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特表2023-509483マイクロ流体システム、装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】マイクロ流体システム、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20230301BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
G01N35/08 E
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022541633
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 US2021012384
(87)【国際公開番号】W WO2021142044
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】62/957,536
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/989,895
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】520241749
【氏名又は名称】ビース インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BISU,INC.
【住所又は居所原語表記】919 North Market Street,Suite 425,Wilmington,Delaware 19801-3014,United States
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100160543
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 正晴
(72)【発明者】
【氏名】ゲン スズキ
(72)【発明者】
【氏名】ウォイチェフ ブーラ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クリスチャン ゾンマー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル マグス
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CC08
2G058DA07
(57)【要約】
マイクロ流体検査システムが開示される。本システムは、平行チャネルと反応チャンバとを含む検査基板を備える。反応チャンバは、光の透過率、吸光度及び反射率の検査に適応するように構成される。システム内の流体の動きは、個々の反応チャンバ内の試薬及び分析物の光学的測定とリアルタイムで制御され同期化される。各反応チャンバの光学的検査は、光源の色と強度とに関してカスタマイズできる。本システムは、検査流体を取込むための使い易いアプリケータと、全自動化された測定及び検査システムとを備える。マイクロ流体検査システムは、おむつの中など、衣服やアパレルに組込むことができる。また装置及び方法も開示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体システムであって、
(a)本体構造の第1側を形成する第1の外層と、
(b)本体構造の第2側を形成する第2の外層と、
(c)少なくとも第1の基板層を含み、第1の外層と第2の外層との間に配置されるマイクロ流体アセンブリと、
(d)第1の外層を貫通して配置され、マイクロ流体アセンブリと流体連通している第1ポートと、
(e)第1の外層と第2の外層とのいずれかを貫通して配置され、真空源に取り付けられるようになっている第2ポートであって、マイクロ流体アセンブリを通して第1ポートから第2ポートまでの流体流路を形成する第2ポートと、
を備える本体構造を具備し、
マイクロ流体アセンブリは、
(i)第1リザーバ及び第2リザーバと、
(ii)第1リザーバと第2リザーバとの間の2以上の流体流路とを備え、各流体流路は、1以上の比色検査試薬を含む乾燥フィルム、紙又はゲルを有する少なくとも1つの反応チャンバを備え、反応チャンバは、吸光度又は透過率の光学測定に適合され、
第1リザーバは、反応チャンバの容積の少なくとも2倍の容積を有し、
第2リザーバは、反応チャンバの容積の少なくとも2倍の容積を有する、
マイクロ流体システム。
【請求項2】
本体構造は、第1ポートと流体連通して水性サンプルを受け入れるように構成される吸収性パッドをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
吸収パッドは圧縮セルローススポンジを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
第1リザーバは吸収性材料をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
第2リザーバは吸収性材料をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
第2ポートは疎水性をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
マイクロ流体アセンブリは、0.1~350ミクロンの断面寸法を有するマイクロ流体チャネルを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの反応チャンバの吸光度又は反射率を測定するように構成される光源及び検出器を備える光検出システムをさらに具備する、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
光検出システムは、少なくとも1つの反応チャンバの透過率又は吸光度を測定するように構成される発光ダイオード(LED)源及び検出器を有する分光光度計又は比色計を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
分光光度計は、複数の反応チャンバの透過率を測定するように構成される複数のLED源及び複数の検出器を有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
光検出システムは、光源と、光源から放出された光を複数のビームに分割してそれらビームを複数の反応チャンバに向けるように構成される導波路と、複数の検出器とを備え、単一の検出器が各反応チャンバに登録される、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも1つの検出器は、415nm、445nm、450nm、480nm、500nm、515nm、550nm、570nm、590nm、600nm、630nm、650nm、680nm及び910nmからなる群から選択される少なくとも1つの波長の透過率又は吸光度を測定するように構成され、或いは又は加えて、350nmから1050nmまでの範囲の全ての波長又は他の範囲の波長の透過率又は吸光度をそれら波長の範囲にわたって積分した単一の光信号として測定するように構成される、請求項8~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
第2ポートに真空圧を加えるように構成される真空源をさらに具備する、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
係合装置を有するホルダをさらに具備し、係合装置は、本体構造を引込位置及び延出位置に保持するように構成され、第1ポートは、引込位置ではホルダ内に収容され、延出位置ではホルダから延長される、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
係合装置は、ホルダと本体構造との間に摺動可能な係合を形成する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
ホルダは、分光光度計の内部に本体構造を位置決めするように構成され、少なくとも1つの反応チャンバが少なくとも1つの検出器と整列する、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
マイクロ流体システムであって、
(a)本体構造の第1側を形成する第1の外層と、
(b)本体構造の第2側を形成する第2の外層と、
(c)少なくとも第1の基板層を含み、第1の外層と第2の外層との間に配置されるマイクロ流体アセンブリと、
(d)第1の外層を貫通して配置され、マイクロ流体アセンブリと流体連通している第1ポートと、
(e)第1の外層と第2の外層とのいずれかを貫通して配置され、真空源に取り付けられるようになっている第2ポートであって、マイクロ流体アセンブリを通して第1ポートから第2ポートまでの流体流路を形成する第2ポートと、
を備える本体構造を具備し、
マイクロ流体アセンブリは、
(i)第1リザーバ及び第2リザーバと、
(ii)第1リザーバと第2リザーバとの間の2以上の流体流路であって、各流体流路が、1以上の比色検査試薬を含む乾燥フィルム、紙又はゲルを有する少なくとも1つの反応チャンバを備え、反応チャンバは、吸光度又は透過率の光学測定に適合され、
第1リザーバは、反応チャンバの容積よりも大きな容積を有し、
第2リザーバは、反応チャンバの容積よりも大きな容積を有する、
マイクロ流体システム。
【請求項18】
マイクロ流体アセンブリは、約300~約800ミクロンの断面寸法を有するマイクロ流体チャネルを備える、請求項1~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
マイクロ流体アセンブリは、衣服、任意選択的にはおむつの内側に、取外し可能に取付けることができる、請求項1~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
手持式のホルダを具備し、ホルダはフレーム又はハウジングを有する、請求項1~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
ホルダは、
(i)少なくとも1つの反応チャンバにおける化学反応を観察する合体したセンサ(非限定的にはカメラなど)を含むこと、及び
(ii)ホルダ内にスマートフォンを受容して少なくとも部分的に包囲するケースを備え、スマートフォンのカメラが少なくとも1つの反応チャンバにおける少なくとも1つの化学反応の進捗を測定すること、
の一方又は双方である、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
ホルダは、(任意選択的には包装時に)平坦形状に折畳むことができる、請求項1~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
多様な少なくとも1つのチャンバに対し、(i)サンプルが流れ込むこと、及び(ii)反応が始まることの、一方又は双方により、検査、予測分析及び予測結果表示のうち1以上を可能にする、請求項1~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
