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特表2023-509430工具ホルダの自動交換と共に統合フィードする電動スピンドル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】工具ホルダの自動交換と共に統合フィードする電動スピンドル
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/26 20060101AFI20230301BHJP
   B23Q 3/12 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
B23B31/26
B23Q3/12 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540487
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-08-19
(86)【国際出願番号】 FR2020052440
(87)【国際公開番号】W WO2021136893
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】1915764
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517093647
【氏名又は名称】セントレ テクニーク デ インダストリーズ メカニークス
【氏名又は名称原語表記】CENTRE TECHNIQUE DES INDUSTRIES MECANIQUES
【住所又は居所原語表記】52, Avenue Felix Louat F-60300 Senlis France
(71)【出願人】
【識別番号】519400357
【氏名又は名称】エコール・ナシオナル・シュペリウール・ダール・エ・メティエ
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】マシャントニオ ウーゴ
(72)【発明者】
【氏名】モラル ジョージ
【テーマコード(参考)】
3C016
3C032
【Fターム(参考)】
3C016FA22
3C032AA18
3C032FF09
(57)【要約】
本発明は、工具ホルダシャフト(2)と、シャフトを回転させるためシャフトの第1セクション(21)に摺動可能に連結されたカップリング部材(11)に連結された第1アクチュエータと、シャフトを軸方向に移動させるためシャフトの第2セクション(22)に螺旋状に連結されたナットに連結された第2アクチュエータと、完全連結により第2セクションに連結された工具ホルダ取付システムのコントロールロッド(24)とから構成される工作機械用のスピンドルに関する。スピンドルは、 第1及び第2セクションが完全連結状態にある第1位置と、第1セクションに対して第2セクションの軸方向移動を許容する第2位置との間で、切替手段(50)を介して第1及び第2セクションの間で移動可能に搭載されたロック手段(40)を備え、これによりコントロールロッドは、工具ホルダのリリース位置において取付システムをコントロールするため第2アクチュエータの作用下で軸方向に移動可能にされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具ホルダ(3)と工具ホルダシャフト(2)の前端との間で、工具ホルダが取付システム(4)を介して搭載可能な前端を有する工具ホルダシャフトと、シャフトを回転駆動するためにシャフトの第1部分(21)に摺動可能に連結されたカップリング部材(11)に連結されたシャフトを駆動する第1駆動アクチュエータ(10)と、シャフトを軸方向に移動させるため、シャフトの第2部分(22)に螺旋状に連結されたナット(31)に連結された第2駆動アクチュエータ(30)とを有し、第1及び第2部分は、シャフトの前端とシャフトの対向端との間でシャフトの共通長さに沿って連続的に延びており、
スピンドルは、固定的連結によりシャフトの第2部分(22)に連結された工具ホルダ取付システムのためのコントロールロッド(24)を備え、
スピンドルは、シャフトの第2部分がシャフトの第1部分(21)に固定的に連結される第1位置とシャフトの第2部分がシャフトの第1部分に摺動可能に連結される第2位置との間で、スイッチング手段(50)を介してシャフトの第1部分と第2部分の間で移動可能に搭載されるロック手段(40)とを備え、
