(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ウェアラブルヘルスモニタリング装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/021 20060101AFI20230301BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61B5/021
A61B5/02 310B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538268
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 US2020065652
(87)【国際公開番号】W WO2021127207
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522244540
【氏名又は名称】エンプニア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EMPNIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【氏名又は名称】藤原 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】バタチャルヤ・マノジート
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA09
4C017AA10
4C017AB02
4C017AC28
4C017AC40
4C017BC11
4C017BD05
4C017EE01
4C017FF08
4C017FF17
(57)【要約】
【課題】血圧推定器を備えたウェアラブルヘルスモニタリング装置の提供
【解決手段】屈折率を有する第一のファイバーブラッググレーティング(FBG)を含む血圧センサーを有する、血圧を検出するためのヘルスモニタリング装置は、動脈または静脈に近い使用者の皮膚と接触して配置されるように構成される。同様に屈折率を有する第二のファイバーブラッググレーティング(FBG)を含むベースラインセンサーは、動脈または静脈から離れた使用者の皮膚と接触して配置され、ベースライン屈折率を提供するように構成される。装置は、FBGを通して光波のパルスを発して、FBGからの屈折率の読取値をプロセッサに提供する。FBG上の軸ひずみによるブラッグ波長の有効シフトに基づいて、血圧推定器は、圧力をひずみと比較する較正曲線に基づいて収縮期血圧および拡張期血圧を推定する。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルスモニタリング装置であって、
動脈または静脈に近い使用者の皮膚と接触して配置され、屈折率を有するように構成された第一のファイバーブラッググレーティング(FBG)を含む血圧センサーと、
動脈または静脈から離れた使用者の皮膚と接触して配置され、ベースライン屈折率を提供するように構成された第二のファイバーブラッググレーティング(FBG)を含むベースラインセンサーと、
前記FBGを通して光波のパルスを発するように構成された光エミッタと、
パルス光波を受信するように構成された光センサーと、
プロセッサであって、
前記FBGによって反射された前記光センサーのピーク波長を受信するように構成された、データ取得モジュールと、
前記FBG上の軸ひずみによるブラッグ波長の前記有効シフトを決定するように構成された、コンパレータと、
前記血圧センサーおよび前記ベースラインセンサーの前記ブラッグ波長の有効シフトに沿って、圧力をひずみと比較する較正曲線に基づいて収縮期血圧および拡張期血圧を推定するように構成された、血圧推定器と、
推定収縮期血圧と推定拡張期血圧を提供するディスプレイと、を含むプロセッサと、を備えるヘルスモニタリング装置。
【請求項2】
前記プロセッサが、心拍に関連する表面変形の周期的変化を検出するように構成された心拍モニターをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
生理的属性モニターをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記生理的属性モニターが、血中酸素飽和度、体温、および血糖測定値のうちの一つを測定する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ディスプレイが遠隔装置上に位置し、推定収縮期血圧および推定拡張期血圧を前記ディスプレ
