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▶ シーダーズ−サイナイ メディカル センターの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】呼気分析の方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/497 20060101AFI20230301BHJP
   G01N 1/02 20060101ALI20230301BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
G01N33/497 A
G01N1/02 W
G01N1/00 101R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536940
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 US2020065382
(87)【国際公開番号】W WO2021127027
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/949,057
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】514135801
【氏名又は名称】シーダーズ-サイナイ メディカル センター
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ピメンテル マーク
(72)【発明者】
【氏名】グプタ カピル
(72)【発明者】
【氏名】レザイ アリ
(72)【発明者】
【氏名】アラン ニコラス デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ドルベルグ クリストフォー ダイク
(72)【発明者】
【氏名】シロタック ニゲル アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ケリングフーセン マーティン ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥリック マーク サーシャ
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー ネイサン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マッカラム ケネス
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CB22
2G045DB01
2G045DB03
2G045DB30
2G045FB06
2G045HA09
2G052AA34
2G052AB03
2G052AB06
2G052AB12
2G052CA04
2G052EB11
2G052GA27
2G052HC22
2G052HC28
(57)【要約】
患者の呼気から吐出される腸内ガスを便利にサンプリングする呼気検査システムの実装のためのシステム及び方法が開発された。これは、ガスの温度を患者の体温を上回って維持する温度調節構成要素(例えば、サーミスター及び抵抗発熱体)を含むマニホールドを有するシステムを含み得る。いくつかの例では、システムは、患者が吐出したメタンレベルによる呼気中水素濃度の変化を調整することによって、患者がSIBOを有するかどうかの兆候を決定する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々のガスの濃度について、患者の呼気を検査するためのシステムであって、
呼気収集器;
前記呼気収集器に接続可能なガス流入口;
ガス排出口;
前記ガス流入口及び前記ガス排出口とガス連通するガス流路を含む、マニホールド;
前記ガス流路を通過するガスの濃度に関するセンサーデータを出力するように構成された、少なくとも1つのガスセンサー;
前記マニホールドと熱連通する発熱体;
前記マニホールドの温度に関する温度データを出力するように構成された、温度センサー;
前記出力されたセンサーデータに基づいてガスの濃度を決定するための1つまたは複数のプロセッサー及びメモリーを含む、制御システム;並びに
前記決定されたガスの濃度を出力するディスプレイ
を含む、前記システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガスセンサーが、CHセンサー、COセンサー、Hセンサー、またはHSセンサーのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガスセンサーが、前記ガス流路に沿って直列に配置されたCOセンサー、Hセンサー、及びHSセンサーを含み、前記ガス流路が、前記マニホールド中に単一チャネルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
第1のバッフルが、前記Hセンサーに隣接して配置され、第2のバッフルが、前記HSセンサーに隣接して配置され、前記第1及び第2のバッフルが、前記HSセンサー及び前記Hセンサーとガス交換しやすいサイズ及び形状になっている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ガス流路を通る流量を検出するように構成された流量計からのフィードバックに基づいて、前記ガス流路を通してガスを吸排気するように構成されたポンプをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記温度センサーが、プリント基板に接続されたサーミスターである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記発熱体が、前記プリント基板に接続されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記発熱体が、前記プリント基板上に印刷されたトレースを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記発熱体が、複数の発熱体を含み、前記複数の発熱体の各々が、前記マニホールドの一連のゾーンのうちの1つを加熱するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記温度センサーが、複数の温度センサーを含み、前記複数の温度センサーの各々が、前記マニホールドの前記一連のゾーンのうちの1つに関する温度データを出力するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御システムが、前記温度センサーから出力されたデータに基づいて、前記発熱体にエネルギーを与えることによって、前記マニホールドの最低温度を維持するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記マニホールドが、金属ブロックを含み、前記ガス流路が、前記金属ブロックを通って構築されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記マニホールドが、熱伝導性材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記熱伝導性材料が、ステンレス鋼または銅を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ガス流路が、前記少なくとも1つのガスセンサーに隣接して配置されたバッフルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記最低温度が、38~41℃である、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記最低温度が、40℃である、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御システムが、前記出力されたセンサーデータに基づいて、患者がSIBOを有するかどうかの兆候を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記出力されたセンサーデータが、CHセンサー、COセンサー、Hセンサー、及びHSセンサーから出力されたデータを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記出力されたセンサーデータがHSレベルの増加を示す場合には、前記制御システムが、前記患者の下痢の兆候を出力するようにさらに構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記出力されたセンサーデータが、ラクツロース呼気検査中に、HSレベルが増加し、CH及びH呼気レベルが増加しなかったことを示す場合には、前記制御システムが、SIBOの陽性兆候を出力するようにさらに構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
呼気中のガス濃度の検知方法であって、
患者から呼気のバッチを受けとる段階;
流路を通して一定流量で空気を吸排気しながら、前記呼気のバッチを37℃を上回る温度に加熱する段階;
一連の電気化学センサーを用いて、前記流路中のガス濃度を検知する段階;及び
前記ガス濃度を表示する段階
を含む、前記方法。
【請求項23】
前記ガス濃度が、CH、CO、H、及びHS濃度を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記流路が、マニホールドを通って経路付けられている、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記呼気のバッチを加熱する段階が、37℃を上回る温度で前記マニホールドを維持することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ガス濃度が、少なくともCH及びHを含み、制御システムが、前記ガス濃度に基づいて、前記患者がSIBOを有するかどうかの兆候を決定するようにさらに構成されている、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月17日に出願された、「BREATH GAS ANALYSIS」と題された米国仮特許出願第62/949,057号の優先権を主張し、その内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、患者の息の中に吐出されたガスを分析するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
以下の記述は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。本明細書において提供される情報のいずれも、先行技術であるかもしくは主張される本発明に関連しているということ、または具体的もしくは黙示的に言及されるいずれの刊行物も、先行技術であるということを認めるものではない。
【0004】
ヒト胃腸系は、典型的には消化を助ける数十億個の細菌細胞の生息地であるが、これらが繁殖しすぎると有害になり得る。これらの細菌は、ヒトが摂取する食物を餌にして、有用及び有害両方の副生成物を生成する。通常、大腸内と比べ、小腸内に見られる細菌は何千倍も少ない。しかしながら、小腸内細菌異常増殖症(「SIBO」)に罹患している一部の患者では、小腸内の細菌の数は、大腸の量に近づく程度まで増加する。SIBOは、過剰なガス生成を引き起こし、患者に不快かつ不愉快な症状をもたらす可能性がある。例えば、過剰なガス生成を有する患者は、腹痛、膨満感、過度のげっぷ、放屁、一般的な不快感、及び吐き気を経験し得る。SIBOは、有意な数(約10%)の成人で発症すると考えられる。
【0005】
研究(例えば、米国特許第8,388,935号(特許文献1)に開示されるもの)は広範囲であるものの、SIBOと、多くの病態、例えば、過敏性腸症候群(IBS)、線維筋痛症、慢性骨盤痛症候群、鬱病、精神障害、口臭、耳鳴り、糖への渇望、自閉症、注意欠陥/多動性障害、薬物感受性、自己免疫疾患、及びクローン病との間の関係の定義は不完全である。現在市販されているツールを用いて、介護者は、一部の患者におけるこれらの病態の一部とSIBOとを相関させることができている。しかし、残念ながら、患者ごとの細菌の状況は非常に独特であるため、普遍的な相関を達成するのは、不可能ではないにしても困難である。したがって、研究室での単一検査が、診断目的の決定因子になることはまずない。
【0006】
息の中に吐出されたCH及びHの濃度は、多くの研究において、SIBOと関連があると示されているが、患者ごとにいくらか異なる影響を受けているようである。例えば、ある範囲のCH(-1~50ppm)及びH(-1~50ppm)の濃度は、臨床的に有意であることが示されている。
【0007】
さらに、過剰なメタン生成は、肥満と関連することが示されており、過剰なガス生成は、過敏性腸症候群と関連することが示されている。最近では、過敏性腸症候群との繋がりの可能性のため、SIBOに対しより高いレベルの関心が存在する。さらに、より高いレベルのメタンは、便秘を引き起こすSIBOの兆候である。
【0008】
現在、SIBOは、患者の息のラボ検査前に、所定の食事療法を用いて診断される。例えば、患者は、ラクツロース(典型的には、10g)またはグルコース(典型的には、50g)などの炭水化物を摂ってもよい。摂取後、患者の息の試料を、水素について、典型的には、15~20分ごとに最長で3時間、分析する。患者にグルコースを投与する場合、水素濃度の上昇、典型的には、ベースラインレベルを10ppm(百万分率)を上回ることは、陽性検査を示す。
【0009】
ラクツロースは、結腸細菌により消化されるが、ヒト宿主には消化されない糖である。摂取したラクツロースは、小腸を未消化のまま通過し、細菌がガスを生成する場所である結腸に到達するであろう。健常者では、ラクツロースの摂取後に、ラクツロースが結腸に入ると、息の中のガスに単一のピークが生じる。SIBOを有する個体は、息の中のガスに2本の有意なピークが生成され得る。第1の異常なピークは、ラクツロースが小腸内のガス産生菌を通過する際に生じ、第2の正常なピークは、ラクツロースが結腸に入る際に生じる。水素のベースラインレベルが、ラクツロースの摂取後に20ppmを上回って上昇する場合には、これは、陽性検査を示し得る。最近では、多くの研究が、主に偽陽性率が高いという理由のため、SIBOの診断におけるラクツロースの使用の限界を示している。水素呼気検査は、SIBOを有する患者の60%しか診断することができない場合がある。SIBO診断を改善するためのメタン/水素併用検出について行われた研究ははるかに少ない。硫化水素、並びにメタン及び水素検出と硫化水素との組み合わせを測定する研究についてはなおさらである。
【0010】
したがって、これらの水素、メタン、及び硫化水素を個別または組み合わせて測定するデバイスまたはシステムが、当該技術分野において依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第8,388,935号
【発明の概要】
【0012】
概要
したがって、ある特定の食物の消費は、ガス生成の増加につながることが示されており、ガス生成の増加は、SIBOを含む種々の病気につながる。しかしながら、各個人における過剰なガス生成を担う正確な食物及び量を決定することは厄介である。例えば、SIBOを検査するために、個人は、ガスの検査のためにラボに来るか、またはバッグに息を入れて分析のためにそれを送らなければならない。そのため、多くの異なる食事及び長期間にわたって、患者の呼気を検査することは実際的ではない。
