(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】乾癬及び他の病気を治療するための、局所用シクロスポリン
(51)【国際特許分類】
A61K 38/13 20060101AFI20230301BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230301BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230301BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20230301BHJP
A61P 17/12 20060101ALI20230301BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230301BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230301BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230301BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230301BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230301BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230301BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230301BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20230301BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20230301BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230301BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230301BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230301BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230301BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230301BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230301BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20230301BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20230301BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61K38/13
A61P17/06
A61P17/00
A61P17/00 101
A61P17/10
A61P17/12
A61P43/00 121
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P3/10
A61P1/04
A61P25/00
A61P29/00
A61P37/06
A61P5/14
A61P21/04
A61P37/02
A61P9/00
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/44
A61K47/04
A61K47/24
A61K31/122
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536648
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 US2020067041
(87)【国際公開番号】W WO2021134028
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522199446
【氏名又は名称】ダイブ バイオサイエンシーズ,インク.
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ビール,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】フィッツシモンズ,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】サンド,ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス,キルマー
(72)【発明者】
【氏名】ライス,アウドリーン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB31
4C076DD21
4C076DD37
4C076DD41
4C076DD45
4C076DD46
4C076DD63
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4C076EE53
4C084AA02
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4C084ZC751
4C206AA01
4C206AA02
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4C206MA02
4C206MA04
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4C206ZA94
4C206ZA96
4C206ZB07
4C206ZB08
4C206ZB11
4C206ZB15
4C206ZC06
4C206ZC35
4C206ZC75
(57)【要約】
対象の皮膚、爪、または毛嚢を含む、真皮を通して、1つ以上の追加の治療剤と共に、またはこれなしで、シクロスポリンを経皮送達するための経皮送達製剤を本明細書で開示する。製剤は、経口投与の限界を克服する。具体的には、実施形態は、シクロスポリンを皮膚内に全身送達させ、乾癬または他の病気を治療する製剤及び方法を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構成成分:
a.0.5%~5.0%の濃度のシクロスポリン;
b.5%~20%の濃度のパルミチン酸イソプロピル;
c.0.5%~5%の濃度のベンジルアルコール;
d.0.5%~5%の濃度のステアリン酸;
e.1%~6%のベニバナ油;
f.0.5%~2%のオレイン酸;及び
g.20%~80%の脱イオン水
を含む経皮送達製剤。
【請求項2】
前記経皮製剤が、
a.Aveeno(登録商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローション;
b.Jergens(登録商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローション;
c.Honest Company(登録商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローション;
d.Dermologica(登録商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローション;または
e.St.Ives(商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローション
もまた含む、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項3】
前記経皮製剤が、1%~20%の濃度でホスファチジルコリンをさらに含む、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項4】
前記経皮製剤が、0.5%~5%の濃度でポリグリセリル-4ラウレートをさらに含む、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項5】
前記経皮製剤が、5%~40%の濃度で、30%プルロニックゲル(水とポロキサマー407の混合物)をさらに含む、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項6】
前記経皮製剤が、界面活性剤もまた含む、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項7】
前記経皮製剤が、非イオン性洗剤もまた含む、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項8】
前記経皮製剤が、極性ゲル化剤もまた含む、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項9】
前記非イオン性洗剤が、より粘稠かつクリーム様の製剤をもたらす、請求項7に記載の経皮送達製剤。
【請求項10】
前記極性ゲル化剤が、より粘稠かつゲル様の製剤をもたらす、請求項8に記載の経皮送達製剤。
【請求項11】
前記シクロスポリン濃度が、0.05%~0.1%、0.1%~0.5%、0.5%~2%、0.5%~1.5%、1%~1.5%、0.5%~1.5%、1%~2.5%、1%~3%、1.5%~3%、1%~4%、または1%~5%である、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項12】
前記パルミチン酸イソプロピルが、1%~15%、2.5%~15%、4%~15%、5%~10%、10%~15%、12%~15%、5%~8%、5%~15%、または10%~20%である、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項13】
前記ベンジルアルコールが、0.5%~1.5%、0.5%~4%、0.75%~3%、1%~2.5%、2%~4%、または2.5%~5%である、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項14】
前記ステアリン酸が、0.5%~1.5%、1.5%~2.5%、3.5%~5%、2%~5%、3%~5%、または4%~5%である、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項15】
前記ベニバナ油が、1%~3%、1.5%~2.5%、3%~5%、4~6%、4.5%~6%、または5%~6%の濃度で存在する、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項16】
前記ベニバナ油がリノール酸である、請求項15に記載の経皮送達製剤。
【請求項17】
前記オレイン酸が、0.5%~1%、0.5%~1.5%、1%~1.5%、または1%~2%の濃度で存在する、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項18】
前記脱イオン水が、20%~50%、25%~75%、30%~60%、40%~60%、40%~50%、または50%~80%である、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項19】
請求項1に記載の経皮送達製剤を使用して、個体にシクロスポリンを投与する方法。
【請求項20】
請求項1に記載の経皮送達製剤を使用する、乾癬の治療方法。
【請求項21】
前記乾癬が、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、または紅皮乾癬のうちの少なくとも1つである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記製剤が、ビタミンD、ビタミンD類似体(即ち、合成ビタミンD)、アントラリン、局所用レチノイド(ビタミンAから誘導される)、及び、局所用カルシニューリン阻害剤から選択される、1つ以上の追加の剤を含む、請求項1に記載の経皮送達製剤。
【請求項23】
請求項1に記載の経皮送達製剤を使用する、皮膚の病状の治療方法であって、前記皮膚の病状が、皮膚炎、ツタウルシ及びポイズンオーク、ならびに薬剤性発疹、座瘡、ヘルペス、じんましん、角化症、酒さ、癰、湿疹、または蜂窩織炎のうちの少なくとも1つである、方法。
【請求項24】
請求項1に記載の経皮送達製剤を使用する、自己免疫の病状の治療方法であって、前記自己免疫の病状が、皮膚炎、紅斑性狼瘡、関節リウマチ、セリアック病、1型真性糖尿病、グレーヴス病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、関節リウマチ、慢性または非特異的炎症、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、脈管炎、線維筋痛、クローン病、重症筋無力症、強膜炎、血管炎、または、全身性エリテマトーデスのうちの少なくとも1つである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、薬剤の局所投与、ならびに、より具体的には、乾癬の治療のためにシクロスポリンを経皮投与するための方法及び製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
乾癬は、皮膚の異常な斑を特徴とする、免疫が媒介する炎症性疾患(IMID)である。乾癬は、環境因子により引き起こされる遺伝病であると考えられている。疾患の重症度は、軽度で局部的な斑から、全身範囲までと、様々である。乾癬には5つの主な種類:尋常、滴状、逆、膿疱、及び紅皮が存在する。乾癬の各種類は違いが明白であるが、全て、疾患の構成要素は重複する。例えば、乾癬が爪で現れることは、乾癬を有する人の40~45%に影響を及ぼし、乾癬が関節で現れることは、任意の種類の疾患を有する個体の30%で生じる。症例の約75%において、関節にて現れる前に、乾癬が皮膚で現れる傾向がある。
【0003】
乾癬は、皮膚の最外層(表皮)の、過剰かつ急速な成長として明らかになる。乾癬の皮膚において、細胞は、通常の28~30日の代わりに、3~5日毎に置き換わる。これは、真皮での炎症反応による、ケラチノサイトの早すぎる成熟により引き起こされると考えられており、これには、特定の免疫細胞(即ち、樹状細胞、マクロファージ、及びT細胞)が関与する。ある顕著な仮説は、乾癬は、事象のこのカスケードを誘発する制御性T細胞の欠陥により引き起こされ、最終的に、過度の皮膚細胞増殖をもたらすというものである。
【0004】
乾癬と関連する特定の遺伝子が存在し、双子研究からの結果は、これらの遺伝因子が、特定の個体を乾癬に罹患させやすくし得ることを示す。疾患の活性化は、様々な因子により引き起こされる可能性がある。罹患者において、皮膚の損傷が、損傷箇所にて乾癬を生じさせる可能性がある(ケーブナー現象)。冬季の間に、及び、βブロッカーまたはNSAIDなどの特定の薬物治療を用いると、症状は多くの場合、悪化することが報告されている。ストレス、過度のアルコール消費、肥満、及び慢性感染症などの他の因子もまた、症状を悪化させることが報告されている。
【0005】
尋常性乾癬は最も一般的な種類であり、症例の85~90%を占める。尋常性乾癬(尋常性乾癬としても知られている)は、典型的には、上部に白い鱗屑を有する、皮膚の赤い斑として明らかになる。これらの斑は、体のどこでも生じ得るが、一般的には、前腕の後部、皮膚、臍領域、及び頭皮で発見される。
【0006】
紅皮乾癬は、他の種類の乾癬のいずれもから進行し得るものの、多くの場合、不安定な、または未治療の尋常性乾癬の悪化の結果である。紅皮乾癬の一般的な原因は、全身性糖質コルチコイドの、急激な停止である。この形態の疾患は、発疹が体の広範に広がるときに生じ、過度の炎症及び剥離によって致命的となり得、体が、体温を制御して、通常の皮膚バリア機能を発揮する能力を破壊する。
【0007】
乾癬の重症度は最も多くの場合、乾癬面積重症度指数(PASI)により測定される。PASIは、損傷の重症度、及び影響を受ける面積を評価し、これら2つの因子を、0(疾患なし)から72(最大の疾患)までの、単一のスコアに組み合わせる。このスケールに従うと、乾癬に影響を受ける人の8%は、深刻なものにカテゴライズされる。
【0008】
個体がHIV/AIDSを有する場合、乾癬はより重傷なものとなる傾向にある。乾癬性関節炎の割合は、HIV陰性の個体よりも、乾癬を有するHIV陽性の個体において高い。個体が良好にコントロールされた乾癬を有する場合、新しいHIV感染は、乾癬及び/または乾癬性関節炎の深刻な拡大を引き起こす可能性がある。HIV陽性の個体において、乾癬は非常に重傷であるため、従来の治療法では治療不可である可能性がある。
【0009】
軽度の乾癬から適度な乾癬に関しては、いくつかの局所用クリーム及び軟膏で十分である可能性が高い。局所用コルチコステロイドは、軽度の乾癬から適度な乾癬に対する、最も頻繁に処方されている薬物治療である。これらの薬剤は、炎症を低減し、掻痒を緩和することができる。軽度の乾癬から適度な乾癬に使用される、他の一般的な局所剤としては、ビタミンD類似体(合成ビタミンD)、アントラリン、局所用レチノイド(ビタミンAから誘導される)、及び、局所用カルシニューリン阻害剤が挙げられる。これらの局所剤は、皮膚細胞増殖の速度を遅くさせ、炎症を低下させることにより、症状を緩和することができる。
【0010】
光治療法は、多くの場合、局所剤と共に使用される、軽度の乾癬から中程度の乾癬に対する、別の一般的な治療である。紫外線の太陽光に曝露することで、皮膚細胞のターンオーバーを遅くさせることができる。人工光源からのUVB光線治療法もまた、利用可能である。制御用量の広帯域UVBを患部に投与することができ、これは多くの場合、局所治療に耐性がある、軽度の症例に対して使用される。狭帯域UVBは、広帯域UVBよりも効果的である可能性があり、通常、症状が改善するまで、1週間に数回投与される。その後、治療の頻度を、1週間に1回に減らすことができる。
【0011】
深刻な乾癬の症例、または、他の種類の治療に耐性のある症例に対しては、多くの場合、全身治療と呼ばれる、経口または注射薬剤オプションが存在する。経口用レチノイドは、局所適用するときよりも効果的であり、他の治療に耐性を有する症例に対して作用し得る。メトトレキサートは、皮膚細胞の産生を低下させ、炎症を低減する、深刻な乾癬に対して多くの場合処方される、別の経口治療である。生物学的製剤と呼ばれる、免疫系を変化させる薬剤のクラスもまた存在する。これらの薬剤は皮下注射され、中程度の乾癬から重度の乾癬を治療する。
【0012】
軽度の乾癬から中程度の乾癬に対する局所治療は、副作用を有しており、有効性が変化し、最終的には、症例毎で、疾患の重症度により制限される。以前に言及したように、局所用コルチコステロイドは、軽度の乾癬に対する最も一般的な治療である。しかし、強力なコルチコステロイドの、長期間にわたる使用、または過度の使用は、皮膚の菲薄化を引き起こし得、局所用コルチコステロイドは、時間の経過とともに作用が停止する可能性がある。これらの理由のために、局所用コルチコステロイドの使用は多くの場合、拡大の間の短期間治療として推奨される。
【0013】
カルシポトリエン(Dovonex)などの、いくつかのビタミンD類似体は、皮膚を刺激する可能性がある一方で、カルシトリオール(Vectical)などの他の類似体は、刺激は少ないものの、はるかに高価である。アントラリンもまた、皮膚を刺激する可能性があり、触れる大部分の表面に染みを生じる。局所用レチノイドは多くの場合、皮膚の刺激を引き起こし、太陽光への感度もまた増加させる可能性がある。加えて、これらは、先天性異常を引き起こすリスクを呈しているため、妊娠中、妊娠予定、または母乳哺育の患者には推奨されない。カルシニューリン阻害剤は、皮膚癌またはリンパ腫のリスクを増加させる可能性があるが故に、長期間の使用には推奨されない。
【0014】
光治療法は、単独で、または、局所治療と組み合わせて有用であることができるが、自身の問題を有する。強烈な、または、長期間の太陽への曝露は、症状を悪化させる可能性がある。広帯域UVBは、発赤、掻痒、及び乾燥肌を誘発する可能性がある一方で、狭帯域UVBは、深刻な、または、持続性の火傷を引き起こす可能性がある。さらに、光治療法は、皮膚癌のリスクもまた増加させる可能性がある。
【0015】
乾癬に対する経口、及び注射薬物治療は一般に、その副作用が原因で、より深刻な症例では見合わせられる。経口用レチノイドは、局所用レチノイドよりも、深刻な先天性異常を高いリスクで呈し、妊娠してから3年以内に使用してはならない。経口用メトトレキサートは、胃の不調、食欲減衰、及び疲労を引き起こす可能性がある。より深刻な副作用としては、深刻な肝損傷、ならびに、赤血球細胞及び白血球細胞の産生減少が挙げられる。生物学的製剤は、免疫系に著しい影響を有し、結核などの、生命を脅かす感染症に患者が感染しやすいままとなる可能性がある。
【0016】
シクロスポリン(シクロスポリンA)は、経口摂取、または注射可能である免疫抑制剤である。シクロスポリンは、他の薬剤と共に使用して、免疫系を抑制することで、器官の拒絶を防ぐ。他の治療の効果がないときに、シクロスポリンを使用して、関節リウマチ、及び深刻な尋常性乾癬を治療することもまた可能である。シクロスポリンは、免疫系を抑制し、乾癬にて高められる皮膚産生に関与する、特定の免疫細胞の増殖を低速化させることができる。しかし、シクロスポリンもまた、多くの副作用を有する。
【0017】
シクロスポリンの副作用としては、特に、高用量、及び/または長期間の治療法にて摂取したときの、腎臓の問題、及び高血圧が挙げられる。経口投与の低い生物学的利用能により、乾癬を効果的に治療するには、高用量が必要とされる。シクロスポリンは、免疫系を抑制するため、感染症、及び、他の健康問題のリスクもまた増加させる可能性がある。
【0018】
