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特表2023-509303複数のアノードを予備リチウム化するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】複数のアノードを予備リチウム化するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20230301BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20230301BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230301BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20230301BHJP
   H01G 11/50 20130101ALI20230301BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20230301BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M10/058
H01M10/052
H01G11/06
H01G11/50
H01G11/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022533488
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 NO2020050297
(87)【国際公開番号】W WO2021112686
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】20191439
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521441489
【氏名又は名称】ビヨンデル アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロウ フェンリウ
【テーマコード(参考)】
5E078
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AB06
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK15
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ12
5H029BJ14
5H029CJ15
5H029CJ16
5H029CJ22
5H029HJ04
5H029HJ15
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA19
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050FA02
5H050FA05
5H050GA09
5H050GA12
5H050GA16
5H050GA18
5H050GA22
5H050HA04
5H050HA15
(57)【要約】
アノードを予備リチウム化するための方法であって、以下のステップ:電解質15においてアノードシート1をリチウム含有シート5と共にジェリーロール11またはスタックとしてパッキングするステップ、アノードシート1とリチウム含有シート5との間の直接接触によって、またはアノードシート1をリチウム含有シート5に向かって放電もしくは充電することによって、リチウムイオンをアノードシート1に移動させて予備リチウム化アノードシートを得るステップ、ならびに予備リチウム化アノードシートを、所望のサイズおよび形状の複数の予備リチウム化アノードに分割するステップを含む、方法。本発明は、この方法によって予備リチウム化されたアノードを備える電気化学セルにさらに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアノードを予備リチウム化するための方法であって、以下のステップ:
電解質(15)においてアノードシート(1)をリチウム含有シート(5)と共にジェリーロール(11)またはスタックとしてパッキングするステップ、
前記アノードシート(1)と前記リチウム含有シート(5)との間の直接接触によって、または前記アノードシート(1)を前記リチウム含有シート(5)に向かって放電もしくは充電することによって、リチウムイオンを前記アノードシート(1)に移動させて予備リチウム化アノードシートを得るステップ、ならびに
前記予備リチウム化アノードシートを、所望のサイズおよび形状の複数の予備リチウム化アノードに分割するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記電解質(15)において前記アノードシート(1)を前記リチウム含有シート(5)と共に、前記アノードシート(1)のジェリーロール(11)またはスタックとしてパッキングする前記ステップが、前記アノードシート(1)および前記リチウム含有シート(5)のジェリーロール(11)またはスタックを組み立てる前に、前記アノードシート(1)および前記リチウム含有シート(5)を前記電解質(15)に供するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、リチウムイオンを前記アノードシート(1)に移動させて前記予備リチウム化アノードシートを得る前記ステップが、前記アノードシート(1)と前記リチウム含有シート(5)との間に所定の充電および放電プロトコルを適用するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法であって、前記電解質(15)において前記アノードシート(1)を前記リチウム含有シート(5)と共にパッキングする前記ステップの前に、前記アノードシート(1)の所定の面積をポリマーフィルムの層でマスクするステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法であって、リチウムイオンを前記アノードシート(1)に移動させて前記予備リチウム化アノードシートを得る前記ステップが、周囲圧力よりも高い圧力で実施されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、前記電解質(15)において前記アノードシート(1)を前記リチウム含有シート(5)と共にパッキングする前記ステップが、前記アノードシート(1)および前記リチウム含有シート(5)をZスタック(21)としてスタックすることを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、前記電解質(15)において前記アノードシート(1)を前記リチウム含有シート(5)と共にパッキングする前記ステップが、前記アノードシート(1)および前記リチウム含有シート(5)を、5cm以上の直径を有するコア周りに巻くことを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、前記電解質(15)において前記アノードシート(1)を前記リチウム含有シート(5)と共にパッキングする前記ステップが、前記アノードシート(1)および前記リチウム含有シート(5)をフラットコア周りに巻くことを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法によって予備リチウム化されたアノードを備えることを特徴とする電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アノードを予備リチウム化するための方法、およびこの方法によって予備リチウム化されたアノードを備える電気化学セルに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、セルの性能を増加させるために、リチウムイオンを使用する電気化学セル中のアノードの予備リチウム化が実施される。リチウム金属は、コストおよびリスクが高いにも関わらず、アノードの予備リチウム化のためのリチウム源として最も幅広く使用されている。この技術は、リチウムが第3の電極として働くか、またはリチウムがアノードの表面に直接コーティングされるかに依存して2つのカテゴリーに分けることができる。リチウム箔が第3の電極として利用される場合、アノードのリチウム化の満足のいく度合いを得るためには最大20日の長い予備リチウム化期間が必要である(米国特許第6461769号および米国特許第6740454号)。このことは、製造コストを増加させるだけでなく、生産性を制限しもする。さらに、リチウムイオンを浸透させるために多孔質電流コレクタも必要であり、製造コストがさらに増加する。他方では、アノードの表面にリチウムコーティングするための種々の方法、例えば、物理蒸着、溶融リチウムコーティング、極薄リチウム箔圧縮、および安定化リチウム金属粉末が開発されている。しかしながら、これらの方法は、コストが高いことに加えて、柔軟性および予備リチウム化の均一性が不十分であるという問題がある(米国特許出願公開第20170324073号およびECS Transactions,2007.3(27):15)。
【0003】
電気化学予備リチウム化および内部短絡予備リチウム化などの他の予備リチウム化方法が存在し、これらは学会で熱心に研究および利用されているが、産業用途には現実的ではないと考えられる。これらの方法の主な障害は、アノードの予備リチウム化のためだけにすべてのセルを組み立て、次いで、最終セル組立ての前に再度すべてのセルを分解するのが現実的ではないことである。
【0004】
米国特許出願公開第2016141596号、米国特許出願公開第2013003261号、韓国特許出願公開第20150014877号、国際特許出願公開第2017100415号、および中国特許出願公開第110335992号は、電極をリチウム化するための種々の方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,461,769号明細書
【特許文献2】米国特許第6,740,454号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2017/0324073号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2016/0141596号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2013/0003261号明細書
【特許文献6】韓国特許出願公開第20150014877号明細書
【特許文献7】国際特許出願公開第2017/100415号パンフレット
【特許文献8】中国特許出願公開第110335992号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ECS Transactions,2007.3(27):15
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、先行技術の欠点のうちの少なくとも1つを改善もしくは低減する、または少なくとも、先行技術に対する有用な代替法を提供することが目的である。この目的は、以下の記載および続く特許請求の範囲において特定される特徴を通して達成される。本発明は、独立特許請求項によって定義され、一方、従属請求項は、本発明の有利な実施形態を定義する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明は、より具体的には、複数のアノードを予備リチウム化するための方法であって、以下のステップ:電解質においてアノードシートをリチウム含有シートと共にジェリーロールまたはスタックとしてパッキングするステップ、アノードシートとリチウム含有シートとの間の直接接触によって、またはアノードシートをリチウム含有シートに向かって放電もしくは充電することによって、リチウムイオンをアノードシートに移動させて予備リチウム化アノードシートを得るステップ、ならびに予備リチウム化アノードシートを、所望のサイズおよび形状の複数の予備リチウム化アノードに分割するステップを含む、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】円柱形ジェリーロールとしてのアノードシートおよびリチウム含有シートの調製(図1a、円柱軸に沿って見た図)、ならびに電解質を含む容器における巻回ジェリーロールのパッキング(図1b、円柱軸に対して垂直に見た図)を示す図である。
