(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】最終価格算定部を有する土地時価推定システム及び推定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20230227BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567024
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 KR2021005061
(87)【国際公開番号】W WO2021230522
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0057689
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522271764
【氏名又は名称】コリア リアル エステート ボード
【氏名又は名称原語表記】KOREA REAL ESTATE BOARD
【住所又は居所原語表記】(Sinseo-dong) 291,Innovalley-ro,Dong-gu,Daegu 41068,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジェ ムン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ギュ ヒョン
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】
コンピュータを含む演算処理手段によって実行されるプログラム形態からなり、対象土地の時価を推定するシステムであって、公示価格情報、市場価格情報、及び土地特性情報を収集して保存するデータベース部(100)と、前記データベース部(100)の各情報から特性不一致事例及び価格異常値事例を除去する価格情報整備部(200)と、前記価格情報整備部(200)で整備された情報を用いて類似価格圏を生成する類似価格圏生成部(300)と、前記類似価格圏生成部300で生成された情報から対象土地の類似事例を抽出する類似事例抽出部(400)と、前記類似事例抽出部(400)で抽出された類似事例から対象土地の価格を推定する最終価格算定部(500)とを含み、前記最終価格算定部(500)は、抽出された事例価格と時点修正された公示地価とを比較して現実化率を算出した後、当該現実化率で対象土地の公示地価を割って事例別試算価格を算出する現実化率方式試算価格算出部(510)と、抽出された事例の価格に対象土地と事例との物的特性差による価格差の比である批准率を適用して事例別試算価格を算出する批准率方式試算価格算出部(520)とを含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ含む演算処理手段によって実行されるプログラム形態からなり、対象土地の時価を推定するシステムであって、
公示価格情報、市場価格情報及び土地特性情報を収集して保存するデータベース部と、
前記データベース部の各情報から特性不一致事例及び価格異常値事例を除去する価格情報整備部と、
前記価格情報整備部で整備された情報を用いて類似価格圏を生成する類似価格圏生成部と、
前記類似価格圏生成部で生成された情報から対象土地の類似事例を抽出する類似事例抽出部と、
前記類似事例抽出部で抽出された類似事例から対象土地の価格を推定する最終価格算定部とを含み、
前記最終価格算定部は、
抽出された事例価格と時点修正された公示地価とを比較して現実化率を算出した後、当該現実化率で対象土地の公示地価を割って事例別試算価格を算出する現実化率方式試算価格算出部と、
抽出された事例の価格に対象土地と事例との物的特性差による価格差の比である批准率を適用して事例別試算価格を算出する批准率方式試算価格算出部とを含む
ことを特徴とする最終価格算定部を有する土地時価推定システム。
【請求項2】
前記現実化率方式試算価格算出部は、事例別試算価格を、次式:
【数1】
(ここで、dist
1及びdist
5は対象土地と1番事例及び5番事例との間の直線距離であり、price
1及びprice
5は1番事例及び5番事例の‘事例別試算価格’である)
のように、対象土地との距離の逆数で加重平均して最終試算価格を算出する
請求項1に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定システム。
【請求項3】
前記最終価格算定部は、現実化率方式最終試算価格の期設定の範囲内に批准率方式最終試算価格が含まれれば、現実化率方式最終試算価格を最終算定価格に選定し、現実化率方式最終試算価格の期設定の範囲内に批准率方式最終試算価格が含まれなければ、現実化率方式最終試算価格と批准率方式最終試算価格を算術平均して最終価格を算定する価格決定部を含む
請求項2に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定システム。
【請求項4】
前記最終価格算定部は、最終抽出された事例の件数が既設定の範囲に相当すれば、良好、普通、及び不十分の中で一つの信頼等級を付与する信頼等級付与部を含む
請求項1に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定システム。
【請求項5】
前記信頼等級付与部は、前記価格決定部が現実化率方式最終試算価格と批准率方式最終試算価格を算術平均して最終価格を算定すれば、信頼等級を一等級下げて付与する
請求項4に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定システム。
【請求項6】
前記データベース部の公示価格情報は、標準地公示地価と、個別公示地価とを含む
請求項1に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定システム。
【請求項7】
前記データベース部の市場価格情報は、用途地域情報、利用状況情報、地目情報、面積情報、及び道路接面情報の中で少なくとも一つを含む
請求項1に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定システム。
【請求項8】
前記データベース部の土地特性情報は、取引事例価格、評価事例価格、及び地域調査事例価格の中で少なくとも一つの価格を含む
