(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】蓄熱の方法と装置
(51)【国際特許分類】
F28D 20/02 20060101AFI20230301BHJP
F28F 21/04 20060101ALI20230301BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20230301BHJP
F28D 20/00 20060101ALI20230301BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
F28D20/02 D
F28F21/04
F28F21/08 G
F28D20/00 A
F27D17/00 101A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022533367
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(85)【翻訳文提出日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 AU2020051304
(87)【国際公開番号】W WO2021108846
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522220083
【氏名又は名称】グラファイト・エナジー・(アセッツ)・ピーティーワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サエイド・セデフ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ソー-ホック・コー
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・チャオ
(72)【発明者】
【氏名】バイロン・ロス
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・レミッチ
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー・ウォルシュ
【テーマコード(参考)】
4K056
【Fターム(参考)】
4K056AA05
4K056BA03
4K056CA04
4K056DA04
4K056DA12
4K056DA39
(57)【要約】
本発明は、空洞およびチャネルを有するるつぼ、るつぼの空洞に貯蔵される相変化材料、および入口および出口を有する熱交換器を含み、熱交換器の少なくとも一部がチャネルに沿って配置されるエネルギー貯蔵装置を提供する。また、エネルギーを可逆的に貯蔵および/または抽出する方法、ならびに上記のような複数のエネルギー貯蔵装置を含むエネルギー貯蔵アレイも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵装置であって、
空洞およびチャネルを有するるつぼ、
るつぼの空洞内に貯蔵された相変化材料、および
入口および出口を有する熱交換器であって、熱交換器の少なくとも一部がチャネルに沿って配置されている熱交換器、を含むエネルギー貯蔵装置。
【請求項2】
熱エネルギー貯蔵装置である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項3】
複数のるつぼを含む、請求項1または2に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項4】
るつぼが、開いた空洞を含む、請求項1から3の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項5】
るつぼが、閉じた空洞を含む、請求項1から3の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項6】
るつぼが、複数の空洞を含む、請求項1から5の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項7】
るつぼが、るつぼ本体の外面に沿って1つまたは複数のチャネルを含み、熱交換器の一部は、1つまたは複数のチャネルの少なくとも1つに沿って配置される、請求項1から6の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項8】
るつぼが、るつぼの本体内に少なくとも2つの開放端を有するチャネルを含む、請求項7に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項9】
るつぼが、単位体である、請求項1から8の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項10】
るつぼが、構成部品によって組み立てられる、請求項1から8の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項11】
るつぼの材料が、炭化ケイ素、グラファイト、強化ポリマー、粘土、磁器、セラミック、カーボンナノチューブ、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、鋼、銅、ムライト、酸化ジルコニウム、ダクタイル鉄、鋳鉄、ステンレス鋼、真ちゅう、コロンビアの合金、タンタル、モリブデン、タングステンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から10の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項12】
るつぼの材料が、グラファイトである、請求項11に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項13】
るつぼの密度が、約1g/cm
3から約4g/cm
3の間である、請求項1から12の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項14】
エネルギー貯蔵装置が、加熱要素を使用してエネルギーを貯蔵する、請求項1から13の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項15】
加熱要素が、ヘリオスタット、炉、電気抵抗器、熱伝達流体およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項16】
加熱要素が、エネルギー貯蔵装置の内部にある、請求項14または15に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項17】
エネルギー貯蔵装置が、複数の加熱要素を含む、請求項14から16の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項18】
エネルギー貯蔵装置が、密閉されている、請求項1から17の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項19】
エネルギー貯蔵装置が、複数の熱交換器を含む、請求項1から18の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項20】
各熱交換器が、別個の独立した回路である、請求項19に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項21】
熱交換器の材料が、合金、チタン、またはセラミックである、請求項1から20の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項22】
相変化材料が、金属または金属合金である、請求項1から21の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項23】
相変化材料が、アルミニウムまたはアルミニウムを含む合金である、請求項22に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項24】
エネルギーを可逆的に貯蔵および/または抽出する方法であって、前記方法は、
・相変化材料を加熱して相変化を誘起し、それによって潜在エネルギーを貯蔵する、加熱するステップと、
・エネルギーが相変化材料から熱伝達媒体に伝達されるように、相変化材料の温度よりも低い温度を有する熱伝達媒体を流すことによってエネルギーを抽出するステップと、を含み、
それにより、可逆的なエネルギー貯蔵および抽出を提供する、方法。
【請求項25】
エネルギーを可逆的に貯蔵および/または抽出する方法であって、前記方法は、
・相変化材料を含むるつぼを加熱して相変化を誘起し、それによってエネルギーを貯蔵する、加熱するステップと、
・エネルギーが相変化材料から熱伝達媒体に伝達されるように、相変化材料の温度よりも低い温度を有するるつぼに沿って熱伝達媒体を流すことによってエネルギーを抽出するステップと、を含み、
それにより、可逆的なエネルギー貯蔵および抽出を提供する、方法。
【請求項26】
熱伝達媒体の温度が、相変化材料の相変化温度よりも低い、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
熱伝達媒体が、熱伝達流体である、請求項24から26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
相変化材料を加熱するためにエネルギー貯蔵装置のるつぼを加熱するステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
熱的および/または電気的に連通している請求項1から23のいずれか一項に記載の複数のエネルギー貯蔵装置を含む、エネルギー貯蔵アレイ。
【請求項30】
アレイが、モジュールの形態である,請求項29に記載のエネルギー貯蔵アレイ。
【請求項31】
モジュールが、区分的に組み立てられる、請求項30に記載のエネルギー貯蔵アレイ。
【請求項32】
アレイが、ハウジングに貯蔵される、請求項29から31のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵アレイ。
【請求項33】
アレイが、直列または並列に配置される、請求項29から32のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵アレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年12月3日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2019904568号からの優先権を主張し、その内容は組み込まれると理解されるべきである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、発電機などの高温用途に使用することができるエネルギー貯蔵装置に関する。特に、本発明は、例えば、ターボエキスパンダー発電機およびブレイトンサイクル発電機を使用して、空気およびCO2などの超臨界流体を効率的な発電に使用できるような温度で動作できるエネルギー貯蔵装置に関する。
【0003】
特に、本発明は、ブレイトンサイクル発電機と共に使用するためのグラファイト系の熱エネルギー貯蔵装置、および熱エネルギーを貯蔵するための方法に関する。しかしながら、本発明はこれらの特定の使用分野に限定されないことが理解されるだろう。
【0004】
本発明を適切な技術的文脈に置き、それの利点をより完全に理解することを可能にするために、先行技術の以下の議論が提供される。しかしながら、本明細書全体にわたる先行技術のいかなる議論も、そのような先行技術が広く知られている、またはその分野における一般的な知識の一部を形成するという明示的または黙示的な承認と見なされるべきではないことを理解されたい。
【0005】
世界の人口が増加し続けるにつれて、人々および社会の日常生活に電力を供給するために必要とされるエネルギー消費も増加する。この増え続けるエネルギー需要を満たすために、石炭、天然ガス、原子力および石油などのエネルギーを生成するためのさまざまな技術が開発されてきた。特に興味深いのは、環境問題(石炭やその他の化石燃料からの汚染や二酸化炭素排出量の削減など)に起因する再生可能エネルギー技術の開発である。これらの再生可能エネルギー技術には、水力、風力、太陽光、潮汐および地熱が含まれる。
【0006】
再生可能エネルギー源からのエネルギー生産における特定の問題は、それらが断続的な源であるということである。たとえば、風力タービンは強風を必要とし、夜間は太陽光発電ができず、干ばつ時には水力発電が大幅に減少し、天候や海の状況に応じて波力が制限される。そのため、再生可能技術には、理想的には、後で使用するためにエネルギーを貯蔵する方法が必要である。
