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特表2023-509113単結晶炉の組立スリーブ及び単結晶炉
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-07
(54)【発明の名称】単結晶炉の組立スリーブ及び単結晶炉
(51)【国際特許分類】
   C30B 15/00 20060101AFI20230228BHJP
   C30B 29/06 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
C30B15/00 Z
C30B29/06 502C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538788
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2021101805
(87)【国際公開番号】W WO2022033187
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】202010795735.3
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522248559
【氏名又は名称】西安奕斯偉材料科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】XI’AN ESWIN MATERIAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1-3-029, No.1888 South Xifeng Rd., Hi-Tech Zone Xi’an, Shaanxi 710100, P.R.China
(71)【出願人】
【識別番号】522248560
【氏名又は名称】西安奕斯偉硅片技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】XI’AN ESWIN SILICON WAFER TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1888 South Xifeng Rd., Hi-Tech Zone Xi’an, Shaanxi 710100, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】楊 文武
(72)【発明者】
【氏名】シム、 ボクチョル
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077CF10
4G077EG19
4G077EG25
4G077PE24
(57)【要約】
本開示は、単結晶炉の組立スリーブ及び単結晶炉を提供し、前記組立スリーブは、内筒、外筒及び底筒を含み、前記外筒は、上下に開口されており、外筒は、内筒の外周にスリーブ設置されており、底筒は、外筒の底端開口位置に設けられており、前記底筒は、環状底盤及び下筒を含み、前記内筒及び前記下筒が何れも逆錐形をなし、前記内筒の上端が外筒の上端に接続され、前記環状底盤の外縁部が外筒の下端に密封接続され、前記環状底盤の内縁部が前記下筒の上部に接続され、前記内筒の下端が前記環状底盤の上面に固定接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒、外筒及び底筒を含み、前記外筒は、上下に開口されており、前記外筒は、前記内筒の外周にスリーブ設置されており、前記底筒は、前記外筒の底端開口位置に設けられており、前記底筒は、環状底盤及び下筒を含み、前記内筒及び前記下筒が何れも逆錐形をなし、前記内筒の上端が前記外筒の上端に接続され、前記環状底盤の外縁部が前記外筒の下端に密封接続され、前記環状底盤の内縁部が前記下筒の上部に接続され、前記内筒の下端が前記環状底盤の上面に固定接続される、単結晶炉の組立スリーブ。
【請求項2】
前記内筒及び前記外筒の材質は、黒鉛材料である、請求項1に記載の組立スリーブ。
【請求項3】
前記環状底盤及び前記下筒の材質は、金属モリブデンである、請求項1に記載の組立スリーブ。
【請求項4】
前記内筒、前記外筒及び前記環状底盤によって囲まれる空洞内には、第一充填体及び第二充填体が設けられており、前記第一充填体は、前記第二充填体の上方に位置し、前記第一充填体は、熱伝導材料製であり、前記第二充填体は、断熱材料製である、請求項1に記載の組立スリーブ。