請求項1に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定システム。
【請求項9】
前記価格情報整備部は、公示価格情報と実取引情報とに含まれた土地特性情報が異なる事例情報を除去する特性不一致事例除去部を含む
請求項1に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定システム。
【請求項10】
前記価格情報整備部は、地価変動率を用いて実取引時点まで時点が修正された個別公示地価と実取引価格の比である下式:
【数2】
現実化率が既設定の値以上の事例情報を除去する価格異常値事例除去部を含む
請求項1に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定システム。
【請求項11】
前記類似価格圏生成部は、
基礎行政区域、用途地域、及び利用状況の同じ土地別に集団を分類する基礎比較集団生成部と、
基礎比較集団内の土地を個別公示地価を基準に整列する整列部と、
整列された個別土地を既設定の価格等級間隔によって等級を付与する等級付与部とを含む
請求項1に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定システム。
【請求項12】
コンピュータ含む演算処理手段によって実行されるプログラム形態からなり、対象土地の時価を推定する方法であって、
データベース部が、公示価格情報、市場価格情報、及び土地特性情報を収集して保存するS1段階と、
価格情報整備部が、前記データベース部の各情報から特性不一致事例及び価格異常値事例を除去するS2段階と、
類似価格圏生成部が、前記価格情報整備部で整備された情報を用いて類似価格圏を生成するS3段階と、
類似事例抽出部が、前記類似価格圏生成部で生成された情報から対象土地の類似事例を抽出するS4段階と、
最終価格算定部が、前記類似事例抽出部で抽出された類似事例から対象土地の価格を推定するS5段階とを含み、
前記S5段階の最終価格算定部は、
抽出された事例価格と時点修正された公示地価とを比較して現実化率を算出した後、当該現実化率で対象土地の公示地価を割って事例別試算価格を算出する現実化率方式試算価格算出部と、
抽出された事例の価格に対象土地と事例との物的特性差による価格差の比である批准率を適用して事例別試算価格を算出する批准率方式試算価格算出部とを含む
ことを特徴とする最終価格算定部を有する土地時価推定方法。
【請求項13】
前記S5段階の最終価格算定部は、事例別試算価格を、次式:
【数3】
(ここで、dist
1及びdist
5は対象土地と1番事例及び5番事例との間の直線距離であり、price
1及びprice
5は1番事例及び5番事例の‘事例別試算価格’である)
のように、対象土地との距離の逆数で加重平均して最終試算価格を算出する
請求項12に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定方法。
【請求項14】
前記最終価格算定部は、現実化率方式最終試算価格の期設定の範囲内に批准率方式最終試算価格が含まれれば、現実化率方式最終試算価格を最終算定価格に選定し、現実化率方式最終試算価格の期設定の範囲内に批准率方式最終試算価格が含まれなければ、現実化率方式最終試算価格と批准率方式最終試算価格を算術平均して最終価格を算定する価格決定部を含む
請求項12に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定方法。
【請求項15】
前記最終価格算定部は、最終抽出された事例の件数が既設定の範囲に相当すれば、良好、普通、及び不十分の中で一つの信頼等級を付与する信頼等級付与部を含む
請求項12に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定方法。
【請求項16】
コンピュータ上でソフトウェアによる情報を処理するハードウェアと結合し、請求項12に記載の最終価格算定部を有する土地時価推定方法を実行させるためにコンピュータ可読の記録媒体に保存された
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土地時価推定システム及び推定方法に関する。具体的には、現実化率方式試算価格算出部及び批准率方式試算価格算出部を備えた最終価格算定部を有する土地時価推定システム及び推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
政府は、不動産市場の安定、投機予防及び住居福祉強化などのために各種の不動産政策を施行して運営している。不動産政策の効果を診断し、地域的状況変化などを把握するために時価推定の必要性が増大している。
【0003】
よって、本出願人は、特許文献1:韓国特許登録第10-1762888号で、‘類似価格圏及び実取引価格を用いた不動産時価算定システム及び方法’を提示したことがある。
【0004】
しかし、不動産実取引申告が義務化し、関連資料が蓄積するのに伴い、不動産時価推定のための基礎資料が備えられたが、虚偽申告、事情介入及び地域別・類型別取引偏重などによって実取引資料の整備及び補完が必要な状況であった。
【0005】
特に、類似事例を正確に抽出したにもかかわらず、抽出された類似事例の最終価格を算出するためのアルゴリズムが正確に提示できなくて高信頼度の最終価格を算出することができなかった問題点があった。
【0006】
また、本出願人の先行特許である特許文献2:韓国特許登録第10-1773911号では、公示価格と実取引価格を単純比較して現実化率を算出したが、このような方式には公示基準日(例えば、1月1日)と取引時点との間の価格変動を考慮することができなかった問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許登録第10-1762888号
【特許文献2】韓国特許登録第10-1773911号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明による最終価格算定部を有する土地時価推定システム及び推定方法は次のような解決課題を有する。
第一、類似事例の最終価格を算定するアルゴリズムを具体的に提示しようとする。
第二、全国土地の時価を客観的基準によって一括して推定することにより、実取引虚偽売物検証、出来値指標生産などに活用して不動産市場管理及び調査・統計業務を体系化・客観化しようとする。
