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  • 特表-車両内のレーダーベースの監視 図1
  • 特表-車両内のレーダーベースの監視 図2
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  • 特表-車両内のレーダーベースの監視 図4A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-07
(54)【発明の名称】車両内のレーダーベースの監視
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/00 20060101AFI20230228BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230228BHJP
   B60R 21/015 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
G08B21/00 U
G08B21/02
B60R21/015 310
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540779
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(85)【翻訳文提出日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021012081
(87)【国際公開番号】W WO2021138672
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/956,376
(32)【優先日】2020-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】500115826
【氏名又は名称】ジェンテックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【弁理士】
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】レミイン マシュー ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】ポールマン ベンジャミン エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ブラッケンベリー ブライアン ジー
(72)【発明者】
【氏名】リンツ ジョシュア ディー
(72)【発明者】
【氏名】ウォード マーク イー
【テーマコード(参考)】
5C086
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA06
5C086CA25
5C086EA45
5C086FA01
(57)【要約】
【課題】車両の内部の搭乗者の監視することができる搭乗者監視システム及び方法を提供する。
【解決手段】車両における搭乗者監視システムは、プリント回路基板と通信するプロセッサと、プロセッサと通信するレーダーモジュールと、レーダーモジュールと通信するレンズと、を備える。レーダーモジュールおよびレンズは、車両内のバックミラー組立品内に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の搭乗者監視システムであって、
プリント回路基板と通信するプロセッサと、
前記プロセッサと通信する第一のレーダーモジュールと、
前記第一のレーダーモジュールと通信するレンズと、を備え、
前記第一のレーダーモジュールおよび前記レンズが、車両内のバックミラー組立品内に配置されている、搭乗者監視システム。
【請求項2】
前記レンズは、前記レンズの視野が前記車両の搭乗者のための少なくとも一つの着座位置を捕捉することを可能にするように構成されている、請求項1に記載の搭乗者監視システム。
【請求項3】
前記レンズの視野は、前記車両の少なくとも二つの搭乗者着座位置を捕捉するように構成されている、請求項1または2に記載の搭乗者監視システム。
【請求項4】
前記搭乗者監視システムは、
第二のレーダーモジュールと、
前記第二のレーダーモジュールと通信する第二のレンズと、をさらに備え、
前記第二のレーダーモジュールは、前記プロセッサと通信するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の搭乗者監視システム。
【請求項5】
前記第二のレーダーモジュールおよび前記第二のレンズは、前記車両の天井に配置されている、請求項4に記載の搭乗者監視システム。
【請求項6】
