(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-07
(54)【発明の名称】容器、容器の製造方法および関連システム
(51)【国際特許分類】
A47J 41/02 20060101AFI20230228BHJP
A47J 41/00 20060101ALI20230228BHJP
B65D 23/08 20060101ALI20230228BHJP
C23C 26/00 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
A47J41/02 102
A47J41/00 302
B65D23/08 Z
C23C26/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540815
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 US2021012074
(87)【国際公開番号】W WO2021138669
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2020-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521080015
【氏名又は名称】ミアー ホールディングス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ペイプ,ブライアン
【テーマコード(参考)】
3E062
4B002
4K044
【Fターム(参考)】
3E062AA10
3E062AB01
3E062AC03
3E062JA01
3E062JA08
3E062JB23
3E062JC09
3E062JD04
4B002AA12
4B002BA22
4B002CA43
4K044AA03
4K044AB10
4K044BA12
4K044BA14
4K044BA15
4K044BB01
4K044BB02
4K044BB10
4K044BB16
4K044BC12
4K044CA53
4K044CA62
(57)【要約】
容器を製造する方法は、内壁の第1表面が第1の空洞を画定するように内壁を成形することによって容器の第1の空洞を形成すること、外壁の第3表面と第2表面が一緒に第2の空洞を画定するように、外壁の第3表面が内壁の第2表面を囲むように外壁を成形して第2の空洞を形成すること、及び、内壁と外壁を共に接続することを含む。次に、この方法は、外壁を貫通する孔を形成して第2の空洞を外部の周囲環境に露出させ、孔にエナメルコーティングが堆積するのを防止しながら、内壁の第1表面及び外部の周囲環境に露出する外壁の第4表面のうちの少なくとも1つにエナメルコーティングを塗布することを含む。エナメルコーティングが施された後、本方法は、容器を加熱してエナメルコーティングによる艶出しし、コーティングを1つ以上の表面に固着させることを含む。エナメルが艶出しされた後、本方法は、第2の空洞から空気を除去し、次に、第2の空洞から空気が除去されている間、第2の空洞内の圧力が外部の周囲環境の圧力よりも低くなるように第2の空洞を密閉することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の製造方法であって、
内壁を成形することによって前記容器の第1の空洞を形成し、
前記内壁の第1表面が前記第1の空洞を画定し、
外壁を成形することによって前記容器の第2の空洞を形成し、
前記外壁の第3表面が前記内壁の第2表面を取り囲み、それにより前記第3表面と前記第2表面が共に前記第2の空洞を画定し、
前記内壁と前記外壁とを互いに接続し、
前記外壁を貫通する孔を形成し、前記第2の空洞を外部環境に対して露出させ、
前記内壁の第1表面および前記外壁の第4表面のうち、前記外部環境に対して露出しているものにエナメルコーティングを塗布しつつ、前記エナメルコーティングが前記孔の中に堆積するのを防止し、
前記容器を加熱して前記エナメルコーティングによる艶出しし、前記エナメルコーティングを一つまたは複数の表面に固着し、
前記エナメルコーティングによる艶出しされた後、前記第2の空洞から空気を除去し、
前記第2の空洞から前記空気を除去している間に、前記第2の空洞内の圧力が前記外部環境中の圧力より低くなるように前記第2の空洞を密閉する、
容器の製造方法。
【請求項2】
前記内壁および前記外壁の形成は、単一の連続した材料から壁を形成することを含む、
請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項3】
前記内壁と前記外壁とを接続することは、前記外壁が、前記第1の空洞への開口を画定する前記内壁の領域から延在することを含む、
請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項4】
前記エナメルコーティングを施すことは、前記内壁の第1表面および/または前記外壁の第4表面を液体エナメルの浴液槽に浸すことを含む、
