(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】炎症性疾患および男性避妊用RARアルファ化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 405/04 20060101AFI20230301BHJP
C07D 407/04 20060101ALI20230301BHJP
C07D 311/70 20060101ALI20230301BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20230301BHJP
A61K 31/453 20060101ALI20230301BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230301BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230301BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230301BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230301BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230301BHJP
A61P 15/16 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
C07D405/04 CSP
C07D407/04
C07D311/70
A61K31/352
A61K31/453
A61P1/04
A61P1/00
A61P29/00
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61P15/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537288
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 US2020065719
(87)【国際公開番号】W WO2021127250
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522240254
【氏名又は名称】オルファゲン ファーマシューティカルズ,インク.
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ラへジャ,ラジ クマル
(72)【発明者】
【氏名】クロウ,ポール ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】タオ,ハイヤン
(72)【発明者】
【氏名】サッチャー,スコット マクニア
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB01
4C063CC79
4C063DD10
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BA08
4C086BC21
4C086GA02
4C086GA07
4C086MA01
4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZA86
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZC41
(57)【要約】
【解決手段】式(I)
のレチノイン酸受容体アルファ(RARα)モジュレーター、ならびに、それに関連する医薬組成物および方法が、本明細書で提供されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体であって、
式中、
X
1は、C
1-6アルキル、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Aと置換され、
X
2は、C
6または10アリール、5~10員ヘテロアリール、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~4つのR
Bと置換され、ここで、X
1が、メチルと置換されたフェニルであるとき、X
2が、-C(=O)OHまたは-C(=O)NH
2と1~3つのR
Bと置換され、
R
Aはそれぞれ独立して、ハロ、シアノ、-C(=O)NH
2、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または置換3~10員ヘテロシクロアルキルであり、
R
Bはそれぞれ独立して、ブロモ、クロロ、シアノ、-C(=O)NH
2、-C(=O)OH、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または酸性部分であり、
Y
1は水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルであり、
Y
2は、ハロ、シアノ、非置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、または置換C
1-6アルコキシであり、
Z
1は、O(酸素)、S(硫黄)、またはNR
Cであり、ならびに、
R
Cは、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルである、化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項2】
【化2】
、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体としてさらに規定され、
式中、
Z
2はそれぞれ独立して、N(窒素)、CHまたはCR
Bである、請求項1に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項3】
式(II):
【化3】
の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体であって、
式中、
X
3は、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Eと置換され、
X
4は、C
6または10アリール、5~10員ヘテロアリール、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Fと置換され、
R
Eはそれぞれ独立して、ハロ、シアノ、-C(=O)NH
2、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または置換3~10員ヘテロシクロアルキルであり、
R
Fはそれぞれ独立して、ハロ、シアノ、-C(=O)OH、-C(=O)NH
2、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、置換3~10員ヘテロシクロアルキルまたは酸性部分であり、
Y
3は、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルであり、
Y
4は、ハロ、シアノ、非置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、または置換C
1-6アルコキシであり、
Z
3は、O(酸素)、S(硫黄)、またはNR
Gであり、ならびに、
R
Gは、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルである、化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項4】
【化4】
、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体としてさらに規定され、
式中、
Z
4はそれぞれ独立して、N(窒素)、CHまたはCR
Dである、請求項3に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項5】
X
3は、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Eと置換される、請求項3~4のいずれか1項に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項6】
式(III):
【化5】
の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体であって、
式中、
X
5は、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、3-10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Hと置換され、
X
6は、C
6または10アリール、5~10員ヘテロアリール、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Jと置換され、
R
Hはそれぞれ独立して、ハロ、シアノ、-C(=O)NH
2、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または置換3~10員ヘテロシクロアルキルであり、
R
Jはそれぞれ独立して、ハロ、シアノ、-C(=O)OH、-C(=O)NH
2、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、置換3~10員ヘテロシクロアルキルまたは酸性部分であり、
Y
5は、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルであり、
Y
6は、ハロ、シアノ、非置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、または置換C
1-6アルコキシであり、
Z
5は、O(酸素)、S(硫黄)、またはNR
Kであり、ならびに、
R
Kは、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルである、化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項7】
【化6】
、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体としてさらに規定され、
式中、
Z
6はそれぞれ独立して、N(窒素)、CHまたはCR
Jであり、ここで、少なくとも1つのZ
6は、N(窒素)である、請求項6に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項8】
式(IV):
【化7】
の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体であって、
式中、
X
7は、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Lと置換され、
X
8は、C
6または10アリール、5~10員ヘテロアリール、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~4つのR
Mと置換され、ここで、X
1が、メチルと置換されたフェニルであるとき、X
2が、-C(=O)OHまたは-C(=O)NH
2と1~3つのR
Mと置換され、
R
Lはそれぞれ独立して、ハロ、シアノ、-C(=O)NH
2、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または置換3~10員ヘテロシクロアルキルであり、
R
Mはそれぞれ独立して、フルオロ、ブロモ、クロロ、シアノ、-C(=O)NH
2、-C(=O)OH、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または酸性部分であり、
Y
7は、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルであり、
Y
8は、ハロ、シアノ、非置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、または置換C
1-6アルコキシであり、
Z
1は、O(酸素)、S(硫黄)、またはNR
Nであり、ならびに、
R
Nは、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルであり、
R
Bはそれぞれ独立して、ブロモ、クロロ、シアノ、-C(=O)OH、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または酸性部分である、化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項9】
【化8】
、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体としてさらに規定され、
式中、
Z
8はそれぞれ独立して、N(窒素)、CHまたはCR
Mであり、ここで、X
1が、メチルと置換されたフェニルであるとき、少なくとも1つのZ
8が、CR
Mである、請求項8に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項10】
X
7は、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Lと置換される、請求項8~9のいずれか1項に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項11】
R
Mはそれぞれ独立して、ブロモ、クロロ、シアノ、-C(=O)NH
2、-C(=O)OH、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または酸性部分である、請求項8~10のいずれか1項に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項12】
R
Mはそれぞれ独立して、ブロモ、クロロ、シアノ、-C(=O)NH
2、-C(=O)OH、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または置換3~10員ヘテロシクロアルキルである、請求項8~10のいずれか1項に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項13】
Z
1、Z
3、Z
5、またはZ
7がO(酸素)である、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項14】
Y
1、Y
3、Y
5、またはY
7が水素である、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項15】
Y
2、Y
4、Y
6、またはY
8がブロモである、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項16】
Y
2、Y
4、Y
6、またはY
8がブロモではない、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項17】
構造:
【化9】
を有する化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を含む、医薬組成物。
【請求項19】
薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
レチノイン酸受容体活性に関連した、対象の疾病を処置するか、または予防する方法であって、該方法は、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物または組成物、あるいは請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を有効量で前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項21】
対象の癌を処置する方法であって、該方法は、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物または組成物、あるいは請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を有効量で前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項22】
対象の炎症性疾患を処置する方法であって、該方法は、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物または組成物、あるいは請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を有効量で前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項23】
前記炎症性疾患は、炎症性腸疾患、クローン病、または潰瘍性大腸炎である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