図2】長方形ジェリーロールとしてのアノードシートおよびリチウム含有シートの別の調製(図2a、ジェリーロールの回転の軸に沿って見た図)、ならびにバッテリーアナライザーに接続される間の、電解質におけるジェリーロールのパッキング(図2b、図2aの視点に対して垂直に見た図)を示す図である。
図3】アノードシートおよびリチウム含有シートをパッキングできるさらなる方法を示す図である(図3aおよび図3b)。
図4】本発明による方法の実施形態の流れ図を示す図である。
図5】7Aの電流において2~3.8Vでサイクルすることによる、実施例1で作製したリチウムイオンキャパシタのサイクル安定性を示す図である。
図6】7Aの電流において2~3.8Vでサイクルすることによる、実施例1で作製したリチウムイオンキャパシタの充電および放電電圧プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付の図面で例示される好ましい実施形態の例が記載される。
【0011】
リチウム含有シートは、アノードの予備リチウム化のための電解質にリチウムイオンを提供できるべきである。リチウム含有シートは、典型的には、リチウム箔であってもよいが、また、リチウムを含む別の材料のシート、例えば、リチウムでコーティングされた銅箔であってもよい。あるいは、リチウム含有シートは、リチウムイオンを提供する化合物、例えば、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、リン酸鉄リチウム、チタン酸リチウム、アジ化リチウム、スクアリン酸リチウム、シュウ酸リチウム、ケトマロン酸リチウムまたはジケトコハク酸リチウムを含んでもよい。シートは、好適なコア周りに巻いてジェリーロールを形成することができる非常に長いストリップとして成形され得る。あるいは、ストリップは、Zスタックされてもよく、または複数のアノードシートおよびリチウム含有シートが、互いの上部にスタックされてもよい。このようにして、シートは、互いに近接した大きな表面積を有して、リチウムイオンが電解質を通して拡散するのに必要な距離が短縮され、それによって、アノードシートを予備リチウム化するのに必要な時間を短縮することによって方法の効率を増加させる。電解質におけるアノードシートおよびリチウム含有シートのパッキングとは、電解質が、方法の次のステップの前に存在するべきであることを意味し、すなわち、ジェリーロールまたはスタックは、電解質の添加の前または後に組み立てられてもよい。予備リチウム化は、アノードシートおよびリチウム含有シートが接触している場合、電解質においてアノードシートおよびリチウム含有シートをパッキングした後に自然に起こり得る。あるいは、所望であれば、アノードシートとリチウム含有シートとの間にセパレータの層を配置してもよく、この場合、アノードシートは、リチウムイオンが移動するようにリチウム含有シートに向かって放電されるべきである。予備リチウム化アノードシートは、典型的には、切断またはスリッティングによって分割される前に、典型的には好適な溶媒で洗浄されてもよい。
【0012】
電気化学セルを製造するプロセスは、典型的には、電極成分を混合するステップ、得られた電極スラリーを金属箔にコーティングした後、乾燥するステップ、電極をカレンダー加工して、高密度化および金属箔上へのその接着を強化するステップ、電極を好適なサイズにスリッティング/切断するステップ、アノードの各々を予備リチウム化するステップ、ならびに最後にセル組立ておよび形成ステップを含む。
【0013】
本発明による方法を使用することの利点は、先行技術におけるように、複数のアノードの各々を個々のリチウム箔と一緒に各アノードの予備リチウム化のために個々のセルにパッキングする代わりに、より大きなアノードシートを対応する大きなリチウム含有シートを有するより大きなセルにパッキングできることである。アノードシートは、大規模製造の場合、例えば、幅0.01~2mおよび長さ1~1000mであり得る。アノードシートのサイズおよび形状は、電解質におけるアノードシートのパッキングに依存し得る。ジェリーロールとしてパッキングされる場合、アノードシートは、非常に長く、例えば、幅1mおよび長さ1000mであってもよい。予備リチウム化アノードシートが分割された後、次いで、この方法によって得られた各予備リチウム化アノードを、好適なカソード、セパレータおよび電解質と共にパッキングして、電気化学セル、例えば、リチウムイオン電池またはリチウムイオンキャパシタを製造できる。これは、予備リチウム化に必要なセルの数が大幅に減少し、これにより、プロセスの複雑さが低減され、プロセスは大規模製造に関して産業的に利用可能になる。さらに、方法は、高い柔軟性および予備リチウム化の度合いの正確な制御の利点を有する。
【0014】