【0013】
したがって、腸内ガスは、孤立したケースで、通常は、糖分の多い食事の後に検査しなければならないため、ほとんどの個人は、具体的な食品に対してSIBOまたはその症状を決定するかまたは相関させることができない。したがって、過剰なガス生成につながる可能性がある食物消費パターンについての結論をもたらすために、特定の個人において生成されたガスの十分な情報を取得するのは困難である。患者が呼気レベルを頻繁に検査するために使用することができ、同時に、検査前に消費された食事の時間及び内容についての情報を入力し保存することができる、ポータブルSIBO検査デバイスの必要性がある。この情報及び適切なデータ分析により、患者は、次いで、彼らが食べる食物とSIBO症状及びガスレベルとの間の相関を発見することができる。
【0014】
したがって、患者の呼気から吐出される腸内ガスを便利にサンプリングするポータブルSIBO検査システムの実装のためのシステム及び方法が開発されている。これらのデバイスは、スマートフォンまたは他のデバイスを、ユーザーが消費した食物に関するデータを記録することができるアプリケーションと統合する、携帯用測定器の形態であってもよい。
【0015】
加えて、臨床グレードの検査デバイスを用いてガスを正確に検査するためのシステム及び方法が開発された。いくつかの例では、これは、吐出した息がマニホールドのチャネルを通して流れる際にその温度を維持するためのマニホールドを用いたシステムを含む。いくつかの例では、システムは、吐出した息がマニホールドのチャネルを通して流れる際にその内容を検査するプローブを有するガスセンサーを使用する。いくつかの例では、システムは、プリント基板に接続されたサーミスター及び抵抗発熱体を利用して、チャネル及び/またはマニホールドを加熱し、体温を上回る温度で呼気を維持し、センサーを損傷するまたはガス濃度の読み取りにバイアスをかける結露または湿気を防ぐことができる。
【0016】
いくつかの例では、本開示の技術は、呼気中のガス濃度を検知するエクスビボ方法であって、患者から呼気のバッチを受けとる段階;流路を通して一定流量で空気を吸排気しながら、呼気のバッチを37℃を上回る温度に加熱する段階;一連の電気化学センサーを用いて、流路中のガス濃度を検知する段階;及びガス濃度を表示する段階を含む、方法を提供する。
【0017】
本明細書に開示される本実施例の方法及び他の全ての方法は、エクスビボ方法として実施するのに適していることが理解されるであろう。かかる実施形態では、方法の種々の工程は、患者の身体において全て実践されるわけではない。本発明を実施したい当業者であれば、本発明の方法をエクスビボで実施し得る多くの方式を認識するであろう。
【0018】
「患者から呼気のバッチを受けとる段階」の言及は、本方法のさらなる工程を経ることになる呼気のバッチが、患者から記載の流路へ直接受けとられる必要はないことが認識されるであろう。むしろ、呼気のバッチは、例えば、適切な容器や通路への収集を介して「間接的に」受けとられてもよく、次いで、収集されたバッチを、本方法のさらなる工程にエクスビボで供してもよい。適切な容器は、例えば、呼気バッグ、バルーン、導管、通路、呼吸管または他の適切なデバイス、容器または通路からなる群から選択され得る。
【0019】
疑いを避けるために、本発明の方法のエクスビボ実施形態は、具体的には、患者からの呼気のバッチが、本方法のさらなる工程を経る時に、もはや患者と流体連通していないものも包含する。例えば、呼気のバッチは、列挙された流路内に存在する時に、もはや患者と流体連通していなくてもよい。適宜、呼気のバッチは、患者に取り付けられたマスク、容器、バッグ、チューブ、または他のそのような装置によって収集され得るが、バッチが流路内にあり、本方法のさらなる工程に供される時、バッチは、マスクまたは患者ともはや流体連通していなくてもよい。そのようなバッチの分離は、任意の適切なデバイス、特徴及びプロセスにより達成され得る。そのような実施形態では、分析を受けている呼気のバッチは、もはや患者と直接連通していないため、方法の列挙された工程は、ヒト身体に実施されないことが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書に組み込まれかつその一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例証し、かつ、本明細書の記述と共に本発明の原理を説明及び例示する。図面は、例示的な実施形態の主な特徴を図の様式で例示することを意図している。図面は、実際の実施形態の全ての特徴を描写することも、また描写される要素の相対的寸法を描写することも意図しておらず、かつ、一律の縮尺で描かれているわけではない。
【0021】
図1】本発明の種々の実施形態に従った、SIBO診断(先行技術)におけるメタンの重要性を示す棒グラフを示す。
図1A】本発明の種々の実施形態に従った、モバイルデバイスとインターフェースするガス検出デバイスの斜視図を示す。
図1B】本発明の種々の実施形態に従った、モバイルデバイスとインターフェースするガス検出デバイスの斜視図を示す。
図2】本発明の種々の実施形態に従った、ガス検出デバイスの斜視図を示す。
図3A】本発明の種々の実施形態に従った、ガス検出デバイスの斜視図を示す。
図3B】本発明の種々の実施形態に従った、ガス検出デバイスの斜視図を示す。
図4】本発明の種々の実施形態に従った、ガス検出デバイス及び関連する呼気チューブキットの斜視図を示す。
図5】本発明の種々の実施形態に従った、呼気検査方法を示すフローチャートを示す。
図6】本発明の種々の実施形態に従った、メタン及び非メタン生成者の水素生成率を示す棒グラフを示す。
図7】本発明の種々の実施形態に従った、メタンレベルが上昇している年齢別の患者の集団を示す棒グラフを示す。
図8】本発明の種々の実施形態に従った、ガス検出デバイスの側面図を示す。
図9】本発明の種々の実施形態に従った、ガス検出デバイスの上面図を示す。
図10】本発明の種々の実施形態に従った、ガス検出デバイスの上面図を示す。
図11】本発明の種々の実施形態に従った、呼気検査方法を示すフローチャートを示す。
図12】本発明の種々の実施形態に従った、本技術を用いた一例示的研究の対象の人口統計を示す表を示す。
図13】本発明の種々の実施形態に従った、HSの存在または不在に基づく、症状の比較を示す表を示す。
図14】本発明の種々の実施形態に従った、本明細書に開示される4ガスデバイスの一例を用いた呼気検査結果を示す表を示す。
図15A】本発明の種々の実施形態に従った、従来の呼気検査機器と比較した4ガスデバイスの一例の比較データ、特に、Hレベルに基づくデバイス間の相関を示すグラフを示す。
図15B】本発明の種々の実施形態に従った、従来の呼気検査機器と比較した4ガスデバイスの一例の比較データ、特に、≧10ppmのCHレベルに基づくデバイス間の相関を示すグラフを示す。
図16】本発明の種々の実施形態に従った、本開示の技術を用いた一例示的研究におけるHS陽性対象の下痢の重症度を示す棒グラフを示す。
図17】本発明の種々の実施形態に従った、一例示的研究に使用した本開示に従った4ガスデバイスの一例によって明らかになった陽性呼気検査の重複パターンを示すベン図を示す。
図18A】本発明の種々の実施形態に従った、本開示の技術を用いた一例示的研究の呼気検査の散布図、特に、局所回帰線によるH検出を示す。
図18B】本開示の技術を用いた一例示的研究の呼気検査の散布図、特に、局所回帰線によるCH検出を示す。
図18C】本開示の技術を用いた一例示的研究の呼気検査の散布図、特に、局所回帰線によるHS検出を示す。
図19A】本発明の種々の実施形態に従った、本開示の技術を用いた一例示的研究から、CH及びHSの存在に基づく呼気検査により示唆されたH消費の棒グラフを示す。全ての対象を示す。
図19B】本発明の種々の実施形態に従った、本開示の技術を用いた一例示的研究から、CH及びHSの存在に基づく呼気検査により示唆されたH消費の棒グラフを示す。異常値を除去している。
図20A】本発明の種々の実施形態に従った、本開示の技術を用いた一例示的研究から、CH及びHS陽性対象のベン図を示す。
図20B】本発明の種々の実施形態に従った、HSの存在下での、下痢の重症度に対するCHの影響を示す棒グラフを示す。
【0022】
図面において、理解しやすさ及び利便性のため、同じ参照番号及び任意の頭文字は、構造または機能が同じかまたは同様である要素または行為を同定する。任意の具体的な要素または行為についての説明を容易に同定できるよう、参照番号における最上位桁は、その要素が最初に紹介されている図面番号を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
他に特段に定義されない限り、本明細書において用いる技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって広く理解されているものと同じ意味を有する。Szycher’s Dictionary of Medical Devices CRC Press,1995は、本明細書において用いる多数の用語及び句について有用な指針を提供する可能性がある。当業者には、本発明の実現において用いられてもよい、本明細書に記載されるものと同様または等価な多数の方法及び材料が認識されるであろう。事実、本発明は、具体的に説明する方法及び材料にいかなる方式でも限定されることはない。
【0024】
いくつかの実施形態では、本発明のある特定の実施形態について説明及び特許請求するために用いられる、寸法、形状、及び相対的ポジションなどの特質は、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。
【0025】
以下に本発明の様々な実施例を説明する。以下の説明は、これら実施例を十分に理解しかつその説明を可能にするための、具体的詳細を提供する。しかしながら、関連分野の当業者には、これら詳細の多くがなくても本発明が実現され得ることが理解されるであろう。同様に、関連分野の当業者にはまた、本明細書において詳述されない他の多数の明白な特徴を本発明が含んでいてもよいことも理解されるであろう。加えて、関連する説明を不必要に妨げることを避けるため、いくつかの周知の構造または機能は、以下に提示または詳述されない可能性もある。
【0026】
以下に用いる専門用語は、本発明のある特定の具体的な実施例の詳細な説明と共に用いられている場合であっても、その最も広い妥当な様式で解釈されるべきである。実際には、ある特定の用語が以下において強調すらされる可能性がある;ただし、何らかの制限された様式で解釈されることが意図される専門用語は、この詳細な説明の項において明白かつ具体的にそのように定義される。
【0027】
上述のように、ある特定の食物の消費は、ガス生成の増加につながることが示されており、ガス生成の増加は、SIBOを含む種々の病気につながる。しかしながら、各個人における過剰なガス生成を担う正確な食物及び量を決定することは困難である。例えば、SIBOを検査するために、個人は、ガスの検査のためにラボに来るか、またはバッグに息を入れて分析のためにそれを送らなければならない。そのため、多くの異なる食事及び長期間にわたって、患者の呼気を検査することは実際的ではない。
【0028】
したがって、腸内ガスは、孤立したケースで、通常は、所定の糖分の多い食事の後に検査しなければならないため、ほとんどの個人は、具体的な食品、量及び時間に対するSIBOまたはその症状を決定するかまたは相関させることができない。したがって、過剰なガス生成につながる可能性がある食物消費パターンについての結論をもたらすために、特定の個人において生成されたガスの十分な情報を取得するのは困難である。したがって、患者が種々の食事及び時点後に検査するために使用することができ、同時に、検査前に消費された食事の時間及び内容についての情報のログを取ることができる、ポータブルSIBO検査測定器の必要性がある。
【0029】
頻繁に使用することができるデバイスは、呼気及び関連する細菌レベルを頻繁かつ一貫してモニタリングするシステムをユーザーに提供する。この情報及び適切なデータ分析により、ユーザーは、次いで、彼らが食べる食物とSIBO症状及びガスレベルとの間の相関を発見することができる。
【0030】
したがって、患者の呼気から吐出される腸内ガスを便宜的に検査するガス検査デバイス(例えば、ポータブルSIBO検査測定器)のためのシステム及び方法が開発されている。これらのデバイスは、スマートフォンまたは他のデバイスを、ユーザーが消費した食物に関するデータを記録することができるアプリケーションまたは他のソフトウェアと統合する、携帯用測定器の形態であってもよい。
【0031】
加えて、臨床グレードの検査デバイスを用いてガスを正確に検査するためのシステム及び方法が開発されている。いくつかの例では、これは、吐出した息がマニホールドのチャネルを通して流れる際にその温度を維持するためのマニホールドを用いるシステムを含む。いくつかの例では、システムは、吐出した息がマニホールドのチャネルを通して流れる際にその含有量を検査するプローブを有するガスセンサーを使用する。いくつかの例では、システムは、プリント基板に接続されたサーミスター及び抵抗発熱体を利用して、チャネル及び/またはマニホールドを加熱し、体温を上回る温度で呼気を維持し、センサーを損傷する、またはガス濃度の読み取りにバイアスをかける結露または湿気を防ぐことができる。
【0032】
システムは水分を除去するための乾燥剤、吸着剤または他の吸収技術を必要としないため、これは特に有利である。加えて、湿度レベルはより一貫しているため、マニホールド全体を通してより正確な読み取りが可能になり、より多数のセンサー、例えば、CO、H、CH、及びHSセンサーを含む4つ全ての呼気センサーを利用することができるため、4つ全てのガスを一度に検査することができる。いくつかの例では、マニホールドとセンサーの統合により、有利なことに、同じデバイスで同時に4つ全てのガスを測定することができると共に、正確かつ一貫した読み取りを得ることができる。
【0033】
呼気取り込みデバイス
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される呼気サンプリングシステムは、流れを測定し、ガスのレベルを測定する構成要素にガスを向ける呼気取り込みデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、これらは、チューブまたは他の構造を含み得る。別の例では、デバイスは、水晶振動子を含み得る。別の例では、ガス容量は、比色分析法を介して、及び/または、酸化スズによって測定され得る。別の例では、デバイスは、特定のガスを検出するために、個々のカートリッジを含み得る。例えば、デバイスは、CO、CH、及び/またはHS用の個々のカートリッジをそれぞれ含み得る。デバイスが複数回使用(例えば、300回の読み取り)の間及び/または所定の時間(例えば、1~2年)の間耐え得るように、カートリッジは、使い捨てであってもよい。別の例では、各使い捨てカートリッジは、複数回の使用(例えば、10~50回の読み取り)の間及び/または所定の時間(例えば、1~3ヵ月)の間耐え得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるデバイス及び方法は、水分及び流れの変化及びガスの分圧が結果を歪めることを防ぐ、流量制御及び水分制御モジュールを含み得る。これは、いくつかの実施例では、デバイスのチャネルを体温を上回る温度に加熱する発熱体を含み得る。加えて、デバイスは、逆流防止機構を含み得るため、吐出された空気は逃げず、検査用に隔離されたままである。空気湿度を一貫したレベルに調整するか、またはセンサー交差感度が存在する場合には水分を全て除去するか、または一般的な湿気混入を防ぐために、水分制御は、流量調整弁の前または後に含まれ得る。
