(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】アルカロイドを含有する材料のシートを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
A24B 15/12 20060101AFI20230301BHJP
A24B 3/14 20060101ALI20230301BHJP
A24B 15/167 20200101ALI20230301BHJP
【FI】
A24B15/12
A24B3/14
A24B15/167
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022535639
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(85)【翻訳文提出日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2020083945
(87)【国際公開番号】W WO2021121933
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】デル ボレロ ミケーレ
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB11
4B043BB17
4B043BB25
(57)【要約】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のシートの調製のための方法に関し、当該方法は、‐アルカロイドを含有する材料を粉末に粉砕することと、‐スラリーを形成するように、この粉末を結合剤、エアロゾル形成体、水と組み合わせることであって、スラリーが、スラリーの総重量の約40パーセント~約70パーセントから成る量のアルカロイドを含有する材料の粉末と、スラリーの総重量の約30パーセント~約55パーセントから成る量の水と、スラリーの総重量の約0パーセント~約1パーセントから成る量の結合剤と、スラリーの総重量の1%~約5%から成る量のエアロゾル形成体とを含む、組み合わせることと、‐アルカロイドを含有する材料のシートを形成するように、繊維を含む基材シートにスラリーを適用することと、を含む。
【選択図】
図1、
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカロイドを含有する材料のシートの製造のための方法であって、
-アルカロイドを含有する材料を粉末に粉砕することと、
-スラリーを形成するように、前記粉末を結合剤、エアロゾル形成体、水と組み合わせることであって、前記スラリーが、
・前記スラリーの総重量の約40パーセント~約70パーセントから成る量のアルカロイドを含有する前記材料の粉末と、
・前記スラリーの前記総重量の約30パーセント~約55パーセントから成る量の水と、
・前記スラリーの前記総重量の約0パーセント~約1パーセントから成る量の結合剤と、
・前記スラリーの前記総重量の約1パーセント~約5パーセントから成る量のエアロゾル形成体と、を含む、組み合わせることと、
-アルカロイドを含有する材料のシートを形成するように、繊維を含む基材シートに前記スラリーを適用することと、を含む、方法。
【請求項2】
-アルカロイドを含有する材料の前記シートを乾燥して、アルカロイドを含有する材料の乾燥したシートを得る工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルカロイドを含有する材料を粉末に粉砕する前記工程が、
-一つ以上のたばこタイプのたばこのブレンドをたばこ粉末に粉砕することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
一つ以上のたばこタイプのブレンドを粉砕する前記工程が、以下のたばこ、すなわち、
-ブライトたばこ、
-ダークたばこ、
-アロマティックたばこ、
-フィラーたばこ、のうちの一つ以上のたばこタイプのたばこをブレンドすることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項5】
繊維を含む基材シートに前記スラリーを適用する前記工程が、セルロース繊維を含む基材シートを提供することを含む、請求項1~4の一項以上に記載の方法。
【請求項6】
繊維を含む基材シートに前記スラリーを適用する工程が、約0.7ミリメートル~約50ミリメートルから成る公称平均繊維長さを有する繊維を含む基材シートに前記スラリーを適用することを含む、請求項1~5の一項以上に記載の方法。
【請求項7】
アルカロイドを含有する材料のシートを形成するように、繊維を含む基材シートに前記スラリーを適用することが、前記スラリーで前記基材シートを被覆または含浸することを含む、請求項1~6の一項以上に記載の方法。
【請求項8】
アルカロイドを含有する材料のシートを形成するように、繊維を含む基材シートに前記スラリーを適用することが、前記基材シート上に前記スラリーをスプレーすることを含む、請求項1~7の一項以上に記載の方法。
【請求項9】
請求項2に従属する時、前記基材シートが、0.175ミリメートル~約0.250ミリメートルから成る厚さを有する、請求項1~8の一項以上に記載の方法。
【請求項10】
前記基材シートが、約100ミリメートル~約2500ミリメートルから成る幅を有する、請求項1~9の一項以上に記載の方法。
【請求項11】
アルカロイドを含有する材料を粉末に粉砕することが、アルカロイドを含有する材料を約8ミクロン~約200ミクロンから成るサイズを有する粉末に粉砕することを含む、請求項1~10の一項以上に記載の方法。
【請求項12】
前記基材シートが第一の表面および第二の表面を画定し、前記基材シートに前記スラリーを適用する前記工程が、前記基材シートの前記第一の表面と前記第二の表面に前記スラリーを適用することを含む、請求項1~11の一項以上に記載の方法。
【請求項13】
アルカロイドを含有する材料のシートに風味剤を適用する工程を含む、請求項1~12の一項以上に記載の方法。
【請求項14】
前記スラリーの粘度が約18000センチポアズ~約45000センチポアズから成る、請求項1~13の一項以上に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14に記載の方法に従って実現された、アルカロイドを含有する材料のシートの一部分を備えるエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のシートを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、アルカロイドを含有する材料は均質化したたばこ材料であってもよく、例えば紙巻たばこ、または「加熱非燃焼式」タイプのたばこ含有製品などのエアロゾル発生物品で使用されることが好ましい。
【0003】
今日では、たばこ製品の製造において、たばこ葉以外に、キャストリーフまたは再構成たばこのような均質化したたばこ材料も使用されている。
【0004】
「加熱非燃焼式」エアロゾル発生物品において、エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成するがたばこ材料の燃焼を防止するために、比較的に低い温度に加熱される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
均質化したたばこ材料は、たばこ粉末を含む異なる構成成分を混合して、たばこスラリーを形成することによって製造される。さらに、スラリーは一般的に、たばこに含有されている繊維に加えて、セルロース繊維などの繊維を含有する。次に、このスラリーは、適切な送達システムを通してキャスティングシステムに送られる前にタンク内に貯蔵され、キャスティングシステムでは移動コンベヤーの鋼ベルト上にキャストされるために「キャスティングボックス」に入り、その後、乾燥機内で乾燥される。
【0006】
加熱非燃焼式製品用に使用することができるアルカロイドを含有する代替的な材料を得るためのプロセスに対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、アルカロイドを含有する材料のシートの製造方法に関し、当該方法は、アルカロイドを含有する材料を粉末に粉砕することと、スラリーを形成するように粉末を結合剤、エアロゾル形成体、水と組み合わせることとを含む。スラリーは、スラリーの総重量の約40パーセント~約70パーセントから成る量のアルカロイドを含有する材料の粉末を含むことが好ましい。スラリーは、スラリーの総重量の約30パーセント~約55パーセントから成る量の水を含むことが好ましい。スラリーは、スラリーの総重量の約0パーセント~約1パーセントから成る量の結合剤を含むことが好ましい。スラリーは、スラリーの総重量の約1パーセント~約5パーセントから成る量のエアロゾル形成体を含むことが好ましい。方法は、アルカロイドを含有する材料のシートを形成するように、繊維を含む基材シートにスラリーを適用することをさらに含んでもよい。
【0008】
スラリーは、アルカロイドを含有する材料のシートを形成するために繊維を含む基材シートに供給される。それ故に、スラリーのための「繊維の基材」が既に存在し、比較的に高い引張強さを有するアルカロイドを含む材料のシートを得るために、スラリー中に大量の繊維を加える必要がない。この態様は、スラリーでより少ない水を使用することと、それ故に、結果として得られたアルカロイドを含有する材料のシートを乾燥するうえでより少ないエネルギーを使用することとを可能にする場合がある。シートの組成物のより良好な制御も同様に達成される場合がある。
【0009】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する層状の要素を意味する。
【0010】
本明細書で使用される「スラリー」という用語は、異なる液体様の粘稠な、またはペースト状の材料のエマルションを含んでもよい液体様の粘稠な、またはペースト状の材料を意味する。スラリーは、スラリーが液体様の粘稠な、またはペースト状の挙動を依然として示すという条件で、一定の量の固体状態の粒子を含有してもよい。
【0011】
以下において、「上流」または「下流」という用語を用いて、スラリーの流れの方向を参照する。
【0012】
