(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ポリペプチドタグ及び体外タンパク質合成におけるその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 7/08 20060101AFI20230302BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230302BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20230302BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230302BHJP
【FI】
C07K7/08 ZNA
C12P21/02 C
C12N15/11 Z
C12N15/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532165
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2020132391
(87)【国際公開番号】W WO2021104482
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201911206616.3
(32)【優先日】2019-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520037016
【氏名又は名称】康碼(上海)生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】KANGMA-HEALTHCODE (SHANGHAI) BIOTECH CO., LTD
【住所又は居所原語表記】BUILDING 12, 118 FURONGHUA ROAD, PUDONG NEW AREA, SHANGHAI 201321,PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クオ、ミン
(72)【発明者】
【氏名】ユイ、シュエ
【テーマコード(参考)】
4B064
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA21
4B064CB30
4B064CC24
4B064CD20
4B064CD30
4B064DA01
4H045AA10
4H045BA10
4H045BA16
4H045BA41
4H045EA20
(57)【要約】
ポリペプチドタグを提供し、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列は、Xaa1Xaa2Xaa3PHDYNXaa4Xaa5Xaa6であり、ただし、Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立してアミノ酸であるか又は存在しなく、前記ポリペプチドタグは、標的タンパク質を標識するために用いられる。第2方面は、ポリペプチド融合タンパク質を提供し、(1)第1方面のいずれかのポリペプチドタグと、(2)前記ポリペプチドタグに接続された標的タンパク質との、2つの構造を含む。無細胞タンパク質合成系及び体外タンパク質合成におけるその使用をさらに提供する。ポリペプチドタグと標的タンパク質を融合タンパク質に構築することにより、前記ポリペプチドタグを切除しない場合でも、標識された標的タンパク質の発現量を効果的に高めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリペプチドタグであって、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列は、Xaa1Xaa2Xaa3PHDYNXaa4Xaa5Xaa6であり、
ただし、Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立してアミノ酸であるか又は存在しなく、前記ポリペプチドタグは、標的タンパク質を標識するために用いられることを特徴とするポリペプチドタグ。
【請求項2】
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がP又はKであるか又は存在しない、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項3】
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がPであるか又は存在しない、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項4】
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がKであるか又は存在しない、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項5】
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1が存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がP又はKであるか又は存在しない、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項6】
前記Xaa1は存在しなく、Xaa2Xaa3はSEであるか又は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5Xaa6はYEKである、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項7】
前記Xaa1は存在しなく、Xaa4Xaa5はYE又はYGであるか又は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5Xaa6はYEP又はYGKである、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項8】
前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5はYE又はYGであり、Xaa6は存在しない、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項9】
前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、Xaa4は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa5Xaa6はEP又はGKである、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項10】
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6のうちの少なくとも3つは存在しないものではなく、さらに好ましくは、Xaa2Xaa3及びXaa4は存在しないものではなく、あるいは、Xaa3とXaa4Xaa5は存在しないものではない、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項11】
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はPである、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項12】
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はGであり、Xaa6はKである、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項13】
前記Xaa1は存在しなく、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項14】
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6は存在しない、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項15】
前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項16】
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項17】
前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3は存在しなく、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項18】
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4は存在しなく、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない、ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項19】
(1)請求項1~18のいずれか一項に記載のポリペプチドタグと、(2)前記ポリペプチドタグに接続された標的タンパク質との、2つの構造を含む、ことを特徴とするポリペプチド融合タンパク質。
【請求項20】
前記ポリペプチドタグのC末端は前記標的タンパク質のN末端に接続される、ことを特徴とする請求項19に記載のポリペプチド融合タンパク質。
【請求項21】
前記標的タンパク質は、蛍光タンパク質、強化型蛍光タンパク質、ホタルルシフェラーゼのうちの1つ又はその組み合わせである、ことを特徴とする請求項19又は20に記載のポリペプチド融合タンパク質。
【請求項22】
(1)細胞抽出物と、
(2)請求項19又は20又は21に記載のポリペプチド融合タンパク質をコードするDNA又はmRNAとを含む、ことを特徴とする体外無細胞タンパク質合成系。
【請求項23】
前記細胞抽出物は、酵母細胞抽出物であり、好ましくは、クルイベロミセスラクティス細胞抽出物である、ことを特徴とする請求項22に記載の体外無細胞タンパク質合成系。
【請求項24】
アミノ酸混合物、dNTP、RNAポリメラーゼのうちの1種又は複数をさらに含む、ことを特徴とする請求項22又は23に記載の体外無細胞タンパク質合成系。
【請求項25】
DNAポリメラーゼ、エネルギー供給系、ポリエチレングリコール、水性溶媒のうちの1種又は複数をさらに含む、ことを特徴とする請求項22又は23又は24に記載の体外無細胞タンパク質合成系。
【請求項26】
体外タンパク質合成における、請求項1~18のいずれか一項に記載のポリペプチドタグのコード遺伝子、又は請求項19~21のいずれか一項に記載のポリペプチド融合タンパク質のコード遺伝子、又は請求項22~25のいずれか一項に記載の無細胞タンパク質合成系の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の詳細な説明]
本願は、出願日が2019年11月30日である中国特許出願2019112066163の優先権を主張する。本願は、上記中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明は生化学技術分野に属し、具体的には、ポリペプチドタグ及び体外タンパク質合成におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質は、細胞における重要な分子であり、細胞の全ての機能の実行にほぼ関与する。異なるタンパク質の配列と構造により、その異なる機能が決定される(1)。細胞内において、タンパク質は、酵素類として様々な生化学反応を触媒することができ、シグナル分子として生体の様々な活動を協調することができ、生体形態を支持し、エネルギーを貯蔵し、分子を輸送し、且つ生体を運動させることができる(2)。生物医学分野において、タンパク質抗体は、標的薬物として、癌等の疾患を治療する重要な手段である(1、2)。
【0004】
ヒトが細胞内タンパク質合成に対する了解に加えて、タンパク質合成は細胞外で行うこともできる。タンパク質体外合成系とは、一般的に、細菌、真菌、植物細胞又は動物細胞の分解体系に、mRNA又はDNAテンプレート、RNAポリメラーゼ、アミノ酸、ATPなどの組成分を添加して、外来タンパク質の迅速で高効率な翻訳を完了するシステムを意味する(3、4)。タンパク質の体外無細胞合成系は、従来の体内組換え発現系に比べ、複数の利点を有し、例えば、細胞への毒害作用を有するか又は非天然アミノ酸(例えばD-アミノ酸)を含有する特殊タンパク質を発現することができ、PCR生成物を直接的にテンプレートとして複数のタンパク質を同時に平行に合成して、ハイスループット薬物スクリーニング及びプロテオーム学の研究(3、5)を展開することができる。
【0005】
文献報告によると、融合タンパク質技術は、現在、組換えタンパク質の生産過程を最適化する通常の方法の1つであり、融合タグによって標的タンパク質の発現の促進等の目的を達成することができる。例えば、研究者は、タンパク質融合タグによるポリシーが、標的タンパク質の発現の増加及び封入体の形成の抑制に有効であることを発見した(6)。なお、タンパク質融合に広く用いられるタグは、例えば、MBP(マルトース結合性タンパク質)(7)、TrxA(チオレドキシン)(8)、NUSA(窒素利用物質A)(9)、GST(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)(10)、及びSUMO(小ユビキチン様修飾物質)(11)をさらに含むがこれらに限定されない。ここで、大部分のタンパク質融合に用いられるタグは、20~300個のアミノ酸から構成されるポリペプチド鎖であり、その欠点は、鎖長が比較的に長く、分子が比較的に大きく、且つ、多くの場合、それが、標的タンパク質の構造及び機能を干渉してタンパク質合成の効率を低下させることを防止するように、発現完了後に標的タンパク質から除去させる必要がある。したがって、導入された融合タグが標的タンパク質に対する影響及び干渉を低減するために、当技術分野はタンパク質構造及び機能に影響を与えなく又は少なく与える、標的タンパク質の生産効率を向上させるポリペプチドタグを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、タンパク質合成の従来技術に存在している問題を解決し、ポリペプチド鎖が短く、分子量が低くく、標的タンパク質の空間構造に影響しないポリペプチドタグを提供し、切除する必要がなく、プロセスフローを簡略化させ、生産効率を向上させ、コストを低減させることができ、また、前記ポリペプチドタグを切除しない場合でも、標識された標的タンパク質は、タンパク質発現量を効果的に向上させることができる。