イに送信するように構成されたトランスミッタをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記血圧センサーが、動脈または静脈に近い使用者の皮膚と接触して配置され、屈折率を有するように構成された複数のFBGをさらに含み、各FBGが、所定の量だけ互いから変位し、前記プロセッサが、前記複数のFBGから取得されたデータを整合させて、前記血圧センサーのブラッグ波長の有効シフトの測定値を最適化するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
ヘルスモニタリング装置であって、
処理ユニットであって、
i)光波のパルスを発するように構成された光エミッタと、
ii)パルス光波を受信するように構成された光センサーと、
iii)ファイバーブラッググレーティング(FBG)によって反射された前記光センサーのピーク波長を受信するように構成された、データ取得モジュールと、
iv)前記FBG上の軸ひずみによるブラッグ波長の前記有効シフトを決定するように構成された、コンパレータと、
v)第一のファイバーブラッググレーティング(FBG)および第二のファイバーブラッググレーティング(FBG)の前記ブラッグ波長の有効シフトに沿って、圧力をひずみと比較する較正曲線に基づいて収縮期血圧および拡張期血圧を推定するように構成された、血圧推定器と、
vi)推定収縮期血圧と推定拡張期血圧を提供するディスプレイと、を含む処理ユニットと、
前記処理ユニットに取り外し可能に接続された可撓性バンドであって、
i)前記処理ユニット内の前記光エミッタからパルス光波を受信し、動脈または静脈の近くの使用者の皮膚と接触して配置され、屈折率を有するように構成された第一のファイバーブラッググレーティング(FBG)を含む血圧センサーと、
ii)前記処理ユニット内の前記光エミッタからパルス光波を受信し、動脈または静脈から離れて使用者の皮膚と接触して配置され、ベースライン屈折率を提供するように構成される、第二のファイバーブラッググレーティング(FBG)を含むベースラインセンサーと、を含む可撓性バンドとを備える、ヘルスモニタリング装置。
【請求項8】
前記血圧センサーが、動脈または静脈に近い使用者の皮膚と接触して配置され、屈折率を有するように構成された複数のファイバーブラッググレーティング(FBG)をさらに含み、各FBGが所定の量だけ互いから変位する、請求項7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2019年12月20日に出願された米国出願第16/723,078号の継続出願である。上記出願の教示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
人の健康状態は、しばしば、血圧、呼吸数、心拍数、血中酸素飽和度、および体温を含む特定のバイタルサイン(vital sign)に照らして評価される。血圧とは、心臓が循環系を通して血液を送り出す際に血管壁を流れる循環血液の圧力を意味する。血圧は、典型的には、周囲の大気圧を超える収縮期血圧(1回の心拍での最大値)/拡張期血圧(2回の心拍の間の最小値)で表され、水銀柱ミリメートル(mmHg)の単位で測定される。
【0003】
平均的な成人の正常安静時血圧は、収縮期血圧が約120mmHG、拡張期血圧が約80mmHG(120/80)である。一貫して高い血圧は高血圧と呼ばれ、低い血圧は低血圧と呼ばれる。長期にわたる高血圧は、心疾患、脳卒中、腎不全を含む多くの疾患の危険因子である。
【0004】
血圧は、一般に、膨張式カフ、計測ユニット(例えば、水銀圧力計、またはアネロイド式圧力計)、および手動で操作されうるバルブおよび弁または電気的に操作されるポンプでありうる膨張機構から成る血圧計を使用して一般的に測定される。膨張式カフは、上腕(または一部の事例では手首)の周りに配置され、膨張されて、カフ内の腕と血管を締め付ける。聴診器による肘付近の上腕動脈の聴診により、検査者はカフの圧力をゆっくりと解放する。カフの圧力が下がるにつれて、血流が動脈内で再び流れ始める時に「シュー」という音または叩く音が聞こえる。この音が聞こえ始めた時の圧力が、収縮期血圧として記録される。音が聞こえなくなるまで、カフの圧力をさらに解放する。これが拡張期血圧として記録される。デジタル機器は、機器に従い、あらゆる場合において心臓と同じ高さまで上昇させた上腕、手首、または指の周りに配置されうるカフを使用する。自動機器は、カフを膨張させ、手動の血圧計と同じ方法で徐々に圧力を減少させ、血圧によって誘発されるカフ圧の振動を測定する振動測定法を使用して血圧を測定する。
