(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(54)【発明の名称】DLM-1分子篩、その製造方法、およびその使用
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20230302BHJP
B01J 29/06 20060101ALI20230302BHJP
B01J 37/10 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J29/06 Z
B01J37/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539342
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(85)【翻訳文提出日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2020139112
(87)【国際公開番号】W WO2021129760
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】201911355108.1
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522173712
【氏名又は名称】中石化(大連)石油化工研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】唐兆吉
(72)【発明者】
【氏名】樊宏飛
【テーマコード(参考)】
4G073
4G169
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA29
4G073BA44
4G073BA57
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(57)【要約】
DLM-1分子篩、前記分子篩の製造方法、および有機物質の処理におけるその使用を開示する。本発明のDLM-1分子篩はAl-SBA-15分子篩であり、式「第1の酸化物*第2の酸化物」で表される化学組成式を有し、ここで、前記第1の酸化物は二酸化ケイ素であり、前記第2の酸化物は酸化アルミニウムであり、前記化学組成式中の酸化アルミニウムの質量%による含有量は、2%~85%である。前記DLM-1分子篩は特に重質留出油の水素化脱窒素反応に適しており、水素化脱窒素活性の向上に好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Al-SBA-15分子篩であり、式「第1の酸化物*第2の酸化物」で表される化学組成式を有するDLM-1分子篩であって、前記第1の酸化物はシリカであり、前記第2の酸化物はアルミナであり、前記化学組成式中のアルミナの含有量は、質量パーセント単位で、10%以上(好ましくは、15%以上、17%以上、20%以上、25%以上、または30%以上)であり、85%以下(好ましくは、82%以下、75%以下、65%以下、または55%以下)である、DLM-1分子篩。
【請求項2】
前記分子篩において、B酸の量は、0.01~0.50mL/g(好ましくは、0.05~0.20mL/gもしくは0.09~0.16mL/g)であり、および/または、L酸の量は、0.10~0.90mL/g(好ましくは、0.30~0.60mL/gもしくは0.39~0.46mL/g)であり、および/または、B酸のL酸に対する比率は、1以下、好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.5以下、またさらに好ましくは0.4以下であり、B酸のL酸に対する比率は、0.1以上、好ましくは0.2以上である、請求項1に記載の分子篩。
【請求項3】
前記分子篩の細孔分布は、<4nmの細孔径を有する細孔の細孔容積が、全細孔容積の20%以下、好ましくは15%以下であることを含み、好ましくは、前記分子篩の細孔分布はまた、4~15nmの細孔径を有する細孔の細孔容積が、全細孔容積の40%~70%、好ましくは45%~65%、さらに好ましくは50%~60%であることを含む、請求項1に記載の分子篩。
【請求項4】
前記分子篩中の中強酸の酸の量は、0.6~1.0mL/g、好ましくは0.7~0.9mL/gである、請求項1に記載の分子篩。
【請求項5】
前記分子篩の比表面積は、550~850m
2/g、好ましくは650~750m
2/gであり、および/または、前記分子篩の全細孔容積は、0.7~1.3mL/g、好ましくは0.9~1.2mL/gであり、および/または、前記分子篩の平均細孔径は、9~15nm、好ましくは10~12nmである、請求項1に記載の分子篩。
【請求項6】
DLM-1分子篩を調製する方法であって、非晶質シリカアルミナ(好ましくは非晶質シリカアルミナ乾燥ゲル)(粉末)、P123トリブロック共重合体、および水を、結晶化条件下で接触させて、分子篩を得る工程と、任意に、得られた前記分子篩を焼成する工程とを含む、方法。
【請求項7】
前記結晶化条件は、少なくとも結晶化温度が、80~120℃、好ましくは90~110℃であり;結晶化時間が、10~35時間、好ましくは16~24時間であること;結晶化処理におけるpHが、2.0~5.0、好ましくは3.2~4.8に制御されることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記非晶質シリカアルミナのアルミナ質量含有量(乾燥基準)は、10%以上(好ましくは、15%以上、17%以上、20%以上、25%以上、もしくは30%以上)であり、85%以下(好ましくは、82%以下、75%以下、65%以下、もしくは55%以下)であり、および/または、前記非晶質シリカアルミナの比表面積は、400~650m
2/g、好ましくは450~600m
2/gであり、および/または、前記非晶質シリカアルミナの細孔容積は、0.52~1.8mL/g、好ましくは0.85~1.5mL/gであり、および/または、前記非晶質シリカアルミナの平均細孔径は、6nm~12nm、好ましくは7nm~10nmであり、および/または、前記非晶質シリカアルミナの平均粒径は、15μm~150μm、好ましくは25μm~75μm、好ましくは40μm~60μmであり、および/または、前記非晶質シリカアルミナの細孔分布は、4~15nmの細孔径を有する細孔容積が、全細孔容積の85%~95%であり、>15nmの細孔径を有する細孔容積が、全細孔容積の5%以下であることを含み、および/または、前記非晶質シリカアルミナの含水量は、20~45重量%、好ましくは25~32重量%であり、および/または、前記非晶質シリカアルミナ(乾燥基準)と前記P123トリブロック共重合体との質量比は、0.5:1~5:1、好ましくは1:1~5:1である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
(1)非晶質シリカアルミナ(粉末)と水とを混合してスラリーを形成する工程、
(2)P123トリブロック共重合体を含む酸性溶液(好ましくは酸性水溶液)を調製する工程、および
(3)前記スラリーとP123トリブロック共重合体を含む前記酸性溶液とを前記結晶化条件下で接触(例えば、混合)させて、DLM-1分子篩を得る工程
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
工程(1)において、前記非晶質シリカアルミナ(乾燥基準)と水との質量比は、10:90~30:70、好ましくは15:85~25:75であり、および/または、工程(2)において、前記酸性溶液のpHは、1~5、好ましくは1.2~2.3であり、前記酸性溶液中の前記P123トリブロック共重合体の質量含有量は、0.5%~5.0%、好ましくは0.8%~2.8%であり、および/または、工程(3)において、前記スラリー(前記非晶質シリカアルミナの乾燥基準)と前記酸性溶液(前記P123トリブロック共重合体に基づく)との質量比は、0.5:1~5:1、好ましくは1:1~5:1である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載のDLM-1分子篩、または請求項6に記載の調製方法で調製されたDLM-1分子篩、および任意のバインダーを含む、分子篩組成物。
【請求項12】
有機物質を処理するための方法であって、前記有機物質(好ましくは炭化水素油)と、請求項1に記載のDLM-1分子篩、請求項6に記載の調製方法で調製されたDLM-1分子篩、または請求項11に記載の分子篩組成物とを接触させる工程を含む、方法。
【請求項13】
前記処理は、吸着分離、水素化処理、および水素化分解から選択される、請求項12に記載の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、Al-SBA-15分子篩に属する、メソポーラス分子篩、特にDLM-1分子篩に関する。本発明はまた、分子篩の調製方法および有機物処理におけるその適用に関する。
【0002】
〔背景技術〕
国際純正・応用化学連合(IUPAC)の定義によれば、2~50nmの孔径を有する材料は、メソポーラス材料である。1992年に、Mobil Companyの研究者らは、アルキル第四級アンモニウム塩を鋳型として初めて使用して、シリカベースのメソポーラス材料であるM41Sシリーズを合成した。20世紀の終わりに、Zhao DongYuanら(Zhao DongYuan, et al. Triblock copolymer syntheses of mesoporous silica with periodic 50 to 300 angstrompores [J]. Science, 1998, 279 (5350): 548-552.)は初めて、トリブロック共重合体(P123)を鋳型として用いる使用を提案し、エチルオルトシリケート、メチルオルトシリケート、およびブチルオルトシリケートをケイ素源として使用して、酸性環境中で、新しい秩序化されたSiO2メソポーラス物質、すなわちSBA-15分子篩を合成した。これは、二次元六方晶細孔を有する高度に秩序化された平面六方晶相構造であり、細孔径は5~30nmであり、細孔壁の厚さは3~6nmであり、細孔チャネル間のマイクロ細孔に接続されたメソポーラス材料が存在し、その内面には多くのシラノールが存在する。
