(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】表面微細酸化多孔質炭素系負極材料及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/133 20100101AFI20230301BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20230301BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20230301BHJP
C01B 32/05 20170101ALI20230301BHJP
【FI】
H01M4/133
H01M4/587
H01M4/62 Z
C01B32/05
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571615
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 CN2021080387
(87)【国際公開番号】W WO2022121140
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】202011446779.1
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520416026
【氏名又は名称】広東▲凱▼金新能源科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Guangdong Kaijin New Energy Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 302, Unit 2, Building 29, No.4, Keji 10th Road, Songshanhu Park, Dongguan, Guangdong, 523000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】葛 伝長
(72)【発明者】
【氏名】仰 永軍
【テーマコード(参考)】
4G146
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AB01
4G146AD11
4G146AD23
4G146AD25
4G146BA08
4G146BA15
4G146BC03
4G146BC23
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4G146CB35
5H050AA02
5H050AA07
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5H050HA01
5H050HA14
5H050HA15
5H050HA20
(57)【要約】
本発明は、表面微細酸化多孔質炭素系負極材料及びその調製方法を開示する。前記負極材料は、粘土鉱物10~30重量部、キトサン5~8重量部、カチオンポリマー0.1~1重量部、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシド0.1~1重量部、導電剤3~8重量部、無水エタノール3~8重量部、シュウ酸カリウム1~3重量部及びバインダー10~15重量部という成分を含む。本発明は、キトサン及び粘土鉱物をベースにカチオンポリマー及びトリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシドを添加し、カチオンポリマーが多核ヒドロキシ架橋錯イオンであるため、高い正電荷を帯び、粘土の表面に吸着し、三次元ネットワーク構造を形成でき、炭化工程において得られた炭素系材料の表面に複数の微細酸化細孔を形成させ、最終的に得られた炭素系負極材料は良好な充放電特性及びサイクル特性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面微細酸化多孔質炭素系負極材料であって、粘土鉱物10~30重量部、キトサン5~8重量部、カチオンポリマー0.1~1重量部、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシド0.1~1重量部、導電剤3~8重量部、無水エタノール3~8重量部、シュウ酸カリウム1~3重量部及びバインダー10~15重量部という成分を含むことを特徴とする、表面微細酸化多孔質炭素系負極材料。
【請求項2】
前記粘土鉱物は、質量比7:10~15:5~8のベントナイト、バーミキュライト、珪藻土で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の表面微細酸化多孔質炭素系負極材料。
【請求項3】
前記カチオンポリマーが、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウムのうちの1種又は2種の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の表面微細酸化多孔質炭素系負極材料。
