(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】半導体-超伝導体ハイブリッド構造用の超伝導体ヘテロ構造
(51)【国際特許分類】
H10N 60/83 20230101AFI20230301BHJP
H10N 60/01 20230101ALI20230301BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
H01L39/08 ZAA
H01L39/24 D
H01L29/06 601N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535496
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 US2020061980
(87)【国際公開番号】W WO2021194562
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】314015767
【氏名又は名称】マイクロソフト テクノロジー ライセンシング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー,ジェオフリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】カラハー,レイモンド エル.
(72)【発明者】
【氏名】グロニン,セルゲイ ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】マンフラ,マイケル ジェームス
【テーマコード(参考)】
4M113
【Fターム(参考)】
4M113AC45
4M113AC50
4M113BA02
4M113BA14
4M113CA12
4M113CA13
4M113CA14
(57)【要約】
半導体-超伝導体ハイブリッド構造は、半導体層と、半導体層上の超伝導体ヘテロ構造とを含む。超伝導体ヘテロ構造は、半導体層上の第1の超伝導体層と、第1の超伝導体層上の第2の超伝導体層とを含む。第1の超伝導体層は、第1の超伝導材料を含み、第2の超伝導体層は、第1の超伝導材料とは異なる第2の超伝導材料を含む。異なる超伝導材料の多層として超伝導体ヘテロ構造を提供することによって、超伝導体ヘテロ構造の超伝導特性及び物理的特性を従来の超伝導ホモ構造に比べて改良することができ、それによって、半導体‐超伝導体ハイブリッド構造の性能を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層と、
前記半導体層上の超伝導体ヘテロ構造と、を含み、
前記超伝導体ヘテロ構造は、前記半導体層上の第1の超伝導体層と、該第1の超伝導体層上の第2の超伝導体層とを含み、前記第1の超伝導体層は、第1の超伝導材料を含み、前記第2の超伝導体層は、前記第1の超伝導材料とは異なる第2の超伝導材料を含む、
半導体-超伝導体ハイブリッド構造。
【請求項2】
前記第1の超伝導材料及び前記第2の超伝導材料は、アルミニウム、鉛、ニオブ、インジウム、スズ、タンタル、及びバナジウムのうちの1つを含む、請求項1に記載の半導体-超伝導体ハイブリッド構造。
【請求項3】
前記半導体層は、ヒ化インジウム、アンチモン化インジウム、及びヒ化インジウムアンチモン化物のうちの1つを含む、請求項2に記載の半導体-超伝導体ハイブリッド構造。
【請求項4】
前記超伝導体ヘテロ構造は、前記第2の超伝導体層上の第3の超伝導体層を更に含む、請求項1に記載の半導体-超伝導体ハイブリッド構造。
【請求項5】
前記第3の超伝導体層は、前記第1の超伝導材料を含む、請求項4に記載の半導体-超伝導体ハイブリッド構造。
【請求項6】
前記超伝導体ヘテロ構造は、前記第3の超伝導体層上の第4の超伝導体層を更に含む、請求項4に記載の半導体-超伝導体ハイブリッド構造。
【請求項7】
前記第3の超伝導体層は、前記第1の超伝導材料を含み、前記第4の超伝導体層は、前記第2の超伝導材料を含む、請求項6に記載の半導体-超伝導体ハイブリッド構造。
【請求項8】
当該半導体-超伝導体ハイブリッド構造は、ナノワイヤを形成する、請求項1に記載の半導体-超伝導体ハイブリッド構造。
【請求項9】
前記第1の超伝導体層及び前記第2の超伝導体層のうちの少なくとも1つの超伝導体層の厚さは、3単層未満である、請求項1に記載の半導体-超伝導体ハイブリッド構造。
【請求項10】
前記超伝導体ヘテロ構造上のキャップ層を更に含み、該キャップ層は、前記超伝導体ヘテロ構造を酸化から保護するように構成される、請求項1に記載の半導体-超伝導体ハイブリッド構造。
【請求項11】
半導体-超伝導体ハイブリッド構造を製造する方法であって、
半導体層を提供することと、
前記半導体層上に第1の超伝導体層を提供し且つ該第1の超伝導体層上に第2の超伝導体層を提供することによって、前記半導体層上に超伝導体ヘテロ構造を提供することと、を含み、
前記第1の超伝導体層は、第1の超伝導材料を含み、前記第2の超伝導体層は、前記第1の超伝導材料とは異なる第2の超伝導材料を含む、
