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特表2023-509549都市及び/又は産業プラスチック廃棄物に由来するポリマーの選択及び分離方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(54)【発明の名称】都市及び/又は産業プラスチック廃棄物に由来するポリマーの選択及び分離方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20230301BHJP
   B29B 17/04 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
B29B17/02
B29B17/04 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542239
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(85)【翻訳文提出日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2021050054
(87)【国際公開番号】W WO2021140087
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】102020000000100
(32)【優先日】2020-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522274031
【氏名又は名称】マイレプラスト エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】MYREPLAST S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Gaetano De Castillia, 6/A, 20124 Milano, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】スカルファーニ,パオラ
(72)【発明者】
【氏名】ミケレッティ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】リッツォ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】モリナーリ,ルイージ
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA27
4F401CA02
4F401CA14
4F401CA23
4F401CA28
4F401CA43
4F401CA46
(57)【要約】
本発明は、都市及び/又は産業プラスチック廃棄物に由来するポリマーを選択及び分離して、リサイクル用プラスチック材料を取得する方法であって、6~100mmの範囲内の寸法を有するポリマーのフレークから構成されるポリマー混合物を供給する第1のステップと、着色及び白色のプラスチック材料のフレーク並びに黒色プラスチック材料のフレークを近赤外(NIR)分光法により特定し、続いて互いに分離するステップ;着色及び白色のプラスチック材料から、異なるタイプのポリマーをNIR分光法により同定し、続いて該ポリマータイプを分離する幾つかの連続ステップを含む方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商業及び/又は工業プラスチック廃棄物から生じたポリマー混合物からの少なくとも2つのポリマーの機械的選択及び分離方法であって、下記のステップ:
i. 商業及び/又は工業プラスチック廃棄物から、6~100mmのサイズのフレークからなるポリマーの混合物を提供するステップ;
ii. 近赤外線(NIR)分光法により、着色プラスチック材料及び白色プラスチック材料のフレークを特定し、適切な分離手段により、着色プラスチック材料及び白色プラスチック材料のフレークに富む画分(F1)を、黒色プラスチック材料のフレークに富む画分(F2)から分離するステップ;
iii. NIR分光法により、ステップiiで分離された着色プラスチック材料及び白色プラスチック材料のフレークに富む画分(F1)から、ポリマーP1のフレークを特定し、適切な分離手段により、ポリマーP1のフレークに富む画分(F3)を、着色プラスチック材料及び白色プラスチック材料のフレークに富む画分(F1)から分離してポリマーP1のフレークに乏しい画分(F4)を取得するステップ;
iv. NIR分光法により、ステップiiiで分離されたポリマーP1のフレークに富む画分(F3)から、P1とは異なるポリマーのフレークを特定し、適切な分離手段により、P1とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F5)を、ポリマーP1のフレークに富む画分(F3)から分離するステップ;