【0003】
SBA-15分子篩は、酸性度がほとんどなく、安定性が低い純粋なケイ素の秩序化されたメソポーラスゼオライト材料であり、それにより石油化学分野におけるその工業的用途が制限される。SBA-15分子篩は通常、ヘテロ原子を導入する方法を適用することによって改質され、アルミニウム原子をSBA-15分子篩に導入してAl-SBA-15分子篩を合成する方法は、最もありふれた改質方法の1つである。
【0004】
一般に、Al-SBA-15分子篩を合成するための2つの主な方法、すなわち、直接合成およびアルミニウム補充の方法、ならびに後処理およびグラフト化の方法がある。直接合成法では、強酸性の合成媒体中において、Al原子は主にカチオン形態で存在し、Al原子がSBA-15の細孔壁中のケイ素-ヒドロキシル種と直接重合してその骨格に有意な量で入ることは困難である。Al原子はSBA-15中に十分に分散されておらず、大部分は凝集形態で存在するので、直接法で合成したSBA-15中のAl原子の導入効率は非常に低い。直接合成法に比べて、後処理グラフト法はより多量のAl原子を導入することができるが、この合成法は比較的扱いにくく、材料の細孔チャネルの内側または外側にいくつかのアルミナ副生成物を生成し易く、その結果、材料の細孔チャネルが閉塞し、比表面積および細孔容積が著しく減少し、これは触媒反応において好ましくない要因となる。
【0005】
CN104016369Aには、カオリンを原料として使用することによってAl-SBA-15分子篩を調製する方法が開示されている。CN108946754Aには、粉末化された燃料灰由来の酸によるアルミニウム抽出の残留物を原料として使用することによってアルミニウムを含むSBA-15を製造する方法が開示されている。上記の方法はまず、カオリンまたはフライアッシュ中のケイ素源およびアルミニウム源を抽出し、次いで、抽出されたケイ素/アルミニウム源をSBA-15分子篩の合成原料として使用するので、一方では不純物が容易に導入され、他方では直接合成およびアルミニウム補充の従来の方法の欠点が依然として存在する。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明の発明者らは、従来技術で製造されたAl-SBA-15分子篩ではアルミニウムが有意な量で分子篩の骨格構造に入ることが困難であること、または一定量のアルミニウムが分子篩の骨格に入るためには、コストとして、より多量のアルミニウムを分子篩の骨格の周囲に付着させなければならない(通常、分子篩の細孔チャネルの内面に分散させなければならない)ことを見出した。具体的には、先行技術に従って製造されたAl-SBA-15分子篩については、アルミニウム含有量が低い(例えば、分子篩の化学組成中のアルミナの質量パーセント単位の含有量が7重量%未満である)場合、このタイプのアルミニウムは、分子篩の細孔チャネル中で高度の分散を依然として達成することができるため、分子篩は全体として規則的なメソポーラス構造を示すが、アルミニウム含有量が増加するにつれて(例えば、7重量%を超える、特に、15重量%を超える)、このタイプのアルミニウムは分子篩の細孔チャネル上に局所的にまたは完全に蓄積し始め、分子篩の細孔チャネルを急速に収縮させる(一般的に、4nm未満の細孔径を有する小細孔の比率の急速な増加として現れる)か、またはさらには閉塞させ、分子篩のメソポーラス構造の規則性は対応して減少するか、またはさらには完全に消失する。このため、本発明の発明者らは鋭意研究によりDLM-1分子篩を発見し、この発見に基づいて本発明を完了した。
【0007】
本発明者らは、DLM-1分子篩がAl-SBA-15分子篩のXRDスペクトルを示し、Al-SBA-15分子篩に属することを研究により見出した。いかなる理論によっても限定されないが、本発明の発明者は、本発明のDLM-1分子篩において、アルミニウムは基本的に分子篩の骨格構造に入るので、アルミニウム含有量が非常に高い場合(例えば、分子篩の化学組成中のアルミナの質量パーセント%単位の含有量が7重量%よりも高く、さらに例えば、85重量%まで)であっても、分子篩は依然としてメソポーラス構造の規則性を示すと考える。規則性は一般に、分子篩の細孔分布(特に、<4nmの細孔径を有する細孔の細孔容積比)によって特徴付けることができる。証拠として、本発明のDLM-1分子篩によれば、分子篩の化学組成中のアルミナの質量パーセント単位の含有量が2%~85%の間で広く変化する場合であっても、<4nmの細孔径を有する細孔によって占められる細孔容積は依然として全細孔容積の20%未満であり、従来技術によって製造されたAl-SBA-15分子篩では得られないメソポーラス構造の完全性および規則性を維持する。したがって、本発明のDLM-1分子篩は、新規な構造のAl-SBA-15分子篩である。
【0008】
具体的には、本発明は以下の態様に関する。
【0009】
1.Al-SBA-15分子篩であって、細孔分布は、<4nmの細孔径を有する細孔の細孔容積が、全細孔容積の20%以下、好ましくは15%以下であること;前記分子篩において、B酸のL酸に対する比率は、1以下であることを含む、Al-SBA-15分子篩。
【0010】
2.分子篩において、B酸のL酸に対する比率は、0.8以下、さらには0.5以下、またさらには0.4以下であり;分子篩において、B酸のL酸に対する比率は、0.1以上、さらには0.2以上であることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに記載の分子篩。
【0011】
3.分子篩において、中強酸の酸の量は、0.6~1.0mL/g、好ましくは0.7~0.9mL/gであることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに記載の分子篩。
【0012】
4.分子篩において、アルミナの質量含有量は、2%~85%、好ましくは5%~82%であることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに記載の分子篩。
【0013】
5.分子篩の細孔分布はまた、4~15nmの細孔直径を有する細孔の細孔容積が、全細孔容積の40%~70%、好ましくは45%~65%、さらに好ましくは50%~60%であることを含むことを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに記載の分子篩。
【0014】
6.分子篩の特性は以下の通り:比表面積は、550~850m2/g、好ましくは650~750m2/gであり、全細孔容積は、0.7~1.3mL/g、好ましくは0.9~1.2mL/gであることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに記載の分子篩。
【0015】
7.原料として非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルを用い、鋳型剤としてP123トリブロック共重合体を用いてAl-SBA-15分子篩を合成することを含む、上述または後述の態様のいずれかに記載の分子篩の調製方法。
【0016】
8.前記非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルの特性は以下の通り:比表面積は、400~650m2/gであり、細孔容積は、0.52~1.8mL/gであって、細孔分布は以下の通り:4~15nmの細孔径を有する細孔の容積は、全細孔容積の85%~95%であり、>15nmの細孔径を有する細孔の容積は、全細孔容積の5%以下であることを特徴とする、上記または後述の態様のいずれかに記載の方法。
【0017】
9.前記Al-SBA-15分子篩を調製する方法は、
(1)非晶質シリカ-アルミナ乾燥ゲルと水とを混合してスラリーを形成する工程;
(2)P123トリブロック共重合体を含む酸性溶液を調製する工程;
(3)工程(1)で調製されたスラリーと、工程(2)で調製されたP123トリブロック共重合体を含む酸性溶液とを混合し、結晶化させて、Al-SBA-15分子篩を生成する工程
を含むことを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに記載の方法。
【0018】
10.工程(1)において、非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルと水との質量比は10:90~30:70、好ましくは15:85~25:75であることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに記載の方法。
【0019】
11.工程(2)において、前記酸性水溶液のpHは1~5、好ましくは1.2~2.3であり、前記酸性水溶液中のP123トリブロック共重合体の質量含有量は、0.5%~5.0%、好ましくは0.8%~2.8%であることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに記載の方法。
【0020】
12.工程(2)において、P123トリブロック共重合体を希酸に添加し、希酸溶液の濃度(H+として)は、0.05~0.3mol/L、好ましくは0.1~0.2mol/Lであり;工程(2)において、系の温度を10~60℃、好ましくは20~40℃に制御することを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに記載の方法。
【0021】
