抵抗センサの線形範囲を改善するために高調波的に広げられた線形範囲を有する磁気抵抗センサを提供する。
【0006】
本開示の実施形態は、高調波的に広げられた線形範囲を有する磁気抵抗センサであって、
基板と、
基板上に配置され、プッシュ・アームおよびプル・アームを含むマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームであって、プッシュ・アームはN個のタイプのプッシュ磁気抵抗感知ユニットを含み、プル・アームはN個のタイプのプル磁気抵抗感知ユニットを含み、Nは1よりも大きい整数である、マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームと、を備えており、
各磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、ゼロ磁場抵抗R0、磁気抵抗変化率MR、自由層飽和磁場Hsi、ピン止め層磁気モーメントの方向角±αpi、および直列並列係数aを含み、プッシュ磁気抵抗感知ユニットは、ピン止め層磁気モーメントの方向角+αpiを有し、プル磁気抵抗感知ユニットは、ピン止め層磁気モーメントの方向角-αpiを有し、iは1からNまでの整数であり、プッシュ磁気抵抗感知ユニットおよび対応するプル磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの標準的な磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータとは異なり、
少なくとも1つのセットの重要な特性パラメータ[(R0,MR,Hsj,±αpj),a]があり、jは1以上およびN以下の整数である、磁気抵抗センサを提供する。プッシュ磁気抵抗感知ユニットおよび対応するプル磁気抵抗感知ユニットを特徴付けるR-H特性パラメータの線形部分および非線形高調波的部分は、重ね合わされ、それによってマルチプル・プッシュ・プッシュ磁気抵抗感知ブリッジの線形範囲は、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの線形範囲よりも大きく、標準的な磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R0,MR,Hss,±αps),a]、±αps=90°、a=1である。
【0007】
本開示の実施形態では、異なる重要な特性パラメータを有する2つ以上の磁気抵抗感知ユニットは、プッシュ・プル磁気抵抗センサ内に配置され、磁気抵抗感知ユニットは、直列、並列、またはハイブリッドの直列並列方式で接続され、それによって新しいマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサを構成する。マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサは、少なくとも1つのセットの重要な特性パラメータ[(R0,MR,Hsj,±αpj),a]を有する。プッシュ磁気抵抗感知ユニットおよび対応するプル磁気抵抗感知ユニットを特徴付けるR-H特性パラメータの線形部分および非線形高調波的部分は、重ね合わされ、それによってマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームの線形範囲は、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの線形範囲よりも大きく、したがって線形範囲が改善される。
【0008】
本開示の実施形態および先行技術の技術的解決策をより明確に説明するために、実施形態および先行技術を説明するのに必要な図面は、簡潔に導入される。明らかに添付の図面は、本開示の可能な実施形態の全てではなく、当業者にとっては、他の図面は、これらの図面に基づいて創作的な労力なしに得ることも得できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】外部磁場に沿った単一磁区磁気モーメントの磁化曲線図である。
図2】外部磁場に対しての磁気抵抗感知ユニットの磁気モーメントの配向図である。
図3】プッシュ・プル磁気抵抗センサの電気接続図である。
図4a】プッシュ磁気抵抗感知ユニットの磁気モーメントの配向図である。
図4b】プル磁気抵抗感知ユニットの磁気モーメントの配向図である。
図5】標準的なプッシュ・プルTMRリニア磁気抵抗センサの特性曲線図である。
図6】ピン止め層の方向角と共に変化する磁気抵抗感知ユニットの関係図である。
図7】マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの断面図である。
図8】マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの電気接続図である。
図9】外部磁場と共に変化する標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサおよびマルチプル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの感度の関係曲線図である。
図10】外部磁場と共に変化する標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサとマルチプル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサとの間の感度差の関係曲線図である。
図11】外部磁場と共に変化する標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサとマルチプル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサとの間の感度差の関係曲線図である。
図12】外部磁場と共に変化する標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサおよびマルチプル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの感度の関係曲線図である。
図13】シャント抵抗器を有するマルチプル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの電気接続図である。
図14】シャント抵抗器を有するマルチプル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの電気接続図である。