【0007】
エネルギーを貯蔵するためのそのような手法の1つは、リチウムイオン電池などの電池技術を使用して、再生可能エネルギー源からの電力のオンデマンド生産が利用できない場合に、エネルギー需要を容易に満たすことができるようにすることである。ただし、電池技術は大規模な配置には依然として高価であり、蓄積されるエネルギー容量は限られており、再生可能エネルギーの生産が長期間遅れる場合(太陽エネルギーの生産に関して曇りの日が続く場合など)エネルギー需要を満たせない可能性がある。
【0008】
電池技術に代わるものとして、エネルギーを貯蔵するための溶融塩技術が開発されてきた。溶融塩は、熱エネルギーを保持するための熱エネルギー貯蔵媒体として使用することができる。このタイプの貯蔵技術は、集光型太陽光発電(たとえば、ヘリオスタットからなど)によって収集された熱を貯蔵するために商業的に使用されてきた。後に、熱を過熱蒸気に変換して、従来の蒸気タービンに電力を供給し、必要に応じて発電することができる。硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムなどのさまざまな塩混合物の有効性が実証されている。
【0009】
太陽光関連用途のための典型的な溶融塩エネルギー貯蔵システムでは、塩は220℃超で溶融し、約280℃で液体として維持される。その後、液体塩は太陽熱収集器にポンプで送られ、そこで反射および集束された太陽光線が液体塩を約560℃に加熱する。次に、この加熱された液体塩は貯蔵され、電気が必要な場合、加熱された溶融塩は外部熱交換器にポンプで送られ、そこで溶融塩からの熱が水/蒸気を使用して抽出される。
【0010】
別のエネルギー貯蔵媒体はグラファイトである。グラファイトエネルギー貯蔵の一形態は、使用可能な形態でグラファイトに熱エネルギーを収集および/または貯蔵するための方法および装置で具体化される。変形例は、誘導された渦電流によってグラファイトの本体を加熱するための方法および装置である。さらに、グラファイトは、蒸気などの流体を使用して、グラファイトのブロック内の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する方法に適用することもできる。
【0011】
グラファイト太陽光貯蔵技術のさらなる変形例は、グラファイト本体の内部領域を加熱することによって熱エネルギーを収集および/または貯蔵するための方法および装置;使用にエネルギーが必要な場合に、熱交換器を介してグラファイトの本体から熱を回収するための方法および装置;およびグラファイトからの熱エネルギーの回収を調整するための方法および装置;に関する。
【0012】
非金属相変化材料(PCM)もまた、溶融塩およびグラファイトの代替として使用されてきた。非金属PCMには、パラフィン、塩水和物、および脂肪酸が含まれる。ただし、エネルギー貯蔵用の非金属PCMの主な欠点は、高温用途(たとえば、約600℃を超える)には適していないことである。
【0013】
例えば、SiAl12およびSiAl20の使用が、国際公開第2017/173499号に開示されている。その最も広い形態で、この文献は、以下を含むエネルギー貯蔵装置を開示している:ケーシング;少なくとも1つのるつぼ;るつぼに隣接する少なくとも1つの加熱要素;るつぼに隣接する、入口および出口を有する少なくとも1つの熱導管;少なくとも1つのるつぼ内に位置する相変化材料;アルミニウム-シリコン合金、アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムからなる群から選択される相変化材料。その好ましい用途では、国際公開第2017/173499号の貯蔵装置は、液体を気体に(すなわち、水を蒸気に)変換するために使用される。
【0014】
国際公開第2017/173499号の装置は、超臨界二酸化炭素(sCO2)ブレイトンサイクル発電機など、高温用途で使用するための高温熱エネルギーを貯蔵するのに不適切であるように思われる。
【0015】
したがって、国際公開第2017/173499号によって具体化される技術におけるこの制限を考えると、sCO2ブレイトンサイクル発電機などの発電用の高温用途で使用するための、エネルギー貯蔵装置およびエネルギーを貯蔵するための方法を開発することが望ましいだろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、先行技術の不利な点の少なくとも1つを克服または改善すること、または有用な代替物を提供することである。
【0018】
文脈が明らかに他のことを要求しない限り、説明および特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などの単語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味で、すなわち「含むがこれに限定されない」という意味で解釈される。
【0019】
本発明は特定の例を参照して説明されるが、本発明が他の多くの形態で具体化され得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0020】
溶融塩および非金属相変化材料の使用は、現在の最先端技術に比べていくつかの利点を有しており、この利点は、長期のエネルギー貯蔵(最大数週間、数ヶ月、または数年)、異なる再生可能エネルギー源との適合性、および最小限の日光、風、または潮汐の要件を備える場所に限定されないため、任意の地理的な場所で使用できる適応性を含む。
【0021】
しかしながら、国際公開第2017/173499号および競合技術に関して上述したように、エネルギー貯蔵のための溶融塩および非金属相変化材料は、これらの材料が本質的に高温用途に適さないため、より低温の用途(最大600℃)に制限されてきた(典型的に、太陽光関連の溶融塩は565℃で沸騰する)。そのため、これらの材料からの発電のためのエネルギー抽出は、典型的には、蒸気タービンに適用される(液体の水を蒸気に変換することによる)。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本出願人は、金属相変化材料の使用が高温用途(最大1500℃)を提供でき、超臨界CO2(すなわち、使用される流体の相変化がない)を使用するブレイトンサイクル発電機で使用でき、それにより、350℃から1500℃、好ましくは400℃から1000℃、より好ましくは400℃から850℃の範囲の動作温度に適していることを予期せず発見した。
【0023】
エネルギー貯蔵装置
一態様では、本発明は、以下を含むエネルギー貯蔵装置を提供する:空洞およびチャネルを有するるつぼ;るつぼの空洞内に貯蔵された相変化材料;および入口および出口を有する熱交換器であって、熱交換器の少なくとも一部がチャネルに沿って配置されている熱交換器。有利には、本発明のエネルギー貯蔵装置は、潜在的および感知可能なエネルギー貯蔵の組み合わせを提供する。
【0024】
一実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、熱エネルギー貯蔵装置である。特定の実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、複数のるつぼを含む。
【0025】
特定の実施形態において、本発明は、以下の利点のうちの少なくとも1つを有する:
・高圧ブレイトンsCO2サイクル発電機の高温用途に適する;
・高温相変化材料を使用できる;
・顕熱蓄熱と潜熱蓄熱の組み合わせである;
・加熱要素がるつぼの内部または外部にあってよい;および
・高温相変化材料を含む、閉じた(任意にガス透過性の)るつぼである。いくつかの実施形態では、るつぼ構成要素を積み重ねてるつぼの空洞を閉じ、一方で、るつぼは依然としてガス透過性(すなわち、気密ではない)であり、放出ガスを逃がし、不活性ガスをるつぼ空洞に入れることができる。
【0026】
特定の実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、加熱要素を含む。好ましい実施形態では、るつぼは、好ましくは加熱要素チャネルを提供することによって、加熱要素を受け入れるように適合されている。好ましい実施形態では、るつぼは、加熱要素チャネル内に配置された加熱要素を含む。この実施形態では、加熱要素は、エネルギー貯蔵装置の内部にあり、より好ましくは、るつぼの内部にある。るつぼの内部に加熱要素を設けることにより、以下の利点の少なくとも1つを提供することができる:(a)熱損失を低減し、エネルギー貯蔵装置の熱効率を改善する;(b)加熱要素の表面ワット密度を上げることができるため、目標温度に必要な加熱要素の数を減らす;(c)熱エネルギーの貯蔵中により均一な温度プロファイルを提供する;(d)必要に応じて加熱要素を交換することにより、メンテナンスおよび/または修理が容易になる;(e)エネルギー貯蔵装置の加熱時間がより速い;および(f)低コストである。
【0027】
いくつかの実施形態では、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個以上の加熱要素が提供される。いくつかの実施形態では、12個以上、15個以上、20個以上、25個以上、30個以上の加熱要素が提供される。いくつかの実施形態では、加熱要素は、個々の電気抵抗器を含む抵抗器ラックである。他の実施形態では、加熱要素は電気抵抗器である。
【0028】
好ましい実施形態では、相変化材料は、少なくとも1つの軸に沿って熱交換器と加熱要素との間に配置される。この実施形態では、相変化材料は、加熱要素と熱交換器との間に熱障壁を有利に提供して、熱交換器を過熱し、熱交換器材料の動作温度限界を超えないようにする。熱交換器材料の最大動作温度に近い溶融温度を有する適切な相変化材料が選択される場合、熱交換器温度上昇速度を最大動作温度限界近くで遅くすることができ、熱交換器温度上昇速度を制御しやすくし、熱交換器の最大動作温度を超えないことを確実にすることができる。
【0029】
有利には、金属相変化材料の使用は、約350℃から約1500℃、約400℃から約1000℃、さらにより好ましくは約850℃など、より高い動作温度を提供することができる。したがって、典型的には、この温度範囲内で最大の動作効率を有するブレイトンサイクル発電機の効率を利用することができる。さらに、この高い温度範囲は、溶融塩貯蔵および最新技術を特徴付ける市販のPCM技術である非金属PCMを超えている。
【0030】
約400℃から約1000℃の温度では、CO2(sCO2)などの超臨界流体を使用することができる(この範囲内で加熱しても相変化は起こらない)。これにより、エネルギー貯蔵装置をブレイトンサイクル発電機などの発電機と組み合わせて使用する場合、効率が向上する。しかしながら、理解されるように、本発明のエネルギー貯蔵装置は、従来のタービン、ターボエキスパンダー発電機および/または同様のものと共に使用することができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、るつぼは、開いた空洞を含む。有利なことに、開いた空洞を有するるつぼは、相変化材料が、加熱されると体積が膨張し、冷却されると体積が収縮することを可能にする。
【0032】
いくつかの実施形態では、るつぼは、密封された閉じた空洞を含む。この構成では、相変化材料は空洞内に密閉され、気密封止されている。他の実施形態では、るつぼは、ガス透過性の閉じた空洞を含む。この構成では、空洞は閉じているが、外部環境とのガス交換が可能である。これにより、ガス放出を行う一方で、相変化材料を貯蔵しているるつぼの空洞に不活性ガスを入れることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、るつぼは複数の空洞を含む。いくつかの実施形態では、るつぼは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個(またはそれを超える)の空洞を含む。特定の実施形態では、空洞は、少なくとも1つの開いた空洞および少なくとも1つの閉じた空洞を含む。他の実施形態では、すべての空洞が閉じられていてもよく、またはすべての空洞が開いていてもよい。
【0034】
1つまたは複数の空洞は、貯蔵される相変化材料の量に応じて任意の形状またはサイズをとることができることを当業者は理解すべきである。空洞は、任意の適切な形状をとることができ、例えば、球、立方体、円柱、円錐、直方体、角柱、四面体、または不規則な形状であり得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、るつぼは、るつぼ本体の外面に沿って1つまたは複数のチャネルを含み、熱交換器の一部は、1つまたは複数のチャネルの少なくとも1つに沿って配置される。
【0036】