少なくとも一つの車両搭乗者からの、肺機能および心臓機能のうちの少なくとも一つに関連する動きを検出することおよびデータを収集することを前記第一のレーダーモジュールが行うことができる、請求項1~5のいずれか一項に記載の搭乗者監視システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記収集されたデータを使用して心拍数、脈拍数、心拍数変動性、呼吸数、および心臓リズムのうちの少なくとも一つを決定するように構成されている、請求項6に記載の搭乗者監視システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記収集されたデータを使用して前記車両の搭乗者の存在および場所を検出するように構成されている、請求項6に記載の搭乗者監視システム。
【請求項9】
前記搭乗者監視システムは、所定の事象の発生後に搭乗者が前記車両内に残されている場合に警告を生成させるように構成されている、請求項8に記載の搭乗者監視システム。
【請求項10】
前記警告は、前記車両のホーンを鳴らすこと、および携帯電話に警告を送ることのうちの少なくとも一つを含む、請求項9に記載の搭乗者監視システム。
【請求項11】
前記搭乗者監視システムは、
第二のレーダーモジュールと、
前記第二のレーダーモジュールと通信する第二のレンズと、をさらに備え、
前記プリント回路基板と通信する第二のプロセッサと、をさらに備え、
前記第二のレーダーモジュールは、前記第二のプロセッサと通信するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の搭乗者監視システム。
【請求項12】
前記第二のレーダーモジュール、前記第二のレンズ、および前記第二のプロセッサは、前記車両の天井に配置されている、請求項11に記載の搭乗者監視システム。
【請求項13】
前記レーダーモジュールは、60GHz FMCWレーダーを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の搭乗者監視システム。
【請求項14】
前記レーダーモジュールは、パルスコヒーレントレーダーを備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の搭乗者監視システム。
【請求項15】
前記搭乗者監視システムは、他の車両システムと通信することと、所定の状況が検出された場合に前記車両を道路から離れさせるように構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の搭乗者監視システム。
【請求項16】
車両の搭乗者の、少なくとも一つの生理学的機能を監視する方法であって、
前記車両の搭乗者の場所を決定するステップと、
レーダーモジュールを使用して、監視される前記搭乗者の、少なくとも一つの生理学的機能についてデータを集めるステップと、
前記収集されたデータをプロセッサで分析するステップと、を含む、方法。
【請求項17】
監視される対象者は、車両の搭乗者であり、前記レーダーモジュールは、前記車両のバックミラー組立品内に配置されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
搭乗者が車両内に残されていることと、
所定の事象の発生と、
の両方があるという判定に応答して、警告を送信させるステップをさらに含む、請求項16~17のいずれか一項に記載の監視する方法。
【請求項19】
前記所定の事象は、内部温度が所定の閾値に達すること、所定の時間の経過、車両ドアのロック、残っている前記搭乗者が前記車両内の特定の着座位置にいるという判定、および残っている前記搭乗者が前記車両の運転者位置にいないという判定のうちの少なくとも一つを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
監視される対象者は、前記車両の運転者であり、
前記方法は、前記プロセッサと通信するコントローラによって、かつ前記車両の前記運転者の能力が低下しているという判定に応答して、前記車両を路肩に寄せることができる車両システムと通信するステップをさらに含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の監視する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月2日に出願された「Radar-Based Monitoring in a Vehicle」と題する米国特許仮出願第62/956,376号の利益および優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概して、車両の内部の搭乗者の監視に関し、特に、車両の内部の搭乗者のレーダーベースの監視に関する。
