(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-07
(54)【発明の名称】NF-κB抑制剤を有するエキソソームを含有する組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20230228BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230228BHJP
A61P 15/06 20060101ALI20230228BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230228BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20230228BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230228BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20230228BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20230228BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230228BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230228BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20230228BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230228BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20230228BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20230228BHJP
C12N 5/071 20100101ALN20230228BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230228BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P15/00 ZNA
A61P15/06
A61P29/00
A61K9/127
A61K47/42
A61K38/02
A61K38/16
A61P43/00 121
A61P31/04
A61K45/06
A61P21/00
A61K47/46
A61K47/64
C12N5/071
C12N15/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540747
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(85)【翻訳文提出日】2022-08-03
(86)【国際出願番号】 US2020067501
(87)【国際公開番号】W WO2021138446
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520154612
【氏名又は名称】イリアス バイオロジクス インコーポレーテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522261330
【氏名又は名称】イリアス セラピューティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,チュルヘ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,キュンスン
(72)【発明者】
【氏名】メノン,ラムクマール
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA16
4C076AA19
4C076AA61
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB31
4C076CC04
4C076CC17
4C076CC32
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA19
4C084AA20
4C084BA01
4C084BA03
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA41
4C084CA18
4C084CA27
4C084DA58
4C084DC50
4C084MA02
4C084MA05
4C084MA24
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA63
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA81
4C084ZB11
4C084ZB35
4C084ZC51
4C084ZC75
(57)【要約】
本発明は、細胞外小胞(エキソソーム)を含む組成物及び胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させるために、子宮及び/または胎児において炎症を治療するために、早産を遅延させるために、または子宮及び/または胎児において炎症に関連する状態を治療するためにこれを使用する方法に関し、ここで、細胞外小胞は、核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤及び光特異結合タンパク質を含む。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞を含む組成物を、これを必要とする対象体に投与することを含む、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、母体及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、あるいは母体及び/又は胎児において炎症に関連した状態を治療する方法。
【請求項2】
細胞外小胞がエキソソームである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光特異結合タンパク質が第1光特異結合タンパク質または第2光特異結合タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1光特異結合タンパク質がエキソソーム特異マーカーに接合され、第1融合タンパク質(融合タンパク質I)を形成し;第2光特異結合タンパク質がNF-κB抑制タンパク質に接合され、第2融合タンパク質(融合タンパク質II)を形成する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
融合タンパク質I及び融合タンパク質IIが第1光特異結合タンパク質及び第2光特異結合タンパク質を通じて可逆的に連結される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
第1光特異結合タンパク質がエキソソームの内側に向かう方向に位置するようにエキソソーム特異マーカーに接合される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
第1光特異結合タンパク質及び第2光特異結合タンパク質がクリプトクロム相互作用ベーシックヘリックスループヘリックスタンパク質(CIB)、CIBのN末端ドメイン(CIBN)、フィトクロムB(PhyB)、フィトクロム相互作用因子(PIF)、フラビン結合、ケルチ繰り返しFボックス1(FKF1)、GIGANTEA、CRY2クリプトクロム2(CRY2)及び光分解酵素相同領域(PHR)からなるグループから選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
第1光特異結合タンパク質がCIBまたはCIBNであり、第2光特異結合タンパク質がCRY2またはPHRであるか、あるいは第1光特異結合タンパク質がCRY2またはPHRであり、第2光特異結合タンパク質がCIBまたはCIBNである、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
第1光特異結合タンパク質がPhyBであり、第2光特異結合タンパク質がPIFであるか、あるいは第1光特異結合タンパク質がPIFであり、第2光特異結合タンパク質がPhyBである、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
第1光特異結合タンパク質がGIGANTEAであり、第2光特異結合タンパク質がFKF1であるか、あるいは第1光特異結合タンパク質がFKF1であり、第2光特異結合タンパク質がGIGANTEAである、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
エキソソーム特異マーカーがCD9、CD63、CD81及びCD82からなるグループから選択される、請求項4に記載のエキソソーム。
【請求項12】
NF-κB抑制剤がNF-κB抑制薬物、NF-κB抑制タンパク質又はその断片、及びこれらの混合物からなるグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
NF-κB抑制タンパク質がIκB、スーパーリプレッサー(super repressor)IκB(srIκB)、IκB-α、IκB-β、IκB-ε及びB細胞リンパ腫3(BCL3)、それらの突然変異体及びこれらの混合物からなるグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
組成物が、経口、経皮、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、膣、子宮内経路又はその混合により投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
請求項1の組成物の投与とともに、投与前又は後に抗生剤又は子宮収縮抑制剤を投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
抗生剤がペニシリン、セファロスポリン、マクロライド、リンコサミド、カルバペネム、グリコペプチド、アミノグリコシド、テトラサイクリン、エリスロマイシン、ニトロイミダゾール、β-ラクタマーゼ抑制剤、これらの誘導体、及びこれらの混合物からなるグループから選択され;子宮収縮抑制剤がプロゲステロン、ニフェジピン、アトシバン、リトドリン、インドメタシン、硫酸マグネシウム、オルシプレナリン、テルブタリン、サルブタモール、フェノテロール、ニリドリン、イソクスプリン、ヘキソプレナリン、及びこれらの混合物からなるグループから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞を含む、胎児の寿命、胎児の生存力又は新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、あるいは妊娠中に子宮及び/又は胎児において炎症に関連する状態を治療するための薬剤学的組成物。
【請求項18】
胎児の寿命、胎児の生存力又は新生児の生存力を増加させたり;子宮及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり;あるいは妊娠中に子宮及び/又は胎児において炎症に関連した状態を治療するための薬剤学的組成物の製造のための、核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞の使用。
【請求項19】
妊娠中の子宮及び/または胎児における炎症に関する状態が、産前炎症反応(prenatal inflammatory response)、早期陣痛(preterm labor)、早期分娩(preterm delivery)、羊膜の早期破裂(preterm rupture of amniotic membrane)、低出生体重(low birth weight)、腺筋症(adenomyosis)、 胎児炎症反応症候群(fetal inflammatory response syndrome)(FIRS)、 子宮筋腫(uterine fibroid)、子宮内炎症(intrauterine inflammation)、絨毛膜羊膜炎(chorioamnionitis)、 羊膜炎(amnionitis)、 羊水感染(amniotic fluid infection)、胎盤感染(placental infection)及び羊膜内感染(intra-amniotic infection)、及びこれらの混合からなるグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
妊娠中の子宮及び/または胎児における炎症に関する状態が、産前炎症反応(prenatal inflammatory response)、早期陣痛(preterm labor)、早期分娩(preterm delivery)、羊膜の早期破裂(preterm rupture of amniotic membrane)、低出生体重(low birth weight)、 腺筋症(adenomyosis)、 胎児炎症反応症候群(fetal inflammatory response syndrome)(FIRS)、 子宮筋腫(uterine fibroid )、及びそれらの混合からなるグループから選択される、請求項17に記載の薬剤学的組成物。
【請求項21】
妊娠中の子宮及び/又は胎児において炎症に関連する状態が、産前炎症反応(prenatal inflammatory response)、 早期陣痛(preterm labor)、早期分娩(preterm delivery)、羊膜の早期破裂(preterm rupture of amniotic membrane)、低出生体重(low birth weight)、 腺筋症(adenomyosis)、 胎児炎症反応症候群(fetal inflammatory response syndrome)(FIRS)、 子宮筋腫(uterine fibroid )、及びこれらの混合からなるグループから選択される、請求項18に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
本出願は、2019年12月30日に出願された米国仮出願第62/955,339号及び2020年10月23日に出願された第63/105,207号に対する優先権を主張し、これらのそれぞれの内容は全文が本願に参考として含まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させるための、子宮及び/または胎児における炎症を治療するための、早産を遅延させるための、または子宮及び/または胎児における炎症に関連する状態を治療するためのNF-κB抑制剤を有する細胞外小胞(エキソソーム)を含有する組成物及びそれを使用する方法に関する。
【0003】
配列目録の参照
本出願は、コンピュータ読み取り可能な形式で提出された配列目録を含み、これは全文が参考として本願に含まれる。
【背景技術】
【0004】
妊娠は、さまざまな内分泌系、傍分泌系及び免疫系が細かくバランスをとっている。多様な胎児及び母体の子宮内組織におけるバランスのとれた活動の妨害は、分娩関連の変化を引き起こす。中断された子宮恒常性による子宮内炎症は、分娩の生物学的エフェクターの1つである。