本明細書で使用される「移動可能な支持体」という用語は、少なくとも一つの長軸方向で移動するように適合された表面を備える任意の手段を意味する。移動可能な支持体は、一つの方向で途切れることのない搬送能力を提供するように、閉ループを形成してもよい。しかしながら、移動可能な支持体は往復運動のやり方でも同様に移動してもよい。移動可能な支持体はコンベヤーベルトを含んでもよい。移動可能な支持体は本質的に平坦であってもよい。移動可能な支持体は、構造化された表面または構造化されていない表面を示してもよい。移動可能な支持体は、シート様の移動可能でかつ曲げることができる帯を含んでもよい。帯は、鋼、銅、鉄合金、銅合金が挙げられるがこれらに限定されない金属材料、またはゴムで作製されてもよい。
【0013】
「繊維を含む基材シート」は、スラリーのための基材として使用される、かつ繊維を含む材料で形成されたシートを意味する。シートが形成される材料は、任意のタイプの繊維、例えばセルロース繊維を含んでもよい。材料のシートは、移動可能な支持体の上に定置されてもよく、または自己支持形であってもよい。
【0014】
「アルカロイドを含有する材料」は、一つ以上のアルカロイドを含有する材料である。アルカロイドはニコチンを含んでもよい。ニコチンは、例えばたばこの中に見いだされうる。
【0015】
アルカロイドは、塩基性の窒素原子を主に含有する天然の化合物の群である。この群はまた、中性特性を有する一部の関連する化合物、および弱酸性特性を有する一部の関連する化合物さえも含む。類似の構造の一部の合成化合物もアルカロイドと呼ばれる。炭素、水素、窒素に加えて、アルカロイドはまた、酸素、硫黄、より稀には塩素、臭素、リンなどの他の元素も含有する場合がある。
【0016】
カフェイン、ニコチン、テオブロミン、アトロピン、ツボクラリンはアルカロイドの例である。
【0017】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、アルカロイドニコチンを含有する、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を意味する。それ故に、アルカロイドを含有する材料は、均質化したたばこ材料とすることができる。
【0018】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこ粉末と結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。その後スラリーは、例えばいわゆるキャストリーフを製造するために、移動する金属ベルト上に粘稠なスラリーをキャスティングすることによって、たばこシートを作り出すために使用される。別の方法として、粘度が低くかつ含水量が高いスラリーを使用して、製紙と似たプロセスで再構成たばこを作り出すことができる。
【0019】
たばこのシート材料は、再構成シート材料と呼ばれることができ、たばこ組成物を形成するために、粒子状のたばこまたは粒子状のたばこブレンド、湿潤剤、水性溶剤を使用して形成されることができる。
【0020】
均質化したたばこシートは概して、たばこの他に、グアーなどの結合剤を含む。均質化したたばこシートはまた、グリセリンなどのエアロゾル形成体を含んでもよい。
【0021】
「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成する場合がある揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。典型的に、エアロゾル形成基体は、加熱に伴い揮発性化合物を放出する。エアロゾル形成基体は、揮発性アルカロイド風味化合物を含有するアルカロイドを含有する材料を含んでもよく、これは加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される。エアロゾル形成基体は均質化した材料を含んでもよい。
【0022】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生するように構成された装置を指す。エアロゾル発生装置は、ヒーターなどのエアロゾル化器を含むことが好ましい。
【0023】
アルカロイドを含有する材料のシートはそれ故に、任意のアルカロイド、または複数のアルカロイドの組み合わせを含有する材料で形成されているシートである。アルカロイドを含有する材料のシートの幅は、約10ミリメートルよりも大きいことが好ましく、約20ミリメートルまたは約30ミリメートルよりも大きいことがより好ましい。アルカロイドを含有する材料のシートの幅は、約60ミリメートル~約2500ミリメートルから成ることがなおより好ましい。アルカロイドを含有する材料のシートの厚さは、約50マイクロメートル~約300マイクロメートルから成ることが好ましく、シートの厚さは、約100マイクロメートル~約250マイクロメートルから成ることがより好ましく、約130マイクロメートル~220マイクロメートルから成ることがさらにより好ましい。
【0024】
アルカロイドを含有する材料のシートは、エアロゾル発生装置のためのエアロゾル形成基体として使用されうる。アルカロイドを含有する材料のシートは、均質化したたばこシートを含んでもよい。
【0025】
アルカロイドを含有する材料のシートを製造するために、アルカロイドを含有する材料を粉末に粉砕する。アルカロイドを含有する材料に既に含有されているセルロース繊維に加えて、スラリーがセルロース繊維を含有しない、または非常に少量しか含有しないことが好ましいという事実に起因して、粉末のサイズは「極めて小さい」必要がない。均質なスラリーを得るために、アルカロイドを含有する材料の粒子は「小さい」ことが好ましい。この小さいサイズはまた、キャストリーフ中で「糊」として働く、添加された繊維が存在しないことに起因する。好ましくは、アルカロイドを含有する材料の粉砕された粒子のサイズは、200マイクロメートルよりも小さい、好ましくは180マイクロメートルよりも小さい、好ましくは160マイクロメートルよりも小さい、好ましくは140マイクロメートルよりも小さい、好ましくは120マイクロメートルよりも小さい、好ましくは100マイクロメートルよりも小さい、好ましくは80マイクロメートルよりも小さい、好ましくは60マイクロメートルよりも小さい、好ましくは40マイクロメートルより小さいサイズを有する。好ましくは、アルカロイドを含有する材料の粉砕された粒子のサイズは、8マイクロメートルよりも大きい、好ましくは12マイクロメートルよりも大きい、好ましくは20マイクロメートルよりも大きい、好ましくは30マイクロメートルよりも大きい、好ましくは50マイクロメートルよりも大きい、好ましくは70マイクロメートルよりも大きいサイズを有する。アルカロイドを含有する材料を粉末に粉砕する工程は、アルカロイドを含有する材料を約8マイクロメートル~200マイクロメートルから成るサイズを有する粉末に粉砕することを含むことが好ましい。アルカロイドを含有する材料を粉末に粉砕する工程は、約10マイクロメートル~150マイクロメートルから成るサイズを有するアルカロイドを含有する材料を粉砕することを含むことがより好ましい。アルカロイドを含有する材料を粉末に粉砕する工程は、約15マイクロメートル~120マイクロメートルから成るサイズを有するアルカロイドを含有する材料を粉砕することを含むことがなおより好ましい。
【0026】
アルカロイドを含有する材料の粒子のサイズは、Dv95サイズを意味する。上記に列挙された値の各々は、粒子サイズのDv95を示す。Dv95の「v」は、体積分布が考慮されることを意味する。体積分布の使用は、等価球の概念を導入する。等価球は、我々が測定している特性における実際の粒子と等しい球である。それ故にそれは光散乱法では、実際の粒子と同じ散乱強度を生成することになる球である。これは実質的に、同じ体積の粒子を有する球である。さらに、Dv95の「95」は、分布の95パーセントがより小さい粒子サイズを有し、5パーセントがより大きい粒子サイズを有する直径を意味する。それ故に粒子サイズは、粒子の95パーセントが、述べられた値よりも小さい直径(粒子の実質的に同一の体積を有する対応する球の直径)を有する、体積分布によるそのサイズである。60マイクロメートルの粒子サイズとは、粒子の95パーセントが60マイクロメートルよりも小さい直径を有し、直径が粒子よりも対応する体積を有する球の直径であることを意味する。
【0027】
粒子のDv95サイズは、Horiba LA950またはLA960粒子サイズ分布分析器を使用して測定される。HORIBA LA-960粒子サイズ分析器は、レーザー回折法を使用してサイズ分布を測定する。この技法は、第一の原理を使用して、粒子から散乱した光(エッジ回折)と、粒子を通した光(二次散乱屈折)とを使用してサイズを計算する。LA-960はミー散乱理論を組み込んでいる。
【0028】
粉砕する工程によって得られた粉末は、スラリーの形成に使用される。
【0029】
このスラリーは、数多くの異なる構成要素または成分を含んでもよい。これらの構成要素は、アルカロイドを含有する材料のキャストシートの特性に影響を及ぼす場合がある。第一の成分は、粉末形態のアルカロイドを含有する材料である。この材料は、例えばたばこ粉末ブレンドとすることができる。たばこ粉末ブレンドは、スラリー中に存在するたばこの大半を含有することが好ましい。このように、たばこ粉末ブレンドは、均質化したたばこ材料中のたばこの大半の供与源である。そのため、たばこ粉末ブレンドは、最終製品、例えば均質化したたばこ材料を加熱することによって生成されるエアロゾルへの風味を画定する。スラリー中のアルカロイドを含有する材料の量は、スラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の約40パーセント~約70パーセントから成ることが好ましい。アルカロイドを含有する材料は、粉末形態であることが好ましい。スラリー中のアルカロイドを含有する材料の量は好ましくは、スラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の約40パーセント~約50パーセントから成ることがより好ましい。
【0030】
均質化したシートの引張特性を強化するために、結合剤がスラリーに添加されることが好ましい。
【0031】
