(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(54)【発明の名称】生物学的プロセスおよび細胞集団を精製するためのフィルター装置および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/00 20060101AFI20230302BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230302BHJP
C12M 3/06 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
C12N1/00 B
C12N5/0783
C12M3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536514
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021012639
(87)【国際公開番号】W WO2021142218
(87)【国際公開日】2021-07-15
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512190365
【氏名又は名称】ロンザ ウォーカーズヴィル,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100187540
【氏名又は名称】國枝 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】レビンソン,ヨナタン
(72)【発明者】
【氏名】サージェント,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ウス,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】シャフィギ,ファージャド
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065BC01
4B065BD18
4B065CA44
4B065CA60
(57)【要約】
バイオリアクター内の細胞培養の増殖中にバイオリアクターから流体培地を引き抜くためのフィルター装置が開示される。また、バイオリアクター内で細胞を培養するための方法も開示される。フィルター装置は、フィルター部材に取り付けられた中空管状部材を含む。フィルター部材は、バイオリアクターから比較的高い流量で流体培地を引き抜くことができる孔径および容積を有する。生物学的細胞をバイオリアクターから引き抜くことなく、かつ細胞を損傷、または害することなく。本開示のフィルター装置は、多くのプロセス改善を可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞集団を精製するための方法であって、
流体培地中の生物学的細胞集団を増殖することであって、前記生物学的細胞集団が、支持されていない状態にある生物学的細胞を含み、前記生物学的細胞集団が、バイオリアクター内に含まれ、少なくとも1×10
6細胞/mLの細胞密度を有する、増殖することと、
前記バイオリアクターから前記流体培地を取り出して濾過することであって、前記流体培地が、フィルター部材を含むフィルター装置を通して濾過され、前記フィルター部材は、前記流体培地が引き抜かれるときに前記バイオリアクターから前記生物学的細胞が引き抜かれることを阻害する孔径を有する、取り出して濾過することと、
緩衝液培地を前記生物学的細胞集団に加えることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記流体培地が、生物学的副産物を含有し、前記フィルター部材が、引き抜かれる前記流体培地と一緒に前記生物学的副産物が通過するのを可能にする孔径を有し、好ましくは、前記生物学的副産物が、タンパク質、血清、およびそれらの混合物を含み、好ましくは、前記流体培地が前記バイオリアクターから引き抜かれた後、前記生物学的細胞集団が、0.1重量%未満の量の前記生物学的副産物を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体培地の体積の約50%超が引き抜かれ、少なくとも部分的に前記緩衝培地で置換され、好ましくは、前記流体培地が、前記バイオリアクター内の前記流体培地の体積の少なくとも50%が1時間未満の期間で引き抜かれるような流量で、前記バイオリアクターから引き抜かれる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記生物学的細胞集団および流体培地が、約1L~約10Lの体積を有し、好ましくは、前記生物学的細胞集団および流体培地が、約5L~約75Lの体積を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、約2サイクル~約5サイクル繰り返される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記生物学的細胞が、T細胞またはNK細胞を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記生物学的細胞集団および緩衝培地を極低温保存のために可撓性袋容器内に分配するステップをさらに含み、好ましくは、前記生物学的細胞および緩衝培地がまた、極低温緩衝培地と組み合わされ、さらにより好ましくは、前記極低温緩衝培地がアルキルスルホキシドを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記フィルター装置の前記フィルター部材が、約1ミクロン~9ミクロン、好ましくは約1ミクロン~6ミクロンの絶対孔径を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記フィルター装置が、第1の開口部を画定する第1の端部と、第2の開口部を画定する対向する第2の端部と、を有する中空管状部材を含み、前記フィルター部材が、前記中空管状部材の前記第2の端部に位置し、前記フィルター部材が、前記第2の開口部を完全に取り囲んで密封し、前記フィルター部材が、内面および外面を画定し、好ましくは、前記フィルター部材の前記外面が、表面積を有し、前記表面積が、約2in
2より大きく、約50in
2より小さい、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記生物学的細胞集団が、第1の細胞および第2の細胞を含む少なくとも2つの異なる細胞型を含み、前記方法が、前記生物学的細胞集団を含む前記流体培地内に1つ以上のマイクロキャリアを配置することであって、前記第1の細胞は前記1つ以上のマイクロキャリアに結合するが、前記第2の細胞は結合しない、配置することと、
前記バイオリアクターから前記流体培地を取り出して濾過することであって、前記流体培地が、フィルター部材を含む第2のフィルター装置を通して濾過され、前記フィルター部材が、前記第2の細胞の通過を可能にするが、前記第2の細胞から前記第1の細胞を分離するために前記1つ以上のマイクロキャリアの通過を阻害する孔径を有し、好ましくは、前記1つ以上のマイクロキャリアの少なくとも一部分が磁性である、取り出して濾過することと、をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の細胞または前記第2の細胞のうちの少なくとも一方が、T細胞またはNK細胞、好ましくは支持されていないT細胞を含み、さらにより好ましくは、前記支持されていないT細胞が、可溶性四量体抗体複合体などの、T細胞活性化のための主シグナルおよび共シグナルを提供する抗体を前記バイオリアクターに加えることによって活性化される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フィルター装置が、バックフラッシュモードで定期的に動作するか、または連続灌流のために構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
バイオリアクターでの使用に好適なフィルター装置であって、
バイオリアクターから流体を濾過するための中空管状部材であって、前記中空管状部材が、第1の開口部を画定する第1の端部と、第2の開口部を画定する対向する第2の端部と、を有する、中空管状部材と、
前記中空管状部材の前記第2の端部に位置するフィルター部材であって、前記フィルター部材が、前記第2の開口部を完全に取り囲んで密封し、前記フィルター部材が、内面および外面を画定し、前記フィルター部材が、多孔質材料を含み、前記多孔質材料が、約1ミクロン~約9ミクロンの絶対孔径を有する、フィルター部材と、を含み、
細胞生存性を促進するために、前記バイオリアクター内で前記流体培地を補充する、フィルター装置。
【請求項14】
前記フィルター部材が、多孔質メッシュを含むか、
前記多孔質材料が、約1ミクロン~約6ミクロンの絶対孔径を有するか、
前記フィルター部材が、焼結金属繊維から形成された不織布メッシュを含み、好ましくは、前記焼結金属繊維が、ステンレス鋼を含むか、または
前記フィルター部材の遠位端部が、閉じた非多孔質端部である、請求項13に記載のフィルター装置。
【請求項15】
前記フィルター部材が、前記中空管状部材の軸方向に沿った長さを有し、前記フィルター部材の前記長さが1インチ以上かつ約12インチ以下であり、好ましくは、前記フィルター部材の前記長さが、2インチ以上かつ約8インチ以下である、請求項13または14に記載のフィルター装置。
【請求項16】
前記フィルター部材の前記外面が、表面積を有し、前記表面積が、約0.5in
2超であり、好ましくは、前記表面積が、約2in
2超であり、かつ約10in
2未満である、請求項13~15のいずれか一項に記載のフィルター装置。
【請求項17】
前記第2の開口部の断面積と前記フィルター部材の前記表面積との比が、約1:5~約1:200、例えば、約1:15~約1:100である、請求項13~16のいずれか一項に記載のフィルター装置。
【請求項18】
前記中空管状部材が、
ステンレス鋼もしくは熱可塑性ポリマーからなり、好ましくは、前記フィルター部材が、ポリマーメッシュもしくは不織布を含み、さらにより好ましくは、前記ポリマーメッシュもしくは不織布が、ポリアミドもしくはポリオレフィンを含み、または
約0.2インチ~約0.7インチの直径を有する、請求項13~17のいずれか一項に記載のフィルター装置。
【請求項19】
前記フィルター部材の前記内面が、絶対孔径を有し、前記フィルター部材の前記外面が、絶対孔径を有し、前記内面の前記絶対孔径が、前記外面の前記絶対孔径よりも大きく、前記外面の前記絶対孔径が、約1ミクロン~約9ミクロンであり、好ましくは、前記フィルター部材の前記内面の前記絶対孔径が、約5ミクロン~約20ミクロンである、請求項13~18のいずれか一項に記載のフィルター装置。
【請求項20】
前記中空管状部材が、第1のストレートセクションと、第2のストレートセクションと、前記第1のストレートセクションと前記第2のストレートセクションとの間に配置された角度付きセクションとを含み、前記角度付きセクションが、回転するインペラに接触することなく、前記第2の開口部およびフィルター部材をバイオリアクター内の位置に位置する、請求項13~19のいずれか一項に記載のフィルター装置。
【請求項21】
前記中空管状部材が、前記第2の端部に隣接して位置する角度部材を含み、前記中空管状部材が、前記角度部材に遷移するストレートセクションを含み、前記角度部材が、約50°~約90°の前記ストレートセクションに対する角度にある、請求項1に記載のフィルター装置。
【請求項22】
前記中空管状部材および前記フィルター部材が、折りたたみ式ベローズ内に移動可能に密封され、前記折りたたみ式ベローズが、前記バイオリアクターの一致する無菌接続ポートに接続するための一方の端部上の無菌接続ポートを含む、請求項1に記載のフィルター装置。
【請求項23】
前記フィルター部材が、バイオリアクターの側壁または底壁にメッシュパッチを含み、前記フィルター部材が、前記メッシュパッチを前記中空管状部材に接続する円錐をさらに含む、請求項1に記載のフィルター装置。
【請求項24】
細胞増殖を培養するための方法であって、
生物学的細胞をバイオリアクターに播種することであって、前記バイオリアクターが細胞成長のための流体培地を含有する、播種することと、
請求項13~23のいずれか一項に記載のフィルター装置を前記バイオリアクターに挿入することによって、前記バイオリアクターに含有される前記流体培地を灌流することと、
細胞増殖を促進するために、前記バイオリアクター内で前記流体培地を補充することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
バイオリアクターは、実験室または工業的規模で生物学的反応またはプロセスを行うことができる装置であり、バイオ医薬品業界内で広く使用されている。バイオリアクターは、バッチ用途で使用することができ、バイオリアクターに供給される生物学的材料は、反応時間が終了するまでバイオリアクター内に留まる。あるいは、バイオリアクターは、灌流用途で使用することができ、バイオリアクター内に含有される流体培地は、流体培地内に含有される栄養素を補給するために、およびプロセス中に産生される損傷副産生物の除去を可能にするために、定期的にまたは継続的に取り出され、バイオリアクターに再供給される。
【0002】
例えば、バイオリアクターは、生体から産生される生物学的薬物である生物学的製剤を産生するために使用される。バイオリアクターはまた、がん、感染症、および他の疾患と闘うために患者の免疫系を強化する治療の一種である免疫療法にも使用される。免疫療法プロセスは、例えば、T細胞および/または天然ナチュラルキラー(NK)細胞の産生を含み得る。T細胞療法の間、例えば、T細胞は患者の血液から取り出される。次いで、T細胞はバイオリアクターに送られ、増殖または培養される。さらに、T細胞は、受容体と呼ばれる特定のタンパク質を有するように変化され得る。T細胞上の受容体は、がん細胞等の体内の不要な細胞を認識し、標的化するように設計されている。改変T細胞は、ある細胞密度を達成するためにバイオリアクター内で培養され、次いで、がんまたは他の疾患と闘うために患者の体に供給される。T細胞療法は、典型的には、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法と称される。CAR療法にT細胞を使用することは、最近、血液疾患との闘いで大きな成功を収めたために急増している。
【0003】
同様に、NK細胞は、患者の体内への注入のためにバイオリアクターで培養および増殖され得る。NK細胞は、体内の感染細胞を探索し、破壊することができる細胞傷害性リンパ球の一種である。NK細胞は、非常に速い免疫反応を示すことができる。その結果、抗がん療法におけるNK細胞の使用は、興味と人気があって大いに伸びた。しかしながら、哺乳動物の血液中には限られた数のNK細胞しか存在せず、NK細胞は、バイオリアクター内で比較的高い細胞密度まで増殖される必要がある。
【0004】
生物学的製剤を産生するためのT細胞、NK細胞、または他の哺乳動物細胞の増殖の間、バイオリアクターの流体培地における主要な代謝産物の調節は、産生される産生物の品質に直接的な影響を及ぼし得る。例えば、細胞成長および生存期間中、栄養素レベル、乳酸濃度、溶存酸素、pH等は、慎重に制御され、監視されるべきである。
【0005】
慎重に制御された環境下で細胞を維持することに加えて、ヒト使用のための細胞の培養には、播種から患者での使用までのある程度複雑なプロセスも必要である。例えば、CAR T細胞を産生する場合、細胞は、典型的には、最初に活性化され、次いで、遺伝子編集に供される。細胞が編集されると、細胞は増殖されてある一定の細胞密度に達する。増殖は、例えば、20日を超えるなど、15日を超え得る。増殖後、細胞は、望ましくない生物学的副産物および使用不可能な細胞を除去することによって精製される。このプロセス中、細胞も洗浄し、増殖培地から取り出される必要がある。このプロセスはまた、複数のサイクルを要する場合もある。最後に、細胞は緩衝液と組み合わされ、患者に投与されるか、または凍結のために容器に入れられる。
【0006】
治療細胞を濃縮し、プロセス中に1つの溶液から別の溶液に移すことが、複数の段階で起こり得、また、かなりの量の時間と手作業を要する場合もある。しかしながら、治療細胞を洗浄および分離することが、細胞治療の全体的な有効性の重要な部分であり得、患者の副作用を予防し得る。
【0007】
理解できるように、上記のプロセスまたは方法は、かなりの量の時間を要するだけでなく、かなりの量の人間による取り扱いを必要とする場合もある。しかし、がん患者に対応するには、時間が重要である。したがって、治療用細胞および生物学的製剤を産生するための合理化プロセスの必要性が存在する。
【0008】
さらに、スケーラブルであることができない多くの過去の方法。したがって、上記プロセスの多くは、2リットル未満の容積などの小さなバイオリアクターで生じた。したがって、同じ量の時間でより多くの量の産生物を産生するためにスケーラブルである治療細胞および生物学的製剤を培養するためのプロセスおよび方法の必要性もまた存在する。
【0009】
細胞を培養するための、および/または手作業の使用を低減させるために自動化され得る生物学的製剤を製造するためのプロセスおよび方法の必要性もまた存在する。例えば、T細胞およびNK細胞などの細胞を培養および精製するための閉鎖系の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0010】
一般に、本開示は、バイオリアクター、または反応器内に含有される細胞を損傷することなく、バイオリアクターから流体培養培地を取り出すことができるフィルター装置を対象とする。より具体的には、本開示は、比較的高い流量でバイオリアクターから流体培地を取り出すように特に設計されたフィルター装置を対象とする。以下でより詳細に説明されるように、フィルター装置は、バイオリアクターに含有される細胞を除去または害することなく、流体を取り出すように特によく適合される。本開示はまた、フィルター装置を使用して、細胞の補充およびさらなる増殖のため、ならびに/または精製のための流体培地を取り出す、バイオリアクターシステムにおける細胞増殖を促進するための方法に関する。
【0011】