方法。
【請求項12】
前記第1の超伝導材料及び前記第2の超伝導材料は、アルミニウム、鉛、ニオブ、インジウム、スズ、タンタル、及びバナジウムのうちの1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記半導体層は、ヒ化インジウム、アンチモン化インジウム、及びヒ化インジウムアンチモン化物のうちの1つを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記超伝導体ヘテロ構造を提供することは、前記第2の超伝導体層上に第3の超伝導体層を提供することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第3の超伝導体層は、前記第1の超伝導材料を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超伝導体ヘテロ構造(superconductor
heterostructures)に関し、具体的には、トポロジー(topology)選択領域成長(SAG:selective-area-growth)ナノワイヤ及び超伝導量子ビット(superconducting qubits)のような半導体-超伝導体ハイブリッド構造(semiconductor-superconductor hybrid structures)のための超伝導体ヘテロ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トポロジー選択領域成長(SAG)ナノワイヤ及び超伝導量子ビットのような多くの量子コンピューティングデバイスは、量子動作に適した材料特性を提供するために、半導体-超伝導体ハイブリッド構造における半導体と超伝導体との間の結合に依存する。従来の量子デバイスでは、超伝導体ホモ構造(superconductor homostructure)が、半導体上に提供されて、半導体-超伝導体ハイブリッド構造を提供する。超伝導体ホモ構造は、アルミニウムのような単一の超伝導材料である。超伝導材料は、臨界温度、臨界磁場、超伝導ギャップ、2e周期性などのような、超伝導特性を示す。更に、超伝導材料は、融解温度、エッチング特性、格子定数、酸化反応などのような、物理的/構造的特性を示す。超伝導ホモ構造に選択される超伝導材料の特性は、超伝導ホモ構造が提供される半導体の特性と共に、誘起された超伝導ギャップ、格子関係などのような、2つの間の半導体-超伝導体界面の1つ以上の特性を決定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
超伝導材料と半導体材料との特定の組み合わせは、量子コンピューティングデバイスにおける使用についての見込み(promise)を示しているが、超伝導体ホモ構造は、一般的に、トポロジーSAGナノワイヤ及び超伝導量子ビットのような、ロバスト(堅牢)で信頼性の高い量子コンピューティングデバイスを作り出すのに必要な特性を提供しない。従って、量子コンピューティングデバイスを提供するための改良された半導体-超伝導体ハイブリッド構造についての必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施形態では、半導体-超伝導体ハイブリッド構造が、半導体層と、半導体層上の超伝導体ヘテロ構造とを含む。超伝導体ヘテロ構造は、半導体層上の第1の超伝導体層と、第1の超伝導体層上の第2の超伝導体層とを含む。第1の超伝導体層は、半導体と構造的及び電気的な適合性(compatibility)を有するように選択される第1の超伝導材料を含み、第2の超伝導体層は、第1の超伝導材料とは異なる第2の超伝導材料を含む。異なる超伝導材料の多層として超伝導体ヘテロ構造を提供することによって、超伝導体ヘテロ構造の超伝導特性及び物理的特性を従来の超伝導ホモ構造に比べて改良することができ、それによって、半導体‐超伝導体ハイブリッド構造の性能を向上させることができる。
【0005】
1つの実施形態では、半導体-超伝導体ハイブリッド構造を製造する方法が、半導体層を提供することと、半導体層上に超伝導体ヘテロ構造を提供することとを含む。超伝導体ヘテロ構造は、半導体層上の第1の超伝導体層と、第1の超伝導体層上の第2の超伝導体層とを含む。第1の超伝導体層は、半導体と構造的及び電気的な適合性を有するように選択される第1の超伝導体材料を含み、第2の超伝導体層は、第1の超伝導体材料とは異なる第2の超伝導体材料を含む。異なる超伝導材料の多層として超伝導体ヘテロ構造を提供することによって、超伝導体ヘテロ構造の超伝導特性及び物理的特性を従来の超伝導ホモ構造に比べて改良することができ、それによって、半導体‐超伝導体ハイブリッド構造の性能を向上させることができる。
【0006】
当業者は、添付の図面に関連する好ましい実施形態の以下の詳細な記述を読んだ後に、本開示の範囲を理解し、本開示の追加的な態様を実現するであろう。
【0007】