スラリー中に存在する結合剤の量は、スラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の約0パーセント~約1パーセントに含まれてもよい。スラリー中に存在する結合剤の量は、スラリーの総質量の約0パーセント~約0.5パーセントから成ることがより好ましい。結合剤の量は、アルカロイドを含有する材料のシートの所望の特性に依存する場合がある。スラリーが基材シートによって大いに吸収されることが所望される場合、吸収を改善するために結合剤をより少なく使用してもよい。基材シート上のスラリー被覆が好ましい場合、より多い量の結合剤を使用してもよい。結合剤の量はスラリーの粘度を変化させる場合がある。結合剤のより多い量は、スラリーのより高い粘度につながる場合がある。
【0032】
スラリーで使用される結合剤は、本明細書に記載のガムまたはペクチンのうちのいずれかであってもよい。結合剤は、アルカロイドを含有する材料のシート全体を通してアルカロイド粉末が実質的に分散したままであることを確実にする場合がある。任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアー、ヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプンなど)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン、コンニャク粉、キサンタンガム、およびこれに類するものである。本発明で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0033】
エアロゾルの形成を促進するために、エアロゾル形成体をスラリーに添加することが好ましい。
【0034】
アルカロイドを含有する材料のシートのためのスラリーに含める適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、一価アルコール(メントールなど)、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
好ましいエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0036】
スラリーは、スラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の約1パーセント~約5パーセントから成るエアロゾル形成体含有量を有してもよい。このエアロゾル形成体含有量は、スラリーの総質量の1~3パーセントから成ることが好ましく、これはスラリーの乾燥重量基準で約2.9パーセント~約8.5パーセントから成るエアロゾル形成体の量に対応する。
【0037】
基材シートにスラリーを適用するための特定の粘度および水分に達するために、水もスラリー中に存在することが好ましい。水の量は、スラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の約30パーセント~55パーセントから成ることが好ましい。水の量は、スラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の約45パーセント~55パーセントから成ることがより好ましい。
【0038】
好ましくは粉末形態のアルカロイドを含有する材料は、セルロースを含有してもよい。しかしながら、スラリー中にセルロース繊維は添加されないこと、すなわちアルカロイドを含有する材料中に既に含有されている繊維以外に、スラリー中にさらなる繊維は添加されないことが好ましい。従って、スラリーに添加された繊維(すなわち、アルカロイドを含有する材料中に既に含有されている繊維に加えて)の量は、スラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の0.5パーセントよりも低いことが好ましい。添加された繊維は、スラリーの総質量の約0.1パーセントよりも低い量で存在することがより好ましい。
【0039】
スラリーは所与の場所において形成される。その後、スラリーは貯蔵されてもよい。スラリーは、例えば同じ場所、例えば同じ貯蔵タンク内で貯蔵および形成されてもよく、または二つの異なる場所、例えば二つの異なる貯蔵タンク内で貯蔵および形成されてもよい。使用される貯蔵タンクは、当該分野で周知であることが好ましい。さらに、スラリーは、単一の貯蔵タンク内で、または複数の貯蔵タンク内で形成または貯蔵されることができる。貯蔵タンク内には、スラリーを均質化するためにミキサーが存在することが好ましい。
【0040】
さらに、繊維を含む基材シートが提供される。基材シートは、タンクからスラリーが供給される表面を画定する。基材シートは、巻き出されるボビンで提供されてもよい。
【0041】
動作中、基材シートは搬送方向に沿って移動する。
【0042】
タンクは、基材シートの上方に位置付けられた出口を含むことが好ましい。
【0043】
繊維を含む基材シートは典型的に、比較的に「強い」シートであり、その引張強さは、シートが上で接触する必要のあるいかなる追加的な基材も必要とせずに、ローラーの間で搬送されることができるような引張強さである。基材シートの引張強さは、約0.1ニュートン/(ミリメートル)2~約1ニュートン/(ミリメートル)2から成ることが好ましい。
【0044】
基材シートは、セルロース、麻、ケナフ、竹パルプ、木材、綿、絹、またはこれらの組み合わせを含む、天然または合成の異なる材料で作製されてもよい。材料の選択は、アルカロイドを含有する材料を含む最終的なシートに期待される機械的特性に従って行われる。
【0045】
基材シート中の繊維は、織られていてもよい。基材シート中の繊維は、織られていなくてもよい。織られていない場合、繊維は主として一方向の向きにされていてもよい。別の方法として、繊維は無作為な向きにされてもよい。織られている場合、様々なパターンを使用することが可能である。
【0046】
基材シートは第一の表面と第二の表面を画定し、一方の表面がもう一方の表面の反対向きである。第一の表面もしくは第二の表面のいずれか、またはその両方は、実質的に平面であってもよい。第一の表面もしくは第二の表面、またはその両方は、水平、すなわち水平面に対して平行であってもよい。第一の表面もしくは第二の表面、またはその両方は、水平面に対して傾斜していてもよい。第一の表面もしくは第二の表面、またはその両方は、実質的に垂直であってもよい。
【0047】
好ましくは、スラリーは基材シートの第一の表面に適用される。スラリーが第一の表面の長さに沿って第一の表面に適用されて、繊維を含む基材シート上にスラリーの細片を形成するように、タンク内に存在するスラリーを基材シートの第一の表面に適用または配分するために、基材シートは移動される必要がある。
【0048】
スラリーは、第一の表面全体に適用される必要がない。第一の表面の一部(例えば第一の表面の中央部分)にのみスラリーを適用することができる。
【0049】
従って、基材シートは搬送方向に沿って移動され(例えば直線移動されるなど)、基材シートの第一の表面の一部はスラリーと接触することが好ましい。
【0050】
基材シートと接触するスラリーは、基材シートによって完全に吸収されてもよい。スラリーは、基材シートの第一の表面上に被覆を形成してもよい。スラリーは、基材シートによって部分的に吸収されてもよく、また基材シートの第一の表面を部分的に被覆してもよい。基材シートおよびスラリーによって形成された、結果として得られるシートは、基材シートの第一の表面に垂直に取られた断面中に異なる組成物を有してもよい。第二の表面にて、スラリーの最も低い濃度が存在してもよい。第一の表面にて、スラリーの最も高い濃度が存在してもよい。第一の表面と第二の表面の間に、基材シートの材料とスラリーの組み合わせが、異なる濃度で存在してもよい。
【0051】
スラリーは、第一の表面と第二の表面の両方に適用されてもよい。アルカロイドを含有する材料のシートの組成物は、対称であってもよい。アルカロイドを含有する材料のシートの単位体積当たりの繊維の濃度は、アルカロイドを含有する材料のシートの中心にて最高であってもよく、第一の表面および第二の表面にて最低であってもよい。
【0052】
搬送方向に沿って基材シートを移動させるために、移動要素が提供されてもよい。
【0053】
移動要素は移動可能な支持体を含んでもよく、繊維を含む基材シートは、移動可能な支持体が移動する間に基材シートを搬送するように、移動可能な支持体上に位置付けられてもよい。
【0054】
別の実施形態において、移動要素は移動ドラムを含んでもよく、この移動ドラムはその回転において、基材シートを移動させる。支持シートは、その長さの一部分については自立していてもよい。
【0055】
タンク内のスラリーの量は、実質的に一定に保たれることが好ましい。例えば、タンク内のスラリーの量は、予め定義された量と等しい。タンク内の予め定義された量のスラリーは、一定に維持されることが好ましい。例えば、タンク内のスラリーの予め決定されたレベルが設定される。タンク内の実質的に一定のレベルのスラリーを得るために、スラリーは基材シート上に供給される間、タンクに連続的に供給される。タンク内のスラリーのレベルは、センサーによってチェックされてもよく、またエクストルーダーによってタンクの中に提供されるスラリーの量は、タンク内のレベルを一定に維持するように変化してもよい。
【0056】
スラリーはタンクの出口から、基材シート上に供給される。スラリーは、基材シートの第一の表面上に堆積を形成する。
【0057】
さらに、搬送方向での基材シートの移動に起因して、出口から供給されたスラリーは、スラリーの細片を形成する。基材シートとその第一の表面上に提供されるスラリーの細片との組み合わせは、アルカロイドを含有する材料のシートを形成する。スラリーが第一の表面と第二の表面の両方に適用される場合、基材シートと第一の表面上および第二の表面上に提供されるスラリー細片との組み合わせは、アルカロイドを含有する材料のシートを形成する。
【0058】
さらに、複数のスラリーの細片が、基材シートの同じ表面上に適用されてもよい。例えば、二つ以上のスラリーの細片が、基材シートの第一の表面上に適用されてもよい。スラリーの細片は、相互に平行であってもよい。スラリーの複数の細片を有する基材シートはその後、アルカロイドを含有する複数の材料のシートを形成するために細長く切られてもよい。二つ以上の平行なスラリーの細片は、基材シートの第二の表面上にも同様に適用されてもよい。
【0059】
基材シートおよびスラリーの細片(複数可)に加えて、アルカロイドを含有する材料のシートを形成するために他の要素が組み合わされてもよい。基材シート自体が、多層シートであってもよい。基材シートは、風味シート、アルカロイド(例えばニコチン)を含む材料のシート、および他のものを含んでもよい。
