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特表2023-509445骨伝導を使用する無線音声送受信骨装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】骨伝導を使用する無線音声送受信骨装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 25/00 20060101AFI20230301BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
H04R25/00 F
H04R1/00 317
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540924
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 US2021012045
(87)【国際公開番号】W WO2021138655
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/956,914
(32)【優先日】2020-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522263518
【氏名又は名称】ジョセフ ライアン スモラルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ライアン スモラルズ
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017AB11
(57)【要約】
本開示は、電子回路および/またはトランスデューサアセンブリを介して、ユーザまたは着用者の1つの歯、複数の歯、顎、および/またはその他の骨を通して振動を伝達するための方法を対象とする。本開示はさらに、電子回路および/またはトランスデューサアセンブリを介して、ユーザまたは着用者の1つの歯、複数の歯、顎および/またはその他の骨を通して振動を伝達するためのシステムを対象とする。本開示はさらに、ここに記載される方法およびシステムの実装のための口腔機器を対象とする。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴覚を補助するための骨伝導装置であって、
a)1つ以上の歯と係合するように構成された第1の筐体であって、前記第1の筐体は、透明な歯科用整列装置である、第1の筐体と、
b)前記第1の筐体に結合された第2の筐体であって、前記第2の筐体は、
b1)前記1つ以上の歯と振動接触するよう配置された、少なくとも1つのトランスデューサと、
b2)前記少なくとも1つのトランスデューサに結合された回路であって、信号プロセッサ、電源、送信器および/または受信器、ならびにアンテナを含む、回路と、を含む第2の筐体と、を含み、
前記透明な歯科用整列装置は、エラストマーポリマーを含み、
前記第1の筐体の少なくとも一部は取り除かれ、前記第2の筐体は、前記少なくとも一部が取り除かれて残された空間に挿入され、
前記取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号17、18、19、30、31および32からなる群から選択される1つ以上の歯に対応する、前記第1の筐体の頬側表面に対応する、装置。
【請求項2】
前記装置はさらに、少なくとも1つのマイクロフォンを含み、前記少なくとも1つのトランスデューサは、前記少なくとも1つのマイクロフォンと通信し、前記少なくとも1つのトランスデューサは、前記少なくとも1つのマイクロフォンからの信号に従って振動し、前記1つ以上の歯を通して音声信号を伝導する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのマイクロフォンは、前記少なくとも1つのトランスデューサに結合されたマイクロフォン筐体に収容される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号18、19、30および31からなる群から選択される1つ以上の歯に対応する前記筐体の頬側表面に対応する、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号30および31からなる群から選択される1つ以上の歯に対応する前記筐体の頬側表面に対応する、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号18および19からなる群から選択される1つ以上の歯に対応する前記筐体の頬側表面に対応する、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
(i)請求項1~6のいずれか一項に記載の聴覚装置と、(ii)音源と、を含み、前記聴覚装置と前記音源とは、互いに直接無線通信する、システムであって、
前記音源は、携帯電話、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型装置またはテレビジョンを含み、
前記無線通信は、Bluetooth、WiFiまたはBluetoothおよびWiFiの両方であり、
前記システムは、前記聴覚装置と前記音源との間の前記無線通信の間に中間装置を含まない、システム。
【請求項8】
聴覚装置であって、
a)1つ以上の歯と係合するように構成された第1の筐体と、
b)前記第1の筐体に結合された第2の筐体であって、前記第2の筐体は、
b1)前記1つ以上の歯と振動接触するよう配置された、少なくとも1つのトランスデューサと、
b2)前記少なくとも1つのトランスデューサに結合された回路であって、信号プロセッサ、電源、送信器および/または受信器、ならびにアンテナを含む、回路と、を含む第2の筐体と、
を含み、前記第1の筐体の少なくとも一部は取り除かれ、前記第2の筐体は、前記少なくとも一部が取り除かれて残された空間に挿入される、聴覚装置。
【請求項9】
前記第1の筐体は、透明な歯科用整列装置である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記透明な歯科用整列装置は、エラストマーポリマーを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置はさらに、少なくとも1つのマイクロフォンを含み、前記少なくとも1つのトランスデューサは、前記少なくとも1つのマイクロフォンと通信し、前記少なくとも1つのトランスデューサは、前記少なくとも1つのマイクロフォンからの信号に従って振動し、前記1つ以上の歯を通して音声信号を伝導する、請求項8~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号1、2、3、14、15、16、17、18、19、30、31および32から選択される1つ以上の歯に対応する前記第1の筐体の頬側表面または舌側表面に対応する、請求項8~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号1、2、3、14、15、16、17、18、19、30、31および32から選択される1つ以上の歯に対応する前記第1の筐体の頬側表面に対応する、請求項8~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号2、3、14、15、18、19、30および31から選択される1つ以上の歯に対応する前記第1の筐体の頬側表面に対応する、請求項8~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号18、19、30および31から選択される1つ以上の歯に対応する前記第1の筐体の頬側表面に対応する、請求項8~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号18および19から選択される1つ以上の歯に対応する前記第1の筐体の頬側表面に対応する、請求項8~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号30および31から選択される1つ以上の歯に対応する前記第1の筐体の頬側表面に対応する、請求項8~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号1、2、3、14、15、16、17、18、19、30、31および32から選択される1つ以上の歯に対応する前記第1の筐体の舌側表面に対応する、請求項8~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号2、3、14、15、18、19、30および31から選択される1つ以上の歯に対応する前記第1の筐体の舌側表面に対応する、請求項8~12および18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号18、19、30および31から選択される1つ以上の歯に対応する前記第1の筐体の舌側表面に対応する、請求項8~12、18および19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号18および19から選択される1つ以上の歯に対応する前記第1の筐体の舌側表面に対応する、請求項8~12および18~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
取り除かれる前記第1の筐体の前記少なくとも一部は、歯番号30および31から選択される1つ以上の歯に対応する前記第1の筐体の舌側表面に対応する、請求項8~12および18~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
(a)請求項8~22のいずれか一項に記載の聴覚装置と、(b)音源と、を含み、前記聴覚装置と前記音源とは、互いに直接無線通信する、システム。
【請求項24】
前記音源は、携帯電話、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型装置またはテレビジョンを含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記無線通信はBluetooth、WiFiまたはBluetoothおよびWiFiの両方である、請求項23または24に記載のシステム。
【請求項26】
前記システムは、中間装置を含まない、請求項23~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
請求項1~6および8~22のいずれか一項に記載の骨伝導装置を着用する個人における聴覚を補助する方法であって、
受信器において遠隔通信装置から第1の入力を受信することと、
前記受信器を介して第1の出力を生成することと、
前記トランスデューサにおいて前記第1の出力を受信することと、
前記トランスデューサを介して前記個人の少なくとも1つの歯または少なくとも1つの骨のうちの少なくとも一方に対して振動することと、
マイクロフォンにおいて第2の入力を受信することと、
前記マイクロフォンを介して第2の出力を生成することと、
プロセッサにおいて前記第2の出力を受信することと、
前記プロセッサを介して第3の出力を生成することと、
送信器において前記第3の出力を受信することと、
前記第3の出力を前記遠隔通信装置に送信することと、
を含み、前記骨伝導装置は、前記遠隔通信装置と無線通信する、方法。
【請求項28】
前記個人は、任意に感覚神経機能障害または伝音難聴による重度の一側性難聴に起因する、片耳難聴を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記個人は、両側性伝音難聴を有する、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記遠隔通信装置は、スマートフォン、タブレットまたはコンピュータである、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記骨伝導装置は、少なくとも無線周波、BluetoothまたはWiFiを介して、前記遠隔通信装置と無線通信する、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記骨伝導装置は、Bluetoothを介して、前記遠隔通信装置と無線通信する、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記個人は、自身の歯の上側列に前記骨伝導装置を装着する、請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記個人は、自身の歯の下側列に前記骨伝導装置を装着する、請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記骨伝導装置は、歯の列全体を覆う、請求項27~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記骨伝導装置は、歯の列の一部を覆う、請求項27~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記トランスデューサは、1つ以上の上顎骨、下顎骨および口蓋骨のうちの少なくとも1つの上に配置される、もしくは前記少なくとも1つに対して付勢される、またはそれ以外の態様で前記少なくとも1つに接触する、請求項27~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
骨伝導装置であって、
歯科用整列機器と、
少なくとも1つの電源と、
送信器と、
受信器と、
トランスデューサと、を含む、骨伝導装置。
【請求項39】
マイクロフォンをさらに含む、請求項38に記載の骨伝導装置。
【請求項40】
少なくとも1つのプロセッサをさらに含む、請求項38または39に記載の骨伝導装置。
【請求項41】
少なくとも2つのプロセッサをさらに含む、請求項38~40のいずれか一項に記載の骨伝導装置。
【請求項42】
前記トランスデューサは、圧電結晶である、請求項38~41のいずれか一項に記載の骨伝導装置。
【請求項43】
前記トランスデューサは、100~5,500ヘルツの範囲で振動する、請求項38~42のいずれか一項に記載の骨伝導装置。
【請求項44】
前記歯科用整列機器は、個人の歯の列全体に嵌合される、請求項38~43のいずれか一項に記載の骨伝導装置。
【請求項45】
前記歯科用整列機器は、歯の列の一部を覆う、請求項38~43のいずれか一項に記載の骨伝導装置。
【請求項46】
システムであって、
請求項38~45のいずれか一項に記載の骨伝導装置と、
少なくとも1つの遠隔通信装置と、を含むシステム。
【請求項47】
前記少なくとも1つの遠隔通信装置は、スマートフォン、タブレットまたはコンピュータである、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記骨伝導装置は、少なくとも無線周波、BluetoothまたはWiFiを介して、前記少なくとも1つの遠隔通信装置と無線通信する、請求項46または47に記載のシステム。
【請求項49】
前記骨伝導装置は、Bluetoothを介して、前記少なくとも1つの遠隔通信装置と無線通信する、請求項46~48のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
少なくとも前記骨伝導装置を調節または修正するように構成されたスマートフォンまたはタブレットまたはコンピュータをさらに含む、請求項46~49のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項51】
前記システムは、前記聴覚装置と前記少なくとも1つの遠隔通信装置との間の前記無線通信の間に中間装置を含まない、請求項46~50のいずれか一項に記載のシステム。
?
