(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(54)【発明の名称】呼気センサの測定方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/091 20060101AFI20230302BHJP
G01N 33/497 20060101ALI20230302BHJP
A61B 5/087 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
A61B5/091
G01N33/497 A
A61B5/087
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540375
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 US2020066842
(87)【国際公開番号】W WO2021138197
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507362719
【氏名又は名称】マクニール アーベー
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL AB
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェームソン・アレン
(72)【発明者】
【氏名】バルビエルツ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】トリダス・エリック
(72)【発明者】
【氏名】ヘロルド・ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】アトリー・デビッド・エス
【テーマコード(参考)】
2G045
4C038
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045CB22
2G045DB01
2G045DB30
2G045FB19
2G045JA07
4C038SS04
4C038SS05
4C038ST04
4C038SU02
4C038SU17
4C038SU18
4C038SU19
4C038SX01
(57)【要約】
呼気センサの測定方法及び装置について説明する。1つの変形例は、概して、呼気サンプリングポートを有するサンプリングユニットと、サンプリングユニット内に配置され呼気サンプリングポートと連通する少なくとも1つの圧力センサと、少なくとも1つの圧力センサと通信するプロセッサとを備えることができる。プロセッサは、第1の所定期間にわたって呼気サンプリングポートにサンプル呼気を吐き出し、第2の所定期間にわたって呼気サンプリングポートを通して息を吸い込むように指示でユーザに促すように構成されてもよい。プロセッサは、圧力センサを介して第1の所定期間及び第2の所定期間にわたる圧力変化を測定するように構成されてもよく、それにより、プロセッサは、第1の所定期間及び第2の所定期間にわたる圧力変化に基づいてユーザの肺活量に対応する空気の総量を決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの肺パラメータを測定するように構成された装置であって、
呼気サンプリングポートを有するサンプリングユニットと、
前記サンプリングユニット内に配置され、前記呼気サンプリングポートと連通する少なくとも1つの圧力センサと、
前記ユーザが前記呼気サンプリングポートに吐き出したサンプル呼気から対象となる分析物を検出するように構成された少なくとも1つのガスセンサであって、前記少なくとも1つのガスセンサは、前記サンプリングユニット内に配置され、また前記サンプル呼気の少なくとも一部と流体連通する、少なくとも1つのガスセンサと、
前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記少なくとも1つのガスセンサと通信するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、第1の所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートにサンプル呼気を吐き出すように指示でユーザに促すように構成されており、
前記プロセッサは、前記圧力センサを介して周囲圧力に対する圧力変化を測定し、そしてこの圧力を流量に相関させるように更に構成されており、
前記プロセッサは、前記少なくとも1つのガスセンサから測定値を受信し、そしてこの測定値を前記サンプル呼気からの対象となる前記分析物に相関させるように更に構成されており、
前記プロセッサは、前記流量に基づいて前記ユーザの肺パラメータを計算するように更に構成されている、装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、一定の流量又は一定の圧力で息を吐き出すように指示で前記ユーザに促すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、第2の所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートを通して息を吸い込むように指示で前記ユーザに更に促すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記サンプル呼気を吐き出す前に少なくとも10秒間息を止めるように指示で前記ユーザに促すように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記サンプル呼気を少なくとも6~12秒間吐き出すように指示でユーザに促すように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、第3の所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートに息を吐き出すように前記ユーザに促すように更に構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのガスセンサは、前記サンプル呼気からCOレベルを感知するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのガスセンサは、H
2、CH
4、CO
2、O
2、又はC
3H
6Oのレベルを感知するように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ユーザの肺パラメータを測定する方法であって、
第1の所定期間にわたってサンプリングユニットにサンプル呼気を吐き出すように指示で前記ユーザに促すことと、
前記サンプル呼気と連通する圧力センサを介して、前記第1の所定期間にわたる前記サンプル呼気の第1の圧力変化を測定することと、
前記圧力センサと通信するプロセッサを介して前記第1の圧力変化を流量に相関させることと、
前記サンプル呼気の少なくとも一部と流体連通する少なくとも1つのガスセンサを介して、前記サンプル呼気から生物学的パラメータを測定することと、
前記生物学的パラメータの測定値を、前記少なくとも1つのガスセンサと通信する前記プロセッサを介して対象となる分析物に相関させることと、
前記流量に基づいて前記プロセッサを介して前記ユーザの肺パラメータを計算することとを含む、方法。
【請求項10】
前記圧力センサを介して、第2の所定期間にわたって前記サンプリングユニットを通して息を吸い込むように指示で前記ユーザに促すことと、
前記第2の所定期間にわたる前記サンプル呼気の第2の圧力変化を測定することと、
前記第1の所定期間及び前記第2の所定期間にわたる前記第1の圧力変化及び前記第2の圧力変化に基づいて、前記プロセッサを介して前記ユーザの肺活量に対応する空気の総量を決定することとを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記肺パラメータを後続の肺パラメータと比較して、前記ユーザの肺活量を経時的に推定することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプル呼気を吐き出す前に少なくとも10秒間息を止めるように指示で前記ユーザに促すことを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記サンプル呼気を吐き出すときに、一定の流量又は一定の圧力で吐き出すように指示で前記ユーザに促すことを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
息を吐き出すように指示で前記ユーザに促すことは、前記サンプル呼気を少なくとも6~12秒間吐き出すように前記ユーザに促すことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
第3の所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートに息を吐き出すように前記ユーザに促すことを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記サンプル呼気から前記生物学的パラメータを測定することは、前記サンプル呼気の残りを排出することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記生物学的パラメータを測定することは、前記サンプル呼気からCOレベルを感知することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記生物学的パラメータを測定することは、前記サンプル呼気からH
2、CH
4、CO
2、O
2、又はC
3H
6Oのレベルを感知することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
ユーザによるサンプリングコンプライアンスを判断するように構成された装置であって、
呼気サンプリングポートを有するサンプリングユニットと、
前記サンプリングユニット内に配置され、前記呼気サンプリングポートと連通する少なくとも1つの圧力センサと、
前記少なくとも1つの圧力センサと通信するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートにサンプル呼気を吐き出すように指示でユーザに促し、前記サンプル呼気を感知すると、前記圧力センサを介して周囲圧力に対する圧力変化を測定し、そして前記サンプル呼気によって前記圧力センサに与えられる前記圧力変化のタイミングを測定するように構成されており、