13.工程(3)において、工程(1)で調製されたスラリーを、工程(2)で調製されたP123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液と混合すること、工程(1)で調製されたスラリーおよび工程(2)で調製されたP123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液は、混合系において、P123トリブロック共重合体と非晶質シリカアルミナとの質量比が0.5:1~5:1、好ましくは1:1~5:1であるような量であることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに記載の方法。
【0022】
14.工程(3)において、結晶化温度は80~120℃、好ましくは90~110℃であり;結晶化時間は10~35時間、好ましくは16~24時間であり;結晶化処理におけるpHを2.0~5.0、好ましくは3.2~4.8に制御することを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに記載の方法。
【0023】
15.上述もしくは後述の態様のいずれかに記載のAl-SBA-15分子篩、または上述もしくは後述の態様のいずれかに記載の方法で調製されたAl-SBA-15分子篩を含む、触媒組成物。
【0024】
また、本発明は、以下の態様にも関する。
【0025】
1.Al-SBA-15分子篩であり、式「第1の酸化物*第2の酸化物」で表される化学組成式を有するDLM-1分子篩であって、前記第1の酸化物はシリカであり、前記第2の酸化物はアルミナであり、前記化学組成式中のアルミナの含有量は、質量パーセント単位で、10%以上(好ましくは、15%以上、17%以上、20%以上、25%以上、または30%以上)であり、85%以下(好ましくは、82%以下、75%以下、65%以下、または55%以下)である、DLM-1分子篩。
【0026】
2.前記分子篩において、B酸の量は、0.01~0.50mL/g(好ましくは、0.05~0.20mL/gもしくは0.09~0.16mL/g)であり、および/または、L酸の量は、0.10~0.90mL/g(好ましくは、0.30~0.60mL/gもしくは0.39~0.46mL/g)であり、および/または、B酸のL酸に対する比率は、1以下、好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.5以下、またさらに好ましくは0.4以下であり、B酸のL酸に対する比率は、0.1以上、好ましくは0.2以上である、上述または後述の態様のいずれかに記載の分子篩。
【0027】
3.前記分子篩の細孔分布は、<4nmの細孔径を有する細孔の細孔容積が、全細孔容積の20%以下、好ましくは15%以下であることを含み、好ましくは前記分子篩の細孔分布はまた、4~15nmの細孔径を有する細孔の細孔容積が、全細孔容積の40%~70%、好ましくは45%~65%、さらに好ましくは50%~60%であることを含む、上述または後述の態様のいずれかに記載の分子篩。
【0028】
4.前記分子篩中の中強酸の酸の量は、0.6~1.0mL/g、好ましくは0.7~0.9mL/gである、上述または後述の態様のいずれかに記載の分子篩。
【0029】
5.前記分子篩の比表面積は、550~850m2/g、好ましくは650~750m2/gであり、および/または、前記分子篩の全細孔容積は、0.7~1.3mL/g、好ましくは0.9~1.2mL/gであり、および/または、前記分子篩の平均細孔径は、9~15nm、好ましくは10~12nmである、上述または後述の態様のいずれかに記載の分子篩。
【0030】
6.DLM-1分子篩を調製する方法であって、非晶質シリカアルミナ(好ましくは非晶質シリカアルミナ乾燥ゲル)(粉末)、P123トリブロック共重合体、および水を、結晶化条件下で接触させて、分子篩を得る工程と、任意に、得られた前記分子篩を焼成する工程とを含む、方法。
【0031】
7.前記結晶化条件は、少なくとも結晶化温度が、80~120℃、好ましくは90~110℃であり;結晶化時間が、10~35時間、好ましくは16~24時間であること;結晶化処理におけるpHが、2.0~5.0、好ましくは3.2~4.8に制御されることを含む、上述または後述の態様のいずれかに記載の方法。
【0032】
8.前記非晶質シリカアルミナのアルミナ質量含有量(乾燥基準)は、10%以上(好ましくは、15%以上、17%以上、20%以上、25%以上、もしくは30%以上)であり、85%以下(好ましくは、82%以下、75%以下、65%以下、もしくは55%以下)であり、および/または、前記非晶質シリカアルミナの比表面積は、400~650m2/g、好ましくは450~600m2/gであり、および/または、前記非晶質シリカアルミナの細孔容積は、0.52~1.8mL/g、好ましくは0.85~1.5mL/gであり、および/または、前記非晶質シリカアルミナの平均細孔径は、6nm~12nm、好ましくは7nm~10nmであり、および/または、前記非晶質シリカアルミナの平均粒径は、15μm~150μm、好ましくは25μm~75μm、好ましくは40μm~60μmであり、および/または、前記非晶質シリカアルミナの細孔分布は、4~15nmの細孔径を有する細孔容積が、全細孔容積の85%~95%であり、>15nmの細孔径を有する細孔容積が、全細孔容積の5%以下であることを含み、および/または、前記非晶質シリカアルミナの含水量は、20~45重量%、好ましくは25~32重量%であり、および/または、前記非晶質シリカアルミナ(乾燥基準)と前記P123トリブロック共重合体との質量比は、0.5:1~5:1、好ましくは1:1~5:1である、上述または後述の態様のいずれかに記載の方法。
【0033】
9.(1)非晶質シリカアルミナ(粉末)と水とを混合してスラリーを形成する工程、
(2)P123トリブロック共重合体を含む酸性溶液(好ましくは酸性水溶液)を調製する工程、および
(3)前記スラリーとP123トリブロック共重合体を含む前記酸性溶液とを前記結晶化条件下で接触(例えば、混合)させ、DLM-1分子篩を得る工程
を含む、上述または後述の態様のいずれかに記載の方法。
【0034】
10.工程(1)において、前記非晶質シリカアルミナ(乾燥基準)と水との質量比は、10:90~30:70、好ましくは15:85~25:75であり、および/または、工程(2)において、前記酸性溶液のpHは、1~5、好ましくは1.2~2.3であり、前記酸性溶液中の前記P123トリブロック共重合体の質量含有量は、0.5%~5.0%、好ましくは0.8%~2.8%であり、および/または、工程(3)において、前記スラリー(前記非晶質シリカアルミナの乾燥基準)と前記酸性溶液(前記P123トリブロック共重合体に基づく)との質量比は、0.5:1~5:1、好ましくは1:1~5:1である、上述または後述の態様のいずれかに記載の方法。
【0035】
11.上述または後述の態様のいずれかに記載のDLM-1分子篩、または上述または後述の態様のいずれかに記載の調製方法で調製されたDLM-1分子篩、および任意のバインダーを含む、分子篩組成物。
【0036】
さらに、本発明は、以下の態様にも関する。
【0037】
1.有機物質を処理するための方法であって、前記有機物質(好ましくは炭化水素油)と、上述もしくは後述の態様のいずれかに記載のDLM-1分子篩、上述もしくは後述の態様のいずれかに記載の調製方法で調製されたDLM-1分子篩、または上述もしくは後述の態様のいずれかに記載の分子篩組成物とを接触させる工程を含む、方法。
【0038】
2.前記処理は、吸着分離、水素化処理、および水素化分解から選択される、上述または後述の態様のいずれかに記載の処理方法。
【0039】
3.上述もしくは後述の態様のいずれかに記載のAl-SBA-15分子篩の使用、または上述もしくは後述の態様のいずれかに記載の方法で調製されたAl-SBA-15分子篩の使用、または水素化触媒における上述または後述の態様のいずれかに記載の触媒組成物の使用。
【0040】
〔技術的効果〕
従来技術と比較して、本発明は、以下の技術的効果のうち少なくとも1つ、好ましくは全ての技術的効果を実現することができる。
【0041】
(1)本発明のDLM-1分子篩は、高分子反応物の拡散を促進し、炭素析出耐性を増大させるように、適切な酸性度、大きな細孔容積および比表面積、ならびに集中した細孔分布を有する。
【0042】
(2)本発明のDLM-1分子篩は、特に重質留出油の水素化脱窒素反応に適しており、水素化脱窒素活性の向上に好ましい。
【0043】
(3)本発明のDLM-1分子篩は、シリカ-アルミナ分子篩に属し、そのAl含有量は85%に達することができ、Si-O-Al結合形成において均一に分布し、分子篩の表面上のAlの凝集は実質的に排除され、細孔チャネルは平滑である。これは、従来技術では製造されていない、新しい構造を有するAl-SBA-15分子篩である。
【0044】
(4)本発明のDLM-1分子篩の製造方法によれば、好ましい状態では、非晶質シリカ-アルミナ乾燥ゲルを直接原料として使用するので、新しい構造を有するAl-SBA-15分子篩をその場で合成することができ(in-situ結晶化としても知られる)、分子篩はアルミニウム含有量を調整可能であり、酸含有量を調整可能であり、細孔分布が適切であるという長所を有する。
【0045】
(5)本発明のDLM-1分子篩の製造方法によれば、好ましい条件では、原料として非晶質シリカ-アルミナ乾燥ゲルを直接用いるため、アンモニア性窒素廃水の汚水量および塩酸の消費量を低減することができ、技術工程が短縮され、製造費用が低減される。
【0046】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本発明の実施例1で得られたDLM-1分子篩のXRDスペクトルである。
【0047】
〔詳細な説明〕
ここで、本発明の本実施形態について詳細に言及するが、本発明の範囲は、実施形態によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。
【0048】