一実施形態では、電解質においてアノードシートをリチウム含有シートと共にジェリーロールまたはスタックとしてパッキングするステップは、アノードシートおよびリチウム含有シートのジェリーロールまたはスタックを組み立てる前に、アノードシートおよびリチウム含有シートを電解質に供するステップを含み得る。これは、シートの高い濡れ性、すなわち、電解質がシートの全面積を被覆する、または少なくとも、シートとのより大きな接触面積を有することを確実にする。シートは、ジェリーロールまたはスタックとして組み立てられている間、例えば、電解質に浸漬されてもよい。ジェリーロールまたはスタックが組み立てられた後に電解質に供される場合、アノードシートおよびリチウム含有シートの近接した接触は、電解質がシート間の一部の領域に進入することを防止し得る、または少なくとも、電解質がこれらの領域に進入するのに要する時間を増加させ得る。この問題は、より大きなスタックまたはジェリーロールに関してより顕著であり得る。アノードシートとリチウム含有シートとの間の好適なセパレータもまた、シートの濡れ性の率および/または度合いを増加させ得る。好適なセパレータは、例えば、ミクロ多孔、ポリマー膜を含み得る。
【0015】
リチウムイオンをアノードシートに移動させて予備リチウム化アノードシートを得るステップが、アノードシートをリチウム含有シートに向かって放電するステップを含む場合、これは、正荷電リチウムイオンをアノードシートに移動させる推進力を提供する。このステップは、アノードシートおよびリチウム含有シートをバッテリーアナライザーに接触させることによって実施され得る。リチウムイオンをアノードシートに移動させて予備リチウム化アノードシートを得るステップは、アノードシートとリチウム含有シートとの間に所定の充電または放電プロトコルを適用するステップも含み得る。このようにして、予備リチウム化の度合いは、正確に制御できる。さらに、固体電解質界面の特性は、電流ならびに充電および放電プロトコル、ならびに温度および圧力を制御することによって最適化および制御することができる。これにより、方法の高い柔軟性がもたらされる。バッテリーアナライザーの代替物として、所定の抵抗を有するレジスタを使用して、同様の効果を達成することができる。
【0016】
一実施形態では、方法は、電解質においてアノードシートをリチウム含有シートと共にパッキングするステップの前に、アノードシートの所定の面積をポリマーフィルムの層でマスクするステップをさらに含み得る。一般に、アノードを外部回路と接続するために、金属タブとの接触用の電流コレクタ領域がアノード上に必要であり、このタブ領域は、予備リチウム化プロセスの間に電解質が夾雑する。タブ領域をポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)などのポリマーフィルムの層でマスクし、予備リチウム化後にこのフィルムを除去することによって、タブ領域の夾雑は、防止または軽減され得る。電流コレクタ領域を、ジメチルカーボネート(DMC)もしくはジエチルカーボネート(DEC)などの有機溶媒、またはレーザーによって洗浄して、金属タブとのその高い溶接品質を確実にできる。
【0017】
一実施形態では、リチウムイオンをアノードシートに移動させて予備リチウム化アノードシートを得るステップは、外部取付け具によりジェリーロールを圧縮することによって強化され得る。これにより、アノードとリチウム箔との間の均一な距離が確実になり、したがって、予備リチウム化の均一性が改善される。さらに、予備リチウム化プロセスの間にガスが生成されることがあり、ガスは、気泡を形成し、予備リチウム化の均一性に影響を及ぼし得るため、高外部圧力を適用することにより、電極表面からのガスの排除を促進してもよい。適用される外部圧力は、最大1MPa、例えば、0.1、0.5、または1MPaであり得る。
【0018】
一実施形態では、電解質においてアノードシートをリチウム含有シートと共にパッキングするステップは、アノードシートおよびリチウム含有シートを大きなコア周りに巻いて、アノードシートの曲率を低減することを含む。コアは、例えば、5、25、50、もしくは100cm、または実用上好適である値の直径を有してもよい。コアが大きいほど、曲率は小さくなる。このようにして、予備リチウム化アノードの曲げ加工は、予備リチウム化プロセスの間の体積膨張に起因して、それほど困難ではなくなる。曲げ加工を低減する代替の方法は、アノードシートおよびリチウム含有シートをZスタックすること、複数の大きなシートを交互にスタックすること、または少なくとも1つのフラットな表面を有するジェリーロールコアを使用して、コア周りに巻回した場合にフラットであるアノードの領域を提供することである。
【0019】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に記載の方法によって予備リチウム化されたアノードを備える電気化学セルに関する。電気化学セルは、例えば、リチウムイオンキャパシタまたはリチウムイオン電池であってもよい。
【0020】
図において、参照番号1はアノードシートを示す。図は、模式的に例示され、図中の特徴は必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らない。
【0021】
図1aは、アノードシートロール3として伸長されたアノードシート1およびリチウム含有シートロール7として伸長されたリチウム含有シート5を示し、これらは、円柱形ジェリーロールコア9周りに巻かれて、ジェリーロール11を形成している。円柱形ジェリーロール11は、円柱軸に沿って見ている。ジェリーロール11において、アノードシート1の各側は、リチウム含有シート5と接触することになる。ある特定の実施形態では、リチウム含有シート5は、例えば、リチウム箔またはリチウムでコーティングされた銅箔であってもよい。図1bにおいて、図1aのジェリーロール11が(図1aの視点に対して垂直に見て)、電解質15を含む容器13中に浸漬されて、リチウムイオンをアノードシート1に移動することを可能にしている。アノードシート1およびリチウム含有シート5は、直接接触しており、電子は、アノードシート1とリチウム含有シート5との間で移動し得、これによりリチウム含有シート5中のリチウム金属は、酸化され、電解質15中およびアノードシート1上にリチウムイオンを放出し得る。
【0022】
