(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】全方向移動ラインを追従する自律走行車両
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230301BHJP
【FI】
G05D1/02 W
G05D1/02 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520777
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(85)【翻訳文提出日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 IB2020059704
(87)【国際公開番号】W WO2021074843
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518095633
【氏名又は名称】ブルーボティックス・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】テリアン・グレゴワール
(72)【発明者】
【氏名】ラモン・ピエール
(72)【発明者】
【氏名】トマティス・ニコラ
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA10
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD01
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
5H301HH01
5H301HH02
5H301HH11
5H301HH18
5H301HH19
5H301JJ01
(57)【要約】
【課題】全方向移動自律走行車両を所与の経路に沿って走らせる処理を改良する。
【解決手段】本発明は、全方向自律走行車両(1)を仮想経路上で操縦する処理に向けられたものであって、全方向自律走行車両(1)は、少なくとも1つの基準線(13と、全方向自律走行車両(1)を全方向自律走行車両(1)の向きとは無関係に仮想経路上に走らせるように構成可能な操舵輪(W1)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全方向自律走行車両(1)を、作業空間(2)内に仮想経路(A)を備える仮想経路上の第1位置から第2位置に操縦する処理であって、全方向自律走行車両(1)は、
車両中心(11)と基準点(12)によって作られる少なくとも1つの基準線(13)と、
全方向自律走行車両(1)を、全方向自律走行車両(1)の向きとは無関係に仮想経路(A)の方向に走らせるように構成可能な操舵輪(W1)と、
を備え、前記操縦する処理が、
全方向自律走行車両(1)がたどるべき仮想経路(A)を決定するステップ(S1)と、
全方向自律走行車両(1)を仮想経路(A)上に走らせるように全方向自律走行車両(1)の操舵輪(W1)を構成するステップ(S4)と、
全方向自律走行車両(1)を仮想経路(A)上に走らせるステップ(S5)と
を備える前記操縦する処理において、
仮想センサ(V)の位置が車両中心(11)に対して調整可能である仮想センサ(V)を決定するステップ(S2)と、
走行方向(DA)が経路(A)に対して配向されていて、全方向自律走行車両(1)の基準線(13)について回転角度(β)をなす前記走行方向(DA)を提供するように仮想センサ(V)を調整するステップ(S3)と
をさらに備えることを特徴とする、前記操縦する処理。
【請求項2】
全方向自律走行車両(1)を仮想経路(A)上に走らせるステップ(S5)が、
全方向自律走行車両(1)の位置を動的に監視して修正するステップ(S5a)と、
全方向自律走行車両(1)の向きを動的に監視して修正するステップ(S5b)と
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の処理。
【請求項3】
前記ステップ(S5a)が、
全方向自律走行車両(1)がたどるべき仮想経路(A)に対するずれを動的に決定して、前記ずれを最小化すべく1つ又はそれより多い操舵輪(W1)を構成するステップを備える
ことを特徴とする、請求項2に記載の処理。
【請求項4】
前記ステップ(S5b)が、