本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。別段の定義がない限り、本明細書中で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合、本明細書に含まれる定義が優先され得る。
【0049】
本明細書が、用語「当業者に知られている」、「先行技術」、または類似の単語などの表現で、原料、物質、方法、工程、装置、構成要素などを導出する場合、そのように導出された主題は本出願の出願時に当技術分野で従来から使用されているものを包含するが、現時点ではおそらくそれほど一般的には使用されていないものの同様の目的に適しているものとして当技術分野で知られるようになり得るものも含むことが意図される。
【0050】
本明細書の文脈において、アルミナ含有量およびシリカ含有量の測定は、元素分析によって行われる。
【0051】
本明細書の文脈において、L酸およびB酸は、赤外分光法によって測定される。使用した装置はNicot社(米国)のフーリエ赤外分光計-6700である。測定法は以下の通りである:<200メッシュの粒径を有するサンプル20mgを秤量し、20mmの径を有するシートにプレスし;吸収セルのサンプルホルダにシートを載せ;サンプル200mgを装置のハンギングカップに入れ;吸収セルと吸収管とを接続し;真空排気処理を行い、真空度が4×10-2Paに達したときに、500℃まで昇温し、1時間保持して、サンプル面上の吸着物を除去し;サンプルを室温まで冷却し、ピリジンを飽和するまで吸着させ、160℃まで連続的に加熱し、1時間平衡化し、物理吸着したピリジンを脱着させる。そして、赤外線全酸、B酸、およびL酸の含有量(酸量)を求めることができる。これらの酸量の単位はmmol/Lである。
【0052】
本明細書の文脈において、中強酸の酸量は、NH3-TPD法によって測定される。使用した装置は、Micromeritics社のAuto-Chem II 2920型化学吸着装置である。アンモニアを吸着および脱着媒体として、ヘリウムをキャリアガスとして使用して、異なる脱着温度ゾーンにおける酸含有量は、温度がプログラムされた脱着およびクロマトグラフィー分析によって得られる。中強酸の酸含有量に対応するアンモニア脱着温度は250~400℃であり、酸量の単位はmL/g、すなわち分子篩1g当たりに吸着されるアンモニアの量である。
【0053】
本明細書の文脈において、比表面積、細孔容積、および細孔分布は、ASAP2405物理吸着装置によって測定される。測定法は以下の通りである:サンプルを処理し、次いで分析および試験を行い、液状のN2を吸着質とし、吸着温度を-196℃とする。比表面積はBET法に基づく計算により求め、細孔容積および細孔分布はBJH法に基づく計算により求める。
【0054】
本明細書の文脈において、平均細孔径は以下の通り測定される:サンプルの比表面積および細孔容積はMicromeritics社(米国)のASAP2405物理吸着装置によって測定され、細孔サイズは比表面積および細孔容積を用いて計算される。吸着質としては液状のN2を用い、吸着温度は-196℃である。
【0055】
本明細書の文脈において、平均粒径は、測定範囲が0.02~2000μmであり、走査速度が1000回/秒である、Mastersizer2000レーザー粒径分析装置で測定される。
【0056】
本明細書の文脈において、XRD測定は、リガク社製のD/max2500型X線回折装置で行われ、試験条件は以下の通り:電圧40KV、電流80mA、CuKa標的が選択され、入射波長:0.15405nmである。
【0057】
明示的に示されない限り、本明細書中で言及される全てのパーセンテージ、部、比率などは、重量によるものであり、圧力はゲージ圧力である。
【0058】
本明細書の文脈において、本発明の任意の2つ以上の実施形態は任意の組合せで組み合わせてもよく、結果として得られる技術的解決策は本明細書の元々の開示の一部であり、本発明の範囲内である。
【0059】
(I)DLM-1分子篩
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩が提供される。DLM-1分子篩は骨格としてシリカ-アルミナを有するSBA-15分子篩であるため、Al-SBA-15分子篩に属する。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、前記DLM-1分子篩は、式「第1の酸化物*第2の酸化物」で表される化学組成式を有し、前記第1の酸化物はシリカであり、前記第2の酸化物はアルミナである。分子篩は時折(特に合成直後に)特定の量の水を含むことが知られているが、本発明では水の有無が分子篩のXRDスペクトルに実質的に影響しないので、水の量を制限する必要があるとは考えていない。この観点から、化学組成式は、実際には分子篩の無水化学組成を表す。さらに、化学組成式が分子篩の骨格化学組成を表すことは明らかである。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、分子篩において、前記化学組成式中のアルミナの含有量は、質量パーセント単位で一般的に10%以上、好ましくは、15%以上、17%以上、20%以上、25%以上、または30%以上である。また、分子篩において、前記化学組成式中のアルミナの含有量は、質量パーセント単位で、一般的に85%以下、好ましくは、82%以下、75%以下、65%以下、または55%以下である。あるいは、分子篩において、アルミナの含有量を広範囲に調整することができ、例えば、10%、15%、16%、18%、20%、25%、30%、32%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%などとすることができる。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、前記DLM-1分子篩のX線回析スペクトルは、Al-SBA-15分子篩の特徴的なピークを反映する。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、前記DLM-1分子篩の細孔分布は、<4nmの細孔径を有する細孔の細孔容積が全細孔容積の20%以下、好ましくは15%以下であることを含む。また好ましくは分子篩の細孔分布は、4~15nmの細孔径を有する細孔の細孔容積が、全細孔容積の40%~70%、好ましくは45%~65%、さらに好ましくは50%~60%であることを含む。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、前記DLM-1分子篩において、B酸の量のL酸の量に対する比率は、一般的に1以下、好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.5以下、またさらに好ましくは0.4以下である。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、前記DLM-1分子篩において、B酸の量のL酸の量に対する比率は、一般的に0.1以上、好ましくは0.2以上である。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、前記DLM-1分子篩中のB酸の量は、一般的に0.01~0.50mL/g、好ましくは0.05~0.20mL/g、好ましくは0.09~0.16mL/gである。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、前記DLM-1分子篩中のL酸の量は、一般的に0.10~0.90mL/g、好ましくは0.30~0.60mL/g、好ましくは0.39~0.46mL/gである。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、前記DLM-1分子篩中の中強酸の酸の量は、一般的に0.6~1.0mL/g、好ましくは0.7~0.9mL/gである。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、前記DLM-1分子篩の比表面積は、一般的に550~850m2/g、好ましくは650~750m2/gである。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、前記DLM-1分子篩の全細孔容積は、一般的に0.7~1.3mL/g、好ましくは0.9~1.2mL/gである。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、前記DLM-1分子篩の平均細孔径は、一般的に9~15nm、好ましくは10~12nmである。
【0072】
(II)DLM-1分子篩の製造方法
なお、上述した本発明のDLM-1分子篩は、本明細書において以下に説明する調製方法により調製することができる。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩の調製方法は、非晶質シリカアルミナ、P123トリブロック共重合体、および水を結晶化条件下で接触させて、分子篩を得る工程を含む。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、前記非晶質シリカアルミナは、非晶質形態である、ケイ素とアルミニウムとの混合酸化物の粉末である。さらに、前記非晶質シリカアルミナ粉末は、任意の所望の比率で水などの液体と混合して、スラリーを形成することもできる。
【0075】
