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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/16 20060101AFI20230301BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20230301BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230301BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230301BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20230301BHJP
   C07K 7/08 20060101ALN20230301BHJP
【FI】
A61K38/16 ZNA
A61P7/00
A61P43/00 121
A61K39/395 N
A61K47/60
C07K7/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541894
(86)(22)【出願日】2021-01-07
(85)【翻訳文提出日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 US2021012561
(87)【国際公開番号】W WO2021142171
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】62/958,265
(32)【優先日】2020-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/961,032
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/038,607
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/080,648
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/124,006
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】513283268
【氏名又は名称】アペリス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APELLIS PHARMACEUTICALS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】デシャテレッツ,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】グロッシ,フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】モリス,シャロン
(72)【発明者】
【氏名】タン,エリザベス エフ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA99
4C076EE23
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA19
4C084BA23
4C084BA26
4C084BA32
4C084BA37
4C084DC50
4C084MA55
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA12
4C084ZA51
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4H045BA17
4H045BA57
4H045EA20
4H045FA20
4H045FA51
(57)【要約】
発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療のための方法及び組成物が記載されている。いくつかの態様では、本開示は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に罹患した対象を治療する方法であって、本発明のペグセタコプランを対象に皮下投与することを含む、方法を特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に罹患している対象を治療する方法であって、前記対象にペグセタコプランを皮下投与することを含み、
(a)前記対象のLDHレベルが正常の上限の2倍以下である場合、ペグセタコプランが1080mgの用量で週に2回投与され;及び/または
(b)前記対象のLDHレベルが正常の上限の2倍を超える場合、ペグセタコプランが3日ごとに1080mgの用量で投与される、前記方法。
【請求項2】
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に罹患している対象を治療する方法であって、前記対象にペグセタコプランを皮下投与することを含み、患者は、ペグセタコプランの初回投与の投与前に現在の用量のC5阻害剤で治療され、
治療の最初の4週間の間、ペグセタコプランが週に2回または3日ごとに1080mgの用量で投与され、前記C5阻害剤が前記現在の用量で投与され、
治療の最初の4週間の後、ペグセタコプランが週に2回または3日ごとに1080mgの用量で投与され、前記C5阻害剤の前記投与が中止される、前記方法。
【請求項3】
前記対象が、前記C5阻害剤の前記現在の用量で、及びペグセタコプランの前記初回投与の投与前に輸血依存性である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記C5阻害剤の前記現在の用量で、及びペグセタコプランの前記初回投与の投与前に、前記対象のヘモグロビンレベルが約11g/dL未満、約10.5g/dL未満、約10g/dL未満、約9g/dL未満、または約8g/dL未満である、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記C5阻害剤が、抗C5抗体である、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗C5抗体がエクリズマブである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に罹患している対象を治療する方法であって、前記対象に、20mL溶液中の1080mgのペグセタコプランを週に2回皮下投与することを含む、前記方法。
【請求項8】
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に罹患している対象を治療する方法であって、前記対象に、20mL溶液中の1080mgのペグセタコプランを3日ごとに皮下投与することを含む、前記方法。
【請求項9】
(a)前記対象のLDHレベルが正常の上限の2倍以下である場合、ペグセタコプランが1080mgの用量で週に2回投与され;及び/または
(b)前記対象のLDHレベルが正常の上限の2倍を超える場合、ペグセタコプランが3日ごとに1080mgの用量で投与される、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象が最初に週に2回、1080mg用量でペグセタコプランを投与され、前記治療中に前記対象のLDHレベルが正常の上限の2倍を超えると評価された場合、前記対象はその後3日ごとに1080mgの用量でペグセタコプランを投与される、請求項1または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が、正常の上限の2倍を超えるLDHレベルを示した後、3日ごとに1080mgの用量でペグセタコプランを投与される場合、前記方法は、前記対象のLDHレベルを少なくとも2週間、週に2回評価することをさらに含む、請求項1、請求項9、または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記正常の上限が約225U/Lである、請求項1または請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ペグセタコプランが少なくとも約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、または約52週間投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ペグセタコプランがポンプを使用して自己投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ペグセタコプランの投与に続いて、前記対象のヘモグロビンレベルが目標のヘモグロビンレベルまで増加する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記目標のヘモグロビンレベルが、対照のヘモグロビンレベルと比較して、少なくとも約1g/dL、例えば、少なくとも約2g/dL、例えば、少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、または4g/dL高く、前記対照のヘモグロビンレベルが、
(a)ペグセタコプランの投与前の前記対象のヘモグロビンレベル;
(b)PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象のヘモグロビンレベル;または
(c)健康な対象におけるヘモグロビンレベルの範囲の下限である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記目標のヘモグロビンレベルが、対照のヘモグロビンレベルよりも少なくとも約20%、40%、60%、80%、100%、またはそれ以上高いヘモグロビンレベルであり、前記対照のヘモグロビンレベルが、
(a)ペグセタコプランの投与前の前記対象のヘモグロビンレベル;
(b)PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されている対象のヘモグロビンレベル;または
(c)健康な対象におけるヘモグロビンレベルの範囲の下限である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記目標のヘモグロビンレベルが約11g/dL~約12g/dLである、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記目標のヘモグロビンレベルが、ペグセタコプランの投与前の前記対象におけるヘモグロビンレベルよりも少なくとも2g/dL高い、例えば、約2.4g/dL高い、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記目標のヘモグロビンレベルが、前記対象のペグセタコプランの初回投与後少なくとも16週間持続する、請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に前記対象のヘモグロビンレベルを測定するか、または測定したことをさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象のヘモグロビンレベルが輸血の非存在下で増加する、請求項15~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ペグセタコプランの投与に続いて、前記対象の輸血の数が目標の輸血の数まで減少する、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記目標の輸血の数が、対照の輸血の数と比較して、定義された期間にわたって少なくとも1回(例えば、少なくとも2、3、4、5、6回、またはそれ以上)少ない輸血であり、前記対照の輸血の数が、
(a)ペグセタコプランの投与前に前記対象に投与された輸血の数;または
(b)PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象に投与された輸血の数である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記目標の輸血の数が、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって3、2、または1回未満の輸血である、請求項23または請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記目標の輸血の数が、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって、ゼロ回の輸血である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、前記対象に輸血を投与する必要性を評価すること、または評価したことを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ペグセタコプランの投与に続いて、前記対象の投与される濃厚赤血球(PRBC)ユニットの数が、目標のPRBCユニットの数に減少する、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記目標のPRBCユニットの数が、対照のPRBCユニットの数と比較して、定義された期間にわたって少なくとも1回(例えば、少なくとも2、3、4、5、6回、またはそれ以上)少ない輸血であり、前記対照のPRBCユニットの数が、
(a)ペグセタコプランの投与前に前記対象に投与されたPRBCユニットの数;または
(b)PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象に投与されたPRBCユニットの数である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記目標のPRBCユニットの数が、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって3、2、または1回未満のPRBCユニットである、請求項28または請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、前記対象にPRBCユニットを投与する必要性を評価すること、または評価したことを含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ペグセタコプランの投与に続いて、前記対象の網状赤血球レベルが目標の網状赤血球レベルまで減少する、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記目標の網状赤血球レベルが、対照の網状赤血球レベルよりも少なくとも約20%、40%、60%、または80%低い網状赤血球レベルであり、前記対照の網状赤血球レベルが、
(a)ペグセタコプランの投与前の前記対象の網状赤血球レベル;
(b)PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象の網状赤血球レベル;または
(c)健康な対象における網状赤血球レベルの範囲の上限である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記目標の網状赤血球レベルが約30×10/L~約120×10/Lである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記目標の網状赤血球レベルが約30×10/L~約100×10/L、例えば、約70、80、または90×10/Lである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記目標の網状赤血球レベルが約60~85×10/L、例えば、約70~80×10/Lである、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記目標の網状赤血球レベルが、ペグセタコプランの投与前の前記対象における網状赤血球レベルよりも約135×10/L低い、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記目標の網状赤血球レベルが、前記対象のペグセタコプランの初回投与後少なくとも16週間持続する、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ペグセタコプランの投与後、前記対象の網状赤血球レベルが正常化される、請求項32~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に前記対象の網状赤血球レベルを測定するか、または測定したことをさらに含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記対象の網状赤血球レベルが輸血の非存在下で減少及び/または正常化される、請求項32~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ペグセタコプランの投与後、前記対象のラクトースデヒドロゲナーゼ(LDH)レベルが目標のLDHレベルまで減少する、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記目標のLDHレベルが、対照のLDHレベルよりも少なくとも約20%、40%、60%、または80%低いLDHレベルであり、前記対照のLDHレベルが、
(a)ペグセタコプランの投与前の前記対象のLDHレベル;
(b)PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象のLDHレベル;または
(c)健康な対象における網状赤血球レベルの範囲の上限である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記目標のLDHレベルが約110~約225U/L、例えば、約120、140、160、180、200、または220U/Lである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記目標のLDHレベルが約160~230U/L、例えば、約190U/Lである、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記目標のLDHレベルが、ペグセタコプランの投与前の前記対象におけるLDHレベルよりも約15U/L低い、請求項42に記載の方法、
【請求項47】
前記目標のLDHレベルが、前記対象のペグセタコプランの初回投与後少なくとも16週間持続する、請求項44~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
ペグセタコプランの投与後、前記対象のLDHレベルが正常化される、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に前記対象のLDHレベルを測定するか、または測定したことをさらに含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記対象のLDHレベルが輸血の非存在下で減少及び/または正常化される、請求項42~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
ペグセタコプランの投与後、前記対象の倦怠感レベルが目標の倦怠感レベルまで減少する、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
倦怠感レベルがFACIT倦怠感尺度スコアを使用して評価される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記目標の倦怠感レベルが、対照のFACIT倦怠感尺度スコアよりも少なくとも5、10、15、20ポイント、またはそれ以上高いFACIT倦怠感尺度スコアであり、前記対照のFACIT倦怠感尺度スコアが、
(a)ペグセタコプランの投与前の前記対象のFACIT倦怠感尺度スコア;
(b)PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象のFACIT倦怠感尺度スコア;または
(c)健康な対象からのFACIT倦怠感尺度スコアの範囲の下限である、請求項51または請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記目標の倦怠感レベルが、約32、34、36、38、40、42、44、46、または48のFACIT倦怠感尺度スコアである、請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記目標の倦怠感レベルが約40~約44のFACIT倦怠感尺度スコアである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記目標の倦怠感レベルが、ペグセタコプランの投与前の前記対象からのFACIT倦怠感尺度スコアよりも約7.5~約11ポイント高い、例えば、約9ポイント高いFACIT倦怠感尺度スコアである、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記目標の倦怠感レベルが、前記対象のペグセタコプランの初回投与後少なくとも16週間持続する、請求項55または請求項56に記載の方法。
【請求項58】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に前記対象のFACIT倦怠感尺度スコアを評価するか、または評価したことをさらに含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象のFACIT倦怠感尺度スコアが輸血の非存在下で増加する、請求項51~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に罹患している対象におけるヘモグロビンのレベルを目標のヘモグロビンレベルまで増加させる方法であって、前記方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを前記対象に皮下投与し、それにより前記対象のヘモグロビンを前記目標のヘモグロビンレベルまで増加させることを含む、前記方法。
【請求項61】
前記目標のヘモグロビンレベルが、対照のヘモグロビンレベルと比較して、少なくとも約1g/dL、例えば、少なくとも約2g/dL、例えば、少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、または4g/dL高いヘモグロビンレベルである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記目標のヘモグロビンレベルが、対照のヘモグロビンレベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、80%、100%、またはそれ以上高いヘモグロビンレベルである、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記対照のヘモグロビンレベルが、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象におけるヘモグロビンレベル;ペグセタコプランの投与前の前記対象のヘモグロビンレベル;または健康な対象のヘモグロビンレベルの範囲の下限である、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
前記目標のヘモグロビンレベルが、約10g/dL~約15g/dL、例えば、約11g/dL、約12g/dL、または約13g/dLである、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記対象におけるヘモグロビンレベルを測定することをさらに含む、請求項60~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、前記対象のヘモグロビンレベルを測定することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記対象のヘモグロビンが輸血の非存在下で増加する、請求項60~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
PNHに罹患している対象を治療する方法であって、前記方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを前記対象に皮下投与することを含み、前記治療が前記対象のヘモグロビンを目標のヘモグロビンレベルまで増加させる、前記方法。
【請求項69】
前記目標のヘモグロビンレベルが、対照のヘモグロビンレベルと比較して、少なくとも約1g/dL、例えば、少なくとも約2g/dL、例えば、少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、または4g/dL高いヘモグロビンレベルである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記目標のヘモグロビンレベルが、対照のヘモグロビンレベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、80%、100%、またはそれ以上高いヘモグロビンレベルである、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記対照のヘモグロビンレベルが、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象におけるヘモグロビンレベル;ペグセタコプランの投与前の前記対象のヘモグロビンレベル;または健康な対象のヘモグロビンレベルの範囲の下限である、請求項69または70に記載の方法。
【請求項72】
前記目標のヘモグロビンレベルが、約10g/dL~約15g/dL、例えば、約11g/dL、約12g/dL、または約13g/dLである、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
前記対象におけるヘモグロビンレベルを測定することをさらに含む、請求項68~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、前記対象のヘモグロビンレベルを測定することを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記対象が輸血の非存在下で治療される、請求項68~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
輸血を必要とする対象に投与される輸血の数を目標の輸血の数まで減少させる方法であって、前記方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを前記対象に皮下投与し、それにより輸血の数を前記目標の輸血の数まで減少させることを含み、前記対象がPNHに罹患している、前記方法。
【請求項77】
前記目標の輸血の数が、対照の輸血の数と比較して、定義された期間にわたって少なくとも1回(例えば、少なくとも2、3、4、5、6回、またはそれ以上)少ない輸血である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記対照の輸血の数が、PNHに罹患し、ペグセタコプランを投与されていない対象に投与される輸血の数、またはペグセタコプランの投与前に前記対象に投与される輸血の数である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記目標の輸血の数が、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって3、2、または1回未満の輸血である、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記対象に輸血を投与する必要性を評価することをさらに含む、請求項76~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、前記対象に輸血を投与する必要性を評価することを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
PRBCユニットを必要とする対象に投与されるPRBCユニットの数を目標のPRBCユニットの数まで減少させる方法であって、前記方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを前記対象に皮下投与し、それによりPRBCユニットの数を前記目標のPRBCユニットの数まで減少させることを含み、前記対象がPNHに罹患している、前記方法。
【請求項83】
前記目標のPRBCユニットの数が、対照のPRBCユニットの数と比較して、定義された期間にわたって少なくとも1回(例えば、少なくとも2、3、4、5、6回、またはそれ以上)少なく投与されるPRBCユニットである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記対照のPRBCユニットの数が、PNHに罹患し、ペグセタコプランを投与されていない対象に投与されるPRBCユニットの数、またはペグセタコプランの投与前に前記対象に投与されるPRBCユニットの数である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記目標のPRBCユニットの数が、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって3、2、または1回未満のPRBCユニットである、請求項82に記載の方法。
【請求項86】
前記対象にPRBCユニットを投与する必要性を評価することをさらに含む、請求項82~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、前記対象にPRBCユニットを投与する必要性を評価することを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
PNHに罹患している対象を治療する方法であって、前記方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを前記対象に皮下投与することを含み、前記治療が前記対象に投与される輸血の数を目標の輸血の数まで減少させる、前記方法。
【請求項89】
前記目標の輸血の数が、対照の輸血の数と比較して、定義された期間にわたって少なくとも1回(例えば、少なくとも2、3、4、5、6回、またはそれ以上)少ない輸血である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記対照の輸血の数が、PNHに罹患し、ペグセタコプランを投与されていない対象に投与される輸血の数、またはペグセタコプランの投与前に前記対象に投与される輸血の数である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記目標の輸血の数が、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって3、2、または1回未満の輸血である、請求項88に記載の方法。
【請求項92】
前記対象に輸血を投与する必要性を評価することをさらに含む、請求項88~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、前記対象に輸血を投与する必要性を評価することを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
PNHに罹患している対象を治療する方法であって、前記方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを前記対象に皮下投与することを含み、前記治療が前記対象に投与されるPRBCユニットの数を目標のPRBCユニットの数まで減少させる、前記方法。
【請求項95】
前記目標のPRBCユニットの数が、対照のPRBCユニットの数と比較して、定義された期間にわたって少なくとも1回(例えば、少なくとも2、3、4、5、6回、またはそれ以上)少なく投与されるPRBCユニットである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記対照のPRBCユニットの数が、PNHに罹患し、ペグセタコプランを投与されていない対象に投与されるPRBCユニットの数、またはペグセタコプランの投与前に前記対象に投与されるPRBCユニットの数である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記目標のPRBCユニットの数が、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって3、2、または1回未満のPRBCユニットである、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記対象にPRBCユニットを投与する必要性を評価することをさらに含む、請求項94~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、前記対象にPRBCユニットを投与する必要性を評価することを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
PNHに罹患している対象における網状赤血球の数を目標の網状赤血球レベルまで減少させる方法であって、前記方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを前記対象に皮下投与し、それにより前記対象の網状赤血球の数を前記目標の網状赤血球レベルまで減少させることを含む、前記方法。
【請求項101】
前記目標の網状赤血球レベルが、対照の網状赤血球レベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、または80%低い網状赤血球レベルである、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記対照の網状赤血球レベルが、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象における網状赤血球レベル;ペグセタコプランの投与前の前記対象の網状赤血球レベル;または健康な対象の網状赤血球レベルの範囲の上限である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記目標の網状赤血球レベルが約30~約100×10/L、例えば、約70、80、または90×10/Lである、請求項100に記載の方法。
【請求項104】
前記対象における網状赤血球レベルを測定することをさらに含む、請求項100~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、前記対象の網状赤血球レベルを測定することを含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記対象の網状赤血球の数が輸血の非存在下で減少する、請求項100~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
PNHに罹患している対象を治療する方法であって、前記方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを前記対象に皮下投与することを含み、前記治療が前記対象の網状赤血球の数を目標の網状赤血球レベルまで減少させる、前記方法。
【請求項108】
前記目標の網状赤血球レベルが、対照の網状赤血球レベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、または80%低い網状赤血球レベルである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記対照の網状赤血球レベルが、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象における網状赤血球レベル;ペグセタコプランの投与前の前記対象の網状赤血球レベル;または健康な対象の網状赤血球レベルの範囲の上限である、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記目標の網状赤血球レベルが約30~約100×10/L、例えば、約70、80、または90×10/Lである、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
前記対象における網状赤血球レベルを測定することをさらに含む、請求項107~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、前記対象の網状赤血球レベルを測定することを含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記対象が輸血の非存在下で治療される、請求項107~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
PNHに罹患している対象における乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のレベルを目標のLDHレベルまで減少させる方法であって、前記方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを前記対象に皮下投与し、それにより前記対象のLDHレベルを前記目標のLDHレベルまで減少させることを含む、前記方法。
【請求項115】
前記目標のLDHレベルが、対照のLDHレベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、または80%低いLDHレベルである、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記対照のLDHレベルが、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象におけるLDHレベル;ペグセタコプランの投与前の前記対象のLDHレベル;または健康な対象のLDHレベルの範囲の上限である、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記目標のLDHレベルが約110~約225U/L、例えば、約120、140、160、180、200、または220U/Lである、請求項114に記載の方法。
【請求項118】
前記対象におけるLDHレベルを測定することをさらに含む、請求項114~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、前記対象のLDHレベルを測定することを含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記対象のLDHレベルが輸血の非存在下で減少する、請求項114~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
PNHに罹患している対象を治療する方法であって、前記方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを前記対象に皮下投与することを含み、前記治療が前記対象のLDHレベルを目標のLDHレベルまで減少させる、前記方法。
【請求項122】
前記目標のLDHレベルが、対照のLDHレベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、または80%低いLDHレベルである、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記対照のLDHレベルが、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象におけるLDHレベル;ペグセタコプランの投与前の前記対象のLDHレベル;または健康な対象のLDHレベルの範囲の上限である、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記目標のLDHレベルが約110~約225U/L、例えば、約120、140、160、180、200、または220U/Lである、請求項121に記載の方法。
【請求項125】
前記対象におけるLDHレベルを測定することをさらに含む、請求項121~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、前記対象のLDHレベルを測定することを含む、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記対象が輸血の非存在下で治療される、請求項121~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
PNHに罹患している対象における倦怠感レベルを目標の倦怠感レベルまで減少させる方法であって、前記方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを前記対象に皮下投与し、それにより前記対象の倦怠感レベルを前記目標の倦怠感レベルまで減少させることを含む、前記方法。
【請求項129】
倦怠感レベルがFACIT倦怠感尺度スコアを使用して評価される、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記目標の倦怠感レベルが、対照のFACIT倦怠感尺度スコアと比較して、少なくとも15、10、15、20ポイント、またはそれ以上高いFACIT倦怠感尺度スコアである、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記対照のFACIT倦怠感尺度スコアが、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象からのFACIT倦怠感尺度スコア;ペグセタコプランを投与される前の前記対象のFACIT倦怠感尺度スコア;または健康な対象からのFACIT倦怠感尺度スコアの範囲の下限である、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記目標の倦怠感レベルが、約32、34、36、38、40、42、44、46、または48のFACIT倦怠感尺度スコアである、請求項128に記載の方法。
【請求項133】
前記対象からのFACIT倦怠感尺度スコアを評価することをさらに含む、請求項129~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後の前記対象からのFACIT倦怠感尺度スコアを評価することを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記対象からのFACIT倦怠感尺度スコアが輸血の非存在下で低減される、請求項129~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