回転角度(β)の角度ずれを動的に決定して、前記角度ずれを最小化すべく1つ又はそれより多い操舵輪(W1)を構成するステップを備える
ことを特徴とする、請求項2に記載の処理。
【請求項5】
全方向自律走行車両(1)の向きが
仮想経路(A)に関連しているか否か、
環境的作業空間(2)に関連しているか否か、又は
独立して制御されているか否か
を決定するステップ(S5c)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の処理。
【請求項6】
前記ステップ(S5c)で、全方向自律走行車両(1)の向きが環境的作業空間(2)に関連していると決定されると、
環境的作業空間(2)に対する全方向自律走行車両(1)の向きが一定に維持されるように回転角度(β)を動的に調整するステップ(S6)を適用することを特徴とする、請求項5に記載の処理。
【請求項7】
前記ステップ(S5c)で、全方向自律走行車両(1)の向きが仮想経路(A)に関連していると決定されると、
仮想経路(A)に対する全方向自律走行車両(1)の向きが一定に維持されるように回転角度(β)を仮想経路(A)に沿って一定値に維持するステップ(S7)を適用することを特徴とする、請求項5に記載の処理。
【請求項8】
前記ステップ(S5c)で、全方向自律走行車両(1)の向きは独立して制御すべきであると決定されると、
回転角度(β)を独立して調整するステップ(S8)を適用し、
全方向自律走行車両(1)の走行を仮想経路(A)に沿って維持するように操舵輪(W1)が漸進的に構成される間、回転角度(β)がステップ(S8a)において漸進的に調整され、あるいは
修正回転角度(β)が決定される前に、全方向自律走行車両(1)がステップ(S8b)において一時的に停止される、
ことを特徴とする、請求項5に記載の処理。
【請求項9】
仮想経路(A)を決定するステップ(S1)が、全方向自律走行車両(1)が指示を受信する1つ又はそれより多い操作位置(N1、N2、N3)を決定するステップを備えることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の処理。
【請求項10】
全方向自律走行車両(1)が受信する前記指示は、車両中心(11)に対する仮想センサ(V)の調整を含むことを特徴とする、請求項9に記載の処理。
【請求項11】
全方向自律走行車両(1)の向きに関係なく所与の経路に沿って全方向自律走行車両(1)を走らせるべく構成可能な操舵輪(W1)と、測位ユニット(5)と、少なくとも1つのセンサ(6)と、駆動ユニット(4)と、経路追従ユニット(7)とを備え、
駆動ユニット(4)が、少なくとも経路追従ユニット(7)から提供される情報に従って操舵輪(W1)を操縦する全方向自律走行車両(1)において、
全方向自律走行車両(1)が、基準点(12)と、基準点(12)と共に基準線(13)を画定する車両中心(11)とを備え、
経路追従ユニット(7)が、
仮想センサ(V)を生成すべく、そして
基準線(13)と共に回転角度(β)を決定する走行方向(DA)を決定できるように仮想センサ(V)を車両中心(11)に対して調整すべく、適合されることを特徴とする、全方向自律走行車両(1)。
【請求項12】
一定値に維持するように、又は、動的に調整されるように、回転角度(β)が決定されることを特徴とする、請求項11に記載の全方向自動車両。
【請求項13】
回転角度(β)が自由に決定されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の全方向自動車両。
【請求項14】
車両中心(11)を決定するステップと、
車両中心(11)と共に基準線(13)を画定する全方向移動車両の基準点(12)を決定するステップと、
仮想センサ(V)を生成すべく、そして、基準線(13)と共に回転角度(β)をなす走行方向(DA)を画定するように車両中心(12)に対して仮想センサ(V)を調整すべく、適合された経路追従ユニット(7)を全方向自律走行車両(1)に統合するステップと、
を備える、全方向自動車両のレトロフィット処理。
【請求項15】
経路追従ユニット(7)が、操作位置(N1、N2、N3)を備える少なくとも1経路(A)を格納していて、回転角度(β)が調整されていることを特徴とする、請求項14に記載のレトロフィット処理。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全方向自律走行車両、及び仮想経路上でそのような全方向自律走行車両を操縦する処理に関する。