【0005】
あらゆる種において、分娩は、前炎症性転写因子核因子-κB(NF-κB)により媒介される前炎症性サイトカインとケモカインの増加、及び抗炎症性サイトカインとケモカインの減少とともに、胎児及び母体の子宮組織(子宮、子宮頸部、脱落膜及び胎膜)のすべてにおける免疫細胞の浸潤及び活性化を特徴とする炎症と関連がある。分娩に機械的に寄与する炎症は、胎児の成長と成熟が完了するとき、内分泌及び傍分泌メディエーターの両方により促進される。37週間前に感染またはその他の非感染性危険因子による免疫恒常性の早期崩壊及び圧倒的な炎症は、しばしば自発的な早期妊娠中絶または早産(PTB)を引き起こす。
【0006】
胎膜の早期分娩前破裂(pPROM)がすべてのPTBの~60%を占める。自発的なPTB及びpPROMの大部分は、免疫寛容を無視することができる羊膜内感染と関連して宿主の炎症反応を引き起こす。
【0007】
胎児及び母体組織の白血球がしばらく研究されたが、それらの起源(胎児対母体)は依然として不明である。知識のギャップは、主に生体内の胎児と母体細胞を一貫して区別する特定のタンパク質マーカーの不足によるものである。胎児及び母体組織の分娩経路に対する胎児免疫細胞の機械的寄与に対するより良い理解は、炎症を最小限に抑え、PTBの発生率を減らすための合理的な治療法を開発するために不可欠である。
【0008】
感染及び組織学的絨毛膜羊膜炎(histologic chorioamnionitis)(胎膜への多型核白血球浸潤)による胎児の炎症反応は、しばしばPTBに関連する新生児死亡率及び罹患率の主な決定要因である。いくつかの研究がサイトカイン抑制抗炎症剤(CSAID)を使用して炎症性転写因子NF-κBを阻害することにより、炎症を遮断する治療法を試験している。部分的には、このような提案された薬剤の半減期、送達様式、胎盤透過性、胎児の炎症反応の減少における効果及び催奇性に関する問題により、臨床試験に進行された研究はほとんどなく、臨床的に使用中の研究はない。
【0009】
胎児及び母体組織において炎症または感染症を治療すると、潜在的な早期分娩が遅れる可能性があるが、この治療の目的である胎児または新生児の健康に関する情報は提供されない。
【0010】
不必要な早産を防ぐために、抗炎症剤及び抗生剤を含むさまざまな薬物がテストされたが、問題は依然として解決されずに残っている。例えば、抗炎症剤のような薬物は胎盤を容易に通過できない。さらに、現在の早産関連疾患に使用される薬物は、肺浮腫、腎機能障害、心血管の問題及び代謝障害を含む潜在的な副作用を避けるために慎重に投与されなければならない。さらに、早期陣痛((preterm labor))、早期の子宮内膜症(preterm endometriosis)及び早期の羊膜炎(preterm amnionitis)のような早産合併症の治療に使用される抗生剤は、妊婦、胎児及び新生児への副作用を避けるために慎重に処方されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】N. Yim et al., Nature Communications 7, 12277 (2016)
【非特許文献2】H. Choi et al., Sci Adv 6, eaaz6980 (2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存率を高めるための、子宮及び/または胎児における炎症を治療するための、早産を遅延させるための、または子宮及び/または胎児における炎症に関連する状態を治療するための持続的で長期的な必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の特定の実施形態は、核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞を含む組成物を、それを必要とする対象体に投与することを含み、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、母体及び/または胎児における炎症を治療したり、早産を遅延させたり、母体及び/又は胎児において炎症に関連した状態を治療するための方法を提供する。
【0015】
本発明のもう一つの実施形態は、核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞を含む、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり;子宮及び/または胎児における炎症を治療したり、早産を遅延させたり;妊娠中の子宮及び/または胎児における炎症に関連する状態を治療するための薬剤学的組成物を提供する。
【0016】
本発明のもう一つの実施形態は、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり;子宮及び/または胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり;妊娠中に子宮及び/または胎児において炎症に関連した状態を治療するための薬剤学的組成物の製造のための、核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞の使用を提供する。
【0017】
本発明のもう一つの実施形態は、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/または胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/または胎児において炎症に関連した状態を治療する方法を提供し、上記方法はこれを必要とする対象体に
核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞を含む組成物を投与する段階;及び
細胞外小胞を含む組成物の投与とともに、投与前または投与後に抗生剤または子宮収縮抑制剤を投与する段階を含む。
【0018】
特定の実施形態において、本発明は、胎児に薬物または薬物を伝達する方法及び胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/または胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/または胎児において炎症に関連した状態を治療する方法を提供する。
【0019】
もう一つの実施形態において、本発明は、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり;子宮及び/または胎児において炎症を治療したり;早産を遅延させたり;子宮及び/または胎児において炎症に関連した状態を治療することを含む機能的改善を促進するために、妊婦及び胎児対象体にカーゴまたは薬物を伝達するための、エキソソームを含む細胞外小胞を含む組成物を提供する。
【0020】
特定のもう一つの実施形態において、本発明は
1) 第1光特異結合タンパク質に接合されたエキソソーム特異マーカーを有する第1融合タンパク質;及び
2) 第2光特異結合タンパク質に接合された活性成分として、NF-κB抑制タンパク質またはその断片を有する第2融合タンパク質を有するエキソソームを提供する。
【0021】
もう一つの実施形態において、本発明は
(i) NF-κB抑制タンパク質又はその断片を含む第1成分;及び
(ii)活性成分としての抗生剤又は子宮収縮抑制剤を含む第二成分を有するエキソソームを含む胎児の寿命、胎児の生存力又は新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/又は胎児において炎症に関連する状態を治療するための併用製剤を提供する。
【0022】
特定のもう一つの実施形態において、本発明は
(i) 1)第1光特異結合タンパク質に接合されたエキソソーム特異マーカーを含む第1融合タンパク質;及び2)第2光特異結合タンパク質に接合されたNF-κB抑制タンパク質又はその断片を有する第2融合タンパク質を含む第1成分;及び
(ii)活性成分としての子宮収縮抑制剤又は抗生剤を含む第二成分を有するエキソソームを含む、胎児の寿命、胎児の生存力又は新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/又は胎児において炎症を治療し、早産を遅延させたり、子宮及び/又は胎児において炎症に関連する状態を治療するための併用製剤を提供する。
【0023】
本発明は、NF-κB抑制タンパク質またはその断片を有するエキソソームを早産及び早産関連疾患の治療学的組成物に使用することにより活性剤として効果的に使用できるように、早産及び羊膜の早期破裂を遅延させ、母体血漿、子宮及び子宮頸部、及び妊婦と胎児との間の胎盤障壁の細胞において前炎症性及び抗炎症性サイトカインのレベルを調節する治療剤を提供する。
【0024】
もう一つの実施形態において、本発明は、その組成物及び方法のための生物学的活性カーゴを含む50-200nm直径サイズまたは50-150nm直径サイズのエキソソームを提供する。
【0025】
本発明のもう一つの特定の実施形態において、エキソソームは、スーパーリプレッサー(super repressor) IκB(SRまたはsrIκB、配列番号1)と呼ばれるNF-κBの生物学的阻害剤の突然変異形態を含むように操作される (N. Yim et al., Nature Communications 7, 12277 (2016); H. Choi et al., Sci Adv 6, eaaz6980 (2020)、これらそれぞれの内容は本願に参考として含まれる)。
【0026】
もう一つの実施形態において、本発明は、操作されたエキソソームの胎児特異的トラフィッキング、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/または胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/または胎児において炎症に関連した状態を治療する方法を提供する。
【0027】
一つの実施形態において、本発明は、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/または胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/または胎児において炎症に関連した状態を治療するための活性成分としてNF-κB抑制タンパク質またはその断片を有するエキソソームを含む組成物を提供する。
【0028】
特定の実施形態において、本発明は、NF-κB抑制タンパク質またはその断片を有するエキソソームを早産及び早産関連疾患の治療学的組成物に使用することにより活性剤として効果的に使用できるように、早産及び羊膜の早期破裂を遅延させ、母体血漿、子宮及び子宮頸部、及び妊婦と胎児との間の胎盤障壁の細胞において前炎症性及び抗炎症性サイトカインのレベルを調節する治療剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1a】
図1a~1dは、EXPLOR(Exosomes for Protein Loading Via Optically Reversible Protein-Protein Interactions)の技術を使用したNF-κB抑制剤、スーパーリプレッサーIκB(SRまたはsrIκB)を有する操作されたエキソソームの特性化を示す。
図1aはスーパーリプレッサーIκBロードされたエキソソーム(Exo-srIκB)を生成するのに使用されるDNA作製物の概略図(上部)及び融合タンパク質及びExo-srIκBを生成するための光依存性タンパク質-タンパク質相互作用の提案された活性を示す概略図(下部)を提供する。
【
図1b】透過電子顕微鏡(TEM)を使用したナイーブエキソソーム(Exo-Naive)とExo-srIκBの形態学的特性化を提供する。
【
図1c】ナノ粒子の追跡・分析(NTA)により決定されたナイーブエキソソーム(Exo-Naive)及びExo-srIκBのサイズと濃度を示す代表的なグラフを提供する。
【
図1d】ウエスタン・ブロットによるエキソソーム生成細胞及び単離されたエキソソームのタンパク質プロファイルに関する結果を提供し、ここで、融合タンパク質、mcherry-srIκB-CRY2及びCIBN-EGFP-CD9を安定的に発現するHEK293T細胞、及びこれらHEK293T細胞に由来したエキソソームを溶解させ、表示されたタンパク質に対してウエスタン・ブロットを実施する。共通のエキソソームマーカーであるテトラスパニンTSG101及びCD63、及びGAPDHは細胞及びエキソソームで検出された一方、ゴルジ体由来GM130は細胞溶解物のみで検出された。
【
図2a】
図2a~2dは、仔(新生児)の生存力及び体重に対するExo-srIκBの効果を示す。LPSを注射した妊娠15週目のCD-1マウスにExo-srIκBを注射した。
図2aは多様な注射経路によりリン酸塩緩衝塩水(PBS)、脂質多糖類(LPS)またはLPS+Exo-srIκB処理グループを注射したマウスにおいて胎児の生存率を示し、ここで、グループは以下の通りである:(1)PBS:LPSは注射せずにPBSのみ注射する;(2)LPS:LPSは注射するが、追加の処理はない;(3)LPS+N IP:LPS注射後、Exo-Naiveの腹腔内注射;(4)LPS+SR IP:LPS注射後、Exo-srIκBの腹腔内注射;(5)LPS+SR IV:LPS注射後、Exo-srIκBの静脈内注射; (6)LPS+SR IM:LPS注射後、Exo-srIκBの筋肉内注射;及び(7)LPS+SR SubQ:LPS注射後、Exo-srIκBの皮下注射。
【
図2b】
図2aの同一のグループでLPS注射後の生存時間を示す。
【
図2c】母体の平均体重(左)と生まれたばかりの仔体重(右)を提供する。データはTukeyの事後検定とともに、一元ANOVAを用いて分析された。
【
図2d】E16(マウス胎生16日目)に収集当時のPBS、LPS及びLPS+Exo-srIκB処理グループからの仔のイメージを提供する。すべてのグループに対してn
>4である。
【
図3a】
図3a~3fは、妊娠15週目のLPS注射されたCD-1マウスにおいて母体血漿から単離された細胞における前炎症性サイトカイン、IL-1β(
図3a)、IL-6(
図3b)、及びIL-8(
図3c)、及び抗炎症性サイトカインIL-10(
図3d)のレベル、及び子宮頸部において(
図3e)及び子宮において(
図3f)炎症性転写因子NF-κBのレベルに対するExo-srIκBの効果を示し、ここで、グループは以下の通りである:PBS:LPSは注射せずにPBSのみ注射する;LPS:LPSは注射するが、追加の処理はない;LPS+Naive:LPS注射後、Exo-Naiveで処理;及びLPS+SR:LPS注射後、Exo-srIκBで処理。
【
図4】胎児の細胞トラフィッキング(fetal cell trafficking)のための遺伝子移植の動物モデルを生産する方法を示す。母体組織への胎児の細胞トラフィッキングを研究するために、すべての細胞と組織で発現される膜標的タンデム二量体Tomato(mT)赤色蛍光タンパク質を有するマウスモデルが開発された。雌性野生型(C57BL/6J)マウスは、母体組織ではなく、すべての胎児の組織がmTを発現するように同型接合された雄と交配した。母体子宮において胎児の炎症細胞の移動は共焦点顕微鏡により検出された。
【
図5】妊娠モデルのマウスから単離された母体子宮及び胎膜の炎症細胞を特性化するのに用いられた概略図を示す。母体及び胎児炎症細胞は、フローサイトメトリーにより細胞移動及びプロファイル変化について分析された。