【0007】
本発明の第1方面は、ポリペプチドタグを提供し、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列は、
Xaa1Xaa2Xaa3PHDYNXaa4Xaa5Xaa6であり、
ただし、Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立してアミノ酸であるか又は存在しなく、前記ポリペプチドタグは、標的タンパク質を標識するために用いられる。好ましくは、クルイベロミセス・ラクティス源に基づく細胞内又は体外タンパク質発現に用いられる。
【0008】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであるか又は存在しない。
【0009】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa2はSであるか又は存在しない。
【0010】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa3はEであるか又は存在しない。
【0011】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa4はYであるか又は存在しない。
【0012】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa5はE又はGであるか又は存在しない。
【0013】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa6はP又はKであるか又は存在しない。
【0014】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がPであるか又は存在しない。
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がKであるか又は存在しない。
【0015】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1が存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がP又はKであるか又は存在しない。
【0016】
好ましくは、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2Xaa3はSEであるか又は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5Xaa6はYEKである。
【0017】
好ましくは、前記Xaa1は存在しなく、Xaa4Xaa5はYE又はYGであるか又は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5Xaa6はYEP又はYGKである。
【0018】
好ましくは、前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5はYE又はYGであり、Xaa6は存在しない。
【0019】
好ましくは、前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、Xaa4は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa5Xaa6はEP又はGKである。
【0020】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6のうちの少なくとも3つは存在しないものではなく、さらに好ましくは、Xaa2Xaa3及びXaa4は存在しないものではなく、あるいは、Xaa3とXaa4Xaa5は存在しないものではない。
【0021】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はPである。
【0022】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はGであり、Xaa6はKである。
【0023】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1は存在しなく、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである。
【0024】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6は存在しない。
【0025】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである。
【0026】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない。
【0027】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3は存在しなく、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである。
【0028】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4は存在しなく、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない。
【0029】
本発明の第2方面は、本発明の第1方面により提供されるいずれかのポリペプチドタグで標的タンパク質を標識して形成された融合タンパク質であるポリペプチド融合タンパク質を提供する。前記ポリペプチド融合タンパク質は、(1)本発明の第1方面により提供されるいずれか一つのポリペプチドタグと、(2)前記ポリペプチドタグに接続された標的タンパク質との、2つの構造を含む。前記ポリペプチド融合タンパク質の構造は、標的タンパク質と、標的タンパク質を標識するためのポリペプチドタグと、を含み、両者の間には融合タンパク質が形成される。
【0030】
さらに、前記ポリペプチドタグのC末端は前記標的タンパク質のN末端に接続される。
【0031】
さらに、前記標的タンパク質は、蛍光タンパク質、強化型蛍光タンパク質、ホタルルシフェラーゼのうちの1つ又はその組み合わせである。
【0032】
本発明の第3方面は、
(1)細胞抽出物と、
(2)本発明の第2方面により提供されるいずれか一つのポリペプチド融合タンパク質をコードするDNA又はmRNAと、
を含む体外無細胞タンパク質合成系を提供する。
【0033】
好ましくは、前記細胞抽出物は、酵母細胞抽出物であり、より好ましくは、クルイベロミセスラクティス細胞抽出物である。
【0034】
さらに、前記体外無細胞タンパク質合成系は、アミノ酸混合物、dNTP、RNAポリメラーゼのうちの1種又は複数をさらに含む。
【0035】
またさらに、前記体外無細胞タンパク質合成系は、DNAポリメラーゼ、エネルギー供給系、ポリエチレングリコール、水性溶媒のうちの1種又は複数をさらに含む。
【0036】
本発明の第4方面は、体外タンパク質合成における、本発明の第1方面により提供されるいずれか一つのポリペプチドタグのコード遺伝子、又は本発明の第2方面により提供されるいずれか一つのポリペプチド融合タンパク質のコード遺伝子、又は本発明の第3方面により提供されるいずれか一つの無細胞タンパク質合成系の使用を提供する。合成されたタンパク質は外因性タンパク質である。好ましくは、体外タンパク質合成における、クルイベロミセスラクティス細胞抽出物に基づく使用である。
【0037】
本発明は、細胞内タンパク質の合成における前記ポリペプチドタグの使用、特に好ましくは、クルイベロミセスラクティス細胞内タンパク質の合成における使用をさらに開示する。
【0038】
本発明は、下記の積極的な進歩効果を取得した。本発明により提供されるポリペプチドタグにより、タグ分子量が大きい場合、切除しなければ、標的タンパク質の空間構造及び機能に影響を与えやすく、切除すれば、プロセス及びコストを増加させるなどの、従来技術における問題を克服した。本発明により提供されるポリペプチドタグは、そのポリペプチド鎖が短く、アミノ酸の長さが11個未満であり、分子量が小さく、標的タンパク質の空間構造及び生体機能に影響を与えず、切除する必要がない。ポリペプチドタグと標的タンパク質を融合タンパク質に構築することにより、前記ポリペプチドタグを切除しない場合でも、標識された標的タンパク質の発現量を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明のポリペプチドタグのDNAコード配列が標的タンパク質(eGFPを例とする)のコード配列に接続されたキャリア構造概略図を示し、ここで、eGFPは強化型緑色蛍光タンパク質のコード配列であり、標的タンパク質の代表例として、eGFPのみに限定されるものではない。図において、AUGは、開始コドンであり、AUGとポリペプチドタグのコード配列との間の「-」は、接続ペプチドのコード配列である。
【
図2】本発明の複数のN末端融合ポリペプチドタグのeGFPがそれぞれ異なる体外無細胞タンパク質合成系におけるタンパク質発現効果の比較を示し、ここで、BC(Blank control)は強化型緑色蛍光タンパク質eGFPのN末端未融合ポリペプチドタグ配列のブランク対照であり、PC(Positive control)は強化型緑色蛍光タンパク質eGFPのN末端融合野生型ポリペプチドタグ配列の陽性対照であり、NC(Negative control)はコードタンパク質のDNAテンプレートを加えない陰性対照である。ここで、
図2に使用された細胞抽出物はYY1904102であり、
図3に使用された細胞抽出物はYY1908191であり、
図4に使用された細胞抽出物はYY1904224であり、いずれもクルイベロミセス・ラクティスの遺伝子の組み換えにより得られた異なる菌株であり、RNAポリメラーゼの内因性発現の組み換えを含む。
【
図3】本発明の複数のN末端融合ポリペプチドタグのeGFPがそれぞれ異なる体外無細胞タンパク質合成系におけるタンパク質発現効果の比較を示し、ここで、BC(Blank control)は強化型緑色蛍光タンパク質eGFPのN末端未融合ポリペプチドタグ配列のブランク対照であり、PC(Positive control)は強化型緑色蛍光タンパク質eGFPのN末端融合野生型ポリペプチドタグ配列の陽性対照であり、NC(Negative control)はコードタンパク質のDNAテンプレートを加えない陰性対照である。ここで、
図2に使用された細胞抽出物はYY1904102であり、
図3に使用された細胞抽出物はYY1908191であり、
図4に使用された細胞抽出物はYY1904224であり、いずれもクルイベロミセス・ラクティスの遺伝子の組み換えにより得られた異なる菌株であり、RNAポリメラーゼの内因性発現の組み換えを含む。
【
図4】本発明の複数のN末端融合ポリペプチドタグのeGFPがそれぞれ異なる体外無細胞タンパク質合成系におけるタンパク質発現効果の比較を示し、ここで、BC(Blank control)は強化型緑色蛍光タンパク質eGFPのN末端未融合ポリペプチドタグ配列のブランク対照であり、PC(Positive control)は強化型緑色蛍光タンパク質eGFPのN末端融合野生型ポリペプチドタグ配列の陽性対照であり、NC(Negative control)はコードタンパク質のDNAテンプレートを加えない陰性対照である。ここで、
図2に使用された細胞抽出物はYY1904102であり、
図3に使用された細胞抽出物はYY1908191であり、
図4に使用された細胞抽出物はYY1904224であり、いずれもクルイベロミセス・ラクティスの遺伝子の組み換えにより得られた異なる菌株であり、RNAポリメラーゼの内因性発現の組み換えを含む。
【発明を実施するための形態】
【0040】
名詞及び用語
本発明でいう「ポリペプチドタグ」は、複数のアミノ酸がペプチド結合により構成され、タンパク質の標識に用いられるものである。
【0041】
本発明でいう「ポリペプチド融合タンパク質」は、標的タンパク質のN末端またはC末端にポリペプチドタグが融合し発現して得られたタンパク質である。
【0042】
本発明でいう「シームレスクローニング」は、従来のPCR生成物のクローニングと異なり、唯一の差異は下記のようである。つまり、キャリア末端及びプライマー末端に15~20個の相同性塩基を有するべきであり、それにより得られたPCR生成物の両端にそれぞれ15~20個のキャリア配列と相同性の塩基が付けられ、塩基間の作用力により相補的にペアリングし、酵素接続を必要とせずに直接的に宿主菌の形質転換に用いられることができ、宿主菌に入った線形プラスミド又は環状プラスミドは宿主菌の自己酵素系により切り欠きを修復する。
【0043】
本発明でいう「NT tag」は、ポリペプチドまたはタンパク質のN末端の複数のアミノ酸またはアミノ酸残基からなる小分子ペプチドであり、小分子ペプチドのアミノ酸の数をNTの後ろの数字で示し、例えば、NT11(ウンデカペプチド)、NT8(オクタペプチド)、NT6(ヘキサペプチド)である。
【0044】
本発明でいう「eGFP」は、強化型緑色蛍光タンパク質である。
【0045】
本発明でいう「アミノ酸混合物」は、20種類の天然アミノ酸又は他の非天然アミノ酸からなる混合物である。
【0046】
本発明でいう「N末端」は、ペプチド又はタンパク質のアミノ酸鎖のアミノ末端である。
【0047】
本発明でいう「C末端」は、ペプチド又はタンパク質のアミノ酸鎖のカルボキシル末端である。
【0048】
本発明でいう「エネルギー供給系」は、加水分解又は酵素分解作用により、ATPを放出して体外タンパク質の合成にエネルギーを提供する物質の組み合わせである。
【0049】
