(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ハイブリッド印刷方式の印刷機械
(51)【国際特許分類】
B41F 5/24 20060101AFI20230301BHJP
B41F 5/04 20060101ALI20230301BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
B41F5/24
B41F5/04 Z
B41J2/01 125
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533604
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2020084625
(87)【国際公開番号】W WO2021110912
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002909
【氏名又は名称】ヴィントメーラー ウント ヘルシャー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ブースマン トマス
(72)【発明者】
【氏名】コルドロッホ ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ルクセム ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】フェルショウ イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ブリュンス クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー ニコ
(72)【発明者】
【氏名】フラスペーラー マルティン
(72)【発明者】
【氏名】シルマイゼン ニルス-ヘンリク
【テーマコード(参考)】
2C034
2C056
【Fターム(参考)】
2C034AA01
2C034AA27
2C056FA13
2C056FA14
2C056HA46
(57)【要約】
本発明は、一続きの資材を印刷するためのハイブリッド印刷技術を搭載した印刷機械に関する。デジタル化に向いた現在の技術動向において使用にあたって適合性がありかつ融通性のあるハイブリッド印刷技術を搭載した印刷機械を製造するために、一続きの資材(204)を印刷するためのハイブリッド印刷技術を搭載した本発明に係る印刷機械は、回転式の中央胴(201)を有する印刷機械であり、一続きの資材(204)は、中央胴の表面上で印刷のために配置箇所(303)から分離箇所(304)まで案内される。一続きの資材(204)のデジタル印刷のための複数のインキ着けユニット(202)が中央胴(201)の上半部の領域に配設され、一続きの資材(204)のフレキソ印刷のための複数のインキ着けユニット(202)が中央胴の下半部の領域に配設される。印刷されるべき一続きの資材(204)をロールから巻き出す巻き出しステーション(205)が設けられるとともに一続きの資材(204)をロール上に巻き取る巻き取りステーション(208)が設けられ、巻き出しステーション(205)及び巻き取りステーション(208)は、中央胴(201)の第1の側に配設され、巻き出しステーション(205)から巻き出された一続きの資材(204)を中央胴(201)に送る給紙案内ローラ(301)及び印刷済みの一続きの資材(204)を中央胴(201)から巻き取りステーション(208)に排紙する排紙案内ローラ(308)が設けられている。給紙案内ローラ(301)及び排紙案内ローラ(308)は、中央胴(201)の第2の側に配設され、一続きの資材(204)を配置箇所で中央胴(201)に配置する送り案内ローラ(302)及び一続きの資材(204)を中央胴(201)から離脱させる剥離案内ローラ(305)が設けられ、送り案内ローラ(302)及び剥離案内ローラ(305)は、配置箇所及び分離箇所が中央胴(201)の下四分円(Q3)に配設されるよう設計されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続印刷資材である巻取紙を印刷するためのハイブリッド印刷技術を搭載した印刷機械であって、
