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特表2023-509638レーザーを用いた金属溶接部からの有害な副生成物を低減させる方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(54)【発明の名称】レーザーを用いた金属溶接部からの有害な副生成物を低減させる方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20230302BHJP
   B23K 26/073 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B23K26/21 G
B23K26/073
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540428
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(85)【翻訳文提出日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 US2020067591
(87)【国際公開番号】W WO2021138510
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】PCT/US2019/068996
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/008,722
(32)【優先日】2020-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316003531
【氏名又は名称】ヌブル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】フィナフ, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ゼディカー, マーク, エス.
(72)【発明者】
【氏名】ボース, エリック
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ, ロバート, ディー.
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA02
4E168BA87
4E168BA88
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA13
4E168DA32
4E168DA37
4E168DA40
4E168EA08
4E168FB03
4E168KA16
(57)【要約】
危険な量の金属粉末を生成することなく、材料を一緒に溶接するための可視光レーザーシステムおよび操作。危険な量の金属粉末を生成することなく、アルミニウムベース材料に対して溶接部を形成する、青色、青緑色、緑色のレーザーシステムおよび方法。危険な量の金属粉を生成することなく、バッテリーパックなどのエネルギー貯蔵デバイスで使用するための、導電性要素、特に薄いアルミニウム導電性要素を一緒に溶接するための、青色、青緑色、および緑色のレーザーシステム並びに操作。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって、
a.アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウムベース材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;
b.青色レーザービームを該ワークピースに向け、それによって、該アルミニウムベース材料の第1ピースと該アルミニウムベース材料の第2ピースとの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、
c.該アルミニウムベース材料、該HAZ、および該再凝固領域の微細構造が同一であるようにした、方法。
【請求項2】
該同一の微細構造が、該溶接部の脆弱性を示すような識別可能な差異を示さない、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該同一の微細構造が、類似の大きさの結晶成長領域からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該溶接部が伝導モード溶接で形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該第1ピースおよび該第2ピースが約10μmから約1000μmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該第1ピースがアルミニウム箔の複数の層からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該第1ピースがアルミニウム金属である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該第1ピースが、約10~約95重量パーセントのアルミニウムを有するアルミニウム合金である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該レーザービームが、パワー密度が800kW/cm未満である集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
該レーザービームが、500kW/cm以下のパワー密度を有する集光スポットとしてワークピースに向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
該レーザービームが、約100kW/cm~約800kW/cmのパワー密度を有する集光スポットとしてワークピースに向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
該レーザービームが、約800kW/cm~約5MW/cmのパワー密度を有する集光スポットとしてワークピースに向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
該レーザービームが、100kW/cmより大きいパワー密度の集光スポットとしてワークピースに向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
該レーザービームが500W未満のパワーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
該レーザービームが275W未満のパワーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
該レーザービームが750W未満のパワーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
該レーザービームが150W~約750Wの範囲のパワーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
該レーザービームが約200W~約1,500Wの範囲のパワーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
該レーザービームが、約50μm~約250μmのスポットサイズを有する集光スポットとしてワークピースに向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
該レーザービームが、約405nm~約500nmの波長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
形成された該溶接部がスパッタフリーである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
該レーザービームが該ワークピースを蒸発させない、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって、
a.アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウム材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;
b.青色レーザービームを該ワークピースに向け、それによって、該アルミニウムベース材料の第1ピースと該アルミニウムベース材料の第2ピースとの間に、HAZおよび再凝固領域を含んでなる溶接部を形成することと;を含み、
c.該HAZの硬度の範囲が、該アルミニウムベース材料の硬度の範囲内であるようにした、方法。
【請求項24】
該再凝固領域の硬度の範囲が、該アルミニウムベース材料の硬度の範囲内である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
該アルミニウムベース材料、該HAZ、および該再凝固領域の微細構造が同一である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
該同一の微細構造は、該溶接部の脆弱性を示すような識別可能な差を示さない、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
該同一の微細構造が、該溶接部の脆弱性を示すような識別可能な差異を示さない、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
該同一の微細構造が、類似の大きさの結晶成長領域からなる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
該溶接部が伝導モード溶接によって形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
該第1および第2ピースが約10μmから約500μmの厚さを有する、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
該第1ピースがアルミニウム箔の複数の層からなる、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
該第1ピースがアルミニウム金属である、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
該第1ピースが、約10~約95重量パーセントのアルミニウムを有する、アルミニウム合金である、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
該レーザービームが、パワー密度が2000kW/cm未満である集光スポットとしてワークピースに向けられる、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
該レーザービームが、500kW/cm未満のパワー密度を有する集光スポットとしてワークピースに向けられる、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
該レーザービームが、約100kW/cm~約4500kW/cmのパワー密度を有する集光スポットとしてワークピースに向けられる、請求項23に記載の方法。
【請求項37】
該レーザービームが、100kW/cmより大きいパワー密度を有する集光スポットとしてワークピースに向けられる、請求項23に記載の方法。
【請求項38】
該レーザービームが500W未満のパワーを有する、請求項23に記載の方法。
【請求項39】
該レーザービームが275W未満のパワーを有する、請求項23に記載の方法。
【請求項40】
該レーザービームが750W未満のパワーを有する、請求項23に記載の方法。
【請求項41】
該レーザービームが150W~約750Wの範囲のパワーを有する、請求項23に記載の方法。
【請求項42】
該レーザービームが約200W~約1,500Wの範囲のパワーを有する、請求項23に記載の方法。
【請求項43】
該レーザービームが、約50μm~約250μmのスポットサイズを有する集光スポットとしてワークピースに向けられる、請求項23に記載の方法。
【請求項44】
該レーザービームが、約100μm~約500μmのスポットサイズを有する集光スポットとしてワークピースに向けられる、請求項23に記載の方法。
【請求項45】
該レーザービームが、約405nmから約500nmの波長を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項46】
該溶接部がスパッタフリーである、請求項23に記載の方法。
【請求項47】
該レーザービームが該ワークピースを蒸発させない、請求項23に記載の方法。
【請求項48】
アルミニウムベース材料に溶接を形成する方法であって、
a.アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウムベース材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;
b.青色レーザービームを該ワークピースに向け、それによって、該アルミニウムベース材料の第1ピースと該アルミニウムベース材料の第2ピースの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み
c.該再凝固領域の硬度の範囲が、銅ベース材料の硬度の範囲内であり;
d.該アルミニウムベース材料、該HAZ、および該再凝固領域の微細構造が同一であるようにした、方法。
【請求項49】
該同一の微細構造が、該溶接部の脆弱性を示すような識別可能な差異を示さない、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
該同一の微細構造が、該溶接部の脆弱性を示すような識別可能な差異を示さない、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
該同一の微細構造が、類似の大きさの結晶成長領域を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
該溶接部が伝導モード溶接によって形成される、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
該第1ピースおよび第2ピースが約10μmから約500μmの厚さを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
該第1ピースがアルミニウム箔の複数の層からなる、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
該第1ピースがアルミニウム金属である、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
該第1ピースが、約10~約95重量パーセントのアルミニウムを有するアルミニウム合金である、請求項48に記載の方法。
【請求項57】
該レーザービームが、パワー密度が800kW/cm未満である集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項48に記載の方法。
【請求項58】
該レーザービームが、500kW/cm未満のパワー密度を有する集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項48に記載の方法。
【請求項59】
該レーザービームが、約100kW/cm~約3000kW/cmのパワー密度を有する集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項48に記載の方法。
【請求項60】
該レーザービームが、パワー密度が100kW/cmより大きい集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項48に記載の方法。
【請求項61】
該レーザービームが500W未満のパワーを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項62】
該レーザービームが275W未満のパワーを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項63】
該レーザービームが750W未満のパワーを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項64】
該レーザービームが150W~約750Wの範囲のパワーを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項65】
該レーザービームが約200W~約1,500Wの範囲のパワーを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項66】
該レーザービームが、約50μm~約250μmのスポットサイズを有する集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項48に記載の方法。
