(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】上端プレートが自動脱気バルブを含む、燃料などの液体のフィルタカートリッジ
(51)【国際特許分類】
B01D 27/00 20060101AFI20230301BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20230301BHJP
F02M 37/42 20190101ALI20230301BHJP
F16K 21/18 20060101ALI20230301BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
B01D27/00
F02M37/00 311A
F02M37/42
F16K21/18 Z
B01D35/02 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521272
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2019079476
(87)【国際公開番号】W WO2021083491
(87)【国際公開日】2021-05-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】コスト,エルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ブタン,バティスト
【テーマコード(参考)】
3H055
4D116
【Fターム(参考)】
3H055AA04
3H055AA13
3H055AA22
3H055CC04
3H055CC19
3H055CC20
3H055CC21
3H055DD37
3H055FF16
4D116AA07
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC44
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4D116BC75
4D116DD05
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4D116QA54C
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4D116QB15
4D116QB25
4D116TT07
4D116UU20
4D116VV02
(57)【要約】
本発明は、フィルタハウジング(30)の内部に配置されるように意図された、燃料などの液体のフィルタカートリッジ(32)に関する。フィルタカートリッジは、内部ボリューム(V38)を画定する濾材(38)と、下端プレート(40)と、濾材の内部ボリュームと連通する液体通路の開口(O42)を含む上端プレート(42)と、を備えている。上端プレート(42)は、自動脱気バルブ(50)を含んでいる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタハウジング(30)の内部に配置されることを意図した、燃料などの液体のフィルタカートリッジ(32)であって、
内部ボリューム(V38)を画定する濾材(38)と、
下端プレート(40)と、
前記濾材の内部ボリュームと連通する液体通路の開口(O42)を含む上端プレート(42)と、
を備え、
前記上端プレート(42)が自動脱気バルブ(50)を含むことを特徴とする、
フィルタカートリッジ。
【請求項2】
前記脱気バルブ(50)が、上流ポート(O1;76)、及び上方を向く下流ポート(O2)を備えたことを特徴とする、
請求項1に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項3】
前記脱気バルブ(50)が、上流側と下流側との間の圧力差が圧力閾値以下である限り開弁したままであり、前記圧力差が前記圧力閾値を超えると自動的に閉弁することを特徴とする、
請求項2に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項4】
前記脱気バルブ(50)が、気体排出通路(52)及び閉塞部材(54)を備え、
前記閉塞部材が、前記気体排出通路が気体で満たされている限り、例えば、重力によって前記脱気バルブ(50)を通る気体の通過を妨げない開弁位置に保持され、前記気体排出通路が液体で満たされると浮上してシート(56)と接触してバルブを閉弁することを特徴とする、
請求項1~3のいずれか1つに記載のフィルタカートリッジ。
【請求項5】
前記脱気バルブ(50)が、前記濾材(38)の前記内部ボリューム(V38)と連通しない、上流ポート(O1)及び下流ポート(O2)を備えたことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1つに記載のフィルタカートリッジ。
【請求項6】
前記脱気バルブ(50)が、前記濾材(38)の前記内部ボリューム(V38)と連通する、上流ポート(76)及び下流ポート(O2)を備えたことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1つに記載のフィルタカートリッジ。
【請求項7】
前記脱気バルブ(50)が、前記上端プレート(42)の残りの部分に対して上方に突出するバルブ本体(58)を備えたことを特徴とする、