図2は、アノードシート1およびリチウム含有シート5をパッキングする別の方法を示している。図2aにおいて、セパレータ19の2つのシートが、長方形コア9周りに巻回されてジェリーロール11を形成するように、それらはアノードシート1とリチウム含有シート5との間に配置されている。セパレータシート19は、アノードシート1とリチウム含有シート5との間に電気的絶縁をもたらす。このようにして、図2bに示されるように(図2aの視点に対して垂直に見て)、バッテリーアナライザー17は、アノードシート1およびリチウム含有シート5に接続できて、充電および放電プロトコルを適用することを可能にする。アノードシート1およびリチウム含有シート5は、セパレータ19の各側から差出て、バッテリーアナライザー17との接続を可能にする。セパレータ19は、アノードシート1およびリチウム含有シート5での電解質の濡れ性をさらに増加させ得る。濡れ性をさらにいっそう増加させるために、シート1、5、19は、電解質15に浸漬しながらジェリーロール11に巻回される。ジェリーロール11のコア9は比較的フラットであるため、コア9の最大表面に平行なアノードシート1の領域もまたフラットである。
【0023】
図3は、アノードシート1のフラット領域を得るようにアノードシート1をパッキングする他の方法を示している。例えば、図3aに示されるように、アノードシート1は、Zスタック21としてリチウム含有シート5間でパッキングされてもよく、または図3bに示されるように、複数の大きなアノードシート1およびリチウム含有シート5は、交互にスタックされてもよい。
【0024】
図4は、本発明による方法の実施形態の流れ図を示している。第1のステップにおいて、ジェリーロールが、伸長されたアノードシートおよびリチウム含有シートから調製される。次のステップにおいて、ジェリーロールは、容器内にパッキングされ、電解質が添加される。次いで、アノードシートおよびリチウム含有シートが直接接触しているか否かに応じてスタンバイまたは放電/充電のいずれかによって、アノードシートの予備リチウム化が実施される。このステップの後、予備リチウム化アノードシートはほどかれ、電気接触用のタブ領域が洗浄される。最後に、予備リチウム化アノードシートは、複数の予備リチウム化アノードに切断され、次いで、これは、複数のセルにおいてアノードとして使用される。
【実施例
【0025】
以下、本発明による方法の実施形態の6つの例が記載される。
【0026】
実施例1,2,5および6では、銅箔への市販のグラファイト(BFC-18(商標)、BTR、中国から購入)の産業規模のスロットダイコーティングによって、アノードシートとしてグラファイト電極を製造した。カルボキシメチルセルロース(CMC)およびスチレン-ブタジエンゴム(SBR)をバインダーとして利用した一方、カーボンブラックTimcal Super C65(商標)およびImerysグラファイトSFG-6L(商標)を導電性添加剤として用いた。グラファイト:CMC:SBR:Super C65(商標):SFG-6L(商標)の質量比は、90:1.5:3.5:3.2:1.8であった。続いて冷間カレンダー加工を行って、電極を高密度化し、金属箔への活性化材料コーティング層の接着を強化した。
【0027】
実施例3~4では、銅箔への市販のシリコン/炭素複合材(S-600(商標)、BTR、中国から購入)の産業規模のスロットダイコーティングによって、アノードシートとしてシリコン/炭素電極を製造した。カルボキシメチルセルロース(CMC)およびスチレンブタジエンゴム(SBR)をバインダーとして利用した一方、Timcal Super C65(商標)およびImerysグラファイトSFG-6L(商標)を導電性添加剤として用いた。グラファイト:CMC:SBR:Super C65(商標):SFG-6L(商標)の質量比は、90:1.5:3.5:3.2:1.8であった。続いて冷間カレンダー加工を行って、電極を高密度化し、金属箔への活性化材料コーティング層の接着を強化した。
【0028】
実施例1,2,3,5および6では、エッチングアルミニウム箔への市販の活性炭(YEC-8B(商標)、Fujian Yihuan、中国から購入)の産業規模のスロットダイコーティングによって、カソードとして活性炭電極を製造した。カルボキシメチルセルロース(CMC)およびスチレンブタジエンゴム(SBR)をバインダーとして利用した一方、Timcal Super C65(商標)を導電性添加剤として用いた。活性炭:CMC:SBR:Super C65(商標)の質量比は、86.5:1.5:4.0:8.0であった。続いて冷間カレンダー加工を行って、電極を高密度化し、金属箔への活性化コーティング層の接着を強化した。
【0029】
実施例4では、アルミニウム箔への市販のNMCの産業規模スロットダイコーティングによって、カソードとしてリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)電極を製造した。二フッ化ポリビニリデン(PVdF)をバインダーとして利用した一方、Timcal Super C65(商標)を導電性添加剤として用いた。NMC:PVdF:Super C65(商標)の質量比は、88:8:4であった。続いて冷間カレンダー加工を行って、電極を高密度化し、金属箔への活性化材料コーティング層の接着を強化した。
【0030】
実施例5では、アルミニウム箔への市販のLFPの産業規模のスロットダイコーティングンによって、カソードとしてリン酸鉄リチウム(LFP)電極を製造した。二フッ化ポリビニリデン(PVdF)をバインダーとして利用した一方、Timcal Super C65(商標)を導電性添加剤として用いた。NMC:PVdF:Super C65(商標)の質量比は、88:8:4であった。続いて冷間カレンダー加工を行って、電極を高密度化し、金属箔への活性化材料コーティング層の接着を強化した。
【0031】
実施例6では、アルミニウム箔への市販のスクアリン酸リチウムの研究室のドクターブレードコーティング法によって、スクアリン酸リチウム電極を製造した。二フッ化ポリビニリデン(PVdF)をバインダーとして利用した一方、Timcal Super C65(商標)を導電性添加剤として用いた。NMC:PVdF:Super C65(商標)の質量比は、60:8:32であった。続いて冷間カレンダー加工を行って、電極を高密度化し、金属箔への活性化材料コーティング層の接着を強化した。