図15】外部磁場と共に変化するシャント抵抗器を有するマルチプル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの磁気抵抗感知ユニットの抵抗の関係曲線図である。
図16】外部磁場と共に変化する標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサおよびシャント抵抗器を有するマルチプル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの感度の関係曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示のyhr目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、本開示の技術的解決策は、実施形態によって、および本開示の実施形態における図面を参照して、以下に詳細に説明される。明らかなことに、説明された実施形態は、本開示の可能な実施形態のほんの一部であり、全てではない。本開示の実施形態に基づいて、発明的作業を何ら伴うことなく、当業者によって得られる全ての他の実施形態は、本開示の範囲内である。
【0011】
本開示の一実施形態は、高調波的に広げられた線形範囲を有する磁気抵抗センサを提供する。適宜、磁気抵抗センサは、トンネル磁気抵抗技術に基づくプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサである。本実施形態により与えられる磁気抵抗センサは、基板と、この基板上に配置されたマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームとを含む。マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームは、プッシュ・アームおよびプル・アームを含む。プッシュ・アームは、N個のタイプのプッシュ磁気抵抗感知ユニットを含み、プル・アームは、N個のタイプのプル磁気抵抗感知ユニットを含み、Nは1よりも大きい整数である。各磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、ゼロ磁場抵抗R0、磁気抵抗変化率MR、自由層飽和磁場Hsi、ピン止め層磁気モーメントの方向角±αpi、おおよび直列並列係数aを含み、プッシュ磁気抵抗感知ユニットは、ピン止め層磁気モーメントの方向角+αpiを有し、プル磁気抵抗感知ユニットは、ピン止め層磁気モーメントの方向角-αpiを有し、iは1からNまでの整数である。プッシュ磁気抵抗感知ユニットおよび対応するプル磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの標準的な磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータとは異なる。少なくとも1つのセットの重要な特性パラメータ[(R0,MR,Hsj,±αpj),a]があり、jは1以上およびN以下の整数である。プッシュ磁気抵抗感知ユニットおよび対応するプル磁気抵抗感知ユニットを特徴付けるR-H特性パラメータの線形部分および非線形高調波的部分は、重ね合わされ、それによってマルチプル・プッシュ・プッシュ磁気抵抗感知ブリッジの線形範囲は、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの線形範囲よりも大きく、標準的な磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R0,MR,Hss,±αps),a]、±αps=90°、およびa=1である。高調波的に広げられた線形範囲を有する磁気抵抗センサは、トンネル磁気抵抗技術を利用するプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサである。
【0012】
本実施形態では、プッシュ・アームは、N個のタイプのプッシュ磁気抵抗感知ユニットを含み、i番目のプッシュ磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R0,MR,Hs,+αpi),a]である。プル・アームは、N個のタイプのプル磁気抵抗感知ユニットを含み、i番目のプル磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R0,MR,Hs,-αpi),a]である。プッシュ・アームおよびプル・アームのN個のタイプの磁気抵抗感知ユニットの接続のやり方は、正確に同じである。
【0013】
標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサは、標準的なプッシュ磁気抵抗感知ユニットおよび標準的なプル磁気抵抗感知ユニットを含む。標準的なプッシュ磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R0,MR,Hss,+αps),a]であり、標準的なプル磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R0,MR,Hss,-αps),a]であり、αps=90°、a=1であり、および磁場の線形範囲は[-HLs,HLs]である。
【0014】
本実施形態では、高調波的に広げられた線形範囲を有する磁気抵抗センサの磁気抵抗感知ユニットには、少なくとも1つのプッシュ磁気抵抗感知ユニット、および対応するプル磁気抵抗感知ユニットがあり、磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータ[(R0,MR,Hsj,±αpj),a]は、標準的なプッシュ/プル磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータ[(R0,MR,Hss,±αps),a]とは異なり、ここで説明される差異は、プッシュ磁気抵抗感知ユニットの5つの重要な特性パラメータのうちの少なくとも1つに差異があることを指す。例えば、高調波的に広げられた線形範囲を有する磁気抵抗センサに少なくとも1つのプッシュ磁気抵抗感知ユニットがあり、プッシュ磁気抵抗感知ユニットのピン止め層磁気モーメントの方向角は、90°に等しくなく、一方、標準的なプッシュ磁気抵抗感知ユニットのピン止め層磁気モーメントの方向角は、90°で一定である。
【0015】