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年1月3日に出願された米国仮特許出願第62/956,914号の優先権を主張する特許協力条約に基づく国際出願であり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、電子回路および/またはトランスデューサアセンブリを介して、ユーザまたは着用者の1つの歯、複数の歯、顎、および/またはその他の骨を通して振動を伝達するための方法を対象とする。本開示はさらに、ユーザまたは着用者の1つの歯、複数の歯、顎および/またはその他の骨を通して電子回路および/またはトランスデューサアセンブリを介して振動を伝達するためのシステム対象とする。本開示はさらに、本明細書に記載される方法およびシステムの実施のための口腔機器を対象とする。
【背景技術】
【0003】
片耳または両耳の部分的または完全な難聴に苦しむ個人の聴覚を補助するまたはその他の態様で支援する手段を開発する、継続的なニーズが存在する。
【0004】
鼓膜は非常に敏感であり、大きな音声を聞くこと(特に長時間にわたって)は、人の鼓膜を損傷させ得る。鼓膜に対するこの種の損傷は、難聴の主な原因である。鼓膜の損傷は累積的であり、高齢になるほど起こり易い。
【0005】
音波が鼓膜に到達すると、鼓膜は振動し、音波を内耳としても知られる蝸牛により受け取られる別のタイプの振動に復号する。蝸牛は聴神経と接続されており、聴神経は音声を脳に伝達する。
【0006】
音声の骨伝導は、鼓膜を迂回する。骨伝導においては、振動が蝸牛により直接受け取られることができ、そのため音声を受け取る全過程から鼓膜を除外する。
【0007】
いくつかの補聴器は、骨伝導技術を採用して、直接、すなわち装置の支援なしで、耳によって直接聞くのと同等のまたは比較できるほどの効果を実現する。
【0008】
例えば、ヘッドセットが人のこめかみと頬に人間工学的に配置されても良く、電気機械的なトランスデューサが電気信号を機械的振動に変換し、その結果、音波がユーザの頭蓋骨を通して内耳に送られる。
【0009】
骨伝導に頼る長期的な解決策の1つは、骨固定型補聴器である。
【0010】
外耳道の狭窄または耳介(すなわち外耳)の奇形または欠如のような、外耳道または中耳の奇形は、伝音難聴を引き起こす。これらの奇形は、しばしば先天性である。骨固定型の聴覚方法は、頭蓋骨に直接接触することにより、音声の振動を直接内耳に送る。
【0011】
骨固定型補聴器は、外科的にインプラントされたアバットメントを使用して、患者の頭蓋骨を通して該患者の内耳に直接伝導を介して音波を伝達し、それにより外耳道および中耳を迂回する。
【0012】
インプラントが周囲の骨を振動させると、内耳において音波を伝達し、有毛細胞を刺激して聴神経を発火させる。
【0013】
一般に、チタン製のインプラント人工器官が、患者の頭蓋骨に外科的に埋設され、小型のアバットメントが患者の皮膚の外側に露出する。音声プロセッサが、このアバットメント上に載置されるか、またはその他の態様でこのアバットメントに固定される。
【0014】
音声プロセッサがチタン製のインプラントに音波を送信し、該インプラントが次いで患者の頭蓋骨および内耳を振動させ、患者の内耳への神経線維を刺激し、かくして聴覚が得られる。
【0015】
骨固定型補聴器のインプラント手術は、しばしば外来患者の処置として行われる。
【0016】
外耳または中耳を迂回することにより、骨固定型補聴器は、騒がしい状況における聴力を向上させ、音声の定位を助けることができる。
【0017】
骨固定型補聴器は一般に、向上させられた発話の理解に加えて、従来の補聴器と比較して、歪みおよびハウリングが少ない、より自然な音声を提供する。
【0018】
片耳難聴とは、人が一方の耳の聴力をすべて失い、他方の耳は正常な聴力から深刻な難聴までのいずれかを有する状態である。片耳難聴は、音声がどちらの方向から来ているかを決定すること(定位)を困難にし、騒がしい環境において発話を理解する能力を低下させる。
【0019】
片耳難聴の一般的な原因は、聴神経腫(すなわち聴神経における腫瘍)、メニエール病、または突発性感音難聴を含む。片耳難聴を有する個人は、聞こえの悪い側から聞こえの良い側に音声をルーティングする特殊な補聴器(CROS装置と呼ばれる)を着用し得るが、骨固定型聴覚装置が、1つの装置の使用しか必要としないため、しばしば好まれる。
【0020】
片耳感音性難聴を持つ患者においては、骨固定型補聴器は、頭蓋骨を介して、聞こえない側から聞こえる側の内耳に音声を送る。
【0021】
時間とともに、チタン製のインプラントは骨と一体化する。この場合、取り外し可能なマイクロフォンおよび音声プロセッサが、内蔵磁石を介して、またはアバットメント上にクリッピングすることによって、装着されても良い。骨固定型補聴器の目標は、振動をより効果的に骨に伝えるために、ぴったりとした嵌合を得ることである。
【0022】
骨固定型補聴器は、患者の骨と一体化することを目的として、侵襲的な外科的処置および体内への異物導入を必要とする。
【0023】
さらに、骨固定型補聴器は、補聴器がインプラントされたユーザまたは着用者の頭部の側に音波が到達する必要があるという欠点を有する。それ故、干渉すなわち雑音が、聞こうとしていることに対して個人が集中することを困難にし得ることが一般的である。
【0024】
両側性伝音難聴により骨固定型補聴器を用いる個人は、インプラントがある側が、個人が聞こうとする音声の発生源に近くなるように頭部を向けることが、しばしば必要になる。
【0025】
したがって、骨固定型補聴器の欠点を克服する骨伝導型補聴装置および方法に対するニーズが存在する。特に、侵襲的な医療処置を必要とせず、聴取者の周囲360度の半径から受信された、またはその他の態様で検出された音声を送信することが可能な、骨伝導型補聴装置および方法に対するニーズが存在する。
【0026】
さらに、目立たないように音声を送信および受信する手段に対する継続的なニーズが存在する。人がいずれかの度合いの聴覚障害を有するか否かにかかわらず。
【0027】
さらに、人がいずれかの度合いの聴覚障害を有するか否かにかかわらず、騒がしい環境において音声を送信および/または受信する手段に対する継続的なニーズが存在する。
【0028】
さらに、身体の外部に装着されるべきものを必要としないウェアラブル無線通信技術に対する、まだ対処されていないニーズが存在する。
【発明の概要】
【0029】
本発明者は、驚くべきことに、本明細書に記載の方法、システムおよび機器が、片耳難聴およびその他の聴覚障害を有する個人、ならびにいずれの聴覚障害も有さない個人に対して、360度の聴覚を可能にすることを見出した。すなわち、人が自身のモバイル装置に向かって話していて、この音声が別のモバイル装置に送信される場合、この音声はウェアラブル装置に送信されることができ、かくして360度の範囲で音声を捕捉する方法を作り出す。Bluetooth(登録商標)およびセルラー技術の両方を使用して、話している人の距離は制限のないものとなる。
【0030】
本発明者は、さらに驚くべきことに、本明細書に記載の方法、システムおよび機器が、医療処置、または個人の身体の外部に着用されるべきものを必要とすることなく、騒がしい環境においても個人が明確で明瞭なコミュニケーションを行うことを可能とすることを見出した。
【0031】
一態様においては、本開示の口腔内聴覚器具は、歯科用整列機器と、骨伝導音声伝達を提供するアクチュエータと、アクチュエータに音声を発生させるためにアクチュエータに結合された送受信器と、アクチュエータおよび送受信器を含む第1のチャンバであって、1つ以上の歯に結合されるように適合された第1のチャンバと、を含む。
【0032】
以上の態様の実装は、以下のうちの1つ以上を含んでも良い。
【0033】
アクチュエータドライバまたは増幅器が、アクチュエータに接続されても良い。第2のチャンバは、アクチュエータおよび送受信器を駆動するための電源を収容するために使用されても良い。ブリッジが、第1チャンバと第2チャンバとを接続しても良い。ブリッジは、該ブリッジに埋め込まれた電気配線またはアンテナを有しても良い。ブリッジは、有線フレーム、高分子材料、または高分子材料と有線フレームとの組み合わせであっても良い。アクチュエータに、マスが接続されても良い。マスは、タングステンのような重り、またはバッテリもしくは電子モジュールのような質量を有する適切なモジュールであっても良い。アクチュエータは、圧電トランスデューサであっても良い。アクチュエータの構成は、矩形のまたは片持ち型の梁を曲げる構成であっても良い。1つ以上のセラミックまたはアルミナ製のスタンドが、アクチュエータを他の構成要素に接続しても良い。圧縮性材料が、アクチュエータを包囲しても良い。非圧縮性材料が、アクチュエータと圧縮性材料を覆っても良い。再充電可能な電源が、送受信器およびアクチュエータに電力供給しても良い。誘導充電器が、バッテリを再充電しても良い。チャンバは、カスタムの歯科用整列装置であっても良い。予め構築された筐体が、マスのために提供されても良い。予め構築された筐体は、アームおよび1つ以上の底部接点を有しても良く、アームおよび接点は、歯に対してマスを付勢するように適合される。マイクロフォンが送受信器に接続されても良く、該マイクロフォンは口腔内または口腔外に配置される。データ記憶装置が本器具に埋め込まれても良い。第1のマイクロフォンが体内伝導音をピックアップしても良く、第2のマイクロフォンが周囲の音声をピックアップしても良く、雑音キャンセラが体内伝導音から周囲の音声を減算するために使用されても良い。アクチュエータは、歯、上顎骨、下顎骨、または口蓋骨を通して音声を伝達する。リンクユニットが、送受信器に音声を供給しても良く、該リンクユニットは、外部音源と通信するよう適合される。送受信器は、有線送受信器であっても良いし、または無線送受信器であっても良い。