一態様では、例えば、本開示は、細胞集団を精製するための方法に関する。方法は、流体培地中の生物学的細胞集団を増殖させることを含む。生物学的細胞集団は、支持されていない状態にある生物学的細胞を含み、細胞が任意の隣接表面に結合されないことを意味する。バイオリアクターに含まれる生物学的細胞集団は、少なくとも1×106細胞/mLの細胞密度を有する。本開示によれば、流体培地をバイオリアクターから取り出し、濾過する。より具体的には、流体培地を、フィルター部材を含むフィルター装置を通して濾過する。フィルター部材は、流体培地が引き抜かれるときに、生物学的細胞がバイオリアクターから引き抜かれることを阻害する孔径を有する。本方法は、引き抜かれた流体培地を置き換えるための緩衝液培地を生物学的細胞集団に加えるステップをさらに含む。このプロセスを通して、生物学的細胞集団を緩衝培地で洗浄する一方で、本方法は、生物学的細胞集団とともに存在し得る生物学的副産物を除去することにもよく適している。例えば、フィルター部材は、生物学的細胞を除去または害することもなく引き抜かれる流体培地内の生物学的副産物の通過を可能にする孔径を有し得る。生物学的副産物は、例えば、タンパク質、血清、およびそれらの混合物を含み得る。例えば、流体培地がバイオリアクターから引き抜かれた後、生物学的細胞集団は、生物学的副産物(または上述の個々の副産物のうちのいずれか)を約0.1重量%未満の量で含有し得る。
【0012】
上記方法の間、流体培地の体積の約40%超、例えば、約50%超、例えば、約60%超、例えば、約70%超、例えば、約80%超を引き抜き、少なくとも部分的に緩衝培地で置き換えることができる。生物学的細胞集団および流体培地は、例えば、一実施形態では約1L~約10L、または別の実施形態では約5L~約75Lの容積をバイオリアクター内に有してもよい。流体培地は、バイオリアクター内の流体培地の体積の少なくとも50%が約1時間未満の期間で引き抜かれるような流量でバイオリアクターから引き抜かれ得る。本開示のフィルター装置は、例えば、フィルター装置の外面に形成される妨害物なしに、比較的高い流量で動作され得る。
【0013】
上述のように、上記方法は、生物学的細胞集団を洗浄し、生物学的副産物を除去することができる。この方法は、細胞を精製するために複数回繰り返され得る。例えば、この方法は、約2サイクル~約5サイクル繰り返され得る。
【0014】
上述のように生物学的細胞を精製した後、生物学的細胞集団および緩衝培地を、極低温保存のために可撓性袋容器中に配置することができる。一態様では、極低温緩衝培地は、生物学的細胞集団と組み合わせられ得る。
【0015】
すべての異なる種類の生物学的細胞は、上記の方法に従って精製され得る。例えば、生物学的細胞は、任意の好適な哺乳類細胞を含み得る。本開示の方法は、特に、T細胞およびNK細胞の増殖および精製に適切に好適である。
【0016】
いくつかの用途では、生物学的細胞集団は、第1の細胞および第2の細胞などの異なる細胞型を含有し得る。細胞型のうちの1つは、患者への投与に特に適切に好適であり得る一方で、他の細胞型は、他の用途を有し得るか、または廃棄され得る。本開示の方法は、生物学的細胞集団をさらに精製するために、第1の細胞型を第2の細胞型から分離するための効率的な様式を提供する。
【0017】
例えば、少なくとも2つの異なる細胞型を含有する生物学的細胞集団は、1つ以上のマイクロキャリアとバイオリアクター内で接触させて配置されてもよい。マイクロキャリアは、生物学的細胞集団が含有される流体培地に加えられ得る。マイクロキャリアは、第1の細胞がマイクロキャリアの表面に付着し、結合する一方で、第2の細胞が行われないように設計され得る。本開示によれば、バイオリアクター内の流体培地を除去し、第2のフィルター装置を通して濾過することができる。第2のフィルター装置は、第2の細胞の通過を可能にするが、第1の細胞を第2の細胞から分離するためのマイクロキャリアの通過を阻害する孔径を有し得る。
【0018】
次いで、第2の細胞は、第1の細胞から一旦分離されると、上記のようにさらなる精製および洗浄ステップに供され得、次いで、使用中に配置されるか、または将来の使用のために保存され得る。
【0019】
第1の細胞はまた、単離され、所望により使用され得る。例えば、一実施形態では、バイオリアクターに加えられたマイクロキャリアは、溶解可能であり得る。例えば、マイクロキャリアは、流体培地中に溶解可能であり得るか、または流体培地に加えられた溶解剤と接触するときに溶解し得る。マイクロキャリアが溶解すると、第1の細胞は、支持されていない状態でバイオリアクター内に留まる。次いで、第1の細胞を精製し、上述の方法に従って洗浄し、所望通りに使用され得る。
【0020】
上述したように、本開示の方法は、フィルター装置を使用して実施される。一実施形態では、フィルター装置は、バイオリアクターから流体を濾過するための中空管状部材を含み得る。
【0021】
中空管状部材は、バイオリアクターに挿入するのに十分な長さを有し得る。例えば、中空管状部材は、バイオリアクターの底部に向かって延在するのに十分な長さを有し得る。中空管状部材は、バイオリアクターの上部または側面のポートを通って延在し得る。中空管状部材は、第1の開口部を画定する第1の端部と、第2の開口部を画定する対向する第2の端部とを有する。第2の開口部は、バイオリアクター内の流体培地に挿入し、流体培地を引き抜くためのものである。中空管状部材の第2の開口部は、バイオリアクターから所望の容量流量を引き抜くことができるように設計された断面積を有し得る。
【0022】
本開示によれば、フィルター装置は、中空管状部材の第2の端部に位置するフィルター部材をさらに含む。フィルター部材は、第2の開口部を完全に囲んで密封することができる。フィルター部材は、内面および外面を画定する。フィルター部材は、多孔質材料を含む。本開示によれば、多孔質材料は、約1ミクロン~約9ミクロン、例えば、約1ミクロン~約6ミクロンの絶対孔径を有する。上記の孔径は、生物学的細胞を除去することなく、流体培地をバイオリアクターから引き抜くことを可能にすることが見出されている。一態様では、フィルター部材は、多孔質メッシュを含む。別の態様では、フィルター部材は、焼結金属繊維から形成された不織布メッシュを含む。例えば、焼結金属繊維は、ステンレス鋼を含み得る。あるいは、フィルター部材(および中空管状部材)は、ポリマー材料からなってもよい。例えば、フィルター部材は、ポリマーメッシュまたは不織布からなってもよい。ポリマー材料は、例えば、ポリアミドまたはポリオレフィンを含んでもよい。
【0023】
フィルター装置のフィルター部材は、比較的高い容積流体流量を可能にするのに十分な表面積を有し得る。例えば、表面積は、約0.5in2より大きくてもよい。外面の表面積は、例えば、約3in2よりも大きく、例えば、約4in2よりも大きく、例えば、約6in2よりも大きく、かつ、概して、約50in2未満であり得る。フィルター部材の長さは、様々な要因に依存する場合がある。一態様では、フィルター部材は、約2インチ~約8インチの中空管状部材の軸方向に沿った長さを有し得る。
【0024】
中空管状部材および第2の開口部は、概して、約2mmを超える、例えば、約4mmを超える、例えば、約8mmを超える、例えば、約10mmを超える、例えば、約12mmを超える、例えば、約14mmを超える、例えば、約16mmを超える、例えば、約18mmを超える、例えば、約20mmを超える直径を有してもよい。中空管状部材の直径は、概して、約50mm未満、例えば、約30mm未満、例えば、約20mm未満、例えば、約14mm未満である。
【0025】
第2の開口部の断面積とフィルター部材の表面積との比は、概して、約1:5~約1:200、例えば、約1:15~約1:100であってもよい。
【0026】
一態様では、フィルター部材の内面は、フィルター部材の外面とは異なる絶対孔径を有し得る。例えば、フィルター部材の内面は、外面の孔径よりも大きい孔径を有してもよい。外面の孔径は、例えば、約1ミクロン~約9ミクロンであってもよく、一方、フィルター部材の内面の絶対孔径は、約5ミクロン~約20ミクロンであってもよい。
【0027】
上述のように、一実施形態では、マイクロキャリアに結合され得る第2の型の細胞の通過を防止しながら、第1の型の細胞の通過を可能にする第2の型のフィルター装置を使用することができる。本出願では、フィルター装置は、上記のようにすることができるが、より大きな孔径を有してもよい。例えば、フィルター装置のフィルター部材は、約60ミクロンを超える、例えば、約70ミクロンを超える、例えば、約80ミクロンを超える、例えば、約90ミクロンを超える、かつ、概して、約150ミクロン未満、例えば、約130ミクロン未満、例えば、約120ミクロン未満、例えば、約110ミクロン未満の絶対孔径を有してもよい。
【0028】
さらに、一態様では、本開示は、概して、バイオリアクターから流体を濾過するための中空管状部材を含むフィルター装置を対象とする。中空管状部材は、バイオリアクターに挿入するのに十分な長さを有し得る。例えば、中空管状部材は、バイオリアクターの底部に向かって延在するのに十分な長さを有し得る。中空管状部材は、バイオリアクターの上部または側面のポートを通って延在し得る。中空管状部材は、第1の開口部を画定する第1の端部と、第2の開口部を画定する対向する第2の端部とを有する。第2の開口部は、バイオリアクター内の流体培地に挿入し、流体培地を引き抜くためのものである。中空管状部材の第2の開口部は、バイオリアクターから所望の容量流量を引き抜くことができるように設計された断面積を有し得る。
【0029】
フィルター装置のフィルター部材は、比較的高い容積流体流量を可能にするのに十分な表面積を有し得る。例えば、表面積は、約0.5in2より大きくてもよい。外面の表面積は、例えば、約3in2よりも大きく、例えば、約4in2よりも大きく、例えば、約6in2よりも大きく、かつ、概して、約50in2未満であり得る。フィルター部材の長さは、様々な要因に依存する場合がある。一態様では、フィルター部材は、約2インチ~約8インチの中空管状部材の軸方向に沿った長さを有し得る。
【0030】
一実施形態では、中空管状部材は、第1の端部から第2の端部までまっすぐである。代替の実施形態では、中空管状構造は、第2の端部がバイオリアクターで回転され得るインペラと干渉しないような形状を有し得る。例えば、一実施形態では、中空管状部材は、第1のストレートセクション、第2のストレートセクション、および第1のストレートセクションと第2のストレートセクションとの間に位置付けられた角度付きセクションを含み得る。角度付きセクションは、第1のストレートセクションから約25°~約45°の角度で延在してもよい。同様に、角度付きセクションは、第2のストレートセクションから約25°~約45°の角度で延在してもよい。一実施形態では、第1のストレートセクションおよび第2のストレートセクションは、バイオリアクターを通って延びる垂直軸に平行である。
【0031】
一実施形態では、中空管状部材はまた、第2の端部に位置する角度部材を含み得る。中空管状部材は、角度部材内に移行するストレート部材を含み得る。角度部材は、約50°~約90°のストレートセクションに対してある角度をなしてもよい。例えば、一実施形態では、角度部材は、中空管状部材の端部で直角をなす。この点で、フィルター装置がバイオリアクター内に延長されるとき、角度部材は、バイオリアクターの底部に向かって位置付けられ得、バイオリアクターの底部表面と概ね平行であり得る。例えば、一実施形態では、角度部材は、バイオリアクター内に含まれるインペラの下にフィルター部材を配置するように設計され得る。
【0032】
一実施形態では、中空管状部材およびフィルター部材は、バイオリアクターのポートへの滅菌閉鎖接続のために完全に密封され得る。プラスチック製フレキシブルベローズは、中空管状部材およびフィルター部材を密封することができる。滅菌接続ポートは、ベローズの一端に取り付けられ得る。バイオリアクターポートは、一致する滅菌コネクタを有し得る。バイオリアクターおよびベローズの一致する滅菌コネクタが接続されると、ベローズが崩壊し得、フィルター部材および中空管状部材がバイオリアクターポートに挿入され得る。
【0033】
一実施形態では、フィルター装置は、バイオリアクターの側壁または底壁にフィルター部材を含んでもよい。フィルター部材は、バイオリアクターの側壁または底壁上のメッシュパッチであってもよい。可撓性コーンは、バイオリアクターからの流体の出力のために、メッシュパッチを中空管状部材に接続することができる。
【0034】
本開示はまた、細胞増殖を培養するための方法に関する。この方法は、T細胞またはNK細胞などの生物学的細胞を、バイオリアクターに播種することを含む。バイオリアクターは、細胞増殖のための流体培地を含む。流体培地は、上記のようにフィルター装置をバイオリアクターに挿入することによって灌流される。フィルター装置のフィルター部材は、流体培地が引き抜かれる際に生物学的細胞がバイオリアクターから引き抜かれることを阻害する孔径を有することができる。本方法は、細胞生存性を促進するために、バイオリアクター内で流体培地を補充するステップをさらに含む。
【0035】
一実施形態では、例えば、フィルター装置は、1日当たり約0.5L超、例えば、1日当たり約1L超、例えば、1日当たり約2L超、例えば、1日当たり約5L超、例えば、1日当たり約10L超、例えば、1日当たり約15L超、例えば、1日当たり約25L超の速度で流体培地を除去するように設計され得る。
【0036】
本開示によれば、フィルター装置は、中空管状部材の第2の端部に位置するフィルター部材をさらに含む。フィルター部材は、第2の開口部を完全に囲んで密封することができる。フィルター部材は、内面および外面を画定する。フィルター部材は、多孔質材料を含む。本開示によれば、多孔質材料は、約1ミクロン~約9ミクロン、例えば、約1ミクロン~約6ミクロンの絶対孔径を有する。一態様では、フィルター部材は、多孔質メッシュを含む。別の態様では、フィルター部材は、焼結金属繊維から形成された不織布メッシュを含む。例えば、焼結金属繊維は、ステンレス鋼を含み得る。あるいは、フィルター部材(および中空管状部材)は、ポリマー材料からなってもよい。例えば、フィルター部材は、ポリマーメッシュまたは不織布からなってもよい。ポリマー材料は、例えば、ポリアミドまたはポリオレフィンを含んでもよい。
【0037】
本開示はまた、細胞を培養するための方法に関する。この方法は、生物学的細胞をバイオリアクターに播種することを含む。バイオリアクターは、攪拌タンクバイオリアクターを含む。バイオリアクターは、細胞増殖中に撹拌される細胞増殖のための流体培地を含む。生物学的細胞は、支持されていない状態でバイオリアクター内に存在する。本開示によれば、流体培地は、バイオリアクター内の流体培地と接触するフィルター装置を通してバイオリアクターから灌流される。フィルター装置は、流体培地が引き抜かれる際に生物学的細胞がバイオリアクターから引き抜かれることを阻害する孔径を有するフィルター部材を含む。バイオリアクター内の流体培地は、細胞生存性を促進するために、バイオリアクター内の流体培地がバイオリアクターから引き抜かれるときに補充される。
【0038】
バイオリアクター内に含まれる生物学的細胞は、任意の好適な哺乳動物細胞などの任意の好適な細胞を含み得る。ある特定の態様では、生物学的細胞は、T細胞またはNK細胞である。播種後の初期細胞密度は、概して、約0.5×106細胞/mL未満、例えば、約0.4×106細胞/mL未満、例えば、約0.3×106細胞/mL未満である。初期細胞密度は、概して、約0.1×104細胞/mLを超える。
【0039】
一態様では、灌流は、バイオリアクター内の生物学的細胞が所望の細胞密度に達した後に開始される。例えば、灌流は、生物学的細胞が、約1×106細胞/mL超、例えば、約1.5×106細胞/mL超、例えば、約1.7×106細胞/mL超の細胞密度に達した後に開始され得る。例えば、灌流は、バイオリアクターが生物学的細胞に播種された後、少なくとも4日間、例えば、少なくとも7日間などの期間後に開始され得る。
【0040】
生物学的細胞は、プロセス中に急速かつ劇的に増殖され得る。例えば、バイオリアクター内の生物学的細胞は、少なくとも1×107細胞/mL、例えば、少なくとも約1.2×107細胞/mLの細胞密度に達し得る。細胞は、約14日後、例えば、約13日後にバイオリアクターから採取され得る。
【0041】
プロセス中、様々なパラメータレベルは、バイオリアクターが動作する様式に起因して制御され得る。例えば、流体培地内のグルコースレベルは、4g/Lを超えて、例えば、約5g/Lを超えて維持し得る。一方、乳酸レベルは、プロセス全体の間、約1.5g/L未満、例えば、約1.3g/L未満を維持し得る。一態様では、流体培地内のプロセス中の溶解酸素は、0またはほぼ0に急激に減少する。溶存酸素の低減は、所望の表現型を増加させ得ると考えられる。例えば、このプロセスは、特に所望される表現型において比例的増加があるように操作され得る。この表現型は、例えば、Tscm細胞を含み得る。
【0042】
灌流中、流体培地は、約1ミクロン~約9ミクロン、例えば、約1ミクロン~約6ミクロンの絶対孔径を有するフィルター部材を有するフィルター装置を使用して、バイオリアクターから引き抜かれる。フィルター部材は、概して、約0.5in2、例えば、約2in2を超える、かつ、概して、約10in2未満の表面積を有し得る。灌流中、バイオリアクター内の流体培地の体積の少なくとも約30%、例えば、少なくとも約40%、例えば、少なくとも約50%、例えば、少なくとも約60%、例えば、少なくとも約70%が、24時間ごとに灌流され、置き換えられる。
【0043】
本開示の他の特徴および態様は、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本開示の完全かつ可能な開示は、添付の図面への参照を含む、本明細書の残りの部分においてより具体的に示されている。
【0045】
【
図1】本開示によるバイオリアクターシステムの一実施形態の断面図である。
【
図2】本開示に従って作製されたフィルター装置の一実施形態の側面図である。
【
図3】本開示に従って作製されたフィルター装置の別の実施形態の側面図である。
【
図4A】本開示によるフィルター装置に取り付けられたフィルター部材の一実施形態の斜視図である。
【
図4C】
図4Aに示されるフィルター部材の別の側面図である。
【
図5A】本開示によるフィルター装置の別の実施形態の側面図である。
【
図5B】
図5Aに示されるフィルター装置の部分側面図である。
【
図6】本開示によるバイオリアクターシステムの別の実施形態の斜視図である。
【