【0035】
次いで、二酸化炭素センサー(流量センサーと連携して動作し得る)が、空気に曝露され、デバイスを通過している肺の空気容量を定量化する(吐出された空気は、名目上、4%COであり、SIBOレベルによって大きく影響されない)。
【0036】
ポータブル水素デバイス
いくつかの実施形態では、小型のポータブルデバイスを開示する。いくつかの実施形態では、ポータブルデバイスは、Hを測定するために電気化学センサーを利用してもよく、CO検出などの正規化方法も有してよい。いくつかの実施形態では、デバイスは、ブルートゥース経由でスマートフォンと通信して、それにデータを送信し、USB、携帯、または他の接続が、そのデータを送信して、処理し、表示する。いくつかの実施形態では、デバイスに物理的に取り付けるアイフォンアタッチメントとして、デバイスを構築することもできる。
【0037】
ポータブル臨床デバイス
いくつかの実施形態では、耐久性がありかつ再利用可能なセンサーを用いて、CO、H、CH、及びHSを検出することができる、臨床グレードの携帯用分析デバイスを利用してもよい。いくつかの実施形態では、デバイスは、充電式電池から動作してもよい。いくつかの実施形態では、COは、NDIR電池を用いて検出することができ、HSは、燃料電池センサーにより検出することができた。Hは、いくつかの実施形態と同様に、Alphasense社製の電気化学電池または等価物により検出することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、デバイスは、ブルートゥース経由でスマートフォンアプリケーションに接続して、データをアップロードすることができる。このデータは、スマートフォン、及び医療従事者と結果を共有する能力も有するクラウドサーバーの両方で処理される。デバイスは、ユーザー入力、例えば、タイムスタンプ付きの活動及び臨床的に関連する症状も受け入れる。
【0039】
完全臨床デバイス
いくつかの実施形態では、CO、H、CH、及びHSを高精度で検出することが可能な臨床医療デバイスを開示する。デバイスは、電気化学センサー、ガスクロマトグラフ、イオン移動度分光分析器、TDLS、またはフレームイオン化検出器、またはこれらの技術もしくは他のものの組み合わせを使用し得る。他のデバイスと同様に、読み取りは、試料が検出器を通過したすぐ後に入手可能になる。これらの包括的センサー技術の一部は、高価になる場合があり、試料が送られる一元化ツールであることがより受け入れやすい。
【0040】
本実施形態では、患者は、呼気収集器に息を吹き込むか、または代替の実施形態として、患者が息を吹き込むことによって予め充填したバッグを臨床医が接続器またはガス流入口に取り付けることができる。分析後、データは印刷されるかまたはPCに送信され、臨床医は、パージガス(例えば、呼気の再較正及び/または除去用)をデバイスに通すことを要求される場合がある(例えば、不活性窒素、または、正確なHS、H、CO及びCH濃度を有する別のガス)。
【0041】
コンピューターアプリケーション
本明細書に開示されるデバイスは、食物の消費に関するデータを入力及び保存することができ、及び/または、種々の構成要素、加熱システム、流量モーター及び測定器及び他の構成要素を動作させる指示で構成される種々のコンピューティングデバイスとインターフェースし得る。ホームデバイス及び臨床デバイスの両方に不可欠なツールは、スマートフォンアプリケーションまたは他のソフトウェアプログラムの形式で、関連するソフトウェアアプリケーションである。デバイスは、ブルートゥース経由でスマートフォン、またはハードウェアのいずれかに接続し、データ送信することができる。アプリケーションは、インターネットに接続して、アップデート、クラウドデータストレージ、または情報処理のいくつかの組み合わせを行う。臨床バージョンは、専用タブレットとセットアップして、デバイスに配線されて、結果を表示し、処理する。
【0042】
家庭用デバイスの場合には、ソフトウェアを実装して、食生活がどのように患者のSIBO読み取りに影響を及ぼし、患者の食生活をどのように変えるべきかに関するデータから、患者が自ら選択及び結論を下すのを助けることができる。患者が理解することができる方法で活動(例えば、摂食)を測定値と結びつけることも重要である。これらの必要条件は、重大な技術的リスクではない。本実施形態による多くのデバイスが今日設計されており、多くのエンジニアはそのようなプロジェクトが可能である。
【0043】
いくつかの例では、ソフトウェアは、デバイス内のガス流路の温度調節のために閉ループ制御を維持する種々の制御論理を含み得る。これには、空気を加熱することができる種々の発熱体を有する、臨床または携帯用デバイスの種々のマニホールドまたはパイプが含まれ得る。
【0044】
患者からのデータの取得方法
種々のプロトコルを利用して、患者がガスをいつ検査するか、並びに患者が検査後に入力する症状及び食事情報は何か、を決定してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、患者は、SIBOの症状を感じた時にのみ、デバイスを使用してもよい。これらの実施形態では、アプリケーションのユーザーインターフェースは、予め定められた症状のカテゴリー、例えば、膨満感、便秘、下痢など、のうちのどれをユーザーが経験しているかについて、患者に尋ねてもよい。
【0045】
次いで、アプリケーションは、患者がどのような種類の食物を過去12時間、6時間、4時間、20分、またはSIBOガス生成の観点から他の関連する時間枠以内に摂取したかについて要求してもよい。いくつかの実施形態では、システムは、食物及び量のある特定の予め定められたカテゴリーを有する。例えば、プログラムは、糖ベース、脂質ベース、またはタンパク質ベースの食品カテゴリーを有し得る。他の実施形態では、プログラムは、データベース中で、SIBOに関連するある特定の栄養価または成分とつながる食品カテゴリーの指標を有し得る。例えば、食物ごとの糖の種類、例えば、グルコース、スクロース、ラクトースなどが示され得る。
【0046】
システムは、メモリー内のデータを要求及び保存してもよく、データは、サーバーと共有されてもよく、またはローカルに保存されてもよい。いくつかの実施形態では、アプリケーションは、性別、身長、体重、年齢、及びSIBO関連の特徴を含む情報についてユーザーに尋ねる。この情報をクラウド内で利用して、同様の患者の摂取と、関連するガスとを相関させてもよい。加えて、特定の患者は、特定の組み合わせまたは種類のガスを生成し得る、またはある特定のプロファイルの細菌を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、患者は、ある特定の物質に応じて生成されたガスを検査するために、ラクツロースまたはグルコース呼気検査を受けてもよい。介護者はまた、患者の息の中のメタン濃度を決定するために、1時間、2時間または他の特定時間にわたって食を断つように患者に指示してもよい。
【0048】
SIBO及び他の相関のデータ分析
いくつかの実施形態では、データを一旦取得すると、患者ごとに分析のためにログに記録し得る。他の実施形態では、プロセッサーまたは関連する制御システムが、データを分析し得る。例えば、デバイスは、ある特定の食物、時間、及び/または呼気に対して相関する症状のパターンを見ることができる。例えば、いくつかの実施形態では、システムは、特定のガスレベル(例えば、異常だと知られている閾値レベルを超えるか、またはシングルではなく特徴的なダブルスパイクを有する)と、一定の時間内におけるある特定の種類の糖のある特定の量の摂食とを相関させ得る。いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムを利用して、所与の患者について、SIBOに最適な病態の種類を一致させる。
【0049】
他の実施形態では、相関は、より直接的でもよく、SIBO症状の頻度と、予め定められた時間枠内におけるある特定の種類の食物の摂食との相関でもよい。他の実施形態では、システムは、ある特定の食物の摂食後のある特定の時間枠内の、例えば、H、HS、またはCHの平均レベルまたはレベルのピークを相関または決定することができる。システムは、次いで、ある特定のクラスの食物(例えば、スクロースを含有する食物)が、予め定義された閾値を上回る、ある特定のガスまたはガスの組み合わせのスパイクをもたらすかどうか決定することができる。他の実施形態では、システムは、ある特定の種類またはクラスの食物の摂食後のガスレベルの平均及び標準偏差のグラフを出力することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、システムは、経時的な、またはラクツロースまたはグルコースレジメンを受けた後の、水素変化のレベルを相関させ得る。加えて、システムは、本明細書に開示されるように、糖及びラクツロースの摂取前後に水素及びメタンの両方をさらに検査して、症例における濃度の変化を検出し得る。次いで、システムは、データを処理して、メタン較正された水素変化を決定することができる。その後、システムは、患者の現在のメタン生成に対して水素の変化を較正して、患者がSIBOを有するかどうかのより正確な兆候を決定することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、システムは、データをチャートの形式で出力し、ユーザーは、簡単かつ便利な方法で、ガスレベルと関連する食物を分析することができる。いくつかの実施形態では、食物を、それらがもたらすガス生成の増加量の観点からランク付けすることができる。
【0052】
したがって、ある特定の食物の消費は、ガス生成の増加につながることが示されており、ガス生成の増加は、SIBOを含む種々の病気につながる。しかしながら、各個人における過剰なガス生成を担う正確な食物及び量を決定することは困難である。例えば、SIBOを検査するために、個人は、ガスの検査のためにラボに来るか、またはバッグに息を入れて分析のためにそれを送らなければならない。そのため、多くの異なる食事及び長期間にわたって、患者の呼気を検査することは実際的ではない。
【実施例
【0053】
以下は、本開示に従って利用され得る種々のデバイスの実施例である。これらの実施例は、限定することを意図するものではなく、患者の呼気を効率的に検査するために採用され得る種々の特徴及び方法の実施例を提供するだけである。
【0054】
図1A~1Bは、モバイルデバイス110に取り付けられ得るガス検出デバイス100の実施形態の一例を示す。デバイスは、モバイルインターフェース130を含み、これは、アイフォン、ブラックベリー、他のモバイルフォン用の任意の標準モバイル接続、例えば、標準ジャック(図示)であり得る。いくつかの実施形態では、接続は、ブルートゥース、Wi-Fiまたは他の無線接続である。
【0055】
デバイスはまた、図1Bに描かれる格納式マウスピース120または他の適切な呼気収集デバイスを含む。いくつかの実施形態では、マウスピース120への接続部により、マウスピース120を取り外すことでき、ガス検出デバイス100の内側の位置へ接続部を回転させることができる。マウスピースは、本明細書に開示されるように、呼気を捕捉して検査するための臨床または他のシステムで利用され得る。いくつかの実施形態では、マウスピース120は、個別に保管または交換することができる。これにより、マウスピースを衛生的に保つことができ、呼気検査ごとに簡単に接続することができる。
【0056】
図2は、マウスピース120及び流量計210を含むガス検出デバイス100の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、ガス検出デバイスは、比色ベースのガス検知技術によるテストストリップ220を利用する。いくつかの実施形態では、テストストリップ250は、ガス検出デバイス100の開口またはスロット230に挿入される。デバイスは、ガスレベルを示すディスプレイまたはインジケーター240を含み得る。いくつかの実施形態では、テストストリップ220は、ディスプレイ240であるガラスまたはプラスチックの透明なウィンドウの背後に見ることができる。
【0057】
患者がマウスピース120に息を吹き込むと、流量計は、適切な息の強さに関するフィードバックを患者に提供する。その後、テストストリップは、患者の呼気に含まれるガスの量に基づいて、色が変化し得る。したがって、光学式読取器は、色変化をガス濃度に変換することができるか、または、患者は、色変化を視覚的に検査することによって、定性的または定量的評価を得ることができる。いくつかの実施形態では、テストストリップは、患者がSIBOまたは別の病態の指標であるガスを有するかどうかの閾値表示(例えば、どちらかというとバイナリーまたは基本的な測定)を提供する。他の実施形態では、正確なガスレベルが検出され、保存される。
【0058】
図3A~3Bは、吐出した息を検査チャンバー及びマウスピース120に向けるための回転可能な呼気収集器310を含むガス検査デバイス100の実施形態を示す。本実施形態は、検査の結果を表示するディスプレイ240を含む。図3Bは、外側に回転して、患者がマウスピース120に息を吹き込むことができ、かつ、呼気収集器310が次いで呼気を収集することができる位置に配置された、呼気収集器310を示す。図示するように、呼気収集器310が外側に回転した後、マウスピース120を取り付けることができる。この回転により、使用していない間、呼気収集器310の通路をアクセスできないように保護されたままにすることができ、デバイスをコンパクトに保つことができる。これらの態様は、本明細書に開示されるように、臨床または卓上の呼気検査システムに追加してもよい。
【0059】
図4は、呼気収集器310及びディスプレイ240を含む臨床ガス検査デバイス100の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、臨床ガス検査デバイス100は、より大きな検査チャンバーを含み得、より正確かつ精密な検知技術を採用する。いくつかの実施形態では、臨床ガス検査デバイス100は、患者からの呼気の検査チャンバーをパージするためのパージキャニスター410を含み得る。これにより、使用後に毎回、チャンバーをベースラインのガスレベルから再較正することができる。いくつかの実施形態では、キャニスター410及び呼気収集器310は、使い捨て部品であり、図4に示すように、使用ごとに個別に包装される。いくつかの実施形態では、臨床ガス検査デバイス100は、加熱されるかまたは、湿度またはガス温度が結果に影響を及ぼすことを防ぐために直接加熱されたガスを通路内に有する、パイプまたはマニホールドを含み得る。
【0060】
図5は、本明細書に開示されるような、種々のガス検出デバイス100を利用する患者の呼気を検査する方法の実施形態を示す。例えば、まず、呼気を収集し(510)、検査チャンバーに向ける。いくつかの実施形態では、流量計及びポンプは、検査チャンバーを通って経路付けられている呼気の流量を制御することができる(520)。これにより、関連するガスの分圧を一定に保つことができ、またはそれ以外の場合、結果の精度を増すことができる。その後、水分もまた制御されて(530)、例えば、本明細書に開示されるような発熱体を利用するガス検出技術に基づく種々の理由で引き起こされ得る不正確なセンサー読み取りを回避し得る。