子孫を妊娠させるオスの哺乳動物の能力を阻害する方法であって、該方法は、前記オスの哺乳動物の精液中の精子を十分に減少させるか、または除去するのに有効な期間にわたって、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物または組成物、あるいは請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を有効量で定期的に前記オスの哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項25】
対象の精子形成を一時的かつ可逆的に停止する方法であって、該方法は、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物または組成物、あるいは請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を有効量で前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項26】
男性用避妊薬であって、該男性用避妊薬は、
i)請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物または組成物、あるいは請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体と、
ii)薬学的に許容可能な賦形剤と、
を含む、男性用避妊薬。
【請求項27】
動物の炎症性疾患を処置するのに有用な薬剤を製造するための、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物または組成物、あるいは請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体の使用。
【請求項28】
前記炎症性疾患は、炎症性腸疾患、クローン病、または潰瘍性大腸炎である、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
対象の精子形成を一時的かつ可逆的に停止するのに有用な薬剤を製造するための、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物または組成物、あるいは請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体の使用。
【請求項30】
RARαを調節するための、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物または組成物、あるいはRARαを調節するための、請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体。
【請求項31】
請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物または組成物、あるいは請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を含む、抗炎症剤。
【請求項32】
請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物または組成物、あるいは請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を含む、抗癌剤。
【請求項33】
請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物または組成物、あるいは請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を含む、男性用避妊薬剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願に対する引用による組み込み
例えば、本出願と共に提出された出願データシートまたは願書に海外または国内の優先権主張が特定されている出願はすべて、37CFR1.57ならびに規則4.18および20.6の下で、参照により本明細書に組み込まれ、これには、2019年12月19日出願の米国仮出願第62/950,473号が挙げられ、当該出願の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本特許出願は、レチノイン酸受容体アルファ(RARα)モジュレーターとして有用である可能性がある新規な化合物を対象とする。
【0003】
関連技術の説明
必要不可欠な栄養素であるビタミンA(レチノール)の主要な生物学的に活性な代謝産物であるオールトランス型レチノイン酸(atRA)は、胚形成、皮膚や上皮細胞の維持、および免疫系の恒常性を含む広い範囲の生物学的活性において重要な役割を果たしている(Clagett-Dame & Knutson、2011年)。ヒトのatRAの主な供給源としては、食品中の前駆体からのde novo合成である。食品中のビタミンAは、腸管上皮細胞を介して吸収され、レチニルエステルとして肝臓に貯蔵され、レチニルエステルは、処理されて標的組織に送達され、ここで、これはレチノールに加水分解される。レチノールは、2つの連続した加水分解工程で、atRAに代謝される。最初に、遍在するアルコール脱水素酵素(ADH)によってレチンアルデヒドが形成される。次に、細胞特異的レチンアルデヒドデヒドロゲナーゼ(RALDH)によって、レチンアルデヒドが加水分解され、atRAにされる(Napoli、2012年)。atRAの作用範囲は、特定の細胞型のみによるRALDHの特有の発現によって規定され、限定される。新たに合成されたatRAは、細胞に残存し、細胞内atRA結合タンパク質(CRABP)に結合することができ、これが、atRAを標的として分解するか、あるいは核に送達して、そこでRARα、RARβおよびRARγを含むレチノイン酸受容体(RAR)を結合するかのいずれかである。代わりに、atRAは、細胞を離れ、自由に付近の細胞に拡散するか、あるいは血漿に入って身体全体を循環することもできる。atRAが分解されて様々な酸化代謝産物になるのは、主に、CYP26ファミリーの酵素の組織特異的発現を通して生じる(Stevison,Hogarth,Tripathy,Kent & Isoherranen、2017年)。
【0004】
atRAは、ステロイドホルモン核内受容体スーパーファミリーに属する転写因子であるRARに結合することによって、細胞応答を引き起こす。次いで、RARは、レチノイドX受容体(RXR)のうちの1つを有するヘテロ二量体として、レチノイド酸応答配列(RARE)と呼ばれるDNA領域でDNAに結合する。RARに結合するatRAは、受容体の配座を変更し、それによって、付近の標的遺伝子の転写を惹起ないし抑制する共調節タンパク質の結合に影響を及ぼす。RARファミリーは、それぞれNR1B1、NR1B2およびNR1B3としても知られている、RARアルファ(RARα)、RARベータ(RARβ)およびRARガンマ(RARγ)の3メンバーからなる(各メンバーは、それぞれ別個の遺伝子であるRARA、RARBおよびRARCによってコードされている)。RARは、大部分の核内受容体によって共有されている4つの主要ドメインである、N末端A/Bドメイン、DNA結合ドメイン、ヒンジドメイン、およびリガンド結合ドメインを含有している。RAR遺伝子はそれぞれ、そのN末端A/Bドメインのみが異なる複数のアイソフォームを生成する。これらの受容体サブタイプは、別個の組織内分布を有しており、個々の遺伝子欠失研究によって、異なる機能を有していることが示されている(Thacher,Vasudevan & Chandraratna、2000年)。
【0005】
atRAの受容体を介した作用は、決定的に用量依存性であり、したがって、atRA合成を組織特異的に調節することが、局所的な濃度勾配を時間的および空間的に制御する上で重要である。例えば、小腸での抗原補足に続いて、RALDHを発現する特殊なサブセットの樹状細胞(DC)は、腸間膜リンパ節(MLN)に移動し、ここで、これはナイーブリンパ球に抗原提示しながら、高レベルのatRAを分泌する。atRAは、抗原刺激を受けたT細胞およびB細胞上で、腸管ホーミング分子であるインテグリンα4β7およびC-Cケモカイン受容体型9(CCR9)の発現を惹起し、粘膜アドレシン接着分子1(MAdCAM-1)またはケモカインCCL25とそれぞれ相互作用することができる(Guo,Brown,Ortiz & Noelle、2015年)。また、MLNでatRAが合成されると、ナイーブまたはコミットCD4+T細胞中で系列特異的転写因子であるフォークヘッドボックスP3(FoxP3)の発現が増加し、末梢誘導性制御性T細胞(pTreg)を生成し、これは、自己抗原や食品抗原に対する炎症反応を抑制するTリンパ球サブタイプである(Coombesら、2007年;Iwata,Hirakiyama,Eshima,Kagechika,Kato & Song、2004年;Kang,Wang,Matsumoto & Kim、2009年)。
【0006】
免疫系では、atRAの作用は、主にRARαを介していると思われる。RARαは、ナイーブCD4+ Tリンパ球で発現する主要なRARサブタイプであり(Hallら、2011年;Hillら、2008年)、形質転換増殖因子βの存在下では、T細胞活性化時に著しくアップレギュレートされる(Schambach,Schupp,Lazar & Reiner、2007年)。マウスのRARαを欠失させると、免疫系中のビタミンAの欠乏の影響の多くを再現する。例えば、atRA刺激によるpTregの形成およびインテグリンα4β7発現のアップレギュレーションは、RARαノックアウトマウスにおいては抑止されるが、RARβまたはRARγノックアウトマウスにおいては抑止されない(Hillら、2008年)。同様に、マウスCD8+ T細胞のRARαの系統特異的欠失によって、インビトロでatRA誘発性α4β7発現およびCCR9発現が抑止されるが、RARβまたはRARγの系統特異的欠失によっては、抑止されない(Guo,Brown,Ortiz & Noelle、2015年;Guo,Lee,Brown,Zhang,Usherwood & Noelle、2014年)。
【0007】
哺乳動物の精子形成は、精巣においてatRA代謝産物とシグナル伝達を時空間的に制御することによっても調節される(Endoら、2017年)。マウスにおけるビタミンAの欠乏(WolbachおよびHowe、1925年)、RALDH阻害剤を用いたatRA合成の阻害(Heller,Moore & Paulsen、1961年)、あるいはRARαの標的化欠失(Lufkinら、1993年;Chung,Sung,Wang & Wolgemuth、2004年)はすべて、精子形成を妨害する。同様に、マウスやウサギにおいて汎RARアンタゴニストを経口投与することによって、精子形成を可逆的に妨害し、精子細胞を整列させたり遊離させたりしないため、生殖能力を損なわせる(Chungら、2011年;Chung,Wang & Wolgemuth、2016年)。静脈内投与されると精子形成を阻害するRARα選択的アンタゴニストは特定されているが、経口投与によって投与されるものは特定されていない(Chungら、2013年)。
【発明の概要】
【0008】
RARαモジュレーターの開発は、免疫系を調節する新たな治療化合物の有望な手段である可能性がある。一例として、RARαアンタゴニストは、疾患において治療上有効である可能性があり、ここで、α4β7が関連すると考えられており、これは、アンタゴニストによって、治療環境においてα4β7発現の誘導が阻止されると予想され得るからである。具体的には、治療用モノクローナル抗体ベドリズマブは、α4β7に結合し、炎症性腸疾患(IBD)、自己免疫誘発性胃腸炎、および原発性硬化性胆管炎の処置に有効である(Dianaら、2018年;Paul,Willietら、2018年;Westerveld,Grajoら、2017年)。α4β7を発現する免疫細胞は、免疫不全ウイルスHIV-1の初期の標的であることが報告されており、抗ウイルス療法として、α4β7阻害が試されてきた(Uzzan,Tokuyama,Rosenstein,Tomescu,SahBandarら、2018年)。小分子アンタゴニストによるRARα阻害は、腸の炎症性疾患またはHIV感染を処置するための魅力的な手段である可能性がある。加えて、小分子アンタゴニストによるRARα阻害は、男性用の可逆的経口避妊薬を開発するための魅力的な手段である可能性がある。
【0009】
本発明の様々な実施形態は、レチノイン酸受容体アルファアイソフォーム(RARα)の転写活性を抑制することができるRARαの小分子アンタゴニストを提供する。これらのモジュレーターのうちのいくつかは、RARβやRARγではなく、RARαの選択的アンタゴニストである。次に、これらのアンタゴニストは、RARβやRARγの調節を最小限に抑えながら免疫細胞の機能を調節し、それによって、身体の他の組織や臓器において起こり得る副作用のスペクトルを減少し、特に慢性および/または急性炎症性疾患、好ましくはクローン病、潰瘍性大腸炎、免疫系と関連がある病態、癌、ウイルス感染、および移植片対宿主疾患などの様々な病理学的表現型を改善するために、患者や実験動物において使用されてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態は、式(I):
【0011】
【化1】
の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を提供し、
式中、
X
1は、C
1-6アルキル、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Aと置換され、
X
2は、C
6または10アリール、5~10員ヘテロアリール、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC3~8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~4つのR
Bと置換され、ここで、X
1が、メチルと置換されたフェニルであるとき、X
2が、-C(=O)OHまたは-C(=O)NH
2と1~3つのR
Bと置換され、
R
Aはそれぞれ独立して、ハロ、シアノ、-C(=O)NH
2、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または置換3~10員ヘテロシクロアルキルであり、
R
Bはそれぞれ独立して、ブロモ、クロロ、シアノ、-C(=O)NH
2、-C(=O)OH、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または酸性部分であり、
Y
1は水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルであり、
Y
2は、ハロ、シアノ、非置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、または置換C
1-6アルコキシであり、
Z
1は、O(酸素)、S(硫黄)、またはNR
Cであり、ならびに、
R
Cは、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルである。
【0012】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ia):
【0013】
【化2】
の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体としてさらに規定され、
Z
2はそれぞれ独立して、N(窒素)、CHまたはCR
Bである。
【0014】
いくつかの実施形態は、式(II):
【0015】
【化3】
の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を提供し、
式中、
X
3は、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Eと置換され、
X
4は、C
6または10アリール、5~10員ヘテロアリール、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Fと置換され、
R
Eはそれぞれ独立して、ハロ、シアノ、-C(=O)NH
2、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または置換3~10員ヘテロシクロアルキルであり、
R
Fはそれぞれ独立して、ハロ、シアノ、-C(=O)OH、-C(=O)NH
2、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、置換3~10員ヘテロシクロアルキルまたは酸性部分であり、
Y
3は、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルであり、
Y
4は、ハロ、シアノ、非置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、または置換C
1-6アルコキシであり、
Z
3は、O(酸素)、S(硫黄)、またはNR
Gであり、ならびに、
R