本発明でいう「dNTP」とは、アデノシントリヌクレオチド(ATP)、チミントリヌクレオチド(TTP)、グアノシントリヌクレオチド (GTP)及びシチジントリヌクレオチド(CTP)を含む混合物を指す。
【0050】
現在、具体的な実施形態、実施例及び
図1~4を参照して本発明をさらに詳細に説明し、本発明の実施形態は、本発明の要旨がどのようにに実現されるかを具体的に説明するためのわずかな例を用いて説明したものであり、本発明を何ら限定するものではない。下記の実施例において、使用された実験試薬が説明されず、いずれも従来の市販由来のものである。
【0051】
ポリペプチドタグのスクリーニング
発明者は大量の実験設計及び実験検証により、タグとして、体外タンパク質の合成効率の向上に有利なポリペプチドをスクリーニングし、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列は、
Xaa1Xaa2Xaa3PHDYNXaa4Xaa5Xaa6であり、
ただし、Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立してアミノ酸であるか又は存在しなく、前記ポリペプチドタグは、標的タンパク質を標識するために用いられるものである。
【0052】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであるか又は存在しない。
【0053】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa2はSであるか又は存在しない。
【0054】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa3はEであるか又は存在しない。
【0055】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa4はYであるか又は存在しない。
【0056】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa5はE又はGであるか又は存在しない。
【0057】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa6はP又はKであるか又は存在しない。
【0058】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がPであるか又は存在しない。
【0059】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がKであるか又は存在しない。
【0060】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1が存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がP又はKであるか又は存在しない。
【0061】
好ましくは、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2Xaa3はSEであるか又は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5Xaa6はYEKである。
【0062】
好ましくは、前記Xaa1は存在しなく、Xaa4Xaa5はYE又はYGであるか又は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5Xaa6はYEP又はYGKである。
【0063】
好ましくは、前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5はYE又はYGであり、Xaa6は存在しない。
【0064】
好ましくは、前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、Xaa4は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa5Xaa6はEP又はGKである。
【0065】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6のうちの少なくとも3つは存在しないものではなく、さらに好ましくは、Xaa2Xaa3及びXaa4は存在しないものではなく、あるいは、Xaa3とXaa4Xaa5は存在しないものではない。
【0066】
他の実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はPである。
【0067】
他の実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はGであり、Xaa6はKである。
【0068】
他の実施形態として、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである。
【0069】
他の実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6は存在しない。
【0070】
他の実施形態として、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである。
【0071】
他の実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない。
【0072】
他の実施形態として、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3は存在しなく、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである。
【0073】
他の実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4は存在しなく、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない。
【0074】
ポリペプチド融合タンパク質のプラスミドの構築及び配列決定同定
一対のプライマーを用いて、スクリーニングされたポリペプチドタグのコード配列を、シームレスクローニング方法により、pD2Pプラスミドの標的タンパク質N末端のコード配列位置に融合した。このように発現された融合タンパク質において、ポリペプチドタグのC末端と標的タンパク質のN末端とはペプチド結合で接続された。例えば、ポリペプチドタグをコードする遺伝子配列が、pD2P-eGFPプラスミド(eGFPをコードする遺伝子配列が導入されたpD2Pプラスミド)のeGFPのN末端遺伝子配列の位置に接続された。具体的には、一連のポリペプチド融合タンパク質をコードする遺伝子配列が含まれたプラスミドを構築し、例えば、番号がpD2P-1.07-001のプラスミドを構築した。
【0075】
前記pD2Pプラスミドの基本的な構造は、中国特許出願文献CN201910460987.8の明細書図面を参照することができる。
【0076】
採用されたクローニング技術に基づいてプライマー対を設計し、それぞれ上記一連のポリペプチド融合タンパク質を含むプラスミドをテンプレートとしてPCR増幅を行い、且つ増幅生成物5μLを取って1%アガロース電気泳動同定を行い、DpnI 5μLを増幅生成物10μLに加え、37℃で6hインキュベートし、DpnI処理後の生成物を含む遠心チューブにDH5αコンピテント細胞50μLを加え、軽く均一に混合し、氷上で30min放置した後、42℃で45sヒートショックし、直ちに、氷上に3min放置し、遠心チューブにLB液体培地700μLを加えた。遠心チューブを37℃のクレードルに放置して1h振動培養した後、培養液200μLを取って100mmol/Lのアンピシリンを含む固体LB培地に塗布し、37℃で14~16h培養した。その後、白色のコロニーを選択して配列決定を行い、遺伝子配列決定が正しいことを確認した後、プラスミドを抽出して-20℃に保存した。
【0077】
体外無細胞タンパク質合成系
1つの実施形態として、体外無細胞タンパク質合成系は、細胞抽出物と、ポリペプチド融合タンパク質をコードするDNAとを含む。
【0078】
1つの実施形態として、体外無細胞タンパク質合成系は、細胞抽出物と、ポリペプチド融合タンパク質をコードするDNAと、アミノ酸混合物、dNTP及びRNAポリメラーゼのうちの1種又は複数と、を含む。
【0079】
1つの実施形態として、体外無細胞タンパク質合成系は、細胞抽出物と、ポリペプチド融合タンパク質をコードするDNAと、アミノ酸混合物、dNTP、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、エネルギー供給系、ポリエチレングリコール及び水性溶媒のうちの1種又は複数と、を含む。
【0080】
1つの実施形態として、体外無細胞タンパク質合成反応系は、下記のとおりである。最終濃度が9.78mMでpHが8.0であるトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris-HCl)、酢酸カリウム80mM、マグネシウムイオン5.6mM、ヌクレオシド三リン酸混合物1.5mM(dNTP、アデニンヌクレオシド三リン酸と、グアニンヌクレオシド三リン酸と、シトシンヌクレオシド三リン酸と、ウラシルヌクレオシド三リン酸と、を含み、各ヌクレオシド三リン酸の濃度はいずれも1.5mMである)、アミノ酸混合物(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、セリン、チロシン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジンの濃度は、それぞれ0.7mMである)0.7mM、ジチオスレイトール1.7mM、ポリエチレングリコール、エネルギー供給系、リン酸三カリウム24mM、50体積%細胞抽出物、0.33μg/μLのDNAテンプレートである。
【0081】
1つの実施形態として、前記マグネシウムイオン由来のマグネシウム塩は、グルタミン酸マグネシウム、酢酸マグネシウムのいずれかの1つ又はそれらの組み合わせから選択される。
【0082】
1つの実施形態として、アミノ酸混合物は、20種類の天然アミノ酸と、他の非天然アミノ酸とを含む。
【0083】
1つの実施形態として、ポリエチレングリコールの分子量は、200~12000Daであり、好ましくは、400、600、800、2000、4000、8000Daである。重量平均分子量で計算する。
【0084】
1つの実施形態として、前記エネルギー供給体系は、グルコース、マルトース、トレハロース、マルトデキストリン、でんぷんデキストリン、クレアチンリン酸及びリン酸キナーゼのいずれかの1つ又はそれらの組み合わせから選択され、好ましくは、マルトデキストリン320mM、6%トレハロースである。
【0085】
1つの実施形態として、前記細胞抽出物は、真核細胞、酵母細胞、クルイベロミセス細胞から選択され、好ましくは、クルイベロミセス・ラクティス細胞である。より好ましくは、ゲノムにT7 RNAポリメラーゼが組み込まれたクルイベロミセス・ラクティス細胞であり、又はプラスミドにT7RNAポリメラーゼが導入されたクルイベロミセス・ラクティス細胞である。
【0086】
別の実施形態として、前記細胞抽出物は、人工的に育種された高収量タンパク質のクルイベロミセス・ラクティス細胞から選択される。具体的には、ゲノムにDNAポリメラーゼが組み込まれて発見されたクルイベロミセス・ラクティス細胞であり、より好ましくは、ゲノムにphi29ポリメラーゼが組み込まれて発現されたクルイベロミセス・ラクティス細胞である。
【0087】
1つの実施形態として、前記DNAテンプレートは、ポリペプチド融合タンパク質をコードするDNAであり、ポリペプチド融合蛍光タンパク質、ポリペプチド融合ホタルルシフェラーゼを含み、好ましくは、ポリペプチド融合強化型蛍光タンパク質(eGFP)をコードするDNAである。
【0088】
実施例1 ポリペプチドタグ配列の同定
1.1 ポリペプチドタグのアミノ酸配列の由来及び同定は、既に開示された文献で報告され、研究者は実験により、ドナリエラ炭酸脱水酵素(dca)N末端ハーフドメイン内の最初の11個のアミノ酸残基(NT11のアミノ酸配列は配列番号18を参照し、そのDNA配列は配列番号9を参照する)が外来タンパク質のN末端に接続されて融合発現を行うことは、BL21(DE3)E.coli細胞においてYFP(黄色蛍光タンパク質)等のタンパク質翻訳レベルを向上させる(Thi Khoa My Nguyen,et al.The NT11, a novel fusion tag for enhancing protein expression in Escherichia coli. 2019;103(5): 2205-2216.)。本実施例は、NT11のアミノ酸配列に対して部分サイトの削除又はランダムな点突然変異を行うことにより、さらに実験によって外来タンパク質発現に顕著な向上効果を有するアミノ酸配列をスクリーニングした。
【0089】
具体的には、NT11(PC)のアミノ酸配列に対して段階的な削除又はランダムな点突然変異を行って、一連の異なるアミノ酸配列を取得し、且つコドン最適化によって対応するヌクレオチド配列を取得し、アミノ酸及びヌクレオチド配列に対して番号付けを行い、取得された部分配列は表1及び配列表の配列番号1~18を参照する。
【0090】
【0091】
好ましい実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はPであり、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号1であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号10である。
【0092】
他の好ましい実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はGであり、Xaa6はKであり、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号2であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号11である。
【0093】