本発明によれば、分子篩を調製するための原料として、非晶質シリカアルミナ(シリカ-アルミナ源)は、粉末形態(顆粒形態を含む)で直接的に使用されて、粉末は、その場でDLM-1分子篩に変換され(その場で結晶化され)、溶液形態で(または溶液形態に変換された後に)分子篩を調製するための原料としてシリカ源/アルミナ源(特に、アルミナ源)を供給する従来技術とは全く異なる。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、P123トリブロック共重合体は、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレン共重合体(Aldrichから商業的に入手可能、Maは約5800である)である。P123トリブロック共重合体の分子式は、一般的にEO20PO70EO20またはその類似の構造であり、本発明において鋳型剤として機能する。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩の製造方法において、結晶化条件として、結晶化温度は、一般的に80~120℃、好ましくは90~110℃である。
【0078】
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩の製造方法において、結晶化条件として、結晶化時間は、一般的に10~35時間、好ましくは16~24時間である。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩の製造方法において、結晶化処理におけるpHは一般的に、2.0~5.0、好ましくは3.2~4.8に制御される。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩の調製方法において、前記非晶質シリカアルミナのアルミナ質量含有量(乾燥基準)は、一般的に10%以上、好ましくは、15%以上、17%以上、20%以上、25%以上、または30%以上である。また、前記非晶質シリカアルミナのアルミナ質量含有量(乾燥基準)は、一般的に85%以下、好ましくは、82%以下、75%以下、65%以下、または55%以下である。あるいは、アルミナの質量含有量は広範囲に調整することができ、例えば、10%、15%、16%、18%、20%、25%、30%、32%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%などとすることができる。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩を調製するための方法において、前記非晶質シリカアルミナの比表面積は、一般的に400~650m2/g、好ましくは450~600m2/gである。
【0082】
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩を調製するための方法において、前記非晶質シリカアルミナの細孔容積は、一般的に0.52~1.8mL/g、好ましくは0.85~1.5mL/gである。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩の製造方法において、前記非晶質シリカアルミナの平均細孔径は、一般的に6nm~12nm、好ましくは7nm~10nmである。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩を調製するための方法において、前記非晶質シリカアルミナの平均粒径は、一般的に15μm~150μm、好ましくは25μm~75μm、好ましくは40μm~60μmである。
【0085】
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩を調製するための方法において、前記非晶質シリカアルミナの細孔分布は一般的に、4~15nmの直径を有する細孔の細孔容積が全細孔容積の85%~95%であり、>15nmの直径を有する細孔の細孔容積が全細孔容積の5%以下であることを含む。
【0086】
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩の調製方法において、前記非晶質シリカアルミナ(乾燥基準)と前記P123トリブロック共重合体との質量比は、一般的に0.5:1~5:1、好ましくは1:1~5:1である。
【0087】
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩の調製方法は、具体的には以下の工程を含む:
(1)非晶質シリカアルミナ(粉末)と水とを混合してスラリーを形成する工程、
(2)P123トリブロック共重合体を含む酸性溶液を調製する工程、および
(3)前記スラリーとP123トリブロック共重合体を含む前記酸性溶液とを前記結晶化条件下で接触(例えば、混合)させて、DLM-1分子篩を得る工程。
【0088】
本発明の一実施形態によれば、工程(1)において、前記非晶質シリカアルミナ(乾燥基準)と水との質量比は、一般的に10:90~30:70、好ましくは15:85~25:75である。
【0089】
本発明の一実施形態によれば、工程(2)において、前記酸性溶液のpHは、一般的に1~5、好ましくは1.2~2.3である。ここで、前記酸性溶液としては、特に酸性水溶液を挙げることができる。
【0090】
本発明の一実施形態によれば、工程(2)において、前記酸性溶液または前記酸性水溶液中の前記P123トリブロック共重合体の質量含有量は、一般的に0.5%~5.0%、好ましくは0.8%~2.8%である。
【0091】
本発明の一実施形態によれば、工程(2)において、P123トリブロック共重合体は、希酸(例えば、希塩酸)に添加される。例えば、前記希酸溶液の濃度(H+として)は、一般的に0.05~0.3mol/L、好ましくは0.1~0.2mol/L、さらに好ましくは0.13~0.18mol/Lである。ここで、P123トリブロック共重合体を十分に溶解させるためには、反応系の温度を10~60℃、好ましくは20~40℃、さらに好ましくは25~35℃に制御することが好ましい。
【0092】
本発明の一実施形態によれば、工程(3)において、前記スラリーと、P123トリブロック共重合体を含む前記酸性水溶液とを混合し、前記スラリーおよびP123トリブロック共重合体を含む前記酸性水溶液の量は、混合系におけるP123トリブロック共重合体と非晶質シリカアルミナとの質量比が0.5:1~5:1、好ましくは1:1~5:1、さらに好ましくは1:1~3:1であるような量である。換言すれば、工程(3)において、前記スラリー(前記非晶質シリカアルミナの乾燥基準)と前記酸性溶液(前記P123トリブロック共重合体基準)との質量比は、一般的に0.5:1~5:1、好ましくは1:1~5:1、さらに好ましくは1:1~3:1である。
【0093】
本発明の一実施形態によれば、工程(3)の結晶化工程を終了した後、DLM-1分子篩を、得られた混合物から、従来公知の任意の手段、例えば、濾過、洗浄、乾燥などの少なくとも1つの工程によって分離することができる。具体的には、例えば、吸引濾過を介して濾過を行ってもよく、洗浄液として脱イオン水を用いて洗浄を行ってもよく、80~150℃、好ましくは90~130℃で、2~12時間、好ましくは3~6時間乾燥を行ってもよい。乾燥は、常圧下で行ってもよい。
【0094】
本発明の一実施形態によれば、任意の工程として、DLM-1分子篩の製造方法は、鋳型剤およびできる限り水などを除去するために、前記得られた分子篩を焼成する工程をさらに含んでもよい。この目的のために、焼成は当技術分野で従来公知の任意の方法で行ってもよく、例えば、焼成温度は一般的に、450~600℃、好ましくは480~580℃、さらに好ましくは500~560℃であり、焼成時間は、2~10時間、好ましくは3~6時間である。また、焼成は、通常、空気または酸素雰囲気などの酸素含有雰囲気中で行われる。
【0095】
本発明の一実施形態によれば、DLM-1分子篩の製造方法において、前記非晶質シリカアルミナとしては、非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルが好ましい。ここで、いわゆる「乾燥ゲル」とは、50重量%以下の含水量を有する非晶質シリカ-アルミナをいう。例えば、前記非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルの含水量は、一般的に20~45重量%、好ましくは25~32重量%である。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、前記非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルの平均粒径は、一般に15μm~150μm、好ましくは25μm~75μm、好ましくは40μm~60μmである。
【0097】
本発明の一実施形態によれば、非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルは、炭化法を使用することによって調製されてもよい。炭化法としては、具体的には以下の工程を含んでいてもよい。
【0098】
工程a:アルミン酸ナトリウム溶液および珪酸ナトリウム溶液をそれぞれ調製する。
【0099】
工程b:珪酸ナトリウム溶液の一部または全部をアルミン酸ナトリウム溶液に添加し、次いでCO2ガスを導入し、反応温度を10~40℃、好ましくは15~35℃に制御し、ゲル生成のpH値を8~11に制御し;導入されたCO2ガスが総導入量の40~100%、好ましくは50~80%を含むときに、残りの珪酸ナトリウム溶液を導入する。
【0100】
工程c:工程bの制御された温度およびpH値で10~30分間、混合物を通気および安定化させる。
【0101】
工程d:工程cで得られた固液混合物を濾過し、濾過ケーキを洗浄する。
【0102】
工程e:工程dで得られた濾過ケーキに水を添加し、激しく撹拌し、次いで熱水処理、濾過、乾燥を行い、非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルを得る。ここで、熱水処理条件としては、例えば、120~150℃、0.5~4.0MPaの水蒸気圧下で、2~10時間処理することが含まれる。
【0103】
本発明の一実施形態によれば、前記工程a)において、アルミン酸ナトリウム溶液の濃度は15~55g Al2O3/Lであり、さらに15~35g Al2O3/Lであり得、珪酸ナトリウム溶液の濃度は50~200g SiO2/Lであり、さらに50~150g SiO2/Lであり得る。