【請求項67】
該レーザービームが、約405nm~約500nmの波長を有する、請求項48に記載の方法。
【請求項68】
該溶接部がスパッタフリーである、請求項48に記載の方法。
【請求項69】
該レーザーが該ワークピースを蒸発させない、請求項48に記載の方法。
【請求項70】
アルミニウムベース材料にキーホール溶接部を形成する方法であって、
a.アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウム材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;
b.青色レーザービームを該ワークピースに向け、それによって、該アルミニウムベース材料の第1ピースと該アルミニウムベース材料の第2ピースとの間に、HAZおよび再凝固領域を含むキーホールモード溶接部を形成することと、
を含む方法。
【請求項71】
該レーザービームのパワーが1000kW未満である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
該レーザービームのパワーが500kW未満である、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
該レーザービームのパワーが300kW未満である、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
キーホールからのスパッタを抑制するために該レーザービームを引き延ばすことを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項75】
キーホールからのスパッタを抑制するために該レーザービームのパワーを変調することを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項76】
キーホールモードでの溶接の間、スパッタを抑制するためにビームを急速に走査することを含む、請求項70記載の方法。
【請求項77】
溶接が開始された後に、該レーザービームのパワーを急速に減少させることを含み、減少させる方法は、自動でまたは手動で行うことができる、請求項70に記載の方法。
【請求項78】
低い気圧を使用して、溶接プロセス中に閉じ込められるガスおよびスパッタを減少させることを含む、請求項1、23、または70に記載の方法。
【請求項79】
シールドガスを適用することを含む、請求項1、23、または70に記載の方法。
【請求項80】
He、Ar、Nからなる群から選択されるシールドガスを適用することを含む、請求項1、23、または70に記載の方法。
【請求項81】
Ar-H、N、N-Hからなる群から選択されるシールド混合ガスを適用することを含む、請求項1、23、または70に記載の方法。
【請求項82】
シールドガスを適用することと、該シールドガスに水素を添加して酸化物層を除去し、溶接部の濡れを促進することと、を含む、請求項1、23、または70に記載の方法。
【請求項83】
該溶接部を形成するための該レーザービームと同じ領域に第2のレーザービームを向けることを含む、請求項1、23、または70に記載の方法。
【請求項84】
該レーザービームを非集光スポットとしてワークピースに向ける、請求項1乃至83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
該レーザービームは、複数の重複する経路を通るようにした、請求項1乃至83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
該レーザービームが複数のオフセット経路を通るようにした、請求項1乃至83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
該レーザービームが、約500nmから約575nmの範囲の波長を有する、請求項1乃至86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
該レーザービームが、約450nm、約460nm、約470nm、約515nm、約532nm、及び約550nmからなる群から選択される範囲の波長を有する、請求項1乃至86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
約500ミクロン未満の粒径を有するアルミニウムダストが形成されない、請求項1乃至88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
500ミクロン未満の粒子径を有するアルミニウムダストが形成されない、請求項1乃至88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
約420ミクロン未満の粒子径を有するアルミニウムダストが形成されない、請求項1乃至88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
420ミクロン未満の粒子サイズを有するアルミニウムダストが形成されない、請求項1乃至88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
アルミニウムダストのいかなる形成も、NFPA-484(2019年改訂版)によって定められた限界値以内またはそれ以下である、請求項1乃至88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
生成される空中浮遊アルミニウムダストの量が爆発レベル未満である、請求項1乃至88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
少量の空中浮遊アルミニウムダストが生成され、その量は、100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、および1mg未満、0.1mg未満、0.001mg未満、約50g~約1g、約1g~約50mg、約70mg~約20mg、および約1mg~約0.1mgからなる群から選択される、請求項1乃至92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
該アルミニウムダストが、アルミニウム、酸化アルミニウム、および水酸化アルミニウムのうちの1つ以上を含む、請求項87乃至95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
長さ1mmの溶接部の形成中に、少量の空中浮遊アルミニウムダストが生成され、その量は、100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、1mg未満、0.1mg、0.001mg未満、約50g~約1g、約1g~約50mg、約70mg~約20mg、約1mg~約0.1mgからなる群から選択される、請求項1乃至96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
該アルミニウムダストが、アルミニウム、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムのうちの1つ以上を含む、請求項97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
溶接を行う時間の間に、少量の空中浮遊アルミニウムダストが生成され、その量は、100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、および1mg未満、0.001mg未満、約50g~約1g、約1g~約50mg、約70mg~約20mg、約1mg~約0.1mからなる群から選択され、該アルミニウムダストがアルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの1つ以上を含む、請求項1乃至95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
溶接を行う時間が、少なくとも10秒、10~1000秒、1000秒以上、10000秒以上、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも10時間、および10秒から100時間からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって、
a.アルミニウムベース材料の第1ピースを銅ベース材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;
b.青色レーザービームを該ワークピースに向け、それによって、該アルミニウムベース材料の第1ピースと該銅ベース材料の第2ピースとの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、
c.アルミニウム-銅界面の微細構造が、最小限の金属間化合物を示すようにした、方法。
【請求項102】
アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって、
a.アルミニウムベース材料の第1ピースを鋼材の第2ピースと接触して配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;
b.青色レーザービームを該ワークピースに向け、それによって、該アルミニウムベース材料の第1ピースと該銅ベース材料の第2ピースとの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み
c.アルミニウム-銅界面の微細構造が、最小限の金属間化合物を示すようにした、方法
【請求項103】
アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって、
a.銅ベース材料の第1ピースをアルミニウム材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;
b.青色レーザービームを該ワークピースに向け、それによって、該銅ベース材料の第1ピースと該アルミニウムベース材料の第2ピースとの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、
c.アルミニウム-銅界面の微細構造が、最小限の金属間化合物を示すようにする、方法。
【請求項104】
アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって、
a.鋼ベース材料の第1ピースをアルミニウム材料の第2ピースと接触して配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;
b.青色レーザービームを該ワークピースに向け、それによって、鋼ベース材料の第1ピースと該アルミニウムベース材料の第2ピースの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、
c.アルミニウム-鋼の界面の微細構造が、最小限の金属間化合物を示すようにした、方法。
【請求項105】
アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって、
a.アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウムベース材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;
b.青色レーザービームを該ワークピースに向け、それによって、該アルミニウムベース材料の第1ピースと該アルミニウムベース材料の第2ピースとの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、
c.該アルミニウムベース材料、該HAZ、および該再凝固領域の微細構造が同一であるようにした、方法。
【請求項106】
アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって、
a.アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウムベース材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;
b.青色レーザービームを該ワークピースに向け、それによって、該アルミニウムベース材料の第1ピースと該アルミニウムベース材料の第2ピースとの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、
c.該アルミニウムベース材料、該HAZ、および該再凝固領域の微細構造が同一であるようにした、方法。
【請求項107】
該同一の微細構造が、該溶接部の脆弱性を示すような識別可能な差異を示さない、請求項1に記載の方法。
【請求項108】
該同一の微細構造が、類似の大きさの結晶成長領域からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項109】
該溶接部が伝導モード溶接によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項110】
該第1および第2ピースが、約10μm~約1000μmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項111】
該第1ピースがアルミニウム箔の複数の層からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項112】
該第1ピースがアルミニウム金属である、請求項1に記載の方法。
【請求項113】
該第1ピースが、約10~約95重量パーセントのアルミニウムを有するアルミニウム合金である、請求項1に記載の方法。
【請求項114】
該レーザービームが、パワー密度が800kW/cm未満である集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項115】
該レーザービームが、パワー密度が500kW/cm未満の集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項116】
該レーザービームが、約100kW/cm~約800kW/cmのパワー密度を有する集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項117】
該レーザービームが、約800kW/cm~約5MW/cmのパワー密度を有する集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項118】
該レーザービームが、100kW/cmより大きいパワー密度を有する集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項119】
該レーザービームが500W未満のパワーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項120】
該レーザービームが275W未満のパワーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項121】
該レーザービームが750W未満のパワーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項122】
該レーザービームが150Wから約750Wの範囲のパワーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項123】
該レーザービームが約200Wから約1,500Wの範囲のパワーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項124】
該レーザービームが、約50μmから約250μmのスポットサイズを有する集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項125】
該レーザービームが約405nmから約500nmまでの波長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項126】
該溶接部はスパッタフリーで形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項127】
該レーザービームは該ワークピースを蒸発させない、請求項1に記載の方法。
【請求項128】
アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって、
a.アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウムベース材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;
b.該ワークピースに青色レーザービームを向け、それにより、該アルミニウムベース材料の第1ピースと該アルミニウムベース材料の第2ピースとの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、