取付システム(4)を工具ホルダをリリースする位置に通過させるように、第2駆動アクチュエータ(30)の作用下で、コントロールロッド(24)の軸方向への移動を許容するように第1部分(21)に関して第2部分(22)の軸方向への移動を許容することを特徴とする工作機械スピンドル。
【請求項2】
第1及び第2シャフト部分と同軸のブッシュ(26)によりシャフトの第1部分(21)と第2部分(22)は一体に連結されており、ブッシュ(26)はシャフトの第1部分(21)に固定的に連結され、シャフトの第2部分(22)には摺動可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の工作機械スピンドル。
【請求項3】
ロック手段は、回転可能に搭載される複数のロックカム(40)を備え、ロックカムは、外方に向かって一般に放射方向に配向されたコントロール面(41)と、第1位置において第1及び第2シャフト部分(21、22)のストップ面(210、221)にそれぞれ相互に対向して係合するように配置可能であり、また、第2位置においてコントロール面(41)へのスイッチ手段(50)の作用下で、それぞれのストップ面との係合が外れるように配置可能なロック面とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械スピンドル。
【請求項4】
カム(40)のロック面は、第1位置に弾性的に付勢されていることを特徴とする請求項3に記載の工作機械のスピンドル。
【請求項5】
ロックカム(40)は、工具ホルダシャフト(2)の軸(20)に垂直な軸(44)の回りに回転するように搭載されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の工作機械のスピンドル。
【請求項6】
ロックカム(40)は、工具ホルダシャフト(2)の軸(20)に平行な軸の回りに回転するように搭載されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の工作機械のスピンドル。
【請求項7】
スイッチ手段は、駆動シャフト(2)の軸(20)に垂直な面に延びた作動ロッド(50)からなり、工具ホルダシャフト(2)が工具ホルダを交換するための所定位置に進み、作動ロッド(50)がロックカム(40)のそれぞれのコントロール面(41)に対向している場合、作動ロッド(50)がロックカム(40)を第2位置にスイッチするように作動され得ることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1つに記載の工作機械のスピンドル。
【請求項8】
作動ロッド(50)は、油圧、空気圧又は電気的に作動されることを特徴とする請求項7に記載の工作機械のスピンドル。
【請求項9】
スイッチ手段は、工具ホルダシャフトの第1部分(21)に摺動可能に連結され且つ軸方向に固定されたカップリング部材(11)から構成されており、かかるカップリング部材は、工具ホルダを交換するための所定位置に到達した際にロックカムを第2位置にスイッチするために、工具ホルダを交換するための所定位置に進められる工具ホルダシャフトの効果により、ロックカム(40)のコントロール面(41)に摺動接触することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1つに記載の工作機械のスピンドル。
【請求項10】
取付システムは、HSKタイプの取付システムであることを特徴とする前記請求項のいずれか1つに記載の工作機械のスピンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の分野に関連し、特に、数値制御工作機械に関する。更に特には、そのような工作機械のための電動スピンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
電動スピンドルは、少なくとも1つの電気モータと工具ホルダを備えたスピンドルであり、工作機械と回転するようにセットされた切断工具とのインターフェースを構成するものである。スピンドルは、統合フィードアーキテクチュア(integrated feed architecture)として知られているアーキテクチュアを有する従来のスピンドルとは異なる従来技術からも知られている。このアーキテクチュアにおいて、スピンドルは、2つの独立した運動、即ち、回転運動と移動運動(movement in translation)とを示すドライブシャフトを備えている。これらの運動は、それぞれ作動チェーン(actuation chain)により実現され得る。
【0003】
