(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】バリア層を含むポリマー基材
(51)【国際特許分類】
C08L 23/00 20060101AFI20230301BHJP
C08L 93/00 20060101ALI20230301BHJP
C08L 23/06 20060101ALI20230301BHJP
C08L 23/12 20060101ALI20230301BHJP
C08L 45/00 20060101ALI20230301BHJP
C08L 65/00 20060101ALI20230301BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20230301BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
C08L23/00
C08L93/00
C08L23/06
C08L23/12
C08L45/00
C08L65/00
B32B27/32 E
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533091
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 IB2020061836
(87)【国際公開番号】W WO2021140382
(87)【国際公開日】2021-07-15
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522217865
【氏名又は名称】アイエヌヴィー ポリプロピレン リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マハン ロス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ボディフォード ビリー アール
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
3E086AD01
3E086AD02
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(57)【要約】
ポリマー基材が開示される。ポリマー基材は、約50重量%以上の少なくとも1つのポリオレフィンポリマーと、50重量%以下の炭化水素樹脂と、を含むポリマー材料を含むバリア層を含む。ポリマー材料は、30℃以上のDTUL並びに500MPa以上の引張弾性率及び/又は500MPa以上の曲げ割線弾性率を示す。バリア層は、200μm超~6,500μmの厚さを有する。ポリマー基材を含む成形ポリマー物品も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約50重量%以上の少なくとも1つのポリオレフィンポリマーと、50重量%以下の炭化水素樹脂と、を含むポリマー材料を含むバリア層を含み、
前記ポリマー材料が、45℃以上のDTUL及び1,000MPa以上の引張弾性率を示し、
さらに、前記バリア層が、200μm超~6,500μmの厚さを有する、ポリマー基材。
【請求項2】
前記少なくとも1つのポリオレフィンポリマーが、エチレンポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項3】
前記少なくとも1つのポリオレフィンポリマーが、プロピレンポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項4】
前記プロピレンポリマーが、プロピレンホモポリマーを含む、請求項3に記載のポリマー基材。
【請求項5】
前記プロピレンポリマーが、エチレン、C
4~C
20α-オレフィン、又はそれらの混合物を含む少なくとも1つのコモノマーを含むプロピレンコポリマーを含む、請求項3に記載のポリマー基材。
【請求項6】
前記プロピレンコポリマーが、少なくとも約70重量%のプロピレン含有量を有する、請求項5に記載のポリマー基材。
【請求項7】
前記炭化水素樹脂が、脂肪族炭化水素樹脂、脂肪族/芳香族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペン-フェノール樹脂、ロジンエステル、ロジン酸、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項8】
前記炭化水素樹脂が、少なくとも部分的に水素化されている、請求項7に記載のポリマー基材。
【請求項9】
前記炭化水素樹脂が、完全に水素化されている、請求項7に記載のポリマー基材。
【請求項10】
前記炭化水素樹脂が、脂肪族炭化水素樹脂である、請求項7に記載のポリマー基材。
【請求項11】
前記芳香族炭化水素樹脂が、C
9脂環式炭化水素樹脂である、請求項10に記載のポリマー基材。
【請求項12】
前記炭化水素樹脂が、ポリシクロペンタジエンを含む、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項13】
少なくとも1つのシクロペンタジエンが、50重量%以上の前記ポリシクロペンタジエンを含む、請求項12に記載のポリマー基材。
【請求項14】
前記炭化水素樹脂が、約400g/mol~約5,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項15】
前記炭化水素樹脂が、約110℃以上の環球式軟化点を有する、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項16】
前記炭化水素樹脂が、約110℃以上の環球式軟化点を有する芳香族C
9水素化樹脂を含む、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項17】
前記炭化水素樹脂が、35重量%以下の量で存在する、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項18】
前記バリア層が、3.0cm
3/m
2/日以下の水蒸気透過率を有する、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項19】
前記バリア層が、60cm
3/100in
2/日以下の酸素透過率を有する、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項20】
前記バリア層が、20以下のヘイズパーセントを有する、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項21】
前記バリア層が、250μm~2,000μmの厚さを有する、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項22】
前記ポリマー基材が、単層ポリマー基材である、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項23】
前記ポリマー基材が、少なくとも1つの追加の層を含む多層ポリマー基材である、請求項1に記載のポリマー基材。
【請求項24】
前記少なくとも1つのポリオレフィンポリマーが、プロピレンホモポリマーを含み、追加の層が、エチレン、C
4~C
20α-オレフィン、又はそれらの混合物を含む少なくとも1つのコモノマーを含むプロピレンコポリマーを含む、請求項22に記載のポリマー基材。
【請求項25】
前記ポリマー基材が、前記バリア層を挟む少なくとも2つの追加の層を含み、各追加の層が、エチレン、C
4~C
20α-オレフィン、又はそれらの混合物を含む少なくとも1つのコモノマーを含むプロピレンコポリマーを含む、請求項22に記載のポリマー基材。
【請求項26】
各追加の層が、異なるプロピレンコポリマーを含む、請求項24に記載のポリマー基材。
【請求項27】
前記追加の層のうちの少なくとも1つが、プロピレンコポリマーエラストマーを含む、請求項24に記載のポリマー基材。
【請求項28】
請求項1に記載のポリマー基材を含む、成形ポリマー物品。
【請求項29】
前記成形ポリマー物品が、熱成形ポリマー物品である、請求項28に記載の成形ポリマー物品。
【請求項30】
前記成形ポリマー物品が、ブロー成形された成形ポリマー物品である、請求項28に記載の成形ポリマー物品。
【請求項31】
前記成形ポリマー物品が、射出成形された成形ポリマー物品である、請求項28に記載の成形ポリマー物品。
【請求項32】
約50重量%以上の少なくとも1つのポリオレフィンポリマーと、50重量%以下の炭化水素樹脂と、を含むポリマー材料を含むバリア層を含み、
前記ポリマー材料が、30℃以上のDTUL及び500MPa以上の曲げ割線弾性率を示し、
さらに、前記バリア層が、200μm超~6,500μmの厚さを有する、ポリマー基材。
【請求項33】
前記少なくとも1つのポリオレフィンポリマーが、エチレンポリマーを含む、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項34】
前記少なくとも1つのポリオレフィンポリマーが、プロピレンポリマーを含む、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項35】
前記プロピレンポリマーが、プロピレンホモポリマーを含む、請求項34に記載のポリマー基材。
【請求項36】
前記プロピレンポリマーが、エチレン、C
4~C
20α-オレフィン、又はそれらの混合物を含む少なくとも1つのコモノマーを含むプロピレンコポリマーを含む、請求項34に記載のポリマー基材。
【請求項37】
前記プロピレンコポリマーが、少なくとも約70重量%のプロピレン含有量を有する、請求項36に記載のポリマー基材。
【請求項38】
前記炭化水素樹脂が、脂肪族炭化水素樹脂、脂肪族/芳香族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペン-フェノール樹脂、ロジンエステル、ロジン酸、又はそれらの混合物を含む、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項39】
前記炭化水素樹脂が、少なくとも部分的に水素化されている、請求項38に記載のポリマー基材。
【請求項40】
前記炭化水素樹脂が、完全に水素化されている、請求項38に記載のポリマー基材。
【請求項41】
前記炭化水素樹脂が、脂肪族炭化水素樹脂である、請求項38に記載のポリマー基材。
【請求項42】
前記芳香族炭化水素樹脂が、C
9脂肪族炭化水素樹脂である、請求項41に記載のポリマー基材。
【請求項43】
前記炭化水素樹脂が、ポリシクロペンタジエンを含む、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項44】
少なくとも1つのシクロペンタジエンが、50重量%以上の前記ポリシクロペンタジエンを含む、請求項43に記載のポリマー基材。
【請求項45】
前記炭化水素樹脂が、約400g/mol~約5,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項46】
前記炭化水素樹脂が、約110℃以上の環球式軟化点を有する、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項47】
前記炭化水素樹脂が、約110℃以上の環球式軟化点を有する芳香族C
9水素化樹脂を含む、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項48】
前記炭化水素樹脂が、35重量%以下の量で存在する、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項49】
前記バリア層が、3.0cm
3/m
2/日以下の水蒸気透過率を有する、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項50】
前記バリア層が、60cm
3/100in
2/日以下の酸素透過率を有する、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項51】
前記バリア層が、20以下のヘイズパーセントを有する、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項52】
前記バリア層が、250μm~2,000μmの厚さを有する、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項53】
前記ポリマー基材が、単層ポリマー基材である、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項54】
前記ポリマー基材が、少なくとも1つの追加の層を含む多層ポリマー基材である、請求項32に記載のポリマー基材。
【請求項55】
前記少なくとも1つのポリオレフィンポリマーが、プロピレンホモポリマーを含み、前記追加の層が、エチレン、C
4~C
20α-オレフィン、又はそれらの混合物を含む少なくとも1つのコモノマーを含むプロピレンコポリマーを含む、請求項54に記載のポリマー基材。
【請求項56】
前記ポリマー基材が、前記バリア層を挟む少なくとも2つの追加の層を含み、各追加の層が、エチレン、C
4~C
20α-オレフィン、又はそれらの混合物を含む少なくとも1つのコモノマーを含むプロピレンコポリマーを含む、請求項54に記載のポリマー基材。
【請求項57】
各追加の層が、異なるプロピレンコポリマーを含む、請求項56に記載のポリマー基材。
【請求項58】
前記追加の層のうちの少なくとも1つが、プロピレンコポリマーエラストマーを含む、請求項56に記載のポリマー基材。
【請求項59】
請求項32に記載のポリマー基材を含む、成形ポリマー物品。
【請求項60】
前記成形ポリマー物品が、熱成形ポリマー物品である、請求項59に記載の成形ポリマー物品。
【請求項61】
前記成形ポリマー物品が、ブロー成形された成形ポリマー物品である、請求項59に記載の成形ポリマー物品。
【請求項62】
前記成形ポリマー物品が、射出成形された成形ポリマー物品である、請求項59に記載の成形ポリマー物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年1月6日に出願された米国仮特許出願第62/957,336号に基づき、2020年10月19日に出願された米国仮特許出願第63/093,564号に基づいている。前述の出願の優先権は、本明細書によって主張され、それらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
包装は、現代生活の中心となる多くの品物の保存及び輸送のための重要な要素である。例えば、食品及び飲料製品、家庭用化学物質、並びに化粧品は、包装が、製造者から最終消費者への製品の保存及び移送において、重要な役割を果たす領域の例である。歴史的には、セラミック、金属、及びガラスを保管及び輸送に利用した。しかしながら、現代生活に関連する流動性は、容器設計における柔軟性並びに包装及び輸送に関連するコストの低減について需要を生じてきた。ポリマー材料及び関連する加工技術の開発は、歴史的な材料をポリマー溶液と置き換える機会を導入することによって、この需要を満たした。しかしながら、多くの現在の解決策は、リサイクル価値を限定して持続可能性に悪影響を及ぼす。
【0003】