【請求項4】
前記粘土鉱物、キトサン、カチオンポリマーの質量比が、2~3:1:0.1~0.2であることを特徴とする請求項1に記載の表面微細酸化多孔質炭素系負極材料。
【請求項5】
次の工程S1~S3を含むことを特徴とする、表面微細酸化多孔質炭素系負極材料の調整方法。
S1:粘土鉱物を三口フラスコに入れ、水を加えて懸濁液を形成してから硝酸溶液を加えて活性化し、pHを4~6に調整し、次にカチオンポリマー、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシドを粘土材料のある上記の三口フラスコに順次加え、室温で撹拌しながら反応させ、その後キトサンを加え、100℃~120℃の恒温水浴で撹拌しながら反応させ、室温まで冷却した後、吸引ろ過し、pHが中性になるまで水洗して混合溶液を得る工程
S2:不活性ガス保護下で、混合溶液を高温加熱炉に入れて、炭化処理を施し、表面微細酸化多孔質炭素材料を得る工程
S3:表面微細酸化多孔質炭素系材料と導電剤とを混合した後、粉砕してから無水エタノールに分散させ、バインダー及びシュウ酸カリウムを加え、均一に撹拌し、乾燥させ、プレス加工すると表面微細酸化多孔質炭素系負極材料を得る工程。
【請求項6】
前記工程S1において、懸濁液の質量濃度は4%、硝酸溶液の質量濃度は1%であることを特徴とする、請求項5に記載の表面微細酸化多孔質炭素系負極材料の調整方法。
【請求項7】
前記工程S1において、室温で撹拌しながら反応させる時間は、4時間~5時間であり、恒温水浴で撹拌しながら反応させる時間が4時間~5時間であることを特徴とする、請求項5に記載の表面微細酸化多孔質炭素系負極材料の調整方法。
【請求項8】
前記工程S2において、不活性ガスは、窒素ガス又はアルゴンガスであることを特徴とする、請求項5に記載の表面微細酸化多孔質炭素系負極材料の調整方法。
【請求項9】
前記工程S2において、炭化処理の温度は、600℃~800℃、圧力は30MPa~50MPa、反応時間は10時間~20時間であることを特徴とする、請求項5に記載の表面微細酸化多孔質炭素系負極材料の調整方法。
【請求項10】
前記工程S3において、表面微細酸化多孔質炭素系材料、導電剤の質量比は、3~4:0.3~0.5であることを特徴とする、請求項5に記載の表面微細酸化多孔質炭素系負極材料の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池材料の技術分野に関し、特に、表面微細酸化多孔質炭素系負極材料及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の二次電池と比較するとリチウムイオン電池は、高いエネルギー密度、高い動作電圧、高い安全性、環境負荷の少ない等の利点をもつ。リチウムイオン電池のリチウムを蓄積する主体とした負極材料は、充放電過程でリチウムイオンの挿入及び脱離を実現でき、リチウムイオン電池總比容量、サイクル特性、充放電などの特性を向上させるための鍵となっている。負極材料の中において炭素系負極材料は、常に主要な地位を占め、市販されているリチウムイオン電池の多くは、黒鉛化性炭素系負極材料が用いられている。ただし理論的な比容量は、372mAh/gしかないため、リチウムイオン電池の特性が大幅に制限されている。したがって高い比容量を備えた新しい炭素負極材料の探索は、研究のホットスポットになっている。
【0003】
近年、炭素材料の引き続き綿密な研究に伴い、黒鉛及び各種炭素材料の表面改質及び構造調整、又は黒鉛を部分的に無秩序になるか、或いは各種炭素材料の中に炭素材料にナノスケールの細孔、穴、チャネル等の構造を形成することにより、リチウムイオン電池の比容量を大幅に増やせることができることを見出した。
【0004】
キトサンは、天然キチンからN-アセチル基を取り除いて得られる無毒・無害の高分子ポリマーで、分子鎖には、ヒドロキシル、アミノ、アセトアミド、フラン環、オキソブリッジなどの活性化配位基が多く含まれている。
【0005】
粘土鉱物は、粘土および粘土岩の結晶であり、主にアルミニウム、鉄、及びマグネシウムを含む含水層状珪酸塩鉱物であり、カオリナイトグループ鉱物、スメクタイト、バーミキュライト、粘土グレードの雲母、およびイライト、海緑石、クロライト、膨潤性クロライト及び関連混合層鉱物が含まれる。粘土鉱物は、天然、入手容易、低価格で、水環境への影響が少なく、比表面積が大きく、表面活性が強く、表面と層間に交換性陽イオンは多く含まれる。
【0006】
如何にしてキトサン及び粘土鉱物の利点を利用して、両者を組み合わせることで、高い比容量の炭素負極材料として調製するかが、良好な応用の見通しを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術における上述の問題点の克服を意図しており、キトサン及び粘土鉱物の利点を利用し、炭化工程を通じてキトサン及び粘土鉱物が電気化学的特性に優れ、低コスト、環境に配慮される難黒鉛化性炭素系負極材料を形成させる表面微細酸化多孔質炭素系負極材料を提供する。