前記プロセッサは、前記サンプル呼気の前記タイミングを前記所定期間と比較し、更に前記圧力変化の強度を前記周囲圧力と比較するように更に構成されている、装置。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記サンプル呼気を吐き出す前に少なくとも10秒間息を止めるように指示で前記ユーザに促すように更に構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記サンプル呼気を少なくとも6~12秒間吐き出すように指示でユーザに促すように更に構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記プロセッサは、前記圧力センサが前記所定期間中に負の圧力変化を検出した場合に、前記ユーザに促すように更に構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記プロセッサは、前記サンプル呼気の前記タイミングが前記所定期間外になった場合に、前記ユーザに促すように更に構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項24】
前記プロセッサは、前記サンプル呼気の前記タイミングが前記所定期間外になった場合、又は前記圧力の前記強度が前記周囲圧力に対して変化しないか、若しくは前記圧力が負である場合に、修正提案で前記ユーザに促すように更に構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項25】
ユーザによるサンプリングコンプライアンスを判断する方法であって、
所定期間にわたってサンプリングユニットにサンプル呼気を吐き出すように指示で前記ユーザに促すことと、
前記サンプリングユニット上に画定された呼気サンプリングポートを介して前記サンプル呼気を受け取ることと、
前記サンプル呼気を感知すると、前記サンプリングユニット内に配置され前記呼気サンプリングポートと連通する少なくとも1つの圧力センサを介して、周囲圧力に対する圧力変化を測定することと、
前記少なくとも1つの圧力センサと通信するプロセッサを介して、前記サンプル呼気によって前記少なくとも1つの圧力センサに与えられる前記圧力変化のタイミングを測定することと、
前記サンプル呼気の前記タイミングを前記所定期間と比較することと、
前記圧力変化の強度を前記周囲圧力と比較することと、を含む、方法。
【請求項26】
前記サンプル呼気を吐き出すように指示で前記ユーザに促す前に、少なくとも10秒間息を止めるように指示で前記ユーザに促すことを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
息を吐き出すように指示で前記ユーザに促すことは、前記サンプル呼気を少なくとも6~12秒間吐き出すように指示で前記ユーザに促すことを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記圧力センサが前記所定期間中に負の圧力変化を検出した場合に、前記ユーザに促すことを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記サンプル呼気の前記タイミングが前記所定期間外になった場合に、前記ユーザに促すことを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記サンプル呼気の前記タイミングが前記所定期間外になった場合、又は前記圧力の前記強度が前記周囲圧力に対して変化しないか、若しくは前記圧力が負である場合に、修正提案で前記ユーザに促すことを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
ユーザによるサンプリングコンプライアンスを判断するように構成された装置であって、
呼気サンプリングポートを有するサンプリングユニットと、
前記サンプリングユニット内の一次流路と連通し、かつ前記呼気サンプリングポートと流体連通するように配置された第1の圧力センサと、
前記サンプリングユニット内の二次流路と連通し、かつ前記呼気サンプリングポート及び1つ以上の通気開口部と流体連通するように配置された第2の圧力センサと、
前記第1の圧力センサ及び前記第2の圧力センサと通信するプロセッサであって、前記プロセッサは、前記第1の圧力センサから第1の圧力測定値を取得し、前記第2の圧力センサから第2の圧力測定値を取得し、そして前記第1の圧力測定値に対する前記第2の圧力測定値の圧力比を決定するように構成されている、プロセッサと、を備える、装置。
【請求項32】
前記プロセッサは、所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートにサンプル呼気を吐き出すように指示で前記ユーザに促すように更に構成されている、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記プロセッサは、前記サンプル呼気を感知すると、周囲圧力に対する圧力変化を測定するように更に構成されている、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記プロセッサは、前記サンプル呼気によって与えられる前記圧力変化のタイミングを測定するように更に構成されている、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記プロセッサは、前記サンプル呼気の前記タイミングを前記所定期間と比較し、更に前記圧力変化の強度を前記周囲圧力と比較するように更に構成されている、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記プロセッサは、後続の呼気サンプル測定値から得られた後続の圧力比を前記圧力比と比較するように更に構成されており、その結果、前記圧力比に対する前記後続の圧力比の偏差は、前記1つ以上の通気開口部が塞がれていることを示す、請求項31に記載の装置。
【請求項37】
前記プロセッサは、前記偏差が検出された場合に、修正提案で前記ユーザに促すように更に構成されている、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
ユーザによるサンプリングコンプライアンスを判断する方法であって、
サンプリングユニット上に画定されたサンプリングポートを介してサンプル呼気を受け取り、前記サンプル呼気の第1の部分が一次流路に流入し、前記サンプル呼気の第2の部分が二次流路に流入し、1つ以上の通気開口部を通るようにすることと、
前記一次流路内の第1の圧力センサを介して第1の圧力測定値を取得することと、
前記二次流路内の第2の圧力センサを介して第2の圧力測定値を取得することと、
前記第1の圧力センサ及び前記第2の圧力センサと通信するプロセッサを介して、前記第1の圧力測定値に対する前記第2の圧力測定値の圧力比を決定することと、
偏差について、前記圧力比を後続の呼気サンプル測定値から得られた後続の圧力比と比較することと、を含む、方法。
【請求項39】
前記サンプル呼気を受け取る前に、所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートにサンプル呼気を吐き出すように指示で前記ユーザに促すことを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記サンプル呼気を感知すると、周囲圧力に対する圧力変化を測定することを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記サンプル呼気によって与えられる前記圧力変化のタイミングを測定することを更に含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記サンプル呼気の前記タイミングを前記所定期間と比較し、更に前記圧力変化の強度を前記周囲圧力と比較することを更に含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記偏差が検出された場合に、修正提案で前記ユーザに促すことを更に含む、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年12月31日に出願された米国特許仮出願第62/955,561号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、呼気サンプルから生物学的パラメータを検出するための装置及び方法に関する。特に、本発明は、呼気サンプリングユニットを介したユーザからの呼気サンプルの収集を容易にし、呼気サンプルから様々な生物学的パラメータを検出するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
喫煙に関連する健康問題はよく知られている。タバコの煙には、ニコチンだけでなく、多くの他の化合物や化学添加物が含まれている。タバコの煙は、個人を一酸化炭素(carbon monoxide、CO)及びこれらの他の化合物にさらし、これらの化合物の多くは、喫煙者及び喫煙者の周囲の人々に対する発がん性及び毒性を有する。喫煙者の呼気中のCOの存在及びレベルは、その個人の全体的な喫煙行動を特定するためのマーカーを提供するだけでなく、他の有毒化合物への全体的な曝露のマーカーを提供することもできる。
【0004】
呼気をサンプリングするためには、ユーザが簡単に持ち運びでき、邪魔にならない携帯型呼気センサが望ましい。しかしながら、呼気センサのサイズが比較的小さいため、呼気のサンプルを捕捉して正確に測定する際にも多くの課題が発生する。サイズが比較的小さいため、呼気中の水分含有量及び呼気温度などの要因は、パラメータの測定に使用されるセンサの精度に影響を与える可能性がある。
【0005】
呼気をサンプリングするためには、ユーザが簡単に持ち運びでき、邪魔にならない携帯型呼気センサが望ましい。この携帯型呼気センサは、ユーザの呼気一酸化炭素(exhaled carbon monoxide、eCO)値を測定することができるが、このデータが広く理解されているメトリックではない可能性があるため、すべてのユーザがこのデータの使用方法を直ちに直感的に理解できるとは限らない。
【0006】
