(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-07
(54)【発明の名称】環境センサーからの曖昧な測定データを排除する方法
(51)【国際特許分類】
G01S 13/931 20200101AFI20230228BHJP
G01S 13/86 20060101ALI20230228BHJP
G01S 13/87 20060101ALI20230228BHJP
G01S 13/68 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
G01S13/931
G01S13/86
G01S13/87
G01S13/68
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540797
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 EP2020085902
(87)【国際公開番号】W WO2021136643
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】102019135851.5
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】ブロサイト ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン リュディガー
(72)【発明者】
【氏名】ギル バスケス ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】コレイア ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】ラング ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ラップ フィリップ フェルディナンド
(72)【発明者】
【氏名】シュミットベルガー トビアス
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AE20
5J070AF03
5J070AF04
5J070AF05
5J070AF06
5J070AF10
5J070AK40
5J070BB02
5J070BB06
5J070BB15
5J070BB30
(57)【要約】
開示されているのは、制御デバイスによってセンサーエラー、特に動的オブジェクトの検知における曖昧性の排除方法で、測定データは最低でもひとつの第一センサーから受信され、オブジェクト仮説は前記受信した測定データから形成され、最低でもひとつの第二センサーからの測定データをベースに検知された最低でもひとつの参考オブジェクトのデータが受信され、前記形成されたオブジェクト仮説が最低でもひとつの検知された参考オブジェクトと比較され、検知された参考オブジェクトに該当しないオブジェクト仮説が却下される。また、開示されているのは、センサーエラー、特に静的オブジェクトの検知における曖昧性を排除するための、制御装置、コンピュータープログラム、および機械で読み取り可能なストレージメディアである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置(4)によってセンサーエラー、特に動的オブジェクト(2)の検知における曖昧性を排除する方法であって、
測定データは最低でもひとつの第一センサー(8)から受信され、オブジェクト仮説(12,14)は前記受信した測定データから形成され、
最低でもひとつの第二センサー(10)からの測定データをベースに検知される、最低でもひとつの参考オブジェクト(11)のデータが受信され、
前記形成されたオブジェクト仮説(12,14)は、前記最低でもひとつの検知された参考オブジェクト(11)のデータと比較され、
前記検知された参考オブジェクト(11)のデータと一致しないオブジェクト仮説(14)は却下される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記形成されたオブジェクト仮説(12,14)を前記最低でもひとつの検知された参考オブジェクト(11)と比較することで、却下されたオブジェクト仮説(14)は「誤り」と印をつけられ、または前記却下されたオブジェクト仮説(14)が決められた位置は「信頼できない」(U)と印がつけられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オブジェクト仮説(12,14)は、最低でもひとつのレーダーセンサー(8)からの測定データから角度仮説として形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記最低でもひとつの参考オブジェクト(11)は、前記最低でもひとつの第一センサー(8)とは異なる最低でもひとつの第二センサー(10)からの測定データから決定されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
制御装置(4)によってセンサーエラー、特に静的オブジェクト(3)の検知における曖昧性を排除するための方法で、
測定データは最低でも第一センサー(8)から受信され、オブジェクト仮説(12,14)は前記受信した測定データから形成され、