請求項1~6のいずれか1つに記載のフィルタカートリッジ。
【請求項8】
前記バルブ本体(58)が、前記上端プレート(42)の中央に配置されたことを特徴とする、
請求項7に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項9】
前記上端プレート(42)が、当該上端プレート(42)の残りの部分に対して上方に突出するシリンダ(58)であって、当該シリンダ(58)の中心軸に対して少なくとも部分的に、望ましくは全体的に半径方向に延びる開口(58)を画定するシリンダ(58)を備えたことを特徴とする、
請求項1~8のいずれか1つに記載のフィルタカートリッジ。
【請求項10】
前記脱気バルブ(50)の閉塞部材(54)が、前記シリンダ(58)の内部に収容されたことを特徴とする、
請求項9に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項11】
前記2つの端部プレート(40,42)の外径が、前記濾材(38)の外径と等しいことを特徴とする、
請求項1~10のいずれか1つに記載のフィルタカートリッジ。
【請求項12】
前記上端プレート(42)の内径が、前記濾材(38)の内径と同じであることを特徴とする、
請求項1~11のいずれか1つに記載のフィルタカートリッジ。
【請求項13】
前記上端プレート(24)が、第1の部品(42A)と、当該第1の部品(42A)に対して自由に回転する第2の部品(42B)と、を備え、
前記脱気バルブ(50)が、前記第2の部品(42B)に配置されたことを特徴とする、
請求項1~12のいずれか1つに記載のフィルタカートリッジ。
【請求項14】
容器(34)、及び当該容器に対して取り外し可能に取り付けられたカバー(36)を含むフィルタハウジング(30)と、
前記フィルタハウジングの内部に配置されたフィルタカートリッジ(32)と、
を備え、
前記フィルタカートリッジ(32)が、請求項1~13のいずれか1つに記載のものであることを特徴とする、
フィルタ。
【請求項15】
前記脱気バルブ(50)が、前記上端プレート(42)の残りの部分に対して上方に突出するバルブ本体(58)を備え、
前記カバー(36)が、前記バルブ本体(85)を受け入れるように作られた孔(60)を備えたことを特徴とする、
請求項14に記載のフィルタ。
【請求項16】
前記カバー(36)の前記孔(60)が、非円形形状を有していることを特徴とする、
請求項15に記載のフィルタ。
【請求項17】
車両(2)、特に、バス、トラック又は建設車両などの大型車両であって、
請求項14~16のいずれか1つに記載のフィルタ(12)を備えたことを特徴とする、車両。
【請求項18】
前記脱気バルブ(50)が、気体が燃料タンク(4)に戻ることを可能にするように配置されたことを特徴とする、
請求項17に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料などの液体のフィルタカートリッジに関する。
【0002】
内燃機関では、燃料をキャブレターに導入する前に燃料を濾過及び脱気して、燃料内に浮遊しているすべての不純物粒子と、エンジンルームにおける温度上昇の結果として燃料から放出される気体や空気の泡を除去する必要がある。
【0003】
従って、タンクからエンジンの燃焼シリンダに輸送される燃料を濾過することが知られている。特に、トラックでは、2つのフィルタ、即ち、「プレフィルタ」と呼ばれる第1の上流フィルタ、及び「メインフィルタ」と呼ばれる第2の下流フィルタが最も頻繁に使用されている。
【0004】
本発明は、トラック、バス、建設機械などの大型車両に適用することができる。トラックについて本発明を説明するが、本発明は、この特定車両に限定されず、乗用車などの他の車両にも使用することができる。
【背景技術】
【0005】
フィルタの交換中、燃料システムは少なくとも部分的に排出される。その後、フィルタは、空気で満たされる。しかしながら、エンジンを始動するとき、燃焼シリンダに送られる燃料が空気と混合するのを避けることが重要である。そのため、タンクからエンジンへの燃料経路においてプレフィルタの下流に位置するメインフィルタは、フィルタの内部の空気ボリュームを排出する脱気バルブを含んでいる。
【0006】
仏国特許出願公開第2751699号明細書は、フィルタの内部に含まれる空気を大気中に排出する通気ラインを有する燃料フィルタを開示している。特定のボックスが、通気導管に接続されている。このボックスは、空気のみを逃がすように設計されたチェックバルブが含まれている。即ち、このチェックバルブは、空気が通気ラインを通過する限り開弁したままであり、液体が通気ラインを通って逃げようとすると自動的に閉弁する。
【0007】
仏国特許出願公開第2834007号明細書は、フィルタ本体の上部にパージスクリューがあるフィルタを開示している。パージスクリューを使用すると、スクリューを手動で緩めると空気を排出することができる。
【0008】
仏国特許出願公開2830284号明細書は、フィルタハウジングの上部、即ち、カバーに自動脱気バルブがあるフィルタを開示している。この脱気バルブは、空気が逃げることを妨げないフロートが含まれているが、アルキメデスの推力(Archimedes' thrust)によって液体の存在下で上昇し、シートに対して停止してバルブを閉弁する。
【0009】