【0008】
本発明は、上記表面微細酸化多孔質炭素系負極材料の調製方法も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では次のような技術的手段を講じた。
表面微細酸化多孔質炭素系負極材料であって、粘土鉱物10~30重量部、キトサン5~8重量部、カチオンポリマー0.1~1重量部、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシド0.1~1重量部、導電剤3~8重量部、無水エタノール3~8重量部、シュウ酸カリウム1~3重量部及びバインダー10~15重量部という成分を含むことを特徴とする、表面微細酸化多孔質炭素系負極材料。
【0010】
さらに、前記粘土鉱物は、質量比7:10~15:5~8のベントナイト、バーミキュライト、珪藻土で構成される。
【0011】
さらに、前記カチオンポリマーが、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウムのうちの1種又は2種の組み合わせである。
【0012】
さらに、前記粘土鉱物、キトサン、カチオンポリマーの質量比が、2~3:1:0.1~0.2である。
【0013】
さらに、前記導電剤は、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、膨張化黒鉛のいずれか1種であり、バインダーはポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニルポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウムのいずれか1種である。
【0014】
次の工程S1~S3を含むことを特徴とする、表面微細酸化多孔質炭素系負極材料の調整方法。
S1:粘土鉱物を三口フラスコに入れ、水を加えて懸濁液を形成してから硝酸溶液を加えて活性化し、pHを4~6に調整し、次にカチオンポリマー、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシドを粘土材料のある上記の三口フラスコに順次加え、室温で撹拌しながら反応させ、その後キトサンを加え、100℃~120℃の恒温水浴で撹拌しながら反応させ、室温まで冷却した後、吸引ろ過し、pHが中性になるまで水洗して混合溶液を得る工程
S2:不活性ガス保護下で、混合溶液を高温加熱炉に入れて、炭化処理を施し、表面微細酸化多孔質炭素材料を得る工程
S3:表面微細酸化多孔質炭素系材料と導電剤とを混合した後、粉砕してから無水エタノールに分散させ、バインダー及びシュウ酸カリウムを加え、均一に撹拌し、乾燥させ、プレス加工すると表面微細酸化多孔質炭素系負極材料を得る工程。
【0015】
さらに、前記工程S1において、懸濁液の質量濃度は4%、硝酸溶液の質量濃度は1%である。
【0016】
さらに、前記工程S1において、室温で撹拌しながら反応させる時間は、4時間~5時間であり、恒温水浴で撹拌しながら反応させる時間が4時間~5時間である。
【0017】
さらに、前記工程S2において、不活性ガスは、窒素ガス又はアルゴンガスである。
【0018】
さらに、前記工程S2において、炭化処理の温度は、600℃~800℃、圧力は30MPa~50MPa、反応時間は10時間~20時間である。
【0019】
さらに、前記工程S3において、表面微細酸化多孔質炭素系材料、導電剤の質量比は、3~4:0.3~0.5である。
【発明の効果】
【0020】
従来技術と比較して、本発明は、次の有利な効果を有する。
本発明は、キトサン及び粘土鉱物の利点を利用し、キトサン及び粘土鉱物をベースにカチオンポリマー及びトリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシドを添加し、カチオンポリマーの水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウムが多核ヒドロキシ架橋錯イオンであるため、高い正電荷を帯び、粘土の表面に吸着し、ヒドロキシ基を介してキトサンと配位し、三次元ネットワーク構造を形成できる。炭化工程においてカチオンポリマーの高温によって生成された酸化物及びガスを再利用して得られた炭素系材料の表面に複数の微細酸化細孔を形成させ、最終的に得られた表面微細酸化多孔質炭素系負極材料は良好な充放電特性及びサイクル特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、具体的実施形態を参照しつつ本発明をさらに説明する。ここで、言及すべき点は、抵触がない限り、以下に記載されている実施例の間又は各技術的特徴の間を任意に組み合わせて新しい実施例を形成できる。
【0022】
(実施例1)
表面微細酸化多孔質炭素系負極材料であって、粘土鉱物10重量部、キトサン5重量部、カチオンポリマー0.1重量部、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシド0.1重量部、導電剤3重量部、無水エタノール3重量部、シュウ酸カリウム1重量部及びバインダー10重量部という成分を含む。