【0032】
<実施例1>
アノードシートとして、片面に15mmの未コーティング領域を有する両面コーティンググラファイト電極を、幅90mmにスリッティングした。長さ2mのアノードシートおよび長さ2mのリチウム箔を、ジェリーロールに巻回した。ロールを、積層アルミニウム箔バッグに挿入した。ジェリーロールを浸すのに十分な電解質を添加した後、バッグを密封した。ロールを2時間静置し、次いで、取付け具により22時間、ロールに圧力を適用した。次いで、バッグを開け、ロールを巻き戻した。金色の予備リチウム化アノードシートが得られた。次いで、予備リチウム化アノードシートを乾燥した後、未コーティングタブ領域をジメチルカーボネートですすいだ。予備リチウム化アノードシートを59×81mmのサイズに切断した。11片の予備リチウム化アノードおよび10片の活性炭電極を、間にセパレータの層を挟んでスタックした。次いで、アルミニウムタブおよびニッケルタブを、カソードおよび予備リチウム化アノード上にそれぞれ超音波により溶接した後、スタックを、積層アルミニウムケース内でパッキングした。電解質を添加した後、最終熱密封を行った。
【0033】
7Aの電流において2~3.8Vでサイクルすることにより作製したリチウムイオンキャパシタのサイクル安定性が、図5に示されており、充電および放電電圧プロファイルが、図6に示されている。充電と放電との間には2分間のリセットがあった。
【0034】
<実施例2>
アノードシートとして、片面に15mmの未コーティング領域を有する両面コーティンググラファイト電極を、幅90mmにスリッティングした。長さ2mのアノードシートおよび長さ2mのリチウム箔を、間にセパレータの層を挟んでジェリーロールに巻回した。ロールを、積層アルミニウム箔バッグに挿入した。ジェリーロールを浸すのに十分な電解質を添加した後、バッグを密封した。ロールを2時間静置した。ケーブルワイヤーをアノードシートおよびリチウム箔電極にそれぞれ接続して、22時間、外部短絡回路を達成した。バッグを開け、ロールを巻き戻した。金色の予備リチウム化アノードシートが得られた。次いで、予備リチウム化アノードシートを乾燥した後、未コーティングタブ領域をジメチルカーボネートですすいだ。予備リチウム化アノードシートを59×81mmのサイズに切断した。11片の予備リチウム化アノードおよび10片の活性炭電極を、間にセパレータの層を挟んでスタックした。次いで、アルミニウムタブおよびニッケルタブを、カソードおよびアノード上にそれぞれ超音波により溶接した後、スタックを、積層アルミニウムケース内でパッキングした。電解質を添加した後、最終熱密封を行った。
【0035】
<実施例3>
アノードシートとして、片面に15mmの未コーティング領域を有する両面コーティングシリコン/炭素電極を、幅90mmにスリッティングした。長さ2mのアノードシートおよび長さ2mのリチウム箔を、間にセパレータの層を挟んでジェリーロール中に巻回した。ロールを、積層アルミニウム箔バッグに挿入した。ジェリーロールを浸すのに十分な電解質を添加した後、バッグを密封した。ロールを2時間静置した。ロールをバッテリーアナライザーに接続し、アノードシートを、C/10のレートで8時間放電して、予備リチウム化を達成した。バッグを開け、ロールを巻き戻した。次いで、予備リチウム化アノードシートを乾燥した後、未コーティングタブ領域をジメチルカーボネートですすいだ。予備リチウム化アノードシートを59×81mmのサイズに切断した。11片の予備リチウム化アノードおよび10片の活性炭電極を、間にセパレータの層を挟んでスタックした。次いで、アルミニウムタブおよびニッケルタブを、カソードおよびアノード上にそれぞれ超音波により溶接した後、スタックを、積層アルミニウムケース内でパッキングした。電解質を添加した後、最終熱密封を行った。
【0036】
<実施例4>
アノードシートとして、片面に15mmの未コーティング領域を有する両面コーティングシリコン/炭素電極を、幅90mmにスリッティングした。長さ2mのアノードシートおよび長さ2mのリチウム箔を、間にセパレータの層を挟んでジェリーロールに巻回した。ロールを、積層アルミニウム箔バッグに挿入した。ジェリーロールを浸すのに十分な電解質を添加した後、バッグを密封した。ロールを2時間静置した。ロールをバッテリーアナライザーに接続し、アノードシートを、C/10のレートで1時間放電して、予備リチウム化を達成した。バッグを開け、ロールを巻き戻した。次いで、予備リチウム化アノードシートを乾燥した後、未コーティングタブ領域をジメチルカーボネートですすいだ。予備リチウム化アノードシートを59×81mmのサイズに切断した。11片の予備リチウム化アノードおよび10片のNMC電極を、間にセパレータの層を挟んでスタックした。次いで、アルミニウムタブおよびニッケルタブを、カソードおよびアノード上にそれぞれ超音波により溶接した後、スタックを、積層アルミニウムケース内でパッキングした。電解質を添加した後、最終熱密封を行った。
【0037】
<実施例5>
アノードシートとして、片面に15mmの未コーティング領域を有する両面コーティンググラファイト電極を、幅90mmにスリッティングした。長さ100mのアノードシートおよび長さ100mのリン酸鉄リチウムを、間にセパレータの層を挟んでジェリーロールに巻回した。ロールを、円柱形金属容器に挿入した。ジェリーロールを浸すのに十分な電解質を添加した後、キャップを密封した。ロールを2時間静置した後、真空を適用した。銅ワイヤーおよびAlワイヤーをアノードシートおよびリン酸鉄リチウム電極にそれぞれ接続して、2.5Aで20時間充電した。容器を開け、ロールを巻き戻した。金色の予備リチウム化アノードシートが得られた。次いで、予備リチウム化アノードシートを乾燥した後、未コーティングタブ領域をジメチルカーボネートですすいだ。予備リチウム化アノードシートを59×81mmのサイズに切断した。11片の予備リチウム化アノードおよび10片の活性炭電極を、間にセパレータの層を挟んでスタックした。次いで、アルミニウムタブおよびニッケルタブを、カソードおよびアノード上にそれぞれ超音波により溶接した後、スタックを、積層アルミニウムケース内でパッキングした。電解質を添加した後、最終熱密封を行った。