v. NIR分光法により、ステップiiiで分離されたポリマーP1のフレークに乏しい画分(F4)及びステップivで分離されたP1とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F5)から、ポリマーP2のフレークを特定し、適切な分離手段により、ポリマーP2のフレークに富む画分(F6)を、着色プラスチック材料及び白色プラスチック材料のフレークに富む画分(F1)から分離し、ポリマーP2のフレークに乏しい画分(F7)を取得するステップ;
vi. NIR分光法により、ステップvで分離されたポリマーP2のフレークに富む画分(F6)から、P2とは異なるポリマーのフレークを特定し、適切な分離手段により、P2とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F8)を、ポリマーP2のフレークに富む画分(F6)から分離するステップ
を含む方法。
【請求項2】
下記のステップ:
vii. 中赤外線(MIR)分光法により、ステップiiで分離された黒色プラスチック材料のフレークに富む画分(F2)から、ポリマーP3のフレークを特定し、適切な分離手段により、ポリマーP3のフレークに富む画分(F9)を、黒色プラスチック材料のフレークに富む画分(F2)から分離し、ポリマーP3のフレークに乏しい画分(F10)を取得するステップ;
viii. MIR分光法により、ステップviiで分離されたポリマーP3のフレークに富む画分(F9)から、P3とは異なるポリマーのフレークを特定し、適切な分離手段により、P3とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F11)を、ポリマーP3のフレークに富む画分(F9)から分離するステップ;
ix. MIR分光法により、ステップviiで分離されたポリマーP3のフレークに乏しい画分(F10)及びステップviiiで分離されたP3とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F11)からポリマーP4のフレークを特定し、適切な分離手段により、ポリマーP4のフレークの画分(F12)を、黒色プラスチック材料のフレークに富む画分(F2)から分離して、ポリマーP4のフレークに乏しい画分(F13)を取得するステップ;
x. MIR分光法により、ステップixで分離されたポリマーP4のフレークに富む画分(F12)から、P4とは異なるポリマーのフレークを特定し、適切な分離手段により、P4とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F14)を、ポリマーP4のフレークに富む画分(F12)から分離するステップ
を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップiiの特定及び分離を行う前に、プラスチック材料のフレークから、鉄及び非鉄の両方の金属材料を分離及び除去するステップを含むことを特徴とする、前記請求項の1又は2以上に記載の方法。
【請求項4】
商業及び/又は工業プラスチック廃棄物を粉砕して、6~100mmの範囲内の寸法を有する前記フレーク材料を取得するステップを含むことを特徴とする、前記請求項の1又は2以上に記載の方法。
【請求項5】
下記のステップ:
xi. NIR分光法により、ステップvで分離されたポリマーP2のフレークに乏しい画分(F7)及びステップviで分離された、P2とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F8)から、ポリマーP5のフレークを特定し、ポリマーP5のフレークに富む画分(F15)を、画分(F7)及び(F8)から分離し、ポリマーP5のフレークに乏しい画分(F16)を取得するステップ;
xii. NIR分光法により、ステップxiで分離されたポリマーP5のフレークに富む画分(F15)から、P5とは異なるポリマーのフレークを特定し、適切な分離手段により、P5とは異なるポリマーに富む画分(F17)を、ポリマーP5のフレークに富む画分から分離するステップ
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
UV/VIS分光法により、請求項1及び請求項5において分離された前記ポリマーフレークの色を特定し、適切な分離手段により、同色のポリマーフレークに富む画分を分離するステップを更に含むことを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
