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特表2023-509608電動工具、モータ、及びモータのロータアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(54)【発明の名称】電動工具、モータ、及びモータのロータアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20230302BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20230302BHJP
   H02K 21/12 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
H02K1/276
B25F5/00 G
H02K21/12 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539346
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(85)【翻訳文提出日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 CN2020139103
(87)【国際公開番号】W WO2021129758
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】201922426309.8
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】チャン ツァイヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ ジンチャン
(72)【発明者】
【氏名】ラム カー ワイ
【テーマコード(参考)】
3C064
5H621
5H622
【Fターム(参考)】
3C064AA03
3C064AB02
3C064AC01
3C064BA33
3C064BB01
3C064BB42
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA09
3C064CA10
3C064CB32
3C064CB62
3C064CB71
5H621HH01
5H621JK02
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622CA13
5H622CB03
5H622CB05
5H622PP03
5H622PP10
5H622PP11
5H622PP17
(57)【要約】
電動工具、電気モータ、及びモータのロータアセンブリを開示する。ロータアセンブリは、回転シャフト(4)と、回転シャフト(4)上に固定されたロータ本体(1)、制限部材(2)及び冷却ファン(3)とを含み、制限部材(2)及び冷却ファン(3)はロータ本体(1)の2つの軸端にそれぞれ配置され、ロータ本体(1)は、ロータ鉄心(11)と、ロータ鉄心(11)内に固定された磁石(12)とを含み、制限部材(2)及び冷却ファン(3)は、ロータ本体(1)の磁石(12)の軸方向変位及び半径方向変位を共同で規定する。このロータアセンブリに基づけば、磁石(12)が機械的組み立て法のみを使用してロータ鉄心(11)内に固定して取り付けられ、このためロータアセンブリの要素数が減少し、組み立てが容易になり、製造コストが効果的に削減される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転シャフト(4)と、該回転シャフト(4)に固定されたロータ本体(1)、制限部材(2)及び冷却ファン(3)とを備えたロータアセンブリであって、前記制限部材(2)及び前記冷却ファン(3)は、前記ロータ本体(1)の両軸端にそれぞれ配置され、前記ロータ本体(1)は、ロータコア(11)と、該ロータコア(11)内に固定された磁石(12)とを含み、前記制限部材(2)及び前記冷却ファン(3)は、前記磁石(12)の軸方向変位及び半径方向変位を共同して制限する、
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項2】
前記冷却ファン(3)は、前記磁石(12)の軸端に当接する、
請求項1記載のロータアセンブリ。
【請求項3】
前記冷却ファン(3)は、前記ロータ本体(1)に向かって延びる突起部(32)を含み、該突起部(32)は、前記磁石(12)の前記軸端に当接する、
請求項2に記載のロータアセンブリ。
【請求項4】
