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特表2023-509253自己充填被覆ケイ素ベース複合材料、その調製方法及びその応用
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  • 特表-自己充填被覆ケイ素ベース複合材料、その調製方法及びその応用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】自己充填被覆ケイ素ベース複合材料、その調製方法及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/113 20060101AFI20230301BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20230301BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20230301BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
C01B33/113 A
H01M4/48
H01M4/36 A
H01M4/36 C
H01M4/38 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569914
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(85)【翻訳文提出日】2021-11-24
(86)【国際出願番号】 CN2021101987
(87)【国際公開番号】W WO2022121281
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】202011418740.9
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520416026
【氏名又は名称】広東▲凱▼金新能源科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Guangdong Kaijin New Energy Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 302, Unit 2, Building 29, No.4, Keji 10th Road, Songshanhu Park, Dongguan, Guangdong, 523000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鄭 安華
(72)【発明者】
【氏名】余 徳馨
(72)【発明者】
【氏名】仰 永軍
(72)【発明者】
【氏名】仰 韻霖
【テーマコード(参考)】
4G072
5H050
【Fターム(参考)】
4G072AA25
4G072HH01
4G072JJ41
4G072KK20
4G072LL11
4G072MM28
4G072MM32
4G072MM36
4G072QQ09
4G072TT01
4G072TT05
4G072TT30
4G072UU30
5H050AA07
5H050BA16
5H050CB02
5H050CB11
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA05
5H050GA06
5H050GA10
5H050GA22
5H050GA27
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA09
(57)【要約】
【課題】 自己充填被覆ケイ素ベース複合材料、その調製方法及びその応用を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、電池の負極材料分野に関し、特に、自己充填被覆ケイ素ベース複合材料に関する。前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料は、ナノケイ素層、充填層及び表面修飾層で構成され、前記ナノケイ素層内のナノケイ素の粒径D50<200nmであり、前記充填層はナノケイ素の間に充填する炭素充填層である。本発明は、高い初期効率、低膨張及び長サイクル寿命などの利点を有する自己充填被覆ケイ素ベース複合材料を提供する。本発明は、工程が単純で実施しやすく、製品性能が安定であり、良好な応用の見通しがある自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の調製方法及びその応用も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己充填被覆ケイ素ベース複合材料であって、ナノケイ素層、充填層及び表面修飾層で構成され、前記ナノケイ素層内のナノケイ素の粒径D50<200nmであり、前記充填層はナノケイ素の間に充填する炭素充填層であることを特徴とする、自己充填被覆ケイ素ベース複合材料。
【請求項2】
