(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ヒト骨筋腱系を動かすための装置。
(51)【国際特許分類】
A61H 1/02 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
A61H1/02 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539216
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2020086974
(87)【国際公開番号】W WO2021130111
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522252109
【氏名又は名称】カピタル イノヴァシオン
【氏名又は名称原語表記】CAPITAL INNOVATION
(71)【出願人】
【識別番号】522252110
【氏名又は名称】セラフ フィジオ プロ
【氏名又は名称原語表記】SERAF PHYSIO PRO
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】セラフィン,トマ
(72)【発明者】
【氏名】トゥナイユ デスタイス,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】コルバン,ジャン-イーヴ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォプレ,マクシム
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA09
4C046BB08
4C046CC04
4C046CC12
4C046DD02
4C046DD06
4C046DD07
4C046DD08
4C046DD32
(57)【要約】
膝当て(2)と、前記膝当ては、前記膝当てにおいてヒトユーザの膝部を保持すべく、膝部を覆うように配置され、そして前記膝当てによって覆われる膝部に対し、可動力を加えるように配置されており、当該可動力は、膝部に圧力を掛け、ユーザの骨盤が前記座面に対して支持されるように配置された座面(5)に向かって方向付けられるものとする、
当該可動力の増大手段(6)と、
を備える、ヒト骨筋腱系を動かすための装置(100)が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト骨筋腱系を動かすための装置(100)であって、
膝当て(2)と、ここで、前記膝当ては、前記膝当てにおいてヒトユーザの膝部(3)を保持すべく、前記膝部を覆うように配置され、そして、前記膝当てによって覆われる前記膝部に対し、可動力を加えるように配置されており、
前記可動力は、前記膝部に圧力を掛け、前記ユーザの骨盤を支持するように配置された座面(5)に向かって方向付けられるものであり、そして、
前記可動力は、前記膝当てから前記座面へと導く方向を有するものとする、
前記可動力の増大手段(6)と、
を備える、ヒト骨筋腱系を動かすための前記装置(100)。
【請求項2】
前記装置が、前記可動力増大手段によって前記可動力が増大している間に、限定された軌道に従って、前記座面に対する前記膝当ての相対運動を抑制するように配置された手段をさらに備えることを特徴とし、
前記可動力の方向が可動力作用面(4)内に含まれており、前記座面に対する前記膝部の前記相対運動を抑制するように配置された手段(7)が、前記可動力が増大している間に、前記可動力作用面(4)の位置を固定したままにするように配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記座面に対する前記膝部の前記相対運動を抑制するように配置された前記手段(7)が、前記可動力が増大している間に前記可動力の方向を固定したままにするように配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記可動力増大手段(6)が、
前記膝当てに装着されており、骨盤が前記座面上にあるときに前記ユーザが手動で牽引することができる把持要素を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記可動力増大手段(6)が、
前記座面に向かって、前記膝当てからの復元力を加えるばねなどの復元手段、及び前記復元力の補償手段を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記可動力増大手段(6)が、
足掛けであって、前記膝当てに装着されており、前記ユーザとは別の施術者の足部を受け取り、そして、前記施術者によって前記足掛けに加えられる力を増大させることによって、前記可動力を増大させるように配置された前記足掛けを備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記可動力増大手段(6)が、
前記膝当てに装着された重りと、好ましくは、摺動面であって、重力効果によって、前記ユーザの膝部に対し、前記摺動面に沿った前記重り及び前記膝当ての落下を案内するように配置された前記摺動面と
を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記可動力増大手段(6)が、
前記膝当てに装着されており、前記座面(5)との隅角部を形成する受け面、及び前記膝当てと前記隅角部との間の距離調整手段を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記可動力増大手段(6)が、
前記膝当ての内側に配置され、かつ前記膝当てと前記膝部との間に配置されるように設けられた境界面の体積増加手段を備えることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記可動力増大手段(6)が、
前記座面(5)上に配置され、かつ前記座面と前記骨盤との間に配置されるように設けられた境界面の体積増加手段を備えることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記可動力増大手段(6)が、前記膝当てと前記座面(5)との間の距離を縮小しながら、前記可動力を増大させるように配置されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記可動力増大手段(6)が、前記膝当てと、前記座面(5)に接線方向に沿う平面との間の距離を拡大しながら、前記可動力を増大させるように配置されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置が、
前記膝当て若しくは前記膝当てに装着される要素を、
前記座面若しくは前記座面に装着される要素に接続する、少なくとも1つの連結要素(9)を備えることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの連結要素が、少なくとも1本のストラップ又はロッドを含むことを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記装置が、前記少なくとも1つの連結要素に沿って弾力を持つ、少なくとも1つの復元手段(11)を備え、前記復元手段が、前記膝当てを前記座面に接続する機械的連結部に沿って、所与の剛性を有することを特徴とする、請求項13から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置が、様々な復元手段からの前記少なくとも1つの復元手段を、異なる剛性に置き換えるための手段(13)、及び/又は前記少なくとも1つの復元手段の前記剛性変動手段(14)を備えることを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記装置が前記座面(5)を備えることを特徴とし、また、前記装置が、前記座面(5)上又は前記座面(5)に装着された要素上に、前記膝当てのピボットピン(8)を備え、前記少なくとも1つの連結要素(9)が、前記膝当ての前記ピボットピンを前記膝当てに接続して、前記ピボットピン(8)を中心として枢動するように配置されており、これによって前記ピボットピンを中心として前記膝当てを枢動させていることを特徴とする、請求項13から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記装置が、前記ピボットピンに対して前記ユーザの骨盤位置をオフセットすることができるように配置された、境界部又はストッパ(10)を備えることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記膝当ての前記ピボットピン(8)が前記骨盤に対する前記膝部の回転中心点(30)に対してオフセットされることにより、前記可動力増大手段が、前記ピボットピンを中心として前記膝当てを枢動させることで、前記可動力を増大させるように配置されていることを特徴とする、請求項17又は18に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの連結要素(9)が、前記膝当てに装着された非伸張性かつ/又は非圧縮性ロッドを含み、前記可動力増大手段が、前記非伸張性かつ/又は非圧縮性ロッドを、前記ピボットピン(8)を中心として枢動させることにより、前記可動力を増大させるように配置されていることを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの連結要素(9)が、前記膝当ての左右両側を前記ピボットピンに沿って配置された2つの固定点に接続する2本のストラップを含み、前記可動力増大手段が、前記ピボットピン(8)を中心として前記ストラップを枢動させることにより、前記可動力を増大させるように配置されていることを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記装置が、前記ピボットピン(8)を中心としたその回転中に、前記膝当てに作用するレバーアームを修正するように配置された手段(15)を備えることを特徴とする、請求項17から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記可動力増大手段(6)が、前記少なくとも1つの連結要素(9)の短縮手段(12)を備えることを特徴とする、請求項13から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記座面(5)が前記装置(1)の一部を形成しており、
椅子若しくは肘掛け椅子の背もたれ、又は
台、又は
ベッド
を備えることを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記膝当てが、
前記膝部の膝蓋骨と接触するように意図された中央領域(21)、及び前記膝部の前記膝蓋骨を取り囲むように意図され、前記中央領域よりも高い剛性を有する周辺領域(22)、又は
前記膝部の前記膝蓋骨に位置するように意図された空の中央領域(21)、及び前記膝部の前記膝蓋骨を取り囲むように意図された周辺領域(22)を備えることを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記膝当てが、装着された2つの前記膝当てのセットの一部を形成していることを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記装置が、前記可動力の値を測定して表示するためのシステムを備えることを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記膝当てが、弾力を持つ少なくとも1つの復元手段(111)を備え、かつ/又は
前記装置が、前記座面(5)を備え、そして、前記座面(5)が、弾力を持つ少なくとも1つの復元手段(111)を備え、
前記復元手段(111)が、前記膝当てから前記座面(5)に向かって作用する前記可動力に影響を及ぼすように構成された、所与の剛性を有することを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト骨筋腱系を動かすための装置に関する。
本発明の分野は、より詳細には、しかしながら非限定的に、梨状筋症候群を治療又は診断するための装置の分野である。
【背景技術】
【0002】
梨状筋症候群は一般に、坐骨神経が圧迫されるか、又は梨状筋によって坐骨神経が刺激された結果生じるものであり、臀部に痛みを感じ、坐骨神経痛に至る場合もある。
【0003】
梨状筋症候群はごくありふれた疾患であり、いくつかの集団、具体的にはスポーツ選手、とりわけハイレベルなスポーツ選手、妊婦又は肥満の人々、そして最後に様々なプロファイルを有し、かつ様々なレベルの活動を行っている最終カテゴリに属する人々、とりわけ作業姿勢が原因で発症のリスクを有する、特定の専門カテゴリに属する人々に影響を及ぼす。
【0004】
この疾患を緩和又は治療するために、現行では
股関節を伸展させるための特定の運動、及び/又は
手術、及び/又は
コルチコステロイド注射
が検討され得る。
【0005】
例えば「FAIR」検査法など、梨状筋症候群を診断し、かつ/又は梨状筋を伸展させ、かつ/又は梨状筋症候群を緩和できるようにする、骨筋腱系の様々なマニピュレーションが知られている。このFAIR検査法は、脚部を股関節まわりに屈曲させ、次いで内転させ、最後に内旋させることからなる。この一連の動作の目的は、特定の方法で梨状筋を伸展させることであり、その結果、梨状筋症候群を有する患者の疼痛の感覚フィードバックがもたらされる。
【0006】
上記の手順をより容易に実施できるようにするものであり、器具自体に装着されたハンドルを用いて膝部(及び脚部)を動かすことができる、例えばPiri-Stretcher(登録商標)などの解決策が知られている。
【0007】
本発明の目的は、好ましくは梨状筋症候群に適した方法で、ヒト骨筋腱系を動かせるようにする装置を提案することであり、また、
症状、とりわけ疼痛を有意に改善すること、及び/又は
骨筋腱系に加えられる力の値の制御、及び/又はその再現性を改良すること、及び/又は
骨筋腱系が被る運動の制御、及び/又はその再現性を改良すること、及び/又は
掛けられる労力を制限することにより、施術者の活動をより行いやすくすること、及び/又は
施術者の介入なしに、個人が直接使用できるようにすることが含まれる。
【発明の開示】
【0008】
この目的は、ヒト骨筋腱系を動かすための装置を用いて達成されるものであり、本装置は、
膝当て(2)(即ち、少なくとも1つの膝当てであるが、好ましくは単一の膝当てである)と、ここで、前記膝当ては、膝当てにおいてヒトユーザの膝部を保持すべく、その膝部を覆うように配置され、膝当てによって覆われる膝部に対し、可動力を加えるように配置されており、
この可動力は、膝部に圧力を掛け、ユーザの骨盤を支持するように配置された座面に向かって方向付けられるものであり、そして、
この可動力は、膝当てから座面へと導く方向を有するものとする、
可動力の増大手段と、
を備える。
【0009】
当該可動力の方向が可動力作用面内に含まれていると、好ましい。
【0010】
可動力増大手段によって可動力が増大している間に、限定された軌道に従って、座面に対する膝当ての相対運動を抑制するように配置された手段を、本発明による装置がさらに備えていると、好ましい。
【0011】
座面に対する膝部の相対運動を抑制するように配置された手段が、可動力が増大している間に可動力作用面の位置を固定したままにするように配置されていると、好ましい。
【0012】
座面に対する膝部の相対運動を抑制するように配置された手段が、可動力が増大している間に可動力の方向を固定したままにするように配置され得る。
【0013】
当該可動力増大手段は、
膝当てに装着されており、骨盤が座面上にあるときにユーザが手動で牽引することができる把持要素、並びに/又は
座面に向かって膝当ての復元力を加えるばねなどの復元手段、及び当該復元力の補償手段、並びに/又は
足掛けであって、膝当てに装着されており、当該ユーザとは別の施術者の足部を受け取り、施術者によって前記足掛けに加えられる力を増大させることによって、可動力を増大させるように配置された前記足掛け、並びに/又は
膝当ての牽引力によって膝当てに装着された膝部に対し、又は座面に対し、可動力を加えるように配置された座面台(例えば、施術者の手部若しくは足部若しくは膝部若しくは臀部によって、又はモータによって、又はユーザが自身の手部、又は膝部の一部であり、膝当てに装着されていない自身の足部を動かすことによって駆動するレバーアームを形成する)、及び/又は
前記膝当てに装着された重り、及び、好ましくは、摺動面であって、重力効果によって、ユーザの膝部に対し当該摺動面に沿った前記重り及び膝当ての落下を案内するように配置された前記摺動面、及び/又は
膝当てに装着されており、座面との隅角部を形成する受け面、及び膝当てと当該隅角部との間の距離調整手段、並びに/又は
膝当ての内側に配置され、膝当てと膝部との間に配置されるように設けられた境界面の体積増加手段、並びに/又は
座面上に配置され、座面と骨盤との間に配置されるように設けられた境界面の体積増加手段と、
を備え得る。
【0014】