c.該HAZの硬度範囲が、該アルミニウムベース材料の硬度範囲内にあるようにした、方法。
【請求項129】
アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって、
a.アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウムベース材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;
b.389nmから850nmの範囲の波長を有するレーザービームを該ワークピースに向け、それにより、該アルミニウムベース材料の第1ピースと該アルミニウムベース材料の第2ピースとの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、
c.該アルミニウムベース材料、該HAZ、および該再凝固領域の微細構造が同一となるようにした、方法。
【請求項130】
該同一の微細構造は、該溶接部の脆弱性を示す識別可能な差異を示さない、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
該同一の微細構造が同様のサイズの結晶成長領域を含む、請求項129に記載の方法。
【請求項132】
該溶接部が伝導モード溶接によって形成される、請求項129に記載の方法。
【請求項133】
該第1及び第2ピースが約10μmから約1000μmの範囲内の厚さを有する請求項129に記載の方法。
【請求項134】
該第1ピースがアルミニウム箔の複数の層を含む、請求項129に記載の方法。
【請求項135】
該第1ピースがアルミニウム金属である、請求項129に記載の方法。
【請求項136】
該第1ピースが、約10から約95重量パーセントまでのアルミニウムを有するアルミニウム合金である、請求項129に記載の方法。
【請求項137】
該レーザービームが、800kW/cm未満のパワー密度を有する集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項129に記載の方法。
【請求項138】
該レーザービームが、500kW/cm未満のパワー密度を有する集光スポットとしてワークピースに向けられる、請求項129に記載の方法。
【請求項139】
該レーザービームが、約100kW/cmから約800kW/cmのパワー密度を有する集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項129に記載の方法。
【請求項140】
前記レーザービームが、約800kW/cmから約5MW/cmまでのパワー密度を有する集光スポットとしてワークピースに向けられる、請求項129に記載の方法。
【請求項141】
該レーザービームが、100kW/cmより大きいパワー密度を有する集光スポットとして前記ワークピースに向けられる方法請求項129に記載の方法。
【請求項142】
該レーザービームが600W未満のパワーを有する、請求項129に記載の方法。
【請求項143】
該レーザービームが275W未満のパワーを有する、請求項129に記載の方法。
【請求項144】
該レーザービームが750W未満のパワーを有する、請求項129に記載の方法。
【請求項145】
該レーザービームが150Wから約750Wの範囲のパワーを有する、請求項129に記載の方法。
【請求項146】
該レーザービームが約200Wから約1,500Wの範囲のパワーを有する、請求項129に記載の方法。
【請求項147】
該レーザービームが、約50μmから約250μmのスポットサイズを有する集光スポットとして該ワークピースに向けられる、請求項129に記載の方法。
【請求項148】
該レーザービームが約405nmから約500nmまでの波長を有する、請求項129に記載の方法。
【請求項149】
該溶接部はスパッタなしで形成される、請求項129に記載の方法。
【請求項150】
該レーザービームが該ワークピースを蒸発させない、請求項129に記載の方法。
【請求項151】
アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって、
a.アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウム材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;
b.380nmから850nmの範囲内の波長を有するレーザービームを該ワークピースに向け、それにより、該アルミニウムベース材料の第1ピースと該アルミニウムベース材料の第2ピースとの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、
c.該HAZの硬度範囲が該アルミニウムベース材料の硬度範囲内にあるようにした、方法。
【請求項152】
約500ミクロン未満の粒径を有するアルミニウムダストが形成されない、請求項101乃至150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
500ミクロン未満の粒子サイズを有するアルミニウムダストが形成されない、請求項101乃至150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
約420ミクロン未満の粒径を有するアルミニウムダストが形成されない、請求項101乃至150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
420ミクロン未満の粒径を有するアルミニウムダストが形成されない、請求項101乃至150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
アルミニウムダストの形成が、NFPA-484(2019年改訂)によって設定された制限内またはそれ以下である、請求項101乃至150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
生成される空中浮遊アルミニウムダストの量が爆発レベル未満である、請求項101乃至150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
少量の空中浮遊アルミニウムダストが生成され、その量が、100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、1mg未満、0.1mg未満、0.001mg未満、約50g~約1g、約1g~約50mg、約70mgから20mg、約1mgから約0.1mgからなる群から選択された量とされ;該アルミニウムダストは、アルミニウム、酸化アルミニウム、および水酸化アルミニウムのうちの1つまたは複数を含む、請求項101乃至150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
1mmの長さの溶接部の形成中に少量の空中浮遊アルミニウムダストが生成され、その量が100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、および1mg未満、0.1mg未満、0.001mg未満、約50gから約1g、約1gから約50mg、約70mgから20mg、および約1mgから約0.1mgからなる群から選択された量とされ;該アルミニウムダストは、アルミニウム、酸化アルミニウム、および水酸化アルミニウムのうちの1つまたは複数を含む、請求項101乃至150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
該溶接部を成形している間、少量の空中浮遊アルミニウムダストが生成され、その量が100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、1mg未満、0.1mg未満、0.001mg未満、約50g~約1g、約1g~約50mg、約70mg~20mg、および約1mg~約0.1mからなる群から選択される量とされ;該アルミニウムダストは、アルミニウム、酸化アルミニウム、および水酸化アルミニウムのうちの1つまたは複数を含む。請求項101乃至150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
溶接部を成形するための時間が、少なくとも10秒、10~1000秒、1000秒超、10000秒超、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも10時間、10秒~100時間からなる群から選択される、請求項160に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料のレーザー加工、特に、約350nmから約850nm及びそれ以上の波長を有するレーザービームを使用した金属材料のレーザー接合に関する。本発明は、赤外線溶接技術によって形成される有害な微粒子などの有害物質の形成を緩和、低減、除去するものである。
【背景技術】
【0002】
金属、例えばアルミニウムのIR溶接、超音波溶接及び抵抗溶接は、有害な粒子を含む有害物質を生成する可能性がある。これらの有害な副産物の生成は、特に、溶接形成不良、溶接品質不良、及びこれらの方法による溶接工程一般によって引き起こされる。これらの危険の1つは、アルミニウム粉(パウダー)、例えば、金属アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムの生成である。このようなアルミニウム粉の危険性は、溶接や溶着のニーズが高まるにつれて、ますます懸念されるようになってきた。例えば、このようなニーズとその結果生じる有害物質の生成の問題がある1つの市場は、成長する電気自動車市場向けの高性能電子機器の分野である。このような有害物質の形成を低減し、好ましくは緩和し、より好ましくは除去する溶接技術が、一般に必要とされ、特に、例えば、成長する自動車市場用の高性能電池及び電子機器を、経済的にその溶接仕様を満たすための速度及び性能を維持しながら製造するために必要とされている。
【0003】
1030nmのIRレーザー源を使用する場合、この波長における金属、例えばアルミニウムや銅の高い反射率は、レーザーからのそれら材料に対するパワーの結合を困難にし、それら材料を加熱し溶接することを困難にする。この結合の難しさは、例えば、アルミニウム(8%)、銅(5%)など、1000nm以上の波長では室温での吸収率が低く、金属に効率よくパワーを結合できないことに起因している。パワーが金属に結合し始め、金属が加熱され始めると、赤外線の吸収が急速に増大し、気化や粒子の発生に直接つながる暴走プロセスが発生する。
【0004】
高反射率を克服する1つの方法は、ハイパワーレベル(>1kW)のIRレーザーを使用してキーホール溶接を開始し、それによってパワーを材料に結合することである。この溶接方法の問題点は、とりわけ、キーホール内の蒸気が微小爆発を引き起こし、溶接される部品全体に溶融アルミニウムを噴霧したり、その微小爆発によって溶接される部品を完全に貫通する穴を開けたりする可能性があることである。その結果、研究者は、溶接中のこれらの欠陥を防ぐために、レーザーパワーを急速に変調することに頼らざるを得ない。これらの欠陥は、レーザーで金属を溶接しようしたときにレーザーは金属を最初に融点まで加熱して次に急速に金属を気化し始めるというプロセス自体の直接的結果であることが分かっている。金属が気化してキーホールが形成され、レーザー結合が最初の5%から100%にまで急速に上昇すると、それが非常に急速に生じるため、結合される熱量が部品の溶接に必要な熱量を急速に超え、結果として上述した微小爆発になる。
【0005】
IR溶接プロセスによって引き起こされるこれらの微小爆発およびスパッタリングは、金属粉(ダスト)を発生させる。金属粉は、健康上の問題、可燃性、爆発性のリスク、及びこれらの組み合わせとバリエーション、及び他の有害な影響を呈する可能性がある。例えば、アルミニウム粉は、金属アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどの小さな(例えば、ミクロンおよびサブミクロンサイズの)アルミニウムベースの粒子である。アルミニウムの粉塵を吸入すると、金属熱や肺線維症などの健康障害を引き起こす可能性がある。また、アルミニウム粉は可燃性固体であり、火災の危険性がある。約500ミクロンより小さい粒子径を持つアルミニウム粉が存在すると、爆発の危険性がある。
【0006】
加工作業中、アルミニウムの微粉は、研削、鋸引き、切断、サンディング、IRレーザー溶接又はスクラッチブラシなどによって発生することがあり、それらの少なくとも一部は、潜在的に爆発可能であるほど微細である。このような粒子を表現するために、「ダスト(粉塵)」または「パウダー(粉)」という用語が頻繁に使用される。寸法を特定することは難しいが、すべての粒子が500ミクロンより大きければ、おそらく爆発は持続しない。しかし、この物質が可燃性固体であることに変わりはない。しかし、より粗いものと細かいものが混在して発生する可能性が高く、420ミクロン(40メッシュ)またはそれより細かいものであれば、爆発する可能性がある。細かい粒子は発火点に達すると容易に燃え、粗い粒子にも引火する傾向がある。アルミニウムの場合、粒子が粉塵として空気中に浮遊している状態で着火すると、粒子から粒子へと猛烈な勢いで燃焼が広がるため、爆発が起こる可能性がある。
【0007】
現在の赤外線レーザー方法及びシステムによる金属、例えばアルミニウムのレーザー溶接は、金属の高い反射率のために、困難であり、問題を有する。赤外線レーザーでのこの問題を克服する試みは、制御できないスパッタと予測できない溶接部の変動、金属粉、例えばアルミニウムベースの粉の生成という問題を有する。アルミニウム粉生成の危険性を管理するためには、大規模で複雑、かつ高価な空気処理と管理システムが必要とされる。アルミニウムを主成分とする粉体を作業者から遠ざけることができるが、作業者は危険な可燃性粉体の取り扱いと廃棄をしなければならない。したがって、そのような危険な副産物粉、例えばアルミニウム粉の形成を減少させ、好ましくは緩和し、より好ましくは除去するという重要な、従来からの必要性がある。
【0008】
より難しいアルミニウム溶接プロセスの1つは、アルミニウム箔の積層体(重ねられたアルミニウム箔)を相互に溶接して、より厚いバスバーにする方法である。今日、これはIRレーザーでは信頼性をもって行うことはできず、または製造業者が必要とする溶接品質をもって行うことはできない。このため、製造業者はこれらの箔を一緒に結合するためには超音波溶接法に依存してきた。これらの超音波法も最適とは言えず、問題がある。たとえば、超音波溶接法では、ソノトロードが製造中に摩耗する可能性があり、それにより不完全溶接からデブリス(アルミニウム粉)が残ってしまう溶接まで、プロセスにばらつきが生じる。これらの欠陥は、製造歩留まりを制限し、バッテリーの内部抵抗を制限し、結果として生じるバッテリーのエネルギー密度を制限し、そして多くの場合、バッテリーの信頼性を制限する。更に、これらのプロセスはアルミニウムベースの粉などの有害金属粉を生じる。
【0009】
「アルミニウムベース」という用語は、特に明記しない限り、可能な限り広い意味を与えられるべきであり、アルミニウム、6061アルミニウム、1100アルミニウム、1,100~7000シリーズのアルミニウム、アルミニウム金属、アルミニウムで電気めっきされた材料、少なくとも約10%重量から100重量%のアルミニウムを含む金属材料、少なくとも約10重量%から100重量%のアルミニウムを含む金属および合金、少なくとも約20重量%から100重量%のアルミニウムを含む金属および合金、少なくとも約10重量%から100重量%のアルミニウムを含む金属および合金、少なくとも約50重量%から100重量%のアルミニウムを含む金属および合金、少なくとも約70重量%から100重量%のアルミニウムを含む金属および合金、および少なくとも約90重量%から100重量%のアルミニウムを含む金属および合金を含む。
【0010】
「レーザー加工」、「材料のレーザー加工」という用語、および同様のそのような用語は、特に明記しない限り、可能な限り広い意味を与えられるべきであり、溶接、はんだ付け、製錬、接合、焼きなまし、軟化、粘着付与、リサーフェシング、ピーニング、熱処理、融着、シーリング、スタッキングを含む。
【0011】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「UV」、「紫外線」、「UVスペクトル」、および「スペクトルのUV部分」および同様の用語は、それらの最も広い意味を与えられるべきであり、約10nmから約400nm、および10nmから400nmの波長の光を含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「可視」、「可視スペクトル」、および「スペクトルの可視部分」という用語および同様の用語は、それらの最も広い意味を与えられるべきであり、約380nmから約750nm、および400nmから700nmの波長の光を含む。