【0023】
ここで、前記粘土鉱物は、質量比7:10:5のベントナイト、バーミキュライト、珪藻土で構成され、前記カチオンポリマーは水酸化アルミニウムであり、前記導電剤はアセチレンブラックである。
【0024】
前記表面微細酸化多孔質炭素系負極材料の調整方法は、次の工程S1~S3を含む。
S1:粘土鉱物を三口フラスコに入れ、水を加えて質量濃度4%の懸濁液を形成し、質量濃度1%の硝酸溶液を加えて活性化し、pHを4~6に調整し、次にカチオンポリマー、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシドを粘土材料のある上記の三口フラスコに順次加え、室温で4時間~5時間撹拌しながら反応させ、その後キトサンを加え、100℃~120℃の恒温水浴で4時間~5時間撹拌し、室温まで冷却した後、吸引ろ過し、pHが中性になるまで水洗して混合溶液を得る工程、
S2:窒素ガス保護下で、混合溶液を高温加熱炉に入れ、温度600℃~800℃、圧力30MPa~50MPaで10時間~20時間の炭化処理を施し、表面微細酸化多孔質炭素材料を得る工程、
S3:表面微細酸化多孔質炭素系材料と導電剤とを混合した後、粉砕してから無水エタノールに分散させ、バインダー及びシュウ酸カリウムを加え、均一に撹拌し、乾燥させ、プレス加工すると表面微細酸化多孔質炭素系負極材料を得る工程。
【0025】
試験後、得られた表面微細酸化多孔質炭素系負極材料をリチウムイオン電池の負極材料として使用し、初回充放電サイクル後の放電比容量は、901mAh/g、初回充放電効率が86.9%であり、100サイクルを経た後の容量維持率が95.8%であった。
【0026】
(実施例2)
表面微細酸化多孔質炭素系負極材料であって、粘土鉱物20重量部、キトサン6重量部、カチオンポリマー0.5重量部、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシド0・5重量部、導電剤6重量部、無水エタノール6重量部、シュウ酸カリウム2重量部及びバインダー12重量部という成分を含む。
【0027】
ここで、前記粘土鉱物は、質量比7:10:5のベントナイト、バーミキュライト、珪藻土で構成され、前記カチオンポリマーは水酸化アルミニウムであり、前記導電剤はアセチレンブラックである。
【0028】
前記表面微細酸化多孔質炭素系負極材料の調整方法は、次の工程S1~S3を含む。
S1:粘土鉱物を三口フラスコに入れ、水を加えて質量濃度4%の懸濁液を形成し、質量濃度1%の硝酸溶液を加えて活性化し、pHを4~6に調整し、次にカチオンポリマー、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシドを粘土材料のある上記の三口フラスコに順次加え、室温で4時間~5時間撹拌しながら反応させ、その後キトサンを加え、100℃~120℃の恒温水浴で4時間~5時間撹拌し、室温まで冷却した後、吸引ろ過し、pHが中性になるまで水洗して混合溶液を得る工程、
S2:窒素ガス保護下で、混合溶液を高温加熱炉に入れ、温度600℃~800℃、圧力30MPa~50MPaで10時間~20時間の炭化処理を施し、表面微細酸化多孔質炭素材料を得る工程、
S3:表面微細酸化多孔質炭素系材料と導電剤とを混合した後、粉砕してから無水エタノールに分散させ、バインダー及びシュウ酸カリウムを加え、均一に撹拌し、乾燥させ、プレス加工すると表面微細酸化多孔質炭素系負極材料を得る工程。
【0029】
試験後、得られた表面微細酸化多孔質炭素系負極材料をリチウムイオン電池の負極材料として使用し、初回充放電サイクル後の放電比容量は、910mAh/g、初回充放電効率が90.4%であり、100サイクルを経た後の容量維持率が97.3%であった。
【0030】
(実施例3)
表面微細酸化多孔質炭素系負極材料であって、粘土鉱物30重量部、キトサン8重量部、カチオンポリマー1重量部、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシド1重量部、導電剤8重量部、無水エタノール8重量部、シュウ酸カリウム3重量部及びバインダー15重量部という成分を含む。
【0031】
ここで、前記粘土鉱物は、質量比7:10:5のベントナイト、バーミキュライト、珪藻土で構成され、前記カチオンポリマーは水酸化アルミニウムであり、前記導電剤はアセチレンブラックである。
【0032】
前記表面微細酸化多孔質炭素系負極材料の調整方法は、次の工程S1~S3を含む。
S1:粘土鉱物を三口フラスコに入れ、水を加えて質量濃度4%の懸濁液を形成し、質量濃度1%の硝酸溶液を加えて活性化し、pHを4~6に調整し、次にカチオンポリマー、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシドを粘土材料のある上記の三口フラスコに順次加え、室温で4時間~5時間撹拌しながら反応させ、その後キトサンを加え、100℃~120℃の恒温水浴で4時間~5時間撹拌し、室温まで冷却した後、吸引ろ過し、pHが中性になるまで水洗して混合溶液を得る工程、