電気化学センサは、通常、呼気から一酸化炭素レベルを検出するための携帯型呼気センサ内に含まれる。ユーザからeCOをサンプリングする場合、ユーザは通常、呼気サンプリングの指示に従うように促されるが、ユーザコンプライアンスの問題がいくつか発生する可能性がある。例えば、ユーザがサンプリングデバイスに息を吐き出すのが早すぎるか又は遅すぎる可能性があり、呼気が検出されない可能性があり、ユーザがサンプリングユニットにあまりにも優しく息を吐き出す可能性があり、又はユーザがサンプリングの開始前にサンプリングユニットを通して息を吸い込む可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、呼気から生理学的パラメータを最適に検出するために、ユーザの呼気のサンプリングを容易にすることができる方法及びデバイスが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
呼気一酸化炭素(eCO)のレベルを決定するために、呼気などのユーザの生体測定データのうちの1つ以上を測定することに基づいて、ユーザの喫煙行動を非侵襲的に検出及び定量化することによって、ユーザの特定の生体測定データを取得することができる。そのような測定又はデータ収集は、携帯型測定ユニット又は固定測定ユニットを使用することができ、これらのいずれも、定量分析を実行するために1つ以上の電子デバイスと通信する。あるいは、携帯型/固定ユニットで分析を実施することができる。しかしながら、ユーザは、呼気サンプルを取得するための指定された呼気サンプリングプロトコルに従わない可能性がある。コンプライアンス違反は、呼気サンプルを提供する際にユーザによる意図的又は非意図的な使用から生じる可能性がある。例えば、ユーザがサンプリングデバイスに息を吐き出すのが早すぎるか又は遅すぎる可能性があり、呼気が検出されない可能性があり、ユーザがサンプリングユニットにあまりにも優しく息を吐き出す可能性があり、又はユーザがサンプリングの開始前にサンプリングユニットを通して息を吸い込む可能性がある。
【0009】
したがって、特定のメカニズム及び方法を実装して、呼気サンプルがエラー又は誤った測定を減らすのに十分な方法で提供されることを保証することができる。更に、サンプリングユニットは、ユーザのeCOレベル(又は他のバイオマーカーパラメータ)を検出するために使用できるだけでなく、ユーザの肺の健康に関連する様々な他の生物学的パラメータを決定するためにも使用できる。
【0010】
ユーザのeCOレベルを決定及び定量化するための呼気サンプリングデバイス及び方法の例は、様々な特許、例えば米国特許第9,861,126号、同第10,206,572号、同第10,306,922号、同第10,335,032号、及び米国特許出願公開第2019/0113501号に更に詳細に記載されており、これらの特許のそれぞれは、任意の目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。記載されているデバイスのいずれも、本明細書に記載の方法及び装置と共に利用することができる。
【0011】
携帯型又は個人用サンプリングユニットは、個人用電子デバイス又はコンピュータのいずれかと通信することができる。個人用電子デバイスは、スマートフォン、携帯電話、又は個人用サンプリングユニットからデータを受信するように設計又はプログラムされた他の個人用送信デバイスを含むが、これらに限定されない。同様に、コンピュータは、パーソナルコンピュータ、ローカルサーバ、リモートサーバなどを含むことが意図されている。個人用サンプリングユニットからのデータ送信は、個人用電子デバイス及び/又はコンピュータの両方又はいずれかに対して行うことができる。更に、個人用電子デバイスとコンピュータとの間の同期は任意である。個人用電子デバイス、コンピュータ、及び/又は個人用サンプリングユニットのいずれかは、本明細書に記載されるように、データ分析のためにデータをリモートサーバに送信することができる。あるいは、データ分析は、サンプリングユニット(又はコンピュータ又は個人用電子デバイス)などのローカルデバイスに含まれているプロセッサを介して、完全に又は部分的に行うことができる。いずれの場合でも、個人用電子デバイス及び/又はコンピュータは、個人、介護者、又は他の個人に情報を提供することができる。
【0012】
個人用サンプリングユニットは、収集入口又は開口部を介して、個人から呼気のサンプルを受け取る。個人用サンプリングユニット内のハードウェアは、呼気サンプル内のCOガスを検出する任意の市販の電気化学ガスセンサ、データを送信する市販の送信ハードウェア(例えば、Bluetooth(登録商標)、セルラー、又は他の電波を介してデータを送信する)を含むことができる。次に、送信されたデータ並びに関連する測定値及び定量化を、コンピュータディスプレイ又は個人用電子デバイスのいずれか(又は両方)に表示する。代替的に、又は組み合わせて、情報のいずれかを携帯型サンプリングユニット上に選択的に表示することができる。
【0013】
サンプリングユニットの別の変形例では、デバイスは、様々な状態を監視又はスクリーニングするための1つ以上の肺活量計、及びサンプル呼気と流体連通する1つ以上の圧力変換器又は圧力センサを追加的に及び/又は代替的に組み込むことができる。肺活量計は、パラメータを検出及び/又は監視するために、流路を通過するサンプル呼気と流体連通するようにユニットに組み込まれてもよい。1つ以上の圧力センサ及び/又は肺活量計は、ユニット内のプロセッサに配線されてもよく、又は個人用電子デバイス若しくはコンピュータと無線で通信してもよい。圧力センサは、一般に、流体サンプルによって加えられる圧力を電気信号に変換し、また、例えば、ピエゾ抵抗、容量、電磁、圧電、ひずみゲージ、光学など、任意の数の様々なメカニズムを含み得る。肺活量計は通常、流体の体積及び流量を定量化し、ユーザの肺機能を評価するために使用でき、また、例えば喘息、肺線維症、嚢胞性線維症、COPDなどの様々な肺疾患を特定するのに役立つことができる。
【0014】
更に、流路は、流路に沿った流れ抵抗を増加又は減少させるためのフロースイッチを含むことができる。被験者がデバイスに息を吹き込むとき、可能な限り激しく息を吐き出すように指示される可能性があり、デバイスは測定された圧力及び体積を流量に変換して、例えば、完全吸気後に強制的に吐き出すことができる空気の総量である努力肺活量(forced vital capacity、FVC)、完全吸気後1秒間にわたって強制的に吐き出すことができる空気の量である努力呼気肺活量1秒量テスト(forced expiratory volume 1 second test、FEV1)を計算することができる。デバイスによって計算され得る他のパラメータは、例えば、FEV1対FVCの比であるFEV1/FVC比(FEV1%)、肺活量測定内の様々な点で肺に出入りする空気の流量を決定するための、努力性呼気流量(forced expiratory flow、FEF)と努力性吸気流量(forced inspiratory flow、FIF)の比率であるFEF/FIF、肺活量測定テスト期間中に経験した最大流量である最大呼気流量(peak expiratory flow、PEF)を含み得る。
【0015】
肺活量計及び圧力センサとは別に、サンプリングユニットはまた、流れから検出された熱エネルギーを対応する電気信号に変換する1つ以上の温度センサを組み込むことができる。そのような温度センサは、例えばサーミスタ及び熱電対を含むことができる。呼気サンプルからの呼気温度(exhaled breath temperature、EBT)の評価は、発熱の検出、喘息の検出など、ユーザの呼吸器系における様々な病理学的プロセスを検出及び監視するために使用することができる。
【0016】
圧力センサを使用することで、ユーザの呼気及び吸気を使用して呼気サンプリングプロトコルへの呼気検査の遵守を判断するための1つのメカニズムにより、ユーザにとって最も正確な結果が保証される場合がある。ユーザの肺内のCOレベルが血中のレベルと平衡することを可能にするために、所定期間にわたって、例えば少なくとも10秒以上、息を止めるようにユーザに指示することができる。次に、任意選択で、所定期間にわたって、例えば6~12秒以上、サンプリングユニットに息を吐き出すようにユーザに指示することができる。ユーザはサンプリングユニットを「騙して」比較的低い読み取り値を出そうとする可能性があるため、呼気及び吸気検出を適切に適用することで、そのような試みを防ぐことができる。
【0017】
呼気と吸気の両方で、サンプリングユニット内の圧力センサは、フローチャンバ内の対応する圧力を測定することができ、圧力の対応する増加及び減少のタイミングも測定することができる。したがって、圧力センサと通信するプロセッサは、それに応じて、ユーザが呼気測定(例えば、呼気又は吸気)の規定された期間及び強度に従ったか否かを判断することができる。周囲圧力に対する圧力の予期しない上昇又は低下が検出された場合、ユーザに通知することができ、そして、例えば、呼気が予想されるときに又は息を止める準備をするときにサンプリングユニットを通して息を吸い込むなど、デバイスによってユーザに修正提案を提供することができる。呼気開始検出の他の方法(例えば、温度、音など)は、呼気サンプリングプロトコルに対するコンプライアンス違反のすべてのモードを補捉することはできないが、圧力センサ56及びタイミングを使用することで、そのようなコンプライアンス違反を捕捉することができる。
【0018】
サンプリングデバイス内の圧力センサを利用するための別のメカニズムは、呼気センサに出入りする空気の量を測定し、そしてこのメトリックを使用して、ユーザの健康の指標として肺活量を推定及び/又は追跡することである。サンプリングユニットを通るユーザの呼気サンプルの流れは、呼気及び吸気中に一般的に遭遇する流量では非圧縮性であると見なされる可能性があるため、ユニットを通る空気の瞬時流量と対応する圧力との間の関係を決定するために、圧力センサを使用して、結果として生じる圧力を測定することができる。呼気の期間にわたって積分することによって、デバイスを通過する空気の総量を測定することができる。次に、吸気と呼気の両方について流量と圧力センサによって測定された圧力との間の関係を確立することができる。サンプリングユニットを通して完全な呼気及び吸気(又は吸気及び呼気)を行うようにユーザに促すことによって、ユーザの総肺気量を決定することができる。
【0019】
更に別のメカニズムは、流路に対して垂直に配置された圧力センサを提供して、ユーザの呼気サンプルの肺活量測定パラメータを測定することである。流路の最小断面積が既知であれば、動圧測定を使用して流量を計算することができる。経時的な流量を記録することにより、肺活量測定パラメータをプロセッサを介して計算することができる。ユーザに肺の健康状態を知らせるために、これらの測定を定期的に実施するようにユーザに促すことができる。
【0020】