この構造の問題は、フィルタカートリッジがない場合にモータの動作を妨げないことである。実際には、カートリッジがなくても、エンジンの燃焼シリンダに燃料が圧送されてしまう。このため、エンジン部品を詰まらせて、修復できない損傷を引き起こすリスクがある。
【0010】
米国特許出願公開第2010/108590号明細書、米国特許出願公開第2013/180898号明細書、及び米国特許出願公開第2009/230064号明細書のそれぞれは、端部プレートの1つにバルブがあるフィルタエレメントを開示している。このバルブは、プレートの中央に配置されている。このバルブは、過圧のときに開弁して、フィルタの内部の圧力を調整するようになっている。従って、このタイプのバルブは、脱気バルブとは見做すことができない。なぜならば、その機能は、例えば、カートリッジを交換するときに空気をパージするのではなく、例えば、カートリッジの上方のボリュームでフィルタの内部の圧力を低下させるものであるからである。また、脱気バルブは過圧の場合に閉弁する一方、圧力リリーフバルブ又は圧力調整バルブは過圧の場合に開弁する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの欠点は、本発明が、それなしではエンジンが作動できない(「フィルタなしでは動作しない」)、新たなフィルタカートリッジを提案することによって特に改善することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このフィルタカートリッジは、請求項1の特徴に含まれている。
【0013】
本発明のおかげで、フィルタの内部にフィルタカートリッジがなくても、吸入導管を通ってフィルタの内部に到達する燃料は、通常、フィルタに存在する空気又は気体をタンクに排出するように設計された、タンク戻し導管を通って完全に戻される。実際には、タンクへの戻しラインは、少なくとも燃料をエンジンシリンダに搬送するラインと比較して、圧力降下がほとんどないラインである。従って、燃料がないと、エンジンを始動することができなくなる。反対に、フィルタカートリッジがフィルタハウジングの内部に配置されていれば、脱気バルブは、燃料(液体)が戻しラインを通ってタンクへと流れることを妨げる。この脱気バルブは、フィルタの内部に含まれる空気又は気体を排出するためだけに使用される。通常、フィルタカートリッジを交換するとき、フィルタは空気で満たされる。少なくとも最初にエンジンを始動したとき、フィルタの内部の空気がタンクへと排出される。これによって、エンジンの燃料供給システムに空気が送られることを妨げる。
【0014】
本発明のさらなる利点及び有利な特徴は、以下の説明、及び従属請求項2~13に開示されている。
【0015】
本発明はまた、請求項14~16で定義されたフィルタに関する。
【0016】
最後に、本発明は、請求項17及び18で定義された車両に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付の図面を参照して、以下、例として挙げられる本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【0018】
【
図1】内燃機関装置を備えた車両、特にトラックの斜視図である。
【
図2】本発明による燃料フィルタが設けられた、
図1の車両の内燃機関装置の構成図である。
【
図3】開弁状態にある脱気バルブを示す、燃料フィルタの断面図である。
【
図4】閉弁状態にある脱気バルブを示す構成図である。
【
図5】フィルタの内部に収容されたフィルタカートリッジの斜視図である。
【
図7】開弁状態にある脱気バルブを示す、本発明の第2の実施形態による燃料フィルタの断面図(
図3の断面図と比較可能)である。
【
図8】
図7の線VIII-VIIIに沿った切断図である。
【
図9】閉弁状態にある脱気バルブを示す構成図である。
【
図10】フィルタの内部に収容されたフィルタカートリッジの斜視図である。
【
図11】本発明による燃料フィルタの第3の実施形態を示している。
【
図12】本発明による燃料フィルタの第3の実施形態を示している。
【
図13】本発明による燃料フィルタの第3の実施形態を示している。
【
図14】本発明による燃料フィルタの第3の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、車両2、特にトラックを示している。この車両2は、内燃機関を含んでおり、その中の噴射システム20のみが図に示されている。燃料タンク4、プレフィルタ6(オプション)、メインフィルタ12及び低圧ポンプ10もあり、これらのすべては、
図2に詳細に示されている内燃機関システムを形成している。
【0020】
図2に示すように、燃料タンク4は、ライン8によってプレフィルタ6に接続されている。プレフィルタ6は、燃料によって外部から内部へと通過する、管状の濾材を含んでいる。これは、濾過されていない燃料が、濾材の周囲の空洞に到達し、濾材を通過して濾材の中央空洞に到達することを意味している。低圧ポンプと呼ばれるポンプ10は、プレフィルタ6の出口からライン14を介して燃料をくみ上げて、燃料をメインフィルタ12の入口に搬送する。
【0021】
燃料は、メインフィルタ12から出て、ライン16を通ってエンジンの噴射システム20へと搬送される。
【0022】
有利には、噴射システム20は、メインフィルタから噴射システム20へと燃料を送る、ポンプインジェクタと呼ばれるものを含んでいるが、その代わりに、多くの場合高圧ポンプと呼ばれるポンプを使用して、メインフィルタ12から噴射システム20へと燃料を搬送することができる。