【0061】
その後、いくつかの実施形態は、吐出された息の量に対するプロキシーとして使用し、呼気レベルをCOの量に相関させるための、二酸化炭素センサー(540)を含む。いくつかの実施形態では、COの量またはガスの濃度を相関させて、空気をどれくらい長く肺に保持するか決定することができる。その後に検出された関連するガスのレベルは、適切な比に従って調整することができる。
【0062】
二酸化炭素の検査後(または同時または事前)、臨床的関連性を有する他のガスレベルを検知し得る(550)。例えば、システムは、次いで、H、CH、及び/またはHSを検査し得る。加えて、逆流を防いで(560)、任意のそのようなデバイスで検査を一旦開始した後の濃度の変化を防ぐ。最終的に、検査後、呼気をパージして、デバイスを再較正し得る(570)。いくつかの実施形態では、公知の濃度(複数可)及び/または公知の流量(複数可)でガス(複数可)のキャニスターでデバイスをパージすることで、再較正を行う。他の実施形態では、ファン及びドアを開放して、周囲の空気をデバイスに入れることができる。
【0063】
実施例:メタン較正された水素レベル
ラクツロース呼気検査は、小腸内細菌異常増殖症(SIBO)の診断にますます使用されるようになっている。過去10年間において、特に便秘の文脈において、検査している呼気中のメタンの重要性についてデータが蓄積されている。メタンの生成中、腸内のメタン生成古細菌は、4つの水素(H)ガス分子を利用して、1つのメタン(CH)を生成する。化学量論に基づいて、呼気検査における水素レベル(したがって、呼気検査の解釈)は、検出可能なメタン(したがって、メタン生成菌)が存在する場合には影響を受ける可能性がある。本発明者らは、大規模呼気検査データベースの研究を行って、水素結果の解釈に対するメタンの効果を決定した。
【0064】
ラクツロース呼気検査のために2005年11月~2013年10月までの間の三次医療センターに来院した継続患者は、調査の対象であった。呼気検査の場合、対象は、12時間の絶食後に来院した。ベースライン呼気試料採取後、10gのラクツロースを投与し、続いて、15分ごとに最低でも90分間、呼気を試料採取した。次いで、Quintron SCまたはBreathtracker(商標)ガスクロマトグラフ(Quintron Instrument Co.,Milwaukee,WI)で呼気試料を分析し、COの補正後に水素及びメタンを測定した。呼気メタンは、検査中のいずれの時間でも、≧3ppmとして定義した。残りの対象は、非メタン対象と見なした。非ガス生成者であった(検査中のいずれの時間でも、水素もメタンも、≧3ppmではなかった)場合には、対象を除外した。水素とメタンの相互作用は、メタンと非メタンの呼気検査を比較することによって調べた。
【0065】
この期間中、合計で14,847人の呼気検査を実施し、そのうち、804人(5.4%)が非メタン、非水素生成者であった。残りの14,043検査(71%女性、平均年齢=47.4±18.3歳)のうち、2412人(17.2%)は、メタンが陽性であった。SIBOと一致するH変化を解釈するために60分または90分を使用したかどうかに関係なく、メタンの呼気検査は、呼気Hが有意に低かった(表1及び図6を参照されたい)。60または90分の呼気検査解釈について、ベースラインからの水素生成の変化を調べると、非メタン呼気検査と比較して、メタンの呼気検査は、ベースラインからの水素の上昇も低かった(表1及び図6)。さらに、非メタン対象(55.7%)と比較して、メタン生成者(23.1%)においてSIBOと見なされるHの上昇が≧20ppmを満たす呼気検査は、有意に少なかった(OR=0.20、95% CI=0.18~0.22)(図6)。
【0066】
(表1)
【0067】
結果に基づいて、メタンの存在は、水素レベルの有意な低下と関連し、細菌異常増殖症の同定のための呼気検査における水素の解釈を劇的に変化させる。これらの知見に基づいて、臨床報告及び調査研究におけるメタン生成を報告することが不可欠である。
【0068】
メタンの絶食時呼気検査
過剰なメタン生成は、便秘及び膨満感と関連し得る。メタン生成菌の根絶及びメタン生成の減少はそのような症状を改善させることが示されている。2015年米消化器病週間での最近のコンセンサス会議において、標準2時間呼気検査中のメタンレベル≧10百万分率(ppm)は、過剰なメタン生成のカットオフと見なされた。水素ガスと異なり、過剰なメタンを有する患者は、絶食状態において、高レベルのメタンを排出し続ける。
【0069】
そのため、メタンの単回絶食時測定の精度を、至適基準としてのラクツロース呼気検査と比較した。研究を行うため、2005年11月から2013年10月までの14847人分の連続ラクツロース呼気検査(71%女性)のデータベースを三次センターで開発した。確定的記録リンケージを行い、12183人の対象の反復研究を除外した。全ての対象で、12時間の絶食後、吐出されたメタン、水素、及び二酸化炭素を測定した。患者は、ラクツロース(10g)を投与され、測定を15分ごとに少なくとも2時間繰り返した。
【0070】
研究の任意の時点で、メタンレベル≧10ppmが検出された場合(至適基準)には、患者は、過剰なメタン生成者として分類された。種々の絶食時メタンレベルの検査特徴を至適基準と比較した。感度>95%及び特異性>98%は、検査性能について演繹的に選択された。Fisherの正確検定を使用して、比較した。結果:12183人の対象のうち、1891人(15.5%)が、過剰なメタン生成者(68.5%女性;平均年齢51.9±17.7;年齢範囲3~97歳)であった。これらの患者を識別するための種々の絶食時メタンレベルの精度を表1に示す。全ての単一絶食メタン測定はうまくいったが、それぞれ96.1%、99.7%、98.5%及び99.3%の感度、特異性、陽性適中率、及び陰性適中率(NPV)で、カットオフ≧5ppmを選択した(表2及び3)。検査の性能は、年齢または性別によって統計的に交絡しなかった(表4)。
【0071】
これまでに分析されたラクツロース呼気検査の最大データベースでは、吐出されたメタンの単回絶食時測定は、高感度であり、完全なラクツロース呼気検査と比較して、過剰なメタン生成者の識別に特異的である。このアプローチにより、コストを大幅に減少させ、研究時間を短縮し、ラクツロース摂取と関連する面倒な症状を省くことができる。年齢及び性別は、絶食時メタンレベルの精度に影響を及ぼさない。
【0072】
(表2)至適基準検査と比較した、種々の単回絶食時メタンレベルの検査特徴
*10ppm以上の単回メタンレベルは、メタン陽性の至適基準検査を満たす。CI:信頼区間;NPV:陰性適中率;PPV:陽性適中率。
【0073】
(表3)至適基準検査と比較した、絶食時メタンレベル≧5ppmの2×2分割表
【0074】
(表4)信頼区間が重複している、性別及び年齢に基づいた、絶食時メタンレベル≧5ppmのロバスト性能
【0075】
メタン生成及び年齢
過剰なメタン生成が便秘及び膨満感と関連し得る臨床的証拠が次々と挙がっている。メタン生成菌の根絶及びメタン生成の減少はそのような症状を改善させることが示されている。ヒト研究では、腸管のメタン生成菌コロニー形成は、小児期を通じて増加するが、青年期にピークに到達する。しかしながら、メタン生成の人口統計学的決定要因を探索するための大規模研究は欠いている。
【0076】
単一施設において2005年11月から2013年10月まで行った、14,847人の連続ラクツロース呼気検査からなるデータベースを開発した。誕生日、カルテ番号、姓及び名を用いて、確定的記録リンケージを行い、反復研究を除外した。したがって、合計で12,183人分の呼気検査を6つのカテゴリーに分類した:1-正常:最初の90分以内で、メタンレベル<3百万分率(ppm)及び水素レベル<20ppm。2-水素陽性:90分以内で、メタンレベル<3ppm及び水素レベル≧20ppm。3-メタン陽性:メタンレベル≧3ppm及び水素<20ppm。4-水素及びメタン陽性:90分以内で、メタンレベル≧3ppm及び水素レベル>20ppm。5-平坦:メタン<3ppm及び水素≦3ppm、120分以内の変動≦1ppm。6-多義的:ラクツロースの摂取前に、ベースラインで水素レベル>20ppm、及びメタン<3ppm。
【0077】
14,847人の呼気検査対象のうち、ほとんどは、女性(71%)であった。呼気検査時点での平均年齢は、46.9±18.3歳(範囲2~101)であった。呼気検査結果の各カテゴリーの割合を表1に表す。男性対象は、過剰な量のメタンを生成する可能性が極めて高かった(18.21%対16.07%、p<0.01);しかしながら、2つの性別間に他の有意差は存在しなかった。性別及び水素生成に関わらず、異常に高い量のメタンを生成するものは、非メタンガス生成者よりもかなり年配であり、平均年齢は、52.3歳、年齢差は、5.8歳であった(p<0.01)。多義的な群は、最年少群であり、平均年齢は、34.8歳であった(p<0.01)。メタン生成についての罹患率は、図7に示すように、年齢と共に増加するように思えた。
【0078】
これまでに分析されたラクツロース呼気検査の最大データベースでは、呼気検査におけるメタンガスについての罹患率は、年齢と共に5倍以上に増加し、最も高い年齢群は、最も高い罹患率のメタン生成者を有する。この知見により、なぜ年齢が便秘の公知の危険因子であるかを説明し得る。最終的に、およそ2%の差により、男性は、メタン生成者になる可能性が女性よりも僅かであるが有意に高く、その臨床的意義はまだ決定されていない。
【0079】
(表5)呼気検査カテゴリーの割合
【0080】
実施例:マニホールドを有する呼気システム
いくつかの例では、単一デバイスを有する多重センサーを用いた多数の呼気、及び患者からの1呼気試料の濃度を決定するためのシステム及び方法を開発した。例えば、患者がSIBOを有するかどうかの信頼性のある決定は、本明細書に開示される理由のために、CO、H、HS、及びCHガスの各々を検査する必要があり得る。したがって、患者からの単回呼気によりこれらのガスの各々を測定することが、これら濃度を決定して診断アルゴリズムを適用するための最も効率的で正確な方法であろう。
【0081】
しかしながら、多重センサーを用いて複数のガスを検査することができるシステムを開発することは、種々の理由のために困難である。例えば、吐出された患者の息は、典型的には、水で完全に飽和され、100%の相対湿度を含有する。このため、この呼気が室温検査デバイスを通過すると、少なくとも一部の水が、それが接触するデバイスの表面上で凝結する。これは、複数の理由のために問題であり、例えば、ガス濃度の検査に使用したいくつかのセンサーは湿度に敏感であり、これは読み取りにバイアスをかける。加えて、結露は、ある特定の種類のセンサーを損傷させる可能性がある。
【0082】
したがって、吐出された空気がセンサーを通過する前に湿度を除去して、正確な読み取りを確保するため、一部の以前のデバイスは、乾燥剤または他の吸収剤(例えば、最初に水分を除去するための活性化アルミニウムベッド)を利用した。しかしながら、吸収材料を用いることは、多数の理由のために有利ではない:例えば、(1)吸収材料を定期的に交換する必要がある、(2)1回の各呼気で吸収された水分量は、吸収剤が飽和状態になると変化し、特に、硫化水素のような低濃度のガスの場合に較正問題を生じる、及び(3)呼気を吸収材料に最初に通過させる空間が存在するように、前記マニホールドに(及び呼気の)余分な容量が必要となる。
【0083】
さらに、吸収材料は、ある特定のガスを実際に吸収し得る。例えば、HSは、乾燥剤を含むある特定の吸収材料により吸収されることが知られている。したがって、乾燥剤を利用することは、特に、HSを含む複数のガスを検査するシステムに有利ではない。
【0084】
したがって、吸収技術を使用せずに呼気中の複数のガスを検査するシステム及び方法を開発した。いくつかの例では、これは、吐出した息がマニホールドのチャネルを通過して流れる際に、吐出した息の温度を維持するためにマニホールドを使用するシステムを含む。本実施例では、ガスは、少なくとも体温またはそれ以上に加熱し、呼気中の水分の結露を回避する。これにより、乾燥剤または他の吸収技術を使用する必要性を防ぐ。さらに、一部の電気化学センサーは、高温でより高感度であるため、ある特定の温度範囲(例えば、40℃及びそれ以上)に加熱する場合に、正確な読み取りを取得するために要する時間が短くなり、本明細書に記載される理由のために有利である。
【0085】
さらに、デバイスは、センサーが較正されたら正確な測定値を確実に取得するように、一貫した温度及び流量で呼気を維持しながら、それらをデバイスで検査しなければならない。これは、呼気中に存在する他のガスと比較して、比較的低濃度(例えば、9~10ppb)を有する、HSなどのガスにとって特に重要である。さらに、患者が吐出した試料用のガスの総容量は比較的少ないため、複数のガスセンサー(例えば、本明細書に開示されるように、3つまたは4つのガスセンサー)を必要とする場合には、各センサーのセンサープローブにガスが接触するためにより長いガス流路が必要となるため、一貫した温度及び流量を維持することは困難であり得る。
【0086】
いくつかの例では、高い熱伝導率を有する金属マニホールドを利用して、チャネルを通過するガスの温度を狭い範囲内で維持することができ、これは、本明細書に開示されるように、温度制御素子(例えば、サーミスター及び発熱体を有するPCB)を用いて制御される。さらに、センサーごとにガス流路を並行チャネルに分割するのではなく、直列にセンサーを導入する単一チャネルを利用する場合には、必要な総容量は少ないため、十分なガスがセンサーを通過して、開示された温度範囲で正確な読み取りを記録することができる。
【0087】
いくつかの例では、チャネルを、上部及び下部にセンサーを取り付けた2つのチャネルに分割することができ、複数のセンサー(例えば、2つ、3つ、4つなど)を短い距離内でチャネルに導入することができる。しかしながら、本発明者らは、場合によっては、ガス流路を並行チャネルに分割することは、一部の構成において、必要とするガスの量が多すぎることを見出した。
【0088】
加えて、いくつかの実施例では、メタンセンサーは、一定流量及び温度を必要としない場合があるため、マニホールドから分離されており、パイプまたは他のガス流路でマニホールドチャネルと接続された、比較的大型でかつ正確なメタンセンサーを利用してもよい。
【0089】
一定流量が必要とされるため、センサーが正確な読み取りを取得するのが早い程、必要なガスの容量は少なくなる。したがって、いくつかの実施例では、バッフル、バンプ、または他の部分閉塞を利用して、プローブを測定するセンサーの各々または一部に隣接する流れに乱流を導入する。これは、ガス交換時間の増加を提供し、したがって、必要な吐出された空気の総容量が少なくて済む。
【0090】
したがって、これらの特徴が一緒になって、単回呼気の空気または少ない容量の空気をシステムに導入して、乾燥剤を使用せずに、少なくともCO、H、HS、及びCHを測定し、安定かつ正確な読み取りを取得することができる。これにより、システムは、患者のSIBO状況及び他の潜在的な兆候を正確に評価することができる。
【0091】
