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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20230301BHJP
   A61M 29/02 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61B17/00 500
A61M29/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547323
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 CN2021105364
(87)【国際公開番号】W WO2022121300
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】202011444360.2
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521355762
【氏名又は名称】上海捍宇医療科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HANYU MEDICAL TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Building 14, No. 1288, Zhongchun Road, Minhang District Shanghai 201109, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】潘 文志
(72)【発明者】
【氏名】周 達新
(72)【発明者】
【氏名】葛 均波
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160DD55
4C160DD65
4C160MM33
4C267AA08
4C267BB33
4C267CC19
(57)【要約】
【要約】
本発明は医療機器の技術分野に関し、具体的には穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓であり、その本体は記憶性を有する細い線材で一体に編み込まれた後に熱固定して製造され、左ディスク、右ディスク、ウエスト部分を接続して形成されるホルダと、ホルダを貫通するの中央大貫通孔と、貫通した後に左ディスク、右ディスクの中央に形成される切り欠きを含み、中央貫通孔の内部に流体遮断膜が設けられ、右ディスクの中央の切り欠き部に複数の接続ワイヤが設けられ、複数の前記接続ワイヤの一端は集合して運搬部品に接続され、他端は放射状を呈して右ディスクに接続され、本発明は従来の閉鎖栓の構造及び動作原理を保持し、その安全性と有効性を保証し、中央大貫通孔に完全に密閉されたシート状の遮断膜が設けられ、血液が閉鎖栓を通過するのを遮断すると共に、遮断膜の脆弱性及び大貫通孔の寸法を利用して、それを穿刺及び拡張しやすくすることにより、シースを閉鎖栓の中央貫通孔から簡単に穿刺して送り込むことができ、後続の心房中隔穿刺介入手術を実施するために通路を残す。
【選択図】 図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左ディスク(1)、右ディスク(2)、ウエスト部分(3)を接続して構成され、記憶性を有する細い線を一体に編み込んだ後に熱固定して製造されるホルダを含み、
さらに前記ホルダを貫通する中央貫通孔(4)と、左ディスク(1)と右ディスク(2)の中央に形成された切り欠きを含む穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓であって、
前記中央貫通孔(4)の直径の大きさは、前記ウエスト部分(3)の内径の大きさに最大限近く、前記中央貫通孔(4)の内部に流体遮断膜(5)が設けられて、中央貫通孔(4)を内部から遮断し、前記右ディスク(2)の中央の切り欠き部分に複数の接続ワイヤ(6)が設けられ、複数の前記接続ワイヤ(6)の一端は集合してデリバリー部品(7)に接続され、複数の前記接続ワイヤ(6)の他端は放射状を呈して右ディスク(2)に接続されることを特徴とする、穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓。
【請求項2】