一般に、水蒸気並びに酸素及び/又は二酸化炭素などの特定のガスに対するバリアとして機能するポリマー材料を利用して、包装材料として機能する成形ポリマー物品を形成することができる。例えば、バリア特性に関するそのような有効性は、ポリマー材料及び得られた成形ポリマー物品が、その中に保存された製品の貯蔵寿命を延長することを可能にし得る。水蒸気及びガスのバリア特性は、利用された特定のポリマー材料に応じて変化し得る。例えば、いくつかのポリマー材料は、水蒸気に対する良好なバリア材料及びガスに対する不十分なバリア材料として効率的に機能するが、他のポリマー材料は、水蒸気に対する不十分なバリア材料及びガスに対する良好なバリア材料として機能することが発見された。特定の例では、水蒸気及びこれらのガスの両方に対する効果的なバリアとして機能し得るポリマー材料を提供するために、技術又は処理を用いることができる。しかしながら、これらの処理は、包装材料の美的特性(例えば、透明度)に影響を及ぼす場合があり、特に材料が比較的大きい厚さを有する場合、そのような材料の機械的特性に悪影響を及ぼし得る。バリア特性、機械的特性、及び光学特性から、特定のポリマー材料はまた、特定の形成又は成形プロセスに従って成形ポリマー物品を形成するのに効果的ではない場合がある。最後に、いくつかの現在のポリマー材料のリサイクルは、バリア性能を作り出すために使用される特定の技術又は処理によって複雑になる場合があり、望ましくない非効率的な廃棄物の流れをもたらす。
【0004】
結果として、複数の使用又はライフサイクルを通して持続可能である所望の物理的特性も示しながら、水蒸気及び特定のガスに対する効果的なバリアとして機能する改善された美的特性を有する、成形ポリマー物品を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
一般に、本開示の一実施形態は、約50重量%以上の少なくとも1つのポリオレフィンポリマーと、50重量%以下の炭化水素樹脂と、を含むポリマー材料を含むバリア層を含む、ポリマー基材を対象にする。ポリマー材料は、45℃以上のDTUL及び1,000MPa以上の引張弾性率を示す。バリア層は、200μm超~6,500μmの厚さを有する。
【0006】
一般に、本開示の別の実施形態は、約50重量%以上の少なくとも1つのポリオレフィンポリマーと、50重量%以下の炭化水素樹脂と、を含むポリマー材料を含むバリア層を含むポリマー基材を含む、成形ポリマー物品を対象にする。ポリマー材料は、45℃以上のDTUL及び1,000MPa以上の引張弾性率を示す。バリア層は、200μm超~6,500μmの厚さを有する。
【0007】
一般に、本開示の別の実施形態は、約50重量%以上の少なくとも1つのポリオレフィンポリマーと、50重量%以下の炭化水素樹脂と、を含むポリマー材料を含むバリア層を含む、ポリマー基材を対象にする。ポリマー材料は、30℃以上のDTUL及び500MPa以上の曲げ割線(flexural secant)弾性率を示す。バリア層は、200μm超~6,500μmの厚さを有する。
【0008】
一般に、本開示の別の実施形態は、約50重量%以上の少なくとも1つのポリオレフィンポリマーと、50重量%以下の炭化水素樹脂と、を含むポリマー材料を含むバリア層を含むポリマー基材を含む、成形ポリマー物品を対象にする。ポリマー材料は、30℃以上のDTUL及び500MPa以上の曲げ割線弾性率を示す。バリア層は、200μm超~6,500μmの厚さを有する。
当業者に対するその最良の形態を含む本発明の完全かつ可能な開示は、添付の図面を参照することを含む、本明細書の残りの部分においてより具体的に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明によるバリア層を含む単一層シートの側面斜視図である。
【
図2】本発明によるバリア層及び2つの追加層を含む多層シートの側面斜視図である。
【
図3】本発明によるバリア層及び4つの追加層を含む多層シートの側面斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態で用いられ得る熱成形プロセスの側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態で用いられ得るブロー成形プロセスの側面図である。及び
【
図6】本発明の一実施形態で用いられ得る射出成形プロセスの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、実施形態を詳細に参照し、その1つ以上の例を図面に示す。各例は、実施形態を説明する目的で提供され、本開示を限定するものではない。実際に、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、実施形態を様々に修正及び変更し得ることが、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示又は説明される特徴を別の実施形態と共に使用して、なおさらなる実施形態を得ることができる。したがって、本開示の態様は、このような修正及び変更を包含することが意図される。
【0011】
一般に、本開示は、約50重量%以上の少なくとも1つのポリオレフィンポリマーと、50重量%以下の炭化水素樹脂と、を含むポリマー材料を含むバリア層を含む、ポリマー基材を対象にする。本発明者らは、そのようなポリマー基材が、好適な水蒸気及び酸素透過特性並びに適切な透明性も示しながら、特定の機械的特性において予想外の改善を示すことができることを発見した。本明細書に記載の特性のそのような予想外の組み合わせは、伸ばされた貯蔵寿命、高い壁剛性、及び/又は優れた透明度を必要とするものなどの特定の包装用途のためのそのようなポリマー基材及び得られた成形ポリマー物品の使用を可能にし得る。
【0012】
本明細書に開示されるポリマー基材及び/又はバリア層及び/又はポリマー材料は、より高い温度で改善された性能を示し得る。例えば、荷重たわみ温度(deflection temperature under load)(「DTUL」)によって示されるように、特定の荷重下で変形が生じる温度は、比較的高くなり得る。これに関して、本発明者らは、DTULは、30℃以上、例えば40℃以上、例えば45℃以上、例えば50℃以上、例えば60℃以上、例えば70℃以上、例えば80℃以上、例えば90℃以上、例えば100℃以上、例えば110℃以上、例えば125℃以上であり得ることを発見した。DTULは、130℃以下、例えば120℃以下、例えば110℃以下、例えば100℃以下、例えば90℃以下、例えば80℃以下、例えば75℃以下であり得る。前述の特性は、本明細書に開示されるようなポリマー基材、バリア層、及び/又はポリマー材料に適用され得る。
【0013】
ポリマー基材及び/又はバリア層及び/又はポリマー材料の強度をさらに支持するため、それはまた、比較的高い引張弾性率を示してよく、これは、一般に剛性の指標である。これに関して、例えば引張弾性率は、500MPa以上、例えば600MPa以上、例えば700MPa以上、例えば750MPa以上、例えば800MPa以上、例えば900MPa以上、例えば1,000MPa以上、例えば1,250MPa以上、例えば1,500MPa以上、例えば2,000MPa以上、例えば2,250MPa以上、例えば2,500MPa以上、例えば2,750MPa以上、例えば3,000MPa以上、例えば3,250MPa以上、例えば3,500MPa以上、例えば4,000MPa以上であり得る。引張弾性率は、5,000MPa以下、例えば4,500MPa以下、例えば4,000MPa以下、例えば3,750MPa以下、例えば3,500MPa以下、例えば3,000MPa以下、例えば2,500MPa以下、例えば2,000MPa以下、例えば1,500MPa以下、例えば1,000MPa以下であり得る。前述の特性は、本明細書に開示されるようなポリマー基材、バリア層、及び/又はポリマー材料に適用され得る。
【0014】
加えて、ポリマー基材及び/又はバリア層及び/又はポリマー材料は、降伏点で比較的高い引張強さを示し得る。例えば、降伏点での引張強さは、20MPa以上、例えば25MPa以上、例えば30MPa以上、例えば35MPa以上、例えば40MPa以上、例えば45MPa以上であってもよい。降伏点での引張強さは、200MPa以下、例えば150MPa以下、例えば100MPa以下、例えば90MPa以下、例えば80MPa以下、例えば70MPa以下、例えば60MPa以下、例えば50MPa以下、例えば45MPa以下であってよい。前述の特性は、本明細書に開示されるようなポリマー基材、バリア層、及び/又はポリマー材料に適用され得る。
【0015】
また、ポリマー基材及び/又はバリア層及び/又はポリマー材料は、降伏点で特定の伸びパーセントを示し得る。例えば、降伏点での伸びパーセントは、10%以下、例えば8%以下、例えば6%以下、例えば5%以下、例えば4%以下、例えば3%以下、例えば2.5%以下、例えば2%以下、例えば1.5%以下であり得る。降伏点での伸びパーセントは、0.01%以上、例えば0.05%以上、例えば0.1%以上、例えば0.3%以上、例えば0.5%以上、例えば0.8%以上、例えば1%以上、例えば1.3%以上、例えば1.5%以上、例えば1.8%以上、例えば2%以上、例えば2.2%以上、例えば2.4%以上であり得る。前述の特性は、本明細書に開示されるようなポリマー基材、バリア層、及び/又はポリマー材料に適用され得る。
【0016】
引張特性に加えて、ポリマー基材及び/又はバリア層及び/又はポリマー材料はまた、所望の曲げ特性を示し得る。例えば、曲げ接線弾性率は、500MPa以上、例えば800MPa以上、例えば1,000MPa以上、例えば1,250MPa以上、例えば1,500MPa以上、例えば2,000MPa以上、例えば2,250MPa以上、例えば2,500MPa以上など、例えば2,750MPa以上、例えば3,000MPa以上、例えば3,250MPa以上、例えば3,500MPa以上、例えば4,000MPa以上であり得る。曲げ接線弾性率は、5,000MPa以下、例えば4,500MPa以下、例えば4,000MPa以下、例えば3,750MPa以下、例えば3,500MPa以下、例えば3,000MPa以下、例えば2,500MPa以下、例えば2,000MPa以下、例えば1,500MPa以下、例えば1,000MPa以下であり得る。前述の特性は、本明細書に開示されるようなポリマー基材、バリア層、及び/又はポリマー材料に適用され得る。
【0017】
また、ポリマー基材及び/又はバリア層及び/又はポリマー材料は、特定の曲げ割線弾性率を有し得る。曲げ割線弾性率は、500MPa以上、例えば800MPa以上、例えば1,000MPa以上、例えば1,250MPa以上、例えば1,500MPa以上、例えば2,000MPa以上、例えば2,250MPa以上、例えば2,500MPa以上など、例えば2,750MPa以上、例えば3,000MPa以上、例えば3,250MPa以上、例えば3,500MPa以上、例えば4,000MPa以上であり得る。曲げ割線弾性率は、5,000MPa以下、例えば4,500MPa以下、例えば4,000MPa以下、例えば3,750MPa以下、例えば3,500MPa以下、例えば3,000MPa以下、例えば2,500MPa以下、例えば2,000MPa以下、例えば1,500MPa以下、例えば1,000MPa以下であり得る。前述の特性は、本明細書に開示されるようなポリマー基材、バリア層、及び/又はポリマー材料に適用され得る。
【0018】
また、ポリマー基材及び/又はバリア層及び/又はポリマー材料は、特定の衝撃強さを示し得る。例えば、23℃でのノッチ付きアイゾット衝撃強さは、0.1J/m以上、例えば0.5J/m以上、例えば1J/m以上、例えば2J/m以上、例えば5J/m以上、例えば8J/m以上、例えば10J/m以上であり得る。23℃でのノッチ付きアイゾット衝撃強さは、50J/m以下、例えば40J/m以下、例えば30J/m以下、例えば25J/m以下、例えば20J/m以下、例えば18J/m以下、例えば15J/m以下、例えば13J/m以下、例えば10J/m以下であり得る。加えて、23℃でのガードナー衝撃強さは、0.01J以上、例えば0.1J以上、例えば0.2J以上、例えば0.3J以上、例えば0.5J以上、例えば0.7J以上、例えば0.8J以上、例えば1J以上であり得る。23℃でのガードナー衝撃強さは、10J以下、例えば8J以下、例えば5J以下、例えば3J以下、例えば2J以下、例えば1.5J以下、例えば1J以下、例えば0.9J以下、例えば0.8J以下、例えば0.7J以下、例えば0.5J以下であり得る。前述の特性は、本明細書に開示されるようなポリマー基材、バリア層、及び/又はポリマー材料に適用され得る。
【0019】
加えて、ポリマー材料は、特定のメルトフローレートを有し得る。例えば、メルトフローレートは、1g/10分以上、例えば2g/10分以上、例えば2.2g/10分以上、例えば2.5g/10分以上、例えば3g/10分以上、例えば3.5g/10分以上、例えば4g/10分以上、例えば4.5g/10分以上、例えば5g/10分以上、例えば10g/10分以上、例えば15g/10分以上、例えば20g/10分以上、例えば30g/10分以上であり得る。メルトフローレートは、100g/10分以下、例えば80g/10分以下、例えば60g/10分以下、例えば50g/10分以下、例えば40g/10分以下、例えば30g/10分以下、例えば20g/10分以下、例えば15g/10分以下、例えば11g/10分以下、例えば10g/10分以下、例えば9g/10分以下、例えば8g/10分以下、例えば7.5g/10分以下、例えば7g/10分以下、例えば6.5g/10分以下、例えば6g/10分以下であり得る。
【0020】
様々な用途では、ポリマー基材及び/又はバリア層及び/又はポリマー材料の光学特性、特に透明性及び/又はヘイズも重要である。例えば、低いヘイズを有することが望ましい場合がある。特定の添加剤を使用し、比較的厚い場合でも、ヘイズパーセントは、60以下、例えば50以下、例えば40以下、例えば30以下、例えば20以下、例えば18以下、例えば16以下、例えば14以下、例えば12以下、例えば10以下、例えば8以下、例えば6以下、例えば5以下、例えば4以下であり得る。ヘイズパーセントは、0以上、例えば1以上、例えば2以上、例えば3以上、例えば4以上、例えば5以上、例えば10以上、例えば25以上であってもよい。加えて、透明度パーセントは、90以上、例えば95以上、例えば96以上、例えば97以上、例えば98以上、例えば99以上であり得る。前述の特性は、本明細書に開示されるようなポリマー基材、バリア層、及び/又はポリマー材料に適用され得る。加えて、そのような特性は、本明細書に開示されるような単一の厚さ値又は厚さの範囲内で実現され得る。例えば、ヘイズパーセント又は透明度は、特定の厚さ(例えば、25ミル及び/又は50ミル)で形成されたときのポリマー材料のためであり得る。ヘイズパーセント及び透明度を、ASTM D1003に従って決定することができる。
【0021】
望ましい機械的特性及び光学特性に加えて、本明細書に開示されるようなポリマー基材及び/又はバリア層及び/又はポリマー材料はまた、比較的低い透過特性を示し得る。そのような透過特性は、ポリマー基材及び/又はバリア層及び/又はポリマー材料が様々な包装用途に利用されることを可能にし得る。これに関して、ポリマー基材及び/又はバリア層及び/又はポリマー材料は、比較的低い水蒸気透過率及び/又は酸素透過率を示し得る。例えば、水蒸気透過率は、5cm3/m2/日以下、例えば4cm3/m2/日以下、例えば3cm3/m2/日以下、例えば2cm3/m2/日以下、例えば1cm3/m2/日以下、例えば0.5cm3/m2日以下、例えば0.1cm3/m2/日以下、例えば0.08cm3/m2/日以下、例えば0.06cm3/m2/日以下、例えば0.05cm3/m2/日以下、例えば0.03cm3/m2/日以下、例えば0.01cm3/m2/日以下、例えば0.005cm3/m2/日以下、例えば0.001cm3/m2/日以下であり得る。水蒸気透過率は、0cm3/m2/日超、例えば0.001cm3/m2/日以上、例えば0.005cm3/m2/日以上、例えば0.01cm3/m2/日以上、例えば0.05cm3/m2日以上、例えば0.1cm3/m2/日以上であり得る。また、酸素透過率は、60cm3/100in2/日以下、例えば50cm3/100in2/日以下、例えば40cm3/100in2/日以下、例えば30cm3/100in2/日以下、例えば25cm3/100in2/日以下、例えば20cm3/100in2/日以下、例えば15cm3/100in2/日以下、例えば10cm3/100in2/日以下、例えば5cm3/100in2/日以下、例えば4cm3/100in2/日以下、例えば3cm3/100in2/日以下、例えば2.5cm3/100in2/日以下であり得る。酸素透過率は、0cm3/100in2/日超、例えば0.5cm3/100in2/日以上、例えば1cm3/100in2/日以上、例えば3cm3/100in2/日以上、例えば5cm3/100in2/日以上、例えば8cm3/100in2/日以上、例えば10cm3/100in2/日以上であり得る。酸素透過率は、特定の厚さ(例えば、8ミル、10ミル、及び/又は18ミル)で形成されたときのポリマー材料についてのものであり得る。