【背景技術】
【0002】
自律型ロボット車両は、倉庫、工場、病院、原子力発電所、鉱山などの産業環境で広く使用されている。それらは、物体の取り扱い、特に、ある場所から別の場所への輸送に関する人間の活動を支援するものである。
【0003】
このような車両には通常、さまざまなタイプのセンサが装備されていて、作業空間内を自律的に移動できる。既知の自律走行車両がタスクを効率的に実行するには、通常、事前に決定された経路が必要である。そのような所定の経路には、例えば、特許文献1(WO2017050357)に記載されているように、例えば、床に引かれた線、又は仮想線が含まれる。このアプローチでは、車両は常に進路からのずれを決定し、それに応じて方向を修正して進路に沿った状態を維持する。
【0004】
全方向移動車両も知られていて、それは任意可能な方向を取れる車両である。そのような車両にはますます関心が高まっている。
【0005】
自律走行車両の柔軟性と機能を改善する必要性は、そのように高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際出願公開第2017/50357号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、作業空間内で全方向移動自律走行車両を操縦する処理を提供することである。特に、本発明の目的は、そのような全方向移動車両の操縦に柔軟性を提供することである。
【0008】
操縦能力を向上させるために、既存の全方向移動車両をレトロフィットする処理を提供することは、さらなる目的である。
【0009】
本発明の目的はまた、柔軟な操縦能力を有する全方向移動車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、これらの目的は、請求された解決策によって達成される。
【0011】
本発明は、例として与えられ、図によって示される実施形態の説明の助けを借りて、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、全方向移動車両1の概略底面図を示す。
【
図2】
図2aは、作業空間2内の全方向移動車両1の経路と方向の例を示す。
【
図2】
図2bは、特定の経路に沿った全方向移動車両1の回転変位に関する詳細を示す。
【
図3】
図3は、
図1の全方向移動車両1の操縦に関する処理の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
全方向移動(自律走行)車両1は、任意の車両を意味し、その車輪は、任意の方向、任意の方向に全方向移動車両1を駆動するように構成してよい。特に、そのような全方向移動車両1は、前面側F1、背面側B1、及び縁部E1を備える場合があり、そして背面側B1を前面側F1に結合する長手方向軸線T1を持つ。
前面側F1は、通常、従来の車両の目標位置に向けられるが、縁部E1を含む全方向移動車両1の他の側部は、任意の可能な角度で、全方向移動車両が到達しようとする位置に向けてよい。全方向移動車両1の動きは、よって、速度ベクトル、縦方向ベクトル、横方向ベクトル、及び回転ベクトルの組み合わせによって定義される。
【0014】
全方向移動車両1は、その従来の前面側F1、背面側B、及び縁部E1でここに説明されているが、そのような全方向移動車両1は、正方形又は円形を含む様々な形状をしている場合があり、背面側B1、前面側F1、縁部E1は目で区別できない。
全方向移動車両1は、少なくとも1つの基準点12を備え、それ(ら)は、全方向移動車両1の任意の物理的点又は任意の仮想点である場合がある。基準点12は、例えば、全方向移動車両1の前面側F1に近いある位置で長手方向軸線T1上に配置される場合がある。長手方向軸線T1を決定できない場合、基準点12は、全方向移動車両1内の他の任意の位置に定義される場合がある。このような基準点12は、視覚的な前面側F1を決定できない場合には、全方向移動車両1の前面側F1と見なせる。
【0015】