マルチプル・プッシュ・プルTMRブリッジ・アーム・リニア・センサについては、プッシュ磁気抵抗感知ユニットおよび対応するプル磁気抵抗感知ユニットを特徴付けるR-H特性パラメータの線形部分および非線形高調波的部分は、重ね合わされ、それによってマルチプル・プッシュ・プルTMRブリッジ・アーム・リニア・センサ・ブリッジの線形範囲は、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの線形範囲よりも大きい。したがって、本開示によって与えられるマルチプル・プッシュ・プルTMRブリッジ・アーム・リニア・センサの線形範囲は、[-HL,HL]であり、[-HL,HL]は、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの線形範囲[-HLs],HLs]を包含する。本開示によって与えられるマルチプル・プッシュ・プルTMRブリッジ・アーム・リニア・センサは、利得係数Q=HL/HLsを有し、Qは、1よりも大きい数字である。
【0016】
適宜、マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームの磁気抵抗感知ユニットのピン止め層磁気モーメントの方向角は、0°~360°の値域を有し、磁気抵抗感知ユニットのピン止め層磁気モーメントの方向角は、レーザ・アニーリングによって達成され、その値域は0°~360°である。
【0017】
適宜、マルチプル・プッシュ・プッシュ磁気抵抗ブリッジ・アーム・センサの磁気抵抗感知ユニットのゼロ磁場抵抗は、1KΩ~1000MΩの値域を有し、ゼロ磁場抵抗のパラメータは、磁気抵抗感知ユニットの面積を設定することによって達成され、その値域は、1Kオーム~1000Mオームである。
【0018】
適宜、マルチプル・プッシュ・プッシュ磁気抵抗ブリッジ・アーム・センサの磁気抵抗感知ユニットの自由層飽和磁場は、1~100Oeの値域を有し、自由層飽和磁場のパラメータは、恒常的なバイアス磁場または磁気抵抗感知ユニットの長さと幅の比を設定することによってまたは交換結合層の交換バイアス磁場を設定することによって設定され、その値域は、1~100Oeである。
【0019】
適宜、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの線形範囲に対してのマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗ブリッジ・アーム・センサの線形範囲の比は、1よりも大きくおよび2以下であり、すなわち、マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗ブリッジ・アーム・リニアTMRセンサは、利得係数Q=HL/HLsを有し、Qは、1よりも大きくおよび2以下であり、マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗ブリッジ・アーム・センサの線形範囲HLと標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの線形範囲の比Qは、1よりも大きいおよび2以下である。
【0020】
マルチプル・プッシュ・プル・アームTMRリニア磁気抵抗センサの感度はS=V/Vccであり、Vccは電源電圧信号であり、Vは出力電圧信号であり、S対Hは、線形磁場区間[-HL,HL]内でSと外部磁場Hとの間の線形関係を特徴付け、磁場区間H>HLまたはH<-HLにおいて、Sと外部磁場Hとの間の関係は非線形であり、具体的には、外部磁場Hを含む二次高調波またはより高次高調波の非線形関係であることを特徴付ける。明らかなことには、マルチプル・プッシュ・プル・アームTMRリニア磁気抵抗センサの線形範囲は、非線形区間内の二次高調波の項またはより高次高調波の項が補償され得る場合に、拡張される。
【0021】
マルチプル・プッシュ・プル・ブリッジ・アームTMRリニア磁気抵抗センサにおいて、磁気抵抗感知ユニットの磁気抵抗R対H特性パラメータは、anglePL-angleFL=90°および-90°で良好な線形性を有し、高調波の項またはより高次の高調波の項などのその非線形の項は、0°または180°などの他の角度での異なる角度値に従って異なるR対H非線形特性を示す。本開示では、異なる線形の項または非線形の項を有する磁気抵抗感知ユニット間の並列または直列接続によって、非線形の項間の補償が、実現され得、それによってN個のタイプのプッシュ磁気抵抗感知ユニットおよびプル磁気抵抗感知ユニットを特徴付ける磁気抵抗R-外部磁場Hの特性パラメータの線形部分および非線形高調波的部分は、重ね合わされ、マルチプル・プッシュ・プッシュTMRリニア磁気抵抗センサの線形範囲HLは、標準的なプッシュ・プルTMRリニア磁気抵抗センサの線形範囲HLsに対して改善され、したがって、より高い線形範囲を有するプッシュ・プルTMRリニア磁気抵抗センサが得られる。
【0022】
特定のプロセスは、以下の通りである。
【0023】
図1を参照すると、磁気抵抗感知ユニットの自由層磁気モーメントと外部磁場の間の座標関係の図が示されており、垂直座標M/Msは自由層磁気モーメントであり、水平座標H/Hsは磁気抵抗感知ユニットに適用される外部磁場である。単一磁区磁気抵抗感知ユニットにおいて、磁気モーメントMと外部磁場Hの間の関係式M(H)は、以下のように表される。
M=Ms・tanh(H/Hs) (1)
【0024】
図1と数式(1)を組み合わせると、外部磁場H/Hsが0に近い範囲内、例えば、区間[-1,+1]で、自由層磁気モーメントM/Msおよび外部磁場H/Hsは、線形関係とみなすことができ、外部磁場H/Hsが1に近い範囲内、例えば、区間[+1,+3]または[-3,-1]で、自由層磁気モーメントM/Msおよび外部磁場H/Hsは、非線形遷移部であり、外部磁場H/Hsのより大きい範囲内、例えば、区間[-5,-3]または[+3,+5]で、自由層磁気モーメントM/Msは、約1であり得ることが理解できる。
【0025】
図2を参照すると、磁気抵抗感知ユニットの磁気モーメントMと外部磁場Hの間の配向関係図が示されており、X方向は、ゼロ磁場における自由層の磁化方向を特徴付け、Y方向は、外部磁場Hの方向を表す。磁気抵抗感知ユニットの抵抗Rは、以下のように表される。
【数1】
ただし、αは、外部磁場Hの作用の下でのX軸に対しての磁気抵抗感知ユニットの自由層磁気モーメントの方向角であり、αは、X軸に対しての磁気抵抗感知ユニットのピン止め層磁気モーメントの方向角であり、α-αは、自由層磁気モーメントとピン止め層磁気モーメントとの間に含まれた角度であり、R0は、最小磁場(ゼロ磁場)における磁気抵抗感知ユニットの抵抗値、すなわち、α-α=180°のときの抵抗値であり、MRは、磁気抵抗感知ユニットのインピーダンス変化率、すなわち、磁気抵抗変化率であり、ピン止め層磁気モーメントの方向角αは、一定であり、自由層磁気モーメントの方向角αは、外部磁場Hと共に変化する。