好ましい実施形態では、るつぼは、るつぼの本体内に少なくとも2つの開放端を有するチャネルを含む。これらの構成では、熱交換器の一部がるつぼのチャネル内に入れられ、使用時に、熱伝達媒体が、るつぼの本体を通って熱交換器の入口から出口に流れることができる。
【0037】
当業者は、チャネルが、熱交換器を通過するのに必要な流量に応じて、任意の形状またはサイズをとることができることを理解されたい。一実施形態では、チャネルはくぼみである。他の実施形態では、チャネルは管状である。特定の実施形態では、管状チャネルは、円形、正方形、長方形、楕円形、三角形、四辺形、五角形、六角形、九角形、六角形、七角形、八角形、または不規則な形状からなる群から選択される断面形状を有する。好ましい実施形態では、管状チャネルは、円形または半円形のチャネルである。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、複数のチャネルを含む。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、または9個以上のチャネルを含む。いくつかの実施形態では、複数のチャネルは、独立した回路として構成される。
【0038】
いくつかの実施形態では、るつぼは単位体である。すなわち、るつぼは単一の材料で構成されている。好ましい実施形態では、るつぼは構成部品によって組み立てられる。
【0039】
るつぼに適した材料には、炭化ケイ素、グラファイト、強化ポリマー、粘土、磁器、セラミック、カーボンナノチューブ、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、鋼、銅、ムライト、酸化ジルコニウム、ダクタイル鉄、鋳鉄、ステンレス鋼、真ちゅう、コロンビアの合金(alloys of columbian)、タンタル、モリブデン、タングステンおよびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。るつぼの材料は上記に網羅的に列記されているのではなく、選択された動作パラメータに応じて使用できる材料のタイプを単に例示していることを理解されたい。
【0040】
好ましい実施形態では、るつぼはグラファイトで形成されている。いくつかの実施形態では、グラファイトは、結晶性、アモルファス、またはそれらの組み合わせである。グラファイトはまた、高い熱安定性ならびに電気伝導性および熱伝導性を備えており、高温用途の耐火物としての使用に適している。好ましい実施形態では、グラファイトは、周囲温度から1000℃までの間で使用され、好ましい実施形態では、動作温度は、約400から850℃の間である。有利なことに、るつぼ材料としてのグラファイトの使用は、それが自己潤滑性であり得、また乾燥潤滑特性を有することである。これにより、熱交換器のさまざまな材料との適合性が向上し、モジュール構造に起因して汎用性が向上し得る。
【0041】
一実施形態では、るつぼは炭化ケイ素で形成されている。炭化ケイ素は、炭素原子とシリコン原子の結晶格子で構成されており、るつぼに構造的完全性を提供することができる。炭化ケイ素は、最大800℃の温度でも酸、アルカリ物質、または溶融塩と反応しないという点で比較的不活性である。さらに、炭化ケイ素は1200℃で酸化ケイ素コーティングを形成し、これは1600℃までの温度に耐えることができる。したがって、るつぼ材料は、一実施形態では酸化ケイ素を含む。炭化ケイ素はまた、高い熱伝導性、低い熱膨張特性、および高い機械的強度を備えているため、るつぼに比較的高い耐熱衝撃性を提供する。炭化ケイ素で作られたるつぼが、化学反応に耐性があり、適切に強く、相変化材料の加熱を助ける優れた熱伝導性を有することは明らかである。
【0042】
いくつかの実施形態では、るつぼは、約1g/cm3から約4g/cm3の間、約1.5g/cm3から約3.5g/cm3の間、約2.0g/cm3から約3.5g/cm3の間、約2.5g/cm3から約3.5g/cm3の間、好ましくは約1.5から2.0g/cm3の間の密度を有する。
【0043】
本発明のエネルギー貯蔵装置は、任意の適切な加熱要素(熱的または電気的な加熱要素など)を使用してエネルギーを貯蔵することができるので、用途が広い。例示的な加熱要素は、ヘリオスタット、炉、電気抵抗器、または本発明を具体化する動作温度を実現するための任意の他の適切な手段であり得る。代替的な加熱要素は、るつぼのチャネル内の熱交換器を通って、るつぼ内を循環する熱伝達流体である。
【0044】
一実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換して、るつぼおよび相変化材料を直接加熱する電気抵抗器を使用してエネルギーを貯蔵することができる。あるいは、エネルギー貯蔵装置は、熱加熱要素を使用してエネルギーを貯蔵することができる。この実施形態では、熱加熱要素は、熱交換器を介して、るつぼおよび相変化材料を加熱する熱伝達媒体にエネルギーを伝達する。この実施形態では、ヘリオスタットまたは炉などの加熱要素は、熱交換器を介して、るつぼおよび相変化材料を加熱する熱伝達媒体にエネルギーを伝達することができる。別の代替の実施形態では、熱加熱要素は熱伝達流体である。
【0045】
特定の実施形態では、エネルギー貯蔵用の加熱要素(熱的または電気的な加熱要素など)は、るつぼの外部にある。好ましい実施形態では、加熱要素はエネルギー貯蔵装置の外部にある。いくつかの実施形態では、複数の加熱要素をエネルギー貯蔵装置の外部で使用することができる。いくつかの実施形態では、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、または9個以上の加熱要素が提供される。いくつかの実施形態では、加熱要素は、個々の電気抵抗器を含む抵抗器ラックである。他の実施形態では、加熱要素は電気抵抗器である。
【0046】
エネルギー貯蔵装置は、所望の構成および使用に応じて、大気に対して開放され得るか、または閉鎖(密閉またはガス透過性のいずれか)され得ることを理解されたい。好ましい実施形態では、エネルギー貯蔵装置は密封されている。これは、るつぼがグラファイトの場合、約450℃以上の温度で空気中において酸化が発生する可能性があるためである。特定の実施形態では、エネルギー貯蔵装置は気密封止されている。好ましい実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、周囲環境として空気で密封されている。この実施形態では、空気による密封が最も費用効果の高い手法である。
【0047】
他の実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、不活性ガスを使用して密封される。適切な不活性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。好ましい実施形態では、不活性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、およびそれらの組み合わせである。コスト上の理由から、窒素が最も好ましい。1000℃を超える温度を使用する場合、窒素はこれらの温度を超えるとシアン化合物を形成する可能性があるため、アルゴン、ヘリウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される不活性ガスが好ましい。有利なことに、エネルギー貯蔵装置が密閉されているときに不活性ガスを使用すると、るつぼの高温環境に起因する酸化などの望ましくない反応を防止または改善することができ、エネルギー貯蔵装置の寿命を延ばすことができる。
【0048】
当業者によって理解されるように、熱交換器は、必要な用途および温度に応じて、任意の形状または材料であり得る。好ましい実施形態では、熱交換器の形状は、熱交換器がチャネルに適合し、エネルギーをるつぼにおよび/またはるつぼから伝達することができるように、るつぼのチャネルに相補的である。
【0049】
エネルギー貯蔵装置は、複数の熱交換器を含むことができることを理解されたい。特定の実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個以上の熱交換器を含む。いくつかの実施形態では、各熱交換器は、各熱交換器を使用して、必要に応じてエネルギーを入力するかまたはエネルギーを抽出することができるように、別個の独立した回路である。
【0050】
いくつかの実施形態では、熱交換器は管状である。特定の実施形態では、管状熱交換器は、円形、正方形、長方形、楕円形、三角形、四辺形、五角形、六角形、九角形、六角形、七角形、八角形または不規則な形状からなる群から選択される断面形状を有する。好ましい実施形態では、管状熱交換器は円形熱交換器である。いくつかの実施形態では、熱交換器は、熱交換器の表面に配置されているフィン(波状フィン、ピンフィン、直線フィン、クロスカットフィン、楕円フィンまたはハニカムフィンなど)、ワイヤメッシュ、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、フィンはピンフィンである。特定の実施形態では、フィンは、インライン、千鳥状、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0051】
一実施形態では、熱交換器の材料は、合金、チタン、またはセラミックである。いくつかの実施形態では、熱交換器の材料は、超合金または耐火セラミックなどの高温セラミックである。好ましくは、熱交換器の材料は、動作温度での酸化または劣化に対して耐性がある。一実施形態では、熱交換器の材料は、ホウ化物、炭化物、窒化物、遷移金属の酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。一実施形態では、遷移金属の酸化物は、二ホウ化ハフニウム、二ホウ化ジルコニウム、窒化ハフニウム、窒化ジルコニウム、炭化チタン、窒化チタン、二酸化トリウム、炭化タンタル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0052】
特定の実施形態では、熱交換器の材料は、ニッケル系超合金、コバルト系超合金、鉄系超合金、クロム系超合金、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される超合金である。
【0053】
特定の実施形態において、超合金は、チタングレード2合金、TP439、Al29-4C、Al2003、Al2205、Al2507、TP304、TP316、TP317、254SMO、AL6XN、alloy 309S、alloy 310H、alloy 321H、alloy 600、alloy 601、alloy 625、alloy 602CA、alloy 617、alloy 718、alloy 740H、alloy 230、alloy X、HR214、HR224、IN600、IN740、ヘインズ282、ヘインズ230、347SS、316L、AFA-OC6、C-276、P91/T122、316SS、IN601、IN800H/H、ハステロイ X、CF8C+、HR230、IN61、IN62、253MA、800H、800HT、RA330、353MA、HR120、RA333、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましい実施形態では、熱交換器の材料は、alloy 625、alloy 740H、alloy 230、alloy 617、800HT、およびそれらの組み合わせである。熱交換器に適した非限定的な合金材料を表1に示す。
【0054】
【0055】
いくつかの実施形態では、熱交換器の材料は、炭化ケイ素、グラファイト、強化ポリマー、粘土、磁器、カーボンナノチューブ、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、鋼、ムライト、酸化ジルコニウム、ダクタイル鉄、鋳鉄、ステンレス鋼、コロンビアの合金(alloys of columbian)、タンタル、モリブデン、タングステンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
本発明の相変化材料は、エネルギーを貯蔵または抽出するときに相(すなわち、固体、液体、気体、またはプラズマ)を変化させる任意の適切な材料であり得る。相変化材料は、材料が相変化を起こすときにほぼ一定の温度で材料の状態を変化させるためにエネルギーを貯蔵または抽出することができる潜在的なエネルギー貯蔵材料である。たとえば、水は、凝固および融解中に相変化を起こすとき潜在的なエネルギー貯蔵材料である。
【0057】
好ましい相変化材料には、アルミニウム、亜鉛、鉛、スズ、マグネシウムなどの任意の金属、またはこれらの金属のいずれか1つまたは複数を含む合金が含まれる。最も好ましくは、相変化材料は、アルミニウム、またはアルミニウムを含む合金、またはその塩水和物である。