前記形成されたオブジェクト仮説(12,14)の速度が計算され、
前記計算された速度に基づいて、最低でもひとつのオブジェクト仮説(12,14)が静的オブジェクト(3)を表すかどうかが確認され、
静的オブジェクト(3)を表す最低でもひとつの決められたオブジェクト仮説(12)の場合、残りの全てのオブジェクト仮説(14)が却下される、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
制限値よりも低い速度が前記オブジェクト仮説(12)について計算されるとき、前記最低でもひとつのオブジェクト仮説(12)は静的オブジェクト(3)を表すことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各々が1つの静的オブジェクト(3)を表す最低でも2つのオブジェクト仮説(12)の場合、前記オブジェクト仮説(12)の確率が計算され、より低い確率の前記オブジェクト仮説が却下されることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
参考オブジェクト(11)のデータが受信されなかった場合、静的オブジェクトを表す最低でもひとつのオブジェクト仮説(12)以外の全てのオブジェクト仮説(14)が却下されることを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
「誤り」と印が付けられた却下されたオブジェクト仮説(14)または却下されたオブジェクト仮説(14)が決定された位置は、「信頼できない」(U)と印がつけられることを特徴とする、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記オブジェクト仮説(12,14)は、最低でもひとつのレーダーセンサー(8)からの測定データからの角度仮説として形成されることを特徴とする、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
制御装置(4)は、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法、または請求項5~10のいずれか一項に記載の方法を実行するように設計されることを特徴とする、制御装置。
【請求項12】
指示を構成するコンピュータープログラムであって、前記コンピュータープログラムがコンピューターあるいは制御装置(4)によって実行されるときに、コンピューターあるいは制御装置に請求項1~4のいずれかの一項に記載の方法、または請求項5~10のいずれか一項に記載の方法を実行させることを特徴とする、コンピュータープログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータープログラムが記憶されていることを特徴とする、機械で読み取り可能なストレージメディア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的オブジェクトの検知におけるセンサーエラー、特に曖昧性を排除するための方法、および静的オブジェクトの検知におけるセンサーエラー、特に曖昧性を排除するための方法に関するものである。更に、本発明は制御装置、コンピュータープログラムおよび機械読み取り可能なストレージメディアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動運転機能実施のためには、レーダーセンサー、LIDARセンサーあるいはカメラセンサー等の環境センサーが通常必要である。その他の道路使用者あるいは動的オブジェクトならびに車両環境内の静的オブジェクトは、環境センサーを用いて検知され、および測定されることができ、運転機能の自動化された反応を有効にすることができる。
【0003】
但し、現在利用可能な環境センサーおよび対応する測定データの評価は、偽陽性あるいは偽陰性の結果等の誤った結果になることがあり、それは自動運転機能の理解不能あるいは危険な応答をもたらす可能性がある。緊急ブレーキアシストなどのアシスト運転機能の場合、アシスト運転機能を無効にし、車両の制御をいつでもドライバーに委ねることが可能なため、必要であれば、誤った結果を抑えることができる。これは、例えば、自動緊急ブレーキが実行できないことを意味する。このような誤った結果を抑えることは、自動化、および、特に、ドライバーが不在であることによる無人の、運転機能に対しては不可能である。
【0004】
角度測定にレーダーセンサーを使用する場合、ゴースト対象物あるいは偽陽性結果の形でセンサーエラーが発生することがよくある。ゴースト対象物は特に曖昧性のために発生し、例えば、0°および30°の角度で測定可能である。信号処理において間違った判断が行われた場合、これは偽検知をもたらす可能性があり、したがって安全性を損なう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によって対処される目的は、環境センサーのエラー率、特に偽陽性率および偽陰性率を減少させるための方法を提案することであると考えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は各独立請求項の主題によって達成される。本発明の有利な実施形態は、対応する従属請求項の主題である。