前記閉鎖栓は形状記憶効果を有し、収縮及び膨張の二つの形態を有することを特徴とする、請求項1に記載の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓。
【請求項3】
前記流体遮断膜(5)の形状はシート状であり、高分子材料又は分解性材料で製造され、そのシート状の形状は前記中央貫通孔(4)の断面の形状と同じであることを特徴とする、請求項1に記載の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓。
【請求項4】
前記左ディスク(1)、右ディスク(2)、ウエスト部分(3)は一体型のメッシュ状構造であり、ワイヤ材として形状記憶合金材料を採用することを特徴とする、請求項1に記載の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓。
【請求項5】
前記左ディスク(1)と前記右ディスク(2)はいずれも二層のメッシュ状構造であることを特徴とする、請求項4に記載の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓。
【請求項6】
前記左ディスク(1)と前記右ディスク(2)の中央切り欠き部分のエッジはいずれも編密度増加編みを用いることを特徴とする、請求項5に記載の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓。
【請求項7】
前記接続ワイヤ(6)の前記右ディスク(2)における接続位置は右ディスク(2)の外層であり、接続方式は一体型の編み込み成形又は分離式の物理的接続であることを特徴とする、請求項1に記載の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓。
【請求項8】
前記接続ワイヤ(6)が分離式の物理的接続を採用する場合、金属又は高分子ワイヤ又は分解性ポリマー材料で製造されることを特徴とする、請求項7に記載の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓。
【請求項9】
分離式の物理的接続の具体的な接続方法が溶接又は編み込み又は縫合であることを特徴とする、請求項7に記載の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓。
【請求項10】
前記接続ワイヤ(6)はデリバリー部品(7)に対して回転対称に分布し、隣接する前記接続ワイヤの間に穿刺シースを貫通させるための隙間が設けられることを特徴とする、請求項1又は8に記載の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓。
【請求項11】
前記接続ワイヤ(6)の数は多くとも12本、少なくとも3本であることを特徴とする、請求項10に記載の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓。
【請求項12】
前記デリバリー部品(7)はワイヤクランプ鋼製シース又は凝固バルーンであり、前記デリバリー部品(7)の一端は接続ワイヤに接続され、前記デリバリー部品(7)の他端は自由端であり、該自由端に接続ポートが設けられて、デリバリーシステムに接続されることを特徴とする、請求項1に記載の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療機器の技術分野に関し、具体的には穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓である。
【背景技術】
【0002】
心房中隔欠損症は一般的な先天性心疾患であり、現在主流の治療方法は閉鎖栓を使用した経皮(大腿静脈)心房中隔欠損閉鎖術である。この処置において、閉鎖栓は最も重要な医療器具の1つである。
【0003】
現在使用されている閉鎖栓は、いずれもニッケルチタン合金で編まれた二つのディスクと一つのウエスト部分から成る「工」字形の構造であり、その安全性及び有効性は既に臨床において広く実証されている。心房中隔欠損閉鎖術を行う患者の多くは若い患者であり、後に心房細動、僧帽弁逆流症等の疾患を併発する確率が高く、これらの合併症はカテーテルアブレーション、左心耳閉鎖術、僧帽弁クランプ等の、大腿静脈を経て心房中隔を穿刺して左心房に入る低侵襲介入手術で治療することができる。
【0004】
しかし従来の閉鎖栓は体積が大きく、グリッドが密集し、人体に埋め込まれた後に心房中隔全体のほとんどを占め、その二つのディスクが四層で、グリッドが密集し、メッシュが小さい(φ2mm)という設計から、心房中隔を穿刺してシース(φ3-9mm)を左心房に送り込むことが不可能であり、患者は心房中隔という介入通路を失い、低侵襲介入手術により心房細動、僧帽弁逆流等の疾患を治療する機会も失うことになる。