【0058】
有利には、相変化材料の使用は、貯蔵および抽出される多量のエネルギーを提供し、それにより長期間エネルギーを貯蔵することができる効率的なエネルギー貯蔵システムに適している。さらに、使用するるつぼ材料および相変化材料に応じて、るつぼおよび相変化材料の組み合わせを含むエネルギー貯蔵装置により、資本コストを下げることができる。必要なるつぼ材料が少なく、相変化材料は典型的にはるつぼ材料よりも安価であるためである。
【0059】
外部環境へのエネルギー損失を回避するために、エネルギー貯蔵装置は断熱材を備えることができる。断熱材は、外部環境に失われる熱エネルギーの量を最小限に抑えるために、るつぼの表面に適切に配置することができる。断熱材は、エネルギー貯蔵装置の操作中に操作者が燃焼のリスクを減らすことができる。いくつかの実施形態では、断熱材は、様々な材料を使用する複数の断熱層を含むことができる。
【0060】
断熱材に適した材料は、断熱ボード、アルカリアースシリケートウール、断熱ブランク、ガラス繊維、ミネラルウール、ポリマー、および発泡体からなる群から選択することができる。たとえば、様々な仕様の、カーボレーン(Carbolane)またはSuperwool(登録商標)ブランケット(Morgan Advanced Materials)およびボードの複数の層を使用して、エネルギー損失を防ぐことができる。高温に対応できる任意の断熱材をエネルギー貯蔵装置に使用できることも理解されたい。
【0061】
別の態様では、本発明は、エネルギーを可逆的に貯蔵および/または抽出する方法を提供し、前記方法は、
・相変化材料を加熱して相変化を誘起し、それによって潜在エネルギーを貯蔵する、加熱するステップと、
・エネルギーが相変化材料から熱伝達媒体に伝達されるように、相変化材料の温度よりも低い温度を有する熱伝達媒体を流すことによってエネルギーを抽出するステップと、を含み、
それにより、可逆的なエネルギー貯蔵および抽出を提供する。
【0062】
一実施形態では、熱伝達媒体の温度は、相変化材料の相変化温度よりも低い。好ましい実施形態では、熱伝達媒体は熱伝達流体(HTF)である。
【0063】
さらなる態様において、本発明は、エネルギーを可逆的に貯蔵および/または抽出する方法を提供し、前記方法は、
・相変化材料を含むるつぼを加熱して相変化を誘起し、それによってエネルギーを貯蔵する、加熱するステップと、
・エネルギーが相変化材料から熱伝達媒体に伝達されるように、相変化材料の温度よりも低い温度を有するるつぼに沿って熱伝達媒体を流すことによってエネルギーを抽出するステップと、を含み、
それにより、可逆的なエネルギー貯蔵および抽出を提供する。
【0064】
一実施形態では、熱伝達媒体の温度は、相変化材料の相変化温度よりも低い。好ましい実施形態では、熱伝達媒体は熱伝達流体である。
【0065】
一実施形態では、この方法は、エネルギー貯蔵装置のるつぼを加熱して相変化材料を加熱するステップを含む。別の実施形態では、熱伝達媒体は、エネルギー抽出の間に相変化を受けない。
【0066】
さらに別の態様では、本発明は、本明細書に記載の複数のエネルギー貯蔵装置を含むエネルギー貯蔵アレイを提供する。各装置は、好ましくは、少なくとも1つの隣接する装置と熱的、流体的および/または電気的に連通して保持される。
【0067】
一実施形態では、アレイはモジュールの形態である。モジュールは区分的に組み立てられることが好ましい。好ましくは、モジュールはハウジング内に含まれる。一実施形態では、ハウジングは輸送コンテナなどである。別の実施形態では、輸送コンテナの内部は、本明細書に記載されるように、複数のエネルギー貯蔵装置(すなわち、各エネルギー貯蔵装置が典型的には1つのグラファイトパネルである複数のグラファイトパネル)を受け入れるように適合されている。一実施形態では、複数の装置は、直列または並列に配置される。一実施形態では、20フィートの輸送コンテナは、約35個の電気抵抗器を含む8個のグラファイトパネルおよび7個の抵抗器ラックを収容する。好ましい実施形態では、20フィートの輸送コンテナは、パネルごとに32個のヒーターを含む2つのグラファイトパネルを収容する。
【0068】
他の実施形態では、ハウジングは、上述のように密封および/または絶縁することができる。
【0069】
有利には、エネルギー貯蔵アレイを使用するモジュラー手法は、様々なエネルギー需要を満たすために貯蔵および抽出することができる総エネルギーの制御を提供する。
【0070】
定義
本発明を説明および特許請求する際に、以下の用語が、以下に記載される定義に従って使用される。本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことも理解されたい。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0071】
文脈が明らかに他のことを要求しない限り、説明および特許請求の範囲全体を通して、「含む」、「含んでいる」などの単語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味で、すなわち「含むがこれに限定されない」という意味で、解釈されるべきである。
【0072】
本明細書で使用される場合、「からなる」という句は、クレームで指定されていない任意の要素、ステップ、または成分を除外する。前文の直後ではなく、クレームの本文の節に「からなる」(またはその変形)という句が現れる場合、その節に記載されている要素のみを制限する。その他の要素は、全体としてクレームから除外されない。本明細書で使用される場合、「本質的になる」という句は、クレームの範囲を、特定の要素または方法ステップに加えて、クレームされた主題の基礎および新規の特性に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。
【0073】
これらの3つの用語のうちの1つが本明細書で使用される場合、「含む」、「からなる」、および「本質的にからなる」という用語に関して、現在開示され、請求される主題は、他の2つの用語のいずれかの使用を含み得る。したがって、他に明示的に記載されていないいくつかの実施形態では、「含む」の任意の場合は、「からなる」によって、または、代替的に「本質的にからなる」によって置き換えられ得る。
【0074】
実施例以外に、または他に示された場合以外に、本明細書で使用される成分の量または反応条件を表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。実施例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。以下で、または特に明記されていない限り、「%」は「重量%」を意味し、「比率」は「重量比」を意味し、「部」は「重量部」を意味する。
【0075】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、特に明記しない限り、関連する場合、50重量%を超えるものを含むことを意味するものとする。
【0076】
端点を使用した数値範囲の記載には、その範囲内に包含されるすべての数が含まれる(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0077】
「好ましい(preferred)」および「好ましくは(preferably)」という用語は、特定の状況下で特定の利益をもたらす可能性のある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じまたは他の状況下で、他の実施形態もまた好ましい場合がある。さらに、1つまたは複数の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用ではないことを意味するものではなく、本発明の範囲から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0078】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含むことにも留意されなければならない。
【0079】
本明細書で言及される先行技術は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0080】
開示された技術の例示的な実施形態が本明細書で詳細に説明されているが、他の実施形態が企図されていることが理解されるべきである。したがって、開示された技術は、その範囲が、以下の説明に記載されているか、または図面に示されている構成要素の構造および配置の詳細に限定されることを意図するものではない。開示された技術は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行することができる。
【0081】
本発明の好ましい実施形態は、ここで、例示としてのみ、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1a】本発明のエネルギー貯蔵装置の実施形態の側面斜視図を示している。
【
図1b】本発明のエネルギー貯蔵装置の実施形態の
図1aの線A-Aに沿って取られた断面斜視図を示している。
【
図1c】本発明のエネルギー貯蔵装置の実施形態の熱交換管/配管が相変化材料から隔離された状態に保たれている上面図を示している。
【
図2a】電気加熱要素を使用するエネルギー貯蔵アレイの斜視図を示す。
【
図2b】熱交換器全体にわたる熱加熱(要素なし)の斜視図を示す。
【
図3a】るつぼの内部に加熱要素チャネルを有するエネルギー貯蔵装置の実施形態を示す。
【
図3c】それぞれ深い空洞のるつぼ構成要素および浅い空洞のるつぼ構成要素の実施形態を示す。
【
図4】グリッド接続を備えたシステム全体における本発明のエネルギー貯蔵装置を含むモジュールの実装の代表的な例を示す。
【
図5】様々な温度でのアルミニウムエネルギー貯蔵の体積比の比較を示す。(a)貯蔵された熱エネルギー(kWh/トン(tonne))対約400~800℃の間のアルミニウム体積(%)、(b)蓄積された熱エネルギー(kWh/トン(tonne))対約400~1000℃の間のアルミニウムの体積(%)。
【
図6】グラファイトに対するアルミニウムの様々な相対量(wt%)での約400~800℃の温度の間および約400~1000℃の温度の間のアルミニウムを使用するエネルギー貯蔵の体積比の比較を示す。
【
図7】エネルギー貯蔵装置がチャージされる実施形態の熱交換器の温度を示す。(a)ヒーター温度は最大700℃、総電力は522kWに設定されている。5時間のチャージ後、熱交換器配管の最高温度は675℃に達する。(b)エネルギー貯蔵装置がチャージされる実施形態の熱交換器の温度を示す。ヒーター温度は最大800℃、総電力は522kWに設定されている。アルミニウムPCMを使用しない場合、3時間のチャージで熱交換器配管の最高温度は675℃に達する。ただし、アルミニウムPCMを使用すると、温度上昇の傾きが平坦になり、ヒーター制御が応答する時間が長くなる。
【
図8a】キルンのセットアップの写真を示す。扉の密封性向上およびセラミック熱電対の設置前のコントローラを備えたキルンの外部である。
【
図8b】キルンのセットアップの写真を示す。温度コントローラおよび補助熱電対を示すキルンの内部である。
【
図8c】キルンのセットアップの写真を示す。グラファイトるつぼ内の相変化材料の試験を示す構成である。
【
図9】グラファイトるつぼ中の相変化材料(アルミニウム)の加熱および冷却の痕跡を示す。
図9は、予想温度約679℃でのPCMの加熱および冷却の痕跡の明確な「曲がり部」を示す。
【
図10】20mmの厚さのアルミニウム板を使用して、相変化材料としての固体アルミニウム片の挙動を観察し、さらにアルゴン流(3L/分)および酸素検知を検証するための、加熱および冷却温度曲線を示す。約640℃で加熱および冷却において明確な曲がり部の温度が観察された。
【
図11】アルミニウム相変化材料の一貫した融点を示す、2週間にわたって実施された、グラファイトるつぼ内のアルミニウムロッドの加熱および冷却の5つの試験を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
当業者は、本発明が、本明細書に開示される実施形態および特徴、ならびに開示される実施形態および特徴のすべての組み合わせおよび/または順列を含むことを理解するであろう。
【0084】
出願人は、金属相変化材料の使用により、高温の用途(最大約1000℃)を提供でき、超臨界CO2(すなわち、使用される流体の相変化がない)を使用するブレイトンサイクル発電機とともに使用でき、それにより、約400℃から約1000℃、好ましくは約400℃から約850℃の範囲の動作温度に適していることを予期せず発見した。これは、従来の材料の使用により低温動作に本質的に制限されていた最先端技術に対する重要な進歩を表している。