【0005】
より最近では、患者の身体に圧力をかけることなく(または非常に最小限の圧力をかけることによって)血圧を測定する方法およびシステムが開発されている。一つの方法は、対象の複数の位置に取り付けられたファイバーブラッググレーティングセンサー(fiber Bragg grating sensors)(以下、「FBGセンサー」という)によって測定されるパルス波間の時間差(伝播速度)から血圧を推定するものである。別の方法は、FBGで測定された加速度パルス波の測定された波形データと、測定された波形データの個々の測定時点で測定された血圧値との間の相関を表す較正モデルを使用して血圧を推定するものであり、較正モデルは、対象から測定された加速度パルス波の波形データから、加速度パルス波測定時の対象の血圧値を推定するために使用される。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、血圧を検出するためのウェアラブルヘルスモニタリング装置を提供する。本発明の原理と一致する一実施形態では、第一のファイバーブラッググレーティング(FBG)は、動脈または静脈に近い使用者の皮膚に接触して配置されるように構成される。第二のファイバーブラッググレーティング(FBG)は、ベースラインを提供するために、動脈または静脈から離れた使用者の皮膚に接触して配置されるように構成される。装置は、FBGを通して光波のパルスを発する光エミッタと、パルス光波を受信する光センサーとを有し、FBGの有効なブラッグ波長(λeff)の読取りをプロセッサに提供する。データ取得モジュールは、FBGによって反射された光センサーのピーク波長を受信する。コンパレータは、FBG上の軸ひずみ(axial strain)によるブラッグ波長の有効シフトを決定し、その結果、血圧パルスの完全な測定が得られる。血圧推定器は、第一のFBGおよび第二のFBGのブラッグ波長の有効シフトに沿って、全血圧パルスを計算し、圧力をひずみと比較する較正曲線に基づいて収縮期血圧および拡張期血圧を推定するように構成される。装置はディスプレイを使用して、推定収縮期血圧と推定拡張期血圧を提供する。
【0007】
本発明の原理と一致する別の実施形態は、心拍に関連する表面変形の周期的変化を検出するように構成された心拍モニターを含む。
【0008】
FBGを使用して血圧を監視することに加えて、ウェアラブルヘルスモニターの一部の実施形態は、血中酸素飽和度センサー、血糖センサー、または体温センサーなどの様々な生理的属性モニター(physiological attribute monitor)またはウェルネスモニターを含んでもよい。例えば、光センサーまたは皮膚温度センサーが装置に含まれてもよい。
【0009】
装置の実施形態はまた、遠隔装置に表示するための血圧パルスおよび推定される収縮期血圧および拡張期血圧の情報を提供する、トランスミッタを含んでもよい。こうした情報は、監視目的で、また健康指標を導出するためのデータ解析のために、遠隔装置に送信されてもよい。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態は、動脈または静脈に近い使用者の皮膚と接触して配置されるように構成された複数のファイバーブラッググレーティング(FBG)を含んでもよい。各FBGは、互いから所定の量だけ変位する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
前述の事項は、異なる図にわたり同様の参照文字が同じ部分を参照する添付図面で図示されるように、以下の例示的な実施形態のより具体的な説明から明らかになるであろう。図面は必ずしも正確な縮尺ではなく、実施形態を説明することに重点が置かれている。
【0012】
【
図1】ファイバーコアにおける代表的なFBGを示す図である。である。
【
図2】本発明の原理と一致する、例示的なウェアラブルヘルスモニタリング装置を示す図である。
【
図3A】配設されたFBGを有する一連のファイバーの代表例を示す図である。
【
図3B】