請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項5】
前記エナメルコーティングを施すことは、前記内壁の第1表面および/または前記外壁の第4表面に前記エナメルコーティングをブラシで塗ることを含む、
請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項6】
エナメルを加熱して前記艶出しすることは、前記エナメルを約800℃の温度まで加熱することを含む、
請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項7】
前記第2の空洞から前記空気を除去することは、前記第2の空洞を約400℃の温度に加熱することを含む、
請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項8】
前記第2の空洞から前記空気を除去した後に、前記第2の空洞を密閉することは、前記外壁の孔に配置された材料のプラグを溶解することを含む、
請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項9】
前記エナメルコーティングを施す前に、前記第2の空洞を一時的に密閉して、前記外壁の外側の周囲環境から隔離することをさらに含む、
請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項10】
前記第2の空洞を一時的に密閉することは、前記外壁を貫通する孔にプラグを挿入することを含む、
請求項9に記載の容器の製造方法。
【請求項11】
前記第2の空洞を一時的に密閉することは、前記外壁を貫通する孔を覆うことを含む、
請求項1に記載の容器の製造方法。
【請求項12】
液体を収容するための容器において、
内壁であって、該内壁は、第1表面と第2表面とを含み、前記第1表面は、液体が収容される第1の空洞を画定し、
外壁であって、該外壁は、前記内壁に接続され、第3表面と第4表面とを含み、前記第3表面が前記内壁の第2表面を囲み、前記第3表面と前記内壁の第2表面が前記内壁の第1表面と前記第4表面の外部の周囲環境から密閉され、前記外部の周囲環境の圧力よりも低い圧力を有する第2の空洞を画定するように前記内壁に対して配置され、
前記内壁の第1表面および前記外壁の第4表面の少なくとも一方にエナメルコーティングが施されている、容器。
【請求項13】
前記第1の空洞は円筒形状を有する、
請求項12に記載の容器。
【請求項14】
前記内壁は、前記第1の空洞へ通じる開口を画定する領域を有する、
請求項12に記載の容器。
【請求項15】
前記内壁および前記外壁は単一の連続した材料から形成されている、
請求項12に記載の容器。
【請求項16】
前記外壁は、前記第1の空洞への開口を画定する前記内壁の領域から延びる、
請求項12に記載の容器。
【請求項17】
前記外壁は、前記内壁が前記外壁の中に入れ子になるように構成されている、
請求項12に記載の容器。
【請求項18】
前記内壁の第2表面と前記外壁の第3表面との間の距離が、前記第2の空洞全体にわたって実質的に一定である、
請求項12に記載の容器。
【請求項19】
前記エナメルコーティングは、前記内壁の第1表面と前記外壁の第4表面の両方に施されている、
請求項12に記載の容器。
【請求項20】
前記外壁に結合されたハンドルをさらに含む
請求項12に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、容器の製造方法および関連システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2020年1月3日に出願され、「容器、および関連システムおよび方法」と題された米国仮特許出願62/956,781からの優先権を主張するものである。また、本出願は、この参照により、米国仮特許出願62/956,781の全体を取り込むものである。
【0003】
飲料用および/または低温飲料用の金属製で作られた多くの容器は、飲料を収容するための真空シールの外側部分を含むか、または外部環境に露出された容器表面を覆うエナメルコーティングを含む。飲料が周囲環境より冷たい場合には、真空シールの外側部分は、飲料への熱の流入を低減することによって、または飲料が周囲より熱い場合には、飲料からの熱の流出を減少させ、容器によって収容された飲料の温度を維持させる。エナメルコーティングは容器の金属を保護し、風味を保持または移動させない新鮮で清潔な味を提供し、容器の洗浄を容易にし、露出した金属と比較して容器を装飾するための多くの選択肢を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような金属容器は、真空シールの外側部分とエナメルコーティングとの両方を含まない。もし、エナメルコーティングを形成する前に真空シールされた外側部分を形成した場合、容器に釉薬を形成するためにエナメルを加熱すると、真空シールされた外側部分の内部に非常に高い圧力が発生し、容器が変形したり破裂したりする可能性がある。また、真空シールされた外側部分を形成する前に、エナメルコーティングが形成されると、液体エナメルは空洞を形成し、真空シールの外側部分の断熱効果を低下させる。
