(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料、その調製方法及びその応用
(51)【国際特許分類】
C01B 33/113 20060101AFI20230301BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20230301BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20230301BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20230301BHJP
C01B 33/02 20060101ALI20230301BHJP
C01B 32/225 20170101ALI20230301BHJP
【FI】
C01B33/113 A
H01M4/38 Z
H01M4/36 A
H01M4/48
C01B33/02 Z
C01B32/225
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569910
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(85)【翻訳文提出日】2021-11-24
(86)【国際出願番号】 CN2021101984
(87)【国際公開番号】W WO2022121280
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】202011417880.4
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520416026
【氏名又は名称】広東▲凱▼金新能源科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Guangdong Kaijin New Energy Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 302, Unit 2, Building 29, No.4, Keji 10th Road, Songshanhu Park, Dongguan, Guangdong, 523000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鄭 安華
(72)【発明者】
【氏名】余 徳馨
(72)【発明者】
【氏名】仰 永軍
(72)【発明者】
【氏名】仰 韻霖
【テーマコード(参考)】
4G072
4G146
5H050
【Fターム(参考)】
4G072AA01
4G072AA24
4G072BB05
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4G072DD06
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4G146CB32
5H050AA02
5H050AA12
5H050BA16
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5H050HA01
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5H050HA14
5H050HA15
5H050HA20
(57)【要約】
【課題】 ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料、その調製方法及びその応用を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、電池の負極材料分野に関し、特に、ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料に関する。前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料は、ナノケイ素、膨張化黒鉛及び充填修飾層で構成され、前記ナノケイ素は、膨張化黒鉛内部の細孔に分散され、前記充填修飾層はナノケイ素粒子の中又はナノケイ素と膨張化黒鉛との間に充填されている。本発明は、体積膨張による影響を低減し、サイクル特性及びレート特性を向上できるガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料、その調製方法を提供する。本発明は、製品性能が安定であり、良好な応用の見通しがあるガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の応用も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料であって、ナノケイ素、膨張化黒鉛及び充填修飾層で構成され、前記ナノケイ素は、膨張化黒鉛内部の細孔に分散され、前記充填修飾層はナノケイ素粒子の中又はナノケイ素と膨張化黒鉛との間に充填されていることを特徴とする、ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料。
【請求項2】
前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の粒子径D50は、2~40μmの範囲、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の比表面積は0.5~15m