【0034】
好ましい実施形態の利点は、以下のうちの1つ以上を含み得る。骨伝導を用いる歯科用整列装置は、使用時に着脱が容易であり、さらに、該装置のユーザの着用の間に外観が目立たない。本装置は、該装置のユーザの着用を近くの人に気づかれることなく操作され得る。本システムは、頑丈な無線での安全な多目的通信プラットフォームである。本装置は、非常に埃の多い環境、汚れた環境、または湿った環境のような極限環境において使用され得る。本システムは、高品質で、ハンズフリーで、さらには目立たない通信機能をユーザに提供する。本システムは、人の生活の質および心理的な幸福に悪影響を与え得る難聴を克服する。かかる聴覚障害を解決することは、低減されたストレスレベルに導き、自信を増大させ、社交性を増大させ、職場における能率を増大させる。
【0035】
本発明は、骨伝導装置であって、例えば、
i)歯科用整列機器、
ii)少なくとも1つの電源、
iii)音声送信器および/または受信器、
iv)マイクロフォン、
v)プロセッサ、および
vi)振動トランスデューサの組み合わせを含む骨伝導装置を提供する。
【0036】
別の態様においては、本明細書に記載の発明は、(i)~(vi)のそれぞれを含む。
【0037】
本発明は、
a)骨伝導装置であって、
i)歯科用整列機器、
ii)少なくとも1つの電源、
iii)音声送信器および/または受信器、
iv)マイクロフォン、
v)プロセッサ、および
vi)振動トランスデューサ、を含む骨伝導装置と、
b)少なくとも1つの遠隔通信装置と、を含むシステムを提供する。
【0038】
本開示はさらに、骨伝導装置を着用することを含む通信の方法であって、該骨伝導装置は、
i)歯科用整列機器、
ii)少なくとも1つの電源、
iii)音声送受信器および/または受信器、
iv)マイクロフォン、
v)プロセッサ、および
vi)振動トランスデューサ
を含み、該骨伝導装置は、遠隔通信装置と無線通信する、方法を提供する。
【0039】
本開示は、骨伝導装置を着用することを含む聴覚を補助する方法であって、該骨伝導装置は、
i)歯科用整列機器、
ii)少なくとも1つの電源、
iii)音声送信器および/または受信器、
iv)マイクロフォン、
v)プロセッサ、および
vi)振動トランスデューサ
を含み、該骨伝導装置は、遠隔通信装置と無線通信している、方法を提供する。
【0040】
本発明のさらなる目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1A図1Aは、装置の電子部分が結合される例示的な切り取り部を示す骨伝導聴覚装置の例示的な構成の斜視側面図を示す。
図1B図1Bは、装置の電子部分が装着された骨伝導聴覚装置の例示的な構成の上面図を示す。
図1C図1Cは、装置の電子部分が装着された骨伝導聴覚装置の例示的な構成の斜視側面図を示す。
図2】骨伝導聴覚装置の例示的な構成を示す上面図を示す。
図3】1つ以上の歯へのアクチュエータの結合を説明する図を示す。
図4】歯へのアクチュエータの結合の等価なモデルを示す。
図5】骨伝導聴覚装置の例示的な構成の部分断面図を示す。
図6】骨伝導装置が歯科用整列装置の複数の位置にどのように配置され得るかの一例を示す。
図7】骨伝導聴覚装置の例示的な構成の部分斜視側面図を示す。
図8】骨伝導聴覚装置の例示的な構成の部分断面図を示す。
図9】本発明の例示的な構成を示し、ここでは、電源が受信器およびトランスデューサに電力を供給し、受信器がスマートフォンまたはタブレットのような第2の装置から入力(例えば音声)を受信し、受信器が続いてトランスデューサに出力を供給して、トランスデューサがユーザまたは着用者の1つの歯、複数の歯、1つの骨または複数の骨に対して振動する。
図10】本発明の例示的な構成を示し、ここでは、電源が受信器、プロセッサおよびトランスデューサに電力を供給し、受信器がスマートフォンまたはタブレットのような第2の装置から入力(例えば音声)を受信し、受信器が続いてプロセッサに出力を供給し、プロセッサが次いで処理された出力をトランスデューサに供給して、トランスデューサがユーザまたは着用者の1つの歯、複数の歯、1つの骨または複数の骨に対して振動する。
図11】本発明の例示的な構成を示し、ここでは、電源がマイクロフォン、プロセッサおよび送信器に電力を供給し、マイクロフォンがユーザまたは着用者から入力(例えば発話)を受信し、マイクロフォンが続いてプロセッサに出力を供給し、プロセッサが次いで処理された出力を送信器に供給し、送信器が処理された出力をスマートフォンまたはタブレットのような第2の装置に送信する。図11に示された構成は、一態様においては、図9または図10の構成と組み合わせられ得る。すなわち、図11の構成においてと、図9または図10の構成においてとで、別個の電源が使用され得る。
図12】本発明の例示的な構成を示し、ここでは、1つの電源がマイクロフォン、プロセッサ、送信器、受信器およびトランスデューサのそれぞれに電力を供給し、受信器が第2の装置(スマートフォンまたはタブレットのような)から入力を受信し、次いでトランスデューサに該入力を供給し、トランスデューサがユーザまたは着用者の1つの歯、複数の歯、1つの骨または複数の骨に対して振動し、該構成はさらに、ユーザまたは着用者から入力(例えば発話)を受信し、次いで該入力をプロセッサに供給するマイクロフォンを提供し、プロセッサは次いで処理された入力を送信器に供給し、送信器は次いで処理された出力を第2の装置(スマートフォンまたはタブレットのような)に供給する。
図13】本発明の例示的な構成を示し、ここでは、1つの電源がマイクロフォン、第1のプロセッサ、送信器、受信器、プロセッサおよびトランスデューサのそれぞれに電力を供給し、受信器が第2の装置(スマートフォンまたはタブレットのような)から入力を受信し、次いでプロセッサに該入力を供給し、プロセッサが次いで処理された入力をトランスデューサに供給し、トランスデューサがユーザまたは着用者の1つの歯、複数の歯、1つの骨または複数の骨に対して振動し、該構成はさらにユーザまたは着用者からの入力(例えば発話)を受信し、次いで該入力を第1のプロセッサに供給するマイクロフォンを提供し、第1のプロセッサが処理された出力を送信器に供給し、送信器が処理された出力を第2の装置(スマートフォンまたはタブレットのような)に供給する。
図14】本発明の例示的な構成を示し、ここでは、1つの電源がマイクロフォン、プロセッサ、送信器、受信器およびトランスデューサのそれぞれに電力を供給し、受信器が第2の装置(スマートフォンまたはタブレットのような)から入力を受信し、次いで入力をプロセッサに供給し、プロセッサが次いで処理した入力をトランスデューサに供給し、トランスデューサがユーザまたは着用者の1つの歯、複数の歯、1つの骨または複数の骨に対して振動し、該構成はさらに、ユーザまたは着用者からの入力(例えば発話)を受信し、次いで該入力を同じプロセッサに供給するマイクロフォンを提供し、プロセッサが処理された出力を送信器に供給し、送信器が処理された出力を第2の装置(スマートフォンまたはタブレットのような)に供給する。
図15】ユーザが、本発明の骨伝導装置なしで遠隔通信装置を使用している別の人と通信する、本発明の方法の実施形態を示す。
図16】ユーザが、本発明の骨伝導装置とともに遠隔通信装置を使用している別の人と通信する、本発明の方法の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明者はここで、本発明の方法、システムならびに機器および装置が、同時の遠隔通信装置への音声の送信および遠隔通信装置からの音声の送信の手段を提供することを見出した。
【0043】
骨伝導技術は、補聴器に使用され、またその他の態様で聴覚支援を提供するために使用されてきた。しかしながら、これらの装置の多くは、難聴のみを有する個人に対する使用のために設計されている。
【0044】
口腔内骨伝導補聴器および遠隔通信の選択肢は重大な欠点を有し、その欠点を本発明の方法、システムおよび機器が克服する。
【0045】