PNHに罹患している対象を治療する方法であって、前記方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを前記対象に皮下投与することを含み、前記治療が前記対象の倦怠感レベルを目標の倦怠感レベルまで減少させる、前記方法。
【請求項137】
倦怠感レベルがFACIT倦怠感尺度スコアを使用して評価される、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記目標の倦怠感レベルが、対照のFACIT倦怠感尺度スコアと比較して、少なくとも5、10、15、20ポイント、またはそれ以上高いFACIT倦怠感尺度スコアである、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記対照のFACIT倦怠感尺度スコアが、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象からのFACIT倦怠感尺度スコア;ペグセタコプランを投与される前の前記対象のFACIT倦怠感尺度スコア;または健康な対象からのFACIT倦怠感尺度スコアの範囲の下限である、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記目標の倦怠感レベルが、約32、34、36、38、40、42、44、46、または48のFACIT倦怠感尺度スコアである、請求項136に記載の方法。
【請求項141】
前記対象からのFACIT倦怠感尺度スコアを評価することをさらに含む、請求項137~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
ペグセタコプランの投与前及び/または投与後の前記対象からのFACIT倦怠感尺度スコアを評価することを含む、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
前記対象が輸血の非存在下で治療される、請求項136~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
ペグセタコプランの投与前に、前記対象がC5阻害剤、例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブを投与されていない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
ペグセタコプランの投与前に、前記対象がC5阻害剤、例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブを投与されている、請求項60~143のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
前記対象が、前記C5阻害剤、例えば、前記抗C5抗体、例えば、エクリズマブを投与された後も輸血依存性のままである、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
前記対象が、前記C5阻害剤、例えば、前記抗C5抗体、例えば、エクリズマブを投与された後、約12g/dL未満、例えば、約11g/dL未満、例えば、約10.5g/dL未満、例えば、約10g/dL未満、例えば、約9g/dL未満、例えば、約8g/dL未満のヘモグロビンレベルを有する、請求項145または146に記載の方法。
【請求項148】
ペグセタコプランの投与後、前記対象が、C5阻害剤、例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブの用量を投与されていない、請求項144または145に記載の方法。
【請求項149】
前記対象が、C5阻害剤、例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブの少なくとも1回の用量と組み合わせて、ペグセタコプランの少なくとも1回の用量を投与される、請求項144または14586に記載の方法。
【請求項150】
ペグセタコプランが少なくとも約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、または少なくとも約52週間投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
約1080mgのペグセタコプランが、ポンプを使用して週に2回または3日ごとに前記対象によって自己投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
PNHに罹患している対象を治療する方法であって、前記方法が、約1080mgのペグセタコプランを週に2回または3日ごとに前記対象に皮下投与することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月7日に出願された米国仮出願第62/958,265号、2020年1月14日に出願された米国仮出願第62/961,032号、2020年6月12日に出願された米国仮出願第63/038,607号、2020年9月18日に出願された米国仮出願第63/080,648号、及び2020年12月10日に出願された米国仮出願第63/124,006号の利益を主張し、これらすべての内容は、本明細書にその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
エクリズマブ薬(ソリリス(登録商標))は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬として米国で承認されている。しかしながら、PNHの効果的な治療法の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの態様では、本開示は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に罹患している対象を治療する方法であって、対象にペグセタコプランを皮下投与することを含み、対象のLDHレベルが正常の上限の2倍以下である場合、ペグセタコプランは週に2回、1080mgの用量で投与され、及び/または対象のLDHレベルが正常の上限の2倍を超える場合、ペグセタコプランは3日ごとに1080mgの用量で投与される、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象は最初に週に2回、1080mg用量でペグセタコプランを投与され、治療中に対象のLDHレベルが正常の上限の2倍を超えると評価された場合、対象はその後3日ごとに1080mgの用量でペグセタコプランを投与される。いくつかの実施形態では、対象が、正常の上限の2倍を超えるLDHレベルを示した後、3日ごとに1080mgの用量でペグセタコプランを投与される場合、方法は、対象のLDHレベルを少なくとも2週間、週に2回評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、正常の上限は約225U/Lであり、例えば、いくつかの実施形態では、225U/Lである。
【0004】
いくつかの態様では、本開示は、PNHに罹患している対象を治療する方法であって、対象にペグセタコプランを皮下投与することを含み、患者は、ペグセタコプランの第1の用量の投与前に現在の用量のC5阻害剤で治療され、(a)治療の最初の4週間の間、ペグセタコプランは週に2回または3日ごとに1080mgの用量で投与され、C5阻害剤は現在の用量で投与され、(b)治療の最初の4週間の後、ペグセタコプランは週に2回または3日ごとに1080mgの用量で投与され、C5阻害剤の投与が中止される、方法を特徴とする。例えば、いくつかの実施形態では、治療の最初の4週間の間、ペグセタコプランは、週に2回、1080mgの用量で対象に皮下投与され、C5阻害剤は、現在の用量で投与され、治療の最初の4週間の後に、ペグセタコプランは、週に2回、1080mgの用量で皮下投与され、C5阻害剤の投与が中止される。いくつかの実施形態では、治療の最初の4週間の間、ペグセタコプランは、3日ごとに1080mgの用量で対象に皮下投与され、C5阻害剤は、現在の用量で投与され、治療の最初の4週間の後に、ペグセタコプランは、3日ごとに1080mgの用量で皮下投与され、C5阻害剤の投与が中止される。いくつかの実施形態では、投与頻度は、例えば、対象のLDHレベルに応じて、週に2回から3日ごと、及び/または3日ごとから週に2回に変更される。いくつかの実施形態では、対象のLDHレベルが正常の上限の2倍以下である場合、ペグセタコプランは週に2回、1080mgの用量で投与され、及び対象のLDHレベルが正常の上限の2倍を超える場合、ペグセタコプランは3日ごとに1080mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、対象は最初に週に2回、1080mg用量でペグセタコプランを投与され、治療中に対象のLDHレベルが正常の上限の2倍を超えると評価された場合、対象はその後3日ごとに1080mgの用量でペグセタコプランを投与される。いくつかの実施形態では、対象が、正常の上限の2倍を超えるLDHレベルを示した後、3日ごとに1080mgの用量でペグセタコプランを投与される場合、方法は、対象のLDHレベルを少なくとも2週間、週に2回評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、正常の上限は約225U/Lであり、例えば、いくつかの実施形態では、225U/Lである。いくつかの実施形態では、対象は、C5阻害剤の現在の用量で、及びペグセタコプランの最初の用量の投与前に輸血依存性であり、及び/またはC5阻害剤の現在の用量で、及びペグセタコプランの最初の用量の投与前に、対象のヘモグロビンレベルは、約11g/dL未満、約10.5g/dL未満、約10g/dL未満、約9g/dL未満、または約8g/dL未満である。いくつかの実施形態では、C5阻害剤は、抗C5抗体である。特定の実施形態では、抗C5抗体はエクリズマブである。
【0005】
いくつかの実施形態では、本開示は、PNHに罹患している対象を治療する方法であって、対象に、20mL溶液中の1080mgのペグセタコプランを週に2回皮下投与することを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、本開示は、PNHに罹患している対象を治療する方法であって、対象に、20mL溶液中の1080mgのペグセタコプランを3日ごとに皮下投与することを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象のLDHレベルが正常の上限の2倍以下である場合、ペグセタコプランは週に2回、1080mgの用量で投与され、及び対象のLDHレベルが正常の上限の2倍を超える場合、ペグセタコプランは3日ごとに1080mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、対象は最初に週に2回、1080mg用量でペグセタコプランを投与され、治療中に対象のLDHレベルが正常の上限の2倍を超えると評価された場合、対象はその後3日ごとに1080mgの用量でペグセタコプランを投与される。いくつかの実施形態では、対象が、正常の上限の2倍を超えるLDHレベルを示した後、3日ごとに1080mgの用量でペグセタコプランを投与される場合、方法は、対象のLDHレベルを少なくとも2週間、週に2回評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、正常の上限は約225U/Lであり、例えば、いくつかの実施形態では、225U/Lである。
【0006】
いくつかの態様では、本開示は、PNHに罹患している対象におけるヘモグロビンのレベルを目標のヘモグロビンレベルまで増加させる方法であって、方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを対象に皮下投与し、それにより対象のヘモグロビンを目標のヘモグロビンレベルまで増加させることを含む、方法を特徴とする。
【0007】
いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、対照のヘモグロビンレベルと比較して、少なくとも約1g/dL、例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも約2g/dL、例えば、少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、または4g/dL高いヘモグロビンレベルである。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、対照のヘモグロビンレベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、80%、100%、またはそれ以上高いヘモグロビンレベルである。いくつかの実施形態では、対照のヘモグロビンレベルは、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象におけるヘモグロビンレベル;ペグセタコプランの投与前の対象のヘモグロビンレベル;または健康な対象のヘモグロビンレベルの範囲の下限である。いくつかの実施形態では、PNHに罹患し、ペグセタコプランが投与されていない対象は、現在の用量のC5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では、抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態では、エクリズマブを与えられる。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、約10g/dL~約15g/dLである。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、約11g/dL、約12g/dL、または約13g/dLであり、例えば、いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、約11~約12g/dLである。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、ペグセタコプランの投与前の対象のヘモグロビンレベルよりも少なくとも2g/dL高く、例えば、いくつかの実施形態では、約2.4g/dL高い。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、対象のペグセタコプランの初回投与後少なくとも16週間持続する。
【0008】
いくつかの実施形態では、方法は、対象、例えば、対象からの生体試料において、ヘモグロビンレベルを測定するか、または測定したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、対象のヘモグロビンレベルを測定するか、または測定したことを含む。いくつかの実施形態では、ヘモグロビンは、ペグセタコプランの投与後、及び輸血の非存在下で、対象において増加する。
【0009】
いくつかの態様では、本開示は、PNHに罹患している対象を治療する方法であって、方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを対象に皮下投与することを含み、治療は対象のヘモグロビンを目標のヘモグロビンレベルまで増加させる、方法を特徴とする。
【0010】
いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、対照のヘモグロビンレベルと比較して、少なくとも約1g/dL、例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも約2g/dL、例えば、少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、または4g/dL高いヘモグロビンレベルである。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、対照のヘモグロビンレベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、80%、100%、またはそれ以上高いヘモグロビンレベルである。いくつかの実施形態では、対照のヘモグロビンレベルは、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象におけるヘモグロビンレベル;ペグセタコプランの投与前の対象のヘモグロビンレベル;または健康な対象のヘモグロビンレベルの範囲の下限である。いくつかの実施形態では、PNHに罹患し、ペグセタコプランが投与されていない対象は、現在の用量のC5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では、抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態では、エクリズマブを与えられる。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、約10g/dL~約15g/dLである。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、約11g/dL、約12g/dL、または約13g/dLであり、例えば、いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、約11~約12g/dLである。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、ペグセタコプランの投与前の対象のヘモグロビンレベルよりも少なくとも2g/dL高く、例えば、いくつかの実施形態では、約2.4g/dL高い。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、対象のペグセタコプランの初回投与後少なくとも16週間持続する。
【0011】
いくつかの実施形態では、治療は、対象のヘモグロビンレベルを少なくとも11g/dLに増加させる結果となる。いくつかの実施形態では、治療は、対象のヘモグロビンレベルを、ペグセタコプランの最初の用量の投与前の対象のヘモグロビンレベルから少なくとも2g/dL増加させる結果となる。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、対象におけるヘモグロビンレベルを測定するか、または測定したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、対象のヘモグロビンレベルを測定するか、または測定したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、対象は輸血の非存在下で治療される。
【0013】
いくつかの態様では、本開示は、対象に投与される輸血の数を目標の輸血の数まで減少させる方法であって、方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを対象に皮下投与し、それにより輸血の数を目標の輸血の数まで減少させることを含み、対象がPNHに罹患している、方法を特徴とする。
【0014】
いくつかの実施形態では、目標の輸血の数は、対照の輸血の数と比較して、定義された期間にわたって少なくとも1回(例えば、少なくとも2、3、4、5、6回、またはそれ以上)少ない輸血である。いくつかの実施形態では、対照の輸血の数は、PNHに罹患し、ペグセタコプランを投与されていない対象に投与される輸血の数、またはペグセタコプランの投与前に対象に投与される輸血の数である。いくつかの実施形態では、PNHに罹患し、ペグセタコプランが与えられていない対象は、現在の用量のC5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では、抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態では、エクリズマブを投与される。いくつかの実施形態では、目標の輸血の数は、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって、3、2、または1回未満の輸血である。いくつかの実施形態では、目標の輸血の数は、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって、ゼロ回の輸血である。
【0015】
いくつかの実施形態では、方法は、対象に輸血を投与する必要性を評価するか、または評価したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ペグセタコプランの投与の前及び/または後に、対象に輸血を投与する必要性を評価するか、または評価したことをさらに含む。
【0016】
いくつかの態様では、本開示は、対象に投与される濃厚赤血球(PRBC)ユニットの数を目標のPRBCユニットの数まで減少させる方法であって、方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを対象に皮下投与し、それにより投与されるPRBCユニットの数を目標のPRBCユニットの数まで減少させることを含み、対象がPNHに罹患している、方法を特徴とする。
【0017】
いくつかの実施形態では、目標のPRBCユニットの数は、対照のPRBCユニットの数と比較して、定義された期間にわたって少なくとも1回(例えば、少なくとも2、3、4、5、6回、またはそれ以上)少なく投与されるPRBCユニットである。いくつかの実施形態では、対照のPRBCユニットの数は、PNHに罹患し、ペグセタコプランを投与されていない対象に投与されるPRBCユニットの数、またはペグセタコプランの投与前に対象に投与されるPRBCユニットの数である。いくつかの実施形態では、PNHに罹患し、ペグセタコプランが投与されていない対象は、現在の用量のC5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では、抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態では、エクリズマブを与えられる。いくつかの実施形態では、目標のPRBCユニットの数は、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって、3、2、または1回未満のPRBCユニットである。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、対象にPRBCユニットを投与する必要性を評価するか、または評価したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ペグセタコプランの投与の前及び/または後に、対象にPRBCユニットを投与する必要性を評価するか、または評価したことをさらに含む。
【0019】
いくつかの態様では、本開示は、PNHに罹患している対象を治療する方法であって、方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを対象に皮下投与することを含み、治療は対象に投与される輸血の数を目標の輸血の数まで減少させる、方法を特徴とする。
【0020】
いくつかの実施形態では、目標の輸血の数は、対照の輸血の数と比較して、定義された期間にわたって少なくとも1回(例えば、少なくとも2、3、4、5、6回など)少ない輸血である。いくつかの実施形態では、対照の輸血の数は、PNHに罹患し、ペグセタコプランを投与されていない対象に投与される輸血の数、またはペグセタコプランの投与前に対象に投与される輸血の数である。いくつかの実施形態では、PNHに罹患し、ペグセタコプランが投与されていない対象は、現在の用量のC5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では、抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態では、エクリズマブを与えられる。いくつかの実施形態では、目標の輸血の数は、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって、3、2、または1回未満の輸血である。いくつかの実施形態では、目標の輸血の数は、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって、ゼロ回の輸血である。
【0021】
いくつかの実施形態では、治療は、ペグセタコプランの最初の用量の投与前に対象が受けた輸血の数と比較して、ペグセタコプランの最初の用量の投与後16週間以内に対象が受ける輸血の数が少なくとも1つ少ないという結果をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、ペグセタコプランの最初の用量の投与後少なくとも16週間、対象が輸血を必要としないという結果をもたらす。
【0022】
いくつかの実施形態では、方法は、対象に輸血を投与する必要性を評価するか、または評価したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ペグセタコプランの投与の前及び/または後に、対象に輸血を投与する必要性を評価するか、または評価したことをさらに含む。
【0023】
いくつかの態様では、本開示は、PNHに罹患している対象を治療する方法であって、方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを対象に皮下投与することを含み、治療は対象に投与されるPRBCユニットの数を目標のPRBCユニットの数まで減少させる、方法を特徴とする。
【0024】
いくつかの実施形態では、目標のPRBCユニットの数は、対照のPRBCユニットの数と比較して、定義された期間にわたって少なくとも1回(例えば、少なくとも2、3、4、5、6回、またはそれ以上)少なく投与されるPRBCユニットである。いくつかの実施形態では、対照のPRBCユニットの数は、PNHに罹患し、ペグセタコプランを投与されていない対象に投与されるPRBCユニットの数、またはペグセタコプランの投与前に対象に投与されるPRBCユニットの数である。いくつかの実施形態では、PNHに罹患し、ペグセタコプランが投与されていない対象は、現在の用量のC5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では、抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態では、エクリズマブを与えられる。いくつかの実施形態では、目標のPRBCユニットの数は、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって、3、2、または1回未満のPRBCユニットである。
【0025】
いくつかの実施形態では、治療は、ペグセタコプランの最初の用量の投与前に対象が受けたPRBCユニットの数と比較して、ペグセタコプランの最初の用量の投与後16週間以内に対象が受けるPRBCユニットの数が少なくとも1つ少ないという結果をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、ペグセタコプランの最初の用量の投与後16週間以内に対象が受けるPRBCユニットが11以下であるという結果をもたらす。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法は、対象にPRBCユニットを投与する必要性を評価するか、または評価したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ペグセタコプランの投与の前及び/または後に、対象にPRBCユニットを投与する必要性を評価するか、または評価したことをさらに含む。
【0027】
いくつかの態様では、本開示は、PNHに罹患している対象における網状赤血球の数(すなわち、網状赤血球の絶対数)を目標の網状赤血球レベルまで減少させる方法であって、方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを対象に皮下投与し、それにより対象の網状赤血球の数を目標の網状赤血球レベルまで減少させることを含む、方法を特徴とする。
【0028】
いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、対照の網状赤血球レベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、または80%低い網状赤血球レベルである。いくつかの実施形態では、対照の網状赤血球レベルは、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象における網状赤血球レベル;ペグセタコプランの投与前の対象の網状赤血球レベル;または健康な対象の網状赤血球の範囲の上限である。いくつかの実施形態では、PNHに罹患し、ペグセタコプランが投与されていない対象は、現在の用量のC5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では、抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態では、エクリズマブを与えられる。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、約30~約120×10/Lである。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、約30~約100×10/Lであり、例えば、いくつかの実施形態では、約70、80、または90×10/Lである。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、約60~85×10/Lである。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、約70~80×10/Lである。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、ペグセタコプランの投与前の対象における網状赤血球レベルよりも約135×10/L低い。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、対象のペグセタコプランの初回投与後少なくとも16週間持続する。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法は、対象における網状赤血球レベルを測定するか、または測定したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、対象の網状赤血球レベルを測定するか、または測定したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、網状赤血球の数は、ペグセタコプランの投与後、及び輸血の非存在下で、対象において減少する。
【0030】
いくつかの態様では、本開示は、PNHに罹患している対象を治療する方法であって、方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを対象に皮下投与することを含み、治療は対象における網状赤血球の数(例えば、網状赤血球の絶対数)を目標の網状赤血球レベルまで減少させる、方法を特徴とする。
【0031】
いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、対照の網状赤血球レベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、または80%低い網状赤血球レベルである。いくつかの実施形態では、対照の網状赤血球レベルは、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象における網状赤血球レベル;ペグセタコプランの投与前の対象の網状赤血球レベル;または健康な対象の網状赤血球の範囲の上限である。いくつかの実施形態では、PNHに罹患し、ペグセタコプランが投与されていない対象は、現在の用量のC5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では、抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態では、エクリズマブを与えられる。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、約30~約120×10/Lである。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、約30~約100×10/Lであり、例えば、いくつかの実施形態では、約70、80、または90×10/Lである。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、約60~85×10/Lである。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、約70~80×10/Lである。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、ペグセタコプランの投与前の対象における網状赤血球レベルよりも約135×10/L低い。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、対象のペグセタコプランの初回投与後少なくとも16週間持続する。
【0032】
いくつかの実施形態では、治療は、対象の網状赤血球レベルの正常化をもたらす。いくつかの実施形態では、正常化された網状赤血球レベルは、約30~120×10細胞/Lの網状赤血球レベルである。いくつかの実施形態では、治療は、対象の網状赤血球レベルを70~80×10細胞/Lに減少させる結果となる。いくつかの実施形態では、治療は、対象の網状赤血球レベルを、ペグセタコプランの最初の用量の投与前の対象の網状赤血球レベルから少なくとも135×10細胞/L減少させる結果となる。
【0033】
いくつかの実施形態では、方法は、対象における網状赤血球レベルを測定するか、または測定したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、対象の網状赤血球レベルを測定するか、または測定したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、対象は輸血の非存在下で治療される。
【0034】
いくつかの態様では、本開示は、PNHに罹患している対象における乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のレベルを目標のLDHレベルまで減少させる方法であって、方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを対象に皮下投与し、それにより対象のLDHレベルを目標のLDHレベルまで減少させることを含む、方法を特徴とする。
【0035】
いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、対照のLDHレベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、または80%低いLDHレベルである。いくつかの実施形態では、対照のLDHレベルは、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象におけるLDHレベル;ペグセタコプランの投与前の対象のLDHレベル;または健康な対象のLDHの範囲の上限である。いくつかの実施形態では、PNHに罹患し、ペグセタコプランが投与されていない対象は、現在の用量のC5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では、抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態では、エクリズマブを与えられる。いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、約110~約225U/Lであり、例えば、いくつかの実施形態では、約120、140、160、180、200、または220U/Lである。いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、約160~230U/Lである。いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは約190U/Lである。いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、ペグセタコプランの投与前の対象におけるLDHレベルよりも約15U/L低い。いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、対象のペグセタコプランの初回投与後少なくとも16週間持続する。
【0036】
いくつかの実施形態では、方法は、対象におけるLDHレベルを測定するか、または測定したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、対象のLDHレベルを測定するか、または測定したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、LDHレベルは、ペグセタコプランの投与後、及び輸血の非存在下で、対象において減少する。
【0037】
いくつかの態様では、本開示は、PNHに罹患している対象を治療する方法であって、方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを対象に皮下投与することを含み、治療は対象のLDHレベルを目標のLDHレベルまで減少させる、方法を特徴とする。
【0038】
いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、対照のLDHレベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、または80%低いLDHレベルである。いくつかの実施形態では、対照のLDHレベルは、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象におけるLDHレベル;ペグセタコプランの投与前の対象のLDHレベル;または健康な対象のLDHの範囲の上限である。いくつかの実施形態では、PNHに罹患し、ペグセタコプランが投与されていない対象は、現在の用量のC5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では、抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態では、エクリズマブを与えられる。いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、約110~約225U/Lであり、例えば、いくつかの実施形態では、約120、140、160、180、200、または220U/Lである。いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、約160~230U/Lである。いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、約190U/Lである。いくつかの実施形態では、ペグセタコプランの投与前の対象のLDHレベルよりも約15U/L低い。いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、対象のペグセタコプランの初回投与後少なくとも16週間持続する。
【0039】
いくつかの実施形態では、治療は、対象のLDHレベルの正常化をもたらす。いくつかの実施形態では、正常化されたLDHレベルは、約113~226U/LのLDHレベルである。いくつかの実施形態では、正常化されたLDHレベルは、約110~225U/LのLDHレベルである。いくつかの実施形態では、治療は、対象のLDHレベルを、ペグセタコプランの最初の用量の投与前の対象のLDHレベルから少なくとも15U/L減少させる結果となる。
【0040】
いくつかの実施形態では、方法は、対象におけるLDHレベルを測定するか、または測定したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ペグセタコプランの投与前及び/または投与後に、対象のLDHレベルを測定するか、または測定したことをさらに含む。いくつかの実施形態では、対象は輸血の非存在下で治療される。
【0041】
いくつかの態様では、本開示は、PNHに罹患している対象における倦怠感のレベルを目標の倦怠感レベルまで減少させる方法であって、方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを対象に皮下投与し、それにより対象の倦怠感レベルを目標の倦怠感レベルまで減少させることを含む、方法を特徴とする。
【0042】
いくつかの実施形態では、倦怠感レベルは、FACIT倦怠感尺度スコアを使用して評価される。いくつかの実施形態では、目標の倦怠感レベルは、対照のFACIT倦怠感尺度スコアと比較して、少なくとも5、10、15、20ポイント、またはそれ以上高いFACIT倦怠感尺度スコアである。いくつかの実施形態では、対照のFACIT倦怠感尺度スコアは、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象からのFACIT倦怠感尺度スコア;ペグセタコプランの投与前の対象のFACIT倦怠感尺度スコア;または健康な対象からのFACIT倦怠感尺度スコアの範囲の下限である。いくつかの実施形態では、PNHに罹患し、ペグセタコプランが投与されていない対象は、現在の用量のC5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では、抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態では、エクリズマブを与えられる。いくつかの実施形態では、目標の倦怠感レベルは、約32、34、36、38、40、42、44、46、または48のFACIT倦怠感尺度スコアである。いくつかの実施形態では、目標の倦怠感レベルは、約40~約44のFACIT倦怠感尺度スコアである。いくつかの実施形態では、目標の倦怠感レベルは、ペグセタコプランの投与前の対象からのFACIT倦怠感尺度スコアよりも約7.5~約11ポイント高い、例えば、いくつかの実施形態では約9ポイント高いFACIT倦怠感尺度スコアである。いくつかの実施形態では、目標の倦怠感レベルは、対象のペグセタコプランの初回投与後少なくとも16週間持続する。