【
図6a】
図6は、母体及び胎児炎症細胞及び前炎症性胎児マクロファージ(M1)及び抗炎症性胎児マクロファージ(M2)の移動及びプロファイル変化に対するExo-srIκBの効果を示すグラフである。妊娠モデルのマウスにPBS、LPS及びLPS+Exo-srIκBを注射し、Exo-srIκBによる炎症細胞のプロファイル変化を分析し、ここで、グループは次の通りである:PBS:LPSは注射せず、PBSのみ注射する;LPS:LPSは注射するが、追加の処理はない;及びLPS+SR:LPS注射後、Exo-srIκBで処理。
図6aは子宮における胎児M1:M2の割合を示す。
【
図6b】子宮における前炎症性細胞:抗炎症性細胞の割合を示す。
【
図6d】胎膜における前炎症性細胞:抗炎症性細胞の割合を示す。
【
図7a-c】
図7a~7dは、胎膜への好中球浸潤及び組織学的絨毛膜羊膜炎(HCA)に対するExo-srIκB処理の効果を示す。蛍光顕微鏡を使用してPBS注射されたマウス(
図7a)、LPS-注射されたマウス(
図7b)及びLPS+Exo-srIκ-注射されたマウス(
図7c)において赤色蛍光タンパク質tdTomato(mT)発現細胞を好中球マーカーLy6G(緑色膜蛍光)と共局在化(colocalization)した。スケールバーは10μmを示す。
【
図7d】PBS、LPS、及びLPS+Exo-srIκB(LPS-SR)注射されたマウスにおいて、胎膜のLy6G+好中球に対する共局在化の定量の結果を示す。すべての実験グループに対してn
>5であり、データはTukeyの事後検定とともに一元ANOVAを用いて分析された。
【
図8a】
図8a~8eは、マウスのPBS、LPS及びLPS+Exo-srIκB注射されたグループの胎児及び母体好中球及びナチュラルキラー(NK)細胞のフローサイトメトリーを示す。
図8a:胎盤の好中球。
【
図8c】
図8c:子宮頸部のNK1.1+及びNK1.1+/DX5+細胞。
【
図8d】
図8d:胎盤のNK1.1+及びNK1.1+/DX5+細胞。
【
図8e】
図8e:胎膜のNK1.1+及びNK1.1+/DX5+細胞。すべてのグループに対してn
>4である。データは平均±SEMで表示される P値は多重分析のためのTukey補正とともに、二元ANOVAを使用して計算された。*P
<0.05 *P
<0.01 **P
<0.001 ***P
<0.0001。
【
図9a】
図9a~9cは、母体組織に局所化された胎児マクロファージを示す。
図9a:子宮頸部。
【
図9c】
図9c:脱落膜。共局在化の3次元モデルの矢印は、胎児マクロファージ(mT+ F4/80+)を示す。
【
図10】LPS-及びLPS+Exo-srIκB注射されたグループからの母体及び胎児組織における免疫細胞浸潤に対するExo-srIκBの効果を示す。免疫細胞浸潤をLPS(左)とLPS+Exo-srIκB(右にLPS+SRで表示)処理間で比較し、これは、主に胎児反応であり、Exo-srIκB処理で胎児-母体の界面で減少する。LPS注射されたマウスの免疫細胞浸潤。矢印は細胞数の増加または減少を示す。*P=0.07; **P=0.06。
【
図11a】大腸菌(E.coli)濃度の測定のための研究を示す:E15日(マウス胎生15日目)に、妊娠したCD 1マウスに膣投与により1E+03、1E+06、1E+10及び1E+11 CFU/mlの用量で、大腸菌を注射した。投与後、早産をモニタリングするために、マウスをビデオ監視下に置いた。
【
図11b】早産を誘導するために、1E+11 CFU/mlの大腸菌で得られた最適の濃度の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞を含む組成物を、これを必要とする対象体に投与することを含み、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、母体及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、母体において、望ましくはこれに制限されないが、子宮内及び/又は胎児において炎症に関連した状態を治療する方法を提供する。
【0031】
本発明は、また、核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞を含む、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり;子宮及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり;妊娠中、子宮及び/又は胎児において炎症に関連した状態を治療するための薬剤学的組成物を提供する。
【0032】
また、本発明は、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり;子宮及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり;妊娠中、子宮及び/又は胎児において炎症に関連した状態を治療するための薬剤学的組成物の製造のための、核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞の使用を提供する。
【0033】
また、本発明はこれを必要とする対象体に
核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞を含む組成物を投与する段階;及び
細胞外小胞を含む組成物の投与とともに、投与前に、または投与後に抗生剤または子宮収縮抑制剤を投与する段階を含み、
胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/又は胎児において炎症に関連した状態を治療する方法を提供する。
【0034】
特定の実施態様において、本発明は、胎児に薬物または薬物を伝達する方法及び胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/又は胎児において炎症に関連した状態を治療する方法を提供する。
【0035】
もう一つの実施形態において、本発明は
(i) NF-κB抑制タンパク質又はその断片を含む第1成分;及び
(ii)活性成分としての抗生剤又は子宮収縮抑制剤を含む第二成分を有するエキソソームを含む胎児の寿命、胎児の生存力又は新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/又は胎児において炎症に関連する状態を治療するための併用製剤を提供する。
【0036】
特定のもう一つの実施形態において、本発明は
(i) 1)第1光特異結合タンパク質に接合されたエキソソーム特異マーカーを含む第1融合タンパク質;及び2)第2光特異結合タンパク質に接合されたNF-κB抑制タンパク質又はその断片を有する第2融合タンパク質を含む第1成分; 及び
(ii)活性成分としての子宮収縮抑制剤又は抗生剤を含む第二成分を有するエキソソームを含む、胎児の寿命、胎児の生存力又は新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/又は胎児において炎症に関連する状態を治療するための併用製剤を提供する。
【0037】
本発明は、NF-κB抑制タンパク質またはその断片を有するエキソソームを早産及び早産関連疾患の治療学的組成物に使用することにより、活性剤として効果的に使用できるように、早産及び羊膜の早期破裂を遅延させ、母体血漿、子宮及び子宮頸部、及び妊婦と胎児との間の胎盤障壁の細胞において前炎症性及び抗炎症性サイトカインのレベルを調節する治療剤を提供する。
【0038】
もう一つの実施形態において、本発明は、その組成物または方法のための生物学的活性カーゴを含む50-200nm直径サイズまたは50-150nm直径サイズのエキソソームを提供する。
【0039】
本発明のもう一つの特定の実施形態において、エキソソームは、スーパーリプレッサー IκB(SRまたはsrIκB、配列番号1)と呼ばれるNF-κBの生物学的抑制剤の突然変異形態を含むように操作される(N. Yim et al., Nature Communications 7, 12277 (2016); H. Choi et al., Sci Adv 6, eaaz6980 (2020)。
【0040】
もう一つの実施形態において、本発明は、操作されたエキソソームの胎児特異的トラフィッキング、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/または胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/または胎児において炎症に関連した状態を治療するための方法を提供する。
【0041】
一つの実施形態において、本発明は、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/または胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/または胎児において炎症に関連した状態を治療するための活性成分としてNF-κB抑制タンパク質またはその断片を有するエキソソームを含む組成物を提供する。
【0042】
特定の実施形態において、本発明は、NF-κB抑制タンパク質またはその断片を有するエキソソームを早産及び早産関連疾患の治療学的組成物に使用することにより活性剤として効果的に使用できるように、早産及び羊膜の早期破裂を遅延させ、母体血漿、子宮及び子宮頸部、及び妊婦と胎児との間の胎盤障壁の細胞において前炎症性及び抗炎症性サイトカインのレベルを調節する治療剤を提供する。
【0043】
細胞外小胞
本発明は、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/または胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/または胎児において炎症に関連した状態を治療するのに効果的な、細胞外小胞、望ましくはエキソソームを含む組成物を提供する。実施例は、エキソソームを利用して提示されるが、これはエキソソームに制限されるものではなく、類似の機能を遂行する、当業界の通常の熟練家に知られた細胞外小胞であってもよい。
【0044】
特定のもう一つの実施形態において、本発明は
1) 第1光特異結合タンパク質に接合されたエキソソーム特異マーカーを有する第1融合タンパク質;及び
2) 第2光特異結合タンパク質に接合された活性成分としてのNF-κB抑制タンパク質またはその断片を有する第2融合タンパク質を有するエキソソームを提供する。
【0045】
本発明で使用されるエキソソームにおいて、
光特異結合タンパク質は、第1光特異結合タンパク質または第2光特異結合タンパク質であり;
第1光特異結合タンパク質はエキソソーム特異マーカーに接合されて第1融合タンパク質(融合タンパク質I)を形成し;第2光特異結合タンパク質はNF-κB抑制タンパク質に接合されて第2融合タンパク質(融合タンパク質II)を形成し;
融合タンパク質I及び融合タンパク質IIは、第1光特異結合タンパク質及び第2光特異結合タンパク質を通じて可逆的に連結され;
第1光特異結合タンパク質はエキソソームの内側に向かう方向に位置するようにエキソソーム特異マーカーに接合され;
第1光特異結合タンパク質及び第2光特異結合タンパク質は、クリプトクロム相互作用ベーシックヘリックスループヘリックスタンパク質(CIB)、CIBのN末端ドメイン(CIBN)、フィトクロムB(PhyB)、フィトクロム相互作用因子(PIF)、フラビン結合、ケルチ繰り返しFボックス1(FKF1)、GIGANTEA、CRY2クリプトクロム2(CRY2)及び光分解酵素相同領域(PHR)からなるグループから選択され、
ここで、第1光特異結合タンパク質はCIBまたはCIBNであり、第2光特異結合タンパク質はCRY2またはPHRであるか、第1光特異結合タンパク質はCRY2またはPHRであり、第2光特異結合タンパク質はCIBまたはCIBNであるか;
ここで、第1光特異結合タンパク質はPhyBであり、第2光特異結合タンパク質はPIFであるか、第1光特異結合タンパク質はPIFであり、第2光特異結合タンパク質はPhyBであるか;
ここで、第1光特異結合タンパク質はGIGANTEAであり、第2光特異結合タンパク質はFKF1であるか、第1光特異結合タンパク質はFKF1であり、第2光特異結合タンパク質はGIGANTEAであり;
エキソソーム特異マーカーはCD9、CD63、CD81及びCD82からなるグループからなるグループから選択され;
NF-κB抑制剤は、NF-κB抑制薬物、NF-κB抑制タンパク質またはその断片、及びこれらの混合物からなるグループから選択される。
【0046】
エキソソームは、一つ以上のNF-κB抑制剤を含むように操作され、妊娠した対象体に投与される際、危険が発生した胎児及び新生児の健康と生存力を向上させ、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/または胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/または胎児において炎症に関連した状態を治療する方法を提供する。
【0047】
本願に使用された用語「エキソソーム」は、約50-200nmの範囲のサイズを有する小さな細胞外小胞(EV)を指す。
【0048】
エキソソームは、すべての類型の細胞から放出され、タンパク質、DNA及びRNAを含む多様な細胞構成要素を含有することができる。エキソソームは、生体内投与のためのタンパク質治療剤のような生体分子の伝達のための安定した形態を提供するという独特な利点を提供する。
【0049】
すべての詳細を羅列せず、米国特許第10,702,581号の内容は、HEK293細胞で本発明のNF-κB抑制剤を含有するエキソソームを製造するための組成物及び方法を提供するために本願に参考として含まれる。簡単に言えば、一対のタンパク質:エキソソーム特異マーカー及びカーゴタンパク質、例えば、NF-κB抑制剤を、エキソソームを高濃度に生産するために選択された宿主細胞で発現させる。エキソソーム特異マーカーをCIBNまたはCRY2(これらは特定波長の光の存在下でのみ結合する)のような光特異結合タンパク質を含む融合タンパク質として発現するように操作する。一旦宿主細胞がエキソソームと一対のタンパク質を生成すれば、宿主細胞に選択的光波長を照射してエキソソーム特異マーカーとカーゴタンパク質の結合を誘導して光誘導二量体タンパク質を形成する。その後、二量体はエキソソーム特異マーカーの作用によりエキソソームに入る。光照射が終了する時、二量体はエキソソーム内部のカーゴタンパク質と光特異結合タンパク質に分離される。その結果、融合タンパク質から分離された遊離カーゴタンパク質を含有するエキソソームを効率よく製造することができる。
【0050】
本発明の追加の実施態様において、本発明のエキソソームは光特異結合タンパク質をさらに含み、ここで、
光特異結合タンパク質は、照射のとき、互いに可逆的に相互作用する第1光特異結合タンパク質及び第2光特異結合タンパク質を含み;
第1光特異結合タンパク質はエキソソーム特異マーカーに接合されて第1融合タンパク質(融合タンパク質I)を形成し;第2光特異結合タンパク質は、NF-κB抑制タンパク質に接合されて第2融合タンパク質(融合タンパク質II)を形成し;
融合タンパク質I及び融合タンパク質IIは、第1光特異結合タンパク質及び第2光特異結合タンパク質を通じて可逆的に連結されたり;