【0023】
このシステムはまた、燃焼中に燃焼されなかった燃料を排出するライン22を含んでいる。実際には、それはエンジンの燃焼シリンダから出る燃料と気体の混合物である。また、分離バルブ24が気体から液体を分離する。液体が低圧ポンプ10の吸引ライン14へと送られる一方、気体がタンク4へと戻される。
【0024】
図3に示すように、メインフィルタ12は、フィルタカートリッジ32が内部に配置されたフィルタハウジング30から構成されている。フィルタハウジング30は、容器34、及び容器34の上方に取り外し可能に取り付けられたカバー36から構成されている。フィルタカートリッジ32は、「フィルタエレメント」としてよく知られている場合がある。また、容器34はフィルタケースとしてよく知られており、カバー36はフランジ又はフィルタヘッドとしてよく知られている。
【0025】
実際には、カバー36は、容器34に対してねじで取り付けられている。通常、カバー36は、容器34の上方に固定されている。容器34は、下方からカバー36を緩めて取り外すことができ、これによって、フィルタカートリッジ32を取り外し、必要に応じて、フィルタカートリッジ32を交換することが可能になる。
【0026】
フィルタカートリッジ32は、軸線X38を中心とした環状形状を有する濾材38を含んでいる。濾材38は、内部ボリュームV38を規定する。動作中、燃料は、外部から内部へと濾材38を通過する。これは、濾過されていない燃料が濾材38の周囲の空間に到達し、濾材38を半径方向に通過して、濾材38の内部ボリュームV38に到達し、そこで、導管16を通ってエンジンの噴射システム20へと燃料が逃げることを意味している。
【0027】
この例では、濾材38は、円形断面を有している。
【0028】
フィルタカートリッジ32は、下端プレート40と、濾材38の内部ボリュームV38と連通する液体通路の開口O42を含んだ上端プレート42と、を備えている。これは、動作中、濾材38の内部に含まれる濾過された液体が、導管16への開口O42を通って直接上方に逃げることができることを意味している。
【0029】
本明細書では、特に明記されていない限り、「連通する」という動詞は、連通が直接的であること、要するに、互いに連通する2つのボリュームが物理的な障壁によって分離されていないことを意味している。通常、濾材の内部ボリュームV38は、中間に物理的な障壁を形成する濾材38があるため、濾材38の外部ボリュームと直接的に連通していない。
【0030】
有利には、2つの端部プレート40及び42の外径は、濾材38の外径と等しい。また、上端プレート42の内径は、濾材38の内径と同一であることが望ましい。
【0031】
上端プレート42は、自動脱気バルブ50を含んでいる。「自動」とは、操作者が手動で操作しなくても、脱気バルブ50が自動的に開閉することを意味している。反対に、例えば、パージスクリューは、このスクリューを手動で取り外したときのみパージが行われるため、自動脱気バルブではない。
【0032】
この例では、脱気バルブ50は、上端プレート42の中心孔O42からオフセットされている。
【0033】
有利には、
図4に示されるように、脱気バルブ50は、上流ポート若しくは入口ポートO1と、上方を向く下流ポート若しくは出口ポートO2と、を含んでいる。脱気バルブ50が上端プレート42の一部であるため、液体通路の開口O42と同様に、下流ポート(又はオリフィス)が、濾材38とは反対側で開口している。正確には、出口孔の軸線、要するに、下流ポートO2の軸線は、濾材38の中心軸X38と実質的に平行である。
【0034】
この明細書では、一般的な定義に従って、「ポート」又は「オリフィス」は、必ずしも円形断面の孔であると解釈する必要はなく、より一般的には、その形状が如何なるものでもよい開口である。特に、上流ポートO1は、オプションとして、
図5に示すようなスロットの形状をとっている。
【0035】
望ましくは、上流ポートO1及び下流ポートO2は両方とも、フィルタカートリッジ32の外部に開口している。さもなければ明確に述べると、2つのオリフィスO1及びO2はそれぞれ、フィルタカートリッジ32の内部ボリュームと連通していない、要するに、これらは濾材38の内部ボリュームV38に対して開口していない。具体的には、上流ポートO1が上端プレート42の周囲で開口し、下流ポートO2が上端プレート42の上方で開口している。
【0036】
図の構造例では、脱気バルブ50は、気体排出通路52と、通路が気体で満たされている限り、例えば、重力によって開弁位置(
図3に示されている)に保持される閉塞部材54と、を備えている。ここで、閉塞部材54は、脱気バルブ50を通って気体が通過することを妨げず、気体排出通路52が液体で満たされると浮力によって上昇し(
図4参照)、シート56と接触してバルブを閉弁する。また、閉塞部材54は、燃料より密度が小さいため、燃料の表面に浮くことができる。
【0037】
この例では、閉塞部材54は、ボールの形状をとる。
【0038】
より一般的には、脱気バルブ50は、上流側と下流側との間の圧力差が圧力閾値以下である限り開弁したままであり、圧力差が圧力閾値を超えると自動的に閉弁する。これは、気体排出通路52が依然として気体で満たされている間に閉弁できることを意味している。この場合、閉塞部材54は、液体の力(アルキメデスの推力)によって移動せず、気体の圧力によって移動する。しかしながら、フィルタハウジング30の内部の圧力は、それが液体、この場合には燃料で満たされるにつれて上昇する。従って、脱気バルブ50が閉弁すると、それは、フィルタハウジング30が液体で完全に又は略完全に満たされていることを意味する。