【0043】
いくつかの実施形態では、方法は、対象からのFACIT倦怠感尺度スコアを評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ペグセタコプランの投与前及び/または投与後の対象からのFACIT倦怠感尺度スコアを評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、対象からのFACIT倦怠感尺度スコアは、ペグセタコプランの投与後、及び輸血の非存在下で増加する。
【0044】
いくつかの態様では、本開示は、PNHに罹患している対象を治療する方法であって、方法が、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを対象に皮下投与することを含み、治療は対象の倦怠感レベルを目標の倦怠感レベルまで減少させる、方法を特徴とする。
【0045】
いくつかの実施形態では、倦怠感レベルは、FACIT倦怠感尺度スコアを使用して評価される。いくつかの実施形態では、目標の倦怠感レベルは、対照のFACIT倦怠感尺度スコアと比較して、少なくとも5、10、15、20ポイント、またはそれ以上高いFACIT倦怠感尺度スコアである。いくつかの実施形態では、対照のFACIT倦怠感尺度スコアは、PNHに罹患しており、ペグセタコプランを投与されていない対象からのFACIT倦怠感尺度スコア;ペグセタコプランの投与前の対象のFACIT倦怠感尺度スコア;または健康な対象からのFACIT倦怠感尺度スコアの範囲の下限である。いくつかの実施形態では、PNHに罹患し、ペグセタコプランが投与されていない対象は、現在の用量のC5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では、抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態では、エクリズマブを与えられる。いくつかの実施形態では、目標の倦怠感レベルは、約32、34、36、38、40、42、44、46、または48のFACIT倦怠感尺度スコアである。いくつかの実施形態では、目標の倦怠感レベルは、約40~約44のFACIT倦怠感尺度スコアである。いくつかの実施形態では、目標の倦怠感レベルは、ペグセタコプランの投与前の対象からのFACIT倦怠感尺度スコアよりも約7.5~約11ポイント高い、例えば、いくつかの実施形態では約9ポイント高いFACIT倦怠感尺度スコアである。いくつかの実施形態では、目標の倦怠感レベルは、対象のペグセタコプランの初回投与後少なくとも16週間持続する。
【0046】
いくつかの実施形態では、治療は、対象のFACIT倦怠感尺度スコアを少なくとも40に増加させる結果となる。いくつかの実施形態では、治療は、対象のFACIT倦怠感尺度スコアを、ペグセタコプランの最初の用量の投与前の対象のFACIT倦怠感尺度スコアから少なくとも9ポイント増加させる結果となる。
【0047】
いくつかの実施形態では、方法は、対象からのFACIT倦怠感尺度スコアを評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ペグセタコプランの投与前及び/または投与後の対象からのFACIT倦怠感尺度スコアを評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、対象は輸血の非存在下で治療される。
【0048】
本明細書に記載のいくつかの態様では、ペグセタコプランの投与前に、対象は、C5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態ではエクリズマブを投与されていない。
【0049】
本明細書に記載のいくつかの態様では、ペグセタコプランの投与前に、対象は、C5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態ではエクリズマブを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、C5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では、抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態では、エクリズマブを投与された後、輸血依存性のままである。いくつかの実施形態では、対象は、C5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態ではエクリズマブを投与された後、約12g/dL未満、約11g/dL未満、約10.5g/dL未満、約10g/dL未満、約9g/dL未満、または約8g/dL未満のヘモグロビンレベルを有する。いくつかの実施形態では、対象は、C5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態ではエクリズマブの少なくとも1回の投与と組み合わせて、ペグセタコプランの少なくとも1回の投与を受ける。
【0050】
本明細書に記載のいくつかの態様では、ペグセタコプランの投与後に、対象は、C5阻害剤、例えば、いくつかの実施形態では抗C5抗体、例えば、いくつかの実施形態ではエクリズマブの投与を受けない。
【0051】
本明細書に記載のいくつかの態様では、ペグセタコプランは、少なくとも約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、または少なくとも約52週間の間投与される。
【0052】
本明細書に記載されるいくつかの態様では、約1080mgのペグセタコプランは、ポンプを使用して、週に2回または3日ごとに自己投与される。
【0053】
いくつかの態様では、本開示は、PNHに罹患している対象を治療する方法であって、方法が、約1080mgのペグセタコプランを週に2回または3日ごとに対象に皮下投与することを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、ペグセタコプランは、5%デキストロース中の溶液として、酢酸緩衝マンニトール中の溶液として、または皮下投与のために、例えば、皮下自己投与のために、酢酸緩衝ソルビトール中の溶液として投与される。いくつかの実施形態では、ペグセタコプランは、容積モル濃度が250~350mOsm/kgである、pHが約5.0で、弱く緩衝された、酢酸緩衝ソルビトール中の滅菌溶液として投与される。いくつかの実施形態では、ペグセタコプランは、皮下注入に適した市販のポンプを使用して投与される。
【0054】
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1A】ペグセタコパン(「APL-2」)の構造を示しており、nが約800~約1100であり、PEGが約40kDであると仮定している。
図1B】PEGASUS試験設計の概略図である。
図2A】APL-2群及びエクリズマブ群のベースラインから16週目までのヘモグロビン(g/dL)の変化(MMRM分析)を示す。
図2B】APL-2群及びエクリズマブ群のベースラインから16週目までのヘモグロビン(g/dL)レベル(経時的に観察されたデータ)を示す。
図2C】輸血歴と血小板数によって層別化された、ヘモグロビンレベルの16週目のベースラインからの調整された変化を示す(LS=最小二乗;CI=信頼区間;*値は12週目のベースラインからの変化である;16週目に、エクリズマブ群のこの層には、データが打ち切られていない輸血のない患者は残っていなかった;MMRMモデルは輸血患者の輸血後のデータを除外している)。
図2D】APL-2群及びエクリズマブ群のベースラインから16週目までのヘモグロビンレベル(輸血イベントに関係なく、すべての患者で利用可能なすべてのデータ)を示す。
図3A】APL-2群及びエクリズマブ群の輸血回避を示す。
図3B】輸血回避に対するペグセタコプランの効果を示す(全体及び輸血層)。
図3C】APL-2群及びエクリズマブ群について輸血されたPRBCユニットの数を示す。
図4A】APL-2群及びエクリズマブ群のベースラインから16週目までの網状赤血球の絶対数(10/L)の変化(MMRM分析)を示す。
図4B】APL-2群及びエクリズマブ群のベースラインから16週目までの網状赤血球の絶対数(10/L)(経時的に観察されたデータ)を示す。
図5A】APL-2群及びエクリズマブ群のベースラインから16週目までのLDH(U/L)の変化(MMRM分析)を示す。
図5B】APL-2群及びエクリズマブ群のベースラインから16週目までのLDH(U/L)レベル(経時的に観察されたデータ)を示す。
図5C】APL-2群及びエクリズマブ群のベースラインから16週目までの間接ビリルビンレベル(輸血後のデータを含む)を示す。
図6A】APL-2群とエクリズマブ群のベースラインから16週目までのFACIT倦怠感スコアの変化(MMRM分析)を示す。
図6B】APL-2群とエクリズマブ群のベースラインから16週目までのFACIT倦怠感スコア(経時的に観察されたデータ)を示す。
図6C】APL-2群とエクリズマブ群の16週目のFACIT倦怠感合計スコアとヘモグロビンの相関を示す。
図6D】APL-2群及びエクリズマブ群のFACIT倦怠感合計スコアの変化と1日目から16週目までのヘモグロビンの変化との相関関係を示す。
図7A】腫瘍評価項目及び主要な副次評価項目の分析の要約を示す。LDH=乳酸デヒドロゲナーゼFACIT=慢性疾患治療の機能評価。平均(SE)=調整された平均(SE)は、混合モデルの反復測定(MMRM)分析に基づいている。CI=信頼区間。SE=標準誤差。主要な副次評価項目分析は、事前に指定された非劣性マージンに基づいていた。治療差の95%CIのLCLまたはUCLが事前に指定されたマージンを満たした場合、非劣性が達成された。*試験されていない:LDHは非劣性を達成しなかったため、他の評価項目は試験されなかった。NRRは通常の基準範囲を示す。
図7B】主要な副次評価項目(輸血後のデータを含む)の分析の要約を示す。FACIT、慢性疾患治療の機能評価;LDH、乳酸デヒドロゲナーゼ;LS、最小二乗;MMRM、混合モデルの反復測定;NRR、通常の基準範囲;平均(SE)、調整された平均(SE)は、MMRM分析に基づいている。主要な副次評価項目分析は、事前に指定された非劣性マージンに基づいている。層の差が調整される。
図8】16週間での血液学的マーカーの正常化と、FACIT倦怠感スコアの臨床的に意味のある改善を示す。ヘモグロビン正常範囲:女性≧12~16g/dL、男性≧13.6~18g/dL。網状赤血球の正常化:30~120×10細胞/L。LDH正常範囲:113~226U/L。
図9A】エクリズマブに無作為化された単一の患者及びペグセタコプランに無作為化された単一の患者における赤血球へのC3d負荷を示す。
図9B】ペグセタコプランまたはエクリズマブの対象におけるタイプIII RBCへのC3沈着のレベルを示す。
図9C】ペグセタコプラン及びエクリズマブの対象のクローンサイズ及びC3負荷を示す。
図10】16週目のペグセタコプラン及びエクリズマブの治療を受けた対象の血液学的応答を示す。
図11】マッチング後の16週目(PEGASUS研究)及び26週目(302研究)までのヘモグロビン及び倦怠感に関連する選択された評価項目のアンカー比較を示す。
図12】APL-2群及びエクリズマブ群のベースラインから48週目までの平均ヘモグロビン(g/dL)レベル(経時的に観察されたデータ)を示す。16週間の無作為化比較期間の後、すべての患者(APL-2群及びエクリズマブ群)は非盲検期間に入り、17週から48週までAPL-2を投与された。
【0056】
定義
動物:本明細書で使用される場合、「動物」という用語は、動物界の任意のメンバーを指す。いくつかの実施形態では、「動物」は、発生の任意の段階におけるヒトを指す。いくつかの実施形態では、「動物」は、発生の任意の段階における非ヒト動物を指す。特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長目、及び/またはブタ)である。いくつかの実施形態では、動物には、哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、及び/または線虫が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子改変動物、及び/またはクローンであり得る。
【0057】
抗体:本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗原に結合することができる免疫グロブリンドメインを含む免疫グロブリンまたはその誘導体を指す。抗体は、例えばヒト、げっ歯類、ウサギ、ヤギ、ニワトリなど、あらゆる種のものであってよい。抗体は、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEのヒトのクラス、またはIgG1、IgG2などのそのサブクラスを含む、任意の免疫グロブリンのクラスのうちのメンバーであり得る。本開示の様々な実施形態では、抗体は、Fab’、F(ab’)、scFv(一本鎖可変)または抗原結合部位を保持する他の断片、または組換えにより産生された断片を含む、組換えにより産生されたscFv断片などの断片である。例えば、Allen,T.,Nature Reviews Cancer,Vol.2,750-765,2002、及びその中の参考文献を参照されたい。抗体は一価、二価、または多価であり得る。抗体は、例えば、齧歯動物起源の可変ドメインがヒト起源の定常ドメインに融合され、したがって齧歯動物抗体の特異性を保持するキメラまたは「ヒト化」抗体であり得る。ヒト起源のドメインは、それがヒトで最初に合成されるという意味で、ヒトに直接由来する必要はない。代わりに、「ヒト」ドメインは、ゲノムにヒト免疫グロブリン遺伝子が組み込まれているげっ歯類で生成されていてもよい。例えば、Vaughan,et al.,(1998),Nature Biotechnology,16:535-539を参照されたい。抗体は部分的または完全にヒト化され得る。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得るが、本開示の目的のために、モノクローナル抗体が一般的に好ましい。実質的に任意の目的の分子に特異的に結合する抗体を産生するための方法は、当該技術分野で知られている。例えば、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体は、(例えば、分子またはその抗原性断片への自然曝露またはそれによる免疫化に続いて)抗体を産生する動物の血液または腹水から精製することができ、細胞培養またはトランスジェニック生物において組換え技術を使用して産生することができ、または少なくとも部分的に化学合成によって作製することができる。
【0058】
およそ:本明細書で使用される場合、数に関して「およそ(approximately)」または「約(about)」という用語は、一般に、特段他が明記されていない限り、または文脈から他が明らかな場合を除いて、数のいずれかの方向(より大きいまたはより小さい)で5%、10%、15%、または20%の範囲内にある数を含むと解釈される(このような数が0%未満または可能な値の100%を超える場合を除く)。いくつかの実施形態では、「約X」という用語は、数「X」と、数Xのいずれかの方向(より大きいまたはより小さい)で5%、10%、15%、または20%の範囲内にある数を含む。
【0059】
併用療法:本明細書で使用される場合、「併用療法」という用語は、対象が同時に両方の薬剤に露出されるように2つ以上の異なる医薬品が重複したレジメンにおいて投与されるこれらの状況を指す。併用療法において使用される場合、2つ以上の異なる薬剤は、同時にまたは別個に投与され得る。組み合わせたこの投与は、同じ剤形における2つ以上の薬剤の同時投与、別個の剤形における同時投与、及び別個の投与を含むことができる。すなわち、2つ以上の薬剤は、同じ剤形において一緒に製剤化され、同時に投与され得る。代替的に、2つ以上の薬剤は同時に投与されることができ、薬剤は別個の製剤中に存在する。別の代替では、第1の薬剤に続いて、1つ以上の追加の薬剤が投与され得る。別個の投与プロトコールでは、2つ以上の薬剤は、数分間隔で投与、または数時間間隔、または数日間隔、または数週間間隔で投与され得る。いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤を1~2週間間隔で投与することができる。いくつかの実施形態では、同じ疾患を治療するのに有用な2つ以上の薬剤が組み合わせて投与される場合、2つ以上の薬剤のそれぞれは、そのような薬剤が疾患の治療のための唯一の薬剤として使用された場合に使用される投与レジメンを使用して投与され得る。例えば、いくつかの実施形態では、同じ疾患、例えばPNHを治療するのに有用な2つ以上の補体阻害剤が組み合わせて投与される場合、2つ以上の薬剤のそれぞれは、そのような補体阻害剤が疾患の治療のための唯一の薬剤として使用された場合に使用される投与レジメンを使用して投与され得る。
【0060】
補体成分:本明細書で使用される場合、「補体成分」または「補体タンパク質」という用語は、補体系の活性化に関与するか、または1つ以上補体媒介活性に関与する分子である。古典的補体経路の構成要素としては、例えば、C1q、C1r、C1s、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、及び膜侵襲複合体(MAC)とも呼ばれるC5b-9複合体、ならびに前述のいずれかの活性断片または酵素的切断産物(例えば、C3a、C3b、C4a、C4b、C5aなど)が挙げられる。代替経路の構成要素としては、例えば、因子B、D、H、及びI、及びプロペルジンが挙げられ、因子Hは経路の負の調節因子である。レクチン経路の構成要素としては、例えば、MBL2、MASP-1、及びMASP-2が挙げられる。補体成分としては、可溶性補体成分の細胞結合受容体も挙げられる。このような受容体としては、例えば、C5a受容体(C5aR)、C3a受容体(C3aR)、補体受容体1(CR1)、補体受容体2(CR2)、補体受容体3(CR3)などが挙げられる。「補体成分」という用語は、補体活性化の「トリガー」として機能する分子及び分子構造、例えば、抗原-抗体複合体、微生物または人工表面に見られる外来構造などを含むことを意図していない。
【0061】
同一性:本明細書で使用される場合、「同一性」という用語は、高分子分子間、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)間及び/またはポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。いくつかの実施形態では、複数の高分子分子は、それらの配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一である場合に互いに対して「実質的に同一」であるとみなされる。例えば、2つの核酸またはポリペプチドの配列の同一性パーセントの計算は、最適な比較を目的として2つの配列をアラインすることによって行うことができる(例えば、最適なアラインメントのために第1の配列及び第2の配列の一方または両方にギャップを導入してもよく、比較を目的として非同一配列を無視してもよい)。ある特定の実施形態では、比較目的のためのアラインされた配列の長さは、参照配列の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または実質的に100%である。次いで、対応する位置にあるヌクレオチドを比較する。第1の配列の位置が、第2の配列の対応する位置と同一の残基(例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸)で占められている場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要のあるギャップの数とそれぞれのギャップの長さを考慮して、配列によって共有される同一の位置の数の関数である。配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。例えば、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているMeyers and Miller(CABIOS,1989,4:11-17)のアルゴリズムを使用して、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントを決定できる。いくつかの例示的な実施形態では、ALIGNプログラムを用いる核酸配列の比較では、PAM120重み付け残基表、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を使用する。2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、代替的には、NWSgapdna.CMP行列を使用するGCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用して決定することもできる。
【0062】
連結される:本明細書で使用される場合、「連結される」という用語は、2つ以上の部分に関して使用される場合、部分が物理的に結合または互いに接続されて、部分が、結合が形成される条件、好ましくは、新しい分子構造が使用される条件下、例えば、生理学的条件下で結合されたままであるように十分に安定な分子構造を形成することを意味する。本開示の特定の好ましい実施形態では、連結は共有結合である。他の実施形態では、連結は非共有である。部分は、直接的または間接的に連結され得る。2つの部分が直接連結している場合、それらは互いに共有結合しているか、2つの部分間の分子間力がそれらの結合を維持するように十分に近接している。2つの部分が間接的に連結されている場合、それらはそれぞれ、第3の部分に共有結合または非共有結合のいずれかで連結されており、これにより、2つの部分間の結合が維持される。一般に、2つの部分が「リンカー」または「連結部分」または「連結部分」によって連結されていると呼ばれる場合、2つの連結部分間の連結は間接的であり、典型的には、連結部分のそれぞれは、リンカーに共有結合している。リンカーは、部分の安定性と一致する条件下で(条件に応じて適切に保護され得る)、十分な量で、合理的な期間内に連結される2つの部分と反応して合理的な収量を生じる任意の適切な部分であり得る。
【0063】
局所投与:本明細書で使用される場合、本明細書に記載の補体阻害剤の送達に関する「局所投与」または「局所送達」という用語は、血管系を介したその意図される標的組織または部位への補体阻害剤の輸送に依存しない送達を指す。本明細書に記載の補体阻害剤は、その意図された標的組織または部位に直接、またはその近傍、例えば、意図された標的組織または部位に近接して送達され得る。例えば、補体阻害剤は、組成物または薬剤の注射または移植によって、または組成物または薬剤を含むデバイスの注射または移植によって送達され得る。標的組織または部位の近傍での局所投与に続いて、本明細書に記載の補体阻害剤、またはその1つ以上の成分は、意図された標的組織または部位に拡散し得る。本明細書に記載の補体阻害剤の一部(通常、投与量のごく一部のみ)が局所的に送達されると、血管系に入り、意図された標的組織または部位に戻ることを含む別の場所に輸送され得ることが理解されよう。本明細書で使用される場合、本明細書に記載のウイルスベクターの送達に関する「局所投与」または「局所送達」という用語は、血管系を介したその意図される標的組織または部位へのウイルスベクターの輸送に依存し得る送達を指す。
【0064】
医薬組成物:本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、活性作用物質が1以上の薬学的に許容される担体と共に製剤化されている組成物を指す。いくつかの実施形態では、活性作用物質は、関連性のある集団に投与した場合に既定の治療効果を達成する統計的に有意な確率を示す治療レジメンにおける投与に適切な単位用量で存在する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口投与、例えば、飲薬(水性または非水性の溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、頬側、舌下、及び体内吸収を目標のとするもの、ボーラス、粉末、顆粒、舌に適用するためのペースト;非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、静脈内もしくは硬膜外注射によるもの、例えば、滅菌溶液もしくは懸濁液、もしくは持続放出製剤としてのもの;局所適用、例えば、皮膚、肺、もしくは口腔に適用されるクリーム、軟膏、もしくは制御放出性パッチもしくはスプレーとしてのもの;膣内投与もしくは直腸内投与、例えば、ペッサリー、クリーム、もしくは泡状物としてのもの;舌下投与;眼内投与;経皮投与;または経鼻投与、肺内投与、及び他の粘膜表面への投与に適したものを含め、固体または液体形態で投与するために特別に製剤化されていてもよい。
【0065】
対象:本明細書で使用される場合、「対象」または「被験者」という用語は、提供される化合物または組成物が、例えば、実験、診断、予防、美容、及び/または治療の目的で、本開示に従って投与される、任意の生物を指す。典型的な対象は、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒト、昆虫、虫など)を含む。いくつかの実施形態では、対象は、関連する疾患、障害、及び/または状態を患っていてもよい。
【0066】
実質的に:本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、目的の特徴または特性の全体またはほぼ全体の範囲または度合を示す定性的な状態を指す。生物学分野の当業者は、生物学的及び化学的現象が、もし存在する場合、めったに完了しないこと、及び/またはめったに完全に進まないこと、または絶対的な結果を達成または回避することはめったにないことを理解するであろう。したがって、「実質的に」という用語は、多くの生物学的現象及び/または化学的現象に固有の完全性の潜在的な欠如を捕捉するために本明細書で使用される。
【0067】
に罹患している:疾患、障害、及び/または状態に「罹患している」個体または対象は、疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状があると診断されたか、及び/または疾患、障害、または状態の1つ以上の症状を示す。
【0068】
全身性:本明細書で使用される場合、補体成分に関する「全身性」という用語は、肝臓肝細胞によって合成されて血流に入る、または循環マクロファージまたは単球または他の細胞によって合成されて血流に分泌される補体タンパク質を指す。
【0069】
全身補体活性化:本明細書で使用される場合、「全身補体活性化」という用語は、血液、血漿、または血清で起こる補体活性化であり、及び/または全身の多くの場所での全身補体タンパク質の活性化を含み、多くの体組織、システム、または器官に影響を及ぼす。
【0070】
全身投与:当該技術分野でのその使用と調和して本明細書で使用される場合、「全身投与」という用語及び同様の用語は、薬剤が体内にかなりの量で広く分布し、血液中の生物学的効果、例えば、その所望の効果、及び/または血管系を介してその所望の作用部位に到達するような薬剤の投与を指す。典型的な全身投与経路としては、(i)薬剤を血管系に直接導入することによる投与、または(ii)薬剤が吸収されて血管系に入り、血液を介して1つ以上の望ましい作用部位(複数可)に運ばれる皮下、経口、肺、または筋肉内投与が挙げられる。
【0071】
治療薬剤:本明細書で使用される場合、「治療薬剤」という語句は、対象に投与された際に、治療効果を有し、及び/または所望の生物学的及び/または薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を指す。いくつかの実施形態では、治療薬剤は、対象に投与された際に、本明細書に記載のウイルスベクターに対する免疫応答などの望ましくない副作用を防ぐことができる薬剤であり得る。いくつかの実施形態では、治療薬剤は、疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状または特徴を緩和する、改善する、軽減する、阻害する、予防する、発生を遅延させる、重症度を低減させる、及び/または発生率を低減させるために使用され得る任意の物質である。
【0072】
治療有効量:本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、治療レジメンの一部として投与されたときに所望の生物学的応答を誘発する物質(例えば、治療薬剤、組成物、及び/または製剤)の量を意味する。いくつかの実施形態では、物質の治療有効量は、疾患、障害、及び/または状態に罹患しているまたは罹患しやすい対象に投与された場合に、疾患、障害、及び/または状態を治療する、診断する、予防する、及び/またはその発症を遅延するのに十分な量である。当業者によって理解されるように、物質の有効量は、所望の生物学的評価項目、送達される物質、標的の細胞または組織などのような因子に応じて変動し得る。例えば、疾患、障害、及び/または状態を治療するための製剤中の化合物の有効量は、疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状または徴候を、緩和する、改善する、軽減する、阻害する、予防する、その発症を遅延する、その重症度を低減させる、及び/またはその発生率を低減させる量である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、単回用量で投与される;いくつかの実施形態では、治療有効量を送達するために、複数の単位用量が必要とされる。
【0073】
治療すること:本明細書で使用される場合、「治療すること」という用語は、治療を提供すること、すなわち、対象の任意のタイプの医学的管理または外科的管理を提供することを指す。治療は、疾患、障害、もしくは状態の進行を逆転、緩和、阻害、予防または低減するために、または疾患、障害、もしくは状態の1つ以上の症状または徴候を逆転、緩和、その進行を予防、その可能性を低減するために、提供され得る。「予防する」とは、少なくとも一部の個人において、少なくとも一定期間、そのような疾患、障害、状態、または症状もしくは徴候が起こらないようにすることを指す。治療することは、補体媒介性状態、例えば、PNHを示す1つ以上の症状または徴候の発症後に、例えば、状態を逆転、緩和、重症度を軽減、及び/またはその進行を阻害もしくは予防するために、及び/または状態の1つ以上の症状もしくは徴候を逆転、緩和、重症度を軽減、及び/または阻害するために、対象に薬剤を投与することを含むことができる。本開示の組成物は、予防的に、すなわち、症状の発症または状態の徴候の前に投与することができる。この場合、典型的には、対象は症状を発症するリスクがある。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本開示は、本明細書に記載のコンプスタチン類似体を使用して発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を治療する方法を提供する。PNHは、ヘモグロビン尿症を伴うかまたは伴わない補体媒介赤血球(RBC)溶血、血栓性エピソードに対する感受性の増加、及び/またはある程度の骨髄機能障害を特徴とする、後天性のまれなクローン性非悪性血液疾患である。PNHの発症はしばしば潜行性である。自然寛解の報告があるが、病気の経過は一般的に慢性進行性である。
【0075】
PNHは、このプロセスから保護するために表面に機能的なCD55及びCD59を欠く赤血球クローンの補体媒介性溶解によって引き起こされることが長年にわたって知られている。このように、これらの赤血球は特に膜侵襲複合体(MAC)の影響を受けやすく、補体活性化の存在下で容易に溶解することが示されている。
【0076】
エクリズマブは、MACの形成を阻害するモノクローナル抗C5抗体であり、エクリズマブ薬(ソリリス(登録商標))がPNHの治療薬として承認されている。しかしながら、エクリズマブ治療を受けている多くのPNH患者は依然として貧血に苦しんでおり、患者の約13%のみが完全奏効、すなわち輸血の非依存性と正常なヘモグロビン(Hb)レベルを達成しているとして分類されているため、MAC形成の阻害は、疾患を完全に制御するのに十分ではないようである。例えば、ある研究では、ほとんどの患者(53%)は、輸血の必要性が減少し、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)が減少した部分奏効者として分類され、患者の33%は、輸血の必要性が変化せず、症状が持続する反応不良であった(DeZern et al.,Eur J Haematol.90(1):16-24(2013))。
【0077】
最近の研究では、エクリズマブ治療を受けている患者で、C3断片によるPNH赤血球の有意なオプソニン作用が観察されることが示唆されている。このオプソニン作用は、脾臓と肝臓による赤血球の除去を引き起こし、血管外溶血をもたらすと考えられている。血管外溶血は、エクリズマブ治療を受けたPNH患者のサブセットで重要である可能性があり、ほとんどの患者で完全なエクリズマブ応答がないことの主な原因であると考えられている。
【0078】
理論に拘束されることを望まないが、エクリズマブ療法にもかかわらずRBC輸血の継続的な必要性に寄与するパラメーターの1つである血管外溶血は、C5依存性MAC媒介血管内溶血ではなくC3bオプソニン作用によって媒介されると考えられている(Risitano et al.,Blood 113:4094-4100(2009))。エクリズマブは、C5依存性MACを介した溶血を防ぐことでCD59欠損症に対処するのに効果的であるが、PNH細胞はCD55も欠損している。これは通常、C3コンバターゼ酵素の解離を促進し、C3断片の生成とその後のオプソニン作用を阻害する。その結果、エクリズマブ療法の設定では、生き残ったPNH RBCはC3bでオプソニン化され、肝臓と脾臓に補体受容体を担持するマクロファージによる血管外溶血によるクリアランスの標的となる。
【0079】
C3bを介した血管外溶血の証拠は、エクリズマブに対する次善の血液学的反応と51Cr標識RBCを使用した大量のC3 RBC結合を示す3人の患者で観察された。これらの対象はまだエクリズマブを投与されており、LDHレベルは正常であったが、RBC半減期が著しく減少し(10、11、13日、正常範囲は25~35日)、脾臓と肝臓の画像で過剰な数が見られた(Risitano et al.,Blood 113:4094-4100(2009))。対照的に、RBCのC3bオプソニン化は、エクリズマブで治療されていないPNH患者では観察されない。これは、おそらくこれらの患者のRBCがMACによって急速に溶解されるためである(Risitano et al.,Blood 113:4094-4100(2009))。C5阻害は、多くのPNH患者の生活に劇的なプラスの影響を及ぼしたが、抗C5療法は、継続的なエクリズマブ療法にもかかわらず、持続的な血管外溶血及びRBC輸血が必要なPNH患者の亜集団の出現をもたらした。これは少なくとも部分的にはRBCのC3bオプソニン化に起因するらしい。
【0080】
I. 補体系
補体は、感染性病原体から体を守るのに重要な役割を果たす自然免疫系の武器である。補体系は、古典的経路、副経路、及びレクチン経路として知られる3つの主要な経路に関与する30を超える血清及び細胞タンパク質で構成されている。古典的経路は通常、抗原とIgMまたはIgG抗体の複合体がC1に結合することによって引き起こされる(ただし、特定の他の活性化因子も経路を開始することができる)。活性化されたC1はC4とC2を切断して、C2aとC2bに加えて、C4aとC4bを生成する。C4bとC2aが結合してC3コンバターゼを形成し、C3コンバターゼがC3を切断してC3aとC3bを形成する。C3bがC3コンバターゼに結合すると、C5コンバターゼが生成され、C5がC5aとC5bに切断される。C3a、C4a、及びC5aはアナフィラトキシンであり、急性炎症反応における複数の反応を媒介する。C3aとC5aは、好中球などの免疫系細胞を誘引する走化性因子でもある。その後、科学文献では「C2a」と「C2b」の名前が逆になっていることが理解される。
【0081】
副経路は、例えば微生物表面及び様々な複合多糖類によって開始され、増幅される。この経路では、低レベルで自発的に発生するC3からC3(HO)への加水分解により、B因子の結合がもたらされ、D因子によって切断され、C3をC3aとC3bに切断することによって補体を活性化する液相C3コンバターゼが生成される。C3bは細胞表面などの標的に結合し、因子Bと複合体を形成する。これは、後に因子Dによって切断され、C3コンバターゼになる。表面に結合したC3コンバターゼは、追加のC3分子を切断して活性化し、活性化部位にごく近接した急速なC3b沈着をもたらし、追加のC3コンバターゼを形成し、これにより、追加のC3bが生成される。このプロセスにより、C3切断とC3コンバターゼ形成のサイクルが生じ、応答が大幅に増幅される。C3の切断及びC3bの別の分子のC3コンバターゼへの結合は、C5コンバターゼを生じさせる。この経路のC3コンバターゼ及びC5コンバターゼは、細胞分子CR1、DAF、MCP、CD59、及びfHによって制御されている。これらのタンパク質の作用機序には、崩壊促進活性(すなわち、コンバターゼを解離する能力)、第I因子によるC3bまたはC4bの分解における補因子として機能する能力、あるいはその両方が含まれる。通常、細胞表面に補体調節タンパク質が存在すると、その上で有意な補体活性化が起こるのを防ぐ。
【0082】
両方の経路で生成されたC5コンバターゼは、C5を切断してC5aとC5bを生成する。次に、C5bはC6、C7、及びC8に結合してC5b-8を形成し、C9の重合を触媒してC5b-9膜侵襲複合体(MAC)を形成する。MACはそれ自体を標的細胞膜に挿入し、細胞溶解を引き起こす。細胞膜上の少量のMACは、細胞死以外のさまざまな結果をもたらし得る。
【0083】
レクチン補体経路は、マンノース結合レクチン(MBL)及びMBL関連セリンプロテアーゼ(MASP)の炭水化物への結合によって開始される。MB1-1遺伝子(ヒトではLMAN-1として知られる)は、小胞体とゴルジ体の間の中間領域に局在するI型膜内在性タンパク質をコードしている。MBL-2遺伝子は、血清中に見られる可溶性マンノース結合タンパク質をコードしている。ヒトのレクチン経路では、MASP-1とMASP-2がC4とC2のタンパク質分解に関与し、上記のC3コンバターゼをもたらす。更なる詳細については、例えば、Kuby Immunology,6th ed.,2006;Paul,W.E.,Fundamental Immunology,Lippincott Williams & Wilkins;6th ed.,2008;及びWalport MJ.,Complement. First of two parts. N Engl J Med.,344(14):1058-66,2001に見られる。
【0084】
補体活性は、補体制御タンパク質(CCP)または補体活性化(RCA)タンパク質の調節因子と呼ばれるさまざまな哺乳動物タンパク質によって調節される(米国特許第6,897,290号)。これらのタンパク質は、リガンドの特異性と補体阻害のメカニズム(複数可)に関して異なる。それらは、コンバターゼの通常の崩壊を加速し、及び/または第I因子の補因子として機能し、C3b及び/またはC4bをより小さな断片に酵素的に切断し得る。CCPは、ショートコンセンサスリピート(SCR)、補体制御タンパク質(CCP)モジュール、またはSUSHIドメインとして知られる、4つのジスルフィド結合システイン(2つのジスルフィド結合)、プロリン、トリプトファン、及び多くの疎水性残基を含む保存されたモチーフを含む長さ約50~70アミノ酸の複数の(典型的には4~56)相同モチーフの存在を特徴としている。CCPファミリーには、補体受容体1型(CR1;C3b:C4b受容体)、補体受容体2型(CR2)、膜補体タンパク質(MCP;CD46)、崩壊促進因子(DAF、CD55としても知られる)、補体因子H(fH)、及びC4b結合タンパク質(C4bp)が含まれる。CD59は、CCPとは構造的に無関係な膜結合型補体調節タンパク質である。補体調節タンパク質は通常、哺乳動物の細胞または組織、例えばヒト宿主で発生する可能性のある補体活性化を制限する働きをする。したがって、「自己」細胞は通常、補体の活性化がこれらの細胞で進行することで生じる有害な影響から保護される。補体調節タンパク質(複数可)の欠損または欠陥は、さまざまな補体媒介性障害の病因に関与している。
【0085】
II. コンプスタチン類似体
本開示の方法は、コンプスタチン類似体を使用するPNHの治療を含む。コンプスタチンは、C3に結合し、補体の活性化を阻害する環状ペプチドである。米国特許米国特許第6,319,897号は、Ile-[Cys-Val-Val-Gln-Asp-Trp-Gly-His-His-Arg-Cys]-Thr(配列番号1)の配列を有し、括弧で示された2つのシステイン間のジスルフィド結合を有するペプチドを記載する。「コンプスタチン」という名前は米国特許第6,319,897号では使用されていないが、それは、その後、科学文献及び特許文献(例えば、Morikis,et al.,Protein Sci.,7(3):619-27,1998を参照されたい)で採用され、米国特許第6,319,897号で開示される配列番号2と同じ配列を有するが、表1に示されるようにC末端でアミド化されている(配列番号8)ペプチドを指すのに適用さられたことは理解されよう。「コンプスタチン」という用語は、本明細書ではそのような使用法と調和して使用される(すなわち、配列番号8を指す)。コンプスタチンよりも高い補体阻害活性を有するコンプスタチン類似体が開発された。例えば、WO2004/026328(PCT/US2003/029653)、Morikis,D.,et al.,Biochem Soc Trans.32(Pt 1):28-32,2004、Mallik,B.,et al.,J.Med.Chem.,274-286,2005;Katragadda,M.,et al.J.Med.Chem.,49:4616-4622,2006;WO2007062249(PCT/US2006/045539);WO2007044668(PCT/US2006/039397)、WO/2009/046198(PCT/US2008/078593);WO/2010/127336(PCT/US2010/033345)及び以下の議論 を参照されたい。
【0086】