【0005】
したがって、真空シールされた外側部分と、外部の周囲環境に露出する容器の表面を覆うエナメルコーティングと、の両方を含む容器が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、容器を製造する方法は、内壁の第1表面が第1の空洞を画定するように内壁を成形することによって容器の第1の空洞を形成することと、第3および第2の表面が共に第2の空洞を画定するように外壁の第3表面が内壁の第2表面を囲むように外壁を成形して容器の第2の空洞を形成することと、内側および外壁を共に接続することを含む。次に、この方法は、外壁を貫通する孔を形成して、第2の空洞を外部の周囲環境に露出させること、次に、孔にエナメルコーティングが堆積するのを防止しながら、内壁の第1表面および外部の周囲環境に露出する外壁の第4表面のうちの少なくとも1つにエナメルコーティングを塗布することを含む。エナメルコーティングが施された後、本方法は、容器を加熱してエナメルコーティングを艶出しし、コーティングを1つ以上の表面に固着させることを含む。エナメルが艶出しされた後、第2の空洞から空気を除去し、次に、第2の空洞から空気が除去されている間、第2の空洞の内部の圧力が外部の周囲環境の圧力よりも低くなるように第2の空洞を密閉することを含む。
【0007】
外壁に貫通孔を形成し、その孔にエナメルが塗布されないようにすることで、エナメルコーティングが第2の空洞に侵入するのを防ぐことができる。また、第2の空洞を密閉する前に、外部環境よりも低い圧力でエナメルコーティングを艶出しすることで、エナメル塗料を艶出しする工程で密閉された第2の空洞が損傷するのを防ぐことができる。したがって、密閉された第2の空洞と、第1の空洞および/または容器の外部にエナメルコーティングの両方を含む容器を製造することができるので、容器は、容器の第1の空洞に収容された飲料の温度を効率的に維持しながら、内壁および外壁を保護する装飾的な外観を持ち、風味を保持または移さない新鮮で清潔な味を提供し、壁を容易に洗浄することが可能になる。
【0008】
本発明の別の態様では、液体を保持するための容器は、内壁と、内壁に接続された外壁と、エナメルコーティングを含む。内壁は、第1表面と第2表面とを含み、第1表面は、液体が収容され得る第1の空洞を画定する。外壁は、第3表面と第4表面とを含み、外壁の第3表面が内壁の第2表面を囲むように内壁に対して配置され、第3表面と第2表面が一緒になって第2空洞を画定する。第2の空洞は、内壁の第1表面および外壁の第4表面の外側の周囲環境から密閉され、外側の周囲環境の圧力よりも低い圧力を有する。エナメルコーティングは、内壁の第1表面および外壁の第4表面の少なくとも一方に施される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る容器の斜視図である。
【0010】
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による
図1の容器を製造する過程を説明するための工程図である。
【0011】
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る
図1の容器の一部を示す断面図である。
【0012】
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る
図1に示す容器の一部を分解して示す断面図である。
【0013】
【
図5】
図5は、本発明の別の実施形態による別の容器を示す斜視図である。
【0014】
【
図6】
図6は、本発明の別の実施形態による、
図1および
図5に示される容器を製造するための別のプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る容器10の斜視図である。容器10は、飲料(熱いまたは冷たい)、食品(熱いまたは冷たい)および/または消費されてもされなくてもよい他の物品などの任意のものを収容するために使用することができる。容器10は、内壁12と、外壁14と、内壁12と外壁14とを覆うエナメルコーティング16とを含む。容器10はまた、内壁12によって画定される第1の空洞(キャビティ)18と、内壁12および外壁14によって画定される第2の空洞(ここでは図示せず、
図3および
図4に関連してより詳細に図示および説明される)とを含む。第2の空洞は空気を除去し、その後密封された周囲環境の空気が再び入るのを防止するために密封される。第2の空洞の空気容積は外部周囲環境よりも小さいので、第2の空洞の圧力は外部周囲の圧力よりも小さい。第2の空洞の空気量が少ないので、熱は比較的遅い速度で第2の空洞を通って流れ、これにより第2の空洞が容器の第1の空洞18を断熱することが可能になる。