更に別のメカニズムは、eCO(又は任意の他のバイオマーカー)の検出との併用で、上記の様々な流量決定方法を組み合わせることである。例えば、デバイスを通過する空気の総量を決定することができ、吸気及び呼気の流量と圧力との間の関係を決定することもできる。更に、経時的な流量を記録して、ユーザの肺活量測定パラメータを計算することができる。ユーザがサンプル呼気をサンプリングユニットに吐き出している間、デバイスを使用して、存在するCO(又は任意の他のバイオマーカー)を測定することによってユーザのeCOを測定することができる。このようにして、eCO及び肺パラメータは、同じサンプリングユニットを使用して同時に決定することができる。
【0021】
更に別のメカニズムは、サンプリングユニットに息を吐き出すとき、又はサンプリングユニットを通して息を吸い込むときに、ユーザが通気孔を塞いでいる(例えば、流路を塞いでいる)か否か(塞ぐことで測定値が変わることもあり得る)を判断することである。デバイスは、流路の様々な部分において複数の圧力センサを利用することができる。デバイスは、概して、eCOを決定するための電気化学センサにつながる一次COセンサ流路と、サンプル呼気の一部を排出できるようにする二次通気経路とを画定することができる。ユーザがサンプリングユニットにサンプル呼気を吐き出すように指示された後、COセンサ流路内の圧力を測定することができ、通気流路内の第2の圧力をCOセンサ流路とは別に測定することができる。いずれかの流路内の通気開口部のいずれかが塞がれていると、測定に誤差が生じる可能性がある。
【0022】
COセンサ流路に対する通気流路の圧力比であるP(VENT)/P(CO)は、流量が異なるサンプル間で比較的一定に保たれる必要があり、ユーザが通気開口部のいずれかを塞いだ場合、この比は変更される可能性がある。したがって、圧力比P(VENT)/P(CO)は、得られたサンプル間の比較のために、デバイスプロセッサを介して計算することができる。いずれかのサンプルが大幅に異なる比率をもたらす場合、これは、通気開口部の一部又はすべてが塞がれている可能性があり、ユーザが修正措置を講じる必要がある可能性があることの示唆となり得る。
【0023】
更に別のメカニズムは、励ましとしてユーザにフィードバックを提供することを含む。ユーザがサンプリングユニットに息を吐き出した後、本明細書に記載されるように、任意の数の測定値を取得することができる(例えば、流量、体積、流れ圧力など)。この情報をユーザフィードバックとして、励まし又は情報娯楽などとして提供して、ユーザにより望ましい体験を提供することができる。例えば、デバイスを通して吹き込まれた空気の総量を記録して、面白い方法でユーザに報告することができる(例えば、「直径12インチのビーチボールを25個膨らませました!」)。別の例は、聴覚トーンなどのインジケータを提供することができ、又は視覚インジケータを提供することもでき、インジケータは、例えば、ユーザがインジケータを一定に維持するように促されるように、流れの圧力に比例する。更に別の例は、ユーザにゲームとして構成されたフィードバックを提供することができ、ここで、ユーザは、例えば、可能な限り最高の圧力流を生成しようと試みることができ、この最高の圧力流は、肺機能の改善を決定するために記録され、以前の試みと比較される。
【0024】
更に別のメカニズムは、他の健康問題が存在する可能性があるか否かを判断することを含む。ユーザが呼気サンプルを提供するように指示された後、温度などの特定のパラメータを呼気から測定することができる。呼気温度の上昇が観察された場合、これは健康状態の指標である可能性がある。例えば、デバイスは、ユーザが発熱している可能性があること、又はユーザが何らかの喘息症状を経験している可能性があると判断する場合がある。
【0025】
ユーザによって肺パラメータを決定するように構成された装置の1つの変形例は、概して、呼気サンプリングポートを有するサンプリングユニットと、サンプリングユニット内に配置され呼気サンプリングポートと連通する少なくとも1つの圧力センサと、ユーザが呼気サンプリングポートに吐き出したサンプル呼気から対象となる分析物を検出するように構成された少なくとも1つのガスセンサであって、少なくとも1つのガスセンサは、サンプリングユニット内に配置され、またサンプル呼気の少なくとも一部と流体連通する、少なくとも1つのガスセンサと、少なくとも1つの圧力センサ及び少なくとも1つのガスセンサと通信するプロセッサとを備えることができる。プロセッサは、第1の所定期間にわたって呼気サンプリングポートにサンプル呼気を吐き出すように指示でユーザに促すように更に構成されてもよい。プロセッサは、圧力センサを介して周囲圧力に対する圧力変化を測定し、そしてこの圧力を流量に相関させるように更に構成されてもよい。プロセッサは、少なくとも1つのガスセンサから測定値を受信し、そしてこの測定値をサンプル呼気からの対象となる分析物に相関させるように更に構成されてもよい。プロセッサは、流量に基づいてユーザの肺パラメータを計算するように更に構成されてもよい。
【0026】
ユーザの肺パラメータを決定するための1つの方法は、概して、第1の所定期間にわたってサンプリングユニットにサンプル呼気を吐き出すように指示でユーザに促すことと、サンプル呼気と連通する圧力センサを介して、第1の所定期間にわたるサンプル呼気の第1の圧力変化を測定することと、圧力センサと通信するプロセッサを介して第1の圧力変化を流量に相関させることと、サンプル呼気の少なくとも一部と流体連通する少なくとも1つのガスセンサを介して、サンプル呼気から生物学的パラメータを測定することと、生物学的パラメータの測定値を、少なくとも1つのガスセンサと通信するプロセッサを介して対象となる分析物に相関させることと、流量に基づいてプロセッサを介してユーザの肺パラメータを計算することとを含むことができる。
【0027】
ユーザによるサンプリングコンプライアンスを判断するように構成された装置の1つの変形例は、概して、呼気サンプリングポートを有するサンプリングユニットと、サンプリングユニット内に配置され呼気サンプリングポートと連通する少なくとも1つの圧力センサと、少なくとも1つの圧力センサと通信するプロセッサとを備えることができる。プロセッサは、所定期間にわたって呼気サンプリングポートにサンプル呼気を吐き出すように指示でユーザに促し、サンプル呼気を感知すると、圧力センサを介して周囲圧力に対する圧力変化を測定し、かつ、サンプル呼気によって圧力センサに与えられる圧力変化のタイミングを測定するように構成されてもよく、また、プロセッサは、サンプル呼気のタイミングを所定期間と比較し、更に圧力変化の強度を周囲圧力と比較するように更に構成されてもよい。
【0028】
ユーザによるサンプリングコンプライアンスを判断するための1つの方法は、概して、所定期間にわたってサンプリングユニットにサンプル呼気を吐き出すように指示でユーザに促すことと、サンプリングユニット上に画定された呼気サンプリングポートを介してサンプル呼気を受け取ることと、サンプル呼気を感知すると、サンプリングユニット内に配置され呼気サンプリングポートと連通する少なくとも1つの圧力センサを介して、周囲圧力に対する圧力変化を測定することと、少なくとも1つの圧力センサと通信するプロセッサを介して、サンプル呼気によって少なくとも1つの圧力センサに与えられる圧力変化のタイミングを測定することと、サンプル呼気のタイミングを所定期間と比較することと、圧力変化の強度を周囲圧力と比較することとを含むことができる。
【0029】
ユーザによるサンプリングコンプライアンスを判断するように構成された装置の別の変形例は、概して、呼気サンプリングポートを有するサンプリングユニットと、サンプリングユニット内の一次流路と連通し、かつ呼気サンプリングポートと流体連通するように配置された第1の圧力センサと、サンプリングユニット内の二次流路と連通し、かつ呼気サンプリングポート及び1つ以上の通気開口部と流体連通するように配置された第2の圧力センサと、第1の圧力センサ及び第2の圧力センサと通信するプロセッサであって、プロセッサは、第1の圧力センサから第1の圧力測定値を取得し、第2の圧力センサから第2の圧力測定値を取得し、第1の圧力測定値に対する第2の圧力測定値の圧力比を決定するように構成されている、プロセッサと、を備えることができる。
【0030】
ユーザによるサンプリングコンプライアンスを判断するための別の方法は、概して、サンプリングユニット上に画定されたサンプリングポートを介してサンプル呼気を受け取り、サンプル呼気の第1の部分が一次流路に流入し、サンプル呼気の第2の部分が二次流路に流入し、1つ以上の通気開口部を通るようにすることと、一次流路内の第1の圧力センサを介して第1の圧力測定値を取得することと、二次流路内の第2の圧力センサを介して第2の圧力測定値を取得することと、第1の圧力センサ及び第2の圧力センサと通信するプロセッサを介して、第1の圧力測定値に対する第2の圧力測定値の圧力比を決定することと、偏差について、圧力比を後続の呼気サンプル測定値から得られた後続の圧力比と比較することとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1A】被験者からの呼気を受け取り、様々なパラメータを検出することができ、また1つ以上の遠隔装置と通信することができるシステムの変形例を示す図である。
【
図1B】呼気センサのハウジング内に含まれている内部回路及びセンサの1つの変形例を示す図である。
【
図1C】センサ上に配置された流路制御装置の上面図である。
【
図2】サンプリングユニット内の流路及び組み込まれ得る様々なセンサの詳細図である。
【
図3A】呼気及び吸気中の典型的な流れパラメータを示すグラフである。
【
図3B】呼気及び吸気中の典型的な流れパラメータを示すグラフであ。
【
図4】呼気検査コンプライアンスを判断するための1つのメカニズムの流れ図である。
【
図5A】ユーザの健康の指標として肺活量を推定及び/又は追跡するための別のメカニズムの流れ図である。
【
図5B】ユーザの健康の指標として肺パラメータ及び対象となる分析物を推定及び/又は追跡するための別のメカニズムの流れ図である。
【
図6】ユーザの呼気サンプルの肺活量測定パラメータを測定するための別のメカニズムの流れ図である。
【
図7】様々な流れパラメータ測定値をユーザの呼気サンプルからのバイオマーカー検出(例えば、eCO)と組み合わせる更に別の方法を示す流れ図である。
【
図8】サンプリングユニットに息を吐き出すとき、又はサンプリングユニットを通して息を吸い込むときに、ユーザが測定値を変更する可能性のある通気孔を塞いでいるか否かを判断するための更に別の方法を示す流れ図である。
【
図9】励ましとしてユーザにフィードバックを提供するための方法を示す流れ図である。
【
図10】他の健康問題が存在する可能性があるか否かを判断する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