図7A】バイオリアクターとフィルター装置との間の滅菌閉鎖接続を有するバイオリアクターシステムの一実施形態の斜視図である。
【
図7B】バイオリアクターとフィルター装置との間の滅菌閉鎖接続を有するバイオリアクターシステムの一実施形態の斜視図である。
【
図7C】バイオリアクターとフィルター装置との間の滅菌閉鎖接続を有するバイオリアクターシステムの一実施形態の斜視図である。
【
図8】
図8Aは本開示によるバイオリアクターシステムの別の実施形態の斜視図である。
図8Bは
図8Aに示されるバイオリアクターシステムとともに使用され得るフィルター装置の側面図である。
【
図9】本開示によるバイオリアクターシステムの別の実施形態の側面図である。
【
図10】本開示に従って使用され得るフィルター装置の別の実施形態の側面図である。
【
図11】以下に記載される実施例で得られた結果のグラフィック表現である。
【
図12】以下に記載される実施例で得られた結果のグラフィック表現である。
【
図13】以下に記載される実施例で得られた結果のグラフィック表現である。
【
図14】以下に記載される実施例で得られた結果のグラフィック表現である。
【
図15】以下に記載される実施例で得られた結果のグラフィック表現である。
【
図16】以下に記載される実施例で得られた結果のグラフィック表現である。
【
図17】以下に記載される実施例で得られた結果のグラフィック表現である。
【
図18】異なる型の細胞を分離するための本開示による方法を示すバイオリアクターの断面図である。
【
図19-1】
図19Aおよび
図19Bは、磁気ビーズをマイクロキャリアとして使用して前後に本開示に従って得られた結果の表現である。
【
図19-2】
図19C、19Dおよび19Eは、
図19Aおよび
図19Bによる磁気ビーズをマイクロキャリアとして使用して前後に本開示に従って得られた結果の表現である。
【
図20A】磁石の存在下で磁性ビーズをマイクロキャリアとして使用して本開示に従って得られた結果の表現である。
【
図20B】磁石の存在下で磁性ビーズをマイクロキャリアとして使用して本開示に従って得られた結果の表現である。
【
図20C】磁石の存在下で磁性ビーズをマイクロキャリアとして使用して本開示に従って得られた結果の表現である。
【
図20D】
図20A~20Cの磁石の除去の24時間後に磁気ビーズをマイクロキャリアとして使用して本開示に従って得られた結果の表現である。
【
図20E】
図20A~20Cの磁石の除去の24時間後に磁気ビーズをマイクロキャリアとして使用して本開示に従って得られた結果の表現である。
【
図20F】
図20A~20Cの磁石の除去の24時間後に磁気ビーズをマイクロキャリアとして使用して本開示に従って得られた結果の表現である。
【
図21A】本開示によるスキマーフィルターを有するバイオリアクターの断面図を示す。
【
図21B】本開示によるスキマーフィルターを有するバイオリアクターの断面図を示す。
【0046】
本明細書および図面における参照符号の繰り返し使用は、本発明の同一または類似の特徴または要素を表すことが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本考察は、例示的な実施形態の説明のみであり、本開示のより広範な態様を限定するように意図されるものではないことは、当業者によって理解されるべきである。
【0048】
一般に、本開示は、バイオリアクター内で細胞および/または細胞産生物を培養および増殖するための方法およびシステムに関する。バイオリアクターは、流体培養媒質などの流体媒質中に生物学的細胞集団を含有する。生物学的細胞は、所望の量の細胞がバイオリアクターから採取可能になるまで、細胞の繁殖および増殖を促進するのに好適な条件下および好適な培養培地で培養される。
【0049】
本開示によれば、バイオリアクターは、細胞培養プロセス中に灌流モードで動作するように設計される。特に、選択された時間において、バイオリアクター内に含まれる流体培地は、連続的に、または少なくとも周期的に除去され、補充される。過去には、バイオリアクターに含まれる細胞を著しく害するまたは損傷することなく、バイオリアクターから液体培地を除去することに問題があった。したがって、過去には、バイオリアクターは、典型的には、静的条件下で、または揺動型バイオリアクターでバッチモードで動作された。これらのシステムは、細胞集団の増殖において極めて非効率的であることが見出されている。従来のシステムはまた、スケーラブルでもなく、したがって、小さなバイオリアクター容積でのみ動作する。
【0050】
本開示は、フィルター装置と組み合わせた攪拌タンクバイオリアクターを含む改善されたバイオリアクターシステムに関する。本開示によれば、フィルター装置は、生物学的細胞集団を除去することもなく、細胞を損傷することなく、および/または汚染に関連する問題なく、バイオリアクターから流体培地を迅速に除去することができる。本開示のフィルター装置と組み合わせた攪拌タンクバイオリアクターは、多くの利点および優位性を提供することができる。例えば、本開示のシステムおよびプロセスを通じて、細胞培養、特にT細胞培養およびNK細胞培養は、過去のバイオリアクターシステムと比較して、迅速かつ効率的に増殖され得る。例えば、本開示のプロセスは、過去の機器およびプロトコルでは不可能であった細胞密度、および特に生存細胞密度に到達し得る。さらに、本開示のプロセスおよびシステムは、バイオリアクター内のパラメータおよび代謝産物を慎重に制御することも可能であり、これは、細胞成長および細胞の健康および生存能をさらに促進させる。例えば、攪拌タンク反応器内で細胞を支持されていない状態(すなわち、マイクロキャリア上で支持されていない状態)に維持する能力および灌流モードで動作する能力は、pH、溶解酸素および他のパラメータを制御することに加えて、乳酸レベル、グルコースレベルを含む栄養素レベル、アンモニアレベルの制御を慎重に制御することを可能にする。特に有利なことに、上記のパラメータのすべては、細胞または細胞が維持される流体培地の手動操作を排除する閉鎖型システムにおいて慎重に制御され、監視され得る。
【0051】
本開示のプロセスおよびシステムはまた、過去に使用されたシステムと比較して、様々な他の利点および優位性を提供することが見出されている。例えば、本開示のプロセスおよびシステムは、完全にスケーラブルであり、同様の結果が、小さなバイオリアクターだけでなく、はるかに大きなバイオリアクターでも達成され得る。例えば、プロセスに組み込まれるバイオリアクターは、1リットルを超える容積、例えば、3リットルを超える容積、例えば、5リットルを超える容積、例えば、10リットルを超える容積、例えば、15リットルを超える容積、例えば、20リットルを超える容積、例えば、30リットルを超える容積、例えば、40リットルを超える容積、さらには50リットルを超える容積を有し得る。完全にスケーラブルであることによって、同種異系細胞療法プロセスは、過去のプロセスで必要とされる時間のほんの一部を取ることで、多くの患者に投与するためのはるかに大量の産生物を産生するために実行され得る。
【0052】
細胞増殖の開始はまた、本システムおよびプロセスの使用に関してはるかに単純であり、自動化されている。例えば、本システムおよびプロセスは、ロッカー型バイオリアクターなどの過去のバイオリアクターシステムで必要であった2D活性化/シードトレインを排除する。代わりに、本システムで培養された生物学的細胞集団は、直接活性化/増殖され得る。
【0053】
しかしながら、一態様では、生物学的細胞は、本開示によるシステムまたはプロセスで使用する前に、2Dシードトレイン活性化および/または増殖に依然として供されてもよい。一態様では、生物学的細胞は、2Dシードトレインフラスコ中に解凍されてもよい。生物学的細胞は、約0.1×106細胞/cm2~約1.5×106細胞/cm2のシード密度、例えば、約0.25×106細胞/cm2~約1.25×106細胞/cm2のシード密度、例えば、約0.5×106細胞/cm2~約1×106細胞/cm2のシード密度、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値で播種されてよい。
【0054】
本明細書で使用される場合、栄養培地またはマトリックスとは、生物が生き、成長する、またはそうでなければバイオマスを添加するために使用され得るものなど、生物産生物の質量を増加させ得る任意の流体、化合物、分子、または物質を指す。例えば、栄養飼料は、呼吸または任意のタイプの代謝に使用される酸素または二酸化炭素などのガスを含み得る。他の栄養培地は、炭水化物源を含み得る。炭水化物源には、複合糖および単純糖、例えば、グルコース、麦芽糖、果糖、ガラクトース、およびそれらの混合物が含まれる。栄養培地はまた、アミノ酸を含み得る。アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、システイン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸、それらの単一立体異性体、ならびにそれらのラセミ混合物を含み得る。「アミノ酸」という用語はまた、既知の非標準アミノ酸、例えば、4-ヒドロキシプロリン、ε-N,N,N-トリメチルリジン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、O-ホスホセリン、γ-カルボキシグルタミン酸、γ-N-アセチルリジン、ω-N-メチルアルギニン、N-アセチルセリン、N,N,N-トリメチルアラニン、N-ホルミルメチオニン、γ-アミノ酪酸、ヒスタミン、ドーパミン、チロキシン、シトルリン、オルニチン、β-シアノアラニン、ホモシステイン、アザシン、およびS-アデノシルメチオニンを指し得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、グルタミン酸塩、グルタミン、リジン、チロシン、またはバリンである。
【0055】
栄養培地はまた、1つ以上のビタミンを含有し得る。栄養培地中に含有され得るビタミンとしては、B12などのB群ビタミンが挙げられる。他のビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンE、リボフラビン、チアミン、ビオチン、およびそれらの混合物が挙げられる。栄養培地はまた、1つ以上の脂肪酸および1つ以上の脂質を含有し得る。例えば、栄養培地フィードは、コレステロール、ステロイド、およびそれらの混合物を含み得る。栄養培地はまた、タンパク質およびペプチドをバイオリアクターに供給してもよい。タンパク質およびペプチドには、例えば、アルブミン、トランスフェリン、フィブロネクチン、フェツイン、およびそれらの混合物が含まれる。本開示内の増殖培地はまた、増殖因子および増殖抑制物質、微量元素、無機塩、加水分解物、およびそれらの混合物を含み得る。増殖培地に含まれ得る微量元素には、微量金属が含まれる。微量金属の例としては、コバルト、ニッケルなどが挙げられる。例えば、一態様では、かつ、例えば、一態様のみでは、栄養培地/マトリックスは、Lonzaによって販売されるX-Vivo(商標)マトリックス培地であってもよい。
【0056】
それにもかかわらず、解凍された生物学的細胞は、栄養培地を有する2Dシードトレインフラスコ内での成長のために播種され、生物学的細胞がT細胞について約200万細胞/mL以上の細胞密度に達するまで、2Dシードトレインフラスコ内で維持される。例えば、一態様では、生物学的細胞は、所望の細胞密度を達成するために、約3日~約9日間、例えば、約4日~約8日間、例えば、約5日~約7日間、2Dシードトレインフラスコ内で維持され得る。
【0057】
所望の細胞密度が得られた後、2Dシードトレインに含有される生物学的細胞は、通過溶液を使用して採取され得る。選択された通過溶液にかかわらず、採取された生物学的細胞は、本明細書に記載のプロセスまたはシステムを播種するために使用され得る。
【0058】
それにもかかわらず、議論されているように、態様では、2Dシードトレイン活性化および/または増殖は使用されず、代わりに、細胞は、本システムおよび/またはプロセスを使用して活性化および/または増殖される。
【0059】
T細胞またはNK細胞集団を増殖する場合、本開示のプロセスおよびシステムはまた、所望の細胞密度に達した後に多くの下流プロセスを促進させることもできる。例えば、本開示のフィルター装置は、細胞を洗浄すること、細胞から副産物を分離すること、細胞を精製すること、および/または細胞を極低温貯蔵容器に移すことの効率を大幅に改善することができる。したがって、本開示のシステムおよびプロセスは、T細胞集団およびNK細胞集団などの細胞療法集団の増殖に特に適切に好適である。このシステムおよびプロセスを使用して、自己細胞療法の増殖を促進するだけでなく、同種異系細胞療法を促進することができる。自己細胞療法に関して、本開示のシステムおよびプロセスは、所望の生細胞密度に到達するのに必要な量の時間を劇的に低減させ得る。
【0060】
同種異系CAR T細胞またはNK細胞を産生する場合、本開示のプロセスおよびシステムは、コストを顕著に低減しながら、多くの患者に即座にOff-The-Shelf型細胞療法を提供することができる。このプロセスおよびシステムはまた、タンパク質、血清、およびT細胞受容体などの望ましくない生物学的副産生物を最終細胞培養物から除去することに、ならびに最終産生物の純度を大幅に向上させるために特に効率的であり、かつ適切に好適であり、最終産生物は、即座に、より良い患者ケアになるだけでなく、産生物をより高い細胞密度で保存する能力にもなる。ウイルス特異的T細胞およびCAR NK細胞を産生する場合も、同様の利点および優位性がまた、達成される。
【0061】
図1を参照すると、本開示に従ったバイオリアクターシステムの一実施形態が示されている。バイオリアクターシステムは、バイオリアクター10を含む。バイオリアクター10は、流体増殖培地内に懸濁された細胞培養物を受容するためのバイオリアクター容積12を含む中空の容器または容器を含む。本開示によれば、生物学的10に含有される生物学的細胞は、支持されていない状態で流体増殖培地に懸濁され得、これは、細胞がマイクロキャリアなどの任意の隣接表面に付着されていないことを意味する。支持されていない状態で細胞を処理する能力は、細胞培養物の拡大速度を増加させ、システムがスケーラブルであることを可能にすると考えられている。
図1に示されるように、バイオリアクターシステムは、インペラ16などの攪拌器に結合された回転可能なシャフト14をさらに含み得る。
【0062】
バイオリアクター10は、様々な異なる材料からなり得る。一実施形態では、例えば、バイオリアクター10は、ステンレス鋼等の金属からなり得る。金属バイオリアクターは、典型的には、再利用されるように設計される。
【0063】
あるいは、バイオリアクター10は、可撓性ポリマーフィルムからなる単回使用バイオリアクターを含み得る。このフィルムまたは形状適合材料は、液体不透過性であり得、内部親水性表面を有し得る。一実施形態では、バイオリアクター10は、所望の形状を示すための金属容器などの剛性構造に挿入されるように設計された可撓性ポリマーフィルムからなり得る。可撓性ポリマーフィルムからなるように使用され得るポリマーとしては、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどのポリオレフィンポリマーが挙げられる。あるいは、可撓性ポリマーフィルムは、ポリアミドからなってもよい。なお別の実施形態では、可撓性ポリマーフィルムは、異なるポリマー材料の複数の層から形成されてもよい。一実施形態では、可撓性ポリマーフィルムは、ガンマ線照射されてもよい。
【0064】
プロセスはスケーラブルであるため、バイオリアクター10は、任意の好適な容積を有し得る。例えば、バイオリアクター10の体積は、100mL~約10,000Lまたはそれ以上であり得る。例えば、バイオリアクター10の体積12は、約0.5L超、例えば、約1L超、例えば、約2L超、例えば、約3L超、例えば、約4L超、例えば、約5L超、例えば、約6L超、例えば、約7L超、例えば、約8L超、例えば、約10L超、例えば、約12L超、例えば、約15L超、例えば、約20L超、例えば、約25L超、例えば、約30L超、例えば、約35L超、例えば、約40L超、例えば、約45L超などであり得る。バイオリアクター10の体積は、概して、約20,000L未満、例えば、約15,000L未満、例えば、約10,000L未満、例えば、約5,000L未満、例えば、約1,000L未満、例えば、約800L未満、例えば、約600L未満、例えば、約400L未満、例えば、約200L未満、例えば、約100L未満、例えば、約50L未満、例えば、約40L未満、例えば、約30L未満、例えば、約20L未満、例えば、約10L未満であり得る。一実施形態では、例えば、バイオリアクターの体積は、約1L~約5Lであり得る。別の実施形態では、バイオリアクターの体積は、約25L~約75Lであり得る。なお別の実施形態では、バイオリアクターの体積は、約1,000L~約5,000Lであり得る。
【0065】
インペラ16に加えて、バイオリアクター10は、生物学的細胞の培養および伝播を可能にする、バッフル、分散器、ガス供給、ポートなどの様々な追加の機器を含んでもよい。加えて、バイオリアクターシステムは、圧力、発泡、pH、溶存酸素、溶存二酸化炭素などを測定および監視するための様々なプローブを含み得る。
【0066】
一実施形態では、バイオリアクター10は、複数のポートを画定する上部を含む。ポートは、流体および他の材料を追加および除去するためのバイオリアクター12への供給ラインおよびフィードラインを可能にすることができる。加えて、バイオリアクターシステムは、バイオリアクター10内の培養物の質量を測定するためのロードセルと関連付けて配置され得る。
【0067】
代替の実施形態では、複数のポートが、バイオリアクター10上の異なる位置に位置し得る。例えば、一実施形態では、ポートは、
図6~8に示されるように、バイオリアクターの側壁上に位置し得る。別の実施形態では、ポートは、
図9に示すように、バイオリアクターの底部に位置し得る。例えば、可撓性ポリマーフィルムからなるバイオリアクターは、容器の底部に位置するポートを含み得る。
【0068】