【0016】
容器10は、容器の第1の空洞18の周りに密封された第2の空洞を含み、内壁12及び外壁14の両方にエナメルコーティングを塗布することによって、容器の第1の空洞18内に収容された飲料の温度を維持すると同時に、内壁12及び外壁14を保護し、風味を保たない又は移さない新鮮できれいな味を提供する装飾的な外観を有することができる。
【0017】
さらに
図1を参照すると、容器は、容器を形成することができ、使用中に容器が受ける物理的および熱的負荷に耐えることができる任意の所望の材料から作ることができる。例えば、本実施形態および他の実施形態では、容器10は金属製である。より具体的には、容器10は304SS(ステンレス鋼)で作られている。この材料を用いて、容器10の構成は、曲げ加工、成形および/または折り曲げによって形成することができ、これには、湾曲した材料を含むことができ、および/または容器10をセグメント化または部分化することができ、その後溶接して容器10全体を形成することができる。
【0018】
エナメルコーティング16は、任意の所望のエナメルコーティングであってもよい。例えば、この実施形態および他の実施形態では、エナメルコーティング16は一つまたは複数の段階または層で塗布され、(1)酸化ケイ素、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンなどのマトリックス剤、(2)酸化ナトリウム、酸化カリウムおよび酸化ホウ素などのフラックス、(3)酸化チタン、酸化ニッケル、酸化ジルコニウムおよび酸化ストロンチウムなどの乳化剤、(4)酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化アンチモン、酸化モリブデンなどの接着剤、および、(5)酸化コバルト(青)、酸化銅(緑または赤)、酸化クロム(深緑)、酸化鉄(黄土)等の着色剤である。
【0019】
また、容器10は、任意の他の構成要素を含んでもよい。例えば、ここでは、容器10はハンドル(取っ手)20を含み、このハンドル20は、エナメルコーティングが外壁14に塗布される前に外壁14に溶接され、容器10の取り扱いを容易にするものであり、タンブラーのようにハンドルを省略した容器である。
【0020】
他の実施形態も可能である。例えば、容器10は、内壁12、外壁14、内壁12の一部、外壁14の一部、又は内壁12及び外壁14の両方の一部のみを覆うエナメルコーティングを含んでもよい。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態による、
図1に示す容器10を製造するための工程を示す。この工程は、3つの一般的な行為を含む。(1)容器10の第1および第2の空洞を形成すること(ステップ22~26)、(2)容器10の一部にエナメルコーティング16を施すこと(ステップ28~34)、そして、(3)第2の空洞の断熱特性を高めること(ステップ36および38)。
【0022】
より具体的には、プロセスの第1の行為は、ステップ22において、内壁12の第1表面(
図3に示す)が第1の空洞18を画定するように内壁12を成形することによって、容器10の第1の空洞18を形成することを含む。
【0023】
容器10の第1及び第2の空洞が形成された後、エナメルコーティング16が容器10に塗布される。より具体的には、工程の第2の行為は、ステップ28において、外壁14を貫通する孔(
図3に示す)を形成し、第2の空洞を外壁14の外側の周囲環境に露出させることを含む。次に、ステップ30において、孔の中にエナメルコーティングが堆積するのを防止しつつ、内壁12の第1表面(
図3に示す)および外壁14の第4表面(
図3に示す)のうちの少なくとも一方にエナメルコーティング16を塗布する。エナメルコーティング16が塗布された後、ステップ34において、容器を加熱してエナメルコーティング16を艶出しし、エナメルコーティング16を一つ以上の表面(
図3に示す)に固着させる。
【0024】
ステップ28において、外壁14を貫通する孔は、任意の所望の技術を使用して形成することができる。例えば、この実施形態及び他の実施形態では、穴は基部に打ち抜かれ、(
図3に示されるように)基部を貫通して、容器10の底部にある外壁14の端部に溶接される(
図3に示される)。このようにして、基部は外壁14を完成させ、基部を貫通する孔を除いて第2の空洞を閉鎖する。他の実施形態では、孔は、外壁14を貫通して任意の他の位置で穿孔されてもよく、または外壁14を貫通して形成されてもよい。
【0025】
さらに
図2を参照すると、ステップ30において、エナメルコーティングが基部の孔に堆積するのを防止する限り、エナメルコーティング16は、任意の所望の技術を用いて塗布することができる。例えば、この実施形態及び他の実施形態では、エナメルコーティング16は、容器10を液体エナメルの浴液槽に浸漬することによって、第1の空洞18の内壁12を画定する第1表面及び外壁14の大部分に適用され、エナメルコーティング16が孔に到達するのを防止する。他の実施形態では、孔が位置する基部領域は、液体エナメルが孔の中に堆積するのを防止するために覆われてもよい。このような実施形態では、孔に隣接する領域も同様に覆い、洗浄された金属表面が後に孔を充填するために使用され、第2の空洞を封止するプラグ(