第1光特異結合タンパク質は、エキソソームの内側に向かう方向に位置するようにエキソソーム特異マーカーに接合される。
【0051】
用語「光特異結合タンパク質」は、光誘導異種二量体タンパク質光誘導同種二量体タンパク質を指す。特定波長の光で照射されるとき、異なる類型の両タンパク質が異種二量体タンパク質を形成、又は同一の類型の両タンパク質が、同種二量体タンパク質を形成することができる。
【0052】
特定の実施態様において、第1光特異結合タンパク質及び第2光特異結合タンパク質は、CIB(クリプトクロム相互作用ベーシックヘリックスループヘリックスタンパク質)、CIBN(CIBのN末端ドメイン)、PhyB(フィトクロムB)、PIF(フィトクロム相互作用因子)、FKF1(フラビン結合、ケルチ繰り返しFボックス1)、GIGANTEA、CRY2(クリプトクロム2)及びPHR(光分解酵素相同領域)からなるグループから選択されるが、これに制限されない。
【0053】
もう一つの特定の実施態様において、第1光特異結合タンパク質はCIBまたはCIBNであり、第2光特異結合タンパク質はCRYまたはPHRであるか;第1光特異結合タンパク質はCRYまたはPHRであり、第2光特異結合タンパク質はCIBまたはCIBNである。
【0054】
さらなる実施態様において、第1光特異結合タンパク質はPhyBであり、第2光特異結合タンパク質はPIFであるか、第1光特異結合タンパク質はPIFであり、第2光特異結合タンパク質はPhyBである。
【0055】
さらなる実施態様において、第1光特異結合タンパク質はGIGANTEAであり、第2光特異結合タンパク質はFKF1であるか、第1光特異結合タンパク質はFKF1であり、第2光特異結合タンパク質はGIGANTEAである。
【0056】
本願に使用された用語「光」はエキソソーム生成細胞で発現される第1光特異結合タンパク質及び第2光特異結合タンパク質を一時的に組み合わせるために照射される光を指す。例えば、青、赤、黄色光、望ましくは450-485ナノメートル、より望ましくは488ナノメートル波長の青色光である。特定波長の光放出は細胞に害を及ぼす可能性がある。
【0057】
本発明において、用語「エキソソーム特異マーカー」は、エキソソームの膜に豊富に存在するタンパク質を意味する。エキソソーム特異マーカーはCD9、CD63、CD81及びCD82からなるグループから任意に選択されるが、これに制限されない。
特定の実施態様において、本発明は、その組成物及び方法のための生物学的活性カーゴを含有する50-200nm直径サイズまたは50-150nm直径サイズのエキソソームを提供する。
【0058】
NF-κB抑制剤
本発明は、NF-κB抑制剤を含む細胞外小胞を提供し、使用し、
ここで、
NF-κB抑制剤は、NF-κB抑制薬物、NF-κB抑制タンパク質又はその断片、及びこれらの混合物からなるグループから選択され;
ここで、NF-κB抑制タンパク質は、スーパーリプレッサーIκB(SRIκB)、IκB-α、IκB-β、IκB-ε及びB細胞リンパ腫3(BCL3)、その突然変異体及びこれらの混合物からなるグループから選択される。
【0059】
広範囲には、NF-κB抑制剤は、NF-κB抑制薬物、NF-κB抑制タンパク質またはその断片、及び/またはこれらの混合物からなるグループから選択される。
【0060】
特に、NF-κB抑制タンパク質は、スーパーリプレッサーIκB、IκB-α、IκB-β、IκB-ε、BCL-3、その突然変異体及び/またはこれらの混合物からなるグループから選択される。
【0061】
一つの実施形態において、NF-κB抑制タンパク質は、スーパーリプレッサーIκBであるが、細胞質においてNF-κBに結合してNF-κBの活性化を抑制できるタンパク質のいずれであってもよい。
【0062】
もう一つの実施形態において、本発明のエキソソームは、スーパーリプレッサー(SR)IκB(srIκB、配列番号1)というNF-κBの生物学的抑制剤の突然変異形態を含有する。突然変異スーパーリプレッサーIκBは、IκBキナーゼ(IKK)によるリン酸化及びプロテアソームによる分解を避ける。
【0063】
本発明のさらなる実施様態において、srIκBムテインはIκB(配列番号2)のSer32及びSer36をAlaに置き換える。
【0064】
配列番号1ホモ・サピエンス、スーパーリプレッサーIκB (srIκB)
MFQAAERPQEWAMEGPRDGLKKERLLDDRHDAGLDAMKDEEYEQMVKELQEIRLEPQEVPRGSEPWKQQLTEDGDSFLHLAIIHEEKALTMEVIRQVKGDLAFLNFQNNLQQTPLHLAVITNQPEIAEALLGAGCDPELRDFRGNTPLHLACEQGCLASVGVLTQSCTTPHLHSILKATNYNGHTCLHLASIHGYLGIVELLVSLGADVNAQEPCNGRTALHLAVDLQNPDLVSLLLKCGADVNRVTYQGYSPYQLTWGRPSTRIQQQLGQLTLENLQMLPESEDEESYDTESEFTEFTEDELPYDDCVFGGQRLTL
【0065】
配列番号2ホモ・サピエンス、IκB-α
MFQAAERPQEWAMEGPRDGLKKERLLDDRHDSGLDSMKDEEYEQMVKELQEIRLEPQEVPRGSEPWKQQLTEDGDSFLHLAIIHEEKALTMEVIRQVKGDLAFLNFQNNLQQTPLHLAVITNQPEIAEALLGAGCDPELRDFRGNTPLHLACEQGCLASVGVLTQSCTTPHLHSILKATNYNGHTCLHLASIHGYLGIVELLVSLGADVNAQEPCNGRTALHLAVDLQNPDLVSLLLKCGADVNRVTYQGYSPYQLTWGRPSTRIQQQLGQLTLENLQMLPESEDEESYDTESEFTEFTEDELPYDDCVFGGQRLTL
【0066】
さらなる実施態様において、IκB-βは配列番号3-6のアミノ酸配列を有する任意のポリペプチドを含む。IκB-εは配列番号7のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0067】
追加の実施態様において、BCL-3は配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0068】
NF-κB抑制剤を含有する細胞外小胞の製造方法
本発明は次の段階を含むが、これに制限されない方法により製造され得るNF-κB抑制タンパク質またはその断片を有するエキソソームを含む。
a) エキソソーム特異マーカー及び第1光特異結合タンパク質を有する第1融合タンパク質を暗号化するポリヌクレオチド及びNF-κB抑制タンパク質又はその断片及び第1光特異結合タンパク質に接合できる第2光特異結合タンパク質を有する第2融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドをエキソソーム生成細胞に導入する段階;
b) エキソソーム生成細胞にLED光を照射して第1光特異結合タンパク質と第2光特異結合タンパク質との間の接合を誘導する段階;及び
c) エキソソーム生成細胞でエキソソームの生成が確認された後、照射を中断する段階。
【0069】
本願に使用された用語「エキソソーム生成細胞」は、エキソソームを生成できる細胞を指す。
【0070】
エキソソーム生成細胞は、T-リンパ球、樹状細胞、巨核細胞(巨核球)、マクロファージ、幹細胞及び腫瘍細胞であるが、特に制限されたB-リンパ球ではない。一つの実施態様において、エキソソーム生成細胞は不滅化細胞株であるHEK293FまたはHEK293T細胞を含むHEK293細胞である。
【0071】
NF-κB抑制剤を含む細胞外小胞の使用
本発明は、薬物を胎児に伝達し、胎児の寿命または胎児及び新生児の生存力を改善する方法を提供する。
【0072】
依然としてさらなる実施形態において、本発明は、機能的変化を誘発するためにNF-κB抑制剤、例えば、薬物、抑制タンパク質またはその断片を母体及び胎児単位で伝達するためのエキソソームを含む細胞外小胞を含有する組成物を提供する。
【0073】
本発明による「対象体」は、NF-κB抑制剤を含む本発明のエキソソームの投与から利益を得る任意の哺乳動物であることが広範囲に考慮される。本発明による対象体は、雄性または雌性の任意の哺乳動物であってもよい。妊娠した胎児又は乳児の早期分娩の危険を治療し、又は減少させるための目的で、対象体は仔を産む雌性哺乳動物である。ヒト医学の場合、対象体は早期分娩の危険がある妊婦である。獣医学の場合、対象体はまたこのような治療が望ましく効果的な、早産の危険がある非ヒト哺乳動物である妊娠した雌性を含む。したがって、対象体は任意の妊娠した雌性の家畜または野生哺乳動物であってもよい。野生哺乳動物は、獣医学的管理が提供される飼育中の動物、例えば、霊長類、例えば、サル、類人猿、ネコ科、例えば、ライオン、トラ、その他の野生動物、例えば、ゾウ、シマウマ、ラクダ科、イヌ科、例えば、オオカミ、水生哺乳動物、例えば、イルカ、クジラ類、例えば、クジラなどを含む。家畜は、伴侶動物、例えば、ネコ及びイヌ、経済的に有用な家畜、例えば、ウマ、ウシ、ブタ、Capra属の構成員、例えば、ヤギ、及びこのような治療が望ましく効果的な任意の他の哺乳動物であってもよい。
【0074】
一つの実施の態様において、早産は妊娠20~37週以前に分娩することをいう。
【0075】
本発明による対象体は、また、実験モデルシステムに使用される哺乳動物(例えば、薬物をスクリーニング、特性化及び評価するための研究におけるマウス及びラット)及び試験に使用されるその他の哺乳動物、例えば、ウサギ、モルモット、ハムスター、ネコや類人猿、例えばチンパンジー、ゴリラ、サルを含む。
【0076】
本発明は、スーパーリプレッサーIκB(SR-エキソソーム)のようなNF-κB抑制タンパク質を有するエキソソームが早産及び対象体の羊膜の早期破裂を遅らせることにより、対象体において危険がある妊娠(at risk pregnancy)を延長できるということを提供する。
【0077】
一つの実施態様において、早産モデル(脂質多糖類「LPS」投与により誘導された早産)のマウスにSRエキソソームを投与すると、非処理LPSマウスに比べてLPSマウスで妊娠期間が延長される。また、SRエキソソームは、NF-κB活性を減少させ、前炎症性サイトカインや抗炎症性サイトカインのレベルを増加させることが明らかになった。
【0078】
本発明は、NF-κB抑制タンパク質(IκB)またはその断片を有するエキソソームを活性成分として使用する、早産及び早産関連の疾患を予防または治療するための組成物を提供する。
【0079】
エキソソームは、目的タンパク質またはタンパク質の運搬体としての役割をすることができ、目的タンパク質(ら)を標的細胞または組織に伝達することができるため、特定疾患の治療又は診断に用いることができる。
【0080】
本発明は、NF-κB抑制剤を有する細胞外小胞(エキソソーム)を含有する組成物を、これを必要とする対象体に投与することを含み、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/又は胎児において炎症に関連した状態を治療する方法を提供し、ここで、
組成物は、経口、経皮、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、脊椎腔内、膣、子宮内又は混合経路を介して投与される。
【0081】
さらなる実施態様において、本発明は、NF-κB抑制剤を有する細胞外小胞(エキソソーム)、一つ以上の抗生剤及び/又は子宮収縮抑制剤を含有する組成物を、これを必要とする対象体に同時にまたは別途に投与することを含み、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、子宮及び/又は胎児において炎症に関連した状態を治療する方法を提供し、
ここで、一つ以上の抗生剤は、ペニシリン、セファロスポリン、マクロライド、リンコサミド、カルバペネム、グリコペプチド抗生剤、アミノグリコシド抗生剤、テトラサイクリン抗生剤、エリスロマイシン、ニトロイミダゾール、β-ラクタマーゼ抑制剤、これらの誘導体、及びこれらの混合物からなるグループから選択され;子宮収縮抑制剤は、プロゲステロン、ニフェジピン、アトシバン、リトドリン、インドメタシン、硫酸マグネシウム、オルシプレナリン、テルブタリン、サルブタモール、フェノテロール、ニリドリン、イソクスプリン、ヘキソプレナリン、及びこれらの混合物からなるグループから選択されるが、これに制限されない。
【0082】
特定の実施態様において、抗生剤は、ペニシリン、セファロスポリン、マクロライド系抗生剤、リンコサミド、カルバペネム、グリコペプチド、アミノグリコシド、テトラサイクリン、ニトロイミダゾール、又はこれらの二つ以上の組合せであるが、これに制限されない。例えば、ペニシリンは、ペニシリンG、ペニシリンV、アンピシリン、アモキシシリン、またはピペラシリンを含み;セファロスポリンはセファゾリン、セフロキシム、セフォテタン、セフメタゾール、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフォペラゾン、セフロメロム、セフェピム、セファレキシン、セフラジン、セファドロキシル、セファクロル、セフプロジル、ロラカルベフ、セフポドキシム、セフポドキシム、またはセフィキシムを含み; マクロライドは、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、チロシン、ジョサマイシンまたはロイコマイシンを含み;リンコサミドは、リンコマイシンまたはクリンダマイシンを含み;カルバペネムは、イミペネム、メロペネム、ドリペネムまたはエルタペネムを含み;グリコペプチドはテイコプラニンが含むことができ;アミノグリコシドは、ゲンタマイシン、トブラマイシンまたはアミカシンを含み;テトラサイクリンはテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリンまたはミノサイクリンを含むが、これに制限されない。
【0083】
特別な実施態様において、抗生剤はペニシリンまたはβ-ラクタマーゼ抑制剤である。
【0084】
特定の実施態様において、本発明は0.1-150mg/kg、1-100mg/kg、5-75mg/kg、5-50mg/kg、7-20mg/kg、または10-15mg/kgの用量の抗生剤、子宮収縮抑制剤(tocolytic agent)または子宮収縮抑制剤を使用する。
【0085】
本発明の特定の実施態様において、組成物は薬剤学的組成物であり、薬剤学的有効量で投与される。本願で使用されるように、「薬剤学的有効量」は医学的治療に適用できる合理的な利益/リスク比で疾患を治療するのに十分な量を指し、有効量は患者の疾患の類型、疾患重症度、薬物の活性、薬物に対する感受性、投与時期、投与経路及び滲出率、治療期間、同時に使用される追加薬物及び医療分野における周知の要因に応じて決定される。本願で使用されるように、本発明の組成物は、個別治療剤として、または他の治療剤と組み合わせて投与され得る。通常の治療剤と組み合わせて使用される薬剤学的組成物は、順次または同時に投与することができ、1回または複数回投与することができる。上記のすべての要因を考慮し、副作用なしに最少量で最大効果を有する組成物の量を投与することが重要であり、これは当業者により容易に決定されることができる。
【0086】
本発明のNF-κB抑制エキソソームを含む薬剤学的組成物は、経口投与、 注射または注入のためにエキソソームを剤形化するのに必要な薬学的に許容される担体、賦形剤及び添加剤を含んでもよい。これらは、例えば、安定化剤、界面活性剤、硬化剤、潤滑剤、可溶化剤、緩衝剤、懸濁剤、抗酸化剤、湿潤改質剤、消泡剤、防腐剤、緩衝剤、等張性緩衝溶液、pH調整剤などを含む。経口剤形の場合、コーティング、香味剤及び甘味剤が任意に含まれる。