本明細書で使用される場合、「コンプスタチン類似体」という用語は、コンプスタチン及びその任意の補体阻害類似体を含む。「コンプスタチン類似体」という用語は、コンプスタチン、ならびにコンプスタチン及びコンプスタチンに基づいて設計または同定され、その補体阻害活性が、例えば、当該技術分野で認められている任意の補体活性化アッセイまたは実質的に類似もしくは同等のアッセイを使用して測定したコンプスタチンの保体阻害活性の少なくとも50%の大きさである他の化合物を包含する。特定の適切なアッセイは、米国特許第6,319,897号、WO2004/026328、Morikis,前出,Mallik,前出,Katragadda 2006,前出、WO2007062249(PCT/US2006/045539);WO2007044668(PCT/US2006/039397)、WO/2009/046198(PCT/US2008/078593);及び/またはWO/2010/127336(PCT/US2010/033345)に記載されている。アッセイは、例えば、副経路または古典的経路媒介赤血球溶解を測定するか、またはELISAアッセイであり得る。いくつかの実施形態では、WO/2010/135717(PCT/US2010/035871)に記載されているアッセイが使用される。
【0087】
表1は、本開示において有用なコンプスタチン類似体の非限定的なリストを提供する。類似体は、親ペプチドであるコンプスタチンと比較して、指定された位置(1~13)での特定の改変を示すことにより、左の列で省略形で参照される。当該技術分野での使用と調和して、本明細書で使用される「コンプスタチン」、及びコンプスタチンの活性と比較した本明細書に記載のコンプスタチン類似体の活性は、C末端でアミド化されたコンプスタチンペプチドを指す。別途示されない限り、表1のペプチドはC末端でアミド化されている。太字のテキストは、特定の改変を示すために使用される。コンプスタチンと比較した活性は、そこに記載されている公開されたデータ及びアッセイに基づいている(WO2004/026328、WO2007044668、Mallik,2005;Katragadda,2006)。特定の実施形態では、表1に列挙されたペプチドは、本開示の治療組成物及び方法において使用される場合、2つのCys残基間のジスルフィド結合を介して環化される。ペプチドを環化するための代替手段もまた、本開示の範囲内である。
【表1-1】
【表1-2】
【0088】
本開示の組成物及び方法の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、配列9~36から選択される配列を有する。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体は、配列番号28の配列を有する。本明細書で使用される場合、「L-アミノ酸」は、タンパク質またはそれらのアルファ-アミノ酸のアルキルエステルに通常存在する天然に存在する左旋性アルファ-アミノ酸のいずれかを指す。「D-アミノ酸」という用語は、右旋性アルファ-アミノ酸を指す。別段の定めがない限り、本明細書で言及されるすべてのアミノ酸はL-アミノ酸である。
【0089】
いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体(例えば、本明細書に開示されるコンプスタチン類似体のいずれか)の1つ以上のアミノ酸(複数可)は、N-アルキルアミノ酸(例えば、N-メチルアミノ酸)であり得る。例えば、非限定的に、ペプチドの環状部分内の少なくとも1つのアミノ酸、環状部分のN末端の少なくとも1つのアミノ酸、及び/または環状部分のC末端の少なくとも1つのアミノ酸は、N-アルキルアミノ酸、例えば、N-メチルアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、コンプスタチン類似体は、例えば、コンプスタチンの位置8に対応する位置及び/またはコンプスタチンの位置13に対応する位置に、N-メチルグリシンを含む。いくつかの実施形態では、表1のコンプスタチン類似体のうちの1つ以上は、例えば、コンプスタチンの位置8に対応する位置及び/またはコンプスタチンの位置13に対応する位置に、少なくとも1つのN-メチルグリシンを含む。いくつかの実施形態では、表1のコンプスタチン類似体のうちの1つ以上は、例えば、コンプスタチンの位置13に対応する位置に、少なくとも1つのN-メチルイソロイシンを含む。例えば、その配列が表1に列挙されているペプチドまたは他の任意のコンプスタチン類似体の配列のC末端またはその近くのThrは、N-メチルIleで置き換えることができる。理解されるように、いくつかの実施形態では、N-メチル化アミノ酸は、位置8にN-メチルGly及び位置13にN-メチルIleを含む。
【0090】
コンプスタチン類似体は、アミノ酸残基の縮合を介して当該技術分野で知られているペプチド合成の様々な合成方法によって調製することができ、例えば、従来のペプチド合成方法に従って、インビトロでの発現によって、または当該技術分野で知られている方法を使用して、生細胞において、コンプスタチン類似体をコードする適切な核酸配列から調製することができる。例えば、ペプチドは、Malik,前出、Katragadda、前出、WO2004026328、及び/またはWO2007062249に記載されているような標準的な固相方法論を使用して合成することができる。アミノ基及びカルボキシル基、反応性官能基などの潜在的に反応性の部分は、当該技術分野で知られている様々な保護基及び方法論を使用して保護され、続いて脱保護され得る。例えば、”Protective Groups in Organic Synthesis”,3rd ed.Greene,T.W.and Wuts,P.G.,Eds.,John Wiley & Sons,New York:1999を参照されたい。ペプチドは、逆相HPLCなどの標準的なアプローチを使用して精製できる。ジアステレオマーペプチドの分離は、必要に応じて、逆相HPLCなどの既知の方法を使用して実行できる。調製物は、必要に応じて凍結乾燥し、その後、適切な溶媒、例えば水に溶解することができる。得られた溶液のpHは、NaOHなどの塩基を使用して、例えば生理学的pHに調整することができる。ペプチド調製物は、例えば、質量及び/またはジスルフィド結合の形成を確認するために、必要に応じて質量分析によって特徴付けることができる。例えば、Mallik,2005、及びKatragadda,2006を参照されたい。
【0091】
コンプスタチン類似体は、ポリエチレングリコール(PEG)などの分子を付加して、化合物を安定化し、その免疫原性を減少させ、体内でのその寿命を延ばし、その溶解度を増加及び減少させ、及び/または分解に対するその耐性を高めることによって改変できる。ペグ化の方法は当該技術分野でよく知られている(Veronese,F.M.& Harris,Adv. Drug Deliv. Rev.54,453-456,2002;Davis,F.F.,Adv. Drug Deliv. Rev.54,457-458,2002);Hinds,K.D.& Kim,S.W.Adv. Drug Deliv. Rev.54,505-530(2002;Roberts,M.J.,Bentley,M.D.& Harris,J.M.Adv. Drug Deliv. Rev.54,459-476;2002);Wang,Y.S.et al.Adv. Drug Deliv. Rev.54,547-570,2002)。ポリペプチドを便利に結合できる誘導体化PEGを含む、PEG及び修飾PEGなどの多種多様なポリマーは、Nektar Advanced Pegylation 2005-2006 Product Catalog,Nektar Therapeutics,San Carlos,CAに記載されており、適切な結合手順の詳細も提供されている。
【0092】
いくつかの実施形態では、配列番号9~36のいずれかのコンプスタチン類似体は、N末端、C末端、またはその両方において1つ以上のアミノ酸によって伸長され、ここで、アミノ酸の少なくとも1つは、コンプスタチン類似体にPEGを結合するための反応性官能基との結合を促進する、一級アミンもしくは二級アミン、スルフヒドリル基、カルボキシル基(カルボキシレート基として存在し得る)、グアニジノ基、フェノール基、インドール環、チオエーテル、またはイミダゾール環などの反応性官能基を含む側鎖を有する。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体は、一級または二級アミン、例えば、Lys残基を含む側鎖を有するアミノ酸を含む。例えば、Lys残基、またはLys残基を含む配列は、本明細書に記載のコンプスタチン類似体(例えば、配列番号9~36のいずれか1つを含むコンプスタチン類似体)のN末端及び/またはC末端に付加される。
【0093】
いくつかの実施形態では、Lys残基は、剛性または可撓性スペーサーによってコンプスタチン類似体の環状部分から分離されている。スペーサーは、例えば、置換または非置換、飽和または不飽和のアルキル鎖、オリゴ(エチレングリコール)鎖、及び/または、例えば、リンカーに関して本明細書に記載されるような他の部分を含み得る。鎖の長さは、例えば、2~20個の炭素原子の間であり得る。他の実施形態では、スペーサーはペプチドである。ペプチドスペーサーは、例えば、長さが1~20アミノ酸の間、例えば、長さが4~20アミノ酸の間であり得る。適切なスペーサーは、例えば、複数のGly残基、Ser残基、またはその両方を含むか、またはそれらからなることができる。任意選択で、一級アミンもしくは二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸及び/またはスペーサー中の少なくとも1つのアミノ酸は、D-アミノ酸である。様々なポリマー骨格または足場のいずれかを使用することができた。例えば、ポリマー骨格または足場は、ポリアミド、多糖、ポリ無水物、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、ポリペプチド、ポリエチレンオキシド、またはデンドリマーであり得る。適切な方法及びポリマー骨格は、例えば、WO98/46270(PCT/US98/07171)またはWO98/47002(PCT/US98/09663)に記載されている。いくつかの実施形態では、ポリマー骨格または足場は、カルボン酸、無水物、またはスクシンイミド基などの複数の反応性官能基を含む。ポリマー骨格または足場は、コンプスタチン類似体と反応する。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体は、ポリマー骨格上の適切な基と反応する、カルボン酸、無水物、またはスクシンイミド基などのいくつかの異なる反応性官能基のいずれかを含む。代替的に、互いに結合してポリマー骨格または足場を形成することができるモノマー単位を最初にコンプスタチン類似体と反応させ、得られたモノマーを重合させる。いくつかの実施形態では、短鎖は、予備重合され、官能化され、次いで、異なる組成の短鎖の混合物が、より長いポリマーに組み立てられる。
【0094】
いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体部分は、直線状PEGのそれぞれの末端に付着している。鎖のそれぞれの末端に反応性官能基を有する二官能性PEGを、例えば、本明細書に記載されるように使用することができる。いくつかの実施形態では、反応性官能基は同一であるが、いくつかの実施形態では、異なる反応性官能基がそれぞれの末端に存在する。
【0095】
一般に、そして本明細書に示される化合物について、ポリエチレングリコール部分は、繰り返し単位の右側または繰り返し単位の左側に酸素原子を伴って描かれる。1つの配向のみが描かれている場合、本開示は、所与の化合物または属のポリエチレングリコール部分の両方の配向(すなわち、(CHCHO)及び(OCHCH)を包含する。あるいは、化合物または属が複数のポリエチレングリコール部分を含む場合、配向のすべての組み合わせが本開示に包含される。
【0096】
いくつかの実施形態では、二官能性直線状PEGは、その末端のそれぞれに反応性官能基を含む部分を含む。反応性官能基は、同じであっても(ホモ二官能性)または異なっていても(ヘテロ二官能性)よい。いくつかの実施形態では、二官能性PEGの構造は対称的であり得、同じ部分が、反応性官能基を-(CHCHO)鎖のそれぞれの末端の酸素原子に接続するために使用される。いくつかの実施形態では、2つの反応性官能基を分子のPEG部分に接続するために、異なる部分が使用される。例示的な二官能性PEGの構造を以下に示す。説明のために、反応性官能基がNHSエステルを含む式が示されているが、他の反応性官能基を使用することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、二官能性直線状PEGは、式Aのものである:
【化1】
式中、それぞれのT及び「反応性官能基」は、独立して以下に定義され、本明細書のクラス及びサブクラスに記載され、nは、上記に定義され、本明細書のクラス及びサブクラスに記載される。
それぞれのTは、独立して共有結合またはC1-12直鎖または分岐鎖の、炭化水素鎖であり、Tの1つ以上の炭素単位が任意選択で独立して-O-、-S-、-N(R)-、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-N(R)C(O)-、-C(O)N(R)-、-S(O)-、-S(O)-、-N(R)SO-、または-SON(R)-によって置き換えられ;
それぞれのRは、独立して水素またはC1-6脂肪族である。
反応性官能基は、構造-COO-NHSを有する。
【0098】
式Aの例示的な二官能性PEGには以下が含まれる:
【化2】
【0099】
いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体上の官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル、またはチオール基)は、本明細書に記載の「反応性官能基」を有するPEG含有化合物と反応して、そのようなコンジュゲートを生成する。例として、式Iは、以下の構造を有するコンプスタチン類似体コンジュゲートを形成することができる。
【化3】
式中、
【化4】
はコンプスタチン類似体上のアミン基の結合点を表す。特定の実施形態では、アミン基は、リジン側鎖基である。
【0100】
特定の実施形態では、そのようなコンジュゲートのPEG成分は、約5kD、約10kD、約15kD、約20kD、約30kD、または約40kDの平均分子量を有する。特定の実施形態では、そのようなコンジュゲートのPEG成分は、約40kDの平均分子量を有する。
【0101】
「二機能性」または「二機能化」という用語は、本明細書では、PEGに連結した2つのコンプスタチン類似体部分を含む化合物を指すために使用されることがある。このような化合物は、文字「BF」で指定することができる。いくつかの実施形態では、二機能化化合物は対称的である。いくつかの実施形態では、二機能化化合物のPEGとそれぞれのコンプスタチン類似体部分との間の結合は同じである。いくつかの実施形態では、二機能化化合物のPEGとコンプスタチン類似体との間のそれぞれの結合は、カルバメートを含む。いくつかの実施形態では、二機能化化合物のPEGとコンプスタチン類似体との間のそれぞれの結合は、カルバメートを含み、エステルを含まない。いくつかの実施形態では、二機能化化合物のそれぞれのコンプスタチン類似体は、カルバメートを介してPEGに直接連結されている。いくつかの実施形態では、二機能化化合物のそれぞれのコンプスタチン類似体は、カルバメートを介してPEGに直接連結され、二機能化化合物は、以下の構造を有する:
【化5】
【0102】
本明細書に記載の式及び実施形態のいくつかの実施形態では、
【化6】
は、以下の構造を有するコンプスタチン類似体におけるリジン側鎖基の結合点を表す:
【化7】
式中、記号「
【化8】
」は、分子または化学式の残りの部分への化学的部分の結合点を表す。
【0103】
1つ以上の反応性官能基を含むPEGは、いくつかの実施形態では、とりわけ、例えば、NOF America Corp. White Plains,NYまたはBOC Sciences 45-16 Ramsey Road Shirley,NY 11967,USAから入手することができ、または当該技術分野で知られている方法を使用して調製することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、リンカーを使用して、本明細書に記載のコンプスタチン類似体と本明細書に記載のPEGを接続する。コンプスタチン類似体とPEGを接続するための適切なリンカーは、上記及び本明細書のクラス及びサブクラスで広範に記載されている。いくつかの実施形態では、リンカーは、複数の官能基を有し、1つの官能基は、コンプスタチン類似体に接続され、別の官能基は、PEG部分に接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは二官能性化合物である。いくつかの実施形態では、リンカーは、NH(CHCHO)nCHC(=O)OH(式中、nは1~1000である)の構造を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(AEEAc)である。いくつかの実施形態では、リンカーは、コンプスタチン類似体のポリマー部分または官能基とのコンジュゲーションのために活性化される。例えば、いくつかの実施形態では、AEEAcのカルボキシル基は、リジン基の側鎖のアミン基とコンジュゲートする前に活性化される。
【0105】
いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体上の適切な官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル、チオール、またはカルボン酸基)は、直接またはリンカーを介して、PEG部分とのコンジュゲーションのために使用される。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体は、アミン基を介してリンカーを介してPEG部分にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、アミン基は、アミノ酸残基のα-アミノ基である。いくつかの実施形態では、アミン基は、リジン側鎖のアミン基である。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体は、NH(CHCHO)nCHC(=O)OH(式中、nは1~1000である)の構造を有するリンカーを介して、リジン側鎖のアミノ基(ε-アミノ基)を介してPEG部分にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体は、AEEAcリンカーを介してリジン側鎖のアミノ基を介してPEG部分にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、NH(CHCHO)nCHC(=O)OHリンカーは、コンジュゲート後に、コンプスタチンのリジン側鎖上に-NH(CHCHO)nCHC(=O)-部分を導入する。いくつかの実施形態では、AEEAcリンカーは、コンジュゲート後に、コンプスタチンのリジン側鎖上に-NH(CHCHO)CHC(=O)-部分を導入する。
【0106】
いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体は、リンカーを介してPEG部分にコンジュゲートされ、リンカーは、AEEAc部分及びアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体は、リンカーを介してPEG部分にコンジュゲートされ、リンカーは、AEEAc部分及びリジン残基を含む。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体のC末端は、AEEAcのアミノ基に接続されており、AEEAcのC末端は、リジン残基に接続されている。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体のC末端は、AEEAcのアミノ基に接続されており、AEEAcのC末端は、リジン残基のα-アミノ酸に接続されている。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体のC末端は、AEEAcのアミノ基に接続され、AEEAcのC末端は、リジン残基のα-アミノ基に接続され、PEG部分は、上記リジン残基のε-アミノ基を介してコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、リジン残基のC末端は修飾されている。いくつかの実施形態では、リジン残基のC末端は、アミド化によって修飾されている。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体のN末端は修飾されている。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体のN末端はアセチル化されている。
【0107】
特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、M-AEEAc-Lys-Bとして表され得、式中、Bは、ブロッキング部分、例えば、NHであり、Mは、配列番号9~36のいずれかを表し、ただし、配列番号9~36のいずれかのC末端アミノ酸が、ペプチド結合を介してAEEAc-Lys-Bに連結されているという条件である。単官能性または多官能性(例えば、二官能性)のPEGのNHS部分は、リジン側鎖の遊離アミンと反応して、単機能化(1つのコンプスタチン類似体部分)または多機能化(複数のコンプスタチン類似体部分)のPEG化コンプスタチン類似体を生成する。様々な実施形態では、反応性官能基を含む側鎖を含む任意のアミノ酸を、Lysの代わりに(またはLysに加えて)使用することができる。適切な反応性官能基を含む単官能性または多官能性PEGは、NHS-エステル活性化PEGとLysとの反応と同様の方法でそのような側鎖と反応させることができる。
【0108】
上記の式及び構造のいずれかに関して、コンプスタチン類似体成分が本明細書に記載の任意のコンプスタチン類似体、例えば、配列番号9~36の任意のコンプスタチン類似体を含む実施形態が明示的に開示されていると理解されるべきである。例えば、非限定的に、コンプスタチン類似体は、配列番号28のアミノ酸配列を含み得る。コンプスタチン類似体成分が配列番号28のアミノ酸配列を含む例示的なペグ化コンプスタチン類似体を図1Aに示す。本明細書に記載されるように、様々な実施形態では、PEG部分は、様々な異なる分子量または平均分子量を有し得ることが理解されるであろう。特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、ペグセタコプラン(「APL-2」)であり、約800~約1100のnを有する図1Aの化合物の構造及び約40kDの平均分子量を有するPEGを有する。ペグセタコプランは、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、α-ヒドロ-ω-ヒドロキシ-、N-アセチル-L-イソロイシル-L-システイン-L-バリル-1-メチル-L-トリプトフィル-L-グルタミニル-L-α-アスパルチル-L-トリプトフィルグリシル-L-アラニル-L-ヒスチジル-L-アルギニル-L-システイニル-L-トレオニル-2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]アセチル-N-カルボキシ-L-リジンアミド環状(2-->12)-(ジスルフィド)を有する15,15’-ジエステル;またはO,O’-ビス[(S,S12-シクロ{Nアセチル-L-イソロイシル-L-システイニル-L-バリル-1-メチル-L-トリプトフィル-L-グルタミニル-L-α-アスパルチル-L-トリプトフィルグリシル-L-アラニル-L-ヒスチジル-L-アルギニル-L-システイン-L-トレオニル-2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]アセチル-L-リジンアミド})-N6.15-カルボニル]ポリエチレングリコール(n=800~1100)とも呼ばれる。追加のコンプスタチン類似体は、例えば、WO2012/155107及びWO2014/078731に記載されている。
【0109】
III. 治療方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、PNHを有するまたは罹患している対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約800mg~約1200mg、例えば、約1060mg~約1100mg、例えば、約1070mg~約1090mg、例えば、約1075mg~約1085mg、例えば、約1080mgで、対象に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約800mg~約1200mg、例えば、約1060mg~約1100mg、例えば、約1070mg~約1090mg、例えば、約1075mg~約1085mg、例えば、約1080mgの投与量で、週に2回、対象に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約800mg~約1200mg、例えば、約1060mg~約1100mg、例えば、約1070mg~約1090mg、例えば、約1075mg~約1085mg、例えば、約1080mgの投与量で、3日ごとに、対象に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、約800mg~約1200mg、例えば、約1060mg~約1100mg、例えば、約1070mg~約1090mg、例えば、約1075mg~約1085mg、例えば、約1080mgの投与量で、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約1.2年間、1.4年間、1.6年間、1.8年間、2年間、3年間、4年間、5年間、またはそれ以上、週に2回、対象に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、約800mg~約1200mg、例えば、約1060mg~約1100mg、例えば、約1070mg~約1090mg、例えば、約1075mg~約1085mg、例えば、約1080mgの投与量で、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約1.2年間、1.4年間、1.6年間、1.8年間、2年間、3年間、4年間、5年間、またはそれ以上、3日ごとに、対象に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約300mg~約750mg(例えば、約400mg~約650mg、例えば、約500mg~約600mg、例えば、約540mg)の投与量で、週に2回、2回の初期投与とそれに続く約400mg~約850mg(例えば、約500mg~約750mg、例えば、約600mg~約700mg、例えば、約648mg)の投与量で週に2回、小児の対象(例えば、12~17歳、体重約20~34kg)に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約400mg~約850mg(例えば、約500mg~約750mg、例えば、約600mg~約700mg、例えば、約648mg)の単回投与とそれに続く約500mg~約1000mg(例えば、約600mg~約900mg、例えば、約700mg~約850mg、例えば、約810mg)の投与量で週に2回、小児の対象(例えば、12~17歳、体重約35~49kg)に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約400mg~約850mg(例えば、約500mg~約750mg、例えば、約600mg~約700mg、例えば、約648mg)の投与量で3日ごとに、小児の対象(例えば、12~17歳、体重約20~34kg)に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約500mg~約1000mg(例えば、約600mg~約900mg、例えば、約700mg~約850mg、例えば、約810mg)の投与量で3日ごとに、小児の対象(例えば、12~17歳、体重約35~49kg)に皮下投与される。いくつかの実施形態では、PNH症状またはパラメーターの特定の1つ以上の改善(例えば、統計的に有意または臨床的に有意な改善)が対象において達成され、例えば、本明細書に記載の1つ以上の目標のレベルが達成される。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、PNHを有しているかまたは罹患している対象の集団に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約800mg~約1200mg、例えば、約1060mg~約1100mg、例えば、約1070mg~約1090mg、例えば、約1075mg~約1085mg、例えば、約1080mgで、対象の集団に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約800mg~約1200mg、例えば、約1060mg~約1100mg、例えば、約1070mg~約1090mg、例えば、約1075mg~約1085mg、例えば、約1080mgの投与量で、週に2回、対象の集団に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約800mg~約1200mg、例えば、約1060mg~約1100mg、例えば、約1070mg~約1090mg、例えば、約1075mg~約1085mg、例えば、約1080mgで、3日ごとに、対象の集団に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、約800mg~約1200mg、例えば、約1060mg~約1100mg、例えば、約1070mg~約1090mg、例えば、約1075mg~約1085mg、例えば、約1080mgの投与量で、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約1.2年間、1.4年間、1.6年間、1.8年間、2年間、3年間、4年間、5年間、またはそれ以上、週に2回、対象の集団に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、約800mg~約1200mg、例えば、約1060mg~約1100mg、例えば、約1070mg~約1090mg、例えば、約1075mg~約1085mg、例えば、約1080mgの投与量で、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約1.2年間、1.4年間、1.6年間、1.8年間、2年間、3年間、4年間、5年間、またはそれ以上、3日ごとに、対象の集団に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約300mg~約750mg(例えば、約400mg~約650mg、例えば、約500mg~約600mg、例えば、約540mg)の投与量で、週に2回、2回の初期投与とそれに続く約400mg~約850mg(例えば、約500mg~約750mg、例えば、約600mg~約700mg、例えば、約648mg)の投与量で週に2回、小児の対象(例えば、12~17歳、体重約20~34kg)の集団に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約400mg~約850mg(例えば、約500mg~約750mg、例えば、約600mg~約700mg、例えば、約648mg)の単回投与とそれに続く約500mg~約1000mg(例えば、約600mg~約900mg、例えば、約700mg~約850mg、例えば、約810mg)の投与量で週に2回、小児の対象(例えば、12~17歳、体重約35~49kg)の集団に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約400mg~約850mg(例えば、約500mg~約750mg、例えば、約600mg~約700mg、例えば、約648mg)の投与量で3日ごとに、小児の対象(例えば、12~17歳、体重約20~34kg)の集団に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約500mg~約1000mg(例えば、約600mg~約900mg、例えば、約700mg~約850mg、例えば、約810mg)の投与量で3日ごとに、小児の対象(例えば、12~17歳、体重約35~49kg)の集団に皮下投与される。いくつかの実施形態では、PNH症状またはパラメーターの1つ以上の特定の改善(例えば、統計的に有意または臨床的に有意な改善)の平均レベルが、対象の集団において達成され、例えば、対象の集団は、平均して、本明細書に記載の1つ以上の目標のレベルを達成する。
【0111】
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランの、対象(または対象の集団)への投与は、目標のヘモグロビンレベルまで対象のヘモグロビンレベルを増加させる(または対象の集団の平均ヘモグロビンレベルを増加させる)。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、対照のヘモグロビンレベルと比較して、少なくとも約1g/dL、例えば、少なくとも約2g/dL、例えば、少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、または4g/dL高いヘモグロビンレベルである。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、対照のヘモグロビンレベルと比較して、約1g/dL~約4g/dL、例えば、約2g/dL~約3g/dL、例えば、約2.4g/dL高いヘモグロビンレベルである。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、対照のヘモグロビンレベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、80%、100%、またはそれ以上高いヘモグロビンレベルである。いくつかの実施形態では、対照のヘモグロビンレベルは、PNHに罹患しており、かつコンプスタチン類似体を投与されていない対象(例えば、C5阻害剤、例えば、エクリズマブを投与されている対象もしくは対象の集団)におけるヘモグロビンレベル(もしくはPNHに罹患している対象の集団における平均ヘモグロビンレベル);コンプスタチン類似体を投与される前の対象のヘモグロビンレベル(もしくは対象の集団の平均ヘモグロビンレベル);または健康な対象のヘモグロビンレベルの範囲の下限(例えば、約12g/dL)である。いくつかの実施形態では、健康な対象におけるヘモグロビンレベルの範囲は、性別固有の範囲である。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、約10g/dL~約15g/dL、例えば、約11g/dL、約12g/dL、または約13g/dLである。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、少なくともHbレベルの正常範囲の下限、例えば、その対象の性別固有の正常範囲の少なくとも下限であるヘモグロビンレベルである。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の投与の後に達成される。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、またはそれ以上の治療の後に達成される。例えば、いくつかの実施形態では、目標のHbレベルは、本明細書に記載の補体阻害剤、例えば、ペグセタコプランによる約2、約3、または約4週間の治療の後に達成される。いくつかの実施形態では、目標のヘモグロビンレベルは、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランの少なくとも1回の投与後、例えば、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、またはそれ以上持続する。いくつかの実施形態では、例えば、目標のHbレベルは、例えば、週に2回または3日ごとに、約1080mgを皮下に投与する本明細書に記載の投与レジメンを使用して、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランによる治療の開始後、少なくとも16週間持続し、対象(または対象の集団)は、上記期間中、コンプスタチン類似体による治療下にあり、上記期間中、C5阻害剤で治療されない。ヘモグロビンレベルは、当該技術分野で知られている標準的な方法を使用して評価することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランの、対象(または対象の集団)への投与は、対象によって必要とされる輸血の数を目標の輸血の数まで減少させる(または対象の集団によって必要とされる輸血の平均数を減少させる)。いくつかの実施形態では、目標の輸血の数は、対照の輸血の数と比較して、定義された期間にわたって少なくとも1回(例えば、少なくとも2、3、4、5、6回、またはそれ以上)少ない輸血である。いくつかの実施形態では、対照の輸血の数は、PNHに罹患しており、かつ、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランを投与されていない対象(例えば、C5阻害剤、例えばエクリズマブを投与されている対象もしくは対象の集団)に投与される輸血の数(もしくはPNHに罹患している対象の集団に投与された輸血の平均数);または、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランを投与される前の対象に投与された輸血の数(もしくは対象の集団に投与された輸血の平均数)である。いくつかの実施形態では、目標の輸血の数は、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、32週間、52週間、またはそれ以上にわたって、3、2、または1回未満の輸血である。いくつかの実施形態では、目標の輸血の数は、約1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、またはそれ以上の治療の後に達成される。いくつかの実施形態では、目標の輸血の数は、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランの少なくとも1回の投与後、例えば、約1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、またはそれ以上持続する。いくつかの実施形態では、例えば、目標の輸血の数は、例えば、週に2回または3日ごとに、約1080mgを皮下に投与する本明細書に記載の投与レジメンを使用して、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランによる治療の開始後、少なくとも16週間持続し、対象(または対象の集団)は、上記期間中、コンプスタチン類似体による治療下にあり、上記期間中、C5阻害剤で治療されない。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランの、対象(または対象の集団)への投与は、対象によって必要とされるPRBCユニットの数を、例えば、目標のPRBCユニットの数まで減少させる(または対象の集団によって必要とされるPRBCユニットの平均数を減少させる)。いくつかの実施形態では、目標のPRBCユニットの数は、対照のPRBCユニットの数と比較して、定義された期間にわたって少なくとも1回(例えば、少なくとも2、3、4、5、6回、またはそれ以上)少ないPRBCユニットである。いくつかの実施形態では、対照のPRBCユニットの数は、PNHに罹患しており、かつ、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランを投与されていない対象(例えば、C5阻害剤、例えばエクリズマブを投与されている対象もしくは対象の集団)に投与されるPRBCユニットの数(もしくはPNHに罹患している対象の集団に投与されたPRBCユニットの平均数);または、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランを投与される前の対象に投与されたPRBCユニットの数(もしくは対象の集団に投与されたPRBCユニットの平均数)である。いくつかの実施形態では、目標のPRBCユニットの数は、約4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、またはそれ以上にわたって、3、2、または1回未満のPRBCユニットである。いくつかの実施形態では、PRBCユニットの数は、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、またはそれ以上の治療の後に達成される。いくつかの実施形態では、目標のPRBCユニットの数は、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランの少なくとも1回の投与後、例えば、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、16週間、またはそれ以上持続する。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランの、対象(または対象の集団)への投与は、対象の血液中の網状赤血球の数を目標の網状赤血球レベルまで減少させる(または対象の集団の血液中の網状赤血球の平均数を減少させる)。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、対照の網状赤血球レベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、または80%低い網状赤血球レベルである。いくつかの実施形態では、対照の網状赤血球レベルは、PNHに罹患しており、かつ本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランを投与されていない対象(例えば、C5阻害剤、例えば、エクリズマブを投与されている対象もしくは対象の集団)における網状赤血球レベル(もしくはPNHに罹患している対象の集団における平均網状赤血球レベル);本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランを投与される前の対象の網状赤血球レベル(もしくは対象の集団の平均網状赤血球レベル);または健康な対象の網状赤血球レベルの範囲(例えば、30~120×10/Lの健康な対象の網状赤血球レベルの範囲)の上限である。いくつかの実施形態では、健康な対象における網状赤血球レベルの範囲は、性別固有の範囲である。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、約30~約100×10/L、例えば、約70、80、または90×10/Lである。いくつか の実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、またはそれ以上の治療の後に達成される。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランの少なくとも1回の投与後、例えば、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、16週間、またはそれ以上持続する。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランの、対象(または対象の集団)への投与は、対象の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベルを、例えば目標のLDHレベルまで減少させる(または対象の集団の平均LDHレベルを減少させる)。いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、対照のLDHレベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、または80%低いLDHレベルである。いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、対照のLDHレベルと比較して、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100U/L低いLDHレベルである。いくつかの実施形態では、対照のLDHレベルは、PNHに罹患しており、かつ本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランを投与されていない対象(例えば、C5阻害剤、例えば、エクリズマブを投与されている対象もしくは対象の集団)におけるLDHレベル(もしくはPNHに罹患している対象の集団における平均LDHレベル);本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランを投与される前の対象のLDHレベル(もしくは対象の集団の平均LDHレベル);または健康な対象のLDHレベルの範囲(例えば、約113~226U/Lの健康な対象のLDHレベルの範囲)の上限である。いくつかの実施形態では、健康な対象におけるLDHレベルの範囲は、性別固有の範囲である。いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、約110~約225U/L、例えば、約120、140、160、180、200、または220U/Lである。いくつかの実施形態では、目標の網状赤血球レベルは、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、16週間、またはそれ以上の治療の後に達成される。いくつかの実施形態では、目標のLDHレベルは、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランの少なくとも1回の投与後、例えば、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、またはそれ以上持続する。