【0026】
図3を参照すると、プッシュ・プル磁気抵抗センサの構造図が示されている。プッシュ・プル・フル・ブリッジ構造を有する磁気抵抗センサについては、プッシュ・アームの抵抗はRpushであり、プル・アームの抵抗はRpullであり、そのとき、信号感度S=V/Vccは、出力端における信号電圧Vに対応し、電源の両端における電圧Vccは、
S=(Rpush-Rpull)/(Rpush+Rpull)) (3)

に変換することができる。
【0027】
外部磁場Hの作用の下で、自由層は、磁場Hがxであるように正規化され、磁気モーメントMがMxであるように正規化することができる。外部磁場Hの作用の下でX軸に対しての磁気抵抗感知ユニットの自由層磁気モーメントの方向角がαであることが知られており、したがって、正規化された磁場Hおよび正規化された磁気モーメントMは、以下のように表される。

x=H/H (4)

=M/M (5)
【0028】
数式(1)、(4)、および(5)を組み合わせると、M=tanh(x)(1-1)を得ることができる。
【0029】
置換および計算によって、自由層磁気モーメントの方向角αは、以下のように得ることができる。
【数2】
【0030】
図4aを参照すると、図4aは、プッシュ磁気抵抗感知ユニットに対応する磁気モーメントの向きおよび磁場の向きの概略図を示しており、図4bを参照すると、図4bは、プル磁気抵抗感知ユニットに対応する磁気モーメントの向き、磁場の向きの概略図を示し、プッシュ磁気抵抗感知ユニットのピン止め層の方向角はαpiであり、プル磁気抵抗感知ユニットのピン止め層の方向角は-αpiである。磁気抵抗感知ユニットのピン止め層の方向角は一定であり、具体的には、プッシュ磁気抵抗感知ユニットのピン止め層の方向角は、プル磁気抵抗感知ユニットのピン止め層のものとは異なるが、2つの方向角の絶対値は、同じである。
【0031】
通常の標準的なプッシュ・プルTMRリニア磁気抵抗センサでは、標準的なプッシュ磁気抵抗感知ユニットのピン止め層の方向角は90°であり、標準的なプル磁気抵抗感知ユニットのピン止め層の方向角は-90°である。標準的なプッシュ磁気抵抗感知ユニットおよび標準的なプル磁気抵抗感知ユニットの自由層飽和磁場Hssは異なる値を取り得るが、標準的なプッシュ磁気抵抗感知ユニットの抵抗R対H/Hsの特徴曲線、および標準的なプル磁気抵抗感知ユニットの抵抗R対H/Hsの特徴曲線は、図5に示された同じ曲線である。プッシュ・プルTMRリニア磁気抵抗センサにおいて、磁気抵抗感知ユニットの自由層飽和磁場Hsは、R対H/Hs特徴曲線に影響を与えず、磁気抵抗感知ユニットのピン止め層の方向角は、R対H/Hs特徴曲線に影響を与え得ることが理解できる。
【0032】
図6を参照すると、異なるピン止め層方向角に対応するR対H/Hs特徴曲線が示されている。磁気抵抗感知ユニットのピン止め層の方向角が90°であるとき、磁気抵抗感知ユニットは、最高の線形性および最大の線形区間を有することが理解できる。したがって、トンネル磁気抵抗技術に基づくシングル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサについては、ゼロ磁場抵抗R0、磁気抵抗変化率MR、および自由層飽和磁場Hsが決定されるとき、磁気抵抗センサの線形範囲[-HL,HL]は一定である。例えば、[-HL,HL]は[-3,3]である。
【0033】
磁気抵抗感知ユニットのピン止め層の方向角が0°、10°、20°、・・・、180°など、90°ではないときに、磁気抵抗感知ユニットのR対H/Hs特徴曲線は、区間[-HL,HL]内に非線形段階を有し、ピン止め層の方向角が90°から逸脱するにつれて、区間[-HL,HL]内でR対H/Hs特徴曲線の非線形段階と線形段階の比は徐々に増大することも図6から理解することができる。
【0034】
要するに、異なる重要な特性パラメータを有する2つ以上の磁気抵抗感知ユニットが、プッシュ・プルTMRリニア磁気抵抗センサに配置され、磁気抵抗感知ユニットは、新しいプッシュ・プルTMRリニア磁気抵抗センサを構成するように直列、並列、またはハイブリッドの直列並列方式で接続され、新しいプッシュ・プルTMRリニア磁気抵抗センサは、各磁気抵抗感知ユニットのR対H特性パラメータの非線形部分を補償することができ、最終的に、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの線形範囲HLsに対して、感度S対Hによって定められる線形範囲HLを大いに改善するものであり、ただし、異なる重要な特性パラメータは、異なるピン止め層方向角、異なる自由層飽和磁場Hs、および異なるゼロ磁場抵抗R0のうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
図7を参照すると、本開示の本実施形態により与えられる高調波幅拡張式TMRセンサの断面図が示されている。マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサは、基板100と、この基板100に配置されたプッシュ・プル磁気抵抗センサ90を含む。
【0036】
図8を参照すると、図7のマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの電気接続図が示されている。マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサは、プッシュ・アーム91およびプル・アーム92を含む。プッシュ・アーム91は、N個のタイプのプッシュ磁気抵抗感知ユニット94を含み、i番目のプッシュ磁気抵抗感知ユニット94の重要な特性パラメータは、[(R0,MR,Hsi,+αpi),a]である。プル・アーム92は、N個のタイプのプル磁気抵抗感知ユニットを含み、i番目のプル磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R0,MR,Hsi,-αpi),a]である。磁気抵抗感知ユニットの直列並列接続関係93は、直列並列係数aによって特徴付けられる。磁気抵抗感知ユニットのピン止め層磁気モーメントの向きは、95によって示されている。プッシュ・アーム91およびプル・アーム92のN個のタイプの磁気抵抗感知ユニットの接続のやり方は、正確に同じである。N個のタイプの磁気抵抗感知ユニットは、プッシュ・アームおよびプル・アームを形成するように直列、並列、またはハイブリッドの直列並列方式で接続することができる。
【0037】