シクロスポリンを局所投与する試みは、ほとんどが失敗に終わっている。高分子量及び他の特性が原因で、シクロスポリンは、経皮送達するのが難しい分子である。リピンスキーの法則は、吸収、分布、代謝、及び排泄を含む、ヒト体内での、薬剤の薬学動態に重要な分子の性質について記載している。リピンスキーの法則の基準に基づくと、シクロスポリンは、従来の局所送達システムには適合しない。これは、その高分子量(1202.6g/mol)、5H結合ドナー及び12H結合アクセプター(共に、リピンスキーの閾値を超過する)、ならびに、シクロスポリンのlogP値(7.5)に因るものである。
【0019】
複数の臨床研究で、局所用シクロスポリンにより乾癬患者を治療する試みがなされたが、プラセーボと比較して、何ら臨床効果を示すことができなかった。治験治療は、1~2ヶ月の間使用した、2%~5%シクロスポリンを含むクリームを含んだ。シクロスポリンは効果的であり、経皮アプローチが所望されるものの、これ故に、試みは、経口使用の代替品を提供することが長らく不可能であった。
【0020】
したがって、シクロスポリンを経皮投与する、改善された方法が必要とされている。この方法は、皮膚の角質層、加えてより深い層により提示されるバリアを克服しなければならない。さらに、過酷な溶媒を用いることなく克服しなければならず、シクロスポリンを局所領域に、高い生物学的利用能を備えて提示しなければならない。本発明の態様は、これらの必要性を見たし、以下の発明の概要に記載するように、さらに関連する利点をもたらす。
【発明の概要】
【0021】
本開示の態様は、後述する例示的な利点をもたらす、構築及び使用における特定の利点を教示する。
【0022】
実施形態は、シクロスポリンを経皮投与するための経皮製剤を含む。経皮送達製剤は、以下の構成成分:
a.0.5%~5.0%の濃度のシクロスポリン;
b.5%~20%の濃度のパルミチン酸イソプロピル;
c.0.5%~5%の濃度のベンジルアルコール;
d.0.5%~5%の濃度のステアリン酸;
e.1%~6%のベニバナ油;
f.0.5%~2%のオレイン酸;及び
g.20%~80%の脱イオン水
を含むことができる。経皮送達製剤としては、Aveeno(登録商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローション;Jergens(登録商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローション;Honest Company(登録商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローション;Dermologica(登録商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローション;または、St.Ives(商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローションもまた挙げることができる。
【0023】
経皮送達製剤は、1%~20%の濃度のPhospholipon 90Gもまた含むことができる。別の実施形態では、経皮送達製剤としては、0.5%~5%の濃度のDurosoft PK-SG、及び/または、5%~40%のPluronic Gelを含むことができる。
【0024】
別の実施形態では、経皮送達製剤は、界面活性剤、非イオン性洗剤、及び/または極性ゲル化剤を含むことができる。非イオン性洗剤は、より粘稠かつクリーム様の製剤をもたらすことができる。極性ゲル化剤は、より粘稠かつゲル様の製剤をもたらすことができる。
【0025】
シクロスポリン濃度は、0.05%~0.1%、0.1%~0.5%、0.5%~2%、0.5%~1.5%、1%~1.5%、1%~2.5%、1%~3%、1.5%~3%、1%~4%、または1%~5%の範囲であることができる。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、少なくとも0.5mg/kg、少なくとも0.75mg/kg、少なくとも1mg/kg、少なくとも1.5mg/kg、少なくとも2mg/kg、少なくとも2.5mg/kg、少なくとも3mg/kg、少なくとも3.5mg/kg、少なくとも4mg/kg、少なくとも4.5mg/kg、少なくとも5mg/kg、少なくとも5.5mg/kg、少なくとも6mg/kg、少なくとも6.5mg/kg、少なくとも7mg/kg、少なくとも7.5mg/kg、少なくとも8mg/kg、少なくとも8.5mg/kg、少なくとも9mg/kg、少なくとも9.5mg/kg、少なくとも10mb/kgである。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、0.5mg/kg以下、0.75mg/kg以下、1mg/kg以下、1.5mg/kg以下、2mg/kg以下、2.5mg/kg以下、3mg/kg以下、3.5mg/kg以下、4mg/kg以下、4.5mg/kg以下、5mg/kg以下、5.5mg/kg以下、6mg/kg以下、6.5mg/kg以下、7mg/kg以下、7.5mg/kg以下、8mg/kg以下、8.5mg/kg以下、9mg/kg以下、9.5mg/kg以下、10mb/kg以下である。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、約0.5mg/kg、約0.75mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約6.5mg/kg、約7mg/kg、約7.5mg/kg、約8mg/kg、約8.5mg/kg、約9mg/kg、約9.5mg/kg、約10mg/kgである。
【0026】
パルミチン酸イソプロピル濃度は、1%~15%、2.5%~15%、4%~15%、5%~10%、10%~15%、12%~15%、5%~8%、5%~15%、または10%~20%の範囲であることができる。
【0027】
ベンジルアルコール濃度は、0.5%~1.5%、0.5%~4%、0.75%~3%、1%~2.5%、2%~4%、または2.5%~5%の範囲であることができる。
【0028】
ステアリン酸濃度は、0.5%~1.5%、1.5%~2.5%、3.5%~5%、2%~5%、3%~5%、または4%~5%の範囲であることができる。
【0029】
ベニバナ油の濃度は、1%~3%、1.5%~2.5%、3%~5% 4~6%、4.5%~6%、または5%~6%の範囲であることができる。ベニバナ油はリノール酸であることができる。
【0030】
オレイン酸濃度は、0.5%~1%、0.5%~1.5%、1%~1.5%、または1%~2%の範囲であることができる。
【0031】
脱イオン水は、20%~50%、25%~75%、30%~60%、40%~60%、40%~50%、または50%~80%の範囲であることができる。
【0032】
実施形態は、経皮送達製剤を使用して、対象にシクロスポリンを投与する方法を含む。実施形態は、経皮送達製剤を使用して、乾癬を治療する方法もまた含むことができる。乾癬は、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、または紅皮乾癬であることができる。
【0033】
経皮送達製剤は、ビタミンD、ビタミンD類似体(即ち、合成ビタミンD)、アントラリン、局所用レチノイド(ビタミンAから誘導される)、及び、局所用カルシニューリン阻害剤から選択される、1つ以上の追加の剤もまた含むことができる。
【0034】
実施形態は、皮膚状態の治療方法もまた含む。皮膚状態は、例えば、皮膚炎、ツタウルシ及びポイズンオーク、ならびに薬剤性発疹、座瘡、ヘルペス、じんましん、角化症、酒さ、癰、湿疹、蜂窩織炎、アトピー性皮膚炎、木村病、壊疽性膿皮症、乾癬、慢性じんましん、急性の全身性肥満細胞症、ならびに、非感染性原因による後位または中間ぶどう膜炎であることができる。
【0035】
実施形態は、自己免疫状態の治療方法もまた含む。自己免疫状態は例えば、紅斑性狼瘡、関節リウマチ、腹腔動脈疾患、1型真性糖尿病、グレーヴス病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、関節リウマチ、慢性または非特異的炎症、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、グレーヴス病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、脈管炎、線維筋痛、クローン病、重症筋無力症、強膜炎、血管炎、または、全身性エリテマトーデスであることができる。
【0036】
本発明の態様の他の特徴及び利点は、本発明の態様の原理を例示的に示す添付図面を共に考慮して、以下のより詳細な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】0.5、1、2、4、8、及び24時間にて測定した、得られた平均血漿シクロスポリン濃度を示すPKデータ。
【
図2】0.5、1、2、4、8、及び24時間にて測定した、得られた平均血漿シクロスポリン濃度を示すPKデータ。
【発明を実施するための形態】
【0038】
定義
本明細書における、「一実施形態/態様」、または「実施形態/態様」への言及は、当該実施形態/態様と共に説明される、特定の特徴、構造、または性能が、本開示の少なくとも1つの実施形態/態様に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における、「一実施形態/態様では」、または、「別の実施形態/態様では」という語句の使用は、必ずしも、同一の実施形態/態様を全て参照するものでもなければ、他の実施形態/態様と相互排他的な、個別の、または代替の実施形態/態様でもない。さらに、いくつかの実施形態/態様により示され得、他の実施形態/態様では示されない、様々な特徴が説明される。同様に、いくつかの実施形態/態様の必要条件であり得るが、他の実施形態/態様の必要条件ではない、様々な必要条件を説明する。実施形態及び態様は、特定の場合においては、同じ意味で用いることができる。
【0039】
本明細書中で使用される用語は一般に、本開示の文脈内で、かつ、各用語が使用される具体的な文脈においての、当該技術分野における通常の意味を有する。以下、または、本規格の他の箇所で記載する、本開示を説明するために使用する特定の用語は、本開示の説明に関する実践者に、追加のガイダンスを提供する。同じ物事を、2つ以上の方法で言うことができることが理解されよう。
【0040】
結果的に、代替の言葉及び同義語を、本明細書で論じる用語のいずれか1つ以上に対して使用することができる。ある用語が、本明細書で詳述または議論されているか否かにかかわらず、任意の特別な意味はない。特定の用語に対する同義語が提供される。1つ以上の同義語を引用することは、他の同義語の使用を除外するものではない。本明細書で論じる任意の用語の例を含む、本明細書のあらゆる箇所における例の使用は、単に例示的なものであり、本開示の、または、例示された任意の用語の範囲意味をさらに限定することを意図するものではない。同様に、本開示は、本明細書で与えられる様々な実施形態に限定されない。
【0041】
本開示の範囲をさらに限定する意図を伴わずに、本開示の実施形態に従い、機器、装置、方法、及び、それらと関連する結果の例を以下に示す。表題または副題を、読み手の便宜のために例で使用することができ、これらは、本開示の範囲をいかなる方法においても限定するものではないことに留意されたい。特に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関係する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合には、定義を含む本明細書が優先する。
【0042】
適用可能なように、本明細書及び添付の特許請求の範囲において、ならびに、特に断りのない限り、本明細書で使用する場合、用語「約」または「一般に」とは、±20%のマージンを意味する。また、適用可能なように、特に断りのない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において、本明細書で使用する用語「実質的に」とは、±10%のマージンを意味する。上記用語の使用全てが、言及範囲が適用可能なように定量化可能であるわけではないと理解することができる。
【0043】
用語「対象」または「患者」とは、より好ましくは、治療が所望される哺乳類(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、動物園動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、及び非ヒト霊長類といった、非ヒト動物を含む)を意味する。最も好ましくは、本明細書における患者はヒトである。
【0044】
用語「活性剤」または「活性成分」とは、生物学的に活性であるか、または別様においては、投与される対象における生物学的もしくは生理学的効果を誘発する、物質、化合物、または分子を意味する。換言すれば、「活性剤」または「活性成分」とは、組成物の効果の全体または一部がもたらされる、組成物の構成成分(複数可)を意味する。活性剤は、一次活性剤、または、換言すれば、組成物の効果の全体または一部がもたらされる組成物の構成成分(複数可)であることができる。活性剤は、二次剤、または、換言すれば、組成物の追加の部分及び/または他の効果がもたらされる組成物の構成成分(複数可)であることができる。
【0045】
一実施形態では、「医薬組成物」とは、インビトロ、インビボ、またはエクスビボでの治療使用に好適な非滅菌または滅菌組成物中で、活性剤を、不活性または活性な担体と組み合わせることを含むことが意図される。一態様では、医薬組成物は、用いられる用量または濃度において、レシピエントに対して無毒性である。
【0046】
一実施形態では、「有効量」とは、所望の化学的組成、または、所望の生物学的及び/もしくは治療結果を実現するのに十分な、定義された構成成分の量を意味する。一実施形態では、その結果は、所望のpH、または化学的もしくは生物学的特徴、例えば製剤の安定性であることができる。他の実施形態では、所望の結果は、疾患の兆候、症状、もしくは原因の緩和もしくは回復、または、生物学的系の任意の他の所望される変化である。所望の結果が治療上の応答である場合、有効量は、治療または緩和される特定の疾患または症状、年齢、治療される対象の性別及び体重、製剤の投与レジメン、病状の重症度、投与方式などに応じて変化し、これらは全て、当業者によって速やかに決定することができる。所望の効果はまた、必ずしも治療上のものである必要はなく、特に、本明細書に記載する皮膚疾患の治療に対する、美容効果であることもできる。
【0047】
用語「生物学的利用能」とは、体循環に到達する、未変化の薬剤の投与量の割合を意味する。例えば、薬物治療が静脈内投与されるとき、その生物学的利用能は100%である。しかし、薬物治療が他の経路を介して(例えば経口)投与されるとき、その生物学的利用能は一般に、不完全な吸収及び初回通過代謝により低下する。生物学的利用能は、非静脈内経路に対する用量を計算する際に考慮する必要があるため、薬学動態において不可欠なツールの1つである。
【0048】
一実施形態では、「有効量」とは、非限定的に、所望の化学的組成、または、所望の生物学的及び/もしくは治療結果を実現するのに十分な、定義された構成成分の量を意味する。一実施形態では、その結果は、所望のpH、または化学的もしくは生物学的特徴、例えば製剤の安定性であることができる。他の実施形態では、所望の結果は、疾患の兆候、症状、もしくは原因の緩和もしくは回復、または、生物学的系の任意の他の所望される変化である。所望の結果が治療上の応答である場合、有効量は、非限定的に、治療または緩和される特定の疾患または症状、年齢、治療される対象の性別及び体重、製剤の投与レジメン、病状の重症度、投与方式などに応じて変化し、これらは全て、当業者によって速やかに決定することができる。所望の効果はまた、必ずしも治療上のものである必要はなく、特に、本明細書に記載する皮膚疾患の治療に対する、美容効果であることもできる。
【0049】
一実施形態では、診断または治療する「対象」とは、非限定的に、原核細胞または真核細胞、組織培養液、組織または動物、例えば、ヒトを含む哺乳類である。診断または治療に供する、非ヒト動物としては、例えば、非限定的に、サル、マウス、イヌ科動物、ウサギ科動物(例えばウサギ)、家畜、スポーツ動物、及びペットが挙げられる。
【0050】
一実施形態では、本明細書で使用する場合、用語「治療すること」、「治療」などは、非限定的に、所望の薬理学的及び/または生理的効果を得ることを意味するように使用される。効果は、疾患、もしくはその兆候もしくは症状を完全に、もしくは部分的に予防する観点において、予防的であってよい、ならびに/または、疾患もしくは感染症の症状の緩和、もしくは、疾患、及び/もしくは、疾患に寄与する有害反応の部分的もしくは完全な治癒という観点において、治療的であってよい。
【0051】
数値表記、例えば、範囲を含む、pH、温度、時間、濃度、及び分子量は全て、当該技術分野における一般的な慣習に従い、概算として理解されなければならない。本明細書で使用する場合、用語「約」は、文脈により適切にもたらされるように、言及した量の変動、即ち、(+)または(-)1%、5%、または10%を含むことができる。常に明示的に言及されるわけではないものの、本明細書に記載する試薬は単に例示的なものであり、このような等価物は当技術分野において既知であることが理解されるべきである。
【0052】
多くの既知の、及び有用な化合物などは、様々な種類の投与に関する標準的な参考文献である、Remington’s Pharmaceutical Sciences(13th Ed),Mack Publishing Company,Easton,PAに見出すことができる。本明細書で使用する場合、用語「製剤(複数可)」とは、独立して活性または不活性であり得る、賦形剤とも一般的に呼ばれる、少なくとも1つの活性成分の、1つ以上の他の成分との組み合わせを意味する。用語「製剤」とは、ヒトまたは動物への投与のための、薬学的に許容される組成物を意味しても、意味しなくてもよく、貯蔵または調査目的で有用な中間体である組成物を含むことができる。
【0053】
本方法の患者及び対象は、ヒトに加えて、獣医学対象であるため、これらの対象に適切な製剤もまた好適である。このような対象としては、家畜及びペット、加えて、ウマ、グレーハウンドなどのスポーツ動物が挙げられる。
【0054】
本明細書での目的のために、製剤、経皮送達用製剤、及び経皮送達製剤はそれぞれ、個体における症候群または疾患の治療のために活性成分の経皮送達を含む、経皮送達用の製剤である。
【0055】
本発明の実施形態の説明
経皮投与とは、物質を皮膚に塗布し、局所または全身分布のために、物質が体内に吸収されることを意味する。経皮溶液または経皮貼付剤は、通常、皮膚に配置される。溶液または貼付剤は、皮膚の中に放出される薬剤を含む。皮膚の層が溶液を吸収すると、薬剤は、血管を通して血流に吸収される。そこから、物質は体を循環することができる。
【0056】
シクロスポリン(シクロスポリン及びシクロスポリンAとも呼ばれる)は、強力な免疫抑制薬剤である。シクロスポリンは、自己免疫に関連する様々な状態を治療するために、経口で、または注射により摂取されることができる。例えば、シクロスポリンを使用して、関節リウマチ、乾癬、クローン病、ネフローゼ症候群を治療することができ、臓器移植において、拒絶を防止することができる。シクロスポリンは、リンパ球の機能を低下させることで作用すると考えられている。
【0057】
実施形態は、対象にシクロスポリンを投与するための、経皮貼付剤、ローション、またはクリームを含む。シクロスポリンを皮膚に配置し、皮膚を経由して、特定量の剤を標的領域まで送達する。剤は、皮膚を通って、局在化した皮下位置まで、送達することができる。例えば、クリームまたはローションは、乾癬を治療するためのシクロスポリンを含むことができる。ローションは、1つ以上の追加の活性剤もまた含むことができる。
【0058】
薬剤を経皮投与する、明らかな利点が存在する。薬剤は、必要に応じて患部に直接塗布することができる。消費者は、丸薬の用量を消費する予定を立て、覚える必要はない。さらに、経皮投与は、胃または消化管の問題により影響を受けない。皮膚での投与により、薬剤が胃腸管または肝臓で分解することを避けることができる。経皮送達はそれ故、全身性生物学的利用能が限定的であり、半減期が短い分子に対して、特に関心が持たれている。ゆっくり吸収される薬剤が、より効果的である。経皮製剤により、薬剤を、長時間にわたり少量で放出することができる。
【0059】
代替の実施態様では、経皮用、または投薬用接着性貼付剤を使用して剤を投与することができる。剤を放出するために、貼付剤は、剤のリザーバーを覆う多孔質膜を利用することができる。あるいは、剤を、溶解または融解するときに剤を放出する、接着剤の層に埋め込むことができる。
【0060】
他の種類の送達を上回る、経皮薬物送達経路の利点は、製剤が、剤の制御放出をもたらすことができるということである。従来の経皮送達システムは、大型分子及び/または親水性分子である剤及び薬剤と共に使用するには、一般に効果的でない。さらに、ゆっくり、かつ規則的に吸収される剤から、人々は恩恵を得ることができる。経皮製剤により、薬剤を、長時間にわたり少量で放出することができる。
【0061】
他の利点は、投薬に関係している。大用量の剤は、多くの場合において、用量に依存した毒性を引き起こす可能性がある。例えば、シクロスポリンを経口投与することは、腎臓に有害である可能性がある。また、薬剤の中には初回通過代謝を受けるものもあり、これは、薬剤を所望の作用箇所に送達することを妨げる。さらに、多くの親水性または親油性剤は、経口投与において、不十分な溶解または不十分な吸収のいずれかを示す。経皮製剤により、有効濃度の剤を、痛みを伴う送達を行うことなく、所望の部位に適用することができる。
【0062】