【0116】
いくつかの実施形態では、C5阻害剤、例えばエクリズマブを投与されている対象(または対象の集団)への本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランの投与は、対象のLDHレベルを、例えば、目標のLDHレベルで、例えば、コンプスタチン類似体での治療前のレベルと比較して、5%、10%、または15%以下しか変化しない対象のLDHレベルで維持する(または対象の集団平均LDHレベルを維持する)。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランの、対象(または対象の集団)への投与は、対象の間接(非コンジュゲート)ビリルビンレベルを、例えば目標の間接ビリルビンレベルまで減少させる(または対象の集団の平均間接ビリルビンレベルを減少させる)。いくつかの実施形態では、目標の間接ビリルビンレベルは、対照の間接ビリルビンレベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、または80%低い間接ビリルビンレベルである。いくつかの実施形態では、対照の間接ビリルビンレベルは、PNHに罹患しており、かつ本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランを投与されていない対象(例えば、C5阻害剤、例えば、エクリズマブを投与されている対象もしくは対象の集団)における間接ビリルビンレベル(もしくはPNHに罹患している対象の集団における平均間接ビリルビンレベル);本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランを投与される前の対象の間接ビリルビンレベル(もしくは対象の集団の平均間接ビリルビンレベル);または健康な対象の間接ビリルビンレベルの範囲の上限である。いくつかの実施形態では、健康な対象における間接ビリルビンレベルの範囲は、性別固有の範囲である。いくつかの実施形態では、目標の間接ビリルビンレベルは、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、またはそれ以上の治療の後に達成される。いくつかの実施形態では、目標の間接ビリルビンレベルは、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランの少なくとも1回の投与後、例えば、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、16週間、またはそれ以上持続する。
【0118】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランの、対象(または対象の集団)への投与は、目標のハプトグロビンレベルまで対象のハプトグロビンレベルを増加させる(または対象の集団の平均ハプトグロビンレベルを増加させる)。いくつかの実施形態では、目標のハプトグロビンレベルは、対照のハプトグロビンレベルと比較して、少なくとも約20%、40%、60%、80%、100%、またはそれ以上高いハプトグロビンレベルである。いくつかの実施形態では、対照のハプトグロビンレベルは、PNHに罹患しており、かつコンプスタチン類似体を投与されていない対象(例えば、C5阻害剤、例えば、エクリズマブを投与されている対象もしくは対象の集団)におけるハプトグロビンレベル(もしくはPNHに罹患している対象の集団における平均ハプトグロビンレベル);コンプスタチン類似体を投与される前の対象のハプトグロビンレベル(もしくは対象の集団の平均ハプトグロビンレベル);または健康な対象のハプトグロビンレベルの範囲の下限である。いくつかの実施形態では、健康な対象におけるハプトグロビンレベルの範囲は、性別固有の範囲である。いくつかの実施形態では、目標のハプトグロビンレベルは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の投与の後に達成される。いくつかの実施形態では、目標のハプトグロビンレベルは、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、またはそれ以上の治療の後に達成される。いくつかの実施形態では、目標のハプトグロビンレベルは、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランの少なくとも1回の投与後、例えば、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、16週間、またはそれ以上持続する。ハプトグロビンレベルは、当該技術分野で知られている標準的な方法を使用して評価することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランの、対象(または対象の集団)への投与は、目標の倦怠感レベルまで対象の倦怠感レベルを減少させる(または対象の集団の平均倦怠感レベルを減少させる)。いくつかの実施形態では、倦怠感レベルは、FACIT倦怠感尺度スコアを使用して評価される。いくつかの実施形態では、目標の倦怠感レベルは、対照のFACIT倦怠感尺度スコアと比較して、少なくとも5、10、15、20ポイント、またはそれ以上高いFACIT倦怠感尺度スコアである。いくつかの実施形態では、対照のFACIT倦怠感尺度スコアは、PNHに罹患しており、かつコンプスタチン類似体を投与されていない対象(例えば、C5阻害剤、例えば、エクリズマブを投与されている対象もしくは対象の集団)におけるFACIT倦怠感尺度スコア(もしくは対象の集団における平均FACIT倦怠感スコア);コンプスタチン類似体を投与される前の対象のFACIT倦怠感尺度スコア(もしくは対象の集団の平均FACIT倦怠感尺度スコア);または健康な対象のFACIT倦怠感尺度スコアの範囲の下限である。いくつかの実施形態では、健康な対象におけるFACIT倦怠感尺度スコアの範囲は、性別固有の範囲である。いくつかの実施形態では、目標のFACIT倦怠感尺度スコアは、約32、34、36、38、40、42、44、46、または48である。いくつかの実施形態では、目標のFACIT倦怠感尺度スコアは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の投与後に達成される。いくつかの実施形態では、目標のFACIT倦怠感尺度スコアは、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、またはそれ以上の治療の後に達成される。いくつかの実施形態では、目標のFACIT倦怠感尺度スコアは、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランの少なくとも1回の投与後、例えば、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、16週間、またはそれ以上持続する。
【0120】
FACIT倦怠感尺度は、対象が自己記入する13項目のリカート尺度として当該技術分野で認知されているものである。対象には13のステートメントが提示され、過去7日間に適用される回答を示すように求められる。考えられる5つの応答は、「まったくない」(0)、「少し」(1)、「やや」(2)、「かなり」(3)、「非常に多い」(4)である。13のステートメントを使用すると、合計スコアの範囲は0~52になる。合計スコアを計算する前に、スコアが高いほど生活の質が高いことを確保するために、一部の応答が逆にされる。
【0121】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランの、対象(または対象の集団)への投与は、対象の生活の質の1つ以上の測定値を、目標のレベルまで増加させる(または対象の集団の生活の質の1つ以上の測定値の平均を増加させる)。いくつかの実施形態では、生活の質は、線形アナログスケール評価(LASA)スコア及び/または生活の質の質問票(QLQ-C30)スコアを使用して評価される。いくつかの実施形態では、目標のレベルは、対照のLASAスコア及び/または対照のQLQ-C30スコアと比較して、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、50以上のポイントの高い、LASAスコア及び/またはQLQ-C30スコアである。いくつかの実施形態では、対照のLASAスコアまたは対照のQLQ-C30スコアは、PNHに罹患しており、かつコンプスタチン類似体を投与されていない対象(例えば、C5阻害剤、例えば、エクリズマブを投与されている対象もしくは対象の集団)からのLASAスコアまたはQLQ-C30スコア(もしくは、PNHに罹患している対象の集団からの平均LASAスコアもしくは平均QLQ-C30スコア);コンプスタチン類似体を投与される前の対象からのLASAスコアもしくはQLQ-C30スコア(もしくは、対象の集団からの平均LASAスコアもしくは平均QLQ-C30スコア);または健康な対象からのLASAスコアもしくはQLQ-C30スコアの範囲の下限である。いくつかの実施形態では、健康な対象におけるLASAスコアまたはQLQ-30スコアの範囲は、性別固有の範囲である。いくつかの実施形態では、目標のLASAスコアまたはQLQ-C30スコアは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の投与後に達成される。いくつかの実施形態では、目標のLASAスコアまたはQLQ-C30スコアは、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、16週間、またはそれ以上の治療の後に達成される。いくつかの実施形態では、目標のLASAスコアまたはQLQ-C30スコアは、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランの少なくとも1回の投与後、例えば、約1日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、16週間、またはそれ以上持続する。
【0122】
線形アナログスケール評価(LASA)は当該技術分野で知られており、回答者に知覚された機能レベルを評価するように求める3つの項目からなる。具体的なドメインには、活動レベル、日常の活動を実行する能力、及び全体的なQOLの項目が含まれる。EORTC QLQ-C30質問票(バージョン3.0)は当該技術分野で知られており、対象の全体的な生活の質を評価するための複数項目の尺度と単一項目の測定値の両方で構成される30の質問からなる。質問は、機能スケール、症状スケール、及び全体的な患者のQOL/全体的に認識されている健康状態によって指定される。EORTCのスコアリングガイドラインを使用して、患者のスコアを計算できる。
【0123】
いくつかの実施形態では、前述のパラメーターのうちの1つ以上は、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランの投与の前及び/またはその後に測定される。例えば、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランは、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約1.2年間、1.4年間、1.6年間、1.8年間、2年間、3年間、4年間、5年間、またはより長い間、週に2回または3日ごとに投与され、前述のパラメーターのうちの1つ以上が、治療の前及び/または約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約1.2年間、1.4年間、1.6年間、1.8年間、2年間、3年間、4年間、5年間、またはそれ以上後に測定される。
【0124】
いくつかの実施形態では、エクリズマブで治療された、または治療されており、溶血の証拠、例えば、貧血を引き起こす及び/または輸血を必要とするなどの臨床的に有意な溶血の証拠を示し続ける対象(または対象の集団)は、本明細書に記載のコンプスタチン類似体(例えば、ペグセタコプラン)で治療される。いくつかの実施形態では、エクリズマブで治療された、または治療されており、約12g/dL未満、例えば、約11g/dL未満、例えば、約10.5g/dL未満、例えば、約10g/dL未満、例えば、約9g/dL未満、例えば、約8g/dL未満、またはそれ以下のヘモグロビンレベル(または平均ヘモグロビンレベル)を示す対象(または対象の集団)は、例えば、週に2回、または3日ごとに、約800mg~約1200mg、例えば、約1060mg~約1100mg、例えば、約1070mg~約1090mg、約1075mg~約1085mg、例えば、約1080mgの投与量で、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約1.2年間、1.4年間、1.6年間、1.8年間、2年間、3年間、4年間、5年間、またはそれ以上の間、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランを投与される。
【0125】
いくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)は、対象(または集団)のペグセタコプランの初回投与の前の8週間以内に、少なくとも50,000/mm及び100,000/mm未満の血小板数(または平均血小板数)を有する。いくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)は、対象(または集団)のペグセタコプランの初回投与の前の8週間以内に、少なくとも100,000/mmの血小板数(または平均血小板数)を有する。いくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)は、対象(または集団)のペグセタコプランの初回投与の前の12ヶ月の間に1、2、または3回の輸血(または平均で1、2、または3回の輸血)を受けた。いくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)は、対象のペグセタコプランの初回投与の前の12ヶ月の間に少なくとも4回の輸血(または平均で少なくとも4回の輸血)を受けた。
【0126】
いくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)は、対象(または集団)のペグセタコプランの初回投与の前の6ヶ月間にわたって、C5阻害剤、例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブによる治療を受けた。いくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)は、対象(または集団)のペグセタコプランの初回投与の前の12ヶ月間にわたって、C5阻害剤、例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブによる治療を受けた。いくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)は、対象のペグセタコプランの初回投与の前(または集団の前)の12ヶ月にわたって、C5阻害剤、例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブによる治療を受け、上記の12か月間に1、2、または3回の輸血を受けた(または平均で1、2、または3回の輸血を受けた)。いくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)は、対象のペグセタコプランの初回投与の前(または集団の前)の12ヶ月にわたって、C5阻害剤、例えば、抗C5抗体による治療を受け、上記の12か月間に少なくとも4回の輸血を受けた(または平均で少なくとも4回の輸血を受けた)。いくつかの実施形態では、C5阻害剤は、PNHの治療について承認されており、C5阻害剤、例えば、抗C5抗体による治療は、C5阻害剤によるPNHの治療について承認または推奨される投与レジメンであった。(いくつかの実施形態では、承認または推奨される投与レジメンは、処方薬製品の規制を担当する政府機関(例えば、米国食品医薬品局または欧州医薬品庁)によって承認され、とりわけ薬物の処方情報を含む、ラベル(添付文書)に記載されている。いくつかの実施形態では、C5阻害剤、例えば、抗C5抗体による治療は、投与レジメンで行われ、その結果、C5阻害剤によるPNHの治療のために承認または推奨される投与レジメンよりも、時間の経過とともにより多い量のC5阻害剤が投与される。例えば、C5阻害剤の投与レジメンには、PNHの治療のために承認または推奨される投与レジメンよりも高い維持用量の投与及び/またはより短い投与間隔を使用する投与が含まれ得る。例えば、いくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)は、承認または推奨される用量よりも約25%(例えば、約33%)及び約50%高い用量を投与されていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)は、隔週で1200mgのエクリズマブを投与されてきた。
【0127】
例えば、18歳以上の患者のPNHの治療のためのエクリズマブ(商品名ソリリス(登録商標))の承認された標準レジメンは、最初の4週間は週に1回600mgであり、その後1週間後の5回目の投与では900mgであり、その後2週間ごとに900mgであり、静脈内注入により投与される。いくつかの実施形態では、PNHに罹患している対象は、対象に約1080mgのペグセタコプランを週に2回または3日ごとに4週間皮下投与することによって治療され、その間に対象はエクリズマブの少なくとも1回の投与を受ける。いくつかの実施形態では、4週間の期間の後、対象は、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを皮下投与され、その間、対象はエクリズマブの投与を全く受けない。いくつかの実施形態では、4週間の期間の後、対象は、エクリズマブの少なくとも1回の投与を受ける。いくつかの実施形態では、PNHに罹患している対象は、以下を含むペグセタコプラン投与レジメンを対象に施すことによって治療される:(i)4週間のペグセタコプラン期間にわたって、約1080mgのペグセタコプランを週に2回または3日ごとに対象に皮下投与する;(ii)4週間のペグセタコプラン期間の後に、約1080mgのペグセタコプランを週に2回または3日ごとに対象に皮下投与する。4週間のペグセタコプラン期間の前または期間中に、対象は、以下を含むエクリズマブ投与レジメンを受けた、または受けている:(a)4週間の、エクリズマブの第1の量(例えば、600mg)の週に1回の投与、(b)1週間後に第2の量(例えば、900mg)のエクリズマブの投与;(c)その後2週間ごとに第2の量(例えば、900mg)のエクリズマブの投与。4週間のペグセタコプラン期間の後、対象はエクリズマブのいかなる用量も受けない。いくつかの実施形態では、対象は、ペグセタコプランの初回投与の前に少なくとも3ヶ月間、例えば2週間ごとに、エクリズマブによる治療を受けている。
【0128】
18歳以上の患者のPNHの治療のためのラブリズマブ(ラブリズマブ-cwvzとしても知られている;商標名ユルトミリス(登録商標))の承認された標準レジメンは、静脈内注入によって投与される負荷投与とそれに続く維持投与からなる。下の表に示すように、用量は患者の体重に基づいて投与される。負荷量投与の2週間後から、8週間に1回の間隔で維持量を開始する。投与スケジュールは、予定された注入日から7日以内に変更されることがある(ユルトミリス(登録商標)の初回の維持投与を除く)が、その後の投与は元のスケジュールに従って投与する必要がある。
【表2】
いくつかの実施形態では、PNHに罹患している対象は、対象に約1080mgのペグセタコプランを週に2回または3日ごとに4週間皮下投与することによって治療され、その間に対象はラブリズマブの少なくとも1回の投与を受ける。いくつかの実施形態では、4週間の期間の後、対象は、週に2回または3日ごとに約1080mgのペグセタコプランを皮下投与され、その間、対象はラブリズマブの投与を全く受けない。いくつかの実施形態では、4週間の期間の後、対象は、ラブリズマブの少なくとも1回の投与を受ける。いくつかの実施形態では、PNHに罹患している対象は、以下を含むペグセタコプラン投与レジメンを対象に施すことによって治療される:(i)4週間のペグセタコプラン期間にわたって、約1080mgのペグセタコプランを週に2回または3日ごとに対象に皮下投与する;(ii)4週間のペグセタコプラン期間の後に、約1080mgのペグセタコプランを週に2回または3日ごとに対象に皮下投与する。ここで、4週間のペグセタコプラン期間の前または期間中に、対象は、以下を含むラブリズマブ投与レジメンを受けた、または受けている:(a)第1の濃度のラブリズマブの負荷用量(例えば、体重が40kg以上60kg未満の対象の場合は2400mg;体重が60kg以上100kg未満の対象の場合は2700mg;体重が100kg以上の対象の場合は3000mg)の投与;(b)2週間後から、8週間ごとに1回、第2の濃度のラブリズマブの維持用量(例えば、体重が40kg以上60kg未満の対象の場合は3000mg;体重が60kg以上100kg未満の対象の場合は3300mg;体重が100kg以上の対象の場合は3600mg)の投与を開始する。そして、4週間のペグセタコプラン期間の後、対象はラブリズマブのいかなる用量も受けない。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、承認された投与レジメンに従って、ペグセタコプランの初回投与の前に少なくとも3ヶ月間ラブリズマブを投与されており、ペグセタコプランの初回投与後少なくとも4週間、そのようなラブリズマブのレジメンを継続する。いくつかの実施形態では、対象は、ペグセタコプランの初回投与の前に、少なくとも3ヶ月間、例えば週に1回、皮下でラブリズマブを投与されており、ペグセタコプランの初回投与後少なくとも4週間、そのようなラブリズマブのレジメンを継続する。
【0129】
いくつかの実施形態では、C5阻害剤は、6~8週間の間の終末半減期を有し、ペグセタコプランの初回投与は、C5阻害剤の最後の投与から4週間以内に投与される。いくつかの実施形態では、C5阻害剤は、8週間の承認または推奨される投与間隔を有し、ペグセタコプランの初回投与は、C5阻害剤の最後の投与から4週間以内に投与される。
【0130】
いくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)は、ペグセタコプランの投与後の溶血の証拠についてモニターされ得る。例えば、対象(または対象の母集団)は、対象のLDHレベル(または対象の集団における平均LDHレベル)を測定することによってモニターされ得る。いくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)は、ペグセタコプランの初回投与後、少なくとも所定の期間、例えば、少なくとも2週間、例えば、2週間~12週間、例えば2~8週間、例えば2~6週間、例えば2~4週間、週に2回、週に1回、または隔週でモニターされ得る。C5阻害剤による治療を受けていた対象(または対象の集団)がペグセタコプランによる治療に移行するいくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)は、C5阻害剤の最後の投与の後、少なくとも所定の期間、例えば、少なくとも2週間、例えば、2週間~12週間、例えば2~8週間、例えば2~6週間、例えば2~4週間、週に2回、週に1回、または隔週でモニターされ得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、対象が少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベルを示す場合、対象は溶血(例えば、急性溶血)を示すと識別され得る。いくつかの実施形態では、対象が溶血の少なくとも1つの追加の徴候または症状(例えば、ヘモグロビンの減少(例えば、少なくとも1g/dLの減少または少なくとも2g/dL、またはHbの10g/dL未満への減少)、ヘモグロビン尿症、または倦怠感の増加(例えば、FACITで少なくとも3ポイントの増加))を示す場合、対象は溶血(例えば、急性溶血)を示すと識別され得る。いくつかの実施形態では、対象は、そのような対象が、正常の上限(ULN)の2倍以上のLDHが上昇している際に、溶血(例えば、倦怠感、ヘモグロビン尿症、腹痛、食欲不振、呼吸困難、貧血(例えば、ヘモグロビン<10グラム(g)/デシリットル(dL))、主要な有害な血管イベント(血栓症を含む)、または勃起不全)の少なくとも1つの新しいまたは悪化する症状または兆候を示す場合、溶血(例えば、急性溶血)を示していると特定され得る。いくつかの実施形態では、対象は、所定のレベル未満、例えば、1.5×ULN未満のLDHを一定期間、例えば、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間有した後、そのような対象が少なくとも2倍のULNのLDHを示す場合、溶血(例えば、急性溶血)を示していると特定され得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、対象のLDHレベル(または対象の集団の平均LDHレベル)が、選択された時間の後(例えば、対象または対象の集団が約1080mgのペグセタコプランで週に2回、2、3、または4週間治療された後)で、指定されたレベル(例えば2×ULN)以上のままである場合、対象(または対象の集団)の投与レジメンは3日ごとに約1080mgのペグセタコプランに変更され得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、一定の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12週間またはそれ以上)、約1080mgのペグセタコプランを週に2回皮下投与した後、対象または対象の集団は1つ以上の溶血(例えば、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベル、ヘモグロビン、ヘモグロビン尿症、及び/または倦怠感の減少)の徴候を示し、対象または対象の集団がペグセタコプランの改変された投与レジメンに選択され、及び/またはそれが投与される。
【0134】
いくつかの実施形態では、第1の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)に、週に2回、約1080mgのペグセタコプランを皮下投与する初期投与レジメンを受けた後、対象は、2×ULN未満(例えば、1.5×ULN未満)のLDHの安定した及び/または平均(例えば、第1の期間にわたる)の測定レベルを示さず、ペグセタコプランの改変された投与レジメンは、第2の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)の3日ごとの、約1080mgのペグセタコプランの皮下投与である。
【0135】
いくつかの実施形態では、対象が2×ULN未満(例えば、1.5×ULN未満)のLDHの安定した及び/または平均(例えば、第1の期間にわたる)の測定レベルを示す、第1の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)に、週に2回、約1080mgのペグセタコプランを皮下投与する初期投与レジメンを受けた後、対象は、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベルを示し、ペグセタコプランの改変された投与レジメンは、(a)静脈内の約1080mgのペグセタコプランの単回投与であるか、または(b)3回の投与で24時間ごとに約1080mgのペグセタコプランの皮下投与である。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、少なくとも7、14、または21日の間隔を空けた、改変された投与レジメンの1つ以上の追加のコース(例えば、初期の改変された投与レジメンと同じかまたは異なる)を受けることができる。いくつかの実施形態では、改変された投与レジメン(または改変された投与レジメンのコース)を受けた後、対象はもはや改変された投与レジメンを受けないが、その後、週に2回皮下に約1080mgペグセタコプランの初期投与レジメンを受ける。
【0136】
いくつかの実施形態では、対象が2×ULN未満(例えば、1.5×ULN未満)のLDHの安定した及び/または平均(例えば、第1の期間にわたる)の測定レベルを示す、第1の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)に、週に2回、約1080mgのペグセタコプランを皮下投与する初期投与レジメンを受けた後、対象は、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベルを示し、ペグセタコプランの改変された投与レジメンは、静脈内の約1080mgのペグセタコプランの単回投与と、それに続く3日ごと(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)の約1080mgのペグセタコプランの皮下投与である。いくつかの実施形態では、約1080mgのペグセタコプランを3日ごとに少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上皮下投与した後、対象は、3日ごとに約1080mgのペグセタコプランの皮下投与をもはや受けないが、その後、週に2回、約1080mgのペグセタコプランの初期の投与レジメンを皮下に受ける。
【0137】
いくつかの実施形態では、対象が2×ULN未満(例えば、1.5×ULN未満)のLDHの安定した及び/または平均(例えば、第1の期間にわたる)の測定レベルを示す、第1の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)に、週に2回、約1080mgのペグセタコプランを皮下投与する初期投与レジメンを受けた後、対象は、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベルを示し、ペグセタコプランの改変された投与レジメンは、3回の投与で24時間ごとに約1080mgのペグセタコプランの皮下投与と、それに続く3日ごと(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)の約1080mgのペグセタコプランの皮下投与である。いくつかの実施形態では、約1080mgのペグセタコプランを3日ごとに少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上皮下投与した後、対象は、3日ごとに約1080mgのペグセタコプランの皮下投与をもはや受けないが、その後、週に2回、約1080mgのペグセタコプランの初期の投与レジメンを皮下に受ける。
【0138】
いくつかの実施形態では、一定の期間(例えば、2、3、4、6、8、10、12週間またはそれ以上)、約1080mgのペグセタコプランを週に2回皮下投与した後、対象または対象の集団は1つ以上の溶血(例えば、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベル、ヘモグロビン、ヘモグロビン尿症、及び/または倦怠感の減少)の徴候を示し、対象または対象の集団が静脈内の約1080mgのペグセタコプランの単回投与と、それに続く3日ごとの約1080mgのペグセタコプランの皮下投与に選択され、及び/またはそれが投与される。いくつかの実施形態では、一定の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12週間またはそれ以上)、約1080mgのペグセタコプランを週に2回皮下投与した後、対象または対象の集団は1つ以上の溶血(例えば、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベル、ヘモグロビン、ヘモグロビン尿症、及び/または倦怠感の減少)の徴候を示し、対象または対象の集団が3回の投与で24時間ごとに約1080mgのペグセタコプランの皮下投与と、それに続く3日ごとの約1080mgのペグセタコプランの皮下投与に選択され、及び/またはそれが投与される。
【0139】
いくつかの実施形態では、一定の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12週間またはそれ以上)、C5阻害剤(例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブ)と組み合わせて、約1080mgのペグセタコプランを週に2回皮下投与した後、対象または対象の集団は1つ以上の溶血(例えば、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベル、ヘモグロビン、ヘモグロビン尿症、及び/または倦怠感の減少)の徴候を示し、対象または対象の集団がペグセタコプランの改変された投与レジメンに選択され、及び/またはそれが投与される。例えば、いくつかの実施形態では、一定の期間(例えば、2、3、4、6、8、10、12週間またはそれ以上)、C5阻害剤(例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブ)と組み合わせて、約1080mgのペグセタコプランを週に2回皮下投与した後、対象または対象の集団は1つ以上の溶血(例えば、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベル、ヘモグロビン、ヘモグロビン尿症、及び/または倦怠感の減少)の徴候を示し、対象または対象の集団が静脈内の約1080mgのペグセタコプランの単回投与と、それに続く3日ごとの約1080mgのペグセタコプランの皮下投与に選択され、及び/またはそれが投与される。いくつかの実施形態では、一定の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12週間またはそれ以上)、C5阻害剤(例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブ)と組み合わせて、約1080mgのペグセタコプランを週に2回皮下投与した後、対象または対象の集団は1つ以上の溶血(例えば、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベル、ヘモグロビン、ヘモグロビン尿症、及び/または倦怠感の減少)の徴候を示し、対象または対象の集団が3回の投与で24時間ごとに約1080mgのペグセタコプランの皮下投与と、それに続く3日ごとの約1080mgのペグセタコプランの皮下投与に選択され、及び/またはそれが投与される。
【0140】
いくつかの実施形態では、一定の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12週間またはそれ以上)、約1080mgのペグセタコプランを3日ごとに皮下投与した後、対象または対象の集団は1つ以上の溶血(例えば、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベル、ヘモグロビン、ヘモグロビン尿症、及び/または倦怠感の減少)の徴候を示し、対象または対象の集団がペグセタコプランの改変された投与レジメンに選択され、及び/またはそれが投与される。
【0141】
いくつかの実施形態では、第1の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)に、3日ごとに、約1080mgのペグセタコプランを皮下投与する初期投与レジメンを受けた後、対象は、2×ULN未満(例えば、1.5×ULN未満)のLDHの安定した及び/または平均(例えば、第1の期間にわたる)の測定レベルを示さず、ペグセタコプランの改変された投与レジメンは、第2の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)の週に3回の、約1080mgのペグセタコプランの皮下投与である。
【0142】
いくつかの実施形態では、対象が2×ULN未満(例えば、1.5×ULN未満)のLDHの安定した及び/または平均(例えば、第1の期間にわたる)の測定レベルを示す、第1の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)に、3日ごとに、約1080mgのペグセタコプランを皮下投与する初期投与レジメンを受けた後、対象は、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベルを示し、ペグセタコプランの改変された投与レジメンは、(a)静脈内の約1080mgのペグセタコプランの単回投与であるか、または(b)3回の投与で24時間ごとに約1080mgのペグセタコプランの皮下投与である。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、少なくとも7、14、または21日の間隔を空けた、改変された投与レジメンの1つ以上の追加のコース(例えば、初期の改変された投与レジメンと同じかまたは異なる)を受けることができる。いくつかの実施形態では、改変された投与レジメン(または改変された投与レジメンのコース)を受けた後、対象はもはや改変された投与レジメンを受けないが、その後、3日ごとに皮下に約1080mgペグセタコプランの初期投与レジメンを受ける。
【0143】
いくつかの実施形態では、対象が2×ULN未満(例えば、1.5×ULN未満)のLDHの安定した及び/または平均(例えば、第1の期間にわたる)の測定レベルを示す、第1の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)に、3日ごとに、約1080mgのペグセタコプランを皮下投与する初期投与レジメンを受けた後、対象は、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベルを示し、ペグセタコプランの改変された投与レジメンは、静脈内の約1080mgのペグセタコプランの単回投与と、それに続く週に3回(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)の約1080mgのペグセタコプランの皮下投与である。いくつかの実施形態では、約1080mgのペグセタコプランを週に3回少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上皮下投与した後、対象は、週に3回の約1080mgのペグセタコプランの皮下投与をもはや受けないが、その後、3日ごとに、約1080mgのペグセタコプランの初期の投与レジメンを皮下に受ける。
【0144】