前記ロータコア(11)は、前記磁石(12)を取り付けるための取り付け穴(111)と、該取り付け穴(111)の側面に位置して前記取り付け穴(111)と連通する位置決め穴(112)とを定め、前記突起部(32)は、前記位置決め穴(112)に少なくとも部分的に挿入されて前記磁石(12)に当接する、
請求項3に記載のロータアセンブリ。
【請求項5】
前記突起部(32)は停止部を含み、該停止部は、前記磁石(12)の軸端の端面に当接して前記磁石(12)が前記冷却ファン(3)の方に移動するのを防ぐ、
請求項4に記載のロータアセンブリ。
【請求項6】
前記冷却ファン(3)に近い前記突起部(32)の一端の半径方向寸法は、前記停止部を形成するように前記突起部(32)の自由端の寸法よりも大きく、前記停止部は傾斜面(321)又は段差である、
請求項5に記載のロータアセンブリ。
【請求項7】
前記冷却ファン(3)は基部(31)をさらに含み、前記突起部(32)は、前記基部(31)上に形成されて前記ロータコア(11)に完全に挿入され、前記基部(31)は、前記磁石(12)の前記軸端に直接当接する、
請求項4に記載のロータアセンブリ。
【請求項8】
前記位置決め穴(112)は、前記取り付け穴(111)の前記回転シャフト(4)に面する側又は前記回転シャフト(4)から離れた側の中心に配置される、
請求項4に記載のロータアセンブリ。
【請求項9】
前記冷却ファン(3)は、該冷却ファン(3)と一体的に形成されて前記ロータ本体(1)に向かって延びるフランジ(34’)を含み、該フランジ(34’)は、前記ロータアセンブリの取り付け中に前記ロータコア(11)の押圧によって変形し、前記磁石(12)の前記軸端に少なくとも部分的に当接する、
請求項2に記載のロータアセンブリ。
【請求項10】
前記ロータコア(11)は、前記磁石(12)を取り付けるための取り付け穴(111)を定め、前記フランジ(34’)の少なくとも一部は、変形して前記磁石(12)に当接した後に前記ロータコア(11)の前記取り付け穴(111)の底部に埋め込まれる、
請求項9に記載のロータアセンブリ。
【請求項11】
前記制限部材(2)は、前記磁石(12)の他方の軸端に直接又は弾性ワッシャ(5)を介して当接する、
請求項1に記載のロータアセンブリ。
【請求項12】
前記ロータコア(11)は、前記磁石(12)を取り付けるための取り付け穴(111)と、該取り付け穴(111)の側面に位置して前記取り付け穴(111)と連通する位置決め穴(112)とを定め、前記制限部材(2)は、前記ロータ本体(1)に向かって伸びる突起部を含み、該突起部は、少なくとも部分的に前記位置決め穴(112)に挿入されて前記磁石(12)に当接する、
請求項1に記載のロータアセンブリ。
【請求項13】
ステータと、請求項1から12のいずれか1項に記載のロータアセンブリとを備えたモータであって、前記ロータアセンブリは、前記ステータ内に回転可能に配置される、
ことを特徴とするモータ。
【請求項14】
請求項13に記載のモータを備える、
ことを特徴とする電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気技術の分野に関し、具体的には、ロータアセンブリ、ロータアセンブリを有するモータ、及びモータを有する電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、内側ロータ式モータのロータは、ロータコアと、ロータコアの周囲にスリーブ連結されたリング磁石とを含み、リング磁石は接着によってロータコアに固定される。リング磁石は、回転シャフトに固定されたホルダによって軸方向に位置決めされる。しかしながら、電動工具の分野などのいくつかの応用分野では、モータが比較的速い回転速度を有することが必要である。先行技術では、ロータの高速回転下におけるリング磁石のひび割れ又は飛散を避けるために、通常はリング磁石の周囲に上側スリーブ及び下側スリーブがスリーブ連結されており、このため磁気抵抗、ロータとステータとの間の空隙、モータの材料コスト及び組み立て工程の増加が避けられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、上記の課題を解決できるロータアセンブリ、ロータアセンブリを有するモータ、及びモータを有する電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は、回転シャフトと、回転シャフトに固定されたロータ本体、制限部材及び冷却ファンとを含むロータアセンブリであって、制限部材及び冷却ファンがロータ本体の両軸端にそれぞれ配置され、ロータ本体が、ロータコアと、ロータコア内に固定された磁石とを含み、制限部材及び冷却ファンが磁石の軸方向変位及び半径方向変位を共同して制限する、ロータアセンブリを提供する。