【0039】
この例では、脱気バルブ50は、上端プレートの残りの部分に対して上方へと突出する、バルブ本体又はハウジング58を含んでいる。これは、バルブ本体58が濾材38とは反対側の上端プレート42の側面から突出していることを意味する。
【0040】
シート56は、バルブ本体58の一部である。これは、標準的なバルブシートであって、それをさらに詳細に説明する意義がない。
【0041】
有利には、カバー36は、バルブ本体58を収容するように作られた孔60を有している。これは、孔60がバルブ本体58の形状を補完して、バルブ本体58が雄部、孔60が雌部である、雄雌嵌合を可能にする。
【0042】
望ましくは、脱気バルブ50は、気体が燃料タンク4へと戻ることを可能にするように配置されている。正確には、脱気バルブ50を受け入れる孔60は、気体を燃料タンク4へと戻す導管18に接続されている。これは、脱気段階中(脱気バルブ50が開弁している)、フィルタハウジング30の内部の気体が燃料タンク4へと排出されることを意味する。
【0043】
シール70(リングシール)がバルブ本体58の周囲に取り付けられて、液体がバルブ本体58の周囲を通過しないようになっている。
【0044】
図2及び
図3では、実線の矢印が通常動作での液体の流れを表す一方、破線の矢印が気体の流れを表している。
【0045】
オプションとして、
図6に示すように、バルブ本体58は非円形断面の外面を有し、この断面は、2つの端部プレートと平行であるので、濾材38の中心軸X38と垂直である。通常、この部分は、多角形、長方形などとすることができる。これによって、フィルタカートリッジ32を任意の他のカートリッジと交換することができなくなるので、機械的なコーディングを実行できるようになる、要するに、組み立てエラーを避けることができるようになる。交換用に取り付けられたカートリッジは、所定の位置にあるカートリッジと同一でなければならない。特に、バルブ本体58の断面がカバー36によって画定された受容孔を補完しない場合、新しいカートリッジを取り付けることはできない。
【0046】
図7~
図10は、本発明の第2の実施形態を示している。以下においては、繰り返しを避けるために、第1の実施形態に対して相違点のみを説明する。また、第1の実施形態のものと同等又は同一の要素は、同じ参照符号によって示される一方、新しい要素は、他の参照符号によって示されている。
【0047】
この第2の実施形態では、脱気バルブ50が依然として上端プレート42の一部であるが、第1の実施形態とは異なり、脱気バルブ50が濾材38の軸線X38と位置合わせ(又はこれに沿って配置)されている。また、脱気バルブ50は、濾材38の内部ボリュームV38と直接連通しているので、適切であれば、内部ボリュームV38の内部に存在する空気は、脱気バルブ50を通って逃げることができる。
【0048】
この例では、脱気バルブ50は、上方に突出する中空のシリンダ58、要するに、フィルタカートリッジの上端プレート42の残りの部分から突出する中空のシリンダ58によって、上部に形成されている。このシリンダ58は、上端プレート42の中央の開口O42を上方へと延ばしている。従って、シリンダ58の内部ボリュームは、濾材の内部ボリュームV38と直接連通しているので、媒体38の中心にある空気及び/又は燃料は、シリンダ58に向かって上方へと逃げることができる。
【0049】
シリンダ58は、シリンダ58の厚さ部分を通って少なくとも部分的に半径方向に延びる第1の開口62を有している。図に示す例では、開口又は孔62は、シリンダ58の中心軸に対して放射状に延びる孔であり、従って、2つの軸線が区別されているので、濾材38の軸線X38に対して放射状に延びる孔でもある。この開口62は、特に濾過された燃料のための燃料出口の開口である。開口62は、燃料をエンジンシリンダに搬送することを機能とする導管16に接続されている。
【0050】
巧妙なことには、燃料出口が軸方向の上向きであるほとんどのフィルタカートリッジとは異なり、燃料出口ポート62が濾材の軸線に対して少なくとも部分的に放射状に延びるという事実は、このポートを通ってカートリッジを満たすことを防ぐか、又はこれを少なくとも困難にする。実際には、ガレージの一部の作業者は、フィルタカートリッジを交換するとき、古いフィルタカートリッジの内部に含まれる燃料を空にして、新しいフィルタカートリッジの内部ボリュームに入れる傾向があることが見出された。しかしながら、移送される燃料は、汚れている(又は濾過されていない)ことが多いため、フィルタカートリッジを交換した後、エンジンが汚れた燃料で始動される可能性が高く、これは明らかに望ましくはない。これは、オリフィス62へのアクセスが困難であるため、本発明の第2の実施形態によるフィルタカートリッジではもはや不可能であるか、又は少なくともより困難である。従って、孔62の放射状の配置は、作業者が燃料を空にして、新しいカートリッジに入れようとすることを思いとどませる。
【0051】
シリンダ58は、カートリッジの内部に含まれる空気が逃げることができる、脱気オリフィスである第2のオリフィスO2を有している。オリフィスO2は、シリンダ58の軸方向の上端、要するに、上端プレート42の環状部とは反対側の端部に形成されている。