図3Aに示す一連のファイバーを実装する本発明の原理と一致する、例示的なウェアラブルヘルスモニタリング装置を示す図である。
【
図4】本発明の原理と一致する、例示的なウェアラブルヘルスモニタリング装置を示す図である。
【
図5】本発明の原理と一致するFBG測定を使用して血圧を推定する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例示的な実施形態の説明は、以下の通りである。
【0014】
【0015】
【0016】
人体の解剖学的に関連する部分の部分に巻かれうるウェアラブル材料に一つ以上のFBGを有する一つ以上の光ファイバーを埋め込むことによって、ウェアラブル材料は、心拍および収縮期血圧と拡張期血圧間の変化などの生理学的過程から生じるその部分の表面変形(surface deformation)を感知するために使用されうる。
図2に示すように、使用者の手首Aなど、付属器の周りに巻き付けるバンド200が提供されてもよい。FBGを含む血圧センサー230は、バンド内に配置され、特に橈骨動脈Bなどの動脈の近くで、使用者の皮膚のわずかな変化を検出するように構成されてもよい。装置200は、皮膚の表面変形を測定することによって、脈動する心臓が酸素を豊富に含んだ血液を体内に送り出す際に、動脈圧の変化による圧力波から生じる使用者のパルス(例えば、橈骨動脈拍動)による周期的な動きを検出および追跡することができる。所定の時間における血圧信号パルスの数、ならびにパルス間の時間間隔を数えることによって、システムは、パルス/心拍数、および任意の心拍変動性を検出するために使用されうる。
【0017】
さらに、装置は、パルスによるFBGの変形によって引き起こされるブラッグ波長(その結果、誘起されたひずみ)の変化を、その変化を誘起するのに必要な圧力と相関付ける較正曲線を使用することで、使用者の血圧を測定することができる。別のセンサーは、動脈Bから離れて位置する埋め込みFBGを有する光ファイバーを含むベースラインセンサー270として機能し、リアルタイムのベースライン測定を行うことができる。圧力をひずみまたは波長と比較する較正曲線に基づいて、これら二組のセンサーからのひずみデータとともに、収縮期血圧および拡張期血圧の両方を検出することができる。また、FBGの有効なブラッグ波長(λeff)は温度の関数であることも知られている。第二のFBGは、温度変化またはその他の変数によって変化しうるベースラインを測定し、温度を測定する方法も提供しうる。第二のFBGは、動脈と接触する第一のFBGの血圧パルスによる、時間によって変化するλeffのシフトを補正するために使用されてもよい。
【0018】
埋め込みFBGをひずみゲージとして使用する前に、FBGの応答関数と線形性を負荷の関数として特徴付けられる必要がある。FBGの応答関数および線形性を特徴付けるために、電気ひずみゲージを使用して、適用された引張荷重が血流による使用者の皮膚の変位の読取りに近似するように、FBGを較正することができる。較正されると、FBGの応答は、物体の表面変形を検出するための埋め込みひずみゲージとして信頼して使用されうる。
【0019】
FBGが信頼できるひずみゲージとして機能するには、FBGが引張荷重下で延伸される際の反射波長の変化は、電気ひずみゲージデータを線形的に追跡するものでなければならない。引張荷重下での埋め込みFBGのブラッグ波長シフトは、弾性限界内の電気ひずみゲージを使用して測定された時に誘起されたひずみと線形的に相関することが示されている。また、本出願の場合である低ひずみの状態では、(圧力の単位で)断面積で割った引張荷重として定義される応力は、誘起されたひずみと線形的に相関することが知られており、比例定数は弾性係数である。これがフックの法則の古典的な定義である。上記の二つの線形関係に基づいて、応力はブラッグ波長と線形的に相関していることが推測できる。この比例を利用して、埋め込みFBGのブラッグ波長シフトから血圧を推定する。これはまた、ゲージの弾性の合理的な限度内で、血圧読取値を検出する目的で、物体表面が変位した程度を検出するために使用されうる。
【0020】