回転式の中央胴を有し、前記巻取紙は、印刷のために前記中央胴の表面上で配置箇所から分離箇所まで案内され、前記巻取紙のデジタル印刷のための複数のインキ着けユニットが前記中央胴の上半部の領域に配設され、前記巻取紙のフレキソ印刷のための複数のインキ着けユニットが前記中央胴の下半部の領域に配設され、
印刷されるべき前記巻取紙をロールから巻き取る巻き取りステーション及び印刷された前記巻取紙をロール上に巻き取る巻き取りステーションを有し、前記巻き出しステーション及び前記巻き取りステーションは、前記中央胴の第1の側に配設され、
前記巻き出しステーションから巻き出された前記巻取紙を前記中央胴に送る給紙案内ローラ及び前記印刷済みの巻取紙を前記中央胴から前記巻き取りステーションに排紙する排紙案内ローラを有し、前記給紙案内ローラ及び前記排紙案内ローラは、前記中央胴の第2の側に配設され、
前記巻取紙を前記配置箇所で前記中央胴に配置する送り案内ローラ及び前記巻取紙を前記中央胴から離脱させる剥離案内ローラを有し、前記送り案内ローラ及び前記剥離案内ローラは、前記配置箇所及び前記分離箇所が前記中央胴の下四分円に配設されるよう設計されている、印刷機械。
【請求項2】
前記巻取紙は、プラスチックフィルム、プラスチックフィルム代替物、アルミニウム巻取紙又はペーパー巻取紙から成る、請求項1記載の印刷機械。
【請求項3】
フレキソ印刷のための4台のインキ着けユニットが前記中央胴の前記下半部領域に配設され、デジタル印刷のための8台のインキ着けユニットが前記中央胴の前記上半部の領域に配設されている、請求項1又は2記載の印刷機械。
【請求項4】
フレキソ印刷のための2台のインキ着けユニットが前記配置場所の後に配設され、フレキソ印刷のための2台のインキ着けユニットが前記分離箇所の前に配設されている、請求項1~3のうちいずれか一に記載の印刷機械。
【請求項5】
フレキソ印刷のための前記2台のインキ着けユニットは、下塗剤及び/又は部分下塗剤及び/又は全面着色下塗剤を塗布するために前記配置場所の後に設けられている、請求項4記載の印刷機械。
【請求項6】
フレキソ印刷のための前記2台のインキ着けユニットは、前記印刷済み巻取紙を仕上げるために前記分離箇所の前に設けられている、請求項4又は5記載の印刷機械。
【請求項7】
前記印刷済み巻取紙を乾燥させるための乾燥ステーションが前記巻き取りステーションの前で前記中央胴の前記第1の側に配設されている、請求項1~6のうちいずれか一に記載の印刷機械。
【請求項8】
前記印刷機械を純然にフレキソ印刷機械として作動させることができるようにデジタル印刷停止装置を有する、請求項1~7のうちいずれか一に記載の印刷機械。
【請求項9】
前記印刷機械を純然にデジタル印刷機械として作動させることができるようにフレキソ印刷停止装置を有する、請求項1~8のうちいずれか一に記載の印刷機械。
【請求項10】
デジタル印刷のための前記インキ着けユニットは、インキジェット印刷のためのインキ着けユニットから成る、請求項1~9のうちいずれか一に記載の印刷機械。
【請求項11】
インキジェット印刷のための前記インキ着けユニットが該インキ着けユニットの位置に関して互換性があるような仕方でインキジェットインキ着けユニットのためのインサートが設けられている、請求項10記載の印刷機械。
【請求項12】
前記インサート内に配置されたインキジェット印刷のためのインキ着けユニットに対応した前記印刷インキを前記インサートに自動的に供給するような種類の星形インキ供給装置が設けられている、請求項11記載の印刷機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続印刷資材である巻取紙に印刷を施すためのハイブリッド印刷技術を搭載した印刷機械に関する。
【0002】
本発明の目的上、ハイブリッド印刷技術は、フレキソ印刷とデジタル印刷の組み合わせを意味しているものと了解される。
【背景技術】
【0003】
包装材の印刷では、フレキソ印刷プロセスが好適であり、このフレキソ印刷プロセスは、長い印刷ジョブを費用効果良く実行する方法であることが判明している。多くの技術開発、例えばより多くの色及び細かいスクリーンの使用はまた、フレキソ印刷における新たなプロセス工学の可能性を切り開いた。