【0007】
本発明の一態様によれば、制御装置によって、センサーエラー、特に動的オブジェクトの検知における曖昧性を排除するための方法が提供される。曖昧性は、特に偽陰性により生じ、従って、複数の検知されたオブジェクトあるいはオブジェクト仮説をもたらし得る。動的オブジェクトは動く道路使用者であることが好ましい。オブジェクトは例えば、モバイルユニットの環境で測定可能であり、ここで、制御装置とセンサーは例えば、モバイルユニット上に設置される。
【0008】
ひとつのステップにおいて、測定データは最低でもひとつの第一センサーから受信し、オブジェクト仮説は受信した測定データから形成される。最低でもひとつの第一センサーは、例えば、レーダーセンサー、LIDARセンサー、超音波センサー等であり得る。角度の曖昧性等の曖昧性を解決するために、決められた曖昧性のオブジェクト仮説が、例えば角度的仮説の形式で決められるか、または受信される。
【0009】
例えば、実際に測定されたオブジェクトは、角度仮説のひとつのみが正しい曖昧な角度測定を供することができる。
【0010】
更なるステップにおいて、最低でもひとつの参考オブジェクトのデータが受信され、それは最低でもひとつの第二センサーからの測定データをベースに検知される。これにより、いわゆる参考オブジェクトメソッドを使用して曖昧性を排除することができる。正しいオブジェクト仮説と間違ったオブジェクト仮説とを技術的に簡単な方法で区別できるようにするために、その他の環境的センサーあるいは最低でもひとつの第二センサーからのデータが使用される。オブジェクトが第二センサーによって安定して曖昧性がなく検知されたら、このオブジェクトは参考オブジェクトとして定義されることができる。
【0011】
それに続き、形成されたオブジェクト仮説が最低でもひとつの検知された参考オブジェクトと比較される。検知された参考オブジェクトと一致しないオブジェクト仮説は却下されることが好ましい。とりわけ場所に関して、参考オブジェクトと一致するこのようなオブジェクト仮説または角度仮説は、例えばレーダーセンサーとして具現化された第一センサーをベースに選択することができる。その他の全てのオブジェクト仮説は破棄され、したがって、もはやゴーストオブジェクトを導くことはできない。
【0012】
本方法の結果として、さらなるセンサーからの付加的な情報を使用して、早い段階において曖昧性等のセンサーエラーを修正することができるこれは、偽陽性および偽陰性の両方の結果あるいはオブジェクト仮説の発生を避けるか、または最低でも低減することができる。
【0013】
センサーに近いセンサーエラーを避けると、信号処理チェーンの高階層において不正確あるいは欠落した測定値を防ぐこともできる。惰性測定装置からの測定データならびにその他の環境的センサーからの測定データは情報のソースとしても使用できる。
【0014】
制御装置およびセンサーはモバイルユニット内に配置することができ、このモバイルユニットは、アシスト、一部自動化、高度に自動化および/または完全自動化あるいは無人の方法でBASt基準に従って操作可能である。例えば、モバイルユニットは車両、ロボット、ドローン、船舶、鉄道、ロボットタクシー、産業用ロボット、ユーティリティ車、バス、飛行機、ヘリコプター等の形式を取ることができる。
【0015】
モバイルユニットにおけるセンサー使用の大幅な増加に基づいて、本方法は高度技術の力なくして実装可能である。特に、LIDARセンサーやレーダーセンサー等の必要なセンサーが増加する数のモバイルユニットに設置されているため、提供される測定データの信頼性を付加コストなしで向上させることができる。
【0016】
ひとつの実施形態では、本方法あるいは本方法の一部に従って、車両はセンサーからの修正あるいは訂正済みの測定データに基づいて制御されることができる。測定データからセンサーエラーを排除することで、関係する全道路使用者の安全性を高めることができる。
【0017】
発明の別の態様によれば、制御装置によって静的オブジェクトの検知におけるセンサーエラー、特に曖昧性を排除する方法が供される。静的オブジェクトは不動オブジェクトであることが好ましい。例えば、静的オブジェクトは駐車中の車両、木、建物等の形であってよい。
【0018】
ひとつのステップでは、最低でも第一センサーからの測定データを受信し、受信した測定データからオブジェクト仮説が形成される。静的な実測定オブジェクトはまた、オブジェクト仮説のうちの1つのみが正しく、残りのオブジェクト仮説を曖昧性にトレースバックすることができる、曖昧なオブジェクト仮説あるいは角度仮説を供することができる。これにより、いわゆる静止対象物推測を行うことができる。このためには、第一センサーあるいは第一センサーが搭載されているモバイルユニットの速度が分かっている必要がある。速度に基づいて、形成されたオブジェクト仮説の速度を計算することができる。速度は、絶対速度として計算されることが好ましい。
【0019】