【請求項5】
前記環状底盤と前記下筒とが、一体的に設けられている、請求項1に記載の組立スリーブ。
【請求項6】
前記環状底盤の外縁部に第一ねじ山が形成されており、前記外筒の下端に第二ねじ山が形成されており、前記環状底盤と前記外筒とは、前記第一ねじ山及び前記第二ねじ山を介して螺合接続が実現される、請求項1に記載の組立スリーブ。
【請求項7】
前記環状底盤の底面は、円錐面をなしている、請求項1に記載の組立スリーブ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の組立スリーブを含む、単結晶炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2020年8月10日に中国で出願された中国特許出願第202010795735.3号の優先権を主張し、その内容の全ては、参照により本開示に組み込まれる。
本開示は、結晶棒の製造の技術分野に関し、具体的に、単結晶炉の組立スリーブ及び単結晶炉に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクス産業プロセスの持続的な向上に伴い、シリコンウェーハ材料の品質に対する要求が更に高まっており、品質が良いというのは、結晶棒内の結晶欠陥が好適に制御されることを意味する。結晶棒内の結晶欠陥は、主に2種類に大別され、1つは、過飽和になった隙間が凝集した欠陥であり、このような欠陥は、MOS素子のゲート酸化物の完全性(gate oxide integrity、GOIと略す)に影響を及ぼすことがなく、もう1つは、空孔が凝集した欠陥であり、このような成長欠陥は、GOIの歩留まりと大きく関係しており、一般的な空孔欠陥としては、COPs(crystal originated particles)、FPD(flow pattern defects)、LSTDs(laser scattering tomography defects)等がある。これらの欠陥の発生は、結晶棒の軸方向温度差Gに関係するが、軸方向温度差Gは、ホットゾーンの設計によって調節することが可能である。
【0003】
ホットゾーンにおいて、導流筒についての設計が非常に重要であり、それが直接に結晶棒の軸方向温度差G、及び、結晶棒の縁位置の軸方向温度差と結晶棒の中心箇所の軸方向温度差との差分△Gの大きさに影響を及ぼし、更に結晶棒内の欠陥の種類及び分布に影響に及ぼす。引き上げ過程において、関連技術における導流筒の制限により、液面からの大量の熱が結晶棒の表面に伝送され、これにより、結晶棒の縁領域における軸方向温度差が小さくなるが、結晶棒の中心領域における軸方向温度差がほぼ変化せず、更に△Gが増大され、V/G理論によれば、この時に空孔欠陥が集まって成長され、その結果、無欠陥成長の領域が減少し、結晶棒の無欠陥成長に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、関連技術における導流筒が合理的に設置されていなくて、さらに結晶棒内の欠陥の種類及び分布に影響を及ぼし、結晶棒の無欠陥成長に不利であるという問題を解決できる単結晶炉の組立スリーブ及び単結晶炉を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示は、以下の技術案を採用する。
【0006】
本開示の一態様に係る実施例は、内筒、外筒及び底筒を含み、前記外筒は、上下に開口されており、前記外筒は、前記内筒の外周にスリーブ設置されており、前記底筒は、前記外筒の底端開口位置に設けられており、前記底筒は、環状底盤及び下筒を含み、前記内筒及び前記下筒が何れも逆錐形をなし、前記内筒の上端が前記外筒の上端に接続され、前記環状底盤の外縁部が前記外筒の下端に密封接続され、前記環状底盤の内縁部が前記下筒の上部に接続され、前記内筒の下端が前記環状底盤の上面に固定接続される、単結晶炉の組立スリーブを提供している。
【0007】
選択的に、前記内筒及び前記外筒の材質は、黒鉛材料である。
【0008】
選択的に、前記環状底盤及び前記下筒の材質は、金属モリブデンである。
【0009】
選択的に、前記内筒、前記外筒及び前記環状底盤によって囲まれる空洞内には、第一充填体及び第二充填体が設けられており、前記第一充填体は、前記第二充填体の上方に位置し、前記第一充填体は、熱伝導材料製であり、前記第二充填体は、断熱材料製である。
【0010】
選択的に、前記環状底盤と前記下筒とが、一体的に設けられている。
【0011】