図3および
図4に示される)のために利用可能を確実にする。さらに他の実施形態では、エナメルは内壁12の第1表面のみに適用されてもよく、外壁14の第4表面のみに適用されてもよく、または第1および第4の表面の各々の一部のみに塗布されてもよい。さらに他の実施形態では、エナメルを容器10に塗布するためにエナメルブラシを使用することができる。これは、容器10に独特の美的または装飾的なデザインを提供するために望ましい場合がある。
【0026】
ステップ34において、エナメルコーティング16は、任意の所望の技術を使用して加熱される。例えば、この実施形態及び他の実施形態では、エナメルを従来の炉内で約800℃に加熱してエナメルを艶出しして、内壁12の第1表面及び外壁14の第2表面に固着させる。
【0027】
外壁14を貫通する孔を形成し、その孔にエナメルが塗布されないようにすることで、エナメルコーティング16が第2の空洞内に侵入するのを防ぐことができる。そして、外部の周囲環境よりも低い圧力で第2の空洞を密閉する前にエナメルコーティング16を艶出しすることによって、エナメルコーティング16を艶出しするための工程が密閉された第2の空洞を損傷することを防止することができる。このように、密閉された第2の空洞と、第1の空洞18および/または容器10の外装のエナメルコーティングとの両方を含む容器10を製造することができるので、容器10は、装飾的な外観を有しながら容器の第1の空洞18に収容された飲料の温度を効率的に維持することができる。
【0028】
さらに
図2を参照すると、エナメルコーティング16が容器10に固定された後には、第2の空洞の断熱性能が向上する。より具体的には、この工程の第3の行為は、ステップ36において、第2の空洞から空気を除去するステップを含む。次に、ステップ38において、第2の空洞から空気を除去している間、第2の空洞内の圧力が外部の周囲環境の圧力よりも低くなるように、第2の空洞を密閉する。
【0029】
第2の空洞から空気を除去することは、任意の所望の技術を使用して達成されてよい。例えば、この実施形態及び他の実施形態では、第2の空洞を従来の炉内で約400℃の温度まで加熱することによって、第2の空洞から空気を除去してもよい。400℃では、熱によって空気中の分子が励起または通電されるため、空気の密度は20℃での空気の密度よりも実質的に小さくなる。このため、空気の圧力が高くなる。もし、空気が第2の空洞の中に閉じ込められたままであれば、温度上昇に比例して圧力も上昇する。しかし、第2の空洞は外部環境に露出しているため、加熱された空気は第2の空洞から排出され、第2空洞内の圧力と外界の圧力が等しくなる。所望の量の空気が第2の空洞から排出された後、第2の空洞は密閉される。そして、第2の空洞内に残った空気が外の環境温度まで冷えると、第2の空洞内の空気の密度が一定になるため、その圧力は環境中の圧力よりも低くなる。そして、第2の空洞に閉じ込められる空気が少なくなるため、第2の空洞を通る熱の流れに抵抗する能力が高まる。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態による
図1の容器10の一部を示す断面図である。上述したように、容器10は、内壁12と外壁14によって画定される第2の空洞(キャビティ)46を含み、第2の空洞46は、第1の空洞18を断熱するのを助けるために、第1の空洞18から出る熱流を低減する。より具体的には、内壁12は、第1の空洞18を画定する第1表面48と、第2表面50とを含む。外壁14は、第3表面52と第4表面54とを含む。上述したように、第1の空洞18は内壁12の第1表面48によって画定される。第2の空洞46は、内壁12の第2表面50と外壁14の第3表面52とによって画定される。
【0031】
第1の空洞18及び第2の空洞46は、それぞれ所望のように構成されてもよい。例えば、この実施形態及び他の実施形態では、第1の空洞18は円筒形状であり、第1の空洞18へ入ることを可能にする開口部56を含み、それは内壁12の領域に配置される。第2の空洞46は、内壁12が外壁14内に入れ子になるように、第1の空洞18の周囲に配置される。そして、内壁12及び外壁14は、それぞれ、開口部56において互いに接続されている。より具体的には、内壁12及び外壁14はそれぞれ、開口部56が位置する内壁の領域から内壁12に沿って下方に延びるように、単一の連続した材料から形成されている。このように、第2の空洞46は、第1の空洞18の全体を取り囲んで、第1の空洞18を効率的に断熱する。
【0032】