Gは、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルである。
【0016】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、
【0017】
【化4】
、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体としてさらに規定され、
Z
4はそれぞれ独立して、N(窒素)、CHまたはCR
Dである。
【0018】
いくつかの実施形態は、式(III):
【0019】
【化5】
の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を提供し、
式中、
X
5は、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、3-10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Hと置換され、
X
6は、C
6または10アリール、5~10員ヘテロアリール、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Jと置換され、
R
Hはそれぞれ独立して、ハロ、シアノ、-C(=O)NH
2、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または置換3~10員ヘテロシクロアルキルであり、
R
Jはそれぞれ独立して、ハロ、シアノ、-C(=O)OH、-C(=O)NH
2、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、置換3~10員ヘテロシクロアルキルまたは酸性部分であり、
Y
5は、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルであり、
Y
6は、ハロ、シアノ、非置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、または置換C
1-6アルコキシであり、
Z
5は、O(酸素)、S(硫黄)、またはNR
Kであり、ならびに、
R
Kは、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルである。
いくつかの実施形態は、式(III)の化合物は、
【0020】
【化6】
、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体としてさらに規定され、
式中、
Z
6はそれぞれ独立して、N(窒素)、CHまたはCR
Jであり、ここで、少なくとも1つのZ
6は、N(窒素)である。
【0021】
いくつかの実施形態は、式(IV):
【0022】
【化7】
の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を提供し、
式中、
X
7は、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~3つのR
Lと置換され、
X
8は、C
6または10アリール、5~10員ヘテロアリール、3~10員ヘテロシクロアルキル、またはC
3-8シクロアルキルであり、それぞれ任意選択で1~4つのR
Mと置換され、ここで、X
1が、メチルと置換されたフェニルであるとき、X
2が、-C(=O)OHまたは-C(=O)NH
2と1~3つのR
Mと置換され、
R
Lはそれぞれ独立して、ハロ、シアノ、-C(=O)NH
2、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または置換3~10員ヘテロシクロアルキルであり、
R
Mはそれぞれ独立して、フルオロ、ブロモ、クロロ、シアノ、-C(=O)NH
2、-C(=O)OH、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または酸性部分であり、
Y
7は、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルであり、
Y
8は、ハロ、シアノ、非置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、または置換C
1-6アルコキシであり、
Z
1は、O(酸素)、S(硫黄)、またはNR
Nであり、ならびに、
R
Nは、水素、非置換C
1-6アルキル、または置換C
1-6アルキルである。いくつかの実施形態では、R
Bはそれぞれ独立して、ブロモ、クロロ、シアノ、-C(=O)OH、非置換C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、非置換C
1-6アルコキシ、置換C
1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C
7-12アラルキル、置換C
7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または酸性部分である。
【0023】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物は、
【0024】
【化8】
、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体としてさらに規定され、
Z
8はそれぞれ独立して、N(窒素)、CHまたはCR
Mであり、ここで、少なくとも1つのZ
8は、N(窒素)である。
【0025】
いくつかの実施形態では、RMはそれぞれ独立して、ブロモ、クロロ、シアノ、-C(=O)NH2、-C(=O)OH、非置換C1-6アルキル、置換C1-6アルキル、非置換C1-6アルコキシ、置換C1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C7-12アラルキル、置換C7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または酸性部分である。いくつかの実施形態では、RMはそれぞれ独立して、ブロモ、クロロ、シアノ、-C(=O)NH2、-C(=O)OH、非置換C1-6アルキル、置換C1-6アルキル、非置換C1-6アルコキシ、置換C1-6アルコキシ、非置換フェニル、置換フェニル、非置換C7-12アラルキル、置換C7-12アラルキル、非置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロアリール、非置換3~10員ヘテロシクロアルキル、または置換3~10員ヘテロシクロアルキルである。
【0026】
いくつかの実施形態では、Z1はO(酸素)である。いくつかの実施形態では、Z3はO(酸素)である。いくつかの実施形態では、Z5はO(酸素)である。いくつかの実施形態では、Z7はO(酸素)である。いくつかの実施形態では、Y1は水素である。いくつかの実施形態では、Y3は水素である。いくつかの実施形態では、Y5は水素である。いくつかの実施形態では、Y7は水素である。いくつかの実施形態では、Y2はブロモである。いくつかの実施形態では、Y4はブロモである。いくつかの実施形態では、Y6はブロモである。いくつかの実施形態では、Y8はブロモである。いくつかの実施形態では、Y2はブロモではない。いくつかの実施形態では、Y4はブロモではない。いくつかの実施形態では、Y6はブロモではない。いくつかの実施形態では、Y8はブロモではない。
【0027】
いくつかの実施形態では、構造:
【0028】
【化9】
を有する化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を提供する。
【0029】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示され説明されているような化合物を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含む。
【0030】
いくつかの実施形態は、レチノイン酸受容体活性に関連した、対象の疾病を処置するか、または予防する方法を提供し、該方法は、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を有効量で対象に投与する工程を含む。
【0031】
いくつかの実施形態は、対象の癌を処置する方法を提供し、該方法は、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を有効量で対象に投与する工程を含む。
【0032】
いくつかの実施形態は、対象の炎症性疾患を処置する方法を提供し、該方法は、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を有効量で対象に投与する工程を含む。
【0033】
いくつかの実施形態は、動物の炎症性疾患を処置するのに有用な薬剤を製造するための、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体の使用を提供する。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、炎症性腸疾患、クローン病、または潰瘍性大腸炎である。
【0034】
いくつかの実施形態は、RARαを調節するための、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を提供する。
【0035】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を含む抗炎症剤を提供する。
【0036】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を含む抗癌剤を提供する。
【0037】
いくつかの実施形態は、子孫を妊娠させるオスの哺乳動物の能力を阻害する方法を提供し、該方法は、上述のオスの哺乳動物の精液中の精子を十分に減少させるか、または除去するのに有効な期間にわたって、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を有効量で定期的に上述のオスの哺乳動物に投与する工程を含む。
【0038】
いくつかの実施形態は、対象の精子形成を一時的かつ可逆的に阻止する方法を提供し、該方法は、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を有効量で対象に投与する工程を含む。
【0039】
いくつかの実施形態は、男性用避妊薬を提供し、該男性用避妊薬は、
i)本明細書に開示され説明されているような化合物または化合物の組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体と、
ii)薬学的に許容可能な賦形剤と、
を含む。
【0040】
いくつかの実施形態は、対象の精子形成を一時的かつ可逆的に阻止するのに有用な薬剤を製造するための、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体の使用を提供する。
【0041】
いくつかの実施形態は、対象の精子形成を一時的かつ可逆的に阻止するのに有用な薬剤を製造するための、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を含む男性用避妊薬剤を提供する。
【0042】
これらの実施形態や他の実施形態は、下記でより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本明細書に開示されているのは、RARαモジュレーターとして作用し得る新たな化合物、その製造方法、ならびに、その使用方法であり、使用方法としては、RARαシグナル伝達が媒介する疾患または障害を処置および/または予防するための使用が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている化合物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体は、クローン病、潰瘍性大腸炎、ならびに、炎症が制御されないことによって腸の裏層に損傷が生じる、ベーチェット腸炎、免疫チェックポイント阻害剤腸炎およびセリアック病などの他の障害を処置または予防するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている化合物は、原発性硬化性胆管炎、ヒト免疫不全ウイルス感染症または移植片対宿主病を処置または予防するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されている化合物は、癌を処置するために使用されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示され説明されているような化合物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体は、ヒトおよび動物の内因性atRA、特にヒトの内因性atRAによるRARαシグナル伝達の病原性の活性化に関与する障害を処置するのに有用なRARαモジュレーターとして作用してもよい。このような障害には、炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎(Crockett,Porter,Martin,Sandler & Kappelman、2010年;Fransenら、2013年;Paulら、2018年;Sandersら、2014年)、ならびに、炎症が制御されないことによって腸の裏層に損傷が生じる、ベーチェット腸炎(Lopalcoら、2017年)、免疫チェックポイント阻害剤腸炎(Diana,Mankongpaisarnrung,Atkins,Zeck & Charabaty、2018年;Hsieh,Ferman,Brown & Andrews、2016年;Navariniら、2017年)およびセリアック病(DePaoloら、2011年)などの他の障害が含まれてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示され説明されているような化合物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体は、原発性硬化性胆管炎(Eksteenら、2009年;Westerveld,Grajo,Beattie & Glover、2017年)、ヒト免疫不全ウイルス感染症(Arthosら、2018年;Nawazら、2018年;Sivroら、2018年)または移植片対宿主病(Aoyamaら、2013年;Chen,Dodge,Komorowski & Drobyski、2013年;Dodge,Stephans,Lai,Drobyski & Chen、2016年)を処置するために使用されてもよく、ここで、atRA誘発性腸管ホーミング受容体発現に対する催炎リンパ球輸送(trafficking)が、疾患の病因に寄与する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示され説明されているような化合物は、活性化中にT細胞上でのα4β7発現を阻止するためにインビトロで使用されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示され説明されているような化合物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体は、癌を処置するために使用されてもよく、ここで、RARαによるatRAシグナル伝達の向上によって、抗炎症性pTregの形成を促進し、それによって、抗腫瘍免疫応答メカニズを抑制する(Galvinら、2013年;Hongら、2015年;Guoら、2012年)。
【0047】
内因性atRAは、RARαによって癌増殖を亢進する可能性があるので、いくつかの実施形態では、本明細書に開示され説明されているような化合物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体は、特定の腫瘍の増殖を阻止するために使用されてもよい(Daponteら、2007年;van der Leedeら、1996年)。
【0048】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示され説明されているような化合物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体は、精子形成を一時的かつ可逆的に阻止させることによって、男性用避妊薬として作用させるために使用されてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態は、子孫を妊娠させるオスの哺乳動物の能力を阻害する方法を提供し、該方法は、上述のオスの哺乳動物の精液中の精子を十分に減少させるか、または除去するのに有効な期間にわたって、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を有効量で定期的に上述のオスの哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、表4-に開示されている化合物、あるいは表-4に開示されている化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体である。