いずれの標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサについても、プッシュ磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R,MR,Hss,+αps=90°),a]であり、プル磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R,MR,Hss,-αps=-90°),a]であり、線形範囲は、[-HLs,HLs]である。
【0038】
図8に示されたマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサには、少なくとも1つのセットのプッシュ磁気抵抗感知ユニットおよび対応するプル磁気抵抗感知ユニットがあり、磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの重要な特性パラメータとは異なっており、したがって、本実施形態により与えられるマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサは、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサよりも高い線形範囲[-HL,HL]を有するとともに、利得係数Q=HL/HLsを有し、Qは1よりも大きい数字である。
【0039】
表1は、外部磁場Hと共に変化する図8に示された標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサおよびN=2マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの重要な特性パラメータH、α、感度S=V/Vcc、感度差S-Ssの曲線値を挙げており、N=2マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサのプッシュ・アームおよびプル・アームのN個のタイプの磁気抵抗感知ユニットは、全て並列に接続されている。表1の各パラメータのユニットは、図示されていない。
【0040】
【表1】
【0041】
A,標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサ:
【0042】
表1に示されるように、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサにおいて、標準的な磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R0,MR,Hss,±αps),a]であり、標準的なプッシュ磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(500*e3,200,10Oe,90°),1]であるように選択され、標準的なプル磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(500*e3,200,10Oe,-90°),1]であるように選択され、基準対象として働くようになっており、プッシュ・アームの抵抗Rpushsおよびプル・アームの抵抗Rpullsの数式は、以下のように表される。
pushs=R(500e3,200,90°,10,1) (7)
pulls=R(500e3,200,-90°,10,1) (8)
【0043】
外部磁場Hの作用の下でのプッシュ・アームの抵抗Rpushsおよびプル・アームの抵抗Rpullsは、
【数3】
といったように表すことができ、
ただし、αfsは、標準的な磁気抵抗感知ユニットの自由層磁気モーメントの方向角である。
【0044】
標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの感度は、以下のように表すことができる。

=(Rpushs-Rpulls)/(Rpushs+Rpulls) (11)
【0045】
Hの値は、[-16Oe,16Oe]のようにより幅広い範囲にあることができ、100個のデータ点のH(k=1~100)が選択され、以下の一次関数
S=a・H (12)
が用いられる。
【0046】
S対H曲線は、これに基づいてフィットされ、HLsは、
|S-S|<0.1・S (13)
という閾値を設定することによって計算される。
【0047】
計算結果は、HLsが8.5にほぼ等しいこと、すなわち、線形範囲が[-8.5,+8.5]Oeであることを示す。
【0048】
B,N=2マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサ:
【0049】
N個のプッシュ・プル磁気抵抗センサがN個のタイプの磁気抵抗感知ユニットを含むと仮定すると、N個のプッシュ・プル磁気抵抗センサのプッシュ磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R0,MR=200,Hsi,+αpi),a=1]であり、N個のプッシュ・プル磁気抵抗センサのプル磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R0,MR=200,Hsi,-αpi),a=1]、i=1,・・・,Nである。
【0050】
B1,N個のタイプの磁気抵抗感知ユニットが直列に接続されるとき、プッシュ・アームの抵抗Rpush、およびプル・アームの抵抗Rpullは、以下のように表すことができる。
【数4】
【0051】
B2,N個のタイプの磁気抵抗感知ユニットが直列並列方式で接続されるとき、プッシュ・アームの抵抗Rpushおよびプル・アームの抵抗Rpullは、以下のように表すことができる。
【数5】
【0052】
加えて、ブリッジ・アーム抵抗Rは、ピン止め層の方向角磁気モーメントおよび磁気抵抗感知ユニットの自由層の飽和磁場の関数であるだけでなく、磁気抵抗変化率およびゼロ磁場抵抗R0の関数でもあり、すなわち、
【数6】
である。
【0053】
B3,N個のタイプの磁気抵抗感知ユニットが並列に接続されるとき、プッシュ・アームの抵抗Rpush、およびプル・アームの抵抗Rpullは、以下のように表すことができる。
【数7】
【0054】
加えて、ブリッジ・アーム抵抗Rは、ピン止め層の方向角磁気モーメントおよび磁気抵抗感知ユニットの自由層の飽和磁場の関数であるだけでなく、磁気抵抗変化率およびゼロ磁場抵抗R0の関数でもあり、すなわち、
【数8】
である。
【0055】