【0013】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「青色レーザービーム」、「青色レーザー」および「青色」という用語は、それらの最も広い意味を与えられるべきであり、概ね、レーザービームを提供するシステム、レーザービーム、約400nmから約500nmの波長を有するレーザービームまたは光を提供、例えば伝播させる例えばレーザーおよびダイオードレーザーなどのレーザー光源を指す。典型的な青色レーザーの波長は405~495nmおよび約405~495nmの範囲である。青色レーザーは、450nm、約450nm、460nm、約460nm、約470nmの波長を含む。青色レーザーは、約10pm(ピコメートル)から約10nm、約5nm、約10nm、約20nm、およびより大きな値とより小さな値の帯域幅を有する。
【0014】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「緑色レーザービーム」、「緑色レーザー」および「緑色」という用語は、それらの最も広い意味を与えられるべきであり、一般に、レーザービームを提供するシステム、レーザービーム、約500nmから約575nmの波長を有するレーザービームまたは光を提供、例えば伝播させるレーザーおよびダイオードレーザーなどのレーザー光源を指す。緑色レーザーは、515nm、約515nm、532nm、約532nm、550nm、および約550nmの波長を含む。緑色レーザーは、約10pmから10nm、約5nm、約10nm、および約20nm、およびより大きな値とより小さな値の帯域幅を有する。
【0015】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「少なくとも」、「より大きい」などの用語は、「以上」も意味し、すなわち、そのような用語は、特に明記しない限り、より低い値を除外する。
【0016】
本明細書で使用される「金属間化合物」という用語は、明示的に別段の定めがない限り、その最も広い意味を与えられるべきであり、2種以上の金属元素の間で秩序ある固体化合物を形成するすべてのタイプの金属合金を含む。金属間化合物は一般的に硬くて脆い。金属間化合物という用語は、化学量論的金属間化合物および非化学量論的金属間化合物を含む、金属間化合物のすべての分類を含む。
【0017】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、値の範囲、約「x」から約「y」までの範囲、および同様のそのような用語および定量化は、その範囲内の別個の値を個別に参照するのを省略する単なる方法である。したがって、それらには、その範囲内にある各アイテム、機能、値、量、または数量が含まれる。本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、範囲内のすべての個々の点は、本明細書に組み込まれ、本明細書で個別に記載されているかのように本明細書の一部をなす。
【0018】
本明細書においては、特に明記しない限り、室温は25℃である。また、標準温度・標準圧力は25℃、1気圧である。特に明記されていない限り、すべての試験、試験結果、物理的特性、および温度依存の値、圧力依存の値、あるいはその両方の値は、標準温度と標準圧力で提供される。
【0019】
概括的には、本明細書で使用される「約」という用語および記号「~」は、特に明記しない限り、±10%の分散または範囲、記載された値の取得に関連する実験または機器の誤差、および、好ましくはこれらのうち大きい方を包含する。
【0020】
本発明のこの背景技術の記載は、本発明の実施形態に関連し得る当技術分野の様々な態様を紹介することを意図している。したがって、この記載での上記記載は、本発明をよりよく理解するためのフレームワークを提供し、先行技術の承認と見なされるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
金属の溶接、特に、金属粉や他の有害物質を生じることなく電子部品や電池用のアルミニウム金属を溶接することに対する、長年にわたる、増大し、満たされていないニーズがあった。これらのニーズに含まれるものとして、アルミニウムをそれ自体および他の金属に溶接するための改良された方法がある。また、アルミニウムベースの粉末および危険なものを生じることなく、アルミニウム箔のスタックおよびそのスタックを厚いアルミニウムまたはアルミニウム部品または銅部品に溶接することを含む。本発明は、とりわけ、本明細書に教示され開示される製造品、装置およびプロセスを提供することによって、これらのニーズを解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
すなわち、アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウムベース材料の第2ピースに接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;このワークピースに青色レーザービームを向け、それによって、アルミニウムベース材料の第1ピースとアルミニウムベース材料の第2ピースの間に溶接部を形成することと;を含み、最小限のアルミニウムベースの粉末だけが生じ、好ましくはアルミニウムベースの粉末が全く生じないようにする、アルミニウムベース材料に高品質の溶接を形成する方法及びシステムが提供される。
【0023】
アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウムベース材料の第2ピースに接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;このワークピースに緑色レーザービームを向け、それによって、アルミニウムベース材料の第1ピースとアルミニウムベース材料の第2ピースの間に溶接部を形成することと;を含み、最小限のアルミニウムベースの粉末だけが生じ、好ましくはアルミニウムベースの粉末が全く生じないようにする、アルミニウムベース材料に高品質の溶接を形成する方法及びシステムが提供される。
【0024】
また、アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウムベース材料の第2ピースに接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;このワークピースに青緑色レーザービームを向け、それによって、アルミニウムベース材料の第1ピースとアルミニウムベース材料の第2ピースの間に溶接部を形成することと;を含み、最小限のアルミニウムベースの粉末だけが生じ、好ましくはアルミニウムベースの粉末が全く生じないようにする、アルミニウムベース材料に高品質の溶接を形成する方法及びシステムが提供される。
【0025】
また、溶接部がHAZおよび再凝固領域を含み、アルミニウム、HAZ、及び再凝固領域の微細構造が同一であるようにされる、アルミニウム溶接の溶接部、システム及び方法が提供される。
【0026】
以下の特徴のうちの1つまたは複数を有するこれらの溶接部、システム、および方法がさらに提供される。すなわち、溶接部は伝導モード溶接によって形成される;溶接部はキーホールモード溶接によって形成される;第1および第2ピースは、約10μmから約500μmの厚さを有する;第1ピースは、アルミニウム箔の複数の層を含む;第1ピースはアルミニウム金属である;第1ピースは、約10から約95重量パーセントのアルミニウムを有するアルミニウム合金である;レーザービームは、パワー密度が800kW/cm未満である集光スポットとしてワークピースに向けられる;レーザービームは、500kW/cm未満のパワー密度を有する集光スポットとしてワークピースに向けられる;レーザービームは、約100kW/cmから約800kW/cmのパワー密度を有する集光スポットとしてワークピースに向けられる;レーザービームは、パワー密度が100kW/cmを超える集光スポットとしてワークピースに向けられる;レーザービームは500W未満のパワーを有する;レーザービームは275W未満のパワーを有する;レーザービームは150W未満のパワーを有する;レーザービームは、150Wから約750Wの範囲のパワーを有する;レーザービームは、約200Wから約1500Wの範囲のパワーを有する;レーザービームは約500Wから約5kWの範囲のパワーを有する;レーザービームは、約50μmから約500μmのスポットサイズを有する集光スポットとしてワークピースに向けられる;レーザービームは、約405nmから約500nmの波長を有する;レーザービームは、約380nmから約500nmの波長を有する;溶接部がスパッタ無しで形成される;レーザーはワークピースを蒸発させない。
【0027】
さらに、405nmから500nmの波長範囲を有する青色レーザーを用いたアルミニウムの溶接、およびこの溶接によって形成される溶接部および製品が提供される。
【0028】
波長380nmから575nmの範囲のレーザーを用いたアルミニウムの溶接と、この溶接によって生成される溶接部および製品を提供する。
【0029】
波長500nmから575nmの範囲のレーザーを用いたアルミニウムの溶接と、この溶接により生成される溶接部および製品を提供する。
【0030】
さらに、505nmから600nmの波長範囲のレーザーによるアルミニウムの溶接と、この溶接によって生成される溶接部および製品が提供される。
【0031】
380nmから850nm波長範囲のレーザーによるアルミニウムの溶接と、この溶接により生成される溶接部および製品が提供される。
【0032】
さらに、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むこれらの溶接部、方法、およびシステムが提供される。すなわち、伝導モードでアルミニウムを溶接する;溶接プロセス中に溶融池の気化なしに伝導モードでアルミニウムを溶接する;アルミニウムを伝導モードで溶接して、母材と同様のサイズの結晶成長領域を備えた、母材と同様の微細構造を形成する;伝導モードのようにアルミニウムを溶接して、熱影響部(HAZ)内に母材と同様の微細構造を形成する;アルミニウムを伝導モードで溶接して、溶接ビード内に母材と同様の微細構造を形成する;伝導モードでアルミニウムを溶接して熱影響部内に母材と同様の硬度を生成する;アルミニウムを伝導モードで溶接して、溶接ビード内に母材と同様の硬度を生成する;アルミニウムを溶接して溶接部の微細構造が母材とは異なるものとする;アルミニウムを溶接してHAZ内の微細構造が母材に類似したものとする。
【0033】
さらに、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むこれらの溶接部、方法、およびシステムが提供される。すなわち、キーホールモードでアルミニウムを溶接する;キーホールモードでアルミニウムを溶接し、溶接中に非常に低いスパッタが発生し、溶接後にアルミニウムの表面にスパッタがほとんど又は全くないようにする;パワー密度が500kW/cm以上で、キーホールを開いたままにすることができる溶接速度でアルミニウムを溶接する;400kW/cm以上のパワー密度で、キーホールを開いたままにすることができる溶接速度でアルミニウムを溶接する;100kW/cm以上のパワー密度で、溶接速度がキーホール溶接方式への移行を防ぐのに十分な速さでアルミニウムを溶接する;溶接中の溶け込み深さを改善するために予加熱してアルミニウムを溶接する;Ar-COアシストガスを伴ってアルミニウムを溶接する;Ar-Hアシストガスを伴ってアルミニウムを溶接する;Arアシストガスを伴ってアルミニウムを溶接する;空気を伴ってアルミニウムを溶接する;Heアシストガスを伴ってアルミニウムを溶接する;Nアシストガスを伴ってアルミニウムを溶接する;アシストガスを伴ってアルミニウムを溶接する。
【0034】
さらに、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むこれらの溶接部、方法、およびシステムが提供される。すなわち、レーザーパワーが1Hzから1kHzに変調される;レーザーパワーが1kHzから50kHzに変調される;細長い青色レーザースポットを使用してキーホールを開いたままにする;ロボットを使用して、スポットを迅速に円形運動、振動運動、または長方形振動運動で移動させる;ガルバノメーターに取り付けられたミラーを使用して、溶接方向と平行にスポットを振動させる;ガルバノメーターに取り付けられたミラーを使用して、溶接方向に対して垂直にスポットを振動させる;一対のガルバノメーターに取り付けられた一対のミラーを使用して、スポットを迅速に円形運動、振動運動、または長方形の振動運動で移動させる。
【0035】
さらに、アルミニウムベース材料にキーホール溶接を形成する方法が提供され、その方法は、アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウムベース材料の第2ピースに接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;青色レーザービームをワークピースに向け、それによって、アルミニウムベース材料の第1ピースとアルミニウムベース材料の第2ピースとの間に、HAZ及び再凝固領域を含むキーホールモード溶接部を形成することと、を含む。
【0036】
さらに、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むこれらの溶接部、方法、およびシステムが提供される。すなわち、キーホール溶接のレーザーパワーが1000W未満である;キーホール溶接のレーザーパワーが500W未満である;キーホール溶接のレーザーパワーが300W未満である;キーホールからのスパッタを抑制するためにレーザービームを伸ばす;キーホールからのスパッタを抑制するためにレーザーパワーを変調する;溶接のキーホールモード中のスパッタを抑制するためにビームを迅速にスキャンする;溶接が自動または手動で開始された後、レーザーパワーを急速に低下させる;溶接プロセス中に閉じ込められるガスとスパッタを減らすために低い大気圧を使用する;シールドガスを適用する;He、Ar、Nからなる群から選択されるシールドガスを適用する;Ar-H、N、N-Hからなる群から選択されるシールドガス混合物を適用する;シールドガスを適用し、シールドガスに水素を添加して酸化物層を除去し、溶接部の濡れを促進する。
【0037】
とりわけスポットサイズを制御し、波長とカップリングを最適化することによって、レーザーパワーは、500Wから1000W以上、約1kW、約2kW、約3kW、500Wから2kW、および1kWから5kWとすることができ、良好な溶接速度、例えば経済的に許容できる速度で減少したスパッタ溶接、好ましくはスパッタフリー溶接を得ることができる。
【0038】
アルミニウムを溶接するために青色、青緑色、および緑色レーザーを使用するこれらの溶接方法およびシステムにおいて、溶接プロセスの間に、100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、および1mg未満、0.1mg未満、0.001mg未満、約50g~約1g、約1g~約50mg、約70mg~約20mg、約1mg~約0.1mg、より少ない量の、アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムを含むアルミニウムベース粉が生じる。
【0039】
アルミニウムを溶接するために青、青緑、および緑レーザーを使用するこれらの方法およびシステムにおいて、1mm長の溶接部の形成中に、100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、および1mg未満、0.1mg未満、0.001mg未満、約50g~約1g、約1g~約50mg、約70mg~約20mg、約1mg~約0.1mg、より少ない量の、アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムを含むアルミニウムベース粉が生じる。
【0040】
アルミニウムを溶接するために青色、青緑色、および緑色レーザーを使用するこれらの方法およびシステムにおいて、溶接の10秒間に、100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、および1mg未満、0.1mg未満、0.001mg未満、約50g~約1g、約1g~約50mg、約70mg~約20mg、約1mg~約0.1mg、より少ない量の、アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムを含むアルミニウムベース粉が生じる。
【0041】
アルミニウムを溶接するために青色、青緑色、および緑色レーザーを使用するこれらの方法およびシステムにおいて、溶接の100秒の間に、100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、および1mg未満、0.1mg未満、0.001mg未満、約50g~約1g、約1g~約50mg、約70mg~約20mg、約1mg~約0.1mg、より少ない量の、アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムを含むアルミニウムベース粉が生じる。