2/gの範囲、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の酸素含有量は0~20%の範囲、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の炭素含有量は20~90%の範囲、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料のケイ素含有量は5~90%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料。
【請求項3】
前記膨張化黒鉛は、粉末又はエマルジョンであることを特徴とする、請求項1に記載のガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料。
【請求項4】
前記充填修飾層は、炭素修飾層であり、前記炭素修飾層が少なくとも1つの層で、単層の厚さが0.2~1.0μmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料。
【請求項5】
前記ナノケイ素は、SiOxであり、ここでXが0~0.8の範囲であり、前記ナノケイ素の酸素含有量が0~31%の範囲であり、前記ナノケイ素の結晶粒の大きさが1~40nmの範囲であり、前記ナノケイ素が多結晶ナノケイ素又は非結晶ナノケイ素のうちの1種或いは2種であり、前記ナノケイ素の粒径D50は30~150nmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料。
【請求項6】
ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の調製方法であって、
ナノケイ素、炭素源及び分散剤を有機溶剤に均一混合して分散させてスラリーAを得る工程S0と、
膨張化/乳化黒鉛を負圧下でスラリーAに加え、負圧を利用して均一に混合されたスラリーAを膨化/乳化黒鉛の隙間に充填してスラリーBを得る工程S1と、
スラリーBを噴霧乾燥させて前駆体Cを得る工程S2と、
前駆体Cと炭素源を機械的に混合させ、機械的に融合させて前駆体Dを得る工程S3と、
前駆体Dを熱処理し、篩分けしてガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料を得るS4と、
を含むことを特徴とする、ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の調製方法。
【請求項7】
前記工程S1において、前記負圧は真空攪拌プロセス、乳化プロセス、インライン分散プロセスのうちの1種又は複数種であることを特徴とする、請求項6に記載のガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の調製方法。
【請求項8】
前記工程S4において、前記熱処理は静的熱処理又は動的熱処理のうちの1種であることを特徴とする、請求項6に記載のガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の調製方法。
【請求項9】
前記静的熱処理は、前駆体Dを箱型炉又はローラーハースキルンに入れ、保護雰囲気ガス下で、400~1000℃まで1~5℃/分で昇温し、0.5~20時間温度保持し、室温まで自然冷却させることであり、前記動的熱処理は前駆体Dを回転炉に入れ、保護雰囲気ガス下で400~1000℃まで1~5℃/分で昇温し、0~20.0L/分の吹き込み速度で有機炭素源ガスを吹き込み、0.5~20時間温度保持し、室温まで自然冷却させることであることを特徴とする、請求項8に記載のガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の調製方法。
【請求項10】
リチウムイオン電池の負極材料におけるガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の負極材料分野に関し、特に、ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料、その調製方法及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在市販されている負極材料は、主に天然黒鉛、人造黒鉛及び中間に当たる黒鉛材料であるが、理論容量が小さい(372mAh/g)ため、市場の需要に応えることができないでいた。近年、新型の高比容量負極材料であるリチウム貯蔵金属及びその酸化物(例えばSn、Si)とリチウム遷移金属リン化物に注目が集まっている。多くの新しい高比容量負極材料の中で、Siは、高い理論的な比容量(4200mAh/g)を備えるため、黒鉛類材料に代替できる最も可能性のある一つとなっているが、Siベースは充放電時の大きな体積膨張があり、割れ及び微粉化が発生しやすいため、集電体から剥離することにより、サイクル性能が急激に低下する。なお、ケイ素ベース材料の真性導電率は低く、レート特性が劣る。したがって体積膨張による影響を低減し、サイクル特性及びレート特性を向上することは、リチウムイオン電池におけるケイ素ベース材料の応用にとって重要な意義を持っている。
【0003】
従来のケイ素-炭素負極材料は、ナノケイ素、黒鉛及び炭素を用いて造粒して複合材料を得ている。ナノケイ素が黒鉛粒子の表面形を被覆してコアシェル構造を形成するため、ミクロンサイズ黒鉛粒子は、放電過程中の応力を十分に解放できないことにより、局所的な構造損傷が生じ、材料全体の特性にも影響を及ぼす。したがって、どのように体積膨張による影響を低減し、サイクル特性を改善するかがリチウムイオン電池におけるケイ素ベース材料の応用にとって重要な意義を持っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術的課題を解決するため、本発明は、体積膨張による影響を低減し、サイクル特性及びレート特性を向上できるガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料、その調製方法を提供する。