経口または静脈注射で投与されると、シクロスポリンは、痙攣、消化性潰瘍、膵炎、発熱、嘔吐、下痢、混乱、呼吸困難、高血圧、カリウム保持(高カリウム血症をもたらす可能性がある)、腎臓及び肝臓機能障害を含む、一定範囲の不必要な副作用を有する可能性がある。経皮投与により、シクロスポリンを、体の特定の領域に標的化することができる。例えば、経皮クリームを、自己免疫または皮膚状態に影響を受ける領域に直接塗布することができる。患者は、経皮クリームを、関節炎の炎症を有する指関節または関節に塗布することができる。同様に、クリームを、皮膚炎、じんましん、角化症、酒さ、または湿疹のある皮膚の領域に適用することができる。
【0063】
経皮送達製剤
一実施形態では、シクロスポリンを含有する経皮送達製剤は、表1の構成成分で構成される:
【0064】
【0065】
一実施形態では、製剤は、表1に記載する1つ以上の構成成分を含む。さらなる実施形態では、製剤は、表1に記載する構成成分のうちの2、3、4、5、6、7、8、9、または10個を含む。一実施形態では、表1の製剤への追加の構成成分として、レシチンを添加する。
【0066】
一実施形態では、レシチンは、経皮製剤の5%~20%の濃度で存在する。さらなる実施形態では、レシチンの濃度は、1%~15%、2.5%~15%、4%~15%、5%~10%、10%~20%、15%~20%、5%~20%、8%~12%、または1%~20%であることができる。一実施形態では、経皮送達製剤中でのレシチンの濃度は、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも28.75%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、またはそれ以上である。一態様では、経皮送達製剤中でのレシチンの濃度は、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、28.75%以下、30%以下、35%以下、40%以下、またはそれ以上である。一実施形態では、経皮送達製剤中でのレシチンの濃度は、約10%、約15%、約20%、約25%、少なくとも28.75%、約30%、約35%、約40%、またはそれ以上である。一態様では、経皮送達製剤中でのレシチンの濃度は、1%~30%、2.5%~20%、4%~15%、5%~10%、10%~40%、15%~35%、20%~30%、25%~30%、28%~29%である。
【0067】
一実施形態では、経皮送達製剤中でのホスファチジルコリンの濃度は、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、またはそれ以上である。
【0068】
一実施形態では、経皮送達製剤中でのパルミチン酸イソプロピルの濃度は、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも28.75%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、またはそれ以上である。
【0069】
一実施形態では、経皮送達製剤中でのベンジルアルコールの濃度は、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、またはそれ以上である。一実施形態では、経皮製剤中でのベンジルアルコールの濃度は、約0.25%、約0.5%、約0.75%、約1%、約2%、約2.5%、約3%、約4%、約5%、またはそれ以上である。別の実施形態では、経皮製剤中でのベンジルアルコールの濃度は、0.25%~5%;0.5%~4%、0.75%~3%、1%~2.5%、または0.5%~2%である。さらなる実施形態では、経皮製剤中でのベンジルアルコールの濃度は、0.25%以下、0.5%以下、0.75%以下、1%以下、2%以下、2.5%以下、3%以下、4%以下、または5%以下である。
【0070】
別の実施形態では、経皮製剤中でのステアリン酸の濃度は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも2.34%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、またはそれ以上である。別の態様では、経皮製剤中でのステアリン酸の濃度は、1%以下、2%以下、2.34%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、10%以下、またはそれ以上である。別の態様では、経皮製剤中でのステアリン酸の濃度は、約1%、約2%、約2.34%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、またはそれ以上である。別の態様では、経皮製剤中でのステアリン酸の濃度は、1%~10%、2%~9%、2%~3%、2.34%~2.5%、3%~8%、4%~7%、5%~6%、0.2%~10%、0.2%~7%、0.2%~5%、0.2%~3%、1%~8%、3%~7%、4%~6%、2%~7%、または1.5%~2.5%である。
【0071】
一実施形態では、経皮送達製剤中での、リノール酸を含む、ベニバナ(Carthamus tinctorius)油の濃度は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも7.5%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも11.06%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、またはそれ以上である。一態様では、経皮送達製剤中でのベニバナ油の濃度は、約1%、約5%、約7.5%、約10%、約11%、約11.06%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、またはそれ以上である。一実施形態では、経皮送達製剤中でのベニバナ油の濃度は、1%~20%、1%~10%、1%~15%、2%~10% 5~10%、1%~7%、1%~5%、2%~4%、5%~19%、7.5%~18%、10%~17%、11%~16%、11.06%~12%、11%~12%、12%~14%、13%~14%、10%~12%、10.5%~12.5%、または11%~11.25%である。一実施形態では、経皮送達製剤中でのベニバナ油の濃度は、1%以下、5%以下、7.5%以下、10%以下、11%以下、11.06%以下、12%以下、13%以下、14%以下、15%以下、16%以下、17%以下、18%以下、19%以下、20%以下、25%以下、またはそれ以上である。
【0072】
さらなる実施形態では、経皮送達製剤中でのオレイン酸の濃度は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも3.65%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、またはそれ以上である。さらなる実施形態では、経皮送達製剤中でのオレイン酸の濃度は、約1%、約2%、約3%、約3.5%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、またはそれ以上である。さらなる態様では、経皮送達製剤中でのオレイン酸の濃度は、1%以下、2%以下、3%以下、3.5%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、10%以下、またはそれ以上である。別の実施形態では、経皮製剤中でのオレイン酸の濃度は、1%~10%、2%~9%、2%~3%、3%~4%、3%~8%、4%~7%、5%~6%、2~2.5%、0.2%~10%、0.2%~7.5%、0.2%~5%、1%~7.5%、2~5%、3%~5%、または2.5%~4%である。
【0073】
一実施形態では、ポリグリセリル-4ラウレートの濃度は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、または0.5%~5%である。
【0074】
一実施形態では、経皮製剤中での脱イオン水の濃度は、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75、またはそれ以上である。一実施形態では、経皮製剤中での脱イオン水の濃度は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約65%、約70%、約75%、またはそれ以上である。一実施形態では、経皮製剤中での脱イオン水の濃度は、0.1%~5%、0.2%~4%、0.3%~3%、0.4%~2%、0.5%~1%、0.6%~0.9%、0.7%~0.8%、0.4%~1.5%、0.3%~0.7%、1%~50%、10%~40%、10%~45%、10%~30%、10%~20%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~30z% 5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、または0.4%~0.6%である。一実施形態では、経皮製剤中での脱イオン水の濃度は、0.1%以下、0.2%以下、0.3%以下、0.4%以下、0.5%以下、0.6%以下、0.7%以下、0.8%以下、0.9%以下、1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、10%以下、11%以下、12%以下、13%以下、14%以下、15%以下、16%以下、17%以下、18%以下、19%以下、20%以下、21%以下、21%以下、22%以下、23%以下、24%以下、25%以下、26%以下、27%以下、28%以下、29%以下、30%以下、31%以下、32%以下、33%以下、34%以下、35%以下、36%以下、37%以下、38%以下、39%以下、40%以下、41%以下、42%以下、43%以下、44%以下、45%以下、46%以下、47%以下、48%以下、49%以下、50%以下、51%以下、52%以下、53%以下、54%以下、55%以下、56%以下、57%以下、58%以下、59%以下、60%以下、65%以下、70%以下、75%以下、またはそれ以上である。
【0075】
プルロニックゲルは、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、またはそれ以上の濃度を有することができる。
【0076】
一実施形態では、経皮送達製剤中でのシクロスポリンの濃度は、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも3.5%、少なくとも4%、少なくとも4.5%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも10%、またはそれ以上である。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、0.5%以下、0.75%以下、1%以下、1.5%以下、2%以下、2.5%以下、3%以下、3.5%以下、4%以下、4.5%以下、5%以下、5.5%以下、6%以下、6.5%以下、7%以下、7.5%以下、8%以下、8.5%以下、9%以下、9.5%以下、10%以下である。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、約0.5%、約0.75%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、約10%である。
【0077】
一実施形態では、経皮製剤中でのシクロスポリンの濃度は、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg、105mg/kg、110mg/kg、115mg/kg、120mg/kg、125mg/kg、130mg/kg、135mg/kg、140mg/kg、145mg/kg、150mg/kg、155mg/kg、160mg/kg、165mg/kg、170mg/kg、175mg/kg、180mg/kg、185mg/kg、190mg/kg、195mg/kg、200mg/kg、205mg/kg、210mg/kg、215mg/kg、220mg/kg、225mg/kg、230mg/kg、235mg/kg、240mg/kg、245mg/kg、250mg/kg、275mg/kg、300mg/kg、325mg/kg、350mg/kg、375mg/kg、400mg/kg、425mg/kg、450mg/kg、475mg/kg、または500mg/kg超である。
【0078】
一実施形態では、経皮製剤中でのシクロスポリンの濃度は、0.1%~10%、0.5%~8%、1%~7%、1.5%~6%、2%~5%、2.5%~4%、2%~4%、1.5%~4%、1.5%~5%、2%~6%、2%~3%、2.25%~2.75%、または2.4%~2.6%である。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも3.5%、少なくとも4%、少なくとも4.5%、少なくとも5%、少なくとも5.5%、少なくとも6%、少なくとも6.5%、少なくとも7%、少なくとも7.5%、少なくとも8%、少なくとも8.5%、少なくとも9%、少なくとも9.5%、少なくとも10%である。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、0.5%以下、0.75%以下、1%以下、1.5%以下、2%以下、2.5%以下、3%以下、3.5%以下、4%以下、4.5%以下、5%以下、5.5%以下、6%以下、6.5%以下、7%以下、7.5%以下、8%以下、8.5%以下、9%以下、9.5%以下、10%以下である。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、約0.5%、約0.75%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、約10%である。
【0079】
一実施形態では、経皮製剤中でのシクロスポリンの濃度は、少なくとも10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg、105mg/kg、110mg/kg、115mg/kg、120mg/kg、125mg/kg、130mg/kg、135mg/kg、140mg/kg、145mg/kg、150mg/kg、155mg/kg、160mg/kg、165mg/kg、170mg/kg、175mg/kg、180mg/kg、185mg/kg、190mg/kg、195mg/kg、200mg/kg、205mg/kg、210mg/kg、215mg/kg、220mg/kg、225mg/kg、230mg/kg、235mg/kg、240mg/kg、245mg/kg、250mg/kg、275mg/kg、300mg/kg、325mg/kg、350mg/kg、375mg/kg、400mg/kg、425mg/kg、450mg/kg、475mg/kg、または500mg/kg超である。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、少なくとも0.5mg/kg、少なくとも0.75mg/kg、少なくとも1mg/kg、少なくとも1.5mg/kg、少なくとも2mg/kg、少なくとも2.5mg/kg、少なくとも3mg/kg、少なくとも3.5mg/kg、少なくとも4mg/kg、少なくとも4.5mg/kg、少なくとも5mg/kg、少なくとも5.5mg/kg、少なくとも6mg/kg、少なくとも6.5mg/kg、少なくとも7mg/kg、少なくとも7.5mg/kg、少なくとも8mg/kg、少なくとも8.5mg/kg、少なくとも9mg/kg、少なくとも9.5mg/kg、少なくとも10mg/kgである。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、0.5mg/kg以下、0.75mg/kg以下、1mg/kg以下、1.5mg/kg以下、2mg/kg以下、2.5mg/kg以下、3mg/kg以下、3.5mg/kg以下、4mg/kg以下、4.5mg/kg以下、5mg/kg以下、5.5mg/kg以下、6mg/kg以下、6.5mg/kg以下、7mg/kg以下、7.5mg/kg以下、8mg/kg以下、8.5mg/kg以下、9mg/kg以下、9.5mg/kg以下、10mg/kg以下である。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、約0.5mg/kg、約0.75mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約6.5mg/kg、約7mg/kg、約7.5mg/kg、約8mg/kg、約8.5mg/kg、約9mg/kg、約9.5mg/kg、約10mg/kgである。
【0080】
一実施形態では、経皮製剤中でのシクロスポリンの濃度は、約10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg、105mg/kg、110mg/kg、115mg/kg、120mg/kg、125mg/kg、130mg/kg、135mg/kg、140mg/kg、145mg/kg、150mg/kg、155mg/kg、160mg/kg、165mg/kg、170mg/kg、175mg/kg、180mg/kg、185mg/kg、190mg/kg、195mg/kg、200mg/kg、205mg/kg、210mg/kg、215mg/kg、220mg/kg、225mg/kg、230mg/kg、235mg/kg、240mg/kg、245mg/kg、250mg/kg、275mg/kg、300mg/kg、325mg/kg、350mg/kg、375mg/kg、400mg/kg、425mg/kg、450mg/kg、475mg/kg、または500mg/kg超である。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、少なくとも0.5mg/kg、少なくとも0.75mg/kg、少なくとも1mg/kg、少なくとも1.5mg/kg、少なくとも2mg/kg、少なくとも2.5mg/kg、少なくとも3mg/kg、少なくとも3.5mg/kg、少なくとも4mg/kg、少なくとも4.5mg/kg、少なくとも5mg/kg、少なくとも5.5mg/kg、少なくとも6mg/kg、少なくとも6.5mg/kg、少なくとも7mg/kg、少なくとも7.5mg/kg、少なくとも8mg/kg、少なくとも8.5mg/kg、少なくとも9mg/kg、少なくとも9.5mg/kg、少なくとも10mg/kgである。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、0.5mg/kg以下、0.75mg/kg以下、1mg/kg以下、1.5mg/kg以下、2mg/kg以下、2.5mg/kg以下、3mg/kg以下、3.5mg/kg以下、4mg/kg以下、4.5mg/kg以下、5mg/kg以下、5.5mg/kg以下、6mg/kg以下、6.5mg/kg以下、7mg/kg以下、7.5mg/kg以下、8mg/kg以下、8.5mg/kg以下、9mg/kg以下、9.5mg/kg以下、10mg/kg以下である。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、約0.5mg/kg、約0.75mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約6.5mg/kg、約7mg/kg、約7.5mg/kg、約8mg/kg、約8.5mg/kg、約9mg/kg、約9.5mg/kg、約10mg/kgである。
【0081】
一実施形態では、経皮製剤中でのシクロスポリンの濃度は、10mg/kg以下、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg、105mg/kg、110mg/kg、115mg/kg、120mg/kg、125mg/kg、130mg/kg、135mg/kg、140mg/kg、145mg/kg、150mg/kg、155mg/kg、160mg/kg、165mg/kg、170mg/kg、175mg/kg、180mg/kg、185mg/kg、190mg/kg、195mg/kg、200mg/kg、205mg/kg、210mg/kg、215mg/kg、220mg/kg、225mg/kg、230mg/kg、235mg/kg、240mg/kg、245mg/kg、250mg/kg、275mg/kg、300mg/kg、325mg/kg、350mg/kg、375mg/kg、400mg/kg、425mg/kg、450mg/kg、475mg/kg、または500mg/kg超である。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、少なくとも0.5mg/kg、少なくとも0.75mg/kg、少なくとも1mg/kg、少なくとも1.5mg/kg、少なくとも2mg/kg、少なくとも2.5mg/kg、少なくとも3mg/kg、少なくとも3.5mg/kg、少なくとも4mg/kg、少なくとも4.5mg/kg、少なくとも5mg/kg、少なくとも5.5mg/kg、少なくとも6mg/kg、少なくとも6.5mg/kg、少なくとも7mg/kg、少なくとも7.5mg/kg、少なくとも8mg/kg、少なくとも8.5mg/kg、少なくとも9mg/kg、少なくとも9.5mg/kg、少なくとも10mg/kgである。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、0.5mg/kg以下、0.75mg/kg以下、1mg/kg以下、1.5mg/kg以下、2mg/kg以下、2.5mg/kg以下、3mg/kg以下、3.5mg/kg以下、4mg/kg以下、4.5mg/kg以下、5mg/kg以下、5.5mg/kg以下、6mg/kg以下、6.5mg/kg以下、7mg/kg以下、7.5mg/kg以下、8mg/kg以下、8.5mg/kg以下、9mg/kg以下、9.5mg/kg以下、10mg/kg以下である。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、約0.5mg/kg、約0.75mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約6.5mg/kg、約7mg/kg、約7.5mg/kg、約8mg/kg、約8.5mg/kg、約9mg/kg、約9.5mg/kg、約10mg/kgである。
【0082】