【0042】
アルミニウムを溶接するために青色、青緑色及び緑色レーザーを使用するこれらの方法及びシステムにおいて、溶接の1,000秒の間に、100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、1mg未満、0.1mg未満、0.001mg未満、約50g~約1g、約1g~約50mg、約70mg~約20mg、約1mg~約0.1mg、より少ない量の、アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどのアルミニウムベース粉が生じる。
【0043】
さらに、アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって:アルミニウムベース材料の第1ピースを銅ベース材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;ワークピースに青レーザービームを向け、それによってアルミニウムベース材料の第1ピースと銅ベース材料の第2ピースとの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、アルミニウム-銅界面の微細構造は最小限の金属間化合物を示すようにする、方法が提供される。
【0044】
さらに、アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって:アルミニウムベース材料の第1ピースを鋼材の第2ピースに接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;ワークピースに青色レーザービームを向け、それによってアルミニウムベース材料の第1ピースと銅ベースの材料の第2ピースの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、アルミニウム-銅界面のミクロ構造が最低限の金属間化合物を示すようにする、方法が提供される。
【0045】
さらに、アルミニウムベース材料に溶接を形成する方法であって:銅ベースの材料の第1ピースをアルミニウムベース材料の第2ピースに接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;青色レーザービームをワークピースに向け、それによって銅ベースの材料の第1ピースとアルミニウムベース材料の第2ピースの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、アルミニウム-銅界面のミクロ構造が最小の金属間化合物を示すようにする、方法が提供される。
【0046】
さらに、アルミニウムベース材料に溶接を形成する方法であって:スチールベースの第1ピースをアルミニウム材料の第2ピースに接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;ワークピースに青色レーザービームを向け、それによって、スチールベース材料の第1ピースとアルミニウムベース材料の第2ピースの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、アルミニウム-スチール界面のミクロ構造が最小金属間化合物を示すようにする、方法が提供される。
【0047】
さらに、アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって:アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウムベース材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;ワークピースに青色のレーザービームを向け、それによってアルミニウムベース材料の第1ピースとアルミニウムベース材料の第2ピースの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、アルミニウムベース材料、HAZ、および再凝固領域の微細構造が同一であるようにする、方法が提供される。
【0048】
さらに、アルミニウムベース材料に溶接を形成する方法であって:アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウムベース材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;ワークピースに青色レーザービームを向け、それによってアルミニウムベース材料の第1ピースとアルミニウムベース材料の第2ピースの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、このアルミニウムベース材料、HAZ、及び再凝固領域の微細構造が同一であるようにする、方法が提供される。
【0049】
さらに追加的に、これらの方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を有することができる:同一の微細構造は、溶接部の脆弱性を示すような識別可能な差を示さない;同一の微細構造は、同様のサイズの結晶成長領域を含む;溶接部は、伝導モード溶接によって形成される;第1および第2ピースは、約10μmから約1000μmの厚さを有する;第1ピースは、アルミニウム箔の複数の層からなる;第1ピースがアルミニウム金属である;第1ピースが約10~約95重量%のアルミニウムを有するアルミニウム合金である;レーザービームが、パワー密度が800kW/cm未満である集光スポットとしてワークピースに向けられる;レーザービームが、パワー密度が500kW/cm未満である集光スポットとしてワークピースに向けられる;レーザービームが、約100kW/cm~約800kW/cmのパワー密度を有する集光スポットとしてワークピースに向けられる;レーザービームが、約800kW/cmから約5MW/cmのパワー密度を有する集光スポットとしてワークピースに向けられる;レーザービームが、パワー密度が100kW/cmより大きい集光スポットとしてワークピースに向けられる;レーザービームが500W未満のパワーを有する;レーザービームが275W未満のパワーを有する;レーザービームが750W未満のパワーを有する;レーザービームが150W~約750Wの範囲のパワーを有する;レーザービームが約200W~約1,500Wの範囲のパワーを有する;レーザービームが約50μm~約250μmのスポットサイズを有する集光スポットとしてワークピースに向けられる;レーザービームが約405nm~約500nmの波長を有する;溶接部がスパッタフリーである;レーザーがワークピースを気化しない。
【0050】
さらに、アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって:アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウム材料の第2ピースに接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;ワークピースに青色レーザービームを向け、それによって、アルミニウムベース材料の第1ピースとアルミニウムベース材料の第2ピースの間に、HAZと再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、HAZの硬度の範囲がアルミニウムベース材料の硬度範囲内にあるようにされた、方法が提供される。
【0051】
さらに、アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって:アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウム材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;389nm~850nmの範囲の波長を有するレーザービームをワークピースに向け、それによって、アルミニウムベース材料の第1ピースとアルミニウムベース材料の第2ピースの間に、HAZと再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、アルミニウムベース材料、HAZ、および再凝固領域の微細構造が同一であるようにする、方法が提供される。
【0052】
さらに追加的に、アルミニウムベース材料に溶接部を形成する方法であって:アルミニウムベース材料の第1ピースをアルミニウム材料の第2ピースと接触させて配置してなるワークピースをレーザーシステム内に配置することと;380nm~850nmの範囲の波長を有するレーザービームをワークピースに向け、それによって、アルミニウムベース材料の第1ピースとアルミニウムベース材料の第2ピースの間に、HAZおよび再凝固領域を含む溶接部を形成することと;を含み、HAZの硬度の範囲がアルミニウムベース材料の硬度の範囲内であるようにする、方法が提供される。
【0053】
さらに追加的に、これらの方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を有することができる:約500ミクロン未満の粒子サイズを有するアルミニウムダストが形成されない;約500ミクロン未満の粒子サイズを有するアルミニウムダストが形成されない;約420ミクロン未満の粒子サイズを有するアルミニウムダストが形成されない;アルミニウムダストのいかなる形成もNFPA-484(2019年改訂版)によって定められた限界値以内またはそれ以下である;生成される空中浮遊アルミニウムダストの量が爆発レベル未満である;少量の空中浮遊アルミニウムダストが生成され、その量は、100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、および1mg未満、0.1mg、0.001mg未満、約50g~約1g、約1g~約50mg、約70mg~約20mg、約1mg~約0.1mgの群から選択される;アルミニウムダストが、アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムのうちの1つ以上を含む;1mm長の溶接部の形成中に、少量の空中浮遊アルミニウムダストが生成され、その量は、100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、および1mg未満0.1mg、0.001mg未満、約50g~約1g、約1g~約50mg、約70mg~約20mg、および約1mg~約0.1mgからなる群から選択される;アルミニウムダストがアルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムのうちの1つ以上を含む;溶接を予備的に行う時間の間に、少量の空中浮遊アルミニウムダストが生成され、その量は100g未満、50g未満、20g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、および1mg未満、0.1mg未満、約50g~約1g未満、約1g~約50mg未満、約70mg~約20mg未満、約1mg~約0.001mg未満からなる群から選択される;アルミニウムダストが、アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムのうちの1つ以上を含む;溶接を行うための時間が、少なくとも10秒、10~1000秒、1000秒以上、10000秒以上、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも10時間、および10秒から100時間からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明に係るアルミニウムシートの重ね溶接の一実施形態の上面の写真である。
【0055】
図2図1の溶接部の下面の写真である。
【0056】
図3図1の溶接部の断面の写真である。
【0057】
図4】本発明に係るアルミニウムシートの突合せ溶接の一実施形態の上面の写真である。
【0058】
図5図4の溶接部の下面を撮影した写真である。
【0059】
図6図4の溶接部の断面の写真である。
【0060】
図7】本発明によるアルミニウム角形セルとパウチセル電池のリード線の溶接の一実施形態を示す写真である。
【0061】
図8図7の溶接部の断面の拡大写真であり、注釈付き写真である。
【0062】
図8A図8の断面の拡大写真である。
【0063】
図9】様々な金属の吸収曲線であり、IRレーザーと可視レーザーとの間の吸収の違いを示している。
【0064】
図10】本発明による材料への伝導モード溶接伝播の実施形態の概略図である。
【0065】
図11】本発明による材料へのキーホール溶接伝播の実施形態の概略図である。
【0066】
図12】本発明によるレーザー溶接用の部品保持具の一実施形態の斜視図である
【0067】
図12A図12の部品保持具の断面図である。
【0068】
図13】本発明による重ね溶接を行うために薄い部品を保持するための部品保持具の実施形態の斜視図である。
【0069】
図13A図13の部品保持具の断面図である。
【0070】
図14】本発明による実施形態に係るレーザー溶接方法の実施形態を実施するのに使用するための150ワット青色レーザーシステムの実施形態の概略図である。
【0071】
図15】本発明による300ワット青色レーザーシステムを作る2つの150ワット青色レーザーシステムを使用した実施形態の光線追跡の概略図である。
【0072】
図16】本発明による800ワット青色レーザーシステムを作る4つの150ワット青色レーザーシステムを使用した実施形態の光線追跡の概略図である。
【0073】
図17】本発明による溶け込み(μm)と速度m/分の関係を示す、アルミニウム1100(BOP)試験の実施形態のグラフである。
【0074】
図18】本発明による溶け込み(μm)と速度m/分の関係を示す、アルミニウム110の突合せ溶接試験の実施形態のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0075】
概括的には、本発明は、金属を溶接するためのレーザー、レーザービーム、システム及び方法に関し、他の溶接技術、特にIRレーザー溶接技術によって生成される有害な微粒子を含む有害物質の生成を緩和し、低減し、排除するものである。
【0076】
本発明の一実施形態において、レーザービームは、青、青緑、緑及び赤の波長を有し、他の溶接技術、特にIRレーザー溶接技術によって生成される有害な微粒子を含む有害物質の生成を緩和、低減、除去する。
【0077】
本発明の一実施形態において、レーザービームは、青、青緑、緑及び赤の波長を有し、アルミニウムベース材料を溶接し、他の溶接技術、特にIRレーザー溶接技術によって生成される有害なアルミニウム粉を含む有害物質の生成を緩和、低減及び除去するものである。
【0078】
本発明の一実施形態では、青色、緑青、緑色及び赤色レーザービームは、金属粉を生成するIR溶接工程によって生じる微小爆発及びスパッタリングを排除する(又は、アルミニウム粉の生成があったとしても最大安全量以下であり、火災の危険を引き起こさない点まで著しく排除する)。すなわち、本発明は、健康上の問題、可燃性、爆発性のリスク、およびこれらの組み合わせとバリエーション、およびその他の有害な影響をもたらす可能性のある金属ダストの形成を排除する。例えば、アルミニウムダストは、金属アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどの小さな(例えば、ミクロンおよびサブミクロンサイズの)アルミニウムベースの粒子である。アルミニウムダストを吸入すると、金属熱や肺線維症などの健康障害を引き起こす可能性がある。また、アルミニウムダストは可燃性固体であり、火災の危険性がある。密閉された場所にアルミニウムダストが存在すると、爆発のリスクと危険性が生じる可能性がある。
【0079】
本発明は、アルミニウムダストをほとんど含まないアルミニウムベース材料のレーザー溶接を提供する。すなわち、例えば、本発明は、濃度(mg/リットル(空気))が爆発レベル未満であるような、アルミニウムダストの形成の減少を提供する。空中浮遊アルミニウム粉および固体アルミニウム粉の両方は、米国、欧州および他の国々で規制されている。アルミニウム粉は非常に危険であり、可燃性固体であり、爆発性があり、爆発物の製造に使用される可能性がある。
【0080】
アルミニウムダストの規格は、全米防火協会(米国)により出されている。実施すべき試験は、NFPA 484(2019年改訂)“Standard for Combustible Metals”に概説されている。試験の結果、施設に対するNFPA 484の適用性が決定される。NFPA 484は、燃焼または爆発が可能な形態の金属を加工、取り扱い、または保管するあらゆる施設に適用される。ダストを生成する工程に何らかの変更が加えられた場合、最小爆発濃度および点火エネルギーを再決定するため、常に新しいサンプルを試験する必要がある。速度、合金、ワックスなどの表面コーティング、潤滑剤、または使用する研磨剤を変更すると、より微細なダストが発生し、その結果、潜在的な危険性が増加する可能性がある。