この明細書に組み込まれてこの明細書の一部分を構成する添付の図面は、本開示の幾つかの態様を例示し、記述と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の1つの実施形態に従った超伝導体ヘテロ構造を含む半導体-超伝導体ハイブリッド構造を示している。
【0009】
【
図2】本開示の1つの実施形態に従った超伝導体ヘテロ構造を含む半導体-超伝導体ハイブリッド構造を示している。
【0010】
【
図3】本開示の1つの実施形態に従った超伝導体ヘテロ構造を含む半導体-超伝導体ハイブリッド構造を示している。
【0011】
【
図4】本開示の1つの実施形態に従った半導体-超伝導体ハイブリッドヘテロ構造の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に示す実施形態は、当業者が実施形態を実施することを可能にする必要な情報を表し、実施形態を実施する最良の形態(ベストモード)を例示する。添付の図面の図に照らして以下の記述を読んだ後に、当業者は、本開示の概念を理解し、本明細書で特に取り扱わないこれらの概念の用途を認識するであろう。これらの概念及び用途は、本開示及び添付の請求項の範囲内にあることが理解されるべきである。
【0013】
本明細書では、第1、第2などの用語を使用して様々な要素を記述することがあるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用するとき、「及び/又は(and/or)」という用語は、関連付けられた列挙された品目(アイテム)の1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0014】
層、領域、又は基板のような素子が別の要素の「上(on)」にある又は「上(onto)」に延在していると称されるとき、それは他の素子の上に直接的に存在又は延在し得るか或いは介在要素が存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素の「上に直接的(directly on)」にある又は「上に直接的(directly onto)」に延在していると称されるとき、介在する要素は存在しない。同様に、層、領域、又は基板のような要素が別の要素を「覆っている(over)」又は「覆って(over)」延在していると称されるとき、それは他の要素を直接的に覆い得る又は直接的に覆って延在し得るか或いは介在要素が存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素を「直接的に覆っている(directly over)」又は「直接的に覆って(directly over)」延在していると称されるとき、介在要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続されている(connected)」又は「結合されている(coupled)」と称されるとき、それは他の要素に直接的に接続又は結合されることができ或いは介在要素が存在してもよいことも理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接的に接続されている」又は「直接的に結合されている」と称されるとき、介在要素は存在しない。
【0015】
「より下(below)」、「より上(above)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「水平(horizontal)」又は「垂直vertical」のような相対的な用語は、本明細書では、図に示すように、ある要素、層、又は領域と別の要素、層、又は領域との関係を記載するために使用されることがある。これらの用語及び上記で議論した用語は、図面に示す向きに加えて、デバイスの異なる向きを包含することが意図されていることが理解されるであろう。
【0016】
本明細書において使用する用語は、特定の実施形態を記載するためのものであるにすぎず、本開示を限定することを意図しない。本明細書において使用するとき、単数形の表現は、文脈が明確に他のことを示さない限り、複数形を含むことが意図される。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含む(including)」は、本明細書において使用するとき、記述する構成(features)、完全体(integers)、ステップ(steps)、動作(operations)、要素(elements)、及び/又はコンポーネント(components)の存在を特定するが、1つ以上の他の構成、完全体、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループ(群)の存在又は追加を排除しないことが、更に理解されるであろう。
【0017】