特定の実施形態では、シクロスポリンは、用量が、少なくとも約0.1nmol/hr/kg、少なくとも約0.5nmol/hr/kg、少なくとも約0.7nmol/hr/kg、少なくとも約1.0nmol/hr/kg、少なくとも約1.1nmol/hr/kg、少なくとも約1.2nmol/hr/kg、少なくとも約1.3nmol/hr/kg、少なくとも約1.4nmol/hr/kg、少なくとも約1.5nmol/hr/kg、少なくとも約1.6nmol/hr/kg、少なくとも約1.7nmol/hr/kg、少なくとも約1.8nmol/hr/kg、少なくとも約1.9nmol/hr/kg、少なくとも約2.0nmol/hr/kg、少なくとも約2.5nmol/hr/kg、少なくとも約3.0nmol/hr/kg、少なくとも約3.5nmol/hr/kg、少なくとも約4.0nmol/hr/kg、少なくとも約5nmol/hr/kg、少なくとも約10nmol/hr/kg、少なくとも約25nmol/hr/kg、少なくとも約50nmol/hr/kg、少なくとも約100nmol/hr/kg、少なくとも約500nmol/hr/kg、または、少なくとも約1μmol/hr/kgの対象取り込みをもたらすように局所または経皮投与される。
【0083】
特定の実施形態では、シクロスポリンは、用量が、約1μg/mL~50μg/mL、約5μg/mL~約45μg/mL、約5μg/mL~約40μg/mL、約5μg/mL~約35μg/mL、約5μg/mL~約30μg/mL、約5μg/mL~約25μg/mL、約1μg/mL~約45μg/mL、約1μg/mL~約40μg/mL、約1μg/mL~約35μg/mL、約1μg/mL~約30μg/mL、約1μg/mL~約25μg/mL、約1μg/mL~約20μg/ml、約1μg/mL~約15μg/mL、約1μg/mL~約10μg/mL、約1μg/mL~約9μg/mL、約1μg/mL~約8μg/mL、約1μg/mL~約7μg/mL、約1μg/mL~約6μg/mL、及び約1μg/mL~約5μg/mLの範囲の、シクロスポリンのピーク血漿濃度をもたらすように局所または経皮投与される。
【0084】
特定の実施形態では、シクロスポリンは局所または経皮投与され、プラズマシクロスポリン濃度が、約1ng/mL~5ng/mL、約1ng/mL~10ng/mL、約5ng/mL~10ng/mL、約5ng/mL~20ng/mL、約10ng/mL~20ng/mL、約20ng/mL~40ng/mL、約10ng/mL~50ng/mL、約20ng/mL~80ng/mL、約1ng/mL~500μg/mL、約10ng/mL~500μg/mL、約100ng/mL~500μg/mL、約1μg/mL~500μg/mL、約10μg/mL~500μg/mL、約25μg/mL~500μg/mL、約25μg/mL~約450μg/mL、約25μg/mL~約400μg/mL、約25μg/mL~約350μg/mL、約25μg/mL~約300μg/mL、または約25μg/mL~約250μg/mLの範囲となる。
【0085】
さらなる実施形態では、シクロスポリンは局所または経皮投与され、血漿濃度は、少なくとも1ng/mL、少なくとも5ng/mL、少なくとも10ng/mL、少なくとも15ng/mL、少なくとも20ng/mL、少なくとも25ng/mL、少なくとも50ng/mL、少なくとも100ng/mL、少なくとも250ng/mL、少なくとも0.5μg/mL、少なくとも0.75μg/mL、少なくとも1μg/mL、少なくとも2μg/mL、少なくとも3μg/mL、少なくとも4μg/mL、少なくとも5μg/mL、少なくとも6μg/mL、少なくとも7μg/mL、少なくとも8μg/mL、少なくとも9μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも20μg/mL、少なくとも25μg/mL、少なくとも30μg/mL、少なくとも35μg/mL、少なくとも40μg/mL、少なくとも45μg/mL、少なくとも50μg/mL、少なくとも55μg/mL、少なくとも60μg/mL、少なくとも65μg/mL、少なくとも70μg/mL、少なくとも75μg/mL、少なくとも80μg/mL、少なくとも85μg/mL、少なくとも90μg/mL、少なくとも95μg/mL、少なくとも100μg/mL、または100μg/mL超となる。
【0086】
本開示は、レシチン有機ゲルを使用することでもたらされる、色、香り、気骨、及び安定性に多くの負の影響を及ぼすことなく、剤を経皮送達することを示す。さらに、本明細書に記載する方法は、経皮浸透を改善する。
【0087】
一実施形態では、経皮送達製剤は、経皮送達製剤の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、またはそれ以上のw/wの濃度でホスファチドを含有する。
【0088】
ホスファチド-大豆レシチンは、約57.5%w/wのホスファチドを含有する。大豆レシチンで見出される主なホスファチドは、イノシトールホスファチド(20.5%の大豆レシチン)、ホスファチジルコリン(20%)、及びホスファチジルエタノールアミン(11%w/wの大豆レシチン)である。いくつかの実施形態では、皮膚浸透を補助することが知られているため、ホスファチジルコリンを全量に対して使用する(57.5%w/wの大豆レシチン)。他のホスファチドとしては、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、及びホスファチジルイノシトールが挙げられる。
【0089】
一実施形態では、経皮送達製剤は、経皮送達製剤の少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、またはそれ以上のw/wの濃度で、ステロールまたはベンジルアルコールを含有する。
【0090】
ステロール-大豆レシチンは、約2.5%w/wのステロールを含有する。いくつかの実施形態では、ベンジルアルコールを、経皮送達製剤でのステロールの代わりに使用して、透過促進剤として作用させる。別の実施形態では、ステロールは、コレステロール、エルゴステロール、ホパノイド、ヒドロキシステロイド、フィトステロール、及び/または他のステロイドである。
【0091】
一実施形態では、経皮送達製剤は、経皮送達製剤の少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、またはそれ以上のw/wの濃度で炭水化物を含有する。
【0092】
炭水化物-大豆レシチンは、約5%w/wの遊離炭水化物を含有する。いくつかの実施形態では、グルコースを、遊離炭水化物の代わりに使用して、本明細書で開示する経皮送達製剤中での糖類の比率を維持する。別の実施形態では、炭水化物は、単糖、二糖、ポリオール、マルトオリゴ糖、オリゴ糖、デンプン、多糖である。さらなる実施形態では、炭水化物は、グルコース、ガラクトース、フルクトース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ソルビトール、マンニトール、マルトデキストリン、ラフィノース、スタキオース、フルクトオリゴ糖、アミロース、アミロペクチン、修飾デンプン、グリコーゲン、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、及び/またはヒドロコロイドである。
【0093】
湿気-いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、大豆レシチン中に約1%w/wの水を保持する。
【0094】
一実施形態では、経皮送達製剤は、経皮送達製剤の少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、またはそれ以上のw/wの濃度で水を含有する。
【0095】
脂肪酸-大豆レシチンは、18~19%w/wのリノール酸、1~2%w/wのα-リノール酸、8~9%w/wのオレイン酸、約5%w/wのパルミチン酸、及び1~2%w/wのステアリン酸を含む、約34%w/wの脂肪酸を含有する。いくつかの実施形態では、脂肪酸は、大豆レシチンに含有される脂肪酸に類似する。一実施形態では、α-リノレン酸は、酸化することが知られており、酸敗臭となる可能性が知られているため、経皮送達製剤から取り除かれる。いくつかの実施形態では、ステアリン酸の量が増加している(即ち、製剤の安定性を向上させる)か、または、リノール酸の量が増加している(即ち、皮膚浸透を向上させる)。いくつかの実施形態では、大豆レシチン中で見出される、脂肪酸との類似性、その相対的な入手可能性、及びその低コストにより、精製ベニバナ油などの種子油を経皮送達製剤で使用する。いくつかの実施形態において、経皮製剤の脂肪酸含有量は、本明細書に開示される少量の脂肪酸の添加を介して、異なる種子油で調整することができる。
【0096】
さらなる実施形態では、脂肪酸は飽和または不飽和脂肪酸である。別の実施形態では、不飽和脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、及び/またはドコサヘキサエン酸である。一実施形態では、飽和脂肪酸は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、及び/またはセロチン酸である。別の実施形態では、脂肪酸は食事脂肪であり、管脂肪(duct fat)、ラード、タロー、バター、ココナッツ油、カカオバター、パーム核油、パーム油、綿実油、小麦粉芽油、大豆油、オリーブ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、大麻油、及び/またはキャノーラ/小麦粉芽油が挙げられる。
【0097】
いくつかの実施形態では、カロテノイドは、開示する製剤から除外される。本明細書では、レシチン有機ゲル(即ち、レシチン、及び、パルミチン酸イソプロピルなどの溶媒)の置き換えについて示す製剤について記載する。
【0098】
一実施形態では、経皮送達製剤中でのホスファチジルコリンの濃度は、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも28.75%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、またはそれ以上である。一実施形態では、経皮送達製剤中でのホスファチジルコリンの濃度は、0.1%以下、0.2%以下、0.3%以下、0.4%以下、0.5%以下、0.6%以下、0.7%以下、0.8%以下、0.9%以下、1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、28.75%以下、30%以下、35%以下、40%以下、またはそれ以上である。一態様では、経皮送達製剤中でのホスファチジルコリンの濃度は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約28.75%、約30%、約35%、約40%、またはそれ以上である。一実施形態では、経皮送達製剤中でのホスファチジルコリンの濃度は、10%~40%、15%~35%、20%~30%、25%~30%、28%~29%である。
【0099】
別の実施形態では、経皮送達製剤中での炭水化物の濃度は、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17、18%、少なくとも19%、少なくとも20%、またはそれ以上である。別の態様では、経皮送達製剤中での炭水化物の濃度は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約2.5%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、またはそれ以上である。別の実施形態では、経皮送達製剤中での炭水化物の濃度は、0.1%以下、0.2%以下、0.3%以下、0.4%以下、0.5%以下、0.6%以下、0.7%以下、0.8%以下、0.9%以下、1%以下、2%以下、2.5%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、10%以下、11%以下、12%以下、13%以下、14%以下、15%以下、16%以下、17%以下、18%以下、19%以下、20%以下、またはそれ以上である。別の態様では、経皮送達製剤中での炭水化物の濃度は、1%~10%、2%~9%、2.5%~5%、2%~3%、3%~8%、4%~7%、5%~6%、2%~4%、1.5%~3.5、0.1 %~3%、0.5%~5%、0.5%~3%、0.5%~2%、0.5%~7%である。
【0100】
一態様では、経皮送達製剤中でのベニバナ油の濃度は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも7.5%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも11.06%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、またはそれ以上である。一態様では、経皮送達製剤中でのベニバナ油の濃度は、約1%、約5%、約7.5%、約10%、約11%、約11.06%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、またはそれ以上である。一態様では、経皮送達製剤中でのベニバナ油の濃度は、1%~20%、5%~19%、7.5%~18%、10%~17%、11%~16%、11.06%、12%、11%~12%、12%~14%、13%~14%、10%~12%、10.5%~12.5%、または11%~11.25%である。一態様では、経皮送達製剤中でのベニバナ油の濃度は、1%以下、5%以下、7.5%以下、10%以下、11%以下、11.06%以下、12%以下、13%以下、14%以下、15%以下、16%以下、17%以下、18%以下、19%以下、または20%以下である。
【0101】
一態様では、経皮製剤中でのパルミチン酸イソプロピルの濃度は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、またはそれ以上である。一態様では、経皮製剤中でのパルミチン酸イソプロピルの濃度は、約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、またはそれ以上である。一態様では、経皮製剤中でのパルミチン酸イソプロピルの濃度は、10%以下、20%以下、25%以下、30%以下、40%以下、45%以下、50%以下、55%以下、60%以下、65%以下、70%以下、75%以下、またはそれ以上である。一態様では、経皮製剤中でのパルミチン酸イソプロピルの濃度は、10%~75%、20%~70%、25%~65%、30%~60%、40%~55%、45%~50%、40%~60%、45%~55%、または47%~53%である。
【0102】
本明細書で提供する経皮送達製剤の特定の構成成分または成分は、それら全体が全て参照により組み込まれている、米国出願第16/132,358号(2018年9月14日出願)、発明の名称「Methods and Formulations For Transdermal Administration Of Buffering Agents」、国際特許出願第PCT/US18/51250号(2018年9月14日出願)、発明の名称「Methods of Administration and Treatment」、及び、Bruce Sandによる同第PCT/US18/28017号(2018年4月17日出願)、発明の名称「Parental non-systemic administration of buffering agents for inhibiting metastasis of solid tumors, hyperpigmentation and gout」を含む、上述した、本発明者の関連する出願により詳細に記載されている構成成分を補充することができる。
【0103】
経皮送達製剤は混合物を含み、構成成分は相乗的に相互作用して、個々の構成成分により誘発されるよりも良好な皮膚浸透向上を誘発する。化学物質間での相乗作用を利用して、単一の促進剤における有効性の制限を克服する、強力な浸透促進剤を設計することができる。本明細書で開示するいくつかの実施形態は、1つ以上の異なる浸透促進剤を利用することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、シクロスポリンに、Aveeno(登録商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローション;Jergens(登録商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローション;Honest Company(登録商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローション;Dermologica(登録商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローション;または、St.Ives(商標)保湿剤、クリーム、オイル、ローションを配合する。
【0105】
経皮送達製剤は、多成分混合物であり、特定の濃度の浸透促進剤が、部分的には、シクロスポリン構成成分の粒径により知らされる。製剤により、シクロスポリン構成成分が、局所投与の数分以内に、標的部位まで生物学的に利用可能となることができる。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の5%w/w未満の量でアルコールを含む。
【0106】
局所投与、及び特に、経皮投与のために、経皮送達製剤は、特に、座薬または経鼻投与による投与、加えてまた、経皮投与に対する場合におけるように、真皮において、及び/または、細胞膜を含む膜において、浸透を促進する、化学的浸透剤(CPE)、及びペプチドベースの細胞浸透剤(CPP)のいずれかまたは両方を含む浸透剤を含む。いくつかの実施形態では、好適な浸透剤としては、上で参照したUS2009/0053290(’290)、W02014/209910(’910)、及びWO2017/127834で記載したものが挙げられる。浸透剤を含む経皮送達製剤に加えて、皮膚表面を機械的に破壊して浸透を促進することにより、または単に、閉塞性貼付剤の下で皮膚に適用された製剤を供給することにより、経皮送達を行うことができる。
【0107】
あるいは、経皮送達製剤は、完了構成成分、加えて、粘度及び粘弾性を付与するのに十分な、1つ以上の電解質、1つ以上の界面活性剤、ならびにアルコールを含む。完了構成成分は極性液体、無極性の液体、または両親媒性物質であることができる。浸透剤は、チオール結合を還元し、水素結合を破壊し、及び/もしくは、ケラチン細胞溶解を行うのに効果的な、ケラチン分解剤、ならびに/または、細胞浸透ペプチド(場合によっては、皮膚浸透ペプチドとも呼ばれる)及び/もしくは浸透促進剤をさらに含むことができる。
【0108】