ホルダは、長手軸線を有するとともに、長手軸線に垂直な力が加わることで拡張可能であり、この拡張によりホルダは、少なくとも1つの反応チャンバに対し、(i)受けること、(ii)収容すること、及び(iii)内部での反応を検査することの、1以上が可能になる、請求項1~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
ホルダは、長手軸線を有し、少なくとも1つの反応チャンバは、長手軸線に沿って摺動可能に係合するように構成されるとともに、サンプル採取時に読取可能位置から摺動離反し、反応測定のために読取可能位置へと摺動する、請求項1~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載のシステムを使用することを含む方法であって、さらに、
(i)ある(又は個別の)化学反応が始まる時を少なくとも1つの反応チャンバで検出することと、
(ii)化学反応をその開始から終了まで追跡することであって、(a)測定の開始時(任意選択的には標準最適時点)を正確に定めること、及び(b)少なくとも1つの反応チャンバでの化学反応に関し瞬時ではなく(数分又は数時の)時間をかけて展開する化学反応の進行についての付加的データを収集することの、一方又は双方を含む、追跡することと、
(iii)少なくとも1つのチャンバでの反応が定常状態(又は任意選択的には平衡状態)に達する前に反応結果の早期予測を行うことと、
(iv)(任意選択的には予め定めた履歴の)時系列データに基づき光信号を用いて反応を分析することと、
(v)(任意選択的には予め定めた履歴の(最適には反応依存の))時データに基づき、各試薬又は各反応に依存する最適時に、光信号を用いて、ある反応又は各反応を、開始すること、測定し始めること、及び分析することの、1以上を行うことと、
を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロ流体検査システム、装置、及び方法を含むマイクロ流体工学に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示の背景についての以下の説明は、単に理解を助けるために提供されるものであり、従来技術を説明したり構成したりしようとするものではない。
【0003】
ポイントオブケア診断のための従来の分析装置は、典型的には、医局内や現場(例えば在宅)で専門外の個人が使用することを意図した装置である。既存のポイントオブケア装置は一般に、患者から被検サンプルを採取し(例えばカップに排尿する)、検査装置上にサンプルを分配し(例えば、試験紙にサンプルをピペッティングする、又はサンプルカップに試験紙を直接浸す)、そして所望の測定を行う(例えば、試験紙リーダに試験紙を置く、又はスマートフォンを用いて測定する)ことを要する。このような装置は、測定結果を得るために使用者が大量の被検サンプルを採取するとともに慎重に付加的ステップを行う必要があり、その負担により在宅で高頻度に使用するには不便なものとなっていた。
【0004】
以下の参考文献は、本明細書記載の実施形態の開示に関連して行った1以上の検索により知ったものである。本特許文書は、特許保護を求めている多様な法域における特許法の下での「先行技術」を特定の参考文献が構成するか否かについて、何ら主張するものではない。これら参考文献の写しは、各法域における「情報開示陳述書」又は同等の文書の一部として、それぞれの特許庁で提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0803288号明細書-Higuchiほか、2003年3月5日発行
【特許文献2】欧州特許第1484601号明細書-Phelan、2009年2月4日発行
【特許文献3】米国特許第8623635号明細書-Nazarethほか、2014年1月7日発行
【特許文献4】米国特許出願公開第2017/0197212号明細書-Deshpande、2017年7月13日公開
【特許文献5】米国特許出願公開第2018/0088136号明細書-Sajiほか、2018年3月29日公開
【特許文献6】米国特許出願公開第2018/0355405号明細書-Silveston-Keithほか、2018年12月13日公開
【特許文献7】米国特許出願公開第2019/0302097号明細書- Niuほか、2019年10月3日公開
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“Quantifying Colorimetric Assays in Paper-Based Microfluidic Devices by Measuring the Transmission of Light through Paper”-Ellerbeeほか、2009年9月1日発行
【非特許文献2】“Robust dipstick urinalysis using a low-cost, micro-volume slipping manifold and mobile phone platform”-Smithほか、2016年発行
【非特許文献3】“Lab-on-a-chip based self-monitoring device for dietary intake of potassium and sodium; the LAB-CHIPS study”-Vendevilleほか、2019年9月9日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これら上記のシステム、装置及び方法は、不正確な読取りや他の欠陥を生じ易いものである。
【0008】
したがって、一層正確な種類の測定を行うとともに一層効果的な、使い易いポイントオブケア診断法を提供するシステム又は装置又は方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本開示は、本体構造の第1側を形成する第1の外層と、本体構造の第2側を形成する第2の外層と、少なくとも第1の基板層を含み、第1の外層と第2の外層との間に配置されるマイクロ流体アセンブリと、第1の外層を貫通して配置され、マイクロ流体アセンブリと流体連通している第1ポートと、第1の外層と第2の外層とのいずれかを貫通して配置され、真空源に取り付けられるようになっている第2ポートであって、マイクロ流体アセンブリを通して第1ポートから第2ポートまでの流体流路を形成する第2ポートと、を備える本体構造を具備するマイクロ流体システムを提供する。マイクロ流体アセンブリはさらに、少なくとも第1リザーバ及び第2リザーバと、第1リザーバと第2リザーバとの間の2以上の流体流路とを備え、各流体流路は、1以上の比色検査試薬を含む乾燥フィルム、紙又はゲルを有する少なくとも1つの反応チャンバを備え、反応チャンバは、吸光度又は透過率の光学測定に適合され、第1リザーバは、反応チャンバの容積よりも大きいか任意選択的には少なくとも2倍の容積を有し、第2リザーバは、反応チャンバの容積よりも大きいか任意選択的には少なくとも2倍の容積を有する。
【0010】
幾つかの実施形態では、本体構造は、第1ポートと流体連通して水性サンプルを受け入れるように構成される吸収性パッドを備える。吸収性パッドは、乾燥フィルム、紙、ゲル、スポンジ、圧縮セルロース若しくは他のあらゆる吸収性材料、又はそれらのあらゆる組合せを含んでよい。
【0011】
幾つかの実施形態では、第1リザーバ、第2リザーバ、又は後続のリザーバのいずれか1以上は、吸収性材料を備える。吸収性材料は、乾燥フィルム、紙、ゲル、スポンジ、圧縮セルロース若しくは他のあらゆる吸収性材料、又はそれらのあらゆる組合せを含んでよい。
【0012】
幾つかの実施形態において、第2ポートは、疎水性若しくは半透過性の膜、又はその両方を備える。
【0013】
幾つかの実施形態では、マイクロ流体アセンブリは、上下限及び範囲内の全寸法を含む約0.1~1000ミクロンの断面寸法を好ましくは有するマイクロ流体チャネルを備える。断面寸法はさらに好ましくは、少なくとも約0.1、0.25、0.5、1.0、5.0、10、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400又は450ミクロンであり、及び/又は約100、150、200、250、300、350、400、450、500、700、750、800、850又は1000ミクロン以下である。
【0014】
幾つかの実施形態では、システムは、少なくとも1つの反応チャンバの吸光度又は反射率を測定するように構成される光源及び検出器を備える光検出システムをさらに具備する。光検出システムは、少なくとも1つの反応チャンバの透過率又は吸光度を測定するように構成される発光ダイオード(LED)源及び検出器を有する分光光度計又は比色計、或いはスマートフォンカメラセンサ又は他のカメラセンサを備えることができる。さらに反応チャンバは、任意選択的に光源/検出器に隣接して配置され、周囲の照明条件からの干渉を最小限にする。
【0015】
幾つかの実施形態では、分光光度計は、複数の反応チャンバの透過率を測定するように構成される複数のLED源及び複数の検出器を有する。任意選択的に、検出器は複数の反応チャンバの透過率を同時に測定する。任意選択的に分光光度計は、単一の光源及び単一の検出器が複数の反応チャンバの各々に登録されるように構成される。
【0016】
幾つかの実施形態では、分光光度計は、単一の光源、単一の検出器、及びモータを備える。光源及び検出器は固定した位置関係に維持され、モータは光源/検出器ペアを連続的に変位させて複数の反応ウェルを読取らせる。幾つかの実施形態では、光源/検出器ペアは固定位置に保持され、モータはマイクロ流体アセンブリを連続的に変位させて、複数の反応ウェルを光源検出器アセンブリ内に検出及び/又は定量化のために位置決めする。
【0017】
他の実施形態では、分光光度計は、単一の光源と、光源の光を分割して複数の反応ウェル、1以上の検出器、又はそれらの組合せに向けるように構成される導波路とを備える。任意選択的に、各反応ウェルが単一の検出器に登録されるか、又は任意選択的に、一組の1以上の反応ウェル(又は全てのウェル)が個別の組の1以上の検出器に登録される。幾つかのそのような実施形態では、追加の導波路を反応ウェルと検出器の間に介在させることができ、以て各反応ウェルから対応の検出器へと通過する際の光の損失又は漏れを最小化する。
【0018】
幾つかの実施形態では、分光光度計は、光源の光を複数の反応ウェルに向けるように構成される複数の光源と、複数の反応ウェルからの光を合流させて単一の検出器又は光源の数より少ない複数の検出器に向けるように構成される単一の導波器又は複数の導波器とを備える。この場合、各光源は単一の反応ウェルに登録される。幾つかの実施形態では、光源は、光源と反応ウェルとの間に介在する追加の導波路によって、光源の光を複数の反応ウェルに向けることができる。これにより、各光源は導波路によって各反応ウェルに接続され、以て光源から反応ウェルへと通過する際の光の損失又は漏れを最小化する。