第三、投機地域指定及び分譲市場管理、政策導入シミュレーションの遂行など、各種の政府政策支援などに活用しようとする。
本発明の解決課題は以上で言及したものに限定されず、言及しなかった他の解決課題は下記の記載から当業者に明らかに理解可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はコンピュータを含む演算処理手段によって実行されるプログラム形態からなり、対象土地の時価を推定するシステムに関する。
【0010】
本発明による最終価格算定部を有する土地時価推定システムは、公示価格情報、市場価格情報及び土地特性情報を収集して保存するデータベース部と、前記データベース部の各情報から特性不一致事例及び価格異常値事例を除去する価格情報整備部と、前記価格情報整備部で整備された情報を用いて類似価格圏を生成する類似価格圏生成部と、前記類似価格圏生成部で生成された情報から対象土地の類似事例を抽出する類似事例抽出部と、前記類似事例抽出部で抽出された類似事例から対象土地の価格を推定する最終価格算定部とを含む。
【0011】
本発明による前記最終価格算定部は、抽出された事例価格と時点修正された公示地価とを比較して現実化率を算出した後、当該現実化率で対象土地の公示地価を割って事例別試算価格を算出する現実化率方式試算価格算出部と、抽出された事例の価格に対象土地と事例との物的特性差による価格差の比である批准率を適用して事例別試算価格を算出する批准率方式試算価格算出部とを含むことができる。
【0012】
本発明による前記現実化率方式試算価格算出部は、事例別試算価格を、次の式のように、対象土地との距離の逆数で加重平均して最終試算価格を算出することができる。
【0013】
本発明による前記最終価格算定部は、現実化率方式最終試算価格の期設定の範囲内に批准率方式最終試算価格が含まれれば、現実化率方式最終試算価格を最終算定価格に選定し、現実化率方式最終試算価格の期設定の範囲内に批准率方式最終試算価格が含まれなければ、現実化率方式最終試算価格と批准率方式最終試算価格を算術平均して最終価格を算定する価格決定部を含むことができる。
【0014】
本発明による前記最終価格算定部は、最終抽出された事例の件数が既設定の範囲に相当すれば、良好、普通、及び不十分の中で一つの信頼等級を付与する信頼等級付与部を含むことができる。
【0015】
本発明による前記信頼等級付与部は、前記価格決定部が現実化率方式最終試算価格と批准率方式最終試算価格を算術平均して最終価格を算定すれば、信頼等級を一等級下げて付与することができる。
本発明において、前記データベース部の公示価格情報は、標準地公示地価と、個別公示地価とを含むことができる。
【0016】
本発明において、前記データベース部の市場価格情報は、用途地域情報、利用状況情報、地目情報、面積情報、及び道路接面情報の中で少なくとも一つを含むことができる。
【0017】
本発明において、前記データベース部の土地特性情報は、取引事例価格、評価事例価格、及び地域調査事例価格の中で少なくとも一つの価格を含むことができる。
【0018】
本発明による前記価格情報整備部は、公示価格情報と実取引情報とに含まれた土地特性情報が異なる事例情報を除去する特性不一致事例除去部を含むことができる。
【0019】
本発明による前記価格情報整備部は、地価変動率を用いて実取引時点まで時点が修正された個別公示地価と実取引価格の比である現実化率が既設定の値以上の事例情報を除去する価格異常値事例除去部を含むことができる。
【0020】
本発明による前記類似価格圏生成部は、基礎行政区域、用途地域、及び利用状況の同じ土地別に集団を分類する基礎比較集団生成部と、基礎比較集団内の土地を個別公示地価を基準に整列する整列部と、整列された個別土地を既設定の価格等級間隔によって等級を付与する等級付与部とを含むことができる。
【0021】
本発明はコンピュータを含む演算処理手段によって実行されるプログラム形態からなり、対象土地の時価を推定する方法であって、データベース部が、公示価格情報、市場価格情報、及び土地特性情報を収集して保存するS1段階と、価格情報整備部が、前記データベース部の各情報から特性不一致事例及び価格異常値事例を除去するS2段階と、類似価格圏生成部が、前記価格情報整備部で整備された情報を用いて類似価格圏を生成するS3段階と、類似事例抽出部が、前記類似価格圏生成部で生成された情報から対象土地の類似事例を抽出するS4段階と、最終価格算定部が、前記類似事例抽出部で抽出された類似事例から対象土地の価格を推定するS5段階とを含む。
【0022】
本発明において、前記S5段階の最終価格算定部は、抽出された事例価格と時点修正された公示地価とを比較して現実化率を算出した後、当該現実化率で対象土地の公示地価を割って事例別試算価格を算出する現実化率方式試算価格算出部と、抽出された事例の価格に対象土地と事例との物的特性差による価格差の比である批准率を適用して事例別試算価格を算出する批准率方式試算価格算出部とを含むことができる。
【0023】
本発明において、前記S5段階の最終価格算定部は、事例別試算価格を、次の式のように、対象土地との距離の逆数で加重平均して最終試算価格を算出することができる。
【0024】
本発明による前記最終価格算定部は、現実化率方式最終試算価格の期設定の範囲内に批准率方式最終試算価格が含まれれば、現実化率方式最終試算価格を最終算定価格に選定し、現実化率方式最終試算価格の期設定の範囲内に批准率方式最終試算価格が含まれなければ、現実化率方式最終試算価格と批准率方式最終試算価格を算術平均して最終価格を算定することができる。
【0025】
本発明による前記最終価格算定部は、最終抽出された事例の件数が既設定の範囲に相当すれば、良好、普通、及び不十分の中で一つの信頼等級を付与する信頼等級付与部を含むことができる。
【0026】
本発明は、コンピュータ上でソフトウェアによる情報を処理するハードウェアと結合し、本発明による最終価格算定部を有する土地時価推定方法を実行させるためにコンピュータ可読の記録媒体に保存されたコンピュータプログラムから具現可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明による最終価格算定部を有する土地時価推定システム及び推定方法は次のような効果を有する。
第一、現実化率方式試算価格と批准率方式試算価格をそれぞれ算出し、これを用いて高信頼度の最終価格を算定する効果がある。
第二、不動産市場に適正時価水準を提供して一般的取引指標を生成し、透明な取引秩序を確立する効果がある。