そのようなスピンドルアーキテクチュアは、ドキュメントFR3018712に記載されたその実施例から知られている。そのドキュメントに記載されたスピンドルは、回転軸の回りに回転可能とされ、且つ、回転軸に沿って軸方向に移動可能にされて搭載された工具ホルダシャフトを備えている。そのために、シャフトは、2つの回転モータ、即ち、シャフトを回転駆動するためにシャフトの第1部分に摺動可能に連結されたカップリング部材に連結された第1モータと、シャフトを軸方向に移動させるためにシャフトの第2部分に螺旋結合されたナットに連結された第2モータとに連結されている。これらの2つのモータは、各モータを相互に独立して制御するように設計されたコントロールユニットに接続されている。従って、上記アーキテクチュアにおいては、工具ホルダシャフトには、2つの部分が形成される。即ち、第1モータにより作動されるカップリング部材に摺動可能に連結され、カップリング部材と第1モータのアセンブリは工具ホルダシャフトの回転運動のための作動モジュールを構成する、スピンドル前部に配置されスプライン加工された(splined)第1部分と、第2モータにより作動されるナットに螺旋連結され、ナットと第2モータのアセンブリは、工具ホルダシャフトの送り運動のための作動モジュールを構成する、スピンドル後部に配置されたネジ溝加工された(threaded)第2部分が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】仏国特許発明第3018712号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、回転速度と移動速度は、各モータによって相互に独立して調整可能であり、その同軸配列は、また、工作機械の相対的小型化を確保し、また、第1及び第2モータが工具ホルダシャフトと同軸である場合には、最適化される。
【0006】
図1は、上記アーキテクチュアに従うスピンドル1の断面図である。
【0007】
スピンドル1の工具ホルダシャフト2は、取付システム4により工具ホルダ3が搭載される前端を有する。このシステム4は、テーパー/フェースシステムとして知られているHSK-TYPEシステムとして標準化されている。かかるテーパー/フェースシステムは、特に、自動工具交換及び手動工具交換の双方に適切である。しかしながら、工具ホルダとスピンドル間のインターフェースは、異なる適宜の標準物(standards)によりカバーされ得る。
【0008】
工具ホルダシャフト2は、回転軸20の回りに回転し、且つ、回転軸20に沿って軸方向に移動するように搭載されている。シャフト2は、2つの回転電気モータ、即ち、回転駆動するための第1モータ10と軸方向移動するための第2モータ30とに接続されている。更に特には、第1モータ10は、工具ホルダシャフト2を回転駆動するために、シャフト2の第1部分21に摺動可能に連結されるように設計されたカップリング部材11に回転するように固定されたロータを有する。カップリング部材11は、例えば、内部にスプライン加工されたスリーブである。第1部分は、スプライン加工された部分である。換言すれば、スリーブ11は工作機械のフレームに回転可能に連結されており、また、工具ホルダシャフト2のスプライン部21に摺動可能に連結されている。スリーブ11は、軸方向に固定されている。
【0009】
第2モータ30は、工具ホルダシャフト2のネジ部22からなる第2部分に嵌められるナット31に回転するように固定されるロータを有する。これにより、相対速度がカップリング部材11とナット31との間に課されると、即ち、これらの2つの要素が異なる速度で回転されると、軸方向に回転するシャフト2に対して螺旋結合が形成される。
【0010】
それ故、工具ホルダシャフトは、スプライン部21とネジ部22が分離し、それぞれ前部から後部に、回転軸20に沿って相互に連続するように設計されている。駆動シャフトの2つの部分21、22は、この場合、スプライン部21とネジ部22に隣接するそれぞれの端部に固定された連結ブッシュ23により、一体に連結されている。換言すれば、シャフト2のスプライン部21は、工具ホルダシャフトのネジ部22に固く連結されている(ビルトイン接続で)。従って、動力学的見地よりすれば、工具ホルダシャフトのスプライン部21とネジ部22とは、シングルピース(single piece)を構成する。
【0011】
しかしながら、このアーキテクチュアは、例えばHSKタイプの従来の自動工具ホルダ交換装置を統合(integrate)することは不可能である。
【0012】