【0004】
「デジタル印刷」という用語は、種々のデジタル印刷プロセスを含む。これら印刷プロセスの全てに共通する特徴は、アナログの印刷型(print form)が存在せず、これに代えて、印刷前段階のデジタルのデータベースから印刷が直接起こるということである。トナー又はインキが、印刷ストックに直接的に又は間接的に転移(移着)される。かくして、フレキソ印刷とは対照的に、印刷型を生じさせるのにコストがかからない。他方、デジタル印刷における目下の操業費は高い。と言うのは、デジタルインキシステムが価格的にフレキソ印刷におけるインキシステムの10~20倍だからである。したがって、塗布されるインキの量が多ければ多いほど、それだけ一層経済的なインパクトが大きいので、デジタル印刷のコストパフォーマンスは、モチーフ及びそのインキ画線比率によっても決まる。
【0005】
包装業界では、デジタル化の過程では、かつてないほど短い製品サイクルへの技術動向が明白である。この結果、包装材印刷の場合、初回注文とリピート注文の両方で印刷部数が減少する。特に、新たな製品又は製品バリエーションが市場に出されると、印刷ジョブの所要の長さは、正確に定めるのが困難な場合が多い。デジタル印刷は、印刷ジョブの長さを直前の通知で変更する可能性を提供しており、加うるに、短い印刷ジョブの場合、これは、高いセットアップ費の重荷を負うことはない。したがって、このプロセスは、適切な量を適切なタイミングで送り出す。加うるに、版サイズは、各種要件に合わせて設定されるので、包装材を保管する費用が発生しない。故障のない再印刷の可能性はまた、不必要なストックロールのリスクを軽減する。新製品を市場に出し、多種多様なバリエーションを小さな版及び極めて小さな版の状態で販促することは、考えられる限り最も短い時間で実施できる。短い印刷ジョブに関し、デジタル印刷は、かくして、高い融通性を提供し、しかもフレキソ印刷よりも費用効果の良い代替手段である。
【0006】
包装業界における別の技術的動向は、可変データ印刷である。この分野においても、デジタル印刷はまた、フレキソ印刷と比較して利点を奏する。デジタル印刷では永続的な印刷イメージメモリが存在しないため、各設計は、個別化されてワンパスで実施できる。その結果、マス・パーソナライゼーションの可能性が開かれ、それにより、顧客を分けて標的にすることが可能であり又は様々な設計で製品販促を個別的にカスタマイズすることが可能である。
【0007】
国際公開第2012/163829(A1)号パンフレットから、2つの中央胴及びこれら中央胴相互間に配置されたドライヤユニットを有するデジタル印刷機械が知られている。インキジェット印刷のための複数のインキ着けユニットが巻取紙を印刷するための第1の中央胴に配設されている。印刷ストック巻取紙にくっついている粒子を静電放電させる装置が第2の中央胴に配設されている。これとは対照的に、デジタル印刷とフレキソ印刷を組み合わせた状態で使用することは、国際公開第2012/163829(A1)号パンフレットには開示されていない。かくして、この種のデジタル印刷機械では、フレキソ印刷の組み合わせ使用又は印刷ユニットのレトロフィットの可能性が存在しない。しかしながら、上述の技術的動向に関する顧客の要求は、変化している。したがって、デジタル印刷機械は、適合可能であるとともに融通性がなければならない。
【0008】
国際公開第2017/207590(A1)号パンフレットから、ハイブリッド印刷技術を搭載した印刷機械が知られており、この印刷機械では、フレキソ印刷ローラは、取り外される場合があり、そしてこの印刷ローラによって空きとなった空間にはインキジェット印刷ユニットを装備することができる。一般に、インキジェット印刷ユニットは、取り外された印刷ローラよりも印刷幅が小さい。したがって、好ましい形態によれば、直線案内が設けられ、その結果、インキジェット印刷ユニットを巻取紙に対して横方向にずらすことができるようになっている。この種のハイブリッド印刷技術を搭載した印刷機械の欠点は、デジタル印刷が極めて特有の使用の場合におけるフレキソ印刷としか組み合わせることができないということにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2012/163829号