可動力増大手段は、膝当てと座面との間の距離を縮小しながら、この可動力を増大させるように配置され得る。
【0015】
可動力増大手段は、膝当てと、座面に接線方向に沿う平面との間の距離を拡大しながら、この可動力を増大させるように配置され得る。
【0016】
本発明による装置は、
膝当て若しくは膝当てに装着される要素を、
座面若しくは座面に装着される要素に接続する、少なくとも1つの連結要素を備え得る。
【0017】
当該少なくとも1つの連結要素は、少なくとも1本のストラップ又はロッドを含み得る。
【0018】
本発明による装置は、少なくとも1つの連結要素に沿って(伸張時かつ/又は圧縮時において)弾力を持つ、少なくとも1つの復元手段を備え得、当該復元手段は、膝当てを座面に接続する機械的連結部に沿って、所与の剛性を有する。
【0019】
本発明による装置は、様々な復元手段からの少なくとも1つの復元手段を、異なる剛性に置き換えるための手段、及び/又は少なくとも1つの復元手段の剛性変動手段を備え得る。
【0020】
本発明による装置は、座面上又は座面に装着された要素上に、膝当てのピボットピンを備え得、少なくとも1つの連結要素は、膝当ての当該ピボットピンを膝当てに接続して、当該ピボットピンを中心として枢動するように配置されており、これによって当該ピボットピンを中心として膝当てを枢動させている。
【0021】
本発明による装置は、ピボットピンに対してユーザの骨盤位置をオフセットすることができるように配置された、境界部又はストッパを備え得る。
【0022】
可動力増大手段は、膝当てのピボットピンが骨盤に対する膝部の回転中心点に対してオフセットされるように、ピボットピンを中心として膝当てを枢動させることで、この可動力を増大させるように配置され得る。
【0023】
少なくとも1つの連結要素は、膝当てに装着された非伸張性かつ/又は非圧縮性ロッドを含み得、可動力増大手段は、当該非伸張性かつ/又は非圧縮性ロッドを、ピボットピンを中心として枢動させることにより、この可動力を増大させるように配置されている。
【0024】
少なくとも1つの連結要素は、膝当ての左右両側をピボットピンに沿って配置された2つの固定点に接続する2本のストラップを含み得、可動力増大手段は、ピボットピンを中心として当該ストラップを枢動させることにより、この可動力を増大させるように配置されている。
【0025】
本発明による装置は、ピボットピンを中心としたその回転中に、膝当てに作用するレバーアームを修正するように配置された手段を備え得る。
【0026】
可動力増大手段は、少なくとも1つの連結要素の短縮手段を備え得る。
【0027】
座面が、好ましくは本発明による装置の一部を形成しており、かつ
(ユーザの骨盤用の)座部、及び/又は(ユーザの背中用の)背もたれ、並びに/又は
椅子若しくは肘掛け椅子の背もたれ、並びに/又は
治療台若しくはマッサージ台、並びに/又は
ベッド及び/又は全身体載置面
を備える。
【0028】
膝当ては、
膝部の膝蓋骨と接触するように意図された中央領域、及び膝部の膝蓋骨を取り囲むように意図され、中央領域よりも高い剛性を有する周辺領域、又は
膝部の膝蓋骨に位置するように意図された空の中央領域、及び膝部の膝蓋骨を取り囲むように意図された周辺領域
を備え得る。
【0029】
膝当ては、装着された2つの膝当てのセットの一部を形成し得る。
【0030】
本発明による装置は、可動力の値を測定するためのシステムを備え得る。
【0031】
本発明による装置は、得られた可動力の値をユーザに通知する情報手段(ディスプレイ、又は音声などによって)を備え得る。
【0032】
本発明による装置は、具体的には安全に使用されるようにする目的で、加えられる可動力を制限する手段を備え得る。
【0033】
膝当て及び/又は座面は、弾力を持つ(伸張時かつ/又は圧縮時において)少なくとも1つの復元手段を備え得、当該復元手段は、膝当てから座面に向かって作用する可動力に影響を及ぼすように構成された、所与の剛性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の他の利点及び特徴は、決して限定的ではないこれらの実施形態及び実施態様の詳細な説明を読解すると、以下の添付図面から明らかになるであろう。
【
図1】本発明による装置の第1の実施形態を示す概略側面図である。
【
図2】本発明による装置の第2の実施形態を示す概略側面図である。
【
図3】本発明による装置の第3の実施形態を示す概略側面図である。
【
図4】本発明による装置の第4の実施形態を示す、異なる概略図a)(正面図)、b)(側面図)を含む。
【
図5】本発明による装置の第5の実施形態を示す概略側面図である。
【
図6】本発明による装置の第6の実施形態を示す概略側面図である。
【
図7】本発明による装置の第7の実施形態を示す概略側面図である。
【
図8】本発明による装置の第8の実施形態を示す概略図である。
【
図9】本発明による装置の第9の実施形態を示す概略側面図である。
【
図10】本発明による装置の第10の実施形態を示す、異なる概略図a)、b)を含む。
【
図11】本発明による装置の第11の実施形態を示す、異なる概略図a)、b)を含む。
【
図12】本発明による装置の第12の実施形態を示す、異なる概略図a)、b)を含む。
【
図13】本発明の好ましい実施形態である、本発明による装置の第13の実施形態を示す、異なる概略側面図a)、b)を含む。
【
図14】本発明による装置の第13の実施形態を示す斜視図である。
【
図15】本発明による装置の第13の実施形態の変形形態を示す概略側面図である。
【
図16】本発明による装置の第13の実施形態の変形形態を示す斜視図である。
【
図17】本発明による装置の第13の実施形態の変形形態を示す、異なる概略側面図a)、b)、c)、d)を含む。
【
図18】本発明による装置の第13の実施形態の変形形態を示す、異なる概略側面図a)、b)、c)を含む。
【
図19】本発明による装置の第14の実施形態を示す斜視図である。
【
図20】本発明による装置の第14の実施形態を示す、異なる概略正面図a)、b)、c)を含む。
【
図21】本発明による装置の第15の実施形態を示す斜視図である。
【
図22】本発明による装置の第15の実施形態を示す、異なる概略正面図a)、b)、c)を含む。
【
図23】本発明による装置の第16の実施形態を示す概略正面図である。
【
図24】本明細書に記載の本発明による装置の実施形態のいずれかに設けることができる、膝当ての概略側面図である。
【
図25】本発明による装置の第17の実施形態を示す斜視図である。
【
図26】本発明による装置の第17の実施形態を示す概略側面図である。
【
図27】本発明による装置の第17の実施形態を示す概略側面図である。
【
図28】本発明による装置の第17の実施形態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
これらの実施形態は決して限定的ではないため、本発明の変形形態は、具体的には、特徴をこのように選択することで技術的利点をもたらすか、又は従来技術の状態に対して本発明を差別化するのに十分である場合、記載又は図示される他の特徴から切り離して(この選択が、これらの他の特徴を含む語句内で単独で行われている場合であっても)、以下に記載又は図示される特徴を選択することのみを含むと考えられ得る。こうした選択は少なくとも1つの、好ましくは機能的な、構造的詳細のない特徴を含むか、かつ/又は構造的詳細の一部が、技術的利点をもたらすか、又は先行技術の状態に対して本発明を差別化するのに十分である場合、この構造的詳細の一部のみを有する特徴を含む。
【0036】
装置100の以下の実施形態のすべてにおいて、ヒトユーザの骨筋腱系を(膝部を圧迫することによって)動かすための装置100は、
膝当て2であって、ここで、膝当て2は、ヒトユーザの膝部3上に(少なくとも膝部3の周辺に)支持された膝当て2を保持すべく、かつ/又は膝当て2において膝部3を保持すべく、膝部3を覆うように配置され、膝当て2によって覆われる膝部3に対し、可動力(典型的には、30kgよりも大きく、かつ/又は120kgよりも小さい)を加えるように配置された膝当て2を備え、
この可動力は、膝部3に圧力を掛け、ユーザの骨盤を支持するように配置された座面5に向かって方向付けられるものであり、そして、
この可動力は、膝当て2から座面5へと導く方向を有し、そして可動力作用面4内に含まれている。
【0037】
したがって、当該可動力が、好ましくは骨盤の収縮を発生させるように、膝部を圧迫する力となっている。
【0038】
以下のすべての図の実施形態において示されるように、可動力作用面4が座面5に対して垂直であると好ましい。
【0039】