【0104】
本発明の一実施形態によれば、前記工程bにおいて、珪酸ナトリウム溶液の一部または全部、すなわち珪酸ナトリウム溶液の全部の5~100重量%が添加される。CO2ガスの濃度は30~60体積%である。エアレーション撹拌は、工程bのゲル形成の間に行われる。
【0105】
本発明の一実施形態によれば、工程bは以下の方法:(1)すべてのケイ酸ナトリウムをアルミン酸ナトリウムに添加し、CO2ガスを導入する方法;(2)ケイ酸ナトリウムの一部をアルミン酸ナトリウムに添加し、CO2ガスのすべてを導入し、次いで残りのケイ酸ナトリウム溶液を混合物に添加する方法;(3)ケイ酸ナトリウムの一部をアルミン酸ナトリウムに添加し、次いでCO2ガスの一部を導入し、次いでCO2ガスを導入しながら残りのケイ酸ナトリウム溶液を添加する方法のうちの1つまたは組み合わせで行ってもよい。
【0106】
本発明の一実施形態によれば、工程dで得られたスラリーを濾過し、50~95℃の脱イオン水でほぼ中性になるまで洗浄する。
【0107】
本発明の一実施形態によれば、工程eで得られた濾過ケーキに、8:1~12:1の固体-液体の体積比に従って水を添加し、激しく撹拌する。
【0108】
本発明の一実施形態によれば、工程eにおける乾燥は、従来法によって行ってもよく、110~130℃で6~8時間行ってもよい。
【0109】
〔(III)DLM-1分子篩の使用〕
本発明によって提供されるDLM-1分子篩は、任意の物理的形態、例えば、粉末、顆粒、または成形品(例えば、ストリップ形状、三葉形状など)の形態で使用することができる。これらの物理的形態は、当技術分野で従来公知の任意の方法で得ることができ、特に限定されない。
【0110】
本発明の一実施形態によれば、本発明はまた、前述のDLM-1分子篩を含む分子篩組成物、またはDLM-1分子篩を調製するための前述の方法に従って調製されたDLM-1分子篩に関する。さらに、前記分子篩組成物は、活性材料および不活性材料から選択される少なくとも1つ、特に不活性材料などの他の材料をさらに含んでいてもよい。したがって、活性材料は、他の分子篩、非晶質シリカ-アルミナ、マクロ細孔アルミナなどであってもよく、活性金属成分であってもよい。また、不活性材料(一般的にバインダーと呼ばれる)としては、粘土、アルミナ、シリカゲルなどであってもよい。これらの他の材料は、単独で使用することもでき、これらの一部を任意の比率で組み合わせて使用することもできる。前記他の材料の使用量としては、当技術分野における従来の使用量を参照することができ、これに関して特に限定されるものではない。
【0111】
本発明の一実施形態によれば、本発明はさらに、有機物質を上述のDLM-1分子篩、上述の製造方法によって調製されたDLM-1分子篩、または上述の分子篩組成物と接触させる工程を含む、有機物質を処理するための方法に関する。ここで、処理として、例えば、吸着分離および転化反応を挙げることができる。さらに、有機物質として、炭化水素油、特に重質留出油を特に挙げることができる。
【0112】
本発明の一実施形態によれば、本発明の分子篩または分子篩組成物は吸着分離のための吸着剤として、例えば、気相または液相中の多数の構成要素の混合物から少なくとも1つの構成要素を分離するために使用することに特に適している。
【0113】
本発明の一実施形態によれば、本発明の分子篩または分子篩組成物は特に、触媒として、または炭化水素油の転化反応における触媒の活性成分として好適である。炭化水素油の転化反応の例として、水素化処理、水素化分解などが含まれる。ここで、炭化水素油としては、特に重質留出油が挙げられる。
【0114】
本発明の一実施形態によれば、前記水素化処理の反応条件としては、例えば、以下の通り:全反応圧:3.0MPa~18.0MPa、液時体積空間速度:0.2h-1~4.0h-1、水素/油の体積比:200:1~2000:1、および反応温度:230℃~430℃を挙げることができる。
【0115】
本発明の一実施形態によれば、前記水素化分解の反応条件としては、例えば、以下の通り:全反応圧:8.0MPa~18.0MPa、液時体積空間速度:0.2h-1~4.0h-1、水素/油の体積比:500:1~2000:1、および反応温度:280℃~440℃を挙げることができる。
【0116】
本発明の一実施形態によれば、本発明の分子篩または本発明の分子篩組成物は、触媒のための担体または担体成分としての使用に特に適しており、その上に、溶液含浸などによって、当技術分野で従来公知の任意の方法で活性成分が担持される。これらの活性成分としては、活性金属成分(Ni、Co、Mo、W、Cuなどを含む)、活性無機補助剤(例えば、F、Pなど)、有機化合物(例えば、有機酸、有機アミンなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの活性成分は、単独で使用することもでき、これらの一部を任意の比率で組み合わせて使用することもできる。前記活性成分の使用量としては、当技術分野における従来の使用量を直接参照することができ、これに関して特に限定されるものではない。
【0117】
〔実施例〕
本発明は実施例に関連してさらに詳細に説明されるが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0118】
以下の実施例および比較例において、全ての薬剤および原料は、商業的に入手可能であるか、または先行知見に従って調製され得るかのいずれかである。
【0119】
〔実施例1〕
(1)非晶質シリカ-アルミナ乾燥ゲルA1およびスラリーを、20g Al2O3/Lの濃度を有するアルミン酸ナトリウム溶液および100g SiO2/Lの濃度を有するケイ酸ナトリウム溶液を用いて調製した。0.25Lのアルミン酸ナトリウム溶液をゲル形成槽に入れ、次いで0.35Lのケイ酸ナトリウム溶液を添加し、反応温度を20℃に制御し、40体積%の濃度を有するCO2ガスを導入し、導入したCO2ガスが全導入量の50%を占めたときに、ガスを導入しながら0.50Lのケイ酸ナトリウム溶液を導入し、ゲル形成のpH値を9.5に制御し、次いで20分間通気および安定化させ、スラリーを濾過し、65℃の脱イオン水で中性になるまで洗浄し、固体/液体の体積比が10:1になるように水を濾過ケーキに添加し、激しく撹拌し、3.5MPaの水蒸気圧下、130℃で2時間処理し、120℃で6時間乾燥させ、粉砕し、篩い分けすることによって、非晶質シリカ-アルミナ生成物A1を得た。非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルA1の特性を表1に示した。調製した非晶質シリカアルミナA1を脱イオン水と混合し、激しく撹拌して、スラリーを形成した;ここで、非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルと水との質量比は20:80であった;
(2)P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液を、P123トリブロック共重合体を希塩酸溶液に添加することによって調製した。ここで、希塩酸溶液は0.13mol/Lの濃度を有し、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液は1.2のpHを有し、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液の温度は25℃であり、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液中のP123トリブロック共重合体の質量含有量は1.5重量%であった;
(3)工程(1)で調製したスラリーを、工程(2)で調製したP123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液と混合し;混合物を結晶化し、濾過し、乾燥させ、焼成して、A-S-1と命名したDLM-1分子篩を生成した。混合系中のP123トリブロック共重合体と非晶質シリカアルミナとの質量比を1.2:1とし、結晶化温度を90℃とし、結晶化時間を20時間とし;結晶化工程におけるpHを3.3に制御し、乾燥温度を100℃に制御し、乾燥時間を3時間とし、焼成温度を550℃に制御し、焼成時間を3時間とした。
【0120】
Al-SBA-15分子篩の特徴的なピークを示した、実施例1で調製したDLM-1分子篩のXRDスペクトルを
図1に示した。
【0121】
〔実施例2〕
(1)非晶質シリカ-アルミナ乾燥ゲルA2およびスラリーを、25g Al2O3/Lの濃度を有するアルミン酸ナトリウム溶液および50g SiO2/Lの濃度を有するケイ酸ナトリウム溶液を用いて調製した。0.4Lのアルミン酸ナトリウム溶液をゲル形成槽に入れ、次いで0.6Lのケイ酸ナトリウム溶液を添加し、反応温度を22℃に制御し、35体積%の濃度を有するCO2ガスを導入し、導入したCO2ガスが全導入量の50%を占めたときに、ガスを導入しながら0.2Lのケイ酸ナトリウム溶液を導入し、ゲル形成のpH値を9.5に制御し、次いで20分間通気および安定化させ、スラリーを濾過し、75℃の脱イオン水で中性になるまで洗浄し、固体/液体の体積比が8:1になるように水を濾過ケーキに添加し、激しく撹拌し、3.0MPaの水蒸気圧下、120℃で2時間処理し、120℃で8時間乾燥させ、粉砕し、篩い分けすることによって、非晶質シリカ-アルミナ生成物A2を得て、非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルA2の特性を表1に示した。調製した非晶質シリカアルミナA2を脱イオン水と混合し、激しく撹拌して、スラリーを形成した;ここで、非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルと水との質量比は22:78であった;