【0085】
一形態では、本発明は、エネルギーを可逆的に貯蔵する方法を提供し、前記方法は以下のステップ:相変化材料を加熱して相変化を誘起し、それによって潜在エネルギーを貯蔵する、加熱するステップと;およびエネルギーが相変化材料から熱伝達媒体に伝達されるように、相変化材料の温度よりも低い温度を有する熱伝達媒体を流すことによってエネルギーを抽出するステップ;を含み、それにより、可逆的なエネルギー貯蔵および抽出を提供する。
【0086】
さらなる形態において、本発明は、エネルギーを可逆的に貯蔵する方法を提供し、前記方法は以下のステップ:相変化材料を含むるつぼを加熱して相変化を誘起し、それによってエネルギーを貯蔵する、加熱するステップと;およびエネルギーが相変化材料から熱伝達媒体に伝達されるように、相変化材料の温度より低い温度を有するるつぼに沿って熱伝達媒体を流すことによってエネルギーを抽出するステップ;を含み、それによって可逆的なエネルギー貯蔵および抽出を提供する。
【0087】
有利には、相変化材料の使用は、貯蔵および抽出される多量のエネルギーを提供し、それにより長期間エネルギーを貯蔵することができる効率的なエネルギー貯蔵システムに適している。
【0088】
一実施形態では、熱伝達媒体の温度は、相変化材料の相変化温度よりも低い。
【0089】
一実施形態では、この方法は、エネルギー貯蔵装置のるつぼを加熱して相変化材料を加熱するステップを含む。別の実施形態では、熱伝達媒体は、エネルギーの抽出の間に相変化を受けない。特定の実施形態では、貯蔵ステップ(例えば、加熱による)および抽出ステップ(発電のための)を同時に実行することができる。
【0090】
一実施形態では、相変化材料は、最大約1500℃、最大約1300℃、最大約1200℃、または最大約1000℃の相変化温度を有する。一実施形態では、相変化材料は、約80から約1500℃の間、約200から約1500℃の間、好ましくは約350から約1200℃の間、好ましくは約500から約1500℃の間、好ましくは約800から約1200℃の間、好ましくは約400から約1000℃の間、より好ましくは約400から約850℃の間、より好ましくは約400から約800℃の間、より好ましくは約550から約1000℃の間、最も好ましくは約600から約800℃の間の相変化温度を有する。相変化材料を使用すると、エネルギー貯蔵の費用効果を高めることができる。
【0091】
エネルギー貯蔵装置は、エネルギー貯蔵装置の総体積(v/v%)に対して任意の適切な量の相変化材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、相変化材料は、エネルギー貯蔵装置の総体積の、少なくとも約10v/v%、少なくとも約20v/v%、少なくとも約30v/v%、少なくとも約40v/v%、少なくとも約50v/v%、少なくとも約60v/v%、少なくとも約70v/v%、少なくとも約80v/v%、少なくとも約90v/v%である。いくつかの実施形態では、相変化材料は、エネルギー貯蔵装置の総体積の、約10v/v%未満、約20v/v%未満、約30v/v%未満、約40v/v%未満、約50v/v%未満、約60v/v%未満、約70v/v%未満、約80v/v%未満、約90v/v%未満である。いくつかの実施形態では、相変化材料は、エネルギー貯蔵装置の総体積の、約10から約90v/v%の間、約10から約80v/v%の間、約10から約70v/v%の間、約10から約60v/v%の間、約10から約50v/v%の間、約10から約40v/v%の間、約10から約30v/v%の間、より好ましくは約20v/v%または約30v/v%である。好ましい実施形態では、相変化材料は、エネルギー貯蔵装置の総体積の、約10から約35v/v%の間、より好ましくは約15から約30v/v%である。
【0092】
特定の実施形態では、相変化材料の熱伝導率は、約1から約300W/m.Kの間、約20から約300W/m.Kの間、約50から約300W/m.Kの間、約50から約250W/m.Kの間、約50から約220W/m.Kの間、より好ましくは約50から約200W/m.Kの間である。
【0093】
特定の実施形態において、相変化材料の潜熱は、約20から約600kJ/kgの間、約20から約500kJ/kgの間、約20から約80kJ/kgの間、約50から約400kJ/kgの間、約50から約350kJ/kgの間、約100から約350kJ/kgの間、約150から約350kJ/kgの間、約350から約450kJ/kgの間、約200から約300kJ/kgの間、好ましくは約300から約400kJ/kgの間、好ましくは約150から約600kJ/kgの間、好ましくは約200から約600kJ/kgの間、好ましくは約300から約600kJ/kgの間、より好ましくは約250から約600kJ/kgの間である。
【0094】
いくつかの実施形態では、相変化材料は、約100kJ/kgを超える、約100から約1000kJ/kgの間の、約100から約700kJ/kgの間の、約350から約450kJ/kgの間の、好ましくは約300から約700kJ/kgの間の、好ましくは約450から約600kJ/kgの間の、好ましくは約560kJ/kgの、より好ましくは約400kJ/kgの融解熱を有する。典型的には、融解熱が高いほど、所定の体積の相変化材料に対してより多くのエネルギーを蓄えることができるため、より良い結果が得られる。
【0095】
一実施形態では、相変化材料は、有機、無機、または共晶材料である。一実施形態では、相変化材料は、金属、金属合金、塩水和物、またはそれらの組み合わせである。有利なことに、金属相変化材料は、高い熱伝導率を有し、エネルギーのチャージ、貯蔵、および抽出の効率を改善することができる。
【0096】
いくつかの実施形態において、相変化材料は、水、硫酸ナトリウム、ラウリン酸、トリメチロールエタン、硝酸マンガン、ケイ酸ナトリウム、アルミニウム、銅、金、鉄、鉛、リチウム、銀、チタン、亜鉛、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硝酸カリウム、水酸化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、臭化カリウム、炭素数14から34のパラフィン、ギ酸、カプリル酸、グリセリン、p-ラティック酸(p-lattic acid)、パルミチン酸メチル、カンフェニロン、臭化ドカシル(docasyl bromide)、カプリロン、フェノール、ヘプタデカノン、1-シクロヘキシルオクタデカン、4-ヘプタダカノン(4-heptadacanone)、p-トルイジン、アルファナフトール、グラウタリック酸(glautaric acid)、p-キシレンジクロリド、安息香酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0097】
特定の実施形態では、相変化材料は、アルミニウム、亜鉛、鉛、スズ、マグネシウム、シリコン、およびそれらの合金からなる群から選択される。好ましい実施形態では、相変化材料は、アルミニウム、亜鉛、亜鉛合金、鉛、鉛合金、スズ、スズ合金、マグネシウム、マグネシウム合金、シリコン、シリコン合金、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0098】
相変化材料がアルミニウム合金である場合、合金は、約1重量%から約90重量%の間のアルミニウム、約1重量%から約80重量%の間のアルミニウム、約1重量%から約70重量%の間のアルミニウム、約1重量%から約60重量%の間のアルミニウム、約1重量%から約50重量%の間のアルミニウム、約40重量%から約60重量%の間のアルミニウム、約5重量%から約25重量%の間のアルミニウム、好ましくは約10重量%から約20重量%の間のアルミニウムを含むことができ、残部は合金である。
【0099】
相変化材料が亜鉛合金である場合、合金は、約1重量%から約90重量%の間の亜鉛、約1重量%から約80重量%の間の亜鉛、約1重量%から約70重量%の間の亜鉛、約1重量%から約60重量%の間の亜鉛、約1重量%から約50重量%の間の亜鉛、約5重量%から約25重量%の間の亜鉛、好ましくは約10重量%から約20重量%の間の亜鉛を含むことができ、残部は合金である。
【0100】
相変化材料が鉛合金である場合、合金は、約1重量%から約90重量%の間の鉛、約1重量%から約80重量%の間の鉛、約1重量%から約70重量%の間の鉛、約1重量%から約60重量%の間の鉛、約1重量%から約50重量%の間の鉛、約5重量%から約25重量%の間の鉛、好ましくは約10重量%から約20重量%の間の鉛を含むことができ、残部は合金である。
【0101】
相変化材料がスズ合金である場合、合金は、約1重量%から約90重量%の間のスズ、約1重量%から約80重量%の間のスズ、約1重量%から約70重量%の間のスズ、約1重量%から約60重量%の間のスズ、約1重量%から約50重量%の間のスズ、約5重量%から約25重量%の間のスズ、好ましくは約10重量%から約20重量%の間のスズを含むことができ、残部は合金である。
【0102】
相変化材料がマグネシウム合金である場合、合金は、約1重量%から約90重量%の間のマグネシウム、約1重量%から約80重量%の間のマグネシウム、約1重量%から約70重量%の間のマグネシウム、約1重量%から約60重量%の間のマグネシウム、約1重量%から約50重量%の間のマグネシウム、約5重量%から約25重量%の間のマグネシウム、好ましくは約10重量%から約20重量%の間のマグネシウムを含むことができ、残部は合金である。
【0103】
一実施形態では、相変化材料は、12重量%のアルミニウム(すなわち、AlSi12として知られている)を含むアルミニウムシリコン合金である。また、20重量%のアルミニウムを含むAlSi20も適している。
【0104】
AlSi12は、約576℃の溶融温度および約560kJ/kgの融解熱を有し、AlSi20は、約585℃の溶融温度および約460kJ/kgの融解熱を有する。表2は、AlSi12の物理的特性を示す。また、AlSi12の融解熱は、AlSi12の比熱容量よりもはるかに大きいことは明らかである。
【0105】
【0106】
他の適切な相変化材料は、59Al/35Mg/6Zn、60Mg/25Cu/15Zn、52Mg/25Cu/23Ca、54Al/22Cu/18Mg/6Zn、65Al/30Cu/5Si、46.3Mg/53.7Zn、96Zn/4Al、86.4Al/9.4Si/4.2Sb、34.65Mg/65.35Al、60.8Al/33.2Cu/6Mg、64.1Al/5.2Si/28Cu/2.2Mg、68.5Al/5Si/26.5Cu、64.3Al/34Cu/1.7Sb、66.92Al/33.08Cu、83.12Al/11.7Si/5.16Mg、87.76Al/12.24Si、46.3Al/4.6Si/49.1Cu、88Al/12Siおよびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。合金のそれぞれの成分の量は、化学量論比ではなく、w/w%である。
【0107】
合金は、不純物として、鉄、銅、マンガン、マグネシウム、鉛、ニッケル、亜鉛、チタン、スズ、ストロンチウム、クロムなどの追加の元素を含むことができることが理解されるだろう。
【0108】
相変化材料として列記されたものは、網羅的ではなく、相変化材料の特定の例を単に例示しているにすぎない。
【0109】
様々な相変化材料の物理的特性を表3から8に提供する。
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
特定の実施形態では、相変化材料の相変化は、気液状態間、固液状態間、および固気状態間であり得る。
【0117】
当業者によって理解されるように、本発明の熱伝達媒体は、相変化材料とエネルギーを伝達することができる任意の適切な媒体であり得る。いくつかの実施形態では、熱伝達媒体は、液体、気体、固体、超臨界流体、プラズマ、またはそれらの組み合わせである。
【0118】
一実施形態では、熱伝達媒体は、空気または超臨界二酸化炭素などの超臨界流体であり、好ましくは超臨界二酸化炭素である。好ましい実施形態では、熱伝達媒体は、エネルギーを貯蔵または抽出するときに相変化しない。これらの実施形態では、熱伝達媒体は、約400℃から約1000℃の範囲の動作温度を有するブレイトンサイクル発電機などの高温用途に使用することができる。
【0119】
超臨界流体を使用する場合、熱伝達媒体の相変化は起こらないので、より高いエネルギー伝達効率およびより高温の用途での使用が適切である。
【0120】