その訳は、従来のアーキテクチュアのスピンドルにおいて、即ち、統合された送り移動がなく、工具ホルダの駆動シャフトの前部に搭載された工具ホルダのHSK取付システムは、従来のように作動装置により工具ホルダをリリースするために作動されているからである。従って、この装置は、工具ホルダの交換を許容するためにリリース状態にあるスピンドルに搭載されたHSK取付システムにクランプされるよう工具ホルダを自動的に設置することができる。作動装置は、従来より、従来のスピンドルの工具ホルダシャフトの軸方向に摺動可能にされるコントロールロッド、クランプ位置とリリース位置との間で、コントロールロッドを介して移動可能とされた工具ホルダの取付システムからなる。この間、工具ホルダの取付システムのクランプ力を発生するため、クランプ力を生じさせる装置、特に、スプリング装置がコントロールロッドに連結されている。作動装置は、また、スピンドル工具ホルダシャフトの後部に配置された作動モジュールからなり、これによって取付システムは、スプリング装置のクランプ力に抗してコントロールロッドによりリリース位置に移動され得る。この作動モジュールは、油圧、空気圧又は電気的に作動させることができる。
【0013】
しかしながら、統合-フィードスピンドルアーキテクチュアにおいて、図1を参照して提示したように、工具ホルダシャフト2のネジ部22の存在に起因して、工具ホルダを自動的に交換するHSK取付システムを実装することは、上記したように不可能であり、特に、作動モジュール配置に関してはそうである。従って、図1のアーキテクチュアに従って、工具ホルダ3の交換は、図における最も右側の位置に、工具の最大移動量に対応して、工具ホルダシャフト2を持っていくことを含み、この位置において、工具ホルダが手動で変更される。
【0014】
統合-フィードアーキテクチュアを有する工具を自動的に交換する工具ホルダの問題に対処可能なシステムは、現在知られていない。特に、HSKタイプ、統合-フィードスピンドルにおいて、工具ホルダの取付システムをクランプ/リリースするに必要なアクションを発生できるかで問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、この問題を解決することである。
【0016】
この目的を達成するため、本発明は、工具ホルダと工具ホルダシャフトの前端との間で、工具ホルダが取付システムを介して搭載可能な前端を有する工具ホルダシャフトと、シャフトを回転駆動するためにシャフトの第1部分に摺動可能に連結されたカップリング部材に連結されたシャフトを駆動する第1駆動アクチュエータと、シャフトを軸方向に移動させるため、シャフトの第2部分に螺旋状に連結されたナットに連結された第2駆動アクチュエータとを有し、第1及び第2部分は、シャフトの前端とシャフトの対向端との間でシャフトの共通長さに沿って連続的に延びており、
スピンドルは、固定的連結によりシャフトの第2部分に連結された工具ホルダ取付システムのためのコントロールロッドを備え、
スピンドルは、シャフトの第2部分がシャフトの第1部分に固定的に連結される第1位置とシャフトの第2部分がシャフトの第1部分に摺動可能に連結される第2位置との間で、スイッチング手段を介してシャフトの第1部分と第2部分の間で移動可能に搭載されるロック手段とを備え、
取付システムを工具ホルダをリリースする位置に通過させるように、第2駆動アクチュエータの作用下で、コントロールロッドの軸方向への移動を許容するように第1部分に関して第2部分の軸方向への移動を許容することを特徴とする。
【0017】
有利には、シャフトの第1部分と第2部分は、第1及び第2シャフト部分と同軸のブッシュにより一体に連結されており、ブッシュはシャフトの第1部分に固定的に連結され、シャフトの第2部分には摺動可能に連結されている。
【0018】
有利には、ロック手段は、回転可能に搭載される複数のロックカムを備え、ロックカムは、外方に向かって一般に放射方向に配向されたコントロール面と、第1位置において第1及び第2シャフト部分のストップ面にそれぞれ相互に対向して係合するように配置可能であり、また、第2位置においてコントロール面へのスイッチ手段の作用下で、それぞれのストップ面との係合が外れるように配置可能なロック面とを有するロックカムである。
【0019】
有利には、カムのロック面は、第1位置に弾性的に付勢されている。
【0020】
一実施形態に従えば、ロックカムは、工具ホルダシャフトの軸に垂直な軸の回りに回転するように搭載されている。
【0021】
他の実施形態に従えば、ロックカムは、工具ホルダシャフトの軸に平行な軸の回りに回転するように搭載されている。
【0022】