呼気一酸化炭素(eCO)のレベルを決定するために、呼気などのユーザの生体測定データのうちの1つ以上を測定することに基づいて、ユーザの喫煙行動を非侵襲的に検出及び定量化することによって、ユーザの特定の生体測定データを取得することができる。そのような測定又はデータ収集は、携帯型測定ユニット又は固定測定ユニットを使用することができ、これらのいずれも、定量分析を実行するために1つ以上の電子デバイスと通信する。あるいは、携帯型/固定ユニットで分析を実施することができる。しかしながら、ユーザは、呼気サンプルを取得するための指定された呼気サンプリングプロトコルに従わない可能性がある。コンプライアンス違反は、呼気サンプルを提供する際にユーザによる意図的又は非意図的な使用から生じる可能性がある。例えば、ユーザがサンプリングデバイスに息を吐き出すのが早すぎるか又は遅すぎる可能性があり、呼気が検出されない可能性があり、ユーザがサンプリングユニットにあまりにも優しく息を吐き出す可能性があり、又はユーザがサンプリングの開始前にサンプリングユニットを通して息を吸い込む可能性がある。したがって、特定のメカニズム及び方法を実装して、呼気サンプルがエラー又は誤った測定を減らすのに十分な方法で提供されることを保証することができる。更に、サンプリングユニットは、ユーザのeCOレベル(又は他のバイオマーカーパラメータ)を検出するために使用できるだけでなく、ユーザの肺の健康に関連する様々な他の生物学的パラメータを決定するためにも使用できる。
【0033】
図1Aは、システム及び/又は方法の1つの変形例を示し、ここで、生体測定データの複数のサンプルをユーザから取得して分析してタバコの煙へのユーザの曝露を定量化し、それにより、定量化された情報を個人、医療介護者、及び/又は個人の健康に関係する他の当事者に中継することができる。以下に議論される例は、呼気のサンプル内のeCOの量を測定する一般的に入手可能なセンサを用いて、個人から呼気の複数のサンプルを取得する携帯型デバイス20を使用する。しかしながら、定量化及び情報転送は、呼気に基づく喫煙の曝露に限定されない。上記のように、ユーザの喫煙曝露を取得するための多くのサンプリングメカニズムがある。本実施例に記載された方法及びデバイスは、本発明の範囲内に依然としてとどまりながら、可能であれば、任意の数の異なるサンプリングメカニズムと組み合わせたり、それらで補足したりすることができる。
【0034】
eCOレベルの測定は、個人の喫煙状況を評価するための即時の非侵襲的方法として役立つことが知られている。非喫煙者のeCOレベルは、例えば、0ppm~6ppmの範囲、又はより具体的には、例えば3.61ppm~5.6ppmの範囲であり得る。
【0035】
図示のように、携帯型又は個人用サンプリングユニット20は、個人用電子デバイス10又はコンピュータ12のいずれかと通信することができる。個人用電子デバイス10は、スマートフォン、携帯電話、又は個人用サンプリングユニット20からデータを受信するように設計又はプログラムされた他の個人用送信デバイスを含むが、これらに限定されない。同様に、コンピュータ12は、パーソナルコンピュータ、ローカルサーバ、リモートサーバなどを含むことが意図されている。個人用サンプリングユニット20からのデータ送信14は、個人用電子デバイス10及び/又はコンピュータ12の両方又はいずれかに対して行うことができる。更に、個人用電子デバイス10とコンピュータ12との間の同期16は任意である。個人用電子デバイス10、コンピュータ12、及び/又は個人用サンプリングユニット20のいずれも、本明細書に記載されるように、データ分析のためにデータをリモートサーバに送信することができる。あるいは、データ分析は、サンプリングユニット20(又はコンピュータ12又は個人用電子デバイス10)などのローカルデバイスに含まれているプロセッサを介して、完全に又は部分的に行うことができる。いずれの場合でも、個人用電子デバイス10及び/又はコンピュータ12は、
図1Aに示されるように、個人、介護者、又は他の個人に情報を提供することができる。
【0036】
個人用サンプリングユニット20は、収集入口又は開口部22を介して、個人から呼気18のサンプルを受け取る。個人用サンプリングユニット20内のハードウェアは、呼気サンプル内のCOガスを検出する任意の市販の電気化学ガスセンサ、データを送信する14市販の送信ハードウェア(例えば、Bluetooth(登録商標)、セルラー、又は他の電波を介してデータを送信する)を含むことができる。次に、送信されたデータ並びに関連する測定値及び定量化を、コンピュータディスプレイ12又は個人用電子デバイス10のいずれか(又は両方)に表示する。代替的に、又は組み合わせて、情報のいずれかを携帯型サンプリングユニット20上に選択的に表示することができる。
【0037】
個人用サンプリングユニット20(又は個人用呼気ユニット)はまた、標準ポートを使用して、それぞれのデバイス10及び12との直接有線通信を可能にすることができる。特定の変形例では、個人用サンプリングユニット20はまた、取り外し可能又は内蔵のいずれかのメモリストレージを含むことができ、それにより、メモリはデータの記録及びデータの別個の送信を可能にする。あるいは、個人用サンプリングユニットにより、データの記憶及び送信を同時に行うことができる。デバイス20の更なる変形例は、メモリストレージを必要としない。更に、ユニット20は、任意の数のGPS構成要素、慣性センサ(動きを追跡するため)、及び/又は患者の行動に関する追加情報を提供する他のセンサを使用することができる。
【0038】
個人用サンプリングユニット20はまた、任意の数の入力トリガ(スイッチ又はセンサなど)24、26を含むことができる。以下に記載されるように、入力トリガ24、26は、個人が呼気サンプル18の送達のためにデバイス20を準備すること、又は喫煙したタバコの量、強度などのタバコに関する他の情報を記録することを可能にすることができる。更に、個人用サンプリングユニット20の変形例は、デバイス20への任意の入力のタイムスタンプを関連付けることもできる。例えば、個人用サンプリングユニット20は、データを送信する14際に、サンプルが提供される時間を関連付け、そして測定又は入力されたデータを測定の時間と共に提供することができる。あるいは、個人用サンプリングデバイス20は、代替のメカニズムを使用して、サンプルが取得される時間を特定することができる。例えば、一連のサンプルが与えられた場合、各サンプルのタイムスタンプを記録するのではなく、一連のサンプルの各サンプル間の期間を記録することができる。したがって、任意の1つのサンプルのタイムスタンプを識別することにより、一連のサンプルの各サンプルのタイムスタンプを決定することができる。
【0039】
特定の変形例では、個人用サンプリングユニット20は、最小のプロファイルを有し、最小の労力で個人が容易に運ぶことができるように設計されてもよい。したがって、入力トリガ24は、薄型の触覚スイッチ、光学スイッチ、静電容量式タッチスイッチ、又は任意の一般的に使用されているスイッチ若しくはセンサを含むことができる。携帯型サンプリングユニット20はまた、任意の数の一般的に知られている技術を使用して、ユーザにフィードバック又は情報を提供することができる。例えば、図示のように、携帯型サンプリングユニット20は、以下で議論されるように選択情報を示すスクリーン28を含むことができる。代替的に又は追加的に、フィードバックは、振動要素、可聴要素、及び視覚要素(例えば、1つ以上の色の照明源)の形式であり得る。フィードバック構成要素はいずれも、個人にアラームを提供するように構成することができ、このアラームは、サンプルを提供する、及び/又は喫煙行動の測定に関連するフィードバックを提供するためのリマインダとして機能することができる。更に、フィードバック構成要素は、システムが生体測定(eCO、COレベル、H2など)及び他の行動データ(手動で又はユニットに結合されたGPS構成要素を介して入力された位置、タバコの数、又は他のトリガなど)をキャプチャする期間を延長するために、呼気の定期的なサンプルを提供するように個人に思い出させるように繰り返し個人にアラートを提供することができる。場合によっては、初期プログラム又はデータキャプチャ中に、リマインダをより高い頻度でトリガすることができる。十分なデータが得られたら、リマインダの頻度を減らすことができる。
【0040】
サンプリングユニット20を用いて呼気サンプルを取得する際には、ユニット20を使用するように被験者を訓練するために、誘導呼気検査において被験者に表示するための指示を個人用電子デバイス10又はコンピュータディスプレイ12上に提供することができる。一般に、例えば、電子デバイス10のスクリーン28上で、被験者に、最初にユニット20から離れて息を吸い込み、次に、設定された期間にわたってユニット20に息を吐き出すように指示することができる。ユニット20は、例えば逆止弁と流体的に結合された1つ以上の圧力センサを任意に組み込んで、被験者がユニット20を通して息を吸い込むか否かを検出することができる。
【0041】
図1Bは、内部に含まれている電気化学センサの上面図を示すために、ハウジング30の一部及び収集入口又は開口部22が除去されたサンプリングユニット20を示す。この変形例では、第1のセンサ38及び第2のセンサ42(センサ38、42のいずれか又は両方がCOセンサ及びH
2センサを含み得る)は、それぞれのセンサプラットフォーム36、40上に任意に配置されている状態で示されており、センサプラットフォーム36、40は、プリント回路基板44などの基板上に取り付けられてもよい。他の変形例では、検出されるパラメータに応じて、1つ以上のセンサを使用することができる。他の変形例では、1つ以上のセンサは、プリント回路基板44上に直接取り付けられてもよい。電源ポート及び/又はデータアクセスポート46は、プリント回路基板44と一体化されてもよいことも図示され、また、コンピュータ、サーバ、スマートフォン、又は他のデバイスなどの遠隔装置によって容易にアクセス可能であり得る。図示のように、複数のセンサ38、42又は単一のセンサを使用して、サンプリングされた呼気からパラメータを検出することができる。
【0042】