【0005】
いくつかの実施形態では、冷却ファンが磁石の軸端に当接する。
【0006】
いくつかの実施形態では、冷却ファンが、ロータ本体に向かって延びる突起部を含み、突起部が磁石の軸端に当接する。
【0007】
いくつかの実施形態では、ロータコアが、磁石を取り付けるための取り付け穴と、取り付け穴の側面に位置して取り付け穴と連通する位置決め穴とを定め、突起部が位置決め穴に少なくとも部分的に挿入されて磁石に当接する。
【0008】
いくつかの実施形態では、突起部が停止部を含み、停止部が、磁石の軸端の端面に当接して磁石が冷却ファンの方に移動するのを防ぐ。
【0009】
いくつかの実施形態では、冷却ファンに近い突起部の一端の半径方向寸法が、停止部を形成するように突起部の自由端の寸法よりも大きく、停止部が傾斜面又は段差である。
【0010】
いくつかの実施形態では、冷却ファンが基部をさらに含み、突起部が基部上に形成されてロータコアに完全に挿入され、基部が磁石の軸端に直接当接する。
【0011】
いくつかの実施形態では、位置決め穴が、取り付け穴の回転シャフトに面する側又は回転シャフトから離れた側の中心に配置される。
【0012】
いくつかの実施形態では、冷却ファンが、冷却ファンと一体的に形成されてロータ本体に向かって延びるフランジを含み、フランジが、ロータアセンブリの取り付け中にロータコアの押圧によって変形し、磁石の軸端に少なくとも部分的に当接する。
【0013】
いくつかの実施形態では、ロータコアが、磁石を取り付けるための取り付け穴を定め、フランジの少なくとも一部が、変形して磁石に当接した後にロータコアの取り付け穴の底部に埋め込まれる。
【0014】
いくつかの実施形態では、制限部材が、磁石の他方の軸端に直接又は弾性ワッシャを介して当接する。
【0015】
いくつかの実施形態では、ロータコアが、磁石を取り付けるための取り付け穴と、取り付け穴の側面に位置して取り付け穴と連通する位置決め穴とを定め、制限部材が、ロータ本体に向かって伸びる突起部を含み、突起部が、少なくとも部分的に位置決め穴に挿入されて磁石に当接する。
【0016】
本発明は、ステータと、上述したロータアセンブリとを含むモータであって、ロータアセンブリがステータ内に回転可能に配置されたモータも提供する。
【0017】
本発明は、上述したモータを含む電動工具も提供する。
【0018】
本発明の実施形態によって提供されるロータアセンブリでは、機械的組み立てのみを通じて磁石をロータコア内に設置して固定することができ、ロータアセンブリの部品数が減少し、組み立てが便利であり、製造コストが効果的に削減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態によるロータアセンブリの組み立てた斜視図である。
図2図1のロータアセンブリの分解斜視図である。
図3a図1のロータアセンブリの底面図である。
図3b図3aのロータアセンブリの断面線A-Aに沿った断面図である。
図4a図1のロータアセンブリのロータコアの斜視図である。
図4b図4aのロータコアの端面図である。
図5図1のロータアセンブリの冷却ファンと磁石との位置関係を概略的に示す図である。
図6】本発明の別の実施形態のロータアセンブリの分解斜視図である。
図7図6のロータアセンブリを組み立てた状態の断面図である。
図8】本発明のさらに別の実施形態によるロータアセンブリの分解斜視図である。
図9】本発明の実施形態によるモータを示す図である。
図10】本発明の実施形態による電動工具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の技術的解決策及び有益な効果をより明確にするために、添付図面及び具体的な実施形態を参照しながら本発明を詳細に説明する。図面は、参照及び説明のために提供するものにすぎず、本発明を限定するために使用するものではないと理解することができる。図面に示す寸法は、説明を明確にする便宜上のものにすぎず、比例関係を限定するものではない。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態によるロータアセンブリ100の組み立てた斜視図である。ロータアセンブリ100は、回転シャフト4と、回転シャフト4に固定されたロータ本体1、制限部材2及び冷却ファン3とを含む。制限部材2及び冷却ファン3は、ロータ本体1の軸方向両端にそれぞれ配置される。
【0022】