第三、不動産調査統計及び市場管理業務の遂行の際に検証用途などに活用して業務の効率性及び正確性を向上させる効果がある。
第四、実取引資料の活用度を高め、取引事例の適正性診断などによる制度改善を先循環させる効果がある。
本発明の効果は以上で言及したものに限定されず、言及しなかった他の効果は下記の記載から当業者に明らかに理解可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明による最終価格算定部を有する土地時価推定システムの全体的な構造を示す図である。
【
図2】本発明による価格情報整備部において、特性不一致事例除去部の作動アルゴリズムを示す図である。
【
図3】本発明による価格情報整備部において、価格異常値除去部の作動アルゴリズムを示す図である。
【
図4】本発明による類似事例抽出部において、抽出条件適用部の作動アルゴリズムを示す図である。
【
図5】本発明による類似事例抽出部において、優先順位条件適用部の作動アルゴリズムを示す図である。
【
図6】本発明による類似事例抽出部において、隣接類似価格圏拡張部の作動アルゴリズムを示す図である。
【
図7】本発明による土地時価推定システムを事例と対比した対比図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明はコンピュータを含む演算処理手段によって実行されるプログラム形態からなり、対象土地の時価を推定するシステムに関する。
【0030】
本発明による最終価格算定部を有する土地時価推定システムは、公示価格情報、市場価格情報及び土地特性情報を収集して保存するデータベース部と、前記データベース部の各情報から特性不一致事例及び価格異常値事例を除去する価格情報整備部と、前記価格情報整備部で整備された情報を用いて類似価格圏を生成する類似価格圏生成部と、前記類似価格圏生成部で生成された情報から対象土地の類似事例を抽出する類似事例抽出部と、前記類似事例抽出部で抽出された類似事例から対象土地の価格を推定する最終価格算定部とを含むことができる。
発明の実施のための形態
【0031】
以下、添付図面に基づき、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施例を説明する。本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に理解することができるように、後述する実施例は本発明の概念及び範囲を逸脱しない範疇内で多様な形態に変形可能である。同一または類似の部分は図面でできるだけ同じ図面符号で示す。
【0032】
本明細書で使われる専門用語はただ特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。ここで使われる単数の形態は、文句がこれとはっきりと反対の意味を示さない限り、複数の形態も含む。
【0033】
本明細書で使われる“含む”の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素及び/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分及び/または群の存在や付加を除くものではない。
【0034】
本明細書で使われる技術用語及び科学用語を含むすべての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。辞書に定義された用語は関連技術文献と現在開示された内容に合う意味を有するものにさらに解釈され、定義しない限り、理想的なまたは非常に公式的な意味に解釈されない。
【0035】
本明細書で説明する実施例は、ハードウェア側面またはソフトウェア側面の中で少なくとも一側面を有することができる。本明細書で、部(unit)、モジュール(module)、装置(apparatus)、システム(system)は、プロセス、客体(object)、実行ファイル、実行スレッド、プログラム及び/またはコンピュータであることができる。
【0036】
以下では図面に基づいて本発明を説明する。参考までに、図面は本発明の特徴を説明するために一部が誇張して表現されることもある。この場合、本明細書の全体趣旨に基づいて解釈されることが好ましい。
【0037】
本発明はコンピュータを含む演算処理手段によって実行されるプログラム形態からなり、時価を推定する対象土地(以下、‘対象土地’という)の時価を推定するシステムに関する。
【0038】
本発明による最終価格算定部を有する土地時価推定システムは、データベース部100、価格情報整備部200、類似価格圏生成部300、類似事例抽出部400、及び最終価格算定部500を含む。
【0039】
本発明によるデータベース部100は、公示価格情報、市場価格情報及び土地特性情報を収集して保存することができる。
本発明による価格情報整備部200は、データベース部100の各情報から特性不一致事例及び価格異常値事例を除去することができる。
本発明による類似価格圏生成部300は、価格情報整備部200で整備された情報を用いて類似価格圏を生成することができる。
本発明による類似事例抽出部400は、類似価格圏生成部300で生成された情報から対象土地の類似事例を抽出することができる。
本発明による最終価格算定部500は、類似事例抽出部400から抽出された類似事例から対象土地の価格を推定することができる。
【0040】
本発明において、最終価格算定部500は、抽出された事例価格と時点修正された公示地価とを比較して現実化率を算出した後、当該現実化率で対象土地の公示地価を割って事例別試算価格を算出する現実化率方式試算価格算出部510と、抽出された事例の価格に対象土地と事例との物的特性の差による価格差の比である批准率を適用して事例別試算価格を算出する批准率方式試算価格算出部520とを含むことができる。
【0041】
まず、本発明によるデータベース部100を説明する。
本発明によるデータベース部100は、公示価格情報収集部110、市場価格情報収集部120、及び土地特性情報収集部130を含む。
本発明による公示価格情報収集部110で収集する公示価格情報は、標準地公示地価と個別公示地価とを含む。
【0042】
ここで、標準地公示地価とは、国土交通部長官が土地利用状況、周辺環境、その他の自然的・社会的条件が一般的に類似していると認められる一団の土地の中で選定した標準地に対して毎年1月1日を基準に単位面積当たり適正価格を調査・評価した価格を意味する。