有利には、スイッチ手段は、駆動シャフトの軸に垂直な面に延びた作動ロッドからなり、工具ホルダシャフトが工具ホルダを交換するための所定位置に進み、作動ロッドがロックカムのそれぞれのコントロール面に対向している場合、作動ロッドがロックカムを第2位置にスイッチするように作動され得る。
【0023】
有利には、作動ロッドは、油圧、空気圧又は電気的に作動されてもよい。
【0024】
一実施形態の変形例に従えば、スイッチ手段は、工具ホルダシャフトの第1部分に摺動可能に連結され軸方向に固定されたカップリング部材から構成されてもよく、かかるカップリング部材は、工具ホルダを交換するための所定位置に到達した際にロックカムを第2位置にスイッチするために、工具ホルダを交換するための所定位置に進められる工具ホルダシャフトの効果により、ロックカムのコントロール面に摺動接触する。
【0025】
有利には、取付システムは、HSKタイプの取付システムである。
【0026】
更に、本発明の構成及び効果は、非限定的な具体例及び添付の図面を参照して得られる以下の記載を読むことにより更に明確に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】プリアンブルに記載されたように、統合-フィードアーキテクチュアとして知られているものを有するスピンドルの模式的断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に従う統合-フィードスピンドルにおける工具ホルダシャフトの第1及び第2部分間の接合部ゾーンの模式断面図であり、軸ロック位置として知られる第1位置にある本発明のロック手段を有し、第1部分に関して第2部分の軸方向の移動は許容されず、この第1位置はスピンドル操作のノーマルモードとされる(machining, positioning etc.)。
図3図2に対応し、今度は軸アンロック位置として知られる第2位置に設定された本発明のロック手段を有し、工具ホルダシャフトの第1部分に関して第2部分の軸移動を許容し、この第2位置はスピンドルの自動工具ホルダ交換に対応するモードとされる。
図4図2及び図3に示す状態に関して中間フェーズが図示された本発明のスピンドルの模式断面図であり、工具ホルダシャフトは工具ホルダの交換のために所定の位置に持ち込まれている。
図5図3に対応し、第1部分に関して第2部分の軸送り移動を示しており、これはロック手段を第2位置にスイッチすることにより許容される。
図6】本発明のスピンドルを示す模式断面図であり、ロック手段を軸ロック位置から軸アンロック位置にスイッチすることに関する実施形態の変更例を示す。
図7図6の図に対応し、ロック手段は軸アンロック位置にスイッチされている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下のテキストにおいて、同一の参照番号は種々の図における同一部分を記載するのに使用される。更に、図1に使用されている同一の参照番号は、図2における同一部分を表す。以下参照。
【0029】
図1を参照して記載されたように、公知の統合-フィードスピンドルのアーキテクチュアから始めると、工具ホルダシャフト2の第1のスプライン部21と工具ホルダシャフト2の第2のネジ部22との間で接合部ゾーンが、図2以下を参照して更に詳細に記載されるように本質的に形成されている。ここに、シャフトのネジ部22は、スピンドルのノーマル操作フェーズの間シャフトのスプライン部21に固定的に連結され、また、工具ホルダを交換するフェーズの間この同一部分に摺動可能に連結されている。
【0030】
従って、その使用はスピンドル能力を有利にする。即ち、ネジ部22に螺旋連結されるナットに連結された第2モータを介してシャフトのネジ部22の軸方向送り移動をもたらし、シャフトのネジ部22がスプライン部に摺動可能に連結されており、スプライン部に関してネジ部の軸方向の移動が許容されている場合、工具ホルダ3の取付システム4をリリースするために必要なアクションをもたらす。従って、この構成においては、スピンドルにすでに存在するアクチュエータを使用することにより、この特別なケースにおいて、工具ホルダ取付システムをクランプ及びリリースするための従来の作動装置の場合のように、第2モータ、他の専用の高出力(high-power)作動手段は回避される。
【0031】
2つのパート(parts)間の固定的連結は、本発明の文脈において、他のパートに関して1つのパートのどのような自由度を許容しない何れかの連結を意味する。それは、例えば、スクリュー連結、接着連結、はんだ連結等であってもよい。
【0032】