表1は、条件B3に対応するN=2並列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの重要な特性パラメータを挙げており、プッシュ磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、それぞれ、
[(R0=500e3,MR0=200,Hs1=15,30,+αp1=116.2°),a=0.9824]、
[(R0=500e3,MR0=200,Hs2=9.61,+αp2=115.4°),a=0,0176]であり、
プル磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、それぞれ、
[(R0=500e3,MR0=200,Hs1=15,30,-αp1=116.2°),a=0.9824]、
[(R0=500e3,MR0=200,Hs2=9.61,-αp2=115.4°),a=0,0176]である。
【0056】
計算によって、磁場の線形範囲は[-10.4,+10.4]Oeであり、磁場の利得係数は、Q=10.4/8.5=1.22である。明らかに、B3に示された線形範囲は、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサに対して改善されている。
【0057】
図8に示されたマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサに基づいて、適宜、プッシュ・アームを構成するN個のタイプのプッシュ磁気抵抗感知ユニットは、並列に接続され、プル・アームを構成するN個のタイプのプル磁気抵抗感知ユニットは、並列に接続される。プッシュ・アームの抵抗Rpush、プル・アームの抵抗Rpull、およびマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームの抵抗Rは、
【数9】
という関係を満たす。
(R0,MR,Hs,+αpi)は、プッシュ磁気抵抗感知ユニットの4つの重要な特性パラメータに対応する抵抗値を特徴付け、R(R0,MR,HsSi,-αpi)は、プル磁気抵抗感知ユニットの4つの重要な特性パラメータに対応する抵抗値を特徴付ける。
【0058】
図9を参照すると、より幅広い磁場範囲[-16,+16]Oe内の標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサおよびN=2並列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの感度S対Hの関係曲線が示されている。標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの感度S対Hの関係曲線、およびN=2並列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの感度S対Hの関係曲線は、Hが0に近い中央部分で重ね合わされ、2つの端でより大きい差異を有することが理解できる。
【0059】
図10は、フィットされた直線を用いて曲線感度を比較する相対誤差(S-a*H)/a*H*100%対H曲線である。標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの曲線およびN=2並列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの曲線が、プラスまたはマイナス10%の上限範囲および下限範囲内であることが理解できる。N=2並列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの曲線は、より大きい線形磁場範囲を有する。
【0060】
図8に示されたマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサに基づいて、適宜、プッシュ・アームを構成するN個のタイプのプッシュ磁気抵抗感知ユニットは、直列に接続され、プル・アームを構成するN個のタイプのプル磁気抵抗感知ユニットは、直列に接続される。
【0061】
プッシュ・アームの抵抗Rpush、プル・アームの抵抗Rpull、およびマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームの抵抗Rは、
【数10】
といった関係を満たし、
ただし、R(R0,MR,Hs,+αpi)は、プッシュ磁気抵抗感知ユニットの4つの重要な特性パラメータに対応する抵抗値を特徴付け、R(R0,MR,Hs,-αpi)は、プル磁気抵抗感知ユニットの4つの重要な特性パラメータに対応する抵抗値を特徴付ける。
【0062】
表2は、外部磁場Hと共に変化する図8に示された標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサおよびN=2マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの重要な特性パラメータHs、α、感度S=V/Vcc、および感度差S-Ssの曲線値を挙げており、N=2マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサのプッシュ・アームおよびプル・アームのN個のタイプの磁気抵抗感知ユニットは、全て並列または直列に接続されている。表2の各パラメータの単位は、示されていない。
【0063】
【表2】
【0064】
表2は、N=2並列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサおよび標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの1セットの重要な特性パラメータを与えており、N=2並列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサにおいて、プッシュ磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、それぞれ、
[(R0=500e3,MR0=200,Hs=3,37,+αp1=90°),a=1]、
[(R0=500e3,MR0=200,Hs=4.45,+αp2=180°),a=1]、であり、
プル磁気抵抗感知ユニットの重要なパラメータは、それぞれ、
[(R0=500e3,MR0=200,Hs1=3,37,-αp1=-90°),a=1]、
[(R0=500e3,MR0=200,Hs2=4.45,-αp2=-180°),a=1]である。
【0065】
比較のために、表2は、N=2直列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの重要な特性パラメータをさらに挙げており、プッシュ磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、それぞれ、