好適なゲル化構成成分としては、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸エチル、ミリスチン酸エチル、及びミリスチン酸イソプロピルもまた挙げられる。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、経皮送達製剤の1%w/w未満、2%w/w未満、3%w/w未満、4%w/w未満、5%w/w未満、6%w/w未満、7%w/w未満、8%w/w未満、9%w/w未満、10%w/w未満、11%w/w未満、12%w/w未満、13%w/w未満、14%w/w未満、15%w/w未満、16%w/w未満、17%w/w未満、18%w/w未満、19%w/w未満、20%w/w未満、25%w/w未満の量でゲル化剤を含む。特定の炭化水素、例えばシクロペンタン、シクロオクタン、trans-デカリン、trans-ピナン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘキサデカンもまた、使用することができる。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の1%w/w未満、2%w/w未満、3%w/w未満、4%w/w未満、5%w/w未満、6%w/w未満、7%w/w未満、8%w/w未満、9%w/w未満、10%w/w未満、11%w/w未満、12%w/w未満、13%w/w未満、14%w/w未満、15%w/w未満、16%w/w未満、17%w/w未満、18%w/w未満、19%w/w未満、20%w/w未満、25%w/w未満の量で、キサンタンガム、スクレロチウムガム、プルラン、またはこれらの組み合わせの混合物を含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、約1~5%w/w、もしくは5~15%w/wの量でSiligel(商標)を、または、キサンタンガム、スクレロチウムガム、及びプルランの当量混合物を含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の1%w/w未満、2%w/w未満、3%w/w未満、4%w/w未満、5%w/w未満、6%w/w未満、7%w/w未満、8%w/w未満、9%w/w未満、10%w/w未満、11%w/w未満、12%w/w未満、13%w/w未満、14%w/w未満、15%w/w未満、16%w/w未満、17%w/w未満、18%w/w未満、19%w/w未満、20%w/w未満、25%w/w未満の量で、カプリル酸トリグリセリド、中鎖トリグリセリド(MST)、及びカプリン酸トリグリセリドの混合物を含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、約0.5~10%w/w、もしくは1%w/w未満、2%w/w未満、3%w/w未満、4%w/w未満、5%w/w未満、6%w/w未満、7%w/w未満、8%w/w未満、9%w/w未満、10%w/w未満、11%w/w未満、12%w/w未満、13%w/w未満、14%w/w未満、15%w/w未満、16%w/w未満、17%w/w未満、18%w/w未満、19%w/w未満、20%w/w未満、25%w/w未満の量でMyritol(登録商標)312を、または、カプリル酸トリグリセリド、MCT、及びカプリン酸トリグリセリドの当量混合物含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の約10~90%、もしくは10~50%w/w、または、少なくとも10%w/w、少なくとも20%w/w、少なくとも30%w/w、少なくとも40%w/w、少なくとも50%w/w、少なくとも60%w/w、少なくとも70%w/w、少なくとも80%w/w、少なくとも90%w/w、もしくは少なくとも95%w/wの量でホスファチジルコリンを含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の7%w/w未満、8%w/w未満、9%w/w未満、10%w/w未満、11%w/w未満、12%w/w未満、13%w/w未満、14%w/w未満、15%w/w未満、16%w/w未満、17%w/w未満、または18%w/w未満の量でホスファチジルコリンを含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の20%w/w未満、30%w/w未満、40%w/w未満、または50%w/w未満の量でリン脂質を含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の2%w/w未満、3%w/w未満、4%w/w未満、5%w/w、6%w/w、7%w/w、または8%w/wの量で、トリデカンとウンデカンの混合物を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約2%w/w未満、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、もしくは10%w/wの量でCetiol Ultimate(登録商標)を、または、トリデカンとウンデカンの当量混合物を含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の2%w/w未満、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、または10%w/wの量でセチルアルコールを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約2%w/w未満、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、または10%w/wの量でベンジルアルコールを含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の2%w/w未満、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、または10%w/wの量でステアリン酸を含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の30%w/w未満の量、または12%w/w未満の量で、ホスファチジルコリン、水素添加ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、1つ以上のホスファチド、1つ以上のイノシトールホスファチド、またはこれらの組み合わせを含む。
【0110】
本開示の経皮送達製剤中での追加の構成成分は、アルコールである。ベンジルアルコール及び/またはエタノールは、実施例に記載されている。具体的には、ベンゼン環に置換、例えばハロ、アルキルなどを含有するベンジルアルコールの誘導体。最終組成物中でのベンジルまたは他の関連アルコールの重量パーセントは、0.5~20%w/wであり、再び、間のパーセント、例えば、1%w/w、2%w/w、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、または10%w/w、及び他の中間の重量パーセントが含まれる。経皮送達製剤中に存在する、ベンジルアルコールなどの芳香族基により、分子は極性末端(アルコール末端)、及び無極性末端(ベンゼン末端)を有する。これにより、剤が、より多種多様な経皮送達製剤構成成分に溶解することができるようになる。
【0111】
いくつかの実施形態では、上述のとおり、非イオン性洗剤及び極性ゲル化剤を含めるか、または、粉末界面活性剤を含めることにより、経皮送達製剤の性能がさらに改善される。組成物の水性形態及び無水形態の両方において、洗剤、典型的に非イオン性洗剤を添加する。一般に、非イオン性洗剤は、経皮送達製剤の約1%w/w~30%w/wの量で存在しなければならない。典型的には、経皮送達製剤に、洗剤を含有する極性または水溶液が補充される組成物において、洗剤の量は比較的少量、例えば、経皮送達製剤の2~25%w/w、または5~15%w/w、または7~12%w/wである。しかし、実質的に無水であり、粉末洗剤が補充された組成物においては、比較的高いパーセント、例えば、20~60%w/wが通常使用される。
【0112】
いくつかの実施形態では、経皮送達製剤はさらに、経皮送達製剤の約1~70%w/wまたは1~60%w/wの量で洗剤部分を含む。いくつかの実施形態では、非イオン性洗剤は、安定した取扱い性を提供し、製剤は、室温でゲル様またはクリームである。本効果を発揮するために、洗剤、典型的にはポロキサマーは、経皮送達製剤の約2~12%w/w、好ましくは、極性製剤中に約5~25%w/wの量で存在する。組成物の無水形態において、洗剤を、粉末または微紛化形態に添加して、組成を100%にし、より多量を使用する。極性成分を含む組成物においては、胆汁塩ではなく、非イオン性洗剤を溶液として添加し、組成を100%にする。残存構成成分の量が多い故に、より少量の洗剤溶液が必要となるのであれば、より濃縮した、非イオン性洗剤の溶液を用いる。したがって、例えば、溶液中の洗剤のパーセントは、他の構成成分のパーセントに応じて、10%~40%、または20%、または30%、及び中間値であることができる。
【0113】
好適な非イオン性洗剤としては、非イオン性界面活性剤Pluronic(登録商標)などのポロキサマー、ならびに、親水性部分及び疎水性部分の組み合わせを特徴とする、任意の他の界面活性剤が挙げられる。ポロキサマーは、ポリエチレンオキシドの2つの親水性鎖が隣接したポリオキシプロピレンの中心疎水性鎖の、三元ブロックコポリマーである。他の非イオン性界面活性剤としては、長鎖アルコール、ならびに、親水性部分及び疎水性部分のブロックが使用される、親水性モノマーと疎水性モノマーのコポリマーが挙げられる。
【0114】
いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、極性溶媒と共に、界面活性剤、典型的には、経皮送達製剤の2~25%w/wで非イオン性界面活性剤もまた含有し、極性溶媒は、少なくとも非イオン性界面活性剤に対してモル過剰の量で存在する。これらの実施形態では、典型的には、組成物は、十分な量の極性溶液、典型的には、それ自身が10~40%の界面活性剤、典型的には非イオン性界面活性剤を含有する水溶液またはポリエチレングリコール溶液に加えて、上で言及した量の経皮送達製剤及びベンジルアルコールを含み、組成を100%にする。
【0115】
界面活性剤の他の例としては、HallStar Companyにより販売されているHCO-60界面活性剤などの、ポリオキシエチル化ヒマシ油誘導体;ノノキシノール;オクトキシノール;フェニルスルホネート;Pluronic(登録商標)F68、Pluronic(登録商標)Fl27、及びPluronic(登録商標)L62などの、BASFに販売されているものといったポロキサマー;ポリオレエート;Rewopal(登録商標)HVIO、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム);オレイン酸ナトリウム;ジラウリル酸ソルビタン;ジオレイン酸ソルビタン;Sigma-Aldrichにより販売されているSpan(登録商標)20などのモノラウリル酸ソルビタン;モノオレイン酸ソルビタン、トリラウリン酸ソルビタン;トリオレイン酸ソルビタン;Sigma-Aldrichにより販売されているSpan(登録商標)40などのモノパルミチン酸ソルビタン;Sigma-Aldrichにより販売されているSpan(登録商標)85などのステアリン酸ソルビタン;Sigma-Aldrichにより販売されているSynperonic(登録商標)NPなどの、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル;Sigma-Aldrichにより販売されているTriton(商標)X-100として販売されている、p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニルエーテル、ならびに、Sigma-Aldrichによる、Tween(登録商標)20として販売されているポリオキシエチレン(20)モノラウリル酸ソルビタンなどのポリソルベート、Tween(登録商標)40として販売されているポリソルベート40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween(登録商標)60として販売されているポリソルベート60(ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン)、Tween(登録商標)80として販売されているポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、及び、Tween(登録商標)85として販売されているポリオキシエチレンソルビタントリオレエートが挙げられる。非イオン性界面活性剤の重量パーセント範囲は、3%w/w~15%w/wの範囲であり、再び、5%w/w、7%w/w、10%w/w、12%w/wなどの中間体パーセントを含む。いくつかの実施形態では、洗剤部分は、製剤の約1~30%w/wの量で非イオン性界面活性剤を、及び、製剤の5%w/w未満の量で極性溶媒を含む。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤はポロキサマーであり、極性溶媒は水、アルコール、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、洗剤部分は、ポロキサマー、プロピレングリコール、グリセリン、エタノール、50%w/v水酸化ナトリウム溶液、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、洗剤部分は、製剤の3%w/w未満の量でグリセリンを含む。
【0116】
極性ゲル化剤、例えば水、グリセロール、エチレングリコール、またはホルムアミドの存在下において、ミセル構造もまた、多くの場合実現される。典型的には、極性剤は、非イオン性洗剤に対してモル過剰である。非イオン性洗剤/極性ゲル化剤の組み合わせを含めることにより、より粘稠かつクリーム様またはゲル様の製剤がもたらされ、これは、皮膚に直接塗布するのに好適である。これは、組成物の水性形態に特有である。
【0117】
いくつかの実施形態では、ゲル化剤、分散剤、及び防腐剤などの他の添加剤が含まれる。好適なゲル化剤の例はヒドロキシプロピルセルロースであり、これは一般的に、約5cps~約25,000cps、例えば約1500cpsの粘度でのグレードで利用可能である。粘度測定は全て、別途記載がない限り、室温で行われると想定される。ヒドロキシプロピルセルロースの濃度は、組成物の約1%w/w~約2w/wの範囲であることができる。他のゲル化剤が当技術分野において既知であり、ヒドロキシプロピルセルロースの代わりに、またはこれに加えて使用可能である。好適な分散剤の例は、グリセリンである。グリセリンは通常、組成物の約5%w/w~約25%w/wの濃度で含まれる。防腐剤は、微生物増殖、組成物成分の、紫外線及び/または酸素により誘発される破壊などを阻害するのに効果的な濃度で含むことができる。防腐剤が含まれる場合、その範囲は、組成物の約0.01%w/w~約1.5%w/wの濃度で変化し得る。
【0118】
経皮送達製剤にも含まれることが可能な追加の構成成分は、脂肪酸、テルペン、脂質、ならびにカチオン性及びアニオン性洗剤である。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の2%w/w未満、5%w/w、または10%w/wの量でトラネキサム酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、経皮送達製剤の2%w/w未満、5%w/w、10%w/w、または20%w/wの量で極性溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、湿潤剤、乳化剤、皮膚軟化剤、またはこれらの組み合わせをさらに含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、約5%w/wの量でアーモンド油をさらに含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約5%w/wの量で、熱可塑性ポリウレタンとポリカーボネートの混合物をさらに含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、約5%w/w未満の量でホスファチジルエタノールアミンをさらに含む。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、約5%w/w未満の量でイノシトールホスファチドをさらに含む。
【0119】
いくつかの実施形態で使用可能な他の溶媒及び関連する化合物としては、アセトアミド及び誘導体、アセトン、n-アルカン(7~16の鎖長)、アルカノール、ジオール、短鎖脂肪酸、シクロヘキシル-1,1-ジメチルエタノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、エタノール、エタノール/d-リモネンの組み合わせ、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エトキシジグリコールU(Gattefosse,Lyon,France製のTranscutol(登録商標))、グリセロール、グリコール、ラウリルクロリド、d-リモネン、N-メチルホルムアミド、2-フェニルエタノール、3-フェニル-1-プロパノール、3-フェニル-2-プロペン-1-オール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル、ポリプロピレングリコール425、第一級アルコール(トリデカノール)、1,2-プロパンジオール、ブタンジオール、C16またはC18モノ不飽和アルコール、C16またはC18分枝鎖飽和アルコール、及びこれらの混合物から選択される、C3-C6トリオールまたはそれらの混合物及び極性脂質化合物、プロピレングリコール、Sigma-AldrichによりSpan(登録商標)20として販売されているモノラウリル酸ソルビタン、スクアレン、トリアセチン、トリクロロエタノール、トリフルオロエタノール、トリメチレングリコール、ならびにキシレンが挙げられる。
【0120】
脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステルは、いくつかの実施形態で使用可能な二層流動化剤である。好適な脂肪族アルコールの例としては、脂肪族アルコール、デカノール、ラウリルアルコール(ドデカノール)、ウノレイルアルコール、ネロリドール、1-ノナノール、n-オクタノール、及びオレイルアルコールが挙げられる。好適な脂肪酸エステルの例としては、ブチルアセテート、セチルラクテート、デシルN,N-ジメチルアミノアセテート、デシルN,N-ジメチルアミノイソプロパノエート、ジエチレングリコールオレエート、ジエチルセバケート、ジエチルサクシネート、ジイソプロピルセバケート、ドデシルN,N-ジメチルアミノアセテート、ドデシル(N,N-ジメチルアミノ)-ブチレート、ドデシルN,N-ジメチルアミノイソプロピオネート、ドデシル2-(ジメチルアミノ)プロピオネート、E0-5オレイルエーテル、エチルアセテート、エチルアセトアセテート、エチルプロピオネート、グリセロールモノエーテル、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノリノレエート、イソプロピルイソステアレート、イソプロピルリノレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルミリステート/脂肪酸モノグリセリドの組み合わせ、イソプロピルパルミテート、メチルアセテート、メチルカプレート、メチルラウレート、メチルプロピオネート、メチルバレレート、1-モノカプロイルグリセロール、モノグリセリド(中鎖長)、ニコチン酸エステル(ベンジル)、オクチルアセテート、オクチルN,N-ジメチルアミノアセテート、オレイルオレエート、n-ペンチルN-アセチルプロリネート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリオレエート、スクロースココナッツ脂肪酸エステル混合物、スクロースモノラウレート、スクロースモノオレエート、テトラデシルN,N-ジメチルアミノアセテートが挙げられる。好適な脂肪酸の例としては、アルカン酸、カプリド酸、二酸、エチルオクタデカノン酸、ヘキサン酸、乳酸、ラウリン酸、リノエライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ネオデカン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ペラルゴン酸、プロピオン酸、及びバクセン酸が挙げられる。好適な脂肪族アルコールエーテルの例としては、モノグリセリルエーテル、E0-2オレイルエーテル、E0-5オレイルエーテル、E0-10オレイルエーテル、ポリグリセロール及びアルコールのエーテル誘導体、ならびに、1-O-ドデシル-3-O-メチル-2-O-(2’,3’-ジヒドロキシプロピルグリセロール)が挙げられる。
【0121】
いくつかの実施形態で使用可能な完了剤の例としては、β-及びγ-シクロデキストリン複合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Carbopol(登録商標)934)、リポソーム、ナフタレンジアミドジイミド、及び、ナフタレンジエステルジイミドが挙げられる。
【0122】
ビタミンC、ビタミンE、プロアントシアニジン、及びa-リポ酸などの1つ以上の酸化防止剤を、典型的には、0.1%~2.5%w/wの濃度で含めることができる。
【0123】
いくつかの用途では、経皮送達製剤のpHを調整して浸透を補助するか、または、対象における標的化合物の性質を調整するのが望ましい。場合によっては、pHを、pH9~11、pH7、pH8、pH9、pH10、pH11、pH12、またはpH10~11のレベルに調整し、これは、適切な緩衝液を提供するか、単にpHを塩基で調整することで行うことができる。
【0124】
経皮送達製剤は、賦形剤として作用する、または、乾癬を治療する以外の目的を果たす、他の構成成分を含むことができる。例えば、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、またはα-リポ酸)などの防腐剤、及び抗菌剤を含めることができる。主に経皮浸透のエフェクターである、治療有効成分及び構成成分以外の他の構成成分としては、メントールまたは他の芳香族化合物などの、審美性目的のために提供されるもの、及び、乳化剤などの組成物の物理的状態に影響を及ぼす構成成分、例えばポリグリセリル-4モノラウレートを挙げることができる。典型的には、これらの成分は、組成物中に少ないパーセントで存在する。これらの後者の付属剤は、治療成分でもなければ、主に皮膚の浸透を担う構成成分でもないと理解されている。主に皮膚浸透に影響を及ぼす構成成分は、上で詳述されている。しかし、これらの物質の中には、皮膚浸透に影響を及ぼす能力を有するものもある。例えば、メントールの浸透性について記載しているKunta,J.R.et al,J.Pharm.Sci.(1997)86:1369-1373を参照されたい。
【0125】
適用法は、治療の性質により決定されるが、製剤の性質そのものほど決定的とはなり得ない。適用が皮膚領域へのものである場合、場合によってはクレンジングまたは角質除去により、皮膚を準備するのが有用であり得る。場合によっては、経皮送達製剤そのものを適用する前に、皮膚領域のpHを調整するのが有用である。経皮送達製剤の適用は、皮膚への単純なマッサージによるもの、または、シリンジもしくはポンプなどの装置を使用するものであってよい。貼付剤もまた使用することができる。場合によっては、塗布領域を覆って、経皮送達製剤の蒸発または喪失を防止することが有用である。
【0126】
塗布領域が本質的に皮膚である場合、経皮送達製剤を供給した後に、塗布領域を封止するのが有用であり、これにより、浸透が行われ、皮膚バリアの回復が可能になる。これを行う便利な方法は、リノール酸を含む組成物を適用し、本発明の浸透剤により提供された入口経路を効果的に閉じることである。本適用もまた、皮膚領域への直接塗りつけにより行われるか、または、測定した量をより正確に適用することが可能である。
【0127】
本発明の組成物及び製剤それ自体に加えて、方法は、リノール酸による後処理を用いることができる。経皮治療は一般に、皮膚バリアを開くため、実際には、これが目的ではあるが、治療終了後に適用領域を封止するのが有用である。したがって、経皮送達製剤による治療は、皮膚領域を、リノール酸を含む組成物で処理して、適用領域を封止することに続く場合がある。リノール酸の適用は、皮膚が保護層として機能する能力を損なわせることをもたらす、あらゆる経皮手順に適用される。実際、大部分の経皮治療は、その機能が、活性成分を、表皮を、少なくとも真皮まで通過させてることを可能にすることであるため、全身投与が、真皮そのものにより実現される場合、本効果を有する。
【0128】
追加の治療剤を組成物に含めることができる。例えば、ハイドロコルチゾンまたはハイドロコルチゾンアセテートを、0.25%w/w~約0.5%w/wの範囲の量で含めることができる。メントール、フェノール、及びテルペノイド、例えばカンファーを、疼痛レリーフを冷却するために組み込むことができる。例えば、メントールを、約0.1%w/w~約1.0%w/wの範囲の量で含めることができる。