【0081】
好ましい実施形態では、青、青緑、緑及び赤の範囲の波長を使用する本発明のレーザー溶接技術は、アルミニウムダストの生成は、NFPA-484(2019年改訂)によって確立された閾値及び安全限界以下であり、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0082】
青、緑青、緑及び赤、波長に対してより大きなスポットサイズを使用すると、スパッタ及びアルミニウムダストの生成をさらに低減又は排除することができる。例えば、スポットサイズは、100μm以上、200μm以上、300μm以上、400μm以上、500μm以上、約300μm~約500μm、約100μm~約400μm、約10μm~約500μm、約400μm~約600μm、約50μm~約600μm、約500μm~約1μmが採用可能である。
【0083】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるように、電池を含む電子部品用の金属ベース材料に対して、金属粉をほとんど形成することなく、高品質の溶接部、高い溶接速度、およびその両方を提供する。一実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるように、電池を含む自動車電子部品用のアルミニウムベース材料に対して、金属粉の形成がほとんどない高品質の溶接部、高い溶接速度、およびその両方を提供する。
【0084】
本明細書では、アルミニウムベース材料の溶接とアルミニウム粉末の生成の回避に焦点を当てているが、本発明のレーザーシステム及び溶接技術は、金、銅、真鍮、銀、アルミニウム、ニッケル、ニッケルメッキ銅、ステンレス鋼及びこれらの合金などの他の金属の溶接に適用できる。
【0085】
本発明のレーザー技術、溶接プロセス、レーザービーム及びこれらの溶接プロセスを実行するためのシステムは、そのエミッタからのレーザービームが、例えば、空間的、スペクトル的、コヒーレント、ラマン及び偏光方法の組み合わせを用いることによって結合されることが可能である。米国特許公開番号2016/0322777、2018/0375296、2016/0067827及び2019/0273365、並びに米国特許出願シリアル番号16/695,090及び16/558,140(これらの各々の開示全体は、参照により本書に組み込まれる)に教示及び開示されているレーザービームを供給するシステム及び方法は、本発明を実行する際に使用することができる。
【0086】
本発明の一実施形態において、高パワー青色レーザー源(例えば、~450nm)は、伝導溶接モード及びキーホール溶接モードを含む多くの溶接技術において安定した溶接を提供する。このシステム及び方法は、蒸発、スパッタ、微小爆発、及びこれらの組み合わせとバリエーションを最小化、低減、及び好ましくは排除し、アルミニウムダストの形成を低減及び防止する工程を提供する。一実施形態において、~200μmのスポットサイズを有する150ワットから275ワットの範囲のパワーレベルでのアルミニウムの青色レーザー溶接は、本明細書に記載されるように、有害なアルミニウムダストの生成なしに、良好な溶接部を実現する。
【0087】
実施形態では、約300ワットから約500ワット、約500ワットから約1kW、750Wから1.5kW、1kWから2.5kW、1kW~5kW、250W~5kW、およびそれ以上のパワーで、スポットサイズを~100μm、~200μm、~300μm、~400μm、~500μm、~700μm、~1000μm、約100μm~約1000μm、約100μm~500μm、約200μm~750μm、約200μm~約400μm、約600μm~約800μm、約500μm~約1000μm、約700μmから約1,500μm、約1mm以上、約2mm、約3mm以上、および約4mm以上とし、有害なアルミニウムダスト、本明細書に記載のように有害物質の組み合わせとバリエーションなしに、経済的に実行可能な速度で、良好な溶接を達成する、アルミニウムの青色レーザー溶接を行う。
【0088】
好ましくは、実施形態では、レーザー波長は、350nmから500nmの波長で、スポットサイズ(直径、または断面)は、100ミクロン(μm)から3mmの範囲とすることができ、より大きなスポットサイズもまた企図される。スポットは、円形、楕円形、線形、四角形、またはその他のパターンにすることができる。好ましくは、レーザービームは連続的である。実施形態では、レーザービームは、例えば約1マイクロ秒以上のパルスとすることができる。これにより、本明細書に記載されるような有害なアルミニウムダストの生成なしに、アルミニウムベース材料に良好な溶接部を作る。
【0089】
焦点と、焦点位置と、アルミニウム材料へのレーザービームの浸透の深さは、さらに、スパッタとアルミニウムダストの生成を減少させ排除する能力を提供する。典型的には、レーザービームの浸透が深く、焦点が深いほど、スパッタ及びダストの減少及び除去が大きくなる。
【0090】
図1から図3には、500Wのレーザーパワーを30mm/秒で使用した200μm/200μmのアルミニウムシートの重ね溶接の写真が示されている。アルゴン処理ガスは50cfhで利用される。0.4秒の滞留時間は、このレーザーが酸化膜を切断し、材料の長さ方向で直線経路に沿って伝搬するのに適した溶融池を形成するのに十分な時間を提供する。図1は、上面を示している。図2は、下面を示している。図3は、溶接部の断面を示している。エッチング液は、アルミニウムの結晶構造を明らかにしないが、溶接部分と非溶接部分の間には目に見える差異はほとんど見られない。HAZはほとんど存在しない。酸化はほとんど、あるいは全く存在しない。
【0091】
図4から図6には、130mm/秒で500Wのレーザーパワーを利用した、200μm/200μmのアルミニウムシートの突き合わせ溶接の写真が示されている。レーザーは、レーザー中心波長が10~20nmのレーザーの帯域幅を有する450nm±10nmのレーザービームを提供した。アルゴン処理ガスは、50cfhで利用される。レーザーパワーが溶接シームに容易に伝播し、両側の材料を加熱し、材料間のシームに沿って伝播するのに適した溶融池を生成するので、滞留時間は不要である。図4は、きれいで均一な溶接部の上面を示す。溶接部の両側の溶融した領域と、それらをつなぐ溶融凝固した金属の滑らかな領域がはっきりと観察できる。図5は、下面である。ここでも、溶接部は3つに分かれている。両側の等間隔のシェブロンパターンと、それらをつなぐ小さなやや粗いパッチがある。図6は、溶接部の断面を示したものである。エッチング液はアルミニウムの結晶構造を明らかにしないが、溶接部分と非溶接部分の目に見える差異はほとんどない。溶接により加熱され、引き寄せられるように金属が曲げられる。HAZはほとんど存在しない。酸化はほとんど、あるいは全く存在しない。
【0092】
図7図8及び図8aには、本発明のレーザー溶接技術を使用してプリズムセル及びパウチセル電池のリード線をレーザー溶接している写真が示されている。レーザーは、レーザーの中心波長を有するレーザービームを提供し、10~20nmのレーザーの帯域幅を有する450nm±10nmとすることができる。図7図8、および図8Aは、1mmのアルミニウムタブに12μmアルミニウムの41層の溶接を示す。1000Wのパワーは、800~2000mm/minの範囲の速度で3パスプロセスで使用される。最初のドウェル(滞留)は、最初のパスの間に箔をタブに融合させるのに十分な大きさの溶融池を最初に形成するために利用される。ある実施形態では、レーザー加熱をより大きな領域に広げるために、レーザーは焦点を外して移動される。レーザーは、箔の縁に沿って、箔の縁の外側、中心、または内側にオフセットして移動される。次のパスでは、レーザービームを箔スタックの内側または上にさらに移動させるのが一般的である。レーザーの焦点位置は、最高の特性で最も再現性の高い溶接を行うために適宜調整される。通常、この工程では、ほとんど酸化は発生しない。
【0093】
プロセスの実施形態は、箔の厚いスタック(積み重ね)を重ねあわせる溶接を含む。このプロセスでは、より長いドウェル(滞留)が使用され得る。小さな円形又は楕円形のパターンを使用して、スタック厚さを完全に貫通させることができる。溶接の溶け込みを維持するために、小さな往復運動をすることができる。溶接の溶け込みを維持するために、小さな楕円形やその他のパターンを使用することができる。箔層の切断量を制限するために、金属薄片で箔を覆うようにすることができる。
【0094】
本発明の実施形態は、アルミニウム材料への効率的な熱伝達率;安定した溶接溜り;および伝導モード溶接またはキーホールモード溶接のいずれかにおいて特にこれらの利点を有すること;を含む利益を達成するために可視レーザーシステムを使用する、アルミニウムとアルミニウム、アルミニウムと他の材料、およびこれらの組み合わせの溶接方法、装置、およびシステムに関する。アルミニウムは、図9に示すように、青色波長領域において吸収性(20%)がある。本発明のレーザービームシステム及び方法は、レーザースポットから熱が伝導されるよりも速く母材(溶接される材料、例えば、アルミニウム)を加熱する。酸化物層の溶融が完了すると、アルミニウム母材の溶融が始まり、安定した溶融池が作られる。つまり、レーザービーム中の材料は融点まで急速に加熱され、連続レーザービームによって融点に維持されるため、安定した溶接ビードが形成される。
【0095】
図10は伝導モード溶接1000の実施形態の模式図であり、溶接の方向を矢印1004で示す。レーザービーム1001、例えば、青色波長は、溶融池1002に焦点を合わせて維持する。溶融池1002の背後には、固体溶接部1003がある。母材、例えば、アルミニウム金属又は合金は、溶接部の下にある。シールドガスストリーム1005を使用することもできる。
【0096】
図11にはキーホールモード溶接2000の実施形態の概略が示されており、矢印2007で溶接の方向が示されている。キーホール2006には、金属/蒸気プラズマが存在する。青色レーザービーム2001は、プラズマ雲2002、溶融池2003、および固体溶接金属2004を作る。シールドガスストリーム2005も使用することができる。
【0097】
図11のキーホール溶接を図10の伝導モード溶接と比較すると、キーホール溶接における最終溶接再凝固領域の壁は、伝導モード溶接よりも部品又は母材に入り込んでより垂直である。
【0098】
好ましくは、本システムおよび方法の実施形態のためのハイパワーレーザービーム(例えば、可視レーザービーム、緑色レーザービーム、および青色レーザービーム)は、システム内の光学系を通して約50μm以上のスポットサイズに集束される性能を有し、10W以上のパワーを有する。青色レーザービームを含むレーザービームのパワーは、10W、20W、50W、100W、10W~50W、100W~250W、200~500W、150~1000W、1000W、500W~1500W、1500W、より高いパワー及び低いパワーも想定されており、またこれらの範囲内のすべての波長が想定されている。これらのパワーおよびレーザービームに対するスポットサイズ(最長断面距離、円の場合は直径)は、約20μmから約4mm、約3mm未満、約2mm未満、約20μm~約1mm、約30μm~約50μm、約50μm~約250μm、約50μm~約500μm、約100μm~約4000μm、それ以上及び以下、及びこれらの範囲内のすべてのサイズであり得る。レーザービームスポットのパワー密度は、約50kW/cm~5MW/cm、約100kW/cm~4.5MW/cm、約100kW/cm~1000kW/cm、約500kW/cm~2MW/cm、約50kW/cm超、約100kW/cm超、約500kW/cm超、約1000kW/cm超、約2000kW/cm超、およびより高いパワー密度とより低いパワー密度、およびこれらの範囲内のすべてのパワー密度であり得る。アルミニウムの溶接速度は、本明細書で記載したアルミニウムダストを生じることなく、約0.1mm/秒から約200mm/秒、さまざまな条件に応じてより遅いかより早い速度、およびこれらの範囲内のすべての速度とすることができる。
【0099】
本発明の方法およびシステムの実施形態は、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のレーザービームを使用して溶接部を形成することができる。レーザービームは、溶接を開始するために同じ領域に焦点を合わせることができる。レーザービームスポットは重なったり一致したりする場合があり得る。複数のレーザービームを同時に、一致させて使用することができる。単一のレーザービームを使用して溶接を開始し、続いて2番目のレーザービームを追加することができる。複数のレーザービームを使用して溶接を開始し、続いてより少ないビーム、例えば単一のビームを使用して溶接を継続することができる。この複数のレーザービームは、異なるパワーまたは同じパワーであり得、パワー密度は異なるか同じであり得、波長は異なるか同じであり得、これらの組み合わせおよび変形とすることもできる。追加のレーザービームの使用は、同時または順次にすることができる。複数のレーザービームを使用するこれらの実施形態の組み合わせおよび変形もまた使用され得る。複数のレーザービームを使用すると、溶接部からのスパッタを抑制でき、深溶け込み溶接法でもその抑制ができる。
【0100】
実施形態では、溶接プロセス中に母材から酸化物層を除去するために、水素ガスHを不活性ガスと混合することができる。その水素ガスは溶接領域に流される。水素ガスはまた、溶接部の濡れを促進する。水素ガスはシールドガスに添加するか、シールドガスと混合して、シールドガスの一部として溶接部に適用することができる。これらの混合ガスには、例えば、Ar-H、He-H、N-Hがある。

青色、青緑色、緑色、赤色レーザーシステムを使用した、アルミニウム、アルミニウム合金、およびその他の金属の伝導モード溶接をする方法
【0101】
本発明のシステムは、有害なアルミニウムダストを含むIR溶接の有害物質生成に関連する問題および困難を克服する。本発明のレーザービームのアルミニウムとの相互作用により、アルミニウムがその融点に達し、許容可能な処理条件幅を可能にする。
【0102】
一実施形態では、部品保持装置または固定具を使用することにより、定常伝導モード溶接が実行され、高品質の溶接が安定した迅速な速度で得られる。
【0103】
レーザービームによって部品に誘発される熱過渡の間、溶接される材料を所定の位置に保持するために溶接固定具が使用される。図12および図12Aの固定具は、それぞれ、重ね溶接、突合せ溶接、さらにはエッジ溶接に使用することができる溶接クランプの斜視図及び断面図である。溶接固定具4000は、ベースプレートまたは支持構造4002を有する。ベースプレート4002に取り付けられているのは、2つのクランプ部材すなわちホールドダウン4001である。ホールドダウン4001は、ベースプレート4002の表面上に載るタブと、溶接されるワークピースに接触して保持する自由端とを有する。ホールドダウン4001の自由端の間の領域のベースプレート4002には、例えば、幅2mm×深さ2mmのスロットがある。4本のボルト4004(他のタイプの調整締め付け装置も使用できる)は、クランプをワークピースに対して調整、締め付け、保持して、ワークピースを保持または固定する。
【0104】
この固定具の材料は、ステンレス鋼などの低熱伝導率材料であり、それは溶接中に部品を所定の位置に保持するために必要なクランプ圧力を加えるのに十分に剛性であるため好ましい。実施形態では、クランプ、ベースプレート、およびそれら両方は、溶接プロセス中にワークピースに対して絶縁性または絶縁効果を与えることができる。固定具に熱伝導率の低い材料を使用すると、部品に蓄積される熱が固定具自体によって急速に伝導されることが防止、最小化、および低減される。クランプのために選択される材料、クランプの幅、および部品の下のギャップはすべて、溶接の溶け込み深さ、溶接ビードの幅、および溶接ビードの全体的な品質を決定するパラメータとなる。
【0105】
好ましい実施形態では、固定具4000のベースプレート4002はステンレス鋼で構成され、幅2mmのギャップ4003が溶接領域の真下に配置されるように切り込まれ、溶接部の裏面の酸化を最小限に抑えるために(カバーガスまたはシールドガスとしての)アルゴン、ヘリウム、または窒素などの不活性ガスが注入される。カバーガスは、水素と不活性ガスの混合物であり得る。クランプ4001は、ベースプレート4002のギャップ4003の縁から2mmのところで、溶接される部品を押圧するように設計されている。したがって、この実施形態では、溶接される部品の幅6mmの領域がレーザービームに対して開放されている(レーザービームはクランプからわずかに離される)。クランプのこの配置により、レーザービームが表面に簡単にアクセスできるだけでなく、部品をしっかりとクランプすることができる。このタイプのクランプは、厚さが50μmから数mmまでの2枚のアルミニウム箔またはアルミニウムシートを突き合わせ溶接するのに好ましい。この固定具は、200μmから数mmの範囲の2枚のより厚いアルミニウム板を重ね溶接するのにも適している。クランプ圧力の大きさは非常に重要であり、レーザーパワーの大きさ、溶接の速度、部品の厚さ、および実行される溶接のタイプに応じて、クランプボルトは0.05ニュートンm(Nm)、最大3Nmのトルク、又はより厚い材料の場合はそれ以上で締めることができる。このトルク値は、ボルトのサイズ、ねじ山のかみ合い、およびボルトの中心からクランプポイントまでの距離に大きく関係する。