いくつかの実施形態では、熱伝達流体は、液体ナトリウム(Na)、液体カリウム(K)、液体NaK、液体スズ(Sn)、液体鉛(Pb)、液体鉛ビスマス(PbBi)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、熱伝達流体は、液体ナトリウム(Na)、液体カリウム(K)、液体NaK(77.8%K)、液体スズ(Sn)、液体鉛(Pb)、液体鉛ビスマス(PbBi)(45%/55%)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0121】
特定の実施形態では、熱伝達媒体は、水、超臨界二酸化炭素、圧縮空気、圧縮窒素、有機流体(ダウサムAを含むサーマルオイルなど)、塩水和物、液体金属(水銀およびカリウムなど)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0122】
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ベタイン、ヘキサミン、フェニレンジアメン(phenylenediamene)、ジメチルエタノールアミン、ヘキサフルオリド硫黄、ベンゾトリアゾール、亜鉛ジチオホスフェート、ナノ粒子、ポリアルキレングリコールおよびそれらの組み合わせなどの添加剤を熱伝達媒体に添加または混合して、腐食を抑制し、粘度を変化させ、熱容量を高めることができる。
【0123】
熱伝達媒体の流量は、熱交換器と相変化材料との間でエネルギーを伝達するのに十分な任意の適切な速度であり得る。特定の実施形態では、るつぼあたりの熱伝達媒体の流量は、約5から約500L/分の間、約5から約300L/分の間、約5から約200L/分の間、約100から約500L/分の間、約200から約500L/分の間、約300から約500L/分の間、約5から約100L/分の間、約5から約80L/分の間、約10から約80L/分の間、約20から約60L/分の間、および好ましくは約20から約50L/分の間である。
【0124】
特定の実施形態では、るつぼあたりの熱伝達媒体の流量は、約5から約500kg/分の間、約5から約300kg/分の間、約5から約200kg/分の間、約200から約300kg/分の間、約100から約500kg/分の間、約200から約500kg/分の間、約300から約500kg/分の間、5から約100kg/分の間、約5から約80kg/分の間、約10から約80kg/分の間、好ましくは約20から約60kg/分の間、好ましくは約30から約60kg/分の間、好ましくは約20から約40kg/分の間、および好ましくは約50から約70kg/分である。
【0125】
流量および使用される熱伝達媒体に応じて、エネルギーを貯蔵または抽出するためのエネルギー伝達速度(例えば、相変化材料または熱伝達媒体へのエネルギー伝達速度)は、必要に応じて調整することができる。いくつかの実施形態では、エネルギー伝達速度は、約5から約100℃/分の間、約5から約80℃/分の間、約5から約60℃/分の間、約5から約50℃/分の間、およびより好ましくは約5から約30℃/分の間である。
【0126】
いくつかの実施形態では、相変化材料からのエネルギー抽出の結果として熱伝達媒体の温度が上昇し、温度上昇は、エネルギーの抽出よりも前の温度と比較して、約10から約800℃の間、約50から約800℃の間、約100から約800℃の間、約100から約800℃の間、約100から約700℃の間、約100から約600℃の間、約100から約300℃の間、約200から約500℃の間、好ましくは約100から約300℃の間である。
【0127】
いくつかの実施形態では、熱伝達流体は、作動流体である。好ましい実施形態では、作動流体は超臨界CO2である。当業者によって理解されるように、熱伝達流体は、エネルギー、典型的には熱エネルギーの受動的な伝達を可能にする媒体(気体または液体など)である。当業者によって理解されるように、作動流体は、主に力、運動、または機械的エネルギーを伝達する媒体(気体または液体など)である。典型的には、超臨界CO2などの作動流体は熱エネルギーを機械エネルギーに変換して、ブレイトンサイクル発電機またはタービンに動力を供給して発電する。
【0128】
特定の実施形態において、作動流体は、約400℃から約1000℃の間、約400℃から約850℃の間、約500℃から約800℃の間、約400℃から約775℃の間、および約400℃から約675℃の間の範囲の動作温度を有する。
【0129】
特定の実施形態において、作動流体は、約50バールから約500バール(約5MPaから約50MPa)の間、約100バールから約400バール(約10MPaから約40MPa)の間、約150バールから約300バール(約15MPaから約30MPa)の間、約200バールから約300バール(約20MPaから約30MPa)の間、約200バールから約260バール(約20MPaから約26MPa)の間、より好ましくは約220バールから約270バール(約22MPaから約27MPa)の間の範囲の、さらに好ましくは約250バール(約25MPa)の動作圧力を有する。特定の実施形態において、作動流体は、250バール(約25MPa)において約400℃から約775℃の間、より好ましくは250バール(約25MPa)において約400℃から約675℃の間の範囲の動作温度を有する。
【0130】
さらに別の形態では、本発明は、本明細書に記載の複数のエネルギー貯蔵装置を含むエネルギー貯蔵アレイを提供する。有利なことに、エネルギー貯蔵アレイは、エネルギー貯蔵のために所望の場所に容易に輸送することができる。例えば、アレイが輸送コンテナ内に収容されている場合、得られたモジュールは、道路、鉄道、海などによって容易に輸送可能である。
【0131】
いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、並列または直列に構成することができる。一実施形態では、加熱要素は、エネルギー貯蔵装置の外部にある。
【0132】
エネルギー貯蔵アレイは、必要に応じて任意の数のエネルギー貯蔵装置を含むことができることを理解されたい。特定の実施形態では、エネルギー貯蔵アレイは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個以上のエネルギー貯蔵装置を含む。好ましい実施形態では、エネルギー貯蔵アレイは、8つのエネルギー貯蔵装置を含む。
【実施例】
【0133】
実施例1 るつぼ
図1a~cを参照すると、エネルギー装置100(図示せず)で使用するためのるつぼ102が示されている。るつぼ102は、るつぼ本体102の外面に配置されたチャネル104を有し、ここで、熱交換器106の一部がチャネルに沿って配置されている。るつぼ102は、相変化材料110(図示せず)を貯蔵するための2つの空洞108を有する。熱交換器106は、相変化材料110から隔離されている。
【0134】
代替構成(図示せず)では、チャネル104を有し、るつぼ102の本体内に少なくとも2つの開放端を有するエネルギー装置100で使用するためのるつぼ102を使用することができる。この構成では、熱交換器106の一部は、使用時に、熱伝達媒体が、るつぼ102の本体を通って熱交換器106の入口から出口に流れることができるように、るつぼのチャネル104内に入れられる。
【0135】
実施例2 エネルギー貯蔵装置の電気加熱
便宜上、代替構成を示す残りの図の番号付けは、
図1のとおりとなっている。
【0136】
図2aを参照すると、エネルギー貯蔵装置100は、るつぼ102(図示せず)を含む。エネルギー貯蔵装置100の外部の加熱要素112は、エネルギー貯蔵装置100と加熱において連通して配置され、るつぼ102および相変化材料110(図示せず)を加熱する。加熱要素112は、抵抗器ラック(図示せず)内の一連の電気抵抗器として提供される。もちろん、加熱要素112がエネルギー貯蔵装置と一体である(図示せず)代替構成も可能である。
【0137】
加熱要素112の電圧は、適切にはそれぞれの電気抵抗器112aについて約10Vから約1000Vの間、より適切にはそれぞれの電気抵抗器112aについて約20Vから約600Vの間、好ましくはそれぞれの電気抵抗器112aについて約20Vから500Vの間、最も好ましくはそれぞれの電気抵抗器112aについて約24Vから約415Vの間である。
【0138】
図2aは、8個のエネルギー貯蔵装置100およびエネルギー貯蔵装置100の外部にある7個の抵抗器ラックを有するエネルギー貯蔵アレイ114を示している。各抵抗器ラックは、5個の電気抵抗器を有する。エネルギー貯蔵アレイ114は、輸送を容易にするために、輸送コンテナなどのコンテナ内で使用することができる。
【0139】
相変化材料110は、るつぼ102が加熱要素112によって加熱されるとき、熱エネルギーが相変化材料110に伝達されてエネルギーを貯蔵するように、るつぼ102内に配置される。熱交換器106は、必要なときに相変化材料110から熱エネルギーを抽出できるように、るつぼ102内に入れられている。熱交換器106は、相変化材料110からの熱エネルギーの貯蔵および/または抽出、ならびに前記熱エネルギーを電気に変換することを容易にする高圧配管ネットワークであり得る。熱交換器106は、入口と出口を有する。熱交換器106の入口は、一般的に、高圧ポンプ(図示せず)に接続され、出口は、一般的に、タービン(図示せず)に接続される。これに関して、熱交換器106は、所望の場合または必要に応じて熱伝達媒体を追加することができる入口を有する。
【0140】
熱伝達媒体が熱交換器106を通って流れ、相変化材料110からエネルギーを抽出するとき、エネルギーは、ブレイトンサイクル発電機またはタービンと組み合わせて使用することができる。タービンは当技術分野でよく知られており、当業者は、流れる熱伝達材料から電気を生成することができる任意のタービンまたは装置をエネルギー貯蔵装置100とともに使用できることを理解するだろう。
【0141】
実施例3 エネルギー貯蔵装置の熱加熱
図2bを参照すると、エネルギー貯蔵装置100は、るつぼ102を含む。加熱要素は、エネルギー貯蔵装置100の外部に配置される(図示せず)。
【0142】
図2bは、8個のエネルギー貯蔵装置100を有するエネルギー貯蔵アレイ114を示している。エネルギー貯蔵アレイ114は、容易な輸送および効果的なハウジングのために、輸送コンテナなどのコンテナ内で使用することができる。
【0143】
相変化材料110は、るつぼ102が熱加熱要素112によって加熱されるときに、熱エネルギーが相変化材料110に直接伝達されてエネルギーを貯蔵するように、るつぼ102内に配置される。これは、熱交換器106の1つの回路によって提供される。加熱要素112は熱伝達媒体を加熱し、るつぼ102を通じた放射によりエネルギーを貯蔵する。
【0144】
熱交換器106の別個の独立回路は、それが相変化材料110から熱エネルギーを抽出することができるように、るつぼ102内に入れられている。熱交換器106は、相変化材料110からの熱エネルギーの抽出および前記熱エネルギーの電気への変換を容易にする高圧配管ネットワークであり得る。
【0145】
実施例2と同様に、エネルギーは、ブレイトン発電機またはタービンと組み合わせて使用して、電気を生成することができる。
【0146】
実施例4 るつぼ内のエネルギー貯蔵装置の電気加熱
図3aを参照すると、エネルギー貯蔵装置100は、るつぼ102を含み、るつぼは、相変化材料110を貯蔵するための空洞108、熱交換器106(図示せず)を受け入れるためのチャネル104、および加熱要素112(図示せず)を受け入れるための加熱要素チャネル116を有する、好ましくはグラファイト製の構成部品によって組み立てられる。一連の加熱要素チャネルは、複数の加熱要素112を受け入れるために提供される。加熱要素112は、エネルギー貯蔵装置100の内部、より具体的にはるつぼ102内にある。加熱要素112は、るつぼ102および相変化材料110を加熱するために、るつぼ102と加熱連通している。加熱要素112は、加熱要素チャネル116に挿入され得る電気抵抗器の形態であり、任意選択で、加熱要素は、加熱要素チャネルと機械的に係合して、加熱要素をエネルギー貯蔵装置内に固定することができる。
【0147】
相変化材料110は、るつぼ102が内部加熱要素112によって加熱されるとき、熱エネルギーが相変化材料110に伝達されてエネルギーを貯蔵するように、るつぼ102内に配置される。熱交換器106は、必要なときに相変化材料110から熱エネルギーを抽出できるように、るつぼ102内に入れられている。熱交換器106は、相変化材料110からの熱エネルギーの貯蔵および/または抽出、ならびに前記熱エネルギーを電気に変換することを容易にする高圧配管ネットワークであり得る。熱交換器106は、入口および出口を有する。熱交換器106の入口は、一般的に、高圧ポンプ(図示せず)に接続され、出口は、一般的に、タービン(図示せず)に接続される。これに関して、熱交換器106は、所望の場合または必要に応じて、熱伝達媒体または超臨界流体を加えることができる入口を有する。