【0087】
本発明の薬剤学的組成物は、好ましくは妊娠20週~34週未満のヒト対象体に投与される。
【0088】
本発明の薬剤学的組成物は、経口、注入、非経口または他の当業界において公知となった投与経路により投与することができる。追加の投与経路には、例えば、経皮、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、膣または子宮内投与を含む。さらに、薬剤学的組成物は、活性成分を標的細胞に移動させることができる任意の装置により投与することができる。
【0089】
本願の薬剤学的組成物の投与形態は、剤形化方法、投与方法、患者の年齢、体重、疾患、症状及び症状の重症度に応じて適切に選択することができるが、特に限定されない。例えば、錠剤(舌下及び発泡錠を含む)、顆粒、酸、液体、シロップ(ドライシロップを含む)、ゼリー製剤、カプセル(軟質カプセル、マイクロカプセルを含む)による経口投与;注射(皮下注射、静脈内、筋肉内、腹腔内など)及び膣錠、膣軟膏/クリーム、膣内リング、膣用ゲルまたは膣発泡剤、膣挿入坐薬(直腸坐薬、膣坐薬を含む)、子宮内送達システム、吸入器、経皮吸収剤、点眼液及び点鼻液による非経口投与などが挙げられる 。
【0090】
本願の薬剤学的組成物の投与量は、患者の年齢、性別、体重、疾患、症状及びその重症度に応じて適切に決定される。一般に、体重kg当たり0.05-150mg、体重kg当たり0.1mg~100mg、または体重kg当たり0.5mg~50mgを毎日、隔日に、一日一回または複数回投与することができるが、本発明の範囲に限定される。
【0091】
本願の薬剤学的組成物の剤形は、当業界において公知となった添加剤を含むことができる。例えば、経口投与用固形剤形は、活性成分に賦形剤、結合剤、崩壊剤、活性剤、着色剤、香味剤及び/または芳香剤を添加した後、常法に従って成形、造粒またはカプセル化することにより、錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤及びカプセル剤の形態で製造することができる。経口投与の経口液体剤形は、アジュバント、懸濁剤、香味剤、緩衝剤、等張剤、安定剤及び/または芳香剤を溶解する溶媒(例えば、精製水またはエタノール)を活性成分に添加した後、常法により、未精製流体を分配することにより経口液体シロップの形態に製造することができる。注射投与溶液は、pH調節剤、緩衝剤、安定剤、等張剤及び/または局所麻酔剤を常法により、容器に無菌混入して製造された活性剤と混合し、皮下、筋肉内及び静脈内に溶解することにより製造することができる。直腸坐薬は、活性成分に混合賦形剤及び界面活性剤を添加した後、常法により混合及び成形することにより製造することができる。軟膏剤形は、常法により活性成分に白色ワセリンまたはパラフィンのような基剤、安定剤、湿潤剤、メチルペルオキシ安息香酸のような防腐剤を添加することにより、ペースト、クリーム及びゲル形態に製造することができる。
【0092】
本発明は、さらに
NF-κB抑制タンパク質又はその断片を有するエキソソームを含む第1成分;及び
活性成分として抗生剤または子宮収縮抑制剤を含む第2成分を含む、早産及び早産関連疾患を予防または治療するための併用製剤を提供する。
【0093】
より具体的に、本発明は
(i) 1)エキソソーム特異マーカー及び第1光特異結合タンパク質を有する第1融合タンパク質;及び2)NF-κB抑制タンパク質又はその断片及び第2光特異結合タンパク質を有する第2融合タンパク質を含む第1成分;及び
(ii)活性成分として抗生剤または子宮収縮抑制剤を有する第2成分を有するエキソソームを含む、早産及び早産関連疾患を予防または治療するための併用製剤を提供する。
【0094】
本発明は、早産関連疾患を治療するためのNF-κB抑制タンパク質またはその断片を有するエキソソーム、及び第1成分と第2成分の投与形態を製造する方法を提供する。剤形化方法は下記の通りである。
【0095】
本発明において、NF-κB抑制剤及び抗生剤及び/または子宮収縮抑制剤を有する細胞外小胞(エキソソーム)を含有する組成物は、これを必要とする対象体に同時に、別途または順次投与される。
【0096】
本願に使用された用語「同時に」は、薬剤学的有効量のNF-κB抑制剤を有するエキソソームを含有する組成物の投与直後又は一定間隔後に薬剤学的有効量の抗生剤及び/又は子宮収縮抑制剤を投与することをいう。代案的に、NF-κB抑制剤を有するエキソソームを含有する組成物は、第2成分が投与された直後または抗生剤及び/または第2成分が投与された後、一定間隔後に投与することができる。
【0097】
本願に使用された用語「別途(連続又は後続投与を含む)」は、薬剤学的有効量のNF-κB抑制剤を有するエキソソームを含有する組成物の投与が中断された後、一定期間後に薬剤学的有効量の抗生剤及び/又は子宮収縮抑制剤を投与することをいう。代案的に、NF-κB抑制剤を有するエキソソームを含有する組成物は、抗生剤及び/または子宮収縮抑制剤の投与が中断された後、一定期間後に投与することができる。また、「一定期間中断後」という用語は、NF-κB抑制剤及び抗生剤及び/または子宮収縮抑制剤を有するエキソソームを含有する組成物の投与間の時間をいう。本願において、特定期間は、数時間、数日、数週間、または数ヶ月であってもよい。
【0098】
NF-κB抑制タンパク質を有するエキソソームは、早産及び羊膜の早期破裂を遅延させることができ、母体血漿、子宮及び子宮頸部だけでなく、妊婦と胎児の間の胎盤障壁において前炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインのレベルを調節することができる。NF-κB抑制タンパク質またはその断片は、エキソソームの内部に含まれている。また、早産及び早産関連疾患を予防または治療するために抗生剤または子宮収縮抑制剤をNF-κB抑制タンパク質と組み合わせて活性成分として使用することができる。
【0099】
さらなる実施形態において、本発明は、操作されたエキソソームの胎児特異的トラフィッキング、母体単位及び胎児において感染及び炎症を治療し、胎児の生存力を改善し、胎児の生存時間を増加させ、新生児の生存力を改善する方法を提供する。
【0100】
特定の実施形態において、早産関連疾患は、産前炎症(prenatal inflammation)(産前炎症反応)、早期陣痛(preterm labor)、早期分娩(preterm delivery)、早産(preterm birth)、羊膜の早期破裂(preterm rupture of amniotic membrane)、低出生体重(low birth weight)及び子宮筋腫(uterine fibroid)による胎児炎症反応症候群(fetal inflammatory response syndrome)(FIRS)を含む。
【0101】
さらなる実施様態において、産前炎症反応は、子宮内炎症(intrauterine inflammation)、絨毛膜羊膜炎(chorioamnionitis)、 羊膜炎(amnionitis)、 羊水感染(amniotic fluid infection)、 胎盤感染(placental infection)及び羊膜内感染(intra-amniotic infection)を含む。
【0102】
本発明の作動に関する任意の理論または仮説に結び付けることを意図することなく、本発明は、マウスモデルで感染誘導されたPTBを遅延させたり、胎児及び母体炎症反応(先天性免疫細胞トラフィッキング及び炎症性サイトカイン生成)を減少させるが、これに制限されないことにより、胎児の生存力及び新生児の健康を効果的に改善するためのsrIκBロードされたエキソソーム(Exo-srIκB)を含む組成物を提供する。本発明は、胎児先天性細胞の移動及び多様な胎児及び母体組織における炎症反応の減少のためにsrIκBを効果的に伝達する。
【0103】
より具体的に、本発明は、NF-κB抑制薬物を含有するエキソソームを含む本発明の組成物を投与することにより、胎児免疫細胞トラフィッキングを減少させて胎児及び母体単位の炎症を減少させ、胎児の寿命を増加させて新生児の健康を改善させる。
【0104】
本発明はまた、治療学的有効薬物の持続放出を提供するが、通常の持続効果は治療剤の反復投与を必要とする。
【0105】
さらに、本発明はExo-srIκBで治療することにより、妊娠の延長、インターロイキン-1β(IL-1β)、インターロイキン-6(IL-6)及びインターロイキン-8(IL-8)を含むが、これに制限されない前炎症性因子の減少及びインターロイキン-10(IL-10)を含むが、これに制限されない抗炎症性因子の増加により胎児及び新生児の生存力を改善するための組成物及び方法を提供する。母体子宮組織への胎児先天免疫細胞トラフィッキング及びLPS-誘導されたPTBは、胎児及び母体組織において母体ではなく、胎児の先天免疫細胞により左右された。多様な胎児及び母体組織に反応し、移動する胎児免疫細胞の能力は、子宮内で機能的に活性な胎児免疫系を示す。LPS投与後、特定の母体子宮組織に対する胎児先天免疫細胞の親和性(tropism)は組織依存的であった。
【0106】
研究によると、このような合併症の予後は、子宮内環境により影響を受けることが示された。事実、子宮内感染及び炎症、子宮虚血、子宮過剰膨張、非正常な同種認識及び同種反応、子宮頸部疾患及び内分泌障害を含む子宮内環境は、早産及び多数の産前合併症を招く多様な病理学的原因であり、死亡率に影響を及ぼす。子宮内炎症(intrauterine inflammation)、絨毛膜羊膜炎(chorioamnionitis)、羊膜炎(amnionitis)、 羊水感染(amniotic fluid infection)、胎盤感染(placental infection)及び羊膜内感染(intra-amniotic infection)と知られている産前炎症反応は、主に、膣及び子宮頸部を通じた細菌感染により誘発され、しばしば早期羊膜破裂が先行する。子宮を感染させる細菌は、まず脱落膜-絨毛膜(decidua-chorionic villi membrane)に限定され、羊膜を侵犯して炎症を誘発した後、臍帯に浸透して臍帯に炎症を誘発する(臍帯炎)(funisitis)。この炎症は胎児にも影響を及ぼす。子宮内感染または炎症は胎児先天性(先天)免疫系を活性化して「胎児炎症反応症候群(FIRS)」を引き起こす。FIRSの本来の定義は、臍帯における高濃度のインターロイキン-6(IL-6)(>11pg/mL)を示すが、最近の研究によると、FIRSは腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)、インターロイキン-8(IL-8)及びc-反応性タンパク質(CRP)と関連があることが示された。FIRSのある胎児は、新生児呼吸困難症候群(neonatal respiratory distress syndrome)(RDS)、新生児敗血症(neonatal sepsis)、肺炎(pneumonia)、気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasia)(BPD)、脳室内出血(intraventricular hemorrhage)(IVH)、増殖性疣贅状白板症(proliferative verrucous leukoplakia)(PVL), 脳性麻痺(cerebral palsy)、壊死性小腸結腸炎(necrotizing enterocolitis)及び未熟児網膜症(retinopathy of prematurity)(ROP)の発病率が高いことが知られている。
【0107】
胎児の生存力減少及び新生児の健康減少は、感染及び感染に対する対象体宿主の炎症反応を含むが、これに制限されない様々な病因学を有する様々な理由により誘発される。免疫細胞の活性化及び移動が胎児及び母体子宮組織で報告されるが、妊娠結果を決定するにおける胎児先天免疫細胞の特定寄与は依然として把握し難い。早期妊娠中絶率は、過去数十年間改善されておらず、部分的に胎児と母体免疫細胞を区別できないため、胎児の生存率の減少と関連した経路、特に、胎児免疫信号伝達経路に対する満たされない要求及びより良い理解を提案する。
【0108】
下記実験は、本発明が早期分娩に対する脂質多糖類(LPS)モデルで胎児寿命を増加させることを確認させてくれる。これは、胎児先天免疫反応の抑制が生存可能な新生児の分娩に影響を及ぼす可能性を示唆する。本発明はまた、何らかの理論や仮説に結び付けることを意図することなく、胎児炎症反応が母体子宮組織を分娩表現型に変換するように誘導することを示唆する。再び、ある理論や仮説に結びついて、このような炎症反応は胎児寿命の減少に対する危険因子の存在(例えば、感染)、胎児組織老化、または胎膜及び胎盤において核因子カッパBタンパク質(NF-κB)の活性化を生成できる器官成熟信号に対する反応である。
【0109】
母体と胎児免疫系の関係
胎児マイクロキメラ現象(microchimerism)は、任意の移植片対宿主反応(graft-versus-host reaction)または拒否反応(rejection)なしに母体臓器及び循環における胎児細胞の持続として定義される。胎児マイクロキメラ現象及び母体区画で胎児免疫細胞の特性が正常妊娠及び早産妊娠で研究された。しかし、これらの機能的役割は依然として知られていない。免疫状態は、しばしば事件(例えば、ヒトにおいて満期分娩または早期分娩)後及び/または特定実験の露出に後続的な動物犠牲後に決定される。組織レベルで細胞トラフィッキングのリアルタイム測定が実行可能ではないため、特に感染に対する反応により免疫状態の変更中にしばしば重要なウィンドウを見逃すことになる。これは、胎児特異的免疫反応を示すマーカーの不足及び妊娠中の胎児生物学的サンプルの終端的サンプリングの実行不可能性によるものであり得る。したがって、胎児免疫系は母体胎児耐性及び子宮収縮開始の認識されていない重要な側面であった。
【0110】
不利な妊娠条件下における胎児対母体免疫反応を評価しようとする研究はほとんどない。Gomez-Lopezらによる研究はDNA指紋分析及びY染色体FISHを使用し、羊水中の好中球が胎児と母親の両方に由来し、これが羊水内感染に関連する炎症反応に寄与することができることを示した。Gomez-Lopezらは、胎児組織のサンプルが満期またはPTBの後に採取されたため、原因対結果の問題を強調し、したがって、免疫状態の変化の重要なウィンドウを出産後のサンプルとして決定することは困難である。このような出産後のサンプルは、特に羊膜内感染に対する反応であり、多くの分娩関連要因と混同された可能性がある。
【0111】