NIR分光法により、前記ポリマーの1つP1又はP2又はP5のフレークを、該ポリマーの平均分子量に応じて特定し、適切な分離手段により、該ポリマーに富む相を分離するステップを更に含むことを特徴とする前記請求項の1又は2以上に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーに富む相を特定し分離するステップの後に、ポリマーP1及びP2のフレーク、任意選択的に更にポリマーP3及びP4のフレーク、任意選択的に更にポリマーP5のフレークを洗浄するステップを更に含むことを特徴とする請求項1及び/又は2及び/又は6に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーの分離が、圧縮エアの噴流により行われることを特徴とする前記請求項の1又は2以上に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、都市及び/又は産業廃棄物に由来するポリマーを選択及び分離して、リサイクル用のプラスチック材料を得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に先進国で、国内及び産業レベルの両方で生じる大量のプラスチック廃棄物を考慮すれば、プラスチックの処分は、重要な環境問題を構成する。現在、プラスチックの大半は、その寿命の終時には、主に埋め立てられるか又は直接環境に捨てられているが、今日では、プラスチック処分の課題を解決しようとする幾つかの技術及びプロセスが存在する。この課題に取り組むために、燃焼、新たな物体の製造のためのプラスチックの再溶解及び(プラスチックが生分解性であれば)生分解を含む種々のアプローチ及び技術が用いられている。しかし、生分解性であるものは、現在製造されているプラスチックの比較的少量のみであることが知られている。
【0003】
上記のいずれのアプローチも、元のプラスチックの価値に比して、変形後に得られる製品の価値の損失を必然的に伴う。このことは、燃焼の場合には、この技術においては、プラスチックは単純に燃料として用いられることを考慮すれば明白であり、生分解の場合も、生分解から得られる生成物が、経済的価値が低い用途(例えば、農業における土壌改良材又は更なる変換後に固形燃料としての用途)に用いられることを考慮すれば明白である。
物の製造用にプラスチックを再溶解する場合にも、再生プラスチックから得られる物体は、元の製品より低い価値を有する用途に用いられるため、価値の損失が生じる。
上記のいずれの技術も、再生プラスチックを未使用プラスチックに変えることは明らかに可能でないため、プラスチックの元の価値を取り戻せない。
【0004】
したがって、未使用プラスチックの相当な損失が毎年生じ、その大半を占める環境中に廃棄されるプラスチック及び元のプラスチックとは異なる用途のための他の製品に変換されるプラスチックに置き換わる新たなプラスチックを製造する必要がある。さらに、新たなプラスチックの製造は、プラスチックの製造用原料である化石資源の利用可能性に悪影響を及ぼす。
近年、廃棄物に由来するプラスチック材料の分別技術が開発され、再利用可能な材料を取得し、したがって未使用材料の製造を低減するために進化されてきた。
しかし、通常の分離技術は、選択されたポリマーの純度を高めることができず、そのため、選択されたポリマーは、他のタイプのポリマーが高率で混入しており、低品質製品の製造にしか用いることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明の技術的課題は、商業及び/又は工業プラスチック廃棄物に由来するポリマー混合物からのポリマーの機械的分離方法であって、異なる材料を区別して分離することができ、高純度のリサイクル材料を取得することができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、選択されたポリマーを高い精度で分離し、材料のタイプ及び色の両方の点で区別された高純度の分離材料の画分を取得することができる選択及び分離方法が望まれる。
また、中断することなく連続運転して多量の材料を処理することができる選択・分離方法が望ましい。
具体的には、本発明の1つの目的は、未使用材料の一部又は全体に代替して、高レベル品の製造に使用できる95%以上の高純度のポリマー材料の分離画分を得ることができる分離方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の1つの目的は、プラスチック産業において直接再利用できる単一材料で単色の製品を取得するために、異なるタイプのプラスチック材料を色に従っても選択及び分離することができる分離方法を提供することである。
本発明の1つの更なる目的は、プラスチック材料が黒色であるときでさえ、異なるタイプのポリマーを選択及び分離することができ、このタイプの材料においても高純度材料画分を取得することができるポリマーの分離方法を提供することである。