【0019】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの検出器は、415nm、445nm、450nm、480nm、500nm、515nm、550nm、570nm、590nm、600nm、630nm、650nm、680nm及び910nmからなる群から選択される少なくとも1つの波長の透過率又は吸光度を測定するように構成される。或いは又は加えて、350nmから1050nmまでの範囲の全ての離散的な波長の、又は波長範囲の他のあらゆるスペクトラムにおける、透過率又は吸光度を、それら波長の範囲にわたって積分した単一の光信号として測定するように構成される。幾つかの実施形態は、赤外線、可視光線又は紫外線の範囲の光を、(i)光源が放射するように構成されること、及び検出器が検出するように構成されることの、一方又は双方を含む。
【0020】
幾つかの実施形態では、システムは、第2ポートに真空圧を加えるように構成される真空源をさらに具備する。
【0021】
幾つかの実施形態では、システムは、係合装置を有するホルダをさらに具備し、係合装置は、本体構造を引込位置及び延出位置に保持するように構成され、第1ポートは、引込位置ではホルダ内に収容され、延出位置ではホルダから延長される。任意選択的に、係合装置は、ホルダと本体構造との間に摺動可能な係合を形成する。ホルダは、分光光度計の内部に本体構造を位置決めするように構成されてよく、この場合、少なくとも1つの反応チャンバが少なくとも1つの検出器と整列する。
【0022】
本開示の他の態様及び実施形態は、図面及び下記説明を参照することで理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】本開示の実施形態による、マイクロ流体アセンブリ100の層とそこに作製された特徴群とを有するマイクロ流体装置10の様々な層を示す分解斜視図である。
図1B図1Aに示される様々な層の上面図である。
図1C】アセンブリとして重ねたときの図1Bの層の上面図である。
図2A】実施形態による、すなわちマイクロ流体アセンブリ102の平面図である。
図2B】マイクロ流体アセンブリの他の実施形態による平面図である。
図3A】本開示の実施形態によるマイクロ流体装置10の分解図である。
図3B】内部構成要素を示すために特定の特徴を引っ込めた、実施形態による組立状態のマイクロ流体装置10の斜視図である。
図4A】マイクロ流体装置が引込位置にある折畳み形態の三角形ホルダの斜視図である。
図4B図4Aのマイクロ流体装置が引込位置にある拡張形態の図4Aの三角形ホルダの斜視図である。
図4C】マイクロ流体装置が延出位置にある拡張形態の図4Aの三角形ホルダの斜視図である。
図5A】マイクロ流体装置が引込位置にある折畳み形態の矩形ホルダの斜視図である。
図5B】マイクロ流体装置が引込位置にある拡張形態の図5Aの矩形ホルダの斜視図である。
図5C】マイクロ流体装置が延出位置にある拡張形態の図5Aの矩形ホルダの斜視図である。
図6A】本開示の実施形態による、検出穴及び反応チャンバの配置を示すホルダの一側の平面図である。
図6B】本開示の実施形態による、検出穴及び反応チャンバの配置を示すホルダの一側の平面図である。
図7A】実施形態による光検出システムの側面図である。
図7B図7Aの光検出システムの後面図である。
図7C図7Aの光検出システムの上面図である。
図8】実施形態による、ホルダと引込位置のマイクロ流体装置とが反応チャンバの読取りのために光検出システムに挿入された状態の、図7の光検出システムの斜視図である。
図9】衣料品、ここでは乳幼児用おむつに組込まれた、実施形態によるマイクロ流体装置の正面図である。
図10図9のおむつの側面断面図である。
図11】幾つかの実施形態によるマイクロ流体装置をおむつに合体した代替的実施形態の側面断面図である。
図12A】おむつに合体された実施形態によるマイクロ流体装置の側面断面図である。
図12B図12Aに示すマイクロ流体装置及びおむつの正面図である。
図13】おむつに組込まれた実施形態によるマイクロ流体装置の正面図である。
図14】サンプル分析のためにおむつから回収される、実施形態によるマイクロ流体装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書での使用において、「流体」という用語は、加えられる剪断応力や他の外力の下で継続的に変形する(流れる)あらゆる物質として広義に解される。幾つかの例では流体は、分析物、試薬、及び/又は反応物を含むことができる。本開示の原理に従って使用され得る生物学的流体には、例えば、尿、血液、血清、血漿、唾液、精液、汗、涙液(涙)、及び同様の有機流体が含まれる。
【0025】
本明細書での使用において、「分析物」という用語は、分析されるためにマイクロ流体診断チップ(MDC)内に置かれ得る流体内のあらゆる物質として解される。典型的に分析物は、流体(すなわち生物流体)に可溶性又は溶解性であるが、懸濁液中の分析物もまたMDCを用いて分析できる。
【0026】
現行の診断用ポイントオブケア装置は、(本開示の発明者らによって発見されたように)多くの手順的及び構造的な欠陥及び制限に起因する不正確な読取りを生じ易いものである。より具体的には、多数の欠点が本開示の発明者らによって発見されている。第一に、検査サンプルと多くの紙片上の検査試薬との間の反応は、サンプルと試薬とが接触した瞬間に始まる。この手順はしばしば手作業で行われることから、反応の開始と実際の測定との間の時間差は恣意的であって検査ごとに異なる場合があり、このことが一貫性のない結果の要因となる。第二に、多くの試験紙は、起こっている化学反応を定量化するために反射率測定を利用する。各検査部位はしばしば幾層かの試薬で構成され、その各々がサンプルと反応するが、見えるのは一番上の層だけである。また、スマートフォンのカメラを使って非密閉空間で測定を行う場合、反射率検査はカメラの性能と周囲環境の環境光条件との双方の影響を受けやすく、測定精度が低くなる可能性がある。さらに、専門外の個人が検査部位にサンプルを過剰に与えた場合、光を反射するメニスカスが形成され、反射率検査を用いたときの結果の解釈に悪影響を及ぼす可能性がある。第三に、各試験紙の検査部位が非隔離型であるため、検査部位間の相互汚染が普通に起こる。
【0027】
その他多くの問題が現在まで存在している。
【0028】
結果として本開示は、自動化されること、より正確な形式の測定を行うこと、検査部位同士を隔離すること、化学反応をリアルタイムで行われる測定と同期させること、及び、任意選択的に好都合な方法で集められる最少のサンプルで検査を行うことの、少なくとも1以上を実施するシステム、装置及び方法に向けられる。
【0029】
本開示は、マイクロ流体アセンブリ内の複数の統合された反応チャンバにおいて単一の流体サンプルに対し複数の同時測定検査を実行するためのマイクロ流体システムを提供する。反応チャンバは、反射率ベースの光学検査だけでなく、化学反応を監視するためのより多くのオプションを介するなど、感度及び精度を高めるための吸光度及び透過率ベースの光学検査にも適応するように構成され、これにより同じ化学現象を測定する方法が増えるとともに、反射率では読み取れない化学現象を測定する能力が追加される。紙パッドを使用する場合などの幾つかの実施形態では、この適応性により一層高感度な測定が可能になる。本システムは、流体サンプルを採取するための使い易いアプリケータと、検査を行うための全自動化された検査及び測定システムとを備えるポイントオブケアシステムを含んでいる。
【0030】
マイクロ流体システム内の流体の動き(例えば反応チャンバへの)は光学的検査と調和して制御され、各チャンバ内での化学反応を時間関数として測定することが可能になっている。個々の反応チャンバに対する検査条件(例えば光源光の色及び強度)は、各チャンバ内の特定の分析物及び/又は試薬、及び実施される対応の検査に応じてカスタマイズできる。
【0031】
本明細書に記載するように、マイクロ流体システム内のチャネルは、流体サンプルが流れる流体通路、流路及び導管のうちの1以上を含み、反応チャンバは、流体サンプルをその中に集め得るウェル及びボアホールのうちの1以上を含む。一般に流体サンプルは、チャネルを通り反応チャンバに流れてそこで静止して検査されるが、静止せず反応チャンバを連続的に流れるサンプルに対し測定を行う場合もある。
【0032】
図1A図1B及び図1Cは、1つ又は複数のマイクロ流体装置を備える幾つかの実施形態における複数の特徴を示す。例えば、マイクロ流体装置10は本開示の原理に従って作製される。具体的には、図1Aは、第1の外層110(例えば最上層)及び第2の外層120(例えば最下層)、並びにその間に配置された1以上の基板層130を有する多層マイクロ流体装置10を分解図で示す。図1Aは、3つの基板層(すなわち層130-1、130-2及び130-3)を有するマイクロ流体装置10を示すが、任意数の層を使用できることが理解される(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の数)。全ての基板層130-1~130-nを合わせて、マイクロ流体アセンブリ100と称することができる。図1Bは、マイクロ流体チャネル、チャンバ及び設計原理をさらに明確に描写するように、マイクロ流体装置10の様々な層を個別に上面図で示す。図1Cは、図1Bの状態から単一の積層体へ組立てた層アセンブリを上面図で示す。
【0033】
図1A及び図1Bに示すように、マイクロ流体装置10は、第1の外層110における第1ポート112と、第1の外層110と第2の外層120とのいずれかにおける第2ポート114とを備える。図1A及び図1Bは、第1の外層110(すなわち第1ポート112と同じ外層)に第2ポート114を図示する。しかし代替実施形態では、マイクロ流体チャネル設計の定めに従い第2ポートを第2の外層120に都合よく配置できることが理解されよう。第1ポート112は、マイクロ流体アセンブリ100の上流端を規定して入口ポートとして機能し、マイクロ流体装置10の外部から液体サンプルを受け入れて、その液体サンプルをマイクロ流体アセンブリ100に向かわせるように構成される。第2ポート114は、マイクロ流体アセンブリ100の下流端を規定する。任意選択的に第2ポート114は、下流方向への液体サンプルの移動を促進するべく真空源に取り付けられるようになっている。マイクロ流体アセンブリ100は、第1ポート112と第2ポート114との間に流体流路を画定する。好ましくは、図1Aに示すようにサンプル流体採取パッド116が、第1ポート112を覆って第1ポート112と流体連通するように配置される(ただし配置される必要はない)。
【0034】
図1A図1B及び図1Cにおいて、マイクロ流体アセンブリ100は、一連のマイクロ流体チャネル132及び反応チャンバ134を備える。任意選択的にマイクロ流体アセンブリ100は、例えば第1リザーバ136及び第2リザーバ138のような1以上のリザーバをさらに備える。これら要素の追加の機能及び特徴については以下でさらに詳述する。図1Bはさらに、これら特徴事項が、特定の要素及びその意図された機能に応じて、単一又は複数の基板層130に広がってよいことを示す。例えばマイクロ流体チャネル132は、単一の基板層130の幅であってもよいが、流体流路が単一層に留まらず鉛直方向へ複数層を横断するように設計されてもよい。反応チャンバ134及び/又はリザーバ136、138のようなさらに大きな構造は、当該要素に必要な表面積を最小にしながら所望の容積を提供するように、鉛直方向へ2、3、4、5、6又はそれ以上の層に広がってよい。様々な要素を複数の基板層130に作製することで、それら基板層130が組立てられ/積層されたときに第1ポート112と第2ポート114との間に完全な流体流路が形成されるようになっている。