【0060】
既に形成された繊維を含む基材シート上にスラリーを供給するアルカロイドを含有する材料のシートを形成することは、スラリー中に添加された繊維を実質的に使用しないこと、または非常に限られた量の添加された繊維を使用することを可能にする。繊維は一般的に、シートの引張強さを増加させるために、先行技術のキャストシートのスラリー中に添加され、強化剤として作用する。
【0061】
しかしながら、スラリーが供給される基材シートの存在は、結果として得られるアルカロイドを含有する材料のシートに十分な引張強さを提供する。スラリーの中へのセルロース繊維の添加は回避されてもよい。
【0062】
繊維が添加されるスラリーにおいて、繊維のパルプ化のために水が必要であるため、比較的に大量の水が必要とされる場合がある。加えて、スラリー中に存在する大量の水に起因して、スラリーを乾燥し、アルカロイドを含有する材料のシートを形成するために、大量のエネルギーが必要である。この「高含水量」プロセスにおいて、スラリーがキャスティングされるコンベヤー鋼ベルトもまた重要な役割を果たす場合がある。すなわち、コンベヤーベルトのあらゆる欠陥はキャストシートに伝達される場合があり、それ故に高質のベルトがしばしば必要とされる。添加された繊維をスラリーから除去することは、スラリーを均質化するために必要な水の量の低減を可能にする。良好な均質化のために、一定の量の水は依然として必要とされる場合がある。この比較的に「高密度」のスラリーは、繊維を含む基材シートに適用されるのに適している。
【0063】
本発明に従って製造されるアルカロイドを含む材料のシートの乾燥のためには、より短い乾燥時間またはより少ない乾燥電力しか必要ではない。基材シートは、ボビンに巻かれた時に既に乾燥していることが好ましい。基材シートは、スラリーに接触する前に、湿潤されてもよい(例えば基材シート上に水をスプレーしてもよい)。湿潤は、基材シート内のスラリーの浸透を容易にするために行われる。結果として得られる、アルカロイドを含有する材料の多層シート、またはアルカロイドを含有する複合材料のシートは、「部分的に湿潤」であるだけであり、乾燥時間または乾燥のために必要なエネルギーの量は比較的に低い。「激しい」乾燥がより少ないことは、エアロゾル形成基体として使用された時に、アルカロイドを含有する材料のシートによって生成されたエアロゾルの風味のより良好な制御を有することを可能にする。乾燥中に、アルカロイド、風味、または他の揮発分が蒸発する場合があり、アルカロイドを含有する材料のシート内のそれらの濃度が低減する場合がある。アルカロイドが存在する時に乾燥を最小化することは、エアロゾル特性を制御するのに役立つ。キャストリーフを乾燥するために使用される乾燥機と比較して、より小さい乾燥機しか必要でない場合がある。エネルギーが節約される場合がある。据え付け面積が節約される場合がある。
【0064】
好ましくは、本方法は、アルカロイドを含有する材料のシートを乾燥して、アルカロイドを含有する材料の乾燥したシートを得る工程を含む。アルカロイドを含有する材料のシートは乾燥される。乾燥は、シート中の含水量が、アルカロイドを含有する材料のシートの総重量の約7パーセント~約15パーセントから成る時に終了することが好ましい。アルカロイドを含有する材料のシートは「自己支持」できるという事実に起因して、シートの乾燥は均一である場合があり、またシートの両方の表面上で同じ方法で行われる場合がある。シートが移動可能な支持体上にキャスティングされる先行技術によるキャストシートにおいて、支持体と接触するシートの表面は、自由表面、すなわち空気のみと接触しているシートの表面とは異なるように乾燥する場合がある。本発明において、基材シートに適用されるスラリーは、アルカロイドを含有する材料の自己支持形シートを形成してもよく、それによって乾燥はシートの両方の対向する表面上で均一かつ同じである場合がある。
【0065】
アルカロイドを含有する材料を粉末に粉砕する工程は、一つ以上のたばこタイプのたばこのブレンドをたばこ粉末に粉砕することを含むことが好ましい。本方法はまた、以下のたばこのうちの一つ以上のたばこタイプのたばこをブレンドする工程を含むことがより好ましい:ブライトたばこ、ダークたばこ、アロマティックたばこ、およびフィラーたばこ。ブレンドは粉砕前に行われてもよい。ブレンドは粉砕後に行われてもよい。
【0066】
アルカロイドを含有する材料を粉末に粉砕する工程は、アルカロイドを含有する材料を約8マイクロメートル~200マイクロメートルから成るサイズを有する粉末に粉砕することを含むことが好ましい。アルカロイドを含有する材料とエアロゾル形成体と水とを含むスラリーを提供する工程は、アルカロイドを含有する材料を約10マイクロメートル~150マイクロメートルから成るサイズを有する粉末に粉砕する工程を含むことがより好ましい。アルカロイドを含有する材料とエアロゾル形成体と水とを含むスラリーを提供する工程は、アルカロイドを含有する材料を約15マイクロメートル~120マイクロメートルから成るサイズを有する粉末に粉砕する工程を含むことがなおより好ましい。アルカロイドを含有する材料の粒子のサイズは、Dv95サイズを意味する。アルカロイドを含有する材料に既に含有されているセルロース繊維に加えて、スラリーがセルロース繊維を含有しない、または非常に少量しか含有しないという事実に起因して、粉末のサイズは「極めて小さい」必要がない。実際、添加された繊維の不在は、繊維がスラリーに添加されるキャストリーフで使用される粒子「よりも大きい」粒子を有する均質なスラリーも得ることを可能にする。均質なスラリーを得るために、アルカロイドを含有する材料の粒子は「小さい」ことが好ましい。好ましくは、アルカロイドを含有する材料の粉砕された粒子のサイズは、200マイクロメートルよりも小さい、好ましくは180マイクロメートルよりも小さい、好ましくは160マイクロメートルよりも小さい、好ましくは140マイクロメートルよりも小さい、好ましくは120マイクロメートルよりも小さい、好ましくは100マイクロメートルよりも小さい、好ましくは80マイクロメートルよりも小さい、好ましくは60マイクロメートルよりも小さい、好ましくは40マイクロメートルより小さいサイズを有する。好ましくは、アルカロイドを含有する材料の粉砕された粒子のサイズは、8マイクロメートルよりも大きい、好ましくは12マイクロメートルよりも大きい、好ましくは20マイクロメートルよりも大きい、好ましくは30マイクロメートルよりも大きい、好ましくは50マイクロメートルよりも大きい、好ましくは70マイクロメートルよりも大きいサイズを有する。アルカロイドを含有する材料の粒子のサイズは、Dv95サイズを意味する。
【0067】
本発明において、スラリーは、適切にブレンドされた異なるたばこタイプのたばこ葉身およびたばこ茎によって形成されることが好ましい。複数のたばこタイプが一緒にブレンドされることが好ましい。例えば、少なくとも二つの異なるたばこタイプが一緒にブレンドされる。「たばこタイプ」という用語は、たばこの異なる品種のうちの一つを意味する。本発明に関して、これらの異なるたばこタイプは、ブライトたばこ、ダークたばこ、アロマティックたばこの三つの主な群に区別される。これらの三つの群の間の区別は、たばこがたばこ製品において、さらに加工される前に受けるキュアリングプロセスに基づく。
【0068】
ブライトたばこは、概して大きく明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ブライトたばこ」という用語はフルーキュアリングされたたばこに対して使用される。ブライトたばこの例としては、中国産のフルキュアたばこ、フルキュアブラジルたばこ、米国産のフルキュアたばこ(バージニアたばこなど)、インド産のフルキュアたばこ、タンザニア産のフルキュアたばこ、または他のアフリカ産のフルキュアたばこが挙げられる。ブライトたばこは、糖対窒素の比が高いことによって特徴付けられる。感覚的な見方からは、ブライトたばこはキュアリング後に、スパイスが効いていて活気のある感覚を伴うたばこタイプである。本発明によると、ブライトたばこは、葉の乾燥重量基準で約2.5パーセント~約20パーセントの還元糖の含有量を有する、かつ葉の乾燥重量基準で約0.12パーセント未満の総アンモニア含有量を有するたばこである。還元糖は、例えばグルコースまたはフルクトースを含む。総アンモニアは、例えばアンモニアおよびアンモニア塩を含む。
【0069】
ダークたばこは、概して大きく暗い色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ダークたばこ」という用語はエアキュアリングしたたばこに対して使用される。追加的に、ダークたばこは発酵していてもよい。主に噛みたばこ、嗅ぎたばこ、葉巻たばこ、パイプブレンド用に使用されるたばこも、この範疇に含まれる。感覚的な見方からは、ダークたばこは、キュアリング後、スモーキーでダークシガータイプの感覚を伴うたばこタイプである。ダークたばこは糖対窒素の比が低いことによって特徴付けられる。ダークたばこの例は、バーレーマラウイまたは他のアフリカンバーレー、ダークキュアブラジルガルパオ、サンキュアまたはエアキュアインドネシアカストリ(Kasturi)である。本発明によると、ダークたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥重量基準で約5パーセント未満、かつ総アンモニア含有量が葉の乾燥重量基準で約0.5パーセント以下であるたばこである。
【0070】
アロマティックたばこは、しばしば小さい明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「アロマティックたばこ」という用語は、芳香成分含有量、例えば精油の含有量が高い他のたばこに対して使用される。感覚的な見方からは、アロマティックたばこは、キュアリング後、スパイスが効いていて芳しい感覚を伴うたばこタイプである。アロマティックたばこの例には、グリークオリエント、オリエンタルトルコ、セミオリエントたばこがあるが、ファイアキュアード、ペリクなどのUSバーレー、ルスティカ、USバーレー、またはメリーランドもある。
【0071】