【0022】
興味深いことに、本発明者らは、厚さが比較的大きいときに、前述の特性が実現され得ることを発見した。例えば、ポリマー基材は、200μm超、例えば210μm以上、例えば220μm以上、例えば240μm以上、例えば250μm以上、例えば300μm以上、例えば350μm以上、例えば400μm以上、例えば500μm以上、例えば700μm以上、例えば900μm以上、例えば1mm以上、例えば2mm以上、例えば3mm以上、例えば5mm以上の厚さを有し得る。ポリマー基材は、1.25cm以下、例えば1cm以下、例えば8mm以下、例えば5mm以下、例えば3mm以下、例えば2mm以下、例えば1.5mm以下、例えば1.3mm以下、1mm以下、例えば900μm以下、例えば800μm以下、例えば700μm以下、例えば600μm以下、例えば500μm以下、例えば400μm以下、例えば350μm以下、例えば300μm以下、例えば280μm以下、例えば270μm以下の厚さを有し得る。前述の特性は、バリア層に適用され得る。加えて、ポリマー基材が、本明細書で定義されるようなバリア層を単に含む単層ポリマー基材である場合、前述の厚さはまた、バリア層に適用され得る。
【0023】
A.ポリオレフィンポリマー
本明細書に開示されるようなポリマー基材は、少なくとも1つのポリオレフィンポリマーを含むポリマー材料を含むバリア層を含む。例えば、ポリオレフィンポリマーは、α-オレフィンモノマーなどのオレフィンモノマーから形成されたものであり得る。これに関して、モノマーは、ポリオレフィンポリマーがエチレンポリマーを含むようなエチレンであり得る。加えて、モノマーは、ポリオレフィンポリマーがプロピレンポリマーを含むようなプロピレンであり得る。特定の一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレンポリマーを含む。
【0024】
一般に、ポリオレフィンポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、ホモポリマーを含む。例えば、ポリオレフィンポリマーがプロピレンポリマーを含む場合、そのようなポリマーは、プロピレンホモポリマーであり得る。別の実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、コポリマーを含む。例えば、ポリオレフィンポリマーがプロピレンポリマーを含む場合、そのようなポリマーはプロピレンコポリマーであり得る。したがって、一実施形態では、プロピレンポリマーは、プロピレンホモポリマーであり得る。別の実施形態では、プロピレンポリマーは、プロピレンコポリマーであり得る。特に、プロピレンコポリマーは、プロピレンエラストマーであり得る。
【0025】
同様に、ポリオレフィンポリマーがホモポリマーを含み、ポリオレフィンポリマーがエチレンポリマーを含む場合、そのようなポリマーはエチレンホモポリマーであり得る。別の実施形態では、ポリオレフィンポリマーがコポリマーを含み、ポリオレフィンポリマーがエチレンポリマーを含む場合、そのようなポリマーはエチレンコポリマーであり得る。したがって、一実施形態では、エチレンポリマーは、エチレンホモポリマーであり得る。別の実施形態では、エチレンポリマーは、エチレンコポリマーであり得る。特に、エチレンコポリマーは、エチレンエラストマーであり得る。
【0026】
コポリマーとして存在する場合、コポリマーは、少なくとも1つのα-オレフィンを含む少なくとも1つのコモノマー(すなわち、エチレンコポリマーの場合はエチレン以外、プロピレンコポリマーの場合はプロピレン以外)を含み得る。これに関して、コモノマーは、エチレン(プロピレンコポリマーの場合)、プロピレン(エチレンコポリマーの場合)、C4-C20α-オレフィン、又はそれらの組み合わせを含み得る。例えば、コモノマーがC4-C20α-オレフィンを含む場合、コモノマーは、特定の実施形態ではC4-C12α-オレフィン、例えばC4-C10α-オレフィン、例えばC4-C8α-オレフィンであり得る。いずれにせよ、α-オレフィンの特定の例としては、エチレン、ブテン(例えば、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、3,3-ジメチル-1-ブテン)、ペンテン(例えば、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン)、ヘキセン(例えば、1-ヘキセン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン)、ヘプテン、オクテン(例えば、1-オクテン、2-オクテン)、ノネン(例えば、5-メチル-1-ノネン)、デセン、ドデセン、及びスチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
特定の実施形態では、コモノマーは、エチレン(プロピレンコポリマーの場合)、プロピレン(エチレンコポリマーの場合)、1-ブテン、1-ヘキセン、又は1-オクテンのうちの少なくとも1つを含み得る。例えば、一実施形態では、コモノマーは、少なくともエチレン(プロピレンコポリマーの場合)又はプロピレン(エチレンコポリマーの場合)を含み得る。別の実施形態では、コモノマーは、少なくともエチレン及び1-ブテン、1-ヘキセン、又は1-オクテンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0028】
加えて、好適なα-オレフィンは、直鎖状又は分岐状(例えば、1つ以上のC1-C3アルキル分岐又はアリール基)であり得ることを理解すべきである。例えば、一実施形態では、α-オレフィンは、直鎖状であり得る。別の実施形態では、α-オレフィンは、分岐状であり得る。これに関して、α-オレフィンは、1つ以上のメチル、ジメチル、トリメチル、エチル、又はプロピル置換基などで置換され得る。しかしながら、α-オレフィンはまた、非置換であり得ることを理解すべきである。
【0029】
上記α-オレフィンコモノマーに加えて、コポリマーは、任意選択的に他のコモノマーを含み得る。例えば、これらのコモノマーは、芳香族基含有コモノマー、非芳香族環状基含有コモノマー、及び/又はジオレフィンコモノマーを含み得る。例えば、これらのコモノマーは、4個以上、例えば5個以上、例えば8個以上、例えば10個以上、例えば15個以上の炭素原子から30個以下、例えば25個以下、例えば20個以下、例えば15以下、例えば10以下の炭素原子を含み得る。
【0030】
一実施形態では、コモノマーは、ジエンを含んでもよい。ジエンは、直鎖非環式オレフィン、分岐鎖非環式オレフィン、単一環脂環式オレフィン、多環脂環式縮合若しくは架橋環オレフィン、シクロアルケニル置換アルケン、又はそれらの混合物であり得る。ジエンは、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば、1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン)ヘプタジエン(例えば、1,6-ヘプタジエン)、オクタジエン(例えば、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、1,5-シクロオクタジエン)、ノナジエン(例えば、1,8-ノナジエン)、デカジエン(例えば、1,9-デカジエン)、ウンデカジエン(例えば、1,10-ウンデカジエン)、ドデカジエン(例えば、1,11-ドデカジエン、1,7-シクロドデカジエン)、トリデカジエン(例えば、1,12-トリデカジエン)、テトラデカジエン(例えば、1,13-テトラデカジエン)、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘネイコサジエン、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリアコンタジエン、テトラヒドロインデン、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ-(2.2.1)-ヘプタ-2,5-ジエン、アルケニルノルボルネン、アルキリデンノルボルネン(例えば、エチリジエンノルボルネン)、シクロアルケニルノルボルネン、シクロアルキレンノルボルネン(例えば、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン)、ビニルシクロヘキセン、アリルシクロヘキセン、ビニルシクロオクテン、4-ビニルシクロヘキセン、アリルシクロデセン、ビニルシクロドデセン、及びテトラシクロ(A-11,12)-5,8-ドデセンを含み得るが、これらに限定されない。
【0031】
ジエンはまた、低分子量ブタジエンなどのポリブタジエンを含み得る。例えば、ポリブタジエンは、約2,000g/mol以下、例えば約1,500g/mol以下、例えば約1,000g/mol以下の重量平均分子量を有し得る。ジエンは、環状ジエン、例えば、シクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、又は様々な環位置に置換基を有するか、若しくは有しない高級環含有ジオレフィンを含み得る。
【0032】
利用されたコモノマー(複数可)の種類に関係なく、一次モノマー(すなわち、エチレン又はプロピレン)は、コポリマーの約50mol%以上、例えば約60mol%以上、例えば約65mol%以上、例えば約70mol%以上、例えば約75mol%以上、例えば約80mol%以上、例えば約85mol%以上、例えば約90mol%以上、例えば約93mol%以上を構成し得る。一次モノマー(すなわち、エチレン又はプロピレン)は、コポリマーの100mol%未満、例えば約99.5mol%以下、例えば約99mol%以下、例えば約98mol%以下、例えば約97mol%以下、例えば約95mol%以下を構成し得る。したがって、一次モノマー(すなわち、エチレン又はプロピレン)は、コポリマーの約50重量%以上、例えば約60重量%以上、例えば約65重量%以上、例えば約70重量%以上、例えば約75重量%以上、例えば約80重量%以上、例えば約85重量%以上、例えば約90重量%以上、例えば約93重量%以上を構成し得る。一次モノマー(すなわち、エチレン又はプロピレン)は、コポリマーの100重量%未満、例えば約99.5重量%以下、例えば約99重量%以下、例えば約98重量%以下、例えば約97重量%以下、例えば約95重量%以下を構成し得る。
【0033】
同様に、α-オレフィンなどのコモノマーは、コポリマーの約0.1mol%以上、例えば約0.3mol%以上、例えば約0.5mol%以上、例えば約1mol%以上、例えば約2mol%以上、例えば約3mol%以上、例えば約5mol%以上を構成し得る。コモノマーは、コポリマーの50mol%未満、例えば約40mol%以下、例えば約35mol%以下、例えば約30mol%以下、例えば約20mol%以下、例えば約15mol%以下、例えば約10mol%以下、例えば約7mol%以下を構成し得る。したがって、コモノマーは、コポリマーの約0.1重量%以上、例えば約0.3重量%以上、例えば約0.5重量%以上、例えば約1重量%以上、例えば約2重量%以上、例え約3重量%以上、例えば約5重量%以上を構成し得る。コモノマーは、コポリマーの50重量%未満、例えば約40重量%以下、例えば約30重量%以下、例えば約25重量%以下、例えば約20重量%以下、例えば約15重量%以下、例えば約10重量%以下、例えば約8重量%以下、例えば約7重量%以下を構成し得る。前述のパーセンテージは、コポリマー中で利用されたコモノマーの組み合わせの全て又は単一タイプに適用され得ることを理解すべきである。
【0034】
第3のコモノマー(例えば、エチレンを含まないもの)が存在する実施形態では、そのような第3のコモノマーは、コポリマーの重量に基づいて、約10重量%以下、例えば約5重量%以下、例えば約4重量%以下、例えば約3重量%以下、例えば約2重量%以下の量で存在し得る。
【0035】
特定の一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、ポリオレフィンコポリマーエラストマーであり得る。例えば、プロピレンコポリマーは、プロピレンコポリマーエラストマーであり得る。当技術分野で一般に理解されるように、エラストマーは、ASTM D1566-19の特性を満たし得る。一実施形態では、エラストマーは、エチレン及びプロピレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンのうちの少なくとも1つのコモノマーを含み得る。別の実施形態では、エラストマーは、プロピレン及びエチレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンのうちの少なくとも1つのコモノマーを含み得る。特定の一実施形態では、エラストマーは、プロピレン及びエチレンを含む。例えば、エラストマーは、任意のさらなるコモノマーを含まなくてもよい。しかしながら、一実施形態では、エラストマーは、プロピレン、エチレン、並びにブテン、ヘキセン、及びオクテンのうちの少なくとも1つを含み得る。例えば、エラストマーは、プロピレン-エチレン-ブテン、プロピレン-エチレン-ヘキセン、プロピレン-エチレン-オクテン、又はそれらの混合物を含み得る。これに関して、一実施形態では、エラストマーは、プロピレン-エチレン-ブテンを含み得る。別の実施形態では、エラストマーは、プロピレン-エチレン-ヘキセンを含み得る。さらなる実施形態では、エラストマーは、プロピレン-エチレン-オクテンを含み得る。
【0036】
一般に、ポリオレフィンコポリマーは、任意のモノマー配置を有し得る。例えば、ポリオレフィンコポリマーは、ランダムコポリマーであり得る。代替的には、別の実施形態では、ポリオレフィンコポリマーは、ブロックコポリマーであり得る。さらなる実施形態では、ポリオレフィンコポリマーは、異相(heterophasic)コポリマーであり得る。
【0037】
ポリオレフィンポリマーは、本明細書の用途のために利用されることを可能にし得る特定の分子構造を有し得る。これに関して、ポリオレフィンポリマーは、ある程度の立体規則性を有し得る。例えば、一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、アイソタクチックポリオレフィンポリマーであり得る。特に、ポリオレフィンホモポリマーは、アイソタクチックポリオレフィンホモポリマーであり得る。これに関して、ポリオレフィンポリマーは、13C-NMRによる分析に従って決定されるように、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%のアイソタクチシティを有し得る。
【0038】
しかしながら、ポリオレフィンポリマーは、代替的に、アタクチック又はシンジオタクチック分子構造を有し得ることを理解すべきである。例えば、一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、アタクチックポリオレフィンポリマーであり得る。別の実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、シンジオタクチックポリオレフィンポリマーであり得る。例えば、ポリオレフィンポリマーは、13C-NMRによる分析に従って決定されるように、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%のシンジオタクチック性を有し得る。