他の変形例では、少なくとも1つのCOセンサ又は複数のCOセンサを単独で実装してもよい。あるいは、1つ以上のCOセンサを、1つ以上のH2センサと組み合わせて使用することができる。COセンサ及びH2センサの両方を使用する場合、多くのCOセンサは、しばしば人の呼気中のCO測定に潜在的に影響を与えるのに十分な量で存在するH2に対して交差感度を有するため、H2センサからの読み取り値を使用して、COセンサによって検出された任意のH2信号を説明又は補償することができる。H2センサなしでCOセンサを使用する場合、様々な方法を適用して、H2測定干渉を公称許容レベルまで低減することができる。ただし、H2センサを使用してH2の存在を直接測定及び補償すると、CO測定が容易になる場合がある。センサはまた、喫煙関連吸気を検出する場合に、一酸化炭素などの物質を検出するための化学ガスセンサ、電気化学ガスセンサなどを含む任意の数の異なるセンサタイプを含み得る。
【0043】
図1Cは、ハウジング20に組み込まれ、管腔を通って入るサンプリングされた空気がサンプリングユニット内に収容されるようにセンサ上に配置されて密封された流量制御アセンブリの上面図を示す。サンプル呼気は、被験者が吐き出すと、デバイスに入ることができる。呼気は分散チャンバ43に入り、そこでサンプルの大部分、例えば、約80%が、チャンバ43を通って、二次チャネル49、51によって画定されたそれぞれの二次流体経路45、47に迂回される。残りの約20%のサンプルは、一次チャネルを通って受け取りチャネル53に入り、そこで呼気が開口部55、57を通って入り、センサと接触する可能性がある。他の変形例では、50%未満の呼気サンプルが受け取りチャネルに入るように、50%を超える呼気サンプルが迂回されてもよい。
【0044】
ユーザからeCOレベルを決定及び定量化するための呼気サンプリングデバイス及び方法の更なる例は、様々な特許、例えば米国特許第9,861,126号、同第10,206,572号、同第10,306,922号、同第10,335,032号、及び米国特許出願公開第2019/0113501号に更に詳細に記載されており、これらの特許のそれぞれは、任意の目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。記載されているデバイスのいずれも、本明細書に記載の方法及び装置と共に利用することができる。
【0045】
サンプリングユニット20の別の変形例では、デバイスは、様々な状態を監視又はスクリーニングするための1つ以上の肺活量計54、及びサンプル呼気52と流体連通する1つ以上の圧力変換器又は圧力センサ56を追加的に及び/又は代替的に組み込むことができる。単一の圧力センサ56が示されているが、サンプリングユニット20内の様々な位置に追加の圧力センサを組み込むことができる。肺活量計54は、
図2に示されるように、パラメータを検出及び/又は監視するために、流路50を通過するサンプル呼気52と流体連通するようにユニット20に組み込まれてもよい。1つ以上の圧力センサ56及び/又は肺活量計54は、ユニット20内のプロセッサに配線されてもよく、又は個人用電子デバイス10若しくはコンピュータ12と無線で通信してもよい。圧力センサ56は、概して、流体サンプル52によって加えられる圧力を電気信号に変換し、また、例えば、ピエゾ抵抗、容量、電磁、圧電、ひずみゲージ、光学など、任意の数の様々なメカニズムを含み得る。肺活量計54は通常、流体52の量及び流量を定量化し、ユーザの肺機能を評価するために使用でき、また、喘息、肺線維症、嚢胞性線維症、COPDなどの様々な肺疾患を特定するのに役立つことができる。
【0046】
更に、流路50は、流路に沿った流れ抵抗を増加又は減少させるためのフロースイッチを含むことができる。被験者がデバイスに息を吹き込むとき、可能な限り激しく息を吐き出すように指示される可能性があり、デバイスは測定された圧力及び量を流量に変換して、例えば、完全吸気後に強制的に吐き出すことができる空気の総量である努力肺活量(FVC)、完全吸気後1秒間にわたって強制的に吐き出すことができる空気の量である努力呼気肺活量1秒量テスト(FEV1)を計算することができる。デバイスによって計算され得る他のパラメータは、例えば、FEV1対FVCの比であるFEV1/FVC比(FEV1%)、肺活量測定内の様々な点で肺に出入りする空気の流量を決定するための、努力性呼気流量(FEF)と努力性吸気流量(FIF)の比率であるFEF/FIF、肺活量測定テスト期間中に経験した最大流量である最大呼気流量(PEF)を含み得る。
【0047】
図3Aは、男性及び女性の両方について、様々な年齢にわたるFVC、FEV1及びFEV 25~75%の正常値を示すグラフ60を示しており、
図3Bは、参照のために、呼気中の25%、50%及び75%でのFEF並びに吸気中の75%、50%及び25%でのFIFについて、体積(L)に対する典型的な流量(リットル/秒)を示すグラフ62を示す。
【0048】
肺活量計54及び圧力センサ56とは別に、サンプリングユニットはまた、
図2に示されるように、流れ52から検出された熱エネルギーを対応する電気信号に変換する1つ以上の温度センサ58を組み込むことができる。そのような温度センサ58は、例えば、サーミスタ及び熱電対を含むことができる。呼気サンプルからの呼気温度(EBT)の評価は、発熱の検出、喘息の検出など、ユーザの呼吸器系における様々な病理学的プロセスを検出及び監視するために使用することができる。
【0049】
ユーザが呼気サンプリングプロトコルに従うと、ユーザにとって最も正確な結果が保証される可能性があるため、圧力センサ56を使用することで、ユーザの呼気及び吸気を使用して呼気検査コンプライアンスを判断するための1つのメカニズムが
図4に示されている。図示のように、ユーザの肺内のCOレベルが血中のレベルと平衡することを可能にするために、所定期間にわたって、例えば少なくとも10秒以上、息を止めるようにユーザに指示する70ことができる。次に、任意選択で、所定期間にわたって、例えば6~12秒以上、サンプリングユニットに息を吐き出すようにユーザに指示する72ことができる。ユーザはサンプリングユニットを「騙して」比較的低い読み取り値を出そうとする可能性があるため、呼気及び吸気検出を適切に適用することで、そのような試みを防ぐことができる。
【0050】
呼気と吸気の両方で、サンプリングユニット内の圧力センサ56は、フローチャンバ内の対応する圧力を測定する74ことができ、圧力の対応する増加及び減少のタイミングも測定する76ことができる。したがって、圧力センサ56と通信しているプロセッサは、それに応じて、実際に測定されたサンプル呼気の期間及び強度と比較することによって、ユーザが呼気測定(例えば、呼気又は吸気)の規定された(又は予想される)期間及び強度に従ったか否かを判断する78ことができる。例えば、タイミングについて、サンプル呼気の実際のタイミングをデバイスに息を吐き出すための規定された所定期間と比較することができ、また、呼気強度について、測定された圧力変化の強度を周囲圧力レベルと比較することができる。周囲圧力に対する圧力の予期しない上昇又は低下が検出された場合、及び/又はサンプル呼気のタイミングが所定期間外になった場合、ユーザに通知することができ、そして、例えば、呼気が予想されるときに又は息を止める準備をするときにサンプリングユニット20を通して息を吸い込むなど、デバイスによってユーザに修正提案を提供することができる。呼気開始検出の他の方法(例えば、温度、音など)は、呼気サンプリングプロトコルに対するコンプライアンス違反のすべてのモードを補捉することはできないが、圧力センサ56及びタイミングを使用することで、そのようなコンプライアンス違反を捕捉することができる。
【0051】
図5Aは、サンプリングデバイス20内の圧力センサ56を利用して、呼気センサに出入りする空気の量を測定し、そしてこのメトリックを使用して、ユーザの健康の指標として肺活量を推定及び/又は追跡するための別のメカニズムの流れ図を示す。サンプリングユニット20を通るユーザの呼気サンプルの流れは、呼気及び吸気中に一般的に遭遇する流量では非圧縮性であると見なされる可能性があるため、ユニット20を通る空気の瞬時流量と対応する圧力との間の関係を決定するために、圧力センサ56を使用して、結果として生じる圧力を測定することができる。サンプリングユニットに息を吐き出し80、更にサンプリングユニット20を通して息を吸い込む82ようにユーザに指示することができる。任意選択で、肺気量パラメータを測定するためにユニット20を通る完全な呼気-吸気-呼気サイクルが得られるように、ユニット20を通してもう一度息を吐き出すようにユーザに更に指示することができる。呼気の期間にわたって積分することによって、デバイスを通過する空気の総量を測定する84ことができる。次に、吸気と呼気の両方について流量と圧力センサ56によって測定された圧力との間の関係を確立する86ことができる。
【0052】
サンプリングユニット20を通して、完全な呼気及び吸気、続いて任意選択で別の呼気(又は吸気、呼気、及び任意選択で再度吸気)を行うようにユーザに促すことによって、ユーザの総肺気量を決定することができる。このプロセスを定期的に実行及び監視して、ユーザの肺活量が経時的にどのように変化するかについてのフィードバックをユーザに提供することができる。また、呼気の過程にわたる累積呼気量を計算するための積分は、アルゴリズムをより正確にするのにも役立つことができ、例えば、死容積が消費され、肺胞空気がサンプリングされているときの推定に役立つ。
【0053】
図5Bは、サンプリングデバイス20内の圧力センサ56及び少なくとも1つのセンサを利用して、生物学的パラメータを測定してユーザの肺パラメータを決定するためのメカニズムの更に別の流れ図を示す。説明したように、ある所定期間にわたって、例えば、6~12秒以上、サンプリングユニット20に息を吐き出すようにユーザに促す80ことができる。息を吐き出す前に、ユーザの肺内のCOレベルが血中のレベルと平衡することを可能にするために、任意選択で、所定期間にわたって、例えば少なくとも10秒以上、息を止めるようにユーザに指示することができる。ユーザがサンプル呼気を吐き出すと、周囲圧力に対する、サンプル呼気によって与えられる圧力の変化を、サンプリングユニット20内のプロセッサと通信する少なくとも1つの圧力センサを介して測定する81ことができる。呼気のタイミングも、プロセッサを介して測定することができる。次に、プロセッサを介して圧力変化を流量と相関させる83ことができる。
【0054】