【特許文献2】国際公開第2017/207590号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
当該技術分野において知られている印刷機械では、この結果、全体的に以下の問題が生じる。
・細かくかつ様々なジョブについての融通性が制限される:コストを首尾一貫して低く保ちながらどのようにすれば融通性を最大にすることができるか。
・互いに異なるジョブについて互いに異なる印刷技術が必要になる:通常、有効な生産能力に応じて、ジョブがフレキソ印刷かデジタル印刷かのいずれかで準備される。あらゆるジョブを単一の印刷機械で処理することができるか。
【0011】
したがって、本発明の目的は、デジタル化における現行の技術的動向の文脈において適合可能にかつフレキシブルに使用できるハイブリッド印刷技術を搭載した印刷機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。追加の好ましい実施形態が従属形式の請求項に記載されている。
【0013】
連続印刷資材である巻取紙を印刷するためのハイブリッド印刷技術を搭載した本発明に係る印刷機械は、次のような構成の印刷機械であり、すなわち、印刷機械は、回転式の中央胴を有し、巻取紙は、印刷のために中央胴の表面上で配置箇所から分離箇所まで案内され、巻取紙のデジタル印刷のための複数のインキ着けユニットが中央胴の上半部の領域に配設され、巻取紙のフレキソ印刷のための複数のインキ着けユニットが中央胴の下半部の領域に配設され、印刷機械は、印刷されるべき巻取紙をロールから巻き出す巻き出しステーション及び印刷された巻取紙をロール上に巻き取る巻き取りステーションから巻き出す巻き出しステーションをさらに有し、巻き出しステーション及び巻き取りステーションは、中央胴の第1の側に配設され、印刷機械はさらに、巻き出しステーションから巻き出された巻取紙を中央胴に送る給紙案内ローラ及び印刷済みの巻取紙を中央胴から巻き取りステーションに排紙する排紙案内ローラを有し、給紙案内ローラ及び排紙案内ローラは、中央胴の第2の側に配設され、印刷機械は、巻取紙を配置箇所で中央胴に配置する送り案内ローラ及び巻取紙を中央胴から離脱させる剥離案内ローラをさらに有し、送り案内ローラ及び剥離案内ローラは、配置箇所及び分離箇所が中央胴の下四分円に配設されるよう設計されている。
【0014】
本発明の印刷機械により、ハイブリッド印刷技術の実施が可能であり、これにより、従来のフレキソ印刷とデジタル印刷とのギャップを埋めることができる。デジタル印刷のための複数のインキ着けユニットが巻取紙を印刷するための中央胴の上半部の領域に配設されるとともにフレキソ印刷のための複数のインキ着けユニットが巻取紙を印刷するための中央胴の下半部の領域に配設されるので、フレキソ印刷をデジタル印刷の前とデジタル印刷の後の両方においてワンパスで施すことができる。加うるに、配置箇所と分離箇所が案内胴の下四分円に配設されているので、巻取紙をフレキソ印刷後、乾燥ステーションに排紙することができ、この場合、巻取紙の被印刷側は、これが乾燥ステーションに到達するまで案内ローラと接触することがない。
【0015】
本発明の印刷機械は、高い融通性を示しており、と言うのは、巻取紙は、フレキソ印刷、デジタル印刷、又は両方の技術の組み合わせを用いて印刷できるからである。本発明の印刷機械の耐用年数の観点において、ワークフローをしばしば変更することができるので、高い生産性が得られる。最後に、この技術はまた、生産計画における高い融通性の実現を可能にする。
【0016】
中央胴の領域の据え付け空間の制限にも関わらず、本発明により、インキジェットインキ着けユニットを中央胴の上半部の領域に配設することができる。これにより、印刷像において悪影響を及ぼすほど顕著になる重力ベクトルの影響がない状態でインキジェット印刷のためのインキ着けユニットのエラーフリーの作動が可能である。これとは対照的に、インキジエット印刷のためのインキ着けユニットを中央胴の下半部の領域で作動させなければならない場合にはインキジェット印刷品質が低下することが判明した。かくして、インキジェット印刷のためのインキ着けユニットを中央胴の上半部の領域に配設することが特に有利である。