【0039】
一般に、ポリオレフィンホモポリマーは、より高いアイソタクチシティ又はシンジオタクチック性を有してよく、概してより低いアタクチシティを有し得る。例えば、シンジオタクチックポリオレフィンホモポリマーは、少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%のシンジオタクチック性を有し得る。同様に、アイソタクチックポリオレフィンホモポリマーは、少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%のアイソタクチシティを有し得る。したがって、そのようなポリオレフィンホモポリマーは、20%未満、例えば15%未満、例えば10%未満、例えば5%未満のアタクチシティを有し得る。
【0040】
これに関して、ポリオレフィンポリマーは、特定の結晶化度を有し得る。例えば、結晶化度は、少なくとも約1%、例えば少なくとも約2%、例えば少なくとも約5%、例えば少なくとも約10%、例えば少なくとも約15%、例えば少なくとも約20%、例えば少なくとも約25%、例えば少なくとも約30%、例えば少なくとも約40%、例えば少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%、例えば少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約90%、例えば少なくとも約95%、例えば少なくとも約98%、例えば少なくとも約99%であり得る。結晶化度は、一般に100%未満である。例えば、結晶化度は、100%未満、例えば約99%以下、例えば約98%以下、例えば約95%以下、例えば約90%以下、例えば約80%以下、例えば約70%以下、例えば約60%以下、例えば約50%以下、例えば約40%以下、例えば約30%以下、例えば約20%以下であり得る。例えば、ポリオレフィンホモポリマーは、一般に、ポリオレフィンコポリマーエラストマーよりも高い結晶化度を有し得る。
【0041】
結晶化度は、キシレン可溶性含有量に基づいて決定され得る。例えば、結晶化度が高いほど、キシレン可溶性含有量が低くなるであろう。これに関して、キシレン可溶性重量パーセンテージは、50%以下、例えば40%以下、例えば30%以下、例えば20%以下、例えば15%以下、例えば10%以下、例えば5%以下、例えば4%以下、例えば3%以下、例えば2%以下、例えば1%以下であり得る。限定されることを意図するものではないが、キシレン可溶性含有量は、ポリオレフィンポリマーの非晶質部分の尺度を提供する。キシレン可溶性含有量を、ASTM D5492-17に従って決定することができる。
【0042】
一般に、ポリオレフィンポリマーの結晶化度は、ポリマーの溶融温度及び結晶化温度に影響を及ぼし得る。これに関して、ポリオレフィンポリマーの溶融温度及び結晶化温度は、比較的低くてもよい。例えば、溶融温度は、約70℃以上、例えば約85℃以上、例えば約100℃以上、例えば約110℃以上、例えば約120℃以上、例えば約130℃以上、例えば約140℃以上、例えば約150℃以上、例えば約160℃以上、例えば約165℃以上であり得る。溶融温度は、約170℃以下、例えば約160℃以下、例えば約150℃以下、例えば約125℃以下、例えば約115℃以下、例えば約100℃以下であり得る。例えば、ポリオレフィンホモポリマーは、一般に、ポリオレフィンコポリマーエラストマーよりも高い溶融温度を有し得る。
【0043】
ポリオレフィンポリマーの結晶化温度は、約70℃以上、例えば約80℃以上、例えば約90℃以上、例えば約95℃以上、例えば約100℃以上、例えば約105℃以上、例えば約110℃以上、例えば約115℃以上、例えば約120℃以上、例えば約125℃以上であり得る。結晶化温度は、約140℃以下、例えば約130℃以下、例えば約120℃以下、例えば約110℃以下、例えば約100℃以下であり得る。
【0044】
ポリオレフィンポリマーのガラス転移温度は、約125℃以下、例えば約115℃以下、例えば約105℃以下、例えば約100℃以下、例えば約90℃以下、例えば約80℃以下、例えば約70℃以下、例えば約50℃以下、例えば約40℃以下、例えば約30℃以下、例えば約20℃以下、例えば約10℃以下、例えば約0℃以下であり得る。ガラス転移温度は、約-50℃以上、例えば約-40℃以上、例えば約-30℃以上、例えば約-20℃以上、例えば約-10℃以上、例えば約0℃以上、例えば約20℃以上、例えば約40℃以上、例えば約50℃以上であり得る。
【0045】
ポリオレフィンポリマーはまた、特定の用途に利用されることを可能にし得る特定の特性を有し得る。これに関して、ポリオレフィンポリマーは、特定の重量平均分子量(Mw)を有し得る。例えば、Mwは、約2,500g/mol以上、例えば約5,000g/mol以上、例えば約8,000g/mol以上、例えば約10,000g/mol以上、例えば約12,000g/mol以上、例えば約20,000g/mol以上、例えば約25,000g/mol以上、例えば約50,000g/mol以上、例えば約80,000g/mol以上、例えば約90,000g/mol以上、例えば約100,000g/mol以上、例えば約200,000g/mol以上、例えば約300,000g/mol以上であり得る。Mwは、約1,000,000g/mol以下、例えば約800,000g/mol以下、例えば約600,000g/mol以下、例えば約500,000g/mol以下、例えば約400,000g/mol以下、例えば約300,000g/mol以下、例えば約250,000g/mol以下、例えば約200,000g/mol以下、例えば約150,000g/mol以下、例えば約100,000g/mol以下、例えば約50,000g/mol以下であり得る。Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィなどの当該技術分野で既知の技術を使用して決定され得る。
【0046】
同様に、ポリオレフィンポリマーはまた、特定の数平均分子量(Mn)を有し得る。例えば、Mnは、約2,500g/mol以上、例えば約5,000g/mol以上、例えば約8,000g/mol以上、例えば約10,000g/mol以上、例えば約12,000g/mol以上、例えば約20,000g/mol以上、例えば約25,000g/mol以上、例えば約50,000g/mol以上、例えば約80,000g/mol以上、例えば約90,000g/mol以上、例えば約100,000g/mol以上、例えば約200,000g/mol以上、例えば約300,000g/mol以上であり得る。Mnは、約1,000,000g/mol以下、例えば約800,000g/mol以下、例えば約600,000g/mol以下、例えば約500,000g/mol以下、例えば約400,000g/mol以下、例えば約300,000g/mol以下、例えば約250,000g/mol以下、例えば約200,000g/mol以下、例えば約150,000g/mol以下、例えば約100,000g/mol以下、例えば約50,000g/mol以下であり得る。Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィなどの当該技術分野で既知の技術を使用して決定され得る。
【0047】
これに関して、ポリオレフィンポリマーは、特定の多分散指数(Mw/Mn)を有し得る。例えば、多分散指数は、1超、例えば約2以上、例えば約2.3以上、例えば約2.5以上、例えば約3以上、例えば約3.5以上、例えば約4以上であり得る。多分散指数は、約9以下、例えば約8以下、例えば約7以下、例えば約5以下、例えば約4.5以下、例えば約4以下、例えば約3.5以下、例えば約3以下、例えば約2.5以下であり得る。
【0048】
ポリオレフィンポリマーは、特定の比重を有し得る。例えば、比重は、約0.8g/cm3以上、例えば約0.83g/cm3それ以上、例えば約0.85g/cm3以上、例えば約0.86g/cm3以上、例えば約0.87g/cm3以上、例えば約0.88g/cm3以上、例えば約0.9g/cm3以上であり得る。比重は、1g/cm3未満、例えば約0.95g/cm3以下、例えば約0.93g/cm3以下、例えば約0.92g/cm3以下、例えば約0.91g/cm3以下、例えば約0.9g/cm3以下、例えば約0.89g/cm3以下、例えば約0.88g/cm3以下であり得る。比重は、ASTM D792-20に従って決定され得る。
【0049】
ポリオレフィンポリマーは、特定のメルトフローレートを有し得る。例えばメルトフローレートは、約0.1g/10分以上、例えば約0.2g/10分以上、例えば約0.3g/10分以上、例えば約0.4g/10以上、例えば約0.5g/10分以上、例えば約1g/10分以上、例えば約1.5g/10分以上、例えば約2g/10分以上、例えば約5g/10分以上、例えば約10g/10分以上、例えば約20g/10分以上、例えば約25g/10分以上であり得る。メルトフローレートは、約500g/10分以下、例えば約200g/10分以下、例えば約100g/10分以下、例えば約50g/10分以下、例えば約40g/10分以下、例えば約20g/10分以下、例えば約10g/10分以下、例えば約5g/10分以下、例えば約4g/10分以下、例えば約3g/10分以下、例えば約2g/10分以下、例えば約1.5g/10分以下、例えば約1g/10分以下、例えば約0.8g/10分以下、例えば約0.6g/10分以下、例えば約0.5g/10分以下、例えば約0.45g/10分以下、例えば約0.4g/10分以下、例えば約0.35g/10分以下、例えば約0.3g/10分以下であり得る。メルトフローレートは、230℃の温度で10分間、2.16kgの荷重に供されたときに、ASTM D1238-13に従って決定され得る。
【0050】
ポリオレフィンポリマーはまた、特定の融解熱を有し得る。例えば、融解熱は、約40J/g以上、例えば約50J/g以上、例えば約60J/g以上、例えば約70J/g以上、例えば75J/g以上、例えば約80J/g以上、例えば約90J/g以上、例えば約100J/g以上、例えば約125J/g以上、例えば約150J/g以上、例えば約200J/g以上であり得る。融解熱は、約300J/g以下、例えば約250J/g以下、例えば約200J/g以下、例えば約150J/g以下、例えば約125J/g以下、例えば約100J/g以下、例えば約80J/g以下、例えば約75J/g以下、例えば約70J/g以下、例えば約65J/g以下、例えば約60J/g以下、例えば約50J/g以下であり得る。例えば、ポリオレフィンホモポリマーは、比較的高い融解熱を有し得るが、ポリオレフィンコポリマーエラストマーは、比較的低い融解熱を有し得る。
【0051】
ポリオレフィンポリマーはまた、特定の結晶化度を有し得る。例えば、結晶化度は、50%以上、例えば60%以上、例えば70%以上、例えば80%以上、例えば90%以上であり得る。一般に、パーセンテージは、ポリマー総重量当たりの結晶化領域の重量を定義し、示差走査熱量計、X線回折計(x-ray diffractometer、XRD)などの当該技術分野における手段を使用して決定することができる。加えて、ポリオレフィンポリマーは、95%以上、例えば96%以上、例えば97%以上のアイソタクチシティを有し得る。さらに、ポリオレフィンポリマーは、5%以下、例えば4%以下、例えば3%以下のアタクチック画分を有し得る。
【0052】
ポリオレフィンポリマーはまた、特定の曲げ弾性率を有し得る。例えば、機械方向の曲げ弾性率は、約50MPa以上、例えば約100MPa以上、例えば約200MPa以上、例えば約300MPa以上、例えば約400MPa以上、例えば約500MPa以上、例えば約1,000MPa以上、例えば約1,300MPa以上、例えば約1,500MPa以上、例えば約2,000MPa以上であり得る。機械方向の曲げ弾性率は、約4,000MPa以下、例えば約3,000MPa以下、例えば約2,500MPa以下、例えば約2,300MPa以下、例えば約2,100MPa以下、例えば約2,000MPa以下、例えば約1,900MPa以下、例えば約1,800MPa以下、例えば約1,500MPa以下、例えば約1,300MPa以下、例えば約1,000MPa以下、例えば約800MPa以下であり得る。曲げ弾性率は、ASTM D790-17及び1.3mm/分に従って決定され得る。
【0053】
ポリオレフィンポリマーはまた、特定の荷重たわみ温度(「DTUL」)を有し得る。例えば、DTULは、約40℃以上、例えば約45℃以上、例えば約50℃以上、例えば約60℃以上、例えば約70℃以上、例えば約80℃以上であり得る。DTULは、約130℃以下、例えば約120℃以下、例えば約110℃以下、例えば約100℃以下、例えば約90℃以下、例えば約80℃以下、例えば約75℃以下であり得る。DTULは、66psiでASTM D648-18に従って決定され得る。
【0054】
ポリオレフィンポリマーはまた、特定の破断点伸びを有し得る。例えば、破断点伸びは、約1,000%以下、例えば約800%以下、例えば約600%以下、例えば約500%以下、例えば約400%以下、例えば約300%以下、例えば約250%以下、例えば約200%以下、例えば約150%以下、例えば約100%以下、例えば約50%以下であり得る。破断点伸びは、約0.5%以上、例えば約1%以上、例えば約2%以上、例えば約5%以上、例えば約10%以上、例えば約25%以上、例えば約50%以上、例えば約100%以上、例えば約250%以上、例えば約500%以上、例えば約750%以上であり得る。例えば、破断点伸びは、ポリオレフィンコポリマーエラストマーなどのポリオレフィンコポリマーにおいて、ポリオレフィンホモポリマーよりも比較的高くてもよい。破断点伸びは、ASTM D638-14に従って決定され得る。
【0055】
さらに、本明細書に開示されるポリオレフィンポリマーは、当技術分野で一般に既知の任意の技術を使用して合成することができることを理解すべきである。例えば、ポリマーは、当技術分野で一般に知られているような触媒、活性化剤、試薬を利用する任意の既知のプロセスを使用して合成することができる。これに関して、ポリオレフィンポリマーを製造又は重合するための方法は、本発明によって限定されない。
【0056】
B.炭化水素樹脂
本明細書に開示されるポリマー基材は、炭化水素樹脂も含むポリマー材料を含むバリア層を含む。一般に、これらの炭化水素樹脂は、石油系原料から製造された樹脂を含む。例えば、これらの樹脂は、石油分解の留分副生成物から合成され得る。特に、これらの炭化水素樹脂は、一般に、石油の深層分解に由来する混合不飽和モノマーの重合によって得られる樹脂重合生成物の水素化によって生成された樹脂、並びにテルペン炭化水素の重合及び/又は共重合によって得られた高級ポリマーであって、それに続いて圧力下で水素化することができるものを含む場合がある。
【0057】
炭化水素樹脂は、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族/芳香族炭化水素樹脂、又はそれらの混合物を含み得るが、これらに限定されない。例えば、脂肪族/芳香族炭化水素樹脂は、部分に水素化された芳香族炭化水素樹脂であり得る。さらに、脂肪族炭化水素樹脂に関して、それらは脂環式炭化水素樹脂であり得る。炭化水素樹脂は、上記に加えて、又は代替的に、ポリテルペン樹脂、テルペン-フェノール樹脂、ロジンエステル、ロジン酸、グラフト化樹脂、及びそれらの混合物であり得る。
【0058】