図2図3a及び図3bを同時に参照すると、ロータ本体1は、ロータコア11と、ロータコア11に軸方向に挿入された複数の磁石12とを含む。複数の磁石12は、ロータコア11内で回転シャフト4の周囲に周方向間隔で配置される。この実施形態では、回転シャフト4の軸方向における磁石12の長さがロータコア11の軸方向長さにほぼ等しく、すなわち軸方向における磁石12の2つの端部が軸方向におけるロータコア11の2つの軸端とそれぞれ実質的に同じ高さである。回転シャフト4の軸方向における磁石12の両端は、制限部材2及び冷却ファン3にそれぞれ当接して、磁石12がロータコア11に対して動くのを防ぐ。他の実施形態では、磁石12の長さをロータコア11の軸方向長さよりわずかに小さくすることもできる。
【0023】
図4a及び図4bを同時に参照すると、ロータコア11は実質的に円筒形であり、磁石12を取り付けるための取り付け穴111を備え、取り付け穴111は軸方向に延びてロータコア11を貫通する。複数の取り付け穴111は、回転シャフト4の周囲に周方向に配置される。この実施形態では、取り付け穴111の断面が実質的に矩形であり、両端には磁石の周方向移動を制限するための突起部が設けられる。ロータコア11は、各取り付け穴111の半径方向内側の中心に位置決め穴112をさらに定め、位置決め穴112は、対応する取り付け穴111と連通する。この実施形態では、位置決め穴112が、対応する取り付け穴111の半径方向内側に対して垂直に延びるとともに、ロータコア11を軸方向にも貫通する。他の実施形態では、位置決め穴112の軸方向長さをロータコア11の軸方向長さより小さくすることもでき、すなわち位置決め穴112は、ロータコア11の一方の端面から軸方向に一定距離だけ延びて鉄心11の他方の端面を貫通しない。位置決め穴112は、取り付け穴111の半径方向内側の中心に配置されることが好ましい。取り付け穴111には磁石12が挿入される。この実施形態では、ロータ本体1が4つの磁石12を含み、磁石12は矩形板の形状である。これに対応して4つの取り付け穴111が存在し、これらはロータコア11の円周に沿って等間隔を空け、共に方形に配置される。取り付け穴111及び位置決め穴112の具体的な数、及びこれらの具体的な位置関係は、実際のニーズに応じて設定することができると理解することができる。
【0024】
冷却ファン3は、基部31と、基部の外周上の複数のブレード33とを含む。基部31は、実質的に円形状を有し、ロータ本体1に面して配置される。基部31のロータ本体1に面した側は、ロータ本体1に向かって延びる複数の突起部32を有する。突起部32は、少なくとも部分的にロータコア11の位置決め穴112に挿入されて、対応する取り付け穴111内に設置された磁石12に当接することができる。図5も同時に参照すると、各突起部32の基部31に近い端部の半径方向外側は、突起部32の基部31に近い端部の半径方向寸法が突起部32の自由端の寸法よりも大きくなるように外向きに広がる傾斜面321を有し、傾斜面321は、取り付け穴111内に設置された磁石12の端部に当接することによって、冷却ファン3に向かう磁石12の軸方向移動及び磁石12の半径方向の移動を制限する。突起部32及びその傾斜面321の配置は、対応する磁石12がロータコア11の取り付け穴111に圧入されることを可能にし、傾斜面321の配置は、一定の組み立て偏差(assembly deviations)を許容することによって機械加工精度要件を抑える。この実施形態では、突起部32がプラスチック製であり、基部31及びブレード33と一体的に射出成形されることが好ましい。
【0025】
この実施形態では、突起部32が、磁石12を軸方向及び半径方向に制限するための傾斜面321を有する。他の実施形態では、傾斜面321を段差に置き換えることもでき、これらの段差が磁石12の端部に当接することによって、磁石12の冷却ファン3に向かう方向への軸方向移動を制限することができる。傾斜面321又は段差は突起部32の停止部を構成し、磁石の軸方向端部の停止部として機能する。
【0026】
他の実施形態では、位置決め穴112を取り付け穴111の半径方向外側に配置することもでき、この場合は突起部の内側が磁石に接し、冷却ファン3に向かう磁石12の軸方向移動及び磁石12の半径方向の移動を制限するために、基部31に近い突起部の端部の半径方向内側に対応する傾斜面を設けることができる。他の実施形態では、冷却ファン3に向かう磁石12の軸方向移動及び磁石12の半径方向の移動を制限するために、各突起部の基部31に近い端部の半径方向内側及び外側に傾斜面が設けられる。突起部及びその傾斜面の配置は、実際の要件に応じて設計することができると理解することができる。
【0027】