【0052】
シリンダ58の上部はバルブ本体を形成し、このバルブ本体の内部は、望ましくはボールの形態をとる閉塞部材54を収容している。シリンダ58の内部に圧力又は液体がなければ、閉塞部材54は、バルブ本体と一体、要するに、シリンダ58と一体のプレート74上に載っている。このプレート74は、シリンダ58の軸線に対して垂直に延び、空気及び/又は燃料が通過できる、少なくとも1つの開口76、望ましくは2つの開口76(これは閉塞部材54より明らかに小さい)を画定している。
【0053】
基本的には、各開口76は、脱気バルブ50の入口ポート又は上流ポートを形成し、出口ポート又は下流ポートは開口O2によって形成されている。
【0054】
図の実施形態では、閉塞部材54は、例えば、シリンダ58が気体で満たされている限り重力によって、脱気バルブ50を通って気体が流れることを妨げない、開弁位置(
図7に示されている)に保持されている。
【0055】
閉塞部材54は、シリンダ58が液体で満たされていれば浮力によって上昇して(
図9参照)、シートと接触してバルブを閉弁させる。
【0056】
より一般的には、脱気バルブ50は、閉塞部材54の上流側と下流側との間の圧力差が圧力閾値以下である限り開弁したままであり、この圧力差が圧力閾値を超えると自動的に閉弁する。これは、シリンダ58が完全に液体で満たされていない限り、脱気バルブ50が閉弁できることを意味している。この場合、閉塞部材54は、液体の力(アルキメデスの推力)によってではなく、気体の圧力によって移動する。しかしながら、フィルタハウジング30の内部の圧力は、それが液体、この場合には燃料で満たされるにつれて上昇する。従って、脱気バルブ50が閉弁すると、それは、フィルタハウジング30が完全に又は略完全に液体で満たされたことを意味している。
【0057】
有利には、カバー36は、バルブ本体58を収容するように作られた孔60を有している。これは、孔60がバルブ本体58の形状を補完して、バルブ本体58が雄部、孔60が雌部である、雄雌嵌合を可能にすることを意味している。
【0058】
また、脱気バルブ50は、気体が燃料タンク4へと戻ることを可能にするように配置されることが望ましい。正確には、脱気バルブ50を受け入れる孔60は、燃料タンク4へと気体を戻す導管18に接続されている。これは、脱気段階中(脱気バルブ50が開弁している)、フィルタハウジング30の内部の気体がタンク4へと排出されることを意味している。図示されていない変形例では、導管18は大気へと開口している。
【0059】
第1のシール70(リングシール)が、開口42と開口62との間にあるバルブ本体58の周囲に取り付けられて、液体がバルブ本体58の周囲を通過しないようになっている。
【0060】
第2のシール72(これもリングシール)が、開口62と開口O2との間にあるバルブ本体58の周囲に取り付けられて、液体がバルブ本体58の周囲を通過しないようになっている。
【0061】
導管16は、カートリッジの内部の気体が導管16によって逃げないようにするチェックバルブ(
図7に示されている)を含んでいる。実際には、チェックバルブは、その上流の圧力が特定の閾値を超えたときにのみ開弁する。通常、フィルタカートリッジが燃料で満たされていなければ、その内部の圧力はチェックバルブを開弁させるのに十分ではなく、気体を排出する唯一の方法は脱気オリフィスO2となる。
【0062】
フィルタカートリッジを交換するとき、作業者が新しいカートリッジを取り付けることを忘れると、導管14から到達する燃料の少なくとも一部(全部ではないとしても)が導管18を通ってリザーバへと逃げる。そして、例えば、圧力センサ(図示せず)のおかげで、出口導管16内の圧力降下を検出して、エンジンを自動的に停止させることができるようになる(「フィルタなしで動作しない」)。実際には、導管16内の圧力が本来ほど高くないことを検出して、エンジンを制御するECUへと情報を送信してエンジンを停止させることが可能となる。
【0063】
図11~
図14は、本発明によるフィルタカートリッジの第3の実施形態を示している。以下において、第1の実施形態又は第2の実施形態によるフィルタカートリッジの特徴と同一又は類似するフィルタカートリッジの特徴は、同じ参照符号を有するが、新たな特徴又は異なる特徴は、他の参照符号を有している。また、以下においては、第1の実施形態及び第2の実施形態との相違点についてのみ説明する。簡潔にするため、第1の実施形態又は第2の実施形態と共通する第3の実施形態の特徴について再度説明しない。
【0064】
図11に示すように、第3の実施形態によるフィルタカートリッジ32は、上端プレート42が2つの異なる部品42A及び42Bから構成されているという点に特徴がある。部品42Aは円盤状であって、濾材38の上部に取り付けられている。部品42Aは、濾材38の外径及び内径と同一の外径及び内径を有している。部品42Bは回転リングであって、部品42Aに対して自由に回転する。回転リング42Bの回転軸は、有利には、濾材(及び部品42A)の中心軸と区別される。
【0065】
上端プレートの部品42A及び42Bは、互いに取り付けられている。この例では、部品42Bは、部品42Aの上部にクリップで留められている。つまり、部品42Bが部品42Aの上方に取り付けられている。正確には、部品42Bは、クリップ43、要するに、部品42A及び42Bを一緒に保持する可撓デバイスを含んでいる。取り付けられた構成では、クリップ43は、回転リング42Bが外れるのを防ぐ。クリップ43は、可撓性を有するリング形状の部品であって、回転リング42Bと部分的に重なってそれを所定位置に保持する、肘形状の舌部を含んでいる。