【0005】
本発明は、製品性能が安定であり、良好な応用の見通しがあるガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の応用も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では次のような技術的手段を講じた。
ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料であって、ナノケイ素、膨張化黒鉛及び充填修飾層で構成され、前記ナノケイ素は、膨張化黒鉛内部の細孔に分散され、前記充填修飾層はナノケイ素粒子の中又はナノケイ素と膨張化黒鉛との間に充填されている。
【0007】
上記技術的手段の更なる改善形態として、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の粒子径D50は、2~40μmの範囲、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の比表面積は0.5~15m2/gの範囲、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の酸素含有量は0~20%の範囲、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の炭素含有量は20~90%の範囲、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料のケイ素含有量は5~90%の範囲である。
【0008】
上記技術的手段の更なる改善形態として、前記膨張化黒鉛は、粉末又はエマルジョンである。
【0009】
上記技術的手段の更なる改善形態として、前記充填修飾層は、炭素修飾層であり、前記炭素修飾層が少なくとも1つの層で、単層の厚さが0.2~1.0μmの範囲である。
【0010】
上記技術的手段の更なる改善形態として、前記ナノケイ素は、SiOxであり、ここでXが0~0.8の範囲であり、前記ナノケイ素の酸素含有量が0~31%の範囲であり、前記ナノケイ素の結晶粒の大きさが1~40nmの範囲であり、前記ナノケイ素が多結晶ナノケイ素又は非結晶ナノケイ素のうちの1種或いは2種であり、前記ナノケイ素の粒径D50は30~150nmの範囲である。
【0011】
ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の調製方法であって、
ナノケイ素粒子、炭素源及び分散剤を有機溶剤に均一混合して分散させてスラリーAを得る工程S0と、
膨張化/乳化黒鉛を負圧下でスラリーAに加え、負圧を利用して均一に混合されたスラリーAを膨化/乳化黒鉛の隙間に充填してスラリーBを得る工程S1と、
スラリーBを噴霧乾燥させて前駆体Cを得る工程S2と、
前駆体Cと炭素源を機械的に混合させ、機械的に融合させて前駆体Dを得る工程S3と、
前駆体Dを熱処理し、篩分けしてガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料を得るS4と、を含む。
【0012】
上記技術的手段の更なる改善形態として、前記工程S1において、前記負圧は真空攪拌プロセス、乳化プロセス、インライン分散プロセスのうちの1種又は複数種である。
【0013】
上記技術的手段の更なる改善形態として、前記工程S4において、前記熱処理は静的熱処理又は動的熱処理のうちの1種である。
【0014】
上記技術的手段の更なる改善形態として、前記静的熱処理は、前駆体Dを箱型炉又はローラーハースキルンに入れ、保護雰囲気ガス下で、400~1000℃まで1~5℃/分で昇温し、0.5~20時間温度保持し、室温まで自然冷却させることであり、前記動的熱処理は前駆体Dを回転炉に入れ、保護雰囲気ガス下で400~1000℃まで1~5℃/分で昇温し、0~20.0L/分の吹き込み速度で有機炭素源ガスを吹き込み、0.5~20時間温度保持し、室温まで自然冷却させることである。
【0015】
ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の応用であって、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料は、リチウムイオン電池の負極材料に応用される。
【発明の効果】
【0016】
本発明のガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料内の膨張化黒鉛は、良好な導電性ネットワークとして機能することができ、炭素導電性ネットワークがケイ素ベース材料の導電性を効果的に向上でき、同時に膨張化黒鉛の膨張化黒鉛の柔軟性かつ多孔質構造が充放電時の体積変化を効果的に緩和でき、材料がサイクル過程での微粉化を効果的に防ぎ、ケイ素ベース材料の体積膨張による影響を緩和でき、サイクル特性を向上、材料の導電性及びレート特性を向上できる。充填修飾層は、ナノケイ素と電解液との直接接触を抑制して副反応を減らすと共にケイ素ベース材料の導電性を効果的に向上でき、充放電時の体積変化を効果的に緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の実施例4で調製された材料の電子顕微鏡写真である。
【
図2】本発明のガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の実施例4で調製された材料の初回充放電曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施例を参照しつつ本発明の実施例における技術的手段を明確かつ完全に説明する。