全方向移動車両1は、車両の形状とは別に、車両中心11を備える。車両中心11は、物理的に具体化された点又は仮想点、あるいは物理的要素によっても具体化される仮想点の両方である場合がある。車両中心11は、好ましくは、全方向移動車両1の幾何学的中心に相当する。言い換えると、車両中心11は、可能な限り最小直径を持つ円を描くことによって、全方向移動車両1がその周りを回転できる点に相当する。しかしながら、異なる位置が全方向移動車両1の敏捷性にとって最適ではない場合でも、車両中心11は異なる位置である場合がある。
【0016】
基準点12と車両中心11は一緒に基準線13を画定する。そのような基準線13は、決定できる場合は全方向移動車両1の長手方向軸線T1と一致する場合がある。代替的に、基準線13は、全方向移動車両1の仮想軸線を画定する場合がある。
【0017】
全方向移動車両1の向きは、その基準線13及び仮想センサVに基づいて決定され、仮想センサVの位置は、車両中心11に対して調整できる。特に、仮想センサVは、全方向移動車両1の基準線13に関して調整できる。仮想センサVの調整された位置は、車両中心11を用いて進行方向DAを定義する。このような移動方向DAは、基準線13との回転角度βを決定する。回転角度βがゼロに等しいとき、仮想センサVは、全方向移動車両1の基準線13と位置合わせされる。回転角度βは、0から90°、0から180°、又は0から306°の任意の値をとることがある。回転角度βは、正の値又は負の値を取ることもある。
【0018】
全方向移動車両1はまた、全方向移動車両1を任意の車両方向で任意の方向に駆動するように構成できる車輪を備える。
図1に示される可能な配置によれば、車輪の一部又は全ては、駆動輪(ステアリングホイール)W1であり、これは、操舵角αによって全方向移動車両1の基準線13に対して独立して配向可能である。操舵角αの値は、0°から90°、又は0°から180°、又は0°から360°の間の値である場合がある。車輪W1は、基準線13に関して一方向又は他の方向に独立して操舵される場合がある。全方向移動車両1の少なくとも2つの車輪は、駆動輪及び操舵輪である。したがって、操舵輪W1は、全方向移動車両1を駆動するために、少なくとも1つの駆動モーターW2で電動化される。それらはさらに、個々の操舵駆動部W3によって方向付けられる場合がある。車輪の数は、しかしながら制限されない。
図1に示されている構成は1例として提供されていて、全方向移動の車輪に関して可能な唯一の配置ではない。例えば、キウイ駆動(ホロノミック型の1つ)として知られているものなどのオムニホイール又はポリホイールも使用できる。「操舵輪W1」という用語は、そのため、その空間的向きとは独立して、全方向移動車両1を所与の方向に駆動するように適合された任意の車輪を指す。操舵輪W1は、よって、全方向移動車両1の経路及び向きに従って構成できる。全方向移動車両1は、もちろん、操舵輪W1及びアイドラーなどの他のタイプの車輪を備えてよい。全方向移動車両1は、少なくとも2つの操舵輪W1を備える。操舵輪W1の数にはしかしながら制限がなく、3又は4又は6又は8以上である場合がある。
【0019】
全方向移動車両1の操舵輪W1は、全方向移動車両1がたどる必要のある経路に従って操舵輪W1を操縦するように適合された全方向移動車両1の駆動ユニット4に接続されている。
【0020】
全方向移動車両1はまた、所与の作業空間2内でその位置を決定するように適合された測位ユニット5を備える。測位ユニット5は、全方向移動車両1に配置された少なくとも1つのセンサ6、好ましくは複数のセンサ6に接続されている。そのようなセンサ6は、任意のタイプのものである場合がある。例えば、360°レーザースキャナー、レーダー、光学3Dスキャナー、触覚センサ、無線受信機、立体視カメラを含むカメラ、超音波ベースのセンサ、赤外線ベースのセンサ、又は複数タイプのセンサの組み合わせを含む、レーザーベースのセンサから選択できる。測位ユニット5は加えて、全方向移動車両1の向きを決定するように適合されている。
【0021】
全方向移動車両1の位置は、その向きを考慮せずに、作業空間2内のその位置を示す。位置は、例えば、所定のマップ又は作業空間2の基準点に関するジオロケーション、又は所定のマップ及び作業空間2の基準点に関するジオロケーションの組み合わせによって定義してよい。全方向移動車両1の位置は、2次元空間又は3次元空間で決定してよい。全方向移動車両1の位置は、車両中心11又は全方向移動車両1の別の点などの単一の点に関して決定してよい。作業空間2の基準点は、例えば、全方向移動車両1の1つ又は複数のセンサ6の平均によって認識される。