【0035】
「基板層」は、第1及び第2の互いに反対側の又は実質的に平行な平坦面を有する固体平面基板を指す。装置の様々な層として多様な基板材料を採用できる。装置は微細加工されるので、典型的には基板材料は、公知の微細加工技術、例えばフォトリソグラフィー、湿式化学エッチング、レーザアブレーション、空気磨耗技術、射出成形、エンボス加工、レーザ切断及び他の技術との適合性に基づいて選択される。また基板材料は一般に、極端なpH、温度、塩濃度及び電界の適用を含む、マイクロ流体装置が曝され得る条件の全範囲との適合性を以て選択される。基板はまた一般に、例えば表面電位のような動電学的特性、例えば透明性のような熱及び光特性、等を以て選択される。
【0036】
幾つかの実施形態では、基板層130は、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON(登録商標))、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリスルホン等を含む、マイクロ流体チャネルを形成できる疎水性紙、プラスチック、又は他の非多孔性及び疎水性ポリマー基板から作製されてよい。幾つかの実施形態では、第1の外層110、第2の外層120、又はその両方は、以下でさらに詳述するように、反応チャンバ134の内容物が光検出器で評価され得るように構成された、反応チャンバ134を覆う透明又は半透明の領域を有することができる。
【0037】
様々な外層110、120及び基板層130は、互いに接続、融着又は接合されて、装置10のマイクロ流体アセンブリ100を形成する。これら層110、120、130の接続、接合又は融着は一般に、当技術分野で知られる多数の方法や条件のいずれかの下で行われる。基板が一体に接合され得る条件は一般に広く理解されており、基板のそのような接合は一般に、使用される基板材料の性質に応じて変わり得る幾つもの方法により実施される。例えば基板の熱接合は、例えばガラス又はシリカベースの基板、及びポリマーベースの基板を含む、多数の基板材料に適用され得る。このような熱接合は、典型的には、昇温及び場合により外部圧力印加の条件下で、接合される基板同士を接続することを含む。正確な温度と圧力は一般に、使用される基板材料の性質によって異なる。一般に、ポリマー基材の接合に必要な温度は、使用するポリマー材料によって、約80℃から約200℃まで変化する。周知の方法に従って基板を一体に接合するために、接着剤を使用できる。これは典型的には、接合されるべき基板の間に接着剤の層を適用し、接着剤が硬化するまでそれらを一体に押圧することを想定している。これらの方法に従って、例えば市販の紫外線硬化型接着剤などの様々な接着剤を使用できる。本開示に従って基板を一体に接合するために、例えばポリマー部品の音響又は超音波溶接、レーザ、高周波溶接、及び/又は溶媒溶接を含む代替方法も使用できる。
【0038】
任意選択的に、図1Aに示すように、吸収性のサンプル採取パッド116が第1の外層110の外面に、第1ポート112を覆うとともに第1ポート112に流体連通するように貼付される。吸収性パッド116は、液体サンプルを吸収して保持することでサンプルが第1ポート112を通して引き込まれるように設計される。第2ポート114は好ましくは真空源又はマイクロ流体真空ポンプ312に接続され、作動時にマイクロ流体アセンブリ100の下流端(第2ポート114)に、当該アセンブリ100を通して流体を引き込むか又は引き込みを補助するのに十分な真空又は負圧が与えられるようになっている。毛細管作用の利用によりアセンブリ100を通した流体の導きを助けることが予期される。幾つかの実施形態では、吸収性パッド116は、マイクロ流体アセンブリ100の全容積を超過する流体の全体積を保持するように構成され、第2ポート114を通して加えられる吸引が、第1ポート112を介してパッド116からマイクロ流体アセンブリを通して流体を引き寄せる。より大量の流体を吸収性パッド116に採取するこの構成は、装置10の正確な測定を妨害し得るサンプル下流の流体の流れにおけるキャビテーション及びエアポケットを最小化するのに役立つ。
【0039】
図2A及び図2Bは、本開示の原理に従って設計されたマイクロ流体アセンブリ102及び103をそれぞれ示す。便宜上、マイクロ流体アセンブリ102及び103は平面図で単一層として示されているが、それらアセンブリ102及び103が本明細書に記載されるように単一又は複数の基板層130から作製されてよいことは理解されよう。これらの構成は何らかを限定しようとするものでなく、典型例であってかつ本開示の設計原理を例示しようとするものである。
【0040】
図2A及び図2Bのマイクロ流体アセンブリ102、103の各々は、第1(入口)ポート112と、第2(出口)ポート114と、それらの間の流体流路とを有する。各アセンブリ102、103は、複数の反応チャンバ134と、反応チャンバ134の上流(すなわち第1ポート112と反応チャンバ134との間)に位置する圧力(第1)リザーバ136と、反応チャンバ134の下流(すなわち反応チャンバ134と第2ポート114との間)に位置する廃棄物(第2)リザーバ138とを備える。幾つかの実施形態において、複数の反応チャンバ134は、圧力リザーバ136と廃棄物リザーバ138との間に並列に設置される。任意選択的に、マイクロ流体アセンブリ102(又は103)は例えば、最下流の廃棄物リザーバ138と第2(出口)ポート114との間に配置されるか、第2ポート114を覆うか、又はその両方である(i)少なくとも1つの疎水性膜、(ii)少なくとも1つの半透膜、及び(iii)少なくとも1つの半透性疎水性膜140の、1以上をさらに備える。半透性疎水性膜140は、液体がマイクロ流体アセンブリ102及び103から漏出すること、及び以下でさらに詳述する検出器及び/又は真空源312を潜在的に汚染することを防ぐ一方で、ガス又は空気がマイクロ流体アセンブリ102(又は103)から漏出することを可能にして、内部の圧力の過剰蓄積を防ぐとともに、マイクロ流体アセンブリ102及び103への、及びそれを通した、サンプルの連続吸引を促進するように設計される。幾つかの実施形態で、使い捨て型のマイクロ流体アセンブリ102及び103に生体サンプルを収容して、機器の汚染及び潜在的バイオハザード状態を防止することは、使い捨てでなく使用と使用の間に容易には汚染除去できないポイントオブケアの他の装置にとって極めて重要である。
【0041】
使用に際しサンプル液は、図2A及び図2Bに示すように、毛細管作用、真空下、又はその両方により、第1ポート112を通してマイクロ流体アセンブリ102及び103に引き込まれる。サンプル液は圧力(第1)チャンバ136を満たす。圧力チャンバを満たすまでの間に圧力チャンバ136から流出するサンプル液は実質的に存在しない。2以上の圧力チャンバを直列に設けることにより、サンプル液が反応チャンバ134に流入する前に最下流の圧力チャンバを実質的完全に充填することが促進される。マイクロ流体アセンブリ102及び103に1以上の圧力チャンバ136を設けることにより、サンプル液が最下流の圧力チャンバ136から下流の複数の並行するマイクロ流体チャネル132に同時に流出する利点が得られる。圧力チャンバ136と2以上の反応チャンバ134とを接続するマイクロ流体チャネル132の長さを一致させることにより、マイクロ流体アセンブリ102及び103では、それら反応チャンバ134における化学反応及び/又は検出反応がサンプルの同時導入により確実に同時に開始される。例えば図2Bは、4組の反応チャンバ134が上流のマイクロ流体チャネル132の長さに関して一致しているマイクロ流体アセンブリ103を示す。
【0042】
圧力リザーバ
【0043】
再び図1図3を参照すると、マイクロ流体アセンブリ100(102及び103)はいずれも、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の上流側の圧力リザーバ136を備えてよいことが理解される。これらリザーバ136は好都合なあらゆる容積を有してよい。しかし幾つかの実施形態では、圧力リザーバ136の各々は、全ての反応チャンバ134の全容積に圧力リザーバ136と廃棄物リザーバ138との間のマイクロ流体チャネル132の容積を加えた量の、少なくとも100%、110%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、600%、又はそれ以上の容積を有する。任意選択的に、1以上の圧力リザーバ136は、下流のマイクロ流体チャネル132への実質的完全充填及び/又は円滑なサンプル放出を促進するように、吸収性材料(例えばスポンジ又はゲル)を備えてよい。幾つかの実施形態では、圧力リザーバ136は、装置の完全動作の間にサンプル液が枯渇しないような寸法を有する。これら圧力リザーバ及び大容量寸法は、流体の流れへの気泡又はキャビテーションの偶発的導入を回避し、以て、サンプルの全量が各反応ウェル134に供給されることを確実にする。好ましくは、アセンブリ100(又は例えば102若しくは103)を通る円滑な層流が達成される。その結果、遥かに正確で信頼性の高い読取りが可能になる。熟練技術者によるサンプル採取部位でのピペットを用いた正確な投与は不要である。したがってマイクロ流体装置の実施形態は、一般消費者が在宅で簡単に使用できる。
【0044】
廃棄物リザーバ
【0045】
マイクロ流体アセンブリ100、102及び103は、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の下流側の廃棄物リザーバ138を備えてよいことが理解される。これらリザーバ138は、全ての反応チャンバ134の全容積に廃棄物リザーバ138の上流のマイクロ流体チャネル132の容積を加えた量の、少なくとも100%、110%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、500%、600%、又はそれ以上の容積を有することができる。図2Aは、2つの廃棄物(第2)リザーバ138a、138bを備える実施形態を示す。幾つかの実施形態では、廃棄物リザーバ138a、138bを組合せた全容積は、廃棄物リザーバ138の上流の全ての反応チャンバ134、マイクロ流体チャネル132及び圧力リザーバ132の全容積よりも大きい。任意選択的に、1以上の廃棄物リザーバ138は、サンプル液がリザーバ138を下流方向に漏出して機器を汚染する可能性を低減するように、吸収性材料(例えばスポンジ又はゲル)を備えてよい。任意選択的な廃棄物リザーバ138の存在は、アセンブリを通る流体の流れに、サンプル流体の正確で信頼できる読取りを妨害し得る背圧が加わる可能性を、最小限にする。