【0043】
また、個別公示地価とは、市場・郡守・区長が国税・地方税などの各種の税金の賦課、その他の法令で定める目的の地価算定に使われるようにするために、管轄区域内の個別土地に対して毎年1月1日を基準に単位面積当たり価格を決定・公示した価格を意味する。
公示価格情報は比較事例別現実化率(適正時価に対する公示価格の比)算出及び基礎特性の検討の際に直接的に活用可能である。
【0044】
本発明による市場価格情報収集部120で収集する市場価格情報は、取引事例価格、評価事例価格及び地域調査事例価格の中で少なくとも一つの価格を含むことができる。
【0045】
本発明による取引事例は、不動産取引申告などに関する法律第3条によって申告された土地取引事例の中で国土交通部実取引価格公開システムによって公開された事例を含む。
本発明による評価事例は、鑑定評価及び鑑定評価士に関する法律第10条第4号によって法院に係属中の訴訟または競売のために土地を評価した事例を含む。
【0046】
本発明による地域調査事例は、特定の調査人力が不動産価格公示及び統計関連業務を遂行しながら算定ないし検証した当該土地に対する現価事例などを意味する。調査人力とは、例えば、韓国鑑定院の調査人力または韓国鑑定院から調査の委託を受けた人力などを含む。
【0047】
本発明による市場価格情報は、特性不一致事例除去及び価格異常値事例除去の過程を経た後、対象土地の適正時価を推定するための比較事例抽出の際に直接的に活用可能である。
【0048】
本発明による土地時価推定システムの説明のために、取引事例の取引時点、評価事例の評価時点、地域調査事例の調査時点を通称して‘事例時点’といい、取引事例の取引価格、評価事例の評価価格、地域調査事例の地域調査事例の調査価格を通称して‘事例価格’という。
【0049】
本発明による土地特性情報収集部130で収集する土地特性情報は、用途地域情報、利用状況情報、地目情報、面積情報及び道路接面情報の中で少なくとも一つを含むことができる。
【0050】
土地特性情報は、公示価格資料及び市場価格資料の用途地域、利用状況、地目、面積、道路接面などの基礎特性資料を意味する。土地特性情報は公示価格資料と市場価格資料との間の基礎特性の比較・検討を行って物的不一致事例を除去する用途に活用されることができ、基礎行政区域・用途地域・利用状況別集団を構築して事例抽出圏域を設定するのにも活用可能である。また、比較事例抽出の際、道路接面特性が同じ事例を先に抽出するなど、抽出優先順位を適用するのにも活用可能である。
【0051】
次に、本発明による価格情報整備部200を説明する。
価格情報整備は、市場価格資料の中で専門家の検証を経らなくて適正性の検討が必要な実取引資料に対する整備を意味する。取引事例の中には、申告対象の物的特性を誤って記載した事例、税金節減などのために虚偽申告された事例、家族間の取引など、特殊な事情が介入されて通常的な市場での価格とは乖離した事例などがあり得るので、これに対する検討及び整備が必要である。
【0052】
本発明では、価格資料整備のために物的特性不一致事例を除去し、ひいては価格異常値事例を除去する過程により、既存に整備なしに使われた実取引資料の適正性を高め、正確な時価が推定されるようにした。
【0053】
本発明による価格情報整備部200は、公示価格情報と実取引情報とに含まれた土地特性情報が相異なる事例情報を除去する特性不一致事例除去部210を含むことができる。
【0054】
本発明において、物的特性不一致事例除去は、公示価格資料と実取引資料に含まれている用途地域、利用状況、地目、面積などが異なる資料を除去する段階を意味する。
【0055】
物的特性は対象土地の価格を形成するのに影響を与える主要要因であるという点、物的特性不一致は活用情報の中で一つは間違いがある資料であるものを意味するという点で、特性不一致事例情報は適切な価格情報として活用することができないので、除去されることが好ましい。
【0056】
例えば、下記の表1のように、公示価格資料と実取引資料の一部が下記のようにある場合、1番、4番及び5番の事例は物的特性不一致事例として除去される。
【0057】
【0058】
前記1番事例は面積において公示価格資料と実取引資料とが異なるので除去される。これは当該情報の面積が互いに一定基準値(例えば、2%)以上の差があるからである。2番事例の場合にも面積が異なると見なすことができるが、その差が一定基準値以下の場合には面積差がないと見なすことができる。3番事例は提示された物的特性が全部一致するので正常事例と判断される。4番事例は用途地域が異なるので除去され、5番事例は地目が異なるので除去される。
【0059】
本発明による価格情報整備部200は、地価変動率を用いて実取引時点まで時点が修正された個別公示地価と実取引価格の比である現実化率が既設定の値以上の事例情報を除去する価格異常値事例除去部220を含むことができる。
【0060】
価格異常値事例除去は、実取引資料の中で家族間の取引などの特殊な事情が介入されて過度に低価または高価で取引されたか、税金節減などのために取引価格を偽って申告するなど、通常的な市場で取引されたと認めにくい異常値を一定基準によって判断して除去する過程を意味する。
【0061】
価格異常値事例除去部は、現実化率が極端な場合または取引金額自体が極端に判断される場合を判断して除去する。このために、実取引資料の実取引価格に対する個別公示地価の比(以下‘現実化率’という)を算出する。
【0062】
【0063】
現実化率は地価変動率を活用して取引時点まで時点修正された個別公示地価(以下‘時点修正公示地価’と言う)と実取引価格を活用して算出する。その後、‘市郡区-用途地域-利用状況’別に実取引資料を分類した後、同じ集団に属する実取引資料の現実化率分布を確認して異常値を判断することができる。
【0064】
ここで、地価変動率は、不動産取引申告などに関する法律及び地価変動率の調査・算定に関する規定によって発表される毎月全国の市・郡・区及び用途地域別標本地の上昇率指数を意味する。時点修正の際に活用される地価変動率は当該事例が属する市郡区及び用途地域によって選択され、公示基準日から取引時点まで月別地価変動率を掛けて算定する。
【0065】
異常値判断には統計的異常値除去によく活用されるIQR異常値判断技法などを活用し、また現実化率分布で、既設定の異常値基準(例えば、上下位5%)に相当する事例を異常値と判断して除去することもできる。
【0066】