【0038】
<実施例6>
アノードシートとして、片面に15mmの未コーティング領域を有する両面コーティンググラファイト電極を、幅90mmにスリッティングした。長さ2mのアノードシートおよび長さ2mのスクアリン酸ジリチウム電極を、間にセパレータの層を挟んでジェリーロールに巻回した。ロールを、積層アルミニウム箔バッグに挿入した。ジェリーロールを浸すのに十分な電解質を添加した後、バッグを密封した。ロールを2時間静置した。4.2Vのカットオフ電圧で0.1A電流をセルに適用した。バッグを開け、ロールを巻き戻した。金色の予備リチウム化アノードシートが得られた。次いで、予備リチウム化アノードシートを乾燥した後、未コーティングタブ領域をジメチルカーボネートですすいだ。予備リチウム化アノードシートを59×81mmのサイズに切断した。11片の予備リチウム化アノードおよび10片の活性炭電極を、間にセパレータの層を挟んでスタックした。次いで、アルミニウムタブおよびニッケルタブを、カソードおよびアノード上にそれぞれ超音波により溶接した後、スタックを、積層アルミニウムケース内でパッキングした。電解質を添加した後、最終熱密封を行った。
【0039】
上述の実施形態は、本発明を限定するのではなく例示していること、および当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替の実施形態を設計できることに留意されたい。特許請求の範囲において、括弧内に配置される参照記号は、特許請求の範囲の限定として解釈されるべきではない。「含む」という動詞およびその活用形は、特許請求の範囲において記述される要素またはステップ以外の要素またはステップの存在を除外しない。要素に先行する冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は、複数のそのような要素の存在を除外しない。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアノードを予備リチウム化するための方法であって、以下のステップ:
a.電解質(15)においてアノードシート(1)を、リチウムイオンを提供し得る化合物を含むリチウム含有シート(5)およびセパレータ(19)と共にジェリーロール(11)またはスタックとしてパッキングするステップ、
b.前記アノードシート(1)を前記リチウム含有シート(5)に向かって放電または充電することによって、リチウムイオンを前記アノードシート(1)に移動させて予備リチウム化アノードシートを得るステップ、ならびに
c.前記予備リチウム化アノードシートを、所望のサイズおよび形状の複数の予備リチウム化アノードに分割するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記電解質(15)において前記アノードシート(1)を前記リチウム含有シート(5)と共に、前記アノードシート(1)のジェリーロール(11)またはスタックとしてパッキングする前記ステップが、前記アノードシート(1)および前記リチウム含有シート(5)のジェリーロール(11)またはスタックを組み立てる前に、前記アノードシート(1)および前記リチウム含有シート(5)を前記電解質(15)に供するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、リチウムイオンを前記アノードシート(1)に移動させて前記予備リチウム化アノードシートを得る前記ステップが、前記アノードシート(1)と前記リチウム含有シート(5)との間に所定の充電および放電プロトコルを適用するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法であって、前記電解質(15)において前記アノードシート(1)を前記リチウム含有シート(5)と共にパッキングする前記ステップの前に、前記アノードシート(1)の所定の面積をポリマーフィルムの層でマスクするステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法であって、リチウムイオンを前記アノードシート(1)に移動させて前記予備リチウム化アノードシートを得る前記ステップが、周囲圧力よりも高い圧力で実施されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、前記電解質(15)において前記アノードシート(1)を前記リチウム含有シート(5)と共にパッキングする前記ステップが、前記アノードシート(1)および前記リチウム含有シート(5)をZスタック(21)としてスタックすることを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、前記電解質(15)において前記アノードシート(1)を前記リチウム含有シート(5)と共にパッキングする前記ステップが、前記アノードシート(1)および前記リチウム含有シート(5)を、5cm以上の直径を有するコア周りに巻くことを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、前記電解質(15)において前記アノードシート(1)を前記リチウム含有シート(5)と共にパッキングする前記ステップが、前記アノードシート(1)および前記リチウム含有シート(5)をフラットコア周りに巻くことを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法によって予備リチウム化されたアノードを備えることを特徴とする電気化学セル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