【発明の概要】
【0003】
一態様によれば、搭乗者監視システムは、プリント回路基板と通信するプロセッサと、プロセッサと通信する第一のレーダーモジュールと、第一のレーダーモジュールと通信するレンズと、を備えてもよい。第一のレーダーモジュールおよびレンズは、車両のバックミラー組立品内に配置されていてもよい。
【0004】
レンズは、レンズの視野が車両の搭乗者のための少なくとも一つの着座位置を捕捉することを可能にするように構成されていてもよい。レンズの視野は、車両の少なくとも二つの搭乗者着座位置を捕捉するように構成されていてもよい。搭乗者監視システムはさらに、第二のレーダーモジュール、および第二のレーダーモジュールと通信する第二のレンズを備えてもよい。第二のレーダーモジュールは、プロセッサと通信するように構成されていてもよい。第二のレーダーモジュールおよび第二のレンズは、車両の天井に配置されていてもよい。第二のレーダーモジュールおよび第二のレンズは、車両の天井コンソールに配置されていてもよい。
【0005】
第一および第二のレーダーモジュールは、少なくとも一つの車両搭乗者からの肺機能および心臓機能のうちの少なくとも一つに関連する動きを検出しデータを収集することができてもよい。プロセッサは、収集されたデータを使用して心拍数、脈拍数、心拍数変動性、呼吸数、および心臓リズムのうちの少なくとも一つを決定するように構成されていてもよい。プロセッサは、収集されたデータを使用して車両の搭乗者の場所および存在を検出するように構成されていてもよい。搭乗者監視システムは、所定の事象の発生後に搭乗者が車両内に残されている場合に警告を生成させるように構成されていてもよい。所定の事象は、例えば、車両をオフにすること、車両の外側の場所からの車両ドアのロック、所定の時間量の経過、および車両の内部における所定の温度閾値を超えることのうちの少なくとも一つを含んでもよい。警告は、車両のホーンを鳴らすこと、および携帯電話に警告を送ることのうちの一つを含んでもよい。レーダーモジュールは、60GHz FMCWレーダーを備えてもよい。レーダーモジュールは、パルスコヒーレントレーダーを備えてもよい。搭乗者監視システムは、所定の状況が検出され得る場合に車両を路肩に寄せることができる、他の車両システムと通信するように構成されていてもよい。
【0006】
別の態様によれば、車両の少なくとも一人の搭乗者の少なくとも一つの生理学的機能を監視する方法は、車両の搭乗者の場所を決定することと、レーダーモジュールを使用して、監視される少なくとも一人の対象者の少なくとも一つの生理学的機能についてデータを集めることと、収集されたデータをプロセッサ上で分析することと、を含んでもよい。
【0007】
監視される対象者は、車両の搭乗者であってもよい。レーダーモジュールは、車両のバックミラー組立品内に配置されていてもよい。監視する方法はさらに、搭乗者が車両に残されているという判定および所定の事象の発生に応答して、警告を送信させることを含んでもよい。所定の事象は、車両の内部温度が所定の閾値に達すること、所定の時間の経過、車両ドアのロック、残っている搭乗者が車両内の特定の着座位置にいるという判定、および残っている搭乗者が車両の運転者位置にいないという判定のうちの少なくとも一つを含んでもよい。監視される対象者は、車両の運転者であってもよい。監視する方法はさらに、プロセッサと通信するコントローラによって、かつ車両の運転者の能力が低下しているという判定に応答して、車両を路肩に寄せることができる車両システムと通信することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示によるレーダーベースの監視システムの第一の実施形態の概略図を示す。
図2図2は、図1のレーダーベースの監視システムを有する車両の上面図を示す。
図3A図3Aは、本開示によるレーダーベースの監視システムの第二の実施形態の概略図を示す。
図3B図3Bは、本開示によるレーダーベースの監視システムの第三の実施形態の概略図を示す。
図4図4は、図1のレーダーベースの監視システムの利用方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、レーダーベースの搭乗者監視システム10は、プリント回路基板24上に配置された少なくとも一つのレーダーモジュール20を備えてもよい。少なくとも一つのレーダーモジュール20の各々は、レンズ28を備えてもよい。プロセッサ32は、プリント回路基板24上に配置されていてもよく、少なくとも一つのレーダーモジュール20と通信してもよい。レーダーベースの搭乗者監視システム10は、車両電力システムから電力を受け取ってもよく、または独自の電源36を有してもよい。
【0010】