【0022】
全方向移動車両1の向きは、全方向移動車両1がたどる経路を含む、その環境に関するその空間的向きを示す。全方向移動車両1の向きは、よって、好ましくは、基準点12及び車両中心11などの全方向移動車両1の少なくとも2つの異なる点に基づいて決定される。全方向移動車両1の他の点は、代替的に又は追加的に考慮してよい。全方向移動車両1の向きは、全方向移動車両1がたどる所与の経路に関して、又は作業空間2の1つ又は複数の基準点に関して、又は所与の経路と1つ又は複数の組み合わせに関して定義してよい。全方向移動車両1の向きは、2次元空間内又は3次元空間内でに決定してよい。
【0023】
全方向移動車両1は、駆動ユニット4及び測位ユニット5に接続された経路追従ユニット7をさらに備える。経路追従ユニット7は、所定の経路を記憶し、測位ユニット5から受信した情報に基づいて、必要な信号を駆動ユニット4に送信して、全方向移動車両1を所定の経路に沿って駆動する。経路追従ユニット7に続く経路に格納された所定の経路は、複数の仮想経路又は仮想経路の一部の組み合わせを含む場合がある。経路追従ユニット7に続く経路は、全方向移動車両1がたどるべき仮想経路A上の方向DAを示す仮想センサVを生成する。経路追従ユニット7に続く経路はまた、全方向移動車両1の基準線13に対する仮想センサVの角度位置を監視する。よって、全方向移動車両1の向き及び走行は動的に制御される。
【0024】
前記仮想経路Aに沿った車両1の軌道は、測位ユニット5に接続された少なくとも1つのセンサ6によって動的に制御及び監視される。仮想経路Aに関する潜在的なずれは、そのため、測位ユニット5によって検出可能であって、必要な信号が駆動ユニット4に送信され、駆動ユニット4は、それに応じて1つ又は複数の操舵輪W1を操縦して、ずれを最小化し、全方向移動車両1を仮想経路Aと一致させる。
【0025】
経路Aに沿った全方向移動車両の向きもまた、少なくとも1つのセンサ6、好ましくは複数のセンサ6によって動的に監視される。全方向移動車両1の向きは、全方向移動車両1がたどるべき経路Aに関して決定される場合がある。走行方向DAと経路Aの基準線13との間の回転角度βは、ゆえに、全方向移動車両1の走行中に一定になるように事前に決定されている。全方向移動車両1の向きを監視するために使用されるセンサ又は複数のセンサ6は、測位ユニット5及び経路追従ユニット7とともに、回転角度βに関して潜在的な角度ずれを決定できる。
その後、必要な信号を駆動ユニット4に送信してよく、駆動ユニット4は、それに応じて1つ又は複数の操舵輪W1を操縦して、角度ずれを最小化し、全方向移動車両1の向きを維持する。全方向移動車両の運転モードは、ゆえに、設定相対角度モードに対応する。経路Aが直線(strait,straight)でない場合、全方向移動車両1の向きは、経路Aを容易にたどることができ、経路Aに対して同じ角度位置を維持できる。
【0026】
設定相対角度モードは、全方向移動車両1の経路全体に対して、又は経路の一部に対してのみ定義される場合がある。
【0027】
経路Aに沿った全方向移動車両1の向きは、代替的に、それがたどる経路からは独立して、全方向移動車両1の環境に関して決定される場合がある。環境は、それが構成する様々な要素20を含む作業空間2である場合がある(
図2a)。走行方向DAと基準線13との間の回転角度βは、そのため、所与の経路に沿って走行している間、全方向移動車両1の作業空間2内の向きを維持するように動的に適合される。全方向移動車両1の向きを監視するために使用されるセンサ6は、測位ユニット5及び経路追従ユニット7に続く経路とともに、回転角度βに関して潜在的な角度ずれを決定できる。その後、必要な信号を駆動ユニット4に送信してよく、駆動ユニット4は、それに応じて1つ又は複数の操舵輪W1を操縦して、角度ずれを最小化し、作業空間内の全方向移動車両1の向きを維持する。全方向移動車両の駆動モードは、そのため、ロックヘディング(先頭を固定した)モードに対応する。経路が直線でない場合、全方向移動車両1が経路をたどる間、全方向移動車両1の向きは環境に関して一定のままである。経路に対するその角度位置は、それゆえ、それに応じて動的に適応される。
【0028】
ロックヘディングモードは、全方向移動車両1の経路全体に対して、又は経路の一部に対してのみ定義される場合がある。
【0029】