座面5が平坦であると好ましい。
【0040】
装置100は、好ましくはゼロ値又は低い初期値から、可動力を(好ましくは漸次的に、又は連続的に)増大させる手段6(典型的には、膝当て2の重量、その重量がユーザの膝部3に載ることになる他の要素の存在、又はとりわけ本装置の初期配置に起因する一定の初期張力)をさらに備える。この初期張力は、ある設計では、膝当てが最適に位置決めされるように、そして、可動力の配分がより効果的であるように、本装置における10N~300N程度の一定のプレテンション力による作用を含み得る。このプレテンション力は、例えば、ベストモードの各調整ラックの爪を作動させることによって、又は
図10~
図13の設計におけるストラップの長さを全体的に調整するための構成要素を配置することによって、手動で生成されている。
【0041】
装置100は、手段7であって、可動力増大手段6によって可動力が増大している間に、この手段7によって限定された軌道に従って、座面5に対する膝当て2の相対運動を抑制するように配置された手段7、をさらに備える。
【0042】
可動力作用面4の位置は、軌道が限定されている間に変動し得る。
【0043】
座面5は、ユーザの骨盤を受け止めるように意図された限定領域である。
【0044】
以下のすべての実施形態において、座面5に対する膝当て2の相対運動は、膝当て2が移動することによって示される。これらの実施形態の各々は、膝当て2及び/又は座面5が動くことができるように、膝当て2及び座面5の可動性を逆転又は変動させることによって修正され得る。
【0045】
座面5は装置100の一部を、例えば以下の形態で形成しており、これらは即ち、
(ユーザの骨盤用の)座部、及び/又は(ユーザの背中用の)背もたれ、並びに/又は
椅子若しくは肘掛け椅子の背もたれ(
図1、
図2、
図5、
図6、及び
図7に図示)、又は
マットレス若しくは台若しくはベッド(
図3、
図4、及び
図8~
図23及び
図25~
図28に図示)である。
【0046】
一変形形態では、座面5は装置100の一部を形成しておらず、装置100は、装置100を座面5に固定するように配置された、固定手段(例えば、掴み具のシステム)を備える。
【0047】
「覆う」とは、膝部3の形状(典型的には、少なくとも3cmの曲率半径に従って)に成形されるように(膝当てが変形するか否かによって)膝当て2を配置する(少なくとも、典型的には20kgの一定の閾値を超える可動力が作用している間に)ことにより、膝当て2が膝部3と接触して膝部3を覆っているときに、膝部が膝当て2から横方向に(即ち、可動力の方向に対して垂直に)滑り落ちるのを阻止するようにすることを意味する。
【0048】
このことが、すべての図に示されている実施形態の各々において必ずしも例示されていなくても、膝当て2及び/又は座面5は、弾力を持つ(伸張時かつ/又は圧縮時において)少なくとも1つの復元手段111を備え得る。
【0049】
各復元手段111は、膝当て2から座面5に向かって作用する可動力に影響を及ぼすように構成された、所与の剛性を有する。例えば座面5を、ばねが装填されたマットレスとすることができ、かつ/又は膝当て2は、弾性材料で作製され得、かつ/又はこれにばねを装備することもできる。
【0050】
当該設計では、単一の復元手段111を有する設計についてここで説明することになり、より具体的には、
図1、
図2、
図3、
図5、
図6、
図7及び
図8、並びに
図19~
図22の形式の設計では、以下の復元手段を用いて試行が行われており、これは即ち、
非常に弾性が高いために、虚弱かつ/又は敏感かつ/又は小柄な患者に適したアセンブリであり、ここで、
初張力F°、即ち、ばねの最初の変形を得るために加えられるべき最小力は、254Nに相当し、
ばねの剛性係数Rは、1.84N/mmに相当する。
【0051】
この装備では、伸張性連結要素の極めて大きな伸張を伴う使用状況が頻繁に認められている。患者は、当該伸張が20mm~50mmの値に到達したときに、筋肉を伸展させることを止める。
【0052】
ここで、20mmの伸張は、(F°+(R*20))=290Nの印加力に相当する。
【0053】
50mmの伸張は(F°+(R*50))=346Nの印加力に相当し、この力はより大きなものであるが、患者に対するリスクがほとんどないという意味で、依然として極めて合理的な力である。
【0054】
非常に剛性が高いために、体調が良い患者に適したアセンブリであり、ここで、
初張力F°、即ち、ばねの最初の変形を得るために加えられるべき最小力は、800Nに相当し、
ばねの剛性係数Rは、55.8N/mmに相当する。
【0055】
この装備では、伸張性連結要素の極めて小さな伸張を伴う使用状況が頻繁に認められている。患者は、当該伸張が10mm~15mmの値に到達したときに、筋肉を伸展させることを止める。
【0056】
この10mmの伸張は、ばねに加えられる(F°+(R*10))=1358Nの力に相当し、この力は、既に高いと評価される圧力に相当するものである。
ここで、15mmの伸張は、ばねに加えられる(F°+(R*15))=1637Nの力に相当する。
【0057】
第1のアセンブリは最も虚弱な患者によく適していると考えられ得、第2のアセンブリは非常に体調が良い患者によく適していると考えられ得るが、ここで最も重要なことは、膝部に加えられる圧力の範囲であると理解されたく、当該範囲は、典型的には300N~1600Nである。
【0058】
したがって、復元手段111の剛性は、典型的には0.5N/mmよりも大きく、かつ/又は70N/mmよりも小さい。
【0059】
「伸張時に弾力を持つ」要素が本明細書において、その長さ(好ましくは、可動力に対して平行である)に対して平行な100kgの牽引力を受けたときに、その初期長の1%超だけ(好ましくは、10%超だけ)伸張する要素を意味していると、好ましい。
【0060】
「圧縮時に弾力を持つ」か、又は「圧縮性の」要素が本明細書において、その長さ(好ましくは、可動力に対して平行である)に対して平行な100kgの圧縮力を受けたときに、その初期長の1%超だけ(好ましくは、10%超だけ)短縮する要素を意味していると、好ましい。
【0061】
「非伸張性の」要素が本明細書において、その長さ(好ましくは、可動力に対して平行である)に対して平行な100kgの牽引力を受けたときに、その初期長の1%超だけ伸張することのない要素を意味していると、好ましい。
【0062】
「非圧縮性の」要素が本明細書において、その長さ(好ましくは、可動力に対して平行である)に対して平行な100kgの圧縮力を受けたときに、その初期長の1%超だけ短縮することのない要素を意味していると、好ましい。
【0063】
図2、
図4、
図6、及び
図8~
図23及び
図25~
図28の特定の場合において、装置100は、
膝当て2若しくは膝当て2に装着される要素を、
座面5若しくは座面5に装着される要素に接続する、少なくとも1つの連結要素9を備える。
【0064】
少なくとも1つの連結要素9は、典型的には少なくとも1本のストラップ又はロッドを含む。このことが必ずしも図示されていなくても、当該設計の大部分において、具体的には
図3、
図4、
図6、及び
図8~
図23及び
図25~
図28の実施形態の各々において、伸張時に、かつ/又は圧縮時に弾力を持つ少なくとも1つの復元手段11を、少なくとも1つの連結要素9に沿って配置することができ、当該復元手段11は、膝当て2又は膝当て2に装着される要素を、座面5又は座面5に装着される要素に接続する機械的連結部に沿って、所与の剛性又は弾性を有する。
【0065】
したがって、手段111で説明したように、各復元手段11の剛性は、典型的には0.5N/mmよりも大きく、かつ/又は70N/mmよりも小さい。
【0066】
これらの手段11は漸進性をもたらす効果を有し、当該効果は使いやすさや安全性を付与するものであり、その一方で具体的には、膝当て2によって膝部3に加えられる可動力が急激に増大したり、かつ/又は過度に高い値で増大したりすることを回避している。
【0067】
これらの手段11は、とりわけ自己による使用中に装置100が安全に使用されるようにする目的で、加えられる可動力を制限する手段として機能し得る。例えば、1.84N/mmに相当する単一ばねの剛性係数を有する前述のアセンブリでは、50kgを超える力を得るのは困難であり、これはなぜなら、もはや50mmではなく130mmのばねの伸長が必要になるためであり、したがってこうしたことが起こる可能性は低く、あるいはユーザ及び施術者によって容易に回避され得る。
【0068】