別段定義されない限り、本明細書において使用する(技術用語及び科学用語を含む)全ての用語は、この開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。更に、本明細書において使用する用語は、この明細書及び関連技術の文脈においてそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書においてそのように明確に定義されない限り、理想化されたり或いは過剰に形式的な意味で解釈されたりしてならないことが、更に理解されるであろう。
【0018】
図1は、本開示の1つの実施形態に従った半導体-超伝導体ハイブリッド構造10を示している。半導体-超伝導体ハイブリッド構造10は、半導体層12と、半導体層12上の超伝導体ヘテロ構造14とを含む。幾つかの実施態様では、超伝導体ヘテロ構造14を酸化から保護するために、任意的なキャップ層16が超伝導体ヘテロ構造14上に設けられる。注目すべきことに、超伝導体ヘテロ構造14は、半導体層12上にある第1の超伝導体層14Aと、第1の超伝導体層14A上にある第2の超伝導体層14Bとを含む。第1の超伝導体層14Aは、第1の超伝導材料である一方で、第2の超伝導体層14Bは、第1の超伝導材料とは異なる第2の超伝導材料である。
【0019】
第1の超伝導材料及び第2の超伝導材料は、それらの他の特性を損なうことなく、超伝導体ヘテロ構造14の特定の特性を改良するように選択されることができる。上述のように、従来の半導体-超伝導体ハイブリッド構造において、超伝導体は、1つの超伝導材料のみを含むホモ構造として提供される。従って、半導体‐超伝導体ハイブリッド構造のための超伝導体特性の従来の最適化は、超伝導材料の選択に限定される。よって、従来の半導体‐超伝導体ハイブリッド構造における超伝導体の特性は、選択される超伝導材料の生来の特性によって制限される。超伝導体ヘテロ構造14において2つ以上の超伝導材料を使用することによって、超伝導体スタックの生来の限界を変更して、複数の特性について同時に最適化することが可能である。ヘテロ構造中で超伝導材料を互いに添加することは、個々の材料と比較して、ヘテロ構造の超伝導特性に対する変化をもたらす。例えば、超伝導材料を組み合わせることによって超伝導ギャップを強化し得ることが示されている。更に、超伝導材料を互いに添加することは、個々の材料と比較して、ヘテロ構造の物理的特性に対する変化をもたらす。例えば、融解温度は、別の1つの超伝導材料の濃度にほぼ直線的に関連している。このことを念頭に置いて、超伝導ギャップ、臨界磁場、処理中の安定性、又は任意の他の所望の特性のような特性は、超伝導体ヘテロ構造14内の超伝導材料の層を組み合わせることによって調整されることがある。
【0020】
様々な実施形態において、第1の超伝導体層14A及び第2の超伝導体層14Bは、アルミニウム(aluminum)、鉛(lead)、ニオブ(niobium)、インジウム(indium)、スズ(tin)、タンタル(tantalum)、及びバナジウム(vanadium)の異なるものを含んでよい。半導体層12は、ヒ化インジウム(indium arsenide)、アンチモン化インジウム(indium antimonide)、ヒ化インジウムアンチモン化物(indium arsenide antimonide)、又は任意の他の所望の半導体を含んでよい。キャップ層16は、酸化アルミニウム、ニオブ、又は酸化に耐性のある他の適切な金属を含んでよい。本開示の原理は、第1の超伝導体層14A、第2の超伝導体層14B、半導体層12、及びキャップ層16についての上記材料のあらゆる組み合わせを含む、半導体-超伝導体ハイブリッド構造を想定する。上述のように、キャップ層16は、酸化に耐性のある超伝導材料(例えば、ニオブ)が超伝導体ヘテロ構造14の最上層として使用される実施形態のような幾つかの実施形態では省略されることがある。
【0021】
1つの実施形態において、第1の超伝導体層14Aは、0.5nm~7nmの間の厚さを有する。第2の超伝導体層14Bは、3nm~30nmの間の厚さを有する。半導体層12は、10μm~500μmの間の厚さを有する。キャップ層16は、0.5nm~10nmの間の厚さを有する。半導体-超伝導体ハイブリッド構造10は、半導体-超伝導体ハイブリッド構造10の直径がナノメートル(10-9メートル)のオーダであり、且つ/或いは1000よりも大きい長さ対幅比を有するように、ナノワイヤを形成してよい。
【0022】
一例として、第1の超伝導体層14Aは、アルミニウムであってよく、第2の超伝導体層14Bは、鉛であってよい。超伝導体ヘテロ構造14においてアルミニウム及び鉛を組み合わせることによって、半導体-超伝導体界面伝導バンドオフセットを維持しながら、位相ギャップ(topological gap)を増加させてよい。キャップ層16は、量子デバイスを作るのに必要な中間温度で半導体-超伝導体ハイブリッド構造10を処理する能力を維持することがある。
【0023】
注目すべきことに、第1の超伝導体層14A及び第2の超伝導体層14Bは、離散層であり、合金として提供されない。以下に議論するように、第2の超伝導体層14Bは、反復堆積ステップ(iterative deposition step)として第1の超伝導体層14Aの上に堆積される。