設定相対角度モードとロックヘディングモードは互いに排他的である。
【0030】
全方向車両1が所定の経路Aに沿って走行する際、走行方向DAと全方向車両1の基準線13との間の回転角度βは、独立して制御及び調整される場合がある。例えば、全方向移動車両1が経路Aをたどっている間、回転角度βは、経路Aの残り経路、又は残り経路の一部に対して全方向移動車両1の向きを調整するように、第1値から第2値に変更される場合がある。全方向移動車両1の回転は、例えば、10°、又は45°、又は90°又は180°の角度である場合がある。これは、全方向移動車両1が、対応する操作を行うために停止することなく、経路の開始から到着までその向きを変更する必要がある場合に特に便利である。
【0031】
代替的に、全方向移動車両1は、その方向を第1方向から第2方向に調整できるように、その経路Aに沿って移動を停止し、その後、第2方向を維持しながらその移動の再開を決定する。
【0032】
回転角度βの独立した調整は、ロックヘディングモード又は設定相対角モードのいずれかで実行してよい。代替的に、現在の運転モードを解除して回転角度βを独立して調整できるようにし、その後、2番目の方向が決定されてから運転モードを起動するようにしてよい。
【0033】
全方向移動車両1は、それゆえ、任意の可能な方向で所与の経路をたどることができる(
図2a、
図2b)。例えば、全方向移動車両1は、作業空間2の複数の棚からの積み下ろし活動に専用である場合があり、そこでは、回転角度βが90°であると定義される横方向を有する棚20aから開始し、ロックヘディングモード又は設相対角モードのいずれかの下で経路Aをたどることができる。全方向移動車両1は、同じ向きで棚20bに到着する。これにより、従来の車両の場合のように全方向移動車両1が回転して経路Aの方向に向きを変えることは、回避される。第2棚20bから第3棚20cへの第2経路Bは、全方向移動車両1の向きが第3棚20cの構成に適合されるように要求できる。
全方向移動車両1は、元の向きで第2棚20bから開始できる。しかしながら、回転角度βは、全方向移動車両1が第2棚20bに停止している間に、移動方向DAを第2経路Bに沿って向けるように適合されている。さらに、操舵輪W1は、全方向移動車両1を第2経路Bに沿って駆動するように構成されている。その場合、回転角度βはゼロに等しい。そのような処理は、新しい経路又は新しい方向を構成するための全方向移動車両1の停止から有利点を得られて、それにより時間を節約する。
【0034】
第2棚20bで停止すると、全方向移動車両1は、その経路を第1経路Aから第2経路Bに変更するように構成されることに留意されたい。もし全方向移動車両1が第1経路Aに存在をし続けている一方でその向きを変える必要がある場合、しかしながら、同じ処理が適用される。その場合、回転角度βは、進行方向DAを同じ経路Aに沿って向けるように調整され、全方向移動車両1の新しい方向を定義し、操舵輪W1は、全方向移動車両1を経路Aに沿ってその新しい方向に駆動するように構成される。
【0035】
全方向移動車両1は、ロックヘディングモード又は設定相対角度モードの下で第2経路Bに沿って案内される場合がある。
第2経路Bに沿って走行している間、全方向移動車両1の回転は、初期値0°から要求値90°まで、回転角度βを、独立して漸進的に調整することによって開始してよい。全方向移動車両1は、その後、適切な向きで目標の第3棚20cに到着するまで、その経路をたどる。全方向移動車両1の目標方向に応じて、他の任意の回転角度βを選択できたであろう。
【0036】
代替的に、全方向移動車両1は、第2棚20bから第3棚20cまで湾曲した経路Cをたどる場合がある。適切な向きで第3棚20cに到達するような方法で、それは、上記のロックヘディングモードの下で曲線Cに沿って進行する場合がある。回転角度βは、それゆえ、湾曲した経路Cに沿って、環境的作業空間2に関して全方向移動車両1の向きを維持するように動的に監視及び調整される。
【0037】