前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の粒子径D50は、2~40μmの範囲、前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の比表面積は0.5~15m2/gの範囲、前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の空隙率は1~20%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の自己充填被覆ケイ素ベース複合材料。
【請求項3】
前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の酸素含有量は、0~20%の範囲、前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の炭素含有量は20~90%の範囲、前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料のケイ素含有量は5~90%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の自己充填被覆ケイ素ベース複合材料。
【請求項4】
前記ナノケイ素層内のナノケイ素は、ケイ素粒子又はナノ二酸化ケイ素粒子であり、前記表面修飾層は炭素修飾層であり、前記炭素修飾層が少なくとも1つの層で、単層の厚さが0.2~1.0μmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の自己充填被覆ケイ素ベース複合材料。
【請求項5】
前記ナノケイ素層内のナノケイ素は、SiOであり、ここでXが0~0.8の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の自己充填被覆ケイ素ベース複合材料。
【請求項6】
前記ナノケイ素層内のナノケイ素の酸素含有量は、0~31%の範囲であり、前記ナノケイ素層内のナノケイ素の結晶粒の大きさが1~40nmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の自己充填被覆ケイ素ベース複合材料。
【請求項7】
自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の調製方法であって、
ナノケイ素、分散剤、粘結剤を溶媒に均一混合して分散させ、噴霧乾燥させて前駆体Aを得る工程S0と、
前駆体Aと有機炭素源を機械的に混合させ、機械的に融合させて前駆体Bを得る工程S1と、
前駆体Bを高温真空/加圧炭化して前駆体Cを得る工程S2と、
前駆体Cを粉砕し、篩分けして前駆体Dを得る工程S3と、
前駆体Dを炭素で被覆して自己充填被覆ケイ素ベース複合材料を得る工程S4と、
を含むことを特徴とする、自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の調製方法。
【請求項8】
前記工程S2において、前記高温真空/加圧炭化は、真空炭化、熱間等方圧、加圧後炭化などのプロセスのうちの1種又は複数種であることを特徴とする、請求項7に記載の自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の調製方法。
【請求項9】
前記炭素で被覆して熱処理することは、静的熱処理又は動的熱処理であり、前記静的熱処理は前駆体Dを箱型炉、真空炉又はローラーハースキルンに入れ、保護雰囲気ガス下で、400~1000℃まで1~5℃/分で昇温し、0.5~20時間温度保持し、室温まで自然冷却させることであり、前記動的熱処理は前駆体Dを回転炉に入れ、保護雰囲気ガス下で400~1000℃まで1~5℃/分で昇温し、0~20.0L/分の吹き込み速度で有機炭素源ガスを吹き込み、0.5~20時間温度保持し、室温まで自然冷却させることであることを特徴とする、請求項7に記載の自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の調製方法。
【請求項10】
リチウムイオン電池の負極材料における自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の負極材料分野に関し、特に、自己充填被覆ケイ素ベース複合材料、その調製方法及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在市販されている負極材料は、主に天然黒鉛、人造黒鉛及び中間に当たる黒鉛材料であるが、理論容量が小さい(372mAh/g)ため、市場の需要に応えることができないでいた。近年、新型の高比容量負極材料であるリチウム貯蔵金属及びその酸化物(例えばSn、Si)とリチウム遷移金属リン化物に注目が集まっている。多くの新しい高比容量負極材料の中で、Siは、高い理論的な比容量(4200mAh/g)を備えるため、黒鉛類材料に代替できる最も可能性のある一つとなっているが、Siベースは充放電時の大きな体積膨張があり、割れ及び微粉化が発生しやすいため、集電体から剥離することにより、サイクル性能が急激に低下する。なお、ケイ素ベース材料の真性導電率は低く、レート特性が劣る。したがって体積膨張による影響を低減し、サイクル特性及びレート特性を向上することは、リチウムイオン電池におけるケイ素ベース材料の応用にとって重要な意義を持っている。
【0003】