例えば、Molar Micは、音声を伝導するために頭蓋骨への外科的なインプラントを必要とする外科的な骨伝導人工装具装置に対する代替として、歯を介して音声を伝送するように設計された非外科的な骨伝導人工装具装置である。Molar Micシステムは、着用者の首のまわりの第1のウェアラブル装置を介して無線機から音声を受信し、その音声をユーザの口の中にある振動する第2のウェアラブル装置に送信するように構成されている。同様に、Molar Micのユーザの発話は、口腔内コンポーネントによって、ユーザの首のまわりのウェアラブルコンポーネントに送信され、このウェアラブルコンポーネントが、ユーザの発話を無線機のような通信装置に送信する。
【0046】
しかしながら、本発明者は、本発明の口腔内骨伝導方法、システムおよび機器が、スマートフォン、タブレットまたはコンピュータのような第2の装置から音声を受信することおよび該第2の装置に音声を送信することの両方が可能であり、それによりさらなる装置の必要性を排除することを見出した。すなわち、本発明は中間装置を必要としない。Molar Micと呼ばれる以前から知られている装置は、チームメンバー間で通信する作戦任務のために軍事用に設計された装置である。本発明は対照的に、スマート装置から音波を受信し、ユーザの口の中に位置する装置を通して配信し、聴覚の第8脳神経に音声を伝達する、一般向けのウェアラブル技術を含む。このことは、現在一般的に使われている、耳にクリップされ邪魔になる標準的な「blue tooth」装置に対する必要性を除去する。この装置を使用して、電話をかけること、およびテキストメッセージを書き留めることを通して、コミュニケーションを行うことができる。さらに、例えばスマートフォン、タブレットまたはスマートTVから、任意の音楽および音声を聴くこともできる。これら2つの装置における唯一の共通点は、Bluetoothと骨伝導技術の両方を使用していることである。適用および実装の詳細は、完全に異なっている。この方法および機器を用いて、音楽家、講演の参加者、または演説をする政治家が、コンサートまたはその他の発話イベントの間にモニタリング用イヤーピースを装着する必要がなくなる。この装置は、話される音声およびディジタル音声を世界の人々が送信および受信する方法を変え得る。Molar Micと比較した場合の、この方法および装置の別の差別化特徴は、Molar Micが歯列矯正において使用される固定具のように、ワイヤにより歯に装着されていることである。一方、本発明に関連して、この装置は有利にも、かなり安全な装着機構である透明な整列器の技術によって装着されることができる。
【0047】
音声の受信および送信
一態様においては、本発明の装置は、スマートフォンまたはタブレットのような遠隔通信装置に音声を無線で送信することが可能である。
【0048】
一態様においては、本発明の装置は、音声を無線で受信することが可能である。
【0049】
一態様においては、本発明の装置は、音声を無線送信することおよび音声を無線受信することの両方が可能である。
【0050】
特定の実施形態においては、本発明の骨伝導装置は、任意の無線送信の形態を介して音声を送信するように構成される。
【0051】
特定の実施形態においては、無線送信の形態は、無線周波である。
【0052】
特定の実施形態においては、無線送信の形態は、Bluetooth(登録商標)である。
【0053】
特定の実施形態においては、無線送信の形態は、Wi-Fiである。
【0054】
歯科用整列器
本明細書で使用される「歯科トレイ」または「歯科用整列器」または「固定具」は、金属の歯科矯正具に対する軽量プラスチックの代替物を示す。
【0055】
本明細書で使用される用語「歯科用整列器」は、歯科トレイ、ユーザもしくは着用者の歯を矯正もしくは整えることを意図された歯科用整列器もしくは固定具、ユーザもしくは着用者の歯を矯正もしくは整えることを意図されていない歯科用整列器もしくは歯科用固定具、固定具、マウスガード、またはユーザもしくは着用者の歯に成形される任意の他のウェアラブル機器もしくは装置を交換可能に示す。
【0056】
一般に、歯科用整列器は、歯を調節するために使用される透明なプラスチックの形の歯科矯正具であり、人(例えば歯列矯正または歯科の患者)の歯にぴったりと着用され得る、歯列矯正装置である。
【0057】
歯科用整列器は一般に対の形で提供され、一方の整列器が上列の歯に着用され、他方の整列器が下の列の歯に着用される。
【0058】
一般に、人は、第1の歯科用整列器のセットを処方されたまたはその他の態様で指定された期間着用し、第2の歯科用整列器のセットが第2の所定の処方されたまたはその他の態様で指定された期間着用されるまで、自身の歯が徐々にシフトすることを可能にする。
【0059】
所望されるまたは必要な矯正または整えの重大度に応じて、人は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上の数の異なるセットの歯科用整列器を装着し得る。
【0060】
歯科用整列器の各後続するセットは、人の歯を徐々にシフトさせ、最終的に所望の整列度に近づける。
【0061】
一態様においては、本発明は、軽量の歯科トレイ、整列器または固定具を含む。
【0062】
一態様においては、本発明は、ユーザの下の列の歯に対する使用のための歯科用整列器を含む。
【0063】
一態様においては、本発明は、ユーザの上の列の歯に対する使用のための歯科用整列器を含む。
【0064】
特定の実施形態においては、本発明は、ユーザの歯を整えることを意図された歯科用整列器を含む。
【0065】
特定の実施形態においては、本発明は、ユーザの歯を整えることを意図されていない歯科用整列器を含む。すなわち、ユーザは、歯をシフトさせることなく整列器が自身の歯にぴったりと固定されるように、歯科用整列器を自身の歯に結合させても良い。
【0066】
特定の実施形態においては、本発明の振動型骨伝導装置は、歯科用整列器のセグメントと関連して実装される。すなわち、歯科用整列器は、いくつかの実施形態においては、ユーザの下の列の歯のセグメント、またはユーザの上の列の歯のセグメントのみを覆っても良い。
【0067】
本明細書で使用される「本発明の骨伝導装置」は、本明細書に記載される歯科用整列機器に組み込まれるか、または取り外し可能もしくは取り外し不可能に組み合わせられる、本明細書に記載される装置を意味する。
【0068】
本開示は、本明細書に記載の骨伝導装置を着用することを含む通信の方法および聴覚を補助する方法を提供する。
【0069】
振動の送信および伝導
特定の実施形態においては、本発明のシステムまたは本発明の骨伝導装置もしくは歯科用整列機器は、トランスデューサが少なくとも1つの上顎歯の上に配置され、またはそれに対して付勢されるように着用される。
【0070】
特定の実施形態においては、本発明のシステムまたは本発明の骨伝導装置もしくは歯科用整列機器は、トランスデューサが少なくとも2つの上顎歯の上に配置され、またはそれに対して付勢されるように着用される。
【0071】
特定の実施形態においては、本発明のシステムまたは本発明の骨伝導装置もしくは歯科用整列機器は、トランスデューサが少なくとも3つの上顎歯の上に配置され、またはそれに対して付勢されるように着用される。
【0072】
特定の実施形態においては、本発明のシステムまたは本発明の骨伝導装置もしくは歯科用整列機器は、トランスデューサが少なくとも1つの下顎の歯の上に配置され、またはそれに対して付勢されるように着用される。
【0073】
特定の実施形態においては、本発明のシステムまたは本発明の骨伝導装置もしくは歯科用整列機器は、トランスデューサが少なくとも2つの下顎の歯の上に配置され、またはそれに対して付勢されるように着用される。
【0074】
特定の実施形態においては、本発明のシステムまたは本発明の骨伝導装置もしくは歯科用整列機器は、トランスデューサが少なくとも3つの下顎の歯の上に配置され、またはそれに対して付勢されるように着用される。
【0075】
特定の実施形態においては、本発明のシステムまたは本発明の骨伝導装置もしくは歯科用整列機器は、トランスデューサが、1つ以上の下顎骨の上に配置され、もしくはそれに対して付勢されるように、またはその他の態様で接触するように着用される。
【0076】
特定の実施形態においては、本発明のシステムまたは本発明の骨伝導装置もしくは歯科用整列機器は、トランスデューサが、1つ以上の上顎骨の上に配置され、もしくはそれに対して付勢されるように、またはその他の態様で接触するように着用される。
【0077】
特定の実施形態においては、本発明のシステムまたは本発明の骨伝導装置もしくは歯科用整列機器は、トランスデューサが、1つまたは両方の口蓋骨の上に配置され、もしくはそれに対して付勢されるように、またはその他の態様で接触するように着用される。
【0078】
本明細書で使用される「本発明の歯科用整列機器」は、ユーザもしくは着用者の歯を矯正または整えることを意図された歯科用整列器もしくは固定具、ユーザもしくは着用者の歯を矯正もしくは整えることを意図されていない歯科用整列器もしくは歯科用固定具、固定具、マウスガード、またはユーザもしくは着用者の歯に成形され、本発明の骨伝導装置に取り外し可能にもしくは取り外し不可能に接続され、収容され、もしくはその他の方法で結合される、その他の任意のウェアラブル機器もしくは装置を意味する。