【0106】
一実施形態では、高品質で優れた溶接は、固定具自体への寄生熱損失を最小限に抑えながら、溶接中の部品の移動を防ぐのに十分なクランプ力を提供することによって得られる。図12および図12Aの固定具の実施形態は、溶接固定具の断面を表し、任意のタイプの形状を溶接するために、任意の2D経路(例えば、-S-、-C-、-W-など)に設計することができる。別の実施形態では、固定具は、予熱されるか、または溶接プロセス中に加熱されて、固定具への寄生熱損失を低減しながら、溶接の浸透の速度または深さを増加させることができる。固定具を数100℃に加熱すると、溶接速度、または溶け込みの深さと品質を2倍以上に向上させることができる。溶接部上面のシールドガスは、図10に示すように、溶接進行方向の前から溶接進行方向の後ろに縦方向に供給される。
【0107】
伝導モード溶接プロセスを使用する2つの部品の重ね溶接は、部品が密接に接触して配置および保持されることを必要とする。2つの部品(集合的にワークピース)は、好ましくは図13および図13A(斜視図、断面図)に示されるタイプの固定具に配置することができる。固定具5000は、ベースプレート5003および2つのクランプ5002を有する。クランプは、ホールドダウンボルト5001に対応する4つのスロット5010を有する。従って、ワークピースに対するクランプの相対的な位置、およびクランプ力または圧力の大きさを調整して固定することができる。固定具には、位置決めと固定を支援する磁石を付けることができる。クランプ5002は、シールドガスを送るための内部チャネル5004を有する。チャネル5004は、シールドガス出口5005と流体連通している。シールドガス供給システムからのシールドガス出口とシールドガスチャネルはクランプ内にある。したがって、ガス供給システムはクランプの長さに沿った穴の列であり、アルゴン、ヘリウム、または窒素などの不活性ガスを供給する。アルゴンは空気よりも重く酸素に替わり部品に留まり、部品の上面の酸化を防ぐため、好ましいガスである。少量の水素を不活性ガスに加えて、部品上の酸化層の除去を促進し、溶融プロセス中の部品の濡れを促進することができる。
【0108】
インサート5006もあり、これは、箔の積層体内の個々の箔が積層体内で互いに接触をキープし維持するように強制するために使用される。インサート5006は、箔を引き伸ばして、互いにしっかりと均一に接触させることができる。図13および図13Aの実施形態では、インサート5006は逆V字形である。それは、箔の積層体、およびそれらの個々の厚さに応じて、湾曲、ハンプ(凸部)、または他の形状にすることができる。さらに、図13および13Aの実施形態では、インサート5006は、クランプ5002に隣接しているが、クランプ5002によって覆われていない。インサートはクランプの端から取り外すことができる。または、クランプの一方または両方がインサートを部分的に覆う場合がある。
【0109】
好ましい実施形態では、ベースプレート5003は、クランプ5002と同様に、ステンレス鋼から作られている。固定具は、セラミックまたは断熱材料から作ることができる。凸状のインサート5006は、溶接部の下から圧力を加えて、(2、3、10などの)重なり合うプレートを密接に接触させる。この実施形態では、シールドガスのための手段が、クランプの長さに沿った一列の穴の形でクランプに組み込まれ、アルゴン、ヘリウム、または窒素などの不活性ガスを供給するようになっている。アルゴンは空気よりも重く、酸素に替わって部品に留まり、部品上面の酸化を防ぐための好ましいガスである。ベースプレート5003の凸状のインサート5006はまた、酸化を防ぐために、溶接部の裏側にカバーまたはシールドガスを供給するための一連のチャネル、穴またはスロットを有し得る。図に示されているように、固定具5000は、溶接部の断面を表し、任意の形状を一緒に溶接するための任意の2D経路に設計することができる。このアプリケーションでは、ワークピースの性質によっては、ボルトのトルク値が重要になる場合があり、トルク値が0.1Nmなど低すぎる場合には部品が接触したままにならず、トルク値が1Nm超の高すぎる場合には寄生熱伝達により、溶接プロセスの効率が低下して溶け込みと溶接ビードの幅が減少する。
【0110】
個別に及び集合的にスパッタ及びダスト形成を更に減少させ、除去することができる他の処理パラメータとしては、部品への適切なアシストガスの供給、焦点の位置決め、伝導モード溶接の使用、及び溶接パルスパラメータの使用又は溶接部の成形(円形、ラスターパターンでのウォブリングと同様)などがある。

有害な金属粉の発生を抑えた状態でアルミニウム、アルミニウム合金、その他の金属を溶接するための更なる技術
【0111】
500ワットで200μmのスポットでは、パワー密度は1.6MW/cm超である。このパワー密度以上では、青色レーザーでさえ、溶接部にスパッタと多孔を生成する可能性がある。ただし、吸収が十分に制御されているため、スパッタを抑制、制御、または除去することが可能である。スパッタを抑制するための第1の方法は、溶接速度を一定に保ちながら、スパッタが開始されたらパワーレベルを下げることである。スパッタを抑制する第2の方法は、溶融池を長くしてシールドガスと気化した金属をキーホールから排出し、スパッタがなく(スパッタフリー)欠陥のない溶接を行うことである。スパッタを抑制するための第3の方法は、ガルバノモーターのセットに取り付けられたミラーのセットまたはロボットのいずれかを使用して、青色レーザービームを揺らすことである。スパッタを抑制する第4の方法は、真空の使用を含む溶接環境の圧力を低下させるものである。最後に、スパッタを抑制するための第5の方法は、1Hzから1kHzの範囲、または最大50kHzの範囲でレーザービームパワーを変調することである。好ましくは、溶接パラメータは、プロセス中のスパッタを最小限に抑えるように最適化される。
【0112】
本発明の実施形態は、概ね、材料のレーザー加工、材料による高レベルまたは増加されたレベルの吸収性を有するように加工される材料に、事前に選択されたレーザービーム波長を適合させることによるレーザー加工、特に、材料による吸収性が高いレーザービームを用いた材料のレーザー溶接に関する。
【0113】
本発明の一実施形態は、350nmから850nmの波長の可視レーザービームを有するレーザービームを使用して、これらの波長に対してより高い吸収性を有する材料を溶接するか、レーザー処理によって接合することに関する。特に、レーザービーム波長は、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約18%、および少なくとも約20%、またはそれ以上、および約10%から約20%の吸収性を有するように、レーザー加工される材料に基づいて事前に決定される。したがって、例えば、金、銅、真ちゅう、銀、アルミニウム、ニッケル、これらの金属の合金、ステンレス鋼、および他の金属、材料、および合金を溶接するために、約400nmから約500nmの波長を有するレーザービームが使用される。
【0114】
金、銅、真ちゅう、ニッケル、ニッケルメッキ銅、ステンレス鋼、およびその他の材料、メッキされた材料、および合金を溶接するための、青色レーザー、例えば、約405nmから約495nmの波長が、室温でのそれら材料の高い吸収性、例えば約15%を超える吸収性のために好ましい。本発明のいくつかの利点の1つは、レーザー操作、例えば溶接プロセスの間、材料にレーザーエネルギーをより良く結合することができる、青色レーザービームのような予め選択された波長のレーザービームの能力である。レーザーエネルギーを溶接される材料によりよく結合させることによって、暴走プロセスの可能性は大幅に減少し、好ましくは排除される。レーザーエネルギーのより良い結合はまた、より低いパワーのレーザーを使用することを可能にし、コスト削減をもたらす。また、結合が良いため、制御性が高く、許容範囲が大きいので、溶接の再現性が高くなる。これらの特徴は、赤外線レーザーや赤外線レーザー溶接作業にはないもので、特に電子機器や電力貯蔵分野の製品にとって重要である。
【0115】
金、銅、真鍮、ニッケル、ニッケルメッキ銅、ステンレス鋼などの材料、メッキ材料、合金の溶接にレーザー、例えば約380~約575nm波長を使用することは、室温での材料の高い吸収率、例えば約15%以上の吸収率のために好ましい。本発明のいくつかの利点の1つは、レーザー操作、例えば溶接プロセスの間、材料にレーザーエネルギーをより良く結合することができる、青色レーザービームのような予め選択された波長のレーザービームの能力である。レーザーエネルギーを溶接される材料によりよく結合させることによって、暴走プロセスの可能性は大幅に減少し、好ましくは排除される。レーザーエネルギーのより良い結合はまた、より低いパワーのレーザーを使用することを可能にし、コスト削減をもたらす。また、結合が良いため、制御性が高く、許容範囲が大きいので、溶接の再現性が高くなる。これらの特徴は、赤外線レーザーや赤外線レーザー溶接作業にはないもので、特に電子機器や電力貯蔵分野の製品にとって重要である。
【0116】
一実施形態では、CWモードで動作する青色レーザーが使用される。CW動作は、レーザーパワーを迅速かつ完全に変調し、フィードバックループで溶接プロセスを制御でき、最適な機械的および電気的特性を備えた再現性の高いプロセスが可能であるために、多くの用途でパルスレーザーよりも好まれる。
【0117】
本発明の一実施形態には、1つ、2つ、またはそれ以上の部品のレーザー処理が含まれる。部品はレーザービームエネルギーを吸収する任意のタイプの材料、例えば、プラスチック、金属、複合材料、アモルファス材料、および他のタイプの材料から形成される。一実施形態では、レーザー加工は、2つの金属部品を一緒にはんだ付けすることを含む。一実施形態では、レーザー加工は2つの金属部品を一緒に溶接することを含む。
【0118】
一実施形態では、レーザー溶接動作が、自生溶接、レーザーハイブリッド溶接、キーホール溶接、重ね溶接、フィレット溶接、突合せ溶接、および非自生溶接からなる群から選択されるツール、システム、および方法が提供される。
【0119】
レーザー溶接技術は、多くの様々な状況において、特に、電気接続部を形成するために溶接が必要とされる場合、特に、バッテリーなどの電力貯蔵装置において有用であり得る。本発明のレーザー溶接操作およびシステムの実施形態は、母材のみが使用され、キーホール溶接、伝導溶接、重ね溶接、フィレット溶接および突合せなどの自生溶接をすることができる、概ね可視波長、好ましくは青色波長のレーザーを含む。レーザー溶接は非自生的であるものとすることができ、フィラー材料が溶融溜りに追加されてギャップを「埋める」か、溶接の強度のために隆起したビードを作製するようにすることができる。レーザー溶接技術には、レーザー材料蒸着(「LMD」)も含まれる。
【0120】
本レーザー溶接操作およびシステムの実施形態は、電流がレーザービームと組み合わせて使用されてフィラー材料のより迅速な供給を提供するハイブリッド溶接であり得る、可視波長、好ましくは青色波長のレーザーを含む。レーザーハイブリッド溶接は、定義上、非自生となる。
【0121】
好ましくは、いくつかの実施形態では、アクティブな溶接モニタ、例えば、カメラを使用して、その場で溶接の品質をチェックすることができる。これらのモニタには、たとえば、X線検査および超音波検査システムを含めることができる。さらに、オンストリームビーム分析とパワー監視を利用して、システムの特性と動作の特性を完全に理解することができる。
【0122】
本発明のレーザーシステムの実施形態は、新規のレーザーシステムおよび方法を従来のフライス盤および機械加工装置と組み合わせてハイブリッドシステムとすることができる。このようにして、製造、構築、再仕上げ、またはその他のプロセス中に材料を追加および削除できる。本発明者の1人または複数によって発明されたレーザーシステムの他の実施形態を使用するそのようなハイブリッドシステムの例は、米国特許出願シ第14/837,782号に開示および教示されており、その開示全体は参照により本明細書に取り込まれる。
【0123】
典型的には、実施形態においては、レーザー溶接は、光学系を清潔に保つための非常に低いガス流、光学系を清潔に保つためのエアナイフ、または光学系を清潔に保つための不活性環境を使用する。レーザー溶接は、空気、不活性環境、またはその他の制御された環境、たとえばN中で実行できる。
【0124】
本レーザーシステムおよびプロセスの実施形態、伝導溶接、およびキーホール溶接で実行される2つの好ましい自生溶接モード、およびそれらが生成する自生の溶接部が存在する。伝導溶接は、低強度(<100kW/cm)のレーザービームを使用して2つの金属片を溶接する場合である。ここでは、2つの金属片を互いに突き合わせ、片側に重ね、完全に重ねることができる。伝導溶接は、キーホール溶接ほど深く溶け込まない傾向があり、一般的に、非常に強力な突合せ溶接のための特徴的な「球形」の溶接接合部を生成する。ただし、キーホール溶接が比較的高いレーザービーム強度(>500kW/cm)で生じ、この溶接は材料の奥深くまでの溶け込むことが可能であり、多くの場合、材料が重なる場合には複数の層を貫通し得る。伝導モードからキーホールモードへの移行の正確な閾値は、青色レーザー光源ではまだ決定されていないが、キーホール溶接は、材料の頂部に特徴的な「v」字型を持ち、材料の奥深くまで溶け込んだ再凝結された材料のほぼ平行なチャネルがある。キーホールプロセスは、金属の溶融池の側面からのレーザービームの反射によってレーザーエネルギーを材料の奥深くに伝達する。これらのタイプの溶接はどのレーザーでも実行できるが、青色レーザーは、赤外線レーザーよりも、これらのタイプの溶接の両方を開始するための閾値が大幅に低いと見込まれる。
【0125】
以下の実施例は、本レーザーシステムおよび動作の様々な実施形態、特に電子記憶装置内の構成要素を含む構成要素を溶接するための青色レーザーシステムを説明するためのものである。これらの例は、説明を目的としたものであり、予測的である得、本発明の範囲を制限するものと見なされるべきではない。
【0126】
実施例1
【0127】
青、青緑、緑又は赤のレーザービームを用いた金属のレーザー溶接は、ビームをふらつかせることなく(ワブリングなく)実施される。これらの溶接は深い溶け込みを有する。したがって、これらのレーザービームを使用した、アルミニウム箔、およびアルミニウム板を含むアルミニウムベース材料のワブリングフリー溶接が提供される。アルミニウム、アルミニウムベース材料、およびこれらの合金のワブリングフリー溶接が可能である。
【0128】
このワブリングフリーレーザー溶接の一実施形態では、青色レーザー溶接は、厚さが2mm以下、約1mm以下及び1mm以下のアルミニウムに対して、波長が450nmの青色レーザービームを用いて行われる。
【0129】
このワブリングフリーレーザー溶接の一実施形態では、青色レーザー溶接は、厚さが1mm未満のアルミニウムに対して、波長が460nmの青色レーザービームを用いて行われる。
【0130】
このワブリングフリーレーザー溶接の実施形態において、レーザー溶接は、1mm未満の厚さを有するアルミニウムに、470nmの波長を有する青色レーザービームを用いて行われる。
【0131】
このワブリングフリーレーザー溶接の実施形態において、レーザー溶接は、1mm未満の厚さを有するアルミニウムに、515nmの波長を有する緑色のレーザービームを用いて行われる。
【0132】
このワブリングフリーレーザー溶接の実施形態において、レーザー溶接は、1mm未満の厚さを有するアルミニウムに、532nmの波長を有する緑色のレーザービームを用いて行われる。
【0133】
このウォブルフリーレーザ溶接の実施形態において、レーザー溶接は、1mm未満の厚さを有するアルミニウムに、550nmの波長を有する緑色レーザービームを用いて実施される。
【0134】
実施例1A
【0135】
青色、青緑色、緑色または赤色のレーザービームを用いた金属のレーザー溶接が、ビームをふらつかせることなく(ワブリング無しに)実施される。これらの溶接は深い溶け込みを有する。これにより、これらのレーザービームを用いた、アルミニウム箔、およびアルミニウム板を含むアルミニウムベース材料の、ビームのウォブルを用いた溶接が提供される。アルミニウム、アルミニウムベース材料、及びこれらの合金のワブリングフリー溶接が提供される。
【0136】