追加的に、ブレンドは、いわゆるフィラーたばこも含んでもよい。フィラーたばこは特定のたばこのタイプではないが、ブレンドで使用されるその他のたばこタイプを補完するために主に使用される、かつ最終製品に特定の特徴的な芳香の方向性をもたらさないたばこタイプを含む。フィラーたばこの例は、他のたばこタイプの茎、中肋、または葉柄である。具体的な一例は、フルーキュアリングされたブラジル産の葉柄下部のフルーキュアリングされた茎であってもよい。
【0072】
たばこ葉は、たばこの各タイプ内でさらに等級分けされ、例えば原産地、タバコ植物での葉の位置、色、表面性状、サイズ、形状に関して等級分けされる。たばこ葉のこれらの特徴および他の特徴は、たばこブレンドを形成するために使用される。たばこのブレンドは、同じタイプまたは異なるタイプに属するたばこの混合物であり、これによってたばこブレンドは凝集した特定の特徴を有する。この特徴は、例えば加熱または燃焼された時、独特の味わいまたは特定のエアロゾルの組成である可能性がある。ブレンドは、一方と他方の所与の比率の特定のたばこタイプおよび等級を含む。
【0073】
本発明によると、同じたばこタイプ内の異なる等級は、各ブレンド構成要素のばらつきを低減するためにクロスブレンドされてもよい。本発明によると、特定の所定の特徴を有する望ましいブレンドを実現するために異なるたばこ等級が選択される。例えば、ブレンドは、均質化したたばこ材料の乾燥重量基準あたりの還元糖、総アンモニア、総アルカロイドの標的値を有してもよい。総アルカロイドは、例えばニコチンおよび一般的でないアルカロイド(ノルニコチン、アナタビン、アナバシン、ミオスミンを含む)である。
【0074】
例えば、ブライトたばこは、等級Aのたばこ、等級Bのたばこ、および等級Cのたばこを含んでもよい。等級Aのブライトたばこは、等級Bおよび等級Cのブライトたばことは化学的特性がわずかに異なる。アロマティックたばこは、等級Dのたばこおよび等級Eのたばこを含んでもよく、その場合、等級Dのアロマティックたばこは、等級Eのアロマティックたばことは化学的特性がわずかに異なる。例証のために可能なたばこブレンドの標的値は、例えば乾燥重量基準で総たばこブレンドの約10パーセントの還元糖の含有量とすることができる。選択した標的値を達成するために、70パーセントのブライトたばこと30パーセントのアロマティックたばこを、たばこブレンドを形成するために選択してもよい。70パーセントのブライトたばこは、等級Aのたばこ、等級Bのたばこ、等級Cのたばこの中から選択され、30パーセントのアロマティックたばこは等級Dのたばこおよび等級Eのたばこから選択される。ブレンドの中に含まれる等級A、B、C、D、Eのたばこの量は、たばこブレンドの標的値を満たすように、等級A、B、C、D、Eのたばこの各々の化学的組成に依存する。
【0075】
様々なたばこタイプは異なる化学的特性を有する。たばこ葉の中には300を超える化学成分が存在すると考えられる。同じたばこタイプの中でも、異なる等級では化学的組成が異なる場合もある。たばこの化学成分は、遺伝子、農作業、土壌のタイプおよび栄養素、気象条件、植物の病気、葉柄の位置、収穫、およびキュアリング手順の影響を受ける場合がある。
【0076】
繊維を含む基材シートにスラリーを適用する工程は、セルロース繊維を含む基材シートを提供することを含むことが好ましい。基材シートは、セルロース、麻、ケナフ、竹パルプ、綿、絹、またはこれらの組み合わせを含む、天然または合成の異なる材料で作製されてもよい。材料の選択は、アルカロイドを含有する材料を含む最終的なシートに期待される機械的特性に従って行われる。
【0077】
基材シート中の繊維の含有量は、50グラム/(メートル)2よりも低いことが好ましい。
【0078】
基材シートはセルロース繊維を含むことが好ましい。シートを形成するセルロース繊維は当業界で周知であり、これには針葉樹繊維、広葉樹繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、たばこ繊維、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。セルロース繊維は、パルプ化に加えて、精製、機械的パルプ化、化学的パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどの適切なプロセスに供されてもよい。セルロース繊維は、たばこ茎材料、葉柄、または他のたばこ植物材料を含んでもよい。木材繊維などのセルロース繊維は低いリグニン含有量を含むことが好ましい。別の方法として、植物繊維などの繊維を上記の繊維とともに、またはその代替として使用してもよく、これには麻および竹が含まれる。
【0079】
繊維を含む基材シートにスラリーを適用する工程は、約0.7ミリメートル~約50ミリメートルから成る平均繊維長さを有する繊維を含む基材シートにスラリーを適用することを含むことが好ましい。繊維を含む基材シートの繊維は、約1ミリメートル~約25ミリメートルから成る平均繊維長さを有する繊維を含むことがより好ましい。繊維を含む基材シートの繊維は、約1ミリメートル~約10ミリメートルから成る平均繊維長さを有する繊維を含むことがより好ましい。繊維を含む基材シートの繊維は、約1ミリメートル~約5ミリメートルから成る平均繊維長さを有する繊維を含むことがより好ましい。繊維を含む基材シートの繊維は、約1.2ミリメートル~約1.8ミリメートルから成る平均繊維長さを有する繊維を含むことがなおより好ましい。
【0080】
繊維の平均長さは、Techpap SASによって商品化されたMORFI COMPACTによって測定される通りのそれらの実際の長さ(それらがカールしているか、またはよれているかにかかわらず)を指す。平均長さは、N本の繊維(N>5である)の測定値に対して、MORFI COMPACTによって測定された繊維の長さの数学的平均である。MORFI COMPACTは、繊維の構造に従って繊維の長さを測定する繊維分析器であり、それ故に繊維の実際の発生された長さを測定する。測定された物体は、その長さが200マイクロメートル~10000マイクロメートルから成り、かつその幅が5マイクロメートル~75マイクロメートルを含む場合に、繊維と見なされる。繊維の長さは、脱イオン水が繊維に添加され、かつMorfiソフトウェアが使用されている時に測定される。
【0081】
基材シートは編組シートであることが好ましい。編組シートは、繊維が絡み合ったシートである。すべての繊維が絡み合う必要はないが、その一部が絡み合う。編組シートは、均一で比較的に高い機械的強度を得ることを可能にする。
【0082】
アルカロイドを含有する材料のシートを形成するように、繊維を含む基材シートにスラリーを適用する工程は、基材シートにスラリーを被覆または含浸することを含むことが好ましい。基材シートにスラリーを被覆または含浸する工程は、ローラーによって基材シートに被覆または含浸することを含むことがより好ましい。スラリーは、数多くの異なるやり方で基材シートに適用されてもよい。例えば、ローラーはスラリーと接触することができ、またローラーは回転しながら基材シートにスラリーを適用してもよい。回転は基材シートの動きと組み合わされて、基材シート上にスラリーを拡散させてもよい。基材シートの組成、またはスラリーの組成、または基材シートの組成とスラリーの組成の両方に依存して、例えばスラリー中に含有された水の量、もしくは結合剤の量に依存して、スラリーは基材シートによって、最小限に、部分的に、または大部分が吸収される場合がある。スラリーが基材シートによって最小限に、または部分的にのみ吸収される場合、スラリーの層は、スラリーが適用される基材シートの表面上に形成される。その後、スラリーの被覆層が、基材シートの表面上に形成されうる。その一方で、スラリーが基材シートによって吸収または吸着される収着プロセスが行われる場合、基材シートはスラリーによって含浸されるようになる。スラリーは、基材シートによって完全に吸収されることができる。スラリーはまた、被覆層を形成し、かつ基材シートを含浸してもよい。
【0083】
スラリーと接触し、かつ基材シートにスラリーを適用するローラーは、外部表面を画定する。外部表面は、海綿体様の材料、例えばスラリーを吸収するオープンセル発泡体で作製されてもよい。次いで、基材シートは、含浸プロセスが基材シート内で行われるように、毛細管効果を使用してスラリーを吸収してもよい。
【0084】
ローラーの外部表面は、非多孔性の粗い表面であってもよい。粗さは、ローラーの外部表面をスラリーで被覆するのに役立つ場合がある。基材シートは、ローラーによって基材シート上に堆積されたスラリーを吸着する。こうした場合、これが被覆プロセスであり、基材シートは毛細管作用を有する材料の状態にある必要はない。
【0085】
収着は物理的かつ化学的プロセスであり、このプロセスによって一つの物質が別の物質に結合する。特異的な収着の例は、ある状態の物質が異なる状態の別の物質に組み込まれ、こうした液体スラリーが固体基材シートによって吸収される吸収であるか、または別の相の表面上へのイオンおよび分子の物理的付着または結合が行われる吸着である。
【0086】
基材シートがスラリーによって含浸されるかどうか、およびどの量で含浸されるかに依存して、結果として得られるアルカロイドを含有する材料のシートの組成物は、分析がシートの表面のうちの一つ上で外部で行われるか、または内部で行われるか、すなわち第一の表面と第二の表面の間の断面に沿って行われるかどうかに依存して異なる場合がある。
【0087】
さらに、ローラーに加えて、スラリーの被覆層、またはスラリーによる基材シートの含浸は、例えばブラシなど、他のスラリーの適用手段を使用して得られる場合がある。
【0088】
加えて、スラリーは、スラリーを含有しているタンクの出口から、基材シート上に重力で落ちてもよい。
【0089】
アルカロイドを含有する材料のシートを形成するように、繊維を含む基材シートにスラリーを適用する工程は、基材シート上にスラリーをスプレーすることを含むことが好ましい。ノズルは、スラリーをタンクから基材シート上に、好ましくは繊維を含む基材シートの表面上に排出することが好ましい。タンク内に存在するスラリーは非常に粘稠であってもよく、例えば約18000センチポアズ~約45000センチポアズから成る動粘度を有してもよく、この理由から、スラリーをタンクの出口に向かって押すために一つ以上のポンプを提供することが好ましい。ノズルはタンクの出口に位置付けられていて、スラリーを基材シート上にスプレーすることが好ましい。複数の出口が存在してもよく、同様に複数のノズルが存在してもよい。
【0090】