【0005】
例えば特許CN2524710Yに開示された閉鎖栓a(図1を参照)であり、該閉鎖栓aは二つのディスクと一つのウエスト部分で成る構造であり、それには中央貫通孔が設けられていないため、後から穿刺する必要がある場合、穿刺シースを該閉鎖栓aに貫通させることが不可能である。
【0006】
特許CN101234042Aに開示された閉鎖栓b(図2を参照)は、同様に二つのディスクと一つのウエスト部分で成る構造であり、該閉鎖栓bにも同様に中央貫通孔が設けられておらず、且つウエスト部分にはさらに形状記憶合金ワイヤが増設されており、後から心房中隔を穿刺する必要がある場合、該閉鎖栓bも貫通させることが不可能である。
【0007】
上記特許技術を基礎として,本出願人は特許CN206228378Uに開示されている閉鎖栓c(図3を参照)を設計し、該閉鎖栓は中央に貫通孔を有する閉鎖栓であり、一つの小さな貫通孔を予め残しておくことで心房中隔の欠損を完全に閉鎖せず、それにより後に肺動脈の血圧が高くなった場合にも、血液は依然として小さな貫通孔を介して流れることで患者の病状の緩和が妨げられ、該閉鎖栓は欠損した心房中隔を完全に閉鎖せず、血流は依然として貫通孔を通過するため閉鎖効果が低下し、開設された中央貫通孔のサイズが小さすぎる(φ5-8mm、ウエスト部分の直径が貫通孔の直径よりはるかに大きい)ため、該欠損にデリバリーシース(φ3-9mm)を通すことが難しくなり、且つ貫通孔自体が一定の長さを有し、デリバリーシースが湾曲することにより貫通孔にデリバリーシースを通すことが難しくなり、ひいては壁に掛かって閉鎖栓を動かすような状況が発生し、より深刻な結果をもたらす。
このために安全で、簡便に穿刺でき、且つ心房中隔の閉鎖を安全且つ効果的に維持できる心房中隔閉鎖栓を設計する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は従来技術の難題を突破し、装置の中央を穿刺してシースを送り込むことができ且つ安全で効果的な心房中隔閉塞栓を設計し、心房中隔閉塞栓が安全で効果的であることを保証する前提で、後続の心房中隔穿刺介入手術の通路を確保し、患者に心房中隔低侵襲介入手術の機会を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓を設計しており、形状記憶性を有する線材を一体に編んだ後に熱固定して製造され、左ディスク、右ディスク、ウエスト部分を接続して構成されるホルダを含み、さらに前記ホルダを貫通する中央貫通孔、及び貫通した後に左ディスク、右ディスクの中央に形成される切り欠きを含む穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓であって、前記中央貫通孔の直径の大きさは前記ウエスト部分の内径の大きさに最大限近く、穿刺シースが前記閉鎖栓を安全且つ容易に貫通して左心房に入ることを保証し、前記中央貫通孔の内部に流体遮断膜が設けられ、中央貫通孔を内部から遮断して、血流が遮断されることを保証し、それにより心房中隔欠損閉鎖の安全性と有効性を保証する。前記右ディスク中央の切り欠き部分に複数の接続ワイヤが設けられ、複数の前記接続ワイヤの一端は集合してデリバリー部品に接続され、複数の前記接続ワイヤの他端は放射状を呈して右ディスクに接続されることを特徴とする穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓であり、閉鎖栓とデリバリーシステムの接続を実現し、閉鎖栓をデリバリーシース内に引き込む又は回収することができる。
【0010】
さらに、前記閉鎖栓は形状記憶効果を有し、且つ収縮及び膨張の二種類の形態を有し、ここで収縮形態とは閉鎖栓が圧縮されてシースに入る帯状を呈する運搬形態であり、膨張形態とは自由に伸展した後に二つのディスクと一つのウエスト部分が「工」字形を呈する動作形態である。閉鎖栓は形状記憶効果を有するため、閉鎖栓を運搬形態から動作形態に自発的に回復させることができる。
【0011】
さらに、前記流体遮断膜の形状はシート状であり、高分子材料又は分解性材料で製造され、そのシートの形状は前記中央貫通孔の断面形状と同じであり、中央貫通孔に設けられ血流を遮断するという目的を達成するが、流体遮断膜は薄くて脆く、突き破りや拡張が容易で、穿刺しやすく、穿刺する必要がある場合、シースは中央貫通孔から容易に貫通させてから、流体遮断膜を穿刺して左心房に入れて介入治療を行うことができる。