他の好ましい実施形態として、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKであり、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号3であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号12である。
【0094】
他の好ましい実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6は存在しなく、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号4であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号13である。
【0095】
他の好ましい実施形態として、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKであり、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号5であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号14である。
【0096】
他の好ましい実施形態として、記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しなく、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号6であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号15である。
【0097】
他の好ましい実施形態として、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3は存在しなく、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKであり、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号7であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号16である。
【0098】
他の好ましい実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4は存在しなく、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しなく、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号8であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号17である。
【0099】
以上の8種類の新たに得られたポリペプチドタグは本発明により提供される一部の好ましい例に過ぎず、本発明の実施形態は上記好ましい例を含むがこれらに限定されない。
【0100】
実施例2 N末端融合ポリペプチドタグのeGFPのプラスミド構築
プラスミドの構築は、一対のプライマーを用い、シームレスクローニング方法を利用してポリペプチドタグのコード遺伝子をpD2P-eGFPプラスミドにおけるeGFPのN末端コード配列位置に接続され、その遺伝子構造は
図1を参照する。ただし、9つのプラスミドの名称は、それぞれ、pD2P-1.07-(001~008)及びPCである(表1参照)。前記9つのプラスミドの増幅プライマー配列は順に、配列番号19~36である。
【0101】
具体的な構築プロセスは、下記のとおりである。
【0102】
クローニング技術に基づいて一対のプライマーを設計し(表2を参照し、ただし、尾部がPFであるのはフォワードプライマーに対応し、尾部がPRであるのはリバースプライマーに対応し、それぞれ上記9つのプラスミドpD2P-1.07-(001~008)とPCをテンプレートとしてPCR増幅を行い、増幅生成物5μLを取って1%アガロース電気泳動同定を行い、DpnI5μLを増幅生成物10μLに加え、37℃で6hインキュベートし、DpnI処理後の生成物を含む遠心チューブにDH5αコンピテント細胞50μLを加え、軽く均一に混合し、氷上で30min放置した後、42℃で45sヒートショックし、直ちに、氷上に3min放置し、遠心チューブにLB液体培地700μLを加えた。遠心チューブを37℃のクレードルに放置して1h振動培養した後、培養液200μLを取って100mmol/Lのアンピシリンを含む固体LB培地に塗布し、37℃で14~16h培養した。その後、白色のコロニーを選択して配列決定同定を行い、遺伝子配列決定が正しいことが確認された後、相応するコロニーのプラスミドを抽出して-20℃に保存した。
【0103】
【0104】
実施例3~5 体外タンパク質合成における、ポリペプチドタグのコード遺伝子、N末端融合ポリペプチドタグのeGFPのコード遺伝子、及び系のDNAテンプレートに上記コード遺伝子が含まれる体外無細胞タンパク質合成体系の応用
S1:DNA増幅は、構築されたプラスミドをDNAテンプレートとして増幅し、増幅体系は、下記のとおりである。最終濃度1~5mMのランダムプライマー(NNNNNNN、7つの塩基からランダムに構成されることを示す)、上記プラスミドテンプレート1.14ng/μL、dNTP0.5~1mM、BSA0.1mg/mL、phi29DNAポリメラーゼ0.05~0.1mg/mL、1×phi29反応緩衝液(成分がTris-HCl 200mM、MgCl2 20mM、(NH4)2SO4 10mM、KCl 10mMであり、pHが7.5である)。上記反応系を均一に混合した後、30℃の環境に放置されて3h反応させた。反応終了後、紫外分光光度計にてDNA濃度を測定した。
【0105】
実験群(処理方式)は、DNAテンプレートを加え、前記DNAテンプレートにはポリペプチドタグ融合強化型緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列が含まれる。
【0106】
BC群(処理方式)は、BC(Blank Control)であって、すなわちブランク対照であり、DNAテンプレートを加え、前記DNAテンプレートには、ポリペプチドタグをコードするヌクレオチド配列が含まれなく、強化型緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列が含まれる。
【0107】
PC群(処理方式)は、PC(Positive Pontrol)であって、すなわち陽性対照であり、DNAテンプレートを加え、前記DNAテンプレートには野生型のポリペプチドタグをコードし強化型緑色蛍光タンパク質eGFPを融合するヌクレオチド配列が含まれる。
【0108】
NC群(処理方式)は、NC(Negative Control)であって、すなわち陰性対照であり、外来DNAテンプレートが添加されない。
【0109】
S2:体外タンパク質合成系においてN末端融合ポリペプチドタグを発現するeGFP
上記S1で増幅されたDNA断片を体外蛋白質合成系に添加した。体外無細胞タンパク質合成反応系は、下記のとおりである。最終濃度が9.78mMでpHが8.0のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris-HCl)、酢酸カリウム80mM、マグネシウムイオン5.6mM、ヌクレオシド三リン酸混合物1.5mM(アデニンヌクレオシド三リン酸と、グアニンヌクレオシド三リン酸と、シトシンヌクレオシド三リン酸と、ウラシルヌクレオシド三リン酸と、を含み、各ヌクレオシド三リン酸の濃度はいずれも1.5mMである)、アミノ酸混合物(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、セリン、 チロシン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジンの濃度は、それぞれ0.7mMである)0.7mM、ジチオスレイトール1.7mM、2%(w/v)のポリエチレングリコール8000、マルトデキストリン320mM、6%トレハロース、リン酸三カリウム24mM、50体積%酵母細胞抽出物、0.33μg/μLのDNAテンプレートである(上記DNA増幅により得られたものである)。
【0110】
3種類の異なる酵母細胞抽出物由来のものを採用し、それぞれ異なる体外タンパク質合成系を構築し、構築されたポリペプチド融合タンパク質が異なる系における効果を検証した。ここで、実施例3で使用された細胞抽出物はYY1904102であり、実施例4で使用された細胞抽出物はYY1908191であり、実施例5で使用された細胞抽出物はYY1904224であり、いずれもクルイベロミセス・ラクティスATCC8585及びその遺伝子組み換えの異なる菌株であり、RNAポリメラーゼの内因性発現の組み換えを含み、中国特許出願文献CN201710768550.1の調製方法を参照する。
【0111】
上記反応系を30℃の環境条件に放置し、約20h静置インキュベートした。反応終了後、直ちにEnvision2120多機能マイクロプレートリーダー(Perkin Elmer)に置いて、数値を読み取って、eGFPの蛍光信号の強さを検出し、相対蛍光単位値(Relative Fluorescence Unit、RFU)を採用して活性単位とした。
【0112】
実験結果は、下記のとおりである。
【0113】
蛍光光度法の測定結果から分かるように、体外タンパク質合成系において、野生型ポリペプチドタグはタンパク質の発現を強化しなく、逆にタンパク質発現量の減少を引き起こし、
図2~4を参照し、PC群のRFU値はいずれもBC群より低いものであり、特に
図4において抑制効果が非常に顕著である。これは野生型ポリペプチドタグの大腸菌細胞内における促進効果と逆である。
【0114】
発明者がスクリーニングしたポリペプチドタグを使用すれば、いずれもeGFPの体外発現に促進効果を有した。蛍光光度法の測定結果から分かるように、体外タンパク質合成系に発現された複数のN末端融合ポリペプチドタグのeGFPは、そのRFU値がいずれも向上され、本発明のポリペプチドタグによりeGFPの発現量が向上されたことが説明され、
図2~4に示すことを参照する。
【0115】
実施例3について、その結果は
図2を参照し、異なる実験群はいずれも空白対照群を超え、特にpD2P-1.07-003(20時間反応した後にRFU値が7361に達した)は、ポリペプチドタグ関連配列が導入されなかった空白対照(RFU値が5189である)に比べ、RFUが41.86%向上された。
【0116】
実施例4から分かるように、異なる実験群はいずれも空白対照群を超え、
図3を参照すれば、ここで、pD2P-1.07-003、pD2P-1.07-004、pD2P-1.07-006及びpD2P-1.07-008を含む4つの実験群の効果が顕著であり、特にpD2P-1.07-008は20時間反応した後にRFU値が5532に達し、ポリペプチドタグ関連配列が導入されなかった空白対照(RFU値が3334である)に比べ、RFUが65.93%向上された。
【0117】
実施例5において、異なる実験群はいずれも空白対照群を超え、
図4を参照すれば、20時間反応した後、実験群pD2P-1.07-002で測定されたRFU値は3580であり、ポリペプチドタグ関連配列が導入されなかった空白対照(RFU値が2654である)に比べ、実験群のRFUが34.89%向上された。
【0118】
上記実施例の実験結果により、本発明のポリペプチドタグ、特に標的タンパク質N末端に融合されたポリペプチドタグ配列を導入することにより、体外無細胞タンパク質合成系を用いて構築されたポリペプチド融合タンパク質を合成し、標的タンパク質の翻訳効率と生産量を向上させることができ、体外タンパク質合成系の利用可能性を大幅に向上させた。
【0119】
本発明に言及された全ての文献は、本出願において参考として引用され、各文献が単独で参考として引用されているようである。その他、理解すべきものとして、本発明の上記内容を読んだ後、当業者は本発明に対して様々な変更又は修正を行うことができ、これらの等価形式は本願の添付の特許請求の範囲に限定される範囲に属する。
【0120】
参考文献
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【0121】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【手続補正書】
【提出日】2022-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の詳細な説明]
本願は、出願日が2019年11月30日である中国特許出願2019112066163の優先権を主張する。本願は、上記中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明は生化学技術分野に属し、具体的には、ポリペプチドタグ及び体外タンパク質合成におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質は、細胞における重要な分子であり、細胞の全ての機能の実行にほぼ関与する。異なるタンパク質の配列と構造により、その異なる機能が決定される(1)。細胞内において、タンパク質は、酵素類として様々な生化学反応を触媒することができ、シグナル分子として生体の様々な活動を協調することができ、生体形態を支持し、エネルギーを貯蔵し、分子を輸送し、且つ生体を運動させることができる(2)。生物医学分野において、タンパク質抗体は、標的薬物として、癌等の疾患を治療する重要な手段である(1、2)。
【0004】
ヒトが細胞内タンパク質合成に対する了解に加えて、タンパク質合成は細胞外で行うこともできる。タンパク質体外合成系とは、一般的に、細菌、真菌、植物細胞又は動物細胞の分解体系に、mRNA又はDNAテンプレート、RNAポリメラーゼ、アミノ酸、ATPなどの組成分を添加して、外来タンパク質の迅速で高効率な翻訳を完了するシステムを意味する(3、4)。タンパク質の体外無細胞合成系は、従来の体内組換え発現系に比べ、複数の利点を有し、例えば、細胞への毒害作用を有するか又は非天然アミノ酸(例えばD-アミノ酸)を含有する特殊タンパク質を発現することができ、PCR生成物を直接的にテンプレートとして複数のタンパク質を同時に平行に合成して、ハイスループット薬物スクリーニング及びプロテオーム学の研究(3、5)を展開することができる。