【0017】
好ましい実施形態によれば、巻取紙は、プラスチックフィルム、プラスチックフィルム代替物、アルミニウム巻取紙又はペーパー巻取紙から成る。プラスチックフィルムは、主として、可撓性包装材に印刷を施す際に用いられ、かくして、本発明の印刷機械は、好ましくはこの分野で使用できる。しかしながら、プラスチックフィルムに代えて、プラスチックフィルム代替物、例えばポリラクチド(PLA)もまた使用できる。ポリラクチド(PLA)は、多段合成を介して糖から作られる天然には産出しないポリエステルである。このプロセスでは、糖が発酵して乳酸になり、乳酸はPLAに重合する。PLAは、EN134232にしたがって生分解性であるが、このためには、一般的には工業用堆肥化施設でのみ見受けられるある特定の環境条件が必要である。アルミニウム巻取紙又はペーパー巻取紙に施す印刷は、本発明に係る印刷機械で同様に可能である。
【0018】
別の好ましい実施形態によれば、フレキソ印刷のための4台のインキ着けユニットが中央胴の下半部領域に配設され、デジタル印刷のための8台のインキ着けユニットが中央胴の上半部の領域に配設されている。かかる組み合わせの結果として、良好なコストパフォーマンスと一緒に高度の融通性が得られる。しかしながら、考えられる全ての他の組み合わせもまた可能である。かくして、費用面の理由で、デジタル印刷については7台以下のインキ着けユニットが中央胴の上半部に配設されても良く、あるいは、フレキソ印刷のための3台以下のインキ着けユニットが中央胴の下半部に配設されても良い。同様に、融通性を高めるため、デジタル印刷のための9台以上のインキ着けユニットが中央胴の上半部に配設されるとともにフレキソ印刷のための5台以上のインキ着けユニットが中央胴の下半部に配設されても良い。
【0019】
別の好ましい実施形態によれば、フレキソ印刷のための2台のインキ着けユニットが配置場所の後に配設され、フレキソ印刷のための2台のインキ着けユニットが分離箇所の前に配設される。フレキソ印刷のための2台のインキ着けユニットは、下塗剤及び/又は部分下塗剤及び/又は全面着色下塗剤を塗布するために配置場所の後に設けられる。フレキソ印刷のための2台のインキ着けユニットは、印刷済み巻取紙を仕上げる(例えば、ワニス塗布などを施す)ために分離箇所の前に設けられる。
【0020】
別の好ましい実施形態によれば、印刷済み巻取紙を乾燥させるための乾燥ステーションが巻き取りステーションの上流側で中央胴の第1の側に配設される。加うるに、配置箇所及び分離箇所が案内胴の下四分円に配設されているので、巻取紙をフレキソ印刷後、乾燥ステーションに排紙することができ、この場合、巻取紙の被印刷側は、これが乾燥ステーションに到達するまで案内ローラと接触することがない。
【0021】
別の好ましい実施形態によれば、印刷機械を純然にフレキソ印刷機械として作動させることができるようにデジタル印刷停止装置を有する。これに対応して、これの変形例として又は組み合わせ例として、印刷機械を純然にデジタル印刷機械としてのみ作動させることができるようにフレキソ印刷停止装置を有する。
【0022】
使用事例に応じて、デジタル印刷のためのインキ着けユニットは、適当なデジタル印刷プロセスに基づいて設計されるのが良い。この場合、2つの必要不可欠なかつ基本的に異なるプロセス、すなわち、乾式トナープロセス又は液体トナープロセスを含む電子写真法及びドロップ・オンデマンド方式及び連続インキジェット方式に分けられるインキジェット印刷法がデジタル包装材印刷において用いられる。
【0023】
電子写真プロセスでは、像は、最初に、光受容体で覆われたマイナスに帯電している像ドラム上に形成される。プリントヘッドを介するLED又はレーザビームによる暴露により、電荷が除かれ、帯電潜像が生じる。デベロッパーステーションでは、トナーは、像ドラムの除電部分にくっつく。印刷像は、基材に直接又はゴム胴を介して写され、この印刷像はここに定着されて各印刷プロセスのたびに新たに作られる。像ドラムは、幅全体にわたって正確に一様な暴露を必要とし、その結果、市販の電子写真プロセスは、800mm未満の最大印刷幅に制限される。
【0024】