【0079】
本発明の歯科用整列機器は、特定の実施形態においては、熱成形工程またはその他の慣用的な製造工程を介して製造されるカスタムメイドの機器であり、慣用的な歯科印象法および/またはディジタル画像法によって最初に得られた、将来のユーザまたは着用者の歯の物理的なまたはディジタルの型またはその他の複製が使用される。他の実施態様においては、機器はキットを含んでも良く、患者が指示に従って型を作り、整列器が製造され得るように完成したキットを製作者に送っても良い。
【0080】
本開示は、ユーザまたは着用者の歯の上にぴったりと設置される歯科用整列機器を提供する。
【0081】
特定の実施形態においては、本発明の歯科用整列機器は、ユーザまたは着用者の下の歯の列全体にわたってぴったりと嵌合する歯科用整列器を含む。
【0082】
特定の実施形態においては、本発明の歯科用整列機器は、ユーザまたは着用者の下の歯の列の一部にわたってぴったりと嵌合する歯科用整列器を含む。
【0083】
特定の実施形態においては、本発明のファイル歯科用整列機器は、ユーザまたは着用者の下の歯の列の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれより多くのセグメントにわたってぴったりと嵌合する歯科用整列器を含む。
【0084】
特定の実施形態においては、本発明の歯科用整列機器は、ユーザまたは着用者の上の歯の列全体にわたってぴったりと嵌合する歯科用整列器を含む。
【0085】
特定の実施形態においては、本発明の歯科用整列機器は、ユーザまたは着用者の上の歯の列の一部にわたってぴったりと嵌合する歯科用整列器を含む。
【0086】
特定の実施形態においては、本発明のファイル歯科用整列機器は、ユーザまたは着用者の上の歯の列の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれより多くのセグメントにわたってぴったりと嵌合する歯科用整列機器を含む。別の態様においては、歯科機器は、口の右上、左上、右下、または左下の象限部のうちの1つ以上にクリップされ、装着され、またはその他の方法で嵌合される。別の態様においては、歯科機器は、米国歯科医師会(ADA)のユニバーサルナンバリングスキームに対応する歯番号1~16もしくは17~32のうちの単一の歯または1つ以上の歯の組み合わせにクリップされ、装着され、または他の態様で嵌合される。例えば、その内容の全体が参照により組み込まれるhttps://radiopaedia.org/articles/american-dental-association-universal-numbering-system?lang=usを参照されたい。別の態様においては、機器は、例えば、右上顎、左上顎、左下顎、右下顎領域またはそれらの組み合わせの歯科領域において、単一の歯または歯の組み合わせにクリップされ、装着され、またはその他の方法で嵌合される。
【0087】
特定の実施形態においては、本発明の歯科用整列機器は、ユーザまたは着用者の下の列の歯全体の上にぴったりと嵌合する歯科用整列器、およびユーザまたは着用者の上の列の歯全体の上にぴったりと嵌合する歯科用整列器を含む。
【0088】
特定の実施形態においては、本発明の歯科用整列機器は、ユーザまたは着用者の下の歯の列全体の上にぴったりと嵌合する歯科用整列器、およびユーザまたは着用者の上の歯の列の一部の上にぴったりと嵌合する歯科用整列器を含む。
【0089】
特定の実施形態においては、本発明の歯科用整列機器は、ユーザまたは着用者の下の歯の列の一部の上にぴったりと嵌合する歯科用整列器、およびユーザまたは着用者の上の歯の列全体の上にぴったりと嵌合する歯科用整列器を含む。
【0090】
特定の実施形態においては、歯科用整列機器は、ユーザまたは着用者の歯を整えるためまたはその他の態様で矯正するために使用される。
【0091】
他の実施形態においては、歯科用整列機器は、ユーザまたは着用者の歯を整えるためまたはその他の態様で矯正するために使用されない。
【0092】
特定の実施形態においては、歯科用整列機器は、そこに埋め込まれた本発明の骨伝導装置を有する。
【0093】
特定の実施形態においては、本発明の骨伝導装置は、歯科用整列機器から取り外し可能である。
【0094】
本開示は、骨伝導装置であって、
i)歯科用整列機器、
ii)少なくとも1つの電源、
iii)音声送信器、
iv)音声受信器、
v)マイクロフォン、
vi)少なくとも1つのプロセッサ、および
vii)振動トランスデューサを含む骨伝導装置を提供する。
【0095】
一態様においては、少なくとも1つの電源、音声送信器、音声受信器、マイクロフォン、少なくとも1つのプロセッサ、および振動トランスデューサは、歯科用整列機器内にまたは歯科用整列機器上に組み込まれる単一の筐体内に収容される。
【0096】
特定の実施形態においては、マイクロフォンは、音声を受信し、送信器に直接出力を供給するように構成される。
【0097】
特定の実施形態においては、マイクロフォンは、音声を受信し、プロセッサに出力を供給するように構成され、プロセッサは、処理された出力を送信器に供給するように構成される。
【0098】
一態様においては、送信器は、出力を遠隔通信装置に供給するように構成されている。
【0099】
一態様においては、受信器は、遠隔通信装置から入力を受信するように構成される。
【0100】
一態様においては、受信器、送信器およびプロセッサは、受信器が入力を受信し、送信器が出力を同時に送信し得るように構成される。
【0101】
特定の実施形態においては、本発明の骨伝導装置は、受信器からの出力およびマイクロフォンからの出力を処理する単一のプロセッサを含む。
【0102】
特定の実施形態においては、本発明の骨伝導装置は、マイクロフォンからの出力のみを処理する単一のプロセッサを含む。
【0103】
特定の実施形態においては、本発明の骨伝導装置は、受信器からの出力を処理する第1のプロセッサと、マイクロフォンからの出力を処理する第2のプロセッサとを含む。
【0104】
特定の実施形態においては、受信器は、入力を受信し、プロセッサに出力を供給するように構成され、プロセッサは、処理された出力をトランスデューサに供給するように構成される。
【0105】
特定の実施形態においては、受信器は、入力を受信し、出力をトランスデューサに直接供給するように構成される。
【0106】
特定の実施形態においては、本発明の骨伝導装置は、送信器および受信器の両方を含む。
【0107】
さらに、本開示は、
a)骨伝導装置であって、
i)歯科用整列機器、
ii)少なくとも1つの電源、
iii)音声送信器および/または受信器、
iv)マイクロフォン、
v)プロセッサ、および
vi)振動トランスデューサ、を含む骨伝導装置と、
b)少なくとも1つの遠隔通信装置と、を含むシステムを提供する。
【0108】
本開示はさらに、骨伝導装置を着用することを含む通信の方法であって、該骨伝導装置は、
i)歯科用整列機器、
ii)少なくとも1つの電源、
iii)音声送信器、
iv)音声受信器、
v)マイクロフォン、
vi)プロセッサ、および
vii)振動トランスデューサ
を含み、該骨伝導装置は、遠隔通信装置と無線通信する、方法を提供する。
【0109】
一態様においては、遠隔通信装置は、遠隔通信装置に内蔵されたマイクロフォンを介して音声を受信し、該音声を本発明の骨伝導装置の受信器に送信する。
【0110】
一態様においては、遠隔通信装置は、無線接続を介して、本発明の骨伝導装置の送信器から音声を受信する。
【0111】
一態様においては、遠隔通信装置は、任意の音声を本発明の骨伝導装置に中継することができる。
【0112】
一態様においては、遠隔通信装置は、別の遠隔通信装置と通信しても良い。例えば、電話の通話が、ユーザまたは着用者によって、本発明の骨伝導装置を使用していてもいなくても良い別の個人との間で実施されても良い。図15および図16を参照されたい。
【0113】
本開示は、骨伝導装置を着用することを含む聴覚を補助する方法であって、該骨伝導装置は、
i)歯科用整列機器、
ii)少なくとも1つの電源、
iii)音声送信器および/または受信器、
iv)マイクロフォン、
v)プロセッサ、および
vi)振動トランスデューサ
を含み、該骨伝導装置が、遠隔通信装置と無線通信する、方法を提供する。
【0114】
送信器によって送信された信号は、遠隔通信装置および/またはトランスデューサアセンブリによって受信器から受信されても良く、該受信器は、受信された信号の追加的な処理のための内部プロセッサに接続されても良い。
【0115】
受信された信号は、トランスデューサに通信されても良く、該トランスデューサは、対応して歯の表面に対して振動し、振動信号を歯および骨を通して伝導し、続いて中耳に伝導して、ユーザの聴覚を容易化しても良い。トランスデューサは、任意の振動機構の中にまたは任意の振動機構として構成されても良い。