ここで、IQRはInterQuartile Rangeの略語であり、統計学で第3四分位数(Q3)と第1四分位数(Q1)との差を意味し、IQR異常値判断技法とは、(Q1-1.5IQR未満)または(Q3+1.5IQR超過)に相当する値を異常値と判断する統計的技法を言う。
【0067】
個別公示地価に対して実取引価格が既設定の基準値(例えば、300%)以上の資料は取引金額自体が極端なものと判断して除去する。ただ当該地域の平均現実化率が向上したと判断される場合、その基準値を調整して活用することもできる。
次に、本発明による類似価格圏生成部300を説明する。
【0068】
本発明による類似価格圏生成部300は、基礎行政区域、用途地域及び利用状況が同じ土地別に集団を分類する基礎比較集団生成部310、基礎比較集団内の土地を個別公示地価を基準に整列する整列部320、及び整列された個別土地を既設定の価格等級間隔によって等級を付与する等級付与部330を含むことができる。
【0069】
本発明は、対象土地と類似した不動産の市場価格資料を選定及び比較して対象土地の時価を推定する。類似していない資料を抽出して比較する場合、個別特性差による価格差をもっと多く補正しなければならないが、当該補正値を把握して算出する過程で誤差が発生する可能性が増加するからである。したがって、選定された比較事例の類似性が高くなる場合に推定時価の正確性が向上することができる。
【0070】
このような観点で類似価格圏を区画し、当該圏域または隣接圏域内でのみ比較事例を抽出することにより、比較事例の類似性が一次的に高くなることができるようにする。
【0071】
類似価格圏とは土地価格形成要因が比較的同一であって価格水準が類似するように形成される地域的範囲を意味するものであり、土地価格形成要因をどのように定義するかによって異なるように区画されることができる。
【0072】
従来の類似価格圏の概念は、市・郡・区別用途地域及び利用状況によって基礎区域を区分した後、一定の価格等級間隔によって類似価格圏を区分した。しかし、本発明による類似価格圏概念は、同じ市・郡・区内でも土地価格形成要因が異なることができることに鑑みて、法定洞地域は当該洞が属する‘市’または‘区’の法定洞地域、‘邑または面’地域は当該邑または面地域に基礎行政区域を区分した。
【0073】
本発明による類似価格圏生成部300は、基礎比較集団生成部310、整列部320、及び等級設定部330を含む。
本発明による基礎比較集団生成部310は、基礎行政区域、用途地域、利用状況が同じ土地別に集団を分類する。
【0074】
本発明において、基礎行政区域において法定洞地域は当該洞が属する‘市または区’の法定洞地域、‘邑または面’地域は当該邑または面地域に定義する。ここで、法定洞地域とは、当該法定洞地域とその地域が属する‘市’または‘区’内の他の法定洞地域を含む地域を意味する。例えば、ソウル市ソチョ区ソチョ洞の場合、基礎行政区域はソチョ洞を含むソチョ区内の法定洞地域全体が基礎行政区域であり、デグ市タッソン郡ヒョンプン邑の場合、ヒョンプン邑のみが基礎行政区域になる。一方、法定洞地域と邑または面地域が混在しているパジュ市のような場合、キョンキ道パジュ市ウンゾン洞の場合には、パジュ市の邑または面地域を除いた法定洞地域が基礎行政区域になり、パジュ市ゾクソン面の場合にはゾクソン面が基礎行政区域になる。
【0075】
本発明において、用途地域は、国土の計画及び利用に関する法律によって土地の利用及び建築物の用途、建蔽率、容積率、高さなどを制限することにより、土地を経済的・効率的に用い、公共福利の増進をはかるために互いに重複しないように、都市・郡管理計画で決定する地域を意味する。
【0076】
本発明において、用途地域は、住居地域、商業地域、工業地域、緑地地域、計画管理地域、(計画管理地域を除いた)管理地域、農林地域、自然環境保全地域及び用途未指定地域に区分し、国土の計画及び利用に関する法律によって開発制限地域と指定された地域は用途地域ではないが、工法上制限及び規制内容が厳格であるので別途の用途地域と見なす。
【0077】
本発明において、利用状況は不動産価格公示に関する法律によって公示される標準地及び周辺土地の利用状況を意味し、‘住居用’、‘商業用’、住居及び商業用途が複合的に活用される‘住商用’、‘工業用’、‘田または畑’、‘林野’に区分することができる。
【0078】
本発明による整列部320は、基礎比較集団内の土地を個別公示地価を基準に昇順に整列する。ここで、標準地の場合には標準地公示地価を個別公示地価と見なす。
本発明による等級設定部330は、整列された個別土地を一定の価格等級間隔によって等級を付与する。
【0079】
例えば、基礎行政区域がソウル市ソチョ区、用途地域が住居地域、利用状況が住居用の基礎比較集団の場合、価格等級間隔は30万ウォンに設定され、価格帯1には個別公示地価0~30万ウォンの土地、価格帯2には個別公示地価30~60万ウォンの土地が属する。このような価格等級間隔は各基礎比較集団の価格格差及び分布などを考慮して設定することができる。
基礎比較集団内で同じ価格帯に分類された圏域が‘類似価格圏’になり、類似価格圏は比較事例を抽出する基本圏域として活用される。
【0080】
本発明による類似事例抽出部400は、類似価格圏生成部300で生成された情報から対象土地の類似事例を抽出することができる。類似事例は多様な方式で抽出することができる。
【0081】
例えば、類似事例抽出部400は、類似価格圏生成部300で生成された類似価格圏内の市場価格情報の中で類似事例を抽出する条件が適用される抽出条件適用部410、及び前記抽出条件適用部410で抽出された事例の中で優先順位条件を適用して対象土地の類似事例を抽出する優先順位条件適用部420を備えることができる。
【0082】
本発明による抽出条件適用部410は、既設定の期間以内の市場価格情報を抽出する第1抽出条件、基準時点に対して最近に公示された個別公示地価が前年度に公示された個別公示地価より既設定の値以上に上昇すれば当該事例情報を除く第2抽出条件、及び対象土地に対して複数の市場価格情報が存在すれば、最新情報のみを抽出する第3抽出条件を順次適用して類似事例を抽出することができる。
【0083】
本発明による優先順位条件適用部420は、基礎行政区域が市または区の法定洞地域であれば、対象土地が属する法定洞地域事例を先に抽出する第1優先順位条件、道路接面特性が同じ事例を先に抽出する第2優先順位条件、及び同じ洞地域でありながら道路接面特性も同一であれば、対象土地との距離が近い事例を先に抽出する第3優先順位条件を順次適用して類似事例を抽出することができる。