S2:窒素ガス保護下で、混合溶液を高温加熱炉に入れ、温度600℃~800℃、圧力30MPa~50MPaで10時間~20時間の炭化処理を施し、表面微細酸化多孔質炭素材料を得る工程、
S3:表面微細酸化多孔質炭素系材料と導電剤とを混合した後、粉砕してから無水エタノールに分散させ、バインダー及びシュウ酸カリウムを加え、均一に撹拌し、乾燥させ、プレス加工すると表面微細酸化多孔質炭素系負極材料を得る工程。
【0033】
試験後、得られた表面微細酸化多孔質炭素系負極材料をリチウムイオン電池の負極材料として使用し、初回充放電サイクル後の放電比容量は、930mAh/g、初回充放電効率が95.4%であり、100サイクルを経た後の容量維持率が96.6%であった。
【0034】
(実施例4)
表面微細酸化多孔質炭素系負極材料であって、粘土鉱物25重量部、キトサン6重量部、カチオンポリマー0.5重量部、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシド1重量部、導電剤8重量部、無水エタノール8重量部、シュウ酸カリウム3重量部及びバインダー15重量部という成分を含む。
【0035】
ここで、前記粘土鉱物は、質量比7:10:5のベントナイト、バーミキュライト、珪藻土で構成され、前記カチオンポリマーは水酸化アルミニウムであり、前記導電剤はアセチレンブラックである。
【0036】
前記表面微細酸化多孔質炭素系負極材料の調整方法は、次の工程S1~S3を含む。
S1:粘土鉱物を三口フラスコに入れ、水を加えて質量濃度4%の懸濁液を形成し、質量濃度1%の硝酸溶液を加えて活性化し、pHを4~6に調整し、次にカチオンポリマー、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシドを粘土材料のある上記の三口フラスコに順次加え、室温で4時間~5時間撹拌しながら反応させ、その後キトサンを加え、100℃~120℃の恒温水浴で4時間~5時間撹拌し、室温まで冷却した後、吸引ろ過し、pHが中性になるまで水洗して混合溶液を得る工程、
S2:窒素ガス保護下で、混合溶液を高温加熱炉に入れ、温度600℃~800℃、圧力30MPa~50MPaで10時間~20時間の炭化処理を施し、表面微細酸化多孔質炭素材料を得る工程、
S3:表面微細酸化多孔質炭素系材料と導電剤とを混合した後、粉砕してから無水エタノールに分散させ、バインダー及びシュウ酸カリウムを加え、均一に撹拌し、乾燥させ、プレス加工すると表面微細酸化多孔質炭素系負極材料を得る工程。
【0037】
試験後、得られた表面微細酸化多孔質炭素系負極材料をリチウムイオン電池の負極材料として使用し、初回充放電サイクル後の放電比容量は、922mAh/g、初回充放電効率が93.5%であり、100サイクルを経た後の容量維持率が94.9%であった。
【0038】
<比較例1>
表面微細酸化多孔質炭素系負極材料であって、粘土鉱物30重量部、キトサン8重量部、トリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシド1重量部、導電剤8重量部、無水エタノール8重量部、シュウ酸カリウム3重量部及びバインダー15重量部という成分を含む。
【0039】
ここで、前記粘土鉱物は、質量比7:10:5のベントナイト、バーミキュライト、珪藻土で構成され、前記導電剤はアセチレンブラックである。
【0040】
前記表面微細酸化多孔質炭素系負極材料の調整方法は、次の工程S1~S3を含む。
S1:粘土鉱物を三口フラスコに入れ、水を加えて質量濃度4%の懸濁液を形成し、質量濃度1%の硝酸溶液を加えて活性化し、pHを4~6に調整し、次にトリス(2-メチル-1-アジリジニル)ホスフィンオキシドを粘土材料のある上記の三口フラスコに加え、室温で4時間~5時間撹拌しながら反応させ、その後キトサンを加え、100℃~120℃の恒温水浴で4時間~5時間撹拌し、室温まで冷却した後、吸引ろ過し、pHが中性になるまで水洗して混合溶液を得る工程、
S2:窒素ガス保護下で、混合溶液を高温加熱炉に入れ、温度600℃~800℃、圧力30MPa~50MPaで10時間~20時間の炭化処理を施し、表面微細酸化多孔質炭素材料を得る工程、
S3:表面微細酸化多孔質炭素系材料と導電剤とを混合した後、粉砕してから無水エタノールに分散させ、バインダー及びシュウ酸カリウムを加え、均一に撹拌し、乾燥させ、プレス加工すると表面微細酸化多孔質炭素系負極材料を得る工程。
【0041】
試験後、得られた表面微細酸化多孔質炭素系負極材料をリチウムイオン電池の負極材料として使用し、初回充放電サイクル後の放電比容量は、670mAh/g、初回充放電効率が76.4%であり、100サイクルを経た後の容量維持率が79.1%であった。
【0042】
上記実施形態は、本発明の好ましい実施形態のみであって、本発明の範囲はこれら実施形態により何ら限定されるものではない。当業者であれば、本発明に基づいて行われた実質的でない変化及び置換は、本発明が請求する保護範囲に含める。
【国際調査報告】