【0148】
熱伝達媒体が熱交換器106を通って流れ、相変化材料110からエネルギーを抽出するとき、エネルギーは、ブレイトンサイクル発電機またはタービンと組み合わせて使用することができる。タービンは当技術分野でよく知られており、当業者は、流れる熱伝達材料から電気を生成することができる任意のタービンまたは装置をエネルギー貯蔵装置100とともに使用できることを理解するだろう。
【0149】
相変化材料110は、加熱要素112(図示せず)を受け入れる加熱要素チャネル116と、熱交換器106を受け入れるチャネル104との間に配置される。この構成において、相変化材料は、有利には、加熱要素112と熱交換器106との間に熱障壁を提供し、熱交換器が過熱しないようにし、また熱交換器材料の温度が動作限界を超えないようにする。
【0150】
熱交換器106は、sCO2ブレイトンサイクル発電機に対して高温高圧で、典型的には100~250バール以上および500℃~800℃以上で、作動する。圧力は、一般的に、動作の間固定され、その結果、熱交換器106が最大定格動作温度に到達しまたはそれを超過することを回避するために、熱交換器106の温度が管理および制御される。
【0151】
本発明のエネルギー貯蔵装置100は、過剰または安価な再生可能エネルギーの期間中(例えば、日中のピーク時間中)にチャージ(熱エネルギーを貯蔵)することができる。典型的には、エネルギー貯蔵装置100を完全にチャージするための4時間のウィンドウが存在する。チャージ時間を最小化するために、加熱要素112の電力を最大化し、加熱要素112の温度を最大化することが望ましい。
【0152】
加熱要素112と熱交換器106との間に相変化材料熱障壁(「壁」)を有することにより、相変化材料110が潜熱を吸収し、配管の温度上昇を制御および管理しやすくするので、熱交換器106の加熱速度は、温度限界に近づくにつれて遅くなる。
【0153】
図3bは、
図3aのエネルギー貯蔵装置の実施形態の正面図である。
【0154】
図3cは、それぞれ、深いおよび浅い空洞108のグラファイトるつぼ構成要素の構成要素の実施形態を示している。空洞るつぼ構成要素は、相変化材料110(図示せず)を完全に収容/貯蔵し、溶融アルミニウム110が漏出して熱交換器106(図示せず)に接触することを改善または防止するように設計することができる。空洞るつぼ構成要素は、熱交換器チャネルるつぼ構成要素および加熱要素チャネルるつぼ構成要素などの他のるつぼ構成要素と一緒に組み立てて、全体のるつぼ102を形成することができる。
【0155】
実施例5 sCO2熱交換器配管の材料選択
出願人は、以下の動作基準に基づいて、超臨界CO2に適した20個の潜在的な熱交換器材料を評価した。
・500~800℃の間の温度;
・100~250バール(およびそれ以上)の圧力;
・熱伝達流体としてのsCO2および空気;および
・固体黒鉛るつぼに埋め込まれた熱交換器の配管。
【0156】
適合性を決定するために、各熱交換器材料を評価し、それらの温度/圧力性能、耐浸炭性、溶接性、曲げ性、利用可能性、コスト、sCO2との適合性、および溶融アルミニウムとの適合性に関してランク付けした。上記の基準に基づいて(降順で)最終候補に挙げられランク付けされた材料は、合金625、740H、230、617、および800HTである。しかしながら、エネルギー貯蔵装置の用途に応じて、他の熱交換器材料もまた、本発明のエネルギー貯蔵装置での使用に適している場合がある。
【0157】
以下の合金材料が好ましい:
・625は、殆どのカテゴリで上位にランクされていることに起因して、好ましい熱交換器材料である。
・740Hは、動作温度での許容応力が高いことに起因して、もう1つの好ましい熱交換器材料である。
・740Hの代替として230が引き続き考慮される。
・617;
・800HTは、比較コストが低く、すぐに利用できることに起因して、低温および低圧の用途に引き続き考慮される。この材料は、用途の温度および圧力が低下し、浸炭の程度を定量化できる場合に適している。
【0158】
当業者によって理解されるように、熱交換器材料の選択は、エネルギー貯蔵装置の動作パラメータに依存し得る。好ましい熱交換器材料は、動作条件、プロジェクト要件、および製造環境などの要因に起因して、用途に依存し得る。しかしながら、本発明のエネルギー貯蔵装置は、熱交換器の材料の選択にほとんど影響されない(すなわち、様々な配管材料に対してわずかな設計変更のみが必要とされる)。
【0159】
エネルギー貯蔵装置がsCO2などの超臨界流体に使用されるとき、エネルギー変換効率を最大化するために、エネルギー貯蔵装置は、500から800℃の間(および潜在的にはそれを超えて)および100から250バール(および潜在的にはそれを超えて)で動作することができる。
【0160】
熱交換器配管は、固体グラファイト(構成部品によって組み立てられる)に埋め込まれ、熱抽出のための導管として使用され、これらの高温高圧条件での熱伝達流体(HTF)にはsCO2および空気が考えられる。
【0161】
本発明のエネルギー貯蔵装置は、以下の規格、ASME BPVC(関連するセクション)、ASME B31.3およびEU圧力装置指令PED 2014/68/EUに準拠するように設計することができる。
【0162】
熱交換器配管は高温でグラファイトと接触しているので、材料は好ましくは耐浸炭性である。
【0163】
出願人は、800℃までの温度(圧力に依存し得る)で、固体グラファイト媒体に熱エネルギーを貯蔵するためのモジュラーシステムを開発している。このシステムはエネルギー入力にほとんど影響されない。すなわち、数ある中でも、風力または太陽光発電などの余剰または削減された再生可能エネルギー源からの電気的入力を受け入れることができ、または、集中太陽熱(CST)、プロセス熱/廃熱、または専用HTFなどのソースからの直接的な熱エネルギー入力を受け入れることができる。蓄積された熱エネルギーは、グラファイトに埋め込まれた熱交換器配管を通過するHTFを介して抽出され、タービンを直接駆動するか、またはシステム要件に応じて中間HTFとして機能することができる。
【0164】
本発明のエネルギー貯蔵装置の利点の1つは、エネルギーのチャージおよびディスチャージ双方の間のその動作の単純さである。もう1つの利点は、エネルギー貯蔵装置と熱交換器が一体化されているため、エネルギー貯蔵とプロセスフローとの間の中間の熱交換器の必要性を排除することである。
【0165】
エネルギー貯蔵モジュールの「ユニット」を以下に説明する。
・エネルギー貯蔵装置:エネルギー貯蔵および熱交換器用のグラファイトるつぼおよび相変化材料を含むユニット(
図1および3)。
・アレイ:20’HC(20フィートの高さの立方体コンテナ)体積の器具を含む複数のエネルギー貯蔵装置の構成(
図2)。
・モジュール:必要な貯蔵ディスチャージ期間で出力温度を最大化するように設計されたアレイの柔軟な配置。
・システム:選択したタービンおよび運用モデルに関して最適化されたモジュールの配置(
図4)。
【0166】
【0167】
エネルギー貯蔵装置はまた、固体グラファイト貯蔵媒体とHTF(この実施形態では空気またはsCO
2)との間の熱交換器として機能することができる。エネルギー貯蔵装置の組み立ての代表的な実施形態を
図1および3に示す。
【0168】
実施例6 相変化材料としてのアルミニウムの利点の評価
この実施例は、グラファイトに対するアルミニウムの比率を変えながら、新たな超臨界CO2ブレイトンサイクル発電機の要件に最適化された高温蓄熱媒体として利用される、グラファイトるつぼに(相変化材料として)アルミニウムを封入することに関連する利点を定量化する。アルミニウムは、グラファイトに包まれるか、または囲まれる(カプセル化されたり、結合されたり、または組み込まれてはおらず、るつぼの空洞に密封されている)。
【0169】
アルミニウムの体積比を増加させると、システムの総質量および蓄熱容量が増加し、一方で、貯蔵材料のコストが減少する(400~1000℃の温度範囲内)。
【0170】
相変化材料(PCM)を使用して潜熱として熱エネルギーを貯蔵することは多くの利点を有し、このような利点には、顕熱貯蔵に対して、目標温度範囲での蓄熱密度が高く、かつ貯蔵体積/重量が低いことが含まれる。
【0171】
利用可能なPCMの熱伝導率が低いことが、それらの適用および商品化を妨げてきた。金属PCMは、熱伝導率の高さに起因して、効果的な貯蔵システムを実現する。以下の理由により、本発明のエネルギー貯蔵装置用のPCMの好ましい実施形態としてアルミニウムが選択された:(a)高い熱伝導率;(b)低いコスト;(c)適切な溶融温度(600~680℃);(d)十分に特徴付けられた予測可能な熱特性;(e)商業的に容易に入手可能。
【0172】
この実施例では、以下の仮定がなされている:(a)アルミニウム密度は温度によって変化せず、利用される値は「室温」での標準的な大気条件を仮定している;(b)アルミニウムの比熱容量は温度によって変化せず、利用される値は「室温」での標準的な大気条件を仮定している;および(c)熱エネルギー貯蔵の動作温度範囲は400~1000℃である。
【0173】
この実施例では、グラファイトに対するアルミニウムの質量比および体積比を評価するための比較が完了している。質量比の比較では、総貯蔵質量は1トン(tonne)と仮定され、体積比の比較では、総貯蔵体積は1m3と仮定されている。
【0174】
熱エネルギー貯蔵のコストは、特に明記しない限り、本実施例において、アルミニウムについて2ドル(USD)/kg、グラファイトについて4ドル(USD)/kgのコストを仮定して、様々なアルミニウム-グラファイト比で予測されている。
【0175】
【0176】
グラファイトに対するアルミニウムの質量比および体積比を評価するために比較が行われた。(a)蓄熱容量(kWh)および(b)貯蔵コスト(ドル)が評価された。
【0177】
質量比ではなく体積比でエネルギー貯蔵装置を設計することがより実際的であるため、体積比の比較が最も興味深い。再生されたアルミニウムは、グラファイトよりも1kgあたりのコストが低く、アルミニウムの体積%が増えると、蓄積される熱エネルギーのコストが削減される。動作温度範囲が広いほど、貯蔵される熱エネルギーの量が多くなり、貯蔵されるkWhあたりのコストが低くなる。これを
図5に示す。
図5は、約400~800℃の温度と約400~1000℃の温度のアルミニウムを使用したエネルギー貯蔵の体積比の比較を示している。
【0178】
図6は、グラファイトに対するアルミニウムの様々な相対量(wt%)での約400~800℃の温度と約400~1000℃の温度のアルミニウムを使用するエネルギー貯蔵の体積比の比較を示している。表10~12に、体積比の比較、材料価格、および密度の分析概要を示す。
【0179】
図6が示すように、顕熱熱エネルギー貯蔵とともに潜熱を含めることにより、エネルギー貯蔵装置のエネルギー密度を増加させることができ、HTFのディスチャージ温度を「調整」して、たとえばブレイトンサイクル発電機におけるsCO
2など、作動流体および発電機のサイクルに有益な特定の温度範囲に偏りを与えることができる。
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
表13および14は、それぞれ、本発明の実施形態のエネルギー貯蔵装置および本発明のエネルギー貯蔵装置のアレイを含むモジュールのエネルギー貯蔵の相対的コストを示している。
【0184】
【0185】
アルミニウム-グラファイト蓄熱の最も経済的な$/kWh/m3は100%アルミニウムの場合である。ただし、製造可能性の観点からは、熱交換器の配管を自由に熱膨張させる必要があることに起因して、100%アルミニウムの貯蔵媒体は実用的ではない。約50%までのアルミニウム体積比が好ましい実施形態であると想定される。
【0186】
【0187】
(一定の蓄熱量を維持しながら)アルミニウム比を増加させると、システムの総質量および蓄熱容量が増加し、一方で貯蔵媒体のコストが減少する。アルミニウムの体積を増やすとシステムの蓄熱容量が増えるため、システムが不経済になるには、アルミニウムの価格がグラファイトの価格を上回らなければならないだろう。
【0188】
実施例7 熱伝達流体(HTF)のモデリング特性
エネルギー貯蔵装置の実施形態は、熱伝達流体を使用してエネルギーのチャージ/ディスチャージおよび流量の性能を測定するためにモデル化された。以下の設計パラメータが仮定された。
・約8m3のパネル(おおよそ2m×2m×2m);
・約10トン(tonne)のグラファイト/PCM;
・合計約160mのDN25 Sch80 HX熱交換器配管;
・PCMの有無(AlSi12およびAl)。
・ASME B31.3に準拠するために、温度を700℃未満に維持した熱交換器;および