いくつかの実施形態では、対象が2×ULN未満(例えば、1.5×ULN未満)のLDHの安定した及び/または平均(例えば、第1の期間にわたる)の測定レベルを示す、第1の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)に、3日ごとに、約1080mgのペグセタコプランを皮下投与する初期投与レジメンを受けた後、対象は、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベルを示し、ペグセタコプランの改変された投与レジメンは、3回の投与で24時間ごとに約1080mgのペグセタコプランの皮下投与と、それに続く週に3回(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上)の約1080mgのペグセタコプランの皮下投与である。いくつかの実施形態では、約1080mgのペグセタコプランを週に3回少なくとも2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、42、48、52週間、またはそれ以上皮下投与した後、対象は、週に3回約1080mgのペグセタコプランの皮下投与をもはや受けないが、その後、3日ごとに、約1080mgのペグセタコプランの初期の投与レジメンを皮下に受ける。
【0145】
いくつかの実施形態では、一定の期間(例えば、2、3、4、6、8、10、12週間またはそれ以上)、約1080mgのペグセタコプランを3日ごとに皮下投与した後、対象または対象の集団は1つ以上の溶血(例えば、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベル、ヘモグロビン、ヘモグロビン尿症、及び/または倦怠感の減少)の徴候を示し、対象または対象の集団が静脈内の約1080mgのペグセタコプランの単回投与と、それに続く週に3回の約1080mgのペグセタコプランの皮下投与に選択され、及び/またはそれが投与される。いくつかの実施形態では、一定の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12週間またはそれ以上)、約1080mgのペグセタコプランを3日ごとに皮下投与した後、対象または対象の集団は1つ以上の溶血(例えば、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベル、ヘモグロビン、ヘモグロビン尿症、及び/または倦怠感の減少)の徴候を示し、対象または対象の集団が3回の投与で24時間ごとに約1080mgのペグセタコプランの皮下投与と、それに続く週に3回の約1080mgのペグセタコプランの皮下投与に選択され、及び/またはそれが投与される。
【0146】
いくつかの実施形態では、一定の期間(例えば、2、3、4、6、8、10、12週間またはそれ以上)、C5阻害剤(例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブ)と組み合わせて、約1080mgのペグセタコプランを3日ごとに皮下投与した後、対象または対象の集団は1つ以上の溶血(例えば、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベル、ヘモグロビン、ヘモグロビン尿症、及び/または倦怠感の減少)の徴候を示し、対象または対象の集団がペグセタコプランの改変された投与レジメンに選択され、及び/またはそれが投与される。例えば、いくつかの実施形態では、一定の期間(例えば、2、3、4、6、8、10、12週間またはそれ以上)、C5阻害剤(例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブ)と組み合わせて、約1080mgのペグセタコプランを3日ごとに皮下投与した後、対象または対象の集団は1つ以上の溶血(例えば、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベル、ヘモグロビン、ヘモグロビン尿症、及び/または倦怠感の減少)の徴候を示し、対象または対象の集団が静脈内の約1080mgのペグセタコプランの単回投与と、それに続く週に3回の約1080mgのペグセタコプランの皮下投与に選択され、及び/またはそれが投与される。いくつかの実施形態では、一定の期間(例えば、少なくとも2、3、4、6、8、10、12週間またはそれ以上)、C5阻害剤(例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブ)と組み合わせて、約1080mgのペグセタコプランを3日ごとに皮下投与した後、対象または対象の集団は1つ以上の溶血(例えば、少なくとも2×ULNである測定されたLDHレベル、ヘモグロビン、ヘモグロビン尿症、及び/または倦怠感の減少)の徴候を示し、対象または対象の集団が3回の投与で24時間ごとに約1080mgのペグセタコプランの皮下投与と、それに続く週に3回の約1080mgのペグセタコプランの皮下投与に選択され、及び/またはそれが投与される。
【0147】
いくつかの実施形態では、PNHと診断され、以前にエクリズマブで治療された対象(または対象の集団)は、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランを、例えば、週に2回または3日ごとに、約800mg~約1200mg、例えば、約1060mg~約1100mg、例えば、約1070mg~約1090mg、例えば、約1075mg~約1085mg、例えば、約1080mgの投与量で、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約1.2年間、1.4年間、1.6年間、1.8年間、2年間、3年間、4年間、5年間、またはそれ以上投与され、コンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランの初回投与後にエクリズマブは投与されない。いくつかの実施形態では、エクリズマブによる治療後、及びコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランによる治療の前に、対象は、約12g/dL未満、例えば、約11g/dL未満、例えば、約10.5g/dL未満、例えば、約10g/dL未満、例えば、約9g/dL未満、例えば、約8g/dL未満のヘモグロビンレベルを示す(または対象の集団は、それらの平均ヘモグロビンレベルを示す)。
【0148】
いくつかの実施形態では、PNHと診断され、以前にエクリズマブで治療されていない対象(または対象の集団)は、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、約800mg~約1200mg、例えば、約1060mg~約1100mg、例えば、約1070mg~約1090mg、例えば、約1075mg~約1085mg、例えば、約1080mgの投与量で、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約1.2年間、1.4年間、1.6年間、1.8年間、2年間、3年間、4年間、5年間、またはそれ以上、週に2回または3日ごとに、対象(または対象の集団)に投与される。
【0149】
いくつかの実施形態では、対象(または対象の集団)の年齢は18歳以上(例えば、18歳を超える)であり;及び/または対象は約12g/dL未満、例えば、約11g/dL未満、例えば、約10.5g/dL未満、例えば、約10g/dL未満、例えば、約9g/dL未満、例えば、約8g/dL未満のヘモグロビンレベルを示し(または対象の集団がその平均ヘモグロビンレベルを示し);及び/または対象が正常の上限を超える、例えば100、110、120、130、140、または150×10/Lを超える網状赤血球の絶対数を有し(または対象の母集団がその網状赤血球の平均絶対数を有し);及び/または対象が約30,000/mmを超える、約40,000/mmを超える、約50,000/mmを超える、約60,000/mmを超える、または約70,000/mmを超える血小板数を示し(または対象の集団がその平均血小板数を示し);及び/または対象は、約200/mmを超える、約300/mmを超える、約400/mmを超える、約500/mmを超える、約600/mmを超える、または約700/mmを超える好中球の絶対数を示し(または対象の集団は、その好中球の平均絶対数を示し);及び/または対象が約40kg/m未満、約37.5kg/m未満、約35kg/m未満、約32.5kg/m未満、または約30kg/m未満のBMIを有し(または対象の集団がその平均BMIを有し);及び/または対象(または対象の集団)に細菌感染がなく;及び/または対象(または対象の集団)が鉄、葉酸、ビタミンB12、またはEPOを投与されておらず(ただし、いくつかの実施形態では、対象はこれらの1つを安定した用量で投与されている);及び/または対象(または対象の集団)に遺伝性補体欠損症または骨髄移植の病歴がなく;及び/または対象(または対象の集団)は、重大な心血管の不安定性またはリスクを示さず;及び/または対象(または対象の母集団)が妊娠していない、または授乳しておらず;及び、対象(または対象の集団)は、例えば、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランを、例えば、週に2回または3日ごとに、約800mg~約1200mg、例えば約1080mgの投与量で、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約1.2年間、1.4年間、1.6年間、1.8年間、2年間、3年間、4年間、5年間、またはそれ以上、皮下投与される。
【0150】
いくつかの実施形態では、PNHを発症する、または発症するリスクのある対象(または対象の集団)の年齢は18歳未満(例えば、18歳未満(例えば、12~17歳))であり、本明細書に記載の成人のための投与レジメンは、18歳未満の対象に対して同様のペグセタコプランの投与レベルを達成するように改変することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約300mg~約750mg(例えば、約400mg~約650mg、例えば、約500mg~約600mg、例えば、約540mg)の投与量で、週に2回、2回の初期投与とそれに続く約400mg~約850mg(例えば、約500mg~約750mg、例えば、約600mg~約700mg、例えば、約648mg)の投与量で週に2回、小児の対象(または小児の対象の集団)(例えば、12~17歳、体重約20~34kg)に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約400mg~約850mg(例えば、約500mg~約750mg、例えば、約600mg~約700mg、例えば、約648mg)の単回投与とそれに続く約500mg~約1000mg(例えば、約600mg~約900mg、例えば、約700mg~約850mg、例えば、約810mg)の投与量で週に2回、小児の対象または小児の対象の集団(例えば、12~17歳、体重約35~49kg)皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約400mg~約850mg(例えば、約500mg~約750mg、例えば、約600mg~約700mg、例えば、約648mg)の投与量で3日ごとに、小児の対象または小児の対象の集団(例えば、12~17歳、体重約20~34kg)に皮下投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、例えば、約500mg~約1000mg(例えば、約600mg~約900mg、例えば、約700mg~約850mg、例えば、約810mg)の投与量で3日ごとに、小児の対象または小児の対象の集団(例えば、12~17歳、体重約35~49kg)に皮下投与される。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプラン(例えば、週に2回または3日ごとに皮下に約1080mg)での、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約1.2年間、1.4年間、1.6年間、1.8年間、2年間、3年間、4年間、5年間、またはそれ以上の治療の後で、対象のヘモグロビンレベル、輸血の数、輸血されたPRBCユニットの数、血中の網状赤血球の数、LDHのレベル、間接ビリルビンのレベル、ハプトグロビンレベル、倦怠感レベル、FACIT倦怠感尺度スコア、LASAスコア、及び/またはQLQ-C30スコアは、本明細書に記載の対応する目標レベル(例えば、それぞれ目標のヘモグロビンレベル、目標の輸血の数、輸血された目標のPRBCユニットの数、血中の網状赤血球の目標の数、LDHの目標のレベル、間接ビリルビンの目標のレベル、目標のハプトグロビンレベル、目標の倦怠感レベル、目標のFACIT倦怠感尺度スコア、目標のLASAスコア、及び/または目標のLQ-C30スコア)と比較される。いくつかの実施形態では、比較後、治療または投与について決定を下すことができる。例えば、治療を継続または中止すべきである、投与量を増加または減少させるべきである、投与レジメンを変更すべきであるという決定を下すことができる。いくつかの実施形態では、ある治療から別の治療に切り替える、例えば、抗C5剤(例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブ)による治療から、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランによる治療に切り替える。
【0152】
本明細書に記載の方法は、電子形態、ウェブベースの形態、または紙の形態などで、報告書を作成及び/または提供することを含むことができる。報告書は、本明細書に記載の方法からの1つ以上のアウトプット、例えば、本明細書に記載の治療に対する対象の応答を含み得る。いくつかの実施形態では、対象についての本明細書に記載の1つ以上の評価項目(例えば、ヘモグロビンレベル、輸血の数、輸血されたPRBCユニットの数、血中の網状赤血球の数、LDHのレベル、間接ビリルビンのレベル、ハプトグロビンレベル、倦怠感レベル、FACIT倦怠感尺度スコア、LASAスコア、及び/またはQLQ-C30スコア)、ならびに任意選択で、推奨される治療コースを識別する、報告書が、紙の形態または電子形態で生成される。いくつかの実施形態では、報告書は、対象の識別子を含む。いくつかの実施形態では、報告書はウェブベースの形態である。
【0153】
いくつかの実施形態では、追加的にまたは代替的に、報告書は、予後、抵抗性、または潜在的もしくは示唆された治療選択肢に関する情報を含む。報告書は、療法選択肢の推定有効性、療法選択肢の許容性、または、例えば、本報告書で識別される対象に対して療法選択肢を適用することの妥当性に対する情報を含み得る。例えば、報告書は、対象に対する本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプラン、及び/または1つ以上のC5阻害剤(例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブ)の投与に関する情報または推奨を含むことができる。報告書は、例えば、本明細書に記載の方法を実行してから7、14、21、30、または45日以内に、本明細書に記載の実体に送達することができる。
【0154】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して対象が評価されるたびに提出するために報告書が生成される。対象は、コンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプラン、及び/または1つ以上のC5阻害剤(例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブ)に対する応答性について、及び/または、例えば、本明細書に記載される1つ以上のPNH症状の改善について、対象をモニターするために、毎月、2か月ごと、6か月ごと、または毎年、またはそれより多い頻度もしくはそれよりも低い頻度の間隔で再評価することができる。いくつかの実施形態では、報告書は、少なくとも対象の治療履歴を記録することができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、この方法は、別の当事者に報告を提供することをさらに含む。他の当事者は、例えば、対象、介護者、医師、がん専門医、病院、診療所、第三者支払人、保険会社、または官庁であり得る。
【0156】
IV. C5阻害剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランで治療される対象は、コンプスタチン類似体での治療前に1つ以上のC5阻害剤を投与されており、コンプスタチン類似体の少なくとも1回の投与と組み合わせて1つ以上のC5阻害剤を投与され、及び/またはコンプスタチン類似体による治療全体を通して、1つ以上のC5阻害剤を投与され続ける。
【0157】
C5阻害剤は既知及び/または市販されている。C5阻害剤の非限定的な例としては、例えば、エクリズマブ、ALXN1210(ラブリズマブ)、SKY59(クロバリマブ)、LFG316、REGN3918、ABP959、RA101495、Coversin、及びALNCC5が挙げられる(例えば、Risitano et al.,Frontiers Immunology 10:1157(2019)に記載される)。追加のC5標的化剤は、例えば、米国特許第9,718,880号及び同第9,079,949号;ならびにPCT公開WO2004106369;WO2010015608;WO2013093762;WO/2014/160129;WO2015134894;WO2015191951;WO/2016/040589;WO/2016/044419;WO2016098356;WO2016117346;WO2016123371;WO/2016/201301;WO2017104779;WO2017105939;WO2017212375;WO2017212391;WO/2017/214518;WO2017/217524;WO2017218515;WO2018106859;WO2018143266;WO2018165062;WO2018183449;WO2019014360;WO2019023564;WO2019084438;WO2019112984;WO2019118556;及びWO2020006266に記載されている。
【0158】
いくつかの実施形態では、C5阻害剤は、抗C5抗体、例えば、抗C5モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、C5阻害剤は、エクリズマブまたはラブリズマブである。いくつかの実施形態では、C5阻害剤は、エクリズマブまたはラブリズマブと同じエピトープに結合する抗体である。いくつかの実施形態では、C5阻害剤は、C5への結合についてエクリズマブまたはラブリズマブと競合する抗体である。いくつかの実施形態では、C5阻害剤は、エクリズマブもしくはラブリズマブ、またはそれらの抗原結合部分と同じまたは実質的に同じアミノ酸配列を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、本開示は、C5阻害剤、例えば、抗C5モノクローナル抗体、例えば、エクリズマブまたはラブリズマブによる治療から、例えば、本明細書に記載の投与レジメンによる、ペグセタコプランによる治療に対象を切り替える方法を提供する。
【0160】
V. 医薬組成物
本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、医薬組成物に組み込むことができる。そのような医薬組成物は、とりわけ、インビボまたはエクスビボでの対象への投与及び送達に有用である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。そのような賦形剤としては、任意の医薬品、例えば、それ自体が組成物を投与される個体に有害な免疫応答を誘導せず、過度の毒性なしに投与され得る医薬品が挙げられる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」及び「生理学的に許容される」という用語は、生物学的に許容される製剤、気体、液体もしくは固体、またはそれらの混合物を意味し、これは、1つ以上の投与経路、インビボ送達または接触に適している。薬学的に許容される賦形剤としては、水、生理食塩水、グリセロール、糖、及びエタノールなどの液体が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などの有機酸の塩などもまたそこに含めることができる。さらに、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質などの補助物質が、そのようなビヒクルに存在してもよい。
【0161】
医薬組成物は塩として提供 することができ、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含むがこれらに限定されない多くの酸で形成することができる。塩は、対応する遊離塩基の形態よりも水性または他のプロトン性の溶媒に溶けやすい傾向にある。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥された粉末であり得る。
【0162】
医薬組成物は、医薬投与またはインビボでの接触もしくは送達と適合性がある、溶媒(水性または非水性)、溶液(水性または非水性)、エマルション(例えば、水中油型または油中水型)、懸濁液、シロップ、エリキシル、分散液及び懸濁媒体、コーティング、等張性及び吸収促進剤または吸収遅延剤を含み得る。水性及び非水性の溶媒、溶液及び懸濁液は、懸濁剤及び増粘剤を含み得る。そのような薬学的に許容される担体には、錠剤(コーティングされたまたはコーティングされていない)、カプセル(ハードまたはソフト)、マイクロビーズ、粉末、顆粒及び結晶が含まれる。補助的な活性化合物(例えば、防腐剤、抗菌剤、抗ウイルス剤及び抗真菌剤)もまた、組成物に組み込むことができる。
【0163】
医薬組成物は、本明細書に記載されているように、または当業者に知られているように、特定の投与経路または送達経路と適合性があるように製剤化することができる。したがって、医薬組成物には、様々な経路による投与に適した担体、希釈剤、または賦形剤が含まれる。
【0164】
非経口投与に適した組成物は、活性化合物の水溶液及び非水溶液、懸濁液またはエマルションを含むことができ、これらの製剤は、典型的には無菌であり、意図されるレシピエントの血液と等張であることができる。非限定的な例示的な例には、水、緩衝生理食塩水、ハンクス液、リンガー液、デキストロース、フルクトース、エタノール、動物油、植物油、または合成油が含まれる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有し得る。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油注射懸濁液として調製することができる。適切な親油性溶媒またはビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが含まれる。任意選択で、そのような懸濁液は、好適な安定剤または高度に濃縮された溶液の調製を可能にする医薬品の溶解度を増加させる薬剤も含有し得る。
【0165】
共溶媒及びアジュバントを製剤に加えることができる。共溶媒の非限定的な例としては、ヒドロキシル基または他の極性基、例えば、イソプロピルアルコールなどのアルコール;プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテルなどのグリコール;グリセロール;ポリオキシエチレンアルコール及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルが挙げられる。アジュバントとしては、例えば、大豆レシチン及びオレイン酸などの界面活性剤;ソルビタントリオレエートなどのソルビタンエステル;及びポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0166】
医薬組成物が調製された後、それらは適切な容器に入れられ、治療のために標識され得る。そのような標識には、投与量、投与の頻度、及び投与方法を含めることができる。
【0167】
本開示の組成物、方法、及び使用に適切な医薬組成物及び送達システムは、当該技術分野で知られている(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy.21st Edition. Philadelphia,PA. Lippincott Williams & Wilkins,2005を参照されたい)。
【0168】
本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、任意の適切な経路によって投与することができる。投与経路及び/または投与様式は、望ましい結果に応じて変動し得る。本開示の方法及び使用には、全身的、局部的、もしくは局所的、または任意の経路、例えば注射または注入による送達及び投与が含まれる。投与方法は、施術者の裁量に委ねられる。インビボでの医薬組成物の送達は、一般に、従来の注射器を使用する注射を介して達成され得るが、対流増強送達などの他の送達方法も使用され得る(例えば、米国特許第5,720,720号を参照)。例えば、組成物は、皮下、表皮、硬膜外、脳内、皮内、鼻腔内、髄腔内、眼窩内、粘膜内、腹腔内、静脈内、胸膜内、網膜下、動脈内、舌下、肝内、門脈を介して、及び筋肉内に送達され得る。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内注入、例えば、中枢または末梢の静脈内注入を介して行われる。他の投与様式には、経口及び肺投与、坐剤、及び経皮適用が含まれる。臨床医は、投与のための最適な経路を決定できる。
【0169】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物、例えば、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランを含む組成物は、注射によってある用量の医薬組成物を送達するデバイスを使用して投与され、いくつかの実施形態では、作動時に少なくとも部分的に自動化される様式で投与される。そのようなデバイスは、当該技術分野では「ペン」または「自動注射器」と呼ばれ、これらの用語は、本明細書では交換可能に使用される。一般に、ペンまたは自動注射器は、カートリッジ、リザーバー、または注射器に含まれるある用量の医薬組成物を、自動または手動で挿入された皮下注射針(複数可)または高速ジェットを介して注射することを可能にする。それは、単回投与または複数回投与の投与用に設計され得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、そのようなペンまたは自動注射器は、筋肉内及び/または皮下注射に利用される。本開示によれば、ペンまたは他の自動注射器は、皮下注射を利用する実施形態に特に有用であり得る。ペンは典型的には、自己充足型のカートリッジまたはリザーバーに薬剤が入っている(または装填できる)デバイスであり、針を取り付けることができる。
【0171】
いくつかの実施形態では、そのような注射は、ペンを使用することによって達成される(例えば、適切な用量または容量で事前に装填され得る)。ペンは耐久性(及び再利用可能)または使い捨てにすることができる。耐久性のあるペンは典型的には、交換可能なカートリッジを使用する。このカートリッジは空のときに廃棄され、新しいカートリッジがペンに挿入される。使い捨てペンは典型的には、カートリッジまたはリザーバーに薬剤が事前に充填されている。カートリッジまたはリザーバーが空の場合、ペンは廃棄できる。カートリッジまたはリザーバーには、単回投与または複数回投与が含まれ得る。ペンを使用するには、針をペンに取り付けて皮膚に挿入することができる。典型的には、ボタンを押して用量を投与することができるが、いくつかの実施形態では、他の作動方法を使用することができる。いくつかの実施形態では、自動注射器は、ばね式注射器を含み得るが、当業者は、自動投与を可能にするために様々な技術が利用可能であることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、ボタンを押すか、さもなければデバイスを作動させることによって、針を自動的に挿入することができ、薬剤を送達することができる。いくつかの実施形態では、自動注射器は、皮下組織の所望の深さまで自動的に及び/または正確に針を挿入するように設計され得る。ペンまたは自動注射器は、ユーザーが用量または注射の深さを選択または調整することを可能にするダイヤルなどの手段を備え得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物、例えば、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、デュアルチャンバー注射器を含むデバイスを使用して投与される。乾燥した薬剤(例えば、凍結乾燥)は1つのチャンバーに含まれている。第2のチャンバーには、適切な薬学的に許容される担体が含まれている。デバイスを使用するために、最初にチャンバーの内容物を混合することによって薬物を再構成する。これは、当該技術分野で知られているように、様々な方法で達成することができる。いくつかの実施形態では、プランジャーを押すことは、例えば、凍結乾燥された薬物を含むチャンバーに担体を移すことによって、チャンバーの内容物を混合させる。
【0173】
したがって、本明細書に記載の組成物(例えば、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプラン)を含む様々な薬物送達デバイスを、例えば、事前に充填された注射器、デュアルチャンバー注射器、耐久性及び/または使い捨てペン、ならびにペンとの使用に適したカートリッジとして提供することができる。そのようなデバイスは、1つ以上の用量(例えば、本明細書に記載の用量量のいずれか1つ以上)を含み得る。
【0174】
特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、例えば、コンプスタチン類似体を含む液体組成物を対象の体内に導入するためのポンプを含む薬物送達デバイス(単に「送達デバイス」と呼ばれることもある)を使用して、皮下投与され得る。理解されるように、ポンプは、薬物を投与する個体(例えば、医療提供者または薬物を自己投与する対象)が、注射を行うために、薬剤が入っているバレルにプランジャーを直接押し込む必要があることを特徴とする従来の手動注射器とは対照的に、機械的作用によって流体を動かす任意のデバイスであり得る。ポンプは、例えば、本明細書に記載されるように、電気的または機械的に動力を供給され得ることが理解されよう。いくつかの態様では、ポンプを含む送達デバイスは、本明細書に記載される投与レジメンに従った用量の便利な投与を可能にし得る。
【0175】
特定の実施形態では、送達デバイスは携帯可能である。「歩行型」デバイスとも呼ばれる携帯型デバイスは、デバイスの使用中に対象が自由に動き回ることができるように、十分に軽量で適切な寸法を有することができる。特定の実施形態では、そのようなデバイスは、ポールまたは電源コンセントへの取り付けを必要としない。いくつかの実施形態では、携帯型送達デバイスは、ベルトまたはショルダーストラップに取り付けられ得るか、またはベルトまたはショルダーストラップに取り付けられ得るケースに着用され得るか、または衣服のポケットに配置され得る。
【0176】
当業者は、ポンプが様々な方法のいずれかで動作し、様々なエネルギー源、例えば、使い捨てまたは充電式電池、交流電源(例えば、建物の壁ソケットを介して)、圧縮ガス、または圧縮されたばねまたは引き伸ばされた拡張可能な弾力性のあるチャンバーに蓄えられたエネルギーを利用できることを理解している。流体が伸縮可能なバルーンリザーバーに保持され、バルーンリザーバーの弾性壁からの圧力が流体送達を駆動するデバイスは、「エラストマー注入ポンプ」と呼ばれ得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、送達デバイスは、投与され、デバイスに取り外し可能に結合される液体を含むポンプ及び注射器、ならびに注射器のプランジャーをスライドさせて皮膚の下で対象の体内に導入される針またはカニューレなどの穿刺部材を介して、直接または可撓性チューブを介して液体の注入を引き起こすように配置された、コントローラによって電子的に制御され得る駆動ユニットを含む。例えば、いくつかの実施形態では、ポンプは、液体を含む注射器のプランジャーを押すねじを回すモーターを備え得る。プランジャーを押すと、液体が注射器から排出され、取り付けられた穿刺部材を介して対象の体内に導入される。例示的なポンプは、例えば、米国特許第6,447,487号;同第6,592,551号;同第6,645,177号;同第8,187,228号;米国特許出願公開第20020123740号、同第20030229311号、同第20060184123号、同第20070100281号、同第20090123309号、同第20150038906号に記載されている。Crono PID(NDC No .:8423.2000.02)、Crono S-PID30、及びCrono S-PID 50(NDC No .:8423.2000.04)(Cane s.r.l.Medical Technology(Rivoli,Italy))、及びT34(商標)Ambulatory Syringe Pump及びT60(商標)Ambulatory Syringe Pump(CME Medical,Blackpool,UK)は、特定の実施形態で使用できる例示的な携帯型注射器注入ポンプである。
【0178】
いくつかの実施形態では、ポンプは、電子的にプログラム可能または制御され得る。いくつかの実施形態では、ポンプは、電子的にプログラム可能または制御されない。
【0179】
いくつかの実施形態では、ポンプは電力源として電気を使用する。いくつかの実施形態では、ポンプは電力源として電気を使用しない。そのようなポンプは、例えば、エネルギー源として圧縮ばねまたは圧縮ガスを使用することができる。
【0180】
いくつかの実施形態では、ポンプは、投与される液体を含む注射器のバレルを押し下げるために一定の圧力を加える定圧ポンプである。定圧ポンプの例は、Freedom60(登録商標)注入システム(RMS Medical Products,Chester,NY)である。いくつかの実施形態では、FreedomEdge(登録商標)注入システム(RMS Medical Products)を、例えば、最大20mlを保持できる注射器または最大30mlを保持できる注射器とともに使用することができる。定圧デバイスの別の例は、SCIg60シリンジポンプ(EMED Technologies,El Dorado Hills,CA)である。いくつかの実施形態では、弁が液体の流量を制御することができる。いくつかの実施形態では、注射器に接続されたチューブは、例えば、米国特許出願第20150374911号及び/または同第20160256625号に記載されているように、液体の流量を制御することができる。いくつかの実施形態では、0.5ml/分~1ml/分の送達速度を使用することができる。
【0181】
いくつかの実施形態では、投与される液体は、投与前に加圧チャンバーに含まれる。いくつかの実施形態では、液体は、送達前に、嚢またはバルーンなどの弾力性のある拡張可能な容器部分に含まれる。拡張可能な容器部分は、互換性のある医療グレードのブチル、シリコーン、または液体を保持するのに適した他の材料の内張りでできているか、またはそれを含むことができる。容器部分は、液体で(例えば、投与される化合物の単位用量で)満たされると膨張し、液体に圧力をかける。当業者は、容器部分が様々な方法で充填され得ることを理解している。いくつかの実施形態では、拡張可能な容器部分の充填は、手動で、例えば、手動で作動する注射器を使用して達成され得るか、または充填装置を使用して実行され得る。デバイスが対象の皮膚に取り付けられた後、針またはカニューレなどの穿刺部材は、バネ式である可能性があり、自動的に、またはボタンを押すなどの追加の作動に続いて、デバイスの筐体から出現し、皮膚を穿刺する。続いて、自動的に、またはボタンを押すなどの追加の作動に続いて、圧力が液体をチャンバーまたは容器から押し出し、針またはカニューレを介して対象の体内に押し込む。例示的なデバイスは、米国特許出願公開第20130018326号、及び/または同第20150217058号に記載されている。
【0182】
いくつかの実施形態では、送達デバイスは、「オンボディ送達デバイス」であり、この用語は、対象に投与される液体を保持するためのチャンバーまたは他の容器部分を含む送達デバイスを指し、デバイスは、個別の支持体や外部リザーバーを必要とせずに、対象の皮膚に直接取り付けられた状態で液体を送達でき、典型的には、送達中に対象が移動できるようにする。液体を保持するためのチャンバーは、筐体内に含まれ得る。典型的には、オンボディ送達デバイスは、接着剤を使用して対象の皮膚に貼り付けられる。デバイスは、デバイスが自立するように十分に強く固定されている。デバイスは、デバイスを皮膚に直接固定するために使用するために、例えば、筐体の外面上に接着剤層を備えていてもよい。接着剤層は、針またはカニューレなどの穿刺部材が突出するデバイスの部分を取り囲んで、穿刺した皮膚の周りに密封を提供することができる。いくつかの実施形態では、オンボディ送達デバイスは、Sensile Medical AG(Hagendorf,Switzerland)から入手可能である。例えば、SenseInfuse、SensePatch、またはSenseflexとして知られているデバイスを使用できる。いくつかの実施形態では、オンボディ送達デバイスは、Enable Injections,Inc.(Cincinnati,OH)から入手可能である。いくつかの実施形態では、液体を排出するためのブラダーまたはバルーンなどの弾力性のある拡張可能な容器部分を含むデバイスは、オンボディ送達デバイスである。いくつかの実施形態では、デバイス、例えば、オンボディ送達デバイスは、デバイスの使用前または使用中に、穿刺部材、例えば、針がユーザーに見えないように構成される。いくつかの実施形態では、穿刺部材、例えば針は、液体の送達が完了したとき、またはデバイスが皮膚から取り外されたときに収縮できる。本明細書に記載の送達デバイスと共に使用するための穿刺部材、例えば針は、任意の適切なゲージまたは内径、例えば、本明細書の他の場所に記載されるようなゲージまたは内径を有し得ることが理解される。
【0183】
いくつかの実施形態では、送達デバイスは、液体(例えば、コンプスタチン類似体を含む液体)を含むバイアル、カートリッジ、または注射器を挿入することができる筐体を含む。液体は、デバイスの作動時に投与される。いくつかの実施形態では、液体は、投与前にデバイスのチャンバーに移される。いくつかの実施形態では、送達デバイスは再利用可能であり、例えば、内容物の投与後に、新しいバイアル、カートリッジ、または注射器を再充填または供給することができる。
【0184】
いくつかの実施形態では、送達デバイスは使い捨てデバイスであり、すなわち、デバイスは、単一用量を投与するために、または単一投与セッションで使用するために使用されるように設計されている。例えば、デバイスは、対象の皮膚に取り付けられ、用量を投与するために作動し、除去され、その後、1つ以上の追加の用量を投与するために使用されるのではなく、リサイクルまたは廃棄されるように設計され得る。
【0185】
いくつかの実施形態では、2つ以上の部位への液体の送達を可能にする送達デバイスを使用することができる。いくつかの実施形態では、部位の数は1~5である。いくつかの実施形態では、部位の数は5より大きく、例えば、6~10である。2つ以上の部位への送達は、同時または逐次的であり得る。デバイスは、それぞれが部位の1つに接続され、デバイスの駆動システムを収容する本体に結合されるように配置された一対の注射器を含むことができる。例示的なデバイスは、WO2011154928及び米国特許出願公開第20120143133号に記載されている。いくつかの実施形態では、多針注入セットを使用することができる。いくつかの実施形態では、多針注入セットは、一端が液体(例えば、注射器)を含むチャンバー(この用語は「リザーバー」と交換可能に使用される)と連絡し、他端はそれぞれが末端に針を有する複数の管に分岐する可撓性チューブを含む。neria(商標)マルチ注入セット(Unomedical A/S,Osted,Denmark)は、例示的な多針注入セットである。
【0186】
いくつかの実施形態では、送達デバイスは、デバイスの使用に関するデータを収集することができる。このようなデータには、例えば、デバイスが使用された日時、投与量、投与期間などの送達パラメーター、投与中に問題が発生したかどうかなど含まれる。データは、デバイスに物理的に結合されたコンピュータ可読媒体上に保存され得、及び/または遠隔の場所、例えば、遠隔サーバーに送信され得、そこで、データは、保存、分析、または保存もしくは分析のためにさらに送信され得る。デバイスは、1つ以上のプロセッサ、センサー、ソフトウェアプログラム、及びデバイスと他の製品及びシステムとの間でデータを交換できるようにする適切な接続を備え得る。データは、無線自動識別(RFID)、バーコード/QRコードスキャン、セルラー、Bluetooth Low Energy(BTLE)、物理ワイヤ、またはそれらの組み合わせを介して転送できる。データは、インターネットなどの任意の適切なネットワークを介して送信することができる。データは分析されたり、クラウドに保存されたりできる。いくつかの実施形態では、デバイスは、アクティブまたはパッシブのRFIDタグまたはチップ(以下、「RFIDタグ」と呼ぶ)を含む。RFIDタグには、デバイスを識別するデータが含むことができる。RFIDタグは、デバイスの作動及び/または用量の投与の完了などの使用関連情報を通知するアクティブタグまたはチップであり得る。いくつかの実施形態では、特定のデバイスから取得されたデータは、対象の医療提供者または介護者などの1つ以上の実体または個人が利用できるようにすることができる。そのような実体または個人は、追加的または代替的に、指定されたイベントの発生または非発生について自動的に通知できる。例えば、投与スケジュールに従ってそのような投与が行われる予定の日に用量が投与されない場合、または投与スケジュールに従って投与が行われることになっていない日にデバイスが展開される場合、対象の1以上の医療提供者または介護者に通知され得る。通知を受けると、実体または個人は、対象に連絡するなどの適切な行動を実行できる。いくつかの実施形態では、用量がスケジュール通りに投与されない場合、モニタリングシステムは、例えば、電話またはテキストメッセージによって、対象に自動的に連絡を試みる。