レーダーベースの搭乗者監視システム10は、受信したレーダー信号をデジタルデータに変換することと、それらを分析のためにプロセッサ32に送信するように構成されていてもよい。部分的にはレーダーの貫通能力による、肺および心臓の動きを高い正確さで検出することが、レーダーベースの搭乗者監視システム10によって可能であってもよい。心臓活動と呼吸活動は両方とも、対象者の胸壁に対する可視かつ測定可能な動きを引き起こし得る。したがって、レーダーベースの搭乗者監視システム10によって特定の生理学的機能を監視することは、心筋の収縮によって引き起こされる車両搭乗者の振動のタッチフリー測定によって、行われ得る。レーダー信号は、横隔膜および胸壁の動きを反映してもよい。
【0011】
レーダーベースの搭乗者監視システム10の少なくとも一部の構成要素は、図2に示すように、車両44のバックミラー組立品40内に配置されていてもよい。一部の実施形態では、レーダーベースの搭乗者監視システム10のレンズ28は、バックミラー組立品40の縁部またはハウジング48に配置されていてもよい。一部の実施形態では、レンズ28は、ハウジングの内部空洞(図示せず)内に配置され、かつバックミラー組立品40のミラー、エレクトロクロミック、またはディスプレイ要素52を通してデータを捕捉してもよい。レンズ28は、車両44内の少なくとも一つの搭乗者着座位置を捕捉するように構成された視野を有してもよく、ここで搭乗者着座位置は、車両搭乗者が座り得る車両座席である。搭乗者着座位置は、例えば、運転者の座席または乗客の座席を含み得る。レーダーモジュール20は、レーダーモジュール20の特定の距離内の車両搭乗者からの情報を捕捉するように構成されていてもよい。バックミラー組立品40内にレーダーモジュール20を配置することによって、レーダーモジュール20が特定の距離内にあることが可能になり得る。一部の実施形態では、レンズ28は、複数の送信および受信アンテナを通して生じるビームの使用によって方位を決定するように構成された、レーダーを備えてもよい。
【0012】
レーダーモジュール20によって収集されるデータは、少なくとも一人の車両搭乗者の心拍数、脈拍数、心拍数変動性、呼吸数、および心臓リズムなどの、少なくとも一つのパラメータに関する情報を含んでもよい。データは、プロセッサ32によって処理されてもよい。処理は、車両44の搭乗者の心拍数、脈拍数、心拍数変動性、呼吸数、および心臓リズムの値を決定することを含んでもよい。プロセッサ32は、データを処理し、心拍数および心拍数変動性などの選択されたパラメータに関するほぼ即時の情報を提供するように構成されていてもよい。データはまた、レーダーベースの搭乗者監視システム10が車両44内における搭乗者の場所を決定することを可能にし得る。さらに、レーダーベースの搭乗者監視システム10は、一つのレーダーモジュール20で複数の対象者を同時に監視すること、ならびに/または単一の対象者に対して複数の測定場所および/もしくは複数のパラメータを監視することができてもよい。
【0013】
バックミラー組立品40内の見通しのきく地点から、レーダーベースの搭乗者監視システム10は、遮るものがないかまたはほぼ遮るものがない位置から車両搭乗者を監視するためにうまく配置され得る。バックミラー組立品40内に配置されることは、車両44の複数の搭乗者からのデータをレンズ28が捕捉することを可能にするレンズ28の視野を提供し得る。バックミラー組立品40は、例えば車両44のバイザーまたはルーフよりも適切な高さであり得る。バックミラー組立品40は、同じ程度に高いわけではなく、したがって車両搭乗者により近いからである。さらに、概して、バックミラー組立品40と車両44の前部座席56の搭乗者との間には、遮るものがほとんどまたは全くない。バックミラー組立品40はまた、より高く中心にあるその場所に起因して、車両44の後部座席の搭乗者を監視するためにうまく位置付けられ得る。前部座席56の座席背もたれ60は、バックミラー組立品40内のレーダーモジュール20が後部座席搭乗者からのデータを捕捉することを可能にするために十分低くてもよく、ヘッドレストは概して、レーダーモジュール20からの信号が当該ヘッドレストの間を進んで後部座席搭乗者についての情報を集めることを可能にするために、車両44の側面に対して十分遠くに配置される。さらに、車両座席56およびヘッドレストの構成に応じて、レーダー信号は、車両座席56およびヘッドレストを通過することができ得る。
【0014】