【0046】
反応チャンバ
【0047】
図2A図2Bにおいて、反応チャンバ134は好都合なあらゆる形状及び/又は容積を有してよく、マイクロ流体アセンブリ100、102及び103の内部に好都合なあらゆる個数で存在してよい。幾つかの実施形態では、マイクロ流体アセンブリ100は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、14個、16個、18個、20個、又は他のあらゆる数の反応チャンバ134を備える。幾つかの実施形態では、反応チャンバ134は、円形、楕円形、卵形、球形、円筒形、直方体、円錐形、又はそれらのあらゆる組合せである。各反応チャンバによって占有される表面積を増やすことなく反応チャンバ134の利用可能な容積を増加させるために、反応チャンバは1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の基板層130に作製された空隙から形成されることができる。図1Bに示すように、反応チャンバ134は例えば、第1の外層110と第2の外層120との間に様々な基板層130を積層することによってマイクロ流体装置10を組立てるときに完全な反応チャンバ134が形成されるように、基板層130-1、130-2及び130-3に作製される。
【0048】
幾つかの実施形態では、反応チャンバ134は、例えば乾燥フィルム、紙、ゲル、スポンジ及び圧縮セルロースを含む試薬パッド135を有する。反応チャンバ134内の試薬パッド135は、流体流出を遅くすることで流体の流れを制御し、それにより光検出可能な反応のための時間を生じさせるか、或いは特定量の流体を保持し、それにより検出用の流体及び/又は反応生成物の滞留時間を引き延ばすとともに廃棄物リザーバ138へのその流出を遅らせるために、使用することができる。さらに試薬パッド135は、マイクロ流体アセンブリ100、102及び103への試薬の装填を容易にし得るよう反応チャンバ134内で試薬を静止させるために使用でき、及び/又は試薬及び/又は光検出可能な生成物を静止させるために使用できる。
【0049】
図3Aは、各反応チャンバ134に配置された試薬パッド135を備えるマイクロ流体装置20の分解図である。図3Bは、マイクロ流体装置の組立完了の図を示すが、第1の外層110及び第2の外層120を部分的に剥がしてマイクロ流体アセンブリ103の内部構造を示している。マイクロ流体装置30(又は20)を使用のため完全に組み立てたときには、外層110及び第2の外層120は部分的に剥がされずにマイクロ流体アセンブリ103(或いは102)に固着されることが理解されよう。
【0050】
マイクロ流体チャネル132(図1B図2A図2B)は、反応チャンバ134に対し、2つの異なる領域すなわち入口チャネル132a及び出口チャネル132bを含むとして説明され得る。入口チャネル132aは、任意の好都合な構成で反応チャンバ134と流体連通し得る。例えば図2Aに示すように、入口チャネル132aは反応チャンバ134に対し実質的接線である。この接線の構成は、流体が反応チャンバ134に入るときに旋回及び試薬混合を促進する。流体の流れが反応チャンバ134の周縁を周回する傾向があるからである。図2Bに示す実施形態では、入口チャネル132aは反応チャンバ134に対し実質的径方向へ接続され、流入する流体が反応チャンバの中心へと向けられるようになっている。この構成は、スポンジ、圧縮セルロース、紙などの内部基板又は試薬パッド135と共に使用される場合、流体のさらに一貫性ある均一な湿潤及び分配を促進し、特に急展開する反応についてさらなる再現性及び信頼性のある光信号をもたらし得る。
【0051】
マイクロ流体装置ホルダ
【0052】
好ましい実施形態は、図4A図4C図5A図5Cに示すシステムを備える。このシステムは、あらゆるマイクロ流体装置(10、20又は30に何ら限定されない)を受け入れるように構成された1以上のホルダ200も考察するものであり、吸収性パッド116を用いた(尿)サンプル採取を含むマイクロ流体装置(例えば10、20又は30)の使用及び取扱いがさらに容易かつ衛生的であるようにするものである。これは在宅利用設定の患者のような専門外の一般個人にとって特に有利である。本明細書に示す幾つかの実施形態では、ホルダ200は、輸送のための包装、内部構造保護のための収容、及びマイクロ流体装置10と光検出器との位置合せを助けるべく折畳み可能又は組立式である。さらに、ホルダ200及びそのマイクロ流体装置は比較的安価な生分解性材料から作製でき、それにより使用後に両者を廃棄できる。
【0053】
ホルダ200は一般に、マイクロ流体装置を受け入れるように構成された少なくとも1つの側部又は端部を有する。幾つかの実施形態では、マイクロ流体装置はホルダ200に引込可能に係合し、それにより吸収パッド116は、サンプル採取を容易にするためにホルダ200から延出でき、サンプル採取の前及び/又は後に非サンプル材料による汚染から吸収パッド116を保護するとともにサンプル採取後に吸収パッド116による偶発的汚染から環境(例えば使用者や他の人、光又は他の検出装置、及び/又は一般的な周囲)を保護するために(すなわち衛生を改善するために)ホルダ200内に収納できる。幾つかの実施形態において、ホルダ200は、使用者が読めるインジケータを有する位置指示器をさらに備える。位置指示器は、例えばマイクロ流体装置10が、ホルダ200を受け入れるように構成された光リーダによる検出/測定のためにホルダ200内に完全に引き込まれるか或いは適切に位置決めされたことを表示する。マイクロ流体装置10は、ホルダ200が折畳み形態で提供される場合であっても、ホルダ200内に(例えば「予め装填される」、予め印刷される、予め製造される、又はそれらの組み合わせによって)収容されてよい。この構成では使用者は、サンプル採取のためにマイクロ流体装置10及び吸収パッド116を延出させ、次いで評価のためにマイクロ流体装置10及び吸収パッド116を引き込ませる必要がある。或いはまた、ホルダ200をマイクロ流体装置10とは別に供給してもよく、この場合使用者は、使用前に装置10/ホルダ200のシステムを組立てる必要がある。
【0054】
マイクロ流体装置10を予装填した又は予装填していないホルダ200は、図4A図5Aのように折畳んだ形態で使用者に提供される。使用者は使用前に、ホルダ200を開いて拡張形態にする。必要に応じて、拡張されたホルダ200にマイクロ流体装置10を装填する。マイクロ流体装置10は、調節可能に延出できるとともに調節可能に引込むことができ、サンプル採取のため調節可能に延出した構成に位置付けられ(図4C図5C)、次いで分析のためサンプル採取後に引込まれる(図4B図5B)。典型的には、マイクロ流体装置10を使用するサンプル分析は、ホルダ200が拡張形態にある状態で実行される。
【0055】
図4A図4Cは、三角形状で折畳み可能なホルダ200を備える実施形態の特徴を示す。図5A図5Cは、矩形状で折畳み可能なホルダ200を備える他の実施形態の特徴を示す。具体的には、図4A及び図5Aは折畳んだ形態のシステムを示し、このシステムは本明細書に記載するようにホルダ200(又は280)及びマイクロ流体装置10を備える。幾つかの実施形態では、システムは、使用前の保管及び取扱いを容易にするよう折畳んだ形態で使用者に提供される。図4B及び図5Bはそれぞれ、三角形及び矩形のホルダ(200及び280)を、拡張された形態で、かつマイクロ流体装置10が完全引込位置にある状態で示す。矢印Yは、ホルダを折畳み形態から拡張形態へと移行させるために使用者がホルダに加える力の方向を示す。これは、両縁281(又は282)でホルダをつまんで、内部空間201(又は202)を有する立体形状にホルダを「ポップ」することにより、簡単に実施できる。図4C及び図5Cはそれぞれ、三角形及び矩形のホルダを、拡張された形態で、かつマイクロ流体装置10が延出位置にある状態で示す。図4C図5Cの矢印Xは、幾つかの実施形態において、位置指示器210(又は285)がホルダ本体に摺動可能に係合するとともにマイクロ流体装置10に機能的に取付けられて、使用者が、ホルダ200(又は280)に形成された1以上のスロット217(又は296)(又は他の形式の開口)に沿って位置指示器210(又は285)を上方へ摺動させることにより、マイクロ流体装置10をサンプル採取のため延出させることができるようになっていることを示す。サンプル採取後、マイクロ流体装置10は、位置指示器210(又は285)を反対方向に摺動させることにより引込位置に戻すことができる。以下でさらに詳細に論ずるように、位置合せウィンドウ215(又は290)及び位置合せインジケータ220(又は295)を用いて、マイクロ流体装置10が完全引込位置にあること及び/又は検出器における位置合せのために適切に位置決めされたことを使用者に示す又は確認させるようにすることができる。
【0056】
実施形態では位置合せインジケータは、1以上のスロットから形成できるが、そうである必要はない。例えば、スロットと位置合せインジケータとは、完全に別の構造であってよく、任意選択的にはシステム上で互いに異なる位置を有していてよい。また、例えば位置指示器がホルダの外側の枠体上若しくはそれに沿って摺動する、又はその一部である場合(例えばホルダ自体が単なる枠体からなる場合)、位置指示器もスロットも不要である。
【0057】
ホルダ200は、内部空間201を形成する複数の側部を有する。具体的にはホルダ200は、内部空間201内にマイクロ流体装置10を受け入れて保持するように構成された第1の端部206及び側部205と、内部空間201を囲む2以上の側部207とを有する。ホルダ200は、底部で開いていてよく、又は任意選択的に底端部209及び底側部203を有していてよい。底側部203(図示せず)及び底端部209を有するという選択は、任意の反応チャンバからの結果を検出又は測定(又はその両方)するために用いられる光又は他の検出器の特定の構成に依存する。これらの形状は限定を意図しておらず、ホルダは円形、台形、正方形、楕円形又は卵形、又は本明細書記載のように機能するのに適した、又は好都合な、又は適合したあらゆる他の形状であってよいことが理解されよう。
【0058】
ホルダ200は任意選択的に、ホルダ200と(例えば第1の側部205と)摺動可能に係合する相手部材を有することができる。相手部材は例えば、第1部分を有するフック、タブ、ノブ、ポスト、又は他の可動突起若しくは片のうち、任意の1以上であってよい。相手部材は、(相手部材の第1部分に対向するマイクロ流体装置の(例えばそれに接続された又はその上の)第2部分を介して)マイクロ流体装置10と可逆的又は不可逆的に係合するように構成される。摺動可能な係合は、吸収性パッド116及び/又は第1ポート112がホルダ200の本体から延出してサンプル採取を容易にする第1の延出位置(図4C図5C)と、吸収性パッド116及び/又は第1ポート112が内部空間201内に位置する第2の引込位置(図4B図5B)との間で移動するように構成される。任意選択的に、相手部材は、ホルダ200と摺動可能に係合する位置指示器210に連結され、位置指示器210が、相手部材の第1の延出位置に対応する第1の延出位置と、相手部材の第2の引込位置に対応する第2の引込位置との間で変位するように構成される。