図1に示されるように、バイオリアクター10は、少なくとも1つのインペラ16に取り付けられた回転可能なシャフト14を含み得る。回転可能なシャフト14は、シャフト14およびインペラ16を回転させるためにモーターに結合され得る。インペラ16は、金属または生体適合性ポリマーなどの任意の好適な材料からなり得る。バイオリアクターシステムでの使用に好適なインペラの例としては、ハイドロフォイルインペラ、高固体性ピッチブレードインペラ、高固体性ハイドロフォイルインペラ、ラシュトンインペラ、ピッチブレードインペラ、穏やかなマリンブレードインペラなどが挙げられる。加えて、回転可能なシャフト14は、
図1に示されるように単一のインペラ16に結合され得るか、または2つ以上のインペラに結合され得る。2つ以上のインペラを含有する場合、インペラは、回転シャフト14に沿って離間され得る。一実施形態では、インペラ16は、生物学的細胞を損傷することなく、流体培地中に懸濁した状態でバイオリアクター10に含まれる生物学的細胞を維持するのに十分な量で回転される。
【0069】
1つ以上の攪拌器によって流体培地に付与されるエネルギーの量は、細胞生存能および細胞増殖に影響を及ぼし得る。一態様では、プロペラ16が、約35rpm以上、例えば、約40rpm以上、例えば、約50rpm以上、例えば、約60rpm以上、例えば、約70rpm以上で、かつ概して、約200rpm未満の速度で、例えば、約120未満の速度で、例えば、約100rpm未満の速度で回転されるとき、バイオリアクター内の最適な条件が維持されることが見出された。インペラの先端速度は、約0.07m/s超、例えば、約0.09m/s超、例えば、約0.1m/s超、例えば、約0.12m/s超、かつ概して、0.4m/s未満、例えば、約0.3m/s未満であり得る。1L攪拌タンクバイオリアクターへの電力入力に関して、これは、0.0012ワットを超え、かつ概して、0.0143ワット未満、例えば、約0.006ワット未満の電力入力に等しい。
【0070】
一実施形態において、バイオリアクターシステムはまた、1つ以上のプログラマブルデバイスまたはマイクロプロセッサを含み得るコントローラを含むこともできる。コントローラを使用して、細胞増殖を促進するためのバイオリアクター10内の最適な条件を維持することができる。コントローラは、例えば、通信および制御熱循環器、ロードセル、制御ポンプ内にあり、様々なセンサおよびプローブから情報を受信することができる。例えば、コントローラは、pH、溶存酸素張力、溶存二酸化炭素、温度、攪拌条件、アルカリ条件、流体成長培地条件、圧力、泡沫レベルなどを制御および/または監視することができる。例えば、pH読み取り値に基づいて、コントローラは、必要量の酸またはアルカリを添加することによってpHレベルを調節するように構成され得る。コントローラはまた、pHを低下させるために二酸化炭素ガス供給を使用してもよい。同様に、コントローラは、温度情報を受信し、温度を上昇または低下させるためにバイオリアクターを取り囲むウォータージャケットに供給される流体を制御することができる。
【0071】
一態様では、バイオリアクター内に含まれる様々なパラメータは、ラマン分光法を使用して監視され得る。ラマン分光法装置は、例えば、バイオリアクター内に含まれるバイオマス濃度および/または様々な他のパラメータを測定することができる。次いで、制御された限界内の様々なパラメータを維持するためにバイオリアクターからのフィード速度および引き抜き速度に対して自動調整を行うことができるこの情報は、コントローラに供給され得る。例えば、細胞培養物を監視する際のラマンスペクトロスコピーの使用は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2019/0137338号に記載されている。
【0072】
本開示によれば、バイオリアクター10はまた、
図1に示されるように、1つ以上のフィルター装置20と通信することができる。フィルター装置20は、バイオリアクター10の上部内のポートを通って延在し得る。図示されるように、フィルター装置20は、インペラ16と干渉することなく、バイオリアクター10内に延在し、バイオリアクターの底部に隣接して配置され得る。フィルター装置20は、バイオリアクター10内に含まれる生物学的細胞を取り出すことなく、バイオリアクターから連続的または周期的に液体培地を引き抜くためのものである。本開示のフィルター装置20は、例えば、細胞を除去または損傷することもなく、比較的高い流量で流体を引き抜くことができる。
【0073】
図2、4A、4Bおよび4Cを参照すると、本開示に従って使用され得るフィルター装置20の一実施形態が示される。
図2を参照すると、フィルター装置20は、中空管状部材22を含む。中空管状部材22は、第1の開口部を画定する第1の端部24と、対向する第2の開口部を画定する第2の端部26とを含み得る。中空管状部材22は、細胞培養物と生物学的に適合する任意の好適な材料からなってもよい。例えば、中空管状部材22は、ステンレス鋼などの金属からなってもよい。
【0074】
代替の実施形態では、中空管状部材は、ポリマーからなってもよい。一実施形態では、例えば、フィルター装置20は、単回使用後に廃棄されるように設計され得る。この実施形態では、中空管状部材22はポリマー材料からなってもよい。例えば、中空管状部材は、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどのポリオレフィンからなってもよい。あるいは、中空管状部材22は、ポリアミドからなってもよい。そうでなければ、中空管状部材22は、ガンマ線照射され得るプラスチック材料からなってもよい。
【0075】
中空管状部材22は、可撓性または剛性であってもよい。中空管状部材22、第1の開口部、および第2の開口部は、概して、特定の用途、およびバイオリアクター10から引き抜く必要がある流体の量のために大きさ決めされた直径を有し得る。例えば、中空管状部材22の直径は、概して、約2mm超、例えば、約4mm超、例えば、約6mm超、例えば、約8mm超、例えば、約10mm超であり得る。中空管状部材22の直径は、概して、約60mm未満、例えば、約40mm未満、例えば、約20mm未満、例えば、約15mm未満、例えば、約11mm未満、例えば、約10mm未満、例えば、約8mm未満である。
【0076】
中空管状部材22の第1の端部24は、中空管状部材22をプラスチックチューブに接続するためのチューブ接続を含んでもよい。チューブ接続は、様々な溶接可能なチューブタイプのうちのいずれかであってもよい。第1の端部24のチューブ接続部の外径は、概して、特定用途、およびバイオリアクターから引き抜く必要がある流体の量のために大きさ決めされた外径を有し得る。例えば、チューブ接続の外径は、概して、約3mm以上、例えば、約6mm以上、例えば、約13mm以上、例えば、約19mm以上、例えば、約26mmであってもよい。チューブ接続の外径は、概して、約26mm以下である。
【0077】
中空管状部材22は、単一の材料からなってもよいか、または一緒に接続された複数のものからなってもよい。中空管状部材22は、第1の端部24から第2の端部26まで直線的であってもよい。あるいは、中空管状部材22は、
図2に示されるように、角度部材28を含んでもよい。
図2に例示される実施形態では、角度部材28は、所望の方向にバイオリアクターから流体の流れを方向付けるためにバイオリアクター10から延在している。図に示されるように、角度部材28は、概して、中空管状部材22のストレートセクション30と直角になる。しかしながら、角度部材28は、中空管状部材22のストレートまたはバーティカルセクション30に対して任意の好適な角度であってもよい。
【0078】
バイオリアクター10から流体を取り出すために使用される場合、フィルター装置は、中空管状部材22の第2の端部26がバイオリアクター10の底面に隣接して存在するように十分な長さを有する必要がある。この点において、フィルター装置20のストレートセクション30は、概して、バイオリアクター10の長さ(または深さ)よりも大きい長さを有する。例えば、ストレートセクション30の長さは、バイオリアクター10の長さの約110%超、例えば、約120%超、例えば、約150%超であってもよい。一般に、ストレートセクション30は、バイオリアクター10の長さの約500%未満、例えば、300%未満、例えば、約200%未満である。
【0079】
本開示によれば、フィルター装置20は、中空管状部材22の26の第2の端部に位置付けられたフィルター部材32をさらに含む。フィルター部材32は、
図4A、4B、および4Cに詳細に示されている。本開示によれば、フィルター部材32は、フィルター部材32を通る生物学的細胞の流れを阻害しながら、フィルター装置20を通る流体培地の比較的高い流量を可能にする孔径および表面積を有する。例えば、一実施形態では、フィルター部材32は、ステンレス鋼不織布、ニット、または織布材料などの多孔質メッシュからなってもよい。一態様では、フィルター部材32は、ステンレス鋼繊維などの焼結金属繊維から形成される不織布メッシュからなってもよい。あるいは、フィルター部材32は、ポリマー材料からなってもよい。例えば、一実施形態では、フィルター部材32は、不織布材料などのポリアミドスクリーンメッシュからなってもよい。例えば、ポリマーメッシュは、金属からなるフィルター要素よりも、柔軟性があり、損傷の影響を受けにくい場合がある。ポリマー中空管状部材22およびフィルター部材32を有するフィルター装置20は、フィルター部材32を取り囲むポリマーシェル(図示せず)をさらに含んでもよい。
【0080】
フィルター部材32の孔径は、概して、バイオリアクター内に含まれる細胞のサイズに依存する。例えば、フィルター部材32の孔径は、生物学的細胞が流体培地とともに引き抜かれることを可能にすることなく流体培地の流れを可能にするのに十分である。孔径は、フィルター部材32上で均一であってもよいか、または不均一であってもよい。一態様では、フィルター部材32の平均孔径は、約12ミクロン未満、例えば、約10ミクロン未満、例えば、約9ミクロン未満、例えば、約8ミクロン未満、例えば、約7ミクロン未満、例えば、約6ミクロン未満、例えば、約5ミクロン未満、例えば、約4ミクロン未満である。フィルター部材32の平均孔径は、概して、約1ミクロン超、例えば、約2ミクロン超、例えば、約3ミクロン超、例えば、約4ミクロン超である。もちろん、孔径は、これまで、平均孔径として記載されてきたが、上述の孔径の範囲は、公称孔径または絶対孔径も参照し得ることを理解されたい。例えば、例として、かつ当該技術分野で既知であるように、5ミクロンの公称孔径は、5ミクロンを超える孔径を有する粒子の約99%を捕捉するであろう。逆に、5ミクロンの絶対孔径は、5ミクロンを超えるサイズを有するすべての、または実質的にすべての粒子がフィルターによって捕捉されるように、すべての孔が5ミクロン以下のサイズを有することを示すであろう。したがって、一態様では、本開示によるフィルター部材32の孔径は、上記範囲による絶対孔径を有する。
【0081】
フィルター部材32は、バイオリアクター内に含まれる流体培地と直接接触する外面と、対向する内面とを含む。外面のフィルター部材32の孔径は、内部表面のフィルター部材32の孔径とは異なってもよい。一態様では、例えば、内面上の孔径は、外面上の孔径よりも大きくてもよい。例えば、外面上の絶対孔径は、約1ミクロン~約9ミクロンであってもよく、一方、フィルター部材32の内面上の絶対孔径は、約4ミクロン~約20ミクロン、例えば、約6ミクロン~約15ミクロンであってもよい。例えば、内面上の絶対孔径は、外面上の絶対孔径よりも少なくとも約20%大きい、例えば、少なくとも約40%大きい、例えば、少なくとも約60%大きい、例えば少なくとも80%大きくもよい。このようにして、フィルター部材32を通過する細孔は、フィルター部材を通過するより大きな流量を可能にし得、付着物および閉塞を防止し得る漏斗状形状を有してもよい。
【0082】
示されるように、
図4A、4B、および4Cでは、フィルター部材32は、中空管状部材22の第2の端部26に取り付けられている。例えば、図示される実施形態では、フィルター部材32は、中空管状部材22の第2の端部26に位置する開口部を完全に取り囲んで密閉する。フィルター部材32は、任意の好適な方法または技術を使用して中空管状部材22に取り付けられ得る。例えば、フィルター部材32は、中空管状部材22に溶接され得るか、中空管状部材22に接着され得るか、または中空管状部材に機械的に取り付けられ得る。1つの特定の実施形態では、例えば、フィルター部材32は、中空管状部材22に樹脂溶着され得る。
【0083】
図4A、4B、および4Cに示されるように、フィルター部材32は、フィルター部材32が所望の流量を維持できることを確実にするために、表面積および密封体積を最適化するように設計された長さを有する。密封体積34の大きさは、システムの流れ要件に依存し得、第2の端部26の開口部の断面積に比例し得る。例えば、密封体積34は、特定の用途のために所望され得る、フィルター部材を通って中空管状部材22内への十分な流体流を可能にするのに十分な大きさであり得る。密封体積34は、例えば、フィルター部材32の表面積を増加させ、したがって、流体がフィルター部材に入るためのより大きい領域を提供し、中空管状部材22を通るより大きな流量を可能にする。
【0084】
例えば、一実施形態では、第2の端部26における開口部の断面積とフィルター部材32の表面積との比は、約1:5より大きく、例えば、約1:10より大きく、例えば、約1:15より大きく、例えば、約1:20より大きく、例えば、約1:25より大きく、例えば、約1:30より大きく、例えば、約1:35より大きく、例えば、約1:40より大きくあり得る。第2の端部26の開口部の断面積とフィルター部材32の表面積34との間の比は、概して、約1:1000未満、例えば、約1:500未満、例えば、1:200未満、例えば、約1:150未満、例えば、約1:100未満、例えば、約1:80未満であり得る。例えば、第2の端部26の第2の開口部が、約2mm~約20mmの直径を有する場合、フィルター部材32は、概して、約20mm超、例えば、約50mm超、例えば、約100mm超、例えば、約500mm超、かつ、概して、約1000mm未満、例えば、約500mm未満、例えば、約200mm未満の長さLを有し得る。
【0085】
フィルター部材32の外面の表面積は、概して、約0.5in2よりも大きい。例えば、フィルター部材32の表面積は、約1in2超、例えば、約1.5in2超、例えば、約2in2超、例えば、約2.5in2超、例えば、約3in2超、例えば、約3.5in2超、例えば、約4in2超、例えば、約5in2超であり得る。表面積は、概して、約100in2未満、例えば、10in2未満である。
【0086】
図4Aに示す実施形態では、フィルター部材32は、傾斜した端部38で終端する細長い形状を有する。しかしながら、フィルター部材32は、任意の好適な形状を有してもよいことを理解されたい。例えば、フィルター部材32の形状は、バイオリアクター10に便利に配置可能でありながら、表面積を最大化する形状に依存し得る。しかしながら、フィルター部材32の長さは、上記の所望よりもはるかに大きくあり得ることを理解されたい。例えば、ほぼ全体の管状部材は、フィルター部材32からなってもよい。
【0087】
例えば、フィルター部材の代替形状が
図5Aおよび5Bに示されている。
図5Aおよび5Bを参照すると、フィルター装置220は、フィルター部材232に接続された中空管状部材222を含んで示されている。この実施形態では、フィルター部材232は、非多孔質端部233を有する。閉鎖端部233は、バイオリアクターから挿入または取り出されるときに、フィルター部材232を損傷から保護し得る。
【0088】
本開示によれば、中空管状部材22の断面積、フィルター部材32の密封体積34、およびフィルター部材32の孔径はすべて、流量を最適化するように選択される。特に、本開示のフィルター装置20は、バイオリアクター10からの比較的高い流量を可能にするように設計される。一実施形態では、例えば、フィルター装置20を通る流量は、バイオリアクター10の体積に依存し得る。例えば、フィルター装置20は、1日(24時間)当たりバイオリアクターの体積の約40%超、例えば、バイオリアクターの体積の約50%超、例えば、バイオリアクターの体積の約60%超、例えば、バイオリアクターの体積の約70%超、例えば、バイオリアクターの体積の約80%超、例えば、バイオリアクターの体積の約100%超、例えば、バイオリアクターの体積の約110%超、例えば、バイオリアクターの体積の約120%超、例えば、バイオリアクターの体積の約130%超、例えば、バイオリアクターの体積の約140%超、例えば、バイオリアクターの体積の約150%超を引き抜くように設計され得る。一般に、フィルター装置20を通る流量は、概して、1日当たりバイオリアクターの体積の約500%未満、例えば、1日当たりバイオリアクターの体積の約200%未満である。
【0089】
1つの特定の例では、フィルター装置20は、1日当たり約0.5L超の流体、例えば、1日当たり約1L超の流体、例えば、1日当たり約2L超の流体、例えば、1日当たり約5L超の流体、例えば、1日当たり約10L超の流体、例えば、1日当たり約20L超の流体、例えば、1日当たり約30L超の流体、例えば、1日当たり約40L超の流体、かつ、概して、1日当たり約100L未満の流体をバイオリアクター10の外に引き抜くように設計される。例えば、フィルター装置20を通る流量は、約10mL/分超、例えば、約15mL/分超、例えば、約20mL/分超、例えば、約30mL/分超、例えば、約40mL/分超、例えば、約50mL/分超、例えば、約100mL/分超、例えば、約200mL/分超、かつ、概して、約2リットル/分未満、例えば、約1リットル/分未満であり得る。
【0090】
図2に示されるようなフィルター装置20の実施形態は、バイオリアクター10に挿入されるように意図された直線または垂直セクション30を含む。バイオリアクター10に挿入されると、直線または垂直セクション30は、バイオリアクターの垂直軸および/または回転可能なシャフト14と実質的に平行なままである。したがって、直線または垂直セクション30は、バイオリアクター10の長さまたは深さと少なくとも同じ長さである長さを有する。しかしながら、一実施形態では、直線または垂直セクション30は、バイオリアクター10内に含まれるインペラ16と干渉する場合がある。したがって、他の実施形態では、フィルター装置20の形状は、バイオリアクター内により良い適合を提供するために変更され得る。
【0091】
例えば、