3列以上の座席56を有する車両44では、レーダーモジュール20が座席56の2列目または3列目の搭乗者からのデータを捕捉することが可能であってもよい。しかしながら、図3Aおよび図3Bに示すように、車両44内の着座位置により近い場所に、少なくとも一つの追加のレーダーモジュール20Aおよび追加のレンズ28Aを設置することが有利であり得る。車両44内の着座構成に応じて、少なくとも一つの追加のレーダーモジュール20Aが望ましい場合がある。特に、座席56の3列目を有する車両44は、座席56の3列目の搭乗者を監視するために、追加のレーダーモジュール20Aを必要としてもよい。一部の実施形態では、少なくとも一つの追加のレーダーモジュール20Aは、座席56の2列目の搭乗者、または座席56の2列目と3列目の両方の搭乗者を監視することを可能にするために、必要とされ得る。一部の実施形態では、第二のレーダーモジュール20Aは、座席56の2列目の搭乗者を監視するために使用されてもよく、第三のレーダーモジュール(図示せず)は、座席56の3列目の搭乗者を監視するために必要とされ得る。各追加のレンズ28Aは、一つの追加のレーダーモジュール20Aと通信してもよい。一部の実施形態では、第二の、および必要に応じて第三のレーダーモジュール20Aは、座席56の2列目および3列目に近接して、例えば車両44のピラー上に配置されていてもよい。一部の実施形態では、第二および第三のレーダーモジュール20Aは、車両44の天井に配置されていてもよい。一部の実施形態では、搭乗者からの追加のレーダーモジュール20Aの距離に応じて、データを収集するために信号増幅が必要とされ得る。
【0015】
追加のレーダーモジュール20Aの必要性ならびに数および場所(複数可)は、要求されるかまたは所望される視野、車両44の構成、レーダーモジュール20のレンズ28の幅および視野、ならびにレーダーモジュール20の感度に部分的に基づいて決定されてもよい。
【0016】
一部の実施形態では、第一の信号増幅器25は、レーダーモジュール20と通信してもよい。信号増幅器25は、レーダーモジュール20によって放射される信号を増幅するように構成されていてもよい。これは、監視の有効性を維持しながら、レーダーモジュール20と監視される車両搭乗者との間の距離を大きくするために、必要な場合がある。第二の信号増幅器25Aは、追加のレーダーモジュール20Aと通信してもよい。
【0017】
一部の実施形態では、図3Aに示すように、存在する場合には第二および第三のレーダーモジュール20Aを含む、任意の追加のレーダーモジュール20Aは、プロセッサ32と通信してもよい。プロセッサ32は、プリント回路基板24と通信してもよい。一部の実施形態では、存在する場合には第二および第三のレーダーモジュール20Aを含む、追加のレーダーモジュール20Aは各々、図3Bに示すように、追加のプロセッサ32Aに関連付けられていてもよい。各追加のプロセッサ32Aはさらに、下位プリント回路基板24Aと通信してもよく、当該下位プリント回路基板24Aの各々は、プリント回路基板24と通信してもよい。この配置では、プリント回路基板24は、マスタープリント回路基板として作用してもよく、下位プリント回路基板24Aおよび/または他の車両システムと通信するように構成されている。プリント回路基板24に関連付けられたコントローラ33は、警告を生成するもの、例えば車両のホーンを作動させるものなどの、他の車両システムと通信してもよい。コントローラ33は、レーダーモジュール20および追加のレーダーモジュール(複数可)20Aのうちの少なくとも一つによって捕捉されたデータに基づいて必要な時に他の車両システムによる警告の生成および送信を引き起こすように構成されていてもよい。
【0018】
各追加のレーダーモジュール20Aは、レーダーベースの搭乗者監視システム10から電力を受け取るように構成されていてもよく、または車両電力システムから電力を受け取るように構成されていてもよい。一部の実施形態では、任意的な電源36Aを使用して、追加のレーダーモジュール20Aに電力供給してもよい。
【0019】
一部の実施形態では、追加のレーダーモジュール(複数可)20Aは、ビデオ、音声、および/または換気システムのためのコントロールを有する天井コンソールなどの、車両44の天井コンソールに設置されてもよい。これによって、追加のレーダーモジュール20Aのレンズ28Aの、より遮られていない眺め、および/またはより良好な視野が可能になり得る。一部の実施形態では、追加のレーダーモジュール(複数可)20Aは、車両44の天井に配置されていてもよい。
【0020】
一部の実施形態では、レーダーモジュール20および追加のレーダーモジュール(複数可)20Aは、第一のアンテナ(図示せず)および第二のアンテナ(図示せず)を備えてもよい。各アンテナは、一つ以上のアンテナ素子を備えてもよい。レーダーモジュール(複数可)20、20Aは、第一のアンテナでレーダー波を送信し、第二のアンテナでレーダー波を受信するように構成されていてもよい。一部の実施形態では、レーダーモジュール(複数可)20、20Aはさらに、受信したレーダー波を分析するように構成されていてもよい。
【0021】