【0059】
位置指示器210は、検出器との使用のためにマイクロ流体装置がホルダ200内で適切に位置決めされたときに、使用者に視覚的な信号又は指示を提供するように構成される。図4A図4B及び図5A図5Bは、位置指示器210の1つの可能な構成を示す。これら実施形態において、位置指示器210は、ホルダ200の外面に沿って変位するスリーブである。実施形態においてホルダ200は、外面に記された位置合せインジケータ220を有し、位置指示器210上の位置合せウィンドウ215を通して位置合せインジケータ220を視認できる。位置合せインジケータ220、位置合せウィンドウ215、及び相手部材は、アセンブリが検出器との使用に適合するよう構成される位置(例えば完全引込位置)に相手部材とマイクロ流体装置とがあるときに、位置合せウィンドウ215を通して位置合せインジケータ220を視認できるように位置合せされる。本開示の原理に従って使用できる位置合せ指示システムの多くの可能な構成があることは理解されよう。例えば位置合わせ指示システムは、位置指示器210の端部が位置決めされるような、ホルダ200の外面上の単なるライン、着色ドット又はマークであってよい。或いは、ホルダ200の本体は透明又は半透明の位置合せウィンドウ215を備えてよく、位置合せインジケータ220の本体は、マイクロ流体装置10が適切に位置決めされたときに位置合せウィンドウ215を通して位置合せインジケータ220を視認できるように内部空間201内に備えられてよい。
【0060】
図6A図6Bは、ホルダ200とマイクロ流体装置10との組立体が検出開口230を通して反応チャンバ134を視認できる引込位置にあるときの第1側部205の立面図である。反応チャンバ134及び検出開口230の図示構成は、限定を意図せず、本開示の原理の例示を意図するものである。例えば第1側部205は、単一又は複数の反応チャンバ134を視認するための単一の検出開口230、単一又は複数の反応チャンバ134をそれぞれに視認するための複数の検出開口230、又はそれらの任意の組み合わせを備えることができる。実施形態において第1側部205は、単一の反応チャンバ134をそれそれに視認するための複数の検出開口230を特徴とする。
【0061】
検出システム
【0062】
マイクロ流体装置10は、光検出システム又はマイクロ流体検出チップを含む適切に構成されたあらゆる検出システムを用いて読み取ることができる。このようなマイクロ流体検出チップは、例えば、ウェブサイトhttps://ams.com/as7262及びhttps://ams.com/as7341のそれぞれ、又はhttps://ams.com/as7262?fbclid=IwAR1TD1HQDMLqS74qKoFRKk3rC672ywxmQluJhe_EUC XH9zdwndT7ph2J-78.の、ams AG,Tobelbader Strasse 30,8141 Premstaetten,Austria,model no.AS7262又はAS7341スペクトル検出チップである。
【0063】
検出システムは典型的に、反応チャンバ134に関連する検出窓を透過した光ベースの信号を収集してその信号を適切な光検出器に伝達するための集光光学系を備える。光検出器は、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管、ダイオードアレイ、又は場合により電荷結合素子(CCD)等の撮像システムであってよい。好ましい実施形態では、光検出器として、少なくとも部分的に、分光器、分光チップ及びフォトダイオードのうち1以上が利用され得る。蛍光性の試薬及び生成物の場合、1以上の検出器は典型的に、蛍光物質を活性化するに適した波長で光を生成する光源と、反応チャンバ134の内容物により生成されて検出窓を通過する蛍光を検出する光学系とを備える。光源は、レーザ、レーザダイオード及びLEDを含む、適切な波長を提供する任意数の光源であってよい。他の検出システムに他の光源が必要とされるかもしれない。例えば広帯域光源は、典型的に光散乱/透過率検出方式等で使用される。
【0064】
幾つかの実施形態では、マイクロ流体装置10とホルダ200との組立体は、反応チャンバ134が検出器に対し適切に位置決めされるよう、検出器と相互作用するように構成される。任意選択的に検出システムは、各反応チャンバ134に対し1つの検出器を備える。任意選択的に検出システムは、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の照明源を考察し、好ましくは各反応チャンバ134に対し1つの照明源を有する。
【0065】
幾つかの実施形態では、マイクロ流体装置10/ホルダ200組立体は、反応チャンバ134を検出システム内に適切に位置決めするように構成される。
【0066】
図7A図7Cに示す実施形態では、システムは、1以上の光源302及び1以上の検出器304を有する光検出システム300を備える。光源302は、1以上の所望の波長で光を出力するように構成された発光ダイオード(LED)又は他の形式の光源を含んでよい。光検出器304は、光源302が提供する波長での光の強度及び他の特性を検出及び定量化するように構成された固体検出器(例えば光検出器)又は他の形式の検出器を含んでよい。幾つかの実施形態では、光検出システム300は、分光光度計、蛍光光度計、色度計、又は他の形式の検査システムを含む。幾つかの実施形態では、光検査測定システム300は、415nm、445nm、450nm、480nm、500nm、515nm、550nm、570nm、590nm、600nm、630nm、650nm、680nm及び/又は910nmの波長で測定を行い、或いは又は加えて、350nmから1050nmまでの範囲又は他の波長範囲における全ての波長をそれら波長の範囲にわたって積分した単一の光信号として測定する。
【0067】
実施形態において、光検出システム300は、反応チャンバ134の少なくとも1つから又はそれを通して透過率、吸光度及び反射率を測定し、それにより各チャンバ134内の分析物及び/又は試薬を定量化するように構成される。測定に先立ち、光検出システム300は、基準マイクロ流体アセンブリ等を用いて較正されてよい。
【0068】
実施形態において、検査及び測定システム300は、スロット310によって分離された本体部分306及び直立支持部材308を備える。直立支持部材308は、反応チャンバ134の光検査の間にホルダ200を支持するように構成される。光源302及び対応の光検出器304はスロット310の両側に設置され、反応チャンバ134がスロット310内に位置決めされると、チャンバ134が光源302と検出器304との間で検査され得るようになっている。光源302を直立支持部材308内に設置するとともに、対応の光検出器を本体部分306内に(スロット310を挟んで整列して)設置でき、又はその逆も可能である。代替の実施形態では、光源302及び光検出器304は、互いに隣接してスロット310の同じ側に配置され、例えば各反応チャンバ134内のサンプルの反射率を測定するように構成できる。
【0069】
採取したサンプルの読取りを実行するために、使用者は、ホルダ200内に引込んだマイクロ流体装置10を直立支持部材308に上方から配置して、直立支持部材308が底端部208に入りホルダの内部キャビティ201内に受け入れられるようにする。この配置を図8に示すが、装置10は代替的に、ホルダ200を使用せず、それ自体が同様の直立(並びにリーダ300及び支持部材308に対し平行)様式で挿入されてよい。直立支持部材308の断面は好ましくはホルダ200の断面に一致し、直立支持部材308が内側キャビティ201にぴったり収まるように構成される。スロット310の底部は、図8に示すように、ホルダ200を検査及び測定システム300上に適切に位置決めするストッパとして作用する。
【0070】
直立支持部材308を有して構成されるホルダ200と引込位置にあるマイクロ流体装置10とにより、反応チャンバ134は、光学的検査のために光源302及び光検出器304と適正に整列してスロット310内に保持される。幾つかの実施形態では、各反応チャンバ134は、それぞれの反応チャンバ134の特定の検査のために、別個の光源302及び対応の検出器304と個別に整列される。狭いスロット310はまた、有利な構成を提供する。その限られた空間が、周囲の照明条件、空気又は飛散流体中の汚染物質、偶然的な手指の汚れ等による、さもなければ光学的読取りを歪ませるであろう信号のノイズ及び干渉を最小化又は排除するからである。
【0071】
幾つかの好ましい実施形態では、光検出システム300はさらに、前述したように、第2ポート114に十分な真空圧(吸引)を加えて、流体サンプルを吸収パッド116から第1ポート112を通してマイクロ流体アセンブリ100へと移動させるように構成された真空源312をさらに備える。好ましくは、各反応チャンバ134が十分な流体サンプルで満たされるまで十分な真空圧が連続的に与えられ、以て検査及び測定システム300による各チャンバ134内の流体サンプルの正確な光学的検査を可能にする。
【0072】
実施形態において、真空源312は、光検出システム300(例えば本体部分306及び/又は直立支持部材308)に設定され、ホルダ200が直立部材308に取付けられてマイクロ流体装置10が引込位置にあるときに第2ポート114と係合するように構成される。一旦係合すると、真空源312は第2ポート116に十分な吸引を与えて、マイクロ流体アセンブリ100を通して流体サンプルを移動させる。
【0073】
幾つかの実施形態では、マイクロ流体システム10は、光検出システム300、真空源312、及び必要に応じてシステムの他の要素を、同時に制御するデジタルコントローラ314(図7A図8)を備える。コントローラ314は、完全専用として検出システム300にオンボードで存在してもよいし、システムと通信するラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、モバイル装置、スマートフォン及び/又は他の形式のコントローラにリモート接続されてもよい。オンボードのコントローラ314は、光検出システム300内に統合され、使用者が検索可能なデジタルストレージを有することができる。光検出システム300が収集したデータは、無線(例えばBluetooth、Wi-Fi等)により、またデータポート、USBポート、着脱式チップを介したハードワイヤにより、また他の手段により、アクセス可能であってよい。或いは診断データは、使用者のラップトップ、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチ等にライブストリーミングされてもよい。
【0074】
幾つかの実施形態では、コントローラ314は、対応の各反応チャンバ128に対し各光源302の特性を独立に制御する。例えばコントローラ314は、特定の光源302が特定の反応チャンバ134を、それぞれのチャンバ134内に保持される分析物及び/又は試薬に特有の光の特定の色及び/又は強度で照明するように設定できる。一実施態様において、コントローラ314は、光チャネルの強度(例えばRGB LEDの赤、緑及び青チャネルの強度)をそれぞれ設定することにより、光源302を白色光又は選択色に設定できる。