乾式トナープロセスは、最も古くかつ最もしばしば用いられるデジタル印刷プロセスのうちの1つである。この乾式トナープロセスは、トナーを高温で印刷ストックに定着させる。その結果、温度に敏感な基材の収縮というプロセスに関連した欠点が生じるが、これについては適切な解決策が見いだされた。包装材部門では、乾式トナープロセスは、液体トナープロセスの印刷品質に近くなっているが、トナーが粉末形態であることに起因して乾式トナープロセスは、液体トナーよりも幾分遅く、したがって、包装材用途においてスポットカラーを用いる可能性はなんら提供しない。他のプロセスと比較して、トナーが熱によって定着されることを条件とすれば、乾式トナープロセスは、下塗剤を必要とせず、この乾式トナープロセスは、製造業者の要件に応じて、基材とトナーの種々の組み合わせにおいて乾燥食品との間接的接触と直接的な接触の両方について適している。乾式トナープロセスでは、インキのシーケンスは、フロンタル、カウンター及びインターレイヤー印刷において互いに異なる用途に合わせて意のままに選択できる。
【0025】
包装材印刷では、液体トナープロセスは、アナログプロセスと同等の品質レベルを提供する。このプロセスにおいても、像ドラムが露光され、それにより潜像印刷フォームが作られ、次に、この潜像印刷フォームには帯電した液体トナーでインキ着けされる。オフセット印刷と同様、次にゴムブランケット胴を用いて、現像したインキ分版を像ドラムから印刷ストックに転写する。ブランケット胴の表面を約105~110℃に加熱し、その結果、液体トナーの顔料含有粒子が溶融して依然として軟らかい薄い可塑化層を形成し始めるようになる。依然として存在する場合のあるキャリヤ液を蒸発させる。液体トナーは、低温の印刷ストックとの接触時に、凝固して印刷ストックにしっかりとくっつく。
【0026】
ブランケット胴による転写及び液体トナーの粒径は、かくして、従来型オフセット印刷との類似手段を提供する。巻取印刷システムにおける弯ショットプロセスでは、全てのインキ分版を、最初に、ゴムブランケット胴上に堆積させ、次に、まとめて印刷ストックに転写する。多分版方式(multi-separation)は、枚葉印刷でしか用いられず、印刷では、枚葉紙は、印刷ユニットを繰り返して通過して、ついには、全てのインキが転移される。原理的には、液体トナープロセスは、極めて高い転移速度を可能にするが、この速度は、インキの集積及び結合転移具合によって低下する。したがって、液体トナープロセスの印刷速度は、解像度が同等である場合にはインキジェットシステムの印刷速度よりも幾分低い。
【0027】
液体トナープロセスでは、4種類の原色CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)は、オレンジ、グリーン、バイオレットで補完されるのが良く、その目的は、拡張色空間で印刷し又はパントーン色のシミュレーションの改良されたシミュレーションを生じさせることにある。この目的で、5色が用いられる場合が多く、これらの色に従って、所望の色は、色空間内に配置される。さらに、オフセットプロセスと類似して、拡張色空間の7色にレフレックスブルー、ローダミンレッド、ライトイエロー、透明スポットカラーを加えたものの中から特定の色を混ぜることができ、そしてインキ着けユニットのうちの1つでフルトーンカラーとして使用することができる。液体トナーは、当該技術分野において知られており、液体トナーは、乾燥食品との間接的な接触に適している。液体中に溶解した帯電粒子は、1~2ミクロンの粒径を有し、これら帯電粒子は、これらの粒径が小さいので、微細な細部を正確に表すことができる。帯電粒子は、乾式トナーの厚さよりも小さい厚さを持つトナー層を形成する。
【0028】
インキジェットプロセスは、像キャリヤを必要としない。と言うのは、インキは、プリントヘッドの微細なノズルから印刷ストックに直接転移されるからである。個々のインキジェットプリントヘッドは、構造が互いに異なっている。インキの無接触転移(ノンインパクト方式の印刷)は、印刷ストックに対する影響を軽減する。印刷ヘッドは、広い印刷幅であってもこれらをカバーすることができるような仕方で配置される。
【0029】