以下の記載において、”前(front)”と”後(rear)”の用語は、それぞれ図面において右と左に指向された要素又は位置を示す。
【0033】
図2を参照して、スピンドルの工具ホルダシャフト2に沿って後から前に互いに続くネジ部22とスプライン部21の接合ゾーンは、更に具体的に断面で示されている。図1を参照して既に記載されたように、工具ホルダシャフト2のスプライン部21は、スリーブ11に摺動可能に連結されている。スリーブ11の一部は、軸方向に固定されており、第1モータにより回転駆動可能である。尚、第1モータは図1に記載されているが、ここでは示されていない。
【0034】
工具ホルダシャフト2の前端に搭載された工具ホルダ(図2には示されていない)の取付システムにおけるコントロールロッド24は、シャフト2のネジ部22に固定的に連結されている。換言すれば、工具ホルダシャフトのネジ部22とコントロールロッド24は、動力学見地から1つのパートを形成する。
【0035】
コントロールロッド24は、ネジ部22の先端部220に埋め込まれた後端を有しており、かかる先端部220は、先端停止面221と後端停止面222とにより区切られ、工具ホルダシャフト2の軸20に関して放射状に延びている。コントロールロッド24は、ネジ部22のこの先端部220から延びており、工具ホルダシャフト2のスプライン部21の軸中空部211を通過する。この軸中空部211において、コントロールロッド24は、先端が工具ホルダの取付システムに連結されている限り、摺動することを許容される。工具ホルダの取付システムは、工具ホルダのクランプ位置とリリース位置との間でコントロールロッド24により移動される。リターン装置25、この場合、リターンスプリング25が、工具ホルダの取付システムのクランプ力を発生するようにコントロールロッド24に関連付けられている。
【0036】
シャフト2のネジ部22の先端部220は、工具ホルダシャフト2の軸20に関して半径方向に延びるスプライン部21の後ストップ面210に隣接して、シャフト2のスプライン部21の凹部内に延びている。換言すれば、ネジ部22の前部及びスプライン部21の後部それぞれの放射状ストップ面221及び210は、相互に対向しており、また、図2の構成において実質的に相互に一定の距離を置いて延びている。
【0037】
更に、工具ホルダシャフト2のネジ部22とスプライン部21は、2つの部分と同軸であるブッシュ26により一体に連結されており、ブッシュは一方のためにシャフトのスプライン部21に固定的に連結されており、また、他方のためにシャフトのネジ部分22に摺動可能に連結されている。ブッシュ26は、シャフトのネジ部22とスプライン部21間の、いかなる相対回転運動を防止する。
【0038】
ブッシュ26は、工具ホルダシャフトのネジ部22の先端部分220の後に配置されている。
【0039】
例えば、ブッシュは、シャフトのスプライン部分21に螺子により固定されている。換言すれば、シャフト2のスプライン部21とブッシュ26とは、動力学見地から1つのパートを形成する。先端部220の背後に延びたシャフトのネジ部22の一部は、例えば、ブッシュ26に設けられた雄スプライン260(male spline)が係合する雌スプライン(female spline)を供給し、これにより、シャフトのネジ部22は、シャフトのスプライン部21に関して軸方向に摺動可能となる。
【0040】
特に、図2の構成において、このネジ部22がスプライン部21に対して軸方向にスライドする能力は、許容されない。
【0041】
その訳は、次の通りである。即ち、工具ホルダシャフト2におけるネジ部分22とスプライン部21との間の接合ゾーンには、ロック手段40が設けられており、ロック手段は、シャフトのネジ部22がシャフトのスプライン部21に固定的に連結された図2の一例に対応する軸ロック位置として知られる第1位置と、シャフトのネジ部22がシャフトのスプライン部21に摺動可能に連結され、ネジ部22の軸移動をスプライン部21に関して許容する図3の一例に対応する軸アンロック位置として知られる第2位置との間で、シャフトのネジ部22とスプライン部21の間にて移動可能に搭載されている。
【0042】