【0019】
ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料であって、ナノケイ素、膨張化黒鉛及び充填修飾層で構成され、前記ナノケイ素は、膨張化黒鉛内部の細孔に分散され、前記充填修飾層はナノケイ素粒子の中又はナノケイ素と膨張化黒鉛との間に充填されている。
【0020】
前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の粒子径D50は、2~40μmの範囲、より好ましくは2~20μmの範囲、特に好ましくは2~10μmの範囲であり、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の比表面積は0.5~15m2/gの範囲、より好ましくは0.5~10m2/gの範囲、特に好ましくは0.5~5m2/gの範囲であり、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の酸素含有量は0~20%の範囲、より好ましくは0~10%の範囲、特に好ましくは0~5%の範囲であり、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の炭素含有量は20~90%の範囲、より好ましくは20~60%の範囲、特に好ましくは20~50%の範囲であり、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料のケイ素含有量は5~90%の範囲、より好ましくは20~70%の範囲、特に好ましくは30~60%の範囲である。
【0021】
前記膨張化黒鉛は、粉末又はエマルジョンである。
【0022】
前記充填修飾層は、炭素修飾層であり、前記炭素修飾層が少なくとも1つの層で、単層の厚さが0.2~1.0μmの範囲である。
【0023】
前記ナノケイ素は、SiOxであり、ここでXが0~0.8の範囲であり、前記ナノケイ素の酸素含有量が0~31%の範囲、より好ましくは0~20%の範囲、特に好ましくは0~15%の範囲であり、前記ナノケイ素の結晶粒の大きさが1~40nmの範囲であり、前記ナノケイ素が多結晶ナノケイ素又は非結晶ナノケイ素のうちの1種或いは2種であり、前記ナノケイ素の粒径D50は30~150nmの範囲、より好ましくは30~110nmの範囲、特に好ましくは50~100nmの範囲である。
【0024】
ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の調製方法であって、
ナノケイ素、炭素源及び分散剤を有機溶剤に均一混合して分散させてスラリーAを得る工程S0と、
膨張化/乳化黒鉛を負圧下でスラリーAに加え、負圧を利用して均一に混合されたスラリーAを膨化/乳化黒鉛の隙間に充填してスラリーBを得る工程S1と、
スラリーBを噴霧乾燥させて前駆体Cを得る工程S2と、
前駆体Cと炭素源を機械的に混合させ、機械的に融合させて前駆体Dを得る工程S3と、
前駆体Dを熱処理し、篩分けしてガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料を得るS4と、を含む。
【0025】
本発明の調製方法は、負圧を利用してナノケイ素及び炭素源を膨張化黒鉛の内部細孔に充填させた後噴霧乾燥及び機械的加圧により、ナノケイ素及び炭素源を膨張化黒鉛の細孔に充填締固めさせ、最後に熱処理して炭素源を熱分解させて充填修飾層を得る。
【0026】
前記工程S1において、前記負圧は真空攪拌プロセス、乳化プロセス、インライン分散プロセスのうちの1種又は複数種である。
【0027】
前記工程S4において、前記熱処理は静的熱処理又は動的熱処理のうちの1種である。
【0028】
前記静的熱処理は、前駆体Dを箱型炉又はローラーハースキルンに入れ、保護雰囲気ガス下で、400~1000℃まで1~5℃/分で昇温し、0.5~20時間温度保持し、室温まで自然冷却させることであり、前記動的熱処理は前駆体Dを回転炉に入れ、保護雰囲気ガス下で400~1000℃まで1~5℃/分で昇温し、0~20.0L/分の吹き込み速度で有機炭素源ガスを吹き込み、0.5~20時間温度保持し、室温まで自然冷却させることである。
【0029】
ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料の応用であって、前記ガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料は、リチウムイオン電池の負極材料に応用される。
【0030】
(実施例1)
1、1000gの粒径D50が100nmのナノケイ素と100gのクエン酸をアルコール中に均一混合して分散させ、スラリーA1を得た。
2、50gの膨張化黒鉛をスラリーA1に加え、分散撹拌しながら真空引きしてスラリーB1を得た。
3、スラリーB1を噴霧乾燥させて、前駆体C1を得た。
4、前駆体C1とピッチを10:3質量比で溶融し、その後窒素雰囲気条件下で焼結し、昇温速度を1oC/分、熱処理温度を1000oCとし、5時間温度保持し、冷却後篩分けしてガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料を得た。
【0031】
(実施例2)
1、1000gの粒径D50が100nmのナノケイ素と100gのクエン酸をアルコール中に均一混合して分散させ、スラリーA2を得た。
2、インライン分散システムで50gの膨張化黒鉛をスラリーA2に加え、スラリーB2を得た。