【0187】
いくつかの実施形態では、送達システムは、送達デバイス及び遠隔制御デバイスを含み得る。遠隔制御装置は、例えば、送達デバイスのプログラミングを可能にし、及び/または送達デバイスを作動させて流体の送達を開始するか、または送達デバイスに流体の送達を停止させるために使用され得る。
【0188】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象に(例えば、郵便または手配されたピックアップまたは他の通常の送達モードによって)、所定の期間(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間など)持続するのに十分な活性作用物質(例えば、コンプスタチン類似体)の供給を一緒に提供する本明細書に記載のデバイスのセットを提供することを企図する。いくつかの実施形態では、そのようなセットは、患者が不足しないように選択されたタイミングで定期的に(例えば、毎週、2週間、3週間、4週間など)患者の住居に送られる。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、コンプスタチン類似体を含む)は、容器(例えば、バイアル)または本明細書に記載の薬物送達デバイスまたはパックのいずれかに含まれ得る。いくつかの実施形態では、供給は、4~12週間、12~26週間、またはそれ以上持続するのに十分である。
【0189】
本開示を読む当業者は、当分野の標準的な慣行に従って、本明細書に記載の特定の容量を含む容器が、指定された特定の容量(例えば、単位用量)が投与のために容器から引き出されるのを可能にするのに十分な追加の容量を含み得ることを理解するであろう。
【0190】
特定の実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えばペグセタコプランは、5%デキストロース中の溶液として、酢酸緩衝マンニトール中の溶液として、または皮下投与のために、例えば、皮下自己投与のために、酢酸緩衝ソルビトール中の溶液として製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、栓付きガラスバイアルで供給される酢酸緩衝ソルビトール中のペグセタコプラン、54mg/mLの滅菌溶液として提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、無菌で等張であり、pHが約5.0で、弱く緩衝され、容積モル濃度が250~350mOsm/kgである溶液として提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンプスタチン類似体、例えば、ペグセタコプランは、約20mLの皮下注入に適した、市販のポンプ、例えば、本明細書に記載のポンプを使用して投与される。
【0191】
GenBankアクセッション番号を含む、本明細書において言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。更に、物質、方法、及び例は、例示にすぎず、限定を意図しない。別途定義されない限り、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、本発明の所属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書において記載されているものと類似または同等の方法及び物質を本発明の実施または試験において使用することができるが、適切な方法及び物質を本明細書に記載する。
【0192】
VI. 例示的な治療プロトコール及び有効性評価
いくつかの実施形態では、PNHに罹患している対象は、APL-2(「ペグセタコプラン」)で治療される。いくつかの実施形態では、ペグセタコプランは、酢酸緩衝ソルビトール中のペグセタコプラン、54mg/mLの滅菌溶液である。いくつかの実施形態では、ペグセタコプランは、栓付きガラスバイアルで供給される。いくつかの実施形態では、ペグセタコプランは、20mLの容量で投与される。いくつかの実施形態では、ペグセタコプランの初回投与を受ける前に、対象は少なくとも18歳であり、PNHの一次診断を有し(例えば、高感度フローサイトメトリーによって確認される)、ヘモグロビンレベルが10.5g/dL未満であり、網状赤血球の絶対数>1.0×正常上限(ULN)であり、血小板数>50,000/mmであり、及び/または好中球の絶対数>500/mmである。いくつかの実施形態では、対象は、ペグセタコプランの初回投与前または投与後2週間以内に、Neisseria meningitidisタイプA、C、W、Y及び/または Bに対して;及び/またはStreptococcus pneumoniaeに対して;及び/またはHaemophilus influenzae B型(Hib)に対してワクチン接種されているか、または対象は、力価によって証明されるか、許容可能な局所限界内の力価レベルを示すように、ワクチン接種に不応答である。いくつかの実施形態では、対象は、ペグセタコプランによる治療の前または治療中に妊娠していない。いくつかの実施形態では、対象は、ペグセタコプランを自己投与する意思と能力がある。いくつかの実施形態では、ペグセタコプランは介護者によって投与される。いくつかの実施形態では、対象は、体格指数(BMI)が35.0kg/m未満である。いくつかの実施形態では、対象は、体格指数(BMI)が35.0kg/mを超えている。
【0193】
いくつかの実施形態では、対象は、ペグセタコプランの初回投与を受ける前に、活性な、未解決の細菌感染を有していない。いくつかの実施形態では、対象は、鉄、葉酸、ビタミンB12、及び/またはEPOを投与されていない。いくつかの実施形態では、対象は、ペグセタコプランの初回投与を受ける前に、安定した用量で鉄、葉酸、ビタミンB12及び/またはEPOを投与されている。いくつかの実施形態では、対象は、遺伝性補体欠損症、骨髄移植の病歴、及び/またはペグセタコプランに関連する化合物に対する過敏症または特異体質反応の病歴または存在を有しない。いくつかの実施形態では、対象は、ペグセタコプランを投与された時点で授乳をしていない。
【0194】
いくつかの実施形態では、対象は、QT延長症候群または多形性心室頻拍の病歴または家族歴、原因不明の失神、矯正されていない心臓病因からの失神、及び/または突然死の家族歴を有しない。いくつかの実施形態では、対象は、心筋梗塞、CABG、冠状動脈または脳動脈のステント留置及び/または血管形成術、脳卒中、心臓手術、及び/または3ヶ月以内のうっ血性心不全のための入院、またはクラス2を超える狭心症または2を超えるNYHA心不全クラスを有しい。いくつかの実施形態では、対象は、QTcF>470msまたはPR>280msを有しない。いくつかの実施形態では、対象が、バックアップペーシング機能を備えた植込み型ペースメーカーまたは植込み型心臓除細動器(ICD)を有しない限り、対象は、Mobitz II 2度AVブロック、2:1 AVブロック、高品位AVブロック、または完全心臓ブロックを有しない。いくつかの実施形態では、対象は、クラス1またはクラス3の抗不整脈薬、あるいはヒ素、メタドン、オンダンセトロン、またはペンタミジンを投与されていない。いくつかの実施形態では、対象は、ペグセタコプランの初回投与を受ける前に、安定した用量でQTc延長薬を投与されていない。いくつかの実施形態では、対象は、ペグセタコプランの初回投与の前に、予防的シプロフロキサシン、エリスロマイシン、及び/またはアジスロマイシンを投与されていない。いくつかの実施形態では、対象は、QTcFが470ms未満の予防的抗生物質の1週間後にECGを有する。
【0195】
いくつかの実施形態では、対象は、ペグセタコプランによる治療前の12ヶ月以内に4回未満のPRBC輸血を受けている。いくつかの実施形態では、対象は、ペグセタコプランによる治療前の12ヶ月以内に少なくとも4回のPRBC輸血を受けている。
【0196】
いくつかの実施形態では、ペグセタコプランの初回投与を受ける前の対象の血小板数は、100,000/mm未満である。いくつかの実施形態では、ペグセタコプランの初回投与を受ける前の対象の血小板数は、100,000/mm以上である。
【0197】
いくつかの実施形態では、対象は、エクリズマブによる治療中である。いくつかの実施形態では、対象のエクリズマブの現在の用量は、ペグセタコプランの初回投与を受ける前に、少なくとも3ヶ月間安定している。
【0198】
いくつかの実施形態では、対象は、週に2回、1080mgの用量でペグセタコプランを皮下投与される。いくつかの実施形態では、週に2回の用量は、所与の治療週の1日目及び4日目に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、3日ごとに1080mgの用量でペグセタコプランを皮下投与される。
【0199】
いくつかの実施形態では、対象は、週に2回、1080mgの用量でペグセタコプランを皮下投与され、エクリズマブを現在の用量(例えば、ペグセタコプランによる治療の前に投与される量及び頻度)で4週間投与され、4週間後に、エクリズマブは中止され、対象はペグセタコプランを週に2回1080mgの用量で皮下投与され続ける。いくつかの実施形態では、対象は、3日ごとに、1080mgの用量でペグセタコプランを皮下投与され、エクリズマブを現在の用量(例えば、ペグセタコプランによる治療の前に投与される量及び頻度)で4週間投与され、4週間後に、エクリズマブは中止され、対象はペグセタコプランを3日ごとに1080mgの用量で皮下投与され続ける。
【0200】
いくつかの実施形態では、対象は、対象のLDHレベルに従って決定される頻度で1080mgの用量でペグセタコプランを皮下投与され、エクリズマブを現在の用量(例えば、ペグセタコプランによる治療の前に投与される用量)で4週間投与され、4週間後に、エクリズマブによる治療は中止され、対象は、対象は、対象のLDHレベルに従って決定された頻度で、1080mgの用量でペグセタコプランを皮下投与され続ける。いくつかの実施形態では、対象のLDHレベルが正常の上限の2倍以下である場合、対象は、週に2回、1080mgの用量でペグセタコプランを皮下投与される。いくつかの実施形態では、対象のLDHレベルが正常の上限の2倍を超える場合、対象は、3日ごとに1080mgの用量でペグセタコプランを皮下投与される。いくつかの実施形態では、ペグセタコプランの対象の投与頻度は、対象のLDHレベルに基づいて調整される。いくつかの実施形態では、対象におけるLDHレベルの正常の上限は、約225U/Lである。
【0201】
いくつかの実施形態では、対象は、対象のLDHレベルに従って決定される頻度で、1080mgの用量でペグセタコプランを皮下投与される。いくつかの実施形態では、対象のLDHレベルが正常の上限の2倍以下である場合、対象は、週に2回、1080mgの用量でペグセタコプランを皮下投与される。いくつかの実施形態では、対象のLDHレベルが正常の上限の2倍を超える場合、対象は、3日ごとに1080mgの用量でペグセタコプランを皮下投与される。いくつかの実施形態では、ペグセタコプランの対象の投与頻度は、対象のLDHレベルに基づいて調整される。いくつかの実施形態では、対象におけるLDHレベルの正常の上限は、約225U/Lである。
【0202】
いくつかの実施形態では、ペグセタコプランの投与が週に2回から3日ごとに増加する場合、LDHは、LDHレベルに対する用量調整の影響を評価するために、少なくとも4週間、隔週でモニターされる。
【0203】
いくつかの実施形態では、対象は少なくとも16週間治療される。いくつかの実施形態では、対象は少なくとも48週間治療される。いくつかの実施形態では、対象は52週間治療される。
【0204】
いくつかの実施形態では、対象のベースラインの健康及び/またはペグセタコプランに対する応答は、血液学を使用して評価される。いくつかの実施形態では、評価は、ヘモグロビン、ヘマトクリット、RBC数、血小板数、白血球百分率検査による白血球数、及び網状赤血球のうちの1つ以上を評価することを含む。いくつかの実施形態では、対象のベースラインの健康及び/またはペグセタコプランに対する応答は、凝固を使用して評価される。いくつかの実施形態では、評価は、プロトロンビン時間(PT)、フィブリノーゲン、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、及びD-ダイマーのうちの1つ以上を評価することを含む。いくつかの実施形態では、対象のベースラインの健康及び/またはペグセタコプランに対する応答は、血清化学を使用して評価される。いくつかの実施形態では、評価は、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン、推定クレアチニンクリアランス(コッククロフト-ゴールト式を使用)、ビリルビン(総及び直接)、アルブミン、アルカリホスファターゼ(ALP)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、ハプトグロビン、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、乳酸デヒドロゲナーゼイオエンザイム、ビタミンB12、クレアチニンキナーゼ(CK)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、尿酸、グルコース、ナトリウム、カリウム、塩化物、フェリチン、エリスロポイエチン、葉酸、カルシウム、及びリン酸のうちの1つ以上を評価することを含む。いくつかの実施形態では、対象のベースラインの健康及び/またはペグセタコプランに対する応答は、尿分析を使用して評価される。いくつかの実施形態では、評価は、pH、比重、タンパク質、グルコース、ケトン、ビリルビン、血液、亜硝酸塩、ウロビリノーゲン、及び白血球エステラーゼのうちの1つ以上を評価することを含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、対象はヘモグロビンレベルについて評価される。いくつかの実施形態では、評価は、ベースラインからペグセタコプランの初回投与を受けた後の期間までのヘモグロビンレベルの変化を評価することを含む。いくつかの実施形態では、ヘモグロビンレベルは、対象のペグセタコプランの初回投与の16週間後に評価される。いくつかの実施形態では、ヘモグロビンレベルは、対象のペグセタコプランの初回投与の20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間後に評価される。いくつかの実施形態では、対象のヘモグロビンレベルは、ベースラインと比較して増加する。いくつかの実施形態では、対象のヘモグロビンレベルは、ベースラインと比較して少なくとも1g/dL増加する。いくつかの実施形態では、対象のヘモグロビンレベルは、ベースラインと比較して少なくとも2g/dL増加する。いくつかの実施形態では、対象のヘモグロビンレベルは、ベースラインと比較して少なくとも3g/dL増加する。いくつかの実施形態では、対象のヘモグロビンレベルは、ベースラインと比較して少なくとも4g/dL増加する。いくつかの実施形態では、対象のヘモグロビンレベルは、ベースラインと比較して約2.4g/dL増加する。いくつかの実施形態では、対象のヘモグロビンレベルは、ベースラインと比較して約11~12g/dL増加する。いくつかの実施形態では、対象のヘモグロビンレベルの増加は、ペグセタコプランの初回投与を受けた後少なくとも16週間持続する。いくつかの実施形態では、対象のヘモグロビンレベルの増加は、ペグセタコプランの初回投与を受けた後少なくとも20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間持続する。
【0206】
いくつかの実施形態では、対象は輸血回避について評価される。いくつかの実施形態では、評価は、ベースラインからペグセタコプランの初回投与を受けた後の期間までの輸血回避の変化を評価することを含む。いくつかの実施形態では、輸血回避は、対象のペグセタコプランの初回投与の16週間後に評価される。いくつかの実施形態では、輸血回避は、対象のペグセタコプランの初回投与の20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間後に評価される。いくつかの実施形態では、対象の輸血回避は、ベースラインと比較して改善し、例えば、いくつかの実施形態では、対象は、ペグセタコプランを投与する前よりもペグセタコプランを投与している間、より少ない輸血を必要とする。いくつかの実施形態では、対象は、ベースラインと比較して、少なくとも1、2、3、4、5、または6回少ない輸血を必要とする。いくつかの実施形態では、対象は、対象のペグセタコプランの初回投与に続いて、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間、または少なくとも24週間の期間にわたって、3、2、または1回未満の輸血を必要とする。
【0207】
いくつかの実施形態では、対象は、網状赤血球レベル(すなわち、網状赤血球の絶対数)について評価される。いくつかの実施形態では、評価は、ベースラインからペグセタコプランの初回投与を受けた後の期間までの網状赤血球レベルの変化を評価することを含む。いくつかの実施形態では、網状赤血球レベルは、対象のペグセタコプランの初回投与の16週間後に評価される。いくつかの実施形態では、網状赤血球レベルは、対象のペグセタコプランの初回投与の20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間後に評価される。いくつかの実施形態では、対象の網状赤血球レベルは、ベースラインと比較して減少する。いくつかの実施形態では、対象の網状赤血球レベルは、ベースラインと比較して、少なくとも約135×10/L、例えば、いくつかの実施形態では、約135×10/L減少する。いくつかの実施形態では、対象の網状赤血球レベルは、約60~85×10/Lまで減少する。いくつかの実施形態では、対象の網状赤血球レベルは、約70~80×10/Lまで減少する。いくつかの実施形態では、対象の網状赤血球レベルは、約77×10/Lまで減少する。いくつかの実施形態では、対象の網状赤血球レベルの減少は、ペグセタコプランの初回投与を受けた後、少なくとも16週間持続する。いくつかの実施形態では、対象の網状赤血球レベルの減少は、ペグセタコプランの初回投与を受けた後少なくとも20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間持続する。
【0208】
いくつかの実施形態では、対象はLDHレベルについて評価される。いくつかの実施形態では、評価は、ベースラインからペグセタコプランの初回投与を受けた後の期間までのLDHレベルの変化を評価することを含む。いくつかの実施形態では、LDHレベルは、対象のペグセタコプランの初回投与の16週間後に評価される。いくつかの実施形態では、LDHレベルは、対象のペグセタコプランの初回投与の20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間後に評価される。いくつかの実施形態では、対象のLDHレベルは、ベースラインと比較して減少する。いくつかの実施形態では、対象のLDHレベルは、ベースラインと比較して少なくとも約15U/L減少し、例えば、いくつかの実施形態では、約15U/L減少する。いくつかの実施形態では、対象網状赤血球レベルは、約160~230U/Lまで減少する。いくつかの実施形態では、対象の網状赤血球レベルは、約180~195U/Lまで減少し、例えば、いくつかの実施形態では、約189U/Lまたは約190U/Lまで減少する。いくつかの実施形態では、対象の網状赤血球レベルの減少は、ペグセタコプランの初回投与を受けた後、少なくとも16週間持続する。いくつかの実施形態では、対象の網状赤血球レベルの減少は、ペグセタコプランの初回投与を受けた後少なくとも20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間持続する。
【0209】
いくつかの実施形態では、対象は倦怠感レベルについて評価される。いくつかの実施形態では、評価は、ベースラインからペグセタコプランの初回投与を受けた後の期間までの倦怠感レベルの変化を評価することを含む。いくつかの実施形態では、倦怠感レベルは、対象のペグセタコプランの初回投与の16週間後に評価される。いくつかの実施形態では、倦怠感レベルは、対象のペグセタコプランの初回投与の20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間後に評価される。いくつかの実施形態では、対象の倦怠感の量は、ベースラインと比較して減少する。いくつかの実施形態では、倦怠感レベルは、
慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)倦怠感尺度スコア以下に従って評価され、例えば、いくつかの実施形態では、倦怠感レベルは、FACIT倦怠感尺度スコアバージョン4に従って評価される。いくつかの実施形態では、対象のFACIT倦怠感尺度スコアは、ベースラインと比較して改善(増加)する。いくつかの実施形態では、対象のFACIT倦怠感尺度スコアは、ベースラインと比較して少なくとも3ポイント増加する。いくつかの実施形態では、対象のFACIT倦怠感尺度スコアは、ベースラインと比較して少なくとも約5~20ポイント増加する。いくつかの実施形態では、対象のFACIT倦怠感尺度スコアは、ベースラインと比較して約7.5~11ポイント増加し、例えば、いくつかの実施形態では、対象のスコアは、ベースラインと比較して約9ポイント増加する。いくつかの実施形態では、対象のFACIT倦怠感尺度スコアは、約32、34、36、38、40、42、44、46、または48まで増加する。いくつかの実施形態では、対象のFACIT倦怠感尺度スコアは、約40~44まで増加する。いくつかの実施形態では、対象のFACIT倦怠感尺度スコアの増加は、ペグセタコプランの初回投与を受けた後少なくとも16週間持続する。いくつかの実施形態では、対象のFACIT倦怠感尺度スコアの増加は、ペグセタコプランの初回投与を受けた後少なくとも20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間持続する。
【0210】
いくつかの実施形態では、対象は、輸血の非存在下でのヘモグロビン応答(ヘモグロビンにおいて少なくとも1g/dL以上の増加)について評価される。いくつかの実施形態では、対象は、輸血の非存在下での網状赤血球の正常化(網状赤血球数が正常範囲の上限を下回る)について評価される。いくつかの実施形態では、対象は、輸血の非存在下でのヘモグロビン正常化(正常範囲の下限を超えるヘモグロビンレベル)について評価される。
【0211】
いくつかの実施形態では、対象は、ビリルビン、ハプトグロビン、線形アナログスケール評価(LASA)スコア、欧州がん研究治療機構(EORTC)QLQ-C30スコア、及び/または輸血されたPRBCユニットの数の、ベースラインと比較した変化について評価される。いくつかの実施形態では、ベースラインからの変化は、対象のペグセタコプランの初回投与の16週間後に評価される。いくつかの実施形態では、ベースラインからの変化は、対象のペグセタコプランの初回投与の20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間後に評価される。いくつかの実施形態では、対象のベースラインからの変化は、ペグセタコプランの初回投与を受けた後少なくとも16週間持続する。いくつかの実施形態では、対象のベースラインからの変化は、ペグセタコプランの初回投与を受けた後少なくとも20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間持続する。
【0212】
いくつかの実施形態では、薬物動態及び薬力学が評価される。いくつかの実施形態では、評価は、PNHタイプII+III RBCのパーセンテージにおけるベースラインからの対象の変化、及び/またはC3でオプソニン化されたPNHタイプII+III RBCのパーセンテージにおけるベースラインからの対象の変化を評価することを含む。いくつかの実施形態では、ベースラインからの変化は、対象のペグセタコプランの初回投与の16週間後に評価される。いくつかの実施形態では、ベースラインからの変化は、対象のペグセタコプランの初回投与の20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間後に評価される。いくつかの実施形態では、対象のベースラインからの変化は、ペグセタコプランの初回投与を受けた後少なくとも16週間持続する。いくつかの実施形態では、対象のベースラインからの変化は、ペグセタコプランの初回投与を受けた後少なくとも20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間持続する。
【0213】
いくつかの実施形態では、治療に起因する有害事象(TEAE)の発生率及び重症度、血栓塞栓性事象の発生率、検査値のベースラインからの変化、及び/または心電図(ECG)パラメーターのベースラインからの変化が評価される。いくつかの実施形態では、これらの発生率、重症度、及び/または変化は、対象のペグセタコプランの初回投与から16週間後に評価される。いくつかの実施形態ではそれらは、対象のペグセタコプランの初回投与の20、24、28、32、36、40、44、48、または52週間後に評価される。
【0214】
実施例1-PEGASUS(16週間の研究結果)
この実施例では、PNHの患者における、APL-2(ペグセタコプラン、この実施例では「治験薬」とも呼ばれる)の有効性と安全性を評価するための第3相無作為化多施設非盲検実薬対照比較試験の16週間の結果について記載する。
【0215】
方法
患者の選択
PEGASUS試験プロトコールは、8週間のスクリーニング期間、52週間の治療期間、及び12週間の追跡期間からなった。実施されたPEGASUS試験の概略図が図1Bに示されている。
【0216】
スクリーニング時に、男性と女性の対象は、研究への参加資格を得るために、以下の選択基準をすべて満たす必要があった。
● 少なくとも18歳。
● 高感度フローサイトメトリーによって確認されたPNHの一次診断。
● エクリズマブによる治療中。エクリズマブの用量は、スクリーニング来院前の少なくとも3か月間安定している必要がある。
● スクリーニング来院時のヘモグロビンレベル<10.5g/dL。
● スクリーニング来院時の網状赤血球の絶対数>1.0×正常の上限(ULN)。
● スクリーニング来院時の血小板数>50,000/mm
● スクリーニング来院時の好中球の絶対数>500/mm
● Neisseria meningitidisA型、C型、W型、Y型、B型、Streptococcus pneumoniae、及びB型Haemophilus influenzae(Hib)に対するワクチン接種は、1日目の投与前2年以内、または治験薬による治療開始後14日以内(力価によって証明されるように、または許容可能な局所的限界内の力価レベルを示すように、対象がワクチン接種に無反応であるという記録された証拠が存在しない限り)。
● 出産の可能性のある女性(WOCBP)は、スクリーニングと28日目の来院(導入期間)で妊娠検査が陰性であり、研究期間中及び治験薬の最後の投与から90日後にプロトコールで定義された避妊法を使用することに同意した。
● 男性は、プロトコールで定義された避妊方法を使用することに同意し、研究期間中及び治験薬の最後の投与後90日間は精子の提供を控えることに同意した。
● 承認された避妊方法には、経口避妊薬、子宮内避妊器具、医学的に許容されるバリア法(ペッサリーまたはコンドーム)、埋め込み型または注射用避妊薬(Depo Proveraなど)または取り外し可能な避妊器具(NuvaRingまたはOrtho Evraパッチなど)、及び/または外科的滅菌(投与の少なくとも6か月前)が含まれる。
● インフォームドコンセントを行う意思と能力がある。
● 治験薬を自己投与する意思と能力(介護者による投与が許可された)。
● 体格指数(BMI)<35.0kg/mであった。
【0217】
スクリーニング時に以下の基準のいずれかの証拠があり、必要に応じて-28日目来院で確認された場合、対象は研究から除外された。
● -28日目(治験薬の初回投与)から1週間以内に解消されなかった活動性細菌感染症。
● スクリーニング前の4週間に、用量が安定していない限り、鉄、葉酸、ビタミンB12、及びEPOを投与される。
● 遺伝性補体欠損症。
● 骨髄移植の病歴。
● SC投与の治験薬に関連する化合物に対する過敏症または特異体質反応の病歴または存在。
● 30日または5半減期(いずれか長い方)以内に他の治験薬試験に参加するか、他の治験薬に曝露する。
● 現在、授乳中の女性。
● 協力できないこと、または研究者の意見では、対象が研究に参加するリスクを高めたり、研究の結果を混乱させたりする可能性のある状態。
● QT延長症候群または多形性心室頻拍の病歴または家族歴、原因不明の失神、矯正されていない心臓病因からの失神、または突然死の家族歴。
● 心筋梗塞、CABG、冠状動脈または脳動脈のステント留置及び/または血管形成術、脳卒中、心臓手術、または3か月以内のうっ血性心不全の入院またはクラス2を超える狭心症または2を超えるNYHA心不全クラス。
● QTcF>470ms、PR>280ms
● 患者がバックアップペーシング機能を備えた植込み型ペースメーカーまたは植込み型心臓除細動器(ICD)を有しない限り、Mobitz II 2度AVブロック、2:1 AVブロック、高品位AVブロック、または完全心臓ブロック。
● スクリーニング時にクラス1またはクラス3の抗不整脈薬、またはヒ素、メタドン、オンダンセトロン、またはペンタミジンを投与される。
● 投与前の3週間未満の安定した用量でQTc延長薬を投与される。
● 治験薬の初回投与前に予防的シプロフロキサシン、エリスロマイシン、またはアジスロマイシンを1週間未満投与されている(QTcFが470ms未満で予防的抗生物質を1週間投与した後、ECGを繰り返しスクリーニングする必要がある)。
【0218】
ワクチン接種
N.meningitidis、H.influenzae B型(Hib)、及びS.pneumoniaeに対するワクチン接種またはワクチン接種の証拠が必要であった。対象の最初に記録されたN.meningitidisワクチン(複数可)が導入期間(-14日目)に投与された場合、2か月後に追加免疫(両方のワクチン接種用)が投与された。以前に記録されていない場合、対象はH.influenzae B型(Hib)のワクチンも接種された。力価によって証明されるように、または許容可能な局所限界内の力価レベルを示すように、対象がワクチン接種に無応答であるという記録された証拠が存在しない限り、ワクチン接種は必須であった。
【0219】
S.pneumoniaeのワクチン接種要件のシナリオは次のとおりであった(力価によって証明されるように、または許容可能な局所限界内の力価レベルを示すように、対象がワクチン接種に無応答であるという記録された証拠が存在しない限り):
● ペグセタコプランによる治療を開始する前の2年以内に、対象がPCV13ワクチンとPPSV23ワクチンの両方によるS.pneumoniaeワクチン接種の記録があった場合、研究への参加に追加のS.pneumoniaeワクチン接種は必要なかった。
● ペグセタコプランによる治療を開始する前の2年以内に、対象がPCV13ワクチンまたはPPSV23ワクチンのいずれかによるS.pneumoniaeワクチン接種の記録がなかった場合、対象は1日目から2週間以内にPCV13ワクチンを投与され、その後にプロトコールに示されているように、少なくとも8週間後のPPSV23ワクチンを投与される必要があった。
● ペグセタコプランによる治療を開始する前の2年以内に、対象がPCV13ワクチンのみによるS.pneumoniaeワクチン接種を記録されていた場合、対象は1日目の前の2週間以内にPPSV23ワクチンを接種し、続いて少なくとも8週間後にPPSV23の追加接種を受ける必要があった。
● ペグセタコプランによる治療を開始する前の2年以内に、対象がPPSV23ワクチンのみによるS.pneumoniaeワクチン接種を記録されていた場合、対象は1日目の前の2週間以内にPPSV23ワクチンの追加接種を受ける必要があった。
【0220】
研究デザイン
対象は、治験薬またはエクリズマブのいずれかを投与されるように無作為化された。治療期間は、4週間の導入期間、16週間の無作為化比較期間、及び32週間の非盲検治験薬のみの期間の3つの部分で構成されていた。
【0221】
4週間の導入期間(-4週目から-1日目)の間に、すべての対象は、対象の現在のエクリズマブ治療の用量に加えて、週に2回の治験薬(1,080mg)の皮下投与量を自己投与した。これは、治験の来院スケジュールまたは治験薬の投与スケジュールに関係なく、処方されたとおりに継続した(すなわち、エクリズマブの投与を治験薬の投与または治験の来院と一致させる必要はなかった)。1日目に、対象は治験薬の投与を受け、投与スケジュールによってはエクリズマブを投与され得た。次いで、対象は群1(単剤療法治験薬)または群2(単剤療法エクリズマブ)のいずれかに無作為化された。16週間の無作為化比較期間の残りの期間、群1の対象は治験薬を投与され、群2の対象はエクリズマブを投与された。無作為化比較期間中、対象は有効性と安全性の評価のために1、2、4、6、8、12、16週目に臨床現場に戻った。
【0222】
無作為化は、次の値によって階層化された。
● -28日目の前の12か月以内のPRBC輸血の数(<4;≧4)(すなわち、輸血されたPRBCユニットに関係なく輸血事象の数)
● スクリーニング時の血小板数(<100,000;≧100,000)
【0223】
試料サイズには、それぞれの層(PRBC輸血<4、PRBC輸血≧4)の対象の約50%が含まれていた。輸血が4回未満の対象の登録は50%以下に制限されていた。
【0224】
1日目から16週目までは、評価項目が評価された無作為化比較期間として定義された。無作為化比較期間の終了後(第16週の終わり)、すべての対象は32週間の非盲検治験薬期間に進み、すべての対象は週に2回の治験薬(1,080mg)を投与される。この期間中、対象は、有効性と安全性の評価のために、17、18、20、22、24週目、及びその後4週間ごとに、48週目まで臨床現場に戻る。無作為化比較期間でエクリズマブを投与された対象は、エクリズマブに加えて治験薬を4週間(17~20週)投与される。
【0225】
52週間の治療期間の完了後(48週目)、対象は非盲検延長試験への参加を提案される。非盲検延長治験に参加しなかった対象は、試験を終了し、6週間間隔で2回の追加の安全性の来院のために現場に戻る。治験の終了は、最後の対象が48週目の来院を完了して長期安全延長(LTSE)研究に登録したとき、またはLTSE研究に参加しないことを選択した対象の場合は、最後の対象が60週目の彼らの出口来院を完了したときと定義される。
【0226】
第48週の来院前に治療を中止した対象は、治験薬の投与を除いて、治験への参加を継続し、予定された治験手順のために治験現場に戻る。48週より前に治験を中止し、治験薬のみで治療されている対象は、治験薬を中止する前に少なくとも1回のエクリズマブを投与される。
【0227】
それぞれの対象の治験への参加期間は、8週間のスクリーニング期間、52週間の治療期間、及び12週間の追跡期間を含めて最大約72週間である。非盲検延長治験に参加する者は、12週間の追跡期間を必要としない。
【0228】
臨床検査所見のパネル
臨床検査には以下が含まれる(しかしながら、これらに限定されない)。
【0229】
血液学:Hb、ヘマトクリット、RBC数、血小板数、白血球百分率検査によるWBC数、網状赤血球。
【0230】
凝固:プロトロンビン時間(PT)、フィブリノーゲン、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、D-ダイマー
【0231】
血清化学: 血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン、推定クレアチニンクリアランス(コッククロフト-ゴールト式を使用)-スクリーニングのみ、ビリルビン(総及び直接)、アルブミン、アルカリホスファターゼ(ALP)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、ハプトグロビン、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、乳酸デヒドロゲナーゼイオエンザイム、ビタミンB12、クレアチニンキナーゼ(CK)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、尿酸、グルコース、ナトリウム、カリウム、塩化物、フェリチン、エリスロポイエチン、葉酸、カルシウム、リン酸。
【0232】
尿検査: pH、比重、タンパク質、グルコース、ケトン、ビリルビン、血液、亜硝酸塩、ウロビリノーゲン、白血球エステラーゼ。
【0233】
試験治療
治験薬はペグセタコプラン(「APL-2」とも呼ばれる)(図1Aを参照)であり、これは、栓付きガラスバイアルで供給される酢酸緩衝ソルビトール中のペグセタコプラン、54mg/mLの滅菌溶液として提供された。
【0234】
-28日目(来院2)から開始して、対象は1日目までエクリズマブの現在の用量に加えて週に2回の1,080mgのペグセタコプランの自己投与の(SC)用量を皮下に投与された。対象は処方されたエクリズマブの用量と投与スケジュールを維持した。1日目に、対象はペグセタコプランの投与を受け、投与スケジュールによってはエクリズマブを投与され得た。次いで、対象は群1(単剤療法ペグセタコプラン)または群2(単剤療法エクリズマブ)のいずれかに無作為化された。
【0235】
群1の対象は、エクリズマブ治療を中止し、48週目の終わりまでそれぞれの治療週の1日目と4日目にペグセタコプラン(1,080mgを週に2回)の投与を継続する。
【0236】
群2の対象は、20週目の終わりまで、スクリーニング前の安定した用量のエクリズマブを投与され続ける。16週目の来院後、対象は治療週の1日目と4日目に48週目の終わりまでペグセタコプラン(1,080 mgを週に2回)を投与される。
【0237】
ペグセタコプランによる単剤療法の開始後、1日目(無作為化)に、予定された診療所来院で予定された評価の一部として乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)がモニターされた。ペグセタコプラン単剤療法を受けている対象の場合、LDHが>2×ULNであった場合、3日ごと1,080mgに増加したペグセタコプランの用量を開始した。用量が増加した場合、LDHレベルに対する用量調整の影響を評価するために、LDHを少なくとも4週間隔週でモニターした(該当する場合は予定外の評価)。ペグセタコプランによる単剤療法の開始後、21週目に、予定された診療所来院で予定された評価の一部として乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)がモニターされる。ペグセタコプラン単剤療法を受けている対象の場合、LDHが>2×ULNである場合、3日ごと1,080mgに増加したペグセタコプランの用量を開始する。用量が増加した場合、LDHレベルに対する用量調整の影響を評価するために、LDHを少なくとも4週間隔週でモニターする(該当する場合は予定外の評価)。
【0238】
臨床効果の測定
この試験の主要評価項目は、ベースラインから16週目までのヘモグロビンレベルの増加であった(無作為化比較期間前のデータを除く)。主要な副次評価項目には、輸血回避、網状赤血球数の減少、LDHレベルの減少、及び慢性疾患治療の機能評価(FACIT)倦怠感尺度スコア、バージョン4の変化が含まれる。追加の副次評価項目には、輸血の非存在下でのヘモグロビン応答(無作為化比較期間前のデータを除く、16週目のベースラインからのヘモグロビンの少なくとも1g/dL以上の増加として定義されるヘモグロビン応答);輸血の非存在下の場合の網状赤血球の正常化(網状赤血球数が16週目の正常範囲の上限を下回ると定義される網状赤血球の正常化);輸血の非存在下の場合のヘモグロビンの正常化(16週目の正常範囲の下限を超えるヘモグロビンレベルとして定義されるヘモグロビンの正常化);間接ビリルビンレベルで、無作為化比較期間前のデータを除いて、ベースラインから第16週での変化;ハプトグロビンレベルで、無作為化比較期間前のデータを除いて、ベースラインから第16週での変化;線形アナログスケール評価(LASA)スコアで、無作為化比較期間前のデータを除いて、ベースラインから第16週での変化;欧州がん研究治療機構(EORTC)QLQ-C30スコアにおいて、無作為化比較期間前のデータを除き、ベースラインから第16週での変化;無作為化比較期間中に輸血されたPRBCユニットの数[1日目から16週目及び4週目から16週目]。ヘモグロビンレベルのベースラインからの変化、及び17週から48週での変化;網状赤血球数のベースラインからの変化、及び17週から48週での変化;乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベルのベースラインからの変化、及び17週から48週での変化;FACIT倦怠感尺度スコアのベースラインからの変化、及び17週から48週での変化;LASAスコアのベースラインからの変化、及び17週から48週での変化;QLQ-C30スコアのベースラインからの変化、及び17週から48週での変化;ならびに非盲検治験薬期間中に輸血されたPRBCユニットの数が含まれる。副次有効性評価項目の階層的有意性検定は、主要有効性評価項目の成功に基づいて行われた。事後分析には、輸血及び治療に対する血液学的応答がない場合のヘモグロビン安定化(ベースラインからの1g/dLを超える減少の回避として定義)が含まれていた。
【0239】
薬物動態及び薬力学も評価され、16週目のPNHタイプII+III RBCのパーセンテージのベースラインからの変化、及び16週目のC3でオプソニン化されたPNHタイプII+III RBCのパーセンテージのベースラインからの変化が含まれていた。治療に起因する有害事象(TEAE)の発生率及び重症度、血栓塞栓性事象の発生率、検査値のベースラインからの変化、及び心電図(ECG)パラメーターのベースラインからの変化もまた評価された。
【0240】
統計解析
主要評価項目はITTセット(無作為化されたすべての対象を含む)で評価され、Hbレベルのベースラインから16週目までの変化が測定された。主要な副次評価項目は、主要評価項目の統計的有意性に達した後、階層的に試験され、ITTセットで実行された。1つの仮説が有意ではないと試験された場合、その後のすべての試験は評価されなかった。仮説が試験されたかどうかに関係なく、主要な副次評価項目の推定値が計算され、さらなる試験の評価が妨げられた。安全性分析は、安全性セット(無作為化され、単剤療法治験薬を少なくとも1回投与されたすべての対象を含む)で実施された。