その結果、装置100が、好ましくは様々な復元手段11からの少なくとも1つの復元手段11を、異なる剛性及び/又は弾性に置き換える13ための手段(こうした安全性を、ユーザの個々のプロファイル又は個々の形態に適合させるための)、及び/又は少なくとも1つの復元手段11の剛性変動手段14を備える。
各連結要素9は、
図2の場合、伸長時に弾力を持ち、かつ圧縮時にも弾力を持つ(ばね)であり、
図6の場合、非伸張性であり、かつ非圧縮性である(場合によっては、衝撃吸収クッションなどの圧縮性領域2を備えた)(パネル)であり、
図4、
図8、
図9、
図10、
図11、
図12、
図13~
図18及び
図23及び
図25~
図28の場合、復元手段11を有しない場合に非伸張性である一方、圧縮性であり、復元手段11が設けられている場合は、伸張時に弾力を持ち、かつ圧縮性である(ストラップ)であり、
図19~
図22の場合、復元手段11を有しない場合に非伸張性であり、かつ非圧縮性であり、復元手段11が設けられている場合は、伸張時に弾力を持ち、圧縮時にも弾力を持つ(ロッド)である。
【0069】
図1~
図5及び
図8~
図12を参照しながら、装置100の第1の実施形態群についてまず説明する。
【0070】
図1~
図5及び
図8~
図12の実施形態では、座面5に対する膝部3の相対運動を抑制するように配置された手段7は、ユーザの正中面(即ち、ユーザの矢状面における)に平行な可動力作用面4の位置を、可動力の増大中に固定したままにし、より正確には、可動力の増大中に、可動力の方向を固定したままにするように配置されている。この固定された可動力の方向が、座面5に対して垂直であり、かつ大腿骨の軸線内にあると好ましい。
【0071】
可動力が座面5に対して垂直でない場合、ユーザは、座面5に平行に加えられる力の成分を感じることになる。このことにより、当該成分が発生させる張力によって身体的な不快感が生じる可能性があり、座面5に平行な成分が大きい場合には、この現象を防止するためにくさびシステムが設けられない限り、座面5上を滑動することによって起こる患者身体のずれを招く恐れがある。このために、本発明による装置が、好ましくは、座面5上の骨盤の滑動を阻止するように配置された、そのようなくさび手段を備える。この点は、可動力が矢状面内にある場合に真となり、可動力が矢状面内にない場合も真のままとなる。
【0072】
可動力がその方向として大腿骨の軸線を有しない場合、ユーザは、加えられると膝部を引き上げたり引き下げたりする大腿骨の運動を誘発する、力の成分を感じることになる。患者は、脚部の筋肉を動かすことによってこの力に抵抗できる可能性があるが、こうした抵抗は、患者が筋肉を弛緩させる必要のある、ここで求められるストレッチングにとって好ましいとは言えない。この点は、可動力が矢状面内にある場合に真となり、可動力が矢状面内にない場合も真のままとなる。
【0073】
ユーザの「正中面」は、ユーザの身体の左半身を右半身から分かつ平面であり、また、好ましくは(身体に沿って、腕部と共に右半身を伸展させたときに)実質的に、この身体の対称面である。この面は、すべて正中面に平行な無数の「矢状面」のうちの1つである。
【0074】
可動力増大手段6は、膝当て2と座面5との間の距離を縮小しながら、この可動力を増大させるように配置されている。
【0075】
限定された軌道に従って、座面5に対する膝当て2の相対運動を抑制するように配置された手段7は、膝当て2による座面5の方向への並進運動に従って、座面5に対する膝当て2の相対運動を抑制するように配置されている。
【0076】
【0077】
図1を参照すると、装置100の第1の実施形態では、可動力増大手段6は、膝当て2に装着されており、ユーザの骨盤が座面5上にあるときにユーザが手動で牽引することにより、膝当て2を座面に向かって牽引することができる把持要素(レバー又はハンドルなどである)を備える。
【0078】
座面5に対してユーザの骨盤を固定する補強材24が配置されている。
【0079】
座面5は装置100の一部を形成しており、椅子又は肘掛け椅子の背もたれを備える。
【0080】
手段7は、固定されたままである作用面4に対して平行に膝当て2が一回転のみ行えるようにする、ピボット継手を含む。
【0081】
例えば、ピボット継手7と膝当て2との間に接合部又は変形可能な平行四辺形部を備える機構(図示せず)により、座面5に対して垂直に行われる膝当て2の運動をさらに抑制することができる。しかしながら、一変形形態では、力の作用方向は厳密には一定でなく、数度以内、典型的にはプラスマイナス15度座面5に対して、依然として実質的に垂直のままとなる。
【0082】
図2を参照しながら、装置100の第2の実施形態の中で、
図1の第1の実施形態との差異に関してのみ説明する。
【0083】
可動力増大手段6は、膝当て2から座面5に向かって復元力を加えるばねなどの復元手段と、膝当て2に装着されており、ユーザの骨盤が座面5上にあるときにユーザが手動で押圧することにより、この復元力を手動で補償することができる把持手段(レバー又はハンドルなどである)とを備える。漸減的に押圧することによって、又は牽引することによって、可動力が増大していく。
【0084】
当該復元手段(典型的にはばね形式の)は、
膝当て2若しくは膝当て2に装着される要素を、
座面5若しくは座面5に装着される要素に接続する連結要素9を形成している。
【0085】
図3を参照すると、装置100の第3の実施形態では、可動力増大手段6は、足掛け26であって、膝当て2に装着されており、当該ユーザとは別の施術者の足部を受け取り、施術者によって足掛け26に加えられる力を増大させることによって、可動力を増大させるように配置された足掛け26、を備える。
【0086】
当該効果は、レバーアーム型の機械システムによって低減され得る(例えば、施術者が施す重量が、加えるべき可動力よりも少ない場合)。
【0087】
装置100が、力を適切に付与するための漸進性をもたらすように、徐々に増大する力を連続的に加えることにより、所望の可動力を蓄積するための手段(例えば、ラック形式及び/又は爪形式の)を備えていると、好ましい。
【0088】
座面5は装置100の一部を形成しており、台又はベッドを備える。
【0089】
手段7は、膝当て2を足掛け26に接続する部分25の動きを案内するように配置された、ガイド27を含む。例えば、このガイド27は、座面5に対して垂直に延在する中空管であり、また、膝当て2を足掛け26に接続する連結部25は、座面5に対して垂直な中空管27の内部にある摺動ピンである。
【0090】
装置100は、連結部25に沿って(伸張時かつ/又は圧縮時において、また少なくとも伸張時に)弾力を持つ、少なくとも1つの復元手段11(図示せず)を備え得、当該復元手段11は、膝当て2を足掛け26に接続する機械的連結部25に沿って、所与の剛性又は弾性を有する。
【0091】
各復元手段11の剛性は、典型的な値である。
【0092】
具体的には
図5、
図9、
図10、
図13、
図14~
図18、
図21、
図23に適合された同一の復元手段11をそれぞれ備えた、2つの連結要素9を有する設計が代わりに選択され、
図25~
図28の設計に対して以下の復元手段を用いて試行が行われており、これは即ち、
非常に弾性が高いために、虚弱かつ/又は敏感かつ/又は小柄な患者に適したアセンブリであり、ここで、
初張力F°、即ち、ばねの最初の変形を得るために加えられるべき最小力は、127Nに相当し、
ばねの剛性係数Rは、0.92N/mmに相当する。
【0093】
この装備では、伸張性連結要素の極めて大きな伸張を伴う使用状況が頻繁に認められている。患者は、当該伸張が20mm~50mmの値に到達したときに、筋肉を伸展させることを止める。
ここで、20mmの伸張は、2つのばねに加えられる2*(F°+(R*20))=290Nの印加力に相当する。
【0094】
50mmの伸張は、2つのばねに加えられる2*(F°+(R*50))=346Nの印加力に相当し、この力はより大きなものであるが、患者に対するリスクがほとんどないという意味で、依然として極めて合理的な力である。
【0095】
非常に剛性が高いために、体調が良い患者に適したアセンブリであり、ここで、
初張力F°、即ち、ばねの最初の変形を得るために加えられるべき最小力は、400Nに相当し、
ばねの剛性係数Rは、27.9N/mmに相当する。
【0096】
この装備では、伸張性連結要素の極めて小さな伸張を伴う使用状況が頻繁に認められている。患者は、当該伸張が10mm~15mmの値に到達したときに、筋肉を伸展させることを止める。
【0097】
この10mmの伸張は、2つのばねに加えられる2*(F°+(R*10))=1358Nの印加力に相当し、この力は、既に高いと評価される圧力に相当するものである。
15mmの伸張は、2つのばねに加えられる2*(F°+(R*15))=1637Nの印加力に相当する。