一実施形態では、炭化水素樹脂は、少なくとも部分的に水素化された脂肪族炭化水素樹脂などの脂肪族を含み得る。別の実施形態では、炭化水素樹脂は、少なくとも部分的に水素化された脂肪族芳香族炭化水素樹脂などの脂肪族/芳香族炭化水素樹脂を含み得る。さらなる実施形態では、炭化水素樹脂は、少なくとも部分的に水素化された芳香族炭化水素樹脂などの芳香族樹脂を含み得る。別のさらなる実施形態では、炭化水素樹脂は、少なくとも部分的に水素化された脂環式樹脂などの脂環式炭化水素樹脂を含み得る。別の実施形態では、炭化水素樹脂は、少なくとも部分的に水素化された脂環式/芳香族炭化水素樹脂などの脂環式/芳香族炭化水素樹脂を含み得る。別のさらなる実施形態では、炭化水素樹脂は、ポリテルペン樹脂、テルペン-フェノール樹脂、ロジンエステル、ロジン酸、グラフト化樹脂、又はそれらの混合物を含み得る。
【0059】
これに関して、炭化水素樹脂は、芳香族樹脂又は非芳香族樹脂であり得る。一実施形態では、炭化水素樹脂は、芳香族樹脂であり得る。別の実施形態では、炭化水素樹脂は、非芳香族樹脂であり得る。例えば、炭化水素樹脂は、脂肪族樹脂又は脂肪族/芳香族樹脂であり得る。いずれにせよ、炭化水素樹脂は、0重量%以上、例えば約1重量%以上、例えば約2重量%以上、例えば約5重量%以上、例えば約10重量%以上、例えば約15重量%以上の芳香族含有量を有し得る。芳香族含有量は、100重量%未満、例えば約90重量%以下、例えば約70重量%以下、例えば約60重量%以下、例えば約50重量%以下、例えば約40重量%以下、例えば約20重量%以下、例えば約15重量%以下、例えば約10重量%以下、例えば約5重量%以下、例えば約2重量%以下、例えば約1重量%以下、例えば約0.5重量%以下であり得る。一実施形態では、炭化水素樹脂は、0重量%の芳香族含有量を有し得る。
【0060】
一般に、炭化水素樹脂は、様々なモノマーの重合によって生成された炭化水素樹脂を含み得る。例えば、これらは、ジエン(例えば、直鎖状ジエン)、芳香族モノマー、及び天然モノマーを含み得る。一般に、これらのモノマーのいくつかは、ナフサに由来し得る。ジエンモノマーは、1,3-ペンタジエン、2-メチル-2-ブテンなどのピペリレンを含み得る。ジエンモノマーはまた、シクロペンタジエン及びジシクロペンタジエンを含み得る。加えて、芳香族モノマーは、スチレン(その誘導体を含む)、インデン(それらの誘導体を含む)、及びC9-芳香族ナフタンストリーム由来の他のものを含み得るが、これらに限定されない。一例として、スチレン芳香族は、スチレン、スチレンの誘導体、及び置換スチレンを含み得る。芳香族の特定の例としては、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ベータ-メチルスチレン、インデン、メチルインデン、及びビニルトルエンが挙げられ得る。天然モノマーはまた、アルファ-ピネン又はベータ-カレンなどのテルペンなどの天然モノマーを含み得る。さらに、これらのモノマーは、単独で又は組み合わせて使用され得ることを理解すべきである。特に、芳香族モノマー及び/又は1つ以上の天然モノマーのうちの1つ以上は、ジエンと組み合わせて使用され得る。
【0061】
炭化水素樹脂は、当技術分野で一般に既知の任意の技術を使用して重合され得る。例えば、重合において、触媒を一般に用いることができる。触媒は、AlCl3及びBF3を含み得るが、これらに限定されない。重合はまた、他の改質剤又は試薬を利用し得る。例えば、重合は、炭化水素樹脂の分子量分布を制御するために重量制御改質剤を利用し得る。これらは、2-メチル、2-ブテンなどのモノ-オレフィン改質剤を含み得るが、これらに限定されない。それらはまた、最終樹脂のMWDを制御するために使用され得る。
【0062】
市販の炭化水素樹脂の具体例としては、ロジン及びロジンエステル、フェノール修飾スチレン、及びメチルスチレン樹脂、スチレン化テルペン樹脂、テルペン-芳香族樹脂、テルペンフェノール樹脂、脂肪族芳香族樹脂、脂環式/芳香族樹脂、C5脂肪族樹脂、C9脂肪族樹脂、C9芳香族樹脂、C9脂肪族/芳香族樹脂、酸修飾C5樹脂、C5/C9樹脂、及び酸修飾C5/C9樹脂、混合芳香族/脂環式樹脂、水素化テルペン芳香族樹脂、及びそれらの混合物が挙げられる。特定の一実施形態では、炭化水素樹脂は、芳香族C9樹脂などのC9樹脂を含み得る。
【0063】
加えて、これらの樹脂のうちのいくつかが重合され得ることを理解すべきである。例えば、C5モノマー系樹脂は、少なくともC5モノマーの重合生成物であり得る。同様に、C9モノマー系樹脂は、少なくともC9モノマーの重合生成物であり得る。C5モノマーは、例えば、1-ペンテン、イソプレン、シクロペンタジエン、1,3-ペンタジエン、又はそれらの混合物を含み得る。C9モノマーは、例えば、インデン、ビニル-トルエン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、又はそれらの混合物を含み得る。
【0064】
また、炭化水素樹脂は、水素化され得る。例えば、炭化水素樹脂は、部分的に、実質的に、又は完全に水素化され得る。例えば、一実施形態では、炭化水素樹脂は、少なくとも部分的に水素化され得る。別の実施形態では、炭化水素樹脂は、実質的に水素化され得る。さらなる実施形態では、炭化水素樹脂は、完全に水素化され得る。これに関して、本明細書で使用される場合、「少なくとも部分的に水素化された」とは、樹脂が、90%未満のオレフィン性プロトン、例えば80%未満のオレフィンプロトン、例えば70%未満のオレフィンプロトン、例えば60%未満のオレフィンプロトン、例えば50%未満のオレフィンプロトン、例えば40%未満のオレフィンプロトンを含有してもよく、例えば30%未満オレフィン性プロトン、例えば25%未満のオレフィン性プロトンであり、5%以上のオレフィン性プロトン、例えば10%以上のオレフィン性プロトン、例えば15%以上のオレフィン性プロトン、例えば20%以上のオレフィン性プロトン、例えば25%以上のオレフィンプロトン、例えば30%以上のオレフィンプロトンを含有してもよいことを意味する。加えて、本明細書で使用される場合、「実質的に水素化された」とは、樹脂が、5%未満のオレフィンプロトン、例えば4%未満のオレフィンプロトン、例えば3%未満のオレフィンプロトン、例えば2%未満のオレフィン性プロトンを含有してもよく、0.1%以上のオレフィンプロトン、例えば0.5%以上のオレフィンプロトン、例えば0.8%以上のオレフィン性プロトン、例えば1%以上のオレフィンプロトン、例えば1.5%以上のオレフィン性プロトン、例えば2%以上のオレフィン性プロトンを含有してもよいことを意味する。
【0065】
水素化については、水素化度が50%以上、例えば60%以上、例えば70%以上、例えば80%以上、例えば85%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば96%以上、例えば97%以上、例えば98%以上、例えば99%以上、例えば100%であり得る。水素化度は、100%以下、例えば99%以下、例えば98%以下、例えば95%以下、例えば90%以下、例えば85%以下、例えば80%以下、例えば75%以下であり得る。理論によって限定されることを意図するものではないが、水素化度は、バリア特性に影響を及ぼし得る。例えば、より高い水素化度は、材料及び結果として生じる層/フィルムのバリア特性を改善し得る。
【0066】
一実施形態では、炭化水素樹脂は、1つ以上のオリゴマーを含み得る。例えば、そのようなオリゴマーは、二量体、三量体、四量体、五量体、及び/又は六量体を含み得る。オリゴマーは、30℃~210℃の範囲で沸騰する石油蒸留物に由来してもよく、及び/又は樹脂重合の副産物であってもよい。オリゴマーは、約100g/mol以上、例えば約115g/mol以上、例えば約130g/mol以上、例えば約150g/mol以上、例えば約175g/mol以上、例えば約200g/mol以上から約500g/mol以下、例えば約450g/mol以下、例えば約400g/mol以下、例えば約350g/mol以下、例えば約300g/mol以下、例えば約270g/mol以下、例えば約250g/mol以下、例えば約225g/mol以下の数平均分子量を有し得る。分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィなどの当該技術分野で既知の技術を使用して決定され得る。
【0067】
これらのオリゴマーは、シクロペンタジエンのオリゴマー、置換シクロペンタジエンのオリゴマー、シクロペンタジエンのオリゴマー、及び置換シクロペンタジエン、C4~C6共役ジオレフィンのオリゴマー、C8~C10芳香族オレフィンのオリゴマー、及びそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。さらに、他のモノマーも存在してもよく、C4~C6モノオレフィン、テルペン、及び/又は芳香族モノマーを含んでもよい。さらに、上記のように、そのようなオリゴマーは、少なくとも部分的に水素化されていても、実質的に水素化されていてもよいことを理解すべきである。
【0068】
特定の一実施形態では、炭化水素樹脂は、シクロペンタジエンに由来するものであり得る。これに関して、炭化水素樹脂は、ポリシクロペンタジエンであり得る。例えば、炭化水素樹脂は、シクロペンタジエンの重合(例えば、熱重合)によって生成されたものであり得る。例えば、重合は、シクロペンタジエン(例えば、非置換シクロペンタジエン)、置換シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、又はそれらの混合物であり得る。そのような樹脂はまた、本明細書に記載の脂肪族又は芳香族モノマーをさらに含み得る。そのようなシクロペンタジエンは、炭化水素樹脂中に炭化水素樹脂の50重量%、例えば約60重量%以上、例えば約70重量%以上、例えば約80重量%以上、例えば約85重量%以上、例えば約90重量%以上、例えば約93重量%以上の量で存在し得る。シクロペンタジエンは、炭化水素樹脂の100重量%未満、例えば約99.5重量%以下、例えば約99重量%以下、例えば約98重量%以下、例えば約97重量%以下、例えば約95重量%以下、例えば約90重量%以下を構成し得る。
【0069】
特定の一実施形態では、ジシクロペンタジエンは、炭化水素樹脂の形成に利用されたシクロペンタジエンの大部分を構成し得る。これに関して、ジシクロペンタジエンは、炭化水素樹脂に利用されたシクロペンタジエンの少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも85重量%、例えば少なくとも90重量%から100重量%以下、例えば約99重量%以下、例えば約97重量%以下、例えば約95重量%以下、例えば約90重量%以下を構成し得る。さらに、前述の重量パーセンテージは、炭化水素樹脂中に存在するジシクロペンタジエンの総量にも適用され得る。
【0070】
本明細書に示されるように、炭化水素樹脂は、スチレンを含み得る。これに関して、スチレンモノマーは、炭化水素樹脂中の少なくとも1重量%、例えば少なくとも5重量%、例えば少なくとも10重量%から30重量%以下、例えば20重量%、例えば15重量%以下、例えば10重量%、例えば5重量%以下の量で利用され得る。一実施形態では、炭化水素樹脂は、スチレンモノマーを実質的に含まなくてもよい。例えば、それは1重量%未満、例えば0.5重量%未満、例えば0.1重量%未満、例えば0重量%の量で存在し得る。
【0071】
本明細書にも示されるように、炭化水素樹脂はインデンを含み得る。これに関して、インデンモノマー(indenic monomer)は、炭化水素樹脂中の少なくとも1重量%、例えば少なくとも5重量%、例えば少なくとも10重量%から30重量%以下、例えば20重量%、例えば15重量%以下、例えば10重量%、例えば5重量%以下の量で利用され得る。一実施形態では、炭化水素樹脂は、インデンモノマーを実質的に含まなくてもよい。例えば、それは1重量%未満、例えば0.5重量%未満、例えば0.1重量%未満、例えば0重量%の量で存在し得る。
【0072】
炭化水素樹脂は、Brookfield粘度計及びサイズ21スピンドルを使用して、160℃の温度でASTM D3236-15に従って決定される特定の粘度を有し得る。粘度は、約500センチポアズ以上、例えば約700センチポアズ以上、例えば約1,000センチポアズ以上、例えば約1,500センチポアズ以上、例えば約2,000センチポアズ以上、例えば約3,000センチポアズ以上、例えば約5,000センチポアズ以上、例えば約8,000センチポアズ以上、例えば約10,000センチポアズ以上、例えば約13,000センチポアズ以上、例えば約15,000センチポアズ以上、例えば約18,000センチポアズ以上、例えば約20,000センチポアズ以上であり得る。粘度は約100,000センチポアズ以下、例えば約80,000センチポアズ以下、例えば約60,000センチポアズ以下、例えば約50,000センチポアズ以下、例えば約30,000センチポアズ以下、例えば約25,000センチポアズ以下、例えば約20,000センチポアズ以下、例えば約17,000センチポアズ以下、例えば約15,000センチポアズ以下、例えば約12,000センチポアズ以下、例えば約10,000センチポアズ以下、例えば約7,000センチポアズ以下、例えば約5,000センチポアズ以下、例えば約4,000センチポアズ以下、例えば約3,000センチポアズ以下、例えば約2,000センチポアズ以下、例えば約1,500センチポアズ以下、例えば約1,000センチポアズ以下、例えば約900センチポアズ以下、例えば約800センチポアズ、例えば約750センチポアズ以下、例えば約700センチポアズ以下、例えば約650センチポアズ以下、例えば約625センチポアズ以下、例えば約600センチポアズ以下、例えば約550センチポアズ以下であり得る。
【0073】
炭化水素樹脂はまた、特定の分子量を有し得る。例えば、炭化水素樹脂は、約200g/mol以上、例えば約300g/mol以上、例えば約400g/mol以上、例えば約500g/mol以上、例えば約600g/mol以上、例えば約700g/mol以上、例えば約800g/mol以上、例えば約1,000g/mol以上、例えば約1,200g/mol以上、例えば約1,300g/mol以上、例えば約1,500g/mol以上、例えば約1,700g/mol以上の重量平均分子量を有し得る。重量平均分子量は、約5,000g/mol以下、例えば約4,000g/mol以下、例えば約3,000g/mol以下、例えば約2,500g/mol以下、例えば約2,300g/mol以下、例えば約2,000g/mol以下、例えば約1,800g/mol以下、例えば約1,600g/mol以下、例えば約1,500g/mol以下、例えば約1,400g/mol以下、例えば約1,200g/mol以下、例えば約1,000g/mol以下、例えば約800g/mol以下、例えば約700g/mol以下、例えば約600g/mol以下であり得る。分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィなどの当該技術分野で既知の技術を使用して決定され得る。
【0074】
同様に、炭化水素樹脂は、約200g/mol以上、例えば約300g/mol以上、例えば約400g/mol以上、例えば約500g/mol以上、例えば約600g/mol以上、例えば約700g/mol以上、例えば約800g/mol以上、例えば約1,000g/mol以上、例えば約1,200g/mol以上、例えば約1,300g/mol以上、例えば約1,500g/mol以上、例えば約1,700g/mol以上の数平均分子量を有し得る。数平均分子量は、約5,000g/mol以下、例えば約4,000g/mol以下、例えば約3,000g/mol以下、例えば約2,500g/mol以下、例えば約2,300g/mol以下、例えば約2,000g/mol以下、例えば約1,800g/mol以下、例えば約1,600g/mol以下、例えば約1,500g/mol以下、例えば約1,400g/mol以下、例えば約1,200g/mol以下、例えば約1,000g/mol以下、例えば約800g/mol以下、例えば約700g/mol以下、例えば約600g/mol以下であり得る。この点に関して、炭化水素樹脂は、約1以上、例えば約1.2以上、例えば約1.5以上、例えば約1.6以上、例えば約1.7以上、例えば約1.8以上、例えば約1.9以上、例えば約2以上、例えば約2.3以上、例えば約2.5以上から約20以下、例えば約10以下、例えば約8以下、例えば約5以下、例えば約4.5以下、例えば約4以下、例えば約3.5以下、例えば約3以下の多分散指数を有し得る。分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィなどの当該技術分野で既知の技術を使用して決定され得る。