・パネルの総体積に対する相変化材料の%PCM、0v/v%、15v/v%、および30v/v%。
【0189】
図7は、エネルギー貯蔵装置の実施形態がチャージされているときの熱交換器の温度を示している。
図7(a)は、ヒーター温度が最大700℃、総電力が522kWに設定されていることを示している。5時間のチャージ後、熱交換器配管の最高温度は675℃に達する。
図7(b)は、ヒーター温度が最大800℃、総電力が522kWに設定されていることを示す。アルミニウムPCMを使用しない場合、3時間のチャージで熱交換器配管の最高温度は675℃に達する。ただし、アルミニウムPCMを使用すると、温度上昇の傾きが平坦になり、ヒーター制御が応答する時間が長くなる。
【0190】
モデル化された熱伝達流体の平均出口温度による熱エネルギー貯蔵および放出の代表的な概要を表15に示す。
【0191】
【0192】
実施例8 相変化材料キルン試験
この実施例では、相変化材料(アルミニウム)をキルン内で試験した。キルン(コンドボリン(Condoblin))を使用して、空気中で約900℃の必要な試験温度を実現した。キルンは、データロガーを追加で組み込むように変更された。キルンは、本発明のエネルギー貯蔵装置内にPCMを組み込むことの妥当性を実証するために、グラファイトるつぼ内の様々な相変化材料の溶融および凝固挙動の試験を可能にするように構成された。キルンの扉にアルゴン入口システムが追加され、排気煙道に酸素センサーが取り付けられ、扉に新たなシールが取り付けられた。酸素センサーは、ボッシュの標準的な広範囲の自動車用センサーおよびノードラーコンディショニングカードであった。キルンの設定を
図8に示す。
図8(c)は、ワイヤーを使用した試験の構成を示しており、グラファイトT熱電対(図示せず)がるつぼに埋め込まれ、るつぼは予めキルン加熱試験で酸化された。試験では、グラファイトが空気中(不活性ではない雰囲気)で高温(約680℃)で酸化することが示された。最初の試験では、キルンが所望の試験条件を迅速に実現できることが示された。
【0193】
データロギングおよびキルン温度制御を検証するための加熱試験の最初の一連の試験では、約679℃の予想温度での相変化を示す、グラファイトるつぼ内の相変化材料の加熱および冷却に関する明確な「曲がり部」が示された。これは、
図9の加熱および冷却の痕跡に示されている。この試験では、アルミニウムワイヤは試験後に完全に溶けていないように見え、これは、ワイヤ上の酸化物層が、内部のアルミニウムが溶けて、その後「凝固」(すなわち、固化)したときに管状の形状を維持した結果であると本発明者は考えている。
【0194】
相変化材料としての固体アルミニウム片の挙動を観察し、さらに、アルゴン流(3L/分)およびグラファイト蓋を用いた酸素検知を検証するために、厚さ20mmのアルミニウム板を使用して第2の一連の試験を実施した。
図10に示すように、上記と同様の結果が観察されたが、加熱曲線と冷却曲線の勾配が急であり、加熱と冷却における明確な曲がり部の温度は依然として約640℃であった。第2の一連の試験では、酸素濃度が高いにもかかわらず、グラファイトの蓋が適切に機能することが示された。その後の試験は約6L/分のアルゴン流量で実行された。PCMの最終直径は、るつぼの直径よりも小さく、PCMが固化した後、冷却する前に壁から収縮したことを示している(190mmのるつぼ直径と比較して、冷却されたアルミニウムの直径は186mm)。
【0195】
第3の一連の試験は、約6L/分のアルゴン流量でアルミニウムロッド(コリアーおよびミラーグリフィスから購入)を使用して実施された。この試験の目的は、熱モデリングキャリブレーション用の試験データを取得することであった。グラファイトるつぼ内の相変化材料の加熱と冷却の明確な「曲がり部」が、約656℃の温度で観察された。グラファイトるつぼは2つのブロックに機械加工され、各ブロックの寸法(mm)は185(w)×150(d)×90(d)であった。ベースるつぼにはΦ80および深さ50の穴があり、蓋にはΦ80および深さ35の穴があった。
図11に示すように、2週間にわたって5つのテストが実行され、アルミニウム相変化材料の一貫した溶融温度が示された。表16は、この第3の一連の試験の加熱および冷却サイクルの結果を示す。
【0196】
【0197】
質量測定値は変化し得、本発明者は、これは、熱電対が依然としてPCMに埋め込まれていることに起因する可能性があると考えている。5%を超える質量変化は無視されている。
【0198】
当業者は、本明細書に記載されている発明が、具体的に記載されているもの以外の変形および修正を許容することを理解するであろう。本発明は、本発明の精神および範囲内にあるそのようなすべての変形および修正を含むことが理解される。
【符号の説明】
【0199】
100 エネルギー装置
102 るつぼ
104 チャネル
106 熱交換器
108 空洞
110 相変化材料
112 加熱要素
116 加熱要素チャネル
【手続補正書】
【提出日】2021-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵装置であって、
空洞および
るつぼの本体内に少なくとも2つの開放端を有するチャネルを有するるつぼ、
るつぼの空洞内に貯蔵された相変化材料、および
入口および出口を有する熱交換器であって、熱交換器の少なくとも一部が
チャネル内に入れられている熱交換器、を含むエネルギー貯蔵装置。
【請求項2】
熱エネルギー貯蔵装置である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項3】
複数のるつぼを含む、請求項1または2に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項4】
るつぼが、開いた空洞を含む、請求項1から3の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項5】
るつぼが、閉じた空洞を含む、請求項1から3の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項6】
るつぼが、複数の空洞を含む、請求項1から5の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項7】
るつぼが、るつぼ本体の外面に沿って1つまたは複数のチャネルを含み、熱交換器の一部は、1つまたは複数のチャネルの少なくとも1つに沿って配置される、請求項1から6の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項8】
るつぼが、単位体である、請求項1から
7の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項9】
るつぼが、構成部品によって組み立てられる、請求項1から
7の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項10】
るつぼの材料が、炭化ケイ素、グラファイト、強化ポリマー、粘土、磁器、セラミック、カーボンナノチューブ、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、鋼、銅、ムライト、酸化ジルコニウム、ダクタイル鉄、鋳鉄、ステンレス鋼、真ちゅう、コロンビア合金、タンタル、モリブデン、タングステンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から
9の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項11】
るつぼの材料が、グラファイトである、請求項
10に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項12】
るつぼの密度が、約1g/cm
3から約4g/cm
3の間である、請求項1から
11の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項13】
エネルギー貯蔵装置が、加熱要素を使用してエネルギーを貯蔵する、請求項1から
12の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項14】
加熱要素が、ヘリオスタット、炉、電気抵抗器、熱伝達流体およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
13に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項15】
加熱要素が、エネルギー貯蔵装置の内部にある、請求項
13または
14に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項16】
エネルギー貯蔵装置が、複数の加熱要素を含む、請求項
13から
15の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項17】
エネルギー貯蔵装置が、密閉されている、請求項1から
16の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項18】
エネルギー貯蔵装置が、複数の熱交換器を含む、請求項1から
17の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項19】
各熱交換器が、別個の独立した回路である、請求項
18に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項20】
熱交換器の材料が、合金、チタン、またはセラミックである、請求項1から
19の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項21】
相変化材料が、金属または金属合金である、請求項1から
20の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項22】
相変化材料が、アルミニウムまたはアルミニウムを含む合金である、請求項
21に記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項23】
エネルギーを可逆的に貯蔵および/または抽出する方法であって、前記方法は、
・請求項1から22の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置を準備するステップと、
・相変化材料を加熱して相変化を誘起し、それによって潜在エネルギーを貯蔵する、加熱するステップと、
・エネルギーが相変化材料から熱伝達媒体に伝達されるように、相変化材料の温度よりも低い温度を有する熱伝達媒体を流すことによってエネルギーを抽出するステップと、を含み、
それにより、可逆的なエネルギー貯蔵および抽出を提供する、方法。
【請求項24】
エネルギーを可逆的に貯蔵および/または抽出する方法であって、前記方法は、
・請求項1から22の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置を準備するステップと、
・相変化材料を含むるつぼを加熱して相変化を誘起し、それによってエネルギーを貯蔵する、加熱するステップと、
・エネルギーが相変化材料から熱伝達媒体に伝達されるように、相変化材料の温度よりも低い温度を有するるつぼに沿って熱伝達媒体を流すことによってエネルギーを抽出するステップと、を含み、
それにより、可逆的なエネルギー貯蔵および抽出を提供する、方法。
【請求項25】
熱伝達媒体の温度が、相変化材料の相変化温度よりも低い、請求項
23または
24に記載の方法。
【請求項26】
熱伝達媒体が、熱伝達流体である、請求項
23から
25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
相変化材料を加熱するためにエネルギー貯蔵装置のるつぼを加熱するステップを含む、請求項
25に記載の方法。
【請求項28】
熱的および/または電気的に連通している請求項1から
22のいずれか一項に記載の複数のエネルギー貯蔵装置を含む、エネルギー貯蔵アレイ。
【請求項29】
アレイが、モジュールの形態である,請求項
28に記載のエネルギー貯蔵アレイ。
【請求項30】
モジュールが、区分的に組み立てられる、請求項
29に記載のエネルギー貯蔵アレイ。
【請求項31】
アレイが、ハウジングに貯蔵される、請求項
28から
30のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵アレイ。
【請求項32】
アレイが、直列または並列に配置される、請求項
28から
31のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵アレイ。
【国際調査報告】