【0098】
第1のアセンブリは最も虚弱な患者によく適していると考えられ得、第2のアセンブリは非常に体調が良い患者によく適していると考えられ得るが、ここで最も重要なことは、膝部に加えられる圧力の範囲であると理解されたく、当該範囲は、典型的には300N~1600Nとなり得る。ばね特性を選択するのも有用であるが、そのばね特性を、圧力を発生させるように使用する。例えば、非常に虚弱な人は、著しい伸張を生じさせない姿勢で27.9N/mの剛性を有するばねを備える第2の装置を使用することができ、したがって受ける圧力を、300N又は400Nのみとすることができる。
【0099】
さらなる例示として、提案している第2のアセンブリよりも少し剛性の高いばねを、体調が良い患者の集団に対して選択することができ、ここで、
初張力F°は、400Nではなく510Nに相当し、
ばねの剛性係数Rは、27.9N/mmではなく31.8N/mmに相当する。
【0100】
この装備では、最長5mmまで伸張する軌道を使用する患者は、(2つのばねに対して)2*(F°+(R*5))=1338Nに相当する力を加えることになり、最長10mmまで伸張する軌道を使用する患者は、(2つのばねに対して)2*(F°+(K*10))=1656Nの力を加えることになる。
【0101】
ここで得られる力の値は、前出のばね対について得られた力と極めて類似していることが分かる。少し小さい圧力を加える軌道では、少し剛性の高いばねを使用する場合の補償を単に行っている。
【0102】
最後に、そのような復元手段11の使用は任意選択であり、当該ユーザが圧力の加え方を把握していると仮定して、膝部に張力を直接加えることができる点に留意されたい。
したがって、各復元手段11の剛性は、典型的には0.5N/mmよりも大きく、かつ/又は70N/mmよりも小さい。
【0103】
装置100は、後述する第13、第14、第15又は第16の実施形態と同じ原理を適用して、様々な復元手段からの少なくとも1つの復元手段11を、異なる剛性に置き換えるための手段(図示せず)、及び/又は少なくとも1つの復元手段11の剛性変動手段(図示せず)を備え得る。この手段は例えば、いくつかの交換可能なばねのセット及び/又は力の調整が可能なばねを含み得る。
【0104】
図4を参照すると、装置100の第4の実施形態では、座面5は装置100の一部を形成しており、台又はベッドを備える。
【0105】
装置100は、
膝当て2若しくは膝当て2に装着される要素を、
座面5若しくは座面5に装着される要素に接続する、少なくとも1つの連結要素9を備える。
【0106】
少なくとも1つの連結要素9は、膝当て2又は膝当て2に装着される要素を、座面5又は座面5に装着される要素に接続する、少なくとも1本のストラップ、好ましくは2本のストラップ又はさらには4本のストラップを含む。これらの2本又は4本のストラップはそれぞれ、膝当て2の2つの対向側部に懸架されている(膝当て2の各側にストラップを1本ずつ設けるか、又は、各側、即ち、ユーザの正中面に対してユーザの右側又は左側に、一対のストラップを設けている)。
【0107】
可動力増大手段6は、連結要素9のうちの少なくとも1つ又は各連結要素9の短縮手段12、より正確にはストラップのうちの少なくとも1本又は各ストラップの短縮手段12を備える。これらの手段12は、典型的には、各ストラップ又は数本のストラップに共通の巻取機(例えば、典型的にはクランクを有する手動巻取機)を含む。
図4の場合、各ストラップには、これら2本のストラップの張力の均衡をとるための巻取機が装備されている。
【0108】
2本のストラップ又は二対のストラップは、膝当て2によってその膝部3が覆われているユーザの矢状面(当該矢状面は膝当て2を通っている)の左右にそれぞれ牽引するように配置されている。
【0109】
手段7は2本のストラップ又は二対のストラップを含み、これらのストラップは、ユーザの正中面に平行な固定作用面4の内側の可動力を維持するように、膝当て2の左右にバランスよく牽引するよう配置されている。
【0110】
4本のストラップ(図示せず)を用いる好ましい事例では、ユーザの矢状面(当該矢状面は膝当て2を通っている)の左右にそれぞれ牽引されるストラップの各対は、ユーザの当該矢状面に平行に、前方及び後方にバランスよく牽引するように配置された、2本のストラップを含む。
【0111】
なお、4本のストラップを使用することにより、力の方向が大腿骨の軸線内にない場合であっても、患者に筋肉を使用して姿勢を保持するように強いることは一切なく、限定された軌道に従って膝当てを動かすことができる。
図5を参照すると、装置100の第5実施形態では、座面5は装置100の一部を形成しており、椅子又は肘掛け椅子の背もたれを備える。
可動力増大手段6は、
膝当て2に装着された重りと、
摺動面とを備え、ここで、前記摺動面は、重力効果によって、ユーザの膝部3に対し、摺動面に沿った重り及び膝当て2の落下を案内するように配置された摺動面とを備える。ユーザは、手部又は他の脚部若しくは専用の機構を用いて、この落下を阻止することができる。
【0112】
手段7は、ガイド、例えば、直線スライド(好ましくは、摺動面上に配置される)を含み、また好ましくは直線軌道に従って、作用面4に平行に行われる膝当て2の運動を抑制するように配置されている。
【0113】
図8を参照しながら、装置100の第8の実施形態の中で、
図4の第4の実施形態との差異に関してのみ説明する。
【0114】
本第8の実施形態では、一方のストラップ9にのみ巻取機12が装備され、他方のストラップ9にはばね11が装備されている。これらの2本のストラップは、膝当て2の左右にこれら2本のストラップをバランスよく牽引するために、巻取機が当該ストラップに同時に作用することで、固定作用面4の内側の可動力をユーザの正中面に対して平行に保つように、互いに付着しており、かつ互いに一続きになっている。
【0115】
図9を参照しながら、装置100の第9の実施形態の中で、
図8の第8の実施形態との差異に関してのみ説明する。
【0116】
本実施形態では、各ストラップ9は座面5ではなく、座面5に装着されており、各ストラップ9の長さを短縮するように配置された要素16に接続されている。
【0117】
各要素16は、
膝部3の側方運動を遮断し、これにより固定作用面4に平行な膝当て2の相対運動を抑制するように、かつ/又は
ストラップの固定点を座面5よりも高くする(即ち、膝当て3により近接させている)ことで、膝当て2の不安定性を低減できるように配置されている。
【0118】
本実施形態では、他の実施形態と同様に、連結要素のうちの少なくとも1つの短縮手段が電動化され得る。
【0119】
図10を参照しながら、装置100の第10の実施形態の中で、
図4の第4の実施形態との差異に関してのみ説明する。
【0120】
本実施形態では、可動力増大手段6は、膝当て2の内側に配置され、かつ膝当て2と膝部3との間に配置されるように設けられた境界面の体積増加手段を備える。
このために膝当て2は、
膝当て2内に配置され、かつ膝当て2と膝部3との間に配置されるように設けられた膨張クッションと、
当該膨張クッションを膨張させるように配置された、手押しポンプ若しくは指押しポンプ、又は電動ポンプなどの膨張手段と
を備える。
【0121】
図10の分図a)は、膨張していないクッションの概略図を示し、
図10の分図b)は膨張過程にあるクッション、したがって、可動力が増大中のクッションを示す。
【0122】
図11を参照しながら、装置100の第11の実施形態の中で、
図4の第4の実施形態との差異に関してのみ説明する。
【0123】
本実施形態では、可動力増大手段6は、膝当て2の内側に配置され、かつ膝当て2と膝部3との間に配置されるように設けられた境界面の体積増加手段を備える。
このために、膝当て2は、
膝当て2内に配置され、かつ膝当て2と膝部3との間に配置されるように設けられ、好ましくは逆流防止システム(例えば、空気圧システム用のラック又はバルブである)を備えた可動ピストン又はエンドレススクリューなどと、
当該ピストンを膝部3の方向に押圧するように配置された、スライドなどの変位及び/又は案内手段と
を備える。
【0124】
図11の分図a)は、その初期位置にあるピストンを示し、
図11の分図b)は、膝部3に対して変位する過程にあるピストン、したがって可動力が増大中のピストンを示す。
【0125】
図12を参照しながら、装置100の第12の実施形態の中で、
図4の第4の実施形態との差異に関してのみ説明する。
【0126】
本実施形態では、可動力増大手段6は、座面5上に配置され、かつ座面5と骨盤との間に配置されるように設けられた境界面の体積増加手段を備える。