[(R0=500e3,MR0=200,Hs1=5,+αp1=90°),a=1]、
[(R0=500e3,MR0=200,Hs2=50,+αp2=90°),a=1]、であり、
プル磁気抵抗感知ユニットの重要なパラメータは、それぞれ、
[(R0=500e3,MR0=200,Hs1=5,-αp1=-90°),a=1]、
[(R0=500e3,MR0=200,Hs2=50,-αp2=-90°),a=1]である。
【0066】
図11は、標準的なN=2直列およびN=2並列プッシュ・プル磁気抵抗センサの感度差S-a*H対H曲線を示す。N=2並列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの異なる曲線は、感度差の0の値の近くでより幅広い磁場範囲を示すことが理解できる。
【0067】
図12は、標準的なN=2直列およびN=2並列プッシュ・プル磁気抵抗センサの感度S対H曲線を示す。小さい磁場範囲[-3,3]Oe内で、N=2並列およびN=2直列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサは、ほぼ同じ曲線を有することが理解できる。標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの感度は、S=0.049993であり、N=2並列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの感度は、0.049456であり、N=2直列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの感度は、0.054993であることが表2から理解できる。誤差値S-a*Hについては、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの誤差値S-a*Hは、-0.00505であり、N=2並列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの誤差値S-a*Hは、2.81E-05であり、N=2直列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの誤差値S-a*Hは、-0.00701である。したがって、小さい磁場範囲では、並列マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサの誤差は、より小さく、これは、図10の結果とも一致する。
【0068】
これに基づいて、さらに適宜、プッシュ・アームを構成するN個のタイプのプッシュ磁気抵抗感知ユニットが、ハイブリッドの直列並列方式で接続され、プル・アームを構成するN個のタイプのプル磁気抵抗感知ユニットが、ハイブリッドの直列並列方式で接続される。
【0069】
プッシュ・アームの抵抗Rpush、プル・アームの抵抗Rpull、およびマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームの抵抗Rは、
【数11】
といった関係を満たし、
ただし、R(R0,MR,Hs,+αpi)は、プッシュ磁気抵抗感知ユニットの4つの重要な特性パラメータに対応する抵抗値を特徴付け、R(R0,MR,Hs,-αpi)は、プル磁気抵抗感知ユニットの4つの重要な特性パラメータに対応する抵抗値を特徴付け、mは1以上およびN以下の整数である。ハイブリッドの直列並列接続方式を採用するマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサは、必要な線形磁場範囲を得ることができる。
【0070】
例示的に、適宜、磁気抵抗センサは、基板上に配置される磁気抵抗シャント抵抗器Rshをさらに含み、磁気抵抗シャント抵抗器Rshは、マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームに接続され、磁気抵抗シャント抵抗器Rshの重要な特性パラメータは、[(R0sh,MRsh,Hssh,αpsh),ash]である。少なくとも1つのセットの重要な特性パラメータ{[(R0sh,MRsh,Hssh,αpsh),ash]および[(R0,MR,Hsi,±αpi),a]}があり、磁気抵抗シャント抵抗器RshのR-H特性パラメータが、プッシュ磁気抵抗感知ユニットのR-H特性パラメータおよびマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームのプル磁気抵抗感知ユニットと重ね合わされるようになっている。
【0071】
本実施形態により与えられるマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサでは、磁気抵抗シャント抵抗器Rshuntが導入され、したがって、磁気抵抗シャント抵抗器Rshuntは、マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームと直列に接続され、磁場のより高い線形範囲を有するマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサは、磁場と共にRshuntの変化曲線によって得ることができる。具体的には、磁気抵抗感知ユニットの磁気抵抗シャント抵抗器RshのR-H特性パラメータは、マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームにおいてプッシュ磁気抵抗感知ユニットおよびプル磁気抵抗感知ユニットのR-H特性パラメータと重ね合わされ、それによって磁気抵抗シャント抵抗器を含むマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームの線形範囲は、標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの線形範囲よりも大きい。
【0072】