従来のケイ素-炭素負極材料は、ナノケイ素、黒鉛及び炭素を用いて造粒して複合材料を得ている。ナノケイ素が黒鉛粒子の表面形を被覆してコアシェル構造を形成するため、ミクロンサイズ黒鉛粒子は、放電過程中の応力を十分に解放できないことにより、局所的な構造損傷が生じ、材料全体の特性にも影響を及ぼす。したがって、どのように体積膨張による影響を低減し、サイクル特性を改善するかがリチウムイオン電池におけるケイ素ベース材料の応用にとって重要な意義を持っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術的課題を解決するため、本発明は、高い初期効率、低膨張及び長サイクル寿命などの利点を有する自己充填被覆ケイ素ベース複合材料を提供する。
【0005】
本発明は、工程が単純で実施しやすく、製品性能が安定であり、良好な応用の見通しがある自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の調製方法及びその応用も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では次のような技術的手段を講じた。
自己充填被覆ケイ素ベース複合材料であって、ナノケイ素層、充填層及び表面修飾層で構成され、前記ナノケイ素層内のナノケイ素の粒径D50<200nmであり、前記充填層はナノケイ素の間に充填する炭素充填層である。
【0007】
上記技術的手段の更なる改善形態として、前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の粒子径D50は、2~40μmの範囲、前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の比表面積は0.5~15m2/gの範囲、前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の空隙率は1~20%の範囲である。
【0008】
上記技術的手段の更なる改善形態として、前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の酸素含有量は、0~20%の範囲、前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の炭素含有量は20~90%の範囲、前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料のケイ素含有量は5~90%の範囲である。
【0009】
上記技術的手段の更なる改善形態として、前記ナノケイ素層内のナノケイ素は、ケイ素粒子又はナノ二酸化ケイ素粒子であり、前記表面修飾層は炭素修飾層であり、前記炭素修飾層が少なくとも1つの層で、単層の厚さが0.2~1.0μmの範囲である。
【0010】
上記技術的手段の更なる改善形態として、前記ナノケイ素層内のナノケイ素は、SiOであり、ここでXが0~0.8の範囲である。
【0011】
上記技術的手段の更なる改善形態として、前記ナノケイ素層内のナノケイ素の酸素含有量は、0~31%の範囲であり、前記ナノケイ素層内のナノケイ素の結晶粒の大きさが1~40nmの範囲である。
【0012】
自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の調製方法であって、
ナノケイ素、分散剤、粘結剤を溶媒に均一混合して分散させ、噴霧乾燥させて前駆体Aを得る工程S0と、
前駆体Aと有機炭素源を機械的に混合させ、機械的に融合させて前駆体Bを得る工程S1と、
前駆体Bを高温真空/加圧炭化して前駆体Cを得る工程S2と、
前駆体Cを粉砕し、篩分けして前駆体Dを得る工程S3と、
前駆体Dを炭素で被覆して自己充填被覆ケイ素ベース複合材料を得る工程S4と、を含む。
【0013】
上記技術的手段の更なる改善形態として、前記工程S2において、前記高温真空/加圧炭化は、真空炭化、熱間等方圧、加圧後炭化などのプロセスのうちの1種又は複数種である。
【0014】
上記技術的手段の更なる改善形態として、炭素で被覆して熱処理することは、静的熱処理又は動的熱処理であり、前記静的熱処理は前駆体Dを箱型炉、真空炉又はローラーハースキルンに入れ、保護雰囲気ガス下で、400~1000℃まで1~5℃/分で昇温し、0.5~20時間温度保持し、室温まで自然冷却させることであり、前記動的熱処理は前駆体Dを回転炉に入れ、保護雰囲気ガス下で400~1000℃まで1~5℃/分で昇温し、0~20.0L/分の吹き込み速度で有機炭素源ガスを吹き込み、0.5~20時間温度保持し、室温まで自然冷却させることである。
【0015】