図3を参照すると、フィルター装置120の別の実施形態が示されている。フィルター装置120は、第1の端部124および第2の対向する端部126を含む中空管状部材122を含む。第2の端部126に取り付けられるのは、本開示に従って作製されるフィルター部材132である。中空管状部材122は、第1の端部124に位置付けられた角度部材128をさらに含む。
【0092】
図3に例示される実施形態では、フィルター装置120は、第1のストレートセクション140と、第2のストレートセクション142と、角度セクション144とを含む。角度セクション144は、第1のストレートセクション140と第2のストレートセクション142との間に位置付けられる。
図1に示されるように、角度セクション144は、バイオリアクター10内に含まれるインペラ16とフィルター装置120が干渉するのを防ぐために、中空管状部材22に含まれ得る。特に、角度セクション144は、バイオリアクター10の壁に隣接する中空管状部材122の第2の端部126を位置付ける。一実施形態では、角度セクション144は、約10°~約80°、例えば、約25°~約45°など、第1のストレートセクション140とある角度をなしてもよい。例えば、角度セクション144と第1のストレートセクション140との間の角度は、概して、約20°超、例えば、約30°超、例えば、約40°超、かつ、概して、約60°未満、例えば、約50°未満であってもよい。同様に、角度セクション144と第2のストレートセクション142との間の角度は、約10°~約80°、例えば、約25°~約45°であってもよい。
【0093】
ストレートセクション140および142の長さおよび角度セクション144の長さはまた、バイオリアクター10の形状および様々な他の因子に応じて変化し得る。一実施形態では、例えば、角度セクション144は、第1のストレートセクション140、第2のストレートセクション142、および角度セクション144の全長の約5%超、例えば、約10%超、例えば、約15%超、例えば、約20%超、かつ、概して、約50%未満、例えば、約40%未満、例えば、約30%未満、例えば、約20%未満であり得る。
【0094】
図5Aを参照すると、本開示に従って作製されたフィルター装置220のさらに別の実施形態が示されている。フィルター装置220は、第1の端部224および第2の対向する端部226を含む中空管状部材222を含む。フィルター部材232は、中空管状部材222の第2の端部226に取り付けられる。中空管状部材222は、第1のストレートセクション250と、第2のストレートセクション242と、第1のストレートセクション240と第2のストレートセクション242との間に配置された角度セクション244とを含む。フィルター装置220は、中空管状部材222の第1の端部224に位置付けられた第1の角度部材228をさらに含む。
【0095】
図5Aに示す実施形態では、フィルター装置220は、中空管状部材222の第2の端部226に位置付けられた第2の角度部材250をさらに含む。第2の角度部材250は、バイオリアクター10の底部に隣接するフィルター部材232を位置付けるためのものである。例えば、第2の角度部材250は、概して、約40°超、例えば、約50°超、例えば、約60°超、例えば、約70°超、例えば、約80°超、かつ、概して、約120°未満、例えば、約100°未満の第1のストレートセクション240との角度をなし得る。例えば、
図5Aに示されるように、一実施形態では、第2の角度部材250は、中空管状部材222の第1のストレートセクション240と直角をなす。このようにして、フィルター装置220は、インペラとの干渉を回避するためにバイオリアクターに配置され得る。一方、第2の角度部材250は、特定の用途に応じて、フィルター部材232がバイオリアクターの中心に向かってまたはバイオリアクターの壁に向かってバイオリアクターの底部に沿って延在することを可能にする。したがって、第2の角度部材250は、フィルター部材232を所望の位置に配置するのに好適な長さを有し得る。例えば、一実施形態では、第2の角度部材250の長さは、概して、約20mm超、例えば、約30mm超、例えば、約40mm超、例えば、約50mm超、例えば、約60mm超、例えば、約70mm超、例えば、約80mm超、例えば、約90mm超、例えば、約100mm超、かつ、概して、約500mm未満、例えば、約300mm未満、例えば、約200mm未満、例えば、約180mm未満、例えば、約160mm未満、例えば、約140mm未満であり得る。しかしながら、第2の角度部材250の長さは、バイオリアクター10の大きさおよび体積に依存し得る。したがって、この長さは、上記で提供される寸法よりも大きくまたは小さくあり得る。
【0096】
図6を参照すると、本開示に従って作製されたバイオリアクターシステムのさらに別の実施形態が示されている。バイオリアクターシステムは、バイオリアクターの側壁上に位置するポート318を有するバイオリアクター310を含む。バイオリアクターシステムは、中空管状部材322およびフィルター部材332を有するフィルター装置320をさらに含む。フィルター装置320は、ポート318に挿入され得る。フィルター部材332は、
図4A、4B、および4Cにより詳細に示されるものと同様である。フィルター装置320は、バイオリアクター内で占有される空間の量を最小化し得、これは、いくつかの実施形態では、フィルター部材332が、より大きな表面積を有するより長いメッシュを含むことを可能にし得る。底側壁でバイオリアクター310へのフィルター装置320のアクセスを可能にすることにより、例えば、
図1に示されるように、バイオリアクターの上部のポートを通して挿入されるフィルター装置の実施形態と比較して、
図6に示されるように、バイオリアクター310に貫通する材料の総量が低減される。
【0097】
ここで、
図7A~7Cを参照すると、本開示に従って作製されたバイオリアクターシステムの追加の実施形態が示されている。バイオリアクターシステムは、バイオリアクターの下側壁に位置するポート418を有するバイオリアクター410を含む。
図7A~7Cの実施形態は、中空管状部材422およびフィルター部材432を有するフィルター装置420をさらに含む。
【0098】
図7A~7Cに示される実施形態では、フィルター装置420は、完全に閉じた滅菌エントリーのための折り畳み式ベローズ構造440をさらに含む。ベローズ420は、プラスチックであってもよい。中空管状構造422およびフィルター部材432は、ベローズ440内に完全に包まれている。ベローズ440は、中空管状構造422およびフィルター部材432を収容するために滅菌され得る密封された環境を形成する。フィルター装置420は、滅菌接続ポート442につながるベローズ440内の剛性トンネル446をさらに含む。滅菌接続ポート442は、バイオリアクター410と適合する任意の市販の滅菌接続ポートであってもよい。例えば、滅菌接続ポートは、Pall Biotech社製のKleenpak(商標)滅菌コネクタ、Sartorius社製のOpta(登録商標)滅菌コネクタ、GE Healthcare Life Sciences社製のReadyMate単回使用コネクタ、または他の市販の滅菌コネクタであってもよい。バイオリアクター410は、バイオリアクター壁上のポート418に適合する滅菌コネクタ444を含む。
【0099】
図7Bに示されるように、フィルター装置420およびバイオリアクター410の滅菌コネクタ442および444は、最初に互いに接続される。シールは、滅菌コネクタ442と444との間に形成される。次いで、
図7Cに示されるように、開口部は、滅菌コネクタ442と444との間に形成される。次いで、ベローズ440は折り畳まれ得、中空管状部材422はバイオリアクター410中に押し通され得、フィルター部材432をバイオリアクター410中に延在させ得る。ベローズ440は、中空管状部材422およびフィルター部材432がバイオリアクターに押し込まれるときに崩壊される。
【0100】
図8Aおよび8Bを参照すると、本開示に従って作製されたバイオリアクターシステムのさらに別の実施形態が示されている。バイオリアクターシステムは、円錐形フィルター装置520を有するバイオリアクター510を含む。フィルター装置520のフィルター部材532は、バイオリアクター510の壁511上にメッシュパッチとして形成される。メッシュパッチは、
図8Bに示されるように、バイオリアクター510の側壁511上に位置し得る。フィルター装置520は、フィルター部材532から出口中空管状部材522につながる円錐536によって形成される密封体積534を有する。いくつかの実施形態では、円錐536は、可撓性であり得る。
【0101】
図9を参照すると、本開示に従って作製されたバイオリアクターシステムの追加の実施形態が示されている。バイオリアクターシステムは、バイオリアクター610のためのフィルタードレインとして機能し得る円錐形フィルター装置620を有するバイオリアクター610を含む。フィルター装置620のフィルター部材632は、バイオリアクター610の底壁上にメッシュパッチとして形成される。フィルター装置620は、フィルター部材632から出口中空管状部材622につながる円錐636によって形成される密封体積634を有する。いくつかの実施形態では、円錐636は、可撓性であり得る。
図9に示される実施形態の設計は、最大量の液体をバイオリアクターから排出することを可能にする。
【0102】
図10を参照すると、本開示に従って作製されたフィルター装置720の別の実施形態が示されている。本実施形態では、フィルター装置720は、本開示に従って上記のように作製されたフィルター部材732に取り付けられた中空管状部材722を含む。しかしながら、この実施形態では、フィルター装置720は、フロー許可セクション742を含む内側中空チューブ740を含む。動作中、矢印によって示されるように、外側管状部材722は、モーターに取り付けられ、回転する。したがって、外側管状部材722およびフィルター部材732は、内側管状部材740が静止したままである間に回転する。外側管状部材722を回転させることにより、汚染および遮断を防止することができる。
【0103】
本開示のフィルター装置は、概して、汚染および他の遮断に耐性があるが、様々な方法および技術もまた、フロー遮断を防止または破壊するために使用され得る。例えば、一態様では、フィルター装置は、バックフラッシュモードで定期的に動作され得る。例えば、流体培地をバイオリアクターから引き抜くときに、流体培地の流れは周期的な間隔で逆戻りされ得る。例えば、一態様では、フィルター装置を通る流れは、約30分~約4時間の周期的な時間間隔で、例えば、約45分~約90分の周期的な時間間隔で逆戻りされ得る。所定の時間間隔で、フィルター装置を通る流れは、短い量の時間、例えば、約10分未満の量の時間、例えば、8分未満、例えば、5分未満、かつ、概して、約2秒超の時間、逆戻りされ得る。このようにして、順方向の流れは、約80%超、例えば、約85%超、例えば、約90%超、例えば、約95%超で生じ得、一方、逆方向の流れは、フィルター装置が動作している時間の約15%未満、例えば、約10%未満、例えば、約5%未満で生じ得る。装置を通る流体を定期的に逆戻りさせることにより、フィルター部材の外面に蓄積された任意の物質またはデブリを取り出すことができる。
【0104】
本開示の、特に、攪拌タンクバイオリアクターと組み合わせたフィルター装置は、生物学的細胞集団の生存率を改善する、および/または生物学的細胞を精製もしくは別様に採取するための多数の異なるプロセスで使用され得る。一用途では、例えば、バイオリアクターは、まず、生物学的細胞のための食物源を含有する培養培地などの流体培地で満たされ得る。生物学的細胞をバイオリアクターに添加する前に、バイオリアクターに関連付けられた様々なパラメータ監視デバイスを較正することができる。例えば、バイオリアクターは、溶存酸素、pH、温度、二酸化炭素、および/または酸素を測定するためのプローブと関連付けて配置され得る。さらに、バイオリアクターは、空気源、窒素ガス源、酸素ガス源、および/または二酸化炭素ガス源と流体連通して配置され得る。バイオリアクターは、流体培地を攪拌または混合するために使用することができるインペラを含むことができる。例えば、インペラは、約40rpm~約100rpm、例えば、約85rpm~約93rpmの速度で回転することができる。
【0105】
pH/溶存酸素および/または温度プローブが較正され、pH、溶存酸素および温度がバイオリアクター内で安定化されると、バイオリアクターに生物学的細胞を播種することができる。本開示によれば、任意の好適な生物学的細胞、例えば、哺乳動物細胞を、バイオリアクターに加えることができる。例えば、本開示のプロセスおよびシステムは、T細胞およびNK細胞を含む治療細胞を受容するために特に好適である。
【0106】
バイオリアクターを播種するための生物学的細胞の供給源は変化し得る。一態様では、生物学的細胞は、播種前に解凍および希釈する必要がある極低温バッグから得てもよい。T細胞を播種する場合、T細胞であるPBMCの割合を経験的に決定することができ、これを使用して後の収率を推定することができる。
【0107】
播種中の生物学的細胞の細胞密度は、細胞の種類、バイオリアクターの種類、および様々な他の因子に応じて変化し得る。一般に、細胞集団を増殖させるときのバイオリアクター内の初期細胞密度は、約4×106細胞/mL未満、例えば、約2×106細胞/mL未満、例えば、約1.5×106細胞/mL未満、例えば、約1×106細胞/mL未満、例えば、約0.7×106細胞/mL未満、例えば、約0.5×106細胞/mL未満、例えば、約0.3×106細胞/mL未満、かつ、概して、約1×103細胞/mL超、例えば、1×104細胞/mL超、例えば、1×105細胞/mL超である。
【0108】
播種中、バイオリアクター内の攪拌速度は低減され得る。例えば、インペラは、約79rpm未満、例えば、約65rpm未満、かつ、概して、約40rpm超の速度で回転され得る。
【0109】
播種された細胞は、グルコースなどの食物源を含有する増殖培地などの液体培地に懸濁された支持されていない状態にあるバイオリアクターに含まれる。特定の実施形態では、細胞増殖が行われるためには、播種された細胞を活性化する必要がある。例えば、T細胞活性化は、TCR複合体の活性化およびCD80もしくはCD86によるCD28の共刺激後に生じる。抗原依存性または抗原非依存性のいずれかである刺激が生じ得る。抗原依存的活性化は、例えば、抗原特異的T細胞のみを増殖させるが、抗原非依存的活性化は、生物学的細胞集団内のすべてのT細胞を増殖させる。
【0110】
一態様では、支持されていないT細胞については、活性化は、CD3およびCD28細胞表面リガンドに結合するバイオリアクター可溶性四量体抗体複合体に添加することによって開始される。抗体の添加は、CD3およびCD28細胞表面リガンドの架橋をもたらし、それにより、T細胞活性化に必要な主シグナルおよび共シグナルを提供する。例えば、1つの市販の活性化剤が、IMMUNOCULTヒトCD3/CD28 T細胞活性化剤の名称で販売されている。活性化剤は、滅菌シリンジの使用などの任意の好適な方法を使用してバイオリアクターに添加され得る。
【0111】
細胞が播種され、活性化された後、細胞増殖が、バイオリアクター内で促進される。一態様では、バイオリアクターは、所定の期間、例えば、約1日超、例えば、約2日超、例えば、約3日超、例えば、約4日超、例えば、約5日超、かつ、概して、約9日未満、バッチモードで動作する。特定の期間の後、例えば、灌流モードは、本開示のフィルター装置を使用して活性化される。灌流モードは、例えば、5日目、6日目、7日目、または8日目に開始され得る。一態様では、灌流モードは、ある特定の細胞密度に達すると活性化される。例えば、灌流モードは、細胞密度が1×106細胞/mL超、例えば、約1.5×106細胞/mL超、例えば、約1.8×106細胞/mL超、例えば、約2×106細胞/mL超であり、かつ、概して、約5×106細胞/mL未満である後に、開始され得る。
【0112】
バッチモードの間、攪拌速度は、バイオリアクター内のより高い培地体積を占めるように、増加され得る。例えば、インペラは、約80rpm超、例えば、約85rpm超、例えば、約95rpm超、かつ、概して、約105rpm未満の速度で回転され得る。
【0113】
灌流モード中、流体培地は、引き抜かれる培地を補充するために新たな培地がバイオリアクターに添加されるにつれて、バイオリアクターと一緒に取り出される。灌流モードの間、バイオリアクター内の流体体積の約30%超、例えば、バイオリアクター内の流体体積の約40%超、例えば、バイオリアクター内の流体体積の約45%超が取り出され、24時間ごとに交換される。一般に、灌流速度は、1日当たりバイオリアクター内の総培地体積の100%未満、例えば、約75%未満、例えば、約60%未満である。
【0114】
一態様では、バイオリアクターの質量または重量は、定期的または継続的に監視されて、バイオリアクターに含まれる流体培地の体積が、細胞増殖プロセス中に約10%超、例えば、約5%超変化しないことが保証され得る。
【0115】
上記のプロセスによる生物学的細胞の増殖は、産生物の品質を劇的に改善するだけでなく、完全に増殖可能な自動化された様式での流体培地中の様々なパラメータおよび代謝産物の制御も可能にすることが見出されている。例えば、著しく高い細胞密度は、本開示のプロセスに従って、短い期間内、約15日未満、例えば、約14日未満、例えば、約13日未満、例えば、約12日未満の期間内に達成され得る。約1×107細胞/mL超、例えば、約1.2×107細胞/mL超、例えば、約1.5×107細胞/mL超、例えば、約2×107細胞/mL超である細胞密度が達成され得る。加えて、細胞の生存率は、約90%超、例えば、約92%超、例えば、約95%超、例えば、約96%超であり得る。
【0116】
このプロセスの間、バイオリアクター内の流体培地内のグルコースレベルは、所望のレベルに制御され得る。例えば、グルコースレベルは、約4g/L超、例えば、約4.5g/L超、例えば、約5g/L超、かつ、概して、約8g/L未満に維持され得る。その一方で、乳酸塩レベルは、比較的低いレベルに維持され得る。プロセス中の乳酸塩レベルは、約1.5g/L未満、例えば、約1.3g/L未満、例えば、約1g/L未満であり得る。アンモニアレベルも、プロセス中に比較的低いままであり得る。アンモニアレベルは、約3mmol/L未満であり得る。
【0117】
一定期間後、またはある細胞密度に達した後、バイオリアクター内の生物学的細胞集団を採取、洗浄、精製、または様々な他のプロセスに供することができる。一態様では、生物学的細胞集団は、より少ない量に分けられ、任意に濃縮され、極低温保存のために極低温バッグに入れられ得る。例えば、極低温バッグは、まず、凍結され、次いで、長期保管のために液体窒素雰囲気に移動され得る。