一部の実施形態では、レーダーモジュール(複数可)20、20Aは、選択された車両搭乗者の特定の生理学的機能を検出、認識、および分析するように構成されていてもよい。生理学的機能の監視は、非侵襲、非接触の監視であってもよい。さらに、高精度かつ低コストであり、かつ使用する電力消費量が少ないものであってもよい。一部の実施形態では、監視は、運転者および車両乗客の両方、または車両44内の選択された着座位置の搭乗者に対して実行されてもよい。当該特定の生理学的機能のために情報を捕捉するようにレーダーベースの搭乗者監視システム10が構成される、特定の生理学的機能は、呼吸数、心拍数、心拍数変動性、脈拍数、および心臓リズムを含んでもよい。
【0022】
一部の実施形態では、レーダーベースの搭乗者監視システム10は、車両44のすべての搭乗者の場所を決定するように構成されていてもよい。レーダーベースの搭乗者監視システム10は、レンズ(複数可)28、28Aから受信した入力に基づいて、レーダーモジュール(複数可)20、20Aから、またはアンテナから受信した入力から、搭乗者の場所を決定してもよい。レーダーベースの搭乗者監視システム10は、各アンテナまたはアンテナ素子から入力を受信し、当該入力を使用して、受信した信号の方向および距離を決定して、車両搭乗者の場所を決定するように構成されていてもよい。
【0023】
一部の実施形態では、レーダーベースの搭乗者監視システム10は、車両44がオフにされて乗客が車両44内に残されている場合に、警告を送信するように構成されていてもよい。警告は、例えば、車両44がオフにされて心拍数または脈拍が車両44内で依然として検出される場合に、生成されてもよい。一部の実施形態では、レーダーベースの搭乗者監視システム10は、搭乗者が車両44内に残されて車両44のロックなどの所定の事象が発生した場合にのみ、警告を送信させてもよい。他の所定の事象は、車両の内部温度が所定の閾値に達すること、所定の時間の経過、残っている搭乗者が車両内の特定の着座位置にいるという判定、残っている搭乗者が車両の運転者位置にいないという判定などを含んでもよい。例えば、搭乗者が車両44内に残されて運転者が車両44を離れてロックする場合、レーダーベースの搭乗者監視システム10は、警告を生成および送信させるように構成されていてもよい。警告は、例えば、車両44のホーンを鳴らすこと、または携帯電話に警告を送ることのうちの少なくとも一つを含んでもよい。車両44は、Bluetoothを介して車両44に最近ペアリングされた携帯電話に、および/または通知を受信する携帯電話としてレーダーベースの搭乗者監視システム10に登録されている携帯電話に、警告を送信するように構成されていてもよい。車両44は、車両44とペアリングしている電話として車両のディレクトリ内に列挙されている携帯電話のすべてまたは選ばれたサブセットに警告を送信するように構成されていてもよい。搭乗者が車両44内に残されている場合に警告を送信することは、車両44を退出した後に車両ユーザーが子供または乳幼児を車両44内に残すことを防止し得る。
【0024】
一部の実施形態では、レーダーベースの搭乗者監視システム10は、車両44がオフにされた後、稼働中のままであってもよい。レーダーベースの搭乗者監視システム10は、バッテリーなどのバックアップ電源36を使用して動作する、または車両44がオフにされた後もアクティブのままである車両システムから電力を受け取るように構成されていてもよい。一部の実施形態では、レーダーベースの搭乗者監視システムは、車両44が動作している間に車両電力システムから電力を受け取り、車両44が動作していない時にバックアップ電源36から電力を受け取るように構成されていてもよい。
【0025】
一部の実施形態では、レーダーベースの搭乗者監視システム10は、車両搭乗者の健康状態を監視または追跡するように構成されていてもよい。レーダーベースの搭乗者監視システム10は、自律駐車支援(autonomous parking assistance)または障害物が車両44に近接しているかどうかを判定するセンサなどの他の車両システムと通信するように構成されていてもよく、危険な状況が検出された場合に車両44を安全に路肩に寄せることができてもよい。危険な状況は、例えば、眠い運転者または心臓事象を起こしている運転者を含んでもよい。車両44は、道路の路肩に寄せられるか、または完全に道路から離れて例えば駐車場内へ寄せられてもよい。
【0026】
一部の実施形態では、レーダーモジュール(複数可)20、20Aは、パルスコヒーレントレーダーモジュール(複数可)を備えてもよい。パルスコヒーレントレーダーモジュールは、標的からいくらかの距離に配置されていながら心臓の動きを検出することができてもよい。パルスコヒーレントレーダーは、障害物によって反射されレーダーによって受信される信号を送信することによって動作する。受信したアナログ信号は、デジタルデータに変換されてもよい。次いで、デジタルデータは、さらなる処理のためにプロセッサ32に送信され得る。パルスコヒーレントレーダーは、典型的には、小さなサイズおよび単純な構造を有し、したがって、概して、設置および操作が容易である。