4つ全てのガスの検出は、患者がSIBOを有するかどうかの全体像を決定し、関連症状を診断するために重要であり得る。例えば、2018年8月30日に公開された、「MEASUREMENT OF HYDROGEN SULFIDE DURING BREATH TESTING」と題された、国際特許公開第WO2018/154937号(その内容は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されるように、正常なH及びCHレベルを有すると特徴付けられる一部の対象は、HSについて検査陽性であった。本出願で参照される研究は、以下の実施例でより詳細に考察する。したがって、3つ全てのガスの検査は、患者の全体的な診断像を決定するために重要になる可能性があり、これは特に、HSの検査を含む。本明細書に記載されるように、先行技術システムは、これらの同じ特徴及び利点を有さない。
【0092】
図8は、患者から吐出された呼気の検査に使用したシステムの一例である。システムは、患者から吐出されたガスを受けるガス流入口820を含み得る。ガス流入口は、任意の適切なバルブまたは他のポートであり得る。いくつかの例では、流入口820は、本明細書に開示されるように、種々の呼気収集デバイスに接続されていてもよく、または、予め収集されたガスを有するバルーンまたはバッグに接続されていてもよい。
【0093】
流入口820は、マニホールド860を通ってガス流路810とガス連通してもよい。マニホールド860は、任意の適切な熱伝導性材料であってよく、ガス流路810は、マニホールド860を通って構築される。例えば、マニホールド860は、金属製であってもよく、ガスが流れるように構築されたチャネル、パイプ、または経路を有してもよい。いくつかの例では、マニホールド860は、ステンレス鋼から構築されていてもよい。いくつかの例では、マニホールド860は、銅で被覆されていてもよい。他の例では、マニホールド860は、ガス流路810を備えるパイプまたは他の適切な機械的部品であってもよい。いくつかの例では、マニホールド860は、熱抵抗性材料または絶縁体から作製してもよく、熱調節素子は、マニホールド材料を加熱することなく、ガス温度を直接維持してもよい。
【0094】
システムは、温度センサー及び発熱体を含む熱調節素子870を含み得る。いくつかの例では、熱調節素子870は、マニホールド860及び/またはガス流路810、及びマニホールド及び/または空気流路を加熱する種々の発熱体(例えば、抵抗膜)の温度を測定するサーミスターを含む、プリント基板であってもよい。
【0095】
いくつかの例では、発熱体は、別々のコイルの代わりに、プリント基板上に印刷されたトレースを含み得る。これにより、よりコンパクトな構築及びより安価な製造コストが可能になる。必要な温度範囲は、プリント基板の融点を下回るため、一般的には、損傷を引き起こすレベルを下回るため、プリント基板上のトレースを有利に使用することができる。
【0096】
いくつかの例では、熱調節素子870は、マニホールド860の異なる部分またはゾーンを個別に調節する複数の温度センサー及び発熱体を含み得る。例えば、以下のゾーン:(1)マニホールドの上部及び下部、(2)センサーの各々に隣接するゾーン、(3)マニホールドの前と後ろ半分、(4)センサー間のパイプ、流路、またはチャネル、を含み得るゾーンに対する個別の調節組み合わせ(温度センサー及び発熱体)であってもよく、あるいは温度許容度及び調節システムの感度に基づく他の適切な分布であってもよい。例えば、サーミスター及び発熱体は、ゾーンを最適に加熱するために、ゾーンの各々の中心または部分に配置されていてもよい。
【0097】
これらの異なる熱調節素子870は、個別のプリント基板、同じプリント基板の上に含まれてもよく、または、他の適切な制御システム及び接続を利用してもよい。いくつかの例では、熱調節素子870は、ガス流路810のガス温度を感知し、マニホールド860を加熱するかまたはガス流路810内のガスを直接加熱するように構成されていてもよい。
【0098】
素子は、閉ループフィードバックシステムを用いて、温度を調節するように構成されていてもよい。これは、構成要素上に形成される呼気からの結露を防ぎ、システムを摩耗させるかまたはガス濃度読み取りを不正確にさせることを防ぐために、体温(37℃)よりも高くなるよう温度を調節することを含み得る。いくつかの例では、システムは、40℃(最低温度)の閾値、または他の適切な閾値、例えば、最低温度として38℃、39℃または37℃を使用してもよい。いくつかの例では、熱調節素子870は、マニホールド及び/または通路内のガスの温度を、1℃、2℃の範囲内または他の適切な範囲(例えば、38~40℃、または40~42℃)に保ち得る。
【0099】
ガス流路810は、例えば、メタン(CH)、水素(H)、硫化水素(HS)、及び/または二酸化炭素(CO)を含む種々のガスを検知するための種々のセンサー800を含み得る。センサーは、電気化学センサー、レーザーベースセンサーまたは他の適切なセンサーであり得る。いくつかの例では、水素、硫化水素、及び二酸化炭素センサーは、電気化学ベースセンサーであり得、メタンセンサーは、マニホールド860の端または外側に配置されたレーザーベースセンサーであり得る。
【0100】
センサー800は、マニホールド860に組み込まれていてもよく、またはあるいは、システム内に配置され構築されて、センサーのセンサープローブ800が、ガス流路810を通って流れるガスを検出することができる。いくつかの例では、直線状またはほぼ直線状のガス流路810は、ガスがガス流路810を通過する際にガスを連続して検査する一連のセンサー800を含み得る。他の例では、ガス流路810は、個別のチャネルに分かれ、センサー800は、ガスを並行に、または、連続と並行との他の組み合わせで、検査することができる。
【0101】
いくつかの例では、ガス流路810は、上または下からのみ流路に入るセンサー800を有し得る。他の例では、センサー800は、ガス流路810の上部及び下部の両方に取り付けられ得るため、4つまたは3つ全てのセンサープローブ(または他の数のセンサープローブ)に必要な直線状または並行な流路810はより短くてもよい。
【0102】
いくつかの例では、システムは、ガス流路810を通して呼気を一定速度でポンプするためのポンプ840、例えば、ダイアフラムポンプ、及び流量計850を含み得る。一部のセンサー800は、正確なガス濃度の読み取りを記録するために、一定の較正流量を必要とするため、これは重要であり得る。
【0103】
加えて、システムは、ガス流路中のガスがシステムから出ていくガス排出口830を含み得る。いくつかの例では、読み取りを行った後、システムは、ポンプ840を作動させて、患者からの過剰な呼気から、ガス流路810をパージすることで、周囲の空気がガス流入口820を通して引き出され、ガス排出口830を通して排出される。いくつかの例では、これは、所定の時間、例えば、数秒、20秒、30秒、1分、または他の適切な時間枠での各読み取り後に自動的に起こってもよい。
【0104】
図9は、システムの一例の上面図を示す。本実施例では、熱調節素子870は、マニホールド860に隣接するプリント基板を含む。本実施例では、プリント基板は、マニホールド860の種々のゾーンを調節するために様々な位置に配置された種々のサーミスターまたは他の温度センサー及び発熱体を含み得る。図示するように、ガス流路810の部分は、パイプを含み得、他の部分は、マニホールド860中のチャネルであり得、またはマニホールド860は、それ自体が、パイプから構築されていてもよい。
【0105】
図10は、本開示に従った、呼気検知システムの一例の上面図または下面図を示す。本実施例では、ガス流路は、マニホールド860中のチャネルとして示され、マニホールド860は、金属または他の熱伝導性または抵抗性材料のブロックとして示される。本実施例では、センサー800は、ガス流路810に沿った連続位置で配置され、流路810に沿って、各センサー800に隣接するバッフルまたは部分閉塞1010を有する。他の例では、ガス流路810は、個別のチャネルまたはガス流路810に分割され、異なるセンサー800の各々は、ガス流路810にアクセスするプローブを有する。
【0106】
バッフルまたは部分閉塞1010は、ガスをセンサー800またはセンサープローブに向ける、いくつかの実施形態では、ガスの流れに乱流を導入する、バンプ、凹み、または他の形状または構成であり得る。他の実施形態では、乱流を生成することなく一定流量が依然維持されるが、ガスの主流は、バッフル1010を用いて、センサー800に向けられる。
【0107】
図11は、種々の濃度のガスについて患者の呼気を検査する方法の一例のフローチャートを示す。本明細書に開示されるように、これは、種々の理由または結果/出力のために、例えば、検出されたガス濃度に一部が基づくある特定の疾患、例えば、SIBOを有する患者を診断するために、行ってもよい。
【0108】
まず、システムは、患者から呼気を受けとり得る(1100)。これは、ノズル、バッグ、または他の適切なデバイスなどの呼気収集器からであり得る。次に、呼気は、マニホールドを通る流路中で加熱される(1110)。これは、種々の熱調節システムで、かつ、流路に沿った種々の位置で行われ得る。例えば、システムは、ある特定のセンサーまたは全てのセンサーに入る前に、吐出した息を加熱し得る。一例では、呼気を、最初に加熱した後、センサーに通過させ得る。
【0109】
他の例では、システムは、呼気を、ガス流路を通るその移動に沿って種々のポイントで加熱し得る。本明細書に開示されるように、種々のシステムを利用して、ガス流路を構成する構成要素を加熱してもよく(例えば、マニホールドを直接加熱する)、または、ガス自体を直接加熱してもよい。例えば、調節システムは、例えば、マニホールド860または赤外線温度センサーまたは他の適切な温度センサーを接触させたサーミスターを用いて、マニホールドの温度を検知し得る(1112)。
【0110】
次いで、このデータを利用して、温度センサーからのフィードバックに基づいて、システムの構成要素を適切な温度に加熱するための抵抗加熱器を含み得る種々の発熱体による閉フィードバックループを実装してもよい(1114)(システムが除湿器を最初に含まなければ(その場合には、温度は低くてもよい)、通常は、結露を回避するため体温より高く加熱する)。
【0111】
次に、システムは、種々のセンサーにより、流路に沿ってガス濃度を検知し得る(1120)。これは、患者をモニタリングまたは診断するための用途に応じて、メタン1132、水素1134、硫化水素1136、二酸化炭素1138、または他の関連するガスを含み得る。次いで、これらのガス濃度を表示し(1124)、保存し、送信してもよく、または、さらに利用して、患者の疾患状況、例えば、患者がSIBOを有するかどうか(1122)または患者がSIBOを有する可能性を決定して、表示する。いくつかの例では、メタン(1132)センサー800は、マニホールドとは別に接続されていてもよく、代わりに、パイプでマニホールドチャネルに接続されていてもよい。これは、メタンセンサーがより大きくかつより正確なセンサーであり、マニホールドに容易にフィットせず、メタン濃度を正確に測定するのに一貫した流量及び温度を必要としない場合であり得る。
【0112】
いくつかの例では、システムは、患者が吐出したガスの水素及びメタン濃度を決定し、水素レベルのメタン較正変化を決定した後、検出された水素レベルに基づいて、患者がSIBOを有するかどうかの兆候を出力することができる。加えて、システムは、システムが検出した呼気に基づいて、他の疾患を決定または診断してもよい。
【0113】
実施例:臨床呼気検査における硫化水素の重要性:新規4ガス呼気検査デバイスの検証
前述のように、4つ全てのガスの検出は、患者がSIBOを有するかどうかの正確な決定を提供し、関連症状を診断するために非常に重要である。例えば、本明細書に開示されるように、マニホールド加熱システムを用いて、患者のCO、H、HS、及びCH呼気レベルを検査したデバイスの一例を評価する研究では、4つ全てのガス(特に、HS)の検査が、結果を評価するために極めて重要であると決定された。
【0114】
例えば、正常なH及びCHレベルを有すると特徴付けられる一部の対象は、HSについて検査陽性であった。さらに、Hは、CH及びHSに変換することができるため、4つ全てのガスを検査すること(例えば、COで較正すること)は、SIBO及びそのシステムをこれらのガスレベルに正確に相関させるために非常に重要である。これは、任意のサブセットを検査することは、ガス間の相互作用を考えると、所与の患者の兆候の診断及び重症度を正確に評価しない可能性があるからである。
【0115】
最後に、HSは、ある特定の下痢の表現型と関連することが分かった。したがって、4つ全てのガスの検査は、患者の全体的な診断像を決定するために重要である可能性があり、これは特に、HSの検査を含む。本明細書に記載されるように、先行技術システムは、これらの同じ特徴及び利点を有さない。以下は、研究及びその知見の要約である。
【0116】
概括
水素(H)呼気検査を使用して、下痢の精密検査中に小腸内細菌異常増殖症(SIBO)を評価した。しかしながら、Hレベルは、下痢の重症度につながらない一方、メタン(CH)は、便秘と関連する。CHを生成する生物体及び硫化水素(HS)を生成する生物体の両方は、Hを消費するが、HSは、従来の呼気検査システム及び方法を用いて研究することはできない。したがって、新規4ガスデバイス(H、CH、HS、及びCO)を評価して、これがより包括的な呼気検査を提供するかどうかを決定した。
【0117】
呼気検査用に参照した継続対象は、適格であった。対象は、ベースライン呼気試料を提供し、10gのラクツロースを摂取した後、さらなる試料を15分ごとに120分間提供した。対象は、症状アンケートを完了した。従来の機器、続いて4ガスデバイスを用いて、H及びCHについて試料を分析した。両方の機器からの結果を比較し、4ガスデバイスからのガスパターンと症状とを相関させた。ガス相互作用についても評価した。
【0118】
298人の対象が、研究を完了した。両方の機器からの測定は、強く相関した(H2:R=0.90;CH4:R=0.97)。4ガスデバイスを用いると、H2Sについての陽性閾値は、≧1.2ppmと決定され、下痢と関連した。H2S≧1.2ppmを有する対象の56.9%は、中等度または軽度の下痢と比較して、重度と報告された(P=0.01)。CH4、H2S、または両方が追加的に存在することは、H2レベル及び下痢重症度に有意な影響を及ぼした。CH4は、下痢の減少により効果が優位になった(P=0.02)。
【0119】
研究の背景
呼気検査は、小腸内細菌異常増殖症(SIBO)の評価において、最も注目すべきは、原因不明の下痢の精密検査において、30年以上にわたって臨床的に使用されてきた[1]。その技術は、元々は、発酵プロセス中に腸内細菌により生成されたガスは特有であり、ヒト宿主により生成されないという原理に基づくものであった。しかしながら、ヒト疾患の観点からのこれらのガスの生理学的結果は、最近になって理解され始めた。
【0120】
現在の呼気検査技術では、患者は、一定期間の絶食後に発酵性基質を摂取する。呼気試料を、ベースライン及びその後続く数時間にわたって一定間隔で得て、水素(H)及び二酸化炭素(CO)のレベルを検査する。Hは腸内細菌によってのみ生成される一方、COは、ヒト細胞により生成され、呼気試料を肺胞内濃度に補正するために測定された。呼気検査に関する最近の北米コンセンサス[2]に基づいて、発酵性基質の投与の90分以内に20百万分率(ppm)を超えるHの上昇は、SIBOを示唆している。このパターンのH生成は、抗生物質に対する反応を予測すると見られるが[3]、研究では、Hレベルと、下痢または検査が指示された他の症状の程度とを相関させることはできなかった。これに対し、CHは、便秘を予測し、かつその重症度に比例すると思われる点で、かなりの注目を集めている。
【0121】