【0066】
この実施形態では、上端プレート42はまた、回転リング42Bに属する自動脱気バルブ50を含んでいる。
【0067】
この例では、脱気バルブ50は、回転リング42Bの残りの部分に対して上方に突出する、バルブ本体又はハウジング58(別名「ピン」)を含んでいる。これは、バルブ本体58が、濾材38とは反対側にある部品42Bの側面から突出していることを意味している。
【0068】
有利には、カバー36は、バルブ本体58を収容するように作られた孔60を有している。これは、孔60がバルブ本体58の形状を補完して、バルブ本体58が雄部、孔60が雌部である、雄雌嵌合を可能にすることを意味している。
【0069】
望ましくは、脱気バルブ50は、気体が燃料タンク4へと戻ることを可能にするように配置されている。正確には、脱気バルブ50を受け入れる孔60は、気体を燃料タンク4へと戻す導管18に接続されている。これは、脱気段階中(脱気バルブ50が開弁している)、フィルタハウジング30の内部の気体が燃料タンク4へと排出されることを意味している。
【0070】
シール70(リングシール)は、孔60の壁に形成された環状溝の内部に受け入られている。シール70は、液体がバルブ本体58の周囲を通過しないようにする。図示しない変形例では、シールリング70は、ピン58の周りに設けることができる。
【0071】
フィルタエレメント32は、フィルタシェル(別名「フィルタハウジング」)30の内部に受け入られている。フィルタハウジング30は、容器34と、容器34の上方に取り外し可能に取り付けられたカバー36と、から構成されている。
【0072】
実際には、カバー36は、容器34にねじで取り付けられている。通常、カバー36は、容器34の上方に固定されている。容器34は、下方からカバー36のねじを緩めて取り外すことができ、これによって、フィルタカートリッジ32を取り外して、必要に応じて、それを交換することが可能になる。
【0073】
この実施形態では、容器34及びカートリッジ32が互いに固定されているので、容器34がカバー36の周囲又は内部にねじで取り付けられると、カートリッジ32が容器34と一体となって回転する。換言すると、カートリッジ32は容器34に対して自由に回転することができない。しかしながら、部品42Bが部品42Aに対して回転することができるので、回転リング42Bはまた、容器34に対して回転することができる。
【0074】
実際には、任意の適切な固定手段を使用して、容器34の内部にフィルタカートリッジ32を固定することができる。通常、クリッピング手段は、容器34の内部にフィルタカートリッジ32を固定するために設けることができる。
【0075】
この固定手段はそれ自体すでに知られて広く使用されているので、これ以上詳細に説明しない。
【0076】
望ましくは、この第3の実施形態によるフィルタ12は、そのマウントからねじを緩めて取り外して廃棄し、新しいものと交換する「スピンオン」の燃料フィルタ設計である。しかしながら、代替的な実施形態では、フィルタ12は、ハウジングが交換可能なフィルタエレメント又はカートリッジを含む常置のハウジングである、「カートリッジ」(又は「交換可能なエレメント」)であってもよい。
【0077】
この実施形態では、カバー36は、楕円面の形態をとる案内面100を画定するという点に特徴がある。案内面は、フィルタ12の中心軸と垂直な平面に対して傾斜している。換言すると、案内面は、チューブの中心軸と垂直でない平面(傾斜面)とチューブとの交線に該当する。
【0078】
案内面100は、容器34及びフィルタカートリッジ32を含むアセンブリがカバー36の底部に組み付けられると、孔60に向けてピン58を案内するように設計されている。
【0079】
通常、フィルタカートリッジ32を交換する必要がある場合、作業者は最初に、上部のカバー36から容器34のねじを緩めて取り外すことによって、フィルタカートリッジを取り外すことを続ける。作業者が容器34のねじを緩めて取り外し始めると、ピン58が受容孔60と係合しているため、ピン58の回転が妨げられて、回転リング42Bが静止したままである。ピン58が孔60から出るとすぐに、その回転がもはや妨げられなくなり、フィルタエレメント32と共に移動する。
【0080】
その後、新しいフィルタカートリッジアセンブリがカバーの下方に取り付けられる(
図11参照)。容器34は、保持することができるか(「カートリッジ」設計)、又は廃棄することができる(「スピンオン」設計)。
【0081】
作業者が上部のカバー36の周囲又は内部に容器34をねじで取り付け始めると、ピン58は、カバー36の案内面100に対して当接する(ピン58を孔60の前面に正確に向ける必要はない)。その後、(回転及び並進を含む)ねじ込み運動が、ピン58を案内面100に沿って移動させる。
【0082】
ピン58は、ピン58が案内面に対して当接する位置に応じて、ねじ込み運動と同じ方向、又はこれと反対方向に移動することができる。通常、ピン58が孔60に近接しているが、ねじ込み回転運動が孔60からピンを遠ざける傾向にあれば、案内面100の傾斜した性質は、ピン58がその方向に移動するのを妨げて、ピン58を他の方向に移動させて孔60に到達させる。これは、ピン58が属する回転リング42Bが、フィルタエレメント32の残りの部分に対して回転することができるという事実のおかげで可能になる。そして、フィルタエレメント32の残りの部分が他の方向に回転しても、ピン58は一方向に回転することができる。