【0118】
生物学的細胞集団を洗浄することに加えて、いくつかの用途では、生物学的細胞集団は、複数の細胞の種類を含み得る。例えば、生物学的細胞集団は、所望され得る第1の種類の細胞と、所望され得ない第2の種類の細胞とを含み得る。本開示によれば、異なる細胞の種類は、互いから容易かつ効率的に分離され得る。
【0119】
例えば、同種異系CAR T細胞などのCAR T細胞を産生する場合、得られる生物学的細胞集団は、TCR+細胞を含有し得る。TCR+細胞は、一用途では、CAR T細胞から分離される必要がある。例えば、TCR+細胞は、患者に悪影響を及ぼし得、移植片対宿主病につながり得る。同様に、NK細胞を産生する場合、得られる生物学的細胞集団はまた、NK細胞から分離され、取り出される必要があるCD3+ T細胞を含有し得る。CD3+ T細胞は、移植片対宿主病などの患者における望ましくない副反応をもたらす場合がある。加えて、いくつかの用途では、得られる増殖された生物学的細胞集団はまた、様々な細胞サブセットを含有し得る。例えば、T細胞集団は、CD4+細胞およびCD8+細胞を含有し得る。その一方で、NK細胞集団は、CD16+細胞を含有し得る。いくつかの用途では、所望の細胞の種類を患者に投与する前に、上で特定された異なる細胞サブセットを分離することも望ましい場合がある。
【0120】
したがって、本開示によれば、生物学的細胞集団が上述のように所望の細胞密度まで増殖された後、いくつかの実施形態では、細胞集団内に含有され得る異なる細胞の種類を分離することが望ましい場合がある。本開示による、生物学的細胞集団における異なる細胞の種類を分離するための一方法が、
図18に示されている。
図18に示すように、バイオリアクター10は、所望の細胞密度で生物学的細胞集団を含有する。生物学的細胞集団は、異なる種類の細胞を含む。
図18では、例えば、生物学的細胞集団は、第1の細胞の種類70および第2の細胞の種類72を含む。細胞集団は、バイオリアクター10内で流体培地内に含有される。
【0121】
第1の細胞70を第2の細胞72から分離するために、マイクロキャリア74がバイオリアクター10に添加される。マイクロキャリア74は、第1の細胞70にマイクロキャリアの表面に付着および結合させる材料からなる。しかしながら、第2の細胞72は、マイクロキャリア74に結合および結合しない。例えば、いくつかの態様では、
図19に示されるように、マイクロキャリアは、1つ以上の表面コーティングまたは官能化を含み得る常磁性ビーズなどの磁性ビーズであり得る。さらに、第1の細胞を第2の細胞から分離することは、当該技術分野で理解されるように、陽性選択または陰性選択を含み得ることを理解されたい。
【0122】
例えば、磁気ビーズマイクロキャリアを含むマイクロキャリア74は、抗体結合ビーズを含み得る。ビーズ上に存在する抗体は、他の細胞の種類に結合しないうちに、細胞の種類のうちの1つに結合する。マイクロキャリア74は、任意の好適な粒子の大きさ、概して、約0.5ミクロン超、例えば、約1ミクロン超、例えば、約2ミクロン超、例えば、約3ミクロン超、例えば、約4ミクロン超、例えば、例えば、約5ミクロン超、約6ミクロン超、例えば、約7ミクロン超、例えば、約8ミクロン超、例えば、約15ミクロン超、例えば、約50ミクロン超、例えば、約60ミクロン超、例えば、約70ミクロン超、例えば、約100ミクロン超、かつ、概して、約500ミクロン未満、例えば、約200ミクロン未満、例えば、約175ミクロン未満、例えば、約150ミクロン未満、例えば、約125ミクロン未満、例えば、約100ミクロン未満、例えば、約75ミクロン未満、例えば、約50ミクロン未満、例えば、約25ミクロン未満、例えば、約15ミクロン未満、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値を有し得る。
【0123】
図18に示すように、マイクロキャリア74が追加された後に第1の細胞70を第2の細胞72から分離するために、フィルター装置820をバイオリアクター10に挿入することができる。フィルター装置820は、
図2~10に関して上述したフィルター装置と同様である。示されるように、例えば、フィルター装置820は、フィルター部材832と流体連通する中空管状部材822を含む。しかしながら、この実施形態では、フィルター部材832は、フィルター部材832を通るマイクロキャリア74の流れを防止しながら、第2の細胞72を通過させることを可能にする、より大きな孔径を有する。
【0124】
例えば、フィルター装置820は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2019/0136173号に記載され、開示されているフィルター装置と同様であってもよい。例えば、フィルター部材832は、概して、約5ミクロン超、例えば、約10ミクロン超、例えば、約20ミクロン超、例えば、約60ミクロン超、例えば、約70ミクロン超、例えば、約80ミクロン超、例えば、約90ミクロン超の絶対孔径を有し得る。フィルター部材832の絶対孔径は、概して、約150ミクロン未満、例えば、約130ミクロン未満、例えば、約120ミクロン未満、例えば、約110ミクロン未満である。フィルター装置820は、第1の細胞70を第2の細胞72から迅速かつ効率的に分離することができる。
【0125】
追加的または代替的に、マイクロキャリアが磁性ビーズである態様では、ネオジム磁石を含むが、これらに限定されない磁石を利用して、バイオリアクター内の細胞をさらに分離することができる。例えば、一態様では、磁石は、例えば、中空管状部材822を通して、または、追加的もしくは代替的に、磁石834のパッチ836(例えば、
図18の836のうちの1つ以上によって示される)の形態で、磁石の磁場と干渉しない(例えば、本明細書では非反応性と呼ばれる)材料から形成されたバイオリアクターの外壁に取り付けられた、磁石をバイオリアクターチャンバに導入することによって、細胞を分離するために使用され得る。
【0126】
そのような一態様では、バイオリアクターは、剛性または可撓性の非反応性プラスチックから形成され得、磁石834は、バイオリアクター10の側壁838のうちの1つ以上の部分の外側部分に取り付けられる。特に、本開示は、磁石がパッチ836の形態で側壁838のうちの1つ以上の部分に適用されるときに、先端部/遠位端部の近くに集束される代わりに、磁石の長さに沿って延在するより均一な磁場が生成され得ることを見出した。したがって、より大きな分離が、同じ大きさの磁石を使用して得られ得る。さらに、矩形の形態で示されているが、パッチは、円形、円筒形、十字形(またはX字形)、正方形、三角形などの任意の形状または断面を有し得ることを理解されたい。
【0127】
任意のパターンが、磁石834を使用してバイオリアクターの外壁上に形成され得ることを理解されたいが、一態様では、各パッチ836は、所望の試料の大きさを分離するのに十分な大きさを有し得る。例えば、一態様では、磁石、または磁気パッチは、比較的小さい表面積(例えば、バイオリアクターの外面と接触した領域)、例えば、約0.4in2~約1.5in2、例えば、約0.5in2~約1.4in2、例えば、約0.6in2~約1.25in2、例えば、約0.7in2~約1.2in2、例えば、約0.8in2~約1.1in2を有し、例えば、一態様では、約1in2を使用して、約5×109個以上の磁気ビーズ、例えば、約5.5×109個以上の磁気ビーズ、例えば、約6×109個以上の磁気ビーズ、例えば、約7×109個以上の磁気ビーズ、例えば、約8×109個以上の磁気ビーズ、例えば、約9×109個以上の磁気ビーズ、例えば、約10×109個以上の磁気ビーズ、例えば、少なくとも約12×109個の磁気ビーズとして分離することができる。したがって、磁気パッチの大きさは、分離されるマイクロキャリアの数に基づいて増加または減少され得る。上記の大きさは、パッチの形態の磁石836に関して使用され得るか、または管状部材822中に配置され得るが、一態様では、上記の磁石大きさは、外部に取り付けられたパッチ836に関連して使用され得る。
【0128】
それにもかかわらず、
図19および20に示されるように、本開示は、パッチ836を使用するか、または上記の大きさに従ってそのような様式で磁石834を管状部材822中に配置することによって、より大きな割合の第1の細胞が、播種、例えば、標的化された第1の細胞の約80%以上、例えば、約85%以上、例えば、約87.5%以上、例えば、約90%以上、例えば、約92.5%以上、例えば、約95%以上、例えば、約97.5%以上、例えば、約99%以上、またはそれらの間の任意の範囲または値から分離され得ることが見出されている。例えば、
図19A~Cを参照すると、磁気ビーズを使用して精製した後、CD4+細胞の0.1%未満が、バイオリアクターから取り出された精製された第2の細胞集団中に残った(例えば、CD4+細胞は、1つ以上の磁石834によって所定の位置に保持されたマイクロキャリアに結合したままであった)。
【0129】
さらに、
図19C~Eに示されるように、磁気分離後に、非常に少ない割合のビーズ、例えば、約10%以下、例えば、約5%以下、例えば、約2.5%以下、例えば、約2%以下、例えば、約1.5%以下、例えば、約1%以下、またはそれらの間の任意の範囲または値が残る。これは、
図20A~Eにさらに示されている。例えば、
図20A~Cは、磁石の存在下で磁気ビーズマイクロキャリアを含む試料を示し、より大きな暗い円は、磁気ビーズを示し、小さな明るい円は、t細胞を示す)。
図20A~Cに示すように、磁気ビーズが磁石によって概ね捕捉され、非結合細胞がバイオリアクターから取り出されることを可能にするため、試料中に残存する磁気ビーズは極めて少ない。さらに、
図20D~Eは、試料中に再分散された磁気ビーズを伴う磁石の取り出しの24時間後の同じ試料を示す。したがって、バイオリアクターの側面のうちの1つ以上の部分に配設された磁石は、マイクロキャリアを播種材料から効果的に分離され得、また、磁気ビーズは、第2の細胞の分離および濾過後の洗浄または除去のために再放出され得ることも明らかである。
【0130】
さらなる態様では、マイクロキャリア74は、
図21AおよびBに従った追加のまたは代替のフィルターを利用して再循環させることができる。例えば、
図21Aに示されるように、マイクロキャリア74およびそれに結合される任意の細胞は、適切なバイオリアクターおよび本明細書で論じられる任意の他の構成要素と同列であり得る外部フィルター900の底面906上に位置する出口910を通して再循環され得、これは、マイクロキャリア74および任意の懸濁細胞を適切なバイオリアクターに再循環させる。そのような態様では、再循環された材料は、マイクロキャリア74の密度に起因してスキミングフィルター914から離れるように促され、マイクロキャリア74または任意の懸濁細胞による損傷なしに、調整された培地912がスキミングフィルター914を通って進むことを可能にするため、調整された培地912は、スキミングフィルター914を通して濾過され得、スキミングフィルター914上で生じる付着物の量を低減する。このようなスキミングフィルター914は、他の濾過方法の間に時々経験されるマイクロキャリアへの損傷をさらに防止することができる。
【0131】
さらに、
図21Bを参照すると、一態様では、スキミングフィルター914はまた、バッフル916を含み得る。一態様では、バッフル916は、入口918の近くに位置付けられ、適切なバイオリアクターからの新規の培地または再循環培地の導入を可能にし得る。それにもかかわらず、固体または微多孔質であり得るバッフル916は、マイクロキャリア908または懸濁細胞を出口910に向かって偏向させ(マイクロキャリアおよび任意の懸濁細胞を適切なバイオリアクターに戻し)、一方で、条件づけ培地912がスキミングフィルター914を通過することを可能にする。一態様では、バッフル916は、微多孔性であり得るが、マイクロポアは、マイクロキャリアの平均直径よりも小さい平均直径を有することを理解されたい。
【0132】
濾過後、バイオリアクター10は、マイクロキャリア74に取り付けられた第1の細胞70を含む。その一方で、第2の細胞72は、新しいバイオリアクターに移行され得る。次いで、各細胞集団(第1の細胞および第2の細胞)をさらに精製し、必要に応じて洗浄することができる。第1の細胞または第2の細胞が所望されない場合、いずれかの細胞集団も同様に廃棄され得る。
【0133】
上記プロセスは、例えば、CAR T細胞からTCR+細胞を効率的かつ容易に分離することができ(例えば、CD3+、CD4+に選択的に結合させることによって、または、および/もしくはCD3+ T細胞をNK細胞から分離することができる。
【0134】
一用途では、第2の細胞72が第1の細胞から分離された後で、第1の細胞70をマイクロキャリア74から分離することが望ましい場合がある。異なる方法および技術を使用して、第1の細胞70をマイクロキャリア74から分離することができる。例えば、一実施形態では、細胞をマイクロキャリアから分離させる分離剤を、バイオリアクター10に添加することができる。分離後、フィルター装置820を使用して、第1のセル70をバイオリアクター10から取り出し、それらをマイクロキャリア74から分離することができる。
【0135】
代替の実施形態では、マイクロキャリア74は、バイオリアクター10内に含まれる流体培地内に溶解可能であるように設計され得る。例えば、マイクロキャリア74が、流体培地に溶解し得るか、または溶解剤が、マイクロキャリア74を溶解するために流体培地に添加され得る。マイクロキャリアが溶解すると、第1の細胞70は、支持されていない状態でバイオリアクター10内に残り、さらに洗浄および精製され得る。
【0136】
所望の生物学的細胞集団が任意選択で単離され、他の細胞から分離されると、細胞集団は、
図1~10に関して示され、記載されるように、フィルター装置を使用して、本開示の方法に従って洗浄および精製され得る。一態様では、例えば、生物学的細胞集団が含まれる流体培地は、フィルター装置20などの本開示のフィルター装置を使用して、バイオリアクターから引き抜かれる。フィルター装置は、バイオリアクター内の流体培地の体積の少なくとも約30%、例えば、少なくとも約40%、例えば、少なくとも約50%、例えば、少なくとも約60%、例えば、少なくとも約70%、例えば、少なくとも約80%を取り出すことができる。次いで、細胞を洗浄および精製するために、緩衝液培地をバイオリアクターに添加して、引き抜かれる流体培地を置き換えることができる。
【0137】
上記の洗浄プロセスの間、生物学的細胞集団は、細胞からの流体培地、および流体培地中に存在し得る任意の生物学的副産物または他の汚染物質を除去および分離することによって精製される。例えば、細胞の増殖中、生物学的細胞は、タンパク質などの副産物を産生し得る。加えて、血清は、流体培地中にも含有され得る。本開示のプロセスを通じて、タンパク質および血清などのそのような生物学的副産物は、細胞から除去および分離され得る。洗浄プロセスは、所望の純度レベルに達するために、複数回(すなわち、複数サイクル)実施され得る。例えば、得られる細胞集団が、0.1重量%未満の量で、タンパク質および血清などの生物学的副産物を含有するように、細胞を洗浄することができる。例えば、細胞集団は、1サイクル超、例えば、2サイクル超、例えば、3サイクル超、かつ、概して、約10サイクル未満、例えば、約8サイクル未満、例えば、約6サイクル未満、例えば、約5サイクル未満、上述の方法により洗浄され得る。
【0138】
特に有利なことに、生物学的細胞集団は、遠心分離またはかなりの量の手作業を必要としない自動化された様式で、本開示に従って洗浄され得る。さらに、洗浄は、非常に効率的かつ迅速に行われ得る。例えば、流体培地の体積の少なくとも約50%、例えば、流体培地の体積の少なくとも約60%、例えば、流体培地の体積の少なくとも約70%が、約4時間未満、例えば、約3時間未満、例えば、約2時間未満、例えば、約1時間未満でさえも、バイオリアクターから取り出され得るような流量で、流体培地は、バイオリアクターから引き抜かれ得る。
【0139】
さらに、この方法は、完全にスケーラブルである。例えば、本開示に従って洗浄される細胞集団は、約1~約10Lの体積を有するより小さなバイオリアクターに含まれ得るか、または約5L~約75Lの体積を有するより大きなバイオリアクターに生じ得る。
【0140】
細胞集団を所望のレベルの純度まで洗浄した後、細胞集団を緩衝培地内に含有させる。得られた産生物を、極低温保存のために可撓性バッグ容器に移してもよい。一実施形態では、極低温緩衝培地をまた、凍結前に細胞集団に追加してもよい。極低温緩衝培地は、例えば、Biolife Solutionsによって販売されているCRYOSTOR 10であってもよい。極低温緩衝培地は、血清を含まず、ジメチルスルホキシドなどのアルキルスルホキシドを含有してもよい。ジメチルスルホキシドは、約5重量%超の量かつ約25重量%未満の量で極低温緩衝培地中に存在し得る。
【0141】
貯蔵のための細胞集団は、比較的高い純度レベルを有することができる。プロセスは自動化されているため、高い純度レベルは、変動することなくバッチごとに維持され得る。したがって、高純度レベルのため、より高い細胞密度を凍結して保管し、後で患者に送達することができる。例えば、可撓性貯蔵バッグ内の細胞密度は、1mL当たり約9,000,000細胞超、例えば、1mL当たり約10,000,000細胞超、例えば、1mL当たり約12,000,000細胞超であり得る。
【0142】
本開示のプロセスを通じて、細胞密度は、T細胞集団およびNK細胞集団を含み、200%を超えて増殖され得る。細胞集団が増殖すると、細胞は、上述の方法を使用して、望ましくない細胞から分離および/または精製され得る。加えて、本開示によるプロセスは、より多くの所望の量の表現型を有する細胞集団を産生することができる。最終的に、90%超の純度を有する細胞集団を達成することができる。例えば、CD4 T細胞および/またはCD8 T細胞の90%超の純度を有する細胞集団を達成することができる。加えて、このプロセスは、10%未満の全細胞喪失、かつ90%超、例えば、95%超の細胞生存率で実施され得る。細胞濃度は、過去のプロセスと比較して最大3倍増加させることができ、これにより、濾過培地の必要な体積が減少する。加えて、最終的な細胞産物は、残留血清/タンパク質レベルを0.1重量%未満の量で含有することができる。最後に、極細胞の低温後生存率は、再活性化後の30倍超の増幅によって90%超であり得る。