【0129】
いくつかの特定の実施形態では、経皮送達製剤のpHを調整するのが望ましく、pHはpH9~11、または10~11のレベルに調整され、これは、適切な緩衝液を提供するか、単にpHを塩基で調整することで行うことができる。他の実施形態では、経皮送達製剤のpHをpH4~6のレベルに調整するのが望ましく、これは、適切な緩衝液を提供するか、単にpHを酸で調整することで行うことができる。
【0130】
いくつかの適用では、経皮送達用製剤は例えば、Aveeno(登録商標)を、例えば、約10~95%w/w、約20~85%w/w、約20~75%w/w、約20~50%w/wの量で含むことができる。
【0131】
別の態様では、特定の実施形態は、限定されるものではないが、投与後約3日、投与後約7日、投与後約10日、投与後約15日、投与後約20日、投与後約25日、投与後約30日、投与後約45日、投与後約60日、投与後約75日、または、投与後約90日の期間にわたり、本明細書に記載する製剤として開示及び作成される治療用化合物(複数可)を放出する、徐放性薬物送達プラットフォームに関する。本実施形態の他の実施形態では、徐放性薬物送達プラットフォームは、限定されるものではないが、投与後少なくとも3日、投与後少なくとも7日、投与後少なくとも10日、投与後少なくとも15日、投与後少なくとも20日、投与後少なくとも25日、投与後少なくとも30日、投与後少なくとも45日、投与後少なくとも60日、投与後少なくとも75日、または、投与後少なくとも90日の期間にわたり、実質的に最初のオーダー放出速度にて、本明細書で開示する治療用化合物(複数可)を放出する。
【0132】
本明細書に記載する製剤は、好ましくは、他のタンパク質に悪影響を与えない相補活性を有するもので治療されている特定の合併症に対して望ましい、2つ以上の治療用化合物もまた含むことができる。インビボ投与に使用可能な経皮送達製剤は、滅菌されていることができる。このことは、例えば、限定されるものではないが、経皮送達製剤の調製前もしくは後に、滅菌濾過膜を通す濾過により、または、低温殺菌を含むがこれに限定されない、当該技術分野において既知の他の方法により、実現することができる。
【0133】
投与のためのパッケージング及び機器は、限定されるものではないが、投与される材料の体積、貯蔵条件、技量のあるヘルスケア施術者が投与するのか、それともか患者の自己コンプライアンスであるのか、用量レジメン、地政学的環境(例えば、発展途上国で、極限の温度条件に曝露されること)、及び、他の実践上の考慮などを様々に考慮することにより決定することができる。
【0134】
特定の実施形態では、キットは、限定されるものではないが、本明細書に記載する1つ以上の配合物を含む、1つ以上のクリームまたはローションを含むことができる。様々な実施形態では、キットは、エマルションコーティング貼付剤として投与可能に製剤化された、経皮、局所、または皮下投与用の製剤構成成分を含むことができる。これらの実施形態、及び他の実施形態の全てにおいて、キットは、前述のいずれかに従った、1つ以上のローション、クリーム、貼付剤などを含有することができ、各貼付剤は、対象への投与のための、単一単位用量を含有する。
【0135】
イメージング構成成分を任意選択的に含むことができ、パッケージングは、経皮送達製剤を使用するための、手書きの、またはウェブでアクセス可能な取扱説明書もまた含むことができる。容器としては、例えば、バイアル瓶、ボトル、貼付剤、注射器、プレフィルドシリンジ、チューブ、または、マルチディスペンサーパッケージング用の、当該技術分野において周知の様々なフォーマットを挙げることができる。
【0136】
方法
本明細書の以下に記載する経皮送達用の経皮送達製剤を使用して、疾患、障害、病状、またはその症状もしくはこれに関連する病状を治療、予防、または緩和する方法を、本明細書で提供する。本明細書で提供する方法は、本明細書に記載する経皮送達製剤の1つ以上の、皮膚への局所送達を必要とする患者における、当該送達を含むことができるか、またはこれからなることができる。限定されるものではないが好ましい実施形態は、後述する疾患、障害、病状、または症状を治療、予防、阻害、または緩和する方法に関する。
【0137】
電解質均衡製剤を作製するアプローチは、異なる量または比率で、異なる緩衝剤を組み込むことにより電解質不均衡を回避することである。異なる量または比率で共に使用可能な緩衝剤の非限定例としては、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸カリウムが挙げられる。2、3、4、5種類、またはそれ以上の緩衝剤を含む、特定の緩衝剤の混合物を、製剤に応じて使用する。さらに、各緩衝剤の相対量または比率は変化し得、例えば、相対量は、1:1.10w/w;1:1.15w/w;1:1.20w/w;1:1.25w/w;1:1.30w/w;1:1.35w/w;1:1.40w/w;1:1.45w/w;1:1.50w/w;1:1.55w/w;1:1.60w/w;1:1.65w/w;1:1.70w/w;1:1.75w/w;1:1.80w/w;1:1.85w/w;1:1.90w/w;1:1.95w/w;1:2w/w;1:2.5w/w;1:3w/w;1:3.5w/w;1:4w/w,1:4.5w/w;1:5w/w,1:5.5w/w;1:6w/w;1:6.5w/w;1:7w/w;1:8w/w;1:9w/w;または1:10w/wである。2種類の緩衝剤が存在する場合に、これらの比率の緩衝剤を適用可能であり、または、3種類以上及び比率を、任意の2つの緩衝剤間で適用可能である。
【0138】
製剤
経皮送達用製剤は、例えば、2つの構成成分を含むことができるか、または、1種以上の緩衝剤及び浸透剤を含むことができる。しかし、典型的には、浸透剤は85%w/w未満である。経皮送達製剤は、少なくとも1%w/wの洗剤を有することができる。例えば、好適な製剤は、約10~56%w/wの緩衝剤及び浸透剤を含むことができる。一態様では、約10~56%w/wの量で炭酸塩を含む緩衝剤;約5~55%w/wの量の経皮送達製剤;少なくとも1%w/wの量の洗剤部分を含む、対象の皮膚を通して1つ以上の緩衝剤を経皮送達するための経皮送達製剤を、本明細書で開示し、製剤は、0~最大約77%w/wの量で水を含む。
【0139】
一実施形態では、経皮送達製剤中の、重炭酸ナトリウムを含む炭酸塩は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ以上のw/wの量で存在する。
【0140】
別の実施形態では、経皮送達製剤中の、重炭酸ナトリウムを含む、炭酸塩を含む緩衝剤は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ以上のw/wの量で存在する。
【0141】
さらに他の実施形態では、対象の皮膚を通して治療剤を経皮送達するための製剤を本明細書で開示し、製剤は、対象における病状の治療に効果的な量で、少なくとも1つの活性剤を含み、製剤は、約10~45%w/wの量で炭酸塩を含む緩衝剤;約5~55%w/wの量の経皮送達製剤;約1~15%w/wの量の洗剤部分を含み、製剤は、対象の皮膚を通して、約15~65%w/wの量で水を含み、製剤の炭酸塩は治療用製剤の約15~32%の量で存在し、製剤のアルカリ性は、治療剤の浸透を向上させる。
【0142】
さらに別の態様では、対象の皮膚を通す、シクロスポリンの経皮送達用製剤を本明細書で開示し、製剤は、対象における病状の治療に効果的な量で、少なくとも1つのシクロスポリンを含み、製剤は、約1~45%w/wの量の緩衝剤;約5~55%w/wの量の経皮送達製剤;約1~15%w/wの量の洗剤部分を含み、製剤は、対象の皮膚を通して、約15~65%w/wの量で水を含み、製剤は、約12%w/wの経皮送達製剤を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、約20~85%w/wの量で、または、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはそれ以上のw/wの量で、Aveeno(登録商標)を含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、好適な経皮送達製剤は、約10~55%w/wの量の水;約0.5~10%w/wの量のパルミチン酸イソプロピル、約0.25~5%w/wの量のステアリン酸;約0.25~10%w/wの量のセチルアルコール、約0.5~10%w/wの量のアーモンド油;約0.25~10%w/wの量のプロピレングリコール;約5%w/w未満の量のエタノール、及び、約5%w/w未満の量のベンジルアルコールを含む。
【0145】
本発明の製剤及び方法により実現される驚くべき効果は、部分的には、皮膚を通してのシクロスポリンの送達を向上させる、改善された経皮送達製剤に起因する。本経皮送達製剤は、非イオン性界面活性剤を含むことができる。本明細書にて開示する浸透剤により送達される、本明細書にて開示するシクロスポリンを用いることにより、及び、いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤と極性ゲル化剤の組み合わせを提供することにより、得られた製剤におけるシクロスポリンの浸透能力、及び送達の効果的なレベルが向上したことを、出願人は発見した。
【0146】
経皮送達製剤において、浸透剤は、0.5~20%w/wの濃度の最終製剤をもたらすための、ベンジルアルコールなどのアルコールと、25~70%w/wの製剤をもたらすための、存在する経皮送達製剤の組み合わせをベースにする。これらの浸透剤は、剤がシクロスポリンである場合にも有用であるが、経皮送達製剤の必要量は少なくなる場合がある、例えば、重炭酸ナトリウムが、本明細書にて開示するように高濃度で存在する場合、12%w/w未満である。
【0147】
あるいは、浸透剤の構成成分は、完了構成成分、加えて、粘度及び粘弾性を付与するのに十分な、1つ以上の電解質、1つ以上の界面活性剤、ならびにアルコールを含む。完了構成成分は極性液体、無極性の液体、または両親媒性物質であることができる。
【0148】
本開示の経皮送達製剤は、様々な方法で調製することができる。典型的には、経皮送達製剤の構成成分は、必要量で単純に混合する。しかし、場合によっては例えば、シクロスポリンを溶解させた後、担体の形態でシクロスポリンの送達を補助する構成成分を含有する個別の調製物を添加することもまた望ましい。次に、担体中のこれらの構成成分の濃度は、最終経皮送達製剤で必要とされる濃度よりもいくぶん高い。したがって、シクロスポリンをまず、水に溶解し、その後、アルコール、経皮送達製剤、及び任意に、非イオン性界面活性剤及び極性ゲル化剤、またはイオン性洗剤の組み合わせを含む担体に添加することができる。あるいは、これらの構成成分のいくつかのサブセットをまず混合し、続いて、残りの構成成分を同時にまたは連続的に「補充」することができる。経皮送達製剤を調製する正確な様式は、シクロスポリン、及び、当該シクロスポリンに対して望ましい、残りの構成成分のパーセントに左右される。いくつかの実施形態では、水は、製剤の約10~85%w/w、15~50%w/w、または15~45%w/wの量で存在する。
【0149】
経皮送達製剤は、多成分混合物であり、特定の濃度の浸透促進剤が、部分的には、輸送されるシクロスポリンの分子量により知らされる。経皮送達製剤により、シクロスポリンが、局所投与の数分以内に、標的部位まで生物学的に利用可能となることができる。経皮送達製剤により、生物活性及び正の臨床的アウトカムを同時に実現しながら、代替プロセスで必要な濃度の最少で1/1000という、最少濃度のシクロスポリンを使用することができるようになる。いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、製剤の5%w/w未満の量でアルコールを含む。
【0150】
投与及び用量
本明細書で提供する経皮送達製剤は、任意の形態で局所投与することができる。皮膚の病状を治療するための投与のために、十分な量の局所組成物を、例えば、所望の皮膚表面を覆うのに十分な量で、所望の領域及び周囲の皮膚に塗布することができる。経皮送達製剤を、例えば、顔の皮膚、ならびに、手、首、胸、及び/または頭皮の皮膚を含む、任意の皮膚表面に塗布することができる。
【0151】
本発明の経皮送達製剤の塗布において、経皮送達製剤そのものは単に皮膚に置かれ、表面に広がり、及び/またはマッサージされ、浸透が補助される。使用する経皮送達製剤の量は、所望の表面領域を覆うのに通常十分である。いくつかの実施形態では、塗布されると保護カバーが製剤上に配置され、好適な時間、即ち、5分、10分、20分、またはそれ以上;いくつかの実施形態では1または2時間配置されたままとなる。保護カバーは単に、水分を不透過性であるカバーを備えた絆創膏を含む絆創膏であることができる。これは本質的に、経皮送達製剤の接触を皮膚に固定し、場合によっては、蒸発による経皮送達製剤の変形を防止する。塗布のための標準的な方法、例えばブラシ、シリンジ、ガーゼパッド、ドロッパー、または任意の便利な塗布器を使用して、組成物を皮膚に塗布することができる。送達装置の使用を含む、より複雑な塗布方法もまた使用可能であるが、必須ではない。
【0152】
無傷の皮膚に局所投与する代替法において、皮膚の表面は、バネシステム、レーザー駆動システムの使用、イオン導入、ローレンツ力により駆動するシステムの使用により、または、気体もしくは超音波を含む衝撃波により機械的に破壊することも可能であり、サンドペーパーもしくはその等価物の使用、または、マイクロニードルもしくは電気穿孔法装置の使用などによる、マイクロダーマブレージョンを用いることができる。剤(複数可)、加えて、無傷の皮膚に浸透する、上述した経皮送達製剤の単純な溶液を、マイクロパッチの形態のものといった、閉鎖性貼付剤を使用して適用することができる。長時間投与のための、製剤の外部リザーバーもまた、使用することができる。
【0153】
したがって、特定の実施形態では、1つ以上の緩衝剤、治療用化合物、剤、薬剤を、無傷の皮膚を通して投与する代替法を提供する。非限定例として、これらの代替法は、以下の一覧:作動メカニズム、バネシステム、レーザー駆動、エネルギー駆動、ローレンツ力、気体/空気駆動、衝撃波(超音波を含む)に基づくもの;荷重、液体、粉末、射出物に基づくもの;薬物送達メカニズム、ナノパッチ、サンドペーパー(マイクロダーマブレージョン)、イオン導入により可能なもの、マイクロニードルに基づくもの;送達部位、皮内、筋肉内、及び皮下注射に基づくものから選択することができる。他の好適な送達メカニズムとしては、3Mシステムなどのマイクロニードル薬物送達、Glide SDI(「燃焼」薬剤とは反対の圧縮薬剤)、MIT低圧インジェクター、マイクロパッチ(シングルユース粒子挿入装置)、マイクロエレクトロ機械システム(MEMS)、皮膚電気穿孔法装置(DEP)、トランスダーム・イオントゥー・システム(DEP)、TTS経皮治療システム、膜制御システム(浅い区画に完全に封入された薬剤リザーバー)、接着剤拡散制御システム(薬剤不透過性金属プラスチック裏剤製の区画内の、薬剤リザーバー)、マトリックス分散型システム(親水性または親油性ポリマーマトリックス成形機中の薬剤個体を、投薬ディスクに均質に分散させることで形成される薬剤リザーバー)、及び、マイクロリザーバーシステム(リザーバーと、マトリックス分散型薬物送達システムの組み合わせ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
適用法は、治療の性質により決定されるが、経皮送達製剤の性質そのものほど決定的とはなり得ない。適用が皮膚領域へのものである場合、場合によってはクレンジングまたは角質除去により、皮膚を準備するのが有用であり得る。場合によっては、製剤そのものを適用する前に、皮膚領域のpHを調整するのが有用である。経皮送達製剤の適用は、皮膚への単純なマッサージによるもの、または、シリンジもしくはポンプなどの装置を使用するものであってよい。貼付剤もまた使用することができる。場合によっては、塗布領域を覆って、経皮送達製剤の蒸発または喪失を防止することが有用である。
【0155】
塗布領域が本質的に皮膚である場合、経皮送達製剤を供給した後に、塗布領域を封止するのが有用であり、これにより、浸透が行われ、皮膚バリアの回復が可能になる。これを行う便利な方法は、リノール酸を含む組成物を適用し、本発明の浸透剤により提供された入口経路を効果的に閉じることである。本適用もまた、皮膚領域への直接塗りつけにより行われるか、または、測定した量をより正確に適用することが可能である。
【0156】
本発明の経皮送達製剤それ自体に加えて、方法は、リノール酸による後処理を用いることができる。経皮治療は一般に、皮膚バリアを開くため、実際には、これが目的ではあるが、治療終了後に塗布領域を封止するのが有用である。したがって、経皮送達製剤による治療は、皮膚領域を、リノール酸を含む組成物で処理して、塗布領域を封止することに続く場合がある。リノール酸の適用は、皮膚が保護層として機能する能力を損なわせることをもたらす、あらゆる経皮手順に適用される。実際、大部分の経皮治療は、その機能が、有効成分を、表皮を、少なくとも真皮まで通過させてることを可能にすることであるため、全身投与が、真皮そのものにより実現される場合、本効果を有する。
【0157】
追加の治療剤を組成物に含めることができる。例えば、ハイドロコルチゾンまたはハイドロコルチゾンアセテートを、0.25%w/w~約0.5%w/wの範囲の量で含めることができる。メントール、フェノール、及びテルペノイド、例えばカンファーを、疼痛レリーフを冷却するために組み込むことができる。例えば、メントールを、約0.1%w/w~約1.0%w/wの範囲の量で含めることができる。
【0158】
経皮送達製剤は、病状、疾患、障害、症状を緩和するのに十分な期間、例えば、1週間、1~12週間もしくはそれ以上、1~6週間、2~12週間、2~8週間、2~6週間、2~4週間、4~12週間、4~8週間、または4~6週間の期間、単独の1回塗布で、週に1回、2週間に1回、月に1回、または、1日に1~12回、塗布することができる。本組成物は、必要である場合、例えば、1日1回~1時間に1回の頻度で投与することができる。本明細書に記載する製剤は、1週間~4週間、1週間~2週間、1週間、2週間、3週間、または4週間またはそれ以上の期間、1日1回以上、局所投与することができる。場合によっては、治療を無期限に継続して、例えば、乾癬の兆候及び症状を阻害または予防することもまた、望ましい。スキンクリーム、ローション、または軟膏を含む経皮送達製剤の好適な投与は、例えば、必要である場合、1日1回、2回、3回、4回、または1時間に1回、2回、3回、4回である。
【0159】
上述のとおり、所望する場合、他の治療剤を、上述の組成物中に提供するものと共に用いることができる。単一剤形を作製するために、担体材料と組み合わせて使用可能な有効成分の量は、治療する宿主、疾患、障害または病状の性質、及び有効成分の性質に応じて変化する。
【0160】
任意の特定の患者に対する、具体的な用量レベルは、特定の活性剤の活性;患者の年齢、体重、総体的な健康、性別及び食事;投与時間;排泄速度;可能な薬剤の組み合わせ;治療されている具体的な病状の重症度;治療される領域及び投与形態を含む様々な因子に応じて変化すると理解されている。当業者は、このような因子の変動性を理解し、ルーティンの実験以下のものを使用して、具体的な用量レベルを確立することが可能であろう。
【0161】
生物学的利用能、吸収速度定数、見かけの分布容積、未結合の画分、全クリアランス、未変化の排泄画分、初回通過代謝、消失速度定数、半減期、及び、平均滞留時間などの薬物動態パラメーターを、当該技術分野において周知の方法により決定することができる。
【0162】
本明細書に記載する主題に従った経皮送達製剤は、例えば、複数回使用または単回使用パッケージ(例えば、チューブ、ボトル、ポンプ、容器もしくはボトル、バイアル瓶、ジャー、包み、またはブリスターパッケージを含む)にパッケージされる局所剤形であってよい。
【0163】
1日1回の量の経皮送達製剤を含有する、一回用量キット及びパッケージを調製することができる。経皮送達製剤の単回用量、単位用量、及び1日1回の使い捨て容器もまた提供する。
【0164】
本経皮送達製剤は、最大約5年、約3ヶ月~約5年、約3ヶ月~約4年、約3ヶ月~約3年、及び、代替的に、約6ヶ月~約3年の間の任意の期間を含む期間の間、貯蔵庫において安定のままである。
【0165】
本明細書に記載する経皮送達製剤は、10℃以下、15℃以下、20℃以下、25℃以下、30℃以下、35℃以下、40℃以下の温度で、最大少なくとも3年の間安定のままである。一実施形態では、本明細書に記載する経皮送達製剤は、10℃以下、15℃以下、20℃以下、25℃以下、30℃以下、35℃以下、40℃以下の温度で、少なくとも2年の間安定のままである。一実施形態では、本明細書に記載の経皮送達製剤は、少なくとも3年間安定である。一実施形態では、本明細書に記載する経皮送達製剤は、10℃以下、15℃以下、20℃以下、25℃以下、30℃以下、35℃以下、40℃以下の温度で、少なくとも3年間、及び、最大5%RH、最大10%RH、最大15%RH、最大20%RH、最大25%RH、最大30%RH、最大35%RH、最大40%RH、最大45%RH、最大50%RH、最大55%RH、最大60%RH、最大65%RH、最大70%RH、または最大75%RHの湿度で、10℃以下、15℃以下、20℃以下、25℃以下、30℃以下、35℃以下、40℃以下の温度で、少なくとも2年間、及び、最大5%RH、最大10%RH、最大15%RH、最大20%RH、最大25%RH、最大30%RH、最大35%RH、最大40%RH、最大45%RH、最大50%RH、最大55%RH、最大60%RH、最大65%RH、最大70%RH、または最大75%RHの湿度で、または、30℃以下の温度で、少なくとも3年間、及び、最大75%RHの湿度で、安定のままである。さらなる実施形態では、本明細書に記載する主題に従った、本明細書に記載する経皮送達製剤は、ボトル分配器などといった、複数回使用容器にパッケージングされたときに、長期間にわたって安定のままであり、単回使用パッケージにパッケージングしたときには、等しい、またはさらに大きい安定性を示す。