容器10の構成は、所望に応じて完成させることができる。例えば、この実施形態及び他の実施形態では、円形の基部60は、二つのフランジの間に形成された境界面で外壁14の端部62に溶接される。外壁14の端部62は、一方のフランジを形成し、基部60の外周は、他方のフランジを形成する。基部60が外壁14に溶接される界面は、基部60が容器10の底部を形成するように配置されたときに、二つのフランジが互いに接触する領域である。基部60の孔64は、基部60の中央に位置に、円錐体66の上部に位置している。円錐体66には、プラグ68が金属の表面と良好に接触できるように、エナメルコーティングが施されていない。これにより、プラグ68は基部60と良好な結合を形成し、孔64を充填して第2の空洞46を密閉した状態に保つことができる。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態による
図1に示す容器の一部の分解断面図である。エナメルコーティングが加熱によって第4表面54に固定された後、第2の空洞46から空気が除去される期間に、孔64はプラグ68で封止される。プラグ68は、空気抜き工程中の熱にさらされる期間の後、溶融してから孔64を充填することによって孔64を密閉する。次いで、カバー70は、プラグ68を保護し、基部上に堆積されたあらゆる液体エナメル、すなわち過剰噴霧および/または過剰浸漬を被覆するために、外壁14の第4表面54に結合される。カバー70は、任意の所望の方法で第4表面54に結合されることができる。例えば、この実施形態及び他の実施形態では、カバー70は、外壁14がカバー70のフランジ72を挟むことによって、
図4に示すように解放可能に保持される。他の実施形態では、カバーは、従来のスナップ留めを使用して、解放可能に結合されてもよい。さらに他の実施形態では、カバー70は、接着剤を用いて、またはカバー70を外壁14に溶接することによって、外壁14に固定されてもよい。
【0034】
図5は、本発明の別の実施形態による別の容器80の斜視図である。容器80は、容器80がタンブラーであることを除いて、
図1、
図3及び
図4に示され、
図1~4に説明した容器10と同様である。タンブラーは、通常、
図1に示されるハンドル20のような取っ手を有さない。これらのタンブラーと同様に、タンブラー80もまた、取っ手を有していない。これに替えて、単に指を外壁82の周りに巻き付けることによって、タンブラーを把持することができる。
【0035】
図6は、本発明の別の実施形態による、
図1および
図5にそれぞれ示された容器10および容器80を製造するための別の工程を示す。この工程は、
図2に示した工程と同様であり、孔64(
図3および
図4)が外壁14に形成された後に、内壁12および外壁14にそれぞれエナメルコーティングが適用される前に、ステップ90において、孔64が一時的に閉塞されて、第2の空洞46と外部周囲の環境とが一時的に封止されることを除いて
図2と関連して説明される。これにより、液体エナメルが孔64内や第2の空洞46内に堆積することがない。次に、エナメルコーティングが施された後、ステップ92において、第2の空洞46は、周囲環境に露出される。
【0036】
第2の空洞46は、任意の所望の技術を用いて一時的に密閉することができる。例えば、この実施形態及び他の実施形態では、弾性的に変形可能であり、外壁14の孔64に適合する大きさのプラグ(図示せず)が、孔64に挿入される。孔64に挿入されている間、プラグは、空気を遮断し、より重要なことは、エナメルコーティングが孔64を通って第2の空洞46に流れ込むのを防ぐ。そして、エナメルコーティングが容器10及び/又は容器80に塗布された後、エナメルコーティングを容器10及び/又は容器80に固定するためにエナメルコーティングを加熱する準備として、プラグを取り外して第2の空洞46を露出させてもよい。他の実施形態では、第2の空洞46は、孔64を含む外壁14及び/又は基部60の領域にカバー(図示せず)を解放可能に結合することによって一時的に密閉されてもよい。カバーには、孔を封止するために所望の限り外壁14の上に延び、エナメルコーティング16を塗布している間に容器10を保持して、操作するハンドルを提供することができる。プラグ及びカバーの各々は、追加の容器10を作るための同様の工程で再利用することができる。さらに他の実施形態では、プラグは孔64に解放可能に挿入されなくてもよく、エナメルコーティング16を加熱する前にプラグを引き抜く代わりに、外壁14および/または基部60を通る別の孔を形成して第2の空洞46を露出させてもよい。
【0037】
前述の議論は、当業者が本発明を製造及び使用することを可能にするために提示されたものである。実施形態に対する様々な変形例は、当業者には明らかであり、本明細書の一般的な原理は、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態及び用途に適用することができる。したがって、本発明は、示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示された原理および特徴と一致する最も広い範囲に与えられる。
【国際調査報告】