更なるステップにおいて、計算された速度に基づいて、最低でもひとつのオブジェクト仮説が静的オブジェクトを表すかどうかが確認される。それに続き、最低でもひとつオブジェクト仮説が静的オブジェクトを表すものとして決定される場合、他の全てのオブジェクト仮説は却下される。静的オブジェクトはまた、曖昧なオブジェクト仮説を有することができ、あるいはレーダー測定の場合には角度仮説を生成することができる。誤ったオブジェクト仮説が選択された場合、実際の静的オブジェクトには誤った速度が割り当てられ、動的として分類され得る。移動あるいは動的オブジェクトは、通常他の道路使用者であるため、運転機能に高い関連性がある。このため、静止対象物または静的オブジェクトによって引き起こされる移動オブジェクト仮説は、位置および速度の両方が不正確であり得るので、特に重要である。従って、オブジェクト仮説あるいは角度仮説のうちの1つがが支持する場合、決められたオブジェクト仮説あるいは位置を静止対象物であることを推測することが有利である。動的オブジェクトの場合、静止対象物仮説あるいは静的オブジェクト仮説が非常に起こりにくいため、この仮定をすることができる。
【0020】
ここでは、参考オブジェクトを曖昧性を排除するために使用できる。このようにして、方法は、動的オブジェクトの検知におけるセンサーエラー、特に、曖昧性を排除するための方法によって、付加的に支持されている。例えば、参考オブジェクトがある場合、参考オブジェクトと重複するオブジェクト仮説を選択することができ、その他全てのオブジェクト仮説を排除することができる。
【0021】
本発明による2つの方法は例えば、ランドマークベースの車両位置特定のためのランドマーク検知において使用できる。
【0022】
発明のさらなる態様によれば、制御装置が供され、制御装置はこの方法を実行するように設計される。制御装置は、例えば、車載制御装置、車外制御装置、あるいはクラウドシステムのような車外サーバーユニットであっても構わない。制御装置は最低でもひとつの測定アンテナからの測定データおよび/または最低でもひとつのモバイルユニットからの測定データを受信して処理することが好ましい。
【0023】
更に、発明の一態様によれば、コンピュータープログラムがコンピューターあるいは制御装置によって実行されるときに、本発明に従った方法をコンピューターあるいは制御装置に実行させるコマンドを含むコンピュータープログラムが供される。本発明の別の態様によれば、機械読み取り可能なストレージメディアが供され、そこに本発明によるコンピュータープログラムが保存される。
【0024】
ひとつの例示的な実施形態によれば、形成されたオブジェクト仮説を最低でもひとつの検知された参考オブジェクトと比較することで、却下されたオブジェクト仮説を「誤り」として、および/または却下されたオブジェクト仮説の位置を「信頼できない」として印をつける。この情報および印は中央サーバー装置あるいは制御装置内に記憶され、その他の加入者やモバイルユニットにもアクセス可能にすることができる。これにより、却下されたオブジェクト仮説はその他の近隣の場所あるいはオブジェクト仮説を「信頼できない」と印をつけるのに使用され得る。これらの信頼できないオブジェクト仮説はその後、ダウンストリームオブジェクトトラッキングにおいてより限定的に取り扱うか、破棄されることができる。従って、その種のアプローチは、参考オブジェクトが常に全ての曖昧性を正しく解決するために使用可能でないため、有効的である。例えば、2つ以上のオブジェクト仮説が参考オブジェクトによって確認された場合、最も確からしいオブジェクト仮説が選ばれ、最も確からしくないオブジェクト仮説が破棄される。
【0025】
更なる実施形態では、オブジェクト仮説が最低でもひとつのレーダーセンサーからの測定データから角度仮説として形成される。これは曖昧あるいは誤った角度仮説が本発明によるひとつの方法によって排除可能となる。
【0026】
更なる実施形態によれば、最低でもひとつの参考オブジェクトが最低でもひとつの第一センサーとは異なる最低でもひとつの第二センサーの測定データから決められる。例えば、参考オブジェクトは付加的レーダーセンサー、LIDARセンサー、カメラセンサー、超音波センサー等として構成されている第二センサーからの測定データを評価することで決めることができる。異なるセンサータイプあるいはセンサーの等級の測定に基づいて、曖昧性の排除は特にしっかりとした方法で実行することができる。
【0027】
更なる実施形態によれば、最低でもひとつのオブジェクト仮説は、オブジェクト仮説のための制限値よりも低い速度が計算された場合、静的オブジェクトを表す。例えば、レーダーセンサーによる角度測定の場合、直線走行のために以下の簡略化された条件が角度仮説のそれぞれに関して、テストを行うことができる:
【数1】
【0028】
このvrは測定された相対的な速度に該当し、vegoは第一センサーによるモバイルユニットの決められた速度、thetaiは角度仮説の決められた角度、そしてtは制限値あるいは閾値に該当する。オブジェクト仮説に割り当てられた速度が制限値以下と決められた場合、例えば、1m/sの場合、オブジェクト仮説は静的オブジェクトのオブジェクト仮説として定義される。
【0029】
更なる実施形態によれば、それぞれ静的オブジェクトを表す最低でも2つのオブジェクト仮説に対して、オブジェクト仮説に対して該当する確率が計算され、そこで、より低い確率を持つオブジェクト仮説が却下される。このようにして、付加的な曖昧性を特に効率良く排除できる。
【0030】