【0166】
別の態様では、特定の実施形態の経皮送達製剤は、1日量のシクロスポリンを含む。経皮送達製剤の局所または経皮投与のための1日量は、化合物及び動物によって左右され、当事者により容易に決定することができ、好適な量は、約1mg/kg~約5g/kgであり、より典型的には、1日量は、約10mg/kg~約5g/kg、約25mg/kg~約2000mg/kg、約50mg/kg~約2000mg/kg、約25mg/kg~約1000mg/kg、約50mg/kg~約1000mg/kg、約100mg/kg~約700mg/kg、約100mg/kg~約500mg/kg、約150mg/kg~約500mg/kg、約150mg/kg~約400mg/kg、約200mg/kg~約500mg/kg、約200mg/kg~約450mg/kg、約200mg/kg~約400mg/kg、約250mg/kg~約450mg/kg、約250mg/kg~約400mg/kg、約250mg/kg~約350mg/kg、及び約275mg/kg~約325mg/kgである。
【0167】
あるいは、シクロスポリンの経皮送達製剤の好適な1日量は、少なくとも約1mg/kg、少なくとも約10mg/kg、少なくとも約25mg/kg、少なくとも約30mg/kg、少なくとも約35mg/kg、少なくとも約40mg/kg、少なくとも約45mg/kg、少なくとも約50mg/kg、少なくとも約55mg/kg、少なくとも約60mg/kg、少なくとも約65mg/kg、少なくとも約70mg/kg、少なくとも約75mg/kg、少なくとも約80mg/kg、少なくとも約90mg/kg、少なくとも約100mg/kg、少なくとも約125mg/kg、少なくとも約150mg/kg、少なくとも約160mg/kg、少なくとも約170mg/kg、少なくとも約175mg/kg、少なくとも約180mg/kg、少なくとも約190mg/kg、少なくとも約200mg/kg、少なくとも約225mg/kg、少なくとも約250mg/kg、少なくとも約275mg/kg、少なくとも約300mg/kg、少なくとも約325mg/kg、少なくとも約350mg/kg、少なくとも約375mg/kg、少なくとも約400mg/kg、少なくとも約425mg/kg、少なくとも約450mg/kg、少なくとも約475mg/kg、少なくとも約500mg/kg、少なくとも約550mg/kg、少なくとも約600mg/kg、少なくとも約700mg/kg、少なくとも約800mg/kg、少なくとも約900mg/kg、少なくとも約1g/kg、少なくとも約2g/kg、少なくとも約3g/kg、または少なくとも約5g/kgである。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、少なくとも0.5mg/kg、少なくとも0.75mg/kg、少なくとも1mg/kg、少なくとも1.5mg/kg、少なくとも2mg/kg、少なくとも2.5mg/kg、少なくとも3mg/kg、少なくとも3.5mg/kg、少なくとも4mg/kg、少なくとも4.5mg/kg、少なくとも5mg/kg、少なくとも5.5mg/kg、少なくとも6mg/kg、少なくとも6.5mg/kg、少なくとも7mg/kg、少なくとも7.5mg/kg、少なくとも8mg/kg、少なくとも8.5mg/kg、少なくとも9mg/kg、少なくとも9.5mg/kg、少なくとも10mg/kgである。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、0.5mg/kg以下、0.75mg/kg以下、1mg/kg以下、1.5mg/kg以下、2mg/kg以下、2.5mg/kg以下、3mg/kg以下、3.5mg/kg以下、4mg/kg以下、4.5mg/kg以下、5mg/kg以下、5.5mg/kg以下、6mg/kg以下、6.5mg/kg以下、7mg/kg以下、7.5mg/kg以下、8mg/kg以下、8.5mg/kg以下、9mg/kg以下、9.5mg/kg以下、10mg/kg以下である。一実施形態では、シクロスポリン濃度は、約0.5mg/kg、約0.75mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約6.5mg/kg、約7mg/kg、約7.5mg/kg、約8mg/kg、約8.5mg/kg、約9mg/kg、約9.5mg/kg、約10mg/kgである。
【0168】
所望する場合、他の治療剤を、上述の組成物中に提供するものと共に用いることができる。単一剤形を作製するために、担体材料と組み合わせて使用可能な有効成分の量は、治療する宿主、疾患、障害または病状の性質、及び有効成分の性質に応じて変化する。
【0169】
任意の特定の患者に対する、具体的な用量レベルは、特定の活性剤の活性;患者の年齢、体重、総体的な健康、性別及び食事;投与時間;排泄速度;可能な薬剤の組み合わせ;治療されている具体的な病状の重症度;治療される領域及び投与形態を含む様々な因子に応じて変化すると理解されている。当業者は、このような因子の変動性を理解し、ルーティンの実験以下のものを使用して、具体的な用量レベルを確立することが可能であろう。
【0170】
生物学的利用能、吸収速度定数、見かけの分布容積、未結合の画分、全クリアランス、未変化の排泄画分、初回通過代謝、消失速度定数、半減期、及び、平均滞留時間などの薬物動態パラメーターを、当該技術分野において周知の方法により決定することができる。
【0171】
本明細書に記載する主題に従った経皮送達製剤は、例えば、複数回使用または単回使用パッケージ(例えば、チューブ、ボトル、ポンプ、容器もしくはボトル、バイアル瓶、ジャー、包み、またはブリスターパッケージを含む)にパッケージされる局所剤形であってよい。
【0172】
1日1回の量の経皮送達製剤を含有する、一回用量キット及びパッケージを調製することができる。経皮送達製剤の単回用量、単位用量、及び1日1回の使い捨て容器もまた提供する。
【0173】
あるいは、対象に対する、シクロスポリンの局所または経皮投与のための好適な用量は、少なくとも約0.1mg、少なくとも約0.25mg、少なくとも約0.5mg、少なくとも約0.75mg、少なくとも約1mg、少なくとも約1.5mg、少なくとも約2mg、少なくとも約2.5mg、少なくとも約3mg、少なくとも約3.5mg、少なくとも約4mg、少なくとも約4.5mg、少なくとも約5mg、少なくとも約5.5mg、少なくとも約6mg、少なくとも約6.5mg、少なくとも約7mg、少なくとも約7.5mg、少なくとも約8mg、少なくとも約89.5mg、少なくとも約9mg、少なくとも約9.5mg、少なくとも約10mg、少なくとも約20mg、少なくとも約25mg、少なくとも約30mg、少なくとも約40mg、少なくとも約50mg、少なくとも約60mg、少なくとも約70mg、少なくとも約80mg、少なくとも約90mg、少なくとも約少なくとも約100mg、少なくとも約500mg、少なくとも約1g、少なくとも約5g、少なくとも約10g、少なくとも約15g、少なくとも約16g、少なくとも約17g、少なくとも約18g、少なくとも約19g、少なくとも約20g、少なくとも約21g、少なくとも約22g、少なくとも約23g、少なくとも約24g、少なくとも約25g、少なくとも約26g、少なくとも約27g、少なくとも約28g、少なくとも約29g、少なくとも約30g、少なくとも約35g、少なくとも約40g、少なくとも約45g、少なくとも約50g、少なくとも約60g、少なくとも約75g、少なくとも約100g、少なくとも約200g、少なくとも約500g、または少なくとも約1.0kgである。本用量は、毎日、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、または、1日6回以上投与することができる。
【0174】
本明細書に記載する疾患または障害と関連する障害が、経皮送達製剤の塗布後に、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少し、本明細書に記載する疾患または障害と関連する重症度が、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少することを、本明細書の態様は開示する。疾患または障害と関連する症状が、経皮送達製剤の塗布後に、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、または約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%減少することを、本明細書の態様は開示する。
【0175】
別の態様では、特定の実施形態において、(例えば、重炭酸ナトリウムを含有する)pH調製経皮送達製剤がシクロスポリンと共に、局所または経皮投与され、用量は、少なくとも約0.1nmol/hr/Kg、少なくとも約0.5nmol/hr/Kg、少なくとも約0.7nmol/hr/Kg、少なくとも約1.0nmol/hr/Kg、少なくとも約1.1nmol/hr/Kg、少なくとも約1.2nmol/hr/Kg、少なくとも約1.3nmol/hr/Kg、少なくとも約1.4nmol/hr/Kg、少なくとも約1.5nmol/hr/Kg、少なくとも約1.6nmol/hr/Kg、少なくとも約1.7nmol/hr/Kg、少なくとも約1.8nmol/hr/Kg、少なくとも約1.9nmol/hr/Kg、少なくとも約2.0nmol/hr/Kg、少なくとも約2.5nmol/hr/Kg、少なくとも約3.0nmol/hr/Kg、少なくとも約3.5nmol/hr/Kg、少なくとも約4.0nmol/hr/Kg、少なくとも約5nmol/hr/Kg、少なくとも約10nmol/hr/Kg、少なくとも約25nmol/hr/Kg、少なくとも約50nmol/hr/Kg、少なくとも約100nmol/hr/Kg、少なくとも約500nmol/hr/Kg、または少なくとも約1μmol/hr/Kgのシクロスポリンの対象取り込みをもたらす。
【0176】
本明細書に記載する経皮送達製剤は、従来の手順に従った投与により、薬剤の製造で、ならびに、ヒト及び他の動物の治療のために使用することができる。
【0177】
用量は、一回用量または累積型(連続用量)であることができ、当業者により速やかに決定することができる。本発明の経皮送達製剤は、対象に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、またはそれ以上投与することができる。例えば、疾患の治療は、有効量の、本明細書にて開示する経皮送達製剤を1回投与することを含むことができる。あるいは、疾患の治療は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、数日に1回、または1週間に1回といった期間の範囲にわたり行われる、有効量の経皮送達製剤を複数回投与することを含むことができる。投与のタイミングは、個体の症状の重症度等の因子に応じて、個体間で異なり得る。例えば、有効量の、本明細書にて開示する経皮送達製剤は、個体に1日1回無期限に投与され得るか、または個体が治療を必要としなくなるまで投与され得る。当業者であれば、個体の状態が治療過程全体で監視され得ること、及び投与される有効量の本明細書にて開示する経皮送達製剤が、それに応じて調整され得ることを認識するであろう。一実施形態では、本明細書にて開示する経皮送達製剤は、疾患を患う個体を含む、疾患の症状を回復させる時間を、同一の治療を受けない患者と比較して、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させることができる。
【0178】
さらなる実施形態では、抗乾癬経皮送達製剤、及びその誘導体は、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、またはそれ以上の半減期を有する。
【0179】
一実施形態では、抗乾癬経皮送達製剤の投与期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、またはそれ以上である。さらなる実施形態では、投与が停止する期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、またはそれ以上である。
【0180】
本実施形態の複数の態様では、本明細書で開示する、治療に有効な量の抗乾癬経皮送達製剤は、個体における乾癬の症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%低下または緩和する。本実施形態の他の実施形態では、本明細書で開示する、治療に有効な量の抗乾癬経皮送達製剤は、乾癬を、例えば、最大10%、最大15%、最大20%、最大25%、最大30%、最大35%、最大40%、最大45%、最大50%、最大55%、最大60%、最大65%、最大70%、最大75%、最大80%、最大85%、最大90%、最大95%、または最大100%低下または緩和する。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示する、治療に有効な量の抗乾癬経皮送達製剤は、乾癬を、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低下または緩和する。
【0181】
本明細書で開示する経皮送達製剤は、治療に有効な量で抗乾癬経皮送達製剤を含むことができる。本明細書で使用する場合、用語「有効量」とは、「治療に有効な量」、「有効用量」、または「治療的有効用量」と同義であり、乾癬の症状を低下または緩和して、所望の治療効果を実現することを参照して使用する場合には、乾癬の兆候及び症状を低下または緩和するのに十分な用量を含む。個体において症状を低減または緩和可能な、本明細書で開示する抗乾癬送達製剤の有効性は、1つ以上の臨床的症状、ならびに/または、個体における炎症及び皮膚の刺激といった症状の低下と関連する生理学的指標に基づく、個人における改善を観察することにより測定することができる。本明細書で開示する抗乾癬経皮送達製剤の有効性は、抗乾癬経皮送達製剤が投与されない場合の、同一個体と比較して、個々の生活の質を向上させることもまた可能である。
【0182】
投与される、本明細書で開示する抗乾癬経皮送達製剤の適切な有効量は、個体で観察される炎症もしくは斑の面積、掻痒/不快感の量またはこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない因子を考慮に入れることで、当業者により決定することができる。加えて、経皮送達製剤の反復投与を用いる場合、有効量は、投与頻度、抗乾癬経皮送達製剤の半減期、またはこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない因子に、さらに左右される。ヒトまたは動物への投与前に、動物モデルを使用して、本明細書で開示する抗乾癬経皮送達製剤の有効量は、インビトロアッセイ及びインビボ投与研究から推定可能であることが、当業者に知られている。
【0183】
様々な投与経路における、異なる効率の観点から、必要な有効量の変動は幅広いことが予想される。例えば、本明細書で開示する経皮送達製剤の経口投与は一般に、吸入による投与よりも高い用量レベルを必要とすることが予想される。同様に、本明細書で開示する経皮送達製剤の全身投与は、局所投与よりも高い用量レベルを必要とすることが予想される。これらの用量レベルの変動は、経験に基づく、標準的な最適化ルーティンを使用して調整可能であり、これらは当業者に周知である。正確な治療的に有効な用量レベル及びパターンは、上述した因子を考慮に入れ、主治医により決定されるのが好ましい。当業者は、個体の病状を、治療法の過程を通して監視可能であり、投与される、本明細書で開示する治療薬の有効量を適宜調整可能であることを理解するであろう。
【0184】
本明細書の態様は、部分的には、個体における乾癬の減少または緩和について開示する。本明細書で使用する場合、用語「治療すること」とは、個体における症状の減少または緩和を意味する。例えば、用語「治療すること」とは、例えば、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%により、個体における症状の減少または緩和を意味することができる。皮膚での掻痒、炎症、及び赤斑を含む、乾癬と関連する実際の症状は周知であり、一般に知られている試験手段を使用して、当業者により測定することができる。当業者は、乾癬と関連する適切な症状または指標を知っており、個体が、本明細書にて開示する治療の候補であるか否かの測定方法を知っているであろう。
【0185】
一実施形態では、第1の抗乾癬経皮送達製剤を個体に、後日投与し、第2の抗乾癬経皮送達製剤を同一の個体に投与する。一実施形態では、第1の抗乾癬経皮送達製剤を、第2の抗乾癬経皮送達製剤を個体に投与するのと同時に、個体に投与する。
【0186】
一態様では、対象の皮膚、爪、または毛嚢を通して、治療剤含有または非含有のシクロスポリンを経皮送達するための製剤であって、上記製剤が、以下のうちの1つ以上:a)i.1つ以上のホスファチド、ii.炭水化物、及びiii.1つ以上の脂肪酸を含む、約60%w/w未満の量の経皮送達製剤;ならびに、b)約50%w/w未満の量の水を含む、上記製剤を、本明細書で開示する。
【0187】
いくつかの実施形態では、以下のうちの1つ以上:a)i.1つ以上のホスファチド、ii.炭水化物、及びiii.1つ以上の脂肪酸を含む、約60%w/w未満の量の経皮送達製剤;ならびに、b)約50%w/w未満の量の水を含む、本明細書では治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、約0.5~5%w/wの量でベンジルアルコールをさらに含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である経皮送達製剤は、製剤の5%w/w未満の量でベンジルアルコールを含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、以下のうちの1つ以上:a)i.1つ以上のホスファチド、ii.炭水化物、及びiii.1つ以上の脂肪酸を含む、約60%w/w未満の量の経皮送達製剤;ならびに、b)約50%w/w未満の量の水を含む、本明細書では治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、約5~20%w/wの量でパルミチン酸イソプロピルをさらに含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、水は脱イオン水及び/または精製水である。
【0191】
いくつかの実施形態では、水は、製剤の約15~40%w/wの量で存在する。
【0192】
いくつかの実施形態では、1つ以上のホスファチドは、経皮送達製剤の約0.5~55%w/wの量で存在する。
【0193】
いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である経皮送達製剤は、製剤の30%w/w未満の量で、ホスファチジルコリン、水素添加ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、またはこれらの組み合わせを含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、1つ以上のホスファチドは、経皮送達製剤であるホスファチジルコリンを含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、1つ以上の脂肪酸は、経皮送達製剤の約1~35%w/wの量で存在する。
【0196】
いくつかの実施形態では、1つ以上の脂肪酸は、経皮送達製剤の約5~35%w/wの量で存在する。
【0197】
いくつかの実施形態では、1つ以上の脂肪酸は、リノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、ヒマワリ油、またはこれらの組み合わせを含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、1つ以上の脂肪酸はリノール酸を含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、1つ以上の脂肪酸は、オレイン酸を含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、1つ以上の脂肪酸はステアリン酸を含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、1つ以上のホスファチドは、経皮送達製剤の約0.5~55%w/wの量の種子油に由来する。
【0202】
いくつかの実施形態では、1つ以上のホスファチドは、経皮送達製剤の約5~35%w/wの量の種子油に由来する。
【0203】
いくつかの実施形態では、1つ以上のホスファチドは、経皮送達製剤の約0.5~55%w/wの量のベニバナ油に由来する。
【0204】
いくつかの実施形態では、1つ以上のホスファチドは、経皮送達製剤の約5~35%w/wの量のベニバナ油に由来する。
【0205】
いくつかの実施形態では、1つ以上のホスファチドは、経皮送達製剤の約0.5~55%w/wの量のアーモンド油に由来する。
【0206】
いくつかの実施形態では、1つ以上のホスファチドは、経皮送達製剤の約0.5~10%w/wの量のアーモンド油に由来する。別の実施形態では、アーモンド油の量は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、またはそれ以上である。さらなる実施形態では、アーモンド油の量は、1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、10%以下である。さらなる実施形態では、アーモンド油の量は、1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満である。
【0207】