装置200を再び参照すると、FBGセンサーは、典型的には、主幹動脈または静脈Bの血流に対して垂直な方向に延びるバンド200に沿って長軸方向に埋め込まれる。バンド200は、FBG 230を通って伝送されるレーザーまたは光源の入力225を有してもよい。FBG 230は、光源225から発せられた光波パルスを受信する光センサー220に接続される。光センサーは、FBG 230を通る光透過率に関するデータを分析するように構成されたプロセッサ210に接続される。プロセッサ210は、FBG 230の屈折率の変化を識別し、それらの読取値に基づいて使用者の血圧を計算する。血圧を読み取ることに加えて、FBGセンサーを使用して、使用者の循環系を通して血液を送り込むことから生じる表面変形の周期的変化を検出することによって、脈拍を測定することもできる。
【0021】
装置200に示される実施形態では、血圧計算および/または脈拍数を、トランスミッタ240によって、携帯電話または手持ち式読取機などの外部装置(図示せず)上のアプリケーションに送信することができる。バンドは、Bluetooth、セルラーデータ、ローカルWiFi、または何らかの他の無線送信を介して無線で通信するように設計されうる。装置200に示される実施形態はまた、ローカライズされたディスプレイ250を提供し、外部装置の読取機を使用することなく、使用者の血圧および他の読取値のリアルタイムの読取りを可能にする。バンド内の回路は、無線通信回路、エネルギー貯蔵器、および図示されていない他のプロセッサなど、当業者に周知の他の既知の要素を含んでもよい。
【0022】
したがって、バンド200は、一つ以上の埋め込みFBGセンサーを使用して、現バージョンの血圧モニターで使用されるポンプなどの物理的に移動する部分を含まないスタンドアロン型血圧モニターとして、血圧および脈拍数を提供してもよく、これは環境条件に対して堅牢であり、製造のコスト効率がより優れている。有線接続を持たないウェアラブル血圧モニター(一般的にはヘルスモニター)を有し、また使用者用のディスプレイを有するおよび/または健康データを遠隔送信して表示または監視することができる煩雑な装置(ポンプおよび膨張式カフなど)が、病院または医療の両方の設定で使用されてもよい。
【0023】
このような装置は、患者を監視する必要がある状況で特に有用でありうるが、個人用のヘルスモニタリング装置はますます普及しており、重大ではないニーズを有する個人が自分の健康を追跡することができる。血圧、血中酸素、および血糖値などのバイタルの追跡は、血中酸素モニタリングによる睡眠時無呼吸などの多くの状態、また血圧および血中酸素のモニタリングによる卵円孔開存症(PFO)および心房中隔動脈瘤(ASA)などの心臓状態の早期検出につながる可能性がある。さらに、血圧パルス波形の完全な詳細なリアルタイム測定は、肺機能を評価する新しい方法を開拓し、重複切痕の測定を通して、敗血症性ショックまたは神経原性ショックの兆候を特定することができる。ビッグデータ分析と人工知能の出現により、個人や集団からの包括的なバイタルデータをマイニングし、今日では不可能な状況を検出・予測することができる。本発明の原理と一致するヘルスモニターは、健康および活動モニターの域をはるかに超えて、予防医療における強力なツールとなりうる。
【0024】
ウェアラブルバンド200は、バンドが使用者の身体部分の周りにフィットするよう構成されるため、使用者の皮膚上で、材料のある程度の移動を可能にする、薄い弾性材料またはその他の方法で柔軟な材料(伸縮性の生地など)から構築されるべきである。バンドは、表面変形が検出される身体部分に対してFBG 230を保持するように構築されてもよい。バンド材料は、バンド材料の剛性がその中に埋め込まれた光ファイバーおよびFBGの屈曲に干渉しないように、十分な弾性を有するべきである。
【0025】
本発明の原理と一致する他の実施形態は、バンドに埋め込まれた複数のFBGを使用して、より正確な血圧の計算を提供するために互いに照合確認されうる、多数の異なる読取値を取得することができる。
図3Aおよび3Bは、本発明の原理と一致する別の実施形態を示す。
図3Aは、互いからわずかに変位する埋め込みFBG 325a~n、335a~n、345a~n、および355a~nを有する一連の光ファイバー320、330、340、および350を有するセンサーストリップ310を示す。
図3Bでは、ウェアラブルバンド300は、
図3Aに示す複数の光ファイバーを含む血圧センサー310を含む。センサーストリップ310の光ファイバーは、橈骨動脈Bの真上にある領域にわたってもよく、一例として、パルス形状を測定してもよい。埋め込みFBGを有する別の埋め込み光ファイバー370は、動脈から離れて位置し、リアルタイムのベースライン測定を行う。光ファイバー320、330、340、350および370の各々は、パルスが発せられた光波データをプロセッサ380に提供するために、光源および光センサー(図示せず)の両方を使用する。