【0143】
本開示は、以下の実施例を参照して、よりよく理解することができる。
【実施例】
【0144】
実施例1
以下の実施例は、本開示に従って作製された濾過装置が、バイオリアクターに含まれる生物学的細胞も引き抜くまたは害することなく、攪拌タンクバイオリアクターから液体培地を引き抜く能力を試験するために実施された。
【0145】
以下の実験に用いるフィルター装置は、4Aに示される設計に類似している。フィルター部材は、約1.5in2の長さを有し、フィルター部材の外面は、0.65in2の表面積を有した。濾過部材は、焼結ステンレス鋼繊維からなり、3~4ミクロンの絶対孔径を有した。フィルター部材に取り付けられた管状部材は、6.35mmの内径を有した。
【0146】
T細胞を、3~6.5×106細胞/mLの密度で1リットルのバイオリアクターに播種した。バイオリアクターは、攪拌タンクバイオリアクターであった。細胞培養物をバイオリアクター内で1日間維持し、その間、上述のフィルター装置を使用してバイオリアクターから流体培地を引き抜いた。
【0147】
フィルター装置は、3つの異なる流量で動作された。流量には、5~10mL/分の第1の流量と、10~15mL/分の中間流量と、20~25mL/分の高流量とが含まれた。バイオリアクターから引き抜かれた流体培地の試料を収集し、分析した。3つすべての流量で、バイオリアクター内の細胞損失は2%未満であった。
【0148】
別の実験では、フィルター装置を、中低流量(5分間にわたって1分間に5mL=25mLが1時間ごとに取り出される)で、断続的な灌流レジメン(1時間に5分間オン)で動作させた。初期の播種密度は、T細胞の活性化および播種後の増殖を伴って、0.5×106細胞/mLであった。灌流を、T細胞播種および活性化の5日後(培養5日目)に開始した。培養6日目(例えば、灌流を開始した24時間後)に、522mLの流体培地をバイオリアクターから灌流することに成功した。12日目に、流体培地3,650m/Lをバイオリアクターから灌流することに成功した。12日間のサービスの後、いくつかの目詰まりに気づいた。灌流モード中に、細胞増殖が観察された。
【0149】
実施例2
この実施例では、バッチモードで動作する攪拌タンクバイオリアクターを、実施例1に記載されるフィルター装置を使用して本開示に従って動作する攪拌タンクバイオリアクターと比較した。
【0150】
両方のバイオリアクターについて、CD3+ T細胞をPBMCから単離し、1リットルの攪拌タンクバイオリアクターに播種した。pHの設定値は7.2未満であった。溶存酸素設定値は50%超であった。0日目に、IMMUNOCULT CD3/CD28活性化剤を添加した。バイオリアクターに添加した増殖培地は、XVIVO15、5%ヒト血清、25IU IL-2であった。初期培地体積は400mLであり、初期細胞密度は220×106細胞/mLであった。
【0151】
各バイオリアクターを18日間動作させた。新しい液体成長培地800mLを3日目に各バイオリアクターに添加した。バッチモード攪拌タンクバイオリアクターにさらなる変更は行わなかった。
【0152】
本開示に従って作製されたバイオリアクターシステムについては、灌流は5日目に開始された。灌流中に、バイオリアクター内の流体培地の体積の約半分を引き抜き、交換した。間欠的灌流レジメンを使用し、流体培地25mLを、固定された5分間にわたって1時間ごとに引き抜いた。灌流を9日間続けて、14日目に終了させた。
【0153】
結果を
図11~14に示す。例えば、
図11は、両方のシステムの生存細胞密度および生存率パーセントを示す。示されるように、本開示に従って動作させたバイオリアクターは、特に、12日目以降に劇的な改善を示す。
【0154】
図12、13および14は、実験の過程にわたる溶存酸素レベル、グルコースレベル、乳酸塩、アンモニアレベル、およびIL-2濃度を示す。
図13に示されるように、特に、グルコースおよび乳酸塩レベルは、本開示のバイオリアクターを使用してより良好に制御された。
【0155】
実施例3
本実施例では、実施例2については上述したのと同じプロセスに従って、本開示のフィルター装置を使用して、攪拌タンクバイオリアクター内でT細胞を増殖させた。しかしながら、本実施例では、灌流は、T細胞集団が2x10
6m/Lの細胞密度を超えた後に開始した。これは8日目に発生した。結果を
図15~18に示す。
図15に示されるように、灌流を開始した後、細胞増殖は劇的に増加した。細胞生存率もまた、プロセス全体の間、96%を超えて維持された。
【0156】
図16に示されるように、10日目から13日目にかけて、溶存酸素は急速に0まで減少した。通常、このような溶存酸素の減少は細胞増殖に悪影響を及ぼすことが予想される。それとは逆に、同期間中に細胞増殖が急速に増加した。
【0157】
図17に示されるように、グルコース、乳酸塩、およびアンモニアレベルを制御し、プロセス中最適なレベルに維持した。
【0158】
T細胞表現型をまた、13日目以降に試験し、バッチ攪拌タンク反応器プロセスと比較した。以下の結果が得られた。
【表1】
【0159】
上記に示すように、好ましい表現型であるTscm細胞において予期せぬ劇的な増加があった。未知であるが、Tscm細胞の量の増加は、より低い溶存酸素レベルに起因し得るか、またはそれと併せて生じ得ると考えられる。
【0160】
本明細書に記載のデバイス、施設、および方法は、原核細胞株および/または真核細胞株を含む任意の所望の細胞株において、および培養とともに使用するのに好適である。さらに、実施形態では、デバイス、施設、および方法は、浮遊細胞またはアンカレッジ依存性(接着)細胞を培養するのに好適であり、ポリペプチド産生物、核酸産生物(例えば、DNAもしくはRNA)、または細胞および/もしくはウイルス(例えば、細胞療法および/またはウイルス療法で使用されるもの)などの医薬品およびバイオ医薬品産生物の産生に構成される産生動作に好適である。
【0161】
実施形態では、細胞は、組換え治療または診断産生物などの産生物を発現または産生する。以下にさらに詳細に記載されるように、細胞によって産生される産生物の例には、抗体分子(例えば、モノクローナル抗体、二重特異性抗体)、抗体模倣物(抗原に特異的に結合するが、抗体、例えば、DARPin、アフィボディ、アドネクチン、もしくはIgNARと構造的に関連しないポリペプチド分子)、融合タンパク質(例えば、Fc融合タンパク質、キメラサイトカイン)、他の組換えタンパク質(例えば、グリコシル化タンパク質、酵素、ホルモン)、ウイルス治療薬(例えば、抗がん腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療およびウイルス免疫療法のためのウイルスベクター)、細胞治療薬(例えば、多能性幹細胞、間葉系幹細胞、および成体幹細胞)、ワクチンまたは脂質被包性粒子(例えば、エクソソーム、ウイルス様粒子)、RNA(例えば、siRNA)、またはDNA(例えば、プラスミドDNAなど)、抗生物質またはアミノ酸が含まれるが、これらに限定されない。実施形態では、デバイス、施設、および方法は、バイオシミラーを産生するために使用され得る。
【0162】
言及されるように、実施形態では、デバイス、設備、および方法は、真核細胞によって大規模な様式で合成される、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞もしくは低級真核細胞、例えば、酵母細胞もしくは糸状菌細胞、または原核細胞、例えば、グラム陽性もしくはグラム陰性細胞、および/または真核細胞もしくは原核細胞の産物、例えば、タンパク質、ペプチド、抗生物質、アミノ酸、核酸(DNAもしくはRNAなど)の産生を可能にする。本明細書に別段の記載がない限り、デバイス、施設、および方法は、ベンチスケール、パイロットスケール、およびフル生産スケールの容量を含むが、これらに限定されない、任意の所望の体積または産生能力を含むことができる。
【0163】
さらに、本明細書に別段の記載がない限り、デバイス、設備、および方法は、攪拌タンク、エアリフト、繊維、マイクロファイバー、中空糸、セラミックマトリックス、流動床、固定床、および/または噴流床バイオリアクターを含むが、これらに限定されない、任意の好適な反応器を含むことができる。本明細書で使用する場合、「反応器」は、発酵器もしくは発酵ユニット、または任意の他の反応容器を含むことができ、「反応器」という用語は、「発酵器」と同義に使用される。例えば、いくつかの態様では、例示的なバイオリアクターユニットは、以下:栄養素および/または炭素源の供給、好適な気体(例えば、酸素)の注入、発酵または細胞培養培地の入口流れおよび出口流れ、気相および液相の分離、温度の維持、酸素およびCO2レベルの維持、pHレベルの維持、撹拌(agitation)(例えば、撹拌(stirring))、ならびに/または洗浄/滅菌のうちの1つ以上またはすべてを実行することができる。発酵ユニット等の例示的な反応器ユニットは、ユニット内に複数の反応器を含んでもよく、例えば、ユニットは、各ユニット内に1個、2個、3個、4個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、60個、70個、80個、90個、もしくは100個、またはそれ以上のバイオリアクターを有してもよく、および/または施設は、施設内に単一または複数の反応器を有する複数のユニットを含んでもよい。様々な実施形態では、バイオリアクターは、バッチ、半供給バッチ、供給バッチ、灌流、および/または連続発酵プロセスに好適であり得る。任意の好適な反応器直径が使用され得る。実施形態では、バイオリアクターは、約100mL~約50,000Lの体積を有し得る。非限定的な例には、100mL、250mL、500mL、750mL、1リットル、2リットル、3リットル、4リットル、5リットル、6リットル、7リットル、8リットル、9リットル、10リットル、15リットル、20リットル、25リットル、30リットル、40リットル、50リットル、60リットル、70リットル、80リットル、90リットル、100リットル、150リットル、200リットル、250リットル、300リットル、350リットル、400リットル、450リットル、500リットル、550リットル、600リットル、650リットル、700リットル、750リットル、800リットル、850リットル、900リットル、950リットル、1000リットル、1500リットル、2000リットル、2500リットル、3000リットル、3500リットル、4000リットル、4500リットル、5000リットル、6000リットル、7000リットル、8000リットル、9000リットル、10,000リットル、15,000リットル、20,000リットル、および/または50,000リットルの体積が含まれる。さらに、好適な反応器は、マルチユース、シングルユース、ディスポーザブル、または非ディスポーザブルであってもよく、ステンレス鋼(例えば、316Lもしくは任意の他の好適なステンレス鋼)ならびにインコネル、プラスチック、および/またはガラスなどの金属合金を含む任意の好適な材料で形成することができる。
【0164】
実施形態では、本明細書に別段の記載がない限り、本明細書に記載のデバイス、施設、および方法はまた、特に言及されていない任意の好適なユニット動作および/または機器、例えば、そのような産生物の分離、精製、および単離のための動作および/または装置を含むことができる。従来の現場組み立て(stick-built)設備、モジュール式、移動式、および仮設の設備、または任意の他の好適な建設、設備、および/もしくはレイアウト等、任意の好適な設備および環境を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、モジュール式クリーンルームを使用することができる。さらに、別段の記載がない限り、本明細書に記載のデバイス、システム、および方法は、単一の場所または施設において収容および/または実行することができ、あるいは、別々または複数の場所および/または施設において収容および/または実行することができる。
【0165】
非限定的な例として、限定なしに、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2013/0280797号、同第2012/0077429号、同第2011/0280797号、同第2009/0305626号、および米国特許第8,298,054号、第7,629,167号、および第5,656,491号には、好適であり得る例示的な設備、装置、および/またはシステムが記載されている。
【0166】
実施形態では、細胞は、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞は、例えば、ヒトまたはげっ歯類またはウシ細胞株もしくは細胞系であり得る。かかる細胞、細胞株または細胞系の例は、例えば、マウス骨髄腫(NSO)細胞株、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、HT1080、H9、HepG2、MCF7、MDBK Jurkat、NIH3T3、PC12、BHK(ベビーハムスター腎臓細胞)、VERO、SP2/0、YB2/0、Y0、C127、L細胞、COS、例えば、COS1およびCOS7、QC1-3、HEK-293、VERO、PER.C6、HeLA、EB1、EB2、EB3、腫瘍溶解性またはハイブリドーマ細胞株である。好ましくは、哺乳動物細胞は、CHO細胞株である。一実施形態では、細胞は、CHO細胞である。一実施形態では、細胞は、CHO-K1細胞、CHO-K1SV細胞、DG44 CHO細胞、DUXB11 CHO細胞、CHOS、CHO GSノックアウト細胞、CHO FUT8 GSノックアウト細胞、CHOZN、またはCHO由来細胞である。CHO GSノックアウト細胞(例えば、GSKO細胞)は、例えば、CHO-K1 SV GSノックアウト細胞である。CHO FUT8ノックアウト細胞は、例えば、Potelligent(登録商標)CHOK1 SV(Lonza Biologics,Inc.)である。真核細胞はまた、例えば、EBx(登録商標)細胞、EB14、EB24、EB26、EB66、またはEBvl3などの鳥細胞、細胞株または細胞系であってもよい。
【0167】
一実施形態では、真核細胞は、幹細胞である。幹細胞は、例えば、胚性幹細胞(ESC)、成体幹細胞、誘導性多能性幹細胞(iPSC)、組織特異的幹細胞(例えば、造血幹細胞)および間葉系幹細胞(MSC)を含む多能性幹細胞であり得る。
【0168】
一実施形態では、細胞は、本明細書に記載される細胞のいずれかの分化形態である。一実施形態では、細胞は、培養物中の任意の初代細胞に由来する細胞である。
【0169】
実施形態では、細胞は、ヒト肝細胞、動物肝細胞、または非実質細胞などの肝細胞である。例えば、細胞は、付着可能な代謝適格ヒト肝細胞、付着可能な誘導適格ヒト肝細胞、付着可能なQualyst Transporter Certified(商標)ヒト肝細胞、懸濁適格ヒト肝細胞(10ドナーおよび20ドナープール型肝細胞を含む)、ヒト肝クッパー細胞、ヒト肝星細胞、イヌ肝細胞(単一およびプール型ビーグル肝細胞を含む)、マウス肝細胞(CD-1およびC57BI/6肝細胞を含む)、ラット肝細胞(Sprague-Dawley、Wistar Han、およびWistar肝細胞を含む)、サル肝細胞(CynomolgusまたはRhesusサル肝細胞を含む)、ネコ肝細胞(家畜性Shorthair型肝細胞を含む)、およびウサギ肝細胞(ニュージーランド白色肝細胞を含む)であり得る。例示的な肝細胞は、Triangle Research Labs,LLC、6 Davis Drive Research Triangle Park,North Carolina,USA 27709から市販されている。
【0170】
一実施形態では、真核細胞は、例えば、酵母細胞(例えば、Pichia genus(例えば、Pichia pastoris、Pichia methanolica、Pichia kluyveri、およびPichia angusta)、Komagataella genus(例えば、Komagataella pastoris、Komagataella pseudopastoris、またはKomagataella phaffii)、Saccharomyces genus(例えば、Saccharomyces cerevisae、cerevisiae、Saccharomyces kluyveri、Saccharomyces uvarum)、Kluyveromyces genus(例えば、Kluyveromyces lactis、Kluyveromyces marxianus)、Candida genus(例えば、Candida utilis、Candida cacaoi、Candida boidinii)、Geotrichum genus(例えば、Geotrichum fermentans)、Hansenula polymorpha、Yarrowia lipolytica、またはSchizosaccharomyces pombeなどの下等真核細胞である。好ましいのは種ピキア酵母である。ピキア酵母系の例は、X33、GS115、KM71、KM71H、およびCBS7435である。
【0171】
一実施形態では、真核細胞は、真菌細胞(例えば、Aspergillus(例えば、A.niger、A.fumigatus、A.orzyae、A.nidula)、Acremonium(例えば、A.thermophilum)、Chaetomium(例えば、C.thermophilum)、Chrysosporium(例えば、C.thermophile)、Cordyceps(例えば、C.militaris)、Corynascus、Ctenomyces、Fusarium(例えば、F.oxysporum)、Glomerella(例えば、G.graminicola)、Hypocrea(例えば、H.jecorina)、Magnaporthe(例えば、M.orzyae)、Myceliophthora(例えば、M.thermophile)、Nectria(例えば、N.heamatococca)、Neurospora(例えば、N.crassa)、Penicillium、Sporotrichum(例えば、S.thermophile)、Thielavia(例えば、T.terrestris、T.heterothallica)、Trichoderma(例えば、T.reesei)、またはVerticillium(例えば、V.dahlia)である。