選択的に、前記環状底盤の外縁部に第一ねじ山が形成されており、前記外筒の下端に第二ねじ山が形成されており、前記環状底盤と前記外筒とは、前記第一ねじ山及び前記第二ねじ山を介して螺合接続が実現される。
【0012】
選択的に、前記環状底盤の底面は、円錐面をなしている。
【0013】
本開示の別の態様に係る実施例は、上記の何れか一項に記載の組立スリーブを含む、単結晶炉を更に提供している。
【発明の効果】
【0014】
本開示の上記技術案の有益な効果は、以下の通りである。
本開示の実施例に係る組立スリーブによれば、シリコン融液の表面の固液気三相の境界点の安定を保持し、温度場の安定性を保持することができ、結晶棒の無欠陥成長に有利で、それにシリコン融液の表面が規定の高さを超えてから、結晶棒の冷却を加速し、結晶棒が欠陥の核形成及び成長の温度区間に素早く通過して、最終的に高品質の結晶棒を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本開示の実施例による組立スリーブの構造概略図である。
図2図2は、本開示の実施例による底筒の構造概略図である。
図3図3は、本開示の実施例による外筒の構造概略図である。
図4図4は、本開示の実施例による内筒の構造概略図である。
図5図5は、本開示の実施例による組立スリーブの使用概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするためには、以下、本開示の実施例の図面を参照しながら、本開示の実施例の技術案を明確且つ完全に説明する。以下に説明される実施例は本開示の実施例の一部であり、すべての実施例でないことは自明である。以下に説明される本開示の実施例に基づいて、当業者によって得られた他のすべての実施例は、いずれも本開示の保護範囲に含まれるものである。
【0017】
図1図4を参照して、図1は、本開示の実施例による組立スリーブの構造概略図であり、図2は、本開示の実施例による底筒の構造概略図であり、図3は、本開示の実施例による外筒の構造概略図であり、図4は、本開示の実施例による内筒の構造概略図である。図1~4に示すように、本開示の実施例における組立スリーブは、底筒1、外筒2及び内筒3を含んでもよく、ここで、外筒2は、内部が中空であり、且つ上下に開口されており、外筒2は、内筒3の外周にスリーブ設置されており、底筒1は、外筒の底端開口位置に設けられており、具体的に、底筒1は、環状底盤11及び下筒12を含んでもよく、内筒3及び下筒12が何れも逆錐形をなし、且つ上下に開口されており、内筒3の上端が外筒2の上端に接続され、内筒3の上端開口は、内筒3を外筒2の内部に設置できることが確保されるように、外筒2の上端開口よりも少々小さく、内筒3の上端と外筒2の上端とは、具体的に、載設接続や、ボルトによる固定接続等とされてもよいが、ここで、具体的な接続方式を限定せず、環状底盤11の外縁部(即ち外周)が外筒2の下端に密封接続され、環状底盤11の内縁部(即ち内周)が下筒12の上部に接続され、内筒3の下端が環状底盤11の上面に固定接続されており、内筒3が逆錐形をなしているため、内筒3の下端と環状底盤11の上面との接触点は、環状底盤11の内周に近い。
【0018】
本開示の実施例において、環状底盤11の外縁部に第一ねじ山が形成されており、外筒2の下端に第二ねじ山が形成されており、環状底盤11と外筒2とは、前記第一ねじ山及び前記第二ねじ山を介して螺合接続され、螺合により、底筒1と外筒2との間の取り外しが容易になるとともに、比較的に緊密な接続を実現して、不活性気体の吹き付けによる緩みを回避することもできる。
【0019】
図5を参照して、図5は、本開示の実施例による組立スリーブの使用概略図である。図5に示すように、使用の際、組立スリーブは、シリコン融液の上方に設置され、組立スリーブの内筒3及び下筒12によって気体流路が形成され、不活性気体は、内筒3及び下筒12を介してシリコン融液8の表面に導流されることができ、種結晶を引き上げて結晶棒5を成長させる過程において、不活性気体は、結晶棒5を急速に冷却することができる。本開示の実施例において、底筒1の材質は、反射断熱材料であり、より具体的に、底筒1の材質は、金属モリブデンであり、上記設計により、底筒1の下筒12の内部を保温し、シリコン融液8における固液気三相の境界点の安定を保持し、温度場の安定性を保持することができるとともに、下筒12が逆錐形をなしているため、結晶棒5の縁位置の軸方向温度差と、中心位置の軸方向温度差との差分△Gを、理想値に近づくように好適に調節することができ、これにより、結晶棒5の無欠陥成長に寄与する一方で、金属モリブデン材質の底筒1は、液面から放出される熱を効果的に反射することができ、シリコン融液8の液面及び周辺の温度場の安定に寄与する。