【0012】
さらに、前記左ディスク、右ディスク、ウエスト部分は一体型のメッシュ状構造であり、線材を用いて一体に編んだ後に熱固定して製造され、前記線材は形状記憶合金であり、好ましくはニッケルチタン合金である。形状記憶合金は記憶効果を有し、製造された閉鎖栓のホルダは形状記憶効果を有し、運搬形態から動作形態に自動的に回復することができ、且つウエスト部分のメッシュ状編みは、その支持力及び記憶形状の回復を強化することに役立つ。
【0013】
さらに、前記左ディスク及び前記右ディスクはいずれも二層のメッシュ状構造であり、二層構造はディスク状構造の支持力の強化に役立ち、メッシュ状編みは構造が記憶形状へ回復することに役立つ。
【0014】
好ましくは、前記左ディスクと前記右ディスクの中央切り欠きのエッジはいずれも編密度増加編みを採用し、編み込みが強化されたエリアの編密度は他の一般的なエリアの編密度の2-5倍であり、閉鎖栓の記憶形状を回復する能力を強化する。
さらに、前記接続ワイヤが前記右ディスクに接続する位置は右ディスクの外層であり、接続方式は一体型の編み込み成形又は分離式の物理的接続である。
【0015】
一体型の編み込み成形接続は接続ワイヤと右ディスクとの間の接続が平滑であることを保証し、糸抜けする状況が発生しないが、一体型接続のため接続ワイヤの数及び接続位置の変更ができない。
【0016】
分離式の物理的接続は一体型の編み込み成形接続とは対照的に、接続ワイヤを独立した構造として製造し、さらに右ディスクに接続し、接続方式は溶接、縫合、編み込み又は他の接続方式を選択することができ、接続の堅牢性と平滑性を保証するために、実施形態の多くは編み込み方式を採用する。分離式の物理的接続を採用することで接続ワイヤの数、接続位置等を適宜変化させることができ、接続ワイヤの増加又は減少が極めて容易になり、閉鎖栓の適応性を向上させる。
【0017】
さらに、接続ワイヤに分離式の物理的接続を採用する場合、前記接続ワイヤは独立した構造であり、金属又は高分子線材又は分解性ポリマー材料で製造され、接続ワイヤに形状記憶効果を持たせ、且つ接続ワイヤの独立した構造設計により接続ワイヤの数、接続ワイヤと右ディスクとの接続位置を迅速且つ容易に適宜調整することができる。
【0018】
さらに、前記接続ワイヤはデリバリー部品に対して回転対称に配置され、隣接する前記接続ワイヤの間に穿刺シースを貫通させるための隙間が設けられ、シースが心房中隔欠損閉鎖栓をスムーズに貫通して左心房に入り穿刺を完了することを保証する。
【0019】
さらに、前記接続ワイヤの数は多くとも12本、少なくとも3本であり、接続ワイヤが多すぎると隣接する接続ワイヤとの間の隙間が減少し、穿刺シースを右ディスクから中央貫通孔を貫通させて左心房に入れることができなくなり、接続ワイヤが少なすぎると心房中隔欠損閉鎖栓の運搬及び右ディスクの右心房でのアンカーに影響するため、多くの試験の結果、好ましくは3-12本の接続ワイヤを設置することが最適な選択である。
【0020】
さらに、前記デリバリー部品はワイヤクランプ鋼製シース又は凝固バルーンであり、前記デリバリー部品の一端は接続ワイヤに接続され、前記デリバリー部品の他端は自由端であり、該自由端に接続ポートが設置され、デリバリーシステムに接続される。
【0021】
本発明は従来技術に比べ、従来の閉鎖栓の構造と動作原理を保持し、閉鎖栓の安全性と有効性を保証し、中央貫通孔に完全に密閉されたシート状流体遮断膜を設け、血流が閉鎖栓を通過することを遮断すると共に、流体遮断膜の脆弱特性を利用して、その穿刺及び拡張をしやすくすることにより、シースを閉鎖栓の中央貫通孔から容易に穿刺して送り込むことができ、後続の心房中隔穿刺介入手術を実施するための通路を残す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】は従来技術で使用されている心房中隔欠損閉鎖栓aである。
図2】は従来技術で使用されている心房中隔欠損閉鎖栓bである。
図3】は従来技術で使用されている心房中隔欠損閉鎖栓cである。
図4】は発明を実施するための形態における穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓の上面図である(液体遮断膜は図示せず)。
図5】は本発明実施例の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓の膨張形態における断面図(左右ディスクが非対称)である。