本発明の1つの更なる目的は、連続稼働して多量の材料を選択及び分離することができるポリマーの分離方法を提供することである。
【0008】
以下の説明から明らかにされる本発明の上記及び他の目的並びに利点は、請求項1に記載の方法によって達成される。
具体的には、前記目的は、商業及び/又は工業プラスチック廃棄物に由来するポリマー混合物から少なくとも2つのポリマーを機械的に選択及び分離する方法であって、下記のステップ:
i. 6~100mmの範囲内の寸法を有するポリマーフレークからなる、商業及び/又は工業プラスチック廃棄物から生じたポリマーの混合物を提供するステップ;
ii. 近赤外線(NIR)分光法により、着色及び白色のプラスチック材料のフレークを特定し、適切な分離手段により、着色及び白色のプラスチック材料のフレークに富む画分(F1)を、黒色のプラスチック材料のフレークに富む画分(F2)から分離するステップ;
iii. NIR分光法により、ステップiiで分離された着色及び白色のプラスチック材料のフレークに富む画分(F1)から、ポリマーP1のフレークを特定し、適切な分離手段により、ポリマーP1のフレークに富む画分(F3)を、着色及び白色のプラスチック材料のフレークに富む画分(F1)から分離してポリマーP1のフレークに乏しい画分(F4)を取得するステップ;
iv. NIR分光法により、ステップiiiで分離されたポリマーP1のフレークに富む画分(F3)から、P1とは異なるポリマーのフレークを特定し、適切な分離手段により、P1とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F5)を、ポリマーP1のフレークに富む画分(F3)から分離するステップ;
v. NIR分光法により、ステップiiiで分離されたポリマーP1のフレークに乏しい画分(F4)及びステップivで分離されたP1とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F5)から、ポリマーP2のフレークを特定し、適切な分離手段により、ポリマーP2のフレークに富む画分(F6)を、着色及び白色のプラスチック材料のフレークに富む画分(F1)から分離し、ポリマーP2のフレークに乏しい画分(F7)を取得するステップ;
vi. NIR分光法により、ステップvで分離されたポリマーP2のフレークに富む画分(F6)から、P2とは異なるポリマーのフレークを特定し、適切な分離手段により、P2とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F8)を、ポリマーP2のフレークに富む画分(F6)から分離するステップ
を含む方法によって達成される。
【0009】
好ましくは、上記の方法は、下記のステップ:
vii. 中赤外線(MIR)分光法により、ステップiiで分離された黒色のプラスチック材料のフレークに富む画分(F2)から、ポリマーP3のフレークを特定し、適切な分離手段により、ポリマーP3のフレークに富む画分(F9)を、黒色のプラスチック材料のフレークに富む画分(F2)から分離して、ポリマーP3のフレークに乏しい画分(F10)を取得するステップ;
viii. MIR分光法により、ステップviiで分離されたポリマーP3のフレークに富む画分(F9)から、P3とは異なるポリマーのフレークを特定し、適切な分離手段により、P3とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F11)を、ポリマーP3のフレークに富む画分(F9)から分離するステップ;
ix. MIR分光法により、ステップviiで分離されたポリマーP3のフレークに乏しい画分(F10)及びステップviiiで分離されたP3とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F11)からポリマーP4のフレークを特定し、適切な分離手段により、ポリマーP4のフレークの画分(F12)を、黒色のプラスチック材料のフレークに富む画分(F2)から分離して、ポリマーP4のフレークに乏しい画分(F13)を取得するステップ;
x. MIR分光法により、ステップixで分離されたポリマーP4のフレークに富む画分(F12)から、P4とは異なるポリマーのフレークを特定し、適切な分離手段により、P4とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F14)を、ポリマーP4のフレークに富む画分(F12)から分離するステップ
を更に含む。
このようにして、NIR分光法での正確な読取りを妨げる色であるために特定及び分離が通常は困難である黒色ポリマーも分離することができる方法が提供される。
【0010】
好ましくは、本発明による方法は、ステップiiの特定及び分離を行う前に、プラスチック材料のフレークから、鉄及び非鉄の両方の金属材料を分離及び除去するステップを含む。