(2)P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液を、P123トリブロック共重合体を希塩酸溶液に添加することによって調製した。ここで、希塩酸溶液は0.15mol/Lの濃度を有し、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液は1.4のpHを有し、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液の温度は28℃であり、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液中のP123トリブロック共重合体の含有量は1.8重量%であった;
(3)工程(1)で調製したスラリーを、工程(2)で調製したP123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液と混合し;混合物を結晶化し、濾過し、乾燥させ、焼成して、A-S-2と命名したDLM-1分子篩を生成した。混合系中のP123トリブロック共重合体と非晶質シリカアルミナとの質量比を1.7:1とし、結晶化温度を100℃とし、結晶化時間を22時間とし;結晶化工程におけるpHを3.5に制御し、乾燥温度を110℃に制御し、乾燥時間を4時間とし、焼成温度を520℃に制御し、焼成時間を3.5時間とした。
【0122】
〔実施例3〕
(1)非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルA3およびスラリーを、20g Al2O3/Lの濃度を有するアルミン酸ナトリウム溶液および75g SiO2/Lの濃度を有するケイ酸ナトリウム溶液を用いて調製した。1.25Lのアルミン酸ナトリウム溶液をゲル形成槽に入れ、次いで0.5Lのケイ酸ナトリウム溶液を添加し、反応温度を22℃に制御し、52体積%の濃度を有するCO2ガスを導入し、pHが9.8に達したときにCO2ガスの導入を停止し、次いで20分間通気および安定化させ、中性になるまで洗浄し、固体/液体の体積比が9:1になるように水を濾過ケーキに添加し、激しく撹拌し、3.9MPaの水蒸気圧下、130℃で3時間処理し、130℃で8時間乾燥させ、粉砕し、篩い分けすることによって、非晶質シリカ-アルミナ生成物A3を得た。非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルA3の特性を表1に示した。調製した非晶質シリカアルミナA3を脱イオン水と混合し、激しく撹拌して、スラリーを形成した;ここで、非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルと水との質量比は25:75であった;
(2)P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液を、P123トリブロック共重合体を希塩酸溶液に添加することによって調製した。ここで、希塩酸溶液は0.16mol/Lの濃度を有し、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液は1.8のpHを有し、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液の温度は33℃であり、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液中のP123トリブロック共重合体の含有量は2.0重量%であった;
(3)工程(1)で調製したスラリーを、工程(2)で調製したP123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液と混合し;混合物を結晶化し、濾過し、乾燥させ、焼成して、A-S-3と命名したDLM-1分子篩を生成した。混合系中のP123トリブロック共重合体と非晶質シリカアルミナとの質量比を2:1とし、結晶化温度を93℃とし、結晶化時間を18時間とし;結晶化工程におけるpHを4.1に制御し、乾燥温度を120℃に制御し、乾燥時間を4時間とし、焼成温度を530℃に制御し、焼成時間を5時間とした。
【0123】
〔実施例4〕
(1)非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルA4およびスラリーを、28g Al2 O3/Lの濃度を有するアルミン酸ナトリウム溶液および90g SiO2/Lの濃度を有するケイ酸ナトリウム溶液を用いて調製した。0.85Lのアルミン酸ナトリウム溶液をゲル形成槽に入れ、次いで0.58Lのケイ酸ナトリウム溶液を添加し、反応温度を35℃に制御し、60体積%の濃度を有するCO2ガスを導入し、pHが9.5に達したときにCO2ガスの導入を停止し、次いで20分間通気および安定化させ、中性になるまで洗浄し、固体/液体の体積比が8:1になるように水を濾過ケーキに添加し、激しく撹拌し、3.2MPaの水蒸気圧下、130℃で2.5時間処理し、130℃で8時間乾燥させ、粉砕し、篩い分けすることによって、非晶質シリカ-アルミナ生成物A4を得た。非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルA4の特性を表1に示した。調製した非晶質シリカアルミナA4を脱イオン水と混合し、激しく撹拌して、スラリーを形成した;ここで、非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルと水との質量比は18:82であった;
(2)P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液を、P123トリブロック共重合体を希塩酸溶液に添加することによって調製した。ここで、希塩酸溶液は0.16mol/Lの濃度を有し、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液は1.8のpHを有し、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液の温度は33℃であり、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液中のP123トリブロック共重合体の含有量は2.2重量%であった;
(3)工程(1)で調製したスラリーを、工程(2)で調製したP123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液と混合し;混合物を結晶化し、濾過し、乾燥させ、焼成して、A-S-4と命名したDLM-1分子篩を生成した。混合系中のP123トリブロック共重合体と非晶質シリカアルミナとの質量比を2.5:1とし、結晶化温度を98℃とし、結晶化時間を20時間とし;結晶化工程におけるpHを4.3に制御し、乾燥温度を120℃に制御し、乾燥時間を5時間とし、焼成温度を540℃に制御し、焼成時間を5時間とした。
【0124】
〔実施例5〕
(1)非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルA5およびスラリーを、20g Al2O3/Lの濃度を有するアルミン酸ナトリウム溶液および85g SiO2/Lの濃度を有するケイ酸ナトリウム溶液を用いて調製した。0.75Lのアルミン酸ナトリウム溶液をゲル形成槽に入れ、次いで0.15Lのケイ酸ナトリウム溶液を添加し、反応温度を23℃に制御し、45体積%の濃度を有するCO2ガスを導入し、ゲル形成のためにpHを9.8に制御し、次いで20分間通気および安定化させ、スラリーを濾過し、65℃の脱イオン水で中性になるまで洗浄し、固体/液体の体積比が10:1になるように水を濾過ケーキに添加し、激しく撹拌し、3.5MPaの水蒸気圧下、130℃で2時間処理し、120℃で6時間乾燥させ、粉砕し、篩い分けすることによって、非晶質シリカアルミナ生成物A5を得た。非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルA5の特性を表1に示した。調製した非晶質シリカアルミナA5を脱イオン水と混合し、激しく撹拌して、スラリーを形成した;ここで、非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルと水との質量比は22:78であった;
(2)P123トリブロック共重合体を含む酸性溶液を、P123トリブロック共重合体を希塩酸溶液に添加することによって調製した。ここで、希塩酸溶液は0.14mol/Lの濃度を有し、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液は1.6のpHを有し、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液の温度は33℃であり、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液中のP123トリブロック共重合体の質量含有量は1.8重量%であった;
(3)工程(1)で調製したスラリーを、工程(2)で調製したP123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液と混合し;混合物を結晶化し、濾過し、乾燥させ、焼成して、A-S-5と命名したDLM-1分子篩を生成した。混合系中のP123トリブロック共重合体と非晶質シリカアルミナとの質量比を1.5:1とし、結晶化温度を95℃とし、結晶化時間を22時間とし;結晶化工程におけるpHを3.4に制御し、乾燥温度を110℃に制御し、乾燥時間を4時間とし、焼成温度を550℃に制御し、焼成時間を3時間とした。
【0125】
〔実施例6〕