【0050】
いくつかの実施形態は、対象の精子形成を一時的かつ可逆的に阻止する方法を提供し、該方法は、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体をある量で対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、表-4に開示されている化合物、あるいは表-4に開示されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体である。
【0051】
いくつかの実施形態は、男性用避妊薬を提供し、該男性用避妊薬は、
i)本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体と、
ii)薬学的に許容可能な賦形剤と、
を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、表-4に開示されている化合物、あるいは表-4に開示されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体である。
【0052】
いくつかの実施形態は、対象の精子形成を一時的かつ可逆的に阻止するのに有用な薬剤を製造するための、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体の使用を提供する。いくつかの実施形態では、化合物は、表-4に開示されている化合物、あるいは表-4に開示されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体である。
【0053】
いくつかの実施形態は、対象の精子形成を一時的かつ可逆的に阻止するのに有用な薬剤を製造するための、本明細書に開示され説明されているような化合物または組成物、あるいは本明細書に開示され説明されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体を含む男性用避妊薬剤を提供する。いくつかの実施形態では、化合物は、表-4に開示されている化合物、あるいは表-4に開示されているような化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体である。
【0054】
化合物および合成方法
本開示によって提供されている化合物は、以下に概説され、さらに実施例の項において説明されている方法を使用して作られてもよい。当業者であれば、実施例において説明されている条件および処理の公知の変形例を使用して、本明細書で提供されている教示によって導かれているように本開示の化合物を合成してもよいことを、容易に理解するであろう。利用した出発物質や設備は、市販のものか、あるいは従来報告され当業者によって容易に複製される方法によって調製したものかのいずれかとした。このような原理および技法は、例えば、March’s Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure (2007年)において教示されており、当該文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
本明細書中に開示されている化合物が少なくとも1個のキラル中心を有する場合、これらの化合物は、個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーとして、あるいはラセミ体を含むそのような異性体の混合物として存在してもよい。個々の異性体の分離、または個々の異性体の選択的合成は、当該分野の実務者に周知である様々な方法を応用することによって、達成される。他に示されていない限り、全ての異性体およびその混合物は、本明細書に開示されている化合物の範囲に含まれる。さらに、本明細書に開示されている化合物は、1つ以上の結晶質形態または非晶質形態で存在してもよい。他に示されていない限り、任意の多形形態を含むこのような形態はすべて、本明細書に開示されている化合物の範囲に含まれる。さらに、本明細書に開示されている化合物のうちのいくつかは、水(すなわち、水和物)または一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成してもよい。他に示されていない限り、このような溶媒和物は、本明細書に開示されている化合物の範囲に含まれる。
【0056】
当業者であれば、速度論的である場合でさえも、本明細書中に記載されている構造のいくつかが他の化学構造によって適正に表されることができる化合物の共鳴形態または互変異性体であってもよいことを認識するであろう。当業者であれば、このような構造がこのような化合物の試料のごく一部のみを表している場合があることを認識するであろう。このような化合物は、示されている構造の範囲内とみなされるが、このような共鳴形態または互変異性体は本明細書に表されていない。
【0057】
記載されている化合物中に、同位体が存在していてもよい。化合物構造において表わされるような化学元素はそれぞれ、その元素の任意の同位体を含んでもよい。例えば、化合物構造において、水素原子は、化合物中に存在すると明確に開示されているか、あるいはそのように理解されてもよい。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、水素原子は、水素の任意の同位体であってもよく、これには、水素-1(軽水素)および水素-2(重水素)が含まれるがこれらに限定されない。故に、化合物に対する本明細書中の言及は、文脈が他に明らかに示していない限り、起こり得るすべての同位体形態を包含する。
【0058】
定義
他に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する当該技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。全ての特許、出願、公開出願および他の刊行物の全体は、参照により組み込まれる。本明細書における用語について複数の定義が存在する場合、特に記述されていない限りこの節における定義が優先される。
【0059】
「溶媒和物」は、溶媒と、本明細書に記載されている化合物、あるいはその塩の相互作用によって形成された化合物を指す。適切な溶媒和物は、水和物を含む薬学的に許容可能な溶媒和物である。
【0060】
用語「薬学的に許容可能な塩」および「薬学的に許容可能なエステル」は、ある化合物の生物学的有効性および特性を保持し、かつ、医薬における使用のために、生物学的に、または他の点で不都合がない塩およびエステルをそれぞれ指す。多くの場合、本明細書に開示されている化合物は、アミノおよび/またはカルボキシル基、あるいはそれらに類似する基の存在によって、酸および/または塩基の塩を形成することができる。薬学的に許容可能な酸付加塩は、無機酸と有機酸で形成できる。塩が由来し得る無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれる。塩が由来し得る有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが含まれる。薬学的に許容可能な塩付加塩は、無機塩基と有機塩基で形成できる。塩が由来し得る無機塩基には、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが含まれ、とりわけ、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩が好ましい。塩が由来し得る有機塩基には、例えば、一級アミン、二級アミン、および三級アミン、自然発生の置換されたアミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などを含む置換されたアミン、具体的には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンなどが含まれる。1987年9月11日公開のJohnstonらの国際公開公報第87/05297(当該出願の全体は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、多くのそのような塩が当該技術分野において公知である。
【0061】
本発明で使用される場合、「a」および「b」が整数である「Ca-Cb」または「Ca-b」は、指示された基における炭素原子の数を指す。すなわち、その基は、「a」~「b」個(aとbを含む)の炭素原子を含有することができる。したがって、例えば、「C1-C4アルキル」基または「C1-4アルキル」基は、1~4個の炭素を有するアルキル基すべて、すなわち、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-、および(CH3)3C-を指す。
【0062】
本発明で使用される場合、用語「ハロゲン」または「ハロ」は、元素周期律表の第7列の放射安定性原子のうちのいずれか1つを意味し、例えば、フッ素、塩素、ブロミン、またはヨウ素があるが、なかでもフッ素および塩素が好ましい。
【0063】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、完全に飽和した(すなわち、二重結合または三重結合を含有していない)、直鎖または分岐炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1~20の炭素原子を有してもよい(本明細書で登場する場合、「1~20」などの数字の範囲は、既定の範囲の各整数を指す。例えば、「1~20の炭素原子」とは、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大20個(20個を含む)の炭素原子からなるものであってもよいことを意味するが、本規定は、数字の範囲が指定されていない「アルキル」という用語の登場も網羅する)。アルキル基は、1~9個の炭素原子を有する中型アルキルであってもよい。アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。アルキル基は「C1-4アルキル」または同様の名称で称されてもよい。ほんの一例として、「C1-4アルキル」は、アルキル鎖に1~4個の炭素原子があること、すなわち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、isoブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルからなる群から選択されることを示す。典型的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが含まれるが、決してこれらに限定されない。
【0064】
本発明で使用される場合、「アルコキシ」は、「C1-9アルコキシ」など、式中、Rが、上記に規定されているようなアルキルである式-ORを指し、これには、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、iso-ブトキシ、sec-ブトキシ、およびtert-ブトキシなどが含まれるがこれらに限定されない。
【0065】
本明細書で使用される場合、「アルキルチオ」は、「C1-9アルキルチオ」など、式中、Rが、上記に規定されているようなアルキルである式-SRを指し、メチルメルカプト、エチルメルカプト、n-プロピルメルカプト、1-メチルエチルメルカプト(イソプロピルメルカプト)、n-ブチルメルカプト、iso-ブチルメルカプト、sec-ブチルメルカプト、tert-ブチルメルカプトなどが含まれるがこれらに限定されない。
【0066】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」は、1つ以上の二重結合を含有している直鎖または分岐炭化水素鎖を指す。アルケニル基は、2~20個の炭素原子を有してもよいが、本規定は、数字の範囲が指定されていない「アルケニル」という用語の登場も網羅する。アルケニル基は、2~9個の炭素原子を有する中型アルケニルであってもよい。アルケニル基は、2~4個の炭素原子を有する低級アルケニルであってもよい。アルケニル基は、「C2-4アルケニル」または同様の名称で称されてもよい。ほんの一例として、「C2-4アルケニル」は、アルケニル鎖に2~4個の炭素原子があること、すなわち、アルキル鎖は、エテニル、プロペン-1-イル、プロペン-2-イル、プロペン-3-イル、ブテン-1-イル、ブテン-2-イル、ブテン-3-イル、ブテン-4-イル、1-メチル-プロペン-1-イル、2-メチル-プロペン-1-イル、1-エチル-エテン-1-イル、2-メチル-プロペン-1-イル、ブタ-1,3-ジエニル、ブタ-1,2,-ジエニル、およびブタ-1,2-ジエン-4-イルからなる群から選択されることを示す。典型的なアルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニルなどが含まれるが、決してこれらに限定されない。
【0067】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」は、1つ以上の三重結合を含有している直鎖または分岐炭化水素鎖を指す。アルキニル基は、2~20個の炭素原子を有してもよいが、本規定は、数字の範囲が指定されていない「アルキニル」という用語の登場も網羅する。アルキニル基は、2~9個の炭素原子を有する中型アルキニルであってもよい。アルキニル基は、2~4個の炭素原子を有する低級アルキニルであってもよい。アルキニル基は、「C2-4アルキニル」または同様の名称で称されてもよい。ほんの一例として、「C2-4アルキニル」は、アルキニル鎖に2~4個の炭素原子があること、すなわち、アルキニル鎖は、エテニル、プロピン-1-イル、プロピン-2-イル、ブチン-1-イル、ブチン-3-イル、ブチン-4-イル、および2-ブチニルからなる群から選択されることを示す。典型的なアルキニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニルなどが含まれるが、決してこれらに限定されない。
【0068】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキル」は、鎖主鎖に1個以上のヘテロ原子、すなわち、窒素、酸素および硫黄を含むがこれらに限定されない、炭素以外の元素を含有している直鎖または分岐炭化水素鎖を指す。ヘテロアルキル基は、1~20個の炭素原子を有してもよいが、本規定は、数字の範囲が指定されていない「ヘテロアルキル」という用語の登場も網羅する。ヘテロアルキル基は、1~9個の炭素原子を有する中型ヘテロアルキルであってもよい。ヘテロアルキル基は、1~4個の炭素原子を有する低級ヘテロアルキルであってもよい。ヘテロアルキル基は、「C1-4ヘテロアルキル」または同様の名称で称されてもよい。ヘテロアルキル基は、1個以上のヘテロ原子を含有していてもよい。ほんの一例として、「C1-4ヘテロアルキル」は、ヘテロアルキル鎖に1~4個の炭素原子があり、加えて、ヘテロアルキル鎖の主鎖に1個以上のヘテロ原子があることを示す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」は、炭素および水素のみを含有している、完全に飽和した分岐鎖または直鎖のジラジカル化学基であって、その分子の残部に2つの結合点(すなわち、アルカンジイル)を介して結合しているものを意味する。アルキレン基は、1~20個の炭素原子を有してもよいが、本規定は、数字の範囲が指定されていないアルキレンという用語の登場も網羅する。アルキレン基は、1~9個の炭素原子を有する中型アルキレンであってもよい。アルキレン基は、1~4個の炭素原子を有する低級アルキレンであってもよい。アルキレン基は、「C1-4アルキレン」または同様の名称で称されてもよい。ほんの一例として、「C1-4アルキレン」は、アルキレン鎖に1~4個の炭素原子があること、すなわち、アルキレン鎖は、メチレン、エチレン、エタン-1,1-ジイル、プロピレン、プロパン-1,1-ジイル、プロパン-2,2-ジイル、1-メチル-エチレン、ブチレン、ブタン-1,1-ジイル、ブタン-2,2-ジイル、2-メチル-プロパン-1,1-ジイル、1-メチル-プロピレン、2-メチル-プロピレン、1,1-ジメチル-エチレン、1,2-ジメチル-エチレン、および1-エチル-エチレンからなる群から選択されることを示す。
【0070】
本明細書で使用される場合、「アルケニレン」は、炭素および水素のみを含有し、かつ、その分子の残部に2つの結合点を介して結合する炭素-炭素二重結合を少なくとも1つ含有している、直鎖または分岐鎖のジラジカル化学基を意味する。アルケニレン基は、2~20個の炭素原子を有してもよいが、本規定は、数字の範囲が指定されていないアルケニレンという用語の登場も網羅する。アルケニレン基は、2~9個の炭素原子を有する中型アルケニレンであってもよい。アルケニレン基は、2~4個の炭素原子を有する低級アルケニレンであってもよい。アルケニレン基は、「C2-4アルケニレン」または同様の名称で称されてもよい。ほんの一例として、「C2-4アルケニレン」は、アルケニレン鎖に2~4個の炭素原子があること、すなわち、アルケニレン鎖は、エテニレン、エテン-1,1-ジイル、プロペニレン、プロペン-1,1-ジイル、プロプ-2-エン-1,1-ジイル、1-メチル-エテニレン、but-1-エニレン、but-2-エニレン、but-1,3-ジエニレン、ブテン-1,1-ジイル、but-1,3-ジエン-1,1-ジイル、but-2-エン-1,1-ジイル、but-3-エン-1,1-ジイル、1-メチル-プロプ-2-エン-1,1-ジイル、2-メチル-プロプ-2-エン-1,1-ジイル、1-エチル-エテニレン、1,2-ジメチル-エテニレン、1-メチル-プロペニレン、2-メチル-プロペニレン、3-メチル-プロペニレン、2-メチル-プロペン-1,1-ジイル、および2,2-ジメチル-エテン-1,1-ジイルからなる群から選択されることを示す。