図6】は本発明実施例の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓における中央に編密度増加編み設計があるもの(左)と中央に編密度増加編み設計がないものの比較図である。
図7】は本発明実施例の穿刺可能な心房間隔欠損閉鎖栓の膨張形態における断面図(左右ディスク対称)である。
図8】は本発明実施例の穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓の収縮形態における断面図(左右ディスクが非対称)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照しながら本発明をさらに説明するが、本発明を限定するものではない。
【0024】
なお、以下の詳細な説明はいずれも例示的なものであり、本発明をさらに説明することを目的とする。別段の指示がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0025】
注意すべき点として、ここで使用される専門用語は、単に発明を実施するための形態を説明するためのものであり、本発明による例示的な実施形態に限定することを意図するものではない。
【0026】
本発明において、技術用語、例えば「上」、「下」、「前」、「後」、「垂直」、「水平」、「側」、「底」、「最上」等の指示する方向又は位置関係は図面に示す方向又は位置関係に基づき、本発明の各部品又は素子の構造関係を簡単に説明し特定するための関連語句であり、本発明の任意の部品又は素子を特に指すものではなく、本発明を限定するものと理解すべきではない。
【0027】
本発明において、技術用語、例えば「固定接続」、「接続」、「連結」等は広義に理解すべきであり、固定接続であってもよく、一体型接続又は取り外し可能な接続であってもよいことを示す。直接接続してもよく、中間媒体を介して間接的に接続してもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記技術用語の本発明における具体的な意味を決定することができ、本発明を限定するものと理解すべきではない。
【0028】
具体的な実施例において、技術用語、例えば「左」、「右」は、それぞれ閉鎖栓が埋め込まれた心臓の左心房方向及び右心房方向に対応し、左ディスク及び右ディスクは対称ディスクでも非対称ディスクであってもよく、図5及び図7に示すように、心房中隔の欠損状況に基づき、選択することができる。
【0029】
図4~7に示すように、具体的な実施例において穿刺可能な心房中隔欠損閉鎖栓を設計し、左ディスク1、右ディスク2、ウエスト部分3、中央貫通孔4を含み、左ディスク1と右ディスク2との間はウエスト部分3で接続され、中央貫通孔4は順に左ディスク1、ウエスト部分3、右ディスク2を貫通し、左ディスク1、右ディスク2の中央に切り欠きが形成され、前記中央貫通孔の直径の大きさは前記ウエスト部分の内径の大きさに最大限近づけ、穿刺シースが前記閉鎖栓を安全且つ容易に貫通して左心房に入ることを保証し、前記中央貫通孔4の内部に1~4層の流体遮断膜5が縫合され、中央貫通孔4を内部から完全に遮断し、それにより血液の流通を遮断し、前記流体遮断膜5はポリエステル被膜、ポリウレタン被膜、ポリテトラフルオロエチレン被膜等の高分子材料のうちのいずれか一種で製造することができ、又は分解性材料で製造してもよく、そのシート状の形状は前記中央貫通孔4の断面形状と同じであり、図5に示すように、本実施例において中央貫通孔4の断面は円形であり、従って流体遮断膜も円形を採用する。
【0030】
図4及び図5に示すように、前記右ディスク2中央の切り欠き部分に接続ワイヤ6が設けられ、前記接続ワイヤ6の一端は右ディスク2中央の切り欠きの上方に集まり、且つデリバリー部品7に接続され、前記接続ワイヤ6の他端は放射状に右ディスク2と接続される。
好ましくは、前記接続ワイヤ6と前記右ディスク2との接続位置は右ディスクの外層であり、接続方式は一体型編み込み成形又は分離式の物理的接続である。
一体型編み込み成形を採用した場合、接続ワイヤの材質は本体閉鎖栓の材質と同じである。
【0031】
分離式の物理的接続を採用した場合、接続ワイヤは独立した構造であり、金属又は高分子ワイヤ又は分解性ポリマー材料で製造することができる。その後、溶接又は編み込み又は縫合方式を利用してそれを右ディスクの外層に接続し、ここでの外層とは右ディスクの二重構造における外部表層を指す。
【0032】