【0116】
一態様においては、任意の振動トランスデューサが使用されても良い。
【0117】
一実施形態においては、トランスデューサは、電磁気的に動作させられるトランスデューサであっても良い。
【0118】
特定の実施形態においては、トランスデューサは、ある範囲の振動周波数を有する圧電結晶である。
【0119】
特定の実施形態においては、トランスデューサは、100~5,500ヘルツ、150~5,000ヘルツ、または200~4,500ヘルツの範囲で振動する。
【0120】
一態様においては、任意の電源が使用されても良い。特定の実施形態においては、電源は、再充電可能なバッテリである。特定の実施形態においては、電源は、再充電可能なリチウムベースのバッテリである。
【0121】
特定の実施形態においては、骨伝導装置のすべての構成要素に電力を供給するために、単一の電源またはバッテリが使用される。
【0122】
特定の実施形態においては、骨伝導装置の構成要素に電力を供給するために、2つ以上の電源またはバッテリが使用される。
【0123】
特定の実施形態においては、1つの電源またはバッテリが、マイクロフォン、送信器および第1のプロセッサに電力を供給し、第2の電源またはバッテリが、受信器、トランスデューサおよび第2のプロセッサに電力を供給する。
【0124】
特定の実施形態においては、1つの電源またはバッテリが、マイクロフォン、送信器および第1のプロセッサに電力を供給し、第2の電源またはバッテリが、受信器およびトランスデューサに電力を供給する。
【0125】
特定の実施形態においては、骨伝導装置の各構成要素が、異なる電源またはバッテリから電力を受ける。
【0126】
特定の実施形態においては、電源は、別個の充電機器または装置を使用する無線充電を介して充電されても良い。特定の実施形態においては、別個の充電機器は、Qiプロトコル充電器のような無線充電機器である。
【0127】
特定の実施形態においては、本発明の方法およびシステムは、遠隔通信装置を含む。特定の実施形態においては、含まれる遠隔通信装置は、スマートフォンもしくはタブレットまたはコンピュータである。
【0128】
一態様においては、該スマートフォンまたはタブレットのアプリケーションは、本発明の骨伝導装置の設定を調節するために使用されても良い。
【0129】
一態様においては、該スマートフォンまたはタブレットのアプリケーションは、骨伝導装置の全ての設定の調節を可能とする。
【0130】
一態様においては、該スマートフォンまたはタブレットのアプリケーションは、骨伝導装置のマイクロフォンの感度の調節を可能とする。
【0131】
一態様においては、該スマートフォンまたはタブレットのアプリケーションは、骨伝導装置のトランスデューサまたはスピーカの振動強度の調節を可能とする。
【0132】
図1Aは、骨伝導装置の一実施形態を示し、ここでは、透明な歯科用整列装置が歯に置かれ、該整列装置の一部が取り除かれて、該取り除かれた部分の代わりに骨伝導装置の電子部分が装着され得るようにされる。図1Bおよび図1Cはそれぞれ、骨伝導装置の電子部分が整列装置に装着されている、骨伝導装置の上面図および側面図を示す。
【0133】
図2は、例示的な骨伝導装置を示す。この歯科用整列装置器具は、ユーザによって自身の口腔の上に着用される。整列装置は、本器具に電力供給するためのエネルギーを供給する電源チャンバ401を含む。電源チャンバ401は、バッテリのようなエネルギー貯蔵部402を含む。バッテリは、誘導結合を通して外部エネルギーを受けることができる、または2つの端子を通して直接充電を受けることができる、充電器電子回路403によって充電される。充電が誘導的に行われるべき場合には、再充電コイル404も電源チャンバ401に封入される。電源チャンバ401は、エネルギー作動チャンバ407を提供する。機械的には、チャンバ401と407とはブリッジ405によって接続されても良い。ブリッジ405の内部には、作動チャンバ407に電力を供給するケーブルがある。ブリッジ405には、アンテナ線のような他の装置が埋め込まれても良い。チャンバ401、407およびブリッジ405は、特に歯科用固定具において一般的に使用される人体適合性のエラストマー材料から作られる。
【0134】
図3は、1つ以上の歯450への音声トランスデューサの結合を示す例示的な断面図を示す。図3において、歯科用整列装置のような取り付けユニット452が、1つ以上の歯450の上に配置される。アクチュエータ454は、歯450に機械的に接続されている支持アームまたはリンク452Aおよび452Bの上に載置されている。
【0135】
一実施形態においては、アクチュエータ454は、PZTで作られた圧電トランスデューサである。PZT系化合物(Pb[ZrxTi1-x]O3、0<x<1、チタン酸ジルコニウム鉛とも呼ばれる)は、高度に圧縮されるとその面のうちの2つの間に電圧差を生じるセラミックペロブスカイト材料である。圧電体であるため、圧縮されるとその面のうちの2つの間に電圧差を生じ(センサ用途に有用である)、または外部電界が印加されると物理的に形状を変化させる(アクチュエータなどに有用である)。この材料は強誘電体でもあり、すなわち、電界の存在下で分極を反転させられ得る自発的な電気分極(電気双極子)を有する。この材料は、x=0.52付近のモルフォトロピック相境界(MPB)における、極めて大きな誘電率を特徴とする。これらの特性は、PZT系化合物を最も著名で有用な電子セラミックスのうちの1つとしている。
【0136】
アクチュエータ454はまた、マスアーム456を通してマス458に接続されている。一実施形態においては、アクチュエータ454は、矩形の梁を曲げる構成でPZTを使用する。マス458は、タングステン材料、または、数あるなかでも、バッテリもしくは制御電子回路のような任意の適切な重りとすることができる。支持アームまたはリンク452A~452B、およびマスアーム456は、好ましくは、音響または音声エネルギーが取り付けユニット454によって効率的に伝達されることを可能とするセラミックまたはアルミナから作られる。
【0137】
2つの挿入図に示されるように、アクチュエータ454は、収縮または拡張するように命令され、上向きアーチ形状または下向きアーチ形状を有する動きに帰着しても良い。アクチュエータ454およびその関連する構成要素は、アクチュエータの動きを可能にするために、シリコーンのような圧縮性材料460内に封入される。一実施形態においては、電子回路アセンブリの上部は、アクチュエータ454によって生成されたエネルギーを歯に向ける固定プラットフォームを提供するアクリルの封入された保護層462を備え、圧縮性材料460は、アクチュエータ454による移動のための余裕を提供する。
【0138】
図4は、図3のシステムの模式的な等価物を示す。図4のモデルにおいて、歯450は、骨構造451と、歯科用整列装置のような取り付けユニット455との間に固定され、これらはともに、該モデルにおいて空間的に固定されている。アクチュエータ453は、歯450へのエネルギーを駆動するための抵抗を提供する。図4は2つの固定点接続を示しているが、アクチュエータ452は1つの固定点接続を有しても良いと考えられる。歯と歯科用整列装置との間のこの抵抗は、高周波数でアクチュエータを歯と接触させ続けるために必要な結合力をもたらす。
【0139】
図5に示される実施形態においては、電子回路および/またはトランスデューサアセンブリ120は、筐体62内に配置され、歯科用整列装置60に装着され得る。電子回路および/またはトランスデューサアセンブリ120は、任意に、アセンブリ120と歯の表面との間に配置された任意のインタフェース層122に装着される。インタフェース層122は、振動が層122を通って歯に均一な態様で伝達されるように、歯の表面に対しておよびアセンブリ120に対して適合するように構成されても良い。したがって、インタフェース層122は、振動を最小に減衰させる材料から作られても良い。インタフェース層122は、単純な挿入具、Oリング構成など、または義歯もしくは口腔ペーストなどのようなゲルもしくはペーストの形態のような、様々な形態で作られても良い。さらに、インタフェース層122は、様々な材料、例えば、硬質プラスチックまたは高分子材料、金属等から作製されても良い。
【0140】