また、1つ以上のセンサ、例えば、ガスセンサを介して、サンプル呼気から1つ以上の生物学的パラメータを測定する85こともでき、センサは、(前述のように)サンプリングユニット20内に含まれている1つ以上のセンサに迂回されるサンプル呼気の少なくとも一部と流体連通している。この測定値は、流れパラメータの測定と同時に取得することも、時間的に近接して採取された別のサンプル呼気から取得することもできる。残りのサンプル呼気は、ユニット20から任意選択で排出することができる。1つ以上のセンサから得られた生物学的パラメータの測定値を、プロセッサを介して対象となる分析物に相関させる87ことができ、ここで、分析物は、サンプル呼気からのCOレベル、又はユーザの対応する生物学的パラメータを示す任意の数の他の分析物、例えば、H2、CH4、CO2、02、C3H6Oなどを含むことができる。次に、相関された圧力変化から得られた流量に基づいて、プロセッサを介してユーザの肺パラメータを計算する89ことができる。したがって、肺パラメータ及び対応する生物学的パラメータは、単一のサンプル呼気から取得することができる。ユーザの肺の健康を追跡する目的で、所定期間にわたってその後の肺及び生物学的パラメータをユーザから取得することができ、これらの肺及び生物学的パラメータを、フィードバックとしてユーザに提供することができる。
【0055】
図6は、圧力センサ56(例えば、流路に対して垂直に配置された)をどのように使用して、ユーザの呼気サンプルの肺活量測定パラメータを測定できるかを示す別の流れ図を示す。サンプリングユニットを通して息を吐き出してサンプル呼気を提供するようにユーザに指示する90ことができる。通常、比較的高い流れ抵抗を有するデバイスでは、流れパラメータを評価するのが難しい場合があるが、圧力センサ56を流れの方向に対して垂直に配向させることにより、デバイスは、以下の動圧方程式を使用して流速を計算することが可能になる場合がある。
【0056】
【数1】
(式中、
q=動圧(Pa)
ρ=空気の流体密度
u=流速)
【0057】
式(1)を再構成して流速を求めると、以下の式が得られる。
【0058】
【0059】
流路の最小断面積が既知であれば、式(2)を用いて動圧測定を使用して流量を計算することができる。経時的な流量を記録することにより、肺活量測定パラメータをプロセッサを介して計算する92ことができる。
【0060】
ユーザに肺の健康状態を知らせるために、これらの測定を定期的に実施するようにユーザに促すことができる。例えば、喫煙がユーザの健康に及ぼす直接的な影響に関するフィードバックを提供するために、タバコを吸う前及び後にこれらのテストを実施する94ようにユーザに促すことができる。これらの値を経時的に記録することは、肺活量測定の測定値が改善するにつれて、ユーザにタバコの摂取量を減らし続けるように促すのにも役立つことができる。
【0061】
図7は、
図5及び
図6に関して上述した方法を組み合わせた更に別の方法を示す別の流れ図を示す。上記のように、サンプリングユニットにサンプル呼気を吐き出し100、更にサンプリングユニットを通して息を吸い込む102ようにユーザに指示することができる。説明したように、デバイスを通過する空気の総量を決定する104ことができ、吸気及び呼気の流量と圧力との間の関係を決定する106こともできる。更に、経時的な流量を記録して、ユーザの肺活量測定パラメータを計算する108ことができる。ユーザがサンプル呼気をサンプリングユニットに吐き出している100間、このデバイスを使用して、存在するCO(又は任意の他のバイオマーカー)を測定することによってユーザのeCOを測定することができる。このようにして、eCO及び肺パラメータは、同じサンプリングユニット20を使用して同時に決定することができる。
【0062】
各方法は、異なる流れ抵抗を利用することができ、流れ抵抗は、サンプリングユニット20を通る異なる流路形状を利用することができ、また使用されるバイオマーカーサンプリング方法を決定づけることができる。上記のように、デバイスは、呼気及び吸気肺気量を計算し、また、様々な肺活量測定値を計算することができる。
【0063】
図8は、サンプリングユニット20に息を吐き出すとき、又はそれを通して息を吸い込むときに、ユーザが通気孔を塞いでいる(例えば、流路を塞いでいる)か否か(塞ぐことで測定値が変わることもあり得る)を判断するために利用できる方法を示す更に別の流れ図を示す。デバイスは、流路の様々な部分において複数の圧力センサを利用することができる。デバイスは、一般に、
図1Cに関して本明細書に示され説明されるように、eCOを決定するための電気化学センサにつながる一次COセンサ流路と、サンプル呼気の一部を排出できるようにする二次通気経路とを画定することができる。ユーザがサンプリングユニットにサンプル呼気を吐き出すように指示された110後、COセンサ流路内の圧力を測定する112ことができ、通気流路内の第2の圧力をCOセンサ流路とは別に測定する114ことができる。いずれかの流路内の通気開口部のいずれかが塞がれていると、測定に誤差が生じる可能性がある。
【0064】
COセンサ流路に対する通気流路の圧力比P(VENT)/P(CO)は、流量が異なるサンプル間で比較的一定に保たれる必要があり、ユーザが通気開口部のいずれかを塞いだ場合、この比は変更される可能性がある。したがって、圧力比P(VENT)/P(CO)は、得られたサンプル間の比較のために、デバイスプロセッサを介して計算する116ことができる。いずれかのサンプルが大幅に異なる比率をもたらす場合、これは、通気開口部の一部又はすべてが塞がれている可能性があり、ユーザが修正措置を講じる必要がある可能性があることを示す可能性がある。
【0065】
図9は、励ましとしてユーザにフィードバックを提供するための方法を示す更に別の流れ図を示す。ユーザがサンプリングユニットに息を吐き出した120後、本明細書に記載されるように、任意の数の測定値を取得する122ことができる(例えば、流量、体積、流れ圧力など)。この情報をユーザフィードバックとして、励まし又は情報娯楽などとして提供124して、ユーザにより望ましい体験を提供することができる。例えば、デバイスを通して吹き込まれた空気の総量を記録して、面白い方法でユーザに報告することができる(例えば、「直径12インチのビーチボールを25個膨らませました!」)。別の例は、聴覚トーンなどのインジケータを提供することができ、又は視覚インジケータを提供することもでき、インジケータは、例えば、ユーザがインジケータを一定に維持するように促されるように、流れの圧力に比例する。更に別の例は、ユーザにゲームとして構成されたフィードバックを提供することができ、ここで、ユーザは、可能な限り最高の圧力流を生成しようと試みることができ、この最高の圧力流は、肺機能の改善を決定するために記録され、以前の試みと比較される。
【0066】
図10は、その他の健康問題が存在する可能性があるか否かを判断する方法の更に別の流れ図を示す。ユーザが呼気サンプルを提供するように指示された130後、温度などの特定のパラメータを呼気から測定する132ことができる。呼気温度の上昇が観察された場合、これは健康状態の指標である134可能性がある。例えば、デバイスは、ユーザが発熱している可能性があること、又はユーザが何らかの喘息症状を経験している可能性があると判断する場合がある。
【0067】
例えば、
図4から
図10に関して説明した方法及びメカニズムのいずれも、任意の数の組み合わせで任意の生理学的測定装置(例えば、圧力、肺活量測定、温度など)と組み合わせて、組み合わせ評価、測定などを行うことができ、また、本明細書の範囲内にあることが意図されている。例えば、生理学的測定装置はまた、様々な生物学的機能を示すものとして、CO(説明されたように)、H
2、CH
4(メタン)、CO
2、O
2、C
3H
6O(アセトン)などの様々な他のパラメータを検出するために、任意の数の追加センサを組み込んでもよい。
【0068】
例示的な例が上述されているが、様々な変更及び修正がその中で行われ得ることは当業者には明らかであろう。更に、上記の様々な装置又は手順はまた、実行可能な限り、互いに組み合わせて利用されることも意図されている。添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲内にあるすべてのそのような変更及び修正をカバーすることを意図している。
【0069】
〔実施の態様〕
(1) ユーザの肺パラメータを測定するように構成された装置であって、
呼気サンプリングポートを有するサンプリングユニットと、
前記サンプリングユニット内に配置され、前記呼気サンプリングポートと連通する少なくとも1つの圧力センサと、
前記ユーザが前記呼気サンプリングポートに吐き出したサンプル呼気から対象となる分析物を検出するように構成された少なくとも1つのガスセンサであって、前記少なくとも1つのガスセンサは、前記サンプリングユニット内に配置され、また前記サンプル呼気の少なくとも一部と流体連通する、少なくとも1つのガスセンサと、
前記少なくとも1つの圧力センサ及び前記少なくとも1つのガスセンサと通信するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、第1の所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートにサンプル呼気を吐き出すように指示でユーザに促すように構成されており、
前記プロセッサは、前記圧力センサを介して周囲圧力に対する圧力変化を測定し、そしてこの圧力を流量に相関させるように更に構成されており、
前記プロセッサは、前記少なくとも1つのガスセンサから測定値を受信し、そしてこの測定値を前記サンプル呼気からの対象となる前記分析物に相関させるように更に構成されており、
前記プロセッサは、前記流量に基づいて前記ユーザの肺パラメータを計算するように更に構成されている、装置。
(2) 前記プロセッサは、一定の流量又は一定の圧力で息を吐き出すように指示で前記ユーザに促すように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記プロセッサは、第2の所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートを通して息を吸い込むように指示で前記ユーザに更に促すように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記プロセッサは、前記サンプル呼気を吐き出す前に少なくとも10秒間息を止めるように指示で前記ユーザに促すように更に構成されている、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記プロセッサは、前記サンプル呼気を少なくとも6~12秒間吐き出すように指示でユーザに促すように更に構成されている、実施態様1に記載の装置。
【0070】
(6) 前記プロセッサは、第3の所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートに息を吐き出すように前記ユーザに促すように更に構成されている、実施態様3に記載の装置。