好ましくは、接続ワイヤ6の設置数は多くとも12本、少なくとも3本であり、設置方法はデリバリー部品7に対して回転対称に配置し、接続ワイヤ及びデリバリー部品は閉鎖栓本体とデリバリーシステムとの接続を実現し、閉鎖栓をデリバリーシース内に引き込む又は回収することができる。
【0033】
数量の点では、接続ワイヤが多すぎると隣接する接続ワイヤとの間の隙間が減少し、穿刺シースを右ディスクから中央貫通孔を貫通させて左心房に入れることができず、接続ワイヤが少なすぎると心房中隔欠損閉鎖栓の運搬及び右ディスクの右心房におけるアンカーに影響するため、多くの試験の結果として、好ましくは3-12本の接続ワイヤを設けることが最適な選択である。
【0034】
好ましくは、前記左ディスク1、右ディスク2、ウエスト部分3は一体型メッシュ状構造であり、線材を用いて一体に編んだ後に熱固定して製造され、前記線材は形状記憶合金、好ましくはニッケルチタン合金とすることで、閉鎖栓に形状記憶効果を付与し、それを収縮及び膨張の二種類の形態に変換することができ、図5図7及び図8に示すように、ここで収縮形態は閉鎖栓が圧縮されてシースに入る帯状を呈する運搬形態であり、膨張形態は自由に展開した後に二つのディスクと一つのウエスト部分の「工」字形を呈する動作形態である。閉鎖栓は形状記憶効果を有するため、運搬形態から動作形態に自動的に回復することができ、且つウエスト部分のメッシュ状編みは、その支持力及び記憶形状の回復を強化することに役立つ。
【0035】
好ましくは、前記左ディスク1と前記右ディスク2はいずれも二層のメッシュ状構造であり、二層構造はディスク状構造の支持力の強化に役立ち、メッシュ状編みは構造の記憶された形状への回復に役立つ。
【0036】
好ましくは、前記左ディスク1と前記右ディスク2の中央切り欠きのエッジは編密度増加編みを採用することができ、図6に示すように、編み込みを強化したエリアの編密度は他の一般的なエリアの編密度の2-5倍であり、閉鎖栓の記憶形状を回復する能力を強化する。
【0037】
好ましくは、前記デリバリー部品7はワイヤクランプ鋼製シース又は凝固バルーンであり、前記デリバリー部品7の一端は接続ワイヤに接続され、前記デリバリー部品7の他端は自由端であり、該自由端に接続ポートが設けられ、デリバリーシステムに接続され、それにより閉鎖栓全体のデリバリーシースへの引き込み又はそこからの押し出しを実現する。
【0038】
具体的な実施例において、本発明が設計する閉鎖栓はウエスト部分が短く、長さはわずか2-8mmであり、中央貫通孔は円形であり、選択された流体遮断膜も円形シート状フィルムであり、血液の流通を遮断することを保証する。
【0039】
且つさらに特殊な点として、本発明が設計する中央貫通孔は従来技術のメッシュ(2mm)に比べて、直径の寸法がはるかに大きく、前記ウエスト部分の内径の大きさに最大限に近く、具体的な実施例において中央貫通孔の直径寸法は8~46mmの間に設定され、それにより穿刺シースが前記閉鎖栓を安全且つ容易に貫通して左心房に入ることを保証する。
【0040】
本発明で設計される閉鎖栓の型番は多く、例えば異なる貫通孔の直径に応じて仕様を分けて、使用中に、心房中隔の欠損状況に応じて、使用する型番を選択することができる。同時に本発明の大きな貫通孔は、さらに、残された穿刺通路に穿刺する時の難易度を顕著に低下させ、後続の心房中隔穿刺による介入手術の成功率を向上させる。
【0041】
具体的な実施例において、本発明は従来の二つのディスクと一つのウエスト部分で成る構造及び動作原理を保持し、閉鎖栓の安全性及び有効性を保証するとともに、閉鎖栓の中央に追加された貫通孔と貫通孔に設けられた遮断膜は、血流が閉鎖栓を通過することを遮断すると同時に、流体遮断膜が薄く脆弱であるため、穿刺及び拡張がしやすく、閉鎖栓の中央からシースを穿刺して送り込むことが非常に容易である。本発明は安全で効果的な心房中隔欠損症の治療を実現すると共に、後続の心房中隔穿刺による介入手術を実施するための通路を残し、患者に心房中隔低侵襲介入手術を行う機会を残すことができる。
【0042】
以上は本発明の好ましい実施形態の説明に過ぎず、指摘すべき点として、当業者であれば、本発明の方法から逸脱することなく、さらにいくつかの改良及び補足を行うことができ、これらの改良及び補足も本発明の保護範囲と見なされる。
【符号の説明】
【0043】
1 左ディスク
2 右ディスク
3 ウエスト部分
4 中央貫通孔
5 流体遮断膜
6 接続ワイヤ
7 デリバリー部品

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】