このために、装置100は、
座面5上に配置されたクッションと、
当該クッションを膝当てに向かってそれぞれ膨張させたり、又は変位させたりするように配置された、膨張手段(例えば、手押しポンプ若しくは指押しポンプ若しくは足踏みポンプ、又は電動ポンプなどの空気圧式手段である)及び/又は変位手段(例えば、エンドレススクリュー又はレバーアーム又はカム作用による)と
を備える。
【0127】
図12の分図a)は、膨張していないクッションを示し、
図12の分図b)は膨張過程にあるクッション、したがって、可動力が増大中のクッションを示す。
【0128】
【0129】
【0130】
図6及び
図13~
図23及び
図25~
図28の実施形態では、座面に対する膝部の相対運動を抑制するように配置された手段7は、ユーザの正中面に平行な可動力作用面4の位置を、可動力の増大中に固定したままにする一方で、可動力の増大に比例して可動力の方向が漸進的に変化できるようにし、可動力の増大中に、可動力の方向を固定したままにしないように配置されている。
【0131】
【0132】
作用面4は、座面5に対して垂直である。
【0133】
座面5は装置100の一部を形成しており、台又はベッドを備える。
【0134】
当該可動力は、座面5に垂直な直線に対して、プラスマイナス30°平行な方向を有する。
【0135】
当該可動力は、座面5に垂直であり、軸線8又は軸線30を通る直線と角度βを成す方向を有し、βは、
(
図13に示すように)座面5に垂直な当該直線に対してユーザの足部側の傾斜直線によって可動力が伝わる場合は、正となり、
(
図15に示すように)座面5に垂直な当該直線に対してユーザの頭部側の傾斜直線によって可動力が伝わる場合は、負となる。
【0136】
この角度βの値は、可動力の増大中に減少する。
【0137】
この角度βの値は、
最初はゼロ又は僅少な値の可動力に対して30°以下となり、かつ/又は
好ましくは、その最終値が、膝当て2の軌道にわたる可動力の最大値に対して、30°以下かつ/又は-30°以上(このため、例えばゼロに等しい)となる。
【0138】
可動力増大手段6は、当該可動力を増大させるように配置されている一方で、
βが正であるとき、膝当て2と座面5又は座面5に接線方向に沿う平面17との間の距離18を拡大し、
βが負であるとき、膝当て2と座面5又は座面5に接線方向に沿う平面17との間の距離18を縮小するように配置されている。
【0139】
膝当て2と座面5又は座面5に接線方向に沿う平面との間の距離18とは、膝当て2の規定点を座面5又は座面5に接線方向に沿う平面に接続する最短セグメントの距離18、即ち、膝当て2のこの規定点から座面5又は座面5に接線方向に沿う平面への垂直投影に沿った距離を意味する。
【0140】
可動力増大手段6は、角度βを減少させながら、この可動力を増大させるように配置されている。
【0141】
限定された軌道に従って、座面5に対する膝当て2の相対運動を抑制するように配置された手段7が、好ましくは座面5に平行な回転軸線8を中心とした膝当て2の回転運動に従って、座面5に対する膝当て2の相対運動を抑制するように配置されている。
【0142】
装置100は、
膝当て2若しくは膝当て2に装着される要素を、
座面5若しくは座面5に装着される要素に接続する、少なくとも1つの連結要素9を備える。
【0143】
少なくとも1つの連結要素9は、少なくとも1本のストラップ又はロッドを含む。
【0144】
装置100は、座面5上又は座面5に装着された要素上に、膝当て2のピボットピン8を備え、少なくとも1つの連結要素9は、ピボットピン8を膝当て2に接続して、ピボットピン8を中心として枢動するように配置されており、これによってピボットピン8を中心として膝当て2を枢動させている。
【0145】
ピボットピン8を、機械的ピボット若しくは多節リンク、又は簡易のストラップのステープル点とすることができる。
【0146】
装置100は、ピボットピン8に対してユーザの骨盤位置をオフセットすることができるように配置された、境界部又はストッパ10を備える。
【0147】
可動力増大手段6は、座面5に接線方向に沿う平面上への投影において、膝当て2のピボットピン8が骨盤に対する膝部3の回転中心点30に対して(典型的には少なくとも5cmだけ)オフセットされるように、ピボットピン8を中心として膝当て2を枢動させることによって、当該可動力を増大させるように配置されている。
【0148】
図13~
図18を参照すると、装置100の第13の実施形態では、少なくとも1つの連結要素9は、膝当て2の左右両側をピボットピン8に沿って配置された2つの固定点に接続する2本のストラップ9を含む。各ストラップ9は、座面5又は座面5に装着される要素に膝当て2を接続している。これら2本のストラップ9はそれぞれ、膝当て2の2つの対向側部に懸架されている(膝当ての各側、即ち右側又は左側にストラップを1本ずつ設けている)。
【0149】
可動力増大手段6はピボットピン8を備え、このピボットピン8は、前述したように、座面5に接線方向に沿う平面上への投影において、又はこの座面5が平坦である場合には座面5への投影において、骨盤における大腿骨及び/又は骨盤に対する膝部3の回転中心点30に対してオフセットされる。可動力増大手段6は、ピボットピン8を中心として要素9(ストラップ)を枢動させることによって、当該可動力を増大させるように配置されている。
【0150】
2本のストラップは、膝当て2によってその膝部3が覆われているユーザの矢状面(当該矢状面は膝当て2を通っている)の左右にそれぞれ牽引するように配置されている。
【0151】
手段7は2本のストラップを含み、これらのストラップは、ユーザの正中面に平行な固定作用面4の内側の可動力を維持するように、膝当て2の左右にバランスよく牽引するよう配置されている。
【0152】
図13の分図a)は、装置100の使用開始時に対応しており、そのために、可動力がゼロであるか、又は小さい。
【0153】
図13の分図b)は、装置100の使用時に対応しており、ピボット8を中心とした膝当て2の回転が行われているために、可動力が増大していてゼロではない。
【0154】
この回転は、外部の施術者(
図13aにのみ図示されているが、
図13bの場合に置き換えることもできる)が行うことができ、又はユーザ(
図13bにのみ図示されているが、
図13aの場合に置き換えることもできる)が膝当て2に装着された把持手段を使用して、直接行うこともできる。
【0155】
図13の分図b)の場合の距離18は、
図13の分図a)の場合の距離18よりも長くなるが、βは、
図13の分図a)から
図13の分図b)に移行すると減少する。
【0156】
図14を参照して、装置100が、
リクライニング可能な背もたれと、
当該背もたれの上部にあるヘッドレストと、
つま先止めと
を備えることに留意されたい。
【0157】
さらに、装置100は、座面5又は座面5に装着された要素に要素9を固定するためのいくつかの位置19を備え、これにより、ユーザの形態に応じて、ピン8の個々の位置を調整できるようにしている。
【0158】
膝当て2は、接合具、例えばフックを介して要素9によって着脱することができる。
【0159】
図15を参照すると、装置100は、少なくとも1つの連結要素9に沿って(伸張時かつ/又は圧縮時において)弾力を持つ、少なくとも1つの復元手段11を備え、当該復元手段11は、膝当て2を座面5に接続する機械的連結部に沿って、所与の剛性又は弾性を有する。
【0160】
図16を参照すると、装置100は、様々な復元手段11からの少なくとも1つの復元手段11を、異なる剛性及び/又は弾性に置き換える13ための手段、及び/又は少なくとも1つの復元手段11の剛性及び/又は弾性変動手段14を備える。典型的には、膝当て2を要素9(ストラップ)まで懸架できるようにする接合具は、異なる剛性値のために復元手段11をさらに変更できるようにしており、これにより、最低値(子供ユーザ、又は年齢、若しくはストレッチングによって動かした領域に創傷がある場合や外科手術を受けたことによって衰弱したユーザ向けの)から最高値(例えば、とりわけスポーツ選手などの良好な健康状態にある成人ユーザ向けの)まで、加えられるべき可動力の個々の範囲に合わせて本装置を調整できるようになる。
【0161】
各復元手段11は要素9に沿って(
図17b)、又は要素9の端部に(
図16、
図17c)配置され得る。
【0162】
図17を参照すると、膝当て2(
図17a)及び/又は座面5(
図17d)は、弾力を持つ(伸張時かつ/又は圧縮時において)少なくとも1つの復元手段111を備え、当該復元手段は、膝当て2から座面5に向かって作用する可動力に影響を及ぼすように構成された、所与の剛性及び/又は弾性を有する。手段111による作用は手段11による作用と同一である。