これらのロック手段は、有利には、複数のロックカムから構成され、各回転軸44の回りに回転するように搭載されている。各ロックカム40は、外方に向かって略放射状に配向され、各回転軸44に関してカムの背後に延びているコントロール面41と、回転軸に関してコントロール面の反対側にあるロック面42とを有する。このロック面42は、図2記載されるように軸ロック位置に対応して、シャフトのネジ部22とスプライン部21のそれぞれ相互に対向するストップ面221と210とに係合されるように位置決めすることが可能であり、また、図3に記載されているように軸アンロック位置に対応して各ストップ面との係合が外れるように位置決めすることが可能である。カム40の軸ロック位置から軸アンロック位置まで通過すると、回転軸44の回りに回転するようにカムのコントロール面41に作用するスイッチ手段のアクション下で、効果が発揮される。
【0043】
図2における代表的な実施形態に従って、スイッチ手段は、シャフト2の軸20に垂直な面に延びたアクチュエータロッド50からなる。それらは、例えば、スリーブ11の外周辺に配置されており、スリーブ11に形成された対応ホール110を通過するようにされている。
【0044】
有利には、カム40のロック面42は、スプリング43を介して、シャフトのネジ部22とスプライン部21にてそれぞれ相互に対向するストップ面221と210に弾性的に付勢され係合されている。それ故、後者は、スピンドルの操作の通常モードにおいて、カム40のロック位置を確保する。
【0045】
図に示された代表的実施形態に従えば、ロックカム40は、工具ホルダシャフトの軸20に垂直な軸44の回りに回転するように搭載されている。それらは、工具ホルダシャフトの軸20と実質的に平行な面に包含されている。それらは、例えば、工具ホルダのシャフト2のスプライン部22に形成された軸溝に収納されている。
【0046】
変形例において、ロックカム40は、工具ホルダシャフト2の軸20に実質的に垂直な面に包含され得る。換言すれば、この変形例に従えば、それらは工具ホルダシャフトの軸20に平行な軸の回りに回転するように搭載され得る。
【0047】
図2の構成において、ネジ部22は工具ホルダシャフト2のスプライン部21に固定的に連結されている。特に、一方では、スプライン部21は、ブッシュ26のために、ネジ部22に関して回転することができない。他方では、ネジ部22とスプライン部21は、カム40のロック面42が、ネジ部22とスプライン部21のそれぞれ相互に対向する前及び後ストップ面に対して付勢され当接されているので、相互間で軸方向の相対移動を示すことができない。換言すれば、ブッシュ26は、シャフト2のネジ部22とスプライン部21間で相対回転移動を防止し、また、図2に示される軸ロック位置にあるカム40は、シャフト2のネジ部22とスプライン部21との間で相対軸方向移動を防止する。更に、ネジ部22における先端部分220の後ストップ面222は、ブッシュ26に対して当接している。
【0048】
この作動構成は、スピンドル(machining, positioning, etc.)操作のノーマルモードに対応している。
【0049】
スピンドル操作のノーマルモードの間に発生される振動に拘わらず、良好な接触剛性を確保するため、少なくとも2つのロックカム40、望ましくは少なくとも3つカム40、更に望ましくは少なくとも4つのロックカム40が存在している。
【0050】
次に、工具ホルダの交換に対応する操作の他のモードが記載される。この目的を達成するため、まず、工具ホルダシャフト2が工具ホルダの交換のための所定位置に位置決めされる。これは、例えば、シャフト2の最前方位置でよい。
【0051】
図4に示されるように、工具ホルダを交換するためのこの所定位置において、ロックカム40のコントロール面41は、スリーブ11の壁に形成された対応ホール110に隣接して、従って、アクチュエータロッド50に隣接して配置されている。それ故、アクチュエータロッド50は、図2に示されるロック位置として知られる第1位置から図3に示されるアンロック位置として知られる第2位置までロックカム40をスイッチすべく作動される用意がされている。
【0052】
アクチュエータロッド50は、油圧、空気圧又は電気的に作動され得る。いずれにしても、アクチュエータロッド50をその第1位置から第2位置に通過させるために、ここでロックカムを作動させるために要求されるパワーは、相対的に低い。少なくとも、スプリング43の戻り力に対向できれば十分である。
【0053】
従って、図3に示されるように、工具ホルダシャフトが工具ホルダを超え簡するための所定位置に持ち込まれると、アクチュエータロッド50は、ロックカムがアンロック位置まで回転されるようにカムのコントロール面41を押圧するために、ロックカム方向に作動される。この位置で、カムのロック面42は、シャフトの螺子溝加工された部分22とスプライン加工された部分21のそれぞれ相互に対向するストップ面221と210との係合が外れるようにスイッチされる。