選択的に、底筒1の環状底盤11の底面は、円錐面をなしていてもよく、つまり、環状底盤11の下面と、シリコン融液8の表面との距離は、外縁部(外周)から内縁部(内周)に向かって徐々に増大して、環状底盤11によって、液面から放出された熱が結晶棒5とシリコン融液8との固液境界位置に反射され、その温度の安定が更に確保される。一方で、底筒の下筒12は、その内部を通過する結晶棒5の部分の温度を一定に保持し、底筒1の対応する高さ位置で安定した温度場を形成して、結晶棒5の軸方向温度差Gを一定に保持することができ、結晶棒5の当該高さ位置での無欠陥成長に寄与する。
【0020】
本開示の実施例において、内筒3及び外筒2の材質は、熱伝導材料であり、より具体的に、内筒3及び外筒2の材質は、黒鉛材料であり、熱伝導材質の内筒3及び外筒2は、内筒3の内部に位置する結晶棒5の当該高さ部位での急速冷却に寄与し、即ち内筒3の内部に位置する結晶棒5の部分の熱を、内筒3及び外筒2を通じて急速に外へ放散させ、結晶棒5が欠陥の核形成及び成長の温度区間に素早く通過して、結晶棒5内の欠陥の成長を効果的に抑制することができ、これにより、結晶棒5の欠陥の成長が低減される。
【0021】
本開示の実施例において、内筒3、外筒2及び環状底盤11によって囲まれる空洞内には、第一充填体41及び第二充填体42を含む充填体4が設けられており、ここで、第一充填体41は、第二充填体42の上方に位置し、第一充填体41は、熱伝導材料製であり、第二充填体42は、断熱材料製である。つまり、内筒3、外筒2及び環状底盤11によって囲まれる空洞内は、上部と下部との2つの部分に分けられ、上部に第一充填体41が充填されており、当該高さ位置では、結晶棒5の温度を急速に冷却する必要があるので、第一充填体41として熱伝導材料が使用されており、黒鉛材料の内筒3及び外筒2と協働して、結晶棒5の熱が急速に外部へ伝達されるようにする一方で、下部に第二充填体42が充填されており、当該高さ位置では、結晶棒5の温度を一定に保持する必要があるので、第二充填体42として断熱材料が使用されており、第二充填体42は、下から上への熱伝達を遮断できるとともに、内部から外部への熱伝達も遮断でき、外部への熱放散が低減される。
【0022】
本開示の実施例において、環状底盤11と下筒12とは、一体的に設けられており、両者の一体的な設置により、両者の間に相対的な動きが発生しないことを確保され、シリコン融液8の液面検出の正確性の向上に有利である。
【0023】
本開示の実施例に係る組立スリーブによれば、シリコン融液の表面の固液気三相の境界点の安定を保持し、温度場の安定性を保持することができ、結晶棒の無欠陥成長に有利であることに加え、シリコン融液の表面が規定の高さを超えてから、結晶棒の冷却を加速し、結晶棒が欠陥の核形成及び成長の温度区間に素早く通過して、最終的に高品質の結晶棒を製造することができる。
【0024】
本開示の別の態様に係る実施例は、以上の実施例に記載の組立スリーブを含む単結晶炉を更に提供している。上記実施例における組立スリーブによれば、シリコン融液の表面の固液気三相の境界点の安定を保持し、温度場の安定性を保持することができ、結晶棒の無欠陥成長に有利であることに加え、シリコン融液の表面が一定の高さを超えてから、結晶棒の冷却を加速し、結晶棒が欠陥の核形成及び成長の温度区間に素早く通過して、最終的に高品質の結晶棒を製造することができるため、本開示の実施例における単結晶炉も、同様に上記有益な効果を奏するが、重複を回避するため、ここで繰り返して説明しない。
【0025】
図5に示すように、選択的な単結晶炉は、坩堝と、坩堝の真上に位置する組立スリーブと、を含み、坩堝は、黒鉛坩堝6及び石英坩堝7を含み、坩堝には、シリコン融液8が収容され、組立スリーブは、シリコン融液8の表面から規定の高さとされ、組立スリーブにおける下筒12の下端開口は、結晶棒5がその内部を通過できるように、結晶棒5の直径よりも少々大きい。
【0026】
上述したのは、本開示の一部の実施形態であり、注意すべきことは、当業者にとって、本開示に記載の原理を逸脱しない前提で、若干の改良及び潤色を更に行うことが可能であり、これらの改良及び潤色も、本開示の保護範囲内であると見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】