【0027】
パルスコヒーレントレーダーモジュールは、パルスコヒーレントレーダーを持続時間の短いインパルス波の形態として使用してもよく、波は、小さな動きの測定を高い正確さで可能にすることができ、したがって、対象者から距離を置かれていながらも、パルスコヒーレントレーダーモジュールが身体の外側から心臓および肺の動きを検出できるようにし得る。これによって、他の非接触のバイタルサイン監視方法よりも、対象者からより大きな距離(場合によっては数ヤードまで)で、レーダーベースの搭乗者監視システム10を配置することが可能になり得る。パルスコヒーレントレーダーを使用してレーダーモジュール20によって放射される波は、その超広帯域に起因して、正確さの損失が最小で、または正確さの損失なく、衣類を貫通し得る。
【0028】
代替的に、一部の実施形態では、レーダーモジュール20は、心拍数および呼吸数を監視するために、60GHZ FMCWレーダーなどの周波数変調連続波(FMCW)レーダーモジュールを備えてもよい。FMCWレーダーモジュールは、呼吸および心拍などの生理学的な動きによって引き起こされる変位を検出するように構成されていてもよい。ドップラー効果のおかげで、心拍および呼吸によって引き起こされる動きは、FMCWレーダーを使用して対象者に向けて波を送信し、反射されたレーダー信号の位相シフトを測定することによって検出することができ、心拍数と呼吸数の同時測定が可能になる。
【0029】
図4に示すように、車両44の少なくとも一人の搭乗者を監視する方法が、全体的に100に示されている。ステップ110では、車両44の少なくとも一人の搭乗者の場所は、レーダーベースの搭乗者監視システム10によって決定されてもよい。ステップ120では、レーダーモジュール20は、車両44の少なくとも一人の搭乗者の少なくとも一つの生理学的機能について、レーダー波を使用してデータを集めてもよい。ステップ130では、プロセッサ32は、レーダーモジュール20によって収集されたデータを分析してもよい。
【0030】
ステップ140では、プロセッサ32は、搭乗者が車両内に残されているかどうか、および所定の事象が発生したかどうかを判定してもよい。ステップ150では、所定の事象の発生に応答して、および搭乗者が車両44内に残されているという判定の上で、レーダーベースの搭乗者監視システム10は、警告を生成および送信させてもよい。所定の事象は、車両44の内部温度が所定の閾値に達すること、所定の時間の経過、車両ドアのロック、残っている搭乗者が車両44内の特定の着座位置にいるという判定、残っている搭乗者が車両44の運転者位置にいないという判定などのうちの、少なくとも一つを含んでもよい。
【0031】
ステップ160で、レーダーベースの搭乗者監視システム10は、車両44の運転者の能力が低下しているかどうかを判定してもよい。ステップ170では、車両44の運転者の能力が低下しているという判定に応答して、レーダーベースの搭乗者監視システム10は、車両44が道路から離れて安全な場所へ寄せることができる車両システムと通信してもよい。安全な場所は、道路の路肩、駐車場などであり得る。
【0032】
方法は、一つのレーダーモジュール20および一つのプロセッサ32のみを使用して説明されたが、複数のレーダーモジュール20Aおよび複数のプロセッサ32Aを使用してレーダーベースの搭乗者監視システム10によって実行することができる。
【0033】
上記の説明は、好ましい実施形態についてのみのものとみなす。当業者および本開示の製作者または使用者であれば、本開示の修正を思いつくであろう。したがって、図面に示した、および上に記載した実施形態は、単に例示的な目的のためであって、本開示の範囲を限定することを意図したものではなく、本発明の範囲は、均等論を含む特許法の原則に従って解釈される以下の特許請求の範囲によって定義されることが、理解される。本開示では、本革新について少数の実施形態のみを詳細に記載してきたが、本開示を検討する当業者は、数多くの修正(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状および比率、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、向き、の変化など)が、記載されている主題に関する新規性のある教示および利点から大きく逸脱することなく、可能なことを簡単に認識するであろう。例えば、一体的に形成されたものとして示される要素は、複数の部品で構成されてもよく、または複数の部品として示される要素は、一体的に形成されてもよく、インターフェースの操作は、逆にされてもよく、または、さもなければ変えられてもよく、システムの構造および/もしくは部材もしくはコネクタまたは他の要素の長さまたは幅は、変えられてもよく、要素間に設けられた調整位置の性質または数は、変えられてもよい。したがって、こうしたすべての修正は、本革新の範囲内に含まれることが意図される。本革新の精神を逸脱することなく、所望の、および他の例示的な実施形態の設計、動作条件、および配置において、他の置換、修正、変更、および省略がなされ得る。