【0071】
用語「芳香族」は、共役π電子系を有する環または環系を指し、炭素環式の芳香族基(例えばフェニル)と複素環式芳香族基(例えばピリジン)の両方を含む。この用語は、すべての環系が芳香族であることを条件として、単環式または縮合環多環式(すなわち、隣接する原子対を共有する環)の基を含む。
【0072】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、環骨格に炭素のみを含有している芳香族環または環系(すなわち、隣接する2個の炭素原子を共有する2個以上の縮合環)を指す。アリールが環系である場合、系にある環はすべて芳香族である。アリール基は、6~18個の炭素原子を有してもよいが、本規定は、数字の範囲が指定されていない「アリール」という用語の登場も網羅する。いくつかの実施形態では、アリール基は、6~10個の炭素原子を有する。アリール基は、「C6-10アリール」、「C6またはC10アリール」、または同様の名称で称されてもよい。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、アズレニル、およびアントラセニルが含まれるがこれらに限定されない。
【0073】
本明細書で使用される場合、「アリールオキシ」および「アリールチオ」は、「C6-10アリールオキシ」または「C6-10アリールチオ」など、Rが、上記で規定されているようなアリールであるRO-およびRS-を指し、これには、フェニルオキシが含まれるがこれに限定されない。
【0074】
「アラルキル」または「アリールアルキル」は、「C7-14アラルキル」など、アルキレン基を介して置換基として結合するアリール基であり、これには、ベンジル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、およびナフチルアルキルが含まれるがこれらに限定されない。場合によっては、アルキレン基は、低級アルキレン基(すなわち、C1-4アルキレン基)である。
【0075】
本明細書中で使用される場合、「ヘテロアリール」は、環骨格に1個以上のヘテロ原子、すなわち、窒素、酸素および硫黄を含むがこれらに限定されない、炭素以外の元素を含有している芳香族環または環系(すなわち、隣接する2個の原子を共有する2個以上の縮合環)を指す。ヘテロアリールが環系である場合、系にある環はすべて芳香族である。ヘテロアリール基は、5~18個の環員(すなわち、炭素原子およびヘテロ原子を含む、環骨格を構成している原子の数)を有してもよいが、本規定は、数字の範囲が指定されていない「ヘテロアリール」という用語の登場も網羅する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、5~10個の環員または5~7個の環員を有する。ヘテロアリール基は、「5~7員ヘテロアリール」、「5~10員ヘテロアリール」、または同様の名称で称されてもよい。ヘテロアリール環の例には、フリル、チエニル、フタラジニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、イソインドリル、およびベンゾチエニルが含まれるがこれらに限定されない。
【0076】
「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルキル」は、アルキレン基を介して置換基として結合するヘテロアリール基である。例として、2-チエニルメチル、3-チエニルメチル、フリルメチル、チエニルエチル、ピロリルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル、およびイミダゾリルアルキルが含まれるがこれらに限定されない。場合によっては、アルキレン基は、低級アルキレン基(すなわち、C1-4アルキレン基)である。
【0077】
本明細書で使用される場合、「カルボシクリル」は、環系骨格に炭素原子のみを含有している、非芳香環式の環または環系を意味する。カルボシクリルが環系である場合、2個以上の環が一緒に、縮合、架橋、またはスピロ型結合の様式で結合してもよい。カルボシクリルは、環系にある少なくとも1個の環が芳香族ではないことを条件として、任意の飽和度を有してもよい。したがって、カルボシクリルには、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびシクロアルキニルが含まれる。カルボシクリル基は、2~20個の炭素原子を有してもよいが、本規定は、数字の範囲が指定されていない「カルボシクリル」という用語の登場も網羅する。カルボシクリル基は、3~10個の炭素原子を有する中型カルボシクリルであってもよい。カルボシクリル基は、3~6個の炭素原子を有するカルボシクリルであってもよい。カルボシクリル基は、「C3-6カルボシクリル」または同様の名称で称されてもよい。カルボシクリル環の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,3-ジヒドロ-インデン、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、アダマンチル、およびスピロ[4.4]ノナニルが含まれるがこれらに限定されない。
【0078】
「(カルボシクリル)アルキル」は、「C4-10(カルボシクリル)アルキル」など、アルキレン基を介して置換基として結合するカルボシクリル基であり、これには、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルブチル、シクロブチルエチル、シクロプロピルイソプロピル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチルメチルなどが含まれるがこれらに限定されない。場合によっては、アルキレン基は、低級アルキレン基である。
【0079】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、完全に飽和した炭素環式の環または環系を意味する。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれる。
【0080】
本明細書で使用される場合、「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を有する炭素環式の環または環系であって、環系にある環はいずれも芳香族ではないものを意味する。一例は、シクロヘキセニルである。
【0081】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」は、環骨格に少なくとも1個のヘテロ原子を含有している、非芳香環式の環または環系を意味する。ヘテロシクリルは、縮合、架橋、またはスピロ型結合の様式で一緒に結合してもよい。ヘテロシクリルは、環系にある少なくとも1個の環が芳香族ではないことを条件として、任意の飽和度を有してもよい。ヘテロ原子(複数可)は、その環系の非芳香環または芳香環のいずれに存在していてもよい。ヘテロシクリル基は、3~20個の環員(すなわち、炭素原子およびヘテロ原子を含む、環骨格を構成している原子の数)を有してもよいが、本規定は、数字の範囲が指定されていない「ヘテロシクリル」という用語の登場も網羅する。ヘテロシクリル基は、3~10個の環員を有する中型ヘテロシクリルであってもよい。ヘテロシクリル基は、3~6個の環員を有するヘテロシクリルであってもよい。ヘテロシクリル基は、「3~6員ヘテロシクリル」または同様の名称で称されてもよい。好ましい6員単環式ヘテロシクリルにおいて、ヘテロ原子(複数可)は、O、NまたはSのうちの1個から最大3個までから選択され、そして、好ましい5員単環式ヘテロシクリルにおいて、ヘテロ原子(複数可)は、O、NまたはSから選択される1個または2個のヘテロ原子から選択される。ヘテロシクリル環の例には、アゼピニル、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジオキソラニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、オキシラニル、オキセパニル、チエパニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジオキソピペラジニル、ピロリジニル、ピロリジドニル、ピロリジオニル、4-ピペリドニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、1,3-ジオキシニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキシニル、1,4-ジオキサニル、1,3-オキサチアニル、1,4-オキサチイニル、1,4-オキサチアニル、2H-1,2-オキサジニル、トリオキサニル、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジニル、1,3-ジオキソリル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオリル、1,3-ジチオラニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリジノニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、1,3-オキサチオラニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロ-1,4-チアジニル、チアモルホリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリジニル、およびテトラヒドロキノリンが含まれるがこれらに限定されない。
【0082】
「(ヘテロシクリル)アルキル」は、アルキレン基を介して置換基として結合するヘテロシクリル基である。例としては、イミダゾリニルメチルおよびインドリニルエチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書で使用される場合、「アシル」は、Rが、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルである、-C(=O)Rを指す。非限定的な例として、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、およびアクリルが含まれる。
【0084】
「O-カルボキシ」基は、Rが、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「-OC(=O)R」基を指す。
【0085】
「C-カルボキシ」基は、Rが、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「-C(=O)OR」基を指す。非限定的な例として、カルボキシル(すなわち、-C(=O)OH)が含まれる。
【0086】
「エステル」基は、Rが、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「-C(=O)OR」基を指す。非限定的な例として、メチルエステル(すなわち、-C(=O)CH3)が含まれる。
【0087】
「シアノ」基は、-CN基を指す。
【0088】
「シアナト」基は、「-OCN」基を指す。
【0089】
「イソシアノ」基は、「-NCO」基を指す。
【0090】
「チオシアナート」基は、「-SCN」基を指す。
【0091】
「イソチオシアナート」基は、「-NCS」基を指す。
【0092】
「スルフィニル」基は、Rが、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「-S(=O)R」基を指す。
【0093】
「スルホニル」基は、Rが、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「-SO2R」基を指す。
【0094】
「S-スルホンアミド」基は、RAおよびRBがそれぞれ独立して、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「-SO2NRARB」基を指す。
【0095】
「N-スルホンアミド」基は、RAおよびRbがそれぞれ独立して、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「-N(RA)SO2RB」基を指す。
【0096】
「O-カルバミル」基は、RAおよびRBがそれぞれ独立して、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「OC(=O)NRARB」基を指す。
【0097】
「N-カルバミル」基は、RAおよびRBがそれぞれ独立して、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「-N(RA)C(=O)ORB」基を指す。
【0098】
「O-チオカルバミル」基は、RAおよびRBがそれぞれ独立して、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「OC(=S)NRARB」基を指す。
【0099】
「N-チオカルバミル」基は、RAおよびRBがそれぞれ独立して、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「-N(RA)C(=S)ORB」基を指す。
【0100】
「C-アミド」基は、RAおよびRBがそれぞれ独立して、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「C(=O)NRARB」基を指す。
【0101】
「N-アミド」基は、RAおよびRBがそれぞれ独立して、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「-N(RA)C(=O)RB」基を指す。
【0102】
「アミノ」基は、RAおよびRBがそれぞれ独立して、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、「-NRARB」基を指す。非限定的な例として、遊離アミノ(すなわち、-NH2)が含まれる。
【0103】
「アミノアルキル」基は、アルキレン基を介して結合しているアミノ基を指す。
【0104】
「アルコキシアルキル」基は、「C2-8アルコキシアルキル」など、アルキレン基を介して結合しているアルコキシ基を指す。
【0105】
本明細書で使用される場合、置換される基は、1個以上の水素原子が、別の原子または基と交換されている、置換されていない親基に由来する。他に示されていない限り、ある基が「置換されている」とみなされる場合、その基が、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニル、C1-C6アルキニル、C1-C6ヘテロアルキル、C3-C7カルボシクリル(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで任意選択で置換されている)、C3-C7-カルボシクリル-C1-C6-アルキル(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで任意選択で置換されている)、5~10員ヘテロシクリル(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで任意選択で置換されている)、5~10員ヘテロシクリル-C1-C6-アルキル(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで任意選択で置換されている)、アリール(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで任意選択で置換されている)、アリール(C1-C6)アルキル(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで任意選択で置換されている)、5員~10員ヘテロアリール(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで任意選択で置換されている)、5員~10員ヘテロアリール(C1-C6)アルキル(ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、およびC1-C6ハロアルコキシで任意選択で置換されている)、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルコキシ(C1-C6)アルキル(すなわち、エーテル)、アリールオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、ハロ(C1-C6)アルキル(例えば、-CF3)、ハロ(C1-C6)アルコキシ(例えば、-OCF3)、C1-C6アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミノ(C1-C6)アルキル、ニトロ、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、アシル、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、スルフィニル、スルホニル、およびオキソ(=O)から独立して選択される1個以上の置換基で置換されていることを意味する。ある基が「任意選択で置換されている」と記載される場合は常に、その基は、上記の置換基で置換されることができる。