【0163】
図18を参照すると、装置100が、好ましくは、ピボットピン8を中心としたその回転中に、膝当て2に適用されるレバーアームを修正するように配置された手段15をさらに備え、そのような追加のストラップは膝当て2に接続され、ピン8を中心としているが、ピン8から一定の非ゼロ距離でこの追加のストラップを摺動させることによって、カム作用をもたらしている。
【0164】
図19~
図20を参照しながら、装置100の第14の実施形態の中で、
図13~
図18の第13の実施形態との差異に関してのみ説明する。
【0165】
少なくとも1つの連結要素9は、膝当て2に装着された(調整可能な長さの)非伸張性かつ/又は非圧縮性ロッドを含む。
【0166】
可動力増大手段6は、ピボットピン8を中心として、非伸張性かつ/又は非圧縮性ロッド9を枢動させることによって、当該可動力を増大させるように配置されている。
【0167】
手段7は、非伸張性かつ/又は非圧縮性ロッド9が作用面4に平行にのみ回転できるようにするピン8を含む。
復元手段11は、ロッド9の内部に組み込まれている。
【0168】
ボタン23は、摺動によって連結要素9の長さ調整を行えるようにしている。調整中に、本装置の上部の重量を補償するために、別のばね20が設けられており、この調整は、ピン8を中心とした回転によって圧力が加わる前に、ユーザの異なる形態に適合させるために、ユーザが膝部に対し圧力をきめ細かく加えることができる程度まで行われる。
【0169】
図21~
図22を参照しながら、装置100の第15の実施形態の中で、
図19~
図20の第14の実施形態との差異に関してのみ説明する。
【0170】
図21を参照すると、ボタン23はもはや底部に位置しておらず、ここではロッド9の上部に位置している。
【0171】
図22を参照すると、装置100は、少なくとも1つの復元手段11の剛性変動手段14を備える。典型的には、個々のアイボルトによって、ばね11の有効長(即ち、ばね11の有効な巻き数である)が定義され、ひいてはその剛性も定義されるようになる。
【0172】
図23を参照しながら、装置100の第16の実施形態の中で、
図13~
図18の第13の実施形態との差異に関してのみ説明する。
【0173】
ボタン23(膝当て2上に配置されている)により、個々のユーザ形態に適合するように、各ストラップ9の長さを調整することができる。
【0174】
装置100が、各復元手段11に対して、当該復元手段11の剛性変動手段14を備えていると、好ましい。典型的には、個々のアイボルトによって、ばね11の有効長(即ち、ばね11の有効な巻き数である)が定義され、ひいてはその剛性も定義されるようになる。
【0175】
図25~
図28を参照しながら、装置100の第17の実施形態の中で、
図13~
図18の第13の実施形態との差異に関してのみ説明する。
【0176】
【0177】
本実施形態の装置100が、2つの要素9を備えていることが分かる。
【0178】
各要素9は、(例えばラックシステムを介して)伸張できない一方、圧縮できる。
【0179】
左右それぞれにある各要素9は、ユーザの膝部の左右それぞれに膝当て2が装着されるように配置されるよう、膝当て2に順に接続され得る。
【0180】
本実施形態の装置100が2つの方向付け可能なパドル31を備え、各パドル31が、ピン8を中心とした膝当て2の回転中に大腿部との接触を維持しながら、ユーザの当該大腿部の左右それぞれに対して、傾斜を調整することができる支持面を形成するように配置されていることが分かる。
【0181】
図26では、ユーザが、(左パドル31に対して左大腿部を配置することによって)左膝部に膝当て2を装着しているのが分かる。
【0182】
図27では、ユーザが、ピン8を中心とした回転によって、左膝部3上で軌道の限定を開始しているのが分かる。角度βは正である。
【0183】
図28では、ユーザが、ピン8を中心とした回転によって、左膝部上で軌道の限定を継続しているのが分かる。角度βは、
図27と比較して減少している。可動力は、
図27と比較して増大している。なお、本図では角度移動が大きく、βが0度をさらに下回っている。
【0184】
図6を参照すると、装置100の第6実施形態では、座面5は装置100の一部を形成しており、椅子又は肘掛け椅子の背もたれを備える。
【0185】
可動力増大手段6は、膝当て2に装着されており、座面5との隅角部を形成する受け面を備える。
【0186】
装置100は、装置100をユーザの個々の形態に適合させるために、膝当て2と隅角部との間の距離調整手段をさらに備える。
【0187】
当該受け面は、
膝当て2若しくは膝当て2に装着される要素を、
座面5若しくは座面5に装着される要素に接続する連結要素9を形成している。
【0188】
手段7は、膝当て2の隅角部及び受け面を含み、これにより、骨盤が隅角部へと沈み込むときに、可動力の方向を固定したままにすることができる。
【0189】
図7の装置100の第7の実施形態は、第5及び第6の実施形態を組み合わせた場合の実施可能性を示す。
【0190】
図24を参照すると、前述の実施形態のいずれかの膝当て2は、
【0191】
膝部3の膝蓋骨と接触するように意図された中央領域21と、膝部3の膝蓋骨を取り囲むように意図された周辺領域22とを備える。好ましくは、周辺領域22の剛性が、中央領域21の剛性よりも高くなるか、又は膝当て2が、
膝部3の膝蓋骨に位置するように意図された空の中央領域21と、膝部3の膝蓋骨を取り囲むように意図された周辺領域22とを備える。
【0192】
当然のことながら、本発明は、説明したばかりの実施例に限定されず、またこれらの実施例に対して、本発明の範囲を超えることなく多くの調整を行うことができる。
【0193】
本発明の様々な特徴、形態、変形形態及び実施形態を、それらが両立しないか、又は相互排他的でない限り、様々な組み合わせで互いに組み合わせることができるのは言うまでもない。具体的には、前述のすべての変形形態及び実施形態を、互いに組み合わせることができる。
【0194】
例えば、前述の実施形態のすべてから互いに組み合わせることができる変形形態では、
少なくとも1つの連結要素9の短縮手段12を備える場合、可動力増大手段6は、弾力を持つか(伸張時かつ/又は圧縮時において)、又は非伸張性であり、かつ/又は非圧縮性であるか、あるいは摺動効果、ラック効果などであるピンの並進手段を備え得、かつ/又は
膝当て2は、(例えば、
図19~
図22に図示されるように)装着された2つの膝当て2のセットの一部を形成しており、これにより、ユーザの右膝部のみ若しくは左膝部のみを動かすか、又は右膝部と左膝部との両方を同時に動かせるようになり、かつ/又は
装置100は、少なくとも1つの要素9のうちの1つに沿って配置され、アナログディスプレイ又はデジタルディスプレイに接続された動力計などの、可動力の値を測定して表示するためのシステムを備える。この場合、可動力を測定するためのシステムを、膝当て2に直接組み込むことができ、又は連結要素9に、若しくは連結要素9の少なくとも1つに組み込むことができる(当該測定システムは、例えば、この連結要素9に沿って組み込まれた牽引力変換器を含み得る)。可動力ディスプレイは膝当て2によって支持され得、かつ/又は、これLED及び/又はバー型ディスプレイ及び/又はデジタルディスプレイ及び/又はアナログディスプレイとすることができる。そのようなディスプレイにより、ユーザ及び/又は施術者が膝部に加えられる圧力を管理できるようになり、またこれを安全装置に例えることができ、かつ/又は
伸張性セグメント、圧縮性セグメント、非伸張性セグメントと続いているセグメントと、調整ができるセグメントとが、全く同一の連結要素上に見出され得、その目的は、ユーザの膝部に対し、股関節の方向に圧力を加えるという記載済みの1つであり、かつ/又は
可動力増大手段6を電動化することができ、かつ/又は
膝当ての軌道を限定することは、固定作用面4を有するか否かにかかわらず、任意であり得る。例えば、
図23の実施形態の変形形態では、作用面4は、膝当て2をユーザの正中面に向かって導くように、ユーザの正中面に対して垂直又は斜めになり得、
各復元手段11又は111は、膝部3に向かって膝当て2を牽引する力、又は押圧する力を加えるように配置され得、こうした力は、
当該復元手段11、111の平衡状態に対して当該復元手段11、111の圧縮状態において、当該復元手段11、111を伸張することによって、又は
当該復元手段11、111の平衡状態に対して当該復元手段11、111の伸張状態において、当該復元手段11、111を圧縮することによって加えられる。
【国際調査報告】