図3Bに示すバンド300はまた、携帯電話または手持ち式読取機などの外部装置(図示せず)上のアプリケーションにバンド300がデータを送信することを可能にするトランスミッタ385を有する。さらに、バンド300はまた、ローカライズされたディスプレイ390を提供する。
【0026】
同様に、
図2および
図3Bに示す光ファイバーおよびFBGは、バンド200に沿って長軸方向に埋め込まれており、代替的な実施形態では、データは、バンドの長さに対して垂直に埋め込まれた一つ以上のFBGによって取得されてもよく、プロセッサはそれに応じて変形を分析する。
【0027】
さらに、本発明の原理と一致する他の実施形態では、上述の血圧モニターを、その他の小型化した生理学的モニター(既知の接触温度センサーおよび光学的方法を使用した血中酸素飽和度、体温、および血糖測定)と組み合わせて、包括的なウェアラブルヘルスモニターを作製することもできる。これらの他の小型化生理学的モニターは、無線伝送(例えば、Bluetoothまたは近距離通信)を介してヘルスモニターと通信する別個のスタンドアロン装置に採用される、単一の装置の不可欠な部分であっても、または一部の実施形態の不可欠な部分であってもよい。例えば、血中酸素飽和度センサーは、ヘルスモニターと通信する指輪の形態であってもよい。
【0028】
他の実施形態では、その長さに沿ってそれぞれ固有のブラッグ波長で刻印され、所定の距離だけ互いに分離された、複数のFBGを有する単一の光ファイバーは、動脈(例えば、橈骨動脈)の上にあるFBGもあれば、動脈から離れたFBGもあるように構成されてもよい。こうしたファイバーは、単一の光源および光センサーを使用してプローブされてもよい。この構成では、動脈と重複するFBGのブラッグ波長シフトの拍動成分は、BP波形の測定のために使用されてもよく、また動脈と重複しないFBGの非拍動波長シフトは、血圧波形のベースラインシフトを補正するために、また温度感知のために使用されてもよい。
【0029】
図4は、本発明の原理と一致するさらに別の実施形態を示す。
図4では、ウェアラブル血圧モニタリングシステム400は、血圧処理ユニット450および取り外し可能なバンド440から成る。取り外し可能なバンド440は、FBGを有する少なくとも一つの血圧感知光ファイバー410、およびFBGを有するベースライン光ファイバー460を含む。血圧処理ユニット450は、バンド440の光ファイバー410および460を通したレーザーまたは光のパルス化を可能にする内部電子機器(図示せず)、ファイバーを通した屈折率の感知、および着用者Aの血圧を決定するためのインデックスの処理を含む。バンド440は、接続時に、ユニット450がバンド440を通してレーザーまたは光のパルスを発することができるように、血圧処理ユニット450に取り外し可能に接続される。ウェアラブル装置として、バンド440は汚れたり損傷したりすることがある。しかしながら、装置の取り外し可能な構成要素として、バンド440は、最小限の費用で容易に交換することができる。
【0030】
図5は、ファイバーブラッググレーティングFBGが埋め込まれたウェアラブル品目を使用して血圧を検出する方法500を示すフローチャートである。血圧検出は、使用者によって開始されてもよく、または血圧は定期的に検出および監視されてもよい。開始されると、ピーク波長データは、ウェアラブル品目に沿って配置された少なくとも一つのFBGからステップ510で取得される。データは継続的に取得され、使用者の皮膚は、ステップ520で表面変形によって引き起こされるFBGのブラッグ波長の有効シフトについて監視される。シフトが検出530されると、データは、推定収縮期血圧および推定拡張期血圧を計算540するために処理される。次に、推定収縮期血圧および推定拡張期血圧がステップ550で示される。
【0031】
本明細書に引用されるすべての特許、公開された出願および参考文献の教示は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0032】
例示的な実施形態が特に示され説明されてきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がその中に行われうることは、当業者であれば理解されるであろう。
【0033】