【0024】
図2は、本開示の追加的な実施形態に従った半導体-超伝導体ハイブリッド構造10を示している。
図2に示す半導体-超伝導体ハイブリッド構造10は、第3の超伝導体層14Cが第2の超伝導体層14Bとキャップ層16との間にあるように、超伝導体ヘテロ構造14が第2の超伝導体層14Bの上に第3の超伝導体層14Cを含む点を除いて、
図1に示すものと実質的に同じである。半導体層12、第1の超伝導体層14A、第2の超伝導体層14B、及びキャップ層16の上記説明は、
図2に示す実施形態に等しく当て嵌まる。
【0025】
第3の超伝導体層14Cは、幾つかの実施形態において、第1の超伝導体層14Aと同じ超伝導材料であってよい。例えば、第1の超伝導体層14A及び第3の超伝導体層14Cは、アルミニウムであってよい一方で、第2の超伝導体層14Bは、鉛であってよい。他の実施形態において、第3の超伝導体層14Cは、第1の超伝導材料及び第2の超伝導材料の両方と異なる第3の超伝導材料であってよい。第1の超伝導材料及び第2の超伝導材料と同様に、第3の超伝導材料は、アルミニウム、鉛、ニオブ、インジウム、スズ、タンタル、及びバナジウムのうちの1つであってよい。
図2に示す実施形態では、第1の超伝導体層14Aの厚さは、0.5nm~7nmの間であってよい。第2の超伝導体層14Bの厚さは、0.5nm~10nmの間であってよい。第3の超伝導体層14Cの厚さは、0.5nm~20nmの間であってよい。より一般的には、様々な実施形態において、第1の超伝導体層14A、第2の超伝導体層14B、及び第3の超伝導体層14Cのうちの少なくとも1つの超伝導体層の厚さは、3単層(monolayers)未満であってよい。
【0026】
図3は、本開示の追加的な実施形態に従った半導体-超伝導体ハイブリッド構造10を示している。
図3に示す半導体-超伝導体ハイブリッド構造10は、第4の超伝導体層14Dが第3超伝導体層14Cとキャップ層16との間にあるように、超伝導体ヘテロ構造14が第3超伝導体層14Cの上に第4の超伝導体層14Dを含む点を除いて、
図2に示すものと実質的に類似している。半導体層12、第1の超伝導体層14A、第2の超伝導体層14B、第3の超伝導体層14C、及びキャップ層16の上記説明は、
図3に示す実施形態に等しく当て嵌まる。
【0027】
幾つかの実施態様において、第4の超伝導体層14Dは、第2の超伝導体層14Bと同じ超伝導材料であってよい。これらの実施形態において、第3の超伝導体層14Cは、第1の超伝導体層14Aと同じ超伝導材料であってよい。例えば、第1の超伝導体層14A及び第3の超伝導体層14Cは、鉛であってよい一方で、第2の超伝導体層14B及び第4の超伝導体層14Dは、ニオブであってよい。他の実施形態において、第4の超伝導体層14Dは、第1の超伝導材料、第2の超伝導材料、及び第3の超伝導材料とは異なる、或いは第1の超伝導材料と同じである、第4の超伝導材料であってよい。第1の超伝導材料と同様に、第2の超伝導材料、第3の超伝導材料、及び第4の超伝導材料は、アルミニウム、鉛、ニオブ、インジウム、スズ、タンタル、及びバナジウムのうちの1つであってよい。
図3に示す実施形態において、第1の超伝導体層14Aの厚さは、0.5nm~7nmの間であってよい。第2の超伝導体層14Bの厚さは、0.5nm~10nmの間であってよい。第3の超伝導体層14Cの厚さは、0.5nm~10nmの間であってよい。第4の超伝導体層14Dの厚さは、0.5nm~10nmの間であってよい。より一般的には、様々な実施形態において、第1の超伝導体層14A、第2の超伝導体層14B、第3の超伝導体層14C、及び第4の超伝導体層14Dのうちの少なくとも1つの超伝導体層の厚さは、3単層未満であってよい。
【0028】
図示されていないが、本開示は、超伝導体ヘテロ構造14内の任意の数の超伝導体層を想定する。例えば、超伝導体ヘテロ構造14は、5、6、7、8、9、10又はそれよりも多くの層を含んでよい。
【0029】
図4は、本開示の1つの実施形態に従った半導体-超伝導体ハイブリッド構造10の製造方法を示すフロー図である。本方法は、半導体層12を提供すること(ブロック100)によって開始する。半導体層12は、SAGプロセスを含む任意の適切なプロセスによって提供されてよい。超伝導体ヘテロ構造14は、半導体層12の上に提供される(ブロック102)。上述のように、伝導体ヘテロ構造14は、多数の超伝導体層を含み、それらの各々は、反復堆積ステップを介して提供されてよい。超伝導体ヘテロ構造14は、分子線エピタキシプロセス(molecular beam epitaxy process)によって提供されてよい。任意的に、キャップ層16は、超伝導体ヘテロ構造14の上に提供されてよい(ブロック104)。キャップ層16は、任意の適切なプロセスによって提供されてよい。
【0030】
当業者は、本開示の好ましい実施形態の改良及び修正を認識するであろう。全てのそのような改良及び修正は、本明細書に開示する概念及び後続の特許請求の範囲の範囲内であると考えられる。
【国際調査報告】