【0075】
幾つかの実施形態では、コントローラ314は、真空源312及び光検出システム300を統一的に制御して、第2ポート114に真空圧を加えて流体サンプルを各反応チャンバ134に移動させるとともに、光検出システム300を起動して光学検査を実行させる。光検出システム300は、チャンバ134の充填前、チャンバ134の充填中、及びチャンバ134の完全充填後に、連続的に測定を行うように起動されてよい。このようにして、各反応チャンバ134内の分析物及び/又は試薬の反応に関連するデータは、リアルタイムで(他の形式のマイクロ流体検査システムに関連する遅延又は不正確さの無い状態で)全プロセスの間に取得される。次いでデータは、プロットされ或いは分析されて、例えば、各チャンバ134内で反応が始まった正確な瞬間を決定するとともに、反応をその開始から完了まで定量化するように構成できる。このタイミング能力は、常に変化する条件に曝される化学反応に基づく検査サンプルの正確な読取りに有利である。
【0076】
本明細書で使用する「リアルタイム」は、個々別々の化学反応が始まった時を検出し、次いで各々の(及び任意選択的には全ての)(又は少なくとも1つの)化学反応をその開始から終了まで追跡することを意味する。これは、(i)標準最適時点における測定時に毎回正確にタイミングを合わせること、及び(ii)当該反応化学に関し瞬時ではなく経時で発展する各々の(及び任意選択的には全ての)(又は少なくとも1つの)化学反応の進行についての追加のデータを収集することを含む。このリアルタイムアプローチは、(a)定常状態(又は平衡)に達する前の各結果の早期予測と、(b)時系列データに基づき各光信号を分析する付加的方法とを可能にする。
【0077】
さらに、反応チャンバ134内の任意の基板の湿潤は、その光学特性を変化させ、光の透過率又は反射率に影響を及ぼす。基板及び反応チャンバ134の透過率及び/又は吸光度特性を(例えば基板の湿潤の前、間及び後に)継続的に監視することにより、反応時間経過を判断できる。
【0078】
幾つかの実施形態では、各反応チャンバ134内のバイオマーカ濃度は、反応曲線の微分係数(傾き)を用いて計算されるので、予備的結果は分析物及び/又は試薬の反応の最初の僅かな期間に(例えば反応開始時に取得した最初のデータセットを用いて)計算され得る。
【0079】
バイオマーカ濃度が観察される分析物は以下を含む(ただしこれらに限定されない)。すなわち、尿では、グルコース、ビリルビン、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)、アセト酢酸(AcAc)、比重、血液、pH、アルブミン蛋白、総蛋白、ウロビリノーゲン、ビリルビン、亜硝酸塩、白血球、ウリスタチン、クレアチニン、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビオチン又はその代謝物3-ヒドロキシイソ吉草酸若しくは3-メチルクロトニルグリシン(ビタミンB7)、葉酸又はその代謝物パラアミノベンゾイルグルタミン酸若しくはパラアセタミドベンゾリルグルタミン酸(ビタミンB9)、尿酸、尿素窒素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ヨウ素、リン、硫酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、黄体形成ホルモン(LH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、プロゲステロン、コチニン、エチルグルクロニド(EtG)、コルチゾール、チオバルビツール酸反応物質(TBARS)、アラントイン、及びF2-イソプロスタンであり、唾液では、コルチゾール、グルコース、pH、マグネシウム、カルシウム、及びリン酸である。
【0080】
おむつのバリエーション
【0081】
図9図14に示す幾つかの代替的実施形態において、ホルダ200を有する又は有しないマイクロ流体装置10は、おむつ400、ズボン又は他の衣類等の衣料品に、好ましくは以下のようにして組み込まれる。すなわち、(a)第1ポート112と流体連通する吸収性パッド116を、着用者の排尿の間にサンプルを自動採取できるように位置決めし、(b)吸収性パッド以外のマイクロ流体装置10の部分がサンプルに接触することを、シート、フィルム、ガーゼ又は他の保護材により防止し、続いて(c)マイクロ流体装置10を、タブ、ジッパ、ワイヤ、ひも、フックアンドループファスナー又は他の装置等の解放システムにより衣料品から取外して、分析のために光検出システム300に配置できるようにする。
【0082】
マイクロ流体装置10は衣料品の中に、その最外層への取付け、その材料層の間への挿入、又はその最内層への取付けの、いずれかにより収容され得る。マイクロ流体装置10の収容を容易にするために、関連する衣料品に修正を施すことができる。マイクロ流体装置10が衣料品の最外層に取付けられる場合は、第1ポートに連通する吸収性パッドが尿サンプルを吸収できるように、衣料品の素材に部分的又は完全な切込み又は開口を形成することを含んでよい。以下に説明する例示的実施形態は乳幼児用おむつの用途に関するものであるが、意図される用途が大人用おむつ、ペット用おむつ等であり得ることは考察されよう。
【0083】
図9及び図10は、乳幼児用おむつ400の表面を通して検査サンプル、ここでは尿を受動的に採取するようにおむつ400に組込まれたマイクロ流体装置10の代替実施形態を示す。マイクロ流体装置10は、おむつに縫い付けられるか圧着されるか保持され、或いはおむつ上のポケット402内に収容される。図10の断面図に示すように、吸収性パッド116はおむつの内部に向けて配置され、おむつの外側の流体不透過層404を貫通して、乳幼児の身体に対面する内側の尿吸上げ透過層408に至る。マイクロ流体装置10及びポケット402を覆うように、流体透過性又は非透過性で透明又は不透明であってよい任意選択的な被覆布帛層406が存在する。この被覆層406は、マイクロ流体装置10及びポケット402からのあらゆる潜在的な尿漏れに対するキャッチオールとして作用できる。
【0084】
図11は、取外し可能な中間層412に設けたボアホール410を有する他の代替的実施形態を断面図で示す。中間層412は、おむつ400の透過層408に流体連通するボアホール410内に吸収性パッド116を配置した状態でマイクロ流体装置10を収容する。透過層408は、ボアホール410に整列する開口を有してよく、或いはボアホールが透過層によって覆われてもよい。尿サンプルが採取されると、中間層412は、マイクロ流体装置10の回収のために、おむつ400の層から取外されるか又は引き出されてよい。
【0085】
おむつ400の内部に配置されるさらに別の実施形態によるマイクロ流体装置10の、図12Aは断面図であり、図12Bは正面図である。マイクロ流体装置10は、おむつの内部に尿透過層408を覆って位置決めされ、流体不透過性でマイクロ流体装置10を保護する任意選択的なポケット402の中に配置される。吸収性パッド116は、乳幼児の身体に対し直接露出されて吸収層408の上に配置される。タブ、紐、ワイヤ又は同様の機構412がマイクロ流体装置10から延びており、サンプルの採取後、サンプル読取りのために親はタブ412を引いてマイクロ流体装置10をおむつ400から取外すことができる。
【0086】
図13は、乳幼児用おむつ116に組込まれたマイクロ流体装置10の他の実施形態を示す正面図である。図14は、親又は介護者がおむつから吸収性サンプルパッド116を回収したときの、おむつ400及びマイクロ流体装置10を示す。
【0087】
幾つかの実施形態では、1以上のマイクロ流体装置は、トイレに設置される場合のようにトイレ装置に対し使用される。幾つかの実施形態では例えば、マイクロ流体装置10の第1ポートは吸収パッドを有さず、その代わりにトイレ内のディスペンサ装置と一時的にドッキングするように構成される。ディスペンサ装置は、マイクロ流体装置10の後部出口又は底部からの吸込みにより、或いはその代わりに前部入口からの正圧ポンピングにより(すなわちディスペンサ装置のポンプを使用して)、サンプルをマイクロ流体チップ上に直接引込むことができる。後者の構成はトイレ装置に好適である。装置10のマイクロ流体チップがその両端で所定位置に保持されないだろうし、保持される必要もないからである。
【0088】
他の同様の実施形態では、1以上のマイクロ流体装置は、電動式の真空から遠隔した場所にあるとき、又は真空の無いリーダ内にあるときなど、手持式の検査装置として使用される。幾つかの実施形態では、例えばマイクロ流体装置10の第1ポートは吸収パッドを有さず、その代わりにビスターポンプのような手動ポンプに流体連通するサンプルディスペンサ装置と一時的にドッキングするように構成される。これらの実施形態は例えば、マイクロ流体装置の後部出口又は底部から吸引する真空を生成する逆ポンピング作用により、或いはその代わりに前部入口への手動正圧ポンピングによって生成される正圧により、サンプルをマイクロ流体チップに直接吸引することを可能にする。
【0089】
本開示は本明細書において広義にかつ属的に記載されている。属としての開示に含まれる狭義の種及び亜属のグループの各々もまた、システム、装置及び方法の一部を形成する。これは、取除いたものが本明細書に具体的に記載されるか否かにかかわらず、属から何らかのものを取除くという条件又は否定的限定を伴うシステム、装置及び方法の属的記載を含む。
【0090】
他の実施形態は、後述する特許請求の範囲に包含される。また、方法の特徴又は態様がマーカッシュ群の観点から記載される場合、当業者は、本開示がマーカッシュ群の個々の部材又は下位群の部材の観点からも記載されることを認めるだろう。
【0091】
本明細書を読めば、当業者は、本明細書に記載した実施形態のどの態様、要素及び/又は詳細をどのように組合わせてもよく、また本開示の範囲は本明細書に記載した実施形態のあらゆる態様、要素又は詳細のあらゆる組合せを包含することを理解するだろう。例えば以下の番号付きの項目は、本開示の多様でかつ非包括的な実施形態を記述するものである。
【0092】
1.本体構造の第1側を形成する第1の外層を備える本体構造を具備するマイクロ流体システム又は装置、或いは当該本体構造の使用を含む方法。
【0093】
1.1 本体構造の第2側を形成する第2の外層を備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0094】
1.2 少なくとも第1の基板層を含み、第1の外層と第2の外層との間に配置されるマイクロ流体アセンブリを備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0095】
1.3 第1の外層を貫通して配置され、マイクロ流体アセンブリと流体連通している第1ポートを備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0096】