全方向移動車両1に特定の操作を操作するように指示するように、1つ又はそれより多い所定の操作位置N1、N2、N3を経路上に配置する場合がある。例えば、操作位置N1を第2棚20bに提供して、全方向移動車両1に、回転角度βをその初期値の90°から2番目の値の0°に調整し、操舵輪W1を、第2経路Bに沿って全方向移動車両1を駆動するように構成するように指示してよい。第2経路Bにおいて、第2動作位置N2は、回転角度βをその初期値0°から2番目の値90°に漸進的に調整することによって回転を開始するように全方向移動車両1に指示する場合がある。第3動作位置N3は、湾曲した経路C上の第2棚20bの開始点に配置されて、全方向移動車両1に、第3棚20cまでヘッドロックモードに従って移動するように指示する場合がある。これらの動作位置Nは、好ましくは、仮想の所定の位置を示す。
【0038】
上記の例は限定的なものではなく、回転角度β及び操舵輪W1の構成に関連する他の命令又は命令の組み合わせを想定してよい。特に、回転角度βの変化は、全方向移動車両1が従うべき回転の検知能に応じて正又は負になる場合がある。代替的に、回転角度βは、360°にわたって一方向にのみ定義してよい。
【0039】
本発明による全方向移動車両1を操縦する処理を、
図3に示す。これは、全方向移動車両1がたどるべき仮想経路Aを決定するステップS1を含む。このような仮想経路Aは、作業空間2内のマップ及び潜在的な基準点に基づいて事前に決定されている。
【0040】
処理は、仮想センサVを決定するステップS2をさらに備えて、センサの位置は、全方向移動車両1の基準点12に関して調整可能である。
【0041】
処理は、経路Aを指す進行方向DAを画定するように、全方向移動車両1の基準線13に関して回転角度βを提供するように前記仮想センサVを調整するステップS3をさらに備える。
【0042】
処理は、全方向移動車両1を走行方向DAに駆動するように、全方向移動車両1の駆動輪W1を構成するステップS4をさらに備える。
【0043】
処理はさらに、進行方向DAに従って、仮想経路Aに沿って全方向移動車両1を走らせるステップS5を備える。
【0044】
ステップS5は、全方向移動自律車両1の位置を動的に監視し、仮想経路Aに関する潜在的なずれを決定し、前記潜在的なずれを最小化するステップS5aを備える。ステップS5は、全方向移動自律走行車両1の向きを動的に監視し、要求された回転角度βに関して潜在的な角度ずれを決定し、前記潜在的な角度ずれを最小化するステップS5bをさらに備える。
【0045】
ステップS5はまた、全方向移動自律走行車両1の向きがであるか否か、経路Aに関連付けられているか否か、相対角度モードが設定されているか否か、環境的作業空間2に関連付けられているか否か、ロックヘディングモードであるか否か、又は独立して制御する必要があるか否かを決定するステップS5cを備える。
【0046】
ロックヘディングモードが起動されるべきであるとステップS5cで決定された場合、ステップS5はまた、仮想センサVの位置を動的に調整することによってロックヘッディングモードを開始するステップS6を備える。それによって、環境的作業空間2に関して、全方向移動自律走行車両1の向きを一定に維持するように回転角度βが適合される。
【0047】
ステップS5cにおいて、設定相対角モードを起動することが決定された場合、ステップS5はまた、回転角度βを経路Aに沿って一定値に維持することにより、設定相対角モードを開始するステップS7を含む。回転角度βが一定値に維持されていると、経路Aに対する全方向移動自律走行車両1の向きは一定のままである。
【0048】
ステップS5cにおいて全方向移動車両1の向きを独立して制御すべきであると決定された場合、ステップS5は、全方向移動車両1の向きを独立して調整するステップS8をさらに備える。ステップS8は、回転角度βを第1値から第2値に漸進的に適応させるステップS8aを備える。
一方、全方向移動車両1の操舵輪W1は、経路Aに沿った全方向移動車両1の走行を維持するように漸進的に構成される。ステップS8はまた、全方向移動車両1を停止し、次にステップS3、S4及びS5を適用する。そこでは、回転角度βは、初期回転角度βとは異なる。
【0049】
本発明はまた、既存の全方向移動車両1をレトロフィットして、本明細書に記載の操縦処理に従って、レトロフィット後の全方向移動車両1を操縦する処理を備える。レトロフィット処理は、特に、全方向移動車両1に、経路追従ユニット7を組み込むステップを備える。ここで、経路追従ユニット7が、仮想センサVを生成するべく、そして仮想センサVがレトロフィット後の車両1の基準線13と回転角度βを画定する進行方向DAを提供するように仮想センサVを動的に調整すべく、適合される。
【国際調査報告】