【0075】
これに関して、一実施形態では、炭化水素樹脂は、低分子量炭化水素樹脂と見なすことができる。特定の一実施形態では、炭化水素樹脂は、高分子量炭化水素樹脂と見なすことができる。
【0076】
加えて、炭化水素樹脂は、特定のガラス転移温度を有し得る。例えば、ガラス転移温度は、約0℃以上、例えば約20℃以上、例えば約30℃以上、例えば約40℃以上、例えば約50℃以上、例えば約60℃以上、例えば約70℃以上、例えば約80℃以上、例えば約100℃以上であり得る。ガラス転移温度は、約250℃以下、例えば約200℃以下、例えば約180℃以下、例えば約160℃以下、例えば約150℃以下、例えば約130℃以下、例えば約100℃以下、例えば約90℃以下、例えば約80℃以下、例えば約60℃以下であり得る。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定などの当該技術分野で既知の技術を使用して決定され得る。
【0077】
さらに、炭化水素樹脂は、特定の引火点を有し得る。例えば、引火点温度は、約100℃以上、例えば約125℃以上、例えば約150℃以上、例えば約175℃以上、例えば約190℃以上、例えば約200℃以上、例えば約210℃以上、例えば約215℃以上、例えば約220℃以上、例えば約230℃以上であり得る。引火点温度は、約400℃以下、例えば約350℃以下、例えば約300℃以下、例えば約280℃以下、例えば約260℃以下、例えば約250℃以下、例えば約240℃以下、例えば約230℃以下であり得る。引火点温度は、ASTMD92-90に従って、当該技術分野で既知の技術を使用して決定され得る。
【0078】
また、炭化水素樹脂は、10℃/分の加熱率及び冷却率で、ASTM E-28(改訂1996)に従って決定されるように、特定の環球式軟化点(ring and ball softening point)を有し得る。例えば、軟化点は約0℃以上、例えば約20℃以上、例えば約40℃以上、例えば約50℃以上、例えば約60℃以上、例えば約80℃以上、例えば約100℃以上、例えば約110℃以上、例えば約115℃以上、例えば約120℃以上、例えば約125℃以上であり得る。軟化点は、約250℃以下、例えば約225℃以下、例えば約200℃以下、例えば約180℃以下、例えば約160℃以下、例えば約150℃以下、例えば約140℃以下、例えば約130℃以下、例えば約125℃以下、例えば約120℃以下であり得る。
【0079】
加えて、炭化水素樹脂は、一般に、等量のアニリン及び樹脂が混和性である最低温度である特定のアニリン点を有し得る。理論によって限定されることを意図するものではないが、アニリン点は、樹脂の芳香族炭化水素含有量の指標を提供し得る。例えば、アニリン点は約0℃以上、例えば約20℃以上、例えば約40℃以上、例えば約50℃以上、例えば約60℃以上、例えば約80℃以上、例えば約100℃以上、例えば約107℃以上、例えば約110℃以上、例えば約115℃以上、例えば約120℃以上、例えば約125℃以上であり得る。アニリン点は、約250℃以下、例えば約225℃以下、例えば約200℃以下、例えば約180℃以下、例えば約160℃以下、例えば約150℃以下、例えば約140℃以下、例えば約130℃以下、例えば約125℃以下、例えば約120℃以下であり得る。一般に、等量のアニリン及び樹脂を連続的に撹拌し、2つの合流が均一な溶液を提供するまで加熱し、次いで、加熱を停止し、両方の相が分離する温度をアニリン点として記録する。アニリン点を、ASTM D611-12に従って決定することができる。
【0080】
C.追加の添加剤
バリア層及びポリマー材料は、当技術分野で一般に利用されるような任意の追加の添加剤を含み得る。さらに、本明細書で定義される追加の層はまた、そのような添加剤を含み得る。これらの添加剤は、核剤、清澄剤、滑剤、ブロッキング防止添加剤(例えば、シリカ)、着色顔料、紫外線安定剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、殺生物剤、粘度破壊剤、耐衝撃性改良剤、可塑剤、充填剤、補強剤、潤滑剤、離型剤、発泡剤、真珠色化剤(pearlizer)などを含み得るが、これらに限定されない。
【0081】
一実施形態では、核剤を利用してもよい。一般に、核剤は、約1,000g/mol以下、例えば約800g/mol以下、例えば約500g/mol以下、例えば約300g/mol以下、例えば約200g/mol以下の分子量を有し得る。一般に、核剤は、熱可塑性材料の結晶化時間を減少させるために利用され得る。核形成剤は、安息香酸ナトリウム、タルク、グリセロールアルコキシド塩、環状カルボン酸塩、二環式カルボン酸塩、グリセロール酸塩、ホスフィン、ホスフェート、ヘキサヒドロフタル酸塩、糖アルコール(例えば、マンニトール又はマンニトールベースの化合物、ソルビトール又はソルビトールベースの化合物、1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-0-((4-プロピルフェニル)メチレン)ノニトールなどのノニトール又はノニトール系化合物など)を含み得るが、これらに限定されない。例えば、ホスフィンは、塩、例えば2,4,8,10-テトラ(tert-ブチル)-6-ヒドロキシ-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン6-オキシドのナトリウム塩を含み得る。ホスフェートは、ヒドロキシ-ビス[2,2’-メチレンビス[4,6-ジ(tert-ブチル)フェニル]ホスフェート、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、それらの塩、又はそれらの混合物を含み得る。例えば、塩は、アルミニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、又はそれらの混合物であり得る。他の核形成剤は、他の核剤には、ジオール(例えば、(1R)-1-[(4R,4aR,8aS)-2,6-ビス(3,4-ジメチルフェニル)-4,4a,8,8a)-テトラヒドロ-[1,3]ジオキシノ[5,4-d][1,3]ダイオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオール、1-[8-プロピル-2,6-ビス(4-プロピルフェニル)-4,4a,8,8a-テトラヒドロ-[1,3]ジオキシノ[5,4-d][1,3]ダイオキシン-4-イル]エタン-1,2-ジオールなど)、アミド(例えば、N-[3,5-ビス(2,2-ジメチルプロパノイルアミノ)フェニル]-2,2-ジメチルプロパンアミド)、塩、例えばオクタデセン酸亜鉛を有する(1S,2R)-シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレートのカルシウム塩、及び/又は13-ドコセナミドを有するシス-エンド-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸二ナトリウム塩、(Z)-及び非晶質二酸化ケイ素を含み得るが、これらに限定されない。特定の一実施形態では、核剤は、ビシクロヘプタンジカルボン酸などの少なくとも1つの二環式カルボン酸塩、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシレートなどの二ナトリウム塩を含み得る。例えば、核剤は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシレート、二ナトリウム塩、13-ドコセンアミド、及び非晶質二酸化ケイ素のブレンドを含み得る。別の実施形態では、核剤は、シクロヘキサンジカルボン酸、カルシウム塩、又はシクロヘキサンジカルボン酸、カルシウム塩、及びステアリン酸亜鉛のブレンドを含み得る。
【0082】
一実施形態では、層及び/又はポリマー材料のうちの1つは、核剤、滑剤、ブロッキング防止添加剤、又はそれらの混合物を含み得る。例えば、一実施形態では、添加剤は、少なくとも核剤を含み得る。別の実施形態では、添加剤は、少なくとも滑剤を含み得る。さらなる実施形態では、添加剤は、少なくともブロッキング防止添加剤を含み得る。別のさらなる実施形態では、添加剤は、核剤、滑剤、及びブロッキング防止添加剤のうちの少なくとも2つの混合物を含み得る。別の実施形態では、添加剤は、核剤、滑剤、及びブロッキング防止添加剤の混合物を含み得る。
【0083】
層及び/又はポリマー材料は、約20重量%以下、例えば約15重量%以下、例えば約10重量%以下、例えば約8重量%以下、例えば約5重量%以下、例えば約4重量%以下、例えば約3重量%以下、例えば約2重量%以下、例えば約1重量%以下、例えば約0.5重量%以下、例えば約0.3重量%以下、例えば約0.1重量%以下、例えば0重量%の量でそのような添加剤を含み得る。添加剤は、約0.001重量%以上、例えば約0.005重量%以上、例えば約0.01重量%以上、例えば約0.05重量%以上、例えば約0.1重量%以上、例えば約0.5重量%以上の量で提供し得る。これに関して、一実施形態では、そのような添加剤は層内に存在しない場合があることを理解すべきである。
【0084】
D.層構成
プロピレンポリマーなどのポリオレフィンポリマー及び炭化水素樹脂を含むバリア層は、成形ポリマー物品の少なくとも一部を形成し得るポリマー基材に利用される。これに関して、ポリマー基材は、単層ポリマー基材又は多層ポリマー基材であり得る。例えば、一実施形態では、ポリマー基材は、ポリオレフィンポリマー及び炭化水素樹脂を含む前述のバリア層からなる単層ポリマー基材であり得る。代替的には、ポリマー基材は、ポリオレフィンポリマー及び炭化水素樹脂及び少なくとも1つの追加の層を含む前述のバリア層を含む多層ポリマー基材であり得る。
【0085】
いずれにせよ、ポリオレフィンポリマー及び炭化水素樹脂は、特定の量でバリア層及び/又はポリマー材料に組み込まれ得る。例えば、プロピレンポリマーなどのポリオレフィンポリマーは、バリア層及び/又はポリマー材料の約40重量%以上、例えば約50重量%以上、例えば約60重量%以上、例えば約70重量%以上、例えば約80重量%以上を構成し得る。ポリオレフィンポリマーは、バリア層及び/又はポリマー材料の100重量%未満、例えば約95重量%以下、例えば約90重量%以下、例えば約80重量%以下、例えば約75重量%以下、例えば70重量%以下、例えば60重量%以下を構成し得る。したがって、炭化水素樹脂は、バリア層及び/又はポリマー材料の重量の約5重量%以上、例えば約10重量%以上、例えば約15重量%以上、例えば約20重量%以上、例えば約25重量%以上、例えば約30重量%以上、例えば約35重量%以上を構成し得る。炭化水素樹脂は、バリア層及び/又はポリマー材料の重量の約50重量%以下、例えば約45重量%以下、例えば約40重量%以下、例えば約35重量%以下、例えば約30重量、例えば約25重量%以下、例えば約20重量%以下、例えば約15重量%以下を構成し得る。
【0086】
これらの層及びポリマー材料内では、限定されないが、ポリオレフィンポリマーと炭化水素樹脂との特定の組み合わせが利用され得る。これらは、高結晶性ポリプロピレンポリマーなどのポリプロピレンポリマー、及びC9芳香族炭化水素樹脂、高結晶性ポリプロピレンポリマーなどのポリプロピレンポリマー、及びC5芳香族炭化水素樹脂、高結晶性ポリプロピレンポリマーなどのポリプロピレンポリマー、及びポリシクロペンタジエン、ポリプロピレンホモポリマー及びC9芳香族炭化水素樹脂、ポリプロピレンホモポリマー及びC5芳香族炭化水素樹脂、ポリプロピレンホモポリマー及びポリシクロペンタジエン、ランダムポリプロピレンコポリマー及びC9芳香族炭化水素樹脂、ランダムポリプロピレンコポリマー及びC5芳香族炭化水素樹脂、ランダムポリプロピレンコポリマー及びポリシクロペンタジエン、高密度ポリエチレン及びC9芳香族炭化水素樹脂、高密度ポリエチレン及びC5芳香族炭化水素樹脂、高密度ポリエチレン及びポリシクロペンタジエン、を含み得る。加えて、前述のように、炭化水素樹脂は、部分的に水素化されたC9芳香族炭化水素樹脂などの少なくとも部分的に水素化され得る。加えて、炭化水素樹脂は、完全に水素化された炭化水素樹脂であり得る。
【0087】
さらに、バリア層及び/又はポリマー材料は、1を超えるポリオレフィンポリマーを含み得ることを理解すべきである。例えば、ポリオレフィンポリマーは、ポリオレフィンポリマーのブレンドを含み得る。そのようなポリオレフィンポリマーは、本明細書に記載の任意のものであり得る。
【0088】
ポリマー基材が多層ポリマー基材を含む場合、追加の層の数は必ずしも限定されない。例えば、ポリマー基材は、少なくとも2つ、例えば少なくとも3つ、例えば少なくとも4つの追加の層を含み得る。一般に、ポリマー基材は、10未満、例えば8つ未満、例えば6つ未満、例えば5つ未満の追加の層を含み得る。そのような追加の層は、積層構造を形成するために提供され得る。
【0089】
追加の層の各々は、本明細書で定義されるようなポリオレフィンポリマーを含み得る。例えば、ポリオレフィンポリマーは、プロピレンホモポリマーなどのポリオレフィンホモポリマーであり得る。代替的には、ポリオレフィンポリマーは、プロピレンコポリマーなどのポリオレフィンコポリマーであり得る。特に、プロピレンコポリマーは、プロピレンコポリマーエラストマーであり得る。しかしながら、特定の実施形態では、プロピレンポリマーは、エラストマーと見なされることのないコポリマーであり得ることを理解すべきである。
【0090】
さらに、追加の層のそのようなポリオレフィンポリマーは、バリア層のポリマー材料のポリオレフィンポリマーと同じであっても、又は異なっていてもよいことを理解すべきである。例えば、一実施形態では、追加の層のうちの少なくとも1つにおけるポリオレフィンポリマーは、バリア層のポリマー材料のポリオレフィンポリマーと同じであり得る。しかしながら、別の実施形態では、追加の層のポリオレフィンポリマーは、バリア層のポリマー材料のポリオレフィンポリマーとは異なる。
【0091】
上記に加えて、バリア層は、多層材料内で利用されてよく、追加の層は、本明細書に開示されるようなポリオレフィンポリマー以外の材料又はそれに加えて、材料を含んでいてもよい。例えば、多層ポリマー基材の一例は、本明細書に開示されるように、バリア層と共にエチレンビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、及び/又はポリアミド(例えば、ナイロン)を含む層を含み得る。一実施形態では、多層ポリマー基材は、エチレンビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、及び/又はポリアミドから形成された層と本明細書に開示されるようなポリオレフィンポリマーを含むバリア層との間に追加の結合層又は相溶化層を含み得る。
【0092】
同様に、追加の層のポリオレフィンポリマーも同じであっても異なっていてもよいことを理解すべきである。例えば、一実施形態では、追加の層は、同じポリオレフィンポリマーを含み得る。別の実施形態では、追加の層は、異なるポリオレフィンポリマーを含み得る。
【0093】