【0054】
この位置で、工具ホルダシャフト2のネジ部22は、それ故、スプライン部21に関して軸方向にアンロックされ、また、ブッシュ26に摺動可能に連結されることにより、後者に関して軸方向に摺動することを許容される。通常工具ホルダシャフト2の軸方向移動に使用され、図1を参照して説明されているように、ネジ部22を回転するように固定されたナットを駆動する第2モータ(ここでは図示されていない)の作動による効果の下で、ネジ部分22は、一部がネジ部22に関して軸方向にロックされたスプライン部21に関して送り移動するように駆動される。この代表的な実施形態に従えば、スプライン部21の軸方向停止は、スリーブ11のホール110を介して下方に移動されたアクチュエータロッド50との当接により実現される。
【0055】
従って、ネジ部22の駆動は、与えられた送り移動Cに沿ったスプライン部21に対するネジ部22の送り移動をもたらし、スプリング装置25のクランプ力に抗してコントロールロッド24により工具ホルダの取付システムをリリース位置に移動させることが可能となる。工具ホルダの取付システムのこのリリース位置は、図5に示されており、また、ネジ部22における前端部220の前放射状ストップ面221がスプライン部21における後放射状ストップ面210に対して当接する位置である。与えられた送り移動量は、例えば、数ミリメートルのオーダーであり、また、ネジ部22における前端部220の後放射状ストップ面222がブッシュ26に対して当接する際に、ネジ部22における前端部220の前放射状ストップ面221とスプライン部21の後放射状ストップ面210との間の距離に対応する。
【0056】
摺動可能にスプライン部21に連結されている場合、ネジ部22の送り移動は、それ故、工具ホルダをリリースするのに必要なアクションを有利にもたらすことができる。
【0057】
図6と7は、ロックカム40を軸ロック位置から軸アンロック位置まで回転するのに使用されるスイッチ手段の実施形態の変形例を示す。この実施形態の変形例に従えば、その目的のためにはもはやアクチュエータロッド50は不要である。図6を参照して、ロックカム40は軸ロック位置に配置されており、このロック位置では、工具ホルダシャフト2のネジ部22とプライン部21とは、固定的に連結されている。更に図6を参照して、工具ホルダシャフト2は、工具ホルダを交換するための所定位置に持ち込まれている。ロックカム40は、工具ホルダの交換のために所定位置へのシャフト2の送り移動の間に、スリーブ11がシャフト2の移動効果の下でロックカム40のコントロール面41に当接するように、配置される。これより、工具ホルダを交換するための所定位置に到達した際に、スリーブ11は、カムをアンロック位置にスイッチするために、スプリング43の戻り力に抗してカム40を押圧する。
【0058】
図7に示される工具ホルダを交換するための所定位置において、カム40のロック面42は、シャフトのネジ部22とスプライン部21のそれぞれ相互に対面するストップ面221と210との係合が外れるようにスイッチされる。工具ホルダシャフト2のネジ部22は、それ故、スプライン部21に関して軸方向にアンロック状態にあり、ブッシュ26に摺動可能に連結されていることにより、後者に関して軸方向にスライドすることが許容される。この位置でブッシュ26は、ブッシュ26の外部周辺放射状ストップ面261を介してスリーブ11に対して隣接している。スリーブ11に対してブッシュ26のストップ面261(図示なし)が隣接することにより、ネジ部22に関して工具ホルダシャフトのスプライン部21を軸方向にロックすることができる。しかしながら、ネジ部22に対してスプライン部21を軸方向にロックすることは、他のいずれかの適宜のストップ面により確保され得る。
【0059】
それから、図5を参照して上記で説明されたものと同一の方法において、スプライン部21に関して軸方向にアンロックされたネジ部22を駆動することきは、与られた送り移動に沿ってコントロールロッド24の送り移動をもたらすために使用される。これは、工具ホルダの取付システムのリリース位置への移動のために必要である。
【符号の説明】
【0060】
2 工具ホルダシフト
3 工具ホルダ
4 取付システム
10 第1駆動アクチュエータ
11 カップリング部材
21 シャフトの第1部分
22 シャフトの第2部分
24 コントロールロッド
30 第2駆動アクチュエータ
31 ナット
40 ロック手段
50 スイッチング手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】