第1の態様において、本発明は、より具体的には、複数のアノードを予備リチウム化するための方法であって、以下のステップ:電解質においてアノードシートを、リチウムイオンを提供し得る化合物を含むリチウム含有シートおよびセパレータと共にジェリーロールまたはスタックとしてパッキングするステップ、アノードシートをリチウム含有シートに向かって放電または充電することによって、リチウムイオンをアノードシートに移動させて予備リチウム化アノードシートを得るステップ、ならびに予備リチウム化アノードシートを、所望のサイズおよび形状の複数の予備リチウム化アノードに分割するステップを含む、方法に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
リチウム含有シートは、アノードの予備リチウム化のための電解質にリチウムイオンを提供できるべきである。現在のところ特許請求されていない実施形態では、リチウム含有シートはリチウム箔であってもよいが、また、リチウムを含む別の材料のシート、例えば、リチウムでコーティングされた銅箔であってもよい。リチウムイオンを提供し得る化合物を含むリチウム含有シートは、例えば、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、リン酸鉄リチウム、チタン酸リチウム、アジ化リチウム、スクアリン酸リチウム、シュウ酸リチウム、ケトマロン酸リチウムまたはジケトコハク酸リチウムを含。シートは、好適なコア周りに巻いてジェリーロールを形成することができる非常に長いストリップとして成形され得る。あるいは、ストリップは、Zスタックされてもよく、または複数のアノードシートおよびリチウム含有シートが、互いの上部にスタックされてもよい。このようにして、シートは、互いに近接した大きな表面積を有して、リチウムイオンが電解質を通して拡散するのに必要な距離が短縮され、それによって、アノードシートを予備リチウム化するのに必要な時間を短縮することによって方法の効率を増加させる。電解質におけるアノードシートおよびリチウム含有シートのパッキングとは、電解質が、方法の次のステップの前に存在するべきであることを意味し、すなわち、ジェリーロールまたはスタックは、電解質の添加の前または後に組み立てられてもよい。アノードシートとリチウム含有シートとの間にセパレータの層配置され、この場合、アノードシートは、リチウムイオンが移動するようにリチウム含有シートに向かって放電される。予備リチウム化アノードシートは、典型的には、切断またはスリッティングによって分割される前に、典型的には好適な溶媒で洗浄されてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
図1aは、アノードシートロール3として伸長されたアノードシート1およびリチウム含有シートロール7として伸長されたリチウム含有シート5、円柱形ジェリーロールコア9周りに巻かれて、ジェリーロール11を形成する、現在のところ特許請求されていない実施形態を示している。円柱形ジェリーロール11は、円柱軸に沿って見ている。ジェリーロール11において、アノードシート1の各側は、リチウム含有シート5と接触することになる。ある特定の実施形態では、リチウム含有シート5は、例えば、リチウム箔またはリチウムでコーティングされた銅箔であってもよい。図1bにおいて、図1aのジェリーロール11が(図1aの視点に対して垂直に見て)、電解質15を含む容器13中に浸漬されて、リチウムイオンをアノードシート1に移動することを可能にしている。アノードシート1およびリチウム含有シート5は、直接接触しており、電子は、アノードシート1とリチウム含有シート5との間で移動し得、これによりリチウム含有シート5中のリチウム金属は、酸化され、電解質15中およびアノードシート1上にリチウムイオンを放出し得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
図4は、本発明による方法の実施形態の流れ図を示している。第1のステップにおいて、ジェリーロールが、伸長されたアノードシートおよびリチウム含有シートから調製される。次のステップにおいて、ジェリーロールは、容器内にパッキングされ、電解質が添加される。次いで、放電/充電によって、アノードシートの予備リチウム化が実施される。このステップの後、予備リチウム化アノードシートはほどかれ、電気接触用のタブ領域が洗浄される。最後に、予備リチウム化アノードシートは、複数の予備リチウム化アノードに切断され、次いで、これは、複数のセルにおいてアノードとして使用される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
<実施例1>
この実施例は、特許請求される発明の一部ではない。アノードシートとして、片面に15mmの未コーティング領域を有する両面コーティンググラファイト電極を、幅90mmにスリッティングした。長さ2mのアノードシートおよび長さ2mのリチウム箔を、ジェリーロールに巻回した。ロールを、積層アルミニウム箔バッグに挿入した。ジェリーロールを浸すのに十分な電解質を添加した後、バッグを密封した。ロールを2時間静置し、次いで、取付け具により22時間、ロールに圧力を適用した。次いで、バッグを開け、ロールを巻き戻した。金色の予備リチウム化アノードシートが得られた。次いで、予備リチウム化アノードシートを乾燥した後、未コーティングタブ領域をジメチルカーボネートですすいだ。予備リチウム化アノードシートを59×81mmのサイズに切断した。11片の予備リチウム化アノードおよび10片の活性炭電極を、間にセパレータの層を挟んでスタックした。次いで、アルミニウムタブおよびニッケルタブを、カソードおよび予備リチウム化アノード上にそれぞれ超音波により溶接した後、スタックを、積層アルミニウムケース内でパッキングした。電解質を添加した後、最終熱密封を行った。
【国際調査報告】