公知となった分析方法及び結果に基づいて、本発明のHCAデータは、胎児の好中球が胎膜の免疫細胞浸潤を主に担当することを確認させてくれる。早産(PTB)のマウスモデルにおいて、マクロファージ集団の主要変化は知られていないが、記録された羊膜内感染及び炎症のある女性の羊水において母体マクロファージに比べて胎児マクロファージの優勢が発見された。誘導早期陣痛に対する動物モデルはMyD88の遺伝的ノックアウトがあるマウスに大腸菌を注入することにより生成されうる。MyD88は、NF-κB活性化に必要な核心成分の一つである。大腸菌の注入と組み合わされた時、誘導早期陣痛に対するマウスモデルが生成される。しかしながら、マウスにおいて大腸菌誘導されたPTBは胎児ではなく母体MyD88発現に依存し、これはPTBに対する胎児ではなく母体炎症寄与を示唆する。理論に結びつくことなく、胎児は母体の子宮区画への免疫細胞の流入により分娩の準備ができたというシグナルを送ることができる。しかしながら、母体の子宮組織は、このような胎児免疫シグナルに対する反応により、進行が中断された子宮筋層及び子宮頸部を分娩表現型に転換するために炎症反応を生成しなければならない。母体MyD88ノックアウトは、炎症性サイトカイン、COX-2及びMMP9のようなNF-κB応答遺伝子による局所的母体子宮炎症の不足によりFilipovichモデルでPTBを遮断した確率が高い。このような遺伝子活性化は、子宮筋層の伸縮性及び子宮頸部の再形成に不可欠である。胎盤炎症はMyD88ノックアウト胎児の効果を無効化できるLPSに対する反応であり、TLR-MyD88非依存的メカニズムを通じて媒介される可能性があることが報告された。したがって、このようなデータはMyD88媒介された胎児対母体の効果に関連して曖昧性を生み出す。
【0112】
このような違いは、マウスの品種、使用される興奮剤、及びタイミングを含むいくつかの要因に起因することがある。本発明における研究では、母系側の炎症は分娩に対する必要要件ではなく、分娩の結果であることを示し、他の研究では脱落膜好中球の浸潤がPTBに必要ではないことを示した。
【0113】
本発明は、理論や仮説に結びつけることを意図することなく、胎児の炎症反応が、母体の進行が中断された免疫系が活性状態に転換されるようにし、母体特異免疫活性化が必要でないことを提供する。
【0114】
動物モデル
本発明に使用された動物モデルは、ヒトの満期分娩または早期分娩を直接示さなくてもよい。投与経路に関係なく、LPSまたは生きている細菌の注入は、ヒトにおいて感染/炎症に関連するPTBを模倣しない。しかし、マウスモデル及びその他の動物モデルがヒトによく見られるメカニズム(特に傍分泌及び免疫機能)を理解するのに役立つ貴重な情報を提供したことが当業界の熟練家により理解される。NF-κBが前炎症性反応の媒体として広く研究されているが、これは、アポトーシス及び細胞増殖を含む多数の代替経路に関与するユビキタス分子である。
【0115】
本発明の実験データは先天性免疫細胞に限定されているが、結果は当業界における周知の知識として解釈され、ヒト細胞に適用され得ることも当業者に理解されるであろう。独立して、または先天細胞浸潤または活性化に対する反応に誘導された適応免疫反応は、依然として満期分娩及び早期分娩に関連するメカニズムである。
【0116】
実施例
下記の実施例は本質的に例示に過ぎず、適用及び使用を制限するためのものではない。下記の実施例は、本発明の範囲を制限することなく本発明を追加で例示する。多様な変更及び修正が本発明の説明に基づいて当業界の熟練家により行われ得、このような変更及び修正も本発明に含まれる。
【0117】
実施例1.材料及び方法
実施例1-1.SRを含有するエキソソームの特性化及び分析
サイズと形態を決定するためのエキソソームの透過電子顕微鏡(TEM)
安定した細胞株からのエキソソームは以前の研究に従うものの、一部修正して形態を決定するために透過電子顕微鏡(TEM)を使用して画像化した(H. Choi et al., Exosome-based delivery of super-repressor IκBα relieves sepsis-associated organ damage and mortality. Sci Adv 6, eaaz6980 (2020))。簡単に言えば、リン酸塩緩衝溶液(PBS)に懸濁された5μLのエキソソームをグロー放電された炭素コーティング銅グリッドに負荷した(Electron Microscopy Sciences, Hatfield, USA)。グリッドを濾紙でブロッティングした後、2%酢酸ウラニルで染色した。サンプルを20秒間乾燥させた後、 Tecnai G2 Retrofit(FEI, Hillsboro, OR)で観察した。
【0118】
エキソソームのサイズ及び濃度を決定するためのナノ粒子追跡分析(NTA)
ナノ粒子追跡分析(NTA)は、ZetaView(登録商標) PMX 110(Particle Metrix, Meerbusch, Germany)及びそれに相応するソフトウェア(ZetaView(登録商標) 8.02.28)を使用して行った。1X PBSで凍結したエキソソームを氷上で解凍した。全てのサンプルを1:100~1:10,000の0.2μm濾過PBSで1:100~1:10,000に希釈した。各測定に対して、次の設定で11個のセル位置をスキャンして2サイクルを行った:焦点:自動焦点;すべてのサンプルに対するカメラ感度:78.0;シャッター:70;セル温度:25℃。機器は濾過水を使用してサンプル間で洗浄した。 ZetaView(登録商標)の結果を用いて生体内研究に使用されたエキソソームの数を計算した。
【0119】
エキソソームにおいてSRの分析のためのウエスタン・ブロット
エキソソームタンパク質の発現を分析するために、同一濃度のエキソソームをサンプル緩衝液と混合し、5分間煮沸した。以下のタンパク質を標的とする抗体を使用した: mCherry (ab125096; Abcam, Cambridge, United Kingdom), GFP (CST2555; Cell Signaling Technology, Danvers, MA), TSG101 (ab228013; Abcam), CD63 (sc-15363; Santa Cruz Biotechnology), GAPDH (sc-47724; Santa Cruz), 及びGM130 (ab52649; Abcam)。ウサギポリクローナル抗srIκBα抗体は、組換えsrIκBαペプチドDRHDAGLDAMKDE(配列番号9)及びアフィニティークロマトグラフィー(AbClon, Seoul, South Korea)を使用して生成した。
【0120】
実施例1-2.動物管理
すべての動物手続きはガルベストンに所在するテキサス大学医療分科の機関動物管理及び使用委員会(IACUC)の承認を受けた。マウスは、12:12時間の明暗周期で温度及び湿度調節された施設に収容した。規則的な食べ物と飲み物は任意に提供された。早産の研究のために、時に合わせて妊娠したCD-1マウス(stock 022, Charles River, Houston, TX)を使用した。免疫細胞トラフィッキングの研究のために、 原形質膜標的化二色蛍光Cre-レポーター対立遺伝子を有する遺伝子移植C57BL/6Jマウスを用い、ここで、タンデム二量体Tomato(mT)蛍光はすべての細胞及び組織の細胞膜で発現する(stock 007676, Jackson Laboratory, Bar Harbor, ME)。すべての細胞及び組織で発現される赤色蛍光タンパク質であるmTは、他の赤色蛍光タンパク質に比べて増加した輝度及び光安定性を有する。繁殖は、本発明の施設で行い、ここで8~12週齢の野生型(WT)C57BL/6J雌性(stock 000664, Jackson Laboratory)をmTに対して同型接合性の雄と交配した。妊娠日(E)0.5を示す雌マウスを膣プラグ(vaginal plug)の存在に対して午前8時~午前9時に毎日確認した。プラグに陽性の雌は雄と別途に収容した。これらの体重をモニタリングし、E10.5まで少なくとも1.75gの増加で妊娠を確認した。組織収集前に、IACUC及び米国獣医学協会の指針に従い、CO2の吸入により動物を犠牲にした。
【0121】
実施例1-3.脂質多糖類(LPS)処理及びSRエキソソーム注射
マウスの場合~75%の妊娠完了またはヒトの場合~28週に該当するE15(マウス胎生15日目)に、妊娠した母に次のいずれか一つを腹腔内(i.p.)注射した:PBSまたは脂質多糖類(LPS、血清型055:B5、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO[CD-1マウスの場合100μg及びWTマウスの場合2.5μg])。注射の30分後、動物にPBS、ナイーブエキソソーム、またはSRエキソソーム(100μLで1 ×1010個のエキソソームのナイーブ及びSR)をIP注射した。PBS/ナイーブ/SRエキソソーム注射は計5回の注射のために2時間ごとに繰り返した。
【0122】
動物を早期の分娩に対してモニタリングし、これはWansview(登録商標)無線カメラ(Shenzhen、China)を使用してE18.5にまたはそれ以前に少なくとも一匹の仔を分娩するものと定義された。CD-1マウスのサブセットをLPS誘導された早期陣痛(注射後12時間)の時点で安楽死させ、サイトカイン分析のために血漿を収集した。WTマウスのサブセットをLPS注射後24時間(E16(マウス胎生16日目)、マウスの場合は約80%の妊娠完了またはヒトの場合は約30週)に安楽死させ、胎児及び母体組織で胎児及び母体免疫細胞プロファイルの変化を決定した。
【0123】
実施例1-4.母体血漿でサイトカインの濃度を決定するためのLuminex分析
E15(マウス胎生15日目、LPS出産時点)にマウスから収集された血漿を、メーカーのプロトコルによりMILLIPLEX(登録商標)マウスサイトカインパネル1(Millipore)を使用してIL-10、IL-6、IL-8、TNF-α及びIL-1β(グループ当たりn=3)について分析した。メーカーにより提供された公知の量の組換えタンパク質の二重サンプルを使用して標準曲線を開発した。サンプルの濃度は、線形回帰分析を使用してサンプルの吸光度を標準曲線と関連付けることにより決定した
【0124】
実施例1-5.母体及び胎児の組織でマクロファージ及び好中球へのmTの免疫蛍光染色及び共局在化
mTを用いたマクロファージ及び好中球の共局在化のために、新鮮な組織サンプルを冷PBSで洗浄し、収集して最適切断温度(OCT)化合物に埋め、使用するまで-80℃で保存した。OCT埋められた組織を10μm切片に切断し、次いで55℃で15分間インキュベートし、次いで室温で15分間4%パラホルムアルデヒドで固定した。スライドを0.1%Tween 20(TBST)を有する1×Tris緩衝食塩水で2回洗浄し、次いで切片を湿度チャンバー内で室温で1時間遮断緩衝液(TBST中3%ウシ血清アルブミン(BSA))と共にインキュベートした。遮断緩衝液を除去し、マクロファージはAlexa Fluor 488結合された抗F4/80(50-167-58, Thermo Fisher, Hampton, NH)で標識した一方、好中球はFITC結合された抗Ly6G(551460, BD Biosciences, La Jolla, CA)で標識し、胎児の細胞はビオチン(ab34771、Abcam)に接合された抗赤色蛍光タンパク質(RFP)で標識した(すべて遮断緩衝液で1:100に希釈される)。 湿度チャンバーにおいて室温で1時間インキュベートした後、切片をTBSTで3回洗浄した後、フィコエリトリン接合されたストレプトアビジン(554061, BD Biosciences) と共に室温で1時間インキュベートした。洗浄後、切片を室温で2分間核染色のためにDAPIと共にインキュベートし、次いでTBSTで2回及び水で1回洗浄した。スライドを室温で10分間空気乾燥させた後、Mowiol(登録商標) 4-88装着媒質を使用して装着した。イメージを KEYENCE BZ-X800顕微鏡(Keyence, Osaka, Osaka Prefecture, Japan)を使用してキャプチャした。3D再構成を生成するために、Airyscan(登録商標)を有する共焦点顕微鏡ZEISS LSM 880(Oberkochen, Germany)を使用してイメージをキャプチャした。FIJI(オープンソース)を使用して全体のイメージに輝度、コントラスト及びスムージングを適用した。総細胞に対する好中球の割合を決定するために、処理(PBS、LPS、LPS+SR)当たり計5つのイメージ及びイメージ当たり5つの関心領域を使用した。好中球の数を総細胞数で除したものを使用し、好中球対総細胞比を決定した。
【0125】
実施例1-6. マウス胎児及び母体組織からの免疫細胞単離
WT雌を注射後24時間(E16、マウス胎生16日目)に安楽死させ、母体(肝臓、肺、脾臓、子宮または具体的に子宮筋層、子宮頸部、脱落膜または具体的に脱落膜基底部)及び胎児(胎盤、胎膜)組織を収集し、 洗浄して余分な脂肪を除去した後、冷PBSで一回洗浄した。組織からの免疫細胞の単離は、以前に記述されたものと同様であるが、修正して行った。組織を微細ハサミを使用して小片に切断し、それらを穏やかに振りながら37℃で35分間 Accutase(登録商標)(Corning, Corning, NY)で酵素により消化させた。インキュベーション後、チューブを直ちに氷上に置いた後、70μm細胞ストレーナーによりろ過した。組織を10.0mLの1×PBSで2回洗浄し、次いで4℃で10分間1250×gで遠心分離した。細胞ペレットを2.0mLのRBC溶解緩衝液に再懸濁し、室温で10分間インキュベートした後、室温で10分間1250×gで遠心分離した。細胞ペレットを無血清ダルベッコ改質したイーグル培地/栄養混合物F-12培地(DMEM/F12; Mediatech Inc.) 1.0mLに再懸濁し、穏やかに混合した。細胞懸濁液をポリスチレンプラスチックチューブで500μLの純粋なFBS(Sigma-Aldrich)上に穏やかに載せた後、室温でブレーキなしに1,100 Хg で10分間遠心分離した。上清液を慎重に吸引し、ペレットを10%FBSが補充された1.0mLのDMEM/F12に再懸濁した。
【0126】
実施例1-7.胎児及び母体免疫細胞の免疫表現型分析
好中球及びナチュラルキラー(NK)細胞。胎児及び母体組織への好中球及びナチュラルキラー(NK)細胞トラフィッキングを決定するために、10%FBSを有するDMEM/F12で細胞を4℃で10分間1250 Хgで遠心分離した。細胞ペレットをCD16/CD32抗体(101302, Biolegend, San Diego, CA)と共に10分間インキュベートした後、Zombie生存染料(BioLegend, San Diego, CA)及び特定の蛍光団接合された抗マウス抗体(表1)と共に暗闇で4℃で30分間インキュベートした。細胞を600 Хgで10分間遠心分離した後、Cytoflex(登録商標)フローサイトメトリー器(Beckman Coulter, Brea, CA)で直ちに実行した。
【0127】
M1及びM2マクロファージ。マクロファージ表現型及び胎児及び母体組織へのトラフィッキングを決定するために、10%FBSを有するDMEM/F12においてGolgiStop(登録商標)(BD Bioscience)の存在下に、ホルボール12-ミリスタート13-アセタート (PMA、50ng/mL)及びイオノマイシン(750ng/mL)で細胞を刺激し、37℃、5%CO2で3時間インキュベートした。培養後、細胞を収集し、2000 Хgで10分間遠心分離した後、上記のように抗CD16/CD32及び抗F4/80と共にインキュベートした。遠心分離後、細胞を固定して透過化した後、室温で45分間細胞内抗体(表1)で染色した。細胞を遠心分離した後、Cytoflex(登録商標)フローサイトメトリー(Beckman Coulter)で直ちに実行した。
【0128】
【0129】
細胞の免疫表現型分析のためのゲーティング戦略。 総白血球は、前方散乱(細胞サイズ)及び側方散乱(細胞粒度)パラメータを用いて確認した。生存細胞に対するゲーティング後、mT発現による胎児細胞及びmT nullである母体細胞を確認した。その後、Ly6Gの発現による好中球及びNK1.1の発現によるNK細胞を確認した。成熟NK細胞は、DX5の発現により追加で確認し、これは細胞が増加した細胞毒性を示す。マクロファージは、マクロファージマーカーF4/80を使用して確認し、さらに前炎症性、またはIL-1β+及びTNF-α+発現を有するM1マクロファージとして、及び抗炎症性、またはIL-10及びIL-4発現を有するM2マクロファージとして特性化された。