本明細書に記載された任意の変形例について、それらは、単一の装置として、または、ユーザにおける所望の聴覚レベルを達成するために、実行可能な本明細書の他の任意の変形例と組み合わせて利用されても良い。さらに、1つよりも多い歯科用整列装置と電子回路および/またはトランスデューサアセンブリが、任意に一度に利用されても良い。例えば、図6は、複数のトランスデューサアセンブリ270、272、274、276が、複数の歯の位置において歯科用整列装置(図示されていない)上に配置され得る一例を示している。複数のアセンブリは、下の列の歯に示されているが、代替として、上の列の歯または両方の列に沿って配置され位置させられても良い。さらに、アセンブリの各々は、均一な周波数範囲内で振動を伝達するように構成されても良い。代替として、他の変形例においては、異なるアセンブリは、各アセンブリ間の重複しない周波数範囲内で振動するように構成されても良い。上述したように、各トランスデューサ270、272、274、276は、ユーザに比較的高い忠実度の音声を提供するため、各トランスデューサが異なる周波数応答および/または伝送に最適化されるように、異なる周波数応答に対してプログラムまたは予め設定されても良い。
【0141】
1つ以上のマイクロフォンが存在する変形例においては、マイクロフォンは、電子回路および/またはトランスデューサアセンブリに直接に一体化されても良い。しかしながら、追加的な変形例においては、マイクロフォンユニットは、ハウリングを最小化するためにトランスデューサアセンブリから距離を置いて配置されても良い。一例においては、マイクロフォンユニット282は、図7および図8に示されるように、電子回路および/またはトランスデューサアセンブリ280から離隔されても良い。かかる変形例においては、歯肉表面268の上またはそれに隣接して配置されたマイクロフォンユニット282は、ワイヤ264を介して電気的に接続されても良い。
【0142】
ユニットが補聴器として使用される一実施形態においては、マイクロフォンが、増幅器またはドライバによって増幅される音声入力を供給しても良い。別の実施形態においては、本システムは、例えば、音楽プレーヤー、ハンズフリー通信装置または携帯電話のような携帯用器具または音源によって生成された音声を本器具が再生することを可能にするBluetooth送受信器のようなリンクユニットから信号を受信することができる。代替として、音源は、コンピュータ、一方向通信装置、双方向通信装置、または無線ハンズフリー通信装置であっても良い。
【0143】
本器具は、カスタムの歯科用整列装置である。音源ユニットは、リンクユニットとプロトコル互換性のある短距離または長距離の送受信器を含んでも良い。送受信器リンクユニットは、限定するものではないが、BluetoothおよびWiFi伝送、この2つの組み合わせ、またはその他の類似のプロトコルを含む様々なプロトコルを通して音源と通信しても良い。例えば、音源は、器具内のBluetooth送受信器リンクユニットと通信するBluetooth送受信器を有しても良い。本器具は次いで、Bluetoothプロトコルを通して送信されたデータを受信し、骨伝導トランスデューサを駆動して、ユーザに対して音声をレンダリングまたは送信しても良い。同様に、音源は、本器具内のWiFi送受信器リンクユニットと通信するWiFi送受信器を有しても良い。本器具は次いで、WiFiプロトコルを通して送信されたデータを受信し、骨伝導トランスデューサを駆動して、ユーザに対して音声をレンダリングまたは送信しても良い。
【0144】
本器具は、その中に埋め込まれたマイクロフォンを有しても良い。このマイクロフォンは、口腔内マイクロフォンであっても良いし、または口腔外マイクロフォンであっても良い。携帯電話およびその他の電話機については、環境雑音をキャンセルしてユーザの声を電話機に伝達するために、第2のマイクロフォンが使用されても良い。雑音キャンセラは、マイクロフォンからの信号を受信し、周囲の雑音をキャンセルして、きれいな音声のキャプチャを提供する。
【0145】
本器具は、周囲の音声をピックアップするために別のマイクロフォンを持つことができる。このマイクロフォンは、口腔内マイクロフォンであっても良いし、または口腔外マイクロフォンであっても良い。一実施形態においては、このマイクロフォンは、環境雑音をキャンセルし、ユーザの音声をリモートステーションに送信する。この実施形態は、環境雑音をキャンセルしつつ、対象者の自身の音声をアクチュエータに送信する機能を提供する。マイクロフォンは(通常の無線通信機器と比較して)固定された場所にあり、ユーザ自身の声に非常に近いため、本システムは、高雑音地域での作業において重要な環境雑音の低減に対処することができる。
【0146】
本システムは、マイクロフォンおよび発声活動センサを信号プロセッサに結合する。プロセッサは、検出アルゴリズム、および背景の音響雑音を最小化する雑音除去コードを実行する。2つのマイクロフォンが使用されても良く、一方は骨伝導マイクロフォンであり、もう一方は「信号」マイクロフォンと考えられるものである。第2のマイクロフォンは、空気雑音または環境雑音を捕捉し、その信号はフィルタリングされて第1のマイクロフォンの信号から減算される。一実施形態においては、本システムは、2つのマイクロフォンの信号間の関係を算出するために、2つのマイクロフォン間の周波数内容の差を使用する、発話検出のためのアレイアルゴリズムを実行する。本分野において知られ、米国特許第7,246,058号(その内容は参照により組み込まれるものとする)に議論されているように、この実施形態は、信号に対するアレイの特定の方向づけを必要とすることなく、雑音をキャンセルすることができる。
【0147】
本器具は、固体メモリまたはフラッシュ記憶装置のようなデータ記憶装置を含んでも良い。データ記憶装置の内容は、セキュリティのために暗号化されても良い。リンクユニットは、所望であれば、安全な伝送のために暗号化されたデータを伝送しても良い。
【0148】
一態様においては、歯科用整列装置は透明であり、様々な重合体材料または重合体材料と金属材料との組み合わせから、任意の数の手法を介して得られ得る患者の歯列の三次元形状を利用する、例えば立体リソグラフィ装置(SLA)、選択的レーザ焼結(SLS)および/またはその他の同様のプロセスといった、計算機数値制御(CNC)システムまたは三次元印刷プロセスを使用する計算機支援機械加工プロセスのような、任意の数の方法を使用して作製されても良い。かかる手法は、レーザ、白色光、超音波、機械的三次元接触スキャナ、磁気共鳴映像法(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、その他の光学的方法などのような、口腔内スキャナを使用してスキャンされた歯列の使用を含んでも良い。歯科用整列装置の例は、例えば米国特許第5,975,893号、第6,299,440号、第6,524,101号、第6,790,035号、第6,830,450号、第6,976,627号、第7,140,877号、第7,201,576号、第7,255,561号、第7,306,152号、第7,545,372号、第7,553,157号、第7,611,058号、第7,711,447号、第7,854,609号、第7,878,801号、第7,878,805号、第7,901,207号、第7,904,307号、第7,905,724号、第7,916,911号、第8,038,444号、第8,155,780号、第8,235,713号、第8,641,414号、第8,899,976号、第8,899,977号、第8,995,732号、第9,004,915号、第9,107,722号、第9,301,814号、第9,326,830号、第9,403,238号、第9,408,675号、第9,433,477号、第9,566,132号、第9,655,691号、第9,655,693号、第9,839,494号、第9,844,421号、第9,939,999号、第9,943,386号、第9,943,991号、第10,004,578号、第10,052,176号、第10,085,823号、第10,123,853号、第10,136,964号、第10,143,537号、第10,154,889号、第10,271,923号、第10,299,894号、第10,332,164号、第10,335,252号、第10,405,947号、第10,413,385号、第10,420,631号、第10,421,152号、第10,456,217号、第10,501,214号、第10,512,524号、第10,537,405号、第10,537,406号、第10,524,879号、第10,531,934号、第10,553,309号、第10,595,965号、第10,595,966号、第10,610,332号、第10,613,515号、第10,646,307号、第10,650,517号、第10,653,502号、第10,695,956号および第10,702,357号において当技術分野で知られており、その各々は参照によりここでその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0149】
一変形例においては、患者の口の外側に位置する頬外送信器アセンブリが、聴覚信号を受信して、処理ならびに無線信号を介したユーザの口の中に配置された電子回路および/またはトランスデューサアセンブリへの送信のために利用されても良く、該電子回路および/またはトランスデューサアセンブリは次いで、振動伝導を介して処理された聴覚信号を処理し、その下にある歯に、続いてユーザの内耳に送信しても良い。送信器アセンブリは、以下でさらに詳細に説明されるように、送信器アセンブリに加えてマイクロフォンアセンブリを含んでも良く、腕時計または電話のような、ユーザによって着用される任意の数の形状および形態で構成されても良い。