基材シートは、約0.175ミリメートル~約0.250ミリメートルから成る厚さを有することが好ましい。基材シートの厚さは、スラリーがその表面の一方または両方に適用される場合、最終的な厚さが、シートのさらなる加工(ロッドにおける捲縮および集合など)のために好ましい厚さであるように選択されることが好ましい。
【0091】
基材シートは、約100ミリメートル~約2500ミリメートルから成る幅を有することが好ましい。基材シートの幅は、得られるボビンのサイズに依存して選ばれる。アルカロイドを含有する材料のシートは形成された後、乾燥されることが好ましい。乾燥したあと、アルカロイドを含有する材料のシートは、ボビンに巻かれることが好ましい。ボビンは「マスターボビン」であってもよく、これはその後、より小さいボビンへと細長く切られる。ボビンは既に、アルカロイドを含有する材料のシートのさらなる加工のために使用されるボビンであってもよい。
【0092】
アルカロイドを含有する材料を粉末に粉砕する工程は、アルカロイドを含有する材料を約8マイクロメートル~200マイクロメートルから成るサイズを有する粉末に粉砕することを含むことが好ましい。アルカロイドを含有する材料とエアロゾル形成体と水とを含むスラリーを提供する工程は、アルカロイドを含有する材料を約10マイクロメートル~150マイクロメートルから成るサイズを有する粉末に粉砕する工程を含むことがより好ましい。アルカロイドを含有する材料とエアロゾル形成体と水とを含むスラリーを提供する工程は、アルカロイドを含有する材料を約15マイクロメートル~120マイクロメートルから成るサイズを有する粉末に粉砕する工程を含むことがなおより好ましい。アルカロイドを含有する材料に既に含有されているセルロース繊維に加えて、スラリーがセルロース繊維を含有しない、または非常に少量しか含有しないという事実に起因して、粉末のサイズは「極めて小さい」必要がない。均質なスラリーを得るために、アルカロイドを含有する材料の粒子は「小さい」ことが好ましい。この小さいサイズはまた、キャストリーフ中で「糊」として働く、添加された繊維が存在しないことに起因する。好ましくは、アルカロイドを含有する材料の粉砕された粒子のサイズは、200マイクロメートルよりも小さい、好ましくは180マイクロメートルよりも小さい、好ましくは160マイクロメートルよりも小さい、好ましくは140マイクロメートルよりも小さい、好ましくは120マイクロメートルよりも小さい、好ましくは100マイクロメートルよりも小さい、好ましくは80マイクロメートルよりも小さい、好ましくは60マイクロメートルよりも小さい、好ましくは40マイクロメートルより小さいサイズを有する。好ましくは、アルカロイドを含有する材料の粉砕された粒子のサイズは、8マイクロメートルよりも大きい、好ましくは12マイクロメートルよりも大きい、好ましくは20マイクロメートルよりも大きい、好ましくは30マイクロメートルよりも大きい、好ましくは50マイクロメートルよりも大きい、好ましくは70マイクロメートルよりも大きいサイズを有する。アルカロイドを含有する材料の粒子のサイズは、Dv95サイズを意味する。
【0093】
基材シートは第一の表面および第二の表面を画定し、基材シートにスラリーを適用する工程は、基材シートの第一の表面および第二の表面にスラリーを適用することを含むことが好ましい。スラリーは、基材シートの表面のうちの一つに、または両方の表面上に適用されてもよい。これは、基材シートが自己支持形であってもよく、また対向する両方の表面上に同時にスラリーを適用することが可能であるため、可能である。
【0094】
方法は、アルカロイドを含有する材料のシートに風味剤を適用する工程を含むことが好ましい。方法は、アルカロイドを含有する材料のシートにさらなるアルカロイドを適用する工程を含むことが好ましい。風味または追加的なアルカロイドは、アルカロイドを含有する粉砕された材料中に既に存在するものに加えて、基材シートに適用されてもよく、またはスラリーに導入されてもよい。異なる特性を有するアルカロイドを含有する材料の異なるシートを製造してもよい。
【0095】
本発明はまた、上述の方法に従って実現されたアルカロイドを含有する材料のシートの一部分を含む、エアロゾル発生物品に関する場合がある。本発明によるエアロゾル形成物品は、エアロゾルを形成するためにアルカロイドを含有する材料が中で燃焼するのではなく加熱される物品を包含してもよい。
【0096】
本発明によるエアロゾル形成物品は、組み立てられた完全なエアロゾル形成物品であってもよく、または例えば加熱式喫煙装置用の消耗品などの、エアロゾルを発生するための組み立てられた物品を提供する目的で一つ以上の他の構成要素と組み合わせられるエアロゾル形成物品の構成要素であってもよい。
【0097】
エアロゾル形成物品は、紙巻たばこなどの従来の喫煙物品と似ていてもよく、またたばこを含んでもよい。エアロゾル形成物品は使い捨てであってもよい。エアロゾル形成物品は、別の方法として、部分的に再利用可能であってもよく、また補充可能または交換可能なエアロゾル形成基体を備えてもよい。
【0098】
好ましい実施形態において、エアロゾル形成物品は実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル形成物品は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成物品は、およそ約30ミリメートル~およそ約100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル形成物品は、およそ約5ミリメートル~およそ約12ミリメートルの外径を有してもよい。より好ましくは、エアロゾル形成物品は、およそ約5ミリメートル~およそ約8ミリメートルの外径を有してもよい。
【0099】
本発明のすべての態様において、アルカロイドを含有する材料を含むシートは均質化したたばこシートであることが好ましく、アルカロイドを含有する材料はたばこ含有ニコチンである。
【0100】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら具体的な実施形態をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1】
図1は、本発明による均質化したたばこ材料のシートを製造するための方法の流れ図を示す。
【
図2】
図2は、
図1の方法の工程のうちの一つの拡大図を示す。
【
図3】
図3は、本発明によるアルカロイドを含有する材料のシートの製造のための設備の第一の実施形態の概略斜視図を示す。
【
図4】
図4は、本発明によるアルカロイドを含有する材料のシートの製造のための設備の第二の実施形態の断面における概略側面図を示す。
【
図5】
図5は、本発明によるアルカロイドを含有する材料のシートの製造のための設備の第三の実施形態の断面における概略側面図を示す。
【
図6】
図6は、本発明によるアルカロイドを含有する材料のシートの製造のための設備の第四の実施形態の断面における概略側面図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の方法を用いて製造された均質化たばこシートの断面の組成を表すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0102】
最初に
図1を参照すると、アルカロイドを含有する材料のシート200の製造のための方法が示されている。示された実施形態において、アルカロイドを含有する材料のシート200は均質化したたばこシートであり、アルカロイドを含有する材料は、たばこである。
【0103】
本発明の方法の第一の工程は、均質化したたばこ材料を製造するためのたばこブレンドに使用されるたばこタイプおよびたばこ等級の選択100である。本方法で使用されるたばこタイプおよびたばこ等級は、例えばブライトたばこ、ダークたばこ、アロマティックたばこ、およびフィラーたばこである。
【0104】
均質化したたばこ材料のために使用される、製造が意図されている選択されたたばこタイプおよびたばこ等級は、本発明の方法の以下の工程による加工を受ける。
【0105】
方法は、選択したたばこを横たえる、さらなる工程101を含む。この工程は、例えば製品追跡およびトレーサビリティのためにバーコードリーダーによって検証することができる等級および量などのたばこの完全性をチェックする工程を含んでもよい。たばこの葉は、収穫およびキュアリングの後、例えば葉柄の位置、品質、および色を記述する等級が与えられる。
【0106】
さらに、均質化したたばこ材料の製造のためにたばこを製造施設に発送する場合に、横たえる工程101はまた、たばこ箱から出す工程またはたばこ箱のケースを開ける工程を含んでもよい。箱から出されたたばこは次いで、たばこを秤量するために秤量ステーションに供給されることが好ましい。
【0107】
さらに、たばこを横たえる工程101は、たばこ葉が通常、発送のために発送箱内でベール梱包へと圧縮されているので、必要に応じてベール梱包を開く工程を含んでもよい。
【0108】
以下に詳細に述べる通り、各たばこタイプで以下の工程が実施される。これらの工程は等級毎に続いて実施されてもよく、これによって一つの生産ラインのみを必要とする。別の方法として、異なるたばこタイプは別個のラインで加工されてもよい。一部のたばこタイプの加工工程が異なる場合、これは有利である場合がある。例えば、従来の主なたばこプロセスにおいて、ダークたばこはさらなるケーシングを受けることが多く、ブライトたばことダークたばこは少なくとも部分的に別個のプロセスで加工される。しかしながら、本発明によると、均質化したたばこウェブの形成の前に、ブレンドされたたばこ粉末にケーシングを添加しないことが好ましい。
【0109】
さらに、本方法はたばこ葉を粉砕する工程102を含んでもよい。粉砕する工程102は、単一の粉砕工程、またはたばこがまず、粗く粉砕され、その後微細に粉砕される、二重の粉砕工程であってもよい。
【0110】
粉砕する工程102の後、粉末から非たばこ材料を除去する工程を実施することが好ましい(
図1に図示せず)。この除去工程は、粉砕する前に実施されてもよい。粉砕する前に非たばこ材料を除去することは、非たばこ材料が粉砕後よりも簡単に見分けがつき、かつ除去される場合があるので、より簡単である場合がある。
【0111】
粉砕する工程102の後、たばこ粒子は、ブレンドする工程103に(例えば空気式移動によって)搬送されることが好ましい。
【0112】