【0005】
文献報告によると、融合タンパク質技術は、現在、組換えタンパク質の生産過程を最適化する通常の方法の1つであり、融合タグによって標的タンパク質の発現の促進等の目的を達成することができる。例えば、研究者は、タンパク質融合タグによるポリシーが、標的タンパク質の発現の増加及び封入体の形成の抑制に有効であることを発見した(6)。なお、タンパク質融合に広く用いられるタグは、例えば、MBP(マルトース結合性タンパク質)(7)、TrxA(チオレドキシン)(8)、NUSA(窒素利用物質A)(9)、GST(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)(10)、及びSUMO(小ユビキチン様修飾物質)(11)をさらに含むがこれらに限定されない。ここで、大部分のタンパク質融合に用いられるタグは、20~300個のアミノ酸から構成されるポリペプチド鎖であり、その欠点は、鎖長が比較的に長く、分子が比較的に大きく、且つ、多くの場合、それが、標的タンパク質の構造及び機能を干渉してタンパク質合成の効率を低下させることを防止するように、発現完了後に標的タンパク質から除去させる必要がある。したがって、導入された融合タグが標的タンパク質に対する影響及び干渉を低減するために、当技術分野はタンパク質構造及び機能に影響を与えなく又は少なく与える、標的タンパク質の生産効率を向上させるポリペプチドタグを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、タンパク質合成の従来技術に存在している問題を解決し、ポリペプチド鎖が短く、分子量が低くく、標的タンパク質の空間構造に影響しないポリペプチドタグを提供
し、切除する必要がなく、プロセスフローを簡略化させ、生産効率を向上させ、コストを低減させることができ、また、前記ポリペプチドタグを切除しない場合でも、標識された標的タンパク質は、タンパク質発現量を効果的に向上させることができる。
【0007】
本発明の第1方面は、ポリペプチドタグを提供し、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列は、
Xaa1Xaa2Xaa3PHDYNXaa4Xaa5Xaa6(配列番号37)であり、
ただし、Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立してアミノ酸であるか又は存在しなく、前記ポリペプチドタグは、標的タンパク質を標識するために用いられる。好ましくは、クルイベロミセス・ラクティス源に基づく細胞内又は体外タンパク質発現に用いられる。
【0008】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであるか又は存在しない。
【0009】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa2はSであるか又は存在しない。
【0010】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa3はEであるか又は存在しない。
【0011】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa4はYであるか又は存在しない。
【0012】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa5はE又はGであるか又は存在しない。
【0013】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa6はP又はKであるか又は存在しない。
【0014】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がPであるか又は存在しない。
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がKであるか又は存在しない。
【0015】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1が存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がP又はKであるか又は存在しない。
【0016】
好ましくは、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2Xaa3はSEであるか又は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5Xaa6はYEKである。
【0017】
好ましくは、前記Xaa1は存在しなく、Xaa4Xaa5はYE又はYGであるか又は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5Xaa6はYEP又はYGKである。
【0018】
好ましくは、前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5はYE又はYGであり、Xaa6は存在しない。
【0019】
好ましくは、前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、Xaa4は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa5Xaa6はEP又はGKである。
【0020】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6のうちの少なくとも3つは存在しないものではなく、さらに好ましくは、Xaa2Xaa3及びXaa4は存在しないものではなく、あるいは、Xaa3とXaa4Xaa5は存在しないものではない。
【0021】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はPである。
【0022】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はGであり、Xaa6はKである。
【0023】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1は存在しなく、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである。
【0024】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6は存在しない。
【0025】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである。
【0026】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない。
【0027】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3は存在しなく、Xaa4はYであり、Xaa
5はEであり、Xaa6はKである。
【0028】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4は存在しなく、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない。
【0029】
本発明の第2方面は、本発明の第1方面により提供されるいずれかのポリペプチドタグで標的タンパク質を標識して形成された融合タンパク質であるポリペプチド融合タンパク質を提供する。前記ポリペプチド融合タンパク質は、(1)本発明の第1方面により提供されるいずれか一つのポリペプチドタグと、(2)前記ポリペプチドタグに接続された標的タンパク質との、2つの構造を含む。前記ポリペプチド融合タンパク質の構造は、標的タンパク質と、標的タンパク質を標識するためのポリペプチドタグと、を含み、両者の間には融合タンパク質が形成される。
【0030】
さらに、前記ポリペプチドタグのC末端は前記標的タンパク質のN末端に接続される。
【0031】
さらに、前記標的タンパク質は、蛍光タンパク質、強化型蛍光タンパク質、ホタルルシフェラーゼのうちの1つ又はその組み合わせである。
【0032】
本発明の第3方面は、
(1)細胞抽出物と、
(2)本発明の第2方面により提供されるいずれか一つのポリペプチド融合タンパク質をコードするDNA又はmRNAと、
を含む体外無細胞タンパク質合成系を提供する。
【0033】
好ましくは、前記細胞抽出物は、酵母細胞抽出物であり、より好ましくは、クルイベロミセスラクティス細胞抽出物である。
【0034】
さらに、前記体外無細胞タンパク質合成系は、アミノ酸混合物、dNTP、RNAポリメラーゼのうちの1種又は複数をさらに含む。
【0035】
またさらに、前記体外無細胞タンパク質合成系は、DNAポリメラーゼ、エネルギー供給系、ポリエチレングリコール、水性溶媒のうちの1種又は複数をさらに含む。
【0036】
本発明の第4方面は、体外タンパク質合成における、本発明の第1方面により提供されるいずれか一つのポリペプチドタグのコード遺伝子、又は本発明の第2方面により提供されるいずれか一つのポリペプチド融合タンパク質のコード遺伝子、又は本発明の第3方面により提供されるいずれか一つの無細胞タンパク質合成系の使用を提供する。合成されたタンパク質は外因性タンパク質である。好ましくは、体外タンパク質合成における、クルイベロミセスラクティス細胞抽出物に基づく使用である。
【0037】
本発明は、細胞内タンパク質の合成における前記ポリペプチドタグの使用、特に好ましくは、クルイベロミセスラクティス細胞内タンパク質の合成における使用をさらに開示する。
【0038】
本発明は、下記の積極的な進歩効果を取得した。本発明により提供されるポリペプチドタグにより、タグ分子量が大きい場合、切除しなければ、標的タンパク質の空間構造及び機能に影響を与えやすく、切除すれば、プロセス及びコストを増加させるなどの、従来技術における問題を克服した。本発明により提供されるポリペプチドタグは、そのポリペプチド鎖が短く、アミノ酸の長さが11個未満であり、分子量が小さく、標的タンパク質の
空間構造及び生体機能に影響を与えず、切除する必要がない。ポリペプチドタグと標的タンパク質を融合タンパク質に構築することにより、前記ポリペプチドタグを切除しない場合でも、標識された標的タンパク質の発現量を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明のポリペプチドタグのDNAコード配列が標的タンパク質(eGFPを例とする)のコード配列に接続されたキャリア構造概略図を示し、ここで、eGFPは強化型緑色蛍光タンパク質のコード配列であり、標的タンパク質の代表例として、eGFPのみに限定されるものではない。図において、AUGは、開始コドンであり、AUGとポリペプチドタグのコード配列との間の「-」は、接続ペプチドのコード配列である。
【
図2】本発明の複数のN末端融合ポリペプチドタグのeGFPがそれぞれ異なる体外無細胞タンパク質合成系におけるタンパク質発現効果の比較を示し、ここで、BC(Blank control)は強化型緑色蛍光タンパク質eGFPのN末端未融合ポリペプチドタグ配列のブランク対照であり、PC(Positive control)は強化型緑色蛍光タンパク質eGFPのN末端融合野生型ポリペプチドタグ配列の陽性対照であり、NC(Negative control)はコードタンパク質のDNAテンプレートを加えない陰性対照である。ここで、
図2に使用された細胞抽出物はYY1904102であり、
図3に使用された細胞抽出物はYY1908191であり、
図4に使用された細胞抽出物はYY1904224であり、いずれもクルイベロミセス・ラクティスの遺伝子の組み換えにより得られた異なる菌株であり、RNAポリメラーゼの内因性発現の組み換えを含む。
【
図3】本発明の複数のN末端融合ポリペプチドタグのeGFPがそれぞれ異なる体外無細胞タンパク質合成系におけるタンパク質発現効果の比較を示し、ここで、BC(Blank control)は強化型緑色蛍光タンパク質eGFPのN末端未融合ポリペプチドタグ配列のブランク対照であり、PC(Positive control)は強化型緑色蛍光タンパク質eGFPのN末端融合野生型ポリペプチドタグ配列の陽性対照であり、NC(Negative control)はコードタンパク質のDNAテンプレートを加えない陰性対照である。ここで、
図2に使用された細胞抽出物はYY1904102であり、
図3に使用された細胞抽出物はYY1908191であり、
図4に使用された細胞抽出物はYY1904224であり、いずれもクルイベロミセス・ラクティスの遺伝子の組み換えにより得られた異なる菌株であり、RNAポリメラーゼの内因性発現の組み換えを含む。
【
図4】本発明の複数のN末端融合ポリペプチドタグのeGFPがそれぞれ異なる体外無細胞タンパク質合成系におけるタンパク質発現効果の比較を示し、ここで、BC(Blank control)は強化型緑色蛍光タンパク質eGFPのN末端未融合ポリペプチドタグ配列のブランク対照であり、PC(Positive control)は強化型緑色蛍光タンパク質eGFPのN末端融合野生型ポリペプチドタグ配列の陽性対照であり、NC(Negative control)はコードタンパク質のDNAテンプレートを加えない陰性対照である。ここで、
図2に使用された細胞抽出物はYY1904102であり、
図3に使用された細胞抽出物はYY1908191であり、
図4に使用された細胞抽出物はYY1904224であり、いずれもクルイベロミセス・ラクティスの遺伝子の組み換えにより得られた異なる菌株であり、RNAポリメラーゼの内因性発現の組み換えを含む。
【発明を実施するための形態】
【0040】
名詞及び用語
本発明でいう「ポリペプチドタグ」は、複数のアミノ酸がペプチド結合により構成され、タンパク質の標識に用いられるものである。
【0041】
本発明でいう「ポリペプチド融合タンパク質」は、標的タンパク質のN末端またはC末
端にポリペプチドタグが融合し発現して得られたタンパク質である。
【0042】