上述の例示的な実施形態は、多くの異なる方法で実施されうることが理解されるべきである。一部の実施例では、本明細書に記載の様々な方法および機械は、中央プロセッサ、メモリ、ディスクまたは他の大容量記憶装置、通信インターフェース(複数可)、入力/出力(I/O)装置(複数可)、および他の周辺機器を有する、物理的、バーチャル、またはハイブリッド汎用コンピュータによってそれぞれ実装されてもよい。汎用コンピュータは、例えば、ソフトウェア命令をデータプロセッサにロードし、次いで命令の実行に本明細書に記載する機能を実行させることによって、上述の方法を実行する機械へと変換される。
【0034】
当技術分野で周知のように、こうしたコンピュータはシステムバスを含んでもよく、ここで、バスは、コンピュータまたは処理システムの構成要素間のデータ転送に使用される、一連のハードウェアラインである。バス(複数可)は、コンピュータシステムの異なる要素、例えば、プロセッサ、ディスクストレージ、メモリ、入力/出力ポート、ネットワークポートなどを接続する、本質的に共有された導管であり、これが諸要素間の情報の転送を可能にする。一つ以上の中央プロセッサユニットがシステムバスに取り付けられ、コンピュータ命令の実行を提供する。また、システムバスには、典型的には、様々な入力および出力装置、例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンター、スピーカーなどをコンピュータに接続するためのI/O装置インターフェースである。ネットワークインターフェース(複数可)は、コンピュータが、ネットワークに接続された様々な他の装置に接続することを可能にする。メモリは、実施形態の実装のために使用されるコンピュータのソフトウェア命令およびデータのための揮発性ストレージを提供する。ディスクまたは他の大容量ストレージは、例えば、本明細書に記載される様々な手順を実施するために使用される、コンピュータのソフトウェア命令およびデータのための不揮発性ストレージを提供する。
【0035】
したがって、実施形態は、典型的には、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。
【0036】
特定の実施形態では、本明細書に記載の手順、装置およびプロセスは、非一時的(non-transistory)コンピュータ可読媒体、例えば、システム用のソフトウェア命令の少なくとも一部を提供する、一つ以上のDVD-ROM、CD-ROM、ディスケット、テープなどの取り外し可能記憶媒体を含む、コンピュータプログラム製品を構成する。こうしたコンピュータプログラム製品は、当技術分野で周知の任意の適切なソフトウェアのインストール手順によってインストールすることができる。別の実施形態では、ソフトウェア命令の少なくとも一部分は、ケーブル、通信および/または無線接続を介してダウンロードされてもよい。
【0037】
さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、または命令は、データプロセッサの特定の動作および/または機能を実行するものとして本明細書に記載されてもよい。しかし、当然のことながら、本明細書へのこうした記述は単に便宜上のものであり、こうした動作は、実際には、コンピューティング装置、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他の装置からもたらされる。
【0038】
当然のことながら、フロー図、ブロック図、およびネットワーク図は、より多くまたはより少ない要素を含んでもよく、違う形で配置されてもよく、または違う形で表されてもよい。しかし、特定の実装は、ブロック図およびネットワーク図、ならびにブロック図やネットワーク図の数に影響される場合があり、実施形態の実行が特定の方法で実装されうることがさらに理解されるべきである。
【0039】
したがって、さらなる実施形態はまた、様々なコンピュータのアーキテクチャ、物理的コンピュータ、仮想コンピュータ、クラウドコンピュータ、および/またはそれらのいくつかの組み合わせで実装されてもよく、したがって、本明細書に記載のデータプロセッサは例示のみを目的とし、実施形態の制限するものではない。
【0040】
本発明は、その例示的な実施形態を参照して特に示され説明されているが、本発明の添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がその中に行われうることは、当業者であれば理解されるであろう。
【国際調査報告】