ドロップオンデマンドプロセスでは、インキ液滴は、印刷像に従って作られ、そして基材上に射出される。圧電ドロップオンデマンドプロセスでは、インキジェットスプレーヘッドに設けられている圧電セラミック素子は、デジタルデータで制御される。音響波がポンプチャンバ内におけるこの素子の収縮・膨張によって作られ、その結果、スプレーヘッドの出口のところに液滴が生じる。液滴生成の形状及び質量ならびにその速度は、電気パルス形状及び周波数ならびに表面張力及び粘度のインキパラメータで決まる。1~100ピコリットルの見かけの体積を有する10,000~100,000個のインキ液滴を1秒ごとに生じさせることができる。この場合、インキ品質は、印刷品質に決定的な影響を及ぼす。
【0030】
バブルジェットとも呼ばれている熱的ドロップオンデマンドプロセスでは、小型の発熱体がリザーバのノズル開口部の上方に配置され、この発熱体は、これが像信号に関する電気パルスを受け取った場合、蒸気泡を生じさせる。泡は、ノズル開口部から正確に規定された量のインキを噴出させる。泡が収まると、これに対応した量のインキがカートリッジから引き出され、そしてプロセスが再開される。この場合、加熱及び冷却は、マイクロ秒範囲で起こる。他のインキジェットプロセスと比較して、熱的インキジェットヘッドは、費用効果が良く、この理由で、これら熱的インキジェットは、数がこれに対応して多い場合があり、それにより対応の印刷幅、印刷速度及び解像度をカバーする。これら熱的インキジェットヘッドはまた、非常にたやすく交換可能であるが、消耗しやすい。
【0031】
連続インキジェットプロセスでは、ノズル内に一定の圧力が存在し、連続的に出る液滴のサイズは、像信号により制御される。印刷箇所では、液滴は、大きく、そして基材に達し、他方、非印刷箇所では、液滴は、小さく、空気流によって液滴キャッチャー中に差し向けられ、そして液滴は、回路を通って戻る。最高440,000個のインキ液滴を1秒ごとに生じさせることができ、それにより、高い解像度が可能になり、かくしてこれに対応して高い印刷品質が得られる。
【0032】
インキジェットプロセスは、水性顔料インキ又はUVインキを用いる包装材印刷で役立つ。最高7色までの色、すなわち、4つの基本的な色に加えてライトマゼンタ、ライトシアン、及びライトブラック、又はオレンジ、グリーン、バイオレット、ブルー及び/又は特定の色が用いられる。基本表色系から混合したスポットカラーは用いられず、と言うのは、機械のインキヘッドを交換することは、資源集約的に過ぎるからである。食品包装材に関し、これらの使用意図に対して認可された低マイグレーションの水を主成分とするインキが利用可能である。食品業界ではUVインキは、マイグレーションや臭いの理由で極めて批判的に評価される。
【0033】
別の好ましい実施形態によれば、デジタル印刷のためのインキ着けユニットは、インキジェット印刷のためのインキ着けユニットから成る。好ましくは、インキジェット印刷のためのインキ着けユニットがこのインキ着けユニットの位置に関して互換性があるような仕方でインキジェットインキ着けユニットのためのスライドイン式ユニットが設けられている。この目的のため、インサート内に配置されたインキジェット印刷のためのインキ着けユニットに対応した印刷インキをインサートに自動的に供給するような種類の星形インキ供給装置が装備されるのが良い。
【0034】
本発明の追加の細部及び追加の利点については、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明に係る印刷機械の中央胴に関する空間関係を表す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明に係る印刷プレスの中央胴に関する空間関係を表す略図である。空間関係の説明のために、一般性を失わないで、中央胴101が水平x軸及び垂直y軸を含む静止座標系内で時計回りに(102)回転し、座標系の原点が中央胴の回転中心のところに位置しているものとする。さらに、重力ベクトル103が負のy方向においてy軸に平行に向けられている。
【0037】
この星座表示では、中央胴101の上半部104は、x軸より上方の空間を意味し、中央胴101の下半部105は、x軸より下の空間を定めている。
【0038】
これに対応して、中央胴101の左側106は、y軸の左側の空間を表し、中央胴101の右側197は、y軸の右側の空間を定めている。