【0106】
特定のラジカル命名規則は、その文脈に応じて、モノラジカルまたはジラジカルのいずれかを含むことができることが理解されるべきである。例えば、ある置換基がその分子の残部への結合点を2つ必要とする場合、この置換基はジラジカルであることが理解される。例えば、2つの結合点を必要とするアルキルとして同定される置換基には、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-などのジラジカルが含まれる。他のラジカル命名規則は、ラジカルが「アルキレン」または「アルケニレン」などのジラジカルであることを明らかに示している。
【0107】
2個のR基が、「これらが結合している原子と一緒になって」環(例えば、カルボシクリル環、ヘテロシクリル環、アリール環、またはヘテロアリール環)を形成すると記載されている場合、原子と2個のR基との集合単位が、記載されている環であることを意味する。環は、個々に解釈される場合には、各R基の規定によって別段限定されない。例えば、以下の構造:
【0108】
【化10】
が存在し、R
1およびR
2が、水素およびアルキルからなる群より選択されるものとして規定されるか、またはR
1およびR
2が、これらが結合している窒素と一緒になってヘテロアリールを形成するものとして規定される場合、R
1およびR
2が、水素またはアルキルから選択されることができることを意味するか、あるいは、この構造が、環Aが、示されている窒素を包含するヘテロアリール環である、構造:
【0109】
【0110】
同様に、「隣接する」2個のR基が、「これらが結合している原子と一緒になって」環を形成すると記載されている場合、原子と、介在する結合と、2個のR基との集合単位が、記載されている環であることを意味する。例えば、以下の構造:
【0111】
【化12】
が存在し、R
1およびR
2が、水素およびアルキルからなる群より選択されるものとして規定されるか、またはR
1およびR
2が、これらが結合している原子と一緒になってアリールまたはカルボシクリルを形成するものとして規定される場合、R
1およびR
2が、水素またはアルキルから選択されることができることを意味するか、あるいは、この構造が、環Aが、示されている二重結合を包含するアリール環またはカルボシクリルである、構造:
【0112】
【0113】
ある置換基が、ジラジカル(すなわち、その分子の残部への結合点を2つ有する)として示されている場合は常に、この置換基は、他に示されていない限り、任意の方向性を持つ配置で結合することができることが理解されるべきである。従って、例えば、-AE-または
【0114】
【化14】
として示されている置換基には、Aがその分子の最も左の結合点に結合しているように配向されている置換基、ならびに、Aがその分子の最も右の結合点に結合している場合が含まれる。
【0115】
本明細書で使用される場合、「酸性部分」は、カルボン酸の同様の特性を示す基である。いくつかの実施形態では、結合部分は、テトラゾールである。いくつかの実施形態では、酸性部分は、Rが、水素、本明細書で規定されているようなC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7カルボシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される、-SO3H、-SO2HNR、-PO2(R)2、-PO3(R)2、-CONHNHSO2R、-COHNSO2R、および-CONRCNであってもよい。いくつかの実施形態では、結合部分は、以下から選択される:
【0116】
【0117】
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、非ヒト霊長類または鳥類、例えばニワトリ、ならびに任意の他の脊椎動物または無脊髄動物を意味する。
【0118】
用語「哺乳動物」は、その通常の生物学的意味で使用される。したがって、これには、具体的には、サル類(チンパンジー、類人猿、サル)およびヒトを含む霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、げっ歯類、ラット、マウス、モルモットなどが含まれるがこれらに限定されない。
【0119】
「有効量」または「治療有効量」とは、本明細書で使用される場合、疾患または疾病の症状のうちの1つ以上を、ある程度まで軽減するか、またはその発症の可能性を低下させるのに有効である治療剤の量を指し、これには、疾患または疾病を治癒することを含む。「治癒すること」とは、疾患または疾病の症状が除去されることを意味するが、治癒が達成された後でも、ある一定の長期的または永久的な効果が存在する場合がある(広範囲にわたる組織の損傷など)。
【0120】
「処置する」、「処置」または「処置すること」とは、本明細書で使用される場合、予防および/または処置の目的のために化合物または医薬組成物を対象に投与することを指す。用語「予防的処置」は、疾患または疾病の症状をまだ示していないが、特定の疾患または疾病に罹患し易いか、あるいはそのリスクがある対象を処置し、その処置によって、患者が疾患または疾病を発症する可能性を低下させる処置を指す。用語「治療的処置」は、疾患または疾病に既に罹患している対象に処置を施すことを指す。
【0121】
「調節する」または「調節すること」とは、受容体、例えばRARα(代わりの命名には、RARアルファまたはNR1B1が含まれる)などの核受容体の転写活性に影響を及ぼすことを意味する。RARαの転写に対するアッセイが実施された。(Thacher,Crowe,TaoおよびRaheja、2017年、すなわち、WO2017/201200A1、Therapeutic compositions containing RAR-alpha antagonists)。RARモジュレーターのうちの1つがアンタゴニストであり、アンタゴニストは、レチン酸(または別のRARアゴニスト分子)の刺激効果を減弱させる。アンタゴニストのいくつかは、基礎受容体活性を抑制することに基づき「インバースアゴニスト」とも呼ばれ、これらは、「ニュートラルアンタゴニスト」と比較すると、別個の薬理学的特性を有することができる(Klein,Pinoら(1996年)、Thacher,Nagpalら(1999年))。本明細書において、RARαアンタゴニストは、アゴニストによる刺激作用を90%以上阻害するRARαモジュレーターを指し、これには、インバースアゴニストおよび大半のニュートラルアンタゴニストが含まれる。
【0122】
8-ブロモ-2,2-ジメチル-4-オキソクロマン-6-カルボン酸エチル(7)の合成:
【0123】
【化16】
2-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)フェノール(1)の合成
【0124】
【化17】
クロマン-2-オン(300g、2.027mol)を乾燥THF(500mL)に溶かした溶液を0℃に冷やした後、塩化メチルマグネシウム(2.0M、THFに溶かした溶液2.3L、4.662mol)を滴下して添加した。反応混合物を室温にまでゆっくりと温め、室温で一晩撹拌した。反応物に水(2L)を加えて反応を停止させ、ジエチルエーテル(2x2L)で抽出した。合体した有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、淡黄色の固体として2-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)フェノール(1)(290g、94%)を得た。
【0125】
2,2-ジメチルクロマン(2)の合成
【0126】
【化18】
2-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)フェノール(1)(290g、1.611mol)をベンゼン(1.0L)に溶かした撹拌溶液に、室温でH
2SO
4の15%水溶液(2.5L)を添加した。反応混合物を105℃まで加熱し、5時間撹拌した。反応混合物を冷やし、ジエチルエーテル(2x2L)で抽出した。合体したエーテル層を乾燥させ(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮し、淡黄色の液体として2,2-ジメチルクロマン(2)(265g)を得た。
【0127】
1-(2,2-ジメチルクロマン-6-イル)エタノン(3)の合成
【0128】
【化19】
2,2-ジメチルクロマン(2)(125g、0.771mol)を乾燥CH
2Cl
2(3L)に溶かした溶液に、AlCl
3(113g、0.848mol)を小分けして添加する前に、塩化アセチルを滴下して添加した(60.5ml、848.76mmol)。反応混合物を室温で30分間撹拌し、その後、氷水に注ぎ、CH
2Cl
2(2x2L)で抽出した。合体した有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗化合物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液 酢酸エチル:ヘキサン、1:9)によって精製し、淡黄色の固体として1-(2,2-ジメチルクロマン-6-イル)エタノン(3)(90g、57%)を得た。
【0129】
2,2-ジメチルクロマン-6-カルボン酸(4)の合成
【0130】
【化20】
2,2-ジメチルクロマン-6-イル)エタノン(3)(90g、0.441mol)とNaOH(83g、2.073mmol)をジオキサン(1.5L)に溶かした溶液に、漂白液(1.5L、NaOCl5.25%)を添加した。反応混合物を65℃まで加熱し、16時間撹拌した。室温まで冷やした後、Na
2SO
3(200g)を添加した。反応混合物をH
2SO
4(pH~4)で酸性化し、酢酸エチル(2x1.5L)で抽出した。合体した有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮した。粗化合物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン、1:3)によって精製し、淡黄色の固体として2,2-ジメチルクロマン-6-カルボン酸(4)(80g、88%)を得た。
【0131】
2,2-ジメチルクロマン-6-カルボン酸エチル(5)の合成
【0132】
【化21】
2,2-ジメチルクロマン-6-カルボン酸(4)(80g、0.388mol)をエタノール(1.6L)に溶かした撹拌溶液に、H
2SO
4(22mL)を滴下して添加した。反応混合物を95℃まで加熱し、24時間撹拌した。エタノールを減圧下で除去した。得られた粗化合物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液-酢酸エチル:ヘキサン、1:5)によって精製し、淡黄色の固体として2,2-ジメチルクロマン-6-カルボン酸エチル(5)(65g、71%)を得た。
【0133】
8-ブロモ-2,2-ジメチルクロマン-6-カルボン酸エチル(6)の合成
【0134】
【化22】
2,2-ジメチルクロマン-6-カルボン酸エチル(5)(60g、0.256mol)をAcOH(500mL)に溶かした溶液に、ブロミン(13.15mL、0.256mmol)を添加し、得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。粗化合物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液-酢酸エチル:ヘキサン、1:9)によって精製し、淡褐色の油として8-ブロモ-2,2-ジメチルクロマン-6-カルボン酸エチル(6)(60g、74%)を得た。
【0135】
8-ブロモ-2,2-ジメチル-4-オキソクロマン-6-カルボン酸エチル(7)の合成
【0136】
【化23】
AcOH(800ml)とAc
2O(285mL)の溶液を0℃に冷やした後、CrO
3(47.9g、479.23mmol)を小分けして添加した。この溶液を15分間攪拌し、8-ブロモ-2,2-ジメチルクロマン-6-カルボン酸エチル(6)(30g、95.85mmol)をベンゼン溶液(150mL)に溶かしたものを0.5時間かけて添加する前に、ベンゼン(100ml)で希釈した。0℃で4時間攪拌した後、反応混合物を氷の上に注ぎ、酢酸エチル(2x500mL)で抽出した。合体した有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮した。粗化合物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液-酢酸エチル:ヘキサン、1:9)によって精製し、オフホワイトの固体として8-ブロモ-2,2-ジメチル-4-オキソクロマン-6-カルボン酸エチル(7)(18g、57%)を得た。
【0137】
【0138】
2-フルオロ-4-安息香酸エチル(B)の合成
2-フルオロ-4-ニトロ安息香酸エチル(A)(73g、394.59mmol)をエタノール(600mL)に溶かした撹拌溶液に、濃HCl(10ml)を添加した。反応混合物を95℃まで加熱し、16時間撹拌した。エタノールを減圧下で除去し、粗化合物を、petエーテル(250mL)を加えて粉砕し、濾過し、残渣を減圧下で乾燥させ、淡黄色の固体として2-フルオロ-4-ニトロ安息香酸エチル(B)(63g、75%)を得た。
【0139】
4-アミノ-2-フルオロ安息香酸エチル(C)の合成
水素添加フラスコ内で、2-フルオロ-4-ニトロ安息香酸エチル(B)(63g、295.77mmol)をエタノール(1L)に溶かした溶液に、パラジウム炭素10%(12.6g)を添加し、Parr振とう機中で、水素(60psi)下で5時間撹拌した。反応混合物をセライト濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、オフホワイトの固体として4-アミノ-2-フルオロ安息香酸エチル(C)(55g、100%)を得た。
【0140】
【0141】
8-ブロモ-2,2-ジメチル-4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-2H-クロメン-6-カルボン酸エチル(8)の合成:
【0142】
【化26】
8-ブロモ-2,2-ジメチル-4-オキソクロマン-6-カルボン酸エチル(7)(2g、6.097mmol)をCH
2Cl
2(50mL)に溶かした撹拌溶液に、10分かけて0℃でピリジン(0.75mL、9.146mmol)と無水トリフルオロ酢酸(2.58mL、7.317mmol)とを添加した。得られた反応混合物を、アルゴン雰囲気下で、50℃で20時間維持した。反応混合物を冷やし、CH
2Cl
2(100mL)と水(50mL)で希釈した。分取した有機層を、水、塩水水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空で濃縮し、褐色の半固体として8-ブロモ-2,2-ジメチル-4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-2H-クロメン-6-カルボン酸エチル(8)(2g、粗生成物)を得た。この化合物は、直ちに次の工程の反応のために使用した。
【0143】
8-ブロモ-2,2-ジメチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2H-クロメン-6-カルボン酸エチル(9)の合成:
【0144】
【化27】
8-ブロモ-2,2-ジメチル-4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-2H-クロメン-6-カルボン酸エチル(8)(1.5g、3.275mmol)を1,4-ジオキサン(20mL)に溶かした撹拌溶液に、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.08g、4.257mmol)、酢酸カリウム(1.285g、13.100mmol)を添加し、得られた混合物を10分間、アルゴンで脱気した。その後、Pd(dppf)Cl
2・CH
2Cl