制限部材2は、ロータ本体1の他端に位置する回転シャフト4上に固定される。ロータ本体1に面する制限部材2の表面は制限面21であり、制限面21は、ロータ本体1の他方の軸端に当接するとともに磁石12の他端に当接ことによって、制限部材2に向かう磁石の軸方向移動を制限する。このように、制限部材2は、冷却ファン3と協働して磁石12の軸方向変位を制限する。この実施形態では、制限部材2の断面が円形である。制限部材2の制限面21の半径は、磁石12と回転シャフト4の軸との間の最短距離よりも大きく、ロータコア11の直径以下であることが好ましい。他の実施形態では、制限部材2が位置決め穴に係合する突起部を備え、制限部材2の一端における突起部によって磁石12の半径方向移動及び/又は軸方向移動を制限することもできる。
【0028】
本発明では、上述した制限部材2及び冷却ファン3の突起部32の配置により、ロータコア11の取り付け穴111内に設置された磁石12を機械的固定手段のみによって取り付け穴111内に確実に固定することができる。接着剤を使用せずに磁石12をロータコア11内に組み立てて、磁石12を適切な位置に保持することができ、ロータアセンブリ100の部品数が減少し、組み立て工程が単純であり、効果的にコストが削減される。
【0029】
図6及び図7に、本発明の第2の実施形態によるロータアセンブリ100を示す。この実施形態と上述した実施形態との主な相違点は、ロータ本体1と制限部材2との間にワッシャ5が配置される点である。ワッシャ5の形状は制限部材2の制限面21に一致し、従って制限面21に関する上記説明がワッシャ5にも当てはまることが好ましい。ワッシャ5は、ゴムなどの弾性材料で形成されることにより、ロータコア11内に配置された磁石12に限られた弾性予荷重力(elastic preloading force)を与えることが好ましい。
【0030】
また、この実施形態では、冷却ファン3の突起部32が基部31から垂直に延び、すなわち突起部32が傾斜面を有していない。本実施形態では、突起部32が位置決め穴112に完全に挿入されることにより、回転シャフト4の軸方向におけるロータコア11の両端がワッシャ5及び基部31の表面にそれぞれ当接するようになる。回転シャフト4の軸方向におけるロータコア11内に設置された磁石12の両端は、それぞれ制限部材2及び冷却ファン3によって制限されて、ロータコア11に対する磁石12の軸方向移動が防がれる。ワッシャ5の弾性予荷重力は、ロータコア11内に組み立てられた磁石12を冷却ファン3に向けて押圧することによって磁石12を冷却ファン3の基部31に隙間なく押し付け、従ってワッシャ5の設計が一定の組み立て偏差を許容することによって機械加工精度要件を抑えることができる。
【0031】
図8に、本発明の第3の実施形態によるロータアセンブリ100’の冷却ファン3’を示す。第3の実施形態のロータアセンブリ100’を第1の実施形態のロータアセンブリ100と比較すると、主な相違点は、冷却ファン3’の基部31’の突起部32’が磁石12に当接する傾斜面を状況に応じて備えることも又は備えないこともできる点、及び基部31’のロータ本体1に面する側が、基部31’と一体的に射出成形されて複数の突起部32’を取り囲むフランジ34’をさらに含む点である。フランジ34’の軸方向における高さは、突起部32’の高さよりも低い。ロータアセンブリ100’を取り付ける際には、ロータコア11及び取り付け穴111に挿入された磁石12をエアプレス又は油圧プレスによって冷却ファン3’に向けて押圧し、突起部32’を少なくとも部分的にロータコア11に挿入する。ロータコア11がフランジ34’を押圧することによって、フランジ34’が押し潰されて変形し、ロータコア11の各取り付け穴111の底部に部分的に埋め込まれるようになる。従って、ロータコア11に収容された磁石12の半径方向の移動を突起部32’によって制限できるとともに、少なくともロータコア11の取り付け穴111に嵌まり込んだフランジ34’の変形部分及び制限部材2によって軸方向の移動を制限することができる。従って、磁石12をより良好に固定することができる。
【0032】
この実施形態では、フランジ34’が環状である。他の実施形態では、取り付け穴111の配置に応じてフランジ34’を他の形状で設計し、又は複数の断続的なフランジを形成することもでき、要件に応じてフランジの高さ及び幅を異なるように設計することもできる。
【0033】
図9に、ステータ200と、ステータ200の内部に配置されてステータ200に対して回転可能なロータアセンブリ100とを含む、本発明のロータアセンブリを有するモータ300を示す。本発明のモータ300は、限定するわけではないが電動工具に適する。