【0039】
最後に、中央胴101は、4つの四分円Q1,Q2,Q3,Q4に分けられ、四分円Q1は、45゜から135゜までの範囲にあり、四分円Q2は、135゜から225゜までの範囲にあり、四分円Q3は、225゜から315゜までの範囲にあり、四分円Q4は、315゜から45゜までの範囲にある。先の定義から、四分円Q1が上側四分円であり、四分円Q3が下側四分円であり、四分円Q2が左側四分円であり、四分円Q4が右側四分円であることもまた推定される。
【0040】
図2は、本発明に係る印刷機械の斜視図である。原理的には、本発明に係る印刷機械は、中央胴201を有し、この印刷機械では、インキジェット印刷のための8台のインキ着けユニット202(説明を簡潔にするためにこれらはひとまとめに1つの参照符号で表示されている)が中央胴の上半部の領域に配置され、フレキソ印刷のための4台のインキ着けユニット203(説明を簡潔にするためにこれらはひとまとめに1つの参照符号で表示されている)が中央胴の下半部の領域に配置されている。インキジェット用インキ着けユニット202を中央胴201の上半部の領域に配置することにより、印刷像において悪影響を及ぼすほど顕著になる重力ベクトルの影響がない状態でインキジェット印刷のためのインキ着けユニットのエラーフリーの作動が可能である。これとは対照的に、インキジエット印刷のためのインキ着けユニットを中央胴201の下半部の領域で作動させなければならない場合にはインキジェット印刷品質が低下することが判明した。かくして、インキジェット印刷のためのインキ着けユニットを中央胴201の上半部の領域に配置することが特に有利である。
【0041】
印刷のため、資材としての巻取紙204を巻き出しステーション205から中央胴201に案内する。完成した印刷済み巻取紙を巻き取りステーション206のところで再び巻き取る。
【0042】
ハウジング207が中央胴201の左側に配置されている。ハウジング207内には、巻き出しステーション205によって巻き出された巻取紙204を中央胴201に給紙するための給紙案内ローラが配設されるとともに印刷済み巻取紙を中央胴201から巻き取りステーション206に排紙する排紙案内ローラが配設されている。
【0043】
乾燥ステーション208が中央胴201の右側に配置され、印刷済み巻取紙を乾燥させるための乾燥ステーションが巻き取りステーション206の前に配設されている。
図3は、本発明に係る印刷機械の側面図である。
図2に示されている既に説明したコンポーネントには同一の参照符号が付けられており、その結果、これに関して、
図2による説明を参照されたい。加うるに、巻取紙204の巻取紙案内については以下に詳細に説明する。
【0044】
巻き出しステーション205から、巻取紙204は、ハウジング207内の中央胴の左側に配置された送り案内ローラ301(これら送り案内ローラは、説明を簡潔にするために単一の参照符号でまとめて表示されている)に至る。給紙案内ローラ301は、巻取紙をさらに送り案内ローラ302に案内し、そして巻取紙はここから中央胴201の表面上の配置箇所303に到達する。
【0045】
中央胴201の表面上において、巻取紙は、高精度で個々のインキ着けユニット202,203を越えて案内される。次に、分離箇所304のところで、巻取紙は、既定された仕方で中央胴201の表面から剥離案内ローラ305によって離される。配置箇所303ならびに分離箇所304は、中央胴201の下四分円Q3の領域に配置されている。このようにすると、巻取紙をフレキソ印刷後に乾燥ステーション208に排紙することができ、この場合、巻取紙の印刷済みの側は、巻取紙が乾燥ステーションに到達するまで案内ローラとはこれ以上なんら接触することはない。
【0046】
分離箇所304から、巻取紙は、排紙案内ローラ306に至り(これら排紙案内ローラは、説明を簡潔にするために単一の参照符号でまとめて表示されている)、これら排紙案内ローラは、ハウジング207内の中央胴の左側に同様に配置されている。排紙案内ローラ306は巻取紙をさらに乾燥ステーション208に案内し、この乾燥ステーションにおいて、巻取紙の印刷済みの側を巻き取りステーション206のところで巻き取られる前に乾燥させる。
【国際調査報告】