【0241】
主要な有効性評価項目の治療群間の比較は、反復測定の混合効果モデル(MMRM)を使用して実行された(Mallinckrodt,DID 42:30(2008))。モデルには、治療群、治験来院、層別化変数(輸血歴と血小板数に基づく)、治験来院-治療群間相互作用の固定カテゴリー効果、及びベースラインHb値の連続固定共変量が含まれていた。16週目のベースラインからのAPL-2とエクリズマブとの間の平均Hb変化の差異は、その両側95%CI及びMMRMモデルからの関連するp値とともに計算された。
【0242】
主要な副次有効性評価項目の分析は、非劣性試験に基づいていた。以下に説明するように、95%両側信頼区間の適切な限界が、APL-2がそれぞれの主要な副次有効性評価項目に対して定義された非劣性マージンによってエクリズマブより劣っていないことを示した場合、非劣性が結論付けられた。
【0243】
輸血回避について、以下のカテゴリーの対象の数と割合が治療群ごとに提示された。
● 無作為化比較期間(1日目から16週目)に輸血なし
● 無作為化比較期間中に輸血を受けた
● 無作為化比較期間中に輸血を受けずに研究から撤退した
【0244】
輸血を受けていなかったが16週前に離脱した対象は、輸血回避の分析において輸血を受けたとみなされた。輸血を回避した対象の数と割合を治療群ごとに表にし、層化コクラン・マンテルヘンツェル(CMH)カイ二乗検定を使用して治療群間で比較した。パーセンテージでの治療の差異及びその差異の95%信頼区間は、層化法を使用して提示された(Miettinen,Statistics in Medicine 4:213-226(1985))。APL-2治療群とエクリズマブ治療群との差の95%CIの下限が、非劣性マージンである-20%より大きい場合、APL-2はエクリズマブに対して非劣性であるとみなされた。
【0245】
網状赤血球数、LDHレベル、及びFACIT倦怠感尺度スコアの16週目のベースラインからの変化は、ITT及びmITTセットを使用して、共変量として独自のベースラインを使用することを除いて、主要有効性評価項目の一次分析で記載したのと同じ方法を使用して分析した。網状赤血球数については、治療差の95%CIの上限が非劣性マージンの10未満である場合、APL-2はエクリズマブに対して非劣性であるとみなされた。LDHについて、治療差の95%CIの上限が非劣性マージンの20未満である場合、APL-2はエクリズマブに対して非劣性であるとみなされた。FACIT倦怠感スコアについて、治療差の95%CIの下限が非劣性マージンの-3より大きい場合、APL-2はエクリズマブに対して非劣性であるとみなされた。
【0246】
無作為化比較期間中に輸血を受けた、または研究から撤退したいずれかの対象は、同時発生イベントを経験したとみなされ、その後のすべての値は、以下のパラメーター(ヘモグロビン値、網状赤血球の絶対数、LDHレベル、ビリルビンレベル、ハプトグロビンレベル、FACIT倦怠感尺度スコア、LASAスコア、QLQ-C30スコア)について欠落(治療戦略中)と設定された。試験治療を中止した対象については、中止後に収集されたいずれかの値は引き続き分析に使用された(治療方針)。
【0247】
対象はさまざまなセットに分けられた。導入セットには、APL-2を少なくとも1回投与されたすべての対象が含まれていた。治療意図(ITT)セットには、無作為化されたすべての対象が含まれていた。このセットを使用した分析は、割り当てられた無作為化された治療群に基づいていた。安全性セットには、無作為化され、単剤療法治験薬を少なくとも1回投与されたすべての対象が含まれた。このセットは安全性分析に使用された。このセットを使用した分析は、実際に受けた治療に基づいている。修正ITT(mITT)セットには、無作為化比較期間の無作為化後、4週目以降に少なくとも1回の単剤療法の投与を受けたITTセットのすべての対象が含まれていた。このセットを使用した分析は、割り当てられた無作為化された治療群に基づいていた。パープロトコール(PP)セットには、ITTセット内で、包含基準基準または除外基準に違反しなかった、及び/または有効性評価に影響を与える可能性のある方法でプロトコールから逸脱したすべての対象が含まれていた。対象は、セットに含まれる無作為な治療を受ける必要があったため、このセットを使用した分析は、デフォルトで、割り当てられた実際の治療群に基づいていた。コンプリーターセットは、治験の16週の有効性評価を完了したITTセットのすべての対象で構成されていた。このセットを使用した分析は、割り当てられた無作為化された治療群に基づいていた。さまざまなセットの対象の数を次の表に示す。
【表3】
【0248】
さらに、ベースライン(ペグセタコプランの初回投与前)から16週へのヘモグロビン変化の主要評価項目及び副次評価項目(輸血回避、網状赤血球の絶対数及び乳酸デヒドロゲナーゼの16週でのベースラインからの変化)を、-28日目の前の12か月以内の濃厚赤血球輸血の数(<4対≧4)及びスクリーニング時の血小板数(<100,000/mm対≧100,000/mm)に基づいてサブ群ごとに分析した。
【0249】
結果
対象の特性
次の表に要約されているように、合計80人のPNH患者が研究に参加した。
【表4】
【表5】
【表6】
【0250】
さらに、APL-2群の21人(51.2%)の対象は、過去12か月間に4回以上の輸血を受け、エクリズマブ群の23人(59.0%)の対象は、過去12か月間に4回以上の輸血を受けた。輸血のない患者の割合は、輸血層に関係なくペグセタコプラン群で類似しており(4回未満の輸血対4回以上の輸血ではそれぞれ85.0%対85.7%)、輸血層に関係なくエクリズマブ(ECU)群よりも多かった(4回未満の輸血対4回以上の輸血では31.3%対4.3%)。さらに、輸血を受けなかった患者の割合は、血小板層に関係なく、ペグセタコプラン群で類似していた(100,000/mm未満体100,000/mm以上で、それぞれ83.3%対86.2%)。ECU群では、100,000/mm未満群の患者はなく(0%)、100,000/mm以上群の患者の20.0%は輸血を受けていなかった。
【0251】
APL-2群の対象の平均間接ビリルビンレベルは34.7μmol/L(28.5 SD)であり、エクリズマブ群の対象の平均間接ビリルビンレベルは32.9 μmol/L(23.0 SD)であった。
【表7】
【0252】
ヘモグロビン
最上のデータは、ペグセタコプランが研究の主要有効性評価項目を満たしていることを示し、16週目にヘモグロビンの調整平均3.8 g/dLで統計的に有意な改善でエクリズマブよりも優れていることを示した(p<0.0001)。16週目に、ペグセタコプラン治療を受けた対象(n=41)は、8.7g/dLのベースラインから-1.5g/dLの変化を有するエクリズマブ治療を受けた対象(n=39)と比較して、ベースラインの8.7g/dLから 2.4g/dLの調整平均ヘモグロビン増加を示した (図2Aを参照されたい)。ペグセタコプランは輸血歴とは無関係にヘモグロビンを増加させた。図2Cに示されるように、-28日目までの12か月以内に輸血が4回未満の患者では、ペグセタコプラン治療を受けた患者(n=20)は、調整平均ヘモグロビン増加が2.97g/dLであったが、これに対してエクリズマブ治療を受けた患者(n=16)は、8.9g/dLベースラインから-0.01g/dLの平均変化があった。-28日目までの12か月以内に4回以上輸血を行った患者では、ペグセタコプラン治療を受けた患者(n=21)は、調整平均ヘモグロビン増加が2.11 g/dLであったが、これに対してエクリズマブ治療を受けた患者(n=23)は、8.5g/dLベースラインから-4.02g/dLの平均変化があった(事前に指定された分析に基づいて、輸血後のヘモグロビンレベルは、治療の影響を輸血の影響から分離するために除外された。輸血はそうしないと、人工的にヘモグロビンレベルを増加し得る)。さらに、図2Cに示されるように、ベースライン血小板数層に関係なく、16週目に、平均ヘモグロビンはペグセタコプラン群でベースラインから有意に増加し、エクリズマブ群で減少した。
【0253】
ヘモグロビンの増加は、輸血後のデータを含めて16週間でペグセタコプランで維持された(輸血イベントに関係なく、すべての患者で利用可能なすべてのデータを示す図2Dを参照されたい)。(「輸血後のデータを含む」と「利用可能なすべてのデータ」はここでは交換可能に使用される。) 16週目に、ペグセタコプランを投与された患者の大部分がヘモグロビンの2g/dL以上の改善(61%対0%)、ヘモグロビンの正常化(34%対0%)、及びヘモグロビンの安定化(85%対15%)を達成し、エクリズマブと比較して輸血を中止した。
【0254】
輸血回避と網状赤血球の絶対数
非劣性は、輸血回避と網状赤血球の絶対数の主要な副次評価項目で満たされた。図3Aに示されるように、輸血回避は、エクリズマブ群の6/39(15.4%)の対象と比較して、ペグセタコプラン群では35/41(85.4%)の対象で示された。エクリズマブ群の39人中33人の対象が無作為化後に輸血を必要としたのに対し、ペグセタコプラン群では41人中6人だけであった。図3Bは、輸血回避に対するペグセタコプランの効果を示す(全体及び輸血層)。患者全体では、調整後のリスク差は62.5%(95%CI、48.3%-76.8%)であり、非劣性を示している。4未満の群の調整済みリスク差(95%CI)は53.8%(26.2%-81.3%)であり、4以上の群の調整済みリスク差は81.4%(64.2%-98.5%)であった。図3Bに示すように、ペグセタコプランは、治験対象の集団全体で一貫して輸血要求性を減少させた。全体として、ペグセタコプラン治療を受けた患者の85%は、16週間にわたって輸血がなかったのに対し、エクリズマブ治療を受けた患者の15%が輸血を受けなかった。-28日目までの12か月以内に輸血が4回未満の患者では、エクリズマブ治療を受けた患者の31%と比較して、ペグセタコプラン治療を受けた患者の85%が輸血を受けなかった。-28日目までの12か月以内に輸血が4回以上の患者では、エクリズマブ治療を受けた患者の4%と比較して、ペグセタコプラン治療を受けた患者の86%が輸血を受けなかった。
【0255】
図4Aに示されるように、ペグセタコプラン群の網状赤血球の絶対数のベースラインから16週目までの変化は、216×10/Lのベースラインからの28×10/Lの平均増加を示したエクリズマブ群と比較して、217×10/Lのベースラインからの135×10/Lの調整平均減少を示した。理論に縛られることを望まないが、ペグセタコプラン群の減少は、骨髄への負担を軽減させ得る溶血のより完全な制御の結果であり得る。さらに、ペグセタコプラン治療は、輸血層に関係なく、エクリズマブと比較して、16週目の網状赤血球の絶対数のベースラインからの変化が有意に低いことに関連していた(網状赤血球の絶対数LSは、16週目のベースラインからの平均変化:4回未満の輸血の場合、-152.59対22.06×10細胞/L、P <0.0001;4回以上の輸血の場合、-124.75対39.26×10細胞/L;P<0.0001)。ベースラインからの網状赤血球の絶対数LSの平均変化は、100,000/mm未満の血小板層で-147.17 × 10細胞/Lであった。16週目に、エクリズマブ群のこの層には、データが打ち切られていない輸血のない患者はいなかった。100,000/mm以上の血小板層でベースラインからの網状赤血球の絶対数LSの平均変化は、ペグセタコプランで-137.28×10細胞/Lであり、エクリズマブで18.73×10細胞/Lであった。
【0256】
乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)
ペグセタコプランは、16週目のLDHのベースラインからの変化において、エクリズマブに対する非劣性を示さなかった。図5Aに示されるように、ベースラインからの調整された平均変化は、エクリズマブ群の309U/Lのベースラインからの-10U/Lの変化と比較して、ペグセタコプラン群の258U/Lのベースラインから-15U/Lであった。非劣性を示す能力は、以前のエクリズマブ治療とベースラインでの群間のわずかな不均衡、及び輸血後のデータの打ち切りのために、比較的制御されたLDHによって制限された可能性がある。さらに、16週目のベースラインからのLDH LS平均変化は、4回未満の輸血層ではペグセタコプランとエクリズマブでそれぞれ-52.31と-29.38U/L、4回以上の輸血層ではそれぞれ-54.99と69.02U/Lであった。16週目で、<100,000/mm血小板層のベースラインからのLDH LS平均変化は、ペグセタコプランで-73.14 U/Lであった。エクリズマブ群のこの層には、打ち切られていないデータは残っていなかった。100,000/mm以上の血小板層におけるベースラインからのLDH LS平均変化は、ペグセタコプランで-41.96U/L、エクリズマブ群で28.47U/Lであった。
【0257】
LDHは主に血管内溶血(IVH)のマーカーである。限定するつもりはないが、IVHはエクリズマブの存在下で主に制御されると考えられているが、APL-2は(IVHに加えて)主に血管外溶血(EVH)を阻害することによってエクリズマブと比較してヘモグロビンが増加していると考えられている。さらに、輸血後のデータの打ち切りにより、6週目以降、MMRMモデルで使用されるデータの量が減少した。さらに、LDHレベルには対象間及び対象内で大量の変動があった(例えば、特に図5A及び図5Bのエクリズマブ群では、研究来院及びエラーバーによる標準偏差及び変動を参照されたい)。最終的に、2週目と4週目の統計的有意差は、併用導入期間直後のIVHの増加、及び1~4週目のエクリズマブ群の関連輸血に起因している可能性がある。
【0258】
間接ビリルビン
図5Cに示されるように、間接ビリルビンレベルは、ペグセタコプラン対象では16週目で13.8μmol/Lであり、エクリズマブ対象では16週目で32.9μmol/Lであった。
【0259】
FACIT倦怠感スコア
図6Aに示されるように、FACIT倦怠感スコアのベースラインから16週までの調整された平均変化は、ペグセタコプラン群で9.2であり、エクリズマブ群で-2.7であった。FACIT倦怠感スコアの3ポイントの変化は、臨床的に意味があるとみなされる。図6Bに示されるように、ペグセタコプラン群の平均ベースラインFACIT倦怠感スコアは32.2(SD11.38)であったが、16週目には41.8(SD9.61)に増加した。図6Bに示されるように、エクリズマブ群の平均ベースラインFACIT倦怠感スコアは31.6(SD12.51)であり、16週目では30.6(SD11.77)であった。
【0260】
倦怠感とヘモグロビン、網状赤血球数、間接ビリルビン、及び身体機能を含む効果修飾因子間の関係を調査するために、事後分析が実施された。また、この治験では、患者の倦怠感に対するペグセタコプランの治療効果についてさらに詳細に評価した。収束の妥当性はスピアマンの相関係数を使用して評価され、既知の群の妥当性は共分散分析(ANCOVA)を使用して評価された。これは、患者から報告された結果に関するFDAガイダンスで示唆される(Fed Regist.2009;74(235):65132-65133)。対象は、ヘモグロビンレベル(<10g/dL、10~≦12g/dL、>12 g/dL)に基づいて、及びヘモグロビンの改善度:<1g/dL、≧1~<2g/dL、及び≧2g/dLによって群化された。16週目では、試料全体(n=80;治療意図)において、FACIT-Fの合計スコアはヘモグロビン(r=0.48、p<0.0001;図6Cを参照されたい)、網状赤血球数(r=-0.37、p<0.01)、間接ビリルビン(r=-0.25、p<0.05)、及び倦怠感と身体機能を含む複数のEORTCドメイン(それぞれr=-0.87、p<0.0001及びr=0.78、p<0.0001)と有意に相関した。倦怠感の減少(FACIT-F合計スコアの低下)は、16週間にわたるヘモグロビンの改善と関連しており(F=11.0、p<0.0001)、ヘモグロビンの増加が2g/dL以上の群で最大の倦怠感の減少を示した(FACIT-F合計スコアが10.7ポイント向上)。対照的に、ヘモグロビンの改善がほとんどまたはまったくない(<1g/dL)個人は、わずかに倦怠感が多いと報告した(FACIT-F合計スコアで-2.5悪化)。FACIT-Fはまた、16週目にヘモグロビンのレベルが異なる群(<10g/dL、10~≦12g/dL、>12g/dL)を区別した(F=5.39、p=0.0008)。変化スコアの相関の分析は、ペグセタコプランとエクリズマブの間の明確な分離を示し、ヘモグロビンの変化及び倦怠感の改善に対するペグセタコプランのより大きな効果を示している(図6Dを参照されたい)。PNHでは、ヘモグロビンレベルとヘモグロビンの正の変化が倦怠感の軽減と有意に関連していた。ペグセタコプランは、エクリズマブと比較して、16週目に有意に低い倦怠感とヘモグロビンスコアをもたらした。
【0261】
タイプII+III PNH赤血球
図9Aは、単一のペグセタコプラン及び単一のエクリズマブ対象の赤血球へのC3d負荷を示している。図9Bに示されるように、タイプIII RBCへのC3負荷は、16週目にペグセタコプラン対象において減少した。図9Cに示されるように、PNHクローンサイズ(タイプII+III)は、16週目にペグセタコプラン対象で増加した。図9B及び9Cは、ベースラインと16週目のデータの両方を有する対象のみに基づく、観察された値の記述的分析を含む。
【0262】
生活の質
QoL評価は、線形アナログスケール評価(LASA)ならびに欧州がん研究治療機構の生活の質に関する質問票-コア30尺度(EORTC QLQ-C30)スコアであった。ベースラインから16週目までの変化(CFB)は、反復測定の混合モデルを使用して分析された。LASAは、回答者に知覚された機能レベルを評価するように求める3つのセクションで構成され、活動レベル、日常生活を行う能力、及び全体的なQoLの特定のドメインが含まれている。LASAのそれぞれのセクションは、最低0から最高100までスコアが付けられ、患者に過去1週間の生活のさまざまな側面を評価するように求める。セクション1は患者にエネルギーレベルを評価し、セクション2は日常生活を行う能力を評価し、セクション3は全体的な生活の質を評価するように求める。尺度の3つの個別のコンポーネントのスコアと、組み合わせたスコアが分析に含まれた。EORTCには、5つの機能尺度スコアと個々の項目を含む30の質問が含まれている。それは患者に1(「まったくない」)から4(「非常に」)のスケールで28の質問に答えるように求め、それらは一般的に彼らの生活の過去1週間に焦点を合わせる。追加の2つの質問は、過去1週間の全体的な健康状態と生活の質について、1(「非常に悪い」)から7(「優れた」)の尺度で評価される。
【0263】
80人の患者が分析に含まれた(ペグセタコプラン、n=41;ECU、n=39;治療意図[ITT]セット)。3つのLASAスコアの合計の平均(SD)は、両方の治療群のベースラインで同等であった(ペグセタコプラン、161.0[67.99];ECU、156.7[61.27])。ITTセットの輸血のために打ち切られたデータを使用したLASAスコアの最小二乗(LS)平均CFBの差異は、ペグセタコプランとECUの比較で、16週目で59.10(95%CI:16.88、101.32)であった。結果は表7に提供される。
【表8】
【0264】
全体的な健康状態/QoL及びEORTCQLQ-C30のすべての機能尺度は、16週目にペグセタコプラン群で改善されたスコアを示したが、ECU群は全体的な健康状態/QoL及び役割機能尺度スコアでベースラインからの平均減少を示した。エクリズマブと比較して、倦怠感及び呼吸困難の尺度の有意な改善がペグセタコプランで観察された(LS平均[95%CI]CFB:倦怠感、-20.7[-35.3、-6.2];呼吸困難、-14.6 [-29.9、0.8])。ECU群と比較して、16週目にペグセタコプラン群ではほとんどの症状パラメーターが改善された(負の値は改善を示す)。これらのQoL評価項目で非劣性の統計的検定は実行されなかったが、LASAスコアとEORTC QLQ-C30スコアの両方で、16週目のECUと比較してペグセタコプランでQoLの実質的かつ臨床的に関連する改善が一貫して観察された。
【0265】
治療に対する血液学的応答
治療に対する血液学的応答は、必要な濃厚赤血球輸血の数、ヘモグロビン(Hb)レベル、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベル、及び網状赤血球の絶対数(ARC)を用いて、完全応答、主要応答、良好応答、部分応答、軽度応答、応答なしに分類した(Risitano AM,et al.Front Immunol.2019;10:1157による)。完全応答:輸血は不要で、正常範囲の安定したHb、溶血の証拠なし(すなわち、LDH≦1.5×正常の上限[ULN]、ARC≦150,000/μL)。主要応答:輸血なし、正常なHbであるが、溶血の証拠がある(LDH>1.5×ULN及び/またはARC>150,000/μL)。良好応答:輸血はないが、慢性の軽度の貧血または溶血の証拠がある。部分応答:慢性中等度貧血及び/または時折の輸血(<3単位/6ヶ月)。軽度応答:定期的な輸血が必要である(3~6単位/6ヶ月)。応答なし:定期的かつ頻繁な輸血が必要である(>6単位/6か月)。
【0266】
治療意図(ITT)集団には、ペグセタコプランに無作為化された41人の患者とエクリズマブに無作為化された39人の患者が含まれていた。ペグセタコプラン群の4人の患者とエクリズマブ群の1人の患者は、16週目のデータが不完全であったため、分析のために評価できなかった。
【0267】
図10に示されるように、16週間で、応答カテゴリーの分布は次のとおりであった:完全応答はペグセタコプラン群で39%、エクリズマブ群で0%、良好応答は31.7%と5.1%(それぞれペグセタコプランとエクリズマブ)、部分応答は14.6%と41.0%(それぞれペグセタコプランとエクリズマブ)、軽度応答は4.9%と23.1%(それぞれペグセタコプランとエクリズマブ)、及び無応答は0%と28.2%(それぞれペグセタコプランとエクリズマブ)。全体として、ペグセタコプラン群の29/41人の患者(70.7%)は、エクリズマブ群の2/39(5.1%)とは対照的に、少なくとも良好な血液学的応答を達成した。治療に対する血液学的応答の不均一性に寄与する可能性のある因子の中には、骨髄機能障害、血管内溶血の残存、及びC3を介した血管外溶血の残存がある。骨髄不全は除外され、LDHの違いは観察されなかった。これは、2つの群の違いを説明する主な因子がC3を介したEVHの予防であったことを示唆している(PNH RBCのC3オプソニン化の減少によって確認された)。この事後分析は、ペグセタコプランがエクリズマブと比較して、PNH患者のより良い血液学的応答への有意なシフトをもたらしたことを示している。これらの結果は、IVHの制御に加えてEVHを防止することにより、近位補体阻害がPNHの治療に有意義な改善をもたらすという概念をさらに支持する。
【0268】
安全性
ペグセタコプランは、全体的に良好に忍容された。死者はいなかった。ペグセタコプラン群に無作為化された3人の対象は溶血のTEAEのために研究治療を中止した(1人はSAEであった)。イベントは、無作為化比較期間の4週目から8週目までの間に発生した。イベントの前またはイベントと同時に、補体増幅状態は報告されなかった。LDHは3~11×ULNに増加した。3人の対象のうち2人は、溶血イベントの前に予想よりも低いペグセタコプランの血清濃度を示した。どちらの患者も、治療中止前に3日ごとにペグセタコプランの用量を1080mgに増やさなかった。以下の表8に示すように、有害事象の頻度は、無作為化された16週間の期間中の群間で類似していた。
【表9】
【0269】
結論
最上のデータは、ペグセタコプランが治験の主要有効性評価項目を満たしていることを示し、エクリズマブ群よりも53%高い、16週目にヘモグロビンの調整平均3.8 g/dLで統計的に有意な改善でエクリズマブよりも優れていることを示した(p<0.0001)。16週目に、ペグセタコプラン治療を受けた患者(n=41)は、8.7g/dLのベースラインから-1.5g/dLの変化を有するエクリズマブ治療を受けた患者(n=39)と比較して、ベースラインの8.7g/dLから2.4g/dLの調整平均ヘモグロビン増加を示した。ベースラインの輸血層に関係なく、ヘモグロビンの改善が認められた。
【0270】
さらに、ペグセタコプランは主要な副次評価項目で有望な結果を示した。ペグセタコプランは、輸血の回避と網状赤血球の絶対数に関して非劣性を示した。ペグセタコプランは、平均乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)と、慢性疾患治療の機能評価(FACIT-倦怠感スコア)によって測定される倦怠感に正の傾向を示した。主要な副次評価項目からの結果を要約した表を図7A及び7Bに示す(輸血後のデータを含む)。16週での血液学的マーカーの正常化及びFACIT倦怠感スコアの臨床的に意味のある改善を図8に示す。図8に示されるように、ペグセタコプラン治療を受けた患者の78%が網状赤血球の正常化を達成したのに対し、エクリズマブ治療を受けた患者の3%が達成した。ペグセタコプラン治療を受けた患者の71%がLDHの正常化を達成したのに対し、エクリズマブ治療を受けた患者の15%が達成した。また、ペグセタコプラン治療を受けた患者の73%は、FACIT倦怠感スコアの少なくとも3ポイントの改善を達成したが、エクリズマブ治療を受けた患者では0%であった(FACIT倦怠感スコアの3ポイントの改善は、臨床的に意味があると一般に考えられている。例えば、Cella et al.,J Pain Symptom Manage.2002;24(6):547-561;Nordin et al.,BMC Med Res Methodol.2016;16:62を参照されたい)。
【0271】
混合モデル-反復測定(MMRM)法の使用のために提供されたPEGASUS治験の統計分析計画。治験の16週間の無作為化期間中のヘモグロビンレベルの輸血の影響を回避するために、患者が16週間の無作為化期間中に輸血を受けた場合、最初の輸血後のいずれかの測定値は、MMRM分析で使用されたデータから打ち切られた。輸血後のすべての測定値を含む、治験からの観察データを使用した治療効果は、MMRM分析から報告された結果と一致し、それを支持していた。
【0272】
試験では、ペグセタコプランの安全性プロファイルはエクリズマブと同等であった。ペグセタコプラン群の41人の患者のうち7人(17.1%)が重篤な有害事象(SAE)を経験し、エクリズマブ群の39人の患者のうち6人(15.4%)がSAEを経験した。どちらの治療群でも、髄膜炎の症例や死亡は報告されなかった。ペグセタコプラン群とエクリズマブ群でそれぞれ16週間の無作為化比較治療期間中に報告された最も一般的な有害事象は、注射部位反応(36.6%対2.6%)、下痢(22.0%対2.6%)、頭痛(7.3%対23.1%)、及び倦怠感(4.9%対15.4%)であった。別の一般的な有害事象は溶血であり、ペグセタコプラン群の4人の患者(9.8%)とエクリズマブ群の9人の患者(23.1%)で報告された。これにより、ペグセタコプラン群で3つの中止がもたらされた。
【0273】
両方の群で無作為化期間を完了したすべての患者(77/80)は、32週間の非盲検ペグセタコプラン治療期間に入った。
実施例2-以前にエクリズマブで治療された発作性夜間ヘモグロビン尿症患者におけるペグセタコプランとラブリズマブとの有効性の比較:マッチング調整された間接比較
【0274】
マッチング調整間接比較(MAIC)方法論を使用し、研究の共通比較群であるエクリズマブを使用して、第3相試験結果の比較を通じてペグセタコプランとラブリズマブとの有効性の比較を評価することを目的とした。
【0275】
方法
実施例1(以前にエクリズマブで治療されたPNH患者間でペグセタコプランとエクリズマブを比較する進行中の無作為化第3相試験)に記載されたPEGASUSの個々の患者データを使用して、以前にエクリズマブで治療されたPNH患者のラブリズマブとエクリズマブを比較した、無作為化された「302治験」(Kulasekararaj et al.,2019,Blood 133:540-549,PMID: 30510079)からの、公表されている集計結果と比較してベースラインの差を調整した。両方の研究は、同様の適格基準を共有している。しかしながら、PEGASUSでは、患者のヘモグロビンが10.5 g/dL未満で、網状赤血球の絶対数が正常値の上限の1.0倍を超える必要もあった。これらの基準は、302の治験には適用されなかった。ベースライン特性の横断研究の差異を調整するために、傾向スコアの重み付けを利用して、ベースラインの人口統計学的特性と臨床的特性とのバランスを取った。評価された結果には、輸血回避、輸血された濃厚赤血球(PRBC)のユニットの総数、ヘモグロビンの安定化、及び慢性疾患治療の機能評価(FACIT)倦怠感スコアの変化が含まれる。結果は、16週目のPEGASUSと26週目の302治験から評価された。未調整の平均と最小二乗平均のFACIT倦怠感スコアの変化を、それぞれPEGASUSと302治験で比較した。加重Wald検定と95%信頼区間(CI)は、カテゴリー別の結果と連続的な結果(すなわち、それぞれカイ2乗検定とz検定)を比較するために計算された。
【0276】
結論
MAICの方法論では、直接の治験がない場合に、ペグセタコプラン対ラブリズマブの有効性の比較を検討することができた。図11に示されるように、結果は、PEGASUSでC3阻害剤であるペグセタコプランを投与された患者と302治験でC5阻害剤であるラブリズマブを投与された患者の輸血回避、ヘモグロビン安定化、及び倦怠感の改善、ならびに輸血されたPRBCユニットの総数の減少を示唆した。
【0277】
実施例3-PEGASUS(48週間の研究結果)
この実施例では、実施例1に記載したフェーズ3の治験から得られた48週間の結果について記載する。
【0278】
方法
実施例1の方法に従った。実施されたPEGASUS試験の概略図が図1Bに示されている。
【0279】
エクリズマブと比較して治験薬ペグセタコプランを評価したPEGASUS試験の16週間の無作為化比較期間を完了したすべての患者(n=77)は、非盲検期間(OLP)に入り、17週から48週まで治験薬を投与された。
【0280】
結果
ヘモグロビン
48週目に、ヘモグロビンの増加はペグセタコプラン治療を受けた患者で持続し、ベースラインからの平均改善は2.7g/dLであった。これは、ペグセタコプラン治療を受けた患者で16週目に見られた平均増加2.7g/dLに等しい。さらに、非盲検期間中にペグセタコプランに切り替えたエクリズマブ治療を受けた患者は、無作為化比較期間中にペグセタコプラン単剤療法で治療された患者と同様に、ヘモグロビン及びその他の血液学的及び臨床的測定値の持続的な改善を経験した。図12は、APL-2群及びエクリズマブ群のベースラインから48週目までの平均ヘモグロビン(g/dL)レベル(経時的に観察されたデータ)を示す。
【0281】
その他の主要な副次評価項目
ヘモグロビンの持続的な改善に加えて、ペグセタコプランで治療された患者は、主要な副次評価項目全体で改善を維持した。48週間の研究を通じて、ペグセタコプランで治療された患者の73%は輸血を受けていなかった。比較のために、患者の25%は、エクリズマブによる治療中にPEGASUS試験に入る前の1年間は輸血を受けていなかった。網状赤血球数、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベル、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)-倦怠感スコアなど、疾患の追加マーカー全体の改善が維持された(実施例1を参照されたい)。
【0282】
安全性
全体として、48週間の試験全体にわたるペグセタコプランの安全性プロファイルは、実施例1に記載されたデータと一致していた。80人のペグセタコプラン単剤療法治療患者のうち24人(30%)が重篤な有害事象(SAE)を経験した。SAEのうち5つ(6%)は、試験治療に関連している可能性があると評価された。髄膜炎の症例は報告されなかった。COVID-19による1人の死亡が報告され、試験治療とは無関係であった。研究を通じて報告された最も一般的な有害事象(AE)は、注射部位反応(36%)、溶血(24%)、及び下痢(21%)であった。80人の患者のうち12人(15%)が有害事象のために中止し、5人が溶血のために中止した。非盲検期間を完了した67人の患者のうち64人(96%)が延長治験に参加することを選択した。
【0283】
結論
ペグセタコプランの投与により、投与48週目のヘモグロビンのベースラインからの2.7g/dL平均増加量がもたらされ、ペグセタコプラン治療患者の16週目に見られた2.7g/dLの増加と同等の持続的改善を示した。ペグセタコプランで治療された患者では、輸血回避、網状赤血球数、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベル、及び慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)倦怠感スコアの持続的な改善が観察された。ペグセタコプランの安全性プロファイルは、以前に報告されたデータと一致していた。
【0284】
均等物
当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識し、または日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、以下の特許請求の範囲に記述されるようなものである。
図1A
図1B
図2A
図2Ba
図2Bb
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4Ba
図4Bb
図5A
図5Ba
図5Bb
図5C
図6A
図6Ba
図6Bb
図6C
図6D
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11-1】
図11-2】
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
II. コンプスタチン類似体
本開示の方法は、コンプスタチン類似体を使用するPNHの治療を含む。コンプスタチンは、C3に結合し、補体の活性化を阻害する環状ペプチドである。米国特許米国特許第6,319,897号は、Ile-[Cys-Val-Val-Gln-Asp-Trp-Gly-His-His-Arg-Cys]-Thr(配列番号1)の配列を有し、括弧で示された2つのシステイン間のジスルフィド結合を有するペプチドを記載する。「コンプスタチン」という名前は米国特許第6,319,897号では使用されていないが、それは、その後、科学文献及び特許文献(例えば、Morikis,et al.,Protein Sci.,7(3):619-27,1998を参照されたい)で採用され、米国特許第6,319,897号で開示される配列番号2と同じ配列を有するが、表1に示されるようにC末端でアミド化されている(配列番号)ペプチドを指すのに適用さられたことは理解されよう。「コンプスタチン」という用語は、本明細書ではそのような使用法と調和して使用される(すなわち、配列番号を指す)。コンプスタチンよりも高い補体阻害活性を有するコンプスタチン類似体が開発された。例えば、WO2004/026328(PCT/US2003/029653)、Morikis,D.,et al.,Biochem Soc Trans.32(Pt 1):28-32,2004、Mallik,B.,et al.,J.Med.Chem.,274-286,2005;Katragadda,M.,et al.J.Med.Chem.,49:4616-4622,2006;WO2007062249(PCT/US2006/045539);WO2007044668(PCT/US2006/039397)、WO/2009/046198(PCT/US2008/078593);WO/2010/127336(PCT/US2010/033345)及び以下の議論 を参照されたい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
表1は、本開示において有用なコンプスタチン類似体の非限定的なリストを提供する。類似体は、親ペプチドであるコンプスタチンと比較して、指定された位置(1~13)での特定の改変を示すことにより、左の列で省略形で参照される。当該技術分野での使用と調和して、本明細書で使用される「コンプスタチン」、及びコンプスタチンの活性と比較した本明細書に記載のコンプスタチン類似体の活性は、C末端でアミド化されたコンプスタチンペプチドを指す。別途示されない限り、表1のペプチドはC末端でアミド化されている。太字のテキストは、特定の改変を示すために使用される。コンプスタチンと比較した活性は、そこに記載されている公開されたデータ及びアッセイに基づいている(WO2004/026328、WO2007044668、Mallik,2005;Katragadda,2006)。特定の実施形態では、表1に列挙されたペプチドは、本開示の治療組成物及び方法において使用される場合、2つのCys残基間のジスルフィド結合を介して環化される。ペプチドを環化するための代替手段もまた、本開示の範囲内である。
【表1-1】
【表1-2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
本開示の組成物及び方法の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、配列3~30から選択される配列を有する。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体は、配列番号22の配列を有する。本明細書で使用される場合、「L-アミノ酸」は、タンパク質またはそれらのアルファ-アミノ酸のアルキルエステルに通常存在する天然に存在する左旋性アルファ-アミノ酸のいずれかを指す。「D-アミノ酸」という用語は、右旋性アルファ-アミノ酸を指す。別段の定めがない限り、本明細書で言及されるすべてのアミノ酸はL-アミノ酸である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
いくつかの実施形態では、配列番号3~30のいずれかのコンプスタチン類似体は、N末端、C末端、またはその両方において1つ以上のアミノ酸によって伸長され、ここで、アミノ酸の少なくとも1つは、コンプスタチン類似体にPEGを結合するための反応性官能基との結合を促進する、一級アミンもしくは二級アミン、スルフヒドリル基、カルボキシル基(カルボキシレート基として存在し得る)、グアニジノ基、フェノール基、インドール環、チオエーテル、またはイミダゾール環などの反応性官能基を含む側鎖を有する。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体は、一級または二級アミン、例えば、Lys残基を含む側鎖を有するアミノ酸を含む。例えば、Lys残基、またはLys残基を含む配列は、本明細書に記載のコンプスタチン類似体(例えば、配列番号3~30のいずれか1つを含むコンプスタチン類似体)のN末端及び/またはC末端に付加される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、M-AEEAc-Lys-Bとして表され得、式中、Bは、ブロッキング部分、例えば、NHであり、Mは、配列番号3~30のいずれかを表し、ただし、配列番号3~30のいずれかのC末端アミノ酸が、ペプチド結合を介してAEEAc-Lys-Bに連結されているという条件である。単官能性または多官能性(例えば、二官能性)のPEGのNHS部分は、リジン側鎖の遊離アミンと反応して、単機能化(1つのコンプスタチン類似体部分)または多機能化(複数のコンプスタチン類似体部分)のPEG化コンプスタチン類似体を生成する。様々な実施形態では、反応性官能基を含む側鎖を含む任意のアミノ酸を、Lysの代わりに(またはLysに加えて)使用することができる。適切な反応性官能基を含む単官能性または多官能性PEGは、NHS-エステル活性化PEGとLysとの反応と同様の方法でそのような側鎖と反応させることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
上記の式及び構造のいずれかに関して、コンプスタチン類似体成分が本明細書に記載の任意のコンプスタチン類似体、例えば、配列番号3~30の任意のコンプスタチン類似体を含む実施形態が明示的に開示されていると理解されるべきである。例えば、非限定的に、コンプスタチン類似体は、配列番号22のアミノ酸配列を含み得る。コンプスタチン類似体成分が配列番号22のアミノ酸配列を含む例示的なペグ化コンプスタチン類似体を図1Aに示す。本明細書に記載されるように、様々な実施形態では、PEG部分は、様々な異なる分子量または平均分子量を有し得ることが理解されるであろう。特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、ペグセタコプラン(「APL-2」)であり、約800~約1100のnを有する図1Aの化合物の構造及び約40kDの平均分子量を有するPEGを有する。ペグセタコプランは、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、α-ヒドロ-ω-ヒドロキシ-、N-アセチル-L-イソロイシル-L-システイン-L-バリル-1-メチル-L-トリプトフィル-L-グルタミニル-L-α-アスパルチル-L-トリプトフィルグリシル-L-アラニル-L-ヒスチジル-L-アルギニル-L-システイニル-L-トレオニル-2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]アセチル-N-カルボキシ-L-リジンアミド環状(2-->12)-(ジスルフィド)を有する15,15’-ジエステル;またはO,O’-ビス[(S,S12-シクロ{Nアセチル-L-イソロイシル-L-システイニル-L-バリル-1-メチル-L-トリプトフィル-L-グルタミニル-L-α-アスパルチル-L-トリプトフィルグリシル-L-アラニル-L-ヒスチジル-L-アルギニル-L-システイン-L-トレオニル-2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]アセチル-L-リジンアミド})-N6.15-カルボニル]ポリエチレングリコール(n=800~1100)とも呼ばれる。追加のコンプスタチン類似体は、例えば、WO2012/155107及びWO2014/078731に記載されている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2023509520000001.app
【国際調査報告】