【0034】
この文書では、関係を示す用語、例えば、第一および第二、上および下、前および後ろ、左および右、垂直、水平などは、一つの構成要素または動作を別の構成要素または動作と区別するために、単独で使用されるものであり、そのような構成要素または動作の間でのいかなる実際のそのような関係、順序、または数も、必ずしも要求または含意するものではない。これらの用語は、様々な要素が様々な用途において異なって適応され得るため、それら用語が記述する要素を限定することを意図していない。さらに、それに反して明示的に特定された場合を除き、装置は、様々な適応、およびステップのシーケンスを取ることができると理解されるべきである。添付の図面に図示し、以下の明細書に記載した特定の装置およびプロセスは、添付の特許請求の範囲において定義される発明の概念の単なる例示的な実施形態にすぎないことも、理解されるべきである。よって、特許請求の範囲でそうでないことが明示的に述べられているのでない限り、本明細書で開示された実施形態に関連する具体的な寸法および他の物理的特性は、限定的とみなされるべきではない。
【0035】
当然のことながら、任意の記載されたプロセスまたは記載されたプロセス内のステップは、他の開示されたプロセスまたはステップと組み合わされて本開示の範囲内の構造を形成し得る。本明細書で開示される例示的なプロセスは、例示を目的としており、限定的なものと解釈されるべきではない。本開示の概念を逸脱することなく、前述の方法に対して変形および修正をすることができることも、理解されるべきであり、さらに、こうした概念は、それらの特許請求の範囲に文言で明示的に別段の定めをした場合を除き、下記の特許請求の範囲によって網羅されることが意図されていることが、理解されるべきである。
【0036】
本明細書で使用される、二つ以上の事項の列記において使用される場合の「および/または」という用語は、列記される事項のうちのいずれの一つも単独で用いられることができ、または列記される事項のうちの二つ以上のあらゆる組み合わせが用いられることができることを意味する。例えば、組成物が成分A、Bおよび/またはCを含有するとして記載される場合、当該組成物は、Aを単独で、Bを単独で、Cを単独で、AおよびBを組み合わせて、AおよびCを組み合わせて、BおよびCを組み合わせて、またはA、BおよびCを組み合わせて含有し得る。
【0037】
本明細書に使用される「約(about)」という用語は、分量、サイズ、配合、パラメータ、ならびに他の量および特徴が、ちょうどではないかまたはちょうどである必要がないが、しかし所望により、許容差、変換係数、丸め、測定誤差など、および当業者に知られている他の要因を反映して、近似で、ならびに/またはより大きいか、もしくはより小さいのであり得ることを意味する。「約(about)」という用語が、値または範囲の端点を説明する際に使用される場合、本開示は、言及される特定の値または端点を含むことが理解されるべきである。本明細書における数値または範囲の端点が「約(about)」を記載するかどうかにかかわらず、数値または範囲の端点は、二つの実施形態、すなわち「約(about)」によって修正されたものと「約(about)」によって修正されていないものとを含むことが意図される。範囲の各々の、端点は、他の端点との関係において、および他の端点から独立して、両方において重要であることがさらに理解されよう。
【0038】
本明細書で使用される「実質的な」、「実質的に」という用語およびそれらの変形は、記載された特徴が、値または説明に等しいかまたはおよそ等しいことに注目することを意図する。例えば、「実質的に平坦な」表面は、平坦なまたはおよそ平坦な表面を示すことを意図する。さらに、「実質的に」は、二つの値が等しいかまたはおよそ等しいことを示すことを意図する。一部の実施形態では、「実質的に」は、互いの2%、互いの5%、および互いの10%のうちの少なくとも一つ、以内の値を示し得る。
図1
図2
図3
図4A
図4B
【手続補正書】
【提出日】2022-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】