【0150】
マイクロフォンに関して、様々な種々のマイクロフォンシステムが利用されても良い。例えば、マイクロフォンは、ディジタル、アナログ、および/または指向性タイプのマイクロフォンであっても良い。かかる様々なタイプのマイクロフォンは、望ましい場合には、アセンブリとともに利用されるように交換可能に構成されても良い。
【0151】
電源は、送信器アセンブリ内の構成要素のそれぞれに接続され、そこに電力を供給しても良い。送信器信号は、アセンブリへの送信のために、例えば無線周波、超音波、マイクロ波、Blue Tooth(登録商標)(BLUETOOTH SIG,INC.、Bellevue、Wash.)などを利用する任意の無線形態であっても良い。アセンブリはまた任意に、音響集束、音量制御、フィルタリング、消音、周波数最適化、音声調節および音色調節などのような、電子回路および/またはトランスデューサアセンブリの様々な音響パラメータを調節するためにユーザが操作し得る1つ以上の入力制御部を含んでも良い。
【0152】
送信器によって送信された信号は、受信器を介して電子回路および/またはトランスデューサアセンブリによって受信されても良く、該アセンブリは、受信された信号の追加的な処理のための内部プロセッサに接続されても良い。受信された信号は、トランスデューサに通信されても良く、トランスデューサは、対応して歯の表面に対して振動して、振動信号を歯および骨を通して伝導し、続いて中耳に伝導して、ユーザの聞き取りを容易化しても良い。トランスデューサは、任意の数の異なる振動機構として構成されても良い。例えば、一変形例においては、トランスデューサは、電磁気的に作動させられるトランスデューサであっても良い。他の変形例においては、トランスデューサは、例えば250~4000Hzの間の振動周波数の範囲を有する圧電結晶の形をとっても良い。
【0153】
受信器、トランスデューサおよび/またはプロセッサ(もし含まれていれば)に電力を供給するために、電源がアセンブリに含まれても良い。電源は、交換可能なまたは永続的な単純なバッテリであっても良いが、他の変形例は、外部の充電器を介してインダクタンスによって充電される電源を含み得る。さらに、電源は代替として、交流(AC)または直流(DC)電源への直接結合を介して充電されても良い。他の変形例は、例えば、顎の動きおよび/または機械的運動を、電源を充電するための蓄積される電気エネルギーに変換するための動きを介して作動される、本分野で知られている内部振り子または摺動式電気インダクタンス充電器などの機械的な機構を介して充電される電源を含んでも良い。
【0154】
受信した聴覚信号に対応する振動を効率的にかつ最小限の損失で1つの歯または複数の歯に伝達するために、効率的な振動通信を確実にするため、トランスデューサと歯との間の確実な機械的接触が理想的に維持される。したがって、この振動通信を維持するために、任意の数の機構が利用され得る。
【0155】
本明細書に記載される実施形態のいずれかにおいては、歯科用整列装置は、アクチュエータ、送受信器および第1のチャンバを収容するように変更される。例示的な変更は、限定するものではないが、歯科用整列装置の少なくとも1つの部分を取り除き、該部分の取り除きの後に残される空間に、アクチュエータ、送受信器および第1のチャンバが挿入され得るようにすることを含む。一実施形態においては、取り除かれる少なくとも1つの部分は、歯科用整列装置の頬側表面にある。別の実施形態においては、取り除かれる少なくとも1つの部分は、歯科用整列装置の舌側表面にある。さらに別の態様においては、少なくとも1つの部分が歯科用整列装置の舌側表面から取り除かれ、少なくとも1つの部分が歯科用整列装置の頬側表面から取り除かれる。
【0156】
一態様においては、歯科用整列装置は、Tru-Tain 0.03 in.熱成形歯科用材料(Tru-Tain Plastics、Rochester、Minnesota、55902)のような適切なエラストマーポリマーの薄いシートから形成される。
【0157】
アクチュエータ、送受信器および第1のチャンバの挿入に対応するために歯科用整列装置の少なくとも一部分が取り除かれる場合、この取り除きは、1つ以上の歯に対応する位置で行われても良い。一態様においては、取り除かれる少なくとも1つの部分は、ユーザの右上側の第1大臼歯(世界共通の番号体系を使用すると歯番号3)の頬側および/または舌側表面に対応する。一態様においては、取り除かれるべき少なくとも1つの部分は、ユーザの右上側の第2大臼歯(歯番号2)の頬側および/または舌側表面に対応する。一態様においては、取り除かれるべき少なくとも1つの部分は、ユーザの右上側の第3大臼歯(「親知らず」)(歯番号1)の頬側および/または舌側表面に対応する。一態様においては、取り除かれるべき少なくとも1つの部分は、ユーザの左上側の第1大臼歯(歯番号14)の頬側および/または舌側表面に対応する。一態様においては、取り除かれるべき少なくとも1つの部分は、ユーザの左右側の第2大臼歯(歯番号15)の頬側および/または舌側表面に対応する。一態様においては、取り除かれるべき少なくとも1つの部分は、ユーザの左上側の第3大臼歯(「親知らず」)(歯番号16)の頬側および/または舌側表面に対応する。一態様においては、取り除かれるべき少なくとも1つの部分は、ユーザの右下側の第1大臼歯(歯番号30)の頬側および/または舌側表面に対応する。一態様においては、取り除かれるべき少なくとも1つの部分は、ユーザの右下側の第2大臼歯(歯番号31)の頬側および/または舌側表面に対応する。一態様においては、取り除かれるべき少なくとも1つの部分は、ユーザの右下側の第3大臼歯(「親知らず」)の頬側および/または舌側表面に対応する(歯番号32)。一態様においては、取り除かれるべき少なくとも1つの部分は、ユーザの左下側の第1大臼歯(歯番号19)の頬側および/または舌側表面に対応する。一態様においては、取り除かれるべき少なくとも1つの部分は、ユーザの左下側の第2大臼歯(歯番号18)の頬側および/または舌側表面に対応する。一態様においては、取り除かれるべき少なくとも1つの部分は、ユーザの左下側の第3大臼歯(「親知らず」)(歯番号17)の頬側および/または舌側表面に対応する。一態様においては、取り除かれるべき少なくとも1つの部分は、歯番号1、2、3、14、15、16、17、18、19、30、31および32からなる群より選択される1つ以上の歯に相当する。追加的な態様は、以上の態様のいずれかを含むが、特定された部分以外の追加的な部分は取り除かれない。さらなる態様は、取り除かれる部分が頬側表面に対応し舌側表面には対応しない例、取り除かれる部分が舌側表面に対応し頬側表面には対応しない例、患者の上の歯に嵌合した整列装置からのみ一部分が取り除かれ、下の歯に嵌合した整列装置からは取り除かれない例、および患者の下の歯に嵌合した整列装置からのみ一部分が取り除かれ、上の歯に嵌合した整列装置からは取り除かれない例を含む。
【0158】
本明細書に記載された実施形態のいずれかにおいて、本開示の口腔内補聴器具システムは、中間装置(例えばネックループ、イヤホン、または同様のもの)を含まないことがさらに想定される。換言すれば、Bluetoothおよび/またはWiFi信号の送信および受信は、口腔内聴覚器具装置と音源(例えばコンピュータ、携帯電話、タブレット等)との間で直接行われ得ることが想定される。
【0159】
以上に議論された装置および方法の用途は、難聴の処置に限定されるものではなく、任意の数のさらなる処置用途を含み得る。さらに、かかる装置および方法は、体内の他の治療部位に適用され得る。本発明を実施するための以上に説明されたアセンブリおよび方法の変更、実行可能な異なる変形間の組み合わせ、ならびに当業者に明白な本発明の態様の変形は、請求の範囲内であることが意図されている。
【符号の説明】
【0160】
120:アセンブリ
120:電子回路および/またはトランスデューサアセンブリ
122:インタフェース層
264:ワイヤ
268:歯肉表面
270,272,274,276:トランスデューサアセンブリ
280:電子回路および/またはトランスデューサアセンブリ
282:マイクロフォンユニット
401:電源チャンバ
402:エネルギー貯蔵部
403:充電器電子回路
404:再充電コイル
405:ブリッジ
407:エネルギー作動チャンバ
450:歯
451:骨構造
452:アクチュエータ
452:取り付けユニット
452Aおよび452B:支持アームまたはリンク
453:アクチュエータ
454:アクチュエータ
455:取り付けユニット
456:マスアーム
458:マス
460:圧縮性材料
462:保護層
60:歯科用整列装置
62:筐体
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】