ブレンドする工程103において、たばこブレンドのために選択された異なるたばこタイプのすべての粉砕されたたばこ粒子はブレンドされる。従って、ブレンドする工程103は、すべての選択されたたばこタイプのための単一の工程である。これは、ブレンドする工程の後に、すべての異なるたばこタイプのための単一のプロセスラインのみが必要であることを意味する。
図2において、たばこブレンドのために選択された四つの異なるたばこタイプの四つの粗く粉砕されたたばこ粒子(それぞれボックス1、2、3、4によって概略的に示されている)をブレンドすることが表されている。
【0113】
ブレンドする工程103において、粒子状の様々なたばこタイプの混合を実施することが好ましい。たばこブレンドの特性のうちの一つ以上を測定および制御する工程を実施することが好ましい。
【0114】
別の方法として、工程102は、様々なたばこタイプが一緒にブレンドされて所望のブレンドを形成する、ブレンドする工程103の後に実施される。プロセスは、ブレンドする工程の後に実施される場合、より速い場合がある。
【0115】
各たばこタイプはそれ自体が下位ブレンドである可能性があり、言い換えれば、「ブライトたばこタイプ」は、例えば異なる等級のバージニアたばことブラジルフルキュアたばことのブレンドである可能性があることが理解される。
【0116】
そのように得られたたばこ粉末は、たばこスラリーを形成するために直ちに使用することができる。別の方法として、例えば適切な容器内でのたばこ粉末の貯蔵のさらなる工程を挿入してもよい(図示せず)。
【0117】
微粉をブレンドする工程103からのたばこ粉末は、その後のスラリー調製工程104で使用される。スラリー調製工程104は、エアロゾル形成体、結合剤、および粉砕されたたばこ粉末をスラリー混合タンク内に一緒に添加することを含むことが好ましい。この工程はまた、スラリーの均一性および均質性を確実にするために高剪断ミキサーを用いてスラリーを加工することを含むことがより好ましい。
【0118】
スラリー調製工程104はまた、水を添加する工程を含むことが好ましく、この添加する工程では所望の粘度および水分を得るためにスラリーに水が添加される。
【0119】
工程104の後のスラリー組成物は、以下の通りである。
水:30%~55%
たばこ粉末:40%~70%
結合剤:0%~1%
エアロゾル形成体:1%~5%
添加された繊維:0.5%未満
【0120】
均質化したたばこシート200を形成するために、工程104によって形成されたスラリーは、キャスティング工程または適用工程105でキャスティングされることが好ましい。このキャスティング工程105は、キャスティングステーションにスラリーを搬送することと、基材シート11上にスラリーを適用することとを含むことが好ましい(
図3~6に示す)。
【0121】
次いで、均質化したキャストシート200は、キャストウェブの均一かつ穏やかな乾燥を含む乾燥工程106で乾燥される。乾燥工程は、各乾燥ゾーンでの穏やかな乾燥プロファイルを確実にするために、各乾燥ゾーンでのキャストリーフの温度をモニターすることを含むことが好ましい。
【0122】
ここで
図3を参照すると、本発明による均質化したたばこ200のシートの製造のための第一の実施形態の設備が表されていて、参照番号10で示されている。
【0123】
設備10は、均質化したたばこ材料200の複数のシートの製造のために適合されていることが好ましい。
【0124】
均質化したたばこ材料のシートの製造のための設備10は、エクストルーダー5と、エクストルーダー5の出口20に位置付けられたタンク6と、タンク6の下方に位置する移動ドラム7とを含む。
【0125】
エクストルーダー5は、均質化したたばこ材料のシートを形成するためのスラリー22(
図3において矢印によって示されている)が導入される入口21と、スラリー22を押し出すためのスクリュー23と、出口20とを備える。スラリー22は、スクリュー23によって入口21から出口20に押される(再度
図3の矢印22を参照のこと)。スラリー22を押すスクリュー23は、
図3で長方形として概略的に図示されたモーター24によって回転されてもよい。
【0126】
スラリー22は、異なる貯蔵タンクまたはサイロ(添付図面に図示せず)からエクストルーダー5に到達する。スラリー22は、たばこ粉末、水、結合剤、エアロゾル形成体を含む。結合剤はグアーであることが好ましい。エアロゾル形成体はグリセリンであることが好ましい。さらなる繊維がスラリーに添加されないことが好ましい。スラリーは、工程104に記載の通りに形成される。
【0127】
スラリー22は、エクストルーダー5からタンク6に到達する。上記の組成物から、押し出しプロセスによってスラリーから約5パーセントの水が除去される。
【0128】
タンク6は複数の出口を備え、すべてが30で示されている。タンク6は、任意の幾何学的形状を有してもよく、図示された実施形態において、実質的に円錐状である。タンク6は横壁32を含み、また底部壁33もさらに含む。ミキサー34(
図3において矢印によって示されている)はタンク6内部に存在して、スラリー22を攪拌および混合することができる。
【0129】
さらに、スラリー22の垂直方向のレベルを測定するために、センサー50がタンク6の中に存在している。スラリーがタンク6内で実質的に一定のレベルに保たれるように、センサー50とエクストルーダー5の間にフィードバックが存在することが好ましい。
【0130】
出口30の下方に、移動ドラム7が位置する。移動ドラム7は、
図3において矢印によって示された回転方向8でその軸77の周りを回転するように適合されている。移動ドラム7は、外部円筒状表面41を画定する。
【0131】
さらに、設備10は、複数のボビン9を含む(単一のボビンを
図3に図示する)。複数のボビンの各ボビン9は、基材シート11、例えばセルロース繊維シートのコイルで作製されている。ボビンは巻き出されて、ボビン9から巻き出されたシート11の自由部分は、移動ドラム7と接触して位置付けられている。基材シート11は第一の表面12および第二の表面13を含み、一方の表面はもう一方の表面に対して反対側である。第二の表面13は、移動ドラム7の円筒状表面41と接触していることが好ましい。第一の表面12は、複数の出口30のうちの少なくとも一つに面する。移動ドラム7の回転は、
図3において矢印14で示された共通の搬送方向に沿って、複数の基材シート11の移動を引き起こす。それ故に、ボビン9はドラム7の回転によって連続的に巻き出される。
【0132】
複数の基材シートのうちの各基材シート11は、移動ドラム7の表面41と接触していて、また搬送方向に沿ってドラム7の下流で自立している、すなわち第一の表面12および第二の表面13は、いかなる要素によっても支持されていない。さらなるドラムまたはローラー(図面では見えない)は、複数のシート11を搬送方向14にさらに引っぱってもよい。
【0133】
スラリー22は、出口30から複数の基材シート11に供給される。複数の出口のうちの各出口30は、複数のシートのうちの単一の基材シート11にスラリー22を供給することが好ましい。スラリーは、重力によって、または例えばポンプ(図面に図示せず)によって圧力を加えることによって出口30から送達される。ポンプは、基材シート11に送達されるスラリーの量を制御するために、流量の制御(図面では見えない)を備えることが好ましい。
【0134】
基材シート11にスラリー22が供給されると、均質化したたばこシート200になる。スラリーは基材シート11によって部分的に、または完全に吸収されてもよい。スラリーの大半は、基材シート11、特に第一の表面12を被覆する場合がある。
【0135】
また、第二の表面13にも、スラリー22が供給されてもよい。
【0136】
各出口30は、出口30が存在するノズル38で終結することが好ましい。
【0137】
さらに、均質化したたばこシート200の平方センチメートル当たりの重量および厚さを測定するために、追加的なセンサー(図示せず)が、出口30の下流の基材シート200に配設されていることが好ましい。センサーは、例えば核子測定ヘッドであってもよい。均質化したたばこのシート内の欠陥の位置を突き止めて決定するためのセンサーなど、図面に示されていない追加的なセンサーも同様に存在することが好ましい。シート200の水分を決定するためのセンサーを追加してもよい。シートの厚さを測定するためのセンサーが存在してもよい。二つ以上のシートが形成される場合に、正しく整列されていないシート、および詰まったシートを回避するためにシートの整列をチェックするセンサーを追加してもよい。
【0138】
複数の均質化したたばこシート200を形成するための設備10の機能は以下の通りである。好ましくは、工程104に記述の通り,たばこ粉末、水、および他の成分を混合および組み合わせて形成され、好ましくは添加された繊維の含有量がゼロまたは低いスラリー22は、例えばインラインミキサー(これも図示せず)を使用して、貯蔵タンク(図示せず)からエクストルーダー5に移送される。スラリーは、エクストルーダー5でその含水量を低減し、タンク6内部で押し出される。タンク6において、スラリーはポンプを必要として、またはポンプの必要なく出口30に到達する。ノズル38は、移動ドラム7と接触して位置付けられている繊維を含む基材シート11上にスラリーを供給する。ドラム7の移動は、搬送方向14に沿った基材シート11の移行を引き起こす。各ノズル38は、異なる基材シート11上にスラリーを堆積させる。それ故に、複数の均質化したたばこシート200が形成される。
【0139】
スラリー供給の直後に核子ゲージによって制御された、シート200の厚さおよび坪量は、スラリー測定装置を使用して連続的にモニターされ、かつフィードバック制御されることが好ましい。
【0140】
図4において、均質化したたばこシート200の製造のための設備110の第二の実施形態が示されている。設備110は、スラリー22を包含するキャスティングボックス42および基材シート11を備え、キャスティングボックス42に関連付けられたキャスティングローラー45は、均質化したたばこ材料のキャストシート200を形成するように、キャスティングボックス42内に包含されたスラリー22を基材シート11上にキャスティングする。スラリー22は、上述の工程104においてと同様に調製される。
【0141】
基材シート11は、移動ローラーの周りに巻かれていて(ローラー52のみが示されている)、かつキャスティングボックス42の上方に位置付けられている。基材シート11は、第一の表面12および第二の表面13を画定し、