一実施形態では、ポリマー基材は、バリア層及び2つの追加の層を含む多層ポリマー基材を含む。これに関して、バリア層は、2つの追加の層の間に挟まれ得る。例えば、追加の層の各々は、バリア層に直接接触する。これに関して、追加の層は、一実施形態では、ポリオレフィンコポリマーを含み得る。別の実施形態では、追加の層のうちの1つは、ポリオレフィンコポリマー(例えば、エラストマーではない)を含み得るが、他の追加の層は、ポリオレフィンコポリマーエラストマーを含み得る。さらなる実施形態では、追加の層は、両方ともポリオレフィンコポリマーエラストマーを含み得る。
【0094】
別の実施形態では、ポリマー基材は、バリア層及び3つの追加の層を含む多層ポリマー基材を含む。これに関して、バリア層は、追加の層のうちの2つの間に挟まれてよく、2つの追加の層の各々は、バリア層に直接接触し得る。さらに、第3の追加の層は、追加の層のうちの別の1つに隣接して配置され、バリア層に直接接触しない場合がある。これに関して、一例として、バリア層に接触する追加の層は、両方とも、エラストマーと見なされないものなどのポリオレフィンコポリマーを含んでよく、第3の追加の層はまた、ポリオレフィンコポリマー、特にポリオレフィンコポリマーエラストマーを含み得る。
【0095】
一実施形態では、ポリマー基材は、バリア層及び4つの追加の層を含む多層ポリマー基材を含む。これに関して、バリア層は、追加の層のうちの2つの間に挟まれてよく、2つの追加の層の各々は、バリア層に直接接触し得る。さらに、第3及び第4の追加の層は、追加の層のうちの別の1つに隣接して配置され、バリア層に直接接触しない場合がある。これに関して、一例として、バリア層に接触する追加の層は、両方とも、エラストマーと見なされないものなどのポリオレフィンコポリマーを含んでよく、第3及び第4の追加の層はまた、ポリオレフィンコポリマー、特にポリオレフィンコポリマーエラストマーを含み得る。
【0096】
図を参照すると、
図1は、ポリオレフィンポリマー及び炭化水素樹脂を含むポリマー材料を含む前述のバリア層101からなる単層ポリマー基材の図を提供する。一方、
図2及び
図3は、ポリオレフィンポリマー及び炭化水素樹脂を含むポリマー材料をそれぞれ含む、前述のバリア層201及び301を含む多層ポリマー基材の図を提供する。しかしながら、
図2は、バリア層201と接触しバリア層201を挟む2つの追加の層203及び205を含む。一方、
図3は、層303及び305が、バリア層301に接触しバリア層301を挟み、層307及び309は、層303及び305の反対側にある、4つの追加の層303、305、307、及び309を含む。これらの追加の層は、本明細書で定義されるものであり得る。
【0097】
前述のものは、追加の層及びバリア層の構成のいくつかを明示的に提供するが、ポリマー基材が本明細書で定義されるバリア層を含む限り、他の構成及び積層構造も利用され得ることを理解すべきである。
【0098】
前述の層に加えて、ポリマー基材はまた、ポリオレフィンポリマーを含まないものなどの他の層を含み得る。例えば、これらは、当技術分野で一般に既知のような封止層を含み得る。例えば、ポリオレフィンポリマーがプロピレンポリマーを含む場合、これらの層は、ポリオレフィン(すなわち、プロピレンポリマー以外のもの)及び他の材料、例えばセルロース系材料(例えば、紙、木材、カーボード)、金属(例えば、アルミニウム箔、スズ箔などの箔)、金属化表面、ガラスコーティング(例えば、酸化ケイ素を含む)、布、スパンボンド繊維、及び不織布、並びにインク、染料、顔料などでコーティングされた基材を含み得る。一般に、そのような層が使用される場合、それらはポリマー基材の外面に用いられ得る。
【0099】
さらに、それぞれの追加の層は、ポリオレフィンポリマー(複数可)の約10重量%、例えば約20重量%以上、例えば約30重量%以上、例えば約40重量%以上、例えば約50重量%以上、例えば約60重量%以上、例えば約70重量%以上、例えば約80重量%以上、例えば約90重量%以上、例えば約95重量%以上。100重量%を含み得ることを理解すべきである。
【0100】
一実施形態では、少なくとも1つの追加の層は、炭化水素樹脂を含み得る。その場合、炭化水素樹脂は、0.01重量%以上、例えば約0.1重量%以上、例えば約0.2重量%以上、例えば約0.5重量%以上、例えば約1重量%以上、例えば約2重量%以上、例えば約5重量%以上から約50重量%以下、例えば約40重量%以下、例えば約30重量%以下、例えば約25重量%以下、例えば約20重量%以下、例えば約15重量%以下、例えば約10重量%以下、例えば約8重量%以下、例えば約5重量%以下の量で存在し得る。しかしながら、別の実施形態では、それぞれの追加の層は、炭化水素樹脂のいずれも含まなくてもよいことを理解すべきである。例えば、炭化水素樹脂は、約0重量%の量で存在し得る。
【0101】
同様に、追加の層は、ポリオレフィンコポリマーを含み得るが、一実施形態では、ポリオレフィンコポリマーエラストマー、特にプロピレンコポリマーエラストマーを含まなくてもよい。例えば、ポリオレフィンコポリマーエラストマーは、約20重量%未満、例えば約15重量%未満、例えば約10重量%未満、例えば約5重量%未満、例えば約1重量%未満、0重量%の量で存在し得る。
【0102】
上記のように、ポリマー基材は、上記のような厚さを有し得る。加えて、ポリマー基材が、本明細書で定義されるようなバリア層を単に含む単層ポリマー基材である場合、前述の厚さはまた、バリア層に適用され得る。例えば、バリア層は、200μm超、例えば210μm以上、例えば220μm以上、例えば240μm以上、例えば250μm以上、例えば300μm以上、例えば500μm以上、例えば700μm以上、例えば900μm以上、例えば1mm以上、例えば2mm以上、例えば3mm以上、例えば5mm以上の厚さを有し得る。ポリマー基材は、1.25cm以下、例えば1cm以下、例えば8mm以下、例えば5mm以下、例えば3mm以下、例えば2mm以下、例えば1mm以下、例えば800μm以下、例えば500μm以下、例えば400μm以下、例えば350μm以下、例えば300μm以下、例えば280μm以下、例えば270μm以下の厚さを有し得る。しかしながら、そのような厚さは、例えば多層ポリマー基材に組み込まれたときにバリア層にも適用され得ることを理解すべきである。
【0103】
ポリマー基材が多層ポリマー基材である場合、バリア層は、ポリマー基材の厚さの特定のパーセンテージを構成し得る。例えば、バリア層は、ポリマー基材の総厚さの約10%以上、例えば約20%以上、例えば約30%以上、例えば約40%以上、例えば約50%以上、例えば約60%以上、例えば約70%以上、例えば約80%以上、例えば約90%以上を構成し得る。バリア層は、ポリマー基材の総厚さの100%未満、例えば約90%以下、例えば約80%以下、例えば約70%以下、例えば約60%以下、例えば約50%以下、例えば約40%以下、例えば約30%以下、例えば約20%以下を構成し得る。
【0104】
同様に、各追加の層はまた、ポリマー基材の厚さの特定のパーセンテージを構成し得る。例えば、各それぞれの追加の層は、ポリマー基材の総厚さの約5%以上、例えば約10%以上、例えば約20%以上、例えば約30%以上、例えば約40%以上、例えば約50%以上、例えば約60%以上、例えば約70%以上、例えば約80%以上、例えば約90%以上を構成し得る。各それぞれの追加の層は、ポリマー基材の総厚さの約100%未満、例えば約90%以下、例えば約80%以下、例えば約70%以下、例えば約60%以下、例えば約50%以下、例えば約40%以下、例えば約30%以下、例えば約20%以下、例えば約10%以下を構成し得る。
【0105】
多層ポリマー基材が複数の追加の層を含む場合、それぞれの追加の層は同じ厚さを有し得ることを理解すべきである。しかしながら、それぞれの追加の層はまた、異なる厚さを有し得ることも理解されたい。これに関して、それぞれの追加の層の各々は、前述のパーセンテージ内を満たす厚さを有し得る。
【0106】
さらに、そのような追加の層の厚さは、バリア層の厚さと同じであっても異なっていてもよい。特定の実施形態では、バリア層の厚さは、少なくとも1つの追加の層の厚さよりも大きくてもよい。例えば、少なくとも1つの追加の層の厚さに対するバリア層の厚さの比は、1超、例えば約1.2以上、例えば約1.5以上、例えば約2以上、例えば約2.5以上、例えば約3以上、例えば約3.5以上から10以下、例えば約8以下、例えば約6以下、例えば約4以下、例えば約3.5以下、例えば約3以下、例えば約2.5以下、例えば約2以下であり得る。別の実施形態では、バリア層の厚さは、少なくとも1つの追加の層の厚さよりも小さくてもよい。例えば、少なくとも1つの追加の層の厚さに対するバリア層の厚さの比は、1未満、例えば約0.9以下、例えば約0.8以下、例えば約0.7以下、例えば約0.6以下から例えば約0.1以上、例えば約0.3以上、例えば約0.4以上、例えば約0.5以上であり得る。さらなる実施形態では、少なくとも1つの追加の層の厚さに対するバリア層の厚さの比が約1となるように、バリア層の厚さは、少なくとも1つの追加の層の厚さと同じであってよい。
【0107】
加えて、層の製造方法は、必ずしも本発明によって限定されるものではない。例えば、層は、当該技術分野で既知の従来の技術を使用して形成され得る。例えば、層は、押出成形(例えば、共押出)、鋳造押出などの様々な押出技術を介して形成され得る。特に、複数の層が形成される場合、層は、比較的高温で平坦なシート押出機ダイを通して層を共押出することによって形成され得る。例えば、温度は、約150℃以上、例えば約180℃以上、例えば約200℃以上から約350℃以下、例えば約300℃以下、例えば約275℃以下であってもよい。
【0108】
E.成形ポリマー物品
ポリマー基材は、成形ポリマー物品の少なくとも一部を形成し得る。ポリマー基材及び得られた成形ポリマー物品は、当該技術分野で既知の様々な技術を使用して形成され得る。これらの技術は、熱成形、ブロー成形、射出成形、圧縮成形、回転成形などを含み得るが、これらに限定されない。例えば、一実施形態では、ポリマー基材及び得られた成形ポリマー物品は、熱成形により形成されて、熱成形された成形ポリマー物品を作製し得る。別の実施形態では、ポリマー基材及び得られた成形ポリマー物品は、ブロー成形により成形されて、ブロー成形された成形ポリマー物品を作製し得る。さらなる実施形態では、ポリマー基材及び得られた成形ポリマー物品は、射出成形により成形されて、射出成形された成形ポリマー物品を作製し得る。別のさらなる実施形態では、ポリマー基材及び得られた成形ポリマー物品は、圧縮成形により成形されて、圧縮成形された成形ポリマー物品を作製し得る。しかしながら、本発明に従って他の処理技術も利用することができることを理解すべきである。
【0109】
一実施形態では、本明細書に開示されるポリマー基材及び成形ポリマー物品は、本明細書で定義されるようなバリア層及び任意の追加の層を熱成形プロセスに曝露することによって形成され得る。熱成形は、一般に、層(複数可)を特定の温度に加熱し、成形型内で層(複数可)を成形し、次いで任意選択で成形ポリマー物品をトリミングして所望の物品を作製することを伴う。
【0110】
特定の形成技術は重要ではなく、本発明において様々な従来のプロセスのいずれかを用いることができる。好適な技術は、例えば、真空形成、プラグ補助形成、ドレープ形成、プレス形成などを含み得る。例えば、層(複数可)は、ポリマー(複数可)を変形させるか又は延伸させるのに十分な温度に加熱する加熱デバイス(例えば、対流式オーブン、抵抗ヒータ、赤外線ヒータなど)に供給され得る。この温度は、一般に、一般に、ガラス転移温度より高くても、溶融温度以下であってもよい。例えば、熱成形温度は、溶融温度以下で約10℃以上、例えば約20℃以上、例えば約30℃以上、例えば約40℃以上、例えば約45℃以上から例えば約100℃以下、例えば約80℃以下、例えば約60℃以下であり得る。例えば、層(複数可)は、約30℃以上、例えば約40℃以上、例えば約50℃以上、例えば約60℃以上から例えば約200℃以下、例えば約150℃以下、例えば約130℃以下、例えば約120℃以下、例えば約110℃以下に加熱され得る。一旦加熱されると、層(複数可)は、次いで、成形型に供給され、力(例えば、吸引力)を層(複数可)に対して加えて、成形型の輪郭に適合させ得る。成形型キャビティは、物品の形状を層(複数可)に付与し、その結果、成形型からの除去時にその形状を保持するように適切に固化するように、材料を溶融点を顕著に下回る温度に冷却することもできる。
【0111】
図を参照すると、
図4は、利用され得る例示的な熱成形プロセスを示す。図示されるように、層118は、層を変形させるのに十分な温度まで層を加熱する加熱デバイス120に供給される。上記のように、熱成形プロセスにおいて、様々な加熱デバイスのいずれかを用いることができる。加熱されると、層118は、成形デバイス122に供給され、そこでそれらが物品に成形される。上記のように、熱成形プロセスにおいて、様々な成形デバイスのいずれかを用いることができる。次いで、層は、成形型の輪郭に適合してよく、その結果、ポリマー基材及び成形ポリマー物品124が得られる。
図4は複数の層を示しているが、熱成形は、本明細書に開示されるバリア層のみなどの単一層と共に利用され得ることを理解すべきである。加えて、熱成形用途は、当技術分野で一般に既知のように、形態、充填、及びシール用途も包含し得る。
【0112】
別の実施形態では、成形ポリマー物品は、ブロー成形された成形ポリマー物品であり得る。ブロー成形された物品は、押出ブロー成形、射出ブロー成形、又は射出延伸ブロー成形技術を使用して形成され得る。方法に関係なく、ブロー成形は、一般に、ポリマー材料を中空成形型空洞に提供し、空気を吹き付けることによって成形型内の材料を成形し、次いで任意選択的に、成形ポリマー物品をトリミングして所望の物品を作製することを伴う。例えば、バリア層の前述の成分(すなわち、ポリオレフィンポリマー、炭化水素樹脂、及び任意選択的な添加剤)を含むポリマー材料は、中空成形型空洞に直接提供され得る。挿入されると、成形型が閉じ、パリソンが所定の位置に把持される。次いで、ノズル又はピンをパリソンの開放端に挿入して、パリソンを膨張させる空気を成形型の形状に導入することができる。成形型温度は、材料の溶融温度よりも約0℃以上、例えば約5℃以上、例えば約10℃以上、例えば約20℃以上、例えば約30℃以上、例えば約40℃以上、例えば約45℃以上であり得る。成形型温度は、材料の溶融温度よりも約90℃以下、例えば約85℃以下、例えば約80℃以下であり得る。一実施形態では、成形型温度は、0℃より大きく、材料の結晶性温度までであってもよい。特定の実施形態では、例えば、層(複数可)は、層(複数可)が形成されるまで、成形型内で約30℃~約150℃、いくつかの実施形態では約50℃~約130℃、及びいくつかの実施形態では約60℃~約120℃の温度に加熱され得る。成形型キャビティは、物品の形状を層(複数可)に付与し、その結果、成形型からの除去時にその形状を保持するように適切に固化するように、材料を溶融点を顕著に下回る温度に冷却することもできる。加えて、冷気を成形型に導入してポリマーを固化させることができる。層が形成されると、成形型が開かれ、成形ポリマー物品を取り出すことが可能になる。次いで、任意選択で、所望の物品を作製するために、必要に応じて成形ポリマー物品をトリミングする。
【0113】
ブロー成形プロセス、特に射出延伸ブロー成形プロセスの一例は、ボトルを形成することについての