1.4 第1の外層と第2の外層とのいずれかを貫通して配置され、真空源に取り付けられるようになっている第2ポートであって、マイクロ流体アセンブリを通して第1ポートから第2ポートまでの流体流路を形成する第2ポートを備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0097】
1.5 マイクロ流体アセンブリは、(i)第1リザーバ及び第2リザーバを備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0098】
1.6 マイクロ流体アセンブリは、(ii)第1リザーバと第2リザーバとの間の2以上の流体流路を備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0099】
1.7 各流体流路は、1以上の比色検査試薬を含む乾燥フィルム、紙、又はゲルを有する少なくとも1つの反応チャンバを備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0100】
1.8 反応チャンバは、吸光度又は透過率の光学測定に適合される、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0101】
1.9 第1リザーバは、反応チャンバの容積よりも大きな容積を有するか、又は第1リザーバは、反応チャンバの容積の少なくとも2倍の容積を有する、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0102】
1.91 第2リザーバは、反応チャンバの容積よりも大きな容積を有するか、又は第2リザーバは、反応チャンバの容積の少なくとも2倍の容積を有する、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0103】
2.本体構造は、第1ポートと流体連通して水性サンプルを受け入れるように構成される吸収性パッドをさらに備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0104】
3.吸収パッドは圧縮セルローススポンジを備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0105】
4.第1リザーバは吸収性材料をさらに備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0106】
5.第2リザーバは吸収性材料をさらに備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0107】
6.前記第2ポートは疎水性半透膜をさらに備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0108】
7.マイクロ流体アセンブリは、0.1~350ミクロン又は約300~800ミクロンの断面寸法を有するマイクロ流体チャネルを備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0109】
8.少なくとも1つの反応チャンバの吸光度又は反射率を測定するように構成される光源及び検出器を備える光検出システムをさらに具備する、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0110】
9.光検出システムは、少なくとも1つの反応チャンバの透過率又は吸光度を測定するように構成される発光ダイオード(LED)源及び検出器を有する分光光度計又は比色計を備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0111】
10.分光光度計は、複数の反応チャンバの透過率を測定するように構成される複数のLED源及び複数の検出器を有する、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0112】
11.光検出システムは、(i)1以上の光源と、(ii)光源から放出された光を複数のビームに分割してそれらビームを複数の反応チャンバに向けるように構成される導波路と、(iii)複数の光源から放出された光を1以上のチャンバ及び1以上の検出器に合流させるように構成される導波路と、(iv)任意選択的に単一の検出器が各反応チャンバに登録される複数の検出器との、いずれか1以上を備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0113】
12.少なくとも1つの検出器は、300nm、415nm、445nm、450nm、480nm、500nm、515nm、550nm、570nm、590nm、600nm、630nm、650nm、680nm、700nm、750nm、800nm、850nm及び910nmから(任意選択的に、ほぼ)なる群から選択される少なくとも1つの波長の透過率又は吸光度を測定するように構成され、或いは又は加えて、350nmから1050nmまでの範囲の全ての波長又は他の範囲の波長の透過率又は吸光度をそれら波長の範囲にわたって積分した単一の光信号として測定するように構成される、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0114】
13.システムが、第2ポートに真空圧を加えるように構成される真空源をさらに備える、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0115】
14.システムは、係合装置を有するホルダをさらに具備し、係合装置は、本体構造を引込位置及び延出位置に保持するように構成され、第1ポートは、引込位置ではホルダ内に収容され、延出位置でホルダから延長される、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0116】
15.係合装置は、ホルダと本体構造との間に摺動可能な係合を形成する、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0117】
16.手持式ホルダを具備し、ホルダはフレーム又はハウジングを有する、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0118】
17.ホルダは、
(i) 化学反応を観察する合体したセンサ(非限定的にはカメラなど)を含むこと、及び
(ii)ホルダ内にスマートフォンを受容して少なくとも部分的に包囲するケースを備え、スマートフォンのカメラが少なくとも1つのチャンバにおける少なくとも1つの化学反応の進捗を測定すること、
の一方又は双方である、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0119】
18.ホルダは、分光光度計の内部に本体構造を位置決めするように構成され、少なくとも1つの反応チャンバが少なくとも1つの検出器と整列する、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0120】
19.第1ポートに流体連通する少なくとも1つのポンプを具備し、ポンプは正圧を用いてサンプルを装置(例えばチップ)に押し込み、任意選択的にトイレ用の自動ポンプに流体連通し、又は任意選択的に手持式検査システム用の手動起動ボタンポンプ若しくはブリスタ式ポンプに流体連通する、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0121】
20.マイクロ流体装置を衣服、任意選択的にはおむつに挿入、又は取外し可能に取付けることを含む、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0122】
21.(i)サンプルを得るためにマイクロ流体装置を(任意選択的にホルダから)延出させること、及び(ii)サンプルの測定のためにマイクロ流体装置を(任意選択的にホルダに)引込ませること、の一方又は双方を含む、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0123】
22.少なくとも1つの反応チャンバにおける(任意選択的に1以上の化学反応の)リアルタイムでの測定を含む、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0124】
23.(i)ある(又は個別の)化学反応が始まる時を少なくとも1つの反応チャンバで検出することと、(ii)化学反応をその開始から終了まで追跡することであって、(a)測定の開始時(任意選択的には標準最適時点)を正確に定めること、及び(b)少なくとも1つの反応チャンバでの化学反応に関し瞬時ではなく(数分又は数時の)時間をかけて展開する化学反応の進行についての付加的データを収集することの、一方又は双方を含む、追跡することと、(iii)少なくとも1つのチャンバでの反応が定常状態(又は任意選択的には平衡状態)に達する前に反応結果の早期予測を行うことと、(iv)(任意選択的には予め定めた履歴の)時系列データに基づき光信号を用いて反応を分析することと、(v)(任意選択的には予め定めた履歴の(最適には反応依存の))時データに基づき、各試薬又は各反応に依存する最適時に、光信号を用いて、ある反応又は各反応を、開始すること、測定し始めること、及び分析することの、1以上を行うことと、の1以上を含む、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0125】
24.ホルダは、(任意選択的には包装時に)平坦形状に折畳むことができる、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0126】
25.多様な少なくとも1つのチャンバに対し、(i)サンプルが流れ込むこと、及び(ii)反応が始まることの、一方又は双方により、検査、予測分析及び予測結果表示のうち1以上を可能にする、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0127】
26.ホルダは、長手軸線を有するとともに、長手軸線に垂直な力が加わることで拡張可能であり、この拡張によりホルダは、少なくとも1つの反応チャンバに対し、(i)受けること、(ii)収容すること、及び(iii)内部での反応を検査することの、1以上が可能になる、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0128】
27.ホルダは、長手軸線を有し、少なくとも1つの反応チャンバは、長手軸線に沿って摺動可能に係合する(及び/又は任意選択的に、サンプル採取時に読取可能位置から摺動離反し、反応測定のために読取可能位置へと摺動する)ように構成される、上記又は下記の項目のいずれか1以上に記載のマイクロ流体システム、装置又は方法。
【0129】
本開示を、最も実用的で好ましい実施形態の取り合わせであると現時点で考えられるものに関連して説明したが、本開示は、開示した実施形態に限定されるものでなく、添付の請求項の精神及び範囲に含まれる種々の修正及び等価の構成を包含しようとするものであることは理解されよう。

図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
【国際調査報告】