自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の応用であって、前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料は、リチウムイオン電池の負極材料に応用される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の自己充填被覆ケイ素ベース複合材料内の充填層で構成される三次元導電性炭素ネットワークは、ケイ素ベース材料の導電性を効果的に向上できるだけでなく、同時に充放電時の体積変化を効果的に緩和できることで、材料がサイクル過程中の微粉化も効果的に防ぐこともできる。充填層内の導電性炭素は、材料の導電性を向上すると共にナノケイ素材料の体積膨張を緩和できるだけでなく、サイクル過程中のナノケイ素と電解液との直接接触を抑制して副反応を減らすことができる。最外層の炭素被覆層は、ナノケイ素と電解液との直接接触を抑制して副反応を減らし、同時にケイ素ベース材料の導電性を効果的に向上できると共に充放電時の体積変化を効果的に緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の実施例4で調製された材料の構造概略図である。
図2】本発明の自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の実施例4で調製された材料の電子顕微鏡写真である。
図3】本発明の自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の実施例4で調製された材料の初回充放電曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施例を参照しつつ本発明の実施例における技術的手段を明確かつ完全に説明する。
【0019】
自己充填被覆ケイ素ベース複合材料であって、ナノケイ素層、充填層及び表面修飾層で構成され、前記ナノケイ素層内のナノケイ素の粒径D50<200nmであり、前記充填層はナノケイ素の間に充填する炭素充填層である。
【0020】
前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の粒子径D50は、2~40μmの範囲、より好ましくは2~20μmの範囲、特に好ましくは2~10μmの範囲である。
【0021】
前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の比表面積は0.5~15m2/gの範囲、より好ましくは0.5~10m2/gの範囲、特に好ましくは0.5~5m2/gの範囲である。
【0022】
前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の空隙率は、1~20%の範囲、より好ましくは1~10%の範囲、特に好ましくは1~5%の範囲である。
【0023】
前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の酸素含有量は、0~20%の範囲、より好ましくは0~15%の範囲、特に好ましくは0~10%の範囲である。
【0024】
前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の炭素含有量は、20~90%の範囲、より好ましくは20~60%の範囲、特に好ましくは20~50%の範囲である。
【0025】
前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料のケイ素含有量は、5~90%の範囲、より好ましくは20~70%の範囲、特に好ましくは30~60%の範囲である。
【0026】
前記ナノケイ素層内のナノケイ素は、ケイ素粒子又はナノ二酸化ケイ素粒子であり、前記表面修飾層は炭素修飾層であり、前記炭素修飾層が少なくとも1つの層で、単層の厚さが0.2~1.0μmの範囲である。
【0027】
前記ナノケイ素層内のナノケイ素は、SiOxであり、ここでXが0~0.8の範囲である。
【0028】
前記ナノケイ素層内のナノケイ素の酸素含有量は、0~31%の範囲、より好ましくは0~20%の範囲、特に好ましくは0~15%の範囲である。
【0029】
前記ナノケイ素層内のナノケイ素の結晶粒の大きさは、1~40nmの範囲であり、ナノケイ素が多結晶ナノケイ素又は非結晶ナノケイ素のうちの1種或いは複数種である。
【0030】
自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の調製方法であって、
ナノケイ素、分散剤、粘結剤を溶媒に均一混合して分散させ、噴霧乾燥させて前駆体Aを得る工程S0と、
前駆体Aと有機炭素源を機械的に混合させ、機械的に融合させて前駆体Bを得る工程S1と、
前駆体Bを高温真空/加圧炭化して前駆体Cを得る工程S2と、
前駆体Cを粉砕し、篩分けして前駆体Dを得る工程S3と、
前駆体Dを炭素で被覆して自己充填被覆ケイ素ベース複合材料を得る工程S4と、を含む。
【0031】
前記工程S2において、前記高温真空/加圧炭化は、真空炭化、熱間等方圧、加圧後炭化などのプロセスのうちの1種又は複数種である。
【0032】
炭素で被覆して熱処理することは、静的熱処理又は動的熱処理であり、前記静的熱処理は前駆体Dを箱型炉、真空炉又はローラーハースキルンに入れ、保護雰囲気ガス下で、400~1000℃まで1~5℃/分で昇温し、0.5~20時間温度保持し、室温まで自然冷却させることであり、前記動的熱処理は前駆体Dを回転炉に入れ、保護雰囲気ガス下で400~1000℃まで1~5℃/分で昇温し、0~20.0L/分の吹き込み速度で有機炭素源ガスを吹き込み、0.5~20時間温度保持し、室温まで自然冷却させることである。
【0033】
自己充填被覆ケイ素ベース複合材料の応用であって、前記自己充填被覆ケイ素ベース複合材料は、リチウムイオン電池の負極材料に応用される。