【0130】
実施例1-8.統計分析
統計分析は Prism 7(GraphPad, San Diego, CA)を使用して行った。 全てのデータはn≧3に対して表示され、平均±平均の標準誤差(SEM)で表される。生存曲線はPrism 7を使用して生成した。早期陣痛研究の場合、グループ間の統計的有意度は、Benjamini-Hochberg事後検定と共にKruskal-Wallisを使用して決定した。多重データ及び早期陣痛研究の場合、Tukeyの事後検定とともに一元ANOVAを使用してグループ間の統計的有意度を決定した。フローサイトメトリーデータの免疫表現型分析の場合、多重分析のためのTukey補正と共に両側のANOVAを使用して統計的有意度を決定した。≦0.05のP値は有意なものとみなされた。
【0131】
グループ平均、標準偏差及び効果サイズ(Luminex分析の場合f=0.974、母体及び胎児体重変化の場合0.681、早産データの場合1.02、フローサイトメトリーデータの場合1.56)に基づくG*Powerを使用して事後検定力分析を行った。この分析は、研究が0.05の有意レベルでグループ間の差を検出するためにANOVAに対して>80%の検定力を有することを示した。
【0132】
実施例2.スーパーリプレッサーIκBタンパク質を有するエキソソーム(Exo-srIκB)の製造
エキソソームは、IκBキナーゼによりリン酸化することができず、前炎症性刺激の存在下でもNF-κB複合体の核への転位を抑制するIκBαの突然変異形態である、Yimらの方法により「EXPLOR」(光学的可逆的タンパク質-タンパク質相互作用によるタンパク質ローディングのためのエキソソーム)という技術を使用してNF-κB抑制剤を含むように操作された。
図1aは、srIκB(スーパーリプレッサーIκB)ローディングされたエキソソーム(Exo-srIκB)を生産するのに使用されるDNA作製物の図式的説明(上段)及び融合タンパク質及びこれらのExo-srIκBを生成するための光依存性タンパク質-タンパク質相互作用の提案された活性を示す図式的説明(下段)を提供する。具体的には、光の部材の下で、CIBN-EGFP-CD9遺伝子を有するpcDNA31(+)ベクターとスーパーリプレッサーIκB-mCherry-CRY2遺伝子を有するpcDNA31(+)ベクターをエキソソーム生成細胞であるHEK293T(ヒト胚腎臓)細胞に導入し、24時間インキュベートした。形質感染した細胞をウシ胎児血清(FBS)のない培養培地で洗浄し、さらに48時間成長させた。その後、細胞に波長488nmの青色光を照射した。
【0133】
SRを有するエキソソーム(Exo-srIκB)及びナイーブエキソソーム(Exo-Naive)(非形質感染したHEK293T細胞から単離される)をTEM(
図1b)を使用して特性化し、ここで特徴的なカップ状の形態が発見された。また、エキソソームのサイズ及び濃度はNTAを使用して決定した(
図1c)。Exo-srIκB及びExo-NaiveはTEMデータを裏付ける30~150nmのサイズであった。
【0134】
実施例3.NF-κB抑制剤タンパク質、スーパーリプレッサーIκBを含有するようにエキソソームを操作するための光学的に可逆的なタンパク質-タンパク質相互作用(v)技術によるタンパク質負荷のためのエキソソーム
srIκBを有するエキソソームを生産するために、ヒト胚腎臓(HEK)293T細胞(CRL-3216, ATCC, Manassas, VA, USA)をSRを含有する作製物で安定的に形質感染させた(
図1a)。このため、CIBN-EGFP-CD9及びsrIκB-mcherry-CRY2を安定的に発現するHEK293T細胞を以前に記述したように確立した。この方法に関する詳しい説明は、Choiらの研究を参照する。簡単に言えば、青色光の照明の下で、srIκBを含有するエキソソーム(Exo-srIκB)を生成した後、接線流濾過(TFF)及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して単離した。HEK293T細胞を10%ウシ胎児血清(FBS)( Gibco, Gaithersburg, MD, USA)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco)を含むダルベッコ改質されたイーグル培地(DMEM)(Welgene, Seoul, Korea)で維持させた。HEK293T細胞をメーカーのプロトコルに従ってリポフェクタミン形質感染試薬(Qiagen, Valencia, CA, USA)で、PCMV-CIBN-EGFP及びPCMV-srIκB-mCherry-CRY2で形質感染させた。高い蛍光強度を有する細胞集団(緑色蛍光タンパク質、GFP、及びmCherry)を測定した後、細胞分類器(SH800 Cell Sorter, Sony, Minato, Tokyo, Japan)を使用して96ウェルプレートで単一細胞シーディングを行った。srIκB-mcherry-CRY2の発現レベルに応じて最上のクローンを選択した。SR生成細胞及び標準条件(naive)で成長した細胞からの細胞培養の上層液を収穫し、1000gで15分間遠心分離して細胞と細胞の破片を除去した後、0.22μmのポリエーテルスルホン (PES)フィルターを通過させてより大きな粒子を除去した。分子量カットオフ(MWCO)基盤膜ろ過を使用してエキソソームを単離した後、これらをSECクロマトグラフィーで精製した。
【0135】
ウエスタン・ブロットを行い、予想通りナイーブエキソソームにはないエキソソーム内SRのパッケージングを確認した。さらにウエスタン・ブロットを行い、エキソソームマーカーTSG101及びCD63の存在だけでなく、ゴルジマーカーGM130の不在を示した(
図1d)。HEK293T細胞は、スーパーリプレッサー(SR)IκBを安定的に発現する一方、ナイーブ細胞はそうではない。SR生成細胞から単離されたエキソソームはSR、mCherry、GFP及びエキソソームマーカーTSG101及びCD63を発現する。エキソソームはGM130に対して陰性であった (
図1d)。
【0136】
実施例4.SR含有エキソソームはLPS誘導モデルにおいて胎児の寿命を延ばした
エキソソームがSRを有することを確立した後、マウスモデルでSRが胎児の寿命を延ばすことができるかを試験した。これは、12-14時間以内に早期陣痛を持続的に誘導し、胎児の早期中絶を誘発するよく確立されたCD-1マウスモデルで試験した。
【0137】
具体的には、妊娠15日のCD-1マウス(Charles River Laboratories, Huston, TX)にLPS(100μg)またはPBSを腹腔内注射した。注射30分後、マウスに実施例1で製造されたSRエキソソーム(5×1010)またはナイーブエキソソーム(HEK293T細胞由来エキソソーム、5×1010)を腹腔内(IP)、静脈内(IV)、筋肉内(IM)または皮下(SubQ)経路のいずれか一つを通じて2時間の間隔で5回投与した。実験グループは、PBS:PBS注射;LPS:LPS+N IP:LPS+ナイーブエキソソーム腹腔内注射; LPS + SR IP:LPS + SRエキソソーム腹腔内注射; LPS + SR IV:LPS + SRエキソソーム静脈内注射;LPS + SR IM:LPS + SRエキソソーム腹腔内注射;LPS + SR IV:LPS + SRエキソソーム静脈内注射;LPS + SR IM:LPS + SRエキソソーム筋肉内注射及び; LPS + SR SubQ:またはLPS + SRエキソソーム皮下注射である。
【0138】
PBSを注射したマウスは胎児の全寿命を維持した反面(n=4、LPS後112.5時間、
図2a及び2b、表2)、すべてのLPSマウスは早期に胎児の寿命を終了した(n=7、LPS注射後11.5±0.929時間、P<0.0001 vs PBS)。
【0139】
表2:CD-1マウスにおける胎児の増加寿命
【表2】
a PBS:対照群;LPS:LPS単独;LPS+ナイーブ:srIκBのないナイーブエキソソームを有するLPS;LPS+SR:Exo-srIκBを有するLPS。NA:該当なし
【0140】
srIκBのないエキソソームであるナイーブエキソソームをこの実験のための対照群として使用した。LPSと同様に、LPS+ナイーブエキソソームを注射したすべてのマウスは、胎児を早期に中絶させる早産をした(n=11、LPS注射後12.9±1.06時間、 P<0.0001 vs PBS, P=0.066 vs LPS + SR )。
【0141】
一方、LPS注射後、Exo-srIκBの注射は対照群に比べて胎児の寿命を延ばし(n=16、LPS注射後36±10.2時間、P=0.0005 vs PBS, P=0.072 vs LPS)LPS+SR注射されたマウスの約27%で満期出産を引き起こす。有効性研究はCD-1マウスを用いて行い、すべての機械論的研究はC57BL/6J雌をmT同型接合の雄と交配させたモデルを使用して行い、その理由はこのモデルが胎児特異的細胞トラフィッキングを調査するための遺伝子作製物を有するためである。結果は、Exo-srIκBが胎児の寿命と生存力を増加させることを示す。異なる投与経路間に効能の違いはほとんど見られなかった。
【0142】
LPS注射24時間後、マウスを安楽死させ、組織を収集した。LPSはPBS(0.12±0.469g、P=0.0009)に比べて母体体重を減少させた(-2.9±0.619g、
図2c、左)。LPS+SR処理(-1.25±0.098g)は、LPS単独(P=0.078)に比べて母体体重を有意なレベルで増加させた。平均の仔体重及び生存力(胎児形態及び体重に基づく)もLPS注射されたマウスに比べてSR注射で改善された(
図2c、右及び
図2d)。
【0143】
実施例5.母体組織においてスーパーリプレッサーIκBを含有するエキソソームによる炎症性サイトカインの発現及びNF-κB活性化
実施例2の各実験群(PBS;LPS;LPS+ナイーブ:LPS+ナイーブエキソソームIP;及びLPS+SRエキソソームIP)からの少なくとも1匹の仔を出産したマウスを安楽死させ、母体血漿、子宮及び子宮頸部組織を収集した。その後、前炎症性サイトカインIL-1β、IL-6及びIL-8及び抗炎症性サイトカインIL-10のレベルは、メーカーのマニュアルに従って Luminex Multiple Assay(R&D System)を使用して測定し、RelAリン酸化によるNF-κB活性化(p-NF-κB)を分析した。
【0144】
図3a-3dに示すように、母体血漿における前炎症性サイトカインIL-1β、IL-6及びIL-8のレベルは、LPSグループに比べてLPS+SRエキソソームIPグループの方が低かった。これに対し、抗炎症性サイトカインIL-10のレベルはLPSグループ(P=0.01)及びPBS対照グループ(P<0.0001)からのマウスより有意に高かった。
【0145】
また、母体子宮頸部及び子宮におけるP-NF-κBの発現に対するSRエキソソームの効果を評価した。P-NF-κBのレベルは、LPSグループに比べてLPS+SRエキソソームIPグループではるかに低かった(P=0.005、P=0.03)(
図3e及び3f)。
【0146】
実施例6.スーパーリプレッサーIκBを有するエキソソームによる胎児炎症細胞の炎症プロファイルの変化
SRエキソソームが早期陣痛を遅延させるかを調べるために、妊婦子宮への胎児炎症細胞の移動及び胎児炎症細胞の炎症プロファイルの変化を分析した。
【0147】
すべての細胞と組織において赤色蛍光タンパク質を発現するtdTomato同型接合雄C57BL/6Jマウス(Jackson Laboratory)及び野生型雌C57BL/6Jマウス(Jackson Laboratory)を交配し、tdTomatoがすべての胎児組織で発現するようにした。その後、共焦点顕微鏡を使って、妊娠15日の雌マウスの胎膜から胎児炎症細胞が発見されたことが確認される(
図4)。子宮組織と胎膜を除去し、蛍光性母体細胞と赤色蛍光性胎児細胞を単離して前炎症性IL-1β及びTNF-α及び抗炎症性IL-10を
図5の概略図に示すようにフローサイトメトリーにより分析した。また、胎児マクロファージ(mT+)をマクロファージマーカーF4/80を使用して分析した。フローサイトメトリーは胎児炎症性細胞が母体子宮に移動することを確認させてくれる。
【0148】
妊娠15日の雌マウスに実施例2に記述されたように、LPSまたはPBSを注射し、LPSを注射してから24時間後、SRエキソソームを2時間の間隔で5回腹腔内投与した。子宮及び胎膜組織をPBS、LPS及びSR(LPS+SRエキソソーム)マウスグループから収集した。上記のような方法により、子宮及び胎膜における前炎症性M1マクロファージと抗炎症性M2マクロファージの割合及び胎児の前炎症性細胞と抗炎症性細胞の割合を評価し分析した(
図6a-6d)。
【0149】
図6a-6dに示したように、子宮内胎児マクロファージのM1:M2比率はSRエキソソームの投与により減少し、胎児前炎症性細胞:抗炎症性細胞の比率も子宮で有意に減少した。また、胎児マクロファージM1:M2比率及び前炎症性細胞:抗炎症性細胞の比率は、胎膜におけるSRエキソソーム処理により母体子宮と同様に減少することが確認された。
【0150】
実施例7.SRエキソソーム処理は好中球浸潤及び組織学的絨毛膜羊膜炎(HCA)を減少させる。
組織学的絨毛膜羊膜炎(histologic chorioamnionitis)(HCA)は、胎膜の多形核白血球浸潤の存在と定義され、このような細胞は主に母系起源であると考えられる。HCAは炎症の指標であり、妊娠結果を決定できるだけでなく、新生児の罹患率を示すことができる。蛍光顕微鏡を使用して、PBS(
図7a)、LPS(
図7b)及びLPS+SR(
図7c)を注射したマウスのmT発現胎膜をマウスリンパ球抗原6複合遺伝子座G6D(Ly6G)の発現により好中球に対して染色した。LPS注射された動物(0.282±0.043)は、PBS(0.119±0.045、P=0.008)又はLPS+SR(0.100±0.032、P=0.001)に比べ、胎膜における総細胞に対するLy6G+細胞の割合が増加した(
図7d)。
【0151】
実施例8. LPSチャレンジ後の胎児組織の胎児好中球浸潤の増加はSRに減少する
免疫細胞が胎児か母体かを確認するために、生存細胞に対するゲーティング後、mT+胎児細胞は赤色蛍光と確認された反面、母体細胞は陰性であった。胎児及び母体細胞を確認した後、好中球(Ly6G+細胞)を確認して計数した。胎盤において、PBSと比較して、LPSを注射したマウスは総細胞(mT-及びmT+、P=0.03)及びmT+Ly6G+細胞(LPS、P=0.006)が有意に増加した(
図8a)。同様に、PBSと比較して、LPS+SRは総細胞(P=0.050)及びmT+Ly6G+細胞(P=0.018)が有意に増加した。胎膜において、LPS注射されたマウスはPBSより有意に高い総細胞(P=0.0005)及びmT+Ly6G+(P<0.0001)細胞を有した。LPSと比較して、LPS+SRは有意に、より低い総細胞及びmT+Ly6G+細胞を有し(いずれもP<0.0001)、これは、SRへの処理がHCAを減少させることを示す(
図8b)。これは、
図7a-7cに図示されたデータを裏付ける。
【0152】