腸管内において、ガス生成及び利用は、種々の細菌間の相互作用の複雑なプロセスである。Hは、発酵性細菌によって大量に生成されることが知られているが、他のガスを生成する基質でもある[6]。例えば、4分子のHがメタン生成古細菌により使用され、1分子のCHガスを生成する[6]。加えて、Hについて少なくとも2つの他の処理経路:ホモ酢酸生成菌による酢酸生成、及び硫黄還元細菌による硫化水素(HS)生成[6]が存在する。これらのガス間に複雑な相互作用があると考えると、微生物が生成したこれらのガスの全てを測定することなく臨床呼気検査を完全に理解することは不可能である。
【0122】
本研究では、臨床呼気検査中に4つ全てのガス(H、CH、HS、及びCO)を測定することが可能な新規デバイスについて試験した。これは、HSレベルの測定により臨床症状の予測が可能になるかどうか、そしてH、CH、及びHS間の競合相互作用をより良く理解して、数ある態様の中で、より包括的な呼気検査を提供することができるかどうかを決定するために行った。
【0123】
方法
本研究では、対象は、研究の直前に24時間の準備期間を経ることが必要とされ、その間、第1の12時間に果実、野菜、乳製品、及び豆類の消費を回避し、次いで第2の12時間に絶食した。対象は、検査の直前または検査中に喫煙または運動することはできなかった。ベースライン呼気試料を収集した。次いで、対象は、200mLの水中に溶解した10gのラクツロースを消費した。続いて、呼気試料を、残りの120分間にわたって15分ごとに収集した。試料を直ちに分析し、20ccの試料は、QuinTron BreathTracker(商標)(QuinTron Instruments Co.,Milwaukee,WI)を用いて分析し、残りの試料は、新規4ガス検出デバイスを用いて分析した。両方のデバイスは、ガスクロマトグラフィーを介して呼気成分を分析し、肺胞内レベルに基づいて、出力を5.50%のCO濃度に補正した。
【0124】
新規4ガス検出デバイスは、使用前に較正を必要とした。短いウォームアップ期間後、機械を、周囲の空気を用いてまず較正し、次いで、周囲の空気及び較正ガスの混合物(QuinTron Instruments Co.,Milwaukee,WI)を用いて較正した。合計で3ランを較正セットごとに行った。機械は、16時間較正されたままであった。試料を分析するため、流入口を介して機械にバッグを取り付け、コックを開き、機械を120秒間ランし、コンピューターインターフェースを介してリアルタイムで出力した。各ランの後、30秒のパージサイクルを行った。4ガスデバイスは、全てのガス(H2、CH4、H2S、及びCO2)をppmで、±0.2ppmの精度で同時に測定した。
【0125】
呼気検査中、対象は、病歴、人口動態、及び腸症状に関する詳細なアンケートを完了するよう求められた。症状の重症度は、0~100mmの視覚的アナログ尺度(VAS)を用いて測定した。
【0126】
両方の機器(従来デバイス及び新規4ガスデバイス)について、陽性呼気検査を、最近の北米コンセンサスに基づいて決定した[2]。Hでは、90分または90分より前にベースラインから≧20ppmの上昇があった場合には、検査で陽性と見なした。CHでは、呼気検査中の任意の時点での≧10ppmのレベルを陽性と見なした。呼気HSの陽性閾値は予め定義されていなかったため、その陽性閾値は、本研究の結果に基づいて決定した。
【0127】
データプロセシング
新規4ガス検出デバイスの精度を検証するために、得られたH及びCHの全ての測定値を、従来のQuinTron機器からのものと比較し、新規デバイスがこれらのガスを正確に測定することを確実にした。加えて、機器間の陽性H及びCH呼気検査の一致レベルを決定した。続いて、HSレベルを、研究全体を通して評価し、この追加のガスの値の範囲及び有意味性を決定した。その後、ガスプロファイルを、研究対象間の症状の重症度と比較した。最後に、Hが、CH及びHSの両方の生成の基質であると仮定して、HSを臨床呼気検査に加える科学的及び臨床的価値をさらに理解するために、これらの3つのガス間の相互作用を評価した。
【0128】
2つの呼気検査技術の比較のため、スピアマン相関を行った。QuinTron機器と新規デバイスとの間の陽性H及びCH呼気検査の一致レベルを評価するため、コーエンのカッパ係数を使用した。しかしながら、新規機器は、これらのガスについて±0.2ppmの誤差レベルを有し、QuinTronは、±2ppmの誤差レベル(10倍感度が低い)を報告しているため、この誤差レベルを、QuinTron機器の陽性呼気検査の分析に含めた。記述的分析を実施して、VASを介した母集団特性値、診断記録、及び症状の重症度の分布を調べた。症状VASスコア間のスピアマン相関を評価した。
【0129】
20個全ての症状を3つのカテゴリーにグループ分けした:前腸症状、過敏性腸症候群(IBS)症状、及び下痢型過敏性IBS(IBS-D)症状。IBS-D症状は、IBSカテゴリー内にも入ることを留意すべきである。前腸症状には、げっぷ、嗄声、謦咳、嚥下困難、食後の咳、呼吸困難、不快な咳、喉に何か刺さっている感覚、及び胸焼けまたは胸痛が含まれる。IBS症状には、膨満感、過剰なガス、残便感、腹痛、便秘、下痢、排便の切迫性、直腸からの粘液の排出、及び排便時のしぶり腹が含まれる。膨満感、過剰なガス、腹痛、下痢、排便の切迫性、及び直腸からの粘液の排出は、IBS-D症状として分類した。
【0130】
S生成がIBS-D/下痢関連症状の指標であったかどうかを決定するため、最初の一般化線形回帰モデルを、関連を検査するためにフィッティングさせた後、ウィルコクソンを使用して、誘導変数を用いてHS陽性の閾値を評価した。最適な識別レベルは、≧1.2ppmと決定し、これを使用して、HSの陽性検査を定義した。組み合わせ解析を用いて、IBS-D症状の組み合わせをさらに評価し、ここで、nは、IBS-D症状の数である。
確率=nC1+nC2+…+nCn
【0131】
第2に、時間経過にわたるガスパターンを視覚化するため、局所回帰(LOESS)を、個々の時点に対するH、CH、及びHSレベルでフィッティングし、消費ガスの数によって層化した。CH陽性でもHS陽性でもなかった対象は、「消費ガス陽性なし」として分類し、CHまたはHSのいずれかが陽性であったが両方ともが陽性ではなかった対象は、「消費ガス陽性1」として分類し、CH及びHSの両方が陽性であった対象は、「消費ガス陽性2」として分類した。消費ガスの相互作用をさらに評価するため、消費ガス群間の累積的H生成を、ANOVAモデルを用いて比較した後、テューキー事後検定を行った。
【0132】
SAS(統計的分析システム)バージョン9.4(SAS Institute Inc.,Cary,NC)及びRバージョン3.4.3ソフトウェア(R Foundation for Statistical Computing,Vienna,Austria)を用いて、統計解析を行った。
【0133】
結果
合計で300人の対象を本研究のために採用した。これらのうち、2人は、アンケートを完全に完了せず、除外した結果、298人の対象が、最終分析に含まれた。これらの298人の対象のうち、196人が女性(66%)であった。平均年齢は、49歳(範囲19~88歳)であり、平均BMIは、24.7kg/m2(範囲15.7~54.1kg/m2)であった。298人の対象のうち、40%がIBS、44%が便秘、4%が潰瘍性大腸炎、7%がクローン病、及び6%が腸感染症歴を有すると診断された。加えて、18%が、昨年1年以内に病院で呼気検査を受け、30%が、体重減少を経験し、及び7%が、血便と報告された。母集団特性値及びアンケート結果を図12に提示する。
【0134】
20個の症状の重症度をVASにより測定した。これらのうち、14個は、正規分布であった。残りの6個は、まれなため、大きく左に歪んでおり、それらには、直腸からの粘液の排出;食物、液体、または錠剤の嚥下困難;食後または臥床後の咳;呼吸困難または窒呼気発作;しつこいまたは不快な咳;及び喉に何か刺さっている感覚、または喉のしこりが含まれた。これらの6症状のうち、5個は、前腸カテゴリーであった。
【0135】
呼気検査技術の比較
QuinTron機器及び新規4ガスデバイスからのH及びCHの結果は、図15A及び15Bに示すように、強い相関を持っていた。加えて、QuinTronのより高い誤差レベルを調整した後、2つの機器間の陽性H及びCH呼気検査(それぞれ、カッパ=0.72及び0.52)には、中等度から実質的な一致が存在した。この検証の後、以下に提示する残りの分析を、新規4ガスデバイスのみからの結果を用いて行った。
【0136】
陽性HSレベルの定義
S症状とIBS-D症状との間の関連は、一般化線形回帰を用いて評価し、1ppmのHSレベルの増加は、下痢のVASスコアの15.8(p=0.04)の増加及び排便の切迫性の16.2(p=0.04)の増加と相関したことが分かった。60~90パーセンタイルからHS閾値を評価した後、HSレベル≧1.2ppmが、下痢重症度との関連における最適な閾値であったことをデータは示した。
【0137】
Sと下痢との間の関係
陽性HS呼気検査の定義を確立した後、この閾値に基づいて、症状を評価した。一変量解析では、下痢及び排便の切迫性の重症度は、HS陰性群よりもHS陽性群において有意に大きかった(それぞれ、52±32対41±31、p=0.01及び51±32対42±32、p=0.04)(図13)。同じ閾値を用いて、症状の組み合わせをさらに評価した。
【0138】
下痢及び排便の切迫性は、HS陽性対陰性群の間で有意に異なった(52±29対42±28、p=0.01)。加えて、腹痛+下痢及び腹痛+下痢+排便の切迫性もまた、図13に示すように、有意に異なった。図16に示すように、軽度の下痢(VASにおいて、下痢スコア<10)、中等度の下痢(下痢スコア≧10及び<50)、及び重度の下痢(下痢スコア≧50)を報告している対象間のHS陽性の割合の間には統計的有意差もあった。重度の下痢を報告しているHS陽性のパーセンテージ(56.94%)は、中等度の下痢を報告しているHS陽性のパーセンテージ(30.56%)よりも高く、軽度の下痢または下痢なしを報告しているHS陽性のパーセンテージ(12.50%)(p=0.01)よりも高かった。
【0139】
呼気検査のガスパターン
新規4ガスデバイスからの結果に基づいて、多くの対象は、図15A及び15Bに示すように、陽性H及びCH呼気検査を有した。図17A~17Cに示すように、呼気検査結果、すなわち、2つ以上のガスに対して検査陽性であった対象の間には、重複パターンがあった。従来の呼気検査(すなわち、QuinTron機器を用いて行った検査)中、患者は往々にして、CHなし及びHの上昇なしとして定義される「平坦な」呼気検査を示した[7]。新規4ガスデバイスを用いて分析した場合、これらの対象のうちの29.4%は、検出可能なHSを有することが分かっただけでなく、陽性HS呼気検査に対する新たに定義された閾値(≧1.2ppm)も満たした。
【0140】
呼気検査における北米コンセンサスは、呼気検査中にH及びCHの明確なパターン、すなわち、炭水化物の摂取が、90~120分にわたってHレベルの増加をもたらす一方、CHは、存在または不在であることを認識した。これは、メタン生成(特に、水素栄養性メタン生成)には、炭水化物ではなく、Hの供給源を要するからである。これらのパターンについても、本研究で見られた(図18A及び18B)。HSの生成も、炭水化物ではなく、基質としてHを必要としたため、HSレベルもまた、図18Cに示すように、炭水化物摂取後に安定したままであった。
【0141】
CH及びHSの両方の生成は、基質としてHを必要とするため、Hレベルに対するこれらのガスの効果を評価した。この分析では、CH及びHSは、それらの生成がH消費を伴うため、「消費ガス」と呼んだ。研究対象のうち、180人は、「消費ガス陽性なし」として分類し、103人の対象は、「消費ガス陽性1」(CHについて陽性またはHSについて陽性)であり、及び15人は、「消費ガス陽性2」(CH及びH2Sの両方について陽性)であった。この比較では、消費ガスなし群のHレベルは、他の2群のものよりも高い一方、消費ガス1つ及び消費ガス2つにおけるHの回帰線形は、図19Aに示すように、互いに重なっていた。しかしながら、図19Bに示すように、Hパターンは、1人の異常値の対象を除いて、消費ガスの数が増加するにつれて連続的に低下した。具体的には、消費ガスなし群の累積Hレベルは、消費ガス1の群のものよりも56ppm高く(p=0.04)、消費ガス2の群のものよりも106ppm高く(p=0.09)、及び任意の消費ガスが陽性であった場合よりも62ppm高かった(p=0.005)。
【0142】
CH、HS、及び下痢の間の直接の相互作用
CHは、腸管輸送を遅らせて、下痢よりむしろ便秘と関連することが知られ4、8、9、Hの消費に関してHSと競合することも知られているため、下痢に関するこれらのガス間の相互作用については調査した。これを行うため、図20Aに示すように、CH、HS、または両方に陽性であった対象を評価した。HSは、より重症度の高い下痢と関連する一方、CHが、決定的なガスのように思えた。CHのみに陽性であった対象は、HSのみに陽性であった対象よりも重症度の低い下痢を呈した。CH及びHSの両方に陽性であった対象は、HSのみに陽性であった対象よりも重症度の低い下痢を呈した。
【0143】
分析
、CH及びCOに加えてHSを検出することができる、本開示の技術に基づく4ガス呼気検査デバイスが、臨床呼気検査の有用性を大幅に加えることが、本研究により初めて示された。まず、ヒトは、呼気に、検出可能かつ可変性のHSレベルを有することが分かった。重要なのは、HSは、下痢、並びに、これまでHのみと結びつけられていなかった他の関連症状と関連し、HSの包含が、少なくとも「平坦な」呼気検査のサブセットを説明したことが分かった。HSの追加は、Hレベル及びCHとの相互作用の理解を高め、より完全な呼気検査が可能になる。
【0144】
CHに対するこれらの知見は興味深い一方、臨床呼気検査は、元々は、Hガスのみの測定に基づいていた。しかしながら、H生成レベルと臨床症状との間の関連を明確に定義した研究はないため、呼気検査の臨床的有意性に関する懐疑的な見方につながった。一部の評論家は、呼気検査は、通過時間を単に決定するだけで、SIBOの診断には使用することができないとすら示唆している[14]、[15]。呼気検査を取り巻く懐疑的な見方の理由の一部は、既存の検査が不完全であるため、不確定な結果(例えば、平坦検査)を生成する可能性があるという事実に由来し得る。H及びCHのみの測定は、腸管内に生じる複雑な微生物相互作用の不完全な理解を提供する。
【0145】
は、発酵中に生成される一方、他の生物体にも消費される。Hには、3つの処理経路が存在する。メタン生成菌(例えば、M.スミシー(M.smithii))は、4分子のHを使用して、1分子のCHを生成する[6]。第2の経路は、硫黄還元細菌により、5分子のHを使用して、1分子のHSを生成することを伴う[6]。第3の副経路は、酢酸生成菌によるHの処理であり、ガスを生成する経路ではない。これ自体は、腸内の真のレベルのH生成を確実に知る方法がないことを示唆するはずである。さらに、種々の腸内細菌間のこのような複雑な相互作用により、呼気検査の絶対Hレベルと、腸内細菌量及び臨床症状の両方との間の直接的な線形関連を見出すことの困難さが明らかになる。このため、H及びCHに加えたHSの測定は、微生物-宿主相互作用のより完全な理解のために重要である。
【0146】