2(239mg、0.327mmol)を添加し、得られた反応混合物を90℃で2時間撹拌した。反応混合物を周囲温度にし、酢酸エチルで希釈し、濾過した。濾液を真空で濃縮し、得られた粗化合物を、酢酸エチル10%をpetエーテルに溶かした勾配混合物を溶離液として、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル番号100~200)によって精製し、オフホワイトの固体として8-ブロモ-2,2-ジメチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2H-クロメン-6-カルボン酸エチル(9)(1.2g、42%)を得た。この化合物は、次の工程の反応のためにそのまま使用した。
【0145】
【0146】
表1の化合物合成の一般的手順:
R1-MgX(グリニャール試薬)を調製するための方法:
方法-1:フレーム乾燥したフラスコ内に入れた削状マグネシウム(活性化、1.5当量)に、THFと1,2-ジブロモエタン/I2(cat)を添加し、得られた混合物を60~65℃まで加熱し、そこに、対応するR-X(THFに溶かした溶液)をゆっくりと添加した。得られた反応混合物を60~65℃でさらに1.5時間攪拌した。
【0147】
方法-2:対応するR-X(1当量)をTHFに溶かした溶液に、0℃でiPrMgCl(THF中1M、1当量)とLiCl(2.5当量)を添加し、得られた溶液をこの温度で2時間攪拌した。この溶液は、グリニャール反応のためにそのまま使用した。
【0148】
グリニャール反応:
方法-3:(表-1)(1当量)THFに溶解させ、その後、溶液を-78℃まで冷やした。この反応溶液に、グリニャール試薬(3当量)を滴下して添加した。得られた反応混合物を室温に達させながら、反応混合物を6~16時間撹拌した。反応の完了を、TLCによって観察した。反応混合物にNH4Cl水溶液を加えて反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。合体した有機層を水、塩水水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗残渣をトルエンに溶解し、p-TsOH(0.1当量)を用いて110℃で2~16時間処置した(TLCによって観察した)。溶媒を除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0149】
精製方法(表1~4):
方法-A:粗化合物を、EtOAc-petエーテルを溶離液として使用して、シリカゲルでフラッシュ/カラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0150】
方法-B:粗化合物にペンタン/ジエチルエーテル(2x)を加えて粉砕し、濾過し、高真空下で乾燥させた。
【0151】
方法-C:粗化合物を、逆相調整用HPLCによって精製した。
【0152】
方法-D:粗化合物を、MeOH-CH2Cl2を溶離液として使用して、シリカゲルでフラッシュ/カラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0153】
【0154】
【0155】
エステル加水分解の一般的手順(表-2):
方法-4:EtOH-THF-H2O(1:1:1)の溶媒混合物に溶解したエチルエステルに、LiOH・H2O(5当量)を添加し、得られた反応混合物を、40~50℃で16時間攪拌した(TLCによって観察した)。溶媒を減圧下で除去し、残渣を水で希釈し、ジエチルエーテル(1x)で洗浄した。水層を、10%クエン酸水溶液を使用してpH~3-4に調節し、沈殿した固形物を濾取し、高真空下で乾燥させた。
【0156】
【0157】
【0158】
アミド合成の一般的手順(表-3):
方法-5:CH2Cl2(5体積)に溶解した酸(1当量)の溶液を、塩化オキサリル(1mL/200mg)で処置し、50℃で16時間攪拌した(TLCによって観察した)。反応溶液を減圧下で濃縮し、対応する酸クロリドを得た。
【0159】
粗酸塩化物をCH2Cl2(5体積)に溶解し、溶液を0℃まで冷やし、ピリジン(1mL/200mg)で処置し、続いてアミン(1.5当量)を添加した。得られた反応混合物を室温で24時間撹拌した(TLCによって観察した)。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をCH2Cl2で希釈し、水、塩水水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、減圧下で濃縮して粗化合物を得て、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した後に、純粋な化合物を得た。
【0160】
方法-6:エステル(15)(1.6g、3.809mmol)と4-アミノ-2-フルオロ安息香酸エチル(1.045g、5.714mmol)を乾燥THF(30mL)に溶かした撹拌溶液に、0℃でTHF(22.85mL、22.85mmol)のLiHMDS 1Mを添加し、室温で2時間撹拌した。TLCによる反応の完了後、反応混合物にNH4Cl水溶液(30mL)を加えて反応を停止させ、酢酸エチル(2x50mL)で抽出した。合体した有機層を水(50mL)、塩水水(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗残渣を、EtOAc(12%)をpetエーテルに溶かしたものを使用して、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、100~200メッシュ)によって精製して、アミド(29)にした。
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
エステル加水分解の一般的手順(表-4):
方法-4:EtOH-THF-H2O(1:1:1)の溶媒混合物に溶解したエチルエステルに、LiOH・H2O(5当量)を添加し、得られた反応混合物を、40~50℃で16時間攪拌した(TLCによって観察した)。溶媒を減圧下で除去し、残渣を水で希釈し、ジエチルエーテル(1x)で洗浄した。水層を、10%クエン酸水溶液を使用してpH~3-4に調節し、沈殿した固形物を濾取し、高真空下で乾燥させた。
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
RARα、RARβおよびRARγ用転写アッセイは、化合物のアンタゴニスト様活性またはアゴニスト様活性を測定するものであって、これは、2017年11月23日公開の国際公開公報第2017/201200A1号(Thacher,Crowe,TaoおよびRaheja、Therapeutic compositions containing RAR-alpha antagonists)に記載され、当該文献は、参照により本明細書に組み込まれる。これらのアッセイで得られた結果は、0.5nMのレチノイドアゴニストTTNPBの存在下で、アゴニスト活性を測定している場合はEC50値として、アンタゴニスト活性を測定している場合はIC50値として表される。下記の表5は、本開示の特定の例示的な化合物に関するRARα、RARβおよびRARγ用アッセイの結果を示している。
【0169】
【0170】
投与および医薬組成物
本明細書に開示されている化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、エステル、または互変異性体は、限定されないが、経口、皮下、静脈内、鼻腔内、局所、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、膣内、直腸内、または眼内を含む、同様の有用性を果たす、許容される薬剤の投与方法のいずれかを介して投与されてもよい。経口投与および非経口投与は、好ましい実施形態の対象である適応症を処置する際に慣例となっている。
【0171】
上記に記載されているような有用な化合物は、これらの疾病の処置において使用するための医薬組成物に製剤化されてもよい。標準的な医薬製剤化技術が使用され、これには、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Williams & Wilkins(2005年)に開示されているものが挙げられ、当該文献の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。したがって、いくつかの実施形態は、(a)安全かつ治療有効量で本明細書に記載されている化合物(エナンチオマー、ジアステレオイソマー、互変異性体、多形体、およびそれらの溶媒和物を含む)、あるいはその薬学的に許容可能な塩またはエステルと、(b)薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、あるいはそれらの組み合わせと、を含む、医薬組成物を含む。
【0172】
用語「薬学的に許容可能な担体」または「薬学的に許容可能な賦形剤」には、あらゆるすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に活性な物質に対してこのような媒体および薬剤を使用することは、当該技術分野では周知である。任意の従来の媒体または薬剤が、活性成分と適合しない限り、治療用組成物においてその使用が企図されている。加えて、当該技術分野で一般に使用されているような様々なアジュバントが含まれてもよい。医薬組成物中の様々な成分が包含されることについての考慮事項は、例えば、Gilmanら(編集)(1990年);Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Basis of Therapeutics、第8版、Pergamon Pressに記載されており、当該文献の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0173】
薬学的に許容可能な担体またはその成分として果たすことができる物質のいくつかの例として、糖類、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース、デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびバレイショデンプン、セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびメチルセルロース、粉末化トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、固体滑沢剤、例えば、ステアリン酸およびステアリン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、植物油、例えば、ラッカセイ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびテオブロマの油、ポリオール類、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール、アルギン酸、乳化剤、例えば、TWEENS、湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、着色剤、香味剤、錠剤化剤、安定剤、抗酸化剤、保存剤、発熱物質を含まない水、等張食塩水、ならびにリン酸緩衝液がある。
【0174】
対象化合物と併せて使用される薬学的に許容可能な担体の選択は、基本的には、化合物が投与される手法によって判定される。
【0175】
本明細書に記載されている組成物は、好ましくは単位剤形で提供される。本明細書で使用される場合、「単位剤形」とは、良好な医療行為に従って、動物、好ましくは哺乳動物対象への単回投与での投与に適した量の化合物を含有する組成物である。しかしながら、単回または単位剤形の調製は、剤形が1日当たり1回または治療過程当たり1回投与されることを示唆するものではない。このような剤形は、1日1回、2回、3回またはそれ以上投与されるように企図されており、ある期間(例えば、約30分から約2~6時間まで)にわたって注入として投与されるか、あるいは持続注入として投与されてもよく、治療過程にわたって複数回投与されてもよいが、単回投与が特に除外されているわけではない。当業者であれば、製剤が治療過程全体を具体的に企図しておらず、このような決断は製剤よりもむしろ治療の当業者に委ねられていることを認識するであろう。
【0176】
上記に記載されているような有用な化合物は、様々な投与経路、例えば、経口、鼻腔内、直腸内、局所(経皮を含む)、眼内、脳内、頭蓋内、髄腔内、動脈内、静脈内、筋肉内、または他の非経口投与経路に適した様々な形態のうちのいずれであってよい。当業者であれば、経口および鼻腔内組成物は、利用可能な方法論を使用して作られ、吸入によって投与される組成物を含むことを理解するであろう。所望される特定の投与経路に応じて、当技術分野において周知の様々な薬学的に許容可能な担体が使用されてもよい。薬学的に許容可能な担体には、例えば、固体または液体の充填剤、希釈剤、ヒドロトロピー、表面活性剤、およびカプセル化物質が含まれる。化合物の阻害活性を実質的に妨げない、任意選択の薬学的に活性な物質が含まれてもよい。化合物と併せて用いられる担体の量は、化合物の単位用量当たりの投与のための物質を実用量で提供するのに十分なものである。本明細書に記載されている方法において有用な剤形を調製するための技術および組成物は、下記の参考文献に記載されており、当該参考文献はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。Modern Pharmaceutics、第4版、第9章および第10章(BankerおよびRhodes(編集)、2002年);Liebermanら、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets(1989年);ならびにAnsel、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 第8版(2004年)。
【0177】
錠剤、カプセル剤、顆粒剤および混合散剤などの固体の形態を含む、様々な経口剤形が使用されてもよい。錠剤は、適切な結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動誘発剤(flow-inducing agent)および溶融剤を含有する、圧縮錠剤、湿製錠剤、腸溶錠、糖衣錠、フィルムコーティング錠、または多重圧縮錠剤であってもよい。液体の経口剤形には、適切な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁化剤、希釈剤、甘味料、溶融剤、着色剤および香味剤を含有する、水溶液剤、乳剤、懸濁剤、無発泡性顆粒剤から再構成された液剤および/または懸濁剤、ならびに発泡性顆粒剤から再構成された発泡性調製物が含まれる。
【0178】
経口投与用の単位剤形の調製に適した薬学的に許容可能な担体は、当該技術分野において周知である。錠剤は、典型的には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトースおよびセルロースなどの不活性希釈剤、デンプン、ゼラチンおよびスクロースなどの結合剤、デンプン、アルギン酸およびクロスカルメロースなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびタルクなどの滑沢剤などの、従来の薬学的に適合するアジュバントを含む。粉末混合物の流動特性を改善するために、二酸化ケイ素などの流動促進剤が使用されてもよい。外観のために、FD&C色素などの着色剤が添加されてもよい。アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミントおよび果実フレーバーなどの甘味料および香味剤は、チュアブル錠に有用なアジュバントである。カプセル剤は、典型的には、1つ以上の上記に開示されている固体の希釈剤を含む。担体成分の選択は、味、費用および貯蔵性のような二次的考察によって決まるが、これは重大ではなく、当業者であれば容易に行うことができる。
【0179】
経口組成物には、液剤、乳剤、懸濁剤なども含まれる。このような組成物の調製に適した薬学的に許容可能な担体は、当技術分野において周知である。シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および懸濁剤用の担体の典型的な成分には、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトールおよび水が含まれる。懸濁剤について、典型的な懸濁化剤には、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、AVICEL RC-591、トラガカントおよびアルギン酸ナトリウムが含まれ、典型的な湿潤剤には、レシチンおよびポリソルベート80が含まれ、典型的な保存剤には、メチルパラベンおよび安息香酸ナトリウムが含まれる。経口液体組成物は、上記で開示されている甘味料、香味剤および着色剤などの1つ以上の成分も含有してもよい。
【0180】
このような組成物を、従来の方法によって、典型的には、対象化合物が、所望の局所適用の付近で消化管内に放出されるように、または所望の作用を延長するために何度も放出されるように、pHまたは時間依存的コーティングでコーティングされてもよい。このような剤形には、典型的には、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、Eudragitコーティング、ワックスおよびセラックのうちの1つ以上が含まれるがこれらに限定されない。