本発明でいう「シームレスクローニング」は、従来のPCR生成物のクローニングと異なり、唯一の差異は下記のようである。つまり、キャリア末端及びプライマー末端に15~20個の相同性塩基を有するべきであり、それにより得られたPCR生成物の両端にそれぞれ15~20個のキャリア配列と相同性の塩基が付けられ、塩基間の作用力により相補的にペアリングし、酵素接続を必要とせずに直接的に宿主菌の形質転換に用いられることができ、宿主菌に入った線形プラスミド又は環状プラスミドは宿主菌の自己酵素系により切り欠きを修復する。
【0043】
本発明でいう「NT tag」は、ポリペプチドまたはタンパク質のN末端の複数のアミノ酸またはアミノ酸残基からなる小分子ペプチドであり、小分子ペプチドのアミノ酸の数をNTの後ろの数字で示し、例えば、NT11(ウンデカペプチド)、NT8(オクタペプチド)、NT6(ヘキサペプチド)である。
【0044】
本発明でいう「eGFP」は、強化型緑色蛍光タンパク質である。
【0045】
本発明でいう「アミノ酸混合物」は、20種類の天然アミノ酸又は他の非天然アミノ酸からなる混合物である。
【0046】
本発明でいう「N末端」は、ペプチド又はタンパク質のアミノ酸鎖のアミノ末端である。
【0047】
本発明でいう「C末端」は、ペプチド又はタンパク質のアミノ酸鎖のカルボキシル末端である。
【0048】
本発明でいう「エネルギー供給系」は、加水分解又は酵素分解作用により、ATPを放出して体外タンパク質の合成にエネルギーを提供する物質の組み合わせである。
【0049】
本発明でいう「dNTP」とは、アデノシントリヌクレオチド(ATP)、チミントリヌクレオチド(TTP)、グアノシントリヌクレオチド (GTP)及びシチジントリヌクレオチド(CTP)を含む混合物を指す。
【0050】
現在、具体的な実施形態、実施例及び
図1~4を参照して本発明をさらに詳細に説明し、本発明の実施形態は、本発明の要旨がどのようにに実現されるかを具体的に説明するためのわずかな例を用いて説明したものであり、本発明を何ら限定するものではない。下記の実施例において、使用された実験試薬が説明されず、いずれも従来の市販由来のものである。
【0051】
ポリペプチドタグのスクリーニング
発明者は大量の実験設計及び実験検証により、タグとして、体外タンパク質の合成効率の向上に有利なポリペプチドをスクリーニングし、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列は、
Xaa1Xaa2Xaa3PHDYNXaa4Xaa5Xaa6(配列番号37)であり、
ただし、Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立してアミノ酸であるか又は存在しなく、前記ポリペプチドタグは、標的タンパク質を標識するために用いられるものである。
【0052】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa1はVであるか又は存在しない。
【0053】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa2はSであるか又は存在しない。
【0054】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa3はEであるか又は存在しない。
【0055】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa4はYであるか又は存在しない。
【0056】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa5はE又はGであるか又は存在しない。
【0057】
好ましくは、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列の一般式における前記Xaa6はP又はKであるか又は存在しない。
【0058】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がPであるか又は存在しない。
【0059】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がKであるか又は存在しない。
【0060】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1が存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がP又はKであるか又は存在しない。
【0061】
好ましくは、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2Xaa3はSEであるか又は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5Xaa6はYEKである。
【0062】
好ましくは、前記Xaa1は存在しなく、Xaa4Xaa5はYE又はYGであるか又は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5Xaa6はYEP又はYGKである。
【0063】
好ましくは、前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5はYE又はYGであり、Xaa6は存在しない。
【0064】
好ましくは、前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、Xaa4は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa5Xaa6はEP又はGKである。
【0065】
好ましくは、前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6のうちの少なくとも3つは存在しないものではなく、さらに好ましくは、Xaa2Xaa3及びXaa4は存在しないものではなく、あるいは、Xaa3とXaa4Xaa5は存在しないものではない。
【0066】
他の実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はPである。
【0067】
他の実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はGであり、Xaa6はKである。
【0068】
他の実施形態として、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである。
【0069】
他の実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6は存在しない。
【0070】
他の実施形態として、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである。
【0071】
他の実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない。
【0072】
他の実施形態として、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3は存在しなく、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである。
【0073】
他の実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4は存在しなく、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない。
【0074】
ポリペプチド融合タンパク質のプラスミドの構築及び配列決定同定
一対のプライマーを用いて、スクリーニングされたポリペプチドタグのコード配列を、シームレスクローニング方法により、pD2Pプラスミドの標的タンパク質N末端のコード配列位置に融合した。このように発現された融合タンパク質において、ポリペプチドタグのC末端と標的タンパク質のN末端とはペプチド結合で接続された。例えば、ポリペプチドタグをコードする遺伝子配列が、pD2P-eGFPプラスミド(eGFPをコードする遺伝子配列が導入されたpD2Pプラスミド)のeGFPのN末端遺伝子配列の位置に接続された。具体的には、一連のポリペプチド融合タンパク質をコードする遺伝子配列が含まれたプラスミドを構築し、例えば、番号がpD2P-1.07-001のプラスミドを構築した。
【0075】
前記pD2Pプラスミドの基本的な構造は、中国特許出願文献CN201910460987.8の明細書図面を参照することができる。
【0076】
採用されたクローニング技術に基づいてプライマー対を設計し、それぞれ上記一連のポ
リペプチド融合タンパク質を含むプラスミドをテンプレートとしてPCR増幅を行い、且つ増幅生成物5μLを取って1%アガロース電気泳動同定を行い、DpnI 5μLを増幅生成物10μLに加え、37℃で6hインキュベートし、DpnI処理後の生成物を含む遠心チューブにDH5αコンピテント細胞50μLを加え、軽く均一に混合し、氷上で30min放置した後、42℃で45sヒートショックし、直ちに、氷上に3min放置し、遠心チューブにLB液体培地700μLを加えた。遠心チューブを37℃のクレードルに放置して1h振動培養した後、培養液200μLを取って100mmol/Lのアンピシリンを含む固体LB培地に塗布し、37℃で14~16h培養した。その後、白色のコロニーを選択して配列決定を行い、遺伝子配列決定が正しいことを確認した後、プラスミドを抽出して-20℃に保存した。
【0077】
体外無細胞タンパク質合成系
1つの実施形態として、体外無細胞タンパク質合成系は、細胞抽出物と、ポリペプチド融合タンパク質をコードするDNAとを含む。
【0078】
1つの実施形態として、体外無細胞タンパク質合成系は、細胞抽出物と、ポリペプチド融合タンパク質をコードするDNAと、アミノ酸混合物、dNTP及びRNAポリメラーゼのうちの1種又は複数と、を含む。
【0079】
1つの実施形態として、体外無細胞タンパク質合成系は、細胞抽出物と、ポリペプチド融合タンパク質をコードするDNAと、アミノ酸混合物、dNTP、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、エネルギー供給系、ポリエチレングリコール及び水性溶媒のうちの1種又は複数と、を含む。
【0080】
1つの実施形態として、体外無細胞タンパク質合成反応系は、下記のとおりである。最終濃度が9.78mMでpHが8.0であるトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris-HCl)、酢酸カリウム80mM、マグネシウムイオン5.6mM、ヌクレオシド三リン酸混合物1.5mM(dNTP、アデニンヌクレオシド三リン酸と、グアニンヌクレオシド三リン酸と、シトシンヌクレオシド三リン酸と、ウラシルヌクレオシド三リン酸と、を含み、各ヌクレオシド三リン酸の濃度はいずれも1.5mMである)、アミノ酸混合物(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、セリン、チロシン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジンの濃度は、それぞれ0.7mMである)0.7mM、ジチオスレイトール1.7mM、ポリエチレングリコール、エネルギー供給系、リン酸三カリウム24mM、50体積%細胞抽出物、0.33μg/μLのDNAテンプレートである。
【0081】
1つの実施形態として、前記マグネシウムイオン由来のマグネシウム塩は、グルタミン酸マグネシウム、酢酸マグネシウムのいずれかの1つ又はそれらの組み合わせから選択される。
【0082】
1つの実施形態として、アミノ酸混合物は、20種類の天然アミノ酸と、他の非天然アミノ酸とを含む。
【0083】
1つの実施形態として、ポリエチレングリコールの分子量は、200~12000Daであり、好ましくは、400、600、800、2000、4000、8000Daである。重量平均分子量で計算する。
【0084】
1つの実施形態として、前記エネルギー供給体系は、グルコース、マルトース、トレハロース、マルトデキストリン、でんぷんデキストリン、クレアチンリン酸及びリン酸キナ
ーゼのいずれかの1つ又はそれらの組み合わせから選択され、好ましくは、マルトデキストリン320mM、6%トレハロースである。
【0085】
1つの実施形態として、前記細胞抽出物は、真核細胞、酵母細胞、クルイベロミセス細胞から選択され、好ましくは、クルイベロミセス・ラクティス細胞である。より好ましくは、ゲノムにT7 RNAポリメラーゼが組み込まれたクルイベロミセス・ラクティス細胞であり、又はプラスミドにT7RNAポリメラーゼが導入されたクルイベロミセス・ラクティス細胞である。
【0086】
別の実施形態として、前記細胞抽出物は、人工的に育種された高収量タンパク質のクルイベロミセス・ラクティス細胞から選択される。具体的には、ゲノムにDNAポリメラーゼが組み込まれて発見されたクルイベロミセス・ラクティス細胞であり、より好ましくは、ゲノムにphi29ポリメラーゼが組み込まれて発現されたクルイベロミセス・ラクティス細胞である。
【0087】
1つの実施形態として、前記DNAテンプレートは、ポリペプチド融合タンパク質をコードするDNAであり、ポリペプチド融合蛍光タンパク質、ポリペプチド融合ホタルルシフェラーゼを含み、好ましくは、ポリペプチド融合強化型蛍光タンパク質(eGFP)をコードするDNAである。
【0088】
実施例1 ポリペプチドタグ配列の同定
1.1 ポリペプチドタグのアミノ酸配列の由来及び同定は、既に開示された文献で報告され、研究者は実験により、ドナリエラ炭酸脱水酵素(dca)N末端ハーフドメイン内の最初の11個のアミノ酸残基(NT11のアミノ酸配列は配列番号18を参照し、そのDNA配列は配列番号9を参照する)が外来タンパク質のN末端に接続されて融合発現を行うことは、BL21(DE3)E.coli細胞においてYFP(黄色蛍光タンパク質)等のタンパク質翻訳レベルを向上させる(Thi Khoa My Nguyen,et al.The NT11, a novel fusion tag for enhancing protein expression in Escherichia coli. 2019;103(5): 2205-2216.)。本実施例は、NT11のアミノ酸配列に対して部分サイトの削除又はランダムな点突然変異を行うことにより、さらに実験によって外来タンパク質発現に顕著な向上効果を有するアミノ酸配列をスクリーニングした。