このレーザー溶接の実施形態では、レーザー溶接は、2mm以下、約1mm以下、1mm以下の厚さを有するアルミニウムに対して、450nmの波長を有する青色レーザービームを用いて行われる。
【0137】
このレーザー溶接の実施形態では、レーザー溶接は、1mm以下の厚さを有するアルミニウムに対して、460nmの波長を有する青色レーザービームを用いて行われる。
【0138】
このレーザー溶接の実施形態において、レーザー溶接は、1mm未満の厚さを有するアルミニウムに対して、470nmの波長を有する青色レーザービームを用いて行われる。
【0139】
このレーザー溶接の実施形態において、レーザー溶接は、1mm未満の厚さを有するアルミニウムに対して、515nmの波長を有する緑色レーザービームを用いて行われる。
【0140】
このレーザー溶接の実施形態において、レーザー溶接は、1mm未満の厚さを有するアルミニウムに、532nmの波長を有する緑色レーザービームを用いて行われる。
【0141】
このワブリングフリーレーザー溶接の実施形態では、レーザー溶接は、1mm未満の厚さを有するアルミニウムに対して、550nmの波長を有する緑色レーザービームを用いて行われる。
【0142】
実施例2
【0143】
450nmの波長を有するレーザービームを生じる4つの200ワットの青色レーザーモジュールを有する600ワットレーザの実施例。このレーザーシステムは、米国特許出願シリアル番号16/730,852に教示され開示されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。レーザーダイオードは個別にコリメートされ、ビーム発散は円形化され、各モジュールについて22mmradのビームパラメータ積をもたらす。4つの青色レーザーモジュールからのレーザービームは、直径100mmの集光光学系の開口部を埋めように、垂直方向と同様に水平方向にも光学的に整えられる。この複合ビーム(450nm)は、ビームパラメータ積が44mmradである。この青色レーザービームは、自由空間を経由してワークピースに照射される。また、このビームはファイバーを介して送出されてもよい。
【0144】
リアルタイムビーム診断をセットアップに統合することを可能にする4’×6’の光学ベンチを有する光学ブレッドボードが使用される。複合パワービームは1%ビームサンプラーでサンプリングされ、ビームの一部は遠視野プロファイルカメラとパワーメーターに送られる。遠視野は、溶接レンズと同じ焦点距離のレンズである、100mmF/1レンズまたは200mmF/2レンズのいずれかで作られる。どちらのレンズもThorLabs社のBK7非球面レンズである。レンズは約80mmまでアンダーフィルされ、ワークピースでのスポットは100mmFLレンズの場合は約200μm、200mmFLレンズの場合は約400μmである。
【0145】
ビームコースティックは、セットアップのビームサンプリングアーム内の100mmのFLレンズの焦点を通してオフィール(Ophir)ビームプロファイラを平行移動させ、95%囲まれたパワーポイントでビームの直径を測定することによって測定される。この測定は、100mmFLレンズの焦点深度が比較的短いことを示している。
【0146】
ファナック6軸ロボット(FANUC M-16iB)を使用して、ロボットアダプタに取り付けられて溶接部の方向に沿って向けられた直径3/8インチのスパージャーチューブによってカバーガスが提供されている状態で、サンプルが自由空間ビーム焦点を通して移動される。
【0147】
図12および12Aに示されるタイプの溶接固定具が使用されている。溶接固定具は溶接プロセスの一部であり、高熱伝導率の材料を溶接する場合、得られる溶け込み深さ、溶接速度、およびその両方に影響を与え得る。図12および12Aは、溶接固定具の実施形態の図面である。一実施形態では、アルミニウム(6061シリーズ)が使用される。別の実施形態では、ステンレス鋼(316)が使用される。アルミニウムの溶接固定具は部品から熱を急速に奪う傾向があるが、ステンレス鋼の固定具は熱の大部分を部品内にとどまらせることができる。両方の材料は、サンプル(ワークピース、部品など)をクランプするためのさまざまな方法とともに評価される。固定具に配置された部品の上部にアルゴン-COなどの不活性ガスを流し、溶接プロセス中の部品の酸化を抑制する。小さなギャップ4003がサンプルの中心の下に配置され、ビードオンプレートのポイントでの放熱を最小限に抑え、溶接部の裏側にアシストガスを追加できるようにする。
【0148】
溶接のキーホールモードでは、溶接時に強いプルームを生成する可能性がある。プルーム内の原子とイオンは450μmの光を容易に吸収するため、このプルームを管理し、できれば抑制する必要がある。直径3/8インチのチューブスパージャーを使用して、部品の上部に50scfhのアルゴンまたはアルゴン-COを供給することによってプルームを抑制する。溶接は、プルームを管理し、部品の酸化を回避するためのアルゴン、アルゴン-CO、空気、ヘリウム、窒素などのさまざまなガスを用いて実施されまたは形成することができる。溶接プロセスを最適化する目的は、とりわけ、可能な限り最高の速度で最大の溶け込みを達成することである。実施例8Aから8Kに提示されたデータは、カバーガスとしてアルゴンを使用している。突合せ溶接などの他のレーザー溶接およびレーザー加工のアプリケーションでは、プルームを管理することが望ましく、好ましい。
【0149】
実施例8Aから8Fの500ワットの溶接試験では、200mmの焦点距離のレンズを使用して、ビームを400μmのスポットサイズに集束させ、平均強度を400kW/cm超にし、ピーク強度を800kW/cmに近づける。
【0150】
実施例8Gから8Kの600ワットの溶接試験では、100mmの焦点距離レンズを使用して、ビームを200μmのスポットサイズに集束させ、平均強度を約2.1MW/cmにし、ピーク強度を4.5MW/cmに近づける。
【0151】
このレーザープロセスを使用して、アルミニウム(1100シリーズ)に対して、500ワット、400μmのスポットサイズ、および400kW/cmの平均パワー密度を使用してビードオンプレート溶接を実施し評価する。サンプルはすべて、せん断で10mm×45mmのサイズにカットされ、処理前にアセトンで洗浄される。表面仕上げはMcMaster Carr社から提供されたもので、薄いサンプルではロール仕上げ、厚いサンプルではミル仕上げのように見える。
【0152】
溶接のためのこのサンプルは、評価の前にアセトンで拭き、ボルトに1ニュートンメートルのトルクをかけて固定具に固定した。固定具とサンプルは、レーザーへの後方反射を防ぐためにビーム法線に対して20度の角度で保持され、200mmFLレンズの場合にはスポットが400μm×540μmに伸びる。ビーム角度は、ビーム法線から溶接部品の後続側である。サンプルのこの傾斜は、部品上での強度が低いために、得られる最大溶接速度を低下させる可能性がある。溶接のシーケンスは、パーツとレーザービームの間に十分な距離をもって、ロボットがパーツを移動するように命令され、ロボットがプログラムされた速度に到達したことを確認し、溶接固定具がレーザービームの位置を横切るときにレーザーが開始される。部品は一定の速度でビームを通過し、溶接固定具の端に達すると、レーザービームがオフになり、ロボットはホームポジションに戻るように命令される。サンプルは、微細構造を明らかにするために、断面化され、研磨され、エッチングされる。すべての溶接部が、伝導モード溶接を示す球形の溶融凝固パターンを示した。
【0153】
実施例2A
実施例2Aのレーザー、プロセス、セットアップを使用して、アルミニウム1100シリーズのサンプルを溶接および評価する。アルミニウム1100シリーズのサンプルを準備し、実施例2のアルミニウム部品と同じように溶接固定具に取り付けた。溶接プロセスは、実施例2の銅溶接プロセスと似ているが、ロボットの速度のみが変更されている。図17に示す溶接速度は、その厚さの部分の裏側に完全な溶け込みビードが観察される場合のものである。溶接プロセス中に観察される溶融溜りからのスパッタはない。
【0154】
実施例2B
【0155】
実施例2のレーザー、プロセス、およびセットアップを使用して、突合せ溶接および溶接試験を、溶接固定具に並べて配置された2つのアルミニウム1100のサンプルに対して行う。サンプルはせん断で準備され、溶接が行われる前に2つのエッジに特別な準備はされていない。溶接前にサンプルはアセトンで拭かれている。プロットされた最終的な溶接速度は、溶接されるサンプルの全長にわたって完全な溶け込みビードが得られる速度である。このデータの要約が図18に示されている。
【0156】
実施例3
【0157】
実施例1、1A、2、2A及び2Bの溶接プロセスは、最小限の、そして好ましくは全くアルミニウムベース粉を生成しない。実施形態において、前述の量のアルミニウムベース粉は、空中浮遊アルミニウム粉又は空中浮遊アルミニウム粒子として生成されない。
【0158】
実施例4
【0159】
実施例1、1A、2、2A及び2Bの溶接工程の間に、50g未満、20g未満、10g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、約1mg未満、1mg未満、約0.5mg未満、0.5mg未満、約0.1mg未満、0.1mg未満、0.05mg未満、0.01mg未満、約20g~約1mg、約2g~約1mg、約2mg~約0.05mg、約1mg~約0.001mg、およびそれより少ない量のアルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムを含むアルミニウムベースの粉が生成される。一実施形態では、前述の量のアルミニウムベースの粉は、空中浮遊アルミニウム粉または空中浮遊アルミニウム粒子として生成される。
【0160】
実施例5
【0161】
実施例1、1A、2、2Aおよび2Bの溶接プロセスのための1mm長の溶接部の形成の間に、50g未満、20g未満、10g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、約1mg未満、1mg未満、約0.5mg未満、0.5mg未満、約0.1mg未満、0.1mg未満、0.05mg未満、約0.01mg未満、約20g~約1mg、約2g~約1mg、約2mg~約0.05mg、約1mg~約0.001mg、およびより少ない量のアルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムを含むアルミニウムベースの粉体が生成される。一実施形態では、前述の量のアルミニウムベースの粉は、空中浮遊アルミニウム粉または空中浮遊アルミニウム粒子として生成される。
【0162】
実施例6
【0163】
実施例1、1A、2、2A及び2Bの溶接工程の溶接の少なくとも10秒、10~1,000秒、及び1,000秒以上、10,000秒以上、溶接の全体の間に、50g未満、20g未満、10g未満、1g未満、100mg未満、50mg未満、5mg未満、約1mg未満、1mg未満、約0.5mg未満、0.5mg未満、約0.1mg未満、0.1mg未満、0.05mg未満、0.01mg未満、約20g~約1mg、約2g~約1mg、約2mg~約0.05mg、約1mg~約0.001mg、およびより少ない量のアルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムなどのアルミニウムベースの粉が生成される。一実施形態において、前述の量のアルミニウムベースの粉は、空中浮遊アルミニウム粉または空中浮遊アルミニウム粒子として生成される。
【0164】
実施例7
【0165】
実施例1、1A、2、2A及び2Bの溶接プロセスは、500ミクロンより小さい粒子サイズを有するアルミニウムベースの粉末を最小限しか生成せず、好ましくは全く生成しない。実施形態において、アルミニウムベースの粉末の量は、空中浮遊アルミニウム粉末又は空中浮遊アルミニウム粒子として生成されない。
【0166】
実施例8
【0167】
実施例1、1A、2、2A及び2Bの溶接プロセスは、約420ミクロンより小さい、好ましくは420ミクロンより小さい粒子サイズを有するアルミニウムベースの粉生成を最小限しか生成せず、好ましくは全く生成しない。一実施形態において、アルミニウムベース粉は、空中浮遊アルミニウム粉末または空中浮遊アルミニウム粒子として生成されない。
【0168】
実施例9
【0169】
自動車フレーム、船舶部品、フレーム、支柱、ビーム、構造支持体、機械部品などの、より大きく、より重いアルミニウム部品を溶接するための重荷重溶接システムが提供される。このレーザーシステムは、380m~850nm、好ましくは405nm~600nmの波長を有し、500W~5kW、4kW以上、5kW以上、2kW~10kW、1kW~5kWのパワーを有するレーザーを有する。
【0170】
実施例10
【0171】
アルミニウムベース部品を含むアルミニウムベースコンポーネントの製造、製造及び組立において、研削、フライス加工、機械加工及び組立などの操作は、許容できない、望ましくない、危険な、さらには爆発性のアルミニウムダスト状態の生成を引き起こす可能性がある。空気処理システム、および粉塵が生成、輸送または存在する付近の領域は、380nm~850nm、好ましくは405nm~600nmの波長を有するレーザービームを受け、このレーザービームが、アルミニウム粉を軟化、溶融またはその両方により小さい粉塵粒子を大きなサイズの凝集物または粒子に凝集し、それらをもはや可燃性および爆発性がない、例えば、420ミクロン以上、500ミクロン以上、600ミクロン以上、1,000ミクロン以上の粒子径を有する凝集体または粒子とすることができる。一実施形態において、レーザーエネルギーは、小粒子が気化されるように十分に高く、好ましくは酸素を含まない環境において、その蒸気は、例えば、収集プレートの面のアルミニウム金属として堆積される。

見出しと実施形態
【0172】
本明細書における見出しの使用は、明確にすることを目的としており、決して限定するものではない。したがって、見出しの下に記載されているプロセスおよび開示は、さまざまな例を含め、本明細書全体に関連して読む必要がある。本明細書における見出しの使用は、本発明の保護の範囲を制限するべきではない。
【0173】
本発明の実施形態の主題である、またはそれに関連する、新規で画期的なプロセス、材料、性能、または他の有益な特徴および特性の根底にある、理論を提供または論じる必要がないことに留意されたい。それにもかかわらず、この分野の技術をさらに進歩させるために、この明細書では様々な理論が提供されている。この明細書に記載されている理論は、特に明記されていない限り、特許請求の範囲に記載された発明に与えられる保護の範囲を制限、制約、または狭めるものではない。これらの理論は、本発明を利用するために必要とされたり実践されたりすることないであろう。さらに、本発明は、本発明の方法、物品、材料、デバイス、およびシステムの実施形態の機能的特徴を説明するための、これまで知られていなかった新しい理論につながる可能性があることを理解されたい。そして、そのような後に開発された理論は、本発明に与えられる保護の範囲を制限してはならない。
【0174】
本明細書に記載されているシステム、機器、技術、方法、活動および操作の様々な実施形態は、本明細書に記載されているものに加えて、他の様々な活動および他の分野で使用することができる。さらに、これらの実施形態は、例えば、将来開発される可能性のある他の機器または活動、この仕様の教示に基づいて、部分的に変更される可能性のある既存の機器またはアクティビティとともに使用することができる。さらに、本明細書に記載されている様々な実施形態は、異なる様々な組み合わせで互いに使用することができる。したがって、例えば、本明細書の様々な実施形態で提供される構成は、互いに使用することができる。例えば、A、A’およびBを有する実施形態の構成要素、ならびにA’’、CおよびDを有する実施形態の構成要素は、本明細書の教示にしたがって様々な組み合わせ、例えば、A、C、D、およびA、A’’、C、Dなど互いに使用することができる。本発明に与えられる保護の範囲は、特定の実施形態、実施例、または特定の図の実施形態に示される特定の実施形態、構成または配置に限定されるべきではない。
【0175】
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書に具体的に開示されたもの以外の形態で具体化することができる。説明された実施形態は、すべての点で例示としてのみ考慮されるべきであり、限定的ではないと見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図8A
図9
図10
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図12
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図13
図13A
図14
図15
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【国際調査報告】