【0084】
本発明による類似事例抽出部400は、ある類似価格圏で抽出された事例が既設定の件数未満であれば、当該類似価格圏に近い高隣接類似価格圏及び当該類似価格圏に近い低隣接類似価格圏で類似事例を確張して抽出する隣接類似価格圏拡張部430をさらに備えることができる。
【0085】
次に、本発明による最終価格算定部500を説明する。
本発明は、類似事例抽出部400で抽出された類似事例から対象土地の価格を推定する最終価格算定部500を含む。
【0086】
本発明による最終価格算定部500は、抽出された事例価格と時点修正された公示地価とを比較して現実化率を算出した後、当該現実化率で対象土地の公示地価を割って事例別試算価格を算出する現実化率方式試算価格算出部510を含む。
【0087】
また、本発明による最終価格算定部500は、抽出された事例の価格に、対象土地と事例との物的特性の差による価格差の比である批准率を適用して事例別試算価格を算出する批准率方式試算価格算出部520を含む。
【0088】
本発明による最終価格算定部500は、抽出された類似事例に対する多様な価格に最終価格を算定することができる。例えば、現実化率方式試算価格または批准率方式試算価格を算出し、この価格を活用して最終価格を算定することができる。
以下では、本発明による最終価格算定部500で最終価格を算定する過程を具体的に説明する。
【0089】
本発明による現実化率方式試算価格算出部510は、事例別試算価格を次の式2のように、対象土地との距離の逆数で加重平均して最終試算価格を算出することができる。
【0090】
【0091】
ここで、dist1及びdist5は対象土地と1番事例及び5番事例との間の直線距離であり、price1及びprice5は1番事例及び5番事例の‘事例別試算価格’である。
【0092】
現実化率方式試算価格算出部510は、抽出された事例価格と時点修正された公示地価とを比較して現実化率を算出した後、当該現実化率で対象土地の公示地価を割って事例別試算価格を算出することができる。
ここで、現実化率とは、事例価格に対する‘時点修正された公示地価’の比を意味する。
【0093】
‘時点修正された公示地価’は事例時点を基準に最近に公示された公示地価に当該公示地価公示日(例えば、1月1日)から事例時点までの地価変動率を掛けた値(以下‘時点修正値’と言う)を意味する。
【0094】
本出願人の先行特許である韓国特許登録第10-1773911号では公示価格と実取引価格を単純比較して現実化率を算出したが、これは公示基準日(1月1日)と事例時点との間の価格変動を考慮することができなかった問題点があった。それで、本発明はこのような問題点を解決することを課題とする。
【0095】
対象土地の現実化率が抽出事例の現実化率とほぼ同一であるという前提の下で、対象土地公示地価を事例別現実化率で割れば対象土地の適正時価を推定することができ、このように推定された価格を‘事例別試算価格’という。例えば、対象土地の‘20年公示地価(125,000ウォン)を当該現実化率(0.66)で割れば事例別試算価格(189,000ウォン)を算出することができる。
【0096】
【0097】
前記事例では例として抽出された事例が10件であるので、事例別試算価格は10件が算出される。10件の事例別試算価格を対象土地との距離の逆数で加重して平均(以下、‘距離加重平均’という)する。これは前記式2によってなされる。
【0098】
本出願人の先行特許である韓国特許登録第10-1773911号では、現実化率自体を距離加重平均して最終に現実化率を算出した後、これを公示地価に逆算した。しかし、本発明では、各事例別に現実化率を逆算して事例別試算価格を算出した後、事例別試算価格を距離加重平均した点で明確な違いがある。
【0099】
このように違いがある構成を導出した理由は、地理的に隣接した事物の影響力を増加させようとする距離加重平均の趣旨に鑑みるとき、現実化率という加工された数値よりは当該土地の価格を距離加重平均することが妥当であると判断されたからである。
【0100】
距離加重平均によって算出された価格は前記事例で1,930,000ウォンが算出され、前述した地価変動率を活用して公示基準日から基準時点までの時点修正値を掛ければ現実化率方式最終試算価格が算出される(ただ、本事例では時点修正値が1.00であったと仮定し、よって最終試算価格も1,930,000ウォンが算出されたと仮定する)。
【0101】
本発明による批准率方式試算価格算出部520は、抽出された事例の価格に対象土地と事例との物的特性差による価格差の比である批准率を適用して事例別試算価格を算出することができる。
【0102】
批准率方式試算価格算出部では、抽出された事例の価格に対象土地と事例との物的特性差による価格差の比(以下、‘批准率’という)を適用して事例別試算価格を算出する。
【0103】
批准率とは、不動産価格公示に関する法律によって国土交通部長官が標準地と算定対象個別土地の価格形成要因に対して作成した標準比較表(以下、‘土地価格批准表’と言う)上の比較値を意味する。
【0104】
例えば、下記の表3の1番事例の個別特性は‘緩傾斜、広大閑面’であるのに対して、対象土地の個別特性が‘平地、広大閑面’であれば、これに対する批准率数値(1.04×1.00=1.040)を事例価格に掛け、地価変動率を活用した事例時点から基準時点までの時点修正値(1.02500)を掛ければ、事例別試算価格(1,920,000ウォン)が算出される。
【0105】
【0106】
抽出された10個事例の個別特性、批准率、時点修正値によって10件の事例別試算価格が下記の表4のように算出される。
【0107】
【0108】
本段階でも、現実化率方式試算価格算出部のように距離加重平均によって最終試算価格を算出し、当該事例では2,060,000ウォンが算出される。
【0109】
本発明による最終価格算定部500は、現実化率方式最終試算価格の期設定の範囲内に批准率方式最終試算価格が含まれれば、現実化率方式最終試算価格を最終算定価格として選定し、現実化率方式最終試算価格の期設定の範囲内に批准率方式最終試算価格が含まれなければ、現実化率方式最終試算価格と批准率方式最終試算価格を算術平均して最終価格を算定する価格決定部530を備えることができる。
【0110】