【0083】
従って、ピン58は、組み立て作業中に、自動的にその最終位置に合わせられることを理解されたい。これは、作業者が、ピン58が孔60を貫通するように、フィルタカートリッジを正しい位置に合わせる必要がないことを意味している。
【0084】
ピン58が孔60に到達すると、回転リング42Bは回転を停止する。しかしながら、フィルタカートリッジ(及び容器34)は、ねじ込み運動が完了するまで回転し続ける。ねじ込み運動を続行することによって、ピン58が孔60の内部に押し込まれて
図14の位置に到達する。
【0085】
この特定のフィルタ設計の利点の1つは、フィルタカートリッジ32を異なる設計のカートリッジと交換しようとすると、孔60が閉塞されず、すべての燃料がライン18を通ってリザーバ4へと戻されることである。従って、この特別な設計によって、不適切なフィルタエレメントがハウジング30の内部に組み付けられていても(又はフィルタがなくても)、エンジンが動作しないことが保証される。この安全機能は、上述したように、「フィルタなしで動作しない」と呼ばれている。
【0086】
ピン58が孔60に係合すると、脱気バルブ50は、第1の実施形態及び第2の実施形態の一方とまったく同じように動作する(
図12及び
図13参照)。脱気バルブ50は、ボール54の上流の圧力が特定の閾値を下回っている限り(例えば、入口導管52が気体で満たされていれば:
図12参照)開弁し、その圧力がそのような圧力閾値を超えると(例えば、入口導管52が燃料で満たされていれば:
図13参照)自動的に閉弁する。
【0087】
図14に関連して、フィルタエレメント32が上部のカバー36に適切に接続されると、ハウジング30の内部に含まれる空気又は気体は、脱気バルブ50を通ってリザーバへと逃げる。正確には、気体はオリフィスO1を通ってピン58の内部に入り込み、導管52を通って流れて、オリフィスO2によって逃げる(
図12の矢印A4参照)。その後、気体は導管18を通ってリザーバ4へと流れる。
【0088】
動作中、矢印A1で表されるように、濾過されていない燃料は、導管14から濾材38の外部ボリュームに到達する。そして、燃料は、(矢印A2によって表されるように)濾材38を通って放射状に流れ、(矢印A3によって表されるように)導管16を通ってエンジンへと逃げる。図示しない変形例では、
図3のフィルタカートリッジ32は、上端プレート42に取り付けられた回転リングをさらに含んでいる。その名前が示すように、この回転リングは、上端プレート42に対して回転することができる。この回転リングは、容器34に対して回転して固定されている。この回転リングは、濾材38、及び容器34に対する端部プレート40,42を含むアセンブリの自由度を作り出すことを可能にする。これは、濾材38及び端部プレート40,42によって形成されたアセンブリが、容器34に対して(軸線X38の周囲を)回転できることを意味している。従って、容器34及びカートリッジ32によって形成されたアセンブリが上部のカバー36の下方に組み付けられると(例えば、容器34がカバー36にねじで固定されると)、ピン58は、(
図11の実施形態と同様に)上部のカバー36の案内面に対して最初に当接する。そして、ピン58は、(上部のカバー36に設けられた案内面のおかげで)最初に自動的に回転駆動されて、上部のカバー36に配置された受容孔60に到達する。ピン58が孔60を貫通するとすぐに、濾過部材38及びエンドプレート40,42によって形成されたアセンブリは回転を停止する。容器34を回転させて上方に押し続けることによって、このアセンブリは、カバー36に対して容器34のねじ込む運動によって並進駆動され、孔60の内部にピン58を完全に貫通させてその最終取付位置に到達する。これは、
図11に関連して説明したものとまったく同じ運動であり、ここでは再度詳しく説明しない。
【0089】
図示しない変形例では、脱気バルブ50は、濾材38の外部に配置されている。この場合、上端プレート42は、濾材38より大きい最大直径を有している。また、上流ポートO1は、上端プレート42の下方で開口している。
【0090】
図示しない他の変形例によれば、閉塞部材54は、例えば、矩形断面の垂直レールの内部に案内される。
【0091】
図示しない他の変形例によれば、シリンダ58は外ねじを含み、カバー36の孔60は補完的な内ねじを含み、これによって、フィルタカートリッジのシリンダ58を、これらのねじ接続手段によってカバー36に固定することができる。
【0092】
図示しない他の変形例によれば、シリンダ58は、上端プレート42の環状部と一体化されていないが、任意の適切な手段(溶接、接着など)によって上端プレート42に固定されている。より一般的には、この明細書において、脱気バルブ50が上端プレートの「一部」であるという事実は、2つの要素が互いに固定されているが、必ずしも1つの部品を形成しているわけでないことを意味している。
【0093】
本発明は、上述及び図示の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で、多くの変更及び修正がなされ得ることを認識するであろう。
【国際調査報告】