(1)非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルA6およびスラリーを、20g Al2O3/Lの濃度を有するアルミン酸ナトリウム溶液および55g SiO2/Lの濃度を有するケイ酸ナトリウム溶液を用いて調製した。0.75Lのアルミン酸ナトリウム溶液をゲル形成槽に入れ、次いで0.15Lのケイ酸ナトリウム溶液を添加し、反応温度を23℃に制御し、48体積%の濃度を有するCO2ガスを導入し、ゲル形成のためにpHを9.3に制御し、次いで20分間通気および安定化させ、スラリーを濾過し、75℃の脱イオン水で中性になるまで洗浄し、固体/液体の体積比が11:1になるように水を濾過ケーキに添加し、激しく撹拌し、3.5MPaの水蒸気圧下、120℃で2時間処理し、120℃で6時間乾燥させ、粉砕し、篩い分けすることによって、非晶質シリカアルミナ生成物A6を得た。非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルA6の特性を表1に示した。調製した非晶質シリカアルミナA6を脱イオン水と混合し、激しく撹拌して、スラリーを形成した;ここで、非晶質シリカアルミナ乾燥ゲルと水との質量比は24:76であった;
(2)P123トリブロック共重合体を含む酸性溶液を、P123トリブロック共重合体を希塩酸溶液に添加することによって調製した。ここで、希塩酸溶液は0.16mol/Lの濃度を有し、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液は1.5のpHを有し、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液の温度は28℃であり、P123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液中のP123トリブロック共重合体の質量含有量は2.1重量%であった;
(3)工程(1)で調製したスラリーを、工程(2)で調製したP123トリブロック共重合体を含む酸性水溶液と混合し;混合物を結晶化し、濾過し、乾燥させ、焼成して、A-S-6と命名したDLM-1分子篩を生成した。混合系中のP123トリブロック共重合体と非晶質シリカアルミナとの質量比を2.2:1とし、結晶化温度を100℃とし、結晶化時間を19時間とし;結晶化工程におけるpHを3.3に制御し、乾燥温度を110℃に制御し、乾燥時間を5時間とし、焼成温度を550℃に制御し、焼成時間を4時間とした。
【0126】
〔比較例1〕
0.18mol/Lの希塩酸溶液600mLにP123を6.2g添加した。混合物を26℃まで昇温し、次いで一定温度で6時間撹拌した。P123が完全に溶解した後、溶液は透明な状態であった。5.2gのYゼオライトスラリーを添加し、pHを3.3に制御した。混合物を撹拌下、一定温度で6時間反応させ、98℃まで昇温し、24時間水熱結晶化させた。次いで、混合物を濾過し、濾過ケーキを洗浄し、120℃で6時間乾燥させ、550℃で6時間焼成して、A-S-7と命名した分子篩を生成し、その特性を表2に示した。
【0127】
〔比較例2〕
0.13mol/Lの希塩酸溶液600mLにP123を7.2g添加した。混合物を26℃まで昇温し、次いで一定温度で6時間撹拌した。P123が完全に溶解した後、溶液は透明な状態であった。6gのベータゼオライトスラリーを添加し、pHを3.7に制御した。混合物を撹拌下、一定温度で6時間反応させ、98℃まで昇温し、24時間水熱結晶化させた。次いで、混合物を濾過し、濾過ケーキを洗浄し、120℃で6時間乾燥させ、550℃で6時間焼成して、A-S-8と命名した分子篩を生成し、その特性を表2に示した。
【0128】
〔比較例3〕
カオリンを焼成し、700℃で4時間活性化させた。焼成したカオリン12gを秤量し、塩酸(6mol/L)に4時間含浸させた。次いで、脱イオン水を用いて、吸引濾過を行った。濾過ケーキを中性になるまで洗浄し、乾燥させた。乾燥試料を900℃で2時間焼成し、次いで5mol/LのNaOHアルカリ溶液に入れ、高温高圧(温度160℃、圧力0.5MPa)下で3時間反応させた。反応終了後、pH値を14.0に調整した。次いで、界面活性剤と塩酸(塩酸濃度は7.5mol/Lであった)との混合溶液に、得られた材料を滴下した(n(FSO-100)/n(P123)=5.5)。得られた混合物を40℃で2時間、撹拌下で反応させ、160℃で48時間水熱反応させ、濾過した。濾過ケーキを洗浄し、乾燥させ、マッフル炉において550℃で6時間焼成して、メソ細孔材料A-S-9を生成し、その特性を表2に示した。
【0129】
〔比較例4〕
2mol/Lの希塩酸溶液125mLにP123を4g添加し、P123が完全に溶解するまで混合物を40℃で撹拌し;P123含有希塩酸溶液にエチルオルトシリケート8.5gを添加し、4時間撹拌し、Si/Alモル比が35となるように硝酸アルミニウムを添加し、20時間撹拌を続けた。上記溶液を250mLのオートクレーブに添加し、100℃で48時間撹拌し、室温まで冷却し、アンモニア水でpH値7.5に調整した。連続撹拌下、混合物を100℃まで昇温し、72時間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを60℃で一晩洗浄し、550℃で6時間焼成して、メソ細孔材料A-S-10を生成し、その特性を表2に示した。
【0130】
〔比較例5〕
鋳型剤としてのP123トリブロック共重合体およびケイ素源としてのエチルオルトシリケートをそれぞれ秤量し、鋳型剤P123の質量は5.5g、エチルオルトシリケートの質量は10.2gであり;鋳型剤およびケイ素源をHCl溶液(pH=2.8)に添加し、28℃で30時間激しく撹拌し、撹拌した混合物を120℃で20時間放置して結晶化させ、脱イオン水で洗浄し、乾燥させて、SBA-15を生成した。得られたSBA-15分子篩を水と混合し、激しく撹拌した。ここで、固体と液体との比は1:10であった。次いで、アルミニウムイソプロポキシド23gを含む塩酸溶液を添加し、得られた材料を100℃まで昇温し、20時間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを洗浄し、60℃で一晩乾燥させ、550℃で5時間焼成して、メソ細孔材料A-S-11を生成し、その特性を表2に示した。
【0131】
〔比較例6〕
5.2gのP123を500mLの希塩酸溶液(0.13mol/L)に添加した。混合物を28℃まで昇温し、次いで一定温度で8時間撹拌した。完全に溶解させた後、溶液は透明な状態であった。溶液を、アルミナ6gおよびシリカゾル8g(シリカ含有量30%)を含むスラリーに添加し、pHを3.5に制御し、混合物を撹拌下、一定温度で8時間反応させ、98℃まで昇温し、26時間水熱結晶化させた。次いで、混合物を濾過し、濾過ケーキを洗浄し、120℃で6時間乾燥させ、550℃で6時間焼成して、メソ細孔材料A-S-12を生成した。実験分析を通して、メソ細孔材料A-S-12は、Al-SBA-15の構造的特徴を有しておらず、言及するような有意性を有していなかったことが分かった。
【0132】
【0133】
【0134】
〔実施例7〕
実施例1で調製したA-S-1を用いて、水素化処理触媒担体および水素化処理触媒を調製した:
アルミナ乾燥接着剤粉末(比表面積313m2/g、細孔容積1.12mL/g、および平均細孔径14nmを有する)135g、分子篩A-S-1 9.5g、およびセスバニア粉末4gを、硝酸およびクエン酸(硝酸量8.3gおよびクエン酸量3.5g)を含む水溶液115mLに添加し、混合物を練り、圧延し、ストリップ形状に押出し、120℃で4時間乾燥させ、550℃で4時間焼成して、Z1と命名した分子篩を含む最終アルミナ担体を得た。
【0135】
Z1を、Mo、Ni、およびPを含む含浸溶液で等尺性を保って含浸させ、140℃で3時間乾燥させ、450℃で2時間焼成して、最終的にC-1と命名した触媒を得た。触媒C1において、酸化モリブデンの含有量は22.0重量%であり、酸化ニッケルの含有量は3.57重量%であり、酸化リンの含有量は1.20重量%であった。
【0136】
触媒C-1を触媒活性評価実験に供し、具体的には100mLの小規模水素化ユニットで実験を行い、評価前に触媒を予備硫化した。触媒評価条件は、以下の通り:全反応圧力が14.5MPaであり、液時体積空間速度が1.1h-1であり、水素/油の体積比が750:1であり、反応温度が375℃であった。原料油の特性を表3に示し、活性評価の結果を表4に示した。
【0137】
〔実施例8〕
実施例3で調製したA-S-3を用いて、水素化処理触媒担体および水素化処理触媒を調製した:
アルミナ乾燥接着剤粉末(比表面積328m2/g、細孔容積1.11mL/g、および平均細孔径13.5nmを有する)125g、分子篩A-S-3 7.5g、およびセスバニア粉末4gを、硝酸およびクエン酸を含む水溶液(硝酸量7.8gおよびクエン酸量3.8g)120mLに添加し、混合物を練り、圧延し、ストリップ形状に押出し、120℃で3時間乾燥させ、550℃で4時間焼成して、Z2と命名した分子篩を含む最終アルミナ担体を得た。
【0138】
Z2を、Mo、Ni、およびPを含む含浸溶液で等尺性を保って含浸させ、130℃で3時間乾燥させ、460℃で3時間焼成して、最終的にC-2と命名した触媒を得た。触媒C2において、酸化モリブデンの含有量は22.1重量%であり、酸化ニッケルの含有量は3.45重量%であり、酸化リンの含有量は1.19重量%であった。
【0139】
触媒C-2を、実施例7と同様に触媒活性評価に供した。原料油の特性を表3に示し、活性評価の結果を表4に示した。
【0140】
〔比較例6~10〕
担体および触媒の調製は、それぞれ比較例1~5で調製したA-S-7~A-S-11を実施例7中のA-S-1の代わりに使用して、それぞれ担体Z3~Z7および触媒C-3~C-7を得たこと以外は、実施例7と同じであった。
【0141】
触媒C-3~C-7について、実施例7と同様に触媒活性実験を行った。原料油の特性を表3に示し、活性評価の結果を表4に示した。
【0142】
【0143】
【0144】
表4から分かるように、本発明のDLM-1分子篩を用いることによって調製した水素化処理触媒は、比較例の触媒よりも有意に高い脱窒活性を有していた。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1で得られたDLM-1分子篩のXRDスペクトルである。
【国際調査報告】