現実化率方式最終試算価格の既設定の範囲(例えば、10%)内に批准率方式最終試算価格が含まれれば、現実化率方式最終試算価格を最終算定価格に決定し、そうではない場合には、両方式による最終試算価格を算術平均して最終価格を決定することができる。
【0111】
前記事例で、現実化率方式最終試算価格は1,930,000ウォン、批准率方式最終試算価格は2,060,000ウォンが算出された。この場合、現実化率方式最終試算価格の10%範囲(1,737,000ウォン~2,123,000ウォン)内に批准率方式最終試算価格が含まれるので、現実化率方式最終試算価格(1,930,000ウォン)を最終算定価格に決定することができる。
【0112】
本発明による最終価格算定部500は、最終抽出された事例の件数が既設定の範囲に相当すれば、良好、普通、及び不十分の中でいずれか一つの信頼等級を付与する信頼等級付与部540を備えることができる。
【0113】
本発明による信頼等級付与部540は、価格決定部530が現実化率方式最終試算価格と批准率方式最終試算価格を算術平均して最終価格を算定すれば、信頼等級は一等級下げて付与することができる。
【0114】
例えば、最終抽出された事例が6件以上の場合に信頼等級‘良好’を、3件以上5件以下の場合に‘普通’、1件以上2件以下の場合には‘不十分’を付与し、0件の場合には算定されない。
【0115】
仮に、現実化率方式試算価格算出部510による最終試算価格と、批准率方式試算価格算出部520による最終試算価格とを算術平均して最終価格を決定した場合、事例抽出信頼等級が‘良好’の場合には‘普通’、‘普通’の場合には‘不十分’に信頼等級を修正することができる。
【0116】
一方、本発明はコンピュータを含む演算処理手段によって実行されるプログラム形態からなり、対象土地の時価を推定する方法によって具現されることもできる。本発明において、土地時価推定方法は土地時価推定システムと発明のカテゴリーが異なるが、発明の本質的作動原理を共有する。ここで、重複する部分を排除し、要旨を主として説明する。
【0117】
本発明による最終価格算定部を有する土地時価推定方法は、データベース部100が公示価格情報、市場価格情報及び土地特性情報を収集して保存するS1段階と、価格情報整備部200が前記データベース部100の各情報から特性不一致事例及び価格異常値事例を除去するS2段階と、類似価格圏生成部300が前記価格情報整備部200で整備された情報を用いて類似価格圏を生成するS3段階と、類似事例抽出部400が前記類似価格圏生成部300で生成された情報から対象土地の類似事例を抽出するS4段階と、最終価格算定部500が前記類似事例抽出部400で抽出された類似事例から対象土地の価格を推定するS5段階とを含むことができる。
【0118】
S5段階の最終価格算定部500は、抽出された事例価格と時点修正された公示地価とを比較して現実化率を算出した後、当該現実化率で対象土地の公示地価を割って事例別試算価格を算出する現実化率方式試算価格算出部510と、抽出された事例の価格に対象土地と事例との物的特性差による価格差の比である批准率を適用して事例別試算価格を算出する批准率方式試算価格算出部520とを含むことができる。
【0119】
本発明において、S5段階の最終価格算定部500は、事例別試算価格を、次の式のように、対象土地との距離の逆数で加重平均して最終試算価格を算出することができる。
【0120】
本発明において、S5段階の最終価格算定部500は、現実化率方式最終試算価格の期設定の範囲内に批准率方式最終試算価格が含まれれば、現実化率方式最終試算価格を最終算定価格に選定し、現実化率方式最終試算価格の期設定の範囲内に批准率方式最終試算価格が含まれなければ、現実化率方式最終試算価格と批准率方式最終試算価格を算術平均して最終価格を算定する価格決定部530を備えることができる。
【0121】
本発明において、S5段階の最終価格算定部500は、最終抽出された事例の件数が既設定の範囲に相当すれば、良好、普通、及び不十分の中で一つの信頼等級を付与する信頼等級付与部540を備えることができる。
【0122】
一方、本発明はコンピュータプログラムの形態から具現されることができる。本発明は、コンピュータ上でソフトウェアによる情報を処理するハードウェアと結合し、本発明による最終価格算定部を有する土地時価推定方法を実行させるために、コンピュータ可読の記録媒体に保存されたコンピュータプログラムから具現されることができる。
【0123】
本発明で遂行される動作は、デジタル電子回路、またはコンピュータハードウェア、ファームウエア、またはそれらの組合せ内で実行可能である。特徴は、例えばプログラミング可能なプロセッサによる実行のために、機械可読の保存デバイス内の保存装置内で具現されるコンピュータプログラム製品で実行されることができる。そして、特徴は、入力データ上で動作して出力を生成することにより、前述した実施例の関数を遂行するための指示語のプログラムを実行するプログラミング可能なプロセッサによって遂行されることができる。前述した特徴は、データ保存システムからデータ及び指示語を受信するために、及びデータ保存システムにデータ及び指示語を伝送するために結合された少なくとも一つのプログラミング可能なプロセッサ、少なくとも一つの入力デバイス、及び少なくとも一つの出力デバイスを含むプログラミング可能なシステム上で実行可能な一つ以上のコンピュータプログラム内で実行されることができる。
【0124】
本明細書で説明する実施例及び添付図面は本発明の技術的思想の一部を例示的に説明するものに過ぎない。したがって、本明細書に開示された実施例は本発明の技術的思想を限定するためのものではなく説明するためのものであるので、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではないことは自明である。本発明の明細書及び図面に含まれた技術的思想の範囲内で当業者が容易に類推することができる変形例及び具体的な実施例はいずれも本発明の権利範囲に含まれるものに解釈されなければならないであろう。
【符号の説明】
【0125】
100 データベース部
110 公示価格情報収集部
120 市場価格情報収集部
130 土地特性情報収集部
200 価格情報整備部
210 特性不一致事例除去部
220 価格異常値事例除去部
300 類似価格圏生成部
310 基礎比較集団生成部
320 整列部
330 等級設定部
400 類似事例抽出部
410 抽出条件適用部
420 優先順位条件適用部
430 隣接類似価格圏拡張部
500 価格算定部
【国際調査報告】