3、スラリーB2を噴霧乾燥させて、前駆体C2を得た。
4、前駆体C2とピッチを10:3質量比で溶融し、その後窒素雰囲気条件下で焼結し、昇温速度を1oC/分、熱処理温度を1000oCとし、5時間温度保持し、冷却後篩分けしてガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料を得た。
【0032】
(実施例3)
1、1000gの粒径D50が100nmのナノケイ素と100gのクエン酸をアルコール中に均一混合して分散させ、スラリーA3を得た。
2、100gの膨張化黒鉛をスラリーA3に加え、分散撹拌しながら真空引きしてスラリーB3を得た。
3、スラリーB3を噴霧乾燥させて、前駆体C3を得た。
4、前駆体C3とピッチを10:3質量比で溶融し、その後窒素雰囲気条件下で焼結し、昇温速度を1oC/分、熱処理温度を1000oCとし、5時間温度保持し、冷却後篩分けしてガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料を得た。
【0033】
(実施例4)
1、1000gの粒径D50が100nmのナノケイ素と50gのクエン酸をアルコール中に均一混合して分散させ、スラリーA3を得た。
2、100gの膨張化黒鉛をスラリーA4に加え、分散撹拌しながら真空引きしてスラリーB4を得た。
3、スラリーB4を噴霧乾燥させて、前駆体C4を得た。
4、前駆体C4とピッチを10:4質量比で溶融し、その後窒素雰囲気条件下で焼結し、昇温速度を1oC/分、熱処理温度を1000oCとし、5時間温度保持し、冷却後篩分けしてガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料を得た。
【0034】
(実施例5)
1、1000gの粒径D50が100nmのナノケイ素と50gのクエン酸をアルコール中に均一混合して分散させ、スラリーA5を得た。
2、100gの膨張化黒鉛をスラリーA5に加え、分散撹拌しながら真空引きしてスラリーB5を得た。
3、スラリーB5を噴霧乾燥させて、前駆体C5を得た。
4、前駆体C5とピッチを10:3質量比で溶融し、その後窒素雰囲気条件下で焼結し、昇温速度を1oC/分、熱処理温度を900oCとし、5時間温度保持した後、D5を得た。
5、1000gの得られた前駆体D5をCVD炉に取り、1000℃まで5℃/分で昇温させ、それぞれ4.0L/分の速度で高純度窒素ガスを吹き込み、0.5L/分の速度でメタンガスを吹き込み、メタンガス吹き込み時間が30分であり、冷却後篩分けしてガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料を得た。
【0035】
(実施例6)
1、1000gの粒径D50が50nmのナノケイ素と50gのクエン酸をアルコール中に均一混合して分散させ、スラリーA6を得た。
2、100gの膨張化黒鉛をスラリーA6に加え、分散撹拌しながら真空引きしてスラリーB6を得た。
3、スラリーB6を噴霧乾燥させて、前駆体C6を得た。
4、前駆体C6とピッチを10:3質量比で溶融し、その後窒素雰囲気条件下で焼結し、昇温速度を1oC/分、熱処理温度を900oCとし、5時間温度保持した後、D6を得た。
5、1000gの得られた前駆体D6をCVD炉に取り、1000℃まで5℃/分で昇温させ、それぞれ4.0L/分の速度で高純度窒素ガスを吹き込み、0.5L/分の速度でメタンガスを吹き込み、メタンガス吹き込み時間が30分であり、冷却後篩分けしてガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料を得た。
【0036】
<比較例>
1、1000gの粒径D50が100nmのナノケイ素と100gのクエン酸をアルコール中に均一混合して分散させ、スラリーA0を得た。
2、スラリーA0とピッチを10:3質量比で溶融し、その後窒素雰囲気条件下で焼結し、昇温速度を1oC/分、熱処理温度を1000oCとし、5時間温度保持し、冷却後篩分けしてケイ素ベース複合材料を得た。
【0037】
上記実施例及び比較例を試験して、その特性を検査した。
【0038】
【0039】
以下の方法で材料の体積膨張率を試験及び計算した。調製されたケイ素-炭素複合材料と黒鉛複合で調製された容量500mAh/gの複合材料についてサイクル特性を試験し、膨張率=(50サイクル後のポールピースの厚さ~サイクル前のポールピースの厚さ)/(サイクル前のポールピースの厚さ~銅箔の厚さ)×100%とした。
【0040】
表1は、比較例と実施例の初回サイクル試験結果を示す。表2は、サイクルの膨張試験結果を示す。
【0041】
【0042】
【0043】
本発明のガーネット類似構造のケイ素ベース複合材料内の膨張化黒鉛は、良好な導電性ネットワークとして機能することができ、炭素導電性ネットワークがケイ素ベース材料の導電性を効果的に向上でき、同時に膨張化黒鉛の膨張化黒鉛の柔軟性かつ多孔質構造が充放電時の体積変化を効果的に緩和でき、材料がサイクル過程での微粉化を効果的に防ぎ、ケイ素ベース材料の体積膨張による影響を緩和でき、サイクル特性を向上、材料の導電性及びレート特性を向上できる。充填修飾層は、ナノケイ素と電解液との直接接触を抑制して副反応を減らすと共にケイ素ベース材料の導電性を効果的に向上でき、充放電時の体積変化を効果的に緩和できる。
【0044】
以上、本発明を詳細に説明したが、以上の述べるものは本発明の好ましい実施例のみであって、これらによって本発明の保護範囲が限定的に解釈されない。当業者であれば、本発明の技術的思想を逸脱することなく、様々な変形及び改良が可能であり、かかる変形及び改良は本発明の保護範囲に含めることを指摘しておかなければならない。
【国際調査報告】