(7) 前記少なくとも1つのガスセンサは、前記サンプル呼気からCOレベルを感知するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記少なくとも1つのガスセンサは、H2、CH4、CO2、O2、又はC3H6Oのレベルを感知するように構成されている、実施態様7に記載の装置。
(9) ユーザの肺パラメータを測定する方法であって、
第1の所定期間にわたってサンプリングユニットにサンプル呼気を吐き出すように指示で前記ユーザに促すことと、
前記サンプル呼気と連通する圧力センサを介して、前記第1の所定期間にわたる前記サンプル呼気の第1の圧力変化を測定することと、
前記圧力センサと通信するプロセッサを介して前記第1の圧力変化を流量に相関させることと、
前記サンプル呼気の少なくとも一部と流体連通する少なくとも1つのガスセンサを介して、前記サンプル呼気から生物学的パラメータを測定することと、
前記生物学的パラメータの測定値を、前記少なくとも1つのガスセンサと通信する前記プロセッサを介して対象となる分析物に相関させることと、
前記流量に基づいて前記プロセッサを介して前記ユーザの肺パラメータを計算することとを含む、方法。
(10) 前記圧力センサを介して、第2の所定期間にわたって前記サンプリングユニットを通して息を吸い込むように指示で前記ユーザに促すことと、
前記第2の所定期間にわたる前記サンプル呼気の第2の圧力変化を測定することと、
前記第1の所定期間及び前記第2の所定期間にわたる前記第1の圧力変化及び前記第2の圧力変化に基づいて、前記プロセッサを介して前記ユーザの肺活量に対応する空気の総量を決定することとを更に含む、実施態様9に記載の方法。
【0071】
(11) 前記肺パラメータを後続の肺パラメータと比較して、前記ユーザの肺活量を経時的に推定することを更に含む、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記サンプル呼気を吐き出す前に少なくとも10秒間息を止めるように指示で前記ユーザに促すことを更に含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記サンプル呼気を吐き出すときに、一定の流量又は一定の圧力で吐き出すように指示で前記ユーザに促すことを更に含む、実施態様9に記載の方法。
(14) 息を吐き出すように指示で前記ユーザに促すことは、前記サンプル呼気を少なくとも6~12秒間吐き出すように前記ユーザに促すことを含む、実施態様9に記載の方法。
(15) 第3の所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートに息を吐き出すように前記ユーザに促すことを更に含む、実施態様10に記載の方法。
【0072】
(16) 前記サンプル呼気から前記生物学的パラメータを測定することは、前記サンプル呼気の残りを排出することを含む、実施態様9に記載の方法。
(17) 前記生物学的パラメータを測定することは、前記サンプル呼気からCOレベルを感知することを含む、実施態様9に記載の方法。
(18) 前記生物学的パラメータを測定することは、前記サンプル呼気からH2、CH4、CO2、O2、又はC3H6Oのレベルを感知することを含む、実施態様9に記載の方法。
(19) ユーザによるサンプリングコンプライアンスを判断するように構成された装置であって、
呼気サンプリングポートを有するサンプリングユニットと、
前記サンプリングユニット内に配置され、前記呼気サンプリングポートと連通する少なくとも1つの圧力センサと、
前記少なくとも1つの圧力センサと通信するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートにサンプル呼気を吐き出すように指示でユーザに促し、前記サンプル呼気を感知すると、前記圧力センサを介して周囲圧力に対する圧力変化を測定し、そして前記サンプル呼気によって前記圧力センサに与えられる前記圧力変化のタイミングを測定するように構成されており、
前記プロセッサは、前記サンプル呼気の前記タイミングを前記所定期間と比較し、更に前記圧力変化の強度を前記周囲圧力と比較するように更に構成されている、装置。
(20) 前記プロセッサは、前記サンプル呼気を吐き出す前に少なくとも10秒間息を止めるように指示で前記ユーザに促すように更に構成されている、実施態様19に記載の装置。
【0073】
(21) 前記プロセッサは、前記サンプル呼気を少なくとも6~12秒間吐き出すように指示でユーザに促すように更に構成されている、実施態様19に記載の装置。
(22) 前記プロセッサは、前記圧力センサが前記所定期間中に負の圧力変化を検出した場合に、前記ユーザに促すように更に構成されている、実施態様19に記載の装置。
(23) 前記プロセッサは、前記サンプル呼気の前記タイミングが前記所定期間外になった場合に、前記ユーザに促すように更に構成されている、実施態様19に記載の装置。
(24) 前記プロセッサは、前記サンプル呼気の前記タイミングが前記所定期間外になった場合、又は前記圧力の前記強度が前記周囲圧力に対して変化しないか、若しくは前記圧力が負である場合に、修正提案で前記ユーザに促すように更に構成されている、実施態様19に記載の装置。
(25) ユーザによるサンプリングコンプライアンスを判断する方法であって、
所定期間にわたってサンプリングユニットにサンプル呼気を吐き出すように指示で前記ユーザに促すことと、
前記サンプリングユニット上に画定された呼気サンプリングポートを介して前記サンプル呼気を受け取ることと、
前記サンプル呼気を感知すると、前記サンプリングユニット内に配置され前記呼気サンプリングポートと連通する少なくとも1つの圧力センサを介して、周囲圧力に対する圧力変化を測定することと、
前記少なくとも1つの圧力センサと通信するプロセッサを介して、前記サンプル呼気によって前記少なくとも1つの圧力センサに与えられる前記圧力変化のタイミングを測定することと、
前記サンプル呼気の前記タイミングを前記所定期間と比較することと、
前記圧力変化の強度を前記周囲圧力と比較することと、を含む、方法。
【0074】
(26) 前記サンプル呼気を吐き出すように指示で前記ユーザに促す前に、少なくとも10秒間息を止めるように指示で前記ユーザに促すことを更に含む、実施態様25に記載の方法。
(27) 息を吐き出すように指示で前記ユーザに促すことは、前記サンプル呼気を少なくとも6~12秒間吐き出すように指示で前記ユーザに促すことを含む、実施態様25に記載の方法。
(28) 前記圧力センサが前記所定期間中に負の圧力変化を検出した場合に、前記ユーザに促すことを更に含む、実施態様25に記載の方法。
(29) 前記サンプル呼気の前記タイミングが前記所定期間外になった場合に、前記ユーザに促すことを更に含む、実施態様25に記載の方法。
(30) 前記サンプル呼気の前記タイミングが前記所定期間外になった場合、又は前記圧力の前記強度が前記周囲圧力に対して変化しないか、若しくは前記圧力が負である場合に、修正提案で前記ユーザに促すことを更に含む、実施態様25に記載の方法。
【0075】
(31) ユーザによるサンプリングコンプライアンスを判断するように構成された装置であって、
呼気サンプリングポートを有するサンプリングユニットと、
前記サンプリングユニット内の一次流路と連通し、かつ前記呼気サンプリングポートと流体連通するように配置された第1の圧力センサと、
前記サンプリングユニット内の二次流路と連通し、かつ前記呼気サンプリングポート及び1つ以上の通気開口部と流体連通するように配置された第2の圧力センサと、
前記第1の圧力センサ及び前記第2の圧力センサと通信するプロセッサであって、前記プロセッサは、前記第1の圧力センサから第1の圧力測定値を取得し、前記第2の圧力センサから第2の圧力測定値を取得し、そして前記第1の圧力測定値に対する前記第2の圧力測定値の圧力比を決定するように構成されている、プロセッサと、を備える、装置。
(32) 前記プロセッサは、所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートにサンプル呼気を吐き出すように指示で前記ユーザに促すように更に構成されている、実施態様31に記載の装置。
(33) 前記プロセッサは、前記サンプル呼気を感知すると、周囲圧力に対する圧力変化を測定するように更に構成されている、実施態様32に記載の装置。
(34) 前記プロセッサは、前記サンプル呼気によって与えられる前記圧力変化のタイミングを測定するように更に構成されている、実施態様33に記載の装置。
(35) 前記プロセッサは、前記サンプル呼気の前記タイミングを前記所定期間と比較し、更に前記圧力変化の強度を前記周囲圧力と比較するように更に構成されている、実施態様34に記載の装置。
【0076】
(36) 前記プロセッサは、後続の呼気サンプル測定値から得られた後続の圧力比を前記圧力比と比較するように更に構成されており、その結果、前記圧力比に対する前記後続の圧力比の偏差は、前記1つ以上の通気開口部が塞がれていることを示す、実施態様31に記載の装置。
(37) 前記プロセッサは、前記偏差が検出された場合に、修正提案で前記ユーザに促すように更に構成されている、実施態様36に記載の装置。
(38) ユーザによるサンプリングコンプライアンスを判断する方法であって、
サンプリングユニット上に画定されたサンプリングポートを介してサンプル呼気を受け取り、前記サンプル呼気の第1の部分が一次流路に流入し、前記サンプル呼気の第2の部分が二次流路に流入し、1つ以上の通気開口部を通るようにすることと、
前記一次流路内の第1の圧力センサを介して第1の圧力測定値を取得することと、
前記二次流路内の第2の圧力センサを介して第2の圧力測定値を取得することと、
前記第1の圧力センサ及び前記第2の圧力センサと通信するプロセッサを介して、前記第1の圧力測定値に対する前記第2の圧力測定値の圧力比を決定することと、
偏差について、前記圧力比を後続の呼気サンプル測定値から得られた後続の圧力比と比較することと、を含む、方法。
(39) 前記サンプル呼気を受け取る前に、所定期間にわたって前記呼気サンプリングポートにサンプル呼気を吐き出すように指示で前記ユーザに促すことを更に含む、実施態様38に記載の方法。
(40) 前記サンプル呼気を感知すると、周囲圧力に対する圧力変化を測定することを更に含む、実施態様39に記載の方法。
【0077】
(41) 前記サンプル呼気によって与えられる前記圧力変化のタイミングを測定することを更に含む、実施態様40に記載の方法。
(42) 前記サンプル呼気の前記タイミングを前記所定期間と比較し、更に前記圧力変化の強度を前記周囲圧力と比較することを更に含む、実施態様41に記載の方法。
(43) 前記偏差が検出された場合に、修正提案で前記ユーザに促すことを更に含む、実施態様38に記載の方法。
【国際調査報告】