【0089】
具体的には、NT11(PC)のアミノ酸配列に対して段階的な削除又はランダムな点突然変異を行って、一連の異なるアミノ酸配列を取得し、且つコドン最適化によって対応するヌクレオチド配列を取得し、アミノ酸及びヌクレオチド配列に対して番号付けを行い、取得された部分配列は表1及び配列表の配列番号1~18を参照する。
【0090】
【0091】
好ましい実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はPであり、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号1であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号10である。
【0092】
他の好ましい実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はGであり、Xaa6はKであり、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号2であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号11である。
【0093】
他の好ましい実施形態として、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKであり、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号3であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号12である。
【0094】
他の好ましい実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6は存在しなく、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号4であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号13である。
【0095】
他の好ましい実施形態として、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKであり、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号5であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号14である。
【0096】
他の好ましい実施形態として、記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しなく、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号6であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号15である。
【0097】
他の好ましい実施形態として、前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3は存在しなく、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKであり、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号7であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号16である。
【0098】
他の好ましい実施形態として、前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4は存在しなく、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しなく、ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号8であり、アミノ酸配列は、例えば、配列番号17である。
【0099】
以上の8種類の新たに得られたポリペプチドタグは本発明により提供される一部の好ましい例に過ぎず、本発明の実施形態は上記好ましい例を含むがこれらに限定されない。
【0100】
実施例2 N末端融合ポリペプチドタグのeGFPのプラスミド構築
プラスミドの構築は、一対のプライマーを用い、シームレスクローニング方法を利用してポリペプチドタグのコード遺伝子をpD2P-eGFPプラスミドにおけるeGFPのN末端コード配列位置に接続され、その遺伝子構造は
図1を参照する。ただし、9つのプラスミドの名称は、それぞれ、pD2P-1.07-(001~008)及びPCである(表1参照)。前記9つのプラスミドの増幅プライマー配列は順に、配列番号19~36である。
【0101】
具体的な構築プロセスは、下記のとおりである。
【0102】
クローニング技術に基づいて一対のプライマーを設計し(表2を参照し、ただし、尾部がPFであるのはフォワードプライマーに対応し、尾部がPRであるのはリバースプライマーに対応し、それぞれ上記9つのプラスミドpD2P-1.07-(001~008)とPCをテンプレートとしてPCR増幅を行い、増幅生成物5μLを取って1%アガロース電気泳動同定を行い、DpnI5μLを増幅生成物10μLに加え、37℃で6hインキュベートし、DpnI処理後の生成物を含む遠心チューブにDH5αコンピテント細胞50μLを加え、軽く均一に混合し、氷上で30min放置した後、42℃で45sヒートショックし、直ちに、氷上に3min放置し、遠心チューブにLB液体培地700μLを加えた。遠心チューブを37℃のクレードルに放置して1h振動培養した後、培養液200μLを取って100mmol/Lのアンピシリンを含む固体LB培地に塗布し、37℃で14~16h培養した。その後、白色のコロニーを選択して配列決定同定を行い、遺伝子配列決定が正しいことが確認された後、相応するコロニーのプラスミドを抽出して-20℃に保存した。
【0103】
【0104】
実施例3~5 体外タンパク質合成における、ポリペプチドタグのコード遺伝子、N末端融合ポリペプチドタグのeGFPのコード遺伝子、及び系のDNAテンプレートに上記コード遺伝子が含まれる体外無細胞タンパク質合成体系の応用
S1:DNA増幅は、構築されたプラスミドをDNAテンプレートとして増幅し、増幅体系は、下記のとおりである。最終濃度1~5mMのランダムプライマー(NNNNNNN(配列番号38)、7つの塩基からランダムに構成されることを示す)、上記プラスミドテンプレート1.14ng/μL、dNTP0.5~1mM、BSA0.1mg/mL、phi29DNAポリメラーゼ0.05~0.1mg/mL、1×phi29反応緩衝液(成分がTris-HCl 200mM、MgCl2 20mM、(NH4)2SO4 10mM、KCl 10mMであり、pHが7.5である)。上記反応系を均一に混合した後、30℃の環境に放置されて3h反応させた。反応終了後、紫外分光光度計にてDNA濃度を測定した。
【0105】
実験群(処理方式)は、DNAテンプレートを加え、前記DNAテンプレートにはポリペプチドタグ融合強化型緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列が含まれる。
【0106】
BC群(処理方式)は、BC(Blank Control)であって、すなわちブランク対照であり、DNAテンプレートを加え、前記DNAテンプレートには、ポリペプチドタグをコードするヌクレオチド配列が含まれなく、強化型緑色蛍光タンパク質eGFPをコードするヌクレオチド配列が含まれる。
【0107】
PC群(処理方式)は、PC(Positive Pontrol)であって、すなわち陽性対照であり、DNAテンプレートを加え、前記DNAテンプレートには野生型のポリペプチドタグをコードし強化型緑色蛍光タンパク質eGFPを融合するヌクレオチド配列が含まれる。
【0108】
NC群(処理方式)は、NC(Negative Control)であって、すなわち陰性対照であり、外来DNAテンプレートが添加されない。
【0109】
S2:体外タンパク質合成系においてN末端融合ポリペプチドタグを発現するeGFP
上記S1で増幅されたDNA断片を体外蛋白質合成系に添加した。体外無細胞タンパク質合成反応系は、下記のとおりである。最終濃度が9.78mMでpHが8.0のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris-HCl)、酢酸カリウム80mM、マグネシウムイオン5.6mM、ヌクレオシド三リン酸混合物1.5mM(アデニンヌクレオシド三リン酸と、グアニンヌクレオシド三リン酸と、シトシンヌクレオシド三リン酸と、ウラシルヌクレオシド三リン酸と、を含み、各ヌクレオシド三リン酸の濃度はいずれも1.5mMである)、アミノ酸混合物(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、セリン、 チロシン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジンの濃度は、それぞれ0.7mMである)0.7mM、ジチオスレイトール1.7mM、2%(w/v)のポリエチレングリコール8000、マルトデキストリン320mM、6%トレハロース、リン酸三カリウム24mM、50体積%酵母細胞抽出物、0.33μg/μLのDNAテンプレートである(上記DNA増幅により得られたものである)。
【0110】
3種類の異なる酵母細胞抽出物由来のものを採用し、それぞれ異なる体外タンパク質合成系を構築し、構築されたポリペプチド融合タンパク質が異なる系における効果を検証した。ここで、実施例3で使用された細胞抽出物はYY1904102であり、実施例4で使用された細胞抽出物はYY1908191であり、実施例5で使用された細胞抽出物はYY1904224であり、いずれもクルイベロミセス・ラクティスATCC8585及びその遺伝子組み換えの異なる菌株であり、RNAポリメラーゼの内因性発現の組み換えを含み、中国特許出願文献CN201710768550.1の調製方法を参照する。
【0111】
上記反応系を30℃の環境条件に放置し、約20h静置インキュベートした。反応終了後、直ちにEnvision2120多機能マイクロプレートリーダー(Perkin Elmer)に置いて、数値を読み取って、eGFPの蛍光信号の強さを検出し、相対蛍光単位値(Relative Fluorescence Unit、RFU)を採用して活性単位とした。
【0112】
実験結果は、下記のとおりである。
【0113】
蛍光光度法の測定結果から分かるように、体外タンパク質合成系において、野生型ポリペプチドタグはタンパク質の発現を強化しなく、逆にタンパク質発現量の減少を引き起こし、
図2~4を参照し、PC群のRFU値はいずれもBC群より低いものであり、特に
図4において抑制効果が非常に顕著である。これは野生型ポリペプチドタグの大腸菌細胞内における促進効果と逆である。
【0114】
発明者がスクリーニングしたポリペプチドタグを使用すれば、いずれもeGFPの体外発現に促進効果を有した。蛍光光度法の測定結果から分かるように、体外タンパク質合成系に発現された複数のN末端融合ポリペプチドタグのeGFPは、そのRFU値がいずれも向上され、本発明のポリペプチドタグによりeGFPの発現量が向上されたことが説明され、
図2~4に示すことを参照する。
【0115】
実施例3について、その結果は
図2を参照し、異なる実験群はいずれも空白対照群を超え、特にpD2P-1.07-003(20時間反応した後にRFU値が7361に達した)は、ポリペプチドタグ関連配列が導入されなかった空白対照(RFU値が5189である)に比べ、RFUが41.86%向上された。
【0116】
実施例4から分かるように、異なる実験群はいずれも空白対照群を超え、
図3を参照すれば、ここで、pD2P-1.07-003、pD2P-1.07-004、pD2P-1.07-006及びpD2P-1.07-008を含む4つの実験群の効果が顕著であり、特にpD2P-1.07-008は20時間反応した後にRFU値が5532に達し、ポリペプチドタグ関連配列が導入されなかった空白対照(RFU値が3334である)に比べ、RFUが65.93%向上された。
【0117】
実施例5において、異なる実験群はいずれも空白対照群を超え、
図4を参照すれば、20時間反応した後、実験群pD2P-1.07-002で測定されたRFU値は3580であり、ポリペプチドタグ関連配列が導入されなかった空白対照(RFU値が2654である)に比べ、実験群のRFUが34.89%向上された。
【0118】
上記実施例の実験結果により、本発明のポリペプチドタグ、特に標的タンパク質N末端に融合されたポリペプチドタグ配列を導入することにより、体外無細胞タンパク質合成系を用いて構築されたポリペプチド融合タンパク質を合成し、標的タンパク質の翻訳効率と生産量を向上させることができ、体外タンパク質合成系の利用可能性を大幅に向上させた。
【0119】
本発明に言及された全ての文献は、本出願において参考として引用され、各文献が単独で参考として引用されているようである。その他、理解すべきものとして、本発明の上記内容を読んだ後、当業者は本発明に対して様々な変更又は修正を行うことができ、これらの等価形式は本願の添付の特許請求の範囲に限定される範囲に属する。
本発明は以下の態様を含む。
<1>
ポリペプチドタグであって、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列は、Xaa1Xaa2Xaa3PHDYNXaa4Xaa5Xaa6であり、
ただし、Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立してアミノ酸であるか又は存在しなく、前記ポリペプチドタグは、標的タンパク質を標識するために用いられることを特徴とするポリペプチドタグ。
<2>