【0172】
一実施形態では、真核細胞は、昆虫細胞(例えば、Sf9、Mimic(商標)Sf9、Sf21、High Five(商標)(BT1-TN-5B1-4)、またはBT1-Ea88細胞)、藻類細胞(例えば、アンフォラ属、バシラリオフィセアエ属、ドナリエラ属、クロレラ属、クラミドモナス属、シアノフィタ属(シアノバクテリア)、ナノクロロプシス属、スピルリナ属、またはオクロモナス属)、または植物細胞(例えば、単子葉植物(例えば、トウモロコシ、米、小麦、またはセタリア)由来の細胞、または二子葉植物(例えば、キャッサバ、ジャガイモ、大豆、トマト、タバコ、アルファルファ、フィスコミトレラパテンまたはアラビドプシス)由来の細胞である。
【0173】
一実施形態では、細胞は、細菌または原核細胞である。
【0174】
実施形態では、原核細胞は、グラム陽性細胞、例えば、桿菌、Streptomyces、Streptococcus、StaphylococcusまたはLactobacillusである。使用できる桿菌は、例えば、B.subtilis、B.amyloliquefaciens、B.licheniformis、B.natto、またはB.megateriumである。実施形態では、細胞は、B.subtilis 3NAおよびB.subtilis 168などの、B.subtilisである。桿菌は、例えば、Bacillus Genetic Stock Center、Biological Sciences 556,484 West 12th Avenue,Columbus OH 43210-1214から入手可能である。
【0175】
一実施形態では、原核細胞は、グラム陰性細胞、例えば、Salmonella spp.またはEscherichia coli、例えばTG1、TG2、W3110、DH1、DHB4、DH5a、HMS174、HMS174(DE3)、NM533、C600、HB101、JM109、MC4100、XL1-BlueおよびOrigami、ならびに例えば、BL-21またはBL21(DE3)などのE.coli B株に由来するものなどであり、これらはすべて市販されている。
【0176】
好適な宿主細胞は、例えば、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen and Zellkulturen GmbH、Braunschweig,Germany)またはAmerican Type Culture Collection(ATCC)などの培養株保存機関から市販されている。
【0177】
実施形態では、培養細胞は、治療的使用のために、タンパク質、例えば、抗体、例えば、モノクローナル抗体、および/または組換えタンパク質を産生するために使用される。実施形態では、培養細胞は、ペプチド、アミノ酸、脂肪酸、または他の有用な生化学中間体もしくは代謝産物を産生する。例えば、実施形態では、約4000ダルトン~約140,000ダルトン超の分子量を有する分子を産生することができる。実施形態では、これらの分子は、複雑性の範囲を有し得、グリコシル化を含む翻訳後修飾を含み得る。
【0178】
実施形態では、タンパク質は、例えば、BOTOX、Myobloc、Neurobloc、Dysport(またはボツリヌス神経毒素の他の血清型)、アルグルコシダーゼアルファ、ダプトマイシン、YH-16、コリオゴナドトロピンアルファ、フィルグラスチム、セトロレリックス、インターロイキン-2、アルデスロイキン、テセレウリン、デニロイキンジフチトクス、インターフェロンアルファ-n3(注射)、インターフェロンalpha-nl、DL-8234、インターフェロン、サントリー(ガンマ-1a)、インターフェロンガンマ、サイモシンアルファ1、タソネルミン、DigiFab、ViperaTAb、EchiTAb、CroFab、ネシリチド、アバタセプト、アレファセプト、レビフ、エプトテルミンアルファ、テリパラチド(骨粗鬆症)、注射可能なカルシトニン(骨疾患)、カルシトニン(鼻腔、骨粗鬆症)、エタネルセプト、ヘモグロビングルタマー250(ウシ)、ドロトレコギンアルファ、コラゲナーゼ、カルペリチド、組換えヒト上皮成長因子(局所ゲル、創傷治癒)、DWP401、ダルベポエチンアルファ、エポエチンオメガ、エポエチンベータ、エポエチンアルファ、デシルジン、レピルジン、ビバリルジン、ノナコグアルファ、モノニン、エプタコグアルファ(活性化)、組換え型第VIII因子+VWF、組換え型、組換え型第VIII因子、第VIII因子(組換え型)、アルフマート、オクトコグアルファ、第VIII因子、パリフェルミン、インディキナーゼ、テネクテプラーゼ、アルテプラーゼ、パミテプラーゼ、レテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプラーゼ、フォリトロピンアルファ、rFSH、hpFSH、ミカファンギン、ペグフィルグラスチム、レノグラスチム、ナルトグラスチム、セルモレリン、グルカゴン、エキセナチド、プラムリンチド、イニグルセラーゼ、ガルスルファーゼ、ロイコトロピン、モルグラモスチム、酢酸トリプトレリン、ヒストレリン(皮下インプラント、Hydron)、デスロレリン、ヒストレリン、ナファレリン、ロイプロリド徐放性デポー(ATRIGEL)、ロイプロリドインプラント(DUROS)、ゴセレリン、ユートロピン、KP-102プログラム、ソマトロピン、メカセルミン(成長不全)、エンルファビルチド、Org-33408、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリン(吸入)、インスリンリスプロ、インスリンデテルニル、インスリン(バッカル、RapidMist)、メカセルミンリンファベート、アナキンラ、セルモロイキン、99 mTc-apcitide」注射、ミエロピッド、ベタセロン、酢酸グラチラマー、ゲポン、サルグラモスチム、オプレルベキン、ヒト白血球由来アルファインターフェロン、Bilive、インスリン(組換え)、組換えヒトインスリン、インスリンアスパルト、メカセニン、ロフェロン-A、インターフェロン-アルファ2、アルファフェロン、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンアルファ、Avonexの組換えヒト黄体形成ホルモン、ドルナーゼアルファ、トラフェルミン、ジコノチド、タルチレリン、ジボテルミンアルファ、アトシバン、ベカプレルミン、エプチフィバチド、ゼマイラ、CTC-111、Shanvac-B、HPVワクチン(4価)、オクトレオチド、ランレオチド、アンセスチム、アガルシダーゼベータ、アガルシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、プレザチド酢酸銅(局所ゲル)、ラスブリカーゼ、ラニビズマブ、アクティミューン、PEG-イントロン、トリコミン、組換えハウスダストマイトアレルギー脱感作注射、組換えヒト副甲状腺ホルモン(PTH)1-84(sc、骨粗鬆症)、エポエチンデルタ、トランスジェニックアンチトロンビンIII、グランジトロピン、ビトラーゼ、組換えインスリン、インターフェロンアルファ(経口錠)、GEM-21S、バプレオチド、イデュルスルファーゼ、オムナパトリラット、組換え血清アルブミン、セルトリズマブペゴル、グルカルピダーゼ、ヒト組換えC1エステラーゼ阻害剤(血管浮腫)、ラノテプラーゼ、組換えヒト成長ホルモン、エンフビルチド(無針注射、Biojector 2000)、VGV-1、インターフェロン(アルファ)、ルシナクタント、アビプタジル(吸入、肺疾患)、イカチバント、エカランチド、オミガナン、オーログラブ、酢酸ペキシガナン、ADI-PEG-20、LDI-200、デガレリクス、シントレデリンベスドトックス、Favld、MDX-1379、ISAtx-247、リラグルチド、テリパラチド(骨粗鬆症)、チファコギン、AA4500、T4N5リポソームローション、カツマキソマブ、DWP413、ART-123、クリサリン、デスモテプラーゼ、アメジプラーゼ、コリフォリトロピンアルファ、TH-9507、テデュグルチド、ダイアミド、DWP-412、成長ホルモン(持続性放出注射)、組換えG-CSF、インスリン(吸入、AIR)、インスリン(吸入、テクノスフィア)、インスリン(吸入、AERx)、RGN-303、DiaPep277、インターフェロンベータ(C型肝炎ウイルス感染(HCV))、インターフェロンアルファ-n3(経口)、ベラタセプト、経皮インスリンパッチ、AMG-531、MBP-8298、Xerecept、オペバカン、AIDSVAX、GV-1001、LymphoScan、ランピルナーゼ、リポキシサン、ルスルプチド、MP52(ベータ三カルシウムリン酸担体、骨再生)、メラノーマワクチン、シプリューセル-T、CTP-37、インセジア、ビテスペン、ヒトトロンビン(凍結、外科的出血)、トロンビン、TransMID、アルフィメプラーゼ、プリカーゼ、テルリプレシン(静脈内、肝腎症候群)、EUR-1008M、組換えFGF-I(注射可能、血管疾患)、BDM-E、ロチガプチド、ETC-216、P-113、MBI-594AN、デュラマイシン(吸入、嚢胞性線維症)、SCV-07、OPI-45、エンドスタチン、アンギオスタチン、ABT-510、ボーマン-バーク型阻害物質濃縮剤、XMP-629、99 mTc-Hynic-Annexin V、kahalalide F、CTCE-9908、teverelix(徐放)、オザレリックス、ロルニデプシン、BAY-504798、インターロイキン4、PRX-321、ペプスキャン、イボクタデキン、ララクトフェリン、TRU-015、IL-21、ATN-161、シレンギチド、アルブフェロン、ビファシックス、IRX-2、オメガインターフェロン、PCK-3145、CAP-232、パシレオチド、huN901-DMI、卵巣がん免疫療法ワクチン、SB-249553、Oncovax-CL、OncoVax-P、BLP-25、CerVax-16、マルチエピトープペプチドメラノーマワクチン(MART-1、gp100、チロシナーゼ)、ネミフィチド、rAAT(吸入)、rAAT(皮膚科)、CGRP(吸入、喘息)、ペグスネルセプト、サイモシンベータ4、プリチデプシン、GTP-200、ラモプラニン、GRASPA、OBI-1、AC-100、サーモンカルシトニン(経口、エリゲン)、カルシトニン(経口、骨粗鬆症)、エグザモレリン、カプロモレリン、カルデバ、ベラフェルミン、131I-TM-601、KK-220、T-10、ウラリチド、デペレスタット、ヘマチド、クリサリン(局所)、rNAPc2、組換え因子V111(PEG化リポソーム)、bFGF、PEG化組換えスタフィロキナーゼ変異体、V-10153、ソノリシスプロリーゼ、NeuroVax、CZEN-002、膵島細胞新生療法、rGLP-1、BIM-51077、LY-548806、エキセナチド(徐放、Medisorb)、AVE-0010、GA-GCB、アボレリン、ACM-9604、酢酸リナクロチド、CETi-1、ヘモスパン、VAL(注射可能)、速効型インスリン(注射可能、バイアデル)、鼻腔内インスリン、インスリン(吸入)、インスリン(経口、エリゲン)、組換えメチオニルヒトレプチン、ピトラキンラ皮下注射、湿疹)、ピトラキンラ(吸入乾燥粉末、喘息)、マルチカイン、RG-1068、MM-093、NBI-6024、AT-001、PI-0824、Org-39141、Cpn10(自己免疫疾患/炎症)、タラクトフェリン(局所)、rEV-131(眼)、rEV-131(呼吸器疾患)、経口組換えヒトインスリン(糖尿病)、RPI-78M、オプレルベキン(経口)、CYT-99007 CTLA4-Ig、DTY-001、バラテグラスト、インターフェロンアルファ-n3(局所)、IRX-3、RDP-58、タウフェロン、胆汁塩刺激リパーゼ、メリスパーゼ、アラリンホスファターゼ、EP-2104R、メラノタン-II、ブレメラノチド、ATL-104、組換えヒトマイクロプラスミン、AX-200、SEMAX、ACV-1、Xen-2174、CJC-1008、ダイノルフィンA、SI-6603、LAB GHRH、AER-002、BGC-728、マラリアワクチン(ビロソーム、PeviPRO)、ALTU-135、パルボウイルスB19ワクチン、インフルエンザワクチン(組換えノイラミニダーゼ)、マラリア/HBVワクチン、炭疽ワクチン、Vacc-5q、Vacc-4x、HIVワクチン(経口)、HPVワクチン、Tatトキソイド、YSPSL、CHS-13340、PTH(1-34)リポソームクリーム(ノバソーム)、オスタボリン-C、PTHアナログ(局所、乾癬)、MBRI-93.02、MTB72Fワクチン(結核)、MVA-Ag85Aワクチン(結核)、FARA04、BA-210、組換え疫病FIVワクチン、AG-702、OxSODrol、rBetV1、Der-p1/Der-p2/Der-p7アレルゲン標的化ワクチン(イエダニアレルギー)、PR1ペプチド抗原(白血病)、変異型rasワクチン、HPV-16 E7リポペプチドワクチン、ラビリンチンワクチン(腺がん)、CMLワクチン、WT1-ペプチドワクチン(がん)、IDD-5、CDX-110、ペントリス、ノレリン、CytoFab、P-9808、VT-111、イクロカプチド、テルベルミン(皮膚科、糖尿病性足潰瘍)、ルピントリビル、レチキュロース、rGRF、HA、アルファ-ガラクトシダーゼA、ACE-011、ALTU-140、CGX-1160、アンジオテンシン治療ワクチン、D-4F、ETC-642、APP-018、rhMBL、SCV-07(経口、結核)、DRF-7295、ABT-828、ErbB2特異的免疫毒素(抗がん)、DT3SSIL-3、TST-10088、PRO-1762、コンボトックス、コレシストキニン-B/ガストリン受容体結合ペプチド、111In-hEGF、AE-37、トラスツズマブ-DM1、アンタゴニストG、IL-12(組換え)、PM-02734、IMP-321、rhIGF-BP3、BLX-883、CUV-1647(局所)、L-19ベースの放射性免疫療法(がん)、Re-188-P-2045、AMG-386、DC/1540/KLHワクチン(がん)、VX-001、AVE-9633、AC-9301、NY-ESO-1ワクチン(ペプチド)、NA17.A2ペプチド、メラノーマワクチン(パルス抗原治療)、前立腺がんワクチン、CBP-501、組換えヒトラクトフェリン(ドライアイ)、FX-06、AP-214、WAP-8294A(注射可能)、ACP-HIP、SUN-11031、ペプチドYY[3-36](肥満、鼻腔内)、FGLL、アタシセプト、BR3-Fc、BN-003、BA-058、ヒト副甲状腺ホルモン1-34(鼻腔内、骨粗鬆症)、F-18-CCR1、AT-1100(セリアック病/糖尿病)、JPD-003、PTH(7-34)リポソームクリーム(ノバソーム)、デュラマイシン(眼科、ドライアイ)、CAB-2、CTCE-0214、グリコペグ化エリスロポエチン、EPO-Fc、CNTO-528、AMG-114、JR-013、第XIII因子、アミノカンジン、PN-951、716155、SUN-E7001、
TH-0318、BAY-73-7977、テベレリクス(即時放出)、EP-51216、hGH(制御放出、Biosphere)、OGP-I、シフビルチド、TV4710、ALG-889、Org-41259、rhCC10、F-991、チモペンチン(肺疾患)、r(m)CRP、肝選択的インスリン、スバリン、L19-IL-2融合タンパク質、エラフィン、NMK-150、ALTU-139、EN-122004、rhTPO、トロンボポイエチン受容体アゴニスト(血小板減少性障害)、AL-108、AL-208、神経成長因子アンタゴニスト(疼痛)、SLV-317、CGX-1007、INNO-105、経口テリパラチド(eligen)、GEM-OS1、AC-162352、PRX-302、LFn-p24融合ワクチン(セラポア)、EP-1043、肺炎小児ワクチン、マラリアワクチン、B群髄膜炎菌ワクチン、新生児B群連鎖球菌ワクチン、炭疽ワクチン、HCVワクチン(gpE1+gpE2+MF-59)、中耳炎治療、HCVワクチン(コア抗原+ISCOMATRIX)、hPTH(1-34)(経皮、ViaDerm)、768974、SYN-101、PGN-0052、アビスクミン、BIM-23190、結核ワクチン、マルチエピトープチロシナーゼペプチド、がんワクチン、エンカスチム、APC-8024、GI-5005、ACC-001、TTS-CD3、血管標的TNF(固形腫瘍)、デスモプレシン(頬側徐放性)、オネルセプト、およびTP-9201である。
【0179】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、アダリムマブ(HUMIRA)、インフリキシマブ(REMICADE(商標))、リツキシマブ(RITUXAN(商標)/MAB THERA(商標))エタネルセプト(ENBREL(商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(商標))、ペグリルグラスチム(NEULASTA(商標))、またはバイオシミラーおよびバイオベッターを含む任意の他の好適なポリペプチドである。
【0180】
他の好適なポリペプチドは、以下およびUS2016/0097074の表1に列挙されているものである:
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【0181】
実施形態では、ポリペプチドは、表2に示されるように、ホルモン、血液凝固/凝固因子、サイトカイン/増殖因子、抗体分子、融合タンパク質、タンパク質ワクチン、またはペプチドである。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0182】
実施形態では、タンパク質は、多重特異性タンパク質、例えば、表3に示される二重特異性抗体である。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【0183】
本発明に対するこれらおよび他の修正および変形は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的または部分的の両方で交換され得ることを理解されたい。さらに、当業者は、前述の記載が例としてのみであり、かつそのような添付の特許請求の範囲でさらに記載されるように本発明を限定することを意図していないことを理解するであろう。
【国際調査報告】