いくつかの実施形態では、1つ以上のホスファチドは、大豆レシチンに由来する1つ以上の脂肪酸を含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、炭水化物は、経皮送達製剤の約0.05~10%w/wの量で存在する。
【0209】
いくつかの実施形態では、炭水化物は、経皮送達製剤の約0.05~10%w/wの量の無水デキストロースである。
【0210】
いくつかの実施形態では、以下のうちの1つ以上:a)i.1つ以上のホスファチド、ii.炭水化物、及びiii.1つ以上の脂肪酸を含む、約60%w/w未満の量の経皮送達製剤;ならびに、b)約50%w/w未満の量の水を含む、本明細書では治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、経皮送達製剤の約2~25%w/wの量で、非イオン性界面活性剤をさらに含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、以下のうちの1つ以上:a)i.1つ以上のホスファチド、ii.炭水化物、及びiii.1つ以上の脂肪酸を含む、約60%w/w未満の量の経皮送達製剤;ならびに、b)約50%w/w未満の量の水を含む、本明細書では治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、非イオン性界面活性剤に対して、少なくともモル過剰の量で、極性溶媒をさらに含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤はポロキサマーであり、極性溶媒は水である。
【0213】
いくつかの実施形態では、以下のうちの1つ以上:a)i.1つ以上のホスファチド、ii.炭水化物、及びiii.1つ以上の脂肪酸を含む、約60%w/w未満の量の経皮送達製剤;ならびに、b)約50%w/w未満の量の水を含む、本明細書では治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、製剤の5%w/w未満の量で、極性溶媒をさらに含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である経皮送達製剤は、経皮送達製剤の約1~30%w/wの量で、洗剤部分をさらに含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、洗剤部分は、経皮送達製剤の約2~25%w/wの量で、非イオン性界面活性剤;及び、経皮送達製剤の5%w/w未満の量で、極性溶媒を含む。
【0216】
いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である経皮送達製剤は、経皮送達製剤の約10~60%w/wの量で存在する。
【0217】
いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、経皮送達製剤の10%w/w未満の量でアルコールを含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、経皮送達製剤は、アルコール、界面活性剤、及び極性溶媒をさらに含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である経皮送達製剤は、製剤の5%w/w未満の量でセチルアルコールを含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である経皮送達製剤は、製剤の5%w/w未満の量でエタノールを含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である経皮送達製剤は、製剤の5%w/w未満の量でグリセリンを含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である経皮送達製剤は、製剤の8%w/w未満の量でプロピレングリコールを含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、本明細書では治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、製剤の20%w/w未満の量でゲル化剤を含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、本明細書では治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、製剤の約0.05~5%w/wの量でメントールを含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、本明細書では治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、以下のうちの1つ以上:a)i.1つ以上のホスファチド、ii.炭水化物、及びiii.1つ以上の脂肪酸を含む、約60%w/w未満の量の経皮送達製剤;ならびに、b)約50%w/w未満の量の水を含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、a)i.1つ以上のホスファチド、ii.炭水化物、及びiii.1つ以上の脂肪酸を含む、約60%w/w未満の量の経皮送達製剤;ならびに、b)約50%w/w未満の量の水を含む、本明細書では治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、湿潤剤、乳化剤、皮膚軟化剤、またはこれらの組み合わせをさらに含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤であり、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、約2、約3、約4、約4.2、約4.5、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12のpHを有する。いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤であり、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、2未満、3未満、4未満、4.2未満、4.5未満、5未満、6未満、7未満、8未満、9未満、10未満、11未満、12未満のpHを有する。いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤であり、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも4.2、少なくとも4.5、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12のpHを有する。別の実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤であり、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、1~5の範囲、2~5の範囲、3~5の範囲、4~5の範囲、3~11の範囲、4~11の範囲、3~10の範囲、4~10の範囲、3~9の範囲、4~9の範囲、3~8の範囲、4~8の範囲、3~7の範囲、4~7の範囲、3~6の範囲、4~6の範囲、3~5の範囲、または4~5の範囲のpHを有する。
【0228】
いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤であり、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、約2、約3、約4、約4.2、約4.5、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12のpHを有する。いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤であり、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも4.2、少なくとも4.5、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12のpHを有する。いくつかの実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤であり、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも4.2、少なくとも4.5、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12のpHを有する。別の実施形態では、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤であり、本明細書では、治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、1~5の範囲、2~5の範囲、3~5の範囲、4~5の範囲、3~11の範囲、4~11の範囲、3~10の範囲、4~10の範囲、3~9の範囲、4~9の範囲、3~8の範囲、4~8の範囲、3~7の範囲、4~7の範囲、3~6の範囲、4~6の範囲、3~5の範囲、または4~5の範囲のpHを有する。
【0229】
いくつかの実施形態では、以下のうちの1つ以上:a)i.1つ以上のホスファチド、ii.炭水化物、及びiii.1つ以上の脂肪酸を含む、約60%w/w未満の量の経皮送達製剤;ならびに、b)約50%w/w未満の量の水を含む、本明細書では治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、活性剤をさらに含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、以下のうちの1つ以上:a)i.1つ以上のホスファチド、ii.炭水化物、及びiii.1つ以上の脂肪酸を含む、約60%w/w未満の量の経皮送達製剤;ならびに、b)約50%w/w未満の量の水を含む、本明細書では治療剤含有または非含有のシクロスポリン製剤である製剤は、約60%w/w未満の量で、活性剤構成成分をさらに含む。
【0231】
別の態様では、対象の皮膚、爪、または毛嚢に、以下のうちの1つ以上:a)i.1つ以上のホスファチド、ii.炭水化物、及びiii.1つ以上の脂肪酸を含む、約60%w/w未満の量の経皮送達製剤;ならびに、b)約50%w/w未満の量の水を含み、活性剤をさらに含む、有効量の製剤を塗布することを含む、活性成分の経皮送達を行う方法を本明細書で開示する。
【実施例】
【0232】
以下の非限定的実施例は、ここで想倒される、例示的実施形態をより完全に理解することを促進するために、例示目的のためだけに提供される。これらの実施例は、製剤の構成成分を組み合わせることができる、全ての可能性のある内容物の単なるサブセットであることが意図される。したがって、これらの実施例は、製剤の構成成分の種類及び量、ならびに/または、その方法及び使用に関するものを含む、本明細書に記載する実施形態のいずれかを制限するものとして解釈されてはならない。
【0233】
実施例1
マウスの薬物動態研究
本実験では、経皮製剤で治療したマウスにおけるシクロスポリンの吸収を研究した。2%シクロスポリンを、表1で参照する局所用製剤に組み込んだ。本製剤を、薬物動態(PK)研究において、マウスに100mg/マウスで塗布した。
【0234】
複数の時点において、血液サンプルをマウスから採取し、シクロスポリン濃度(ng/mL)を分析した。結果を表2に示す。データを使用して、表3の値を計算した。顕著な値としては、半減期(T1/2)、ピーク血漿濃度(Cmax)、及び、ピーク血漿濃度への到達時間(Tmax)が挙げられる。
【0235】
【0236】
【0237】
表3で確認できるように、研究では、736ng/mLのCmax、0.5時間のTmax、及び6.21時間のT1/2が示された。開始から短時間でこれだけの高濃度になることは、局所シクロスポリンに特有のものである。21日間毎日、局所用シクロスポリンで治療したネコの個別研究において、最も高い平均濃度は58ng/mLであり、これは、21日目の塗布の2時間後に測定した。
【0238】
図1及び2。0.5、1、2、4、8、及び24時間にて測定した、得られた平均血漿シクロスポリン濃度を示すPKデータ。
【0239】
実施例2
乾癬の治療のための、局所用シクロスポリンの使用
本実施例では、患者は乾癬に罹患している。乾癬の兆候及び症状は、局所ステロイド化合物を含む従来の治療では緩和しない。
【0240】
患者は、シクロスポリンを含有する、本明細書に記載する局所用クリームを使用することができる。ローションを、掻痒または他の症状のある領域に、規則的に(例えば毎日)塗布することができる。あるいは、クリームを、必要性または状況に応じて塗布することができる。例えば、患者が、炎症または掻痒を予想する、またはこれらに気づくときに、クリームを塗布することができる。クリームを、より強力または大量に、より惜しみなく塗布することができる。
【0241】
ローションまたはクリームは、シクロスポリンを含む経皮送達製剤を含むことができる。本実施例では、活性剤(即ち、シクロスポリン)の用量は3グラムであり、溶液中で2~5%となる。経皮送達製剤は、約60%w/w未満の、1つ以上のホスファチド、1つ以上の脂肪酸、及び水を含むことができる。ローション/クリームを使用して、乾癬に起因する局所炎症を処理することが可能であり、例えば、24時間の期間にわたり、または、症状が十分に減少するまで使用することができる。
【0242】
実施例3
乾癬の治療のための、局所用シクロスポリンの同時投与
本実施例では、患者は、従来のステロイド性化合物に不応性である乾癬を患っている。患者は、シクロスポリン、及び、1つ以上の追加の活性剤を含有する、本明細書に記載する局所用クリームを使用することができる。このような活性剤は、ビタミンD及び/または、炎症を低下させる剤を含むことができる。他の活性剤としては、ビタミンD類似体(即ち、合成ビタミンD)、アントラリン、局所用レチノイド(ビタミンAから誘導される)、局所用カルシニューリン阻害剤、及び免疫抑制剤を挙げることができる。
【0243】
ローション/クリームを使用して、乾癬のアウトブレイクを定期的に予防することができる。例えば、ローションを、乾癬の掻痒または発赤を受けやすい領域に、規則的に(例えば毎日)塗布することができる。活性剤(即ち、シクロスポリン)の用量は3グラムであり、溶液中で2~5%となる。経皮送達製剤は、約60%w/w未満の、1つ以上のホスファチド、1つ以上の脂肪酸、及び水を含むことができる。
【0244】
実施例4
湿疹の治療のための、局所用シクロスポリンの同時投与
本実施例では、患者は、従来のステロイド性化合物に不応性である湿疹を患っている。患者は、シクロスポリン、及び、1つ以上の追加の活性剤を含有する、本明細書に記載する局所用クリームを使用することができる。このような活性剤は、ビタミンD及び/または、炎症を低下させる剤を含むことができる。他の活性剤としては、ビタミンD類似体(即ち、合成ビタミンD)、アントラリン、局所用レチノイド(ビタミンAから誘導される)、及び局所用カルシニューリン阻害剤を挙げることができる。
【0245】
ローション/クリームを使用して、湿疹を軽減、及び/またはアウトブレイクを予防することができる。例えば、ローションを、湿疹の掻痒または発赤を受けやすい領域に、規則的に(例えば毎日)塗布することができる。活性剤(即ち、シクロスポリン)の用量は3グラムであり、溶液中で2~5%となる。経皮送達製剤は、約60%w/w未満の、1つ以上のホスファチド、グルコース、1つ以上の脂肪酸、及び水を含むことができる。
【0246】
実施例5
関節リウマチの治療のための、局所用シクロスポリンの投与
関節リウマチ(RA)は、主に関節に影響を及ぼす、長期の自己免疫疾患である。従来の治療としては、疼痛投薬、ステロイド、及びNSAIDがある。本実施例では、患者は、従来の治療に不応性である、RA由来の関節膨張及びうずきを経験する。患者は、シクロスポリン、及び、任意選択的に、NSAIDなどの1つ以上の追加の活性剤を含有する、本明細書に記載する局所用クリームを使用することができる。
【0247】
ローション/クリームを使用して、膨張及びうずきなどの症状を、定期的に軽減及び/または予防することができる。例えば、ローションを、指関節及び関節などの患部に、定期的に(例えば毎日)塗布することができる。活性剤(即ち、シクロスポリン)の用量は3グラムであり、溶液中で2~5%となる。経皮送達製剤は、約60%w/w未満の、1つ以上のホスファチド、1つ以上の脂肪酸、及び水を含むことができる。
【0248】
本発明を実施するために、発明者らに知られた最良の様式を含む本発明の特定の実施形態を、本明細書に記載する。もちろん、これらの記載した実施形態の変形が、前述の説明を読み取る際には、当業者に明らかとなるであろう。発明者は、当業者がこのような変形を適切なように用いることを予期し、発明者は、発明が本明細書に具体的に記載されるのとは別様で実践されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許可されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲で列挙される主題の全ての修正及び等価物を含む。さらに、それらの全ての可能な変形における、上記の実施形態の任意の組み合わせは、本明細書に別様が示されない限り、または文脈によって別様が明らかに矛盾しない限り、本発明によって包括される。
【0249】
本発明の代替実施形態、要素、または工程のグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各群の要素は、個別に、本明細書で開示する他の群の要素の任意の組み合わせで参照及び特許請求することができる。群の1つ以上の要素は、便宜及び/または特許性の理由のために、群に含めることができるか、または群から削除することができることが予想される。そのような包含または消去が起こるとき、本明細書は改変されたグループを含有し、したがって付属の請求項中で使用される全てのマーカッシュ形式のグループの記述を実現するとみなされる。
【0250】
特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用する、特徴、項目、量、パラメーター、性質、用語などを表現する全ての数字は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。本明細書で使用する場合、用語「約」は、そのように限定された性質、項目、量、パラメーター、性質、または用語が、記載した性質、項目、量、パラメーター、性質、または用語の値の上下±10%の範囲を包含することを意味する。したがって、そうでないことが示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲で説明する数値パラメーターは、変化し得る近似値である。最低限において、また特許請求の範囲と同等である原理の適用を限定する試みとしてではなく、各数値指標は少なくとも、通常の丸め技術を適用することによって、報告される有効桁数を考慮して解釈されるべきである。本発明の広い範囲を示す数値範囲及び値は近似値であるにもかかわらず、特定の実施例中に示される数値範囲及び値は可能な限り正確に報告される。どの数値範囲または値も、しかしながら、それらの各試験計測中に見られる標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差を本質的に含有する。本明細書中の値の数値範囲の列挙は、その数値範囲に入る各別々の値を個々に言及する省略法として働くと単に意図される。本明細書で特に断りのない限り、数値範囲の各個別の値は、それが個別に本明細書で引用されるかのように明細書に組み込まれる。
【0251】
本発明を示す文脈中で(特に以下の請求項の文脈中で)使用される用語「a」、「an」、「the」、及び同様の指示物は、本明細書中に別段の定めなき限りまたは文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を含むと解釈されるべきである。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別様が示されない限り、または文脈によって別様が明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書に提供される任意及び全ての例または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く解明することが意図され、別途特許請求される本発明の範囲を限定しない。本明細書内のいかなる言い回しも、任意の請求されていない要素を本発明の実施に必須であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0252】
本明細書に開示される特定の実施形態は言語からなるまたは本質的に言語からなることを用いて請求項中でさらに限定され得る。特許請求の範囲で使用する場合、出願されるか、補正により付加されるかに拘わらず、移行句「からなる」は、特許請求の範囲で明記されていないあらゆる要素、工程、または成分を除外する。移行句「から本質的になる」は、特許請求の範囲を、明記した材料または工程、及び、基本的かつ新規の特徴(複数可)に物質的に影響を及ぼさないものに限定する。そのように特許請求した本発明の実施形態は、本明細書で固有に、または明示的に説明され、実施可能である。
【0253】
本明細書で参照及び識別された、あらゆる特許、特許公報、及び、他の公報は、例えば、本発明と関連して使用され得る、そのような出版物などに記載される組成物方法論を説明及び開示する目的で全体を参照することにより、個々に、かつ明白に本明細書に組み込まれる。これらの出版物は、本出願の出願日以前のそれらの開示にのみ提供される。この点のいかなる内容も、先行発明、または任意の他の理由によって、発明者らがこのような開示に先行する権利がないことを承認すると、解釈するべきではない。日付に関する記載、または、これらの文書の内容の描写のすべては、出願人が利用可能な情報に基づき、日付または、これらの文書の内容の正確性のいかなる承認も構成しない。
【国際調査報告】