実施例9.胎児及び母体組織において、LPSチャレンジに対する細胞毒性NK細胞反応は主に胎児起源であり、SR処理により減少する。
このような浸潤したNK細胞が胎児起源か母体起源かを試験するために、mT+/NK1.1+(マウスにおいてCD161b/CD161としても知られる)細胞として胎児NK細胞を決定した。また、本発明者らは、CD49bまたはα2インテグリンとしても知られているDX5、非常に遅い抗原-2の存在によりNK細胞の成熟度を決定し、これは成熟した表現型へのNK細胞の移行を示し、増加した細胞毒性に関連する。子宮及び脱落膜では、NK1.1+細胞とNK1.1+/DX5+NK細胞の百分率に変化が見られなかった。しかし、子宮頸部では、PBSと比較して、LPSが総細胞(P=0.003)、mT+/NK1.1+(P=0.011)細胞及びmT+/NK1.1+/DX5+細胞(P=0.014、
図8c)の百分率を有意に増加させた。SR処理により、LPSと比較して、総NK1.1+細胞(P=0.003)、mT+/NK1.1+細胞(P=0.032)、総NK1.1+/DX5+細胞(P=0.001)及びmT+/NK1.1+/DX5+細胞(P=0.045)細胞は有意に減少した(
図8c)。胎盤では、LPS注射されたマウスに比べてPBSマウスで総NK1.1+細胞の有意な増加があり(P=0.002)、SR処理後、総NK1.1+細胞の有意な減少があった(P=0.065、
図8d)。LPS注射されたマウスの胎盤において、総NK1.1+/DX5+細胞及びmT+/NK1.1+/DX5+細胞はPBSに比べて増加した(いずれもP<0.0001)。SRで処理すると、総NK1.1+/DX5+(P=0.009)及びmT+/NK1.1+/DX5+細胞(P=0.008、
図8d)は減少し;しかし、母体NK1.1+/DX5+細胞ではいかなる変化も見られなかった。胎膜において、総NK1.1+(P=0.0003)及びmT+/NK1.1+(P=0.008)細胞だけでなく、総NK1.1+/DX5+(P=0.016)及びmT+/NK1.1+/DX5+(P=0.017)細胞はPBSに比べてLPS注射後に増加した。LPSに比べて、総NK1.1+細胞(P<0.0001)及びmT+/NK1.1+細胞(P=0.0004)だけでなく、総NK1.1+/DX5+細胞(P=0.008)及びmT+/NK1.1+/DX5+細胞(P=0.018)はSRで処理した後、有意に減少した(
図8e)。このような結果は、LPSチャレンジに対する優勢なNK細胞反応が母体ではなく胎児起源であり、これが胎児及び母体組織の両方でSRにより減少したことを示す。
【0153】
実施例10.胎児マクロファージは母体組織に局所化される
胎児先天免疫細胞が母体免疫細胞と共に胎児及び母体組織の両方にトラフィック (traffic)され得るという仮説を試験するために、本発明者らは胎児及び母体細胞を区別する確立された遺伝子移植マウスモデルを使用した。母体区画への胎児先天免疫細胞トラフィッキングを決定するために、本発明者らは子宮、子宮頸部及び脱落膜を収集し、mT+発現細胞をマウスマクロファージマーカーであるF4/80と共局在化した。
図9a-9cに示したように、共焦点顕微鏡を使用して、mT+(赤色蛍光)及びF4/80+(緑色蛍光)マクロファージは試験されたすべての母体子宮組織で共局在化された。
【0154】
実施例11.マウスモデルで早産にみられるLPS誘導免疫細胞浸潤は主に胎児反応であり、SRエキソソーム処理により胎児-母体の界面で減少する。
CD-1マウスモデルにおいてPTBは、エキソソームにパッケージングされたNF-κB抑制薬物を使用して遅延することができる。このような遅延は、胎盤、胎膜及び子宮頸部における胎児免疫細胞トラフィッキングの減少と関連がある。
【0155】
LPSによる結果:LPSとPBSの比較(
図10、左)は以下を示す:
・子宮頸部: LPS注射マウスは総NK1.1+及びDX5+NK細胞が増加し、胎児NK1.1+細胞が増加した。
・子宮:LPS注射マウスは、トータル及び母体M1及びM2マクロファージが増加した。
・脱落膜:LPS注射マウスは、総好中球が増加し、総M1及びM2マクロファージが減少しただけでなく、母体M2マクロファージが減少した。
・胎盤:LPS注射マウスは、総好中球、NK細胞及びDX5+NK細胞が増加した。さらに、LPS注射マウスでは、胎児好中球、NK細胞、及びDX5 + NK細胞も増加した。
・胎膜:LPS注射マウスは、トータル及び胎児好中球が増加し、トータル及び胎児NK細胞が増加し、トータル及び胎児DX5 + NK細胞が増加した。
矢印は細胞数の増加または減少を示す。*P=0.07。
【0156】
LPSとLPS+SRの比較(
図10、右)は以下を示す:
・子宮頸部: LPS+SRは、トータル及び胎児NK細胞及びDX5+NK細胞が増加した。
・子宮:LPS+SRは総M1及びM2マクロファージが減少し、母体M2マクロファージが減少した。
・脱落膜:SR処理により脱落膜では如何なる変化も見られなかった。
・胎盤:LPS + SRは総DX5 + NK細胞が減少しただけでなく、胎児NK細胞及びDX5 + NK細胞も減少した。
・胎膜:LPS + SR注射マウスは、トータル及び胎児好中球が減少し、トータル及び胎児NK細胞が減少し、トータル及び胎児DX5 + NK細胞が減少した。
矢印は細胞数の増加または減少を示す。**P=0.06.
【0157】
実験結果は、胎児炎症反応が妊婦の子宮組織を分娩表現型に転換するように誘導することを示す。この炎症反応はPTBの危険因子(例えば、感染)、胎児組織の老化、または胎膜と胎盤でNF-κB活性化を生成できる器官成熟のシグナルに対する反応であってもよい。
【0158】
抗炎症性NF-κB分子を含む操作されたエキソソームの母体投与は、感染マウスモデルにおいて胎児炎症反応、胎児先天免疫細胞移動、組織学的絨毛膜羊膜炎を減少させ、早産を遅延させた。
【0159】
結果は、抗炎症性NF-κB分子を含むエキソソームの浸潤が胎児の生存力と新生児の健康を改善することを示す。
【0160】
実施例12.感染により誘発された炎症においてSRエキソソームと抗生剤または子宮収縮抑制剤の併用治療
感染により誘発された炎症を治療するためのSRエキソソームと抗生剤または子宮収縮抑制剤の併用治療の相乗効果を研究し、感染したモデルの併用治療が大腸菌感染による炎症を有意に減少させ、胎児の生存力を改善させ、生菌誘導された早産を遅延させることが明らかになった。
【0161】
早産の少なくとも40%は子宮内感染と関連がある。早期陣痛に対する現在の動物モデルは、典型的に子宮内感染と関連した局所炎症よりは全身炎症を誘導するために妊娠したマウスに腹腔内注射される脂質多糖類(LPS)を典型的に使用する。マウスにおいて早期陣痛の臨床的に関連するモデルは、生菌(例えば、大腸菌)を用いて確立され、上行性感染(ascending infection)を模倣するために、膣内投与されたり、感染誘導された早産に関連する高度に局所化した炎症を模倣するため子宮内に注射で投与された(
図11a及び11b)。
【0162】
大腸菌誘導された早産においてSRエキソソームとゲンタマイシン(抗生剤)またはインドメタシン(子宮収縮抑制剤(tocolytic agent)または子宮収縮抑制剤)の相乗的効能を調べるために、CD-1妊娠したマウスに最適用量のSRエキソソームをゲンタマイシンまたはインドメタシンと組み合わせて投与し、生存率及び遅延した早産についてモニタリングする。PBS、ゲンタマイシン(5-150mg/kg)、インドメタシン(1-50mg/kg)、異なる用量(1E+9~1E+11)でExo-srIκBを1回、3回または5回、Exo-srIκB+ゲンタマイシン、Exo- srIκB+インドメタシンを注射した大腸菌注射されたCD-1妊娠したマウスグループにおいてマウスの生存率及び仔(新生児)の生存力を測定する。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞を含む、胎児の寿命、胎児の生存力又は新生児の生存力を増加させたり、子宮及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、あるいは妊娠中に子宮及び/又は胎児において炎症に関連する状態を治療するための薬剤学的組成物。
【請求項2】
細胞外小胞がエキソソームである、請求項1に記載の
組成物。
【請求項3】
光特異結合タンパク質が第1光特異結合タンパク質または第2光特異結合タンパク質である、請求項1に記載の
組成物。
【請求項4】
第1光特異結合タンパク質がエキソソーム特異マーカーに接合され、第1融合タンパク質(融合タンパク質I)を形成し;第2光特異結合タンパク質がNF-κB抑制タンパク質に接合され、第2融合タンパク質(融合タンパク質II)を形成する、請求項3に記載の
組成物。
【請求項5】
融合タンパク質I及び融合タンパク質IIが第1光特異結合タンパク質及び第2光特異結合タンパク質を通じて可逆的に連結される、請求項3に記載の
組成物。
【請求項6】
第1光特異結合タンパク質がエキソソームの内側に向かう方向に位置するようにエキソソーム特異マーカーに接合される、請求項4に記載の
組成物。
【請求項7】
第1光特異結合タンパク質及び第2光特異結合タンパク質がクリプトクロム相互作用ベーシックヘリックスループヘリックスタンパク質(CIB)、CIBのN末端ドメイン(CIBN)、フィトクロムB(PhyB)、フィトクロム相互作用因子(PIF)、フラビン結合、ケルチ繰り返しFボックス1(FKF1)、GIGANTEA、CRY2クリプトクロム2(CRY2)及び光分解酵素相同領域(PHR)からなるグループから選択される、請求項3に記載の
組成物。
【請求項8】
第1光特異結合タンパク質がCIBまたはCIBNであり、第2光特異結合タンパク質がCRY2またはPHRであるか、あるいは第1光特異結合タンパク質がCRY2またはPHRであり、第2光特異結合タンパク質がCIBまたはCIBNである、請求項3に記載の
組成物。
【請求項9】
第1光特異結合タンパク質がPhyBであり、第2光特異結合タンパク質がPIFであるか、あるいは第1光特異結合タンパク質がPIFであり、第2光特異結合タンパク質がPhyBである、請求項3に記載の
組成物。
【請求項10】
第1光特異結合タンパク質がGIGANTEAであり、第2光特異結合タンパク質がFKF1であるか、あるいは第1光特異結合タンパク質がFKF1であり、第2光特異結合タンパク質がGIGANTEAである、請求項3に記載の
組成物。
【請求項11】
エキソソーム特異マーカーがCD9、CD63、CD81及びCD82からなるグループから選択される、請求項4に記載のエキソソーム。
【請求項12】
NF-κB抑制剤がNF-κB抑制薬物、NF-κB抑制タンパク質又はその断片、及びこれらの混合物からなるグループから選択される、請求項1に記載の
組成物。
【請求項13】
NF-κB抑制タンパク質がIκB、スーパーリプレッサー(super repressor)IκB(srIκB)、IκB-α、IκB-β、IκB-ε及びB細胞リンパ腫3(BCL3)、それらの突然変異体及びこれらの混合物からなるグループから選択される、請求項1に記載の
組成物。
【請求項14】
組成物が、経口、経皮、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、膣、子宮内経路又はその混合により投与される、請求項1に記載の
組成物。
【請求項15】
請求項1の組成物の投与とともに、投与前又は後に抗生剤又は子宮収縮抑制剤を投与することをさらに含む、請求項1に記載の
組成物。
【請求項16】
抗生剤がペニシリン、セファロスポリン、マクロライド、リンコサミド、カルバペネム、グリコペプチド、アミノグリコシド、テトラサイクリン、エリスロマイシン、ニトロイミダゾール、β-ラクタマーゼ抑制剤、これらの誘導体、及びこれらの混合物からなるグループから選択され;子宮収縮抑制剤がプロゲステロン、ニフェジピン、アトシバン、リトドリン、インドメタシン、硫酸マグネシウム、オルシプレナリン、テルブタリン、サルブタモール、フェノテロール、ニリドリン、イソクスプリン、ヘキソプレナリン、及びこれらの混合物からなるグループから選択される、請求項15に記載の
組成物。
【請求項17】
核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞を含む組成物を、これを必要とする対象体に投与することを含む、胎児の寿命、胎児の生存力または新生児の生存力を増加させたり、母体及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり、あるいは母体及び/又は胎児において炎症に関連した状態を治療する方法。
【請求項18】
胎児の寿命、胎児の生存力又は新生児の生存力を増加させたり;子宮及び/又は胎児において炎症を治療したり、早産を遅延させたり;あるいは妊娠中に子宮及び/又は胎児において炎症に関連した状態を治療するための薬剤学的組成物の製造のための、核因子カッパベータ(NF-κB)抑制剤;及び光特異結合タンパク質を含む細胞外小胞の使用。
【請求項19】
妊娠中の子宮及び/または胎児における炎症に関する状態が、産前炎症反応(prenatal inflammatory response)、早期陣痛(preterm labor)、早期分娩(preterm delivery)、羊膜の早期破裂(preterm rupture of amniotic membrane)、低出生体重(low birth weight)、腺筋症(adenomyosis)、 胎児炎症反応症候群(fetal inflammatory response syndrome)(FIRS)、 子宮筋腫(uterine fibroid)、子宮内炎症(intrauterine inflammation)、絨毛膜羊膜炎(chorioamnionitis)、 羊膜炎(amnionitis)、 羊水感染(amniotic fluid infection)、胎盤感染(placental infection)及び羊膜内感染(intra-amniotic infection)、及びこれらの混合からなるグループから選択される、請求項1に記載の
組成物。
【請求項20】
妊娠中の子宮及び/または胎児における炎症に関する状態が、産前炎症反応(prenatal inflammatory response)、早期陣痛(preterm labor)、早期分娩(preterm delivery)、羊膜の早期破裂(preterm rupture of amniotic membrane)、低出生体重(low birth weight)、 腺筋症(adenomyosis)、 胎児炎症反応症候群(fetal inflammatory response syndrome)(FIRS)、 子宮筋腫(uterine fibroid)、及びそれらの混合からなるグループから選択される、請求項17に記載の
方法。
【請求項21】
妊娠中の子宮及び/又は胎児において炎症に関連する状態が、産前炎症反応(prenatal inflammatory response)、 早期陣痛(preterm labor)、早期分娩(preterm delivery)、羊膜の早期破裂(preterm rupture of amniotic membrane)、低出生体重(low birth weight)、 腺筋症(adenomyosis)、 胎児炎症反応症候群(fetal inflammatory response syndrome)(FIRS)、 子宮筋腫(uterine fibroid)、及びこれらの混合からなるグループから選択される、請求項18に記載の使用。
【国際調査報告】