このようにして、プラスチック材料は、最終的なポリマー純度を低下させて、例えば、上記の選択及び分離後に当該プラスチックのリサイクルに使用される押出機などの機械に損傷を引き起こす他の異物が除去される。
好ましくは、本発明による方法は、商業及び/又は工業プラスチック廃棄物を粉砕して、6~100mmの範囲内の寸法を有する前記フレーク材料を取得するステップを含む。
このようにして、プラスチック材料のリサイクルに直接使用できる95%以上の純度を有する分離されたポリマー材料を取得するための種々の成分の正確で効果的な選択及び分離を可能にするプラスチック材料が準備される。
【0011】
好ましくは、本発明による方法は、下記のステップ:
xi. NIR分光法により、ステップvで分離されたポリマーP2のフレークに乏しい画分(F7)及びステップviで分離された、P2とは異なるポリマーのフレークに富む画分(F8)から、ポリマーP5のフレークを特定し、ポリマーP5のフレークに富む画分(F15)を、画分(F7)及び(F8)から分離し、ポリマーP5のフレークに乏しい画分(F16)を取得するステップ;
xii. NIR分光法により、ステップxiで分離されたポリマーP5のフレークに富む画分(F15)から、P5とは異なるポリマーのフレークを特定し、適切な分離手段により、P5とは異なるポリマーに富む画分(F17)を、ポリマーP5のフレークに富む画分から分離するステップ
を含む。
このようにして、商業及び/又は工業プラスチック廃棄物に由来するポリマー混合物から、3以上のポリマーを分離することができる方法が提供される。
【0012】
好ましくは、本発明による方法は、UV/VIS分光法により、前述のステップで分離されたポリマーフレークの色を特定し、適切な分離手段により、同色のポリマーフレークに富む画分を分離するステップを更に含む。
このようにして、プラスチック材料のリサイクルプロセスで直接使用することができ、高品質品の製造にも使用することができる同色の単一素材ポリマーの画分が得られる。
好ましくは、本発明による方法は、NIR分光法により、ポリマーのメルトフローインデックスに基づいて前記ポリマーの1つP1又はP2又はP5のフレークを特定し、適切な分離手段により、該ポリマーに富む相を分離するステップを更に含む。
このようにして、HDPE(高密度ポリエチレン)をLDPE(低密度ポリエチレン)から分離することができる方法が提供される。
【0013】
好ましくは、本発明による方法は、前述のポリマーに富む相を特定し分離するステップの後に、ポリマーP1及びP2のフレークを、必要に応じてポリマーP3及びP4のフレークも、必要に応じて更にポリマーP5のフレークも、洗浄するステップを更に含む。
このようにして、当該ポリマーの品質を変えることなく、結果として該ポリマーを用いて製造される製品の品質を変えることなく、後続の材料リサイクルステップで直接使用することができる、不純物を有さず汚れのない最終製品が得られる。
好ましくは、本発明による方法は、前記特定及び分離ステップにおいて、読取単位当たり1~20kg/cm2の範囲内の表面分布を有する、特定及び分離されるべき材料を提供する。
これにより、95%以上の純度を有する分離ポリマー材料を取得するためにフレークがNIR分光法又はMIR分光法により特定される際に、当該フレークの正確な位置決めが保証される。
【0014】
好ましくは、本発明による方法は、圧縮エアの噴流によるポリマーの分離を提供する。
このようにして、高いワークフロー及び選択されるポリマーの最適分離が可能になる。
本発明によれば、ポリマーP3及びP4は、前述のステップで選択及び分離されたポリマーP1及びP2と等価の又は異なる化学タイプのものであり得る。換言すれば、ポリマーP3及びP4は、同じポリマーP1及びP2であり得るが、黒色ポリマーフレークの混合物から選択され分離され得る。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による方法を、その好適な非限定的実施形態で説明する。
本発明による方法は、後述するように、産業において既に使用されている機械、例えばベルトコンベア、供給ホッパー等を用いて実施することができる。
本発明による方法は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、高密度及び低密度ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)などの種々のポリマーの選択及び分離に適用することができる。
本発明による方法は、後述するように、ポリマーの機械的選択及び分離のプロセスにおいて実施される。具体的には、ポリマー混合物からの3種の異なるポリマーの分離プロセスを説明する。