図13は、磁気抵抗シャント抵抗器Rshuntを有するマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサ100の電気接続図である。マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサ100は、リニア・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ110を含み、リニア・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ110は、標準的なプッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームまたはマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームとすることができ、磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R0,MR,Hsi,±αpi),a]であり、i=1:Nである。マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサ100は、リニア・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ110に接続された磁気抵抗シャント抵抗器Rshunt120をさらに備え、磁気抵抗シャント抵抗器Rshunt120の重要な特性パラメータは、[(R0sh,MRsh,Hssh,αpsh),ash]であり、Rshuntを示す係数ashは、R0sh間で直列、並列、または直列並列接続方式を特徴付けることができる。
【0073】
したがって、マルチプル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサ100の感度は、以下のように表すことができる。
【数12】
【0074】
図14は、磁気抵抗シャント抵抗器Rshuntを有するマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサ200の電気接続図である。マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサ200は、リニア・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ210を含み、リニア・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ210は、標準的なまたはマルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ・アームとすることができ、磁気抵抗感知ユニットの重要な特性パラメータは、[(R0,MR,Hsi,±αpi),a]である。マルチプル・プッシュ・プル磁気抵抗センサ200は、リニア・プッシュ・プル磁気抵抗感知ブリッジ210に接続されたプッシュ・シャント抵抗器Rshunt220をさらに含み、プッシュ・シャント抵抗器Rshunt220の重要な特性パラメータは、[(R0sh,MRsh,Hssh,+αpsh),ash]であり、プル・シャント抵抗器Rshunt230をさらに含み、プル・シャント抵抗器Rshunt230の重要な特性パラメータは、[(R0sh,MRsh,Hssh,-αpsh),ash]である。
【0075】
したがって、マルチプル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサ200の感度は、以下のように表すことができる。
【数13】
【0076】
表3は、磁気抵抗シャント抵抗器を有するマルチプル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサ、および標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの重要なパラメータを比較する。
【0077】
【表3】
【0078】
標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサについては、その標準的なプッシュ磁気抵抗感知ユニットおよび標準的なプル磁気抵抗感知ユニットの重要なパラメータは、それぞれ、
[(R0=10e3,MR=200,Hs=10,+α=+90),a1=1]、
[(R0=10e3,MR=200,Hs=10,-α=-90),a1=1]であり、
磁気抵抗シャント抵抗器Rshuntがあり、磁気抵抗シャント抵抗器の重要な特性パラメータは、
[(R0sh=2e3,MRsh=200,Hssh=10,anglePLsh=180),a=1]、であり、
それに接続されたN=1プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサがあり、N=1プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサのプッシュ磁気抵抗感知ユニットおよびプル磁気抵抗感知ユニットの重要なパラメータは、それぞれ、
[(R0=8e3,MR=200,H=7.9,+α=+90),a=1]、
[(R0=8e3,MR=200,H=7.9,-α=-90),a=1]である。
【0079】
図15は、プッシュ磁気抵抗感知ユニット、プル磁気抵抗感知ユニット、および磁気抵抗シャント抵抗器の磁場特性曲線を示す。磁気抵抗シャント抵抗器は、対称的な曲線特性を有し、これは、プッシュ磁気抵抗感知ユニットおよびプル磁気抵抗感知ユニットにそれぞれ相補的であることが理解できる。
【0080】
図16は、シャント抵抗器を有する標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサおよびマルチプル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサの感度S対外部磁場H曲線特性を示す。標準的なプッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサに対して、シャント抵抗器を有するマルチプル・プッシュ・プル・リニア磁気抵抗センサは、より広い線形範囲を有することが理解できる。
【0081】
上記のものは、本開示の好ましい実施形態、および適用された技術的原理にすぎないことに留意されたい。当業者は、本開示は、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されず、様々な明白な変更、再調整、相互的なコンビネーション、および置換が、本開示の範囲から逸脱することなく当業者によってなされてもよいことを理解されよう。したがって、本開示は、上記実施形態によって詳細に説明されてきたが、本開示は、上記実施形態に限定されず、本開示の概念から逸脱することなく他の均等な実施形態を含むこともできる。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲の記載範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】