【0034】
図10に、例えばドリル本体401と、ドリル本体401に取り付けられたモータ300と、モータ300によって駆動されるドリルビット402とを含む電動ドリルとすることができる、本発明のモータ300を有する電動工具400を示す。本発明のモータ300は、他の電動工具に適用することもできる。
【0035】
上記は、本発明の好ましい具体的実装に過ぎない。本発明の保護範囲は、上述した実施例に限定されるものではない。当業者であれば、本発明に開示する技術的範囲内の技術を取得できることが明らかである。本解決策の単純な変更又は同等の置換は本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1 ロータ本体
100 ロータアセンブリ
2 制限部材
3 冷却ファン
4 回転シャフト
11 ロータコア
12 磁石
21 制限面
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転シャフトと、該回転シャフトに固定されたロータ本体、制限部材及び冷却ファンとを備えたロータアセンブリであって、前記制限部材及び前記冷却ファンは、前記ロータ本体の両軸端にそれぞれ配置され、前記ロータ本体は、ロータコアと、該ロータコア内に固定された磁石とを含み、前記制限部材及び前記冷却ファンは、前記磁石の軸方向変位及び半径方向変位を共同して制限する、
ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項2】
前記冷却ファンは、前記磁石の第1の軸端に当接する、
請求項1記載のロータアセンブリ。
【請求項3】
前記冷却ファンは、該冷却ファンと一体的に形成されて前記ロータ本体に向かって延びる突起部を含み、該突起部は、前記磁石の前記第1の軸端に当接する、
請求項2に記載のロータアセンブリ。
【請求項4】
前記ロータコアは、前記磁石を取り付けるための取り付け穴と、該取り付け穴とそれぞれ連通する位置決め穴とを定め、該位置決め穴の各々は、前記取り付け穴のうちの対応する取り付け穴の側面に位置し、前記突起部は、それぞれ前記位置決め穴に少なくとも部分的に挿入されて前記磁石に当接する、
請求項3に記載のロータアセンブリ。
【請求項5】
各突起部は停止部を含み、該停止部は、前記対応する磁石の前記第1の軸端に当接して前記磁石が前記冷却ファンの方に移動するのを防ぐ、
請求項4に記載のロータアセンブリ。
【請求項6】
前記冷却ファンに近い各突起部の一端の半径方向寸法は、前記停止部を形成するように前記突起部の自由端の半径方向寸法よりも大きく、前記停止部は傾斜面又は段差である、
請求項5に記載のロータアセンブリ。
【請求項7】
前記冷却ファンは基部をさらに含み、前記突起部は、前記基部上に一体的に形成されて前記ロータコアに完全に挿入され、前記基部は、前記磁石の前記第1の軸端に直接当接する、
請求項4に記載のロータアセンブリ。
【請求項8】
前記位置決め穴は、前記対応する取り付け穴の前記回転シャフトに面する側又は前記回転シャフトから離れた側の中心に配置される、
請求項4に記載のロータアセンブリ。
【請求項9】
前記冷却ファンは、該冷却ファンと一体的に形成されて前記ロータ本体に向かって延びるフランジを含み、該フランジは、前記ロータアセンブリの取り付け中に前記ロータコアの押圧によって変形し、前記磁石の前記第1の軸端に少なくとも部分的に当接する、
請求項2に記載のロータアセンブリ。
【請求項10】
前記ロータコアは、前記磁石を取り付けるための取り付け穴を定め、前記フランジの少なくとも一部は、変形して前記磁石に当接した後に前記ロータコアの前記取り付け穴の底部に埋め込まれる、
請求項9に記載のロータアセンブリ。
【請求項11】
前記制限部材は、前記磁石の前記第1の軸端とは反対側の第2の軸端に直接又は弾性ワッシャを介して当接する、
請求項1に記載のロータアセンブリ。
【請求項12】
前記ロータコアは、前記磁石を取り付けるための取り付け穴と、該取り付け穴とそれぞれ連通する位置決め穴とを定め、該位置決め穴の各々は、前記取り付け穴のうちの対応する取り付け穴の側面に位置し、前記制限部材は、前記ロータ本体に向かって伸びる突起部を含み、該突起部は、それぞれ前記位置決め穴に少なくとも部分的に挿入されて前記磁石に当接する、
請求項1に記載のロータアセンブリ。
【請求項13】
ステータと、請求項1から12のいずれか1項に記載のロータアセンブリとを備えたモータであって、前記ロータアセンブリは、前記ステータ内に回転可能に配置される、
ことを特徴とするモータ。
【請求項14】
請求項13に記載のモータを備える、
ことを特徴とする電動工具。
【国際調査報告】