【0034】
(実施例1)
1、1000gの粒径D50が100nmのナノケイ素と100gのクエン酸をアルコール中に均一混合して分散させ、噴霧乾燥させて前駆体A1を得た。
2、前駆体A1とピッチを10:3質量比で溶融し、前駆体B1を得た。
3、その後前駆体B1を真空炉に入れ、真空条件下で焼結し、昇温速度を1oC/分、熱処理温度を1000oCとし、5時間温度保持し、冷却後前駆体C1を得、前駆体C1を粉砕、篩分けして前駆体D1を得た。
4、前駆体D1とピッチを10:1質量比で溶融し、その後窒素雰囲気条件下で焼結し、昇温速度を1oC/分、熱処理温度を1000oCとし、5時間温度保持し、冷却後篩分けして自己充填被覆ケイ素ベース複合材料を得た。
【0035】
(実施例2)
1、1000gの粒径D50が100nmのナノケイ素と100gのクエン酸をアルコール中に均一混合して分散させ、噴霧乾燥させて前駆体A2を得た。
2、前駆体A2とピッチを10:3質量比で溶融し、前駆体B2を得た。
3、その後前駆体B2を熱処理温度1000oCの熱間等方圧加圧装置に入れ、5時間温度保持し、冷却後前駆体C2を得、前駆体C2を粉砕、篩分けして前駆体D2を得た。
4、前駆体D2とピッチを10:1質量比で溶融し、その後窒素雰囲気条件下で焼結し、昇温速度を1oC/分、熱処理温度を1000oCとし、5時間温度保持し、冷却後篩分けして自己充填被覆ケイ素ベース複合材料を得た。
【0036】
(実施例3)
1、1000gの粒径D50が100nmのナノケイ素と50gのクエン酸をアルコール中に均一混合して分散させ、噴霧乾燥させて前駆体A3を得た。
2、前駆体A3とピッチを10:3質量比で溶融し、前駆体B3を得た。
3、その後前駆体B3を真空炉に入れ、真空条件下で焼結し、昇温速度を1oC/分、熱処理温度を1000oCとし、5時間温度保持し、冷却後前駆体C3を得、前駆体C3を粉砕、篩分けして前駆体D3を得た。
4、1000gの得られた前駆体D3をCVD炉に取り、1000℃まで5℃/分で昇温させ、それぞれ4.0L/分の速度で高純度窒素ガスを吹き込み、0.5L/分の速度でメタンガスを吹き込み、メタンガスの吹き込み時間が30分であり、冷却後篩分けして自己充填被覆ケイ素ベース複合材料を得た。
【0037】
(実施例4)
1、1000gの粒径D50が100nmのナノケイ素と50gのクエン酸をアルコール中に均一混合して分散させ、噴霧乾燥させて前駆体A4を得た。
2、前駆体A4ピッチを10:3質量比で溶融し、前駆体B4を得た。
3、その後前駆体B4を熱処理温度1000oCの熱間等方圧加圧装置に入れ、5時間温度保持し、冷却後前駆体C4を得、前駆体C4を粉砕、篩分けして前駆体D4を得た。
4、1000gの得られた前駆体D4をCVD炉に取り、1000℃まで5℃/分で昇温させ、それぞれ4.0L/分の速度で高純度窒素ガスを吹き込み、0.5L/分の速度でメタンガスを吹き込み、メタンガスの吹き込み時間が30分であり、冷却後篩分けして自己充填被覆ケイ素ベース複合材料を得た。
【0038】
<比較例>
1、1000gの粒径D50が100nmのナノケイ素と100gのクエン酸をアルコール中に均一混合して分散させ、噴霧乾燥させて前駆体A0を得た。
2、前駆体A0とピッチを10:3質量比で溶融し、前駆体B0を得た。
3、その後前駆体B0を箱型炉に入れ、窒素雰囲気条件下で焼結し、昇温速度を1oC/分、熱処理温度を1000oCとし、5時間温度保持し、冷却後篩分けしてケイ素ベース複合材料を得た。
【0039】
【0040】
以下の方法で材料の体積膨張率を試験及び計算した。調製されたケイ素-炭素複合材料と黒鉛複合で調製された容量500mAh/gの複合材料についてサイクル特性を試験し、膨張率=(50サイクル後のポールピースの厚さ~サイクル前のポールピースの厚さ)/(サイクル前のポールピースの厚さ~銅箔の厚さ)×100%とした。
【0041】
表1は、比較例と実施例の初回サイクル試験結果を示す。表2は、サイクルの膨張試験結果を示す。
【0042】
【0043】
【0044】
本発明の自己充填被覆ケイ素ベース複合材料内の充填層で構成される三次元導電性炭素ネットワークは、ケイ素ベース材料の導電性を効果的に向上できるだけでなく、同時に充放電時の体積変化を効果的に緩和できることで、材料がサイクル過程中の微粉化も効果的に防ぐこともできる。充填層内の導電性炭素は、材料の導電性を向上すると共にナノケイ素材料の体積膨張を緩和できるだけでなく、サイクル過程中のナノケイ素と電解液との直接接触を抑制して副反応を減らすことができる。最外層の炭素被覆層は、ナノケイ素と電解液との直接接触を抑制して副反応を減らし、同時にケイ素ベース材料の導電性を効果的に向上できると共に充放電時の体積変化を効果的に緩和できる。
【0045】
以上、本発明を詳細に説明したが、以上の述べるものは本発明の好ましい実施例のみであって、これらによって本発明の保護範囲が限定的に解釈されない。当業者であれば、本発明の技術的思想を逸脱することなく、様々な変形及び改良が可能であり、かかる変形及び改良は本発明の保護範囲に含めることを指摘しておかなければならない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】