図5に示されている。最初に、ねじ付きネック部分12及びボトル本体部分14を有する射出成形されたプリフォーム10が固定具18の上に設置され、再加熱又は予熱キャビティ20内に保持される。1つ以上のランプを含むことができる加熱ランプ22は、固定具18上で回転されるときに、プリフォーム10の外面を加熱する(例えば、赤外線を使用して)。再加熱は、プリフォームの外側、プリフォームの内側、又はプリフォームの外側及び内側の両方で行われ得る。次いで、再加熱されたプリフォーム10を有する固定具18を、輪郭を有する成形型キャビティ30内に保持して、材料をボトルなどの所望の形状に成形する。この図はボトル用の成形型キャビティを示しているが、他のタイプの成形物品を形成するための他の成形型キャビティも利用され得ることを理解すべきである。空気又は窒素などのガスは、押し棒32が材料を成形型の内部輪郭に一致するように外向きに膨張させるときに、固定具18内のノズルを通してプリフォーム10の内部容積に注入される。最後に、プロセスが完了すると、物品を成形型から取り出すことができる。
【0114】
本射出に従って利用され得る別の加工技術は、
図6に示すように射出成形である。一般に、射出成形された物品を形成することは、ポリマー材料の可塑化又は加熱すること、成形型への材料の射出、成形型をポリマー材料で充填すること、物品を冷却すること、及び物品を脱型/排出することを伴う。例えば、
図6を参照すると、材料は、典型的には、ホッパーなどの供給デバイス55を介して射出成形装置50に提供される。装置のバレル65の内側にあると、材料は加熱デバイス(図示せず)を使用して加熱され、ねじ60を使用して混合され、これもまた、材料をノズル70を通して成形型85に提供するのに役立つ。装置50は、固定部分80及び可動部分90を含むことができる。図示のように、成形型85は、固定部分80と可動部分90との間に形成されるように設けられている。材料を成形型85に充填すると、材料を冷却して固化させる。次に、可動部分90を固定部分80から分離し、それによって射出成形物品を脱型させる。
【0115】
利用された加工技術に応じて、ポリマー基材及び成形ポリマー物品は、単層又は多層であり得る。一実施形態では、ポリマー基材及び成形ポリマー物品は、単層であり得る。別の実施形態では、ポリマー基材及び成形ポリマー物品は、多層であり得る。例えば、多層基材及び物品は、熱成形を使用して形成され得る。代替的には、単層基材及び物品は、熱成形、ブロー成形、又は射出成形を使用して形成され得る。さらに、上記の処理技術では、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される基材及び物品は、非配向であり得る。
【0116】
さらに、本明細書に開示されるようなポリオレフィンポリマー及び炭化水素樹脂を利用することにより、得られた基材及びバリア層及び/又はポリマー材料は、最小限の成形型収縮を受け得る。例えば、成形型収縮は、10%以下、例えば8%以下、例えば6%以下、例えば5%以下、例えば4%以下、例えば3%以下、例えば2.5%以下、例えば2%以下、例えば1.8%以下、例えば1.6%以下、例えば1.5%以下、例えば1.4%以下、例えば1.3%以下、例えば1.2%以下、例えば1.1%以下、例えば1%以下であり得る。成形型収縮は、0.01%以上の場合があるが、0.05%以上、例えば0.1%以上、例えば0.3%以上、例えば0.5%以上、例えば0.8%以上、例えば1%以上、例えば1.1%以上、例えば1.3%以上、例えば1.5%以上であり得る。そのような成形型収縮は、一実施形態では、フロー方向にあり得る。別の実施形態では、そのような成形型収縮は、クロスフロー方向にあり得る。さらなる実施形態では、そのような成形型収縮は、フロー方向及びクロスフロー方向にあり得る。
【0117】
本明細書に開示されるような成形型収縮及び機械的特性により、ポリマー基材及びバリア層は、その性能及び属性を有するポリスチレンなどの他のポリマーを模倣し、それによって、これらの材料を多種多様な用途で使用することを可能にし、そのいくつかが本明細書に提供される。特に、本明細書に開示されるような材料は、一般に、特定のポリスチレン中の他のポリマーを模倣する曲げ弾性率、並びに他の機械的特性を示し得る。
【0118】
上記のように、成形ポリマー物品は、200μm超、例えば210μm以上、例えば220μm以上、例えば240μm以上、例えば250μm以上、例えば300μm以上、例えば500μm以上、例えば700μm以上、例えば900μm以上、例えば1mm以上、例えば3mm以上、例えば5mm以上の平均最終壁厚さを有し得る。成形ポリマー物品は、1.25cm以下、例えば1cm以下、例えば8mm以下、例えば5mm以下、例えば3mm以下、例えば2mm以下、例えば1mm以下、例えば800μm以下、例えば500μm以下、例えば400μm以下、例えば350μm以下、例えば300μm以下、例えば280μm以下、例えば270μm以下の平均最終壁厚さを有し得る。そのような平均厚さは、成形ポリマー物品の各壁厚さの平均を得ることによって得ることができる。
【0119】
利用される技術に関係なく、バリア層を含むポリマー基材は、多種多様な異なる三次元物品に形成又は利用され得る。例えば、得られた物品は、包装、カップ、タブ、ペール、瓶、ボックス、容器、蓋、トレイ(例えば、食品のための)、ブリスター、クラムシェル、ボトル、パウチ、器具部分(例えば、冷蔵庫ライナー)、パレットなどの、食品、医療、又は一般的な小売産業、ダッシュパネル、ドアパネル、ユーティリティビークルなどの自動車又は航空機部品、などのための包装製品であり得る。特定の一実施形態では、成形ポリマー物品は、食品包装物品などの包装物品であり得る。特に、ポリマー基材及びバリア層内で利用された材料のために、基材及び層はまた、特に食品包装物品として使用するための米国食品医薬品局ガイドライン及びコンプライアンスを通過し得る。
【0120】
さらに、本明細書に開示されるようなポリオレフィンポリマーと共に利用された材料を用いても、バリア層及び結果として生じるポリマー基材は、リサイクル可能であり得る。例えば、ポリオレフィンポリマーがポリプロピレンである場合、本明細書に開示されるような特定の材料の利用は、バリア層及び得られたポリマー基材を、リサイクル目的のためにクラス5材料としてコード化することを依然として可能にし得る。
【0121】
本開示の実施形態について全般的に論じてきたが、本開示は、以下の非限定的な実施例によってさらに理解され得る。
【実施例】
【0122】
試験方法
水蒸気透過率:水蒸気透過率を、ASTM F1249-13に従って決定することができる。
【0123】
酸素透過率:酸素透過率を、ASTM D3985-17に従って決定することができる。
【0124】
荷重たわみ温度(「DTUL」):荷重たわみ温度を、ISO試験番号75-2:2013(ASTM D648-18と技術的に同等)に従って決定することができる。より具体的には、80mmの長さ、10mmの厚さ、及び4mmの幅を有する試験ストリップ試料は、指定された荷重(最大外部繊維応力)が0.455メガパスカルであるエッジワイズ3点曲げ試験に供され得る。試験片を、0.25mm(ISO試験番号75-2:2013については0.32mm)をたわむまで、温度を2℃/分で上昇させるシリコーン油浴に下げることができる。
【0125】
引張特性:引張特性を、ISO試験番号527:2012(ASTM D638-14と技術的に同等)に従って決定することができる。より具体的には、引張弾性率測定は、80mmの長さ、10mmの厚さ、及び4mmの幅を有する試験ストリップ試料上で行われ得る。試験温度は23℃であってもよく、試験速度は1又は5mm/分であってもよい。
【0126】
曲げ特性:曲げ特性(例えば、曲げ接線弾性率、曲げ割線弾性率)を、ASTM D790Aに従って決定した。試験条件は、ASTM D790Aに従っており、試験速度は1.3mm/分であった。
【0127】
成形型収縮:成形型収縮は、成形後に冷却するときのポリマーの収縮の尺度を提供する。成形型収縮特性(例えば、流量及びクロスフロー)は、ASTM D955-08に従って決定した。試験条件及び成形型仕様は、ASTM D955-08に従った。
【0128】
粘度:炭化水素樹脂の粘度は、Brookfield粘度計及びサイズ21スピンドルを使用して、160℃の温度でASTM D3236-15に従って決定され得る。試料を試験チャンバに装填し、溶融させ、160±0.5℃の温度に平衡化する。次いで、スピンドルを添加し、スピンドルを最低設定(0.5rpm)で回転させながら、系を30分間平衡化させる。次いで、たわみが50%近くになるまで速度を増加させることができる。読み取りが安定したら、粘度を測定した。スピンドルを少なくとも5回回転させ、続いて第2の読み取り及びさらに5回、続いて第3の読み取りを行った。
【0129】
メルトフローレート:メルトフローレートを、230℃及び2.16kgの温度でASTM D1238Bに従って決定することができる。
【0130】
ヘイズ及び透明度:ヘイズパーセント及び透明度を、ASTM D1003に従って決定することができる。
【0131】
ノッチ付きアイゾット衝撃強さ:ノッチ付きアイゾット衝撃強さを、23℃でASTM D256Aに従って決定することができる。
【0132】
ガードナー衝撃強さ:ガードナー衝撃強さを、23℃でASTM D5420に従って決定することができる。
【0133】
実施例1
この例では、少なくとも110℃の環球式軟化点を有するC9脂環式炭化水素樹脂(cycloaliphatic hydrocarbon resin)(「HCR」)を使用して高結晶化度ポリプロピレン(high crystallinity polypropylene)(「HCPP」)を修飾した。ポリプロピレンは、約99%以上の結晶化度を有した。試料を調製するために、成分のそれぞれの量を、370~500°Fの温度内でブレンドし、押し出した。このプロセスを使用して、曲げ特性、引張特性、及び成形型収縮特性の決定を含む分析のための試料を調製するためにペレットを形成した。
【0134】
【0135】
上記の表に示されるように、機械的特性(例えば、降伏点での曲げ特性及び引張強さ)は、炭化水素樹脂の添加によって改善された。一方、炭化水素樹脂の添加は、降伏点での伸びパーセントのわずかな低減をもたらした。加えて、成形型収縮データは、炭化水素樹脂を含むポリマーを含む成形型の寸法は、冷却時に比較的同一を保持することを示す。
【0136】
実施例2
試料2及び3では、それぞれ、少なくとも115℃及び125℃の環球式軟化点を有する25重量%のC9脂環式炭化水素樹脂(「HCR」)を使用して高結晶化度ポリプロピレン(「HCPP」)を修飾した。試料4は、25重量%の量でポリシロペンタジエン(polycylopentadiene)(「PCPD」)を含んでいた。ポリプロピレンは、約99%以上の結晶化度を有した。試料を調製するために、成分のそれぞれの量を、370~500°Fの温度内でブレンドし、押し出した。このプロセスを使用して、機械的特性及び光学特性の決定を含む分析のための試料を調製するためにペレットを形成した。
【0137】
【0138】
上記の表に示されるように、機械的特性(例えば、降伏点での曲げ特性及び引張強さ)は、炭化水素樹脂の添加によって改善された。一方、炭化水素樹脂の添加は、降伏点での伸びパーセントのわずかな低減をもたらした。加えて、光学特性はまた、炭化水素樹脂の添加によって改善された。
【0139】
実施例3
試料5では、高結晶化度ポリプロピレン(「HCPP」)を、30重量%のポリシロペンタジエン(「PCPD」)を使用して修飾した。試料6~7では、ポリプロピレンホモポリマー(polypropylene homopolymer)(「PP」)を、30重量%.のポリシロペンタジエン(「PCPD」)を使用して修飾した。試料5中のポリプロピレンは、2.3g/10分のメルトフローレートを有し、試料6及び7のメルトフローレートが12g/10分であった。これに関して、試料6及び7のポリプロピレンは、過酸化物で破壊されて(レオロジー修飾されて)、メルトフローレートを増加させた。試料5中のポリプロピレンはまた、133℃のDTULを有していたが、試料6及び7は、0.455MPaでDTUL66℃を有していた。高結晶化度ポリプロピレンは、約99%以上の結晶化度を有した。試料5~7はまた、リン系核剤を含んでいた。試料を調製するために、成分のそれぞれの量を、370~500°Fの温度内でブレンドし、押し出した。このプロセスを使用して、機械的特性の決定を含む分析のための試料を調製するためにペレットを形成した。
【0140】
【0141】
実施例4
試料8~14では、高結晶化度ポリプロピレン(「HCPP」)を、ポリシロペンタジエン(「PCPD」)を使用して修飾した。試料15~18では、ポリプロピレンホモポリマー(「PP」)を、ポリシロペンタジエン(「PCPD」)を使用して修飾した。HCPPは、約99%以上の結晶化度を有した。以下の特定の例も、清澄剤又は核剤を含んでいた。例えば、試料9及び16は、リン系核剤を含んでいた。一方、試料10及び14は、ノニトール系核剤を含んでいた。また、試料11は、安息香酸ナトリウムを含んでいた。試料を調製するために、成分のそれぞれの量を、370~500°Fの温度内でブレンドし、押し出した。このプロセスを使用して、機械的特性、光学特性、及び成形型収縮特性の決定を含む分析のための試料を調製するためにペレットを形成した。
【0142】
【0143】
【0144】
実施例5
試料19~23では、ランダムコポリマー(random copolymer)(「RCP」)を、それぞれの炭化水素樹脂の20重量%を使用して修飾した。ランダムコポリマーは、約2.3重量%のエチレンを含み、ポリマーは、約2g/10分のメルトフローレートを有していた。実施例はまた、ノニトール系核剤を含んでいた。試料を調製するために、成分のそれぞれの量を、370~500°Fの温度内でブレンドし、押し出した。このプロセスを使用して、機械的特性、光学的特性、成形型収縮特性、及び酸素透過特性の決定を含む分析のための試料を調製するためにペレットを形成した。酸素透過率を、100%O2、50%相対湿度、760mmHgガス圧力、及び試験温度23℃の条件で決定した。
【0145】
【0146】
実施例6
試料25及び27~29では、ポリオレフィンポリマーを、25重量%の量でそれぞれの炭化水素樹脂を使用して修飾した。試料27及び28において、C9脂肪族炭化水素樹脂は、それぞれ、少なくとも115℃及び125℃の環球式軟化点を有していた。ポリプロピレンは、約99%以上の結晶化度を有した。試料を調製するために、成分のそれぞれの量を、370~500°Fの温度内でブレンドし、押し出した。このプロセスを使用して、酸素透過率及び水蒸気透過率の決定を含む分析のための試料を調製するためにペレットを形成した。酸素透過率を、100%O2、50%相対湿度、760mmHgガス圧力、及び試験温度23℃の条件で決定した。水蒸気透過率を、50%相対湿度及び試験温度23℃の条件で決定した。
【0147】
【0148】
実施例7
試料30~34において、インパクトコポリマー(impact copolymer)(「ICP」)(異相コポリマー)を、水素化ポリシロペンタジエン(「PCPD」)を使用して修飾した。インパクトコポリマーは、約7重量%のエチレンを含んでいた。実施例33及び34は、核剤としてビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸二ナトリウム塩を含む。試料を調製するために、成分のそれぞれの量を、370~500°Fの温度内でブレンドし、押し出した。このプロセスを使用して、機械的特性の決定を含む分析のための試料を調製するためにペレットを形成した。
【0149】
【0150】
本発明に対するこれら及び他の修正及び変形は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得、これは、添付の特許請求の範囲においてより具体的に記載される。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的に又は部分的に互換可能であることを理解すべきである。さらに、当業者であれば、前述の説明はほんの一例であり、このような添付の特許請求の範囲にさらに記載されるように本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
【国際調査報告】