更なる実施形態によれば、静的オブジェクトを表す最低でもひとつのオブジェクト仮説以外の全てのオブジェクト仮説は参考オブジェクトが受信されない場合、破棄される。ここにおいて、技術的に簡単な決断を実施することができ、その中で、参考オブジェクトが利用可能でない場合、静止対象物仮説あるいは静的オブジェクトを表すオブジェクト仮説が選ばれることを意味する。他全てのオブジェクト仮説が却下される。
【0031】
以下において、発明の好ましい実施形態が高度に簡略化された模式図によってより詳細に解説される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、実施形態による方法を描くための動的オブジェクトを有する模式的な交通状況を示す。
【
図2】
図2は、更なる実施形態による方法を描くための静的オブジェクトを有する模式的な交通状況を示す。
【
図3】
図3は、一実施形態による方法を描いた模式的なフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1はひとつの実施形態による方法を描くために動的オブジェクト2を有する模式的な交通状況を示す。当該方法は特に、制御装置4によって動的オブジェクト2の検知における曖昧性等のセンサーエラーを排除するために使用される。
【0034】
制御装置4はモバイルユニット6に設置され、それは自動化された態様で作動することができるモータ車両として設計されている。モバイルユニット6には第一センサー8と第二センサー10が装備されている。
【0035】
例えば、第一センサー8はレーダーセンサーとして、そして第二センサー10がLIDARセンサーとして設計されている。制御装置4はセンサー8および10からデータを受信し、測定データを評価することができる。このために、制御装置4はデータ通信を行うために、センサー8および10に接続されている。
【0036】
第一センサー8からの測定データをベースに決められる正しいオブジェクト仮説12と不正確なオブジェクト仮説14とを区別するために、第二センサー10からの情報を使用できる。例えば、安定的に決められた参考オブジェクト11、および特に参考オブジェクト11の位置は2つのオブジェクト仮説12の内のひとつを確認するために使用することができる。
【0037】
その他のオブジェクト仮説14および16はその後、却下される。却下されたオブジェクト仮説14および16が存在する位置は信頼できないエリア「U」として印がつけられる。
【0038】
図2は更なる実施形態に従った方法を描くために、静的オブジェクト3を有する模式的な交通状況1を示す。この方法は、静的オブジェクト3の検知するときに、センサーエラー、特に曖昧性を排除するために使用される。
【0039】
ここでは、第一センサー8からの測定データが評価され、複数のオブジェクト仮説12および14が形成される。制御装置4によって使用可能な参考オブジェクト11は存在しない。
【0040】
誤ったオブジェクト仮説14あるいは角度仮説が制御装置4の信号処理によって選択された場合、これは該当するオブジェクト仮説14用の地上における間違って計算された速度につながる。これは静的オブジェクト3が動的あるいは移動オブジェクト2として識別されることを可能にしてしまう。
【0041】
通常、他の道路使用者がいるため、移動オブジェクト2には、運転機能に対して高い関連性がある。
【0042】
移動オブジェクト2として分類される静的オブジェクト3は特に危険で、それはそれらの位置および速度の両方がエラーの対象となるためである。従って、オブジェクト仮説12あるいは角度仮説のうちの1つがこれを支持するならば、位置を静止対象物あるいは静的オブジェクト3として推測することが好ましい。その他の全てのオブジェクト仮説14は却下される。
【0043】
図3は更なる実施形態に従ったプロセスを描いた模式的なフローチャートを示す。
【0044】
測定データは最低でも第一センサー8から受信される。第一センサー8は例えば、レーダーセンサーであることが可能である。角度仮説も形成され、測定データとともに送信される。
【0045】
これと並行して、惰性測定ユニット13からの測定データを受信可能である。測定データには、例えば、速度、加速値や車両6のヨーレートを含むことができる。
【0046】
第一センサー8および惰性測定ユニット13からの測定データに基づき、オブジェクト仮説の選択20が行われ、それに従って、曖昧性が取り除かれる。
【0047】
オブジェクト仮説の選択20は、オブジェクトのトラッキングや測定データの結合22等、更なる処理のために正しいオブジェクト仮説12のみが転送されるよう、方法のひとつによって実施可能である。
【0048】
LIDARセンサー10等の第二センサー10からの測定データは、例えば、参考オブジェクト11を供するために、センサーデータ結合22およびオブジェクト仮説選択20の両方に使用される。
【0049】
結合した測定データはその後、運転機能24を実施するために使用可能である。これに関して、運転機能24はブレーキ機能、加速機能やステアリング機能等、車両アクチュエーター26に直接あるいは間接的なアクセスを有することができる。運転機能24に加えて、オブジェクト仮説選択20によって決定され、転送されたデータは、ランドマークベースの位置特定においても使用されることができる。
【国際調査報告】