【0181】
本明細書に記載されている組成物は、任意選択で他の薬物活性物質を含んでもよい。
【0182】
対象化合物の全身送達を達成するのに有用な他の組成物には、舌下、頬側および鼻腔用剤形が含まれる。このような組成物は、典型的には、スクロース、ソルビトールおよびマンニトールなどの可溶性充填物質、ならびに、アカシア、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤のうちの1つ以上を含む。上記で開示されている流動促進剤、滑沢剤、甘味料、着色剤、抗酸化剤および香味剤も含まれてもよい。
【0183】
局所眼科使用のために製剤化される液体組成物は、眼に局所的に投与できるように製剤化される。快適さは可能な限り最大化されるべきであるが、製剤の考慮事項(例えば、薬剤の安定性など)によっては、最適な快適さよりも低くなる場合がある。快適さを最大化できない場合、液体は、局所眼科使用のために患者が耐えることができるように製剤化されるべきである。加えて、眼科的に許容可能な液体は、単回使用用に包装されるか、あるいは複数回使用による汚染を防ぐために保存剤を含有するかのいずれかであるべきである。
【0184】
眼科用途のために、液剤または薬剤は、多くの場合、主要なビヒクルとして生理食塩水を使用して調製される。点眼液は、好ましくは、適切な緩衝系で快適なpHに維持されるべきである。製剤は、従来の薬学的に許容可能な保存剤、安定剤および界面活性剤も含有してもよい。
【0185】
本明細書に開示されている医薬組成物に使用されてもよい保存剤には、塩化ベンザルコニウム、PHMB、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀が含まれるがこれらに限定されない。有用な界面活性剤とは、例えば、Tween80である。同様に、本明細書に開示されている眼科用調製物において様々な有用なビヒクルが使用されてもよい。これらのビヒクルとしては、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水が含まれるがこれらに限定されない。
【0186】
必要に応じて、または都合に応じて、等張化剤が添加されてもよい。これには、塩、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールおよびグリセリン、または他の任意の適切な眼科的に許容可能な等張化剤が含まれるがこれらに限定されない。
【0187】
得られる調製物が眼科的に許容可能なものである限り、pHを調整するために様々な緩衝剤および手段が使用されてもよい。多くの組成物では、pHは、4から9の間となる。したがって、緩衝剤には、酢酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤およびホウ酸塩緩衝剤が含まれる。これらの製剤のpHを調整するために、必要に応じて酸または塩基が使用されてもよい。
【0188】
同様に、眼科的に許容可能な抗酸化剤には、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンが含まれるがこれらに限定されない。
【0189】
眼科用調製物に含まれてもよい他の賦形剤成分は、キレート剤である。有用なキレート剤は、エデト酸二ナトリウムであるが、他のキレート剤もそれの代わりに、またはそれと併せて使用されてもよい。
【0190】
局所使用のために、本明細書に開示されている化合物を含有する、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、液剤または懸濁剤などが用いられる。局所製剤は、一般的には、医薬担体、共溶媒、乳化剤、浸透促進剤、保存剤系および皮膚軟化剤から構成されてもよい。
【0191】
静脈内投与のために、本明細書に記載されている化合物および組成物は、生理食塩水またはデキストロース溶液などの薬学的に許容可能な希釈剤に溶解または分散させられてもよい。所望のpHを達成するために、適切な賦形剤が含まれてもよいが、これには、NaOH、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HClおよびクエン酸が含まるがこれらに限定されない。様々な実施形態では、最終組成物のpHは、2から8まで、好ましくは4から7までの範囲である。抗酸化賦形剤には、重亜硫酸ナトリウム、アセトン重亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルホキシル酸塩、チオ尿素およびEDTAが含まれてもよい。最終的な静脈内組成物に見られる適切な賦形剤の他の非限定的例には、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、ならびにデキストロース、マンニトールおよびデキストランなどの炭水化物が含まれてもよい。さらなる許容可能な賦形剤は、Powellら、Compendium of Excipients for Parenteral Formulations、PDA J Pharm Sci and Tech 1998年、52 238~311、ならびに、Nemaら、Excipients and Their Role in Approved Injectable Products: Current Usage and Future Directions、PDA J Pharm Sci and Tech 2011年、65 287~332に記載されており、当該文献の全体はいずれも、参照により本明細書に組み込まれる。静菌性または静真菌性液剤を達成するために、抗菌剤が含まれてもよく、これには、硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾールおよびクロロブタノールが含まれてもよいがこれらに限定されない。
【0192】
静脈内投与用組成物は、投与の直前に滅菌水、食塩水またはデキストロースを水に溶かしたものなどの適切な希釈剤で再構成されるもう1つの固体の形態で介護者に提供されてもよい。他の実施形態では、組成物は、すぐに非経口で投与される溶液で提供される。さらに他の実施形態において、組成物は、投与前にさらに希釈される溶液で提供される。本明細書中に記載されている化合物と別の薬剤との組み合わせを投与する工程を含む実施形態では、混合物として介護者に提供されるために組み合わせが提供されるか、あるいは介護者は投与前に2つの薬剤を混合するか、あるいはこの2つの薬剤は個別に投与されてもよい。
【0193】
本明細書に記載されている活性化合物の実際の用量は、具体的な化合物と、処置される疾病とによって決まり、適切な用量の選択は、十分に当業者の知識の範囲内である。いくつかの実施形態では、1日量は、約0.25mg/kg体重から約120mg/kg体重以上まで、約0.5mg/kg体重未満から約70mg/kg体重まで、約1.0mg/kg体重から約50mg/kg体重、あるいは約1.5mg/kg体重から約10mg/kg体重までであってもよい。したがって、70kgの人への投与では、投与量範囲は、1日当たり約17mgから1日当たり約8000mgまで、1日当たり約35mg以下からの1日当たり約7000mg以上まで、1日当たり約70mgから1日当たり約6000mgまで、1日当たり約100mgから1日当たり約5000mg、あるいは1日当たり約200mgから1日当たり約3000mgまでであってもよい。
【0194】
治療方法
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載されている化合物および化合物を含む組成物を用いて炎症性疾患および癌を処置する方法を含む。いくつかの方法は、本明細書に記載されている化合物、組成物、医薬組成物を、必要とする対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、対象は、動物、例えば、哺乳動物、ヒトであってもよい。
【0195】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0196】
さらなる実施形態は、化合物の組み合わせを、必要とする対象に投与することを含む。組み合わせは、本明細書に記載されている化合物、組成物、医薬組成物と、さらなる薬剤とを含んでもよい。
【0197】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載されている化合物、組成物、および/または医薬組成物を、さらなる薬剤と併せて同時投与することを含む。「同時投与」とは、2つ以上の薬剤が実際にいつ、またはどのように投与されるかにかかわらず、その2つ以上の薬剤が患者の血流で同時に見出されてもよいことを意味する。一実施形態では、薬剤は、同時に投与される。このような一実施形態では、組み合わせで投与することは、単回剤形で薬剤を組み合わせることによって達成される。ある実施形態では、薬剤は、連続投与される。一実施形態では、薬剤は、同じ経路、例えば、経口経路を通して投与される。別の実施形態では、薬剤は、異なる経路を通して投与され、例えば1つは経口投与され、他の1つは静脈内投与される。
【0198】
本発明をさらに例証するために、次の実施例が含まれている。当然ながら、これらの実施例が、本発明を具体的に制限するものとして解釈されるべきではない。特許請求の範囲内にあるこれらの実施例の変形例は、当業者が理解できる範囲内であり、本明細書に記載され請求されているような本発明の範囲内にあるとみなされる。読者は、本開示と当該分野の技術を理解している当業者であれば、徹底的な実施例なしに本発明を調製し使用することができることを理解するであろう。
【実施例】
【0199】
生物学的活性
本開示の別の目的は、選択的RARαモジュレーターとして作用し得る新たな化合物および組成物、それらの製造方法、ならびに、それらの使用方法を提供することであり、この使用方法としては、レチノイン酸の増加が病原因子となる恐れがある、炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎などの疾患、ならびに、炎症が制御されないことによって腸の裏層に損傷が生じる、ベーチェット腸炎、免疫チェックポイント阻害剤腸炎などの他の障害を処置および/または予防するための使用が挙げられる。他の例としては、セリアック病、ヒト免疫不全ウイルス感染症または移植片対宿主病が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、化合物は、RARαの選択的阻害または拮抗のために使用されてもよい。
【0200】
CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞中でのα4β7発現を阻害
炎症中、活性化されたCD4+ T細胞やCD8+ T細胞中で、α4β7が誘発される場合がある。この誘発は、腸間膜リンパ節で樹状細胞が放出するレチノイン酸に部分的に左右されるものである。この誘発は、分化したTリンパ球にレチノイン酸を添加することによって、インビトロでモデル化でき、これによって、α4β7発現を誘発する(Iwataら、2004年;VillablancaおよびMora、2011年)。RARαアンタゴニストが、CD4+ Tリンパ球またはCD8+ Tリンパ球上でのα4β7発現を阻害できるということは、哺乳動物において、このようなアンタゴニストが、活性化したT細胞が腸に移動するのを阻害するように作用し得ることを示唆している。
【0201】
T細胞α4β7発現に対する、RARαアンタゴニストのインビトロでの作用
RAアゴニストまたはRARアゴニストの存在下で活性化されたT細胞は、α4β7をアップレギュレートし、腸管向性T細胞になる(Iwataら、2004年;VillablancaおよびMora、2011年)。本明細書で提供されているのは、活性化中にRARαアンタゴニストを用いた処置によって、T細胞上でのα4β7発現をインビトロで阻害する方法である。
【0202】
野生型マウスから脾臓細胞を単離し、PBS中、再懸濁し、5分間、400xgで遠心分離する。赤血球をACK溶解緩衝液4mL中、2~3分間かけて溶解し、その後、PBS5mLを添加して、細胞を5分間、400xgで遠心分離する。細胞ペレットをIMDM+10%FBS+2-メルカプトエタノール50mM+ペニシリン/ストレプトマイシン(完全IMDM)中、1x106細胞/mLに再懸濁する。細胞を、事前に抗CD3と抗CD28(10μg/mL)でコーティングした24ウェルプレートで培養し、37℃、5%CO2でインキュベートする。1組のウェルに、atRA(あるいはTTNPBまたはAm580などの合成RARアゴニスト)を添加して、最終濃度を100~200nMにする。2~3日後、細胞懸濁液を、コーティングされていない新たな24ウェルプレートに移動させ、さらに2~3日間インキュベートする。細胞を収集し、CD4、CD8、およびα4β7に対する蛍光色素標識抗体(eBioscience、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて、4℃で15分間、暗所でインキュベートすることによって、フローサイトメトリーによってα4β7発現について分析する。インキュベーション後、細胞を5分間、300g、4℃で遠心分離し、洗浄し、染色緩衝剤中、再懸濁し、FACSによって分析する。RARαアンタゴニストと共培養によって、T細胞上でのα4β7発現が阻害されることが予想される。
【0203】
RARα特異的アンタゴニストによる、培養中のヒトまたは他の哺乳動物のT細胞の事前処置は、T細胞活性化中にα4β7発現に対するRARαアンタゴニストの作用を評価する方法と同様に、種特異的試薬を用いる方法によって行う。
【0204】
T細胞中でのα4β7発現に対する、RARαアンタゴニストのインビボでの作用。
OT-II/Rag2-/-マウス(OT-II、CD45.2)から全脾臓細胞を単離し、300xgで5分間遠心分離する。ACK溶解緩衝液2mL中、室温で3分間かけて溶解することによって赤血球を取り除く。その後、細胞をIMDMで洗浄し、遠心分離して、完全IMDM10mL中、再懸濁する。
【0205】
Pan T cell isolation Kit II、マウス(Miltenyi #130-095-130)を使用して、全脾臓細胞からT細胞を単離する。0日目に、C57BL/6(CD45.1)を投与したマウスに3x106個のOT-II T細胞を静脈内注射する(後眼窩経路による)。1日目に、オボアルブミン50mgとR848(InvivoGen)10μgを水に溶かしたものを用いて、マウスを経口免疫する。1日目、2日目、そして3日目に、毎日強制経口投与によってRARαアンタゴニスト(10mg/kgまたは適切な用量)、あるいはビヒクル対照(DMSO5%、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン95%)を投与する。4日目に、マウスを屠殺し、脾臓、腸間膜リンパ節、小腸粘膜固有層リンパ球を単離し、α4β7、CD45.1、CD45.2、CD3、CD4、CD8、CD44(eBioscience)に対する蛍光色素結合抗体を使用して、フローサイトメトリーによって分析する。
【0206】
ビヒクルで処置したマウスと比較して、RARαアンタゴニストでの処置によって、CD45.2+ CD3+ CD4+ CD44hi T細胞上でのα4β7発現が阻害されることが予想される。
【0207】
精子形成に対する、RARαアンタゴニストのインビボでの作用。
RARαアンタゴニストでの処置によって、マウスの精子形成が妨害され、かつ生殖能力が損なわれることが予想される。オスのCD-1マウスに、最大30日間にわたって毎日強制経口投与によって、RARαアンタゴニスト(10mg/kgまたは適切な用量)、あるいはビヒクル対照(DMSO5%、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン95%)を投与する。処置の中止後、最大90日間にわたって精巣の組織像を評価する。精巣を解剖して計量し、中性緩衝ホルマリン中、4℃で一晩固定する。固定した組織は、パラフィンに包埋し、切片し、ヘマトキシリンおよびエオジンで染色し、明視野顕微鏡で検査する。
【0208】
14日(発情周期3回分)にわたってオスを個別のケージに、同種の2匹の未処置の処女メスと共に入れて、生殖能力を評価する。生殖能力が回復するか(少なくとも3回連続妊娠が観察されることによって判定する)、あるいはマウスが投与後少なくとも6か月に達するまで、メスのマウスを、2匹の他のメスと継続的に取り替える。
【0209】
実施形態および実施例を参照しながら本発明が説明されてきたが、本発明の精神から逸脱することなく多数の様々な変更が加えられることを理解されるべきである。したがって、本発明は、次の請求項のみによって限定されるものではない。
【0210】
参考文献
以下の参考文献は、本明細書に示されていることを補足する、例示的な手順または他の詳細を提供する程度まで、参照により本明細書に特に組み込まれる。
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