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がP又はKであるか又は存在しない、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<3>
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がPであるか又は存在しない、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<4>
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がKであるか又は存在しない、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<5>
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1が存在しなく、
前記Xaa2がSであるか又は存在しなく、
前記Xaa3がEであるか又は存在しなく、
前記Xaa4がYであるか又は存在しなく、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在しなく、
前記Xaa6がP又はKであるか又は存在しない、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<6>
前記Xaa1は存在しなく、Xaa2Xaa3はSEであるか又は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5Xaa6はYEKである、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<7>
前記Xaa1は存在しなく、Xaa4Xaa5はYE又はYGであるか又は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5Xaa6はYEP又はYGKである、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<8>
前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、さらに好ましくは、Xaa4Xaa5はYE又はYGであり、Xaa6は存在しない、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<9>
前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、Xaa4は存在しなく、さらに好ましくは、Xaa5Xaa6はEP又はGKである、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<10>
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6のうちの少なくとも3つは存在しないものではなく、さらに好ましくは、Xaa2Xaa3及びXaa4は存在しないものではなく、あるいは、Xaa3とXaa4Xaa5は存在しないものではない、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<11>
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はPである、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<12>
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はGであり、Xaa6はKである、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<13>
前記Xaa1は存在しなく、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<14>
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6は存在しない、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<15>
前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<16>
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<17>
前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3は存在しなく、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<18>
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4は存在しなく、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない、ことを特徴とする<1>に記載のポリペプチドタグ。
<19>
(1)<1>~<18>のいずれか一項に記載のポリペプチドタグと、(2)前記ポリペプチドタグに接続された標的タンパク質との、2つの構造を含む、ことを特徴とするポリペプチド融合タンパク質。
<20>
前記ポリペプチドタグのC末端は前記標的タンパク質のN末端に接続される、ことを特徴とする<19>に記載のポリペプチド融合タンパク質。
<21>
前記標的タンパク質は、蛍光タンパク質、強化型蛍光タンパク質、ホタルルシフェラーゼのうちの1つ又はその組み合わせである、ことを特徴とする<19>又は<20>に記載のポリペプチド融合タンパク質。
<22>
(1)細胞抽出物と、
(2)<19>又は<20>又は<21>に記載のポリペプチド融合タンパク質をコードするDNA又はmRNAとを含む、ことを特徴とする体外無細胞タンパク質合成系。
<23>
前記細胞抽出物は、酵母細胞抽出物であり、好ましくは、クルイベロミセスラクティス細胞抽出物である、ことを特徴とする<22>に記載の体外無細胞タンパク質合成系。
<24>
アミノ酸混合物、dNTP、RNAポリメラーゼのうちの1種又は複数をさらに含む、ことを特徴とする<22>又は<23>に記載の体外無細胞タンパク質合成系。
<25>
DNAポリメラーゼ、エネルギー供給系、ポリエチレングリコール、水性溶媒のうちの1種又は複数をさらに含む、ことを特徴とする<22>又は<23>又は<24>に記載の体外無細胞タンパク質合成系。
<26>
体外タンパク質合成における、<1>~<18>のいずれか一項に記載のポリペプチドタグのコード遺伝子、又は<19>~<21>のいずれか一項に記載のポリペプチド融合タンパク質のコード遺伝子、又は<22>~<25>のいずれか一項に記載の無細胞タンパク質合成系の使用。
【0120】
参考文献
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【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリペプチドタグであって、前記ポリペプチドタグのアミノ酸配列は、Xaa1Xaa2Xaa3PHDYNXaa4Xaa5Xaa6
(配列番号37)であり、
ただし、Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立してアミノ酸であるか又は存在
せず、前記ポリペプチドタグは、標的タンパク質を標識するために用いられることを特徴とするポリペプチドタグ。
【請求項2】
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在
せず、
前記Xaa2がSであるか又は存在
せず、
前記Xaa3がEであるか又は存在
せず、
前記Xaa4がYであるか又は存在
せず、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在し
せず、
前記Xaa6がP又はKであるか又は存在しない
か;又は、
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在
せず、
前記Xaa2がSであるか又は存在
せず、
前記Xaa3がEであるか又は存在
せず、
前記Xaa4がYであるか又は存在
せず、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在
せず、
前記Xaa6がPであるか又は存在しない
か;又は、
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1がVであるか又は存在
せず、
前記Xaa2がSであるか又は存在
せず、
前記Xaa3がEであるか又は存在
せず、
前記Xaa4がYであるか又は存在
せず、
前記Xaa5がGであるか又は存在
せず、
前記Xaa6がKであるか又は存在しない
か;又は、
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6は、それぞれ独立して、
前記Xaa1が存在
せず、
前記Xaa2がSであるか又は存在
せず、
前記Xaa3がEであるか又は存在
せず、
前記Xaa4がYであるか又は存在
せず、
前記Xaa5がE又はGであるか又は存在
せず、
前記Xaa6がP又はKであるか又は存在しない
か;又は、
前記Xaa1は存在
せず、Xaa2Xaa3はSEであるか又は存在しな
か;又は、
前記Xaa1は存在
せず、Xaa4Xaa5はYE又はYGであるか又は存在しな
いか;又は、
前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであ
るか;又は、
前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、Xaa4は存在しな
いか;又は、
前記Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6のうちの少なくとも3つは存在しないものではな
いか;又は、
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はPである
か;又は、
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はGであり、Xaa6はKである
か;又は、
前記Xaa1は存在しなく、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである
か;又は、
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6は存在しない
か;又は、
前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである
か;又は、
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4はYであり、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない
か;又は、
前記Xaa1は存在しなく、Xaa2は存在しなく、Xaa3は存在しなく、Xaa4はYであり、Xaa5はEであり、Xaa6はKである
か;又は、
前記Xaa1はVであり、Xaa2はSであり、Xaa3はEであり、Xaa4は存在しなく、Xaa5は存在しなく、Xaa6は存在しない、
ことを特徴とする請求項1に記載のポリペプチドタグ。
【請求項3】
前記Xaa1は存在せず、前記Xaa2Xaa3はSEであるか又は存在せず、Xaa4Xaa5Xaa6はYEKであるか;又は、
前記Xaa1は存在せず、前記Xaa4Xaa5はYE若しくはYGであるか又は存在せず、Xaa4Xaa5Xaa6はYEP又はYGKであるか;又は、
前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、前記Xaa4Xaa5はYE又はYGであり、前記Xaa6は存在しないか;又は、
前記Xaa1Xaa2Xaa3はVSEであり、前記Xaa4は存在せず、前記Xaa5Xaa6はEP又はGKであるか;又は、
前記Xaa1、前記Xaa2、前記Xaa3、前記Xaa4、前記Xaa5、及び前記Xaa6のうちの少なくとも3つは存在しないか、前記Xaa2Xaa3及び前記Xaa4は存在しないか、又は、前記Xaa3及び前記Xaa4Xaa5は存在しない、
ことを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチドタグ。
【請求項4】
(1)請求項1~
請求項3のいずれか一項に記載のポリペプチドタグと、(2)前記ポリペプチドタグに接続された標的タンパク質との、2つの構造を含む、ことを特徴とするポリペプチド融合タンパク質。
【請求項5】
前記ポリペプチドタグのC末端は前記標的タンパク質のN末端に接続される、ことを特徴とする請求項
4に記載のポリペプチド融合タンパク質。
【請求項6】
前記標的タンパク質は、蛍光タンパク質、強化型蛍光タンパク質、ホタルルシフェラーゼのうちの1つ又はその組み合わせである、ことを特徴とする請求項
4又は
請求項5に記載のポリペプチド融合タンパク質。
【請求項7】
(1)細胞抽出物と、
(2)請求項
4~請求項6のいずれか一項に記載のポリペプチド融合タンパク質をコードするDNA又はmRNAとを含む、ことを特徴とする体外無細胞タンパク質合成系。
【請求項8】
前記細胞抽出物は、酵母細胞抽出物であり、好ましくは、クルイベロミセスラクティス細胞抽出物である、ことを特徴とする請求項
7に記載の体外無細胞タンパク質合成系。
【請求項9】
アミノ酸混合物、dNTP、RNAポリメラーゼのうちの1種又は複数をさらに含む、ことを特徴とする請求項
7に記載の体外無細胞タンパク質合成系。
【請求項10】
DNAポリメラーゼ、エネルギー供給系、ポリエチレングリコール、水性溶媒のうちの1種又は複数をさらに含む、ことを特徴とする請求項
7~請求項9のいずれか一項に記載の体外無細胞タンパク質合成系。
【請求項11】
体外タンパク質合成における、請求項1~
請求項3のいずれか一項に記載のポリペプチドタグのコード遺伝子、又は請求項
4~請求項6のいずれか一項に記載のポリペプチド融合タンパク質のコード遺伝子、又は請求項
7~請求項10のいずれか一項に記載の無細胞タンパク質合成系の使用。
【国際調査報告】