図4において矢印で示された搬送方向14で移動ローラー52によって移動される。
【0142】
キャスティングボックス42は、第一の壁43および反対側の第二の壁44を含む側壁を備える。キャスティングボックス42は概して、四つの側壁、すなわち第一の壁43および反対側の第二の壁44と、第一の壁43および反対側の第二の壁44を接続する第三の壁および反対側の第四の壁(図に示さず)とによって画定されている。
【0143】
さらに、キャスティングボックス42は底部壁46を含む。底部壁はまた、開口47を含み、この場合において、キャスティングボックスの上部と一致する。開口47は、基材シート11の近傍に位置付けられている。
【0144】
入ってくるスラリー22は、入口(見えない)、特に(例えば、キャスティングボックスの側壁のうちの一つに接続された)パイプの端から、キャスティングボックス42の中に導入される。
【0145】
バッファタンク(図面に図示せず)からのスラリー22は、通常はポンプ(図面に図示せず)によってキャスティングボックス42の中に移送される。ポンプは、キャスティングボックス42内に導入されたスラリー22の量を制御するために、流量の制御(図面では見えない)を備えることが好ましい。ポンプは有利なことに、スラリーの移送時間が必要最小限に保たれることを確実にするように設計されている。
【0146】
キャスティングボックス42中のスラリー22の量は所定のレベルを有し、これは実質的に一定に、または所与の範囲内に保たれることが好ましい。スラリー22の量を実質的に同じレベルに保つために、ポンプはキャスティングボックス42へのスラリー22の流れを制御する。
【0147】
キャスティングローラー45は、スラリーをキャスティングするためにキャスティングボックス42に関連付けられている。キャスティングローラー45は、その長軸方向の幅である主寸法を有する。キャスティングローラーは、その長軸方向に対応する第一の回転軸48(
図4において十字で示されている)を画定する。第一の回転軸48は水平であることが好ましく、キャスティング方向17と直角を成すことがより好ましい。
【0148】
キャスティングローラー45は、回転可能な様態でキャスティングボックス42に、好ましくはその端によって二つの対向する側壁に取り付けられていることが好ましい。さらに、キャスティングローラー45は、開口47から部分的に突出し、基材シート11に面する(
図4の詳細を参照のこと)。
【0149】
キャスティングローラー45と基材シート11の間には間隙が存在してもよく、その寸法はとりわけ、均質化したたばこ材料のキャストウェブ200の厚さを決定する。
【0150】
スラリー22は、キャスティングローラー45を通して基材シート11上にキャスティングされ、これは均質化したたばこ材料の連続的なシート200を作り出す。スラリーは、ローラー45に面する基材シート11の第一の表面12上にキャスティングされる。
【0151】
シートの厚さは、ラミネーションローラー52、53によってさらに制御されてもよい。移動ローラー52は、一対のラミネーションローラー52、53の一部であってもよく、これらのローラーはそれらの間に間隙を有し、この間隙にはシート200が挿入される。ラミネーションローラー52、53は、基材シート11のセルロース繊維の吸収および湿潤を容易にするために、かつシート11の最終的な厚さの制御を達成するために使用される。
【0152】
キャストシート200は、搬送方向14に沿って移動ローラー52によって駆動され、加熱ユニット(図に示さず)に入り、ここで徐々に加熱され、かつ均一に乾燥される。
【0153】
均質化したたばこシート200を形成するための設備110の機能は以下の通りである。好ましくは、工程104に記述の通り,たばこ粉末、水、および他の成分を混合および組み合わせて形成され、好ましくは添加された繊維の含有量がゼロまたは低いスラリー22は、例えばインラインミキサー(これも図示せず)を使用して、貯蔵タンク(図示せず)からキャスティングボックス42に移送される。キャスティングローラー45は、基材シート11が搬送方向14に沿って移動する間に、回転することによって、繊維を含有する基材シート11上にスラリーを供給する。それ故にスラリーの層は、基材シート11の第一の表面12上に堆積されて、均質化したたばこシート200を形成する。
【0154】
スラリー供給の直後に核子ゲージによって制御された、シート200の厚さおよび坪量は、スラリー測定装置を使用して連続的にモニターされ、かつフィードバック制御されることが好ましい。
【0155】
図5において、均質化したたばこシート200の製造のための設備120の第三の実施形態が示されている。設備120は、
図4の装置110に類似しているため、これら二つの設備間の差異のみを概説する。
【0156】
キャスティングローラー45に加えて、設備120は、キャスティングボックス42内に、第二のローラーである移送ローラー49も備える。移送ローラー49は、キャスティングローラー45の下方に位置する。移送ローラー49は、キャスティングローラー45の直径よりも大きい直径を有することが好ましい。移送ローラー49は円筒状であり、第一の回転軸48と平行な第二の回転軸51(
図5において十字で示されている)を画定することが好ましい。移送ローラー49は、キャスティングボックス42の二つの対向する側壁に、回転可能な様態で、好ましくはその長軸方向の端によって取り付けられている。さらに、移送ローラー49は、キャスティングボックス42内にその全体が位置することが好ましく、スラリー22によって少なくとも部分的に浸される。移送ローラー49の回転方向は、キャスティングローラー45の回転方向とは反対向きである。
【0157】
キャスティングローラー49とキャスティングローラー45の間には間隙が形成されている。
【0158】
それ故に移送ローラー49は、設備110を参照しながら詳述される通り、スラリーと接触していて、基材シート11にスラリーを適用するキャスティングローラー45にスラリーを移送する。
【0159】
設備120の機能において、スラリー22は、入口にてキャスティングボックス42に供給される。スラリーは所与のレベルに達する。移送ローラー49は、スラリー22が所与のレベルに達する時にキャスティングボックス内のスラリー22と部分的に接触していて、かつ移送ローラー49の回転に起因して、移送ローラー49上にスラリー被覆があるように、スラリー22は移送ローラー49の外表面をスラリー22の層で覆う。移送ローラー49におけるこのスラリー被覆は、キャスティングローラー45に移送される。その後、スラリーは、移送ローラー49上のスラリー層とキャスティングローラー45の表面との間の接触に起因してキャスティングローラー45に移送され、かつスラリー被覆層は、基材シート11へのその最終的な移送前に、キャスティングローラー45の表面上に形成されている。
【0160】
キャスティングローラー45は軸48の周りを回転し、スラリー層は基材シート11に触れる。これは、キャスティングローラー45から基材シートへのスラリーの移送を引き起こし、スラリー被覆はキャストウェブ200を形成する。
【0161】
その後、ウェブは乾燥され、貯蔵のためにボビンへと巻き取られることが好ましい(図に示さず)。これらのボビンはその後、巻き出され、エアロゾル発生物品用のたばこ構成要素を作り出すために使用される。
【0162】
図6において、均質化したたばこシート200の製造のための設備130の第四の実施形態が示されている。設備130は、
図5の装置120に類似しているため、これら二つの設備間の差異のみを概説する。
【0163】
設備130は、設備120を参照しながら図示した構成に加えて、キャスティングローラー45の上方に位置するカウンタープレスローラー56を含む。キャスティングローラー45とカウンタープレスローラーの間には間隙が形成されている。間隙内に基材シート11が位置付けられている。キャスティングローラー45によってキャスティングされたスラリー22は、基材シートに到達し、キャスティングローラー45とカウンタープレスローラー56の間で押される。キャスティングローラー45およびカウンタープレスローラー56は、基材シート11の第一の表面12および第二の表面13をそれぞれ押す。
【0164】
次いで、キャスティングボックス42から出て来るスラリーの量は、二つのローラー45とローラー49(キャスティングローラーおよび移送ローラー)の間の距離を調整することによって制御されることが可能である。基材シート11上に適用されるスラリーの量を、キャスティングローラー46およびカウンタープレスローラー56によってシート上に加えられる圧力を制御することによってさらに調整することが可能である。
【0165】
シート上に加えられる圧力に作用することは、基材シート11上のスラリーの堆積に対して良好な制御を有するために役立つ。
【0166】
設備130の機能は、カウンタープレスローラー56による圧縮が加えられる設備120と同じである。
【0167】
図7に図示の通り、均質化したたばこ200のシートの様々な構成要素の濃度に関連するグラフが図示されている。連続的な曲線はシート内のスラリーの濃度を表し、その一方で破線の曲線は、基材を形成する材料の濃度を表す。グラフの横座標は、基材シートの第一の表面12から基材シートの第二の表面13に、基材シート11内の位置を表す。スラリー22が基材シート11の(第一の表面12である)一つの表面上に置かれる場合、スラリーは、第一の表面12から第二の表面13に、基材シートの厚さを通して、減少する濃度(単位体積の総質量に対して報告されるたばこシートの質量のパーセントでの濃度)を有することになる。
【0168】
こうした減少する濃度は、スラリーのレシピと、たばこ粒子の分布サイズと、繊維基材11の性質とによって変化する可能性がある。
【0169】
例えば、スラリーが適用された第一の表面12の区域において、スラリー含有量は約70~80パーセント(単位体積の総質量に対して報告されるたばこ化合物の質量のパーセントでの含有量)から、第二の表面13上での約25~20パーセントまで減少する可能性がある。繊維基材は、第一の表面12上での約30~20パーセントから、第二の表面13の区域内での約75~80パーセントまで下がる場合がある。
【0170】
【0171】
均質化したたばこシート200のこの構成は、
図3~
図6の設備10、110、120、130のうちのいずれかを使用して得られうる。
【国際調査報告】