【0016】
下記のプロセスは、プラスチック廃棄物に由来するポリマー混合物から、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)及びポリプロピレン(PP)を選択するものである。
前記ポリマーは、本発明による分離方法の良好な理解を可能とするために任意に選択されたものであり、したがって当該方法を限定するものとみなしてはならない。
商業及び/又は工業プラスチック廃棄物から生じるポリマーの混合物、好ましくは、非ポリマー性の有機又は無機材料が既に除去されたポリマー混合物を、材料を粉砕して6~100mmの範囲内の概寸法又は約6~100mm2の範囲内の表面を有するプラスチック材料のフレークを取得することができるグラインダーに供給する。好ましくは、粉砕された材料のフレークの寸法は、後述するように、適切な選択及び分離手段による選択及び分離が容易なフレークを取得するために、15~80mmである。
【0017】
適切なコンベアベルトにより、プラスチック材料のフレークは、ポリマー混合物中に存在する鉄系金属材料をネオジム磁石を用いて除去する装置に運ばれる。次いで、フレークは、第2の装置に運ばれ、そこで、ポリマー混合物中に存在する非鉄金属材料が渦電流を用いて除去される。
次いで、金属を実質的に含まないポリマー混合物を、コンベアベルト上の材料の表面分布が1~20kg/cm2の範囲内、好ましくは3~10kg/cm2の範囲内になるように、コンベアベルト上に堆積させる。このようにして、フレークは、後続の光学機器による選択を無効化するフレークの重なりを回避するように最適に分布する。材料の分布は、読取単位当たりの表面分布として規定することができる。
このように分布する材料は、選択装置に送られ、そこで、近赤外線(NIR)分光法により、着色又は白色のプラスチック材料のフレークが黒色プラスチック材料のフレークから特定される。
【0018】
本発明によれば、用語「着色(した)」とは、言及された色に関する波長を有する放射を除き、可視領域の入射電磁放射を全て吸収する材料を示す。
本発明によれば、用語「白色(又は無色)」とは、可視領域の入射電磁放射を全て反射することができる材料を示す。
本発明によれば、用語「黒色」とは、可視領域の入射電磁放射を反射させることなく、全て吸収する物体を示す。黒色は、可視光が目に到達しないときに経験する視覚的印象に対応する。
【0019】
当該分野で知られているように、NIR(近赤外)分光法は、近赤外スペクトルの電磁放射、すなわち780nm~2500nmの範囲内の波長を有する電磁放射を用いる分光吸収法である。
近赤外線分光法を用いて、異なる性質の材料を、異なるプラスチック材料による赤外放射の選択的吸収に基づいて選択することができる。
したがって、プラスチック材料に存在する黒色顔料が赤外線を吸収し、該材料を光学的選択機に「見えない」ようにするため、第1の装置は、近赤外分光法により、着色又は白色のプラスチック材料を選択することができる。
こうして選択されたプラスチック材料は、該選択材料(すなわち、NIR分光法により特定された材料)に当たってこれを別のコンベアベルトに押し出す圧縮エアの噴流により分離される。圧縮エアの噴流は、装置の設定に応じて、非選択材料、すなわちNIR分光法により特定されなかった材料に当ててもよい。
【0020】
その後、残るプラスチック材料は、重力により、別のコンベアベルトに移される。
この分離手順は、以下に説明する全ての選択及び分離ステップに用いられる。
本発明によれば、本明細書に明記されていない他の分離方法及び手順も用いることができる。
圧縮エアの噴流による分離後は、異なるプラスチック材料の2つの画分が存在することになる:着色及び白色のプラスチック材料のフレークに富む画分F1と、黒色のプラスチック材料のフレークに富む画分F2。
その後、着色及び白色のプラスチック材料のフレークに富む画分F1は、選択装置に送られ、そこで、NIR分光法によりPEフレークが認識され、圧縮エアの噴流により分離されて、PEフレークに富む画分F3が形成される。同様に、PEフレークに乏しい画分F4が形成される。
【0021】
PEフレークに富む画分F3は、再び選択装置に送られ、そこで、NIR分光法によりPEとは異なるポリマーのフレークが特定される。このフレークは、圧縮エアの噴流により分離され、PEとは異なるポリマーのフレークに富む画分F5が形成される。残るPEフレークは、PEに関して95%以上の純度を有する。
PPフレークに乏しい画分F4及びPEとは異なるポリマーのフレークに富む画分F5は、1つのコンベアベルトで一緒に選択装置に送られ、そこで、NIR分光法によりPPフレークが特定され、圧縮エアの噴流により分離されて、PPフレークに富む画分F6が形成される。同様に、PPフレークに乏しい画分F7が形成される。