呼気検査中の別の一般的な問題は、「平坦な」パターンである。この場合、臨床呼気検査は、検査全体を通じて一定レベルのHを示し、CHは測定不能である。1つの解釈としては、CH及びHを生成する生物体を腸が完全に欠いていることであろう。しかしながら、その可能性は非常に低い。現在の研究では、これらの「平坦な」呼気検査において、HSは往々にして存在することが示され、硫黄還元細菌によるHの消費が、H生成の不正確な評価につながることを示唆した。
【0147】
加えて、Hレベルのみの測定は、臨床像の不完全な理解を提供する。例えば、SIBOの研究は、陽性呼気検査とIBSとの間の繋がりを示唆した10、11が、任意の症状の程度と呼気検査におけるHとの間の明確な関係はない。本研究では、HSは、予想以上により一般的であることが分かり、対象の24%が、HSの検査陽性であった。加えて、下痢は、呼気検査におけるHSの存在及びレベルと特に関連した。
【0148】
これらの結果は、CHとHSとの間のバランス-カウンターバランス効果が存在することをさらに示唆する。まず、これらのガスの生成はHの消費を必要とするため、Hレベルは、CH、HS、または両方が存在するかどうかに依存することが分かった。この知見は、H測定値はCH及びHSによって影響されるため、臨床医がH測定値にのみ依存することができないことを示唆しており、したがって重要である。第2の重要な知見は、CHが、下痢重症度に対するHSの効果を相殺するように見えることである。CHは、便秘と関連し、かつ、便秘の原因であることが知られている[9]。他方では、HSは、上皮に毒性作用を有することが知られている[16]。このため、HSが存在する時であっても、CHは、下痢重症度に対して圧倒的な効果を有すると思われる。
【0149】
結論として、本研究は、SIBOを評価する対象における臨床呼気検査用の新規4ガスデバイスの有効性及び効用を示す初めてのものである。これらの結果に基づいて、呼気検査にHS測定を追加する明確な利点が存在し、現在までのヒト腸内微生物ガス相互作用のインビボで最も包括的な分析を提供する。加えて、HSの測定は、平坦検査などの呼気検査についての重要な疑問に答える。最終的に、HSは、下痢の表現型と関連するように見え、Hよりも下痢の関連症状を予測する。本研究は、呼気検査中において4つ全てのガスを測定する重要性を示す。
【0150】
選択された実施形態
上記の説明及び添付の特許請求の範囲は、本発明の多くの実施形態を開示するが、本発明の他の代替の態様は、以下のさらなる実施形態に開示される。
【0151】
種々のガスの濃度について、患者の呼気を検査するためのシステムであって、
呼気収集器;
前記呼気収集器に接続可能なガス流入口;
ガス排出口;
前記ガス流入口及び前記ガス排出口とガス連通するガス流路を含む、マニホールド;
前記ガス流路を通過するガスの濃度に関するセンサーデータを出力するように構成された、少なくとも1つのガスセンサー;
前記マニホールドと熱連通する発熱体;
前記マニホールドの温度に関する温度データを出力するように構成された、温度センサー;
前記出力されたセンサーデータに基づいてガスの濃度を決定するための1つまたは複数のプロセッサー及びメモリーを含む、制御システム;並びに
前記決定されたガスの濃度を出力するディスプレイ
を含む、前記システム。
【0152】
前記少なくとも1つのガスセンサーが、CHセンサー、COセンサー、Hセンサー、またはHSセンサーのうちの少なくとも1つを含む、前記システム。
【0153】
前記少なくとも1つのガスセンサーが、前記ガス流路に沿って直列に配置されたCOセンサー、Hセンサー、及びHSセンサーを含み、前記ガス流路が、前記マニホールド中に単一チャネルを含む、前記システム。
【0154】
第1のバッフルが、前記Hセンサーに隣接して配置され、第2のバッフルが、前記HSセンサーに隣接して配置され、前記第1及び第2のバッフルが、前記HSセンサー及び前記Hセンサーとガス交換しやすいサイズ及び形状になっている、前記システム。
【0155】
前記ガス流路を通る流量を検出するように構成された流量計からのフィードバックに基づいて、前記ガス流路を通してガスを吸排気するように構成されたポンプをさらに含む、前記システム。
【0156】
前記温度センサーが、プリント基板に接続されたサーミスターである、前記システム。
【0157】
前記発熱体が、前記プリント基板に接続されている、前記システム。
【0158】
前記発熱体が、前記プリント基板上に印刷されたトレースを含む、前記システム。
【0159】
前記発熱体が、複数の発熱体を含み、前記複数の発熱体の各々が、前記マニホールドの一連のゾーンのうちの1つを加熱するように構成されている、前記システム。
【0160】
前記温度センサーが、複数の温度センサーを含み、前記複数の温度センサーの各々が、前記マニホールドの前記一連のゾーンのうちの1つに関する温度データを出力するように構成されている、前記システム。
【0161】
前記制御システムが、前記温度センサーから出力されたデータに基づいて、前記発熱体にエネルギーを与えることによって、前記マニホールドの最低温度を維持するように構成されている、前記システム。
【0162】
前記マニホールドが、金属ブロックを含み、前記ガス流路が、前記金属ブロックを通って構築されている、前記システム。
【0163】
前記マニホールドが、熱伝導性材料を含む、前記システム。
【0164】
前記熱伝導性材料が、ステンレス鋼または銅を含む、前記システム。
【0165】
前記ガス流路が、前記少なくとも1つのガスセンサーに隣接して配置されたバッフルを含む、前記システム。
【0166】
前記最低温度が、38~41℃である、前記システム。
【0167】
前記最低温度が、40℃である、前記システム。
【0168】
前記制御システムが、前記出力されたセンサーデータに基づいて、患者がSIBOを有するかどうかの兆候を決定するように構成されている、前記システム。
【0169】
前記出力されたセンサーデータが、CHセンサー、COセンサー、Hセンサー、及びHSセンサーから出力されたデータを含む、前記システム。
【0170】
前記出力されたセンサーデータがHSレベルの増加を示す場合には、前記制御システムが、前記患者の下痢の兆候を出力するようにさらに構成されている、前記システム。
【0171】
前記出力されたセンサーデータが、ラクツロース呼気検査中に、HSレベルが増加し、CH及びH呼気レベルが増加しなかったことを示す場合には、前記制御システムが、SIBOの陽性兆候を出力するようにさらに構成されている、前記システム。
【0172】
呼気中のガス濃度の検知方法であって、
患者から呼気のバッチを受けとる段階;
流路を通して一定流量で空気を吸排気しながら、前記呼気のバッチを37℃を上回る温度に加熱する段階;
一連の電気化学センサーを用いて、前記流路中のガス濃度を検知する段階;及び
前記ガス濃度を表示する段階
を含む、前記方法。
【0173】
前記ガス濃度が、CH、CO、H、及びHS濃度を含む、前記方法。
【0174】
前記流路が、マニホールドを通って経路付けられている、前記方法。
【0175】
前記呼気のバッチを加熱する段階が、37℃を上回る温度で前記マニホールドを維持することを含む、前記方法。
【0176】
前記ガス濃度が、少なくともCH及びHを含み、前記制御システムが、前記ガス濃度に基づいて、前記患者がSIBOを有するかどうかの兆候を決定するようにさらに構成されている、前記方法。
【0177】
呼気中のガス濃度の検知方法であって、
患者から呼気のバッチを受けとる段階;
流路を通して一定流量で空気を吸排気しながら、前記呼気のバッチを37℃を上回る温度に加熱する段階;
一連の電気化学センサーを用いて、前記流路中のガス濃度を検知する段階;及び
前記ガス濃度を表示する段階
を含む、方法。
【0178】
前記ガス濃度が、CH、CO、H、及びHS濃度を含む、請求項22に記載の方法。
【0179】
前記流路が、マニホールドを通って経路付けられている、請求項22に記載の方法。
【0180】
前記呼気のバッチを加熱する段階が、37℃を上回る温度で前記マニホールドを維持することを含む、請求項24に記載の方法。
【0181】
前記ガス濃度が、少なくともCH及びHを含み、制御システムが、前記ガス濃度に基づいて、前記患者がSIBOを有するかどうかの兆候を決定するようにさらに構成されている、請求項22に記載の方法。
【0182】
参照文献
【0183】
開示のコンピューター及びハードウェア実装
本明細書の開示は、任意のタイプのハードウェア及び/またはソフトウェアで実施してもよく、予めプログラムされた汎用コンピューティングデバイス、及び/または1つまたは複数のプロセッサー及びメモリーを含む制御システムであってもよいことをまず理解すべきである。例えば、システムは、サーバー、パーソナルコンピューター、ポータブルコンピューター、シンクライアント、または任意の適切な1台もしくは複数のデバイスを使用して実装してもよい。本開示及び/またはその構成要素は、電気ケーブル、光ファイバーケーブルなどの任意の通信媒体上で、または無線方式で、任意の適切な通信プロトコルを使用して相互に接続された、単一の場所の単一のデバイス、または単一もしくは複数の場所の複数のデバイスとしてもよい。
【0184】
また、本開示は、本明細書では、特定の機能を果たす複数のモジュールを有するものとして図示され、説明されていることにも留意されたい。これらのモジュールは、明確にするためにその機能に基づいて単に模式的に図示されており、必ずしも特定のハードウェアまたはソフトウェアを表すものではないことを理解すべきである。これに関して、これらのモジュールは、論じた特定の機能を実質的に果たすように実装されたハードウェア及び/またはソフトウェアであってもよい。さらに、各モジュールは、本開示内で一緒に組み合わされていてもよく、所望の特定の機能に基づいてさらなるモジュールに分割されていてもよい。このため、本開示は、本発明を限定するものと解釈すべきものではなく、単に本発明の1つの例示的な実装を示すものと理解すべきものである。
【0185】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバーを含み得る。クライアント及びサーバーは、概して互いに離れており、通常は通信ネットワークを通じてインタラクトする。クライアントとサーバーとの関係は、それぞれのコンピューター上で実行され互いにクライアントとサーバーとの関係を有するコンピュータープログラムによって、生じる。いくつかの実装では、サーバーは、データ(例えば、HTMLページ)をクライアントデバイスに送信する(例えば、クライアントデバイスとインタラクトするユーザーにデータを表示し、ユーザーからユーザー入力を受けとる目的で)。クライアントデバイスにおいて生成されるデータ(例えば、ユーザーインタラクションの結果)は、サーバーにおいてクライアントデバイスから受信され得る。
【0186】
本明細書において説明される主題の実装は、例えば、データサーバーとしてバックエンド構成要素を含む、または、ミドルウェア構成要素、例えば、アプリケーションサーバーを含む、または、フロントエンド構成要素、例えば、本明細書において説明される主題の実装形態とユーザーがそれを通じてインタラクトすることができるグラフィカルユーザーインターフェースもしくはウェブブラウザーを有するクライアントコンピューター、または、1つまたは複数のそのようなバックエンド、ミドルウェア、もしくはフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含む、コンピューティングシステムにおいて実装され得る。システムの構成要素は、デジタルデータ通信の任意の形式または媒体、例えば、通信ネットワークによって相互接続され得る。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)及びワイドエリアネットワーク(「WAN」)、インターネットワーク(例えば、インターネット)、並びにピアツーピアネットワーク(例えば、アドホックピアツーピアネットワーク)を含む。
【0187】
本明細書において説明される主題及び動作の実装は、デジタル電子回路で、または、本明細書において開示される構造及びそれらの構造的な均等物を含む、コンピューターソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアにおいて、またはそれらの1つまたは複数の組み合わせにおいて実装され得る。本明細書において説明される主題の実装は、データ処理装置による実行のために、またはデータ処理装置の動作を制御するために、コンピューター記憶媒体上に符号化される1つまたは複数のコンピュータープログラム、すなわち、コンピュータープログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして、実装され得る。代替的に、または追加的に、プログラム命令は、データ処理装置による実行のための適切な受信装置への送信のために情報を符号化するために生成される、人工的に生成される伝搬信号、例えば、機械で生成される電気的な、光学的な、または電磁的な信号に符号化され得る。コンピューター記憶媒体は、コンピューター可読記憶デバイス、コンピューター可読記憶基板、ランダムもしくはシリアルアクセスメモリーアレイもしくはデバイス、またはそれらの1つまたは複数の組み合わせであってもよく、またはそれらに含まれてもよい。さらに、コンピューター記憶媒体は伝播信号ではないが、コンピューター記憶媒体は、人工的に生成される伝播信号に符号化されるコンピュータープログラム命令のソースまたは宛先であり得る。コンピューター記憶媒体はまた、1つまたは複数の別個の物理的構成要素または媒体(例えば、複数のCD、ディスク、または他の記憶デバイス)であってもよく、またはそれらに含まれてもよい。
【0188】
本明細書において説明される動作は、1つまたは複数のコンピューター可読記憶デバイスに記憶され、または他のソースから受信されるデータに対して、データ処理装置によって実行される動作として実施され得る。
【0189】
「データ処理装置」という用語は、プログラマブルプロセッサー、コンピューター、システムオンチップ、または、前述のものの複数もしくは組み合わせを例として含む、データを処理するための全ての種類の装置、デバイス、及び機械を包含する。装置は、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)を含み得る。装置はまた、ハードウェアに加えて、対象のコンピュータープログラムのための実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサーファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想機械、またはそれらの1つまたは複数の組み合わせを構成するコードを含み得る。装置及び実行環境は、ウェブサービス、分散コンピューティング及びグリッドコンピューティングインフラストラクチャーなどの、様々な異なるコンピューティングモデルインフラストラクチャーを実現することができる。
【0190】
コンピュータープログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られている)は、コンパイル型言語またはインタプリタ型言語、宣言型言語または手続型言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で書かれてもよく、スタンドアロンプログラムとして、または、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、もしくはコンピューティング環境において使用するのに適した他のユニットとしてを含めて、任意の形式で開発され得る。コンピュータープログラムは、ファイルシステムの中のファイルに相当し得るが、そうである必要はない。プログラムは、他のプログラムもしくはデータを保持するファイルの一部分(例えば、マークアップ言語文書に記憶されている1つまたは複数のスクリプト)に、対象のプログラムに専用の単一のファイルに、または、複数の協調したファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの部分を記憶するファイル)に記憶され得る。コンピュータープログラムは、1つのコンピューター上で、または、1つの箇所に位置する、もしくは複数の箇所に分散しており通信ネットワークによって相互接続される、複数のコンピューター上で実行されるように開発され得る。
【0191】
本明細書において説明されるプロセス及び論理フローは、入力データに対して作用して出力を生成することによって動作を実行するために、1つまたは複数のコンピュータープログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサーによって実行され得る。専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって、プロセス及び論理フローが実行されることもあり、それらとして、装置が実装されることもある。
【0192】
コンピュータープログラムの実行に適したプロセッサーは、例として、汎用及び専用マイクロプロセッサーの両方、並びにデジタルコンピューターの任意の種類の任意の1つまたは複数のプロセッサーを含む。一般に、プロセッサーは、読取り専用メモリーもしくはランダムアクセスメモリーまたは両方から、命令及びデータを受信する。コンピューターの不可欠な要素は、命令に従って動作を実行するためのプロセッサー、並びに命令及びデータを記憶するための1つまたは複数のメモリーデバイスである。一般に、コンピューターはまた、データを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶デバイス、例えば、磁気ディスク、磁気光学ディスク、もしくは光学ディスクを含み、または、それらからデータを受信し、もしくはそれらにデータを転送し、もしくは両方を行うために、それらに動作可能に結合される。しかしながら、コンピューターは、そのようなデバイスを有する必要はない。その上、コンピューターは、別のデバイス、いくつか例を挙げると、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオもしくはビデオプレーヤ、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、またはポータブル記憶デバイス(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)に埋め込まれ得る。コンピュータープログラム命令及びデータを記憶するのに適したデバイスは、例として、半導体メモリーデバイス、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリーデバイス、磁気ディスク、例えば、内部ハードディスクまたはリムーバブルディスク、磁気光学ディスク、並びにCD-ROMディスク及びDVD-ROMディスクを含む、全ての形式の不揮発性メモリー、媒体、及びメモリーデバイスを含む。プロセッサー及びメモリーは、専用論理回路によって補われ、またはそれに組み込まれ得る。
【0193】
結論
上に記載した種々の方法及び技術は、本発明を実施するための多くの方法を提供する。言うまでもなく、本明細書に記載される任意の特定の実施形態に従って、必ずしも記載した目的または利点の全てを実現することができるわけではないことを理解すべきである。このため、例えば、当業者は、本方法は、必ずしも本明細書に教示するかまたは示した他の目的または利点を実現しないで、本明細書に教示したように1つの利点または一群の利点を実現するまたは最適化する方法で実施することができると認識するであろう。様々な代わりのものが本明細書に言及されている。いくつかの実施形態が、1つの、別の、またはいくつかの特徴を特に含み、一方で、他の実施形態が、1つの、別の、またはいくつかの特徴を特に除外し、一方で、さらに他の実施形態が、1つの、別の、またはいくつかの有利な特徴を含むことにより特定の特徴を減らすことを理解すべきである。
【0194】
さらに、当業者は、様々な実施形態から種々の特徴の適用性を認識するであろう。同様に、当業者が本明細書に記載される原理に従った方法を実施するために、上に記載した種々の要素、特徴、及びステップ、並びにこのような要素、特徴、またはステップそれぞれの他の公知の均等物を種々の組み合わせで用いることができる。種々の要素、特徴、及びステップの中のうち、いくつかは、特に含まれ、他のものは、異なった実施形態で特に除外される。
【0195】
本出願は、ある特定の実施形態及び実施例の文脈で開示されているが、当業者によって、本出願の実施形態が、特に開示した実施形態を超えて他の代わりの実施形態及び/またはこれらの使用、及び修正、及び均等物に及ぶと理解される。
【0196】
いくつかの実施形態では、用語「一つの(a)」、及び「一つの(an)」、及び「その(the)」、及び本出願の特定の実施形態を記載する文脈で用いられるほぼ同じ言及は、(特に以下の請求項の特定の文脈で)単数及び複数の両者に及ぶと解釈することができる。本明細書での値の範囲の使用は、範囲内に入る個々の値のそれぞれを個別に指す簡便な方法として役立つことを単に意図している。本明細書に別段に指示しない限り、個々の値のそれぞれは、あたかも本明細書に個々に記載したように明細書に組み入れられる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段に指示しない限り、または文脈により明確に否定しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。任意の実施例、及び全実施例、または本明細書のある特定の実施形態に関して提供される例示的な表現(例えば、「など」)の使用は、本出願をより良く明らかにすることを単に意図しており、別段にクレームされていない限り、本出願の範囲を限定するものではない。本明細書のいかなる表現も、本出願の実施に必須である任意のクレームされていない要素を示すと解釈すべきではない。
【0197】
本出願のある特定の実施形態は、本明細書に記載されている。当該説明を読むと、これらの実施形態の変更は、当業者の変更には明らかである。当業者が適切にこのような変更を用いることができ、特に本明細書に記載されるものとは別の方法で本出願を実施することができることが企図される。したがって、本出願の多くの実施形態は、適用法令によって許容されるとおり、本明細書に添付のクレームに記載した発明特定事項の修正及び均等物の全てを含む。さらに、本明細書に別段に指示しない限り、または文脈により明確に否定しない限り、本出願には、上に記載の要素の任意の組み合わせが、その全ての可能なバリエーションにおいて、含まれる。
【0198】
主題の特定の実装形態について説明した。他の実装形態は、添付の特許請求の範囲内にある。ある場合には、特許請求の範囲に記載されているアクションは、異なる順序で実行することができ、依然として望ましい結果を達成することができる。加えて、添付の図面に描かれたプロセスは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序または順番を必ずしも必要としない。
【0199】
本明細書に参照した特許、特許出願、特許出願の公報、及び論文、本、明細書、刊行物、文書、物、及び/または類似のものなどの他の資料の全てがここで全目的のためにこの参照により全体が本明細書に組み入れられるが、前述のものに関係した出願経過、本文書と一致しないもしくは矛盾する前述のもの、または現在もしくはのちに本文書に関連したクレームの最も広い範囲について制限的な影響を有する可能性がある前述のものを除く。例として、組み入れられる資料に伴う説明、定義、及び/または用語の使用と、本文書に伴う説明、定義、及び/または用語の使用との間に不一致または矛盾があっても、本文書の説明、定義、及び/または用語の使用が優先するものとする。
【0200】
最後に、本明細書に開示した本出願の実施形態は、本出願の実施形態の原理の例示であると理解すべきである。用いることができる他の修正は、本出願の範囲内とすることができる。このため、例として、しかし限定するものではないが、本明細書の教示に従って本出願の実施形態の代わりの構成を利用することができる。したがって、本出願の実施形態は、示された及び記載されたものに厳密に限定されない。
図1
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図20A
図20B
【手続補正書】
【提出日】2022-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々のガスの濃度について、患者の呼気を検査するためのシステムであって、
呼気収集器;
前記呼気収集器に接続可能なガス流入口;
ガス排出口;
前記ガス流入口及び前記ガス排出口とガス連通するガス流路を含む、マニホールド;
前記ガス流路を通過するガスの濃度に関するセンサーデータを出力するように構成された、少なくとも1つのガスセンサー;
前記マニホールドと熱連通する発熱体;
前記マニホールドの温度に関する温度データを出力するように構成された、温度センサー;
前記出力されたセンサーデータに基づいてガスの濃度を決定するための1つまたは複数のプロセッサー及びメモリーを含む、制御システム;並びに
前記決定されたガスの濃度を出力するディスプレイ
を含む、前記システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガスセンサーが、CHセンサー、COセンサー、Hセンサー、またはHSセンサーのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガスセンサーが、前記ガス流路に沿って直列に配置されたCOセンサー、Hセンサー、及びHSセンサーを含み、前記ガス流路が、前記マニホールド中に単一チャネルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
第1のバッフルが、前記Hセンサーに隣接して配置され、第2のバッフルが、前記HSセンサーに隣接して配置され、前記第1及び第2のバッフルが、前記HSセンサー及び前記Hセンサーとガス交換しやすいサイズ及び形状になっている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ガス流路を通る流量を検出するように構成された流量計からのフィードバックに基づいて、前記ガス流路を通してガスを吸排気するように構成されたポンプをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記温度センサーが、プリント基板に接続されたサーミスターである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記発熱体が、前記プリント基板に接続されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記発熱体が、前記プリント基板上に印刷されたトレースを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記発熱体が、複数の発熱体を含み、前記複数の発熱体の各々が、前記マニホールドの一連のゾーンのうちの1つを加熱するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記温度センサーが、複数の温度センサーを含み、前記複数の温度センサーの各々が、前記マニホールドの前記一連のゾーンのうちの1つに関する温度データを出力するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御システムが、前記温度センサーから出力されたデータに基づいて、前記発熱体にエネルギーを与えることによって、前記マニホールドの最低温度を維持するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記マニホールドが、金属ブロックを含み、前記ガス流路が、前記金属ブロックを通って構築されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記マニホールドが、熱伝導性材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記熱伝導性材料が、ステンレス鋼または銅を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ガス流路が、前記少なくとも1つのガスセンサーに隣接して配置されたバッフルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記最低温度が、38~41℃である、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記最低温度が、40℃である、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御システムが、前記出力されたセンサーデータに基づいて、患者がSIBOを有するかどうかの兆候を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記出力されたセンサーデータが、CHセンサー、COセンサー、Hセンサー、及びHSセンサーから出力されたデータを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記出力されたセンサーデータがHSレベルの増加を示す場合には、前記制御システムが、前記患者の下痢の兆候を出力するようにさらに構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記出力されたセンサーデータが、ラクツロース呼気検査中に、HSレベルが増加し、CH及びH呼気レベルが増加しなかったことを示す場合には、前記制御システムが、SIBOの陽性兆候を出力するようにさらに構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
呼気中のガス濃度の検知方法であって、
患者から呼気のバッチを受けとる段階;
流路を通して一定流量で前記呼気のバッチを吸排気しながら、前記呼気のバッチを37℃を上回る温度に加熱する段階;
一連の電気化学センサーを用いて、前記流路中のガス濃度を検知する段階
1つまたは複数のプロセッサー及びメモリーを含む制御システムを用いて、前記センサーからのデータを処理することにより、ガスの濃度を決定する段階;並びに
前記ガス濃度を表示する段階
を含む、前記方法。
【請求項23】
前記ガス濃度が、CH、CO、H、及びHS濃度を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記流路が、マニホールドを通って経路付けられている、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記呼気のバッチを加熱する段階が、37℃を上回る温度で前記マニホールドを維持することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ガス濃度が、少なくともCH及びHを含み、前記制御システムが、前記ガス濃度に基づいて、前記患者がSIBOを有するかどうかの兆候を決定するようにさらに構成されている、請求項22に記載の方法。
【国際調査報告】