PPフレークに富む画分F6は、再び選択装置に送られ、そこで、NIR分光法によりPPとは異なるポリマーのフレークが特定される。このフレークは、圧縮エアの噴流により分離され、PPとは異なるポリマーのフレークに富む画分F8が形成される。残るPPフレークは、PPに関して95%以上の純度を有する。
【0022】
前述のステップの1つで選択され分離された黒色プラスチック材料のフレークに富む画分からも異なるタイプのポリマーを選択し分離するために、画分F2は選択装置に送られ、そこで、MIR分光法により、PEフレークが黒色プラスチック材料のフレークの画分F2から特定される。
当該分野において知られているように、MIR(中赤外放射)分光法は、中間赤外スペクトルの電磁放射、すなわち2.5μm~25μmの範囲内の波長を有する電磁放射を用いる分光吸収法である。
画分F2からのPEの選択及び分離後、黒色PEフレークに富む画分F9及び黒色PEフレークに乏しい対応する画分F10が得られる。
【0023】
黒色PEフレークに富む画分F9は、再び選択装置に送られ、そこで、MIR分光法により、PEとは異なるポリマーのフレークが特定される。このフレークは、圧縮エアの噴流により分離され、PEとは異なるポリマーのフレークに富む画分F11が形成される。残る黒色PEフレークは、PEに関して95%以上の純度を有する。
黒色PEフレークに乏しい画分F10及びPEとは異なるポリマーの黒色フレークに富む画分F11は、1つのコンベアベルトで一緒に選択装置に送られ、そこで、MIR分光法により、黒色PPフレークが特定され、圧縮エアの噴流により分離されて、黒色PPフレークに富む画分F12が形成される。同様に、黒色PPフレークに乏しい画分F13が形成される。
黒色PPフレークに富む画分F12は、再び選択装置に送られ、そこで、MIRにより、PPとは異なるポリマーのフレークが特定される。このフレークは、圧縮エアの噴流により分離され、PPとは異なるポリマーのフレークに富む画分F14が形成される。残るPP黒色ポリマーフレークは、PPに関して95%以上の純度を有する。
【0024】
プラスチック廃棄物に由来するポリマー混合物から更なるタイプのポリマーを分離するため、前述の画分F7及びF8を1つのコンベアベルトで一緒に選択装置に送り、そこで、NIR分光法により、PSフレークが特定される。このフレークは、圧縮エアの噴流により分離されて、PSフレークに富む画分F15が形成される。同様に、PSフレークに乏しい画分F16が形成される。
PSフレークに富む画分F15は再び選択装置に送られ、そこで、NIR分光法により、PSとは異なるポリマーのフレークが認識される。このフレークは、圧縮エアの噴流により分離されて、PSとは異なるポリマーのフレークに富む画分F17が形成される。残るPSフレークは、PSに関して95%以上の純度を有する。
【0025】
先に選択され分離されたポリエチレンフレーク(着色及び白色のフレークと黒色フレークとの両方)は、NIR又はMIR分光法に基づく更なる分離ステップにより、更に選択し分離することができる。実際、PEポリマー鎖の平均長(平均分子量)の違いが、ポリマーのNIR又はMIRスペクトルに影響することは広く知られている。したがって、NIRベース又はMIRベースの更なる選択ステップにより、より高い分子量のPEフレーク(より低いメルトフローインデックスにより定性的に特徴付けられるPEフレーク)を、より低い分子量のPEフレーク(より高いメルトフローインデックスにより定性的に特徴付けられるPEフレーク)から選択し分離することができる。
具体的には、PEフレークは、前述したように、NIR又はMIR分光法により選択され、圧縮エアの噴流により分離される。
【0026】
成分ポリマーのタイプに応じて先に選択され分離されたフレークは、更に適切な粉砕装置に送られて、寸法をさらに小さくされ、プラスチック押出装置で直ぐに使用できるような寸法を有する材料のフレークが得られる。
これらフレークはまた、適切な洗浄装置に送られ、そこで、残存する汚れ又は上記の選択及び分離ステップで形成され得るポリマー材料のダストを除去するために、水、必要に応じて特定の製品で洗浄される。
先に分離され粉砕され洗浄されたPE(HDPE及びLDPEの両方)、PP及びPSの着色及び白色のフレークは、連続選択及び分離装置に運ばれ、そこで、UV/VIS分光法により、特定の色に応じて選択され、圧縮エアの噴流により分離される。
当該分野で知られているように、UV/VIS(紫外/可視)分光法は、紫外/可視スペクトルの電磁放射、すなわち400nm~700nmの範囲内の波長を有する電磁放射を用いる分光吸収法である。
本発明の方法を用いれば、限定されない数の異なるポリマーを選択して分離することが可能である。したがって、この方法は、上記のような3種より多いポリマーを含む混合